以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
図1は、蓄電システム100のシステム構成の一例を概略的に示す。一実施形態において、蓄電システム100は、負荷装置12に電気的に接続され、負荷装置12に電力を供給する(蓄電システム100の放電と称する場合がある)。他の実施形態において、蓄電システム100は、充電装置14に電気的に接続され、電気エネルギーを蓄積する(蓄電システムの充電と称する場合がある)。蓄電システム100は、例えば、蓄電装置、電気機器、輸送装置などに利用される。輸送装置としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどを例示することができる。
本実施形態において、蓄電システム100は、接続端子102と、接続端子104と、接続端子102及び接続端子104を電気的に接続する配線106と、正極端子112及び負極端子114を有する蓄電モジュール110と、正極端子122及び負極端子124を有する蓄電モジュール120と、システム制御部140とを備える。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、並列接続可能に構成された蓄電装置の一例であってよい。例えば、蓄電モジュール110は蓄電装置の一例であってよく、蓄電モジュール120は他の蓄電装置の一例であってよい。蓄電装置は、電力供給装置の一例であってよい。システム制御部140は、電池特性取得部の一例であってよい。システム制御部140は、出力部の一例であってよい。
蓄電システム100は、接続端子102及び接続端子104を介して、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続される。本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、配線106を用いて並列に接続される。また、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持される。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれを、個別に交換することができる。
本実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との接続関係を切り替えることができる。例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、システム制御部140からの制御信号、又は、ユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させたり、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106から電気的に切断したりすることができる。
これにより、蓄電システム100に新たに実装する蓄電モジュールの電圧と、蓄電システム100に既に実装されている蓄電モジュールの電圧とが異なる場合であっても、蓄電モジュールの破損又は劣化を心配することなく、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのそれぞれを、個別に交換することができる。その理由は、例えば、下記のとおりである。
近年のリチウムイオン電池の性能の向上により、リチウムイオン電池のインピーダンスが10mΩ程度にまで小さくなっている。そのため、例えば、2つの蓄電モジュールの電圧差が0.4Vしかない場合であっても、当該2つの蓄電モジュールを並列に接続すると、電圧の大きな蓄電モジュールから電圧の小さな蓄電モジュールに向かって、40Aもの大電流が流れる。その結果、蓄電モジュールが劣化したり、破損したりする。なお、蓄電モジュールの電圧は、蓄電モジュールの正極端子及び負極端子の間の電圧(蓄電モジュールの端子間電圧と称する場合がある。)であってよい。
蓄電モジュールの交換作業に伴う蓄電モジュールの劣化又は破損を防止することを目的として、並列に接続された複数の蓄電モジュールの1つを個別に交換する場合、蓄電モジュールの交換作業を実施する前に、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差が極めて小さくなるまで、時間をかけて両者の電圧を調整することが考えられる。新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差を極めて小さくすることで、蓄電モジュールの交換時に各蓄電モジュールに大きな電流が流れることを防止することができる。その結果、蓄電モジュールの劣化又は破損を抑制することができる。しかしながら、リチウムイオン電池のインピーダンスが小さくなるにつれて、新たに実装する蓄電モジュールと、既に実装されている蓄電モジュールとの電圧差の許容値も小さくなり、電圧差の調整に要する時間が非常に長くなる可能性がある。
これに対して、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれが、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部と配線106との間の接続関係を切り替えることができる。そして、例えば、以下の手順により、蓄電モジュール110を交換することができる。
まず、ユーザは、古い蓄電モジュール110を、蓄電システム100から取り外す。次に、ユーザは、新しい蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施する。例えば、ユーザは、蓄電モジュール110の正極端子112と蓄電部との間に配されたスイッチング素子を手動で操作して、正極端子112と蓄電部とを電気的に切断する。
その後、ユーザは、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断された状態の蓄電モジュール110を、蓄電システム100に実装する。このとき、正極端子112と蓄電部とが電気的に切断されているので、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の間の電圧差が比較的大きくても、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の間に電流は流れない。その後、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧差が適切な値になると、システム制御部140が、蓄電モジュール110と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。なお、システム制御部140の詳細については後述する。
以上のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュールを交換又は実装する場合に、新たに蓄電システム100に実装される蓄電モジュールの電圧と、既に蓄電システム100に実装されている蓄電モジュールの電圧とを厳密に調整する必要がない。そのため、蓄電モジュールを容易かつ迅速に交換したり、実装したりすることができる。
システム制御部140は、蓄電システム100の各部を制御する。一実施形態において、システム制御部140は、蓄電システム100の状態を決定する。蓄電システム100の状態としては、充電状態、放電状態、スタンバイ状態又は停止状態などを例示することができる。
例えば、システム制御部140は、充放電イベントに関する情報を受信して、充放電イベントに関する情報に基づいて、蓄電システム100の状態を決定する。充放電イベントに関する情報としては、(i)負荷装置12、充電装置14などの外部機器からの充電要求又は放電要求、(ii)外部機器が接続されたことを示す情報、(iii)外部機器の種類を示す情報、(iv)外部機器の動作を示す情報、(v)外部機器の状態を示す情報、(vi)外部機器に対するユーザの指示又は操作を示す情報、(vii)蓄電システム100に対するユーザの指示又は操作を示す情報、及び、(viii)これらの組み合わせなどを例示することができる。
例えば、システム制御部140は、負荷装置12の接続を検出した場合、又は、負荷装置12の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断する。システム制御部140は、負荷装置12から、電力を使用することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が放電状態にあると判断してもよい。電力を使用することを示す信号としては、負荷装置12の電源をONにすることを示す信号、負荷装置12の電源がONになったことを示す信号、負荷装置12を運転モードに移行させることを示す信号、負荷装置12が運転モードに移行したことを示す信号などを例示することができる。
システム制御部140は、充電装置14の接続を検出した場合、又は、充電装置14の種類を示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してよい。システム制御部140は、充電装置14から、充電を開始することを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。システム制御部140は、負荷装置12から、回生電流が発生していること又は回生電流が発生する可能性があることを示す信号を受信した場合に、蓄電システム100が充電状態にあると判断してもよい。
他の実施形態において、システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの状態を監視する。システム制御部140は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集してよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の電圧値、蓄電部を流れる電流値、蓄電部の電池容量、蓄電部の温度、蓄電部の劣化状態、及び、蓄電部のSOC(State Of Charge)から選択される少なくとも1つであってよい。
蓄電部の電池特性(蓄電モジュールの電池特性と称する場合がある。蓄電部の電池特性は、蓄電モジュールを構成する複数の単電池のうちの単一の単電池の電池特性であってもよく、当該複数の単電池の組み合わせの電池特性であってもよい。)に関する情報は、蓄電部の仕様に関する情報、蓄電部の劣化状態に関する情報の少なくとも一方を含んでもよい。蓄電部の仕様に関する情報としては、蓄電部の種類又は型式、蓄電部の接続状態、蓄電部を充電することができる充電方式の種類、蓄電部を充電することができない充電方式の種類、定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)、定格電圧、定格電流、エネルギー密度、最大充放電電流、充電特性、充電温度特性、放電特性、放電温度特性、自己放電特性、充放電サイクル特性、初期状態における等価直列抵抗、初期状態における電池容量、初期状態におけるSOC[%]、蓄電電圧[V]などに関する情報を例示することができる。充電方式としては、CCCV方式、CC方式、トリクル充電方式などを例示することができる。
蓄電部の接続状態としては、蓄電部を構成する単位セルの種類、当該単位セルの数、当該単位セルの接続形式などを例示することができる。単位セルの接続形式としては、直列に接続された単位セルの数、並列に接続された単位セルの数などを例示することができる。エネルギー密度は、体積エネルギー密度[Wh/m3]であってもよく、重量エネルギー密度[Wh/kg]であってもよい。
蓄電部の劣化状態に関する情報としては、任意の時点における蓄電部の情報であって、(i)満充電状態における電池容量、(ii)予め定められた温度条件におけるSOC、(iii)SOH(State Of Health)、(iv)等価直列抵抗(DCR、内部抵抗と称される場合もある。)、(v)初期状態又は予め定められたタイミングから積算された使用時間、充電回数、充電量、放電量、充放電サイクル数、温度ストレス要素及び過電流ストレス要素の少なくとも1つなどに関する情報を例示することができる。蓄電部の電池特性に関する情報は、蓄電部の劣化状態に関する情報と、当該情報が取得された時刻に関する情報とを対応付けて格納してもよい。蓄電部の電池特性に関する情報は、複数の時刻における、蓄電部の劣化状態に関する情報を格納してよい。
SOH[%]は、例えば、劣化時の満充電容量(例えば、現在の満充電容量である。)[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。SOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、蓄電部のSOHは、当該蓄電部の直流抵抗値及び開放電圧値の少なくとも一方に基づいて、算定又は推定される。SOHは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
蓄電部の劣化状態の判定方法は、特に制限されるものでなく、現在知られている、又は、将来開発された判定方法を利用することができる。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量は減少し、等価直列抵抗は増加する。そのため、例えば、現在の電池容量、SOC又は等価直列抵抗と、初期状態の電池容量、SOC又は等価直列抵抗とを比較することで、電池の劣化状態を判定することができる。
SOC[%]は、例えば、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。SOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、SOCは、例えば、(i)蓄電部の電圧の測定結果、(ii)蓄電部の電圧のI-V特性データ及び(iii)蓄電部の電流値の積算値の少なくとも1つに基づいて、算出又は推定される。SOCは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
蓄電部の電池特性に関する情報は、当該蓄電部の充電時間及び放電時間の少なくとも一方に関する情報であってもよい。蓄電部の充電時間及び放電時間は、それぞれ、当該蓄電部を含む蓄電モジュールの充電時間及び放電時間であってもよい。一般的に、蓄電部の劣化が進行するにつれて、利用可能な電池容量が減少し、充電時間及び放電時間の少なくとも一方が短くなる。
蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間に対する、当該蓄電部の充電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、蓄電システム100の充電時間を示す情報と、当該蓄電部の充電時間を示す情報とを含んでよい。上記の充電時間は、(i)1回の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の充電動作において、蓄電システム100又は蓄電部に電流又は電圧が印加された時間の総和であってもよい。
蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の充電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の充電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の充電回数を示す情報と、当該期間における当該蓄電部の充電回数を示す情報とを含んでよい。
蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間に対する、当該蓄電部の放電時間の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、蓄電システム100の放電時間と、当該蓄電部の放電時間とを含んでもよい。上記の放電時間は、(i)1回の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間であってもよく、(ii)予め定められた期間における1又は複数の放電動作において、蓄電システム100又は蓄電部が電流又は電圧を供給した時間の総和であってもよい。
蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数に対する、当該期間における当該蓄電部の放電回数の割合を示す情報を含んでよい。蓄電部の放電時間に関する情報は、予め定められた期間における蓄電システム100の放電回数と、当該期間における当該蓄電部の放電回数とを含んでもよい。
システム制御部140は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール120に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を、外部の機器に送信してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。出力装置としては、ディスプレイなどの表示装置、又は、マイクなどの音声出力装置を例示することができる。出力装置は、出力部の一例であってよい。
システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性に関する情報に基づいて、当該蓄電モジュールの性能を判定してよい。システム制御部140は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた判定条件を満足しない場合に、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。システム制御部140は、蓄電システム100の用途に基づいて、判定条件を決定してもよい。
本実施形態においては、システム制御部140が、蓄電モジュール110に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報、及び、蓄電モジュール120に含まれる蓄電部の電池特性に関する情報の少なくとも一方を収集し、収集された情報を外部の機器に送信する場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれが、各蓄電モジュールに含まれる蓄電部の電池特性に関する情報を収集して、収集された情報を外部の機器に送信してもよい。
本実施形態において、システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定する。例えば、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が充電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の小さな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。一方、蓄電システム100の動作を開始する場合において、蓄電システム100の状態が放電状態から始まる場合、システム制御部140は、電圧の大きな蓄電モジュールの蓄電部から、配線106に電気的に接続させる。なお、システム制御部140は、各蓄電モジュールの端子間電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定してもよい。
一実施形態において、システム制御部140は、蓄電部を配線106に接続させるための信号を、決定された順番に従って各蓄電モジュールに送信してよい。他の実施形態において、システム制御部140は、電圧若しくはSOCが最も小さな蓄電モジュール、又は、電圧若しくはSOCが最も大きな蓄電モジュールを選択して、選択された蓄電モジュールに対してのみ、蓄電部を配線106に接続させるための信号を送信してもよい。
システム制御部140は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、システム制御部140は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、システム制御部140は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、システム制御部140の各部を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るシステム制御部140の一部として機能させるプログラムは、システム制御部140の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、システム制御部140の各部としてそれぞれ機能させる。
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
なお、「電気的に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。特定の要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、特定の要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、特定の要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正部とが電気的に接続されたときに、特定の要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直列に電気的に接続されることを示し、「並列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが並列に電気的に接続されることを示す。
本実施形態において、蓄電システム100が、並列に接続された2つの蓄電モジュールを備える場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム100は、並列に接続された3以上の蓄電モジュールを有してもよい。
本実施形態において、蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する前に、ユーザが、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に接続するための操作を実施する場合について説明した。しかしながら、蓄電モジュール110の実装方法又は交換方法は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ユーザは、例えば、蓄電システム100の入力部(図示していない。)を操作して、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を入力する。入力部としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイク、音声認識システム、ジェスチャ入力システムなどを例示することができる。
システム制御部140は、蓄電モジュール110の交換作業を開始するための指示を受け付けると、蓄電モジュール110と並列に接続された蓄電モジュール(本実施形態の場合、蓄電モジュール120である。)の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施してもよい。このとき、システム制御部140は、蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断するための操作を実施してもよい。例えば、システム制御部140は、各蓄電モジュールの正極端子と蓄電部との間に配されたスイッチング素子をオフ動作させるための信号を、当該スイッチング素子に送信する。
システム制御部140は、古い蓄電モジュール110が取り出され、新しい蓄電モジュール110が実装されたことを検出すると、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧を取得する。新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、例えば、蓄電モジュール110と蓄電モジュール120との電圧差が適切な値になるまで、蓄電モジュール110のみを利用して、蓄電システム100を運用する。そして、蓄電モジュール110と蓄電モジュール120との電圧差が適切な値になると、システム制御部140は、蓄電モジュール120と配線106とを電気的に接続するための操作を実行する。
一方、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されていない場合、システム制御部140は、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定する。その後、システム制御部140は、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる。なお、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とが電気的に接続されている場合、システム制御部140は、まず、新しい蓄電モジュール110の蓄電部と配線106とを電気的に切断してもよい。その後、各蓄電モジュールの蓄電部の電圧に基づいて、各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させる順番を決定し、決定された順番に従って各蓄電モジュールの蓄電部を配線106に電気的に接続させてもよい。
[蓄電システム100の応用例]
上述のとおり、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続された蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方を、両蓄電モジュール間の電圧差を気にすることなく、任意のタイミングで、実装したり、交換したりすることができる。ここで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧差は、両蓄電モジュールの充電状態又は放電状態の違いだけでなく、両蓄電モジュールの電池特性の違いによっても生じ得る。蓄電モジュールの電池特性は、上述の蓄電部の電池特性と同様であってもよい。蓄電モジュールの電池特性は、蓄電部の電池特性として例示された特性の少なくとも1つであってもよい。
そのため、本実施形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電モジュール110の電池特性と、蓄電モジュール120の電池特性とが異なる場合であっても、蓄電モジュール110又は蓄電モジュール120の劣化又は破損を防止しながら、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続することができる。なお、本実施形態に係る蓄電システム100において、蓄電モジュール110の電池特性と、蓄電モジュール120の電池特性とは、同一であってもよく、異なってもよい。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120が二次電池を含む場合、蓄電モジュール110の蓄電部を構成する二次電池の電池特性と、蓄電モジュール120の蓄電部を構成する二次電池の電池特性とは、同一であってもよく、異なってもよい。
また、蓄電システム100と同様の構成により、互いに電池特性の異なる複数の電力供給モジュールを並列に接続可能な電力供給システムを構築してもよい。これにより、各電力供給モジュールの劣化又は破損を抑制しながら、任意のタイミングで、各電力供給モジュールを実装したり、交換したりすることができる。蓄電システム100と同様の構成を採用することは、電力供給システムが、2つの端子により、外部の充電装置又は負荷装置と電気的に接続されるシステムである場合に、特に有用である。
電力供給モジュールは、他の機器に電力を供給する電力供給装置の一例であってよい。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120は、電力供給モジュールの一例であってよい。蓄電システム100は、複数の電力供給装置が並列接続可能に構成された電力供給システムの一例であってよい。蓄電部及び二次電池は、電力供給装置の電力供給源となる電力供給部の一例であってよい。
電力供給装置の電池特性は、(i)電力供給部の劣化状態、(ii)電力供給部の種類、(iii)容量及びSOCのバランス状態などの要因により変動する。一実施形態によれば、互いに劣化状態の異なる複数の電力供給装置を並列に接続可能な電力供給システムが提供される。上記の電力供給システムの詳細については後述するが、当該実施形態によれば、例えば、電力供給モジュールの二次利用品(中古品、再利用品などと称される場合もある。)を利用して、電力供給システムを構築することができる。
他の実施形態によれば、互いに種類の異なる複数の電力供給装置を並列に接続可能な電力供給システムが提供される。これにより、単一の種類の電力供給装置を組み合わせて電力供給システムを構築した場合と比較して、寿命、信頼性、充電性能、放電性能、エネルギー効率、温度特性、及び、経済性の少なくとも1つに優れた電力供給システムを構築することができる。上記の電力供給システムの詳細については後述する。
本実施形態に係る蓄電システム100においては、蓄電システム100を構成する複数の電力供給モジュールが、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120である場合について説明した。しかしながら、蓄電システム100を構成する複数の電力供給モジュールは、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、一次電池を含んでもよく、燃料電池を含んでもよい。他の実施形態において、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、一次電池又は燃料電池を含み、且つ、複数の電力供給モジュールの少なくとも1つが、二次電池を含んでもよい。蓄電部、一次電池及び燃料電池は、電力供給部の一例であってよい。
これらの場合において、一次電池又は燃料電池を含む電力供給モジュールは、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120と同様の構成により、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106との間の接続関係を切り替えてよい。例えば、電力供給モジュールは、システム制御部140から、放電動作が検出されたことを示す信号を受信した場合に、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106とを電気的に接続する。一方、電力供給モジュールは、システム制御部140から、充電動作が検出されたことを示す信号を受信した場合に、当該電力供給モジュールの一次電池又は燃料電池と、配線106との間の電気的な接続関係を切断する。これにより、一次電池又は燃料電池の破損又は劣化を防止することができる。
[蓄電システム100の第1の応用例]
一実施形態において、蓄電システム100は、複数の電力供給装置を備える。複数の電力供給装置は、電力供給部の劣化状態が互いに異なる2つの電力供給装置を含んでよい。複数の電力供給装置は、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続されてよい。蓄電システム100は、2つの端子により、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続されてよい。複数の電力供給装置の少なくとも1つは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持されてよい。これにより、各電力供給装置を、個別に交換することができる。蓄電システム100は、少なくとも1つの蓄電モジュールを備えてよい。
劣化状態の異なる電力供給装置としては、使用履歴の異なる電力供給装置を例示することができる。例えば、蓄電システム100は、新品の電力供給装置と、二次利用品の電力供給装置とを有する。蓄電システム100は、使用履歴の異なる複数の二次利用品を有してもよい。
近年、(i)電気自動車、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)などの動力源、(ii)再生可能エネルギーの出力安定化装置、(iii)スマートグリッド用の蓄電装置、(iv)電力料金が安い時間帯に電力を蓄電するための蓄電装置、(v)充電ステーションのように、一時的に大きな電流を必要とする用途向けの蓄電装置などの用途において、蓄電池の需要が急速に高まっている。また、更新時期を迎えた蓄電池の数も増加している。
ここで、蓄電池に要求される性能は、用途によって異なる。そのため、特定の用途に利用されている蓄電池が劣化して、当該用途における要求性能を満たさなくなった場合であっても、当該蓄電池を他の用途に転用することで、当該蓄電池を再利用することができる場合がある。また、蓄電池の性能が向上した結果、蓄電池を組み込んだ製品の寿命よりも、当該蓄電池の寿命の方が長くなる場合もある。このような場合にも、蓄電池を破棄するのではなく、再利用することが望ましい。
蓄電池を再利用する場合、蓄電池ごとに劣化状態が異なる。そのため、従来は、蓄電池を再利用する前に、当該蓄電池の電池特性が検査されていた。また、検査結果に基づいて、電池特性が特定の条件を満足する蓄電池同士を組み合わせることにより、電力供給システムが構築されていた。しかしながら、電池特性を検査するためには、蓄電池を満充電させた後、当該蓄電池を放電させる必要があり、手間と時間とを要する。
これに対して、本実施形態によれば、互いに劣化状態の異なる複数の電力供給装置が並列に接続された蓄電システム100を容易に構築することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、各電力供給装置を個別に実装したり、取り外したりすることもできる。さらに、再利用される電力供給装置を蓄電システム100に組み込む前に、当該電力供給装置の検査の少なくとも一部を省略することができる。
本実施形態によれば、各電力供給装置は、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各電力供給装置の電力供給部と配線106との接続関係を切り替えることができる。これにより、再利用される電力供給装置の電池特性を事前に検査していない場合であっても、蓄電システム100を安全に運用することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、当該電力供給装置の電池特性を調べることができる。そして、電力供給装置の電池特性が不十分である場合には、当該電力供給装置を容易に交換することができる。
[蓄電システム100の第2の応用例]
他の実施形態において、蓄電システム100は、複数の電力供給装置を備える。複数の電力供給措置は、電力供給部の種類が互いに異なる2つの電力供給装置を含んでよい。複数の電力供給装置は、負荷装置12又は充電装置14に対して並列に接続されてよい。蓄電システム100は、2つの端子により、負荷装置12又は充電装置14と電気的に接続されてよい。複数の電力供給装置の少なくとも1つは、蓄電システム100の筐体に着脱自在に保持されてよい。これにより、各電力供給装置を、個別に交換することができる。蓄電システム100は、少なくとも1つの蓄電モジュールを備えてよい。
電力供給部の種類としては、一次電池、二次電池、燃料電池などを例示することができる。二次電池の種類としては、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池、レドックスフロー電池、金属空気電池などを例示することができる。リチウムイオン電池の種類は、特に限定されない。リチウムイオン電池の種類としては、リン酸鉄系(LFP系と称される場合がある)、マンガン系、コバルト系、ニッケル系、三元系などを例示することができる。
2つの電力供給装置の間で、各電力供給装置に含まれる電力供給部の種類が異なる場合、当該2つの電力供給装置の定格電圧の差が予め定められた値を超える場合がある。また、2つの電力供給装置の充電特性及び放電特性の少なくとも一方の差が、予め定められた条件を満足しない場合がある。従来は、特定の条件に合致する電力供給装置を見つけて、それらを組み合わせることにより、電力供給システムが構築されていた。そのため、そもそも、このような2つの電力供給装置を並列に接続しようという発想が存在しなかった。
これに対して、本実施形態によれば、互いに種類の異なる複数の電力供給装置が並列に接続された蓄電システム100を容易に構築することができる。また、蓄電システム100を運用しながら、各電力供給装置を個別に実装したり、取り外したりすることもできる。さらに、電力供給装置に含まれる電力供給部の種類によっては、蓄電システム100の充電動作時に、当該電力供給部と、負荷装置12又は充電装置14との電気的な接続関係を切断することができる。
本実施形態によれば、各電力供給装置は、システム制御部140からの制御信号又はユーザの操作に基づいて、各電力供給装置の電力供給部と配線106との接続関係を切り替えることができる。これにより、蓄電システム100に含まれる2つの電力供給装置の定格電圧の差が予め定められた値を超える場合、又は、当該2つの電力供給装置の充電特性及び放電特性の少なくとも一方の差が、予め定められた条件を満足しない場合であっても、蓄電システム100を安全に運用することができる。
また、本実施形態によれば、単一の種類の電力供給装置を組み合わせて電力供給システムを構築した場合と比較して、寿命、信頼性、充電性能、放電性能、エネルギー効率、温度特性、及び、経済性の少なくとも1つに優れた電力供給システムを構築することができる。例えば、(i)比較的広い温度範囲で動作するものの、充放電のエネルギー効率が比較的低い鉛電池を含む電力供給モジュールと、(ii)充放電のエネルギー効率が高いものの、低温領域及び高温領域での動作に課題を有するリチウムイオン電池を含む電力供給モジュールとを組み合わせることで、広い温度範囲で動作しつつ、エネルギー効率の高い電力供給システムを構築することができる。
図2は、蓄電モジュール110のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール110は、正極端子212及び負極端子214を有する蓄電部210と、切替部230と、モジュール制御部240と、保護部250と、バランス補正部260とを備える。また、本実施形態において、蓄電部210は、蓄電セル222と、蓄電セル224とを備える。切替部230は、スイッチング素子の一例であってよい。モジュール制御部240は、制御部の一例であってよい。モジュール制御部240は、制御装置の一例であってよい。モジュール制御部240は、電池特性取得部の一例であってよい。モジュール制御部240は、出力部の一例であってよい。
蓄電部210のインピーダンスは、1Ω以下であってもよく、100mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、10mΩ以下であってもよく、1mΩ以下であってもよく、0.8mΩ以下であってもよく、0.5mΩ以下であってもよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上であってよい。蓄電部210のインピーダンスは、0.1mΩ以上1Ω以下であってもよく、0.1mΩ以上100mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上10mΩ以下であってもよく、0.1mΩ以上1mΩ以下であってもよい。
本実施形態に係る蓄電システム100によれば、例えば、並列に接続された複数の蓄電モジュールのうちの1つを交換する場合に、蓄電システムに新たに追加する蓄電モジュールの電圧と、残りの他の蓄電モジュールの電圧とを高い精度で一致させなくてもよい。そのため、蓄電部210のインピーダンスが小さい場合であっても、蓄電モジュール110を容易かつ迅速に交換することができる。
本実施形態において、蓄電セル222及び蓄電セル224は直列に接続される。蓄電セル222及び蓄電セル224は、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、リチウムイオン電池であってよい。蓄電セル222及び蓄電セル224の少なくとも一方は、当該蓄電セルの内部に、さらに直列、並列又はマトリクス状に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
本実施形態において、蓄電部210の正極端子212が、蓄電モジュール110の正極端子112及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の負極端子214は、蓄電モジュール110の負極端子114を介して、配線106と電気的に接続される。しかしながら、蓄電モジュール110は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210の負極端子214が、蓄電モジュール110の負極端子114及び切替部230を介して、配線106と電気的に接続される。一方、蓄電部210の正極端子212は、蓄電モジュール110の正極端子112を介して、配線106と電気的に接続される。
切替部230は、配線106及び蓄電部210の間に配される。本実施形態において、切替部230は、モジュール制御部240が生成した信号に基づいて、配線106及び蓄電部210の接続状態を切り替える。これにより、蓄電部210を配線106に電気的に接続させたり、蓄電部210を配線106から電気的に切断したりすることができる。蓄電モジュール110を蓄電システム100に実装する場合、蓄電モジュール110は、切替部230により、蓄電部210と配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100に装着されてよい。これにより、蓄電モジュール110の破損又は劣化を防止することができる。
切替部230は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。切替部230は、1以上の素子を有してよい。切替部230は、1以上のスイッチング素子を有してもよい。1以上のスイッチング素子のそれぞれは、正極端子112及び正極端子212の間、又は、負極端子114及び負極端子214の間に配されてよい。スイッチング素子としては、リレー、サイリスタ、トランジスタなどを例示することができる。サイリスタは、双方向性サイリスタ(トライアックと称される場合がある。)であってもよい。トランジスタは、半導体トランジスタであってもよい。半導体トランジスタは、バイポーラトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタであってもよい。電界効果トランジスタは、MOSFETであってもよい。
モジュール制御部240は、蓄電モジュール110の蓄電部210と、配線106との間に流れる電流を制御する。本実施形態において、モジュール制御部240は、切替部230の端子間電圧(本実施形態においては、正極端子112及び正極端子212の間の電圧である。)が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に接続することで、蓄電部210及び配線106を電気的に接続してよい。
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足しない場合には、切替部230が蓄電部210及び配線106又は正極端子112を電気的に切断するように、切替部230を制御する。切替部230は、蓄電部210及び正極端子112を電気的に切断することで、蓄電部210及び配線106を電気的に切断してよい。
予め定められた条件は、切替部230の端子間電圧の絶対値が、予め定められた範囲内であるという条件であってよい。予め定められた範囲は、3V以下であってもよく、1V以下であってもよく、0.1V以下であってもよく、10mV以下であってもよく、1mV以下であってもよい。また、予め定められた範囲は、0.5mV以上であってもよく、1mV以上であってもよい。予め定められた範囲は、0.5mV以上3V以下であってもよい。予め定められた範囲は、1mV以上3V以下であってもよく、1mV以上1V以下であってもよく、1mV以上0.1V以下であってもよく、1mV以上10mV以下であってもよく、10mV以上1V以下であってもよく、10mV以上0.1V以下であってもよく、0.1V以上1V以下であってもよい。なお、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の間の電圧であってもよく、配線106及び蓄電部210の間の電圧であってもよい。
予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスに基づいて、設定されてもよい。予め定められた範囲は、蓄電部210の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電部210のインピーダンスと、蓄電部210の定格電流又は許容電流とに基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。予め定められた範囲は、蓄電モジュール110のインピーダンスと、蓄電モジュール110を構成する素子のうち、定格電流又は許容電流が最も小さな素子の定格電流又は許容電流に基づいて、設定されてよい。
これにより、蓄電モジュールを交換する場合に、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になるまで、配線106と、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部210とが電気的に切断された状態を維持することができる。そして、既に実装されていた蓄電モジュールの充電又は放電により、新たに実装された蓄電モジュールと、既に実装されていた蓄電モジュールとの電圧差が予め定められた範囲内になると、新たに実装された蓄電モジュールの蓄電部が配線106に電気的に接続される。このように、本実施形態によれば、新たに実装された蓄電モジュールと、他の蓄電モジュールとを、自動的に接続することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも小さいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく充電することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の端子間電圧が、他の蓄電モジュールの端子間電圧よりも大きいことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに上記の信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。これにより、並列に接続された複数の蓄電モジュール110を効率よく放電することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、保護部250から、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを示す信号を受信する。モジュール制御部240は、当該信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に切断するように、切替部230を制御する。これにより、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は損傷を抑制することができる。
本実施形態において、モジュール制御部240は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザから、切替部230をオン動作又はオフ動作させる旨の指示を受け取る。モジュール制御部240は、ユーザの指示を受け取ると、当該指示に従って、切替部230を制御する。
本実施形態において、モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してよい。モジュール制御部240は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に出力してよい。これにより、外部の機器は、蓄電部210の電池特性に関する情報を利用することができる。外部の機器としては、負荷装置12、充電装置14などを例示することができる。外部の機器は、ユーザに情報を出力する出力装置であってもよい。
モジュール制御部240は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、モジュール制御部240は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。他の実施形態において、モジュール制御部240は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、モジュール制御部240を制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るモジュール制御部240の一部として機能させるプログラムは、モジュール制御部240の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、モジュール制御部240の各部としてそれぞれ機能させる。
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、非一時なコンピュータ可読媒体であってよい。
保護部250は、蓄電部210を保護する。本実施形態において、保護部250は、蓄電部210を過充電及び過放電から保護する。保護部250は、蓄電セル222又は蓄電セル224の端子間電圧が予め定められた範囲内にないことを検出すると、その旨を示す信号をモジュール制御部240に送信する。保護部250は、蓄電部210の端子間電圧に関する情報をシステム制御部140に送信してよい。保護部250は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。保護部250は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。
バランス補正部260は、複数の蓄電セルの電圧を均等化する。バランス補正部260の動作原理は特に限定されるものではなく、任意のバランス補正装置を利用することができる。蓄電部210が3以上の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を有してよい。例えば、蓄電部210がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n-1個のバランス補正部260を有する。
バランス補正部260は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。バランス補正部260は、アナログ回路、デジタル回路、又は、アナログ回路及びデジタル回路の組み合わせにより実現されてもよい。一実施形態において、バランス補正部260は、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006-067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012-210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。他の実施形態において、バランス補正部260は、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
本実施形態において、蓄電部210が直列に接続された2つの蓄電セルを有する場合について説明した。しかしながら、蓄電部210は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部210は、直列に接続された3以上の蓄電セルを有してもよい。また、蓄電部210は、並列に接続された複数の蓄電セルを有してもよく、マトリクス状に接続された複数のセルを有してもよい。
図3は、モジュール制御部240のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部310と、受信部320と、信号生成部330とを備える。モジュール制御部240は、モジュール情報取得部340と、モジュール情報格納部350と、モジュール情報送信部360とを備えてもよい。受信部320は、第1信号受信部、第2信号受信部及び第3信号受信部の一例であってよい。モジュール情報取得部340は、電池特性取得部の一例であってよい。モジュール情報送信部360は、出力部の一例であってよい。
本実施形態においては、モジュール制御部240が、モジュール情報取得部340、モジュール情報格納部350及びモジュール情報送信部360を備える場合について説明する。しかしながら、蓄電システム100は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、システム制御部140が、モジュール情報取得部340、モジュール情報格納部350及びモジュール情報送信部360の少なくとも1つを備えてもよい。
判定部310は、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。判定部310は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。判定部310は、任意の比較器又は比較回路であってもよい。判定部310は、ウインドコンパレータであってもよい。
受信部320は、システム制御部140からの信号、保護部250からの信号、及び、ユーザからの指示の少なくとも1つを受け取る。受信部320は、受け取った情報に対応する信号を信号生成部330に送信する。
信号生成部330は、判定部310及び受信部320の少なくとも一方から信号を受け取る。信号生成部330は、受け取った情報に基づいて、切替部230を制御するための信号を生成する。信号生成部330は、生成された信号を切替部230に送信する。
一実施形態において、信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であると判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。他の実施形態において、信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内でないと判定した場合に、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。
信号生成部330は、判定部310が、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成又は送信してよい。これにより、ノイズなどによる誤作動を防止することができる。また、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着された直後に、蓄電部210及び配線106が電気的に接続されることを防止することができる。
本実施形態において、信号生成部330は、受信部320が受信した信号に基づいて、切替部230のスイッチング素子を制御するための信号を生成する。一実施形態において、受信部320が、システム制御部140から、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。
他の実施形態において、受信部320が、保護部250から、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を受信した場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成する。さらに他の実施形態において、受信部320が、ユーザの指示を受け付けた場合、信号生成部330は、切替部230のスイッチング素子をユーザの指示どおりに動作させるための信号を生成する。
本実施形態において、モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得する。モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性を測定することにより、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。モジュール情報取得部340は、出荷時、検査時又は販売時に、製造者、販売者などにより入力された、蓄電部210の電池特性に関する情報を取得してもよい。
モジュール情報取得部340は、蓄電部210の電池特性に関する情報を、モジュール情報格納部350に格納してよい。モジュール情報取得部340の具体的な構成は特に限定されるものではないが、モジュール情報取得部340は、モジュール情報格納部350におけるデータの読み込み及び書き込みを制御するコントローラであってもよい。本実施形態において、モジュール情報格納部350は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を格納する。
本実施形態において、モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140に送信する。モジュール情報送信部360は、モジュール情報取得部340が取得した、蓄電部210の電池特性に関する情報を、外部の機器に送信してもよい。モジュール情報送信部360は、外部の機器からの要求に応じて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよく、予め定められたタイミングにおいて、蓄電部210の電池特性に関する情報を送信してもよい。モジュール情報送信部360は、モジュール情報格納部350を参照して、蓄電部210の電池特性に関する情報を、システム制御部140又は外部の機器に送信してもよい。
図4は、システム制御部140のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、システム制御部140は、状態管理部410と、モジュール選択部420と、信号生成部430とを備える。状態管理部410は、電池特性取得部の一例であってよい。状態管理部410は、出力部の一例であってもよい。
本実施形態において、状態管理部410は、蓄電システム100の状態を管理する。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の状態を管理してよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの状態を監視してよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を監視して、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの電池特性に関する情報を取得してもよい。状態管理部410は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を監視して得られた情報を、外部の機器に送信してもよい。
状態管理部410は、蓄電システム100を運用しながら、各蓄電モジュールの電池特性を測定してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの電池特性が予め定められた条件を満足しない場合、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を、ユーザに情報を出力する出力装置に出力してよい。状態管理部410は、蓄電モジュールの識別情報と、当該蓄電モジュールの性能が不十分であることを示す情報を出力してもよい。
これにより、ユーザは、性能が不十分である蓄電モジュールを容易に判別し、当該蓄電モジュールを交換することができる。本実施形態によれば、例えば、蓄電モジュールの再利用品を利用して蓄電システム100を構築する場合において、再利用される蓄電モジュールの検査の少なくとも一部を省略することができる。
一実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が充電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部420は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120端子間電圧を比較して、端子間電圧が小さな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部430に送信する。
他の実施形態において、モジュール選択部420は、蓄電システム100が放電状態に移行するときに、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールのうち、端子間電圧が最も大きい蓄電モジュールを選択する。例えば、モジュール選択部420は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120端子間電圧を比較して、端子間電圧が大きな方の蓄電モジュールを選択する。モジュール選択部420は、選択された蓄電モジュールを示す信号を信号生成部430に送信する。
本実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を生成する。信号生成部430は、生成された信号をモジュール制御部240に送信する。他の実施形態において、信号生成部430は、モジュール選択部420が選択した蓄電モジュールに対して、当該蓄電モジュールの切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号を生成してもよい。
図5は、蓄電モジュール110の回路構成の一例を概略的に示す。なお、説明を簡単にする目的で、図5において、保護部250及び保護部250に関連する配線については図示していない。
本実施形態において、切替部230は、トランジスタ510と、抵抗512と、抵抗514と、ダイオード516と、トランジスタ520と、抵抗522と、抵抗524と、ダイオード526とを備える。トランジスタ510及びトランジスタ520は、スイッチング素子の一例であってよい。本実施形態においては、切替部230のスイッチング素子として、トランジスタ510及びトランジスタ520を用いる場合について説明する。しかしながら、切替部230のスイッチング素子は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、切替部230のスイッチング素子として、単一のスイッチング素子が用いられてもよい。
本実施形態において、モジュール制御部240は、判定部310と、信号生成部330と、スイッチ592及びスイッチ594とを備える。本実施形態において、判定部310は、トランジスタ530と、抵抗532と、トランジスタ540と、抵抗542と、抵抗552と、抵抗554とを備える。信号生成部330は、トランジスタ560と、キャパシタ570と、抵抗572と、トランジスタ580とを備える。スイッチ592及びスイッチ594は、受信部320の一例であってよい。
次に、切替部230及びモジュール制御部240の各部の詳細について説明する。本実施形態の切替部230において、トランジスタ510はMOSFETであり、トランジスタ510がオフの場合であっても、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子212から正極端子112に向かって電流が流れ得る。同様に、トランジスタ520はMOSFETであり、トランジスタ520がオフの場合であっても、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオード(図示していない。)により、正極端子112から正極端子212に向かって電流が流れ得る。
本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、初期設定ではオフに設定される。蓄電システム100の充電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗512、抵抗514及びトランジスタ580を介して、正極端子112から負極端子114に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ510のゲートに電圧が印加され、トランジスタ510がオン動作する。これにより、トランジスタ520のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子112から正極端子212に向かって電流を流すことができる。
一方、蓄電システム100の放電時にトランジスタ580がオン動作すると、抵抗522、抵抗524及びトランジスタ580を介して、正極端子212から負極端子214に向かって電流が流れる。その結果、トランジスタ520のゲートに電圧が印加され、トランジスタ520がオン動作する。これにより、トランジスタ510のソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードを介して、正極端子212から正極端子112に向かって電流を流すことができる。
トランジスタ580がオン動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号の一例であってよい。同様に、トランジスタ580がオフ動作することに伴い、トランジスタ510又はトランジスタ520のゲートに印加される電圧は、切替部230のスイッチング素子をオフ動作させるための信号の一例であってよい。
本実施形態において、抵抗512及び抵抗514の値は、トランジスタ510を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。また、抵抗522及び抵抗524の値は、トランジスタ520を省電力で確実にオン/オフできるように設定される。
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード516が配される。ダイオード516は、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード516を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗522、抵抗524、抵抗514及び抵抗512のルートを通って、正極端子212から正極端子112に電流が漏れることを防止することができる。
本実施形態において、抵抗514と、抵抗524との間に、ダイオード526が配される。ダイオード526は、抵抗524から抵抗514に向かう方向には電流を通過させるが、抵抗514から抵抗524に向かう方向には電流を通過させない。ダイオード526を設けることで、切替部230が、正極端子112と、正極端子212とを電気的に切断しているときに、抵抗512、抵抗514、抵抗524及び抵抗522のルートを通って、正極端子112から正極端子212に電流が漏れることを防止することができる。
本実施形態のモジュール制御部240において、判定部310のトランジスタ530及びトランジスタ540は、初期設定ではオフに設定される。また、信号生成部330のトランジスタ560及びトランジスタ580は、初期設定ではオフに設定される。
本実施形態によれば、抵抗532の値は、切替部230の端子間電圧が、正極端子112側をプラスとした予め定められた第1の値よりも小さい場合に、トランジスタ530がオン動作するように設定される。抵抗532の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。また、抵抗542の値は、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合に、トランジスタ540がオン動作するように設定される。抵抗542の値は、切替部230がオフのときに漏れる電流が極小となるように設定されることが好ましい。なお、本実施形態によれば、切替部230の端子間電圧は、正極端子112及び正極端子212の電圧差に等しい。
切替部230の端子間電圧が予め定められた第1の値よりも小さい場合、トランジスタ530がオン動作して、蓄電部210から、正極端子212、トランジスタ530及び抵抗552を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。トランジスタ580のベースには正極端子112からの電圧が印加されるものの、トランジスタ560がオン動作をしている間、トランジスタ580のオン動作が妨げられる。その結果、トランジスタ580はオフになる。
一方、切替部230の端子間電圧が予め定められた第2の値よりも大きい場合、トランジスタ540がオン動作して、正極端子112から、トランジスタ540及び抵抗554を介して、トランジスタ560のベースに電圧が印加され、トランジスタ560がオン動作する。その結果、トランジスタ580がオフになる。
本実施形態において、抵抗552の値は、トランジスタ530がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。抵抗554の値は、トランジスタ540がオンのときにトランジスタ560をオンできる範囲で、消費電力を低減することができるように設定される。
キャパシタ570の容量は、トランジスタ580のベースに正極端子112からの電圧が印加されて、トランジスタ580がオン動作する前に、トランジスタ560がオン動作するように設定される。これにより、信号生成部330は、判定部310が、スイッチング素子の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定してから、予め定められた時間が経過した後、信号を生成することができる。
これに対して、切替部230の端子間電圧が、第1の値及び第2の値により定められる範囲内である場合、トランジスタ530及びトランジスタ540はオフのままであり、トランジスタ560もオフのままである。そのため、正極端子112から、抵抗572を介して、トランジスタ580のベースに電圧が印加され、トランジスタ580がオン動作する。
スイッチ592及びスイッチ594は、手動スイッチであってもよく、リレー、サイリスタ、トランジスタなどのスイッチング素子であってもよい。スイッチ592には、切替部230をオン動作させることを示す信号52が入力されてよい。スイッチ594には、切替部230をオフ動作させることを示す信号54が入力されてよい。
スイッチ592がオン動作すると、トランジスタ580のオン/オフに関わらず、切替部230をオン動作させることができる。スイッチ594がオン動作すると、トランジスタ560のオン/オフに関わらず、トランジスタ580をオフ動作させることができる。その結果、切替部230をオフ動作させることができる。
図6は、切替部630のシステム構成の一例を概略的に示す。切替部630は、トランジスタ510及びトランジスタ520と並列に接続されるリレー632を有する点で、図5に関連して説明された切替部230と相違する。その他の点については、切替部230と同様の構成を有してよい。本実施形態において、トランジスタ510及びトランジスタ520は、半導体トランジスタであってよい。トランジスタ510及びトランジスタ520は、電界効果トランジスタ(FET)であってよい。
リレー回路は、当該回路がオンになっているときの抵抗が小さいという優れた特性を有するものの、応答速度が比較的遅い。そのため、例えば、負荷装置が、モーターなどのパルス性の電流パターンを有する装置であり、短時間で電圧が大きく変動する場合には、信号生成部330からの信号に追従してオン動作することが難しい。一方、半導体トランジスタは、リレー回路と比較して消費電力は大きいものの、応答性に優れる。本実施形態の切替部630によれば、半導体トランジスタを用いたトランジスタ510又はトランジスタ520と、リレー回路を用いたリレー632とが並列に接続される。
そのため、切替部230が、信号生成部330から切替部230をオン動作させるための信号を受信した場合に、まずは、トランジスタ510又はトランジスタ520が素早く応答して、切替部230をオン動作させる。その後、少し遅れて、リレー632がオン動作する。そして、リレー632がオンになると、抵抗の小さなリレー632が、トランジスタ510及びトランジスタ520に並列に接続されるので、合成抵抗が小さくなり、損失を低減することができる。
図7及び図8を用いて、蓄電モジュール710について説明する。図7は、蓄電モジュール710のシステム構成の一例を概略的に示す。図8は、切替部730のシステム構成の一例を概略的に示す。図8においては、トランジスタ510及びトランジスタ520の動作に関する理解を助ける目的で、トランジスタ510の寄生ダイオード842、及び、トランジスタ520の寄生ダイオード844を図示している。
蓄電モジュール710は、切替部230の代わりに切替部730を有する点と、保護部250からの信号が、モジュール制御部240ではなく切替部730に送信される点とにおいて、図2に関連して説明された蓄電モジュール110と相違する。その他の点については、蓄電モジュール110と同様の構成を有してよい。
本実施形態において、切替部730は、モジュール制御部240から、切替部730をオン動作又はオフ動作させるための信号を受信する。また、切替部730は、保護部250から、切替部730をオフ動作させるための信号を受信する。
本実施形態によれば、論理回路852に、切替部730のスイッチング素子をオン動作させるための信号82が入力されており、蓄電部210が過充電状態にあることを示す信号88が入力されていない場合に、トランジスタ510がオンになる。また、論理回路854に、切替部730のスイッチング素子をオン動作させるための信号82が入力されており、蓄電部210が過放電状態にあることを示す信号86が入力されていない場合に、トランジスタ520がオンになる。
図9は、蓄電システム900のシステム構成の一例を概略的に示す。蓄電システム900は、マトリクス状に接続された複数の蓄電モジュール110を備える点で、蓄電システム100と相違する。その他の点については、蓄電システム100と同様の構成を有してもよい。本実施形態においては、並列に接続された3つの蓄電モジュール110及びダイオード902からなる第1のブロックと、並列に接続された3つの蓄電モジュール110及びダイオード904からなる第2のブロックとが直列に接続されている。
本実施形態によれば、蓄電システム900の放電時には、特定のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110の全てが放電完了状態に到達するまで放電を続けた後、当該ブロックからの放電が停止する。本実施形態によれば、上記のブロックからの放電が停止した場合であっても、ダイオード902により電流をバイパスさせることができる。これにより、蓄電システム900による電力の供給を継続することができる。そのため、蓄電システム900が電力を放電している間に、出力電圧が段階的に低下する。
同様に、蓄電システム900の充電時には、特定のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、充電完了状態に到達した蓄電モジュール110から、順次、蓄電システム900との接続が切り離される。そして、最終的には、全ての蓄電モジュール110の充電が完了する。
本実施形態によれば、ダイオード902及びダイオード904が、接続端子104から接続端子102に向かう方向(放電方向と称する場合がある。)に電流を流すように設置されている。そのため、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の切替部230がオフになっても、電流を維持することができる。一方、一旦、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の切替部230がオフになると、その後の充電が困難になる。
そこで、本実施形態によれば、蓄電システム900を充電する場合、システム制御部140は、まず、各ブロックの端子間電圧を検出して、端子間電圧が0であるブロックの有無を調べる。端子間電圧が0であるブロックが発見された場合、システム制御部140は、当該ブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうちの1つに対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信する。システム制御部140は、上記のブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうち、端子間電圧が最も小さい蓄電モジュール110に対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信してよい。その後、システム制御部140は、蓄電システム900の充電を開始する。
本実施形態においては、ダイオード902及びダイオード904が放電方向に電流を流すように設置されている場合について説明した。しかしながら、蓄電システム900は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、ダイオード902及びダイオード904は、ゼナーダイオードであってよい。これにより、特定のブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110の充電が完了して、当該ブロックに含まれる全ての蓄電モジュール110が蓄電システム900から切り離された場合であっても、蓄電システム900において、上記の特定のブロックと直列に接続されている他のブロックの充電を継続することができる。
この場合、蓄電システム900を放電する場合、システム制御部140は、放電を開始する前に、各グループの端子間電圧を検出して、端子間電圧が0であるグループの有無を調べてよい。その後、端子間電圧が0であるブロックに含まれる複数の蓄電モジュール110のうちの1つに対して、切替部230のスイッチング素子をオン動作させるための信号を送信してよい。
図10~図17を用いて、蓄電モジュール110の他の例について説明する。技術的に矛盾しない範囲において、蓄電モジュール110及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール110の他の例及びその各部に適用されてもよい。また、蓄電モジュール110の他の例及びその各部について説明された事項が、蓄電モジュール110及びその各部に適用されてもよい。図10~図17の説明において、蓄電モジュール110の各部について説明された事項については、説明を省略する場合がある。
図10は、蓄電モジュール1010のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、正極端子112と、負極端子114と、蓄電部210とを備える。蓄電モジュール1010は、切替部230を備えてよい。蓄電モジュール1010は、保護部250を備えてよい。蓄電モジュール1010は、バランス補正部260を備えてよい。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020と、モジュール制御部1040とを備える。
蓄電モジュール1010は、制御装置及び制御システムの一例であってよい。モジュール制御部1040は、制御装置の一例であってよい。切替部230は、調整部、第1電流調整部及び第2電流調整部の一例であってよい。
本実施形態において、切替部230は、配線106と、蓄電部210との間に流れる電流を調整する。一実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210を電気的に接続したり、配線106及び蓄電部210を電気的に切断したりする。他の実施形態において、切替部230は、例えば、配線106及び蓄電部210の間の経路の抵抗値を変化させることにより、上記の電流を増加させたり、減少させたりする。
本実施形態において、切替部230の一端は、正極端子112及び電流検出素子1020を介して、配線106と電気的に接続される。切替部230の他端は、蓄電部210の正極端子212と電気的に接続される。切替部230の端子間電圧を示す情報は、配線106の電位又は配線106に印加された電圧(単に、配線106の電圧と称する場合がある。)と、蓄電部210の端子(例えば、正極端子212である。)の電位又は当該端子に印加された電圧(単に、蓄電部210の電圧、端子の電圧などと称する場合がある。)との差を示す情報として利用されてよい。
一実施形態において、切替部230は、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を、蓄電部210の正極端子212から正極端子112に向かう方向(放電方向と称する場合がある。)に流れる電流の大きさを調整する。他の実施形態において、切替部230は、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を、正極端子112から蓄電部210の正極端子212に向かう方向(充電方向と称する場合がある。)に流れる電流の大きさを調整する。さらに他の実施形態において、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流、及び、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整する。
本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020を備える点で、蓄電モジュール110と相違する。蓄電モジュール1010は、モジュール制御部240の代わりに、モジュール制御部1040を備える点で、蓄電モジュール110と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1010は、蓄電モジュール110の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
本実施形態において、電流検出素子1020は、配線106と、蓄電部210との間を流れる電流を示す情報を取得するために用いられる。電流を示す情報としては、当該電流の有無、当該電流の大きさ、当該電流の方向などを例示することができる。本実施形態において、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020の端子間電圧を測定することで、配線106と、蓄電部210との間を流れる電流に関する情報を取得する。
本実施形態において、電流検出素子1020は、正極端子112と、切替部230との間に配される。より具体的には、電流検出素子1020の一端は、切替部230と電気的に接続される。電流検出素子1020の他端は、正極端子112を介して、配線106と電気的に接続される。なお、電流検出素子1020は、切替部230と、蓄電部210の正極端子212との間に配されてもよい。また、切替部230、又は、切替部230を構成する素子の一部が、電流検出素子1020として利用されてもよい。
電流検出素子1020は、任意の抵抗値を有する素子であればよく、その種類は特に限定されるものではない。例えば、電流検出素子1020は、蓄電部210の最大許容電流に応じた適切な抵抗値を有する。電流検出素子1020としては、抵抗、ホールセンサなどを例示することができる。適切な抵抗値を有する受動素子又は能動素子が、上記の抵抗として利用されてもよい。
本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する点で、モジュール制御部240と相違する。本実施形態において、モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、及び、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する点で、モジュール制御部240と相違する。モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流、及び、(iii)切替部230の端子間電圧に基づいて切替部230の動作を制御してもよい。上記の相違点以外の構成に関して、モジュール制御部1040は、モジュール制御部240の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
モジュール制御部1040が、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する方法は特に限定されない。本実施形態において、モジュール制御部1040は、正極端子112及び正極端子212の間に配された電流検出素子1020の端子間電圧を示す情報を取得し、当該情報に基づいて、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。これにより、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視することができる。モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流の大きさを決定してもよく、上記の電流の方向を決定してもよい。
一実施形態において、切替部230が、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する場合、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を監視又は検出する。切替部230が、配線106及び蓄電部210の間の放電方向の電気的な接続を切断している(「電気的に放電方向で切断している」と称する場合がある。)場合において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視又は検出してもよい。なお、この場合において、モジュール制御部1040により検出される電流は、結果として、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流である。
他の実施形態において、切替部230が、少なくとも、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する場合、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を監視又は検出する。切替部230が、配線106及び蓄電部210の間の充電方向の電気的な接続を切断している(「電気的に充電方向で切断している」と称する場合がある。)場合において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視又は検出してもよい。なお、この場合において、モジュール制御部1040により検出される電流は、結果として、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流である。
モジュール制御部1040が、切替部230の動作を制御する方法は特に限定されない。上述のとおり、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を示す情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電モジュール1010を活性挿抜するときに、切替部230のインターロックを安全に解除することができる。
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧を示す情報を取得してよい。モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧を示す情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電モジュール1010の活性挿抜に要する時間が短縮される。
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、保護部250から、保護部250が取得又は生成した情報を取得してよい。例えば、モジュール制御部1040は、保護部250から、過充電保護機能が有効になっていることを示す情報、過充電保護機能が有効になっていないことを示す情報、過放電保護機能が有効になっていることを示す情報、過放電保護機能が有効になっていないことを示す情報などを取得する。モジュール制御部1040は、保護部250が取得又は生成した情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電部210の状態に応じて、切替部230を適切に制御することができる。
例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも小さい又は当該閾値以下である場合、過放電保護機能が有効になる。蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも大きい又は当該閾値以上である場合、過放電保護機能が無効になる。また、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも大きい又は当該閾値以上である場合、過充電保護機能が有効になる。蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい又は当該閾値以下である場合、過充電保護機能が無効になる。
モジュール制御部240と同様に、モジュール制御部1040は、システム制御部140から、システム制御部140が取得又は生成した情報を取得してよい。例えば、モジュール制御部1040は、システム制御部140から、蓄電部210の電池特性を示す情報を取得する。モジュール制御部1040は、システム制御部140が取得又は生成した情報に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。これにより、蓄電部210の状態に応じて、切替部230を適切に制御することができる。
[切替部230の動作を制御する手順の具体例]
一実施形態において、モジュール制御部1040は、蓄電部210の充電状態に基づいて、切替部230の動作を制御する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧に基づいて、切替部230の動作を制御する。さらに他の実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する。モジュール制御部1040は、上記の電流の大きさ及び方向の少なくとも一方に基づいて、切替部230の動作を制御してよい。
より具体的には、モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、及び、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流に基づいて、切替部230の動作を制御する。モジュール制御部1040は、(i)蓄電部210電圧又はSOC、(ii)配線106及び蓄電部210の間を流れる電流、及び、(iii)切替部230の端子間電圧に基づいて切替部230の動作を制御してもよい。
例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが予め定められた条件を満足する場合、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御する。蓄電部210の電池特性は、蓄電部210の電圧又はSOCは、蓄電部210の電池特性の一例であってよい。予め定められた条件は、予め定められた数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよく、予め定められた手順に従って算出される数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよい。これにより、例えば、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は破損を防止することができる。
予め定められた条件は、蓄電部210を保護するための条件であってよい。予め定められた条件としては、(i)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件、(iii)蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件、(v)これらを組み合わせた条件などを例示することができる。
蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過電圧保護機能及び過放電保護機能の少なくとも一方が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過電圧保護機能及び過放電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過放電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。蓄電部210の電圧又はSOCが、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件は、蓄電モジュール1010の過充電保護機能が有効になっていないことを示す条件であってもよい。
本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が予め定められた条件を満足する場合に、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御する。より具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差が比較的大きい場合には、蓄電部210及び配線106が電気的に切断される。一方、上記の差が比較的小さい場合には、蓄電部210及び配線106が電気的に接続される。これにより、迅速な活性挿抜が可能となる。
予め定められた条件は、迅速な活性挿抜を実現するための条件であってよい。予め定められた条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が、特定の数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が、特定の閾値より大きい、又は、特定の閾値以上であることを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が、特定の閾値より小さい、又は、特定の閾値以下であることを示す条件、(v)これらを組み合わせた条件などを例示することができる。
(過放電保護のインターロックを解除する手順の具体例)
蓄電モジュール1010の蓄電部210が蓄電システム100の配線106と電気的に接続された状態で、蓄電システム100が放電している場合において、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも小さくなると、保護部250は、過放電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信する。このとき、電流は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れている。この場合において、放電方向は第1方向の一例であってよい。また、充電方向は第2方向の一例であってよい。なお、本実施形態において、放電方向及び充電方向とは互いに逆向きである。
蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも小さい場合は、蓄電部210を保護するための条件が満たされていない場合の一例であってよい。他の実施形態において、保護部250は、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値以下である場合に、過放電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信してよい。
モジュール制御部1040は、上記の信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106と、蓄電部210とを電気的に切断する。配線106及び蓄電部210が電気的に切断された後も、蓄電システム100が放電を続けると、配線106と、蓄電部210との間に電圧差が生じる。
蓄電システム100の放電が終了した後、次に、蓄電システム100の充電が開始されたとき、配線106と、蓄電部210との間には電圧差が生じている。この場合において、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも大きいとき、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していないと判断する。その結果、蓄電モジュール1010の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100の充電が進行する。
一方、(i)蓄電システム100の充電開始時の上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さい若しくは当該閾値以下であるとき、又は、(ii)蓄電システム100の充電が進行して、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さくなった若しくは当該閾値以下になったとき、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続しようとする。しかしながら、この段階では、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも小さい。そのため、モジュール制御部1040のインターロック機構が作動する。その結果、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続することができない。
モジュール制御部1040が、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続するためには、何らかのロジックにより、上記のインターロックを解除する必要がある。上記のインターロックを解除する方法は特に限定されるものではないが、本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流又は当該電流に関する情報に基づいて、上記のインターロックを解除するか否かを決定し、切替部230の動作を制御する。
ここで、図5に関連して説明されたように、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御するトランジスタ520を備える。トランジスタ520としては、Si-MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC-MOSFET、GaN-MOSFETなどを例示することができる。
蓄電部210の定格電圧が比較的大きい場合、トランジスタ520は、SiC-MOSFETであることが好ましい。例えば、蓄電部210の定格電圧の最大値が100V以上、好ましくは200V以上、より好ましくは300V以上、さらに好ましくは500V以上、さらに好ましくは800V以上、さらに好ましくは1000Vである場合に、トランジスタ520として、SiC-MOSFETが利用される。これにより、優れた耐圧特性を有しながら、損失が少ないというSiC-MOSFETの利点を十分に発揮することができる。蓄電部210の定格電圧の最大値が300V以上又は500V以上である場合、トランジスタ520としてSiC-MOSFETが利用されることの効果が顕著に現れうる。
また、トランジスタ520のソース・ドレイン間には、寄生ダイオードが形成される。上記の寄生ダイオードは、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を通過させる。一方、上記の寄生ダイオードは、電流が、当該寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れることを抑制する。
トランジスタ520は、第1電流調整部又は第2電流調整部の一例であってよい。トランジスタ520の寄生ダイオードは、第1バイパス部又は第2バイパス部の一例であってよい。なお、切替部230は、トランジスタ520の寄生ダイオードとは別に、当該寄生ダイオードと同様の機能を有し、配線106及び蓄電部210の間にトランジスタ520と並列に接続される整流器を備えてもよい。上記の整流器としては、(i)ダイオードなどの整流素子、(ii)複数の素子により構成される整流回路などを例示することができる。
上記のとおり、本実施形態によれば、切替部230が、(i)放電方向の電流を調整するトランジスタ520と、(ii)トランジスタ520に並列に配され、充電方向の電流を通過させ、放電方向の電流を通過させない寄生ダイオードとを備える。そのため、蓄電システム100の充電がさらに進行して、配線106の電圧が、蓄電部210の正極端子212の電圧よりも大きくなると、トランジスタ520の寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に電流が流れるようになる。
過放電による蓄電部210の劣化又は破損を防止する場合、モジュール制御部1040は、放電方向に電流が流れることを防止する必要はあるが、充電方向に電流が流れることは防止しなくてもよい。そこで、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視する。
一実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に放電方向で切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出してもよい。
蓄電システム100の充電が開始された後、上記の電流が検出されるまでの間、モジュール制御部1040は、過放電保護のためのインターロックを維持する。一方、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過放電保護のためのインターロックを解除する。
一実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する。一般的に、トランジスタ520のオン抵抗の値は、寄生ダイオードの抵抗値よりも小さいので、本実施形態によれば、蓄電部210の充放電効率が向上する。
上記の電圧差が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していない状態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、少なくとも、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足するまでの間、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。なお、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足している間、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
他の実施形態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過放電保護機能をリセットするための信号を、保護部250に送信してもよい。そして、保護部250は、過放電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続してよい。
配線106及び蓄電部210が電気的に接続された後、蓄電システム100の充電がさらに進行すると、蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも大きくなる。蓄電部210の電圧又はSOCが、過放電保護のための閾値よりも大きくなった場合、保護部250は、過放電保護機能をリセットするための信号を、モジュール制御部1040に送信してもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
なお、上述のとおり、過放電保護機能を有効化することが決定された場合、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に切断する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを小さくする。これにより、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、放電方向に流れ得る電流の大きさが小さくなる。一方、過放電保護のインターロックを解除することが決定された場合(過放電保護機能を無効化すると称する場合がある)、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に接続する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする。
モジュール制御部1040は、切替部230の抵抗値又は通流率(デューティ比と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する。一実施形態において、切替部230がトランジスタ520を備え、トランジスタ520が電界効果トランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ520のゲート電圧(入力電圧と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ520の入力電圧を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
他の実施形態において、切替部230がトランジスタ520を備え、トランジスタ520がバイポーラトランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ520のベース電流(入力電流と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ520の入力電流を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
切替部230の抵抗値又は通流率は、過放電保護機能が有効になっている場合と、過放電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230がスイッチング素子を有する場合、当該スイッチング素子のオン抵抗は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230が可変抵抗を有する場合、当該可変抵抗の抵抗値は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の抵抗値が大きくなるように、切替部230を制御してもよい。モジュール制御部1040は、過放電保護機能が有効になっている場合には、過放電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の通流率が小さくなるように、切替部230を制御してもよい。
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、(i)過放電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断し、(ii)過放電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続する実施形態を例として、モジュール制御部1040が過放電保護のインターロックを解除する手順について説明した。しかしながら、本願明細書の記載に接した当業者であれば、(i)過放電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを小さくし、(ii)過放電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする他の実施形態においても、モジュール制御部1040が、本実施形態と同様の手順により過放電保護のインターロックを解除し得ることを、理解することができる。
具体的には、過放電保護機能が有効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を小さくするための一連の動作に相当する。同様に、過放電保護機能が無効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を大きくするための一連の動作に相当する。
(過充電保護のインターロックを解除する手順の具体例)
蓄電モジュール1010の蓄電部210が蓄電システム100の配線106と電気的に接続された状態で、蓄電システム100が充電している場合において、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも大きくなると、保護部250は、過充電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信する。このとき、電流は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れている。この場合において、充電方向は第1方向の一例であってよい。また、放電方向は第2方向の一例であってよい。なお、本実施形態において、放電方向及び充電方向とは互いに逆向きである。
蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも大きい場合は、蓄電部210を保護するための条件が満たされていない場合の一例であってよい。他の実施形態において、保護部250は、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値以上である場合に、過充電保護機能を有効化するための信号を、モジュール制御部1040に送信してよい。
モジュール制御部1040は、上記の信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106と、蓄電部210とを電気的に切断する。配線106及び蓄電部210が電気的に切断された後も、蓄電システム100が充電を続けると、配線106と、蓄電部210との間に電圧差が生じる。
蓄電システム100の充電が終了した後、次に、蓄電システム100の放電が開始されたとき、配線106と、蓄電部210との間には電圧差が生じている。この場合において、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも大きいとき、モジュール制御部1040は、切替部230の端子間電圧が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していないと判断する。その結果、蓄電モジュール1010の蓄電部210と、蓄電システム100の配線106とが電気的に切断された状態で、蓄電システム100の放電が進行する。
一方、(i)蓄電システム100の放電開始時の上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さい若しくは当該閾値以下であるとき、又は、(ii)蓄電システム100の充電が進行して、上記の電圧差の絶対値が、迅速な活性挿抜を実現するための閾値よりも小さくなった若しくは当該閾値以下になったとき、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続しようとする。しかしながら、この段階では、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも大きい。そのため、モジュール制御部1040のインターロック機構が作動する。その結果、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続することができない。
モジュール制御部1040が、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続するためには、何らかのロジックにより、上記のインターロックを解除する必要がある。上記のインターロックを解除する方法は特に限定されるものではないが、本実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流又は当該電流に関する情報に基づいて、上記のインターロックを解除するか否かを決定し、切替部230の動作を制御する。
ここで、図5に関連して説明されたように、切替部230は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御するトランジスタ510を備える。トランジスタ510としては、Si-MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、SiC-MOSFET、GaN-MOSFETなどを例示することができる。
蓄電部210の定格電圧が比較的大きい場合、トランジスタ510は、SiC-MOSFETであることが好ましい。例えば、蓄電部210の定格電圧の最大値が100V以上、好ましくは200V以上、より好ましくは300V以上、さらに好ましくは500V以上、さらに好ましくは800V以上、さらに好ましくは1000Vである場合に、トランジスタ510として、SiC-MOSFETが利用される。これにより、優れた耐圧特性を有しながら、損失が少ないというSiC-MOSFETの利点を十分に発揮することができる。蓄電部210の定格電圧の最大値が300V以上又は500V以上である場合、トランジスタ510としてSiC-MOSFETが利用されることの効果が顕著に現れうる。
また、トランジスタ510のソース・ドレイン間には、寄生ダイオードが形成される。上記の寄生ダイオードは、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を通過させる。一方、上記の寄生ダイオードは、電流が、当該寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れることを抑制する。
トランジスタ510は、第1電流調整部又は第2電流調整部の一例であってよい。トランジスタ510の寄生ダイオードは、第1バイパス部又は第2バイパス部の一例であってよい。なお、切替部230は、トランジスタ510の寄生ダイオードとは別に、当該寄生ダイオードと同様の機能を有し、配線106及び蓄電部210の間にトランジスタ510と並列に接続される整流器を備えてもよい。上記の整流器としては、(i)ダイオードなどの整流素子、(ii)複数の素子により構成される整流回路などを例示することができる。
上記のとおり、本実施形態によれば、切替部230が、(i)充電方向の電流を調整するトランジスタ510と、(ii)トランジスタ510に並列に配され、放電方向の電流を通過させ、充電方向の電流を通過させない寄生ダイオードとを備える。そのため、蓄電システム100の放電がさらに進行して、配線106の電圧が、蓄電部210の正極端子212の電圧よりも小さくなると、トランジスタ510の寄生ダイオードを介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に電流が流れるようになる。
過充電による蓄電部210の劣化又は破損を防止する場合、モジュール制御部1040は、充電方向に電流が流れることを防止する必要はあるが、放電方向に電流が流れることは防止しなくてもよい。そこで、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を監視する。
一実施形態において、モジュール制御部1040は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に充電方向で切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出してもよい。
蓄電システム100の放電が開始された後、上記の電流が検出されるまでの間、モジュール制御部1040は、過充電保護のためのインターロックを維持する。一方、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過充電保護のためのインターロックを解除する。
一実施形態において、モジュール制御部1040は、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する。一般的に、トランジスタ510のオン抵抗の値は、寄生ダイオードの抵抗値よりも小さいので、本実施形態によれば、蓄電部210の充放電効率が向上する。
上記の電圧差が、迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足していない状態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、少なくとも、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足するまでの間、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。なお、上記の電圧差が迅速な活性挿抜を実現するための条件を満足している間、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
他の実施形態において、上記の電流が検出された場合、モジュール制御部1040は、過充電保護機能をリセットするための信号を、保護部250に送信してもよい。そして、保護部250は、過充電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230を制御して、配線106及び蓄電部210を電気的に接続してよい。
配線106及び蓄電部210が電気的に接続された後、蓄電システム100の放電がさらに進行すると、蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも小さくなる。蓄電部210の電圧又はSOCが、過充電保護のための閾値よりも小さくなった場合、保護部250は、過充電保護機能をリセットするための信号を、モジュール制御部1040に送信してもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能をリセットするための信号を受信すると、切替部230が蓄電部210及び配線106を電気的に接続するように、切替部230を制御してよい。
なお、上述のとおり、過充電保護機能を有効化することが決定された場合、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に切断する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを小さくする。これにより、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、充電方向に流れ得る電流の大きさが小さくなる。一方、過充電保護のインターロックを解除することが決定された場合(過充電保護機能を無効化すると称する場合がある)、モジュール制御部1040は、例えば、(i)配線106及び蓄電部210を電気的に接続する、又は、(ii)配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする。
モジュール制御部1040は、切替部230の抵抗値又は通流率(デューティ比と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御する。一実施形態において、切替部230がトランジスタ510を備え、トランジスタ510が電界効果トランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ510のゲート電圧(入力電圧と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ510の入力電圧を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
他の実施形態において、切替部230がトランジスタ510を備え、トランジスタ510がバイポーラトランジスタである場合、モジュール制御部1040は、トランジスタ510のベース電流(入力電流と称される場合がある。)を調整することで、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御することができる。モジュール制御部1040は、トランジスタ510の入力電流を調整するための回路に配された素子の動作を制御することにより、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整又は制御してもよい。
切替部230の抵抗値又は通流率は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230がスイッチング素子を有する場合、当該スイッチング素子のオン抵抗は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。切替部230が可変抵抗を有する場合、当該可変抵抗の抵抗値は、過充電保護機能が有効になっている場合と、過充電保護機能が無効になっている場合とで、同一であってもよく、異なってもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の抵抗値が大きくなるように、切替部230を制御してもよい。モジュール制御部1040は、過充電保護機能が有効になっている場合には、過充電保護機能が無効になっている場合と比較して、切替部230の通流率が小さくなるように、切替部230を制御してもよい。
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、(i)過充電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断し、(ii)過充電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続する実施形態を例として、モジュール制御部1040が過充電保護のインターロックを解除する手順について説明した。しかしながら、本願明細書の記載に接した当業者であれば、(i)過充電保護機能を有効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを小さくし、(ii)過充電保護機能を無効化することが決定された場合に、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れ得る電流の大きさを大きくする他の実施形態においても、モジュール制御部1040が、本実施形態と同様の手順により過充電保護のインターロックを解除し得ることを、理解することができる。
具体的には、過充電保護機能が有効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に切断するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を小さくするための一連の動作に相当する。同様に、過充電保護機能が無効化される場合、本実施形態において、モジュール制御部1040が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するための一連の動作は、上記の他の実施形態において、モジュール制御部1040が蓄電部210及び配線106の間を流れ得る電流を大きくするための一連の動作に相当する。
以上のとおり、本実施形態によれば、モジュール制御部1040は、例えば、蓄電モジュール1010の充放電効率を大きく低下させることなく、活性挿抜機能と、蓄電部210の保護機能とを両立させることができる。
図1に関連して説明したとおり、家電製品などの小規模のシステムの電源の一部を構成する蓄電モジュールは、直列に接続された蓄電セルの数が少なく、その定格電圧も3.5~4.5V程度である。そのため、システムが稼働している状態で電源に蓄電モジュールを実装したり、電源から蓄電モジュールを取り外したりする場合、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールの電圧と、電源を構成する他の蓄電モジュールの電圧とを厳密に管理することが要求され得る。蓄電モジュールの仕様によっては、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールと、電源を構成する他の蓄電モジュールとの電圧差の許容値が1V未満に管理されることもあり得る。
一方、近年、蓄電モジュールの大型化が進んでいる。例えば、乗用車などの小型~中型の電気自動車では、定格電圧が300~400V程度の蓄電モジュールが利用されている。また、電気バスなどの大型の電気自動車では、定格電圧が500~800V程度の蓄電モジュールが利用されるようになってきている。蓄電モジュールの定格電圧が大きくなると、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールと、電源を構成する他の蓄電モジュールとの電圧差の許容値も大きくなる。例えば、電源を構成する一の蓄電モジュールと、当該電源を構成する他の蓄電モジュールとの電圧差が1Vを越える場合であっても、当該一の蓄電モジュールを活性挿抜することができる場合がある。
活性挿抜の対象となる蓄電モジュールの抵抗又はインピーダンスにもよるが、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールの定格電圧が100V以上である場合、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールと、電源を構成する他の蓄電モジュールとの電圧差は、30V以下であってもよく、10V以下であってもよく、5V以下であってもよく、3V以下であってもよく、2V以下であってもよく、1V以下であってもよい。活性挿抜の対象となる蓄電モジュールと、電源を構成する他の蓄電モジュールとの電圧差は、活性挿抜の対象となる蓄電モジュールの定格電圧の1/5以下であってよく、1/10以下であってよく、1/20以下であってよく、1/30以下であってよく、1/50以下であってよく、1/100以下であってよく、1/200以下であってよく、1/300以下であってよく、1/500以下であってよく、1/1000以下であってよい。
本実施形態において、電流検出素子1020及び切替部230が、蓄電モジュール1010の正極端子112と、蓄電部210の正極端子212との間に配され、蓄電部210の正極端子212が、切替部230を介して配線106と電気的に接続される場合について説明した。しかしながら、電流検出素子1020及び切替部230の配置は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、電流検出素子1020及び切替部230は、蓄電モジュール1010の負極端子114と、蓄電部210の負極端子214との間に配され、蓄電部210の負極端子214は、切替部230を介して配線106と電気的に接続される。
図11は、モジュール制御部1040のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部1040は、判定部310と、受信部320と、信号生成部330とを備える。モジュール制御部1040は、モジュール情報取得部340と、モジュール情報格納部350と、モジュール情報送信部360とを備えてもよい。本実施形態において、モジュール制御部1040は、電流監視部1120を備える。本実施形態において、電流監視部1120は、電流検出部1122と、方向決定部1124とを有する。信号生成部330は、動作制御部の一例であってよい。
本実施形態において、モジュール制御部1040は、電流監視部1120を備える点で、モジュール制御部240と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、モジュール制御部1040は、モジュール制御部240の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
本実施形態において、電流監視部1120は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流を監視する。例えば、電流監視部1120は、蓄電モジュール1010の正極端子112及び正極端子212の間を流れる電流を監視する。
本実施形態において、電流検出部1122は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流を検出する。電流検出部1122は、上記の電流の大きさを決定してもよい。電流検出部1122は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。
本実施形態において、方向決定部1124は、蓄電システム100の配線106と、蓄電モジュール1010の蓄電部210との間を流れる電流の方向を決定する。方向決定部1124は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。
図12は、モジュール制御部1040の回路構成の一例を概略的に示す。図12は、切替部230の回路構成の一例を概略的に示す。図12は、正極端子112、負極端子114、蓄電部210、保護部250及び電流検出素子1020とともに、切替部230の一例及びモジュール制御部1040の一例を示す。
[切替部230の回路の具体例]
本実施形態において、トランジスタ510は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。トランジスタ510は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520及び寄生ダイオード844と直列に接続される。本実施形態において、トランジスタ510は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流の大きさを調整する。
本実施形態において、トランジスタ520は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。トランジスタ520は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510及び寄生ダイオード842と直列に接続される。本実施形態において、トランジスタ520は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流の大きさを調整する。
寄生ダイオード842は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。寄生ダイオード842は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510と並列に接続される。寄生ダイオード842は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520及び寄生ダイオード844と直列に接続される。
寄生ダイオード842は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を通過させる。一方、寄生ダイオード842は、電流が、寄生ダイオード842を介して、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れることを抑制する。
寄生ダイオード844は、一端が配線106と電気的に接続され、他端が蓄電部210と電気的に接続される。寄生ダイオード844は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ520と並列に接続される。寄生ダイオード844は、配線106及び蓄電部210の間において、トランジスタ510及び寄生ダイオード842と直列に接続される。
寄生ダイオード842は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を通過させる。一方、寄生ダイオード844は、電流が、寄生ダイオード844を介して、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れることを抑制する。
トランジスタ510は、第1電流調整部及び第2電流調整部の一方の一例であってよい。トランジスタ520は、第1電流調整部及び第2電流調整部の他方の一例であってよい。寄生ダイオード842は、第1バイパス部及び第2バイパス部の一方の一例であってよい。寄生ダイオード844は、第1バイパス部及び第2バイパス部の他方の一例であってよい。放電方向は、第1方向及び第2方向の一方の一例であってよい。充電方向は、第1方向及び第2方向の他方の一例であってよい。
[モジュール制御部1040の回路の具体例]
本実施形態において、モジュール制御部1040は、判定部310と、信号生成部330と、電流監視部1120とを備える。判定部310は、第1決定部、第2決定部及び第3決定部の一例であってよい。
本実施形態において、信号生成部330は、OR回路1260と、AND回路1272と、AND回路1274と、OR回路1282と、OR回路1284とを備える。また、本実施形態において、正極端子112及び切替部230の間に、電流検出素子1020として、適切な抵抗値を有する抵抗が配されている。電流検出素子1020の抵抗値は、例えば、電流監視部1120が、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流の方向を確実に判定することができるように決定される。
本実施形態において、判定部310は、切替部230の端子間電圧が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。判定部310は、判定結果を示す信号を信号生成部330に送信する。判定部310は、任意のアナログ回路により構成されてもよく、任意のデジタル回路により構成されてもよい。判定部310は、ウインドコンパレータを含んでよい。ウインドコンパレータは、例えば、2つのコンパレータを利用して実現することができる。
本実施形態において、判定部310は2つの入力端子を有する。判定部310の一方の入力端子(図中、-端子として示される)には、切替部230の一端(例えば、正極端子112側の端部である。)の電圧が入力される。判定部310の他方の入力端子(図中、+端子として示される)には、切替部230の他端(例えば、蓄電部210側の端部である。)の電圧が入力される。
本実施形態において、判定部310は2つの出力端子を有する。判定部310は、判定結果を示す信号として、一方の出力端子(図中、L端子として示される)から、切替部230の端子間電圧が第1の閾値よりも小さいことを示す信号を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が第1の閾値よりも小さい場合、判定部310は、L端子からH論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が第1の閾値以上である場合、判定部310は、L端子からL論理を出力する。
また、判定部310は、判定結果を示す信号として、他方の出力端子(図中、H端子として示される)から、切替部230の端子間電圧が第2の閾値よりも大きいことを示す信号を出力する。本実施形態において、第2の閾値の絶対値として、第1の閾値の絶対値よりも大きな値が設定される。例えば、切替部230の端子間電圧が第2の閾値よりも大きい場合、判定部310は、H端子からH論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が第2の閾値以下である場合、判定部310は、H端子からL論理を出力する。
一実施形態において、判定部310は、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致するか否かを決定することができる。第1条件としては、(i)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第1数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第1閾値より大きいことを示す条件、(iii)蓄電部の電圧又はSOCが第1閾値以上であることを示す条件などを例示することができる。第1条件は、例えば、蓄電部210が過充電であることを示す条件である。
他の実施形態において、判定部310は、例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致するか否かを決定することができる。第2条件としては、(i)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第2数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)蓄電部の電圧又はSOCが予め定められた第2閾値より小さいことを示す条件、(iii)蓄電部の電圧又はSOCが第2閾値以下であることを示す条件などを例示することができる。なお、第2条件は、第1条件とは異なる条件であってよい。第2条件は、例えば、蓄電部210が過放電であることを示す条件である。
さらに他の実施形態において、判定部310は、例えば、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致するか否かを決定することができる。第3条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が予め定められた第3数値範囲の範囲内であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が予め定められた第3閾値より小さいことを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が第3閾値以下であることを示す条件などを例示することができる。
さらに他の実施形態において、判定部310は、例えば、切替部230の端子間電圧が第4条件に合致するか否かを決定することができる。第4条件としては、(i)切替部230の端子間電圧が予め定められた第4数値範囲の範囲外であることを示す条件、(ii)切替部230の端子間電圧が予め定められた第4閾値より大きいことを示す条件、(iii)切替部230の端子間電圧が第4閾値以上であることを示す条件などを例示することができる。第4数値範囲は第3数値範囲と同一であってもよい。第4数値範囲の上限値は、第3数値範囲の上限値より大きくてもよい。第4閾値は第3閾値と同一であってもよい。第4閾値は、第3閾値より大きくてもよい。
本実施形態において、電流監視部1120は、コンパレータを含んでよい。電流監視部1120は、例えば、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。電流監視部1120の一方の入力端子(図中、+端子として示される)には、電流検出素子1020の一端(例えば、正極端子112側の端部である。)の電圧が入力される。電流監視部1120の他方の入力端子(図中、-端子として示される)には、電流検出素子1020の他端(例えば、切替部230側の端部である。)の電圧が入力される。
例えば、+端子に入力された電圧が、-端子に入力された電圧よりも大きい場合、電流監視部1120は、出力端子からH論理を出力する。一方、+端子に入力された電圧が、-端子に入力された電圧よりも小さい場合、電流監視部1120は、出力端子からL論理を出力する。また、+端子に入力された電圧と、-端子に入力された電圧とが等しい場合、又は、両者が等しいと見做せる場合、電流監視部1120は、出力端子から信号を出力しない。
本実施形態において、電流監視部1120は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方が、配線106及び蓄電部210を電気的に切断しているときに、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出する。一実施形態において、電流監視部1120は、過充電保護機能が有効化されているときに、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を検出する。他の実施形態において、電流監視部1120は、過放電保護機能が有効化されているときに、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を検出する。
本実施形態において、信号生成部330は、受信部320の機能を兼ね備えてよい。例えば、信号生成部330は、保護部250から、過放電保護機能を有効化させるための信号86を受信する。また、信号生成部330は、保護部250から、過充電保護機能を有効化させるための信号88を受信する。信号生成部330は、判定部310から、切替部230の端子間電圧に関する情報を受信する。信号生成部330は、電流監視部1120から、配線106及び蓄電部210の間の電流に関する情報を受信する。
本実施形態において、信号生成部330は、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、及び、(ii)電流監視部1120の検出結果に基づいて、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御することができる。信号生成部330は、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、及び、(ii)電流監視部1120の検出結果、及び、(iii)判定部310の判定結果に基づいて、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御することができる。信号生成部330は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方の動作を制御するための信号を、当該信号による制御対象となるトランジスタに出力することで、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方を制御してよい。
本実施形態において、判定部310が、切替部230の端子間電圧が第4条件に合致することを決定した場合、信号生成部330は、トランジスタ510及びトランジスタ520の少なくとも一方に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力してよい。これにより、判定部310は、蓄電部210の過電流保護機能としても利用され得る。
本実施形態において、OR回路1260は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1260の一方の入力端子には、判定部310のH端子からの出力が入力される。OR回路1260の他方の入力端子には、判定部310のL端子からの出力が入力される。
OR回路1260は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合、OR回路1260は、L論理を出力する。一方、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲から外れる場合、OR回路1260は、H論理を出力する。例えば、切替部230が上記の第4条件に合致する場合の一例として、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合、判定部310のH端子から、H論理が出力される。この場合、OR回路1260は、H論理を出力する。
本実施形態において、AND回路1272は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1272の一方の入力端子には、OR回路1260の出力が反転された信号が入力される。AND回路1272の他方の入力端子には、過充電保護機能を有効化させるための信号88が反転された信号が入力される。
AND回路1272は、2つの入力の論理積を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合(具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差の絶対値が特定の閾値よりも小さい場合又は当該閾値以下の場合である。)であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、AND回路1272は、H論理を出力する。一方、上記以外の場合、AND回路1272は、L論理を出力する。
本実施形態において、AND回路1274は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1274の一方の入力端子には、OR回路1260の出力が反転された信号が入力される。AND回路1274の他方の入力端子には、過放電保護機能を有効化させるための信号86が反転された信号が入力される。
AND回路1274は、2つの入力の論理積を出力する。例えば、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合(具体的には、配線106の電圧と、蓄電部210の電圧との差の絶対値が特定の閾値よりも小さい場合又は当該閾値以下の場合である。)であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過放電保護のための閾値よりも大きい場合、AND回路1274は、H論理を出力する。一方、上記以外の場合、AND回路1274は、L論理を出力する。
本実施形態において、OR回路1282は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1282の一方の入力端子には、電流監視部1120の出力が反転された信号が入力される。OR回路1282の他方の入力端子には、AND回路1272の出力が入力される。
OR回路1282は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、OR回路1282の出力がH論理である場合、トランジスタ510がオン動作し、OR回路1282の出力がL論理である場合、トランジスタ510がオフ動作する。一実施形態において、配線106及び蓄電部210の間で放電方向に電流が流れている場合、OR回路1282は、H論理を出力する。他の実施形態において、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、OR回路1282は、H論理を出力する。
本実施形態において、OR回路1284は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。OR回路1284の一方の入力端子には、電流監視部1120の出力が入力される。OR回路1284の他方の入力端子には、AND回路1274の出力が入力される。
OR回路1284は、2つの入力の論理和を出力する。例えば、OR回路1284の出力がH論理である場合、トランジスタ520がオン動作し、OR回路1284の出力がL論理である場合、トランジスタ520がオフ動作する。一実施形態において、配線106及び蓄電部210の間で充電方向に電流が流れている場合、OR回路1284は、H論理を出力する。他の実施形態において、切替部230の端子間電圧が特定の数値範囲に収まる場合であって、且つ、蓄電部210の電圧又はSOCが過充電保護のための閾値よりも小さい場合、OR回路1284は、H論理を出力する。
[信号生成部330の動作の具体例]
一実施形態において、判定部310が、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致することを決定した場合、信号生成部330は、例えば、トランジスタ510に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力する。なお、第1条件の内容によっては、信号生成部330は、トランジスタ520に信号を出力してもよい。
他の実施形態において、判定部310が、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致することを決定した場合、信号生成部330は、例えば、トランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に切断する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流を小さくする動作を実行させるための信号を出力する。なお、第2条件の内容によっては、信号生成部330は、トランジスタ510に信号を出力してもよい。
さらに他の実施形態において、判定部310が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致することを決定した場合、信号生成部330は、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件及び第2条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ510及びトランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。一方、判定部310が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合、信号生成部330は、電流監視部1120の検出結果に応じた信号を出力してよい。例えば、信号生成部330は、下記のとおり信号を出力する。
[(a)判定部310が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合において、(b)電流監視部1120が、(i)過充電保護機能が有効化されているときに配線106及び蓄電部210の間を放電方向に流れる電流、又は、(ii)トランジスタ510が配線106及び蓄電部を電気的に切断しているときに配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出した場合]
この場合、信号生成部330は、蓄電部210の電圧又はSOCが第1条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ510に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。
[(a)判定部310が、切替部230の端子間電圧が第3条件に合致しないことを決定した場合において、(c)電流監視部1120が、(i)過放電保護機能が有効化されているときに配線106及び蓄電部210の間を充電方向に流れる電流、又は、(ii)トランジスタ520が配線106及び蓄電部を電気的に切断しているときに配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を検出した場合]
この場合、信号生成部330は、蓄電部210の電圧又はSOCが第2条件に合致するか否かに関わらず、トランジスタ520に、配線106及び蓄電部210を電気的に接続する動作、又は、配線106及び蓄電部210の間を流れる電流を大きくする動作を実行させるための信号を出力する。
さらに他の実施形態において、モジュール制御部1040は、過電流により蓄電部210が劣化又は破損することを抑制することができる。上述のとおり、切替部230が上記の第4条件に合致する場合の一例として、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合、OR回路1260が、H論理を出力する。
そのため、配線106及び蓄電部210の間で放電方向に電流が流れている場合であって、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合には、OR回路1282から、L論理が出力される。その結果、トランジスタ510がオフ動作する。同様に、配線106及び蓄電部210の間で充電方向に電流が流れている場合であって、切替部230の端子間電圧が特定の値よりも大きい場合には、OR回路1284から、L論理が出力される。その結果、トランジスタ520がオフ動作する。
本実施形態によれば、寄生ダイオード842及び寄生ダイオード844に定常的に電流が流れることが抑制される。その結果、切替部230の端子間電圧と、トランジスタ510及びトランジスタ520を介して流れる電流とが比例すると見做すことができる。そこで、電流検出素子1020の抵抗値を適切に設定したり、配線106及び蓄電部210の間において、適切な抵抗値を有する抵抗を、電流検出素子1020と直列に接続したりすることにより、判定部310及び信号生成部330を、過電流保護回路として利用することができる。
図13は、モジュール制御部1040の回路構成の一例を概略的に示す。図13に開示されたモジュール制御部1040は、電流検出素子1020と、120との間に抵抗1310を備える点で、図12に関連して説明されたモジュール制御部1040と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、図13に開示されたモジュール制御部1040は、図12に関連して説明されたモジュール制御部1040の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
上述のとおり、抵抗1310の抵抗値を適切に設定することで、判定部310及び信号生成部330を、過電流保護回路として利用することができる。抵抗1310の抵抗値は、例えば、判定部310が、負荷電流の値が予め定められた数値範囲に収まるか否かを確実に判定することができるように決定される。また、抵抗1310は、電流検出素子1020の代わりに、電流検出素子として利用されてもよい。この場合、蓄電モジュール1010は、電流検出素子1020を備えなくてもよい。
図14は、蓄電モジュール1410のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール1410は、電圧調整部1430を備え、モジュール制御部1040が電圧調整部1430の動作を制御する点で、蓄電モジュール1010と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1410は、蓄電モジュール1010の対応する構成と同様の特徴を有してよい。電圧調整部1430は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一例であってよい。
図15は、電圧調整部1430の回路構成の一例を概略的に示す。図15は、また、蓄電モジュール1410のモジュール制御部1040の回路構成の一例を概略的に示す。
本実施形態において、電圧調整部1430は、トランジスタ1522と、抵抗1524とを備える。本実施形態において、電圧調整部1430は、トランジスタ1542と、抵抗1544とを備える。トランジスタ1522は、第1スイッチング素子の一例であってよい。トランジスタ1542は、第2スイッチング素子の一例であってよい。
本実施形態において、蓄電モジュール1410のモジュール制御部1040は、信号生成部330(図示されていない。)がAND回路1552及びAND回路1554を備える点で、蓄電モジュール1010のモジュール制御部1040と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1410のモジュール制御部1040は、蓄電モジュール1010のモジュール制御部1040の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
本実施形態において、トランジスタ1522は、配線106及び蓄電部210の間において切替部230と並列に接続される。例えば、トランジスタ1522の一端は、切替部230の一端と電気的に接続される。トランジスタ1522の一端は、正極端子112を介して、配線106と電気的に接続されてもよい。一方、トランジスタ1522の他端は、切替部230の他端と電気的に接続される。トランジスタ1522の他端は、蓄電部210と電気的に接続されてもよい。
本実施形態によれば、蓄電モジュールを容易に活性挿抜することができる。しかしながら、例えば、蓄電システム100が非常用電源のように使用頻度の少ない機器である場合、蓄電システム100に含まれる複数の蓄電モジュールの一部を交換した後、交換された蓄電モジュールが蓄電システム100の配線106と電気的に接続されるまでに時間がかかることがある。このような場合であっても、トランジスタ1522は、任意のタイミングで、配線106と、蓄電モジュール1410の蓄電部210とを電気的に接続することができる。
本実施形態において、抵抗1524は、トランジスタ1522がオン動作した場合に、トランジスタ1522に流れる電流の大きさを決定する。抵抗1524の抵抗値は、トランジスタ1522がオン動作した場合に、トランジスタ1522に過大な電流が流れないように決定される。一実施形態において、抵抗1524の抵抗値は、トランジスタ1522を介して配線106及び蓄電部210を電気的に接続する経路の抵抗値が、切替部230を介して配線106及び蓄電部210を電気的に接続する経路の抵抗値よりも大きくなるように決定される。
他の実施形態において、抵抗1524の抵抗値は、「トランジスタ1522がオン動作した場合に、特定の充電電圧において、蓄電部210を第1SOCから第2SOCまで充電するために要する時間」に基づいて、決定されてよい。例えば、第1SOCが25%であり、第2SOCが75%である。第1SOCが20%であり、第2SOCが80%であってもよい。第1SOCが10%であり、第2SOCが90%であってもよい。第1SOCが0%であり、第2SOCが100%であってもよい。上記の時間としては、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、1週間、10日、15日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヶ月などを例示することができる。
本実施形態において、トランジスタ1542は、一端が蓄電部210の正極端子212と電気的に接続され、他端が蓄電部210の負極端子214又は基準電位と電気的に接続される。これにより、任意のタイミングで、蓄電部210を放電することができる。その結果、トランジスタ1542は、任意のタイミングで、配線106の電圧と、蓄電モジュール1410の蓄電部210の電圧との差を調整することができる。例えば、蓄電システム100が使用頻度の少ない機器であっても、蓄電モジュール1410は、任意のタイミングで、配線106と、蓄電モジュール1410の蓄電部210とを電気的に接続することができる。
本実施形態において、抵抗1544は、トランジスタ1542がオン動作した場合に、トランジスタ1542に流れる電流の大きさを決定する。抵抗1544の抵抗値は、トランジスタ1542がオン動作した場合に、トランジスタ1542に過大な電流が流れないように決定される。一実施形態において、抵抗1544の抵抗値は、トランジスタ1542を介して蓄電部210の一端及び他端を電気的に接続する経路の抵抗値が、切替部230を介して配線106及び蓄電部210を電気的に接続する経路の抵抗値よりも大きくなるように決定される。
他の実施形態において、抵抗1544の抵抗値は、「トランジスタ1542がオン動作した場合に、蓄電部210を第1SOCから第2SOCまで放電するために要する時間」に基づいて、決定されてよい。例えば、第1SOCが75%であり、第2SOCが25%である。第1SOCが80%であり、第2SOCが20%であってもよい。第1SOCが90%であり、第2SOCが10%であってもよい。第1SOCが100%であり、第2SOCが0%であってもよい。上記の時間としては、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、1週間、10日、15日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヶ月などを例示することができる。
本実施形態において、AND回路1552は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1552の一方の入力端子には、過充電保護機能を有効化させるための信号88が反転された信号が入力される。AND回路1552の他方の入力端子には、判定部310のL端子からの出力が入力される。AND回路1552は、2つの入力の論理積を出力する。AND回路1552から出力された信号92は、トランジスタ1522の入力端子に入力される。
本実施形態において、AND回路1554は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有する。AND回路1554の一方の入力端子には、過放電保護機能を有効化させるための信号86が反転された信号が入力される。AND回路1554の他方の入力端子には、判定部310のH端子からの出力が入力される。AND回路1554は、2つの入力の論理積を出力する。AND回路1554から出力された信号94は、トランジスタ1522の入力端子に入力される。
これにより、モジュール制御部1040は、例えば、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、(ii)配線106の電圧、及び、(iii)蓄電部210の正極端子212の電圧に基づいて、トランジスタ1522の動作を制御することができる。また、モジュール制御部1040は、例えば、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、(ii)配線106の電圧、及び、(iii)蓄電部210の正極端子212の電圧に基づいて、トランジスタ1542の動作を制御することができる。
図16は、電圧調整部1430の一例を概略的に示す。図16に開示された電圧調整部1430は、トランジスタ1522及び抵抗1544の代わりに、双方向DC-DCコンバータ1630を有する点で、図15に関連して説明された電圧調整部1430と相違する。上記の相違点以外の構成に関して、図16に開示された電圧調整部1430は、図15に関連して説明された電圧調整部1430の対応する構成と同様の特徴を有してよい。
本実施形態において、双方向DC-DCコンバータ1630は、配線106及び蓄電部210の間において切替部230と並列に接続される。例えば、双方向DC-DCコンバータ1630の一端は、切替部230の一端と電気的に接続される。双方向DC-DCコンバータ1630の一端は、正極端子112を介して、配線106と電気的に接続されてもよい。一方、双方向DC-DCコンバータ1630の他端は、切替部230の他端と電気的に接続される。双方向DC-DCコンバータ1630の他端は、蓄電部210と電気的に接続されてもよい。
双方向DC-DCコンバータ1630の定格電流値は、切替部230の定格電流値よりも小さくてよい。双方向DC-DCコンバータ1630の仕様は、「双方向DC-DCコンバータ1630が作動した場合に、蓄電部210を第1SOCから第2SOCまで充電するために要する時間」に基づいて、決定されてよい。例えば、第1SOCが25%であり、第2SOCが75%である。第1SOCが20%であり、第2SOCが80%であってもよい。第1SOCが10%であり、第2SOCが90%であってもよい。第1SOCが0%であり、第2SOCが100%であってもよい。上記の時間としては、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、1週間、10日、15日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヶ月などを例示することができる。
双方向DC-DCコンバータ1630の仕様は、「双方向DC-DCコンバータ1630が作動した場合に、蓄電部210を第1SOCから第2SOCまで放電するために要する時間」に基づいて、決定されてよい。例えば、第1SOCが75%であり、第2SOCが25%である。第1SOCが80%であり、第2SOCが20%であってもよい。第1SOCが90%であり、第2SOCが10%であってもよい。第1SOCが100%であり、第2SOCが0%であってもよい。上記の時間としては、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、1週間、10日、15日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヶ月などを例示することができる。双方向DC-DCコンバータ1630の仕様としては、定格電流値、定格電力値などを例示することができる。
切替部230を完全に代替する目的で双方向DC-DCコンバータを使用する場合、大きくて高価な双方向DC-DCコンバータが用いられる。しかしながら、本実施形態によれば、双方向DC-DCコンバータ1630は、例えば、蓄電システム100が停止している期間を利用して、一の蓄電モジュール1410から、他の蓄電モジュール1410に電気エネルギーを伝送する。そのため、切替部230を完全に代替する目的で双方向DC-DCコンバータを使用する場合と比較して、双方向DC-DCコンバータ1630の能力は遥かに小さくてよい。
本実施形態において、双方向DC-DCコンバータ1630は、モジュール制御部1040により制御される。モジュール制御部1040は、例えば、(i)蓄電部210の電圧又はSOC、(ii)配線106の電圧、及び、(iii)蓄電部210の正極端子212の電圧に基づいて、双方向DC-DCコンバータ1630の動作を制御する。
本実施形態によれば、双方向DC-DCコンバータ1630は、任意のタイミングで、蓄電部210から配線106に電気エネルギーを伝送することができる。また、双方向DC-DCコンバータ1630は、任意のタイミングで、配線106から210に電気エネルギーを伝送することができる。
図17は、蓄電モジュール1710のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、蓄電モジュール1710は、モジュール制御部1040が、過放電保護のインターロック及び過充電保護のインターロックの少なくとも一方を解除することを決定すると、過放電保護のリセット信号及び過充電保護のリセット信号の少なくとも一方を保護部250に送信する点で、蓄電モジュール1410などと相違する。また、蓄電モジュール1710は、保護部250が、リセット信号を受信すると、切替部230を制御して、過放電保護のインターロック及び過充電保護のインターロックの少なくとも一方を解除する点で、蓄電モジュール1410などと相違する。上記の相違点以外の構成に関して、蓄電モジュール1710は、蓄電モジュール1410などの対応する構成と同様の特徴を有してよい。
上記の各実施形態においては、切替部230、切替部630、切替部730などの切替部が、蓄電モジュール110、蓄電モジュール710、蓄電モジュール1010、蓄電モジュール1410、蓄電モジュール1710などの蓄電モジュールの内部に配される場合を例として、蓄電システム100の詳細が説明された。しかしながら、蓄電システム100は、上記の各実施形態に限定されない。
他の実施形態において、切替部は、蓄電モジュールの外部に配されてもよい。例えば、切替部は、蓄電システム100の接続端子102と、各蓄電モジュールの正極端子との間に配される。切替部は、蓄電システム100の接続端子104と、各蓄電モジュールの負極端子との間に配されてもよい。各蓄電モジュールの内部又は外部に配された上記の切替部は、各蓄電モジュールに対応する切替部と称される場合がある。
図18~図29を用いて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧の決定方法の一例が説明される。蓄電モジュールの定格電圧は、蓄電モジュールが予め定められた電流値で放電した場合において、当該蓄電モジュールの放電量が、当該蓄電モジュールの全エネルギーの1/2となった時点における電圧を示す。上記のあらかじめ定められた電流値としては、例えば、0.2Cという値が用いられる。定格電圧は、平均電圧と称される場合がある。
蓄電モジュールが単一の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュールの定格電圧は、蓄電セルの定格電圧として示されてよい。蓄電モジュールが直列に接続された複数の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュールの定格電圧は、(i)複数の蓄電セルのそれぞれの定格電圧の和として示されてもよく、(ii)単一の蓄電セルの定格電圧と、蓄電セルの直列数との積として示されてもよい。蓄電セルの定格電圧は、蓄電セルが予め定められた電流値で放電した場合において、当該蓄電セルの放電量が、当該蓄電セルの全エネルギーの1/2となった時点における電圧を示す。上記のあらかじめ定められた電流値としては、例えば、0.2Cという値が用いられる。
上述されたとおり、蓄電システム100には、種類の異なる複数の蓄電モジュールが電気的に接続され得る。蓄電モジュール又は当該蓄電モジュールを構成する蓄電セルの入手の容易性又は入荷量が、当該蓄電モジュール又は当該蓄電セルの種類によって異なる場合がある。また、蓄電モジュールの種類によって、蓄電モジュールの大きさが異なる場合もある。
例えば、蓄電モジュール又は蓄電セルの入手の容易性又は入荷量に応じて、蓄電モジュールの交換頻度を調整することができれば、蓄電モジュールの再利用の効率化、蓄電システム100の維持管理などにさらに貢献することができる。しかしながら、図1から図17に関連して説明された蓄電システム100においては、蓄電モジュールと、蓄電システム100との電気的な接続関係が、当該蓄電モジュールの電圧に応じて自動的に切り替えられる。そのため、他の蓄電モジュールの電圧の状態によらずに、特定の蓄電モジュールを任意のタイミングで充電したり放電したりすることが難しい。
また、図2に関連して説明されたとおり、蓄電モジュール110は、正極端子112及び負極端子114と電気的に接続される、(i)単一の蓄電セル又は(ii)直列に接続された複数の蓄電セルを備える。蓄電モジュール110において、上記の単一又は複数の蓄電セルは、正極端子112及び負極端子114と直列に接続される。蓄電モジュール110において、正極端子112及び負極端子114と直列に接続された蓄電セルの個数は、任意の数に調整され得る。そのため、上記の1以上の蓄電セルの電池系が同一であっても、蓄電システム100に装着される複数の蓄電モジュールの間で、上記の蓄電セルの個数が異なる場合、特定の蓄電モジュールを任意のタイミングで充電したり放電したりすることが難しい。
そこで、図18~図29に関連して説明される実施形態においては、並列に接続される第1蓄電装置及び第2蓄電装置を装着可能な蓄電システムにおいて、第1蓄電装置の定格電圧を決定する方法が提供される。上記の蓄電システムは、例えば、(A)放電工程が実施された後、次の放電工程に備えて、第1蓄電装置及び第2蓄電装置の少なくとも一方の電圧が、予め定められた第1閾値と等しい又は第1閾値よりも大きな状態で待機する放電待機工程、及び、(B)充電工程が実施された後、次の充電工程に備えて、第1蓄電装置及び第2蓄電装置の少なくとも一方の電圧が、予め定められた第2閾値と等しい又は第2閾値よりも小さな状態で待機する充電待機工程の少なくとも一方の工程を有する。
蓄電システム100は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置を装着可能な蓄電システムの一例であってよい。蓄電モジュール110は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置の一方の一例であってよい。蓄電モジュール120は、第1蓄電装置及び第2蓄電装置の他方の一例であってよい。
上記の方法において、一実施形態によれば、第1蓄電装置の種類と、第2蓄電装置の種類とが異なる。他の実施形態によれば、第1蓄電装置において正極端子及び負極端子と直列に接続された蓄電セルの個数と、第2蓄電装置において正極端子及び負極端子と直列に接続された蓄電セルの個数とが異なる。例えば、第1蓄電装置に含まれる直列に接続された複数の蓄電セルの個数と、第2蓄電装置に含まれる直列に接続された複数の蓄電セルの個数とが異なる。
なお、蓄電装置の種類は、蓄電セルの電池系が同一の場合であっても、例えば、(i)充放電特性曲線のパターン、(i)特定の状態におけるdV/dQの大きさにより区別され得る。充放電特性曲線は、蓄電装置の充電率(SOCと称される場合がある。)に対する出力電圧を示す曲線であってもよく、蓄電装置の放電深度(DODと称される場合がある。)に対する出力電圧を示す曲線であってもよく、OCV(Open Circuit Voltage)を示す曲線であってもよい。
ここで、放電深度DOD[%]は、100-SOC[%]として定義される。Vは、組電池(例えば、蓄電システム100である。)における蓄電装置(例えば、蓄電モジュール110又は蓄電モジュール120である。)の出力電圧である。Qは、蓄電装置に流れる電流の積分値(電気量と称される場合がある。)である。また、dV/dQの大きさは、上記の特定の状態における充放電特性曲線の傾きを示す。上記の特定の状態としては、蓄電装置が予め定められた電流値で放電した場合において、当該蓄電装置の放電量が、当該蓄電装置の全エネルギーの1/2となった状態が例示される。
例えば、蓄電装置がリチウム電池又はリチウムイオン電池(Li蓄電池と称される場合がある。)である場合、蓄電装置の種類としては、LFP系Li蓄電池、3元系Li蓄電池、Mn系Li蓄電池、Co系Li蓄電池、Ni系Li蓄電池などが例示される。例えば、LFP系Li蓄電池は、比較的平坦なパターンを有する充放電特性曲線を示す。一方、3元系Li蓄電池は、比較的傾きの大きなパターンを有する充放電特性曲線を示す。そのため、一般的に、LFP系Li蓄電池のdV/dQは、3元系Li蓄電池のdV/dQよりも小さい。
説明を簡単にすることを目的として、本実施形態においては、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120を備えた蓄電システム100を例として、上記の方法の詳細が説明される。しかしながら、上記の方法は、本実施形態に限定されない。上記の方法は、3以上の蓄電装置を備えた蓄電システムにも適用され得る。例えば、上記の方法は、1以上の蓄電モジュール110と、1以上の蓄電モジュール120とを備えた蓄電システム100に適用される。
上記の方法においては、まず、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率の大きくなる蓄電モジュール(主要装置と称される場合がある。)が決定される。稼働率は、例えば、(i)予め定められた期間における放電時間及び充電時間の少なくとも一方の累積値である累積時間、(ii)予め定められた期間における放電量及び充電量の少なくとも一方の累積値である累積電力量、及び、(iii)予め定められた期間における放電回数及び充電回数の少なくとも一方の累積値である累積回数の少なくとも1つにより決定される。
次に、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧と、他方の蓄電モジュールの定格電圧との大小関係が決定される。上記の大小関係は、例えば、蓄電システム100の用途により決定される。例えば、蓄電システム100の用途としては、(i)無停電電源装置のように、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途、(ii)電力バッファ装置のように、充電待機工程において比較的小さなSOCを維持することが重視される用途などがある。
一実施形態において、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる。この場合、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧を、他方の蓄電モジュールの定格電圧よりも大きくすることが決定される。
他の実施形態において、蓄電システム100が、充電待機工程において比較的小さなSOCを維持することが重視される用途に用いられる。この場合、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧を、他方の蓄電モジュールの定格電圧よりも小さくすることが決定される。
次に、上記の大小関係を満足するように、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧が決定される。例えば、蓄電モジュール110に含まれる複数の蓄電セルの直列数を調整することで、蓄電モジュール110の定格電圧が調整され得る。蓄電モジュール110の定格電圧は、手動により調整されてもよく、蓄電システム100又は蓄電モジュール110による制御により調整されてもよい。
[蓄電システム100が放電待機工程を有する実施形態]
図18~図23を用いて、蓄電モジュール110の稼働率を蓄電モジュール120の稼働率よりも大きくする場合を例として、上記の方法の詳細が説明される。図18~図23の実施形態においては、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合を例として、上記の方法の詳細が説明される。
図18を用いて、放電待機工程の概要が説明される。図19~図22を用いて、蓄電モジュール110が例えばLFP系Li蓄電池であり、蓄電モジュール120が例えば3元系Li蓄電池である場合における、蓄電システム100の動作の詳細が説明される。また、図23を用いて、蓄電モジュール110の定格電圧の調整方法の詳細が説明される。
図18は、蓄電システム100の放電待機工程の一例を概略的に示す。図18は、蓄電システム100の各工程における電圧変動1800を示す。図18において、VHは、放電待機工程における定常電圧の値を示す。図18に示されるとおり、蓄電システム100が上記の用途に用いられる場合、蓄電システム100の定常状態(つまり、放電待機工程である。)において、蓄電システム100の電圧はVHと等しい、又は、VHよりも大きな状態に維持される。
蓄電システム100が放電待機工程で待機しているときに、蓄電システム100の外部で電源異常が発生した場合、蓄電システム100の放電工程が実行される。電源異常としては、瞬時電圧低下、瞬時停電、停電などが例示される。電源異常が解消すると、放電工程が停止される。その後、充電工程が実行されて蓄電システム100の電圧がVHになると、充電工程が停止され、放電待機工程に移行する。
次に、図19及び図20を用いて、蓄電モジュール110の定格電圧が蓄電モジュール120の定格電圧よりも大きい場合における、蓄電システム100の放電動作の詳細が説明される。具体的には、蓄電システム100が放電待機工程から放電工程に移行する場合における、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの放電動作の詳細が説明される。
図19は、各蓄電モジュールの充放電特性の一例を概略的に示す。図19において、曲線1910は、蓄電モジュール110の充放電特性の一例を示す。また、曲線1920は、蓄電モジュール120の充放電特性の一例を示す。
曲線1910に示されるとおり、SOCが100%のとき(つまり、DODが0%のとき)、蓄電モジュール110の電圧はVSHである。なお、VSHは、上記の蓄電システム100の定常電圧VHと等しくてもよく、定常電圧VHより大きくてもよい。また、蓄電モジュール110が0.2Cで放電した場合において、蓄電モジュール110の放電量が、蓄電モジュール110の全エネルギーの1/2となった時点(このとき、蓄電システム100の放電量は、図19においてSRとして示される。)において、蓄電モジュール110の電圧は定格電圧VSRを示す。その後、放電が進行して蓄電モジュール110のSOCが0%になると(つまり、DODが100%になると)、蓄電モジュール110の電圧はVSLとなる。
曲線1920に示されるとおり、SOCが100%のとき、蓄電モジュール120の電圧はVLHである。また、蓄電モジュール120のSOCがSRのとき、蓄電モジュール120の電圧は定格電圧VLRを示す。その後、放電が進行して蓄電モジュール120のSOCが0%になると、蓄電モジュール120の電圧はVLLとなる。
図19に示されるとおり、本実施形態においては、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが、蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも大きい。また、蓄電モジュール110の電圧が定格電圧VSRである場合のdV/dQは、蓄電モジュール120の電圧が定格電圧VSLである場合のdV/dQよりも小さい。
本実施形態によれば、蓄電モジュール110のSOCが100%であるときの蓄電モジュール110の電圧VSHは、蓄電モジュール120のSOCが100%であるときの蓄電モジュール120の電圧VLHよりも大きい。放電待機時の定常電圧VHの設定値は特に限定されるものではないが、放電待機時の定常電圧VHは、例えば、上記の蓄電モジュール110の電圧VSHより小さく、上記の蓄電モジュール120の電圧VLHよりも大きな値に設定される。
本実施形態によれば、蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール110の蓄電部210が、確実に蓄電システム100と電気的に接続される。一方、蓄電モジュール120の電圧次第では、蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール120の蓄電部210は、蓄電システム100と電気的に接続されていない。
例えば、(i)蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のSOCが100%であり、且つ、(ii)VSH及びVLHの差の絶対値が、蓄電モジュール120の切替部230の開閉に関する設定値よりも大きい場合、蓄電モジュール120の切替部230がオフになっている。そのため、蓄電モジュール120の蓄電部210が、蓄電システム100の接続端子102及び接続端子104から電気的に切断されている。
このような場合において、蓄電システム100の外部で電源異常が発生し、蓄電システム100の放電工程が開始されると、まずは、蓄電モジュール110が単独で放電を開始する。その後、蓄電モジュール110の放電が進行し、例えば、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール110の電圧である。)がVLHになったとき、蓄電モジュール120の蓄電部210が蓄電システム100と電気的に接続される。
そして、本実施形態においては、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧である。)がVSLになるまで、蓄電システム100は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の放電により電力を出力する。さらに放電が進み、蓄電システム100の電圧がVSLよりも小さくなると、蓄電モジュール110の蓄電部210が蓄電システム100から電気的に切断される。その後、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール120の電圧である。)がVLLになるまで、蓄電システム100は、蓄電モジュール120の放電により電力を出力する。
次に、図20を用いて、図19に関連して説明された蓄電システム100の放電工程の一例が説明される。図20は、各蓄電モジュールの放電電流の電流値の変動の一例を概略的に示す。図20において、曲線2010は、蓄電システム100の放電工程における蓄電モジュール110の出力電流Ibatの変動を示す。曲線2020は、蓄電システム100の放電工程における蓄電モジュール120の出力電流Ibatの変動を示す。
図19に関連して説明されたとおり、本実施形態によれば、蓄電システム100の放電工程が開始されると、まず、蓄電モジュール110が単独で電力を供給する。放電が進行して時刻TLHになると、蓄電システム100の電圧がVLHになる。このとき、蓄電モジュール120が、蓄電システム100と電気的に接続される。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の両方から電力が供給される。本実施形態においては、時刻TLHでは、蓄電モジュール110のdV/dQが、蓄電モジュール120のdV/dQよりも小さい。そのため、蓄電モジュール110の出力電流の電流値が、蓄電モジュール120の出力電流の電流値よりも大きい。
さらに放電が進行して時刻TCNになると、蓄電システム100の電圧がVCNになる。このとき、蓄電モジュール110のdV/dQと、蓄電モジュール120のdV/dQとが略同一となる。そのため、蓄電モジュール110の出力電流の電流値と、蓄電モジュール120の出力電流の電流値とが略同一になる。
さらに放電が進行して時刻TSLになると、蓄電システム100の電圧がVSLになり、蓄電モジュール110が蓄電システム100から電気的に切断される。その後、時刻TLLにおいて蓄電システム100の電圧がVLLになるまで、蓄電モジュール120が単独で電力を供給する。
図19及び図20に示されるとおり、本実施形態によれば、蓄電モジュール110の定格電圧が、蓄電モジュール120の定格電圧よりも大きい。そのため、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合には、蓄電モジュール110が蓄電システム100と電気的に接続されている時間が、蓄電モジュール120が蓄電システム100と電気的に接続されている時間よりも長くなる。その結果、蓄電モジュール110の稼働率が、蓄電モジュール120の稼働率よりも大きくなる。
次に、図21及び図22を用いて、蓄電モジュール110の定格電圧が蓄電モジュール120の定格電圧よりも小さい場合における、蓄電システム100の放電動作の詳細が説明される。具体的には、蓄電システム100が放電待機工程から放電工程に移行する場合における、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの放電動作の詳細が説明される。
図21は、各蓄電モジュールの充放電特性の一例を概略的に示す。図21において、曲線2110は、蓄電モジュール110の充放電特性の一例を示す。また、曲線2120は、蓄電モジュール120の充放電特性の一例を示す。
曲線2110に示されるとおり、SOCが100%のとき(つまり、DODが0%のとき)、蓄電モジュール110の電圧はVSHである。また、蓄電モジュール110が0.2Cで放電した場合において、蓄電モジュール110の放電量が、蓄電モジュール110の全エネルギーの1/2となった時点(このとき、蓄電システム100の放電量は、図21においてSRとして示される。)において、蓄電モジュール110の電圧は定格電圧VSRを示す。その後、放電が進行して蓄電モジュール110のSOCが0%になると(つまり、DODが100%になると)、蓄電モジュール110の電圧はVSLとなる。
曲線2120に示されるとおり、SOCが100%のとき、蓄電モジュール120の電圧はVLHである。また、蓄電モジュール120のSOCがSRのとき、蓄電モジュール120の電圧は定格電圧VLRを示す。その後、放電が進行して蓄電モジュール120のSOCが0%になると、蓄電モジュール120の電圧はVLLとなる。
図21に示されるとおり、本実施形態においては、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが、蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも小さい。また、蓄電モジュール110の電圧が定格電圧VSRである場合のdV/dQは、蓄電モジュール120の電圧が定格電圧VLRである場合のdV/dQよりも小さい。
本実施形態によれば、蓄電モジュール110のSOCが100%であるときの蓄電モジュール110の電圧VSHは、蓄電モジュール120のSOCが100%であるときの蓄電モジュール120の電圧VLHよりも小さい。放電待機時の定常電圧VHの設定値は特に限定されるものではないが、放電待機時の定常電圧VHは、例えば、上記の蓄電モジュール110の電圧VSHより大きく、上記の蓄電モジュール120の電圧VLHよりも小さな値に設定される。
本実施形態によれば、蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール120の蓄電部210が、確実に蓄電システム100と電気的に接続される。一方、蓄電モジュール110の電圧次第では、蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール110の蓄電部210は、蓄電システム100と電気的に接続されていない。
例えば、(i)蓄電システム100の放電待機工程において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のSOCが100%であり、且つ、(ii)VSH及びVLHの差の絶対値が、蓄電モジュール110の切替部230の開閉に関する設定値よりも大きい場合、蓄電モジュール110の切替部230がオフになっている。そのため、蓄電モジュール110の蓄電部210が、蓄電システム100の接続端子102及び接続端子104から電気的に切断されている。
このような場合において、蓄電システム100の外部で電源異常が発生し、蓄電システム100の放電工程が開始されると、まずは、蓄電モジュール120が単独で放電を開始する。その後、蓄電モジュール120の放電が進行し、例えば、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール120の電圧である。)がVSHになったとき、蓄電モジュール110の蓄電部210が蓄電システム100と電気的に接続される。
そして、本実施形態においては、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧である。)がVSLになるまで、蓄電システム100は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の放電により電力を出力する。さらに放電が進み、蓄電システム100の電圧がVSLよりも小さくなると、蓄電モジュール110の蓄電部210が蓄電システム100から電気的に切断される。その後、蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール120の電圧である。)がVLLになるまで、蓄電システム100は、蓄電モジュール120の放電により電力を出力する。
次に、図22を用いて、図21に関連して説明された蓄電システム100の放電工程の一例が説明される。図22は、各蓄電モジュールの放電電流の電流値の変動の一例を概略的に示す。図22において、曲線2210は、蓄電システム100の放電工程における蓄電モジュール110の出力電流Ibatの変動を示す。曲線2220は、蓄電システム100の放電工程における蓄電モジュール120の出力電流Ibatの変動を示す。
図21に関連して説明されたとおり、本実施形態によれば、蓄電システム100の放電工程が開始されると、まず、蓄電モジュール120が、単独で電力を供給する。放電が進行して時刻TSHになると、蓄電システム100の電圧がVSHになる。このとき、蓄電モジュール110が、蓄電システム100と電気的に接続される。これにより、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の両方から電力が供給される。本実施形態においては、時刻TSHでは、蓄電モジュール120のdV/dQが、蓄電モジュール110のdV/dQよりも小さい。そのため、蓄電モジュール120の出力電流の電流値が、蓄電モジュール110の出力電流の電流値よりも大きい。
さらに放電が進行して時刻TCNPになると、蓄電システム100の電圧がVCNPになる。このとき、蓄電モジュール110のdV/dQと、蓄電モジュール120のdV/dQとが略同一となる。そのため、蓄電モジュール110の出力電流の電流値と、蓄電モジュール120の出力電流の電流値とが略同一になる。その後、時刻TCNSになり、蓄電システム100の電圧がVCNSになるまで、蓄電モジュール110のdV/dQが、蓄電モジュール120のdV/dQよりも小さい状態が継続する。そのため、蓄電モジュール110の出力電流の電流値が、蓄電モジュール120の出力電流の電流値よりも大きい状態が継続する。
本実施形態において、蓄電システム100の電圧がVCNSになると、蓄電モジュール110のdV/dQと、蓄電モジュール120のdV/dQとが略同一となる。そのため、蓄電モジュール110の出力電流の電流値と、蓄電モジュール120の出力電流の電流値とが略同一になる。その後、さらに放電が進行して時刻TSLになると、蓄電システム100の電圧がVSLになり、蓄電モジュール110が蓄電システム100から電気的に切断される。その後、時刻TLLにおいて蓄電システム100の電圧がVLLになるまで、蓄電モジュール120が単独で電力を供給する。
図21及び図22に示されるとおり、本実施形態によれば、蓄電モジュール110の定格電圧が、蓄電モジュール120の定格電圧よりも小さい。そのため、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合には、蓄電モジュール110が蓄電システム100と電気的に接続されている時間が、蓄電モジュール120が蓄電システム100と電気的に接続されている時間よりも短くなる。その結果、蓄電モジュール110の稼働率が、蓄電モジュール120の稼働率よりも小さくなる。
図19~図22に示されるとおり、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合、蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール120の定格電圧よりも大きくすれば、蓄電モジュール110の稼働率を蓄電モジュール120の稼働率よりも大きくすることができる。一方、蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール120の定格電圧よりも小さくすれば、蓄電モジュール110の稼働率を蓄電モジュール120の稼働率よりも小さくすることができる。
特に、蓄電システム100が無停電電源装置として用いられる場合、蓄電システム100は、特定の充電状態から任意の放電容量だけ放電した後、当該特定の充電状態に戻される。そのため、蓄電システム100は、比較的放電深度の浅い領域で繰り返し利用される。この場合、主に蓄電モジュール110が利用されるので、蓄電モジュール120と比較して、蓄電モジュール110の劣化が促進される。
上記の手法は、蓄電モジュール110の充放電特性曲線が比較的平坦なパターンを有する場合に、特に効果的である。蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を決定する方法の詳細は後述される。また、例えば、蓄電モジュール110の定格電圧を調整する方法としては、(i)蓄電部210を構成する1以上の蓄電セルのそれぞれの定格電圧を調整する方法、(ii)蓄電部210を構成する1以上の蓄電セルのうち、正極端子212及び負極端子214と電気的に接続される蓄電セルの個数を調整する方法などが例示される。
図23は、蓄電モジュールの定格電圧を決定する方法の一例を概略的に示す。本実施形態においては、説明を簡単にすることを目的として、蓄電モジュール110の定格電圧が決定される場合を例として、定格電圧の決定方法の詳細が説明される。なお、他の実施形態において、同様の手順により、蓄電モジュール120の定格電圧が決定されてもよく、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の定格電圧が決定されてもよい。
本実施形態によれば、まず、S2312において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、主に稼働する蓄電モジュールを決定する。具体的には、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、何れの稼働率を大きくするかを決定する。本実施形態においては、蓄電モジュール110の稼働率を大きくすることが決定される。
次に、S2314において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の定格電圧の大小関係を決定する。具体的には、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧と、他方の蓄電モジュールの定格電圧との大小関係を決定する。
より具体的には、図19~図22に関連して説明された実施形態においては、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる。この場合、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュール110の定格電圧VSRを、蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも大きくすることを決定する。
次に、S2316において、S2314において決定された大小関係を満足するように、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を決定する。例えば、S2314において、蓄電モジュール110の定格電圧VSRを蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも大きくすることが決定された場合、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが、蓄電システム100の放電待機工程における定常電圧VHと等しい又は当該定常電圧VHよりも小さくなるように、蓄電モジュール110の定格電圧VSRを決定する。
蓄電モジュール110が、蓄電部210に含まれる1以上の蓄電セルの直列数を調整可能に構成されている場合、上記の調整可能な直列数に基づいて、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが決定されてよい。例えば、蓄電モジュール110の蓄電部210が、直列に接続された200個の蓄電セルを含み、各蓄電セルの定格電圧が3.7Vである場合を考える。また、蓄電モジュール110が、正極端子212及び負極端子214と電気的に接続することのできる蓄電セルの個数(単に、蓄電セルの直列数と称される場合がある。なお、正極端子212及び負極端子214と電気的に接続される蓄電セルの個数が1個の場合であっても、便宜上、蓄電セルの直列数と称され得る。)を調整可能に構成されている場合を考える。
例えば、蓄電モジュール110は、正極端子212及び負極端子214と電気的に接続される蓄電セルの直列数を、100個、150個及び200個の中から選択可能に構成される。この場合、蓄電モジュール110の定格電圧は、3.7×100[V]、3.7×150[V]、及び、3.7×200[V]の中から選択され得る。
次に、S2318において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を調整する。例えば、蓄電モジュール110の定格電圧VSRを調整する場合、蓄電モジュール110に含まれる1以上の蓄電セルの直列数を調整することで、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが調整され得る。蓄電セルの直列数は、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着される前に変更されてもよく、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着された後で変更されてもよい。
一実施形態において、蓄電セルの直列数は、蓄電モジュール110の組立時に、手動により変更される。これにより、蓄電モジュール110が蓄電システム100に装着される前に、蓄電セルの直列数が変更される。
他の実施形態において、蓄電モジュール110に組み込まれた回路の動作により、蓄電セルの直列数が変更される。これにより、任意のタイミングにおいて、蓄電セルの直列数が変更され得る。上記の回路の動作は、手動で制御されてもよく、システム制御部140又はモジュール制御部240からの制御信号により制御されてもよい。例えば、システム制御部140又はモジュール制御部240は、蓄電システム100に含まれる蓄電セルの直列数を変更するための制御信号を出力する。
なお、後述されるとおり、蓄電システム100の用途は、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に限定されない。蓄電システム100が他の用途に用いられる場合、本実施形態とは異なる態様で、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧と、他方の蓄電モジュールの定格電圧との大小関係が決定されてよい。また、本実施形態とは異なる態様で、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが決定されてよい。
例えば、蓄電システム100が、充電待機工程において比較的小さなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合、S2314において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧を、他方の蓄電モジュールの定格電圧よりも小さくすることが決定される。また、S2316において、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが、蓄電システム100の充電待機工程における定常電圧と等しい又は当該定常電圧よりも大きくなるように、蓄電モジュール110の定格電圧VSRが決定される。
[蓄電システム100が充電待機工程を有する実施形態]
図19~図23の実施形態においては、蓄電システム100が、放電待機工程において比較的大きなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合を例として、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を調整することで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の稼働率を調整する方法の一例が説明された。しかしながら、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の定格電圧の決定方法、並びに、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の稼働率の調整方法は、上記の実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電システム100が、充電待機工程において比較的小さなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合に、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を調整することで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の稼働率を調整することができる。
図24は、蓄電システム100の充電待機工程の一例を概略的に示す。図24は、蓄電システム100の各工程における電圧変動2400を示す。図24において、VLは、充電待機工程における定常電圧の値を示す。図24に示されるとおり、定常状態(つまり、充電待機工程である。)において、蓄電システム100の電圧は、VLと等しい、又は、VLよりも小さな状態に維持される。
蓄電システム100の外部で電力に余剰が生じた場合、蓄電システム100の充電工程が実行される。その後、電力の余剰が解消すると、充電工程が停止される。その後、放電工程が実行されて蓄電システム100の電圧がVLになると、放電工程が停止され、充電待機工程に移行する。
次に、図25を用いて、図19に関連して説明された蓄電システム100の充電工程の一例が説明される。図25は、各蓄電モジュールの充電電流の電流値の変動の一例を概略的に示す。本実施形態おいて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、図19に関連して説明された充放電特性を有する。
図25において、曲線2510は、蓄電システム100の充電工程における蓄電モジュール110の出力電流Ibatの変動を示す。曲線2520は、蓄電システム100の充電工程における蓄電モジュール120の出力電流Ibatの変動を示す。なお、図25において、各蓄電モジュールが充電されている場合、出力電流Ibatの値は負になる。
図19に関連して説明されたとおり、本実施形態によれば、蓄電モジュール110の定格電圧VSRは、蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも大きい。また、蓄電モジュール110のSOCが0%であるときの蓄電モジュール110の電圧VSLは、蓄電モジュール120のSOCが0%であるときの蓄電モジュール120の電圧VLLよりも大きい。充電待機時の定常電圧VLの設定値は特に限定されるものではないが、充電待機時の定常電圧VLは、例えば、上記の蓄電モジュール120の電圧VLLより大きく、上記の蓄電モジュール110の電圧VSLよりも小さい値に設定される。
本実施形態によれば、蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール120の蓄電部210が、確実に蓄電システム100と電気的に接続される。一方、蓄電モジュール110の電圧次第では、蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール110の蓄電部210は、蓄電システム100と電気的に接続されていない。
例えば、(i)蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のSOCが略0%であり、且つ、(ii)VSL及びVLLの差の絶対値が、蓄電モジュール110の切替部230の開閉に関する設定値よりも大きい場合、蓄電モジュール110の切替部230がオフになっている。そのため、蓄電モジュール110の蓄電部210が、蓄電システム100の接続端子102及び接続端子104から電気的に切断されている。
このような場合において、蓄電システム100の外部で電力に余剰が発生し、蓄電システム100の充電工程が開始されると、図25に示されるとおり、まず、蓄電モジュール120の充電が開始される。この時点では、蓄電モジュール110は、蓄電システム100に電気的に接続されていない。その後、充電が進行して蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール120の電圧である。)がVSLになると(図25において、時刻TSLとして示される)、蓄電モジュール110の蓄電部210が蓄電システム100と電気的に接続される。
本実施形態においては、時刻TLHにおいて蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧である。)がVLHになるまで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の両方が充電される。なお、この間、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの充電電流の大きさは、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのdV/dQにより決定される。
例えば、本実施形態においては、(i)時刻TCNになり、蓄電システム100の電圧がVCNになるまで、蓄電モジュール110のdV/dQが蓄電モジュール120のdV/dQよりも大きく、(ii)蓄電システム100の電圧がVCNになると、蓄電モジュール110のdV/dQが蓄電モジュール120のdV/dQと等しくなり、(iii)その後、時刻がTLHになり、蓄電システム100の電圧がVLHになるまで、蓄電モジュール110のdV/dQが蓄電モジュール120のdV/dQよりも小さい。この場合、蓄電モジュール110のdV/dQが蓄電モジュール120のdV/dQよりも大きい期間においては、蓄電モジュール110の充電電流が、蓄電モジュール120の充電電流よりも小さくなる。また、蓄電モジュール110のdV/dQが蓄電モジュール120のdV/dQよりも小さい期間においては、蓄電モジュール110の充電電流が、蓄電モジュール120の充電電流よりも大きくなる。
時刻TLHにおいて蓄電システム100の電圧がVLHになると、蓄電モジュール120の蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切断される。その後、蓄電モジュール110が、単独で充電される。そして、時刻TSHにおいて蓄電システム100の電圧がVSHになると、蓄電モジュール110の充電も終了する。このとき、蓄電モジュール110の蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切断されてもよい。
次に、図26を用いて、図21に関連して説明された蓄電システム100の充電工程の一例が説明される。図26は、各蓄電モジュールの充電電流の電流値の変動の一例を概略的に示す。本実施形態おいて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれは、図21に関連して説明された充放電特性を有する。
図26において、曲線2610は、蓄電システム100の充電工程における蓄電モジュール110の出力電流Ibatの変動を示す。曲線2620は、蓄電システム100の充電工程における蓄電モジュール120の出力電流Ibatの変動を示す。なお、図26において、各蓄電モジュールが充電されている場合、出力電流Ibatの値は負になる。
図21に関連して説明されたとおり、本実施形態によれば、蓄電モジュール110の定格電圧VSRは、蓄電モジュール120の定格電圧VLRよりも小さい。また、蓄電モジュール110のSOCが0%であるときの蓄電モジュール110の電圧VSLは、蓄電モジュール120のSOCが0%であるときの蓄電モジュール120の電圧VLLよりも大きい。充電待機時の定常電圧VLの設定値は特に限定されるものではないが、充電待機時の定常電圧VLは、例えば、上記の蓄電モジュール120の電圧VLLより大きく、上記の蓄電モジュール110の電圧VSLよりも小さい値に設定される。
本実施形態によれば、蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール120の蓄電部210が、確実に蓄電システム100と電気的に接続される。一方、蓄電モジュール110の電圧次第では、蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール110の蓄電部210は、蓄電システム100と電気的に接続されていない。
例えば、(i)蓄電システム100の充電待機工程において、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のSOCが略0%であり、且つ、(ii)VSL及びVLLの差の絶対値が、蓄電モジュール110の切替部230の開閉に関する設定値よりも大きい場合、蓄電モジュール110の切替部230がオフになっている。そのため、蓄電モジュール110の蓄電部210が、蓄電システム100の接続端子102及び接続端子104から電気的に切断されている。
このような場合において、蓄電システム100の外部で電力に余剰が発生し、蓄電システム100の充電工程が開始されると、図26に示されるとおり、まず、蓄電モジュール120の充電が開始される。この時点では、蓄電モジュール110は、蓄電システム100に電気的に接続されていない。その後、充電が進行して蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール120の電圧である。)がVSLになると(図26において、時刻TSLとして示される)、蓄電モジュール110の蓄電部210が蓄電システム100と電気的に接続される。
本実施形態においては、時刻TSHにおいて蓄電システム100の電圧(つまり、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の電圧である。)がVSHになるまで、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の両方が充電される。なお、この間、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれの充電電流の大きさは、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のそれぞれのdV/dQにより決定される。
本実施形態によれば、時刻TSLにおいて蓄電システム100の電圧がVSLになった後、時刻TCNSにおいて蓄電システム100の電圧がVCNSになる。本実施形態によれば、時刻TSLから時刻TCNSまでの期間において、蓄電モジュール110のdV/dQが、蓄電モジュール120のdV/dQよりも大きい。そのため、上記の期間においては、蓄電モジュール110の充電電流が、蓄電モジュール120の充電電流よりも小さい。
一方、その後、時刻TCNPになり、蓄電システム100の電圧がVCNPになるまでの期間においては、蓄電モジュール110のdV/dQが、蓄電モジュール120のdV/dQよりも小さい。そのため、上記の期間においては、蓄電モジュール110の充電電流が、蓄電モジュール120の充電電流よりも大きい。
蓄電システム100の電圧がVCNPを超えた後、さらに充電が進行すると、時刻TSHにおいて蓄電システム100の電圧がVSHになるまで、蓄電モジュール110のdV/dQが、蓄電モジュール120のdV/dQよりも大きくなる。そのため、上記の期間においては、蓄電モジュール110の充電電流が、蓄電モジュール120の充電電流よりも小さくなる。
時刻TSHにおいて蓄電システム100の電圧がVSHになると、蓄電モジュール110の蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切断される。その後、蓄電モジュール120が、単独で充電される。そして、時刻TLHにおいて蓄電システム100の電圧がVLHになると、蓄電モジュール120の充電も終了する。このとき、蓄電モジュール120の蓄電部210が、蓄電システム100から電気的に切断されてもよい。
図25~図26に示されるとおり、蓄電システム100が、充電待機工程において比較的小さなSOCを維持することが重視される用途に用いられる場合、蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール120の定格電圧よりも小さくすれば、蓄電モジュール110の稼働率を蓄電モジュール120の稼働率よりも大きくすることができる。一方、蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール120の定格電圧よりも大きくすれば、蓄電モジュール110の稼働率を蓄電モジュール120の稼働率よりも小さくすることができる。
特に、蓄電システム100が電力バッファ装置として用いられる場合、蓄電システム100は、特定の放電状態から任意の充電容量だけ充電した後、当該特定の放電状態に戻される。そのため、蓄電システム100は、比較的放電深度の深い領域で繰り返し利用される。この場合、主に蓄電モジュール110が利用されるので、蓄電モジュール120と比較して、蓄電モジュール110の劣化が促進される。
図19から図24に関連して説明された実施形態によれば、蓄電システム100が放電待機工程を有する場合を例として、蓄電システム100の詳細が説明された。また、図25及び図26に関連して説明された実施形態によれば、蓄電システム100が、充電待機工程を有する場合と例として、蓄電システム100の詳細が説明された。しかしながら、蓄電システム100は、これらの実施形態に限定されない。
他の実施形態において、単一の蓄電システム100が、放電待機工程及び充電待機工程を有してよい。例えば、蓄電モジュール110が放電又は充電を待機している状態(定常状態と称される場合がある。)において、蓄電システム100のSOCが予め定められた値となるように、蓄電システム100が運用される。例えば、蓄電モジュール110は、定常状態においてSOCが50%となるように運用される。
上記の実施形態によれば、蓄電システム100が定常状態で待機しているときに、蓄電システム100の外部で電源異常が発生した場合、蓄電システム100の放電工程が実行される。一方、蓄電システム100が定常状態で待機しているときに、蓄電システム100の外部で電力に余剰が生じた場合、蓄電システム100の充電工程が実行される。これにより、蓄電システム100は、蓄電システム100の外部における電源異常及び電力余剰の両方に対応することができる。
[蓄電セルの直列数の調整方法]
図27、図28及び図29を用いて、蓄電セルの直列数の調整方法の一例が説明される。図27を用いて、蓄電セルの直列数を調整可能な蓄電部2710の一例が説明される。図28及び図29を用いて、蓄電部2710の制御方法の一例が説明される。
図27は、蓄電部2710の内部構造の一例を示す。蓄電部2710は、蓄電部210の代わりに、蓄電モジュール110、蓄電モジュール120、蓄電モジュール710、蓄電モジュール1010、蓄電モジュール1410、蓄電モジュール1710などの任意の蓄電モジュールに搭載され得る。
本実施形態において、蓄電部2710は、正極端子2712と、負極端子2714とを備える。本実施形態において、蓄電部2710は、蓄電セル2722、蓄電セル2724、蓄電セル2732及び蓄電セル2734を含む、直列に接続された複数の蓄電セルを備える。本実施形態において、蓄電部2710は、単極双投スイッチ2742と、単極双投スイッチ2744とを備える。本実施形態において、蓄電部2710は、端子2752と、端子2754とを備える。
蓄電部2710は、蓄電セルの個数が増加した点と、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744を備える点において、蓄電部210と相違する。上記の相違点以外の構成について、蓄電部2710は、蓄電部210と同様の特徴を有してよい。蓄電部2710は、例えば、上述された複数の実施形態の少なくとも1つにおいて、蓄電部210の代わりに蓄電モジュールに実装される。
本実施形態において、正極端子2712は、正極端子212と同様の特徴を有してよい。本実施形態において、負極端子2714は、負極端子214と同様の特徴を有してよい。本実施形態において、蓄電セル2722、蓄電セル2724、蓄電セル2732及び蓄電セル2734のそれぞれは、蓄電セル222又は蓄電セル224と同様の特徴を有してよい。
本実施形態において、単極双投スイッチ2742は、正極端子2712と、蓄電セル2722の正極及び蓄電セル2724の正極の何れか一方とを電気的に接続する。同様に、単極双投スイッチ2742は、負極端子2714と、蓄電セル2732の負極及び蓄電セル2734の負極の何れか一方とを電気的に接続する。これにより、蓄電システム100に含まれる直列に接続された複数の蓄電セルのうち、正極端子2712及び負極端子2714と電気的に接続される蓄電セルの個数が調整される。
一実施形態において、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方は、モジュール制御部240からの信号に基づいて動作してよい。他の実施形態において、ユーザが、手動で、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方を動作させてもよい。
本実施形態において、端子2752は、蓄電セル2722及び蓄電セル2724と、バランス補正部260とを電気的に接続する。端子2752は、蓄電セル2722及び蓄電セル2724と、保護部250とを電気的に接続してもよい。
本実施形態において、端子2754は、蓄電セル2732及び蓄電セル2734と、バランス補正部260とを電気的に接続する。端子2752は、蓄電セル2732及び蓄電セル2734と、保護部250とを電気的に接続してもよい。
なお、本実施形態において、蓄電部2710が蓄電モジュール110に搭載される場合、保護部250は、蓄電部2710に含まれる複数の蓄電セルのそれぞれを保護してよい。保護部250は、蓄電部2710に含まれる複数の蓄電セルのそれぞれの端子間電圧に関する情報を取得してもよい。
同様に、蓄電部2710が蓄電モジュール110に搭載される場合、蓄電モジュール110は、複数のバランス補正部260を備えてもよい。上述されたとおり、蓄電部2710がn個(nは、2以上の整数である。)の蓄電セルを有する場合、蓄電モジュール110は、n-1個のバランス補正部260を有してよい。
本実施形態において、正極端子2712、負極端子2714、蓄電セル2722、蓄電セル2724、蓄電セル2732、蓄電セル2734、単極双投スイッチ2742、単極双投スイッチ2744、端子2752及び端子2754は、同一の筐体に指示又は収容される。正極端子2712、負極端子2714、蓄電セル2722、蓄電セル2724、蓄電セル2732、蓄電セル2734、単極双投スイッチ2742、単極双投スイッチ2744、端子2752及び端子2754は、切替部230、及び、モジュール制御部240又はモジュール制御部1040の少なくとも一方と同一の筐体に支持又は収容されてもよい。
正極端子2712は、第1正極端子の一例であってよい。負極端子2714は、第2負極端子の一例であってよい。蓄電セル2722は、第1蓄電セルの一例であってよい。蓄電セル2724は、第1蓄電セルの一例であってよい。蓄電セル2732は、第1蓄電セルの一例であってよい。蓄電セル2734は、第1蓄電セルの一例であってよい。単極双投スイッチ2742は、調整装置の一例であってよい。単極双投スイッチ2744は、調整装置の一例であってよい。
なお、本実施形態においては、蓄電部2710が、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744を備える場合を例として、蓄電部2710の詳細が説明された。しかしながら、蓄電部2710は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電部2710が、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の一方を備えなくてもよい。また、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方が、任意の単極多投スイッチであってもよい。例えば、単極双投スイッチ2742の代わりに用いられ得る単極多投スイッチは、正極端子2712と、直列に接続された3以上の蓄電セルの何れか1つの正極とを電気的に接続する。同様に、単極双投スイッチ2744の代わりに用いられ得る単極多投スイッチは、負極端子2714と、直列に接続された3以上の蓄電セルの何れか1つの正極とを電気的に接続する。
図28は、モジュール制御部240の他の例を概略的に示す。図28に関連して説明されるモジュール制御部240は、信号生成部330の代わりに信号生成部2830を備える点で、図3に関連して説明されたモジュール制御部240と相違する。上記の相違点以外の構成に関し、図28に関連して説明されるモジュール制御部240は、図3に関連して説明されたモジュール制御部240と同様の特徴を有してよい。例えば、本実施形態においても、モジュール制御部240又はその各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。
本実施形態において、信号生成部2830は、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方の動作を制御するための信号をさらに生成する。上記の動作を除いて、信号生成部2830は、信号生成部330と同様の構成を有してよい。
より具体的には、信号生成部2830は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の定格電圧を示す情報を取得する。例えば、信号生成部2830は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電セルの直列数を示す情報を取得する。信号生成部2830は、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方の動作を制御して、蓄電モジュール110に含まれる蓄電セルの直列数を調整するたmwの信号を生成する。信号生成部2830は、生成された信号を、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方に出力してよい。
図29は、システム制御部140の他の例を概略的に示す。本実施形態において、システム制御部140は、状態管理部410と、モジュール選択部420と、信号生成部430と、定格電圧調整部2940とを備える。本実施形態において、定格電圧調整部2940は、主要装置決定部2950と、大小関係決定部2960と、定格電圧決定部2970と、制御信号出力部2980とを有する。本実施形態において、大小関係決定部2960は、第1大小関係決定部2962と、第2大小関係決定部2964とを含む。
図29に関連して説明されるシステム制御部140は、定格電圧調整部2940を備える点で、図4に関連して説明されたシステム制御部140と相違する。上記の相違点以外の構成に関し、図29に関連して説明されるシステム制御部140は、図4に関連して説明されたシステム制御部140と同様の特徴を有してよい。例えば、本実施形態においても、システム制御部140又はその各部は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。
本実施形態において、定格電圧調整部2940は、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を調整する。例えば、定格電圧調整部2940が蓄電モジュール110の定格電圧を調整する場合、定格電圧調整部2940は、蓄電システム100又は蓄電モジュール110を制御して、蓄電モジュール110の定格電圧を調整する。
本実施形態において、主要装置決定部2950は、例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、何れの蓄電モジュールの稼働率を大きくするかを決定する。本実施形態において、大小関係決定部2960は、例えば、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120のうち、主要装置決定部2950により稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧と、他方の蓄電モジュールの定格電圧との大小関係を決定する。
本実施形態において、第1大小関係決定部2962は、例えば、蓄電システム100が放電待機工程を有する場合に、上記の大小関係を決定する。具体的には、第1大小関係決定部2962は、主要装置決定部2950により稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧を、他方の蓄電モジュールの定格電圧よりも大きくすることを決定する。
本実施形態において、第2大小関係決定部2964は、例えば、蓄電システム100が充電待機工程を有する場合に、上記の大小関係を決定する。具体的には、第1大小関係決定部2962は、主要装置決定部2950により稼働率を大きくすることが決定された蓄電モジュールの定格電圧を、他方の蓄電モジュールの定格電圧よりも小さくすることを決定する。
本実施形態において、定格電圧決定部2970は、大小関係決定部2960が決定した大小関係を満足するように、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を決定する。蓄電部2710の蓄電セルの直列数が調整可能である場合、定格電圧決定部2970は、当該調整可能な直列数に基づいて、蓄電モジュール110及び蓄電モジュール120の少なくとも一方の定格電圧を決定してよい。
一実施形態において、例えば、第1大小関係決定部2962が、蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール110の定格電圧よりも大きくすることを決定した場合、定格電圧決定部2970は、蓄電モジュール110の定格電圧が、蓄電システム100の放電待機工程における定常電圧VHと等しい又は当該定常電圧VHよりも小さくなるように、蓄電モジュール110の定格電圧を決定する。他の実施形態において、例えば、第2大小関係決定部2964が蓄電モジュール110の定格電圧を蓄電モジュール110の定格電圧よりも小さくすることを決定した場合、定格電圧決定部2970は、蓄電モジュール110の定格電圧が、蓄電システム100の充電待機工程における定常電圧VLと等しい又は当該定常電圧VLよりも小さくなるように、蓄電モジュール110の定格電圧を決定する。
本実施形態において、制御信号出力部2980は、定格電圧決定部2970が決定した定格電圧に基づいて、蓄電部2710の定格電圧を調整するための信号を生成する。例えば、制御信号出力部2980は、蓄電部2710の単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方の動作を制御するための信号を生成する。例えば、制御信号出力部2980が蓄電モジュール110の定格電圧を調整するための信号を生成する場合、制御信号出力部2980は、蓄電モジュール110の定格電圧の値を示す情報、又は、蓄電モジュール110における蓄電セルの直列数を示す情報を含む信号を生成する。
本実施形態において、制御信号出力部2980は、上記の信号をモジュール制御部240に出力する。なお、他の実施形態において、制御信号出力部2980は、上記の信号を、例えば蓄電モジュール110に出力してもよい。
定格電圧調整部2940は、定格電圧調整装置の一例であってよい。蓄電モジュール110は、第1蓄電装置の一例であってよい。調整可能な直列数は、調整装置が調整可能な個数の一例であってよい。
図27から図29に関連し手説明された実施形態においては、(i)蓄電システム100のシステム制御部140が、蓄電モジュール110の定格電圧を調整するための制御信号を出力する定格電圧調整部2940を備え、(ii)蓄電モジュール110のモジュール制御部240が、システム制御部140から取得した制御信号に基づいて、蓄電モジュール110の単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方の動作を制御するための信号を出力する場合を例として、蓄電モジュール110の定格電圧を調整する方法の一例が説明された。
しかしながら、蓄電モジュール110の定格電圧の調整方法は、上記の実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電モジュール110が、定格電圧調整部2940の一部又は全部を備えてよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載などから明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
例えば、蓄電部210の電圧又はSOCが予め定められた条件を満足する場合、モジュール制御部1040は、切替部230が配線106及び蓄電部210を電気的に接続するように、切替部230を制御する。蓄電部210の電圧又はSOCは、蓄電部210の電池特性の一例であってよい。予め定められた条件は、予め定められた数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよく、予め定められた手順に従って算出される数値範囲又は閾値を用いた条件であってもよい。これにより、例えば、過充電又は過放電による蓄電部210の劣化又は破損を防止することができる。
より具体的には、信号生成部2830は、システム制御部140から、蓄電モジュール110の定格電圧を示す情報を取得する。例えば、信号生成部2830は、蓄電モジュール110に含まれる蓄電セルの直列数を示す情報を取得する。信号生成部2830は、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方の動作を制御して、蓄電モジュール110に含まれる蓄電セルの直列数を調整するための信号を生成する。信号生成部2830は、生成された信号を、単極双投スイッチ2742及び単極双投スイッチ2744の少なくとも一方に出力してよい。