以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
まず、遊技媒体借受用媒体の取り忘れシステムの説明に先立ち、前提となる遊技場の設備について概略説明する。
図1乃至図3に示す如く、遊技場Hは、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機1と、遊技機1に付設される椅子2とを備える。一般的に、遊技場Hは、所定台数の遊技機1を一群とする遊技島Gを有し、各遊技機1に対して椅子2が対応づけられて設置される。
遊技機1は、前面に遊技領域10を有し、遊技領域10における遊技を実行させるハンドルやレバー等の操作部11を備える。なお、図1乃至図3において、遊技機1としてパチンコ機が図示されており、遊技領域10の下方領域に操作部11としてのハンドルを備えている(図1及び図3参照)。
椅子2は、着座する遊技者が遊技機1の遊技領域10に対面するように設置される。椅子2は、図1及び図2に示す如く、脚部20と、脚部20の上端に連結された座部21であって、遊技者の臀部を受ける座面21aを含む座部21と、座部21に対して直接的又は間接的に連結された背凭れ部22であって、遊技者の背中を受ける背凭れ面22aを含む背凭れ部22とを含む。
本実施形態において、少なくとも座部21は、図2に示す如く、遊技機1に対して接離する方向(遊技機1の遊技領域10と直交する方向)にスライド可能である。すなわち、椅子2の座部21は、遊技機1側に位置する第一位置P1と、第一位置P1よりも遊技機1から離れる第二位置P2との間でスライド可能である。また、座部21は、遊技者が着座位置(当該座部21)から離れたときに、第二位置P2から第一位置P1に自動復帰可能に構成される。本実施形態において、背凭れ部22は、座部21に連結されており、座部21とともにスライド可能である。背凭れ部22は、上端部と下端部とを有し、下端部側に回転支点が設定されている。これにより、背凭れ部22は、回転支点を中心に傾動可能である。すなわち、この遊技場Hに設置された椅子2は、リクライニング可能である。
本実施形態に係る遊技媒体借受用媒体の取り忘れ防止システム(以下、単にシステムという)Sは、遊技場Hに上記設備が設置されることを前提としたもので、図1に示す如く、遊技媒体借受用媒体(以下、単に借受用媒体という)を入れる借受用媒体入口部30を有し且つ借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体に記録された価値度数を上限に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置3であって、遊技機1に隣接して配置される遊技媒体貸出装置3と、借受用媒体の取り忘れ防止装置(以下、単に取り忘れ防止装置という)4と、取り忘れ防止装置4に指示に基づき、遊技媒体貸出装置3から借受用媒体を取り忘れている旨を遊技者に向けて報知する少なくとも一つの報知装置5A,5B,5C,5Dとを備える。なお、本実施形態における借受用媒体は、価値度数を記録可能で且つ記録した価値度数を書き換え可能なカードである。
遊技媒体貸出装置3は、遊技機1及び椅子2と同様に、遊技場H(遊技島G)に対して設置されるものであるが、本実施形態においては、システムSの一構成をなす。係る遊技媒体貸出装置3は、遊技機1に対して隣接して配置される。具体的には、遊技媒体貸出装置3は、一台の遊技機1に対して対応して一台配置される。該一台の遊技媒体貸出装置3は、遊技機1に対して横並びで配置される。通常、遊技場Hにおいて、複数台の遊技機1が横並び配置されるため、遊技媒体貸出装置3は、隣り合う遊技機1間に配置される。これに伴い、遊技媒体貸出装置3は、「台間機」或いは「サンド」とも呼ばれる。
遊技媒体貸出装置3は、上述の如く、遊技者の所有する借受用媒体を入れるための借受用媒体入口部30を備える。遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体を受け付け、借受用媒体に登録された価値度数を把握する。これに伴い、遊技媒体貸出装置3は、受け付けた借受用媒体に記録された価値度数内において、遊技媒体を遊技者に貸し出すようになっている。すなわち、遊技媒体貸出装置3は、遊技者の要求に応じて、借受用媒体に記憶された全ての価値度数対応する数量の遊技媒体を貸し出したり、借受用媒体に記憶された価値度数の一部に対応する数量の遊技媒体を貸し出したりする。
これに伴い、遊技媒体貸出装置3は、遊技媒体を貸し出した場合、借受用媒体に対して消費した価値度数(貸し出した遊技媒体の数量に対応した価値度数)を差し引いた価値度数を記録する。従って、遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体に記憶された価値度数の一部に対応する遊技媒体を貸し出した場合、後において遊技媒体の貸出可能な価値度数を残高として記録する。
遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体を排出(返却)する機能を有する。具体的には、遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体を排出させるための排出スイッチ31を有し、遊技者が排出スイッチ31を操作することで、借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体を排出する。
なお、遊技媒体貸出装置3には、借受用媒体入口部30から借受用媒体を排出するものや、借受用媒体入口部30とは別に設けられた排出部から借受用媒体を排出するものがあるが、図1には、借受用媒体入口部30から借受用媒体を排出するタイプのものが図示されている。また、遊技媒体貸出装置3には、遊技媒体を遊技機1に設けられた受け皿等に直接貸し出すものや、遊技媒体を外部に配置した受け皿に排出して貸し出すものがあるが、図1には、遊技媒体を遊技機1に設けられた受け皿等に直接貸し出すタイプのものが図示されている。
本実施形態において、遊技媒体貸出装置3は、取り忘れ防止装置4に対して通信可能に接続されている。これにより、遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられている場合に、借受用媒体を受け付けている旨の借受用媒体受付信号を取り忘れ防止装置4に送信するようになっている。本実施形態に係る遊技媒体貸出装置3は、残高のある借受用媒体が借受用媒体入口部30に入れられている場合に、借受用媒体を受け付けている旨の借受用媒体受付信号を出力する。
本実施形態に係る取り忘れ防止装置4は、遊技機1の周辺領域内に設置される。これに伴い、本実施形態において、取り忘れ防止装置4は、後述する呼出装置6を動作させる手元スイッチ装置7であって、遊技機1の周辺領域のうちの椅子2に着座した遊技者の手の届く範囲に設置される手元スイッチ装置7に組み込まれている。
手元スイッチ装置7は、遊技者が操作するための操作部70と、操作部70が操作されたことを表示する表示部71とを備える。本実施形態において、操作部70は、押しボタンである。本実施形態において、押しボタン70内には、光源(図示しない)が内装されており、押しボタン70が操作されたときに、光源が点灯し押しボタン70全体が発光するようになっている。すなわち、手元スイッチ装置7において、押しボタン70は表示部71を兼用している。
取り忘れ防止装置4は、図4に示す如く、借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられている旨の借受用媒体受付信号を遊技媒体貸出装置3から少なくとも受ける情報入力部40と、遊技機1の周辺領域内に配置される距離センサ41であって、遊技機1の前方に設定される遊技者の着座位置に向く方向に感度を有する距離センサ41(図1乃至図3参照)と、遊技媒体貸出装置3から借受用媒体を取り忘れている旨を遊技者に向けて報知するための報知信号を出力する情報出力部42と、情報入力部40、距離センサ41及び情報出力部42が接続された処理部43とを備える。
情報入力部40は、入力ポートであり、遊技媒体貸出装置3に対して通信可能に接続される。これにより、遊技媒体貸出装置3が借受用媒体を受け付けている状態(借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられている状態)で、情報入力部40は、遊技媒体貸出装置3から借受用媒体を受け付けている(借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられている状態である)旨の借受用媒体受付信号を受ける。
距離センサ41は、着座位置にある物体までの距離を経時的に測定する。本実施形態において、距離センサ41は、赤外線センサである。距離センサ41は、図5に示す如く、遊技機1の周辺から遊技者Pの着座位置に向かう方向において測定方向が設定される。距離センサ41の測定エリアは、距離センサ41の設置位置から前方(測定方向)に向けて拡大している。距離センサ41の測定中心CLは、着座位置にある椅子2の背凭れ部22上を通るように設定される。
距離センサ41は、初期検知(取り忘れ防止装置4の起動後の最初の検知)として、着座位置として遊技機1に付設される椅子2の背凭れ面22aまでの距離を測定する。すなわち、システムSが起動する毎に処理部43が距離センサ41に椅子2の背凭れ部22までの距離を測定させる。
図4に戻り、情報出力部42は、出力ポートであり、報知装置5A,5B,5C,5Dに接続される。本実施形態に係る取り忘れ防止装置4は、情報出力部42を複数有し、複数の情報出力部42は、異なる報知装置5A,5B,5C,5Dに接続される。取り忘れ防止装置4は、報知装置として、情報出力部42に接続された内部報知装置5A,5Bを備える。
本実施形態において、取り忘れ防止装置4は、内部報知装置として、スピーカー5Aと表示部5Bとを備える。スピーカー5Aは、借受用媒体の取り忘れを聴覚的に報知する音を発する。表示部5Bは、借受用媒体の取り忘れを視覚的に報知する光を発する。
本実施形態において、取り忘れ防止装置4が手元スイッチ装置7に組み込まれるに伴い、手元スイッチ装置7の操作部70(表示部71)が内部報知装置である表示部5Bとして兼用されている(図1参照)。すなわち、取り忘れ防止装置4の一つの情報出力部42は、押しボタン70内の光源に接続されている。これにより、情報出力部42が報知信号を出力したときに、操作部70が内部報知装置5Bとして発光する。
図1に戻り、遊技場H(遊技島G)には、一般的に、遊技機1、椅子2、遊技媒体貸出装置3に加え、スタッフを呼び出すための呼出装置6が設置される。これに伴い、本システムSにおいて、呼出装置6を報知装置5C,5Dとして兼用している。
具体的に説明すると、呼出装置6は、スタッフを呼び出すためのスイッチ60と、少なくともスタッフの呼出し状態を報知する表示部61とを備える。また、呼出装置6は、演出用の音楽、音声情報等を出力するスピーカー62や、表示部の表示態様を切り替えるスイッチ63等を備える。
これに伴い、図4に示す如く、取り忘れ防止装置4の情報出力部42は、呼出装置6の表示部61やスピーカー62に通信可能に接続されている。これにより、呼出装置6の表示部61やスピーカー62は、システムSの報知装置5C,5Dに兼用され、情報出力部42が報知信号を出力したときに、呼出装置6の表示部61(報知装置5C)が借受用媒体の取り忘れを報知する画像或いは動画を表示するとともに、呼出装置6のスピーカー62(報知装置5D)が借受用媒体の取り忘れを報知する音を出力する。
また、本実施形態において、取り忘れ防止装置4と一体となった手元スイッチ装置7についても呼出装置6に接続されており、操作部70が操作されたときにおいては、呼出装置6の表示部にスタッフを呼び出すための画像或いは動画を表示させるとともに、呼出装置6のスピーカー62からスタッフを呼び出すための音を出力させる。なお、呼出装置6が装飾用の発光部を備える場合、表示部61に換えて、或いは表示部61に加えて発光部が報知装置として兼用されてもよい。
処理部43は、CPUであり、処理部43は、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ距離センサ41の測定結果が所定時間(例えば、0.5秒〜1.0秒)内で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させる。
具体的には、本実施形態に係る処理部43は、図5に示す如く、距離センサ41による初期検知で得られた当該距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定する。処理部43は、初期値Laに基づく基準値Lbであって、着座位置に存在するであろう遊技者Pの胴体(仮想の遊技者Pの胴体)内の所定位置までの距離を基準値Lbとして設定する。具体的には、処理部43は、初期値Laから所定距離ΔL(例えば、7.0cm〜15.0cmの範囲内にある距離(本実施形態においては7cm))を差し引いた距離を基準値Lbとして設定する。すなわち、処理部43は、距離センサ41から離れた所定位置までの距離であって、背凭れ部22から遊技機1側(前方側)で所定距離ΔL離れた所定位置までの距離を基準値Lbとして設定する。
本実施形態において、椅子2の座部21は、遊技機1側に位置する第一位置P1と、第一位置P1よりも遊技機1から離れる第二位置P2との間でスライド可能で、且つ第二位置P2から第一位置P1に自動復帰可能に構成されるため、基準値Lbを導出するために初期値Laから差し引かれる所定距離ΔLは、第一位置P1にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体(仮想の遊技者Pの胴体)及び第二位置P2にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体(仮想の遊技者Pの胴体)との重複領域内の所定位置であって、背凭れ部22(背凭れ面22a)から第一位置P1にある座部21の上方の所定位置までの距離とされる。
これに伴い、本実施形態に係る処理部43は、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が基準値Lbより短い距離であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させる。
以上のように、取り忘れ防止装置4は、借受用媒体を入れる借受用媒体入口部30を有し且つ借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体に記録された価値度数を上限に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置3であって、遊技機1に隣接して配置される遊技媒体貸出装置3から、借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられている旨の借受用媒体受付信号を少なくとも受ける情報入力部40と、遊技機1の周辺領域内に配置される距離センサ41であって、遊技機1の前方に設定される遊技者Pの着座位置に向く方向に感度を有する距離センサ41と、遊技媒体貸出装置3から借受用媒体を取り忘れている旨を遊技者Pに向けて報知するための報知信号を出力する情報出力部42と、情報入力部40、距離センサ41及び情報出力部42が接続された処理部43とを備え、距離センサ41は、着座位置にある物体までの距離を経時的に測定し、処理部43は、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ距離センサ41の測定結果が所定時間内で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させる。なお、測定結果が一定とは、測定結果に変化がない状態を意味し、測定結果が略一定とは、測定結果に僅かに変化があるが、測定結果に変化がないに等しい状態を意味する。
このようにすることで、本実施形態に係る取り忘れ防止装置4は、借受用媒体入口部30に借受用媒体が入れられた状態で遊技者Pが着座位置から離れる場合、着座位置に荷物や鞄が置かれていたとしても、遊技者Pに対して借受用媒体を取り忘れている旨を報知することができる。具体的に説明すると、着座位置に置かれた荷物や鞄等は静止しているため、図6に示す如く、距離センサ41が荷物や鞄等の物体までの距離を測定している場合、距離センサ41の経時的な測定結果は一定又は略一定となる。これに対し、着座位置に着座する遊技者Pは姿勢や位置を適宜変更するため、距離センサ41が遊技者Pまでの距離を測定している場合、距離センサ41の経時的な測定結果は変動する。
従って、処理部43が、距離センサ41の測定結果が所定時間内で一定又は略一定であり、且つ情報入力部40が遊技媒体貸出装置3から少なくとも借受用媒体を受け付けている旨の借受用媒体受付信号を受けたときに、情報出力部42に報知信号を出力させることで、遊技者Pが着座位置から離れて該着座位置に荷物や鞄等が置かれていたとしても、報知信号に基づく報知により、遊技者Pに対して借受用媒体を取り忘れていることを知らしめることができる。
本実施形態において、距離センサ41は、初期検知として、遊技者Pの臀部を受ける座面21aを含む座部21及び遊技者Pの背中を受ける背凭れ面22aを含む背凭れ部22を有する椅子2であって、着座位置として遊技機に付設される椅子2の背凭れ面22aまでの距離を測定し、処理部43は、距離センサ41の初期検知によって得られた距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が所定時間内で初期値La以下の距離で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させる。
これにより、本実施形態に係る取り忘れ防止装置4は、確実に誤報知を防止することができる。具体的には、距離センサ41の検知結果が初期値La以下の距離である場合、その距離センサ41の検知結果は、椅子2の背凭れ部22(背凭れ面22a)から遊技機1側に存在する物体を対象としたものとなる。
従って、処理部43が、距離センサ41の初期検知によって得られた距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が所定時間内で初期値La以下の距離で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させることで、着座位置にない人や物(特に、椅子の背凭れ部の後方に存在する人や物)を判断対象から除外した上で、着座位置にある遊技者Pや物(荷物や鞄等)を対象にした適正な判断を行い、情報出力部42に報知信号を出力させることができる。これにより、確実に誤報知が防止される。
また、距離センサ41が初期検知を行い、処理部43が距離センサ41の初期検知の検知結果を初期検知後の判断基準となる初期値Laとするため、遊技機1に対応して設置される椅子2の状態(位置や姿勢)が個々に異なっていたり、日常的に変化したりしても、椅子2(着座位置)に存在する物体を対象に報知すべきか否かが適正に判断される。また、取り忘れ防止装置4(システムS)を遊技場に設置するに当たり、取り忘れ防止装置4の設置位置に関係なく、技術者等が煩雑な初期設定(判断の基準となる距離設定等)を行う必要がない。
特に、本実施形態において、処理部43は、初期値Laに基づく基準値Lb(初期値La以下の距離)であって、椅子2の座部21の上方の所定位置までの距離を基準値Lbとして設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が所定時間内で基準値Lb以下の距離で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させるため、周囲環境の影響(例えば、タバコのヤニの付着等)によって距離センサ41の検知感度が低下したり、椅子2の背凭れ部22の状態(位置、姿勢、汚れ具合等)が変化したりしても、初期値Laと基準値Lbとの差分ΔLによって、距離センサ41の検知感度の低下が椅子2の状態の変化等が吸収され、適正な判断乃至報知をすることができる。
また、本実施形態において、椅子2の座部21は、遊技機1側に位置する第一位置P1と、第一位置P1よりも遊技機1から離れる第二位置P2との間でスライド可能に構成され、基準値Lbは、第一位置P1にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体及び第二位置P2にある座部に着座するであろう遊技者Pの胴体との重複領域内の所定位置であって、第一位置P1にある座部21の上方の所定位置までの距離に設定されるため、椅子2の座部21及び背凭れ部22の位置が初期検知後に都度変わっても、着座位置にある遊技者や物(荷物や鞄等)を対象にした適正な判断を行うことができる。
具体的には、遊技者Pが第一位置P1にある座部21に着座する場合と、第二位置P2にある座部21に着座する場合とでは、遊技者Pの胴体の位置が異なる。しかし、基準値Lbが第一位置P1にある座部21に着座するである遊技者Pの胴体及び第二位置P2にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体との重複領域内にある所定位置までの距離にすることで、第一位置P1にある座部21に着座する遊技者P及び第二位置P2にある座部21に着座する遊技者Pの何れについても把握することができる。従って、椅子2の座部21及び背凭れ部22の位置が初期検知後に都度変わっても、着座位置にある遊技者Pや物(荷物や鞄等)を対象にした適正な判断を行うことができる。
本実施形態に係る取り忘れ防止装置4は、情報出力部42に接続された内部報知装置5A.5Bを備えているため、該内部報知装置5A,5Bにより、報知信号に基づく報知をすることができる。
本実施形態に係るシステムSは、借受用媒体を入れる借受用媒体入口部30を有し且つ借受用媒体入口部30に入れられた借受用媒体に記録された価値度数を上限に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置3であって、遊技機1に隣接して配置される遊技媒体貸出装置3と、上記構成の取り忘れ防止装置4と、取り忘れ防止装置4の指示に基づき、遊技媒体貸出装置3から借受用媒体を取り忘れている旨を遊技者Pに向けて報知する少なくとも一つの報知装置5A,5B,5C,5Dとを含み、取り忘れ防止装置4の情報入力部40が遊技媒体貸出装置3に接続されるとともに、取り忘れ防止装置4の情報出力部42が報知装置5A,5B,5C,5Dに接続されている。
本実施形態に係るシステムSによれば、上記構成の取り忘れ防止装置4を備えているため、上記構成取り忘れ防止装置4によって得られる上記の作用及び効果を奏する。
また、本実施形態に係るシステムSは、遊技者Pがスタッフを呼ぶために遊技機に対応づけて設置される呼出装置6であって、表示部61及びスピーカー62を有する呼出装置6を更に含み、呼出装置6の有する表示部61及びスピーカー62が報知装置5C,5Dに兼用されているため、借受用媒体の取り忘れの報知の効果が高くなる。すなわち、呼出装置6の表示部61及びスピーカー62の出力は、遊技機1の周囲に対して注意喚起することに優れているため、表示部61及びスピーカー62が報知装置5C,5Dに兼用されることで、借受用媒体の取り忘れの報知の効果が高くなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、取り忘れ防止装置4がシステムSの一構成とされるとともに手元スイッチ装置7に組み込まれたが、これに限定されない。例えば、取り忘れ防止装置4そのものが独立した装置であってもよい。このように取り忘れ防止装置4が独立した装置で提供されたとしても、取り忘れ防止装置4が情報入力部40及び情報出力部42を有しているため、情報入力部40に別途設置された遊技媒体貸出装置3に電気的に接続されることで、遊技媒体貸出装置3が借受用媒体を受け付けている旨の借受用媒体受付信号を受けることができ、情報出力部42に報知装置5A,5B,5C,5Dに接続されることで、報知装置5A,5B,5C,5Dに借受用媒体を取り忘れている旨の報知信号を出力して遊技者Pに報知することができる。
上記実施形態において、取り忘れ防止装置4そのものが内部報知装置5A,5Bを備えたが、これに限定されない。例えば、取り忘れ防止装置4は、内部報知装置5A,5Bを備えることなく、外部の報知装置5C,5Dに接続される情報出力部42のみを備えていてもよい。
上記実施形態において、距離センサ41が赤外線センサで構成されたが、これに限定されない。例えば、距離センサ41は、超音波センサであってもよい。
上記実施形態において、呼出装置6の有する表示部61及びスピーカー62が報知装置5C,5Dに兼用されたが、これに限定されない。例えば、システムSが遊技演出用の表示部及びスピーカーの少なくとも何れか一方を有する遊技機1を含み、遊技機1の遊技演出用の表示部及びスピーカーの少なくとも何れか一方が報知装置5C,5Dに兼用されていてもよい。また、呼出装置6の有する表示部61及びスピーカー62の少なくとも何れか一方とともに、遊技機1が遊技演出用の表示部及びスピーカーの少なくとも何れか一方が、報知装置5C,5Dに兼用されていてもよい。また、取り忘れ防止装置4の情報出力部42に接続される外部の報知装置5C,5Dは、呼出装置6(表示部61及びスピーカー62)や、遊技機1(表示部及びスピーカー)を兼用させたものに限定されない。例えば、外部の報知装置5C,5Dは、呼出装置6や遊技機1から独立した表示装置や音響装置(スピーカー)であってもよい。
上記実施形態において、距離センサ41が、初期検知において、着座位置として遊技機1に付設される椅子2の背凭れ面22aまでの距離を測定し、処理部43は、初期検知によって得られた距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定した上で、初期値Laに基づく基準値Lbであって、着座位置に存在するであろう遊技者Pの胴体内に位置する所定位置までの距離を基準値Lbとして設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が基準値Lb以下の距離であるときに、着座位置に物体が存在するとし、その物体までの経時的な測定結果が一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させるようにしたが、これに限定されない。
例えば、距離センサ41が、初期検知において、着座位置として遊技機1に付設される椅子2の背凭れ面22aまでの距離を測定し、処理部43は、初期検知によって得られた距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が初期値La以下の距離であるときに、着座位置に物体が存在すると判断し、その物体までの経時的な測定結果が一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させるようにしてもよい。
上記実施形態において、距離センサ41が、初期検知として、椅子2の背凭れ面22aまでの距離を測定し、処理部43が、距離センサ41の初期検知によって得られた距離センサ41から背凭れ面22aまでの距離を初期値Laに設定したが、これに限定されない。例えば、取り忘れ防止装置4の起動時において、距離センサ41が初期検知を行うことなく、処理部43が距離センサ41から遊技者Pの着座位置における最も遠い位置(着座する遊技者Pの背中が存在すると想定される位置)までの距離を初期値Laに設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ距離センサ41の測定結果が所定時間内で初期値La以下の距離で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させるようにしてもよい。なお、この場合において、距離センサ41から着座位置における最も遠い位置(着座する遊技者Pの背中が存在すると想定される位置(例えば、椅子2の背凭れ面22a)までの距離は、距離センサ41やメジャー等によって予め測定した測定結果や、図面等のデータを基に予め算出した算出結果を用いればよい。
このようにしても、誤報知が防止される。具体的には、距離センサ41の検知結果が初期値La以下の距離である場合、その距離センサ41の検知結果は、着座位置から遊技機1側に存在する物体を対象としたものとなる。
従って、処理部43が、着座位置における最も遠い位置までの距離を初期値Laに設定し、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ初期検知後の距離センサ41の測定結果が所定時間内で初期値La以下の距離で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させることで、着座位置にない人や物(例えば、椅子2の背凭れ部22の後方に存在する人や物)を判断対象から除外した上で、着座位置にある遊技者Pや物(荷物や鞄等)を対象にした適正な判断を行い、情報出力部42に報知信号を出力させることができる。これにより、確実に誤報知が防止される。この場合においても、処理部43は、初期値Laから所定距離(周囲の環境の変化による検知誤差を吸収できる距離)ΔLを差し引いた基準値Lbを基準に後の判断を行っても勿論よい。
また、処理部43は、初期値La及び基準値Lbを設定することなく、情報入力部40が借受用媒体受付信号を受け且つ距離センサ41の測定結果が所定時間内で一定又は略一定であるときに、情報出力部42に報知信号を出力させるようにしてもよい。但し、周囲環境や、その環境の影響による距離センサ41の経時的な検知感度の低下、椅子2の状態の変化等を考慮すれば、上記実施形態と同様に、処理部43は、初期値Laを設定したり、初期値Laに基づく基準値Lbを設定し、これらに基づいて物体の存在を判断することが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、椅子2の座部21が第一位置P1と第二位置P2との間でスライド可能に構成されることを前提に、基準値Lbが、第一位置P1にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体及び第二位置P2にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体との重複領域内の所定位置であって、第一位置P1にある座部21の上方の所定位置までの距離に設定されたが、これに限定されない。例えば、椅子2の座部21が定位置に固定されている場合(スライド不能である場合)、基準値Lbは、定位置にある座部21に着座するであろう遊技者Pの胴体内の所定位置であって、該座部21の上方の所定位置までの距離に設定されてもよい。
上記実施形態において、手元スイッチ装置7に取り忘れ防止装置4が組み込まれるに伴い、取り忘れ防止装置4が遊技機1の周辺領域における遊技者Pの手の届く範囲(高さ)に配置されたが、これに限定されない。例えば、取り忘れ防止装置4が独立した装置とされたり、遊技中の遊技者Pが操作を行わない装置に組み込まれたりする場合、取り忘れ防止装置4は、遊技機1の周辺領域のうちの高所領域に設置されてもよい。すなわち、取り忘れ防止装置4は、距離センサ41が着座位置に向けて感度を有し、距離センサ41が着座位置にある物体までの距離を経時的に測定できれば、適宜位置に設置してもよい。
上記実施形態において、借受用媒体がカードであったが、これに限定されない。借受用媒体は、価値度数を記憶し且つ価値度数を書き換え可能であれば、例えば、コインのようなものであってもよい。
上記実施形態において、遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体を借受用媒体入口部30から排出(返却)するようにしたが、これに限定されない。すなわち、遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体入口部30を借受用媒体の排出部に兼用されたが、これに限定されない。遊技媒体貸出装置3は、借受用媒体入口部30と借受用媒体を排出させる排出部とを別個独立に備えていてもよい。