以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載装置の適用例である安全運転支援装置を含む安全運転支援システムの構成を示す図である。図1に示す安全運転支援システムは、車両110、120、130にそれぞれ搭載された車載装置と、運行管理センタ140から構成される。
車両110、120、130は、鉱山現場などで用いられる車両である。車両110、120は、運行管理センタ140によりそれぞれ運行管理されている重機である。具体的には、車両110はダンプトラックであり、車両120はショベルである。一方、車両130は、運行管理されていない重機以外の軽車両である。なお、図1では、3台の車両110、120、130に車載装置がそれぞれ搭載された安全運転支援システムの例を示しているが、これ以下またはこれ以上の台数の車両に車載装置をそれぞれ搭載して、本実施形態による安全運転支援システムを構成してもよい。また、本実施形態による安全運転支援システムには、図1に示した以外の車両、たとえばホイールローダー、グレーダー等が含まれてもよい。
車両110、120にそれぞれ搭載された車載装置は、安全運転支援装置101、運行管理用端末102、オペレータ用ユーザインタフェース(I/F)103および車両制御システム104を備える。一方、車両130に搭載された車載装置は、安全運転支援装置101およびオペレータ用ユーザI/F103を備えている。しかし、運行管理用端末102および車両制御システム104は備えていない。各車載装置に搭載されたこれらの各装置は、相互にネットワークを介して、または個別に接続されている。なお、図1の例では運行管理用端末102と安全運転支援装置101を別の装置としているが、これらの機能をまとめて1つの装置にしてもよい。
安全運転支援装置101は、無線による車車間通信を相互に行うことで、それぞれが搭載されている車両に関する情報をやりとりする。車両110、120に搭載された車載装置では、安全運転支援装置101は、運行管理用端末102から自車両の運行管理状態に関する運行管理情報を取得すると共に、車両制御システム104から自車両の制御状態に関する制御情報を取得する。これらの情報と、車車間通信により取得した他車両の情報および自車両の位置情報とに基づいて、安全運転支援装置101は、他車両との衝突のリスクを判定する。その結果、他車両との衝突のリスクがあると判定した場合には、オペレータ用ユーザI/F103を介して車両110、120のオペレータに警告を出力したり、車両制御システム104に対して衝突回避のための制御命令を出力したりする。
一方、車両130に搭載された車載装置では、運行管理用端末102や車両制御システム104を備えていないため、自車両の運行管理情報や制御情報を取得することができない。そのため、安全運転支援装置101は、車車間通信により取得した他車両の情報および自車両の位置情報に基づいて、他車両との衝突のリスクを判定する。その結果、他車両との衝突のリスクがあると判定した場合には、オペレータ用ユーザI/F103を介して車両110、120のオペレータに警告を出力する。なお、運行管理センタ140で運行管理されていない車両130では、安全運転支援装置101のみを車載装置として搭載してもよい。この場合、安全運転支援装置101は、車車間通信により自車両の情報を他車両に送信する機能のみを有し、他車両との衝突リスクの判定やオペレータへの警告を行わないようにしてもよい。
運行管理用端末102は、運行管理センタ140との間で無線通信を行うことにより、自車両の作業状態を所定の間隔で運行管理センタ140に通知するとともに、運行管理センタ140から送信される作業指示を受信する。また、運行管理用端末102は、自車両の運行管理状態に関する運行管理情報を内部に記憶しており、この運行管理情報を安全運転支援装置101に出力する。
オペレータ用ユーザI/F103は、安全運転支援装置101から出力される警告情報に基づいて、自車両と衝突する危険がある他車両に関する警告を自車両のオペレータに対して行う。オペレータ用ユーザI/F103は、たとえばブザーを鳴らしたり、ランプを点灯させたり、警告画面を表示したりすることで、他車両に関する警告を行うことができる。
車両制御システム104は、安全運転支援装置101に対して、自車両の状態に関する情報を出力する。また、安全運転支援装置101から出力された衝突回避のための制御信号を受信すると、その制御信号に基づいて自車両のブレーキや操舵などを制御することにより、衝突回避のための走行制御を実施する。
図2は、安全運転支援装置101の構成を示す図である。安全運転支援装置101は、車車間通信部201、自車両情報取得部202、オペレータ通知部203、自車両・他車両情報管理部204、作業モード判定部205、衝突リスク判定部206および制御信号生成部207を備える。
車車間通信部201は、中継局を介さない直接無線通信である車車間通信を他車両との間で行う機能を有する。この無線通信により、車車間通信部201は、自車両に関する情報(以下、「自車両情報」と称する)を他車両に送信すると共に、他車両に関する情報(以下、「他車両情報」と称する)を他車両から受信する。
自車両情報取得部202は、自車両情報を取得し、自車両・他車両情報管理部204に出力する。自車両情報取得部202が取得する自車両情報には、自車両の位置を捕捉するための装置、たとえばGPS(Global Positioning System)受信機から出力される自車両の位置情報が含まれる。また、車両110、120に搭載された車載装置内の安全運転支援装置101では、自車両の位置情報に加えて、図1の車両制御システム104から出力される自車両の状態に関する情報や、運行管理用端末102から出力される自車両の運行管理情報なども、自車両情報取得部202が取得する自車両情報に含めることができる。たとえば、ダンプトラックである車両110に搭載された車載装置内の安全運転支援装置101の場合には、自車両の運行管理情報として、「搬送中」、「積込中」、「放土中」などの情報が取得される。また、自車両の状態に関する情報として、サスペンションの圧力情報に基づいて、「積載中」、「未積載」などの情報が取得される。
自車両・他車両情報管理部204は、車両情報管理テーブル210を有しており、自車両情報取得部202で取得された自車両情報をこの車両情報管理テーブル210に格納して管理する。車両情報管理テーブル210に格納されている自車両情報は、自車両・他車両情報管理部204から車車間通信部201に出力され、車車間通信部201から他車両に送信される。一方、車車間通信部201により受信された他車両情報は、車車間通信部201から自車両・他車両情報管理部204に出力される。自車両・他車両情報管理部204は、車両情報管理テーブル210に他車両情報を格納して管理する。また、車両情報管理テーブル210に格納されている自車両情報および他車両情報は、必要に応じて、自車両・他車両情報管理部204から作業モード判定部205や衝突リスク判定部206に出力される。
作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204から出力された自車両情報および他車両情報に基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定し、その作業に応じた作業モードを判定する。作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211を有しており、各車両の作業モードの判定結果をこの作業モード管理テーブル211に格納して管理する。作業モード管理テーブル211に格納されている各車両の作業モードの判定結果は、作業モード判定部205から自車両・他車両情報管理部204に出力され、車両情報管理テーブル210に格納されている自車両情報および他車両情報の更新に用いられる。なお、各車両の過去の作業モードの判定履歴を作業モード管理テーブル211に格納しておき、この判定履歴を現在の作業モードの判定に利用してもよい。
衝突リスク判定部206は、様々な車両に対して作業モードごとに設定された優先度に関する情報が格納された優先度管理テーブル212を有している。衝突リスク判定部206は、自車両・他車両情報管理部204から出力された自車両情報および他車両情報に基づいて、自車両と他車両との衝突リスクを判定する。たとえば、自車両に対する他車両の相対距離が一定距離以内になった場合に、衝突リスク判定部206は衝突リスクありと判定する。その結果、衝突リスクがあると判定した場合、衝突リスク判定部206は、オペレータ通知部203や制御信号生成部207に、その判定結果を通知する。なお、上記の衝突リスクの判定において、衝突リスク判定部206は、優先度管理テーブル212に格納された優先度の情報に基づいて、自車両と他車両の優先度をそれぞれ判断する。そして、自車両と他車両の優先度を比較し、その比較結果に基づいて、リスク判定のアルゴリズムを変更する。この点については、後で詳しく説明する。
オペレータ通知部203は、衝突リスク判定部206からの通知に基づいて、自車両との衝突リスクありと判定された他車両に関する警告情報を図1のオペレータ用ユーザI/F103に出力する。この警告情報に応じて、オペレータ用ユーザI/F103は、自車両のオペレータに対して警告を行う。
制御信号生成部207は、衝突リスク判定部206からの通知に基づいて、自車両の走行制御を行うための制御信号を生成し、図1の車両制御システム104に出力する。この制御情報に応じて、車両制御システム104は、他車両との衝突を回避すべく自車両の走行制御を行う。
なお、安全運転支援装置101は、以上説明した自車両情報取得部202、オペレータ通知部203、自車両・他車両情報管理部204、作業モード判定部205、衝突リスク判定部206および制御信号生成部207を、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成されるコンピュータの処理を用いてそれぞれ実現できる。また、車両情報管理テーブル210、作業モード管理テーブル211および優先度管理テーブル212を、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置を用いて実現できる。
また、安全運転支援装置101には、オペレータ通知部203または制御信号生成部207のいずれか一方が設けられていなくてもよい。たとえば、図1の車両130に搭載された車載装置内の安全運転支援装置101の場合には、制御信号の出力先である車両制御システム104が接続されていないため、制御信号生成部207は不要である。
図3は、安全運転支援装置101において車車間通信部201で送受信される車車間通信情報300のデータフォーマット例を示す図である。
図3(a)は、運行管理用端末102が搭載されていない車両、すなわち軽車両である図1の車両130に搭載された安全運転支援装置101から送信される車車間通信情報300のフォーマット例を示す。図3(a)に示すように、この場合の車車間通信情報300は、車両識別子301、車種302、緯度303−1、経度303−2、高度303−3、車速305、進行方向306、車両向き307、車両状態308から構成される。
車両識別子301は、送信元の車両を一意に識別するための識別子である。鉱山現場で用いられる各車両には、それぞれを一意に識別するために、互いに重複しない識別子の値が予め設定されている。車両識別子301には、その車車間通信情報300を送信した安全運転支援装置101が搭載されている車両の識別子の値が設定される。
車種302は、送信元の車両の種類を識別するための識別子である。車種302には、たとえばダンプトラック、ショベル、ホイールローダー、グレーダー、ドーザー、軽車両など、それぞれの車両の種類に応じた値が設定される。
緯度303−1、経度303−2および高度303−3は、送信元の車両の位置を示す情報である。緯度303−1、経度303−2および高度303−3には、自車両情報取得部202で取得された自車両の位置情報に基づいて、鉱山内での当該車両の位置に応じた緯度、経度および高度がそれぞれ設定される。なお、図3の例では、緯度303−1、経度303−2および高度303−3により送信元の車両の位置を表している。
車速305は、送信元の車両の速度を示す情報である。たとえば、自車両情報取得部202で取得された自車両の位置情報から求められる位置変化量に基づいて、送信元の車両の速度を求めることができる。
進行方向306は、送信元の車両の進行方向を示す情報である。たとえば、自車両情報取得部202で取得された自車両の位置情報から求められる位置変化方向に基づいて、送信元の車両の進行方向を求めることができる。
車両向き307は、送信元の車両の向きを示す情報である。たとえば、車両が直進している時には、進行方向306と車両向き307は同じ値になる。一方、車両が後退している時には、進行方向306の値と車両向き307の値の差は180度となり、互いに正反対の方向を示す。
車両状態308は、送信元の車両の状態を示す情報である。この車両状態308が表す車両状態の内容は、車種302が示す車両の種類ごとに予め設定されている。たとえば、送信元の車両がダンプトラックである場合は、その積載状態に応じた値が車両状態308に設定される。また、送信元の車両が軽車両である場合は、車両状態に関わらず一定の初期値が車両状態308に設定される。
図3(b)は、運行管理用端末102が搭載されている車両、すなわちダンプトラックやショベル等の重機である図1の車両110、120に搭載された安全運転支援装置101から送信される車車間通信情報300のフォーマット例を示す。図3(b)に示すように、この場合の車車間通信情報300は、図3(a)と同じ車両識別子301、車種302、緯度303−1、経度303−2、高度303−3、車速305、進行方向306、車両向き307、車両状態308の各情報に加えて、さらに運行管理状態309から構成される。
運行管理状態309は、送信元の車両の運行管理状態を示す情報である。この運行管理状態309が表す運行管理状態の内容は、車種302が示す車両の種類ごとに予め設定されており、運行管理用端末102から出力される運行管理情報に基づいて決定される。たとえば、送信元の車両がショベルやホイールローダーである場合は、稼働中であるか否かを表す値や、鉱物等を積み込む場合の積込先のダンプトラックの車両識別子などが運行管理状態309に設定される。また、たとえば送信元の車両がダンプトラックである場合は、搬送中、積込中、放土中などの作業状態に応じた値や、積込作業での対象車両であるショベルやホイールローダーの車両識別子や、搬送時の経路情報などが運行管理状態309に設定される。
図4は、車両情報管理テーブル210の構成例を示す図である。図4に示すように、車両情報管理テーブル210には、車両識別子401、車種402、緯度403−1、経度403−2、高度403−3、車速405、進行方向406、車両向き407、車両状態408、運行管理状態409、受信時刻410、作業モード411の各データが、各車両に対応して行ごとに格納される。図4において、1行目のデータは自車両情報を示し、2行目以降のデータは他車両情報を示す。
車両識別子401は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両を一意に識別するための識別子である。前述のように、鉱山現場で用いられる各車両には、それぞれを一意に識別するために、互いに重複しない識別子の値が予め設定されている。自車両情報の場合は、自車両の識別子として予め設定された値が車両識別子401に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の車両識別子301に設定されている値が車両識別子401に格納される。
車種402は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の種類を識別するための識別子である。自車両情報の場合は、自車両の種類に応じて予め設定された値が車種402に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の車種302に設定されている値が車種402に格納される。
緯度403−1、経度403−2および高度403−3は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の位置を示すデータである。自車両情報の場合は、自車両情報取得部202で取得された自車両の位置情報に応じた値が緯度403−1、経度403−2および高度403−3にそれぞれ格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の緯度303−1、経度303−2および高度303−3に設定されている値が緯度403−1、経度403−2および高度403−3にそれぞれ格納される。
車速405は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の速度を示すデータである。自車両情報の場合は、自車両情報取得部202で取得された自車両の位置情報から求められる位置変化量や、前述の車速パルス情報に基づいて、自車両の速度が求められ、その値が車速405に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の車速305に設定されている値が車速405に格納される。
進行方向406は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の進行方向を示すデータである。なお、図4の例では、真北方向を基準方向とし、時計周り方向を正とした基準方向からの角度により、各車両の進行方向を表している。自車両情報の場合は、自車両情報取得部202で取得された位置情報から求められる位置変化方向や、前述の角速度情報に基づいて、自車両の進行方向が求められ、その値が進行方向406に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の進行方向306に設定されている値が進行方向406に格納される。
車両向き407は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の向きを示すデータである。なお、図4の例では、進行方向406と同様に、真北方向を基準方向とし、時計周り方向を正とした基準方向からの角度により、各車両の向きを表している。自車両情報の場合は、自車両情報取得部202で取得された位置情報から求められる位置変化方向や、前述の角速度情報に基づいて、自車両の進行方向に対する向きが求められる。この値から、上記の基準方向に対する自車両の向きが求められ、その値が車両向き407に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の車両向き307に設定されている値が車両向き407に格納される。
車両状態408は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の状態を示すデータである。この車両状態408が表す車両状態の内容は、図3の車両状態308と同様に、車種402が示す車両の種類ごとに予め設定されている。なお、図4の例では、車種402がダンプトラックの場合に、未積載を示す「0」または積載中を示す「1」のいずれかが車両状態408に格納される。積載中とは、ダンプトラックの荷台に鉱物や土砂が積載された状態を示す。一方、車種402がダンプトラック以外の場合は、全て「0」が車両状態408に格納される。自車両情報の場合は、自車両がダンプトラックであれば、たとえば特許第5160468号に示されるように、圧力センサーを用いて算出された積載加重を基に積載中であるか否かを判断し、その判断結果に応じた値が車両状態408に格納される。一方、自車両がダンプトラックでなければ、予め定められた値が車両状態408に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の車両状態308に設定されている値が車両状態408に格納される。
運行管理状態409は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両の運行管理状態を示すデータである。この運行管理状態409が表す運行管理状態の内容は、図3の運行管理状態309と同様に、車種402が示す車両の種類ごとに予め設定されており、運行管理用端末102から出力される運行管理情報に基づいて決定される。なお、図4の例では、車種402がダンプトラックの場合には、「搬送中」、「積込中」、「放土中」などの作業状態と、積込作業での対象車両としてのショベルやホイールローダーが存在するときには、その対象車両に対応する車両識別子とが、運行管理状態408に格納される。また、搬送時の経路情報なども運行管理状態408に格納される。一方、車種402がショベルやホイールローダーの場合には、「稼働中」、「非稼働中」などの稼働状態と、鉱物等の積込先である対象車両としてのダンプトラックが存在するときには、その対象車両に対応する車両識別子とが、運行管理状態408に格納される。自車両情報の場合は、運行管理用端末102から出力される運行管理情報に基づく値が運行管理状態409に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で受信した車車間通信情報300において図3の運行管理状態309に設定されている値が運行管理状態409に格納される。なお、自車両情報について運行管理用端末102から運行管理情報が得られない場合や、他車両情報について図3(a)のように受信した車車間通信情報300に運行管理状態309が含まれていない場合には、運行管理されていないことを表す空の値が運行管理状態409に格納される。
受信時刻410は、車両情報管理テーブル210における各車両のデータ生成時刻を示すデータである。自車両情報の場合は、自車両情報取得部202から自車両の位置情報が最後に入力された時刻が受信時刻410に格納される。他車両情報の場合は、車車間通信部201で当該車両から車車間通信情報300を最後に受信した時刻が受信時刻410に格納される。なお、一定時間以上、自車両の位置情報の入力が途絶えたり、車車間通信情報300の受信が途絶えたりした場合には、車両情報管理テーブル210に格納されている当該車両についての自車両情報または他車両情報の各データは、全て消去(リセット)される。
作業モード411は、車両情報管理テーブル210でデータ管理されている各車両が実行中の作業を示すデータである。この作業モード411が表す作業の内容は、車種402が示す車両の種類ごとに予め設定されており、作業モード判定部205から出力される作業モードの判定結果に基づいて決定される。なお、図4の例では、車種402がダンプトラックの場合には、「積込中」、「待機中」、「搬送中」、「放土中」、「その他」などの作業内容が作業モード411に格納される。また、車種402がショベルやホイールローダーの場合には、「積込中」、「その他」などの作業内容が作業モード411に格納される。また、車種402がドーザーやグレーダーの場合には、「整地中」、「その他」などの作業内容が作業モード411に格納される。車種402がこれら以外の場合には、「その他」が作業モード411に格納される。自車両情報、他車両情報どちらの場合でも、作業モード判定部205による作業モードの判定結果に応じた値が作業モード411に格納される。なお、ある車両についての自車両情報または他車両情報が初めて車両情報管理テーブル210に設定され、当該車両に対する作業モードの判定結果がまだ得られていない場合には、初期値として「その他」が作業モード411に格納される。
なお、図4に示した車両情報管理テーブル210の例では、一行目に格納されている自車両情報の車両識別子401の値が「110」であり、車種402の値が「ダンプトラック」である。また、二行目と三行目にそれぞれ格納されている他車両情報の車両識別子401の値が「130」、「120」であり、車種402の値が「軽車両」、「ショベル」である。これは、図1のシステム構成例で示したように、ダンプトラックである車両110に搭載されている安全運転支援装置101における車両情報管理テーブル210の例を表している。そして、この自車両110の周囲に、ショベルである他車両120と、軽車両である他車両130とが存在しており、これらの車両情報が車両情報管理テーブル210において管理されていることを表している。
図5は、作業モード管理テーブル211の構成例を示す図である。図5に示すように、作業モード管理テーブル211には、車両識別子421、平均車速422、平均移動範囲423、作業モード424の各データが、各車両に対応して行ごとに格納される。図5において、1行目のデータは自車両の作業モードに関する情報を示し、2行目以降のデータは他車両の作業モードに関する情報を示す。
車両識別子421は、作業モード管理テーブル211でデータ管理されている各車両を一意に識別するための識別子である。前述のように、鉱山現場で用いられる各車両には、それぞれを一意に識別するために、互いに重複しない識別子の値が予め設定されている。自車両の作業モードに関する情報の場合は、自車両の識別子として予め設定された値が車両識別子421に格納される。他車両の作業モードに関する情報の場合は、車両情報管理テーブル210で管理されている当該他車両の他車両情報において設定されている車両識別子401と同じ値が車両識別子421に格納される。
平均車速422は、作業モード管理テーブル211でデータ管理されている各車両の予め設定された期間における平均車速を示すデータである。平均車速422の値は、たとえば、車両情報管理テーブル210に設定された過去の車速405の値の履歴を、作業モード管理テーブル211とは別に車両ごとに記憶保持しておくことで、この履歴に基づいて算出することができる。なお、平均車速422の値は、作業モード判定部205が当該車両の作業モードの判定を行う毎に更新されることが好ましい。
平均移動範囲423は、作業モード管理テーブル211でデータ管理されている各車両の予め設定された期間における平均移動範囲の大きさを示すデータである。平均移動範囲423の値は、たとえば、車両情報管理テーブル210に設定された過去の緯度403−1、経度403−2および高度403−3の値の履歴を、作業モード管理テーブル211とは別に車両ごとに記憶保持しておくことで、この履歴に基づいて算出することができる。なお、平均移動範囲423の値は、前述の平均車速422と同様に、作業モード判定部205が当該車両の作業モードの判定を行う毎に更新されることが好ましい。
作業モード424は、作業モード管理テーブル211でデータ管理されている各車両の作業モードの判定結果を示すデータである。作業モード424の値は、作業モード判定部205による作業モードの判定結果に基づいて設定され、作業モード判定部205が当該車両の作業モードの判定を行うことで最新の値に更新される。この作業モード424の値は、図4の車両情報管理テーブル210における作業モード411の値にも反映され、各車両についてこれらの値は同一となる。
なお、作業モード判定部205による作業モードの判定後には、図4の車両情報管理テーブル210においてデータ管理されている車両と、図5の作業モード管理テーブル211においてデータ管理されている車両とが一致する。すなわち、車両情報管理テーブル210における各行の車両識別子401の値と、作業モード管理テーブル211における各行の車両識別子421の値とは、それぞれ同一となる。また、前述のように、車両情報管理テーブル210においていずれかの車両に関する自車両情報または他車両情報の各データが消去(リセット)されると、作業モード管理テーブル211においても、当該車両に関する各データが同様に消去(リセット)される。
図6は、優先度管理テーブル212の構成例を示す図である。図6に示すように、優先度管理テーブル212は、車種441、作業モード442、優先度443の各データから構成されている。優先度管理テーブル212において、1行目は優先度のデフォルト値を示しており、2行目以降に、車種441と作業モード442の組み合わせごとに、衝突リスクの判定において用いられる優先度443の値が設定されている。
車種441は、優先度管理テーブル212で優先度が管理されている車両の種類を示すデータである。車種441には、たとえばショベル、ホイールローダー、ダンプトラック、ドーザー、グレーダーなど、車両情報管理テーブル210の車種402において設定可能な様々な車両の種類を示す値が設定される。
作業モード442は、優先度管理テーブル212で優先度が管理されている車両の作業内容を示すデータである。作業モード442には、車両情報管理テーブル210の作業モード411や作業モード管理テーブル211の作業モード424において設定可能な様々な作業の種類を示す値が設定される。
優先度443は、車種441、作業モード442にそれぞれ設定された車種および作業モードの組み合わせに対応する優先度の値を示すデータである。この優先度443に設定されている値が小さいほど、衝突リスクの判定における優先度合いが高いことを表している。
図6のような優先度管理テーブル212を用いることで、衝突リスク判定部206は、自車両と他車両がそれぞれ実行中の作業に基づいて、その車種および作業内容ごとに、衝突リスクを判定する際の自車両と他車両の優先度をそれぞれ設定することができる。たとえば図6の例では、車種441が「ショベル」で作業モード442が「積込中」の場合は優先度443の値が「1」である。一方、車種441が「ダンプトラック」で作業モード442が「搬送中」の場合は優先度443の値が「2」である。そのため、搬送作業を実施しているダンプトラックよりも、積込作業を実施しているショベルの方が、衝突リスクの判定における優先度合いが高いことが分かる。
図7は、作業モード判定部205および衝突リスク判定部206で周期的に実行されるリスク判定処理のフローチャートである。作業モード判定部205および衝突リスク判定部206は、予め記憶された所定のプログラムをコンピュータで周期的に実行することにより、図7のフローチャートに示すリスク判定処理をそれぞれ行うことができる。
作業モード判定部205および衝突リスク判定部206は、予め設定された一定の処理周期ごとに、この図7に示す処理の実行を開始する(ステップ700)。
作業モード判定部205は、自車両および他車両の作業モードの判定を行う(ステップ701)。このとき作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204から自車両情報および他車両情報を取得し、これらの情報に基づいて、自車両および他車両の作業モードを判定する。なお、ステップ701で行われる作業モード判定処理の詳細については、後で図8、図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップ701で自車両および他車両の作業モードを判定できたら、作業モード判定部205は、その判定結果に応じた値を、作業モード管理テーブル211の作業モード424に設定する。さらに、作業モードの判定結果を自車両・他車両情報管理部204に出力し、その判定結果に応じた値を、車両情報管理テーブル210の作業モード411に設定させる。これにより、作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210を更新する(ステップ702)。なお、このとき自車両・他車両情報管理部204は、現在時刻と受信時刻410の値との差が所定の閾値以上である行が車両情報管理テーブル210において存在する場合には、当該行のデータを消去(リセット)することが好ましい。こうして車両情報管理テーブル210が更新されたら、衝突リスク判定部206は、その更新後の車両情報管理テーブル210の各行に格納されている自車両情報および他車両情報を、自車両・他車両情報管理部204から取得する(ステップ702)。
ステップ702で自車両情報および他車両情報を取得したら、衝突リスク判定部206は、以下に説明するステップ704からステップ707までの処理を各他車両について行うループ処理を実行する(ステップ703)。他車両情報を取得した全ての他車両についてループ処理の実行を終えたら、衝突リスク判定部206は、図7の処理フローに示すリスク判定処理を終了する(ステップ709)。
ループ処理において、衝突リスク判定部206は、いずれかの他車両を処理対象として選択し、自車両と当該他車両との衝突リスクを判定するために用いる判定アルゴリズムを決定する(ステップ704)。このとき衝突リスク判定部206は、車両情報管理テーブル210の1行目に設定されている自車両情報における作業モード411の値と、当該他車両に対応する行の他車両情報における作業モード411の値とに基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業内容に対応する作業モードを判断する。こうして自車両と他車両の作業モードが判断できたら、衝突リスク判定部206は、優先度管理テーブル212を参照してこれらの作業モードに対応する優先度を自車両と他車両にそれぞれ設定し、これらの優先度の比較結果に基づいて、判定アルゴリズムを決定する。なお、ステップ704で行われる判定アルゴリズム決定処理の詳細については、後で図10のフローチャートを参照して説明する。
ステップ704で判定アルゴリズムを決定したら、衝突リスク判定部206は、その判定アルゴリズムを用いて、自車両と当該他車両との衝突リスクを判定する(ステップ705)。この衝突リスクの判定において、衝突リスク判定部206は、判定アルゴリズムに応じた判定エリアを自車両の周囲に設定し、その判定エリア内に当該他車両が存在するか否かを判定することで、当該他車両との衝突リスクの有無を判定する。たとえば、自車両がショベルの場合には、自車両の位置を中心として円形の判定エリアを設定し、その判定エリア内に当該他車両が存在するかを判定する。また、たとえば自車両がダンプトラックの場合には、自車両の進行方向を中心軸として矩形の判定エリアを設定し、その判定エリア内に当該他車両が存在するかを判定する。
ステップ705で衝突リスクの判定が完了すると、衝突リスク判定部206は、その判定結果がリスク有無のどちらであったかを確認する(ステップ706)。そして、衝突リスクありと判定した場合はステップ707に進み、衝突リスクなしと判定した場合は当該他車両に対するループ処理を終了する。
ステップ706からステップ707に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、オペレータ通知部203および制御信号生成部207に対して、当該他車両との衝突リスクがある旨を通知する(ステップ707)。これにより、オペレータ通知部203からオペレータ用ユーザI/F103に警告情報が送信され、オペレータ用ユーザI/F103によりオペレータに対する警告が行われる。また、制御信号生成部207から車両制御システム104に制御信号が送信され、車両制御システム104により当該他車両との衝突を回避するための走行制御が実施される。なお、衝突リスク判定部206は、オペレータ通知部203または制御信号生成部207のいずれか一方のみに対して通知を行ってもよい。その場合、オペレータ用ユーザI/F103による警告または車両制御システム104による走行制御のいずれか一方のみが実行される。ステップ707の処理を実行したら、衝突リスク判定部206は、当該他車両に対するループ処理を終了する。
図8は、本発明の第1の実施形態における作業モード判定処理のフローチャートである。作業モード判定部205は、図7のステップ701において、この図8に示す作業モード判定処理の実行を開始する(ステップ800)。
作業モード判定処理において、作業モード判定部205は、まず作業モード管理テーブル211の平均車速422および平均移動範囲423の値を更新する(ステップ801)。このとき作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210に格納されている情報に基づいて、平均車速422および平均移動範囲423の値を更新する。具体的には、車両情報管理テーブル210における各車両の車速405の値と、各車両の過去の車速405の履歴とに基づいて、各車両の現在の平均車速の値を求め、これを車両ごとの平均車速422に設定する。また、車両情報管理テーブル210における各車両の緯度403−1、経度403−2および高度403−3の値と、各車両の過去の緯度403−1、経度403−2および高度403−3の履歴とに基づいて、各車両の現在の平均移動範囲の値を求め、これを車両ごとの平均移動範囲423に設定する。なお、作業モード管理テーブル211には情報が設定されているが、車両情報管理テーブル210には情報が設定されていない車両については、作業モード管理テーブル211においてその車両に対応する行の各データをリセットする。また、車両情報管理テーブル210には情報が設定されているが、作業モード管理テーブル211には情報が設定されていない車両については、その車両に対応する情報を作業モード管理テーブル211において新たに登録する。この場合、平均車速422には、車両情報管理テーブル210の車速408の値を設定し、平均移動範囲423には、0を設定する。
ステップ801で平均車速422および平均移動範囲423の値を更新したら、作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211に情報が設定されている各車両について、以下に説明するステップ803からステップ812までの処理を行うループ処理を実行する(ステップ802)。全ての車両についてループ処理の実行を終えたら、作業モード判定部205は、図8の処理フローに示す作業モード判定処理を終了する(ステップ813)。
ループ処理において、作業モード判定部205は、自車両および他車両の中でいずれかの車両を処理対象として選択する。そして、車両情報管理テーブル210の車種402の値に基づいて、当該車両の車種を判定する(ステップ803)。その結果、当該車両がダンプトラックの場合はステップ804に進み、当該車両がショベルやホイールローダーの場合はステップ805に進み、当該車両がグレーダーやドーザーの場合はステップ809に進む。また、当該車両がたとえば軽車両など、上記車種のいずれでもない場合はステップ812に進む。
ステップ803からステップ804に進んだ場合、作業モード判定部205は、ダンプトラック用の作業モード判定を実施する(ステップ804)。このステップ804で行われるダンプトラック用の作業モード判定の詳細については、後で図9の処理フローを参照して説明する。ステップ804の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ803からステップ805に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の運行管理状態が「稼働中」であるか否かを判定する(ステップ805)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409を参照することで、当該車両の運行管理状態が何であるかを判断する。その結果、当該車両の運行管理状態が「稼働中」であればステップ806に進み、「稼働中」でなければステップ808に進む。
ステップ805からステップ806に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両と当該車両の作業における対象車両との相対距離が、所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ806)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409を参照することで、ショベルやホイールローダーである当該車両が実施する作業において、鉱物等の積込先である対象車両としてのダンプトラックが存在するか否かを判定する。その結果、対象車両のダンプトラックが存在する場合は、運行管理状態409に格納された対象車両の車両識別子401の値から、その対象車両に対応する行を車両情報管理テーブル210において検索する。そして、当該車両の緯度403−1および経度403−2の値と、検索された行に登録されている対象車両の緯度403−1および経度403−2の値とに基づいて、当該車両と対象車両との相対距離を演算する。その結果、演算された相対距離が予め設定された閾値以内であればステップ807に進む。一方、当該車両が実施する作業において対象車両が存在しない場合、または演算された相対距離が閾値以上である場合は、ステップ808に進む。
ステップ806からステップ807に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「積込中」を設定する(ステップ807)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「積込中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「積込中」に設定する。ステップ807の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ805または806からステップ808に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ808)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ808の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ803からステップ809に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の運行管理状態が「稼働中」であるか否かを判定する(ステップ809)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409を参照することで、当該車両の運行管理状態が何であるかを判断する。その結果、当該車両の運行管理状態が「稼働中」であればステップ810に進み、「稼働中」でなければステップ811に進む。
ステップ809からステップ810に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「整地中」を設定する(ステップ810)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「整地中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「整地中」に設定する。ステップ810の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ809からステップ811に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ811)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ811の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ803からステップ812に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ812)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ812の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
図9は、本発明の第1の実施形態におけるダンプトラック用の作業モード判定のフローチャートである。作業モード判定部205は、図8のステップ804において、この図9に示すダンプトラック用の作業モード判定を開始する(ステップ900)。
ダンプトラック用の作業モード判定において、作業モード判定部205は、まず当該車両の運行管理状態を確認する(ステップ901)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409を参照することで、当該車両の運行管理状態が何であるかを判断する。その結果、当該車両の運行管理状態が「積込中」または「搬送中」の場合はステップ902に進み、「放土中」の場合はステップ909に進み、これらの以外の場合はステップ910に進む。
ステップ901からステップ902に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両と当該車両の作業における対象車両との相対距離が、所定の第1閾値以内であるか否かを判定する(ステップ902)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409を参照することで、ダンプトラックである当該車両が実施する積込作業の対象車両としてのショベルやホイールローダーが存在するか否かを判定する。その結果、対象車両のショベルまたはホイールローダーが存在する場合は、運行管理状態409に格納された対象車両の車両識別子401の値から、その対象車両に対応する行を車両情報管理テーブル210において検索する。そして、当該車両の緯度403−1および経度403−2の値と、検索された行に登録されている対象車両の緯度403−1および経度403−2の値とに基づいて、当該車両と対象車両との相対距離を演算する。その結果、演算された相対距離が予め設定された第1閾値以内であればステップ905に進み、第1閾値以上であればステップ903に進む。また、当該車両が実施中の作業において対象車両が存在しない場合は、ステップ904に進む。
ステップ902からステップ903に進んだ場合、作業モード判定部205は、ステップ902で演算した当該車両と対象車両との相対距離が、上記の第1閾値よりも大きな値で予め設定された第2閾値以内であり、かつ当該車両の車速が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ903)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の車速405に設定された値から、ダンプトラックである当該車両の車速を取得する。その結果、当該車両と対象車両との相対距離が第2閾値以内であり、かつ当該車両の車速が予め設定された速度閾値以内であれば、ステップ906に進む。一方、当該車両と対象車両との相対距離が第2閾値以上である場合、または当該車両の車速が速度閾値以上である場合は、ステップ904に進む。
ステップ902または903からステップ904に進んだ場合、作業モード判定部205は、ダンプトラックである当該車両の現在位置が予定経路上であるか否かを判定する(ステップ904)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の運行管理状態409に設定されている経路情報を参照することで、ダンプトラックである当該車両が搬送時に走行する予定の経路を特定する。そして、特定した予定経路と、当該車両の緯度403−1、経度403−2および高度403−3の値とを比較することで、当該車両の現在位置が予定経路上にあるか否かを判断する。その結果、当該車両の現在位置が予定経路上であればステップ907に進み、予定経路外であればステップ908に進む。
ステップ902からステップ905に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「積込中」を設定する(ステップ905)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「積込中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「積込中」に設定する。ステップ905の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
ステップ903からステップ906に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「待機中」を設定する(ステップ906)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「待機中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「待機中」に設定する。ステップ906の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
ステップ904からステップ907に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「搬送中」を設定する(ステップ907)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「搬送中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「搬送中」に設定する。ステップ907の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
ステップ904からステップ908に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ908)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ908の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
ステップ901からステップ909に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「放土中」を設定する(ステップ909)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「放土中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「放土中」に設定する。ステップ909の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
ステップ901からステップ910に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ910)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ910の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ911)。
以上説明した図8、図9の処理を実行することで、作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210に記憶された自車両情報および他車両情報に基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定することができる。
図10は、判定アルゴリズム決定処理のフローチャートである。衝突リスク判定部206は、図7のステップ704において、この図10に示す判定アルゴリズム決定処理の実行を開始する(ステップ1000)。なお、本実施形態では、自車両と他車両との衝突リスクの判定アルゴリズムとして、自車両の周囲に矩形や円形の判定エリアを設定し、この判定エリアと他車両の領域との重複状態から、衝突リスクの有無を判定する場合について説明する。
判定アルゴリズム決定処理において、衝突リスク判定部206は、まず自車両がショベルであるか否かを判定する(ステップ1001)。このとき衝突リスク判定部206は、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210において1行目に格納されている自車両情報の車種402の値を参照することで、自車両の車種が何であるかを確認する。その結果、自車両の車種がショベルである場合はステップ1002に進み、ショベル以外である場合はステップ1003に進む。
ステップ1001からステップ1002に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、自車両の周囲に円形の判定エリアを設定する(ステップ1002)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえば円の中心を自車両の位置として、自車両に対応する円形の判定エリアを設定する。なお、判定エリアの半径の大きさは、たとえばショベルである自車両のアームの長さに基づいて、予め設定することができる。
ステップ1001からステップ1003に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、自車両の周囲に矩形の判定エリアを設定する(ステップ1003)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえば長手方向に沿った中心軸を自車両の進行方向に平行とし、その中心軸上に自車両が位置するように、自車両に対応する矩形の判定エリアを設定する。
ステップ1002または1003で自車両に対応する判定エリアを設定したら、衝突リスク判定部206は、自車両との衝突リスクを判定する相手車両がショベルであるか否かを判定する(ステップ1004)。このとき衝突リスク判定部206は、図7のループ処理において処理対象に選択した他車両を相手車両として、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210に格納されている当該他車両の車種402の値を参照することで、相手車両の車種が何であるかを確認する。その結果、相手車両の車種がショベルである場合はステップ1005に進み、ショベル以外である場合はステップ1006に進む。
ステップ1004からステップ1005に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、相手車両に対応する領域として、円形の領域を設定する(ステップ1005)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえば円の中心を相手車両の位置として、相手車両に対応する円形の領域を設定する。なお、判定エリアの半径の大きさは、たとえばショベルである相手車両のアームの長さに基づいて設定することができる。
ステップ1004からステップ1006に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、相手車両に対応する領域として、矩形の領域を設定する(ステップ1006)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえば長手方向に沿った中心軸を相手車両の進行方向に平行とし、その中心軸上に相手車両が位置するように、相手車両に対応する矩形の領域を設定する。
ステップ1005または1006で相手車両に対応する領域を設定したら、衝突リスク判定部206は、自車両と相手車両の間の傾斜角が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ1007)。このとき衝突リスク判定部206は、車両情報管理テーブル210における自車両の緯度403−1および経度403−2の値と、相手車両の緯度403−1および経度403−2の値とに基づいて、自車両と相手車両との相対距離を演算する。また、車両情報管理テーブル210における自車両の高度403−3の値と、相手車両の高度403−3の値とに基づいて、自車両と相手車両との高度差を演算する。そして、演算された相対距離および高度差に基づいて、自車両と相手車両とを結んだ直線の傾斜角を算出し、この傾斜角が所定の閾値以内であるかを判定する。その結果、傾斜角が閾値以内であれば、自車両と相手車両が3次元配置上で衝突する可能性があると判断して、ステップ1009に進む。一方、傾斜角が閾値以上であれば、自車両と相手車両が3次元配置上で衝突する可能性はないと判断して、ステップ1008に進む。
ステップ1007からステップ1008に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、ステップ1002または1003で設定した判定エリアを無効化する(ステップ1008)。このとき衝突リスク判定部206は、ステップ1002で設定した円形の判定エリアの半径を0とするか、またはステップ1003で設定した矩形の判定エリアの各辺の長さを0とすることで、判定エリアを無効化する。これにより、図7のステップ705で行われる衝突リスクの判定において、必ずリスクなしと判定されるようにする。あるいは、判定エリアの大きさを変更せずに所定の無効化フラグを設定することで、判定エリアを無効化してもよい。ステップ1008の処理を実行したら、衝突リスク判定部206は、当該他車両に対する判定アルゴリズム決定処理を終了する(ステップ1012)。
ステップ1007からステップ1009に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、自車両の優先度と相手車両の優先度を比較し、自車両の優先度が相手車両の優先度よりも高いか否かを判定する(ステップ1009)。このとき衝突リスク判定部206は、優先度管理テーブル212において、車種441および作業モード442の値が、車両情報管理テーブル210における自車両の車種402および作業モード411とそれぞれ一致する行を特定し、当該行の優先度443の値を自車両の優先度として取得する。これにより、自車両が実行中の作業に基づいて自車両の優先度を設定する。また、優先度管理テーブル212において、車種441および作業モード442の値が、車両情報管理テーブル210における当該他車両の車種402および作業モード411とそれぞれ一致する行を特定し、当該行の優先度443の値を相手車両の優先度として取得する。これにより、当該他車両が実行中の作業に基づいて当該他車両の優先度を設定する。そして、取得した自車両の優先度と相手車両の優先度とを比較して、自車両の優先度の値が相手車両の優先度の値よりも小さければ、自車両の優先度が相手車両の優先度よりも高いと判断して、ステップ1010に進む。一方、自車両の優先度の値が相手車両の優先度の値よりも大きければ、自車両の優先度が相手車両の優先度よりも低いと判断して、ステップ1011に進む。なお、自車両の優先度の値と、相手車両の優先度の値とが同一である場合は、ステップ1010、1011のどちらに進んでもよい。
ステップ1009からステップ1010に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、ステップ1002または1003で設定した判定エリアを小さく設定する(ステップ1010)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえばステップ1002で設定した円形の判定エリアの半径に1未満の係数を乗じることで、半径の大きさを元の値よりも小さくするか、またはステップ1003で設定した矩形の判定エリアの各辺に1未満の係数をそれぞれ乗じることで、各辺の長さを元の値よりも小さくする。このようにして判定エリアの大きさを縮小方向に変化させることで、図7のステップ705で行われる衝突リスクの判定において、リスクありとの判定結果が得られにくくなるようにする。これにより、当該他車両に対して、オペレータ用ユーザI/F103による警告や、車両制御システム104による衝突回避のための走行制御が行われるのを抑制する。なお、自車両と他車両の優先度の差の大きさに応じて、上記の係数を変化させてもよい。あるいは、ステップ1005またはステップ1006で設定した当該他車両の領域の大きさを縮小方向に変化させることで、衝突リスクの判定時にリスクありとの判定結果が得られにくくなるようにしてもよい。ステップ1010の処理を実行したら、衝突リスク判定部206は、当該他車両に対する判定アルゴリズム決定処理を終了する(ステップ1012)。
ステップ1009からステップ1011に進んだ場合、衝突リスク判定部206は、ステップ1002または1003で設定した判定エリアを大きく設定する(ステップ1011)。このとき衝突リスク判定部206は、たとえばステップ1002で設定した円形の判定エリアの半径に1より大きい係数を乗じることで、半径の大きさを元の値よりも大きくするか、またはステップ1003で設定した矩形の判定エリアの各辺に1より大きい係数をそれぞれ乗じることで、各辺の長さを元の値よりも大きくする。このようにして判定エリアの大きさを拡大方向に変化させることで、図7のステップ705で行われる衝突リスクの判定において、リスクありとの判定結果が得られやすくなるようにする。これにより、当該他車両に対して、オペレータ用ユーザI/F103による警告や、車両制御システム104による衝突回避のための走行制御が行われるのを促進する。あるいは、ステップ1005またはステップ1006で設定した当該他車両の領域の大きさを拡大方向に変化させることで、衝突リスクの判定時にリスクありとの判定結果が得られやすくなるようにしてもよい。ステップ1011の処理を実行したら、衝突リスク判定部206は、当該他車両に対する判定アルゴリズム決定処理を終了する(ステップ1012)。
以上説明した図10の処理を実行することで、衝突リスク判定部206は、自車両および当該他車両がそれぞれ実行中の作業に基づいて、自車両の優先度および当該他車両の優先度を設定し、これらに基づいて、自車両と当該他車両との衝突リスク判定に用いる判定アルゴリズムを変更することができる。
図10のような判定アルゴリズム決定処理により、図11、図12、図13にそれぞれ示すような判定エリアが自車両の周囲に設定され、これらの判定エリアを用いて、自車両と他車両との衝突リスクの判定が行われる。以下では、図11、図12、図13をそれぞれ参照して、衝突リスク判定の具体例を説明する。
図11は、ダブルサイドローディングのシーンにおける衝突リスク判定の具体例を示す図である。
図11(a)は、ダンプトラックである他車両1102がショベルの横で積込作業中であり、ダンプトラックである自車両1101が鉱物等の積込作業のためにショベルに接近した場合の様子を示している。この場合、自車両1101と他車両1102の作業モードはどちらも「積込中」であるため、自車両1101の優先度と他車両1102の優先度が同じ値となる。その結果、他車両1102に対する自車両1101の判定エリアとして、小さな矩形の判定エリア1100が設定される。したがって、判定エリア1100と他車両1102の領域1103は重ならず、衝突リスクなしと判定される。
一方、図11(b)は、他車両1102がショベルの横で積込作業中であり、自車両1101が搬送作業中にショベルに接近した場合の様子を示している。この場合、自車両1101の作業モードは「搬送中」であるのに対して、他車両1102の作業モードは「積込中」であるため、自車両1101の優先度は他車両1102の優先度よりも低くなる。その結果、他車両1102に対する自車両1101の判定エリアとして、大きな矩形の判定エリア1110が設定される。したがって、図11(a)の場合と比較して、自車両1101が他車両1102から離れた場所にいるにも関わらず、判定エリア1110と他車両1102の領域1103が重なることで、衝突リスクありと判定される。その結果、他車両1102を対象として、オペレータへの警告や衝突回避のための走行制御が自車両1101において行われる。
図12は、ダンプトラックが積込待ちで待機しているシーンにおける衝突リスク判定の具体例を示す図である。
図12(a)は、ダンプトラックである自車両1201と他車両1202が両方ともショベルから鉱物等の積込を行うために待機している場合の様子を示している。この場合、自車両1201と他車両1202の作業モードはどちらも「待機中」であるため、自車両1201の優先度と他車両1202の優先度が同じ値となる。その結果、他車両1202に対する自車両1201の判定エリアとして、小さな矩形の判定エリア1200が設定される。したがって、判定エリア1200と他車両1202の領域1203は重ならず、衝突リスクなしと判定される。
一方、図12(b)は、他車両1202が待機中であり、自車両1201が積込作業を完了して放土場に向かって搬送を開始した場合の様子を示している。この場合、自車両1201の作業モードは「搬送中」であるのに対して、他車両1202の作業モードは「待機中」であるため、自車両1201の優先度は他車両1202の優先度よりも低くなる。その結果、他車両1202に対する自車両1201の判定エリアとして、大きな矩形の判定エリア1210が設定される。したがって、判定エリア1210と他車両1202の領域1203が重なることで、衝突リスクありと判定される。その結果、他車両1202を対象として、オペレータへの警告や衝突回避のための走行制御が自車両1201において行われる。
図13は、追い越しのシーンにおける衝突リスク判定の具体例を示す図である。
図13(a)は、ダンプトラックである自車両1301と他車両1302がそれぞれ既定の走行経路を走行して鉱物等を搬送している場合に、自車両1301の前方に他車両1303が走行している場合の様子を示している。この場合、自車両1301と他車両1302の作業モードはどちらも「搬送中」であるため、自車両1301の優先度と他車両1302の優先度が同じ値となる。その結果、他車両1302に対する自車両1301の判定エリアとして、矩形の判定エリア1300が設定される。したがって、判定エリア1300と他車両1302の領域1304は重ならず、衝突リスクなしと判定される。
一方、図13(b)は、自車両1301が前方の他車両1303を追い抜こうとした場合の様子を示している。この場合、他車両1302の作業モードは「搬送中」のままであるのに対して、自車両1301の作業モードは、規定の走行経路を逸脱することで「その他」に変化する。そのため、自車両1301の優先度は他車両1302の優先度よりも低くなる。その結果、他車両1302に対する自車両1301の判定エリアとして、図13(a)の場合よりも大きな矩形の判定エリア1310が設定される。したがって、判定エリア1310と他車両1302の領域1304が重なることで、衝突リスクありと判定される。その結果、他車両1302を対象として、オペレータへの警告や衝突回避のための走行制御が自車両1301において行われる。
また、図13(c)は、図13(b)と同一のシーンにおいて自車両1301と他車両1302を入れ替えた場合の様子を示している。この場合、図13(b)の場合とは反対に、自車両1301の作業モードは「搬送中」のままであるのに対して、他車両1302の作業モードは、規定の走行経路を逸脱することで「その他」に変化する。そのため、自車両1301の優先度は他車両1302の優先度よりも高くなる。その結果、他車両1302に対する自車両1301の判定エリアとして、図13(b)の場合よりも小さな矩形の判定エリア1320が設定される。したがって、判定エリア1320と他車両1302の領域1304は重ならず、衝突リスクなしと判定される。その結果、図13(b)の場合とは異なり、自車両1301においてオペレータへの警告や衝突回避のための走行制御は行われない。
以上説明した図13(b)と図13(c)とを比較すると、優先度の低い作業をしている車両に対して、オペレータへの警告や衝突回避のための走行制御が優先的に行われることが分かる。すなわち、本実施形態で説明した処理を行うことにより、各車両が実施している作業の優先度に応じて、衝突を防止するための措置を講じることができる。したがって、鉱山や建設現場での全体の生産性への悪影響を抑制できることが分かる。
なお、衝突リスクの判定に用いる判定アルゴリズムとしては、上記で説明したような判定エリアを使用するもの以外を採用することもできる。たとえば、自車両に対する他車両の相対速度および相対距離に基づいて、衝突までの時間(TTC:Time To Collision)を計算し、その計算結果が予め定めた閾値以内であるか否かを判定することにより、衝突リスクの判定を行うこともできる。この場合は、本実施形態で説明したように判定エリアの大きさを変化させる替わりに、たとえば自車両と他車両の優先度に応じて閾値の大きさを変化させることで、衝突リスクの判定に用いる判定アルゴリズムを変更することができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)車載装置である安全運転支援装置101は、自車両の位置情報を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部202と、他車両との間で無線通信を行うことで、自車両情報を他車両に送信すると共に、他車両の位置情報を含む他車両情報を他車両から受信する車車間通信部201と、所定の判定アルゴリズムを用いて自車両と他車両との衝突リスクを判定する衝突リスク判定部206とを備える。衝突リスク判定部206は、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業に基づいて、自車両の優先度および他車両の優先度を設定し、設定した自車両の優先度および他車両の優先度に基づいて、判定アルゴリズムを変更する(ステップ704)。このようにしたので、全体の生産性への悪影響を抑制しつつ、車両同士の衝突事故を防止することができる。
(2)安全運転支援装置101は、自車両・他車両情報管理部204において管理される自車両情報および他車両情報に基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定する作業モード判定部205をさらに備える。また、自車両情報および他車両情報は、自車両および他車両の車種、速度、進行方向、向きおよび状態に関する情報をそれぞれ表す車種402、車速405、進行方向406、車両向き407および車両状態408のいずれか少なくとも一つをさらに含む。このようにしたので、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を正確に推定することができる。
(3)作業モード判定部205は、さらに外部から送信されて運行管理用端末102から出力される自車両および他車両の運行管理の状態をそれぞれ表す運行管理情報を表す運行管理状態409に基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定する(ステップ805〜811、901〜910)。このようにしたので、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業をより一層正確に推定することができる。
(4)衝突リスク判定部206は、自車両と他車両との衝突リスクを判定するための判定エリアを設定し(ステップ1002、1003)、自車両の優先度および他車両の優先度に基づいてこの判定エリアの大きさを変化させる(ステップ1009〜1011)ことにより、判定アルゴリズムを変更する。このようにしたので、自車両の優先度および他車両の優先度に基づいて、判定アルゴリズムを適切に変更することができる。
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る車載装置の適用例である安全運転支援装置を含む安全運転支援システムの構成を示す図である。図14に示す安全運転支援システムは、図1に示した本発明の第1の実施形態による安全運転支援システムと比べて、運行管理センタ140が存在しない点と、車両110、120にそれぞれ搭載された車載装置が運行管理用端末102を備えていない点とが異なる。
本実施形態において、作業モード判定部205は、図7のステップ701で自車両および他車両の作業モードを判定する際に、第1の実施形態とは異なる処理を実行する。以下では、本実施形態で行われる作業モード判定処理について説明する。
図15は、本発明の第2の実施形態における作業モード判定処理のフローチャートである。作業モード判定部205は、図7のステップ701において、この図15に示す作業モード判定処理の実行を開始する(ステップ1500)。
作業モード判定処理において、作業モード判定部205は、図8で説明した第1の実施形態と同様に、まず作業モード管理テーブル211の平均車速422および平均移動範囲423の値を更新する(ステップ1501)。
ステップ1501で平均車速422および平均移動範囲423の値を更新したら、作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211に情報が設定されている各車両について、以下に説明するステップ1503からステップ1513までの処理を行うループ処理を実行する(ステップ1502)。全ての車両についてループ処理の実行を終えたら、作業モード判定部205は、図15の処理フローに示す作業モード判定処理を終了する(ステップ1514)。
ループ処理において、作業モード判定部205は、図8で説明した第1の実施形態と同様に、自車両および他車両の中でいずれかの車両を処理対象として選択する。そして、車両情報管理テーブル210の車種402の値に基づいて、当該車両の車種を判定する(ステップ1503)。その結果、当該車両がダンプトラックの場合はステップ1504に進み、当該車両がショベルやホイールローダーの場合はステップ1505に進み、当該車両がグレーダーやドーザーの場合はステップ1510に進む。また、当該車両がたとえば軽車両など、上記車種のいずれでもない場合はステップ1513に進む。
ステップ1503からステップ1504に進んだ場合、作業モード判定部205は、ダンプトラック用の作業モード判定を実施する(ステップ1504)。このステップ1504で行われるダンプトラック用の作業モード判定の詳細については、後で図16の処理フローを参照して説明する。ステップ1504の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ1503からステップ1505に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の車速が予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する(ステップ1505)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の車速402の値を参照して、当該車両の車速を取得する。その結果、当該車両の車速が所定の範囲内であればステップ1506に進み、範囲内でなければステップ1509に進む。
ステップ1505からステップ1506に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の平均車速と平均移動範囲がそれぞれ予め設定された所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ1506)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の平均車速422および平均移動範囲423の値を参照して、ショベルやホイールローダーである当該車両の平均車速および平均移動範囲を取得する。その結果、当該車両の平均車速と平均移動範囲がいずれも、それぞれ定めた所定の閾値以内であればステップ1507に進む。一方、当該車両の平均車速または平均移動範囲の少なくとも一方が閾値以上である場合は、ステップ1509に進む。
ステップ1506からステップ1507に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両といずれかのダンプトラックとの相対距離が予め設定された所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ1507)。このとき作業モード判定部205は、車種402の値がダンプトラックである行を車両情報管理テーブル210において検索する。そして、当該車両の緯度403−1および経度403−2の値と、検索された各行に登録されている緯度403−1および経度403−2の値とに基づいて、当該車両と各ダンプトラックとの相対距離を演算する。その結果、演算された相対距離が予め設定された閾値以内である行が一つでもあればステップ1508に進む。一方、車種402の値がダンプトラックである行が存在しない場合、または演算された相対距離がいずれも閾値以上である場合は、ステップ1509に進む。
ステップ1507からステップ1508に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「積込中」を設定する(ステップ1508)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「積込中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「積込中」に設定する。ステップ1508の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ1505、1506または1507からステップ1509に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ1509)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ1509の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ1503からステップ1510に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の車速が予め設定された所定の範囲内であるか否かを判定する(ステップ1510)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の車速402の値を参照して、当該車両の車速を取得する。その結果、当該車両の車速が所定の範囲内であればステップ1511に進み、範囲内でなければステップ1512に進む。
ステップ1510からステップ1511に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「整地中」を設定する(ステップ1511)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「整地中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「整地中」に設定する。ステップ1511の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ1510からステップ1512に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ1512)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ1512の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
ステップ1503からステップ1513に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「その他」を設定する(ステップ1513)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「その他」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「その他」に設定する。ステップ1513の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するループ処理を終了する。
図16は、本発明の第2の実施形態におけるダンプトラック用の作業モード判定のフローチャートである。作業モード判定部205は、図15のステップ1504において、この図16に示すダンプトラック用の作業モード判定を開始する(ステップ1600)。
ダンプトラック用の作業モード判定において、作業モード判定部205は、まず当該車両といずれかのショベルまたはホイールローダーとの相対距離が予め設定された所定の第1閾値以内であるか否かを判定する(ステップ1601)。このとき作業モード判定部205は、車種402の値がショベルまたはホイールローダーである行を車両情報管理テーブル210において検索する。そして、当該車両の緯度403−1および経度403−2の値と、検索された各行に登録されている緯度403−1および経度403−2の値とに基づいて、当該車両と各ショベルまたはホイールローダーとの相対距離を演算する。その結果、演算された相対距離が予め設定された第1閾値以内である行が一つでもあればステップ1604に進む。一方、車種402の値がショベルまたはホイールローダーである行が存在しない場合、または演算された相対距離がいずれも第1閾値以上である場合は、ステップ1602に進む。
ステップ1601からステップ1602に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の状態を確認する(ステップ1602)。このとき作業モード判定部205は、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の車両状態408を参照することで、当該車両の状態が何であるかを判断する。その結果、当該車両の状態が「積載中」の場合はステップ1605に進み、それ以外の場合はステップ1603に進む。
ステップ1602からステップ1603に進んだ場合、作業モード判定部205は、ステップ1601で演算した当該車両と各ショベルまたはホイールローダーとの相対距離が、上記の第1閾値よりも大きな値で予め設定された第2閾値以内であり、かつ当該車両の車速が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップ1603)。その結果、演算された相対距離が予め設定された第2閾値以内である行が一つでも存在し、かつ当該車両の車速が予め設定された速度閾値以内であれば、ステップ1606に進む。一方、車種402の値がショベルまたはホイールローダーである行が存在しない場合や、演算された相対距離がいずれも第2閾値以上である場合、または当該車両の車速が速度閾値以上である場合は、ステップ1605に進む。
ステップ1601からステップ1604に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「積込中」を設定する(ステップ1604)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「積込中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「積込中」に設定する。ステップ1604の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ1607)。
ステップ1602または1603からステップ1605に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「搬送中」を設定する(ステップ1605)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「搬送中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「搬送中」に設定する。ステップ1605の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ1607)。
ステップ1603からステップ1606に進んだ場合、作業モード判定部205は、当該車両の作業モードに「待機中」を設定する(ステップ1606)。このとき作業モード判定部205は、作業モード管理テーブル211において当該車両に対応する行の作業モード424の値を「待機中」に設定する。さらに、車両情報管理テーブル210において当該車両に対応する行の作業モード411の値も、同様に「待機中」に設定する。ステップ1606の処理を実行したら、作業モード判定部205は、当該車両に対するダンプトラック用の作業モード判定を終了する(ステップ1607)。
以上説明した図15、図16の処理を実行することで、作業モード判定部205は、自車両・他車両情報管理部204の車両情報管理テーブル210に記憶された自車両情報および他車両情報と、自車両情報および他車両情報の過去の履歴を用いて算出される平均車速422および平均移動範囲423とに基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定することができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した(1)、(2)、(4)と同様の作用効果を奏する。また、(3)の作用効果に替えて、以下の(5)の作用効果を奏する。
(5)作業モード判定部205は、自車両情報および他車両情報に加えて、さらに自車両情報および他車両情報の過去の履歴に基づいて、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を推定する。具体的には、自車両情報および他車両情報における過去の車速405、緯度403−1、経度403−2および高度403−3の値の履歴に基づいて、自車両および他車両の平均車速422および平均移動範囲423の値を演算し(ステップS1501)、これらの値に基づいて、自車両および他車両がショベルやホイールローダーである場合に、その作業を推定する(ステップ1506、1508、1509)。このようにしたので、自車両や他車両の運行管理情報が得られない場合でも、自車両および他車両がそれぞれ実行中の作業を正確に推定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、各車両が実施している作業の優先度に応じて、衝突回避のための警告を行う条件を変更し、優先度の低い作業を実施している車両に対して優先的に警告を行うことができる。そのため、全体の生産性に対する影響が大きい作業をできるだけ止めずに、車両同士の衝突を回避することができる。
なお、以上説明した各実施形態や各種の変化例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。