JP6391987B2 - 曲がり管及びその製法 - Google Patents
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Description
図14は、中間部を略90°曲げたホース110の平面図である。このホース110は、長さ方向において、中間部の曲がり部120と、その両側へ接続するストレート部130及び132を備える。
この例では、曲がり部120及びストレート部130、132は、図中に(a)、(b)として回転断面で示すように、それぞれ内径Dとする真円形状をなし、曲がり部120は略90°湾曲したアール形状をなしている。なお、図中に(c)で示した断面は、後述する特許文献1において採用されている横長楕円形状(横長扁平形状)の曲がり部断面に相当するものである。
なお、アールが小さいことは、曲率が大きいことと同義であり、アールが小さいほど(曲率が大きいほど)アール形状部の曲げがきつくなる。
また、ホースの中心軸線をHC、中心軸線HC上の点をホースの中心HO、ホースを中心軸線HCの直交方向に切った断面を横断面、このうち特に曲がり部をアール半径方向に沿って切った断面をアール半径方向断面とする。
さらに、ホースをアール円Cに直交する方向から示す状態を平面視とし、この平面視において、曲がり部のうち、アール中心CO側を内側、反対側を外側という。内側と外側の間になるホースの外周面を側面とする。
また、アール半径方向断面において、アール半径方向を縦方向、これに直交する方向を横方向とし、アール半径方向断面形状について、ホースの中心HOを通る縦方向の長さと横方向の長さが異なる形状を扁平形状という。特に、横方向の長さの方が長い形状を横長扁平形状、縦方向の長さの方が長い形状を縦長扁平形状という。
さらに、アール中心COとホースの中心HOを通る直線を縦方向中心線L1、これと直交して中心HOを通る直線を横方向中心線L2とする(図2参照)。
これらの各記号は、後述する実施形態においても共通に用いるものとする。
また、図面を参照した説明における上下・左右の各方向は、対象とする図面における上下・左右の各方向を意味するものとする。
このとき、マンドレル140の曲がり部142は、ホース110における曲がり部120の内周部とほぼ同じ曲率になっており、その内側アール部144のアールがある程度きついと、未加硫ホースをマンドレル140に被せたとき、曲がり部120の内側アール部124が、マンドレルの内側アール部144から離れ、内側アール部124と内側アール部144の間に空間180が形成される。
すると、内側アール部124には、矢示f1のようにその長さ方向中央へ向かって圧縮されているので、内側アール部124はf1方向の圧縮力により、空間180内へ向かって座屈変形する。この座屈変形によって、内側アール部124にしわ等の不規則形状からなる外観不良部190が発生し易くなる。
なお、曲がり部120の外側アール部126は、矢示f2のように引っ張られ、マンドレルの外側アール部146へ密着されるため、外側には外観不良部190が発生しにくい。
また、このような曲がり部内側における外観不良部190の発生を抑制するため、曲がり部を横長扁平形状(図14の(c)参照)にするとともに、ホース内周の周長を長さ方向へ次第に増大させたものがある(特許文献1参照)。
図16は曲がり部を横長扁平形状にする成形の原理を説明するためのものであり、(A)は真円状をなす未加硫ホースの内周に相当する基準内周円160と、マンドレルの曲がり部142(図15)におけるアール半径方向断面の外周に相当する曲がり部内周形状170を重ねた図である。曲がり部内周形状170は横長扁平形状をしている。
未加硫ホースをマンドレルの曲がり部142に被せると、曲がり部内周形状170は横長扁平形状をしているので、その左右方向端部170aが基準内周円160を左右方向へ押し広げる。このため、基準内周円160の左右部160aは、左右方向端部170a側へ引っ張られ、上部160b及び下部160cは、曲がり部内周形状170の上部170b及び下部170cへ押しつけられる。
このとき、上部160b及び下部160cは、曲がり部内周形状170の左右方向端部170aに引っ張られて強く曲がり部内周形状170の上部170b及び下部170cへ押しつけられることになる。
そこで、マンドレルの内側アール部144を小さくして、ホースの内側アール部124を所定よりも小さくすると、ホースの内側アール部124における復元力が増大し、この力が図16の(B)においてf3方向に作用し、下部160cを下部170cへ押しつけている引っ張り力に勝り、下部160cが下部170cから離れる。
ここで、曲がり部内周形状170の下部170cは、マンドレルの曲がり部142における内側アール部144に相当する。また、基準内周円160の下部160cは、ホースの曲がり部120における内側アール部124に相当する。
したがって、ホースの内側アール部124が、マンドレルの内側アール部144から離れて空間180を形成し、その後における外観不良部190の発生につながることになる。
また、ホースの曲がり部120の断面を横長扁平形状にしても、内側アール部124のアールを所定よりも小さくすると、空間180を不可避的に発生させることになる。
しかし、曲がり部のアールが大きいと、それだけ配置スペースを大きくとらなければならない。したがって、コンパクトな配置のために小アール化することが求められるようになった。しかも、このようなアールを小さくする要請は強く、例えば、自動車のラジエータホースに用いる場合には、ラジエータ回りにおけるエンジン周辺部品との干渉を避けて、ラジエータ及び周辺部品をエンジンルーム内へ密にレイアウトすることにより車体のコンパクト化を実現するために要求されている。
したがって、外観を損なうことなく、これまで実現できなかった内径の2倍以下となるような小アールの曲がり部を有するホース等の曲がり管及びその製法の実現が望まれていた。
また、特許文献1におけるように、内周の周長を長さ方向へ漸増させると、未加硫ホースをマンドレルへより強く密着させることができるため、ある程度の小アール化が可能になると考えられる。しかし、このように周長を変化させると、未加硫ホースを長さ方向で徐々に拡径するようになるので、肉厚が長さ方向で変化することになり、長さ方向の強度変化が大きくなって耐久性を低下させやすくなってしまう。したがって、長さ方向へ周長を変化させずに、小アール化を実現することも望まれることになった。
本願は、これらの要請の実現を目的とする。
前記扁平形状が縦長扁平形状をなすとともに、
前記曲がり管がゴムホースであり、
この曲がり管の横断面にて、前記曲がり部(20)の周長と非曲がり部(30・32)の周長とが同一であることを特徴とする。
前記マンドレル(40)は、長さ方向にて前記マンドレル曲がり部(42)を挟んで、マンドレル第1ストレート部(47)及びマンドレル第2ストレート部(48)を有し、
前記マンドレル曲がり部(42)を、アール半径方向断面において縦長扁平形状をとし、かつ前記マンドレル曲がり部(42)の周長を前記マンドレル第1ストレート部(47)及びマンドレル第2ストレート部(48)の周長と同一にするとともに、
前記マンドレル(40)に、ゴム素材からなる未加硫管(50)を被せ、この状態で加硫することにより、前記マンドレル(40)の形状と同様の曲がり管形状をなすゴムホースに成形することを特徴とする。
したがって、曲がり部内側のアールを所定より小さくしたゴムホースを、曲がり部の内側における、しわ等の外観不良部の発生を抑制しつつ成形できる。
また、マンドレルに、マンドレル曲がり部を挟んで第1ストレート部と第2ストレート部を設け、マンドレル曲がり部の周長を、第1ストレート部及び第2ストレート部の周長と同じにしたので、ゴムホースは長さ方向全長で肉厚が均一になり、耐久性を向上させることができる。さらに、曲がり形状のマンドレルに対する抜き差しが容易になり、作業性が向上する。
図1〜9は第1実施形態に係り、図1はホース10の平面図、図2はその2−2線断面図、図3は同3−3線断面図である。
ホース10は、第1ストレート部30−曲がり部20−第2ストレート部32と連続し、横断面形状は、回転断面を(a)(b)(c)として示してある。横断面形状はアール止まり14にて変化する。なお、補強布12は無くても良い。
方向へ長い縦長の楕円形状をなす。その内周側の楕円形状は、長半径aが縦方向となり、短半径bが横方向となる、縦方向へ突出した縦長扁平形状となっている。
なお、肉厚が一定であるから、外周側も相似形の縦長楕円形状をなしている。
図中の直線L3、L4は中心HOを通る直交2軸であり、それぞれ図2のL1及びL2に対応し、L3は図の上下方向へ延びる縦方向中心線であり、L4は図の左右方向へ延びる横方向中心線である。
図4に示すように、曲がり管形状のマンドレル40に、未加硫で断面が真円状の未加硫ホース50(本願における未加硫管に相当する)を被せ、未加硫ホース50をマンドレル40の曲がり形状に沿わせて曲げた状態で、所定温度に加熱することにより、未加硫ホース50を加硫させてマンドレル40と同形状に固定された曲がり管のホースを成形する。
マンドレル曲がり部42におけるマンドレル内側アール部44は、ホース10の曲がり部20における曲がり部内側22の内周アール25(図1)と同程度のアール形状をなす。また、マンドレル曲がり部42のマンドレル外側アール部46も、ホース10の曲がり部20における曲がり部外側23の内周アール27(図1)と同程度のアール形状をなす。
マンドレル内側アール部44及びマンドレル外側アール部46は、半径rの同心円に対して、それぞれd程度内側及び外側へ張り出している。半径rの円は、マンドレル第1ストレート部47及びマンドレル第2ストレート部48の横断面における外周となる円である。この半径rは第1ストレート部30及び第2ストレート部32の内径でもある。
また、マンドレル曲がり部42とマンドレル第1ストレート部47及びマンドレル第2ストレート部48における各外周の周長は同じであり、ホース10の内周の周長Lと一致する。
特に、マンドレル曲がり部42におけるマンドレル内側アール部44がアール中心CO方向へ張り出していることにより、未加硫ホース内側アール部54は、マンドレル内側アール部44の押しつけにより引っ張られるため、マンドレル内側アール部44側へ強く密着され、この密着が維持される。
また、曲がり部外側23における内周アール27は、マンドレル曲がり部42におけるマンドレル外側アール部46に沿って形成され、外側アール部26は、所定のアールになる。
基準内周円60は、マンドレル第1ストレート部47及びマンドレル第2ストレート部48の断面における真円状の外周を示し、半径rである。
しかも、この密着状態は、マンドレル内側アール部44のアールを小さくしても維持されるから、従来の限界であったアールが2Dより小さな小アール(内径Dの2倍以下)、特に、D=30mmのときにおけるR40のような小アールが可能になる。
また、長さ方向で通路断面積が変化するため、流速や圧力が変化するため、流体のホースとして好ましくないことになる。
また、曲がり部20のアール半径方向断面における、非円形の縦長扁平形状は種々可能である。以下、これを曲がり部内周形状によって説明する。以下の各例において、基準内周円60並びに縦方向中心線L1及び横方向中心線L2は図8及び9と同じである。
なお、周長は曲がり部20とそれ以外の部分で同一である(以下の各例も同様)。また、a>rの条件は、少なくとも内側突部72側で充足されればよい。
このように曲がり部のアール半径方向断面形状を縦方向で非対称にすると、内側(図の下側)又は外側(図の上側)に、周辺部材との逃げ部などの変形部を設けることなどが可能になるので、曲がり部の断面形状設計における自由度が高くなる。
図12の(A)は、曲がり部内周形状70Cを縦長の略長方形とした例であり、曲がり部内周形状70Cは4辺(75a・75b・75c・75d)と4頂点(75e・75f・75g・75h)を有している。上辺75aと下辺75cを水平にし、左右の辺75bと75dをそれぞれ図の上下方向に向けて配置し互いに平行させてある。
内側突部72Cは下辺75cにおける左右の頂点75f・75gとなり、外側突部74Cは、上辺75aにおける左右の頂点75e・75hとなる。
なお、多角形の曲がり部内周形状はこれらに限らず、5角形でも、さらには7角形以上でも可能である。
この場合でも、内側突部72Fが基準内周円60より図の下方へ突出している。外側突部74Fは円弧状部79aの頂点部である。円弧状部79aと内側突部72Fをつなぐ左辺部は、直線部79bとアール部79cからなり、右辺部は直線部79dからなる。
内側突部72Fと外側突部74Fは図の上下で非対称に配置され、図の左右でもそれぞれずれている。
さらに、第1ストレート部30及び第2ストレート部32の断面形状は、真円形状に限らず種々の非円形形状が可能である。
また、曲がり管は、ホースやこれよりも細いチューブ等の管状体を含み、その用途もラジエータホースに限らず種々の流体輸送に適用可能である。
Claims (7)
- 長さ方向中間部に曲がり部(20)を有し、この曲がり部におけるアール半径方向断面を扁平形状にするとともに、前記曲がり部に連続する非曲がり部(30・32)を備えた曲がり管において、
前記扁平形状が縦長扁平形状をなすとともに、
前記曲がり管がゴムホースであり、
この曲がり管の横断面にて、前記曲がり部(20)の周長と非曲がり部(30・32)の周長とが同一であることを特徴とする曲がり管。 - 前記非曲がり部(30・32)の横断面を真円形状とし、長さ方向へ、非曲がり部(30)−曲がり部(20)−非曲がり部(32)と連続変化させたことを特徴とする請求項1に記載した曲がり管。
- 前記曲がり部(20)の断面形状が、縦長楕円形状もしくは他の縦長非円形形状からなるものとしたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載した曲がり管。
- 前記曲がり部(20)のアール半径方向断面形状が縦方向で非対称をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した曲がり管。
- 前記曲がり部(20)のアール半径方向断面形状が横方向で非対称をなすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載した曲がり管。
- 前記非曲がり部(30・32)が真円形状の断面部を備え、前記曲がり部(20)における内側アール(24)が前記真円形状の断面部における内径Dの2倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した曲がり管。
- 長さ方向中間部にマンドレル曲がり部(42)を有するマンドレル(40)を用いて上記請求項1〜6のいずれかに記載したゴムホースの曲がり管を製造する方法において、
前記マンドレル(40)は、長さ方向にて前記マンドレル曲がり部(42)を挟んで、マンドレル第1ストレート部(47)及びマンドレル第2ストレート部(48)を有し、
前記マンドレル曲がり部(42)を、アール半径方向断面において縦長扁平形状をとし、かつ前記マンドレル曲がり部(42)の周長を前記マンドレル第1ストレート部(47)及びマンドレル第2ストレート部(48)の周長と同一にするとともに、
前記マンドレル(40)に、ゴム素材からなる未加硫管(50)を被せ、この状態で加硫することにより、前記マンドレル(40)の形状と同様の曲がり管形状をなすゴムホースに成形することを特徴とする曲がり管の製法。
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