以下、添付図面に従って本開示の技術に係る実施形態の一例について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図6〜図12、図25、図27、及び図28において、“HiZ”とは、ハイインピーダンスを意味する。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、本開示の技術に係る情報処理装置の一例であるスマートデバイス10は、筐体12、ディスプレイ14、主制御部30、及び本開示の技術に係る指示受付装置の一例であるタッチパネル42を備えている。
筐体12は、直方体状に形成されており、筐体12には平面視長方形状の開口部12Aが形成されている。なお、以下では、説明の便宜上、開口部12Aの短手方向をX方向とし、開口部12Aの長手方向をY方向とし、開口部12Aに対して垂直な方向をZ方向として説明する。
筐体12には、開口部12Aを介して主制御部30が収容されている。また、筐体12には、ディスプレイ14が収容されている。ディスプレイ14の一例としては、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)が挙げられるが、これに限らず、例えば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイやプラズマディスプレイ等の他のディスプレイであってもよい。
ディスプレイ14には、タッチパネル42が重ねられて配置されている。タッチパネル42は、フロントカバー18、電荷蓄積部46、及びLSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)48を有する。
フロントカバー18は、フレーム20及びプレート22を備えている。フレーム20の形状及び大きさは、筐体12の開口部12Aの形状及び大きさに対応させて設計されており、フレーム20には、長方形状の開口部20Aが形成されている。
本開示の技術に係る指示受付面の一例であるプレート22は、透光性を有する板状部材である。プレート22は、平面状の指示受付面22Aを有しており、プレート22の表面が指示受付面22Aとされている。プレート22の形状及び大きさは、フレーム20の開口部20Aの大きさ及び形状に対応させて設計されており、プレート22は、フレーム20の開口部20Aに嵌め込まれ、フレーム20に固定されている。また、プレート22は、フロントカバー18が筐体12に取り付けられた状態で指示体Iによって押圧されると、押圧力に応じた撓り量で撓るように設計されている。
なお、以下では、説明の便宜上、指示体Iが指示受付面22Aに対して接触している位置を「接触位置」と称する。また、指示受付面22Aで接触位置を移動させる操作を「移動操作」と称する。
電荷蓄積部46は、センサパネル16及び導線別電荷蓄積部60を有する。センサパネル16は、透光性を有しており、センサパネル16には、フロントカバー18のプレート22が重ねられて配置されている。
センサパネル16は、複数の第1導線24、複数の第2導線26、及び座標別電荷蓄積部66を有する。第1導線24は、Y方向に延伸しており、X方向に沿って既定の間隔を隔てて配置されている。これに対し、第2導線26は、X方向に延伸しており、Y方向に沿って既定の間隔を隔てて配置されている。
センサパネル16には、座標別電荷蓄積部66がマトリクス状に配置されている。すなわち、センサパネル16には、2次元座標(以下、単に「座標」と称する)が付与されており、座標毎に座標別電荷蓄積部66が配置されている。
一例として図2に示すように、座標別電荷蓄積部66は、第1コンデンサ50及び平面視矩形状のカーボンシート52を備えている。
第1コンデンサ50は、プレート22の下層で、本開示の技術に係る一対の電極である第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56がXY平面内で対向配置されて形成されたコンデンサである。なお、第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56は、本開示の技術に係る一対の櫛歯電極の一例である。
第1櫛歯電極54は、櫛歯部54Aを有し、第2櫛歯電極56は、櫛歯部56Aを有する。櫛歯部56Aは、櫛歯部54A間に配置される。すなわち、第1コンデンサ50は、櫛歯部54Aと櫛歯部56AとがXY平面内で互い違いに配置されることで形成されたコンデンサである。
一例として図3〜図5に示すように、本開示の技術に係る抵抗体の一例であるカーボンシート52は、プレート22の下層で、第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56に対応して配置されている。図3〜図5に示す例では、カーボンシート52は、プレート22の下層で、第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56に対してZ方向にスペーサ58を介して隣接して配置されている。また、カーボンシート52は、指示受付面22Aが押圧されることで、第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56の双方の櫛歯部間である櫛歯部54Aと櫛歯部54Bとの間の抵抗値が変化可能な位置に配置されている。従って、カーボンシート52では、指示受付面22Aが押圧されることで、第1櫛歯電極54と第2櫛歯電極56との間の抵抗値が変化する。
一例として図3〜図5に示すように、カーボンシート52は、指示受付面22Aが押圧されることで、櫛歯部54A,54Bが接触する。一例として図4及び図5に示すように、カーボンシート52に対する櫛歯部54A,54Bの接触面積Sは、押圧力が大きくなるに従って増大し、これに伴って、第1櫛歯電極54と第2櫛歯電極56との間のカーボンシート52による抵抗値が低下する。
なお、本第1実施形態では、カーボンシート52を採用しているが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、金属粉等の導電粒子が散在されたゴムシートであってもよく、指示受付面22Aが押圧されることで第1櫛歯電極54と第2櫛歯電極56との間の抵抗値が変化する抵抗体であればよい。
一例として図2に示すように、第1櫛歯電極54は、第1導線24に形成されており、第2櫛歯電極56は、第2導線26に形成されている。第1導線24及び第2導線26は、LSI48に接続されており、LSI48は、既定の周期で、複数の第1導線24の各々に対して駆動信号Dを出力する。複数の第1導線24には、例えば、X方向の一端側から他端側にかけて順次に既定の時間間隔を隔てて駆動信号Dが出力される。
導線別電荷蓄積部60は、センサパネル16とLSI48との間に第2導線26毎に設けられている。導線別電荷蓄積部60は、第2コンデンサ62及び抵抗64を含み、第2コンデンサ62は、互いに対向配置された第1電極62Aと第2電極62Bとを有する。
第1電極62Aは、第2導線26に接続されており、これによって、第2導線26を介して第2櫛歯電極56に接続されている。すなわち、第2コンデンサ62は、第2導線26を介して、同一の第2導線26上の第1コンデンサ50に直列に接続されている。
第2電極62Bは、抵抗64の一端に接続されている。抵抗64の他端は、隣接する導線別電荷蓄積部60の抵抗64の他端に接続されており、第2電極62Bと抵抗64との接続点は、LSI48に接続されている。また、複数の導線別電荷蓄積部60のうちのY方向の一端に位置する導線別電荷蓄積部60である導線別電荷蓄積部60Aの抵抗64の他端は、LSI48に接続されている。
第2コンデンサ62は、いわゆるサンプリングコンデンサとして機能するコンデンサであり、第1コンデンサ50の静電容量をCxとし、第2コンデンサ62の静電容量をCsとした場合に、“Cs>>Cx”の関係が成立している。
主制御部30は、本開示の技術に係る実行部の一例であるCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)32、一次記憶部34、及び二次記憶部36を備えている。CPU32は、スマートデバイス10の全体を制御する。一次記憶部34は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部34の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。二次記憶部36は、スマートデバイス10の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリである。二次記憶部36の一例としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリが挙げられる。CPU32、一次記憶部34、及び二次記憶部36は、バスライン38を介して相互に接続されている。
スマートデバイス10は、インプット・アウトプット・インターフェース(I/O)40を備えている。I/O40は、CPU32と各種の入出力デバイスとを電気的に接続してCPU32と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司る。
I/O40には、入出力デバイスとして、ディスプレイ14及びタッチパネル42が接続されており、CPU32は、ディスプレイ14の制御を行い、タッチパネル42との間で各種情報の授受を行う。
二次記憶部36は、間欠押圧操作判別プログラム44を記憶している。CPU32は、二次記憶部36から間欠押圧操作判別プログラム44を読み出して一次記憶部34に展開する。そして、CPU32は、一次記憶部34に展開した間欠押圧操作判別プログラム44を実行することで本開示の技術に係る実行部として動作する。
すなわち、CPU32は、本開示の技術に係る実行部として動作することで、後述の制御回路70(図6参照)により出力された後述の接触状態信号、後述の非接触状態信号、及び後述の押圧状態信号の各々に対応する処理を実行する。
ここで、接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号の各々に対応する処理としては、例えば、タップ操作、フリック操作、ダブルタップ操作、ロングプレス操作、ドラッグ操作、ピンチオープン操作、及びピンチクローズ操作を判別する処理が挙げられる。
タップ操作とは、指示受付面22Aに対して指示体Iを1回タップさせる操作を指す。フリック操作とは、移動操作の移動距離が既定の距離(例えば、2ミリメートル)以上で、かつ、移動操作を開始してから第1設定時間(例えば、300ミリ秒)未満で指示受付面22Aから指示体Iを離すことで移動操作を終了する操作を指す。ダブルタップ操作とは、指示受付面22Aに対して指示体Iを第1設定時間未満の非接触状態を介して2回タップさせる操作を指す。ドラッグ操作とは、接触位置を第1設定時間以上継続して移動させる操作を指す。
ロングプレス操作とは、指示受付面22Aに対して指示体Iを接触位置から移動させることなく第2設定時間(例えば、1秒)以上継続して接触させる操作を指す。ピンチオープン操作とは、一般的にピンチアウト操作とも称され、指示受付面22Aにおける2つの接触位置の位置間隔を広げる操作を指す。ピンチクローズ操作とは、一般的にピンチイン操作とも称され、指示受付面22Aにおける2つの接触位置の位置間隔を狭める操作を指す。
また、CPU32は、本開示の技術に係る実行部として動作することで、予め定められた時間内において制御回路70により接触状態信号が出力された前後に非接触状態信号が出力されることなく押圧状態信号が出力された場合に、間欠押圧操作に対応する処理を実行する。ここで、間欠押圧操作とは、接触状態と押圧状態とを繰り返す操作を指す。なお、接触状態と押圧状態とを繰り返す操作とは、具体的には、指示受付面22Aに対して指示体Iを接触させたまま、指示体Iで指示受付面22Aを間欠的に押圧する操作を意味する。
一例として図6に示すように、LSI48は、制御回路70、第1出力バッファ72、第2出力バッファ74、コンパレータ76、及びNチャネル型MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)電界効果トランジスタN1,N2を有する。なお、以下では、説明の便宜上、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタを「NMOSトランジスタ」と称する。また、図6に示す例では、説明の便宜上、カーボンシート52を仮想的な抵抗Rとして機能的に表現した等価回路で座標別電荷蓄積部66が示されている。
本第1実施形態において、制御回路70及びコンパレータ76は、第2コンデンサ62による放電時間を測定する。なお、制御回路70及びコンパレータ76は、本開示の技術に係る測定部の一例である。また、第2コンデンサ62による放電時間は、第2コンデンサ62の電荷量に相当する物理量の一例である。
また、本開示の技術に係る出力部の一例である制御回路70は、測定した放電時間に従って、接触状態を示す接触状態信号、非接触状態を示す非接触状態信号、及び押圧状態を示す押圧状態信号を選択的に出力する。
また、制御回路70は、揮発性メモリ70Aを備えており、後述の放電時間情報を記憶する。また、制御回路70は、I/O40に接続されている。従って、制御回路70は、座標毎に、接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号を、I/O40を介して主制御部30に出力する。更に、制御回路70は、不揮発性メモリ70Bを備えており、不揮発性メモリ70Bは、後述の放電時間プロファイル90(図15参照)を記憶している。
第1出力バッファ72の入力端子は、制御回路70に接続されており、第1出力バッファ72の出力端子は、第1導線24を介して第1櫛歯電極54に接続されている。第1出力バッファ72は、制御回路70の制御下で、駆動信号Dを第1櫛歯電極54に出力する。なお、駆動信号Dは、既定個数のパルスが既定の間隔を隔てて含まれるパルス列による信号であり、制御回路70の制御下で、電源電位VDDと接地電位GNDとに切り替えられる。
第2出力バッファ74の入力端子は、制御回路70に接続されており、第2出力バッファ74の出力端子であるスロープ端子74Aは、導線別電荷蓄積部60Aに含まれる抵抗64の他端に接続されている。第2出力バッファ74は、制御回路70の制御下で、スロープ端子74Aの電位をハイインピーダンスと電源電位VDDとに選択的に切り替える。
NMOSトランジスタN1のゲートは、制御回路70に接続されており、NMOSトランジスタN1のソースは、接地電位GNDとされている。NMOSトランジスタN1のドレインは、第1電極62Aに接続されている。NMOSトランジスタN1は、ゲートに制御回路70から第1パルス列P1が入力されると、入力された第1パルス列に応じてオン/オフが切り替えられる。これに応じて、NMOSトランジスタN1のドレインの電位は、接地電位GNDとハイインピーダンスとに切り替えられる。
NMOSトランジスタN2のゲートは、制御回路70に接続されており、NMOSトランジスタN2のソースは、接地電位GNDとされており、NMOSトランジスタN2のドレインは、第2電極62Bに接続されている。NMOSトランジスタN2は、ゲートに制御回路70から第2パルス列P2が入力されると、入力された第2パルス列に応じてオン/オフが切り替えられる。これに応じて、NMOSトランジスタN2のドレインの電位は、接地電位GNDとハイインピーダンスとに切り替えられる。
なお、第2パルス列P2は、第1パルス列P1が反転されて得られたパルス列とされている。従って、NMOSトランジスタN1のドレインの電位及びNMOSトランジスタN2のドレインの電位は、相補的な関係で切り替わる。すなわち、NMOSトランジスタN1のドレインの電位が接地電位GNDの場合、NMOSトランジスタN2のドレインの電位はハイインピーダンスになり、NMOSトランジスタN1のドレインの電位がハイインピーダンスの場合、NMOSトランジスタN2のドレインの電位は接地電位GNDになる。
コンパレータ76の非反転入力端子は抵抗64の一端に接続されており、コンパレータ76の反転入力端子は接地電位GNDとされており、コンパレータ76の出力端子は制御回路70に接続されている。コンパレータ76の出力端子は、ローレベル信号とハイレベル信号とを選択的に出力する。すなわち、コンパレータ76は、非反転入力端子に入力される信号の信号レベルが接地電位GND以下の場合にローレベル信号を出力し、非反転入力端子に入力される信号の信号レベルが接地電位GNDを超えると、ハイレベル信号を出力する。
次に、第1実施形態に係るスマートデバイス10の本開示の技術に係る部分の作用について説明する。
先ず、電荷蓄積部46に電荷が蓄積される場合(充電される場合)及び電荷蓄積部46から電荷が放出される場合(放電される場合)の電荷蓄積部46及びLSI48の基本的な動作をステップ1〜ステップ4(図7〜図9参照)に分けて説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、一例として図6に示すように、NMOSトランジスタN1のドレインと第1電極62Aとの接続点をA点とし、コンパレータ76の非入力端子と抵抗64の一端との接続点をB点として説明する。また、以下では、ステップ1〜ステップ4が行われる場合、スロープ端子74Aの電位がハイインピーダンスであることを前提として説明する。
ステップ1では、第1出力バッファ72から出力された駆動信号Dが電源電位VDDの状態で、NMOSトランジスタN1がオフされ、NMOSトランジスタN2がオンされると、第1コンデンサ50及び第2コンデンサ62が充電される。つまり、一例として図7〜図9に示すように、駆動信号Dが電源電位VDDの状態で、NMOSトランジスタN1のドレインの電位がハイインピーダンスとなり、NMOSトランジスタN2のドレインの電位が接地電位GNDとなると、A点の電位が上昇する。
次に、ステップ2では、NMOSトランジスタN2がオフされ、NMOSトランジスタN1がオンされた状態で、駆動信号Dが電源電位VDDから接地電位GNDに遷移すると、第2コンデンサ62に電荷が残り、B点が負電位となる。つまり、一例として図7〜図9に示すように、NMOSトランジスタN2のドレインの電位がハイインピーダンスとなり、NMOSトランジスタN1のドレインの電位が接地電位GNDとなった状態で、駆動信号Dが接地電位GNDに遷移すると、B点が負電位となる。
次に、ステップ3では、駆動信号Dが接地電位GNDの状態で、NMOSトランジスタN1がオフされ、NMOSトランジスタN2がオンされると、第2コンデンサ62の電荷が維持される。つまり、駆動信号Dが接地電位GNDの状態で、NMOSトランジスタN1のドレインの電位がハイインピーダンスに遷移し、NMOSトランジスタN2のドレインの電位が接地電位GNDに遷移すると、A点の電位は、ステップ1の場合の電位に相当する電位となる。
次に、ステップ4では、NMOSトランジスタN1のオフ状態、及びNMOSトランジスタN2のオン状態が維持され、駆動信号Dが接地電位GNDから電源電位VDDに遷移すると、第1コンデンサ50及び第2コンデンサ62が充電される。つまり、一例として図7〜図9に示すように、駆動信号Dが電源電位VDDの状態で、NMOSトランジスタN1のドレインのハイインピーダンスが維持され、NMOSトランジスタN2のドレインの接地電位GNDも維持されると、A点の電位が更に上昇する。
上記のステップ1〜ステップ4の動作が繰り返されることで、第1コンデンサ50の静電容量に応じて、一例として図10に示すように、A点の電位が上昇し、一例として図11に示すようにB点の電位が低下する。これにより、一例として図12に示すように、第2コンデンサ62の電圧の絶対値が上昇する。
なお、押圧状態での第2コンデンサ50の電圧の絶対値の上昇速度は、指示体Iによる指示受付面22Aに対する押圧面積に応じて異なる。例えば、図5に示す例の接触面積Sは、図4に示す例の接触面積Sよりも大きいため、図5に示す例では、第1櫛歯電極54と第2櫛歯電極56との間の抵抗値が、図4に示す例の場合に比べ、小さくなり、第2コンデンサ50の電圧の絶対値の上昇速度も高くなる。
接触面積Sが大きくなることは、一例として図6に示すように、第1出力バッファ72の出力端子とA点との間に挿入された抵抗Rの抵抗値が小さくなることと等価である。従って、第2コンデンサ62には、抵抗Rを介して電荷が蓄積されるため、抵抗Rの抵抗値が小さくなるに従って、第2コンデンサ50の電圧の絶対値の上昇速度が高くなる。
上記のステップ1〜ステップ4の動作が既定回数繰り返された時点で、スロープ端子74Aの電位をハイインピーダンスから電源電位VDDに遷移させると、第2コンデンサ62による放電が開始される。第2コンデンサ62による放電が開始されると、一例として図10に示すように、A点の電位は低下する。また、一例として図11に示すように、B点の電位は上昇する。そして、一例として図12に示すように、第2コンデンサ62の電圧の絶対値が低下する。一例として図12に示すように、第2コンデンサ62の電圧の絶対値が低下してから“0”に達するまでの時間は、押圧状態、非接触状態、及び接触状態とで異なる。
そこで、制御回路70では、第2コンデンサ62の電圧の絶対値が低下してから“0”に達するまでの時間が押圧状態、非接触状態、及び接触状態で異なることを利用して、押圧状態、非接触状態、及び接触状態を判別すべく、測定処理及び判別処理が実行される。
次に、制御回路70によって実行される測定処理について図13を参照しつつ説明する。なお、以下では、説明の便宜上、スロープ端子74Aの電位がハイインピーダンスであることを前提として本測定処理の実行が開始される場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、上記のステップ1〜ステップ4の動作が並行して行われていることを前提として本測定処理について説明する。また、以下では、説明の便宜上、1つの座標別電荷蓄積部66を対象にして本測定処理が実行される場合について説明する。
図13に示す測定処理では、先ず、ステップ100で、制御回路70は、測定時期が到来したか否かを判定する。ここで、測定時期とは、第2コンデンサ62による放電時間を測定する時期を指す。なお、測定時期は、例えば、前後して出力される駆動信号D間の時期であり、固定化された周期で到来する。
ステップ100において、測定時期が到来した場合は、判定が肯定されて、ステップ102へ移行する。ステップ100において、測定時期が到来していない場合は、判定が否定されて、ステップ116へ移行する。
ステップ102で、制御回路70は、スロープ端子74Aの電位をハイインピーダンスから電源電位VDDに遷移させ、その後、ステップ104へ移行する。
ステップ104で、制御回路70は、タイマ(図示省略)の作動させることで、第2コンデンサ62による放電時間の測定を開始し、その後、ステップ106へ移行する。
ステップ106で、制御回路70は、コンパレータ76からハイレベル信号が出力されたか否かを判定する。ステップ106において、コンパレータ76からハイレベル信号が出力されていない場合は、判定が否定されて、ステップ106の判定が再び行われる。ステップ106において、コンパレータ76からハイレベル信号が出力された場合は、判定が肯定されて、ステップ108へ移行する。
ステップ108で、制御回路70は、タイマを停止することで、第2コンデンサ62による放電時間の測定を終了し、その後、ステップ110へ移行する。
ステップ110で、制御回路70は、放電時間情報を揮発性メモリ70Aに記憶し、その後、ステップ112へ移行する。ここで、放電時間情報とは、ステップ104の処理で第2コンデンサ62による放電時間の測定が開始されてから、ステップ108の処理で第2コンデンサ62による放電時間の測定が終了するまでの時間、つまり、タイマによって測定された時間を示す情報を指す。
なお、当然ながら、第2コンデンサ62による放電時間は、第2コンデンサ62に蓄積された電荷量に応じて異なる。例えば、図8に示すB点の電位の絶対値は、図7に示すB点の電位の絶対値よりも大きいため、図8に示す例の場合の第2コンデンサ62による放電時間は、図7に示す例の場合の第2コンデンサ62の放電時間よりも長くなる。また、例えば、図9に示すB点の電位の絶対値は、図8に示すB点の電位の絶対値よりも大きいため、図9に示す例の場合の第2コンデンサ62による放電時間は、図8に示す例の場合の第2コンデンサ62の放電時間よりも長くなる。
ステップ112で、制御回路70は、スロープ端子74Aの電位の変更時期として予め定められた変更時期が到来したか否かを判定する。ここで、変更時期とは、例えば、満充電状態の第2コンデンサ62の全ての電荷が放出可能な時期として、タッチパネル42の実機による試験や、タッチパネル42の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等の結果から導き出された時期を指す。
ステップ112において、スロープ端子74Aの電位の変更時期として予め定められた変更時期が到来していない場合は、判定が否定されて、ステップ112の判定が再び行われる。ステップ112において、スロープ端子74Aの電位の変更時期として予め定められた変更時期が到来した場合は、判定が肯定されて、ステップ114へ移行する。
ステップ114で、制御回路70は、スロープ端子74Aの電位を電源電位VDDからハイインピーダンスに遷移させ、その後、ステップ116へ移行する。
ステップ116で、制御回路70は、本測定処理を終了する条件を満足したか否かを判定する。本測定処理を終了する条件とは、例えば、スマートデバイス10の電源スイッチがオフされたとの条件や、LSI48や主制御部30等において看過できない障害として予め定められた障害が発生したとの条件等を指す。
ステップ116において、本測定処理を終了する条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ100へ移行する。ステップ116において、本測定処理を終了する条件を満足した場合は、判定が肯定されて、本測定処理を終了する。
次に、制御回路70によって特定の時間間隔(例えば、100ミリ秒間隔)で実行される判別処理について図14を参照しつつ説明する。なお、以下では、説明の便宜上、揮発性メモリ70Aに放電時間情報が既に記憶されていることを前提として説明する。また、以下では、説明の便宜上、制御回路70が、センサパネル16における1つの着目座標に対応する位置に対する指示体Iの接触状態、非接触状態、及び押圧状態を判別する場合について説明する。
図14に示す判別処理では、先ず、ステップ120で、制御回路70は、揮発性メモリ70Aから、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に対応する放電時間情報を取得し、その後、ステップ122へ移行する。
ステップ122で、制御回路70は、放電時間プロファイル90(図15参照)に基づいて、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が接触時放電時間以下か否かを判定する。ここで、接触時放電時間は、本開示の技術に係る「予め定められた接触時物理量」の一例である。本第1実施形態において、接触時放電時間とは、接触状態における第2コンデンサ62の電荷量に相当する放電時間として予め定められた時間を指す。
一例として図15に示すように、接触時放電時間は、放電時間プロファイル90から一意に特定される。放電時間プロファイル90は、指示受付面22Aに対する指示体Iの位置と第2コンデンサ62による放電時間との関係を示したプロファイルである。また、放電時間プロファイル90は、タッチパネル42の実機による試験や、タッチパネル42の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等の結果から導き出されたプロファイルである。
一例として図15に示すように、放電時間プロファイル90は、接触時放電時間の他に、本開示の技術に係る非接触時物理量の一例である非接触時放電時間、及び本開示の技術に係る押圧時物理量の一例である押圧時放電時間も規定している。そして、非接触時放電時間及び押圧時放電時間も、接触時放電時間と同様に、放電時間プロファイル90から一意に特定される。なお、非接触時放電時間とは、非接触状態における第2コンデンサ62の電荷量に相当する放電時間として予め定められた時間を指す。また、押圧時放電時間とは、押圧状態における第2コンデンサ62の電荷量に相当する放電時間として予め定められた時間を指す。
図15に示す例において、横軸は、指示体Iの位置であり、縦軸は、第2コンデンサ62による放電時間である。横軸において、“0mm(ミリメートル)”の位置とは、指示受付面22Aの基準位置に相当する位置を指す。指示受付面22Aの基準位置とは、指示受付面22Aに対して指示体Iが非接触状態の場合の指示受付面22Aの位置を指す。
横軸において、0mm未満の位置、すなわち、負側の位置は、指示受付面22Aの基準位置を境としてセンサパネル16から離れる位置である。よって、指示体Iは、0mmから負側に離れるに従ってセンサパネル16から遠くなる。横軸において、0mmを超える位置、すなわち、正側の位置は、指示受付面22Aの基準位置を境としてセンサパネル16に近付く位置である。よって、指示体Iは、0mmから正側に離れるに従ってセンサパネル16に近くなる。
放電時間プロファイル90では、非接触時放電時間が、接触時放電時間よりも長く、押圧時放電時間が、非接触時放電時間よりも長い。また、放電時間プロファイル90では、0mm未満の領域(負側の領域)における放電時間の変化量が、0mmを超える領域(正側の領域)における放電時間の変化量よりも緩やかである。
ステップ122において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が接触時放電時間を超えている場合は、判定が否定されて、ステップ126へ移行する。ステップ122において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が接触時放電時間以下の場合は、判定が肯定されて、ステップ124へ移行する。なお、ここで、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が接触時放電時間以下の場合とは、例えば、図7に示す放電時間の場合を指す。
ステップ124で、制御回路70は、I/O40を介して接触状態信号を主制御部30に出力し、その後、本判別処理を終了する。
ステップ126で、制御回路70は、放電時間プロファイル90に基づいて、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が押圧時放電時間以上か否かを判定する。
ステップ126において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が押圧時放電時間未満の場合は、判定が否定されて、ステップ130へ移行する。ステップ126において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が押圧時放電時間以上の場合は、判定が肯定されて、ステップ128へ移行する。なお、ここで、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が押圧時放電時間以上の場合とは、例えば、図9に示す放電時間の場合を指す。
ステップ128で、制御回路70は、I/O40を介して押圧状態信号を主制御部30に出力し、その後、本判別処理を終了する。
ステップ130で、制御回路70は、放電時間プロファイル90に基づいて、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間以下か否かを判定する。
ステップ130において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間を超えている場合は、判定が否定されて、ステップ136へ移行する。ステップ130において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間以下の場合は、判定が肯定されて、ステップ132へ移行する。なお、ここで、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間以下の場合とは、例えば、図8に示す放電時間の場合を指す。
ステップ132で、制御回路70は、放電時間プロファイル90に基づいて、周辺放電時間が非接触時放電時間か否かを判定する。ここで、周辺放電時間とは、着目座標に隣接する1つの座標に対応する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間を指す。なお、本ステップ132で用いられる周辺放電時間は、着目座標に隣接する1つの座標に関する座標別電荷蓄積部66に対応する放電時間情報として、揮発性メモリ70Aから制御回路70によって取得された放電時間情報により示される放電時間である。
ステップ132において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間の場合は、判定が肯定されて、ステップ134へ移行する。ステップ132において、ステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間が非接触時放電時間でない場合は、判定が否定されて、ステップ136へ移行する。
ステップ134で、制御回路70は、I/O40を介して非接触状態信号を主制御部30に出力し、その後、本判別処理を終了する。
ステップ136で、制御回路70は、着目座標について、前回の判別処理が実行された際に接触状態信号を出力したか否かを判定する。
ステップ136において、着目座標について、前回の判別処理が実行された際に接触状態信号を出力した場合は、判定が肯定されて、ステップ124へ移行する。ステップ136において、着目座標について、前回の判別処理が実行された際に接触状態信号を出力していない場合は、判定が否定されて、ステップ138へ移行する。
ステップ138で、制御回路70は、周辺放電時間が第1既定範囲内(図15参照)又は第2既定範囲(図15参照)内か否かを判定する。ここで、第1既定範囲とは、放電時間プロファイル90において、非接触時放電時間を超え、かつ、押圧時放電時間未満の範囲を指す。また、第2既定範囲とは、放電時間プロファイル90において、接触時放電時間を超え、かつ、非接触時放電時間未満の範囲を指す。
ステップ138において、周辺放電時間が第1既定範囲内又は第2既定範囲内の場合は、判定が肯定されて、ステップ124へ移行する。ステップ138において、周辺放電時間が第1既定範囲内又は第2既定範囲内でない場合(第1既定範囲外であり、かつ、第2既定範囲外の場合)は、判定が否定されて、ステップ140へ移行する。
ステップ140で、制御回路40は、エラー処理を実行し、その後、本判別処理を終了する。ここで、エラー処理とは、接触状態信号、押圧状態信号、及び非接触状態信号の何れも出力しない処理を指す。
なお、本第1実施形態では、ステップ140で、制御回路40がエラー処理を実行するが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、ステップ140の処理に代えて、制御回路40が、接触状態信号、押圧状態信号、及び非接触状態信号のうちの特定の信号を出力する処理を適用してもよい。
次に、制御回路70からCPU32に押圧状態信号が入力された場合にCPU32によって間欠押圧操作判別プログラム44が実行されることで実現される間欠押圧操作判別処理について図16を参照しつつ説明する。なお、以下では、説明の便宜上、接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号を区別して説明する必要がない場合、「状態信号」と称する。
図16に示す間欠押圧操作判別処理では、先ず、ステップ150で、CPU32は、押圧状態信号が入力されてから予め定められた時間内か否かを判定する。ここで、予め定められた時間とは、例えば、1回のダブルタップ操作が完結する時間の半分の時間として、タッチパネル42の実機による試験や、タッチパネル42の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等の結果から導き出された時間を指す。なお、上記のダブルタップ操作に要する時間の半分の時間とは、例えば、ダブルタップ操作における1回目のタップから2回目のタップまでに要する時間の半分を指し、本第1実施形態では、例えば、上述した第1設定時間の半分を指す。
ステップ150において、押圧状態信号が入力されてから予め定められた時間内でない場合は、判定が否定されて、本間欠押圧操作判別処理を終了する。ステップ150において、押圧状態信号が入力されてから予め定められた時間内の場合は、判定が肯定されて、ステップ154へ移行する。
ステップ152で、CPU32は、制御回路70から状態信号が入力されたか否かを判定する。ステップ152において、制御回路70から状態信号が入力されていない場合は、判定が否定されて、ステップ150へ移行する。ステップ152において、制御回路70から状態信号が入力された場合は、判定が肯定されて、ステップ154へ移行する。
ステップ154で、CPU32は、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が接触状態信号か否かを判定する。ステップ154において、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が接触状態信号でない場合は、判定が否定されて、本間欠押圧操作判別処理を終了する。ステップ154において、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が接触状態信号の場合は、判定が肯定されて、ステップ156へ移行する。
ステップ156で、CPU32は、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定されてから予め定められた時間内か否かを判定する。ステップ156において、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定されてから予め定められた時間内でない場合は、判定が否定されて、本間欠押圧操作判別処理を終了する。ステップ156において、ステップ152の処理が実行されることで「入力された」と判定されてから予め定められた時間内の場合は、判定が肯定されて、ステップ158へ移行する。
ステップ158で、CPU32は、制御回路70から状態信号が入力されたか否かを判定する。ステップ158において、制御回路70から状態信号が入力されていない場合は、判定が否定されて、本間欠押圧操作判別処理を終了する。ステップ158において、制御回路70から状態信号が入力された場合は、判定が肯定されて、ステップ160へ移行する。
ステップ160で、ステップ158の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が押圧状態信号か否かを判定する。ステップ160において、ステップ158の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が押圧状態信号でない場合は、判定が否定されて、本間欠押圧操作判別処理を終了する。ステップ160において、ステップ158の処理が実行されることで「入力された」と判定された状態信号が押圧状態信号の場合は、判定が肯定されて、ステップ162へ移行する。
ステップ162で、CPU32は、間欠押圧操作に対応する処理として予め定められた処理である間欠押圧操作処理を実行し、その後、本間欠押圧操作判別処理を終了する。なお、ここで、間欠押圧操作処理の一例としては、スマートデバイス10に既にインストールされている特定のアプリケーションに対する特定の処理や、間欠押圧操作が行われた位置の座標を二次記憶部36に時系列で記憶する処理等が挙げられる。
以上説明したように、タッチパネル42では、第2コンデンサ62による放電時間が制御回路70によって測定される。そして、制御回路70により、測定された放電時間に従って、接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号が選択的に出力される。従って、タッチパネル42によれば、静電容量方式及び抵抗膜方式を選択的に用いて物理量を測定する場合に比べ、指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態を簡易に判別することができる。
また、タッチパネル42では、制御回路70により、接触時放電時間に相当する放電時間が測定された場合(ステップ122:Y)、接触状態信号が出力される。また、制御回路70により、非接触時放電時間に相当する放電時間が測定された場合(ステップ132:Y)、非接触時信号が出力される。更に、制御回路70により、押圧時放電時間に相当する放電時間が測定された場合(ステップ126:Y)、押圧状態信号が出力される。従って、タッチパネル42によれば、静電容量及び抵抗膜の抵抗値の両方を測定する場合に比べ、指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態を迅速に判別することができる。
また、タッチパネル42では、非接触時放電時間が接触時放電時間よりも長く、押圧時放電時間が非接触時放電時間よりも長く規定された放電時間プロファイル90に基づいて接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号が選択的に出力される。従って、タッチパネル42によれば、放電時間プロファイル90を用いない場合に比べ、測定された放電時間に基づいて指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態を高精度に判別することができる。
また、タッチパネル42では、接触状態信号が前回出力され、かつ、非接触状態放電時間でなく、かつ、接触時放電時間よりも長く、かつ、押圧時放電時間よりも短い放電時間が測定された場合(ステップ136:Y)、接触状態信号が出力される。従って、タッチパネル42によれば、実際に接触状態でないにも拘らず接触状態と誤判別することを回避することができる。
また、タッチパネル42では、着目座標に関する第2コンデンサ50による放電時間として測定された放電時間が、非接触時放電時間より長く、かつ、押圧時放電時間よりも短い場合に、ステップ138の処理が実行される。そして、周辺放電時間が第1既定範囲内の場合及び第2既定範囲内の場合(ステップ138:Y)、接触状態信号が出力される。従って、タッチパネル42によれば、実際に接触状態でないにも拘らず接触状態と誤判別することを回避することができる。
また、タッチパネル42では、着目座標に関する第2コンデンサ50による放電時間として測定された放電時間が、接触時放電時間よりも長く、かつ、非接触時放電時間以下の場合に、ステップ132の処理が実行される。そして、周辺放電時間が非接触時放電時間の場合(ステップ132:Y)、非接触状態信号が出力される。従って、タッチパネル42によれば、実際に非接触状態でないにも拘らず非接触状態と誤判別することを回避することができる。
また、タッチパネル42では、第2コンデンサ62による放電時間が測定され、測定された放電時間が放電時間プロファイル90と比較される。従って、タッチパネル42によれば、静電容量及び抵抗値の両方を測定する場合に比べ、指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態を迅速に判別することができる。
また、タッチパネル42では、一対の櫛歯電極である第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56の双方の櫛歯部54A及び櫛歯部56Aが互い違いに配置されることで形成された第1コンデンサ50が採用されている。そして、カーボンシート52が、指示受付面22Aが押圧されることで櫛歯部54A,56A間の抵抗値が変化可能な位置に配置されている。従って、タッチパネル42によれば、一対の電極が上下方向に重ねられて配置され、電極間に抵抗体が介在される場合に比べ、厚さを薄くすることができる。
また、スマートデバイス10では、制御回路70により出力された接触状態信号、非接触状態信号、及び押圧状態信号の各々に対応した処理(例えば、タップ操作やドラッグ操作等を認識する処理)がCPU32によって実行される。
従って、スマートデバイス10によれば、静電容量方式及び抵抗膜方式を選択的に用いて物理量を測定する場合に比べ、簡易な構成で、指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態の各々に対応した処理を実行することができる。
また、スマートデバイス10では、予め定められた時間内において制御回路70により接触状態信号が出力された前後に非接触状態信号が出力されることなく押圧状態信号が出力された場合に、CPU32により、間欠押圧操作に対応する処理が実行される。
従って、スマートデバイス10によれば、静電容量方式及び抵抗膜方式を選択的に用いて物理量を測定する場合に比べ、簡易な構成で、指示体Iの指示受付面22Aに対する間欠押圧操作に対応する処理を実行することができる。
なお、上記第1実施形態では、周辺放電時間の一例として、着目座標に隣接する1つの座標に対応する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、着目座標に隣接する複数の座標の各々に対応する座標別電荷蓄積部66に含まれる各第2コンデンサ62による放電時間の平均値又は中央値等を周辺放電時間として採用してもよい。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、着目座標に対応する位置について周辺放電時間を利用して接触状態か否かを判定する精度を高める場合について説明したが、本第2実施形態では、周辺放電時間を利用せずに接触状態か否かを判定する精度を高める場合について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
ところで、一例として図15に示すように、放電時間プロファイル90は、“0mm”を境界として、負側プロファイル90Aと正側プロファイル90Bとに大別される。負側プロファイル90Aは、放電時間プロファイル90のうちの指示体Iの位置が負側の領域に属する部分であり、正側プロファイル90Bは、放電時間プロファイル90のうちの指示体Iの位置が正側の領域に属する部分である。
負側プロファイル90Aにおける接触時放電時間以上の範囲90A1での放電時間の変化は、正側プロファイル90Bにおける接触時放電時間以上かつ押圧時間放電時間以下の範囲90B1での放電時間の変化と異なっている。
そこで、本第2実施形態では、負側プロファイル90Aの範囲90A1での放電時間の変化と正側プロファイル90Bの範囲90B1での放電時間の変化との差異に基づいて、制御回路70によって、接触状態と非接触状態とが判別される。
本第2実施形態では、制御回路70が、接触時放電時間を超え、かつ、押圧時放電時間未満の放電時間を測定した場合に、測定された放電時間に応じて接触状態信号及び非接触状態信号を選択的に出力する。
また、本第2実施形態では、制御回路70が、非接触時放電時間に相当する放電時間を測定し、かつ、測定した放電時間の変化が、本開示の技術に係る予め定められた変化の一例である後述の非接触時変化を示した場合に、非接触状態信号を出力する。
本第2実施形態に係るスマートデバイス200(図1及び図2参照)は、上記第1実施形態に係るスマートデバイス10に比べ、制御回路70が図14に示す判別処理を実行することに代えて、図17に示す判別処理を実行する点が異なる。
そこで、以下では、本第2実施形態に係るスマートデバイス200の本開示の技術に係る部分の作用として、制御回路70によって特定の時間間隔で実行される判別処理について図17を参照しつつ説明する。なお、図14に示すフローチャートと同一のステップについては、同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
図17に示す判別処理は、図14に示す判別処理に比べ、ステップ132に代えてステップ300を有する点、及びステップ138に代えてステップ302を有する点が異なる。
ステップ300で、制御回路70は、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が非接触時変化か否かを判定する。放電時間の変化は、例えば、前回の判別処理の実行によりステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間と、今回の判別処理の実行によりステップ120で取得した放電時間情報により示される放電時間との差の絶対値から一意に特定される。
ここで、非接触時変化とは、非接触状態の場合における特定の時間間隔での第2コンデンサ62による放電時間の変化を指す。なお、非接触時変化は、非接触状態の場合における特定の時間間隔での第2コンデンサ62による放電時間の差の絶対値として予め導き出された値αから一意に特定される。ここで、予め導き出された値αとは、範囲90A1での指示体Iの位置と放電時間との関係を基に、タッチパネル42の実機による試験や、タッチパネル42の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等の結果から導き出された値を指す。
ステップ300において、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が非接触時変化でない場合は、判定が否定されて、ステップ136へ移行する。ステップ300において、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が非接触時変化の場合は、判定が肯定されて、ステップ134へ移行する。
ステップ302で、制御回路70は、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が接触時変化か否かを判定する。
接触時変化とは、接触状態の場合における特定の時間間隔での第2コンデンサ62による放電時間の変化を指す。接触時変化は、接触状態の場合における特定の時間間隔での第2コンデンサ62による放電時間の差の絶対値として予め導き出された値βから一意に特定される。ここで、予め導き出された値βとは、範囲90B1での指示体Iの位置と放電時間との関係を基に、タッチパネル42の実機による試験や、タッチパネル42の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等の結果から導き出された値を指す。
ステップ302において、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が接触時変化でない場合は、判定が否定されて、ステップ140へ移行する。ステップ302において、着目座標に関する座標別電荷蓄積部66に含まれる第2コンデンサ62による放電時間の変化が接触時変化の場合は、判定が肯定されて、ステップ124へ移行する。
以上説明したように、本第2実施形態に係るタッチパネル42では、接触時放電時間を超え、かつ、押圧時放電時間未満の放電時間が測定された場合に、測定された放電時間の変化に応じて接触状態信号及び非接触状態信号が選択的に出力される。従って、本第2実施形態に係るタッチパネル42によれば、放電時間プロファイル90に示すように非接触時放電時間が接触時放電時間よりも長く、かつ、押圧時放電時間が非接触時放電時間よりも長い場合であっても、接触状態及び非接触状態を判別することができる。
また、本第2実施形態に係るタッチパネル42では、制御回路70により、非接触時放電時間に相当する放電時間が測定され、かつ、測定された放電時間の変化が非接触時変化を示した場合(ステップ300:Y)、非接触状態信号が出力される。従って、タッチパネル42によれば、非接触時放電時間が接触時放電時間よりも長く、かつ、押圧時放電時間が非接触時放電時間よりも長い場合であっても、実際に非接触状態であるにも拘らず接触状態と誤判別されることを回避することができる。
なお、上記第2実施形態では、ステップ300において判定が肯定された場合に、ステップ134へ移行する場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、図18に示すように、ステップ300において判定が肯定された場合に、上記第1実施形態に係る判別処理に含まれるステップ132の処理が実行されるようにしてもよい。図18に示す例では、ステップ132において判定が否定された場合に、ステップ136へ移行し、ステップ132において判定が肯定された場合に、ステップ134へ移行する。
また、上記第2実施形態では、ステップ302において判定が肯定された場合に、ステップ124へ移行する場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、図18に示すように、ステップ302において判定が肯定された場合に、上記第1実施形態に係る判別処理に含まれるステップ138の処理が実行されるようにしてもよい。図18に示す例では、ステップ138において判定が否定された場合に、ステップ140へ移行し、ステップ138において判定が肯定された場合に、ステップ124へ移行する。
上記各実施形態では、第1櫛歯電極54及び第2櫛歯電極56によって形成された第1コンデンサ50とカーボンシート52とが1組ずつ座標毎に配置されている場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、図19A及び図19Bに示すように、複数の第1導線24及び複数の第1櫛歯電極54に代えて複数の第1導線400を適用し、複数の第2導線26及び複数の櫛歯電極56に代えて複数の第2導線402を適用してもよい。そして、この場合、カーボンシート52に代えて、第1抵抗体404及び第2抵抗体406を適用する。
図19A及び図19Bに示す例では、第1コンデンサ50に代えて第1コンデンサ50Aが採用されており、第1コンデンサ50Aは座標毎に形成されている。第1コンデンサ50Aは、第1導線400と第2導線402とがZ方向で対向配置されることによって形成される。
第1導線400は、Y方向に延伸しており、X方向に沿って既定の間隔を隔てて配置されている。これに対し、第2導線402は、X方向に延伸しており、Y方向に沿って既定の間隔を隔てて配置されている。
第1導線400は、第1抵抗体404によって被覆されており、第2導線402は、第2抵抗体406によって被覆されている。隣接する第1導線400についての第1抵抗体404の各々は接触していない。また、隣接する第2導線402についての第2抵抗体406の各々は接触していない。
第1抵抗体404は、指示体Iが指示受付面22Aに対して接触状態の場合及び指示体Iが指示受付面22Aに対して非接触状態の場合、第1抵抗体404は、第2抵抗体406に接触しない。しかし、一例として図20に示すように、第1抵抗体404は、指示体Iが指示受付面22Aに対して押圧状態の場合、第2抵抗体406に接触し、これにより、第1導線400と第2導線402との間の抵抗値が変化する。
なお、図19A、図19B、及び図20に示す例では、第1導線400及び第2導線402が本開示の技術に係る一対の電極の一例であり、第1抵抗体404及び第2抵抗体406が本開示の技術に係る抵抗体の一例である。
また、図19A、図19B、及び図20に示す例では、第1抵抗体404及び第2抵抗体406を示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、図21A及び図21Bに示すように、第1抵抗体404及び第2抵抗体406に代えて可変抵抗体408を適用してもよい。可変抵抗体408は、導電粒子が散在された可変抵抗ゴムであり、立方体状に形成されている。可変抵抗体408は、荷重がかかっていない場合、導電粒子が散在された状態が維持されるが、荷重がかかると、導電粒子が接触することになり、荷重がかかっていない場合に比べ、抵抗値が小さくなる。
可変抵抗体408は、第1導線400と第2導線402との交差点の部分に配置されている。従って、指示体Iが指示受付面22Aに対して押圧状態の場合、押圧された位置に対応する可変抵抗体408は押し潰されるので、導電粒子が接触して可変抵抗体408の抵抗値が小さくなる。
また、上記各実施形態では、制御回路70によって測定処理及び判別処理が実行される場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、図21に示すように、制御回路70に代えてコンピュータ450及びI/O460を用いて測定処理及び判別処理が実行されるようにしてもよい。
一例して図22に示すように、コンピュータ450は、CPU452、一次記憶部454、及び二次記憶部456を備えており、CPU452、一次記憶部454、及び二次記憶部456は、バスライン458に接続されている。バスライン458には、I/O460が接続されている。I/O460には、第1出力バッファ72の入力端子、第2出力バッファ74の入力端子、コンパレータ76の出力端子、NMOSトランジスタN1のゲート、及びNMOSトランジスタN2のゲートが接続されている。
二次記憶部456は、測定プログラム462、判別プログラム464、及び放電時間プロファイル90が記憶されている。測定プログラム462及び判別プログラム464は、本開示の技術に係るプログラムの一例である。
CPU452は、二次記憶部456から測定プログラム462及び判別プログラム464を読み出して一次記憶部454に展開する。そして、CPU452は、一次記憶部454に展開した測定プログラム462及び判別プログラム464を実行することで本開示の技術に係る測定部及び出力部として動作し、上記各実施形態で説明した測定処理及び判別処理が実現される。
また、図22に示す例では、測定プログラム462及び判別プログラム464を二次記憶部456から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部456に記憶させておく必要はない。例えば、図23に示すように、SSD(Solid State Drive)又はUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの任意の可搬型の記憶媒体470に先ずは測定プログラム462及び判別プログラム464を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体470に記憶されている測定プログラム462及び判別プログラム464がコンピュータ450にインストールされ、インストールされた測定プログラム462及び判別プログラム464がCPU452によって実行される。
また、上記各実施形態では、間欠押圧操作判別プログラム44を二次記憶部36から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部36に記憶させておく必要はない。例えば、図24に示すように、記憶媒体472に先ずは間欠押圧操作判別プログラム44を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体472に記憶されている間欠押圧操作判別プログラム44が主制御部30にインストールされ、インストールされた間欠押圧操作判別プログラム44がCPU32によって実行される。
また、上述した各種プログラムは、通信網(図示省略)を介してスマートデバイス10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に記憶させておき、プログラムがスマートデバイス10の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。
また、上記各実施形態で説明した測定処理、判別処理、間欠押圧操作判別処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、測定処理及び判別処理は、FPGA(Field−Programmable gate array)等のハードウェア構成のみで実現されてもよいし、コンピュータを利用したソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実現されてもよい。また、間欠押圧操作判別処理は、FPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア構成のみで実現されてもよい。また、間欠押圧操作判別処理は、コンピュータを利用したソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実現されてもよい。
また、上記各実施形態では、第2コンデンサ62による放電時間が制御回路70によって測定される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、第2コンデンサ62の電圧が制御回路70によって測定されるようにしてもよい。
この場合、例えば、図25に示すように、図6に示すLSI48に代えてLSI476が適用され、図6に示す導線別電荷蓄積部60Aに代えて導線別電荷蓄積部60Bが適用される。
LSI476は、LSI48に比べ、コンパレータ76を有しない点が異なる。また、導線別電荷蓄積部60Bは、導線別電荷蓄積部60Aに比べ、電圧計480を有する点が異なる。
電圧計480の一端は、第2コンデンサ62の第1電極62Aに接続され、電圧計480の他端は、第2コンデンサ62の第2電極62Bに接続されている。また、電圧計480は、制御回路70に接続されており、第2コンデンサ62の電圧を測定し、測定結果を制御回路70に出力する。制御回路70の不揮発性メモリ70Bには、接触時電圧情報、押圧時電圧情報、及び非接触時電圧情報が記憶されている。接触時電圧情報は、接触状態での第2コンデンサ62の電圧の絶対値として予め定められた接触時電圧の絶対値を示す情報である。押圧時電圧情報は、押圧状態での第2コンデンサ62の電圧の絶対値として予め定められた押圧時電圧の絶対値を示す情報である。非接触時電圧情報は、非接触状態での第2コンデンサ62の電圧の絶対値として予め定められた非接触時電圧の絶対値を示す情報である。
制御回路70は、放電時間と接触時放電時間とを比較することに代えて、電圧計480により測定された電圧の絶対値(本開示の技術に係る物理量の一例)と接触時電圧情報により示される電圧の絶対値(本開示の技術に係る予め定められた接触時物理量の一例)とを比較する。また、制御回路70は、放電時間と押圧時放電時間とを比較することに代えて、電圧計48により測定された電圧の絶対値と押圧時電圧情報により示される電圧の絶対値(本開示の技術に係る予め定められた押圧時物理量の一例)とを比較する。更に、制御回路70は、放電時間と非接触時放電時間とを比較することに代えて、電圧計480により測定された電圧の絶対値と非接触時電圧情報により示される電圧の絶対値(本開示の技術に係る予め定められた非接触時物理量の一例)とを比較する。
また、第2コンデンサ62の電圧値が測定される場合、一例として図26に示すように放電時間プロファイル90に代えて電圧プロファイル482が適用され、電圧プロファイル482は、電圧計480により測定された電圧の絶対値との比較に供される。
一例として図26に示すように、電圧プロファイル482は、放電時間プロファイル90に比べ、押圧時放電時間に代えて押圧時電圧絶対値を有する点が異なる。押圧時電圧絶対値とは、押圧時電圧情報により示される電圧の絶対値を指す。また、電圧プロファイル482は、放電時間プロファイル90に比べ、非接触時放電時間に代えて非接触時電圧絶対値を有する点が異なる。非接触時電圧絶対値とは、非接触時電圧情報により示される電圧の絶対値を指す。更に、電圧プロファイル482は、放電時間プロファイル90に比べ、接触時放電時間に代えて接触時電圧絶対値を有する点が異なる。接触時電圧絶対値とは、接触時電圧情報により示される電圧の絶対値を指す。
このように、制御回路70によって、電圧計480により第2コンデンサ62の電圧が測定され、測定された電圧が電圧プロファイル482と比較されるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。また、図25に示すLSI476及び導線別電荷蓄積部60Bが適用されたタッチパネル42によれば、静電容量及び抵抗値の両方を測定する場合に比べ、指示体Iの指示受付面22Aに対する接触状態、非接触状態、及び押圧状態を迅速に判別することができる。
また、図25に示す例では、電圧計480により測定された電圧と電圧プロファイル482との比較結果に応じて状態信号が出力されるが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンパレータ76の出力結果を基にした比較結果と電圧計480の測定結果を基にした比較結果との論理積に応じて状態信号を出力するようにしてもよい。
この場合、一例として図27に示すように、コンパレータ76及び電圧計480の両方が制御回路70に接続されており、制御回路70は、コンパレータ76の出力結果を基にした比較結果と電圧計480の測定結果を基にした比較結果との論理積を算出する。そして、制御回路70は、例えば、論理積が“0”の場合に状態信号を出力せず、論理積が“1”の場合に状態信号を出力する。
また、一例として図28に示すように、図25に示す導線別電荷蓄積部60Bに代えて導線別電荷蓄積部60Cを適用してもよい。導線別電荷蓄積部60Cは、導線別電荷蓄積部60Bに比べ、電流計492を有する点が異なる。
電流計492は、制御回路70に接続されている。この場合、制御回路70の不揮発性メモリ70Bには、接触時電圧情報に対応する接触時電流情報、押圧時電圧情報に対応する押圧時電流情報、及び非接触時電圧情報に対応する非接触時電流情報が記憶されている。接触時電流情報は、接触状態において第2電極62BとB点との間に流れる電流の絶対値として予め定められた接触時電流の絶対値を示す情報である。押圧時電流情報は、押圧状態において第2電極62BとB点との間に流れる電流の絶対値として予め定められた押圧時電流の絶対値を示す情報である。非接触時電流情報は、非接触状態において第2電極62BとB点との間に流れる電流の絶対値として予め定められた押圧時電流の絶対値を示す情報である。また、制御回路70の不揮発性メモリ70Bには、電圧プロファイル482に対応する電流プロファイル(図示省略)も記憶されている。
制御回路70は、コンパレータ76の出力結果を基にした比較結果と電圧計480の測定結果を基にした比較結果と電流計492の測定結果を基にした比較結果との論理積に応じて状態信号を出力する。すなわち、制御回路70は、コンパレータ76の出力結果を基にした比較結果と電圧計480の測定結果を基にした比較結果と電流計492の測定結果を基にした比較結果との論理積を算出する。そして、制御回路70は、例えば、論理積が“0”の場合に状態信号を出力せず、論理積が“1”の場合に状態信号を出力する。
なお、図28に示す例では、電圧計480、電流計492、及びコンパレータ76が併用されている場合が示されているが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、電圧計480、電流計492、及びコンパレータ76のうち、電圧計480を用いなくとも本開示の技術は成立する。また、電圧計480、電流計492、及びコンパレータ76のうち、電圧計480及びコンパレータ76を用いてなくとも本開示の技術は成立する。
また、上記各実施形態では、全ての座標の各々に対して座標別電荷蓄積部66が設けられている場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、1つの座標に対してのみ座標別電荷蓄積部66が設けられていてもよい。例えば、タッチパネル42のうち、間欠押圧操作が行われる1つの座標として予め定められた座標に対してのみ座標別電荷蓄積部66が設けられるようにしてもよい。
なお、2015年10月19日に出願された日本国特許出願2015−205807号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。