JP6391466B2 - ブロー成形品の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
成形型における一対の割型を型締めすることで、該成形型の内部に湾曲形状のキャビティを画成し、ノズルからの中空パリソンを前記成形型の上開口部から前記キャビティへ供給すると共に、前記キャビティの下方から空気吸引を行って前記中空パリソンを該キャビティの湾曲形状に沿わせて案内することで、湾曲した部分を有するブロー成形品を製造する方法において、
前記一対の割型を型締めした後に、前記成形型の上開口部上方のパリソン通過領域を前記成形型に設けられた対向する発熱体で該パリソン通過領域を挟んだ状態で加熱し、
前記発熱体による加熱開始後に、前記中空パリソンを前記キャビティへ供給し、
前記成形型の上開口部を開閉するシャッタが閉成する動作に連係して前記発熱体を前記パリソン通過領域の周囲から退避させることで前記発熱体による前記パリソン通過領域の加熱を停止するようにしたことを要旨とする。
開閉自在に対向配置した一対の割型からなり、該割型の型締めにより内部に湾曲形状のキャビティが画成されると共に、該キャビティの上方に上開口部が形成される成形型と、前記成形型の上方に配置され、加熱した中空パリソンを前記上開口部を介して前記キャビティへ供給するノズルと、前記夫々の割型の上部に対応的に配置されて、前記成形型の上開口部を開閉する一対のシャッタと、前記キャビティの下方から空気を吸引して、該キャビティへ供給された中空パリソンを該キャビティの湾曲形状に沿って案内するサクションブロワとを備えるブロー成形品の製造装置において、
前記割型の上部に配置され、該割型の型締めにより前記上開口部上方のパリソン通過領域を挟んで対向すると共に、前記シャッタが閉成する動作に連係して前記パリソン通過領域の周囲から退避するプレート状の発熱体を備えていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、発熱体の動作により、該発熱体の発熱開始と発熱停止とを行うことができる。また、発熱体の動作と発熱体によるパリソン通過領域の加熱とを適切に連動させることができる。
請求項4に係る発明によれば、シャッタを開閉することで、該シャッタと発熱体とを連結する連係機構が動作して、発熱体を進退移動させることができるので、シャッタを開閉する駆動手段とは別に発熱体を進退させる駆動手段を設ける必要がない。また、連係機構によりシャッタの動作が発熱体の動作に伝達されるので、シャッタの開閉動作と発熱体の進退動作とを適切に連係させることができる。
図1に示すように、ダクトの製造装置10は、一対の割型14,14を備え、内部にキャビティ20を画成する成形型12と、中空のパリソンPを前記キャビティ20へ供給するノズル22と、前記割型14,14の上部に設けられた一対の上シャッタ24,24(シャッタ)と、前記割型14,14の下部に設けられた一対の下シャッタ34,34と、前記キャビティ20の下方から空気を吸引するサクションブロワ40と、前記割型14,14の上部に配置されたヒータ42(発熱体)とを備えている。
図1に示すように、前記成形型12は、左右に対向配置した一対の割型14,14を、図示しない型開閉手段により開閉可能に構成されている。成形型12は、図1(a)に示す両割型14,14が離間する型開き状態から、両割型14,14を互いに近接させて型締めすることで、図1(b)に示す如く、内部に前記ダクトの外部輪郭形状に応じたキャビティ20が画成される。以下、特に断りがない場合は、製造装置10について割型14,14を型締めした状態で説明する。また、以下の説明において、割型14,14を開閉する方向を型開閉方向と云い、割型14,14を型締めする方向を型締め方向と云い、割型14,14を型開きする方向を型開き方向と云う。前記キャビティ20は、上下方向に長手が延在すると共に、上下方向の中央部に前記ダクトの湾曲する部分に対応する湾曲部20aが形成されている。また成形型12には、上部に前記キャビティ20の上端部に連通する上開口部16が形成されると共に、下部に該キャビティ20の下端部に連通する下開口部18が形成されている。すなわち、キャビティ20は、上開口部16および下開口部18により成形型12を上下に貫通するよう形成されている。
図1に示すように、前記成形型12の上方には、前記上開口部16と上下に整列する位置に、前記ノズル22が配置されている。このノズル22は、熱可塑性樹脂を原料とする円筒状のパリソンPを、加熱して軟化させた状態で押出して垂下させるよう構成されている。なお、ノズル22から垂下されるパリソンPの外径は、前記キャビティ20を上流から下流まで通過し得る寸法に設定される。
図1および図4に示すように、前記割型14,14の上部には、前記上開口部16を開閉する前記一対の上シャッタ24,24が配設されている。上シャッタ24,24は、各割型14,14に1つずつ対応的に設けられ、前記型開閉方向に対向配置されている。図7に示すように、前記割型14,14の上部には、型開閉方向に延在する2つのシャッタレール30が、前記上シャッタ24,24を挟むように前後(型開閉方向に交差する方向)に離間して配設されている。そして、上シャッタ24,24は、下部に形成されたガイド部26を、前記シャッタレール30のガイド溝30aに摺動可能に挿入することで、割型14,14の上部に型開閉方向にスライド移動可能に支持されている。また、上シャッタ24,24における型開き方向側の面には、割型14,14の上部に配設された上シリンダ32の型開閉方向に伸縮可能なロッド32aが夫々固定されている。そして、上シャッタ24,24は、両上シリンダ32のロッド32aを同期して動作することで、互いに当接して前記上開口部16の上方に進出して前記上開口部16を閉成する閉成位置(図1(b)に2点鎖線で示す)と、前記上開口部16の上方から退避するよう互いに離間して該上開口部16を開放する開放位置(図1(b)に実線で示す)との間を進退移動するよう構成されている。なお、図1(b)に示すように、上シャッタ24,24には、該上シャッタ24,24を閉成した際に、前記上開口部16を介して前記キャビティ20に連通する上方空間28が形成されている。また、上シャッタ24,24には、キャビティ20に供給されたパリソンPの内部に空気を吹き込むブローピン(図示せず)が前後方向に進退可能に配設されている。
図1に示すように、前記割型14,14の下部には、前記下開口部18を開閉する前記一対の下シャッタ34,34が配設されている。この下シャッタ34,34は、各割型14,14に1つずつ対応的に設けられ、前記型開閉方向に対向配置されている。前記上シャッタ24,24と同様に、下シャッタ34,34は、シャッタレール(図示せず)により割型14,14の下部に型開閉方向にスライド移動可能に支持されている。また、下シャッタ34,34は、対応的の設けられた下シリンダ36により、互いに当接して前記下開口部18を閉成する閉成位置(図1(b)に2点鎖線で示す)と、互いに離間して前記下開口部18を開放する開放位置(図1(b)に実線で示す)との間を進退移動するよう構成されている。なお、図1(b)に示すように、下シャッタ34,34には、下開口部18を閉成した状態で、該下開口部18記キャビティ20に連通する下方空間38が形成されている。また、前記下シャッタ34,34の下方には、下開口部18を介してキャビティ20の空気を吸引し、該キャビティ20に下方へ向かう気流を作成するサクションブロワ40が配設されている。
図1および図4に示すように、前記各割型14,14の上部には、前記上シャッタ24,24の上端部より上方まで延在する2枚のプレート状のヒータ42,42が配設されている。各割型14,14の2枚のヒータ42,42は、前記上シャッタ24,24を挟むよう前後に離間すると共に互いに板面を対向させて配置されている。そして、各割型14,14の2つヒータ42,42は、他方の割型14,14の2つのヒータ42,42と型開閉方向に整列して配置され、該他方の割型14,14の整列するヒータ42,42と対をなしている。すなわち、成形型12の上部には、両割型14,14に分かれて配置された2枚のヒータ42,42からなるヒータ対42Aが2組設けられている。
図7に示すように、前記ヒータ42は、前記上シャッタ24,24に、該上シャッタ24,24の開閉動作を該ヒータ42の進退動作に連係させる連係機構50で連結されている。各割型14,14に設けた2つのヒータ42,42は、該割型14,14に設けた片側の上シャッタ24に前記連係機構50を介して夫々連結され、該片側の上シャッタ24を開閉方向へスライドすることで、2つの連係機構50が同期して動作して、該割型14,14の2つのヒータ42,42を連係して進退させるようになっている。そして、各上シャッタ24,24に設けた両上シリンダ32,32を同期して作動することで、4つのヒータ42,42,42,42は、前記作動可能位置および前記待機位置の間を同期して進退移動するようになっている。なお、上シャッタ24,24およびヒータ42は、上シャッタ24,24が開放位置にある場合、ヒータ42は作動可能位置となり、上シャッタ24,24が閉成位置にある場合、ヒータ42は待機位置となるよう連係機構50で連結されている。また、割型14,14を型開きした状態では、上シャッタ24,24および下シャッタ34,34は開放位置にあり、ヒータ42は作動可能位置にあるよう設定されている。
実施例のダクトの製造方法によれば、パリソン通過領域Rをヒータ42で加熱しながらパリソンPをキャビティ20へ供給するようにしたので、パリソン通過領域Rを通過する際の、パリソンPの外表面の温度低下を抑えることができる。すなわち、キャビティ20へ案内されるパリソンPの硬化を抑制して、パリソンPをキャビティ20の湾曲形状に沿って該キャビティにパリソンPを行き渡らせることができる。更に、パリソンPの外表面の温度低下を抑えることで、パリソンPの硬化による下シャッタ34,34の閉成不良の発生も抑制されるので、前記下シャッタ34,34を確実に閉成できる。このため、下シャッタ34,34の動作不良に由来する成形不良の発生も抑えることができる。また、パリソンPをキャビティ20へ供給する際に、プレート状のヒータ42でパリソン通過領域Rを挟んで加熱するようにしたので、該ヒータ42により、パリソン通過領域Rを通るパリソンPの軌道を変動させる外部の風の影響を抑制できる。このため、パリソン通過領域Rを通過するパリソンPの軌道を安定させて、前記成形型12の上開口部16からパリソンPをキャビティ20へ確実に供給できる。
前述した実施例の製造方法および実施例の製造方法に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)実施例では、ブロー成形品として自動車のエンジンルームに配設されるダクトを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、空調設備に用いられるホースや、建物等に配設されるダクト等であってもよい。
(2)実施例では、発熱体としてプレート状のヒータを作用したが、電熱線や、熱風を発生する装置等であってもよい。
(3)実施例では、接触スイッチを備える発熱体を例に挙げて説明したが、近接すると発熱を開始し、離間すると発熱を停止する近接スイッチを採用してもよい。また、発熱体の移動とは関係なく、発熱体の発熱開始や発熱停止を制御してもよい。更に、発熱したままの発熱体をパリソン通過領域の周囲から退避することで、該発熱体によるパリソン通過領域の加熱を停止してもよい。
(4)実施例では、パリソン通過領域を挟んで加熱する発熱体を例に挙げて説明したが、発熱体の配置はこれに限定されない。また、発熱体の数は、3つ以下や5つ以上であってもよい。例えば、1つの発熱体でパリソン通過領域を加熱してもよい。
(5)実施例では、ピニオンギアと2つのラックとからなる連係機構を採用したが、シャッタと発熱体とを連係して動作させ得る機構であれば特に限定されない。なお、発熱体は、シャッタとは別の駆動手段により進退動作させてもよく、割型に固定され進退しない構成であってもよい。
(6)割型の型締め前にノズルから少量のパリソンを垂下させる工程は省略してもよい。
22 ノズル,24 上シャッタ(シャッタ),42 ヒータ(発熱体),50 連係機構,
P パリソン(中空パリソン),R パリソン通過領域
Claims (4)
- 成形型における一対の割型を型締めすることで、該成形型の内部に湾曲形状のキャビティを画成し、ノズルからの中空パリソンを前記成形型の上開口部から前記キャビティへ供給すると共に、前記キャビティの下方から空気吸引を行って前記中空パリソンを該キャビティの湾曲形状に沿わせて案内することで、湾曲した部分を有するブロー成形品を製造する方法において、
前記一対の割型を型締めした後に、前記成形型の上開口部上方のパリソン通過領域を前記成形型に設けられた対向する発熱体で該パリソン通過領域を挟んだ状態で加熱し、
前記発熱体による加熱開始後に、前記中空パリソンを前記キャビティへ供給し、
前記成形型の上開口部を開閉するシャッタが閉成する動作に連係して前記発熱体を前記パリソン通過領域の周囲から退避させることで前記発熱体による前記パリソン通過領域の加熱を停止するようにした
ことを特徴とするブロー成形品の製造方法。 - 開閉自在に対向配置した一対の割型からなり、該割型の型締めにより内部に湾曲形状のキャビティが画成されると共に、該キャビティの上方に上開口部が形成される成形型と、前記成形型の上方に配置され、加熱した中空パリソンを前記上開口部を介して前記キャビティへ供給するノズルと、前記夫々の割型の上部に対応的に配置されて、前記成形型の上開口部を開閉する一対のシャッタと、前記キャビティの下方から空気を吸引して、該キャビティへ供給された中空パリソンを該キャビティの湾曲形状に沿って案内するサクションブロワとを備えるブロー成形品の製造装置において、
前記割型の上部に配置され、該割型の型締めにより前記上開口部上方のパリソン通過領域を挟んで対向すると共に、前記シャッタが閉成する動作に連係して前記パリソン通過領域の周囲から退避するプレート状の発熱体を備えている
ことを特徴とするブロー成形品の製造装置。 - 前記プレート状の発熱体は、前記一方の割型の上部と、前記他方の割型の上部とに対をなして配置され、一方の割型に設けた発熱体と他方の割型に設けた発熱体とを相互に近接させることで該発熱体の発熱を開始し、両発熱体を離間させることで前記発熱を停止させる請求項2記載のブロー成形品の製造装置。
- 前記プレート状の発熱体は前記シャッタに連係機構を介して連結され、前記シャッタを進退させて前記上開口部を開閉することで前記連係機構が動作して、前記発熱体の進退移動をなし得るようになっている請求項2または3記載のブロー成形品の製造装置。
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