しかしながら、並列に接続された蓄電モジュールの1つを、個別に交換しようとすると、新たな蓄電モジュールを蓄電システムに取り付ける前に、新たに追加する蓄電モジュールの電圧と、残りの他の蓄電モジュールの電圧とを高い精度で一致させる必要があった。
本発明の第1の態様においては、制御装置が提供される。上記の制御装置は、他の電力供給装置と並列接続可能に構成された蓄電装置の蓄電部と、蓄電装置及び他の電力供給装置を電気的に接続する配線との間に流れる電流を制御する制御装置であってよい。上記の制御装置は、例えば、(i)配線及び蓄電部の間に配されるスイッチング素子の端子間電圧が予め定められた条件を満足する場合に、スイッチング素子が配線及び蓄電部を電気的に接続し、(ii)スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合に、スイッチング素子が配線及び蓄電部を電気的に切断するように、スイッチング素子を制御する制御部を備える。
上記の制御装置において、制御部は、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する判定部を有してよい。上記の制御装置において制御部は、(i)判定部が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であると判定した場合に、スイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する、又は、(ii)判定部が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内でないと判定した場合に、スイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する信号生成部を有してよい。
上記の制御装置において、信号生成部は、判定部が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成してよい。上記の制御装置は、スイッチング素子をさらに備えてよい。上記の制御装置において、スイッチング素子は、並列に接続された電界効果トランジスタ及びリレー回路を有してよい。
上記の制御装置において、制御部は、蓄電装置の端子間電圧が他の電力供給装置の端子間電圧よりも小さいことを示す第1信号を受信する第1信号受信部を有してよい。上記の制御装置において、信号生成部は、第1信号受信部が第1信号を受信した場合に、スイッチング素子をオン動作させるための信号を生成してよい。上記の制御装置において、制御部は、蓄電装置の端子間電圧が他の電力供給装置の端子間電圧よりも大きいことを示す第2信号を受信する第2信号受信部を有してよい。上記の制御装置において、信号生成部は、第2信号受信部が第2信号を受信した場合に、スイッチング素子をオン動作させるための信号を生成してよい。
上記の制御装置において、制御部は、蓄電装置の端子間電圧が予め定められた範囲外であることを示す第3信号を受信する第3信号受信部を有してよい。上記の制御装置において、信号生成部は、第3信号受信部が第3信号を受信した場合に、スイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成してよい。上記の制御装置において、蓄電部は、直列に接続された複数の蓄電セルを有してよい。上記の制御装置は、複数の蓄電セルの電圧を均等化するバランス補正部をさらに備えてよい。
上記の制御装置において、他の電力供給装置は、蓄電装置とは異なる他の蓄電装置を含んでもよい。上記の制御装置において、蓄電部の劣化状態と、他の蓄電装置の蓄電部の劣化状態とが異なってもよい。上記の制御装置において、蓄電部の種類と、他の蓄電装置の蓄電部の種類とが異なってもよい。
上記の制御装置は、蓄電部の電池特性に関する情報を取得する電池特性取得部を備えてもよい。上記の制御装置は、電池特性取得部が取得した、蓄電部の電池特性に関する情報を、制御装置の外部の機器に出力する出力部を備えてもよい。
本発明の第5の態様においては、プログラムが提供される。上記のプログラムは、コンピュータを、上記の制御装置として機能させるためのプログラムであってよい。上記のプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供されてもよい。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
図1は、蓄電システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。一実施形態において、蓄電システム100は、負荷装置12に電気的に接続され、負荷装置12に電力を供給する(蓄電システム100の放電と称する場合がある)。他の実施形態において、蓄電システム100は、充電装置14に電気的に接続され、電気エネルギーを蓄積する(蓄電システムの充電と称する場合がある)。蓄電システム100は、例えば、蓄電装置、電気機器、輸送装置などに利用される。輸送機器としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどを例示することができる。
本実施形態において、蓄電システム100は、接続端子102と、接続端子104と、接続端子102及び接続端子104を電気的に接続する配線106と、正極端子112及び負極端子114を有する蓄電モジュール110と、正極端子122及び負極端子124を有する蓄電モジュール120と、システム制御部140とを備える。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、並列接続可能に構成された蓄電装置の一例であってよい。例えば、蓄電モジュール110は蓄電装置の一例であってよく、蓄電モジュール120は他の蓄電装置の一例であってよい。蓄電装置は、電力供給装置の一例であってよい。システム制御部140は、電池特性取得部の一例であってよい。システム制御部140は、出力部の一例であってよい。
蓄電システム100は、接続端子102及び接続端子104を介して、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続される。本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、配線106を用いて並列に接続される。また、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持される。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれを、個別に交換することができる。
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との接続関係を切り替えることができる。例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号、又は、ユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させたり、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106から電気的に切断したりすることができる。
これにより、蓄電システム100に新たに実装する蓄電モジュールの電圧と、蓄電システム100に既に実装されている蓄電モジュールの電圧とが異なる場合であっても、蓄電モジュールの破損又は劣化を心配することなく、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのそれぞれを、個別に交換することができる。その理由は、例えば、下記のとおりである。
近年のリチウムイオン電池の性能の向上により、リチウムイオン電池のインピーダンスが10mΩ程度にまで小さくなっている。そのため、例えば、2つの蓄電モジュールの電圧差が0.4Vしかない場合であっても、当該2つの蓄電モジュールを並列に接続すると、電圧の大きな蓄電モジュールから電圧の小さな蓄電モジュールに向かって、40Aもの大電流が流れる。その結果、蓄電モジュールが劣化したり、破損したりする。なお、蓄電モジュールの電圧は、蓄電モジュールの正極端子及び負極端子の間の電圧(蓄電モジュールの端子間電圧と称する場合がある。)であってよい。
蓄電モジュールの交換作業に伴う蓄電モジュールの劣化又は破損を防止することを目的として、並列に接続された複数の蓄電モジュールの1つを個別に交換する場合、蓄電モジュールの交換作業を実施する前に、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差が極めて小さくなるまで、時間をかけて両者の電圧を調整することが考えられる。新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差を極めて小さくすることで、蓄電モジュールの交換時に各蓄電モジュールに大きな電流が流れることを防止することができる。その結果、蓄電モジュールの劣化又は破損を抑制することができる。しかしながら、リチウムイオン電池のインピーダンスが小さくなるにつれて、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差の許容値も小さくなり、電圧差の調整に要する時間が非常に長くなる可能性がある。
これに対して、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれが、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との間の接続関係を切り替えることができる。そして、例えば、以下の手順により、蓄電モジュール110を交換することができる。
まず、ユーザは、古い蓄電モジュール110を、蓄電システム100から取り外す。次に、ユーザは、新しい蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する。例えば、ユーザは、蓄電モジュール110の正極端子112と蓄電部との間に配されたスイッチング素子を手動で操作して、正極端子112と蓄電部とを電気的に切断する。
その後、ユーザは、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断された状態の蓄電モジュール110を、蓄電システム100に実装する。このとき、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断されているので、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の間の電圧差が比較的大きくても、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の間に電流は流れない。その後、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧差が適切な値になると、システム制御部140が、蓄電モジュール110と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。なお、システム制御部140の詳細については後述する。
以上のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュールを交換又は実装する場合に、新たに蓄電システム100に実装される蓄電モジュールの電圧と、既に蓄電システム100に実装されている蓄電モジュールの電圧とを厳密に調整する必要がない。そのため、蓄電モジュールを容易かつ迅速に交換したり、実装したりすることができる。
システム制御部140は、蓄電システム100の各部を制御する。一実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の状態を決定する。蓄電システム100の状態としては、充電状態、放電状態、スタンバイ状態又は停止状態などを例示することができる。
例えば、システム制御部140は、充放電イベントに関する情報を受信して、充放電イベントに関する情報に基づいて、蓄電システム100の状態を決定する。充放電イベントに関する情報としては、(i)負荷装置12、充電装置14などの外部機器からの充電要求又は放電要求、(ii)外部機器が接続されたことを示す情報、(iii)外部機器の種類を示す情報、(iv)外部機器の動作を示す情報、(v)外部機器の状態を示す情報、(vi)外部機器に対するユーザの指示又は操作を示す情報、(vii)蓄電システム100に対するユーザの指示又は操作を示す情報、及び、(viii)これらの組み合わせなどを例示することができる。
例えば、システム制御部140は、負荷装置12の接続を検出した場合、又は、負荷装置12の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断する。システム制御部140は、負荷装置12から、電力を使用することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断してもよい。電力を使用することを示す信号としては、負荷装置12の電源をONにすることを示す信号、負荷装置12の電源がONになったことを示す信号、負荷装置12を運転モードに移行させることを示す信号、負荷装置12が運転モードに移行したことを示す信号などを例示することができる。
システム制御部140は、充電装置14の接続を検出した場合、又は、充電装置14の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してよい。システム制御部140は、充電装置14から、充電を開始することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。システム制御部140は、負荷装置12から、回生電流が発生していること又は回生電流が発生する可能性があることを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。
他の実施形態において、システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの状態を監視する。システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集してよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の電圧値、蓄電部を流れる電流値、蓄電部の電池容量、蓄電部の温度、蓄電部の劣化状態、及び、蓄電部のSOC(State Of Charge)から選択される少なくとも1つであってよい。
蓄電部の電池特性(蓄電モジュールの電池特性と称する場合がある。蓄電部の電池特性は、蓄電モジュールを構成する複数の単電池のうちの単一の単電池の電池特性であってもよく、当該複数の単電池の組み合わせの電池特性であってもよい。)に関する情報は、蓄電部の仕様に関する情報、蓄電部の劣化状態に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。蓄電部の仕様に関する情報としては、蓄電部の種類又は型式、蓄電部の接続状態、蓄電部を充電することができる充電方式の種類、蓄電部を充電することができない充電方式の種類、定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)、定格電圧、定格電流、エネルギー密度、最大充放電電流、充電特性、充電温度特性、放電特性、放電温度特性、自己放電特性、充放電サイクル特性、初期状態における等価直列抵抗、初期状態における電池容量、初期状態におけるSOC[%]、蓄電電圧[V]などに関する情報を例示することができる。充電方式としては、CCCV方式、CC方式、トリクル充電方式などを例示することができる。
蓄電部の接続状態としては、蓄電部を構成する単位セルの種類、当該単位セルの数、当該単位セルの接続形式などを例示することができる。単位セルの接続形式としては、直列に接続された単位セルの数、並列に接続された単位セルの数などを例示することができる。エネルギー密度は、体積エネルギー密度[Wh/m3]であってもよく、重量エネルギー密度[Wh/kg]であってもよい。
蓄電部の劣化状態に関する情報としては、任意の時点における蓄電部の情報であって、(i)満充電状態における電池容量、(ii)予め定められた温度条件におけるSOC、(iii)SOH(State Of Health)、(iv)等価直列抵抗(DCR、内部抵抗と称される場合もある。)、(v)初期状態又は予め定められたタイミングから積算された使用時間、充電回数、充電量、放電量、充放電サイクル数、温度ストレス要素及び過電流ストレス要素の少なくとも1つなどに関する情報を例示することができる。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の劣化状態に関する情報と、当該情報が取得された時刻に関する情報とを対応付けて格納してもよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、複数の時刻における、蓄電部の劣化状態に関する情報を格納してよい。
SOH[%]は、例えば、劣化時の満充電容量(例えば、現在の満充電容量である。)[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。SOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、蓄電部のSOHは、当該蓄電部の直流抵抗値及び開放電圧値の少なくとも一方に基づいて、算定又は推定される。SOHは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
蓄電部の劣化状態の判定方法は、特に制限されるものでなく、現在知られている、又は、将来開発された判定方法を利用することができる。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量は減少し、等価直列抵抗は増加する。そのため、例えば、現在の電池容量、SOC又は等価直列抵抗と、初期状態の電池容量、SOC又は等価直列抵抗とを比較することで、電池の劣化状態を判定することができる。
SOC[%]は、例えば、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。SOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、SOCは、例えば、(i)蓄電部の電圧の測定結果、(ii)蓄電部の電圧のI−V特性データ及び(iii)蓄電部の電流値の積算値の少なくとも1つに基づいて、算出又は推定される。SOCは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
蓄電部の電池特性に関する情報は、当該蓄電部の充電時間及び放電時間の少なくとも一方に関する情報であってもよい。蓄電部の充電時間及び放電時間は、それぞれ、当該蓄電部を含む蓄電モジュールの充電時間及び放電時間であってもよい。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量が減少し、充電時間及び放電時間の少なくとも一方が短くなる。
蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間に対する、当該蓄電部の充電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間を示す情報と、当該蓄電部の充電時間を示す情報とを含んでよい。上記の充電時間は、(i)1回の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間の総和であってもよい。
蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の充電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数を示す情報と、当該期間における当該蓄電部の充電回数を示す情報とを含んでよい。
蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間に対する、当該蓄電部の放電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間と、当該蓄電部の放電時間とを含んでもよい。上記の放電時間は、(i)1回の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間の総和であってもよい。
蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の放電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数と、当該期間における当該蓄電部の放電回数とを含んでもよい。
システム制御部140は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール120に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を、外部の機器に送信してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。出力装置としては、ディスプレイなどの表示装置、又は、マイクなどの音声出力装置を例示することができる。出力装置は、出力部の一例であってよい。
システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性に関する情報に基づいて、当該蓄電モジュールの性能を判定してよい。システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた判定条件を満足しない場合に、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。システム制御部140は、蓄電システム100の用途に基づいて、判定条件を決定してもよい。
本実施形態においては、システム制御部140が、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール120に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を収集し、収集された情報を外部の機器に送信する場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれが、各蓄電モジュールに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集して、収集された情報を外部の機器に送信してもよい。
本実施形態において、システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定する。例えば、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が充電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の小さな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。一方、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が放電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の大きな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。なお、システム制御部140は、各蓄電モジュールの端子間電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定してもよい。
一実施形態において、システム制御部140は、蓄電部を配線106に接続させるための信号を、決定された順番に従って各蓄電モジュールに送信してよい。他の実施形態において、システム制御部140は、電圧若しくはSOCが最も小さな蓄電モジュール、又は、電圧若しくはSOCが最も大きな蓄電モジュールを選択して、選択された蓄電モジュールに対してのみ、蓄電部を配線106に接続させるための信号を送信してもよい。
システム制御部140は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、システム制御部140は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、システム制御部140の各部を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るシステム制御部140の一部として機能させるプログラムは、システム制御部140の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、システム制御部140の各部としてそれぞれ機能させる。
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
なお、「電気的に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。特定の要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、特定の要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、特定の要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正部とが電気的に接続されたときに、特定の要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直列に電気的に接続されることを示し、「並列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが並列に電気的に接続されることを示す。
本実施形態において、蓄電システム100が、並列に接続された2つの蓄電モジュールを備える場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム100は、並列に接続された3以上の蓄電モジュールを有してもよい。
本実施形態において、蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、ユーザが、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する場合について説明した。しかしながら、蓄電モジュール110の実装方法又は交換方法は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ユーザは、例えば、蓄電システム100の入力部(図示していない。)を操作して、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を入力する。入力部としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイク、音声認識システム、ジェスチャ入力システムなどを例示することができる。
システム制御部140は、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を受け付けると、蓄電モジュール110と並列に接続された蓄電モジュール(本実施形態の場合、蓄電モジュール120である。)の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する。このとき、システム制御部140は、蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施してもよい。例えば、システム制御部140は、各蓄電モジュールの正極端子と蓄電部との間に配されたスイッチング素子をオフ動作させるための信号を、当該スイッチング素子に送信する。
システム制御部140は、古い蓄電モジュール110が取り出され、新しい蓄電モジュール110が実装されたことを検出すると、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧を取得する。新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、例えば、蓄電モジュール110と蓄電モジュール120との電圧差が適切な値になるまで、蓄電モジュール110のみを利用して、蓄電システム100を運用する。そして、蓄電モジュール110と蓄電モジュール120との電圧差が適切な値になると、システム制御部140は、蓄電モジュール120と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。
一方、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されていない場合、システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定する。その後、システム制御部140は、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる。なお、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、まず、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断してもよい。その後、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定し、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させてもよい。
[蓄電システム100の応用例]
上述のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続された蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方を、両蓄電モジュール間の電圧差を気にすることなく、任意のタイミングで、実装したり、交換したりすることができる。ここで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧差は、両蓄電モジュールの充電状態又は放電状態の違いだけでなく、両蓄電モジュールの電池特性の違いによっても生じ得る。蓄電モジュールの電池特性は、上述の蓄電部の電池特性と同様であってもよい。蓄電モジュールの電池特性は、蓄電部の電池特性として例示された特性の少なくとも1つであってもよい。
そのため、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュール110の電池特性と、蓄電モジュール120の電池特性とが異なる場合であっても、蓄電モジュール110又は蓄電モジュール120の劣化又は破損を防止しながら、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続することができる。なお、本実施形態に係る蓄電システム100において、蓄電モジュール110の電池特性と、蓄電モジュール120の電池特性とは、同一であってもよく、異なってもよい。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120が二次電池を含む場合、蓄電モジュール110の蓄電部を構成する二次電池の電池特性と、蓄電モジュール120の蓄電部を構成する二次電池の電池特性とは、同一であってもよく、異なってもよい。
また、蓄電システム100と同様の構成により、互いに電池特性の異なる複数の電力供給モジュールを並列に接続可能な電力供給システムを構築してもよい。これにより、各電力供給モジュールの劣化又は破損を抑制しながら、任意のタイミングで、各電力供給モジュールを実装したり、交換したりすることができる。蓄電システム100と同様の構成を採用することは、電力供給システムが、2つの端子により、外部の充電装置又は負荷装置と電気的に接続されるシステムである場合に、特に有用である。
電力供給モジュールは、他の機器に電力を供給する電力供給装置の一例であってよい。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、電力供給モジュールの一例であってよい。蓄電システム100は、複数の電力供給装置が並列接続可能に構成された電力供給システムの一例であってよい。蓄電部及び二次電池は、電力供給装置の電力供給源となる電力供給部の一例であってよい。
電力供給装置の電池特性は、(i)電力供給部の劣化状態、(ii)電力供給部の種類、(iii)容量及びSOCのバランス状態などの要因により変動する。一実施形態によれば、互いに劣化状態の異なる複数の電力供給装置を並列に接続可能な電力供給システムが提供される。上記の電力供給システムの詳細については後述するが、当該実施形態によれば、例えば、電力供給モジュールの二次利用品(中古品、再利用品などと称される場合もある。)を利用して、電力供給システムを構築することができる。
他の実施形態によれば、互いに種類の異なる複数の電力供給装置を並列に接続可能な電力供給システムが提供される。これにより、単一の種類の電力供給装置を組み合わせて電力供給システムを構築した場合と比較して、寿命、信頼性、充電性能、放電性能、エネルギー効率、温度特性、及び、経済性の少なくとも1つに優れた電力供給システムを構築することができる。上記の電力供給システムの詳細については後述する。
本実施形態に係る蓄電システム100においては、蓄電システム100を構成する複数の電力供給モジュールが、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120である場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100を構成する複数の電力供給モジュールは、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、一次電池を含んでもよく、燃料電池を含んでもよい。他の実施形態において、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、一次電池又は燃料電池を含み、且つ、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、二次電池を含んでもよい。蓄電部、一次電池及び燃料電池は、電力供給部の一例であってよい。
これらの場合において、一次電池又は燃料電池を含む電力供給モジュールは、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120と同様の構成により、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106との間の接続関係を切り替えてよい。例えば、電力供給モジュールは、システム制御部140から、放電動作が検出されたことを示す信号を受信した場合に、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106とを電気的に接続する。一方、電力供給モジュールは、システム制御部140から、充電動作が検出されたことを示す信号を受信した場合に、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106との間の電気的な接続関係を切断する。これにより、一次電池又は燃料電池の破損又は劣化を防止することができる。
[蓄電システム100の第1の応用例]
一実施形態において、蓄電システム100は、複数の電力供給装置を備える。複数の電力供給装置は、電力供給部の劣化状態が互いに異なる2つの電力供給装置を含んでよい。複数の電力供給装置は、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続されてよい。蓄電システム100は、2つの端子により、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続されてよい。複数の電力供給装置の少なくとも1つは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持されてよい。これにより、各電力供給装置を、個別に交換することができる。蓄電システム100は、少なくとも1つの蓄電モジュールを備えてよい。
劣化状態の異なる電力供給装置としては、使用履歴の異なる電力供給装置を例示することができる。例えば、蓄電システム100は、新品の電力供給装置と、二次利用品の電力供給装置とを有する。蓄電システム100は、使用履歴の異なる複数の二次利用品を有してもよい。
近年、(i)電気自動車、PHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle)などの動力源、(ii)再生可能エネルギーの出力安定化装置、(iii)スマートグリッド用の蓄電装置、(iv)電力料金が安い時間帯に電力を蓄電するための蓄電装置、(v)充電ステーションのように、一時的に大きな電流を必要とする用途向けの蓄電装置などの用途において、蓄電池の需要が急速に高まっている。また、更新時期を迎えた蓄電池の数も増加している。
ここで、蓄電池に要求される性能は、用途によって異なる。そのため、特定の用途に利用されている蓄電池が劣化して、当該用途における要求性能を満たさなくなった場合であっても、当該蓄電池を他の用途に転用することで、当該蓄電池を再利用することができる場合がある。また、蓄電池の性能が向上した結果、蓄電池を組み込んだ製品の寿命よりも、当該蓄電池の寿命の方が長くなる場合もある。このような場合にも、蓄電池を破棄するのではなく、再利用することが望ましい。
蓄電池を再利用する場合、蓄電池ごとに劣化状態が異なる。そのため、従来は、蓄電池を再利用する前に、当該蓄電池の電池特性が検査されていた。また、検査結果に基づいて、電池特性が特定の条件を満足する蓄電池同士を組み合わせることにより、電力供給システムが構築されていた。しかしながら、電池特性を検査するためには、蓄電池を満充電させた後、当該蓄電池を放電させる必要があり、手間と時間とを要する。
これに対して、本実施形態よれば、互いに劣化状態の異なる複数の電力供給装置が並列に接続された蓄電システム100を容易に構築することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、各電力供給装置を個別に実装したり、取り外したりすることもできる。さらに、再利用される電力供給装置を蓄電システム100に組み込む前に、当該電力供給装置の検査の少なくとも一部を省略することができる。
本実施形態によれば、各電力供給装置は、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各電力供給装置の電力供給部と配線106との接続関係を切り替えることができる。これにより、再利用される電力供給装置の電池特性を事前に検査していない場合であっても、蓄電システム100を安全に運用することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、当該電力供給装置の電池特性を調べることができる。そして、電力供給装置の電池特性が不十分である場合には、当該電力供給装置を容易に交換することができる。
[蓄電システム100の第2の応用例]
他の実施形態において、蓄電システム100は、複数の電力供給装置を備える。複数の電力供給措置は、電力供給部の種類が互いに異なる2つの電力供給装置を含んでよい。複数の電力供給装置は、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続されてよい。蓄電システム100は、2つの端子により、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続されてよい。複数の電力供給装置の少なくとも1つは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持されてよい。これにより、各電力供給装置を、個別に交換することができる。蓄電システム100は、少なくとも1つの蓄電モジュールを備えてよい。
電力供給部の種類としては、一次電池、二次電池、燃料電池などを例示することができる。二次電池の種類としては、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、レドックスフロー電池、金属空気電池などを例示することができる。リチウムイオン電池の種類は、特に限定されない。リチウムイオン電池の種類としては、リン酸鉄系、マンガン系、コバルト系、ニッケル系、三元系などを例示することができる。
2つの電力供給装置の間で、各電力供給装置に含まれる電力供給部の種類が異なる場合、当該2つの電力供給装置の定格電圧の差が予め定められた値を超える場合がある。また、2つの電力供給装置の充電特性及び放電特性の少なくとも一方の差が、予め定められた条件を満足しない場合がある。従来は、特定の条件に合致する電力供給装置を見つけて、それらを組み合わせることにより、電力供給システムが構築されていた。そのため、そもそも、このような2つの電力供給装置を並列に接続しようという発想が存在しなかった。
これに対して、本実施形態よれば、互いに種類の異なる複数の電力供給装置が並列に接続された蓄電システム100を容易に構築することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、各電力供給装置を個別に実装したり、取り外したりすることもできる。さらに、電力供給装置に含まれる電力供給部の種類によっては、蓄電システム100の充電動作時に、当該電力供給部と、負荷装置12又は充電装置14との電気的な接続関係を切断することができる。
本実施形態によれば、各電力供給装置は、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各電力供給装置の電力供給部と配線106との接続関係を切り替えることができる。これにより、蓄電システム100に含まれる2つの電力供給装置の定格電圧の差が予め定められた値を超える場合、又は、当該2つの電力供給装置の充電特性及び放電特性の少なくとも一方の差が、予め定められた条件を満足しない場合であっても、蓄電システム100を安全に運用することができる。
また、本実施形態によれば、単一の種類の電力供給装置を組み合わせて電力供給システムを構築した場合と比較して、寿命、信頼性、充電性能、放電性能、エネルギー効率、温度特性、及び、経済性の少なくとも1つに優れた電力供給システムを構築することができる。例えば、(i)比較的広い温度範囲で動作するものの、充放電のエネルギー効率が比較的低い鉛電池を含む電力供給モジュールと、(ii)充放電のエネルギー効率が高いものの、低温領域及び高温領域での動作に課題を有するリチウムイオン電池を含む電力供給モジュールとを組み合わせることで、広い温度範囲で動作しつつ、エネルギー効率の高い電力供給システムを構築することができる。
図2は、蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール110は、正極端子212及び負極端子214を有する蓄電部210と、切替部230と、モジュール制御部240と、保護部250と、バランス補正部260とを備える。また、本実施形態において、蓄電部210は、蓄電セル222と、蓄電セル224とを備える。切替部230は、スイッチング素子の一例であってよい。モジュール制御部240は、制御部の一例であってよい。モジュール制御部240は、制御装置の一例であってよい。モジュール制御部240は、電池特性取得部の一例であってよい。モジュール制御部240は、出力部の一例であってよい。
蓄電部210のインピーダンスは、100mΩ以下であってよい。蓄電部210のインピーダンスは、10mΩ以下であってもよく、1mΩ以下であってもよく、0.8mΩ以下であってもよく、0.5mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上であってよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上100mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上10mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上1mΩ以下であってもよい。
本実施形態に係る蓄電システム100によれば、例えば、並列に接続された複数の蓄電モジュールのうちの1つを交換する場合に、蓄電システムに新たに追加する蓄電モジュールの電圧と、残りの他の蓄電モジュールの電圧とを高い精度で一致させなくてもよい。そのため、蓄電部210のインピーダンスが小さい場合であっても、蓄電モジュール110を容易かつ迅速に交換することができる。
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は直列に接続される。蓄電セル222及び蓄電セル224は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、リチウムイオン電池であってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、当該蓄電セルの内部に、さらに直列、並列又はマトリクス状に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
本実施形態において、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子112及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の負極端子214は、蓄電モジュール110の負極端子114を介して、配線106と電気的に接続される。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の負極端子114及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の正極端子212は、蓄電モジュール110の正極端子112を介して、配線106と電気的に接続される。
切替部230は、配線106及び蓄電部210の間に配される。本実施形態において、切替部230は、モジュール制御部240が生成した信号に基づいて、配線106及び蓄電部210の接続状態を切り替える。これにより、蓄電部210を配線106に電気的に接続させたり、蓄電部210を配線106から電気的に切断したりすることができる。蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する場合、蓄電モジュール110は、切替部230により、蓄電部210と配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100に装着されてよい。これにより、蓄電モジュール110の破損又は劣化を防止することができる。
切替部230は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、1以上の素子を有してよい。切替部230は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、正極端子112及び正極端子212の間、又は、負極端子114及び負極端子214の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
モジュール制御部240は、蓄電モジュール110の蓄電部210と、配線106との間に流れる電流を制御する。本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230の端子間電圧(本実施形態においては、正極端子112及び正極端子212の間の電圧である。)が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に接続することで、蓄電部210及び配線106を電気的に接続してよい。
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合には、切替部230が蓄電部210及び配線106又は正極端子112を電気的に切断するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に切断することで、蓄電部210及び配線106を電気的に切断してよい。
予め定められた条件は、切替部230の端子間電圧の絶対値が、予め定められた範囲内であるという条件であってよい。予め定められた範囲は、1V以下であってもよく、0.1V以下であってもよく、10mV以下であってもよく、1mV以下であってもよい。また、予め定められた範囲は、1mV以上1V以下であってもよく、1mV以上0.1V以下であってもよく、1mV以上10mV以下であってもよく、10mV以上1V以下であってもよく、10mV以上0.1V以下であってもよく、0.1V以上1V以下であってもよい。なお、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の間の電圧であってもよく、配線106及び蓄電部210の間の電圧であってもよい。
予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスに基づいて、設定されてもよい。予め定められた範囲は、蓄電部210の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスと、蓄電部210の定格電流又は許容電流とに基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110のインピーダンスと、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。
これにより、蓄電モジュールを交換する場合に、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になるまで、配線106と、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部210とが電気的に切断された状態を維持することができる。そして、既に実装されていた蓄電モジュールの充電又は放電により、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になると、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部が配線106に電気的に接続される。このように、本実施形態によれば、新たに実装された蓄電モジュールと、他の蓄電モジュールとを、自動的に接続することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも小さいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく充電することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも大きいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく放電することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、保護部250から、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、当該信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に切断するように、切替部230を制御する。これにより、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は損傷を抑制することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザから、切替部230をオン動作又はオフ動作させる旨の指示を受け取る。モジュール制御部240は、ユーザの指示を受け取ると、当該指示に従って、切替部230を制御する。
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してよい。モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に出力してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。
モジュール制御部240は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、モジュール制御部240は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、モジュール制御部240は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、モジュール制御部240を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るモジュール制御部240の一部として機能させるプログラムは、モジュール制御部240の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、モジュール制御部240の各部としてそれぞれ機能させる。
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、非一時なコンピュータ可読媒体であってよい。
保護部250は、蓄電部210を保護する。本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を過充電及び過放電から保護する。保護部250は、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを検出すると、その旨を示す信号をモジュール制御部240に送信する。保護部250は、蓄電部210の端子間電圧に関する情報をシステム制御部140に送信してよい。保護部250は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。保護部250は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
バランス補正部260は、複数の蓄電セルの電圧を均等化する。バランス補正部260の動作原理は特に限定されるものではなく、任意のパランス補正装置を利用することができる。蓄電部210が3以上の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を有してよい。例えば、蓄電部210がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n−1個のバランス補正部260を有する。
バランス補正部260は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。バランス補正部260は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、バランス補正部260は、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006−067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012−210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。他の実施形態において、バランス補正部260は、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
本実施形態において、蓄電部210が直列に接続された2つの蓄電セルを有する場合について説明した。しかしながら、蓄電部210は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された3以上の蓄電セルを有してもよい。また、蓄電部210は、並列に接続された複数の蓄電セルを有してもよく、マトリクス状に接続された複数のセルを有してもよい。
図3は、モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部310と、受信部320と、信号生成部330とを備える。モジュール制御部240は、モジュール情報取得部340と、モジュール情報格納部350と、モジュール情報送信部360とを備えてもよい。受信部320は、第1信号受信部、第2信号受信部及び第3信号受信部の一例であってよい。モジュール情報取得部340は、電池特性取得部の一例であってよい。モジュール情報送信部360は、出力部の一例であってよい。
本実施形態においては、モジュール制御部240が、モジュール情報取得部340、モジュール情報格納部350及びモジュール情報送信部360を備える場合について説明する。しかしながら、蓄電システム100は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、システム制御部140が、モジュール情報取得部340、モジュール情報格納部350及びモジュール情報送信部360の少なくとも1つを備えてもよい。
判定部310は、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。判定部310は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。判定部310は、任意の比較器又は比較回路であってもよい。判定部310は、ウインドコンパレータであってもよい。
受信部320は、システム制御部140からの信号、保護部250からの信号、及び、ユーザからの指示の少なくとも1つを受け取る。受信部320は、受け取った情報に対応する信号を信号生成部330に送信する。
信号生成部330は、判定部310及び受信部320の少なくとも一方から信号を受け取る。信号生成部330は、受け取った情報に基づいて、切替部230を制御するための信号を生成する。信号生成部330は、生成された信号を切替部230に送信する。
一実施形態において、信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であると判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。他の実施形態において、信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内でないと判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。
信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成又は送信してよい。これにより、ノイズなどによる誤作動を防止することができる。また、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着された直後に、蓄電部210及び配線106が電気的に接続されることを防止することができる。
本実施形態において、信号生成部330は、受信部320が受信した信号に基づいて、切替部230のスイッチング素子を制御するための信号を生成する。一実施形態において、受信部320が、システム制御部140から、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。
他の実施形態において、受信部320が、保護部250から、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。さらに他の実施形態において、受信部320が、ユーザの指示を受け付けた場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をユーザの指示どおりに動作させるための信号を生成する。
本実施形態において、モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得する。モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性を測定することにより、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。モジュール情報取得部340は、出荷時、検査時又は販売時に、製造者、販売者などにより入力された、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。
モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、モジュール情報格納部350に格納してよい。モジュール情報取得部340の具体的な構成は特に限定されるものではないが、モジュール情報取得部340は、モジュール情報格納部350におけるデータの読み込み及び書き込みを制御するコントローラであってもよい。本実施形態において、モジュール情報格納部350は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を格納する。
本実施形態において、モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140に送信する。モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に送信してもよい。モジュール情報送信部360は、外部の機器からの要求に応じて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよく、予め定められたタイミングにおいて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよい。モジュール情報送信部360は、モジュール情報格納部350を参照して、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140又は外部の機器に送信してもよい。
図4は、システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、システム制御部140は、状態管理部410と、モジュール選択部420と、信号生成部430とを備える。状態管理部410は、電池特性取得部の一例であってよい。状態管理部410は、出力部の一例であってもよい。
本実施形態において、状態管理部410は、蓄電システム100の状態を管理する。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の状態を管理してよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの状態を監視してよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を監視して、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの電池特性に関する情報を取得してもよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を監視して得られた情報を、外部の機器に送信してもよい。
状態管理部410は、蓄電システム100を運用しながら、各蓄電モジュールの電池特性を測定してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた条件を満足しない場合、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を、ユーザに情報を出力する出力装置に出力してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの識別情報と、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。
これにより、ユーザは、性能が不十分である蓄電モジュールを容易に判別し、当該蓄電モジュールを交換することができる。本実施形態によれば、例えば、蓄電モジュールの再利用品を利用して蓄電システム100を構築する場合において、再利用される蓄電モジュールの検査の少なくとも一部を省略することができる。
一実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部420は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120端子間電圧を比較して、端子間電圧が小さな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部430に送信する。
他の実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も大きい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部420は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120端子間電圧を比較して、端子間電圧が大きな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部430に送信する。
本実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。信号生成部430は、生成された信号をモジュール制御部240に送信する。他の実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成してもよい。
図5は、蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。なお、説明を簡単にする目的で、図5において、保護部250及び保護部250に関連する配線については図示していない。
本実施形態において、切替部230は、トランジスタ510と、抵抗512と、抵抗514と、ダイオード516と、トランジスタ520と、抵抗522と、抵抗524と、ダイオード526とを備える。トランジスタ510及びトランジスタ520は、スイッチング素子の一例であってよい。本実施形態においては、切替部230のスイッチング素子として、トランジスタ510及びトランジスタ520を用いる場合について説明する。しかしながら、切替部230のスイッチング素子は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、切替部230のスイッチング素子として、単一のスイッチング素子が用いられてもよい。
本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部310と、信号生成部330と、スイッチ592及びスイッチ594とを備える。本実施形態において、判定部310は、トランジスタ530と、抵抗532と、トランジスタ540と、抵抗542と、抵抗552と、抵抗554とを備える。信号生成部330は、トランジスタ560と、キャパシタ570と、抵抗572と、トランジスタ580とを備える。スイッチ592及びスイッチ594は、受信部320の一例であってよい。
以下、切替部230及びモジュール制御部240の各部の詳細について説明する。本実施形態の切替部230において、トランジスタ510はMOSFETであり、トランジスタ510がオフの場合であっても、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子212から正極端子112に向かって電流が流れ得る。同様に、トランジスタ520はMOSFETであり、トランジスタ520がオフの場合であっても、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子112から正極端子212に向かって電流が流れ得る。
本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、初期設定ではオフに設定される。蓄電システム100の充電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗512、抵抗514及びトランジスタ580を介して、正極端子112から負極端子114に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ510のゲートに電圧が印加され、トランジスタ510がオン動作する。これにより、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子112から正極端子212に向かって電流を流すことができる。
一方、蓄電システム100の放電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗522、抵抗524及びトランジスタ580を介して、正極端子212から負極端子214に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ520のゲートに電圧が印加され、トランジスタ520及びがオン動作する。これにより、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子212から正極端子112に向かって電流を流すことができる。
トランジスタ580がオン動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号の一例であってよい。同様に、トランジスタ580がオフ動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号の一例であってよい。
本実施形態において、抵抗512及び抵抗514の値は、トランジスタ510を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。また、抵抗522及び抵抗524の値は、トランジスタ520を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード516が配される。ダイオード516は、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード516を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗522、抵抗524、抵抗514及び抵抗512のルートを通って、正極端子212から正極端子112に電流が漏れることを防止することができる。
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード526が配される。ダイオード526は、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード526を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗512、抵抗514、抵抗524及び抵抗522のルートを通って、正極端子112から正極端子212に電流が漏れることを防止することができる。
本実施形態のモジュール制御部240において、判定部310のトランジスタ530及びトランジスタ540は、初期設定ではオフに設定される。また、信号生成部330のトランジスタ560及びトランジスタ580は、初期設定ではオフに設定される。
本実施形態によれば、抵抗532の値は、切替部230の端子間電圧が、正極端子112側をプラスとした予め定められた第1の値よりも小さい場合に、トランジスタ530がオン動作するように設定される。抵抗532の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。また、抵抗542の値は、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合に、トランジスタ540がオン動作するように設定される。抵抗542の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。なお、本実施形態によれば、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の電圧差に等しい。
切替部230の端子間電圧が予め定められた第1の値よりも小さい場合、トランジスタ530がオン動作して、蓄電部210から、正極端子212、トランジスタ530及び抵抗552を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。トランジスタ580のベースには正極端子112からの電圧が印加されるものの、トランジスタ560がオン動作をしている間、トランジスタ580のオン動作が妨げられる。その結果、トランジスタ580はオフになる。
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合、トランジスタ540がオン動作して、正極端子112から、トランジスタ540及び抵抗554を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。その結果、トランジスタ580がオフになる。
本実施形態において、抵抗552の値は、トランジスタ530がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。抵抗554の値は、トランジスタ540がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。
キャパシタ570の容量は、トランジスタ580のベースに正極端子112からの電圧が印加されて、トランジスタ580がオン動作する前に、トランジスタ560がオン動作するように設定される。これにより、信号生成部330は、判定部310が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成することができる。
これに対して、切替部230の端子間電圧が、第1の値及び第2の値により定められる範囲内である場合、トランジスタ530及びトランジスタ540はオフのままであり、トランジスタ560もオフのままである。そのため、正極端子112から、抵抗572を介して、トランジスタ580のベースに電圧が印加され、トランジスタ580がオン動作する。
スイッチ592及びスイッチ594は、手動スイッチであってもよく、リレー、サイリスタ、トランジスタなどのスイッチング素子であってもよい。スイッチ592には、切替部230をオン動作させることを示す信号52が入力されてよい。スイッチ594には、切替部230をオフ動作させることを示す信号54が入力されてよい。
スイッチ592がオン動作すると、トランジスタ580のオン/オフに関わらず、切替部230をオン動作させることができる。スイッチ594がオン動作すると、トランジスタ560のオン/オフに関わらず、トランジスタ580をオフ動作させることができる。その結果、切替部230をオフ動作させることができる。
図6は、切替部630のシステム構成の一例を概略的に示す。切替部630は、トランジスタ510及びトランジスタ520と並列に接続されるリレー632を有する点で、図5に関連して説明された切替部230と相違する。その他の点については、切替部230と同様の構成を有してよい。本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、半導体トランジスタであってよい。トランジスタ510及びトランジスタ520は、電界効果トランジスタ(FET)であってよい。
リレー回路は、当該回路がオンになっているときの抵抗が小さいという優れた特性を有するものの、応答速度が比較的遅い。そのため、例えば、負荷装置が、モーターなどのパルス性の電流パターンを有する装置であり、短時間で電圧が大きく変動する場合には、信号生成部330からの信号に追従してオン動作することが難しい。一方、半導体トランジスタは、リレー回路と比較して消費電力は大きいものの、応答性に優れる。本実施形態の切替部630によれば、半導体トランジスタを用いたトランジスタ510又はトランジスタ520と、リレー回路を用いたリレー632とが並列に接続される。
そのため、切替部230が、信号生成部330から切替部230をオン動作させるための信号を受信した場合に、まずは、トランジスタ510又はトランジスタ520が素早く応答して、切替部230をオン動作させる。その後、少し遅れて、リレー632がオン動作する。そして、リレー632がオンになると、抵抗の小さなリレー632が、トランジスタ510及びトランジスタ520に並列に接続されるので、合成抵抗が小さくなり、損失を低減することができる。
図7及び図8を用いて、蓄電モジュール710について説明する。図7は、蓄電モジュール710のシステム構成の一例を概略的に示す。図8は、切替部730のシステム構成の一例を概略的に示す。図8においては、トランジスタ510及びトランジスタ520の動作に関する理解を助ける目的で、トランジスタ510の寄生ダイオード842、及び、トランジスタ520の寄生ダイオード844を図示している。
蓄電モジュール710は、切替部230の代わりに切替部730を有する点と、保護部250からの信号が、モジュール制御部240ではなく切替部730に送信される点とにおいて、図2に関連して説明された蓄電モジュール110と相違する。その他の点については、蓄電モジュール110と同様の構成を有してよい。
本実施形態において、切替部730は、モジュール制御部240から、切替部730をオン動作又はオフ動作させるための信号を受信する。また、切替部730は、保護部250から、オフ動作させるための信号を受信する。
本実施形態によれば、論理回路852に、切替部730のスイッチング素子をオン動作させるための信号82が入力されており、蓄電部210が過充電状態にあることを示す信号88が入力されていない場合に、トランジスタ510がオンになる。また、論理回路854に、切替部730のスイッチング素子をオン動作させるための信号82が入力されており、蓄電部210が過放電状態にあることを示す信号86が入力されていない場合に、トランジスタ520がオンになる。
図9は、蓄電システム900のシステム構成の一例を概略的に示す。蓄電システム900は、マトリクス状に接続された複数の蓄電モジュール110を備える点で、蓄電システム100と相違する。その他の点については、蓄電システム100と同様の構成を有してもよい。本実施形態においては、並列に接続された3つの蓄電モジュール110及びダイオード902からなる第1のブロックと、並列に接続された3つの蓄電モジュール110及びダイオード904からなる第2のブロックとが直列に接続されている。
本実施形態によれば、蓄電システム900の放電時には、特定のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110の全てが放電完了状態に到達するまで放電を続けた後、当該ブロックからの放電が停止する。本実施形態によれば、上記のブロックからの放電が停止した場合であっても、ダイオード902により電流をバイパスさせることができる。これにより、蓄電システム900による電力の供給を継続することができる。そのため、蓄電システム900が電力を放電している間に、出力電圧が段階的に低下する。
同様に、蓄電システム900の充電時には、特定のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、充電完了状態に到達した蓄電モジュール110から、順次、蓄電システム900との接続が切り離される。そして、最終的には、全ての蓄電モジュール110の充電が完了する。
本実施形態によれば、ダイオード902及びダイオード904が、接続端子104から接続端子102に向かう方向(放電方向と称する場合がある。)に電流を流すように設置されている。そのため、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の切替部230がオフになっても、電流を維持することができる。一方、一旦、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の切替部230がオフになると、その後の充電が困難になる。
そこで、本実施形態によれば、蓄電システム900を充電する場合、システム制御部140は、まず、各ブロックの端子間電圧を検出して、端子間電圧が0であるブロックの有無を調べる。端子間電圧が0であるブロックが発見された場合、システム制御部140は、当該ブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうちの1つに対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信する。システム制御部140は、上記のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュール110に対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信してよい。その後、システム制御部140は、蓄電システム900の充電を開始する。
本実施形態においては、ダイオード902及びダイオード904が放電方向に電流を流すように設置されている場合について説明した。しかしながら、蓄電システム900は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ダイオード902及びダイオード904は、ゼナーダイオードであってよい。これにより、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の充電が完了して、当該ブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110が蓄電システム900から切り離された場合であっても、蓄電システム900において、上記の特定のブロックと直列に接続されている他のブロックの充電を継続することができる。
この場合、蓄電システム900を放電する場合、システム制御部140は、放電を開始する前に、各グループの端子間電圧を検出して、端子間電圧が0であるグループの有無を調べてよい。その後、端子間電圧が0であるブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうちの1つに対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載などから明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。