JP6391410B2 - 電子放出素子及び電子放出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電圧を印加することによって電極表面から電子を放出する電子放出素子及びそれを用いた電子放出装置に関する。
従来、スピント(Spint)型電極、カーボンナノチューブ(CNT)型電極等で構成された電子放出素子が知られている。これらの電子放出素子は、尖鋭突起部に高電圧を印加して約1GV/mの強電界を形成し、トンネル効果を利用して電子の放出を行わせるものである。しかしながら、かかる電子放出素子は、電子放出部の表面近傍に強電界を発生させるため、放出電子は電界により大きなエネルギーを得て、気体分子を容易に電離するようになる。気体分子の電離により生じた陽イオンは、強電界によって素子表面に向かって加速衝突し、スパッタリングによる素子破壊を生じるという問題がある。また、酸素の解離エネルギーは電離エネルギーよりも低いため、大気中で電子を放出させると、これらの強電界により容易にオゾンを発生させ得る。オゾンは有害である上、強力な酸化力により多種多様なものを酸化させる。そのため、電子放出素子の周辺部材にダメージを与えるという問題があり、これを避けるために周辺部材には耐オゾン性の高い材料を用いなければならないという制約が生じる。
一方、近年、上記とは異なるタイプの電子放出素子として、MIM(Metal-Insulator-Metal)型、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型、あるいはBSD(Ballistic electron Surface-emitting Device)型等が開発されている。これらは、素子内部の量子サイズ効果および強電界を利用して電子を加速し、平面状の素子表面(表面電極)から電子を放出させる面放出型の電子放出素子である。これらの電子放出素子は、素子内部の電子加速層で加速した電子を放出するため、素子外部に強電界を必要としない。したがって、前述したような、気体分子の電離によるスパッタリングで破壊されるという問題、およびオゾンが発生するという問題を克服している。
特許文献1には、上記の問題を克服し、かつ大気中で安定的に電子を放出可能な素子が開示されている。特許文献1に示された電子放出素子は、互いに対向して配置された下部電極と上部の表面電極、および、その間に介設された電子加速層を備え、下部電極と表面電極との間に電源電圧を印加するようにしたものである。電子加速層は、導電体からなり抗酸化力の高い導電微粒子と、導電微粒子より大きい絶縁体物質とが混在したものである。導電微粒子として抗酸化力が高い導電体を用いることによって大気中の酸素による酸化に伴う素子劣化が抑制され、大気圧中でも安定して動作させることができる。かかる電子放出素子は、フォーミングと呼ばれる半絶縁破壊過程を経験することで、電子放出特性が出現するようになる。この種の電子放出素子は、2つの共通する特徴を有する。1つ目の特徴は、表面電極が非常に薄いことである。素子内で加速した電子が表面電極を通過し、真空障壁を突破して放出されるため、電子の散乱・捕獲原因となる表面電極を薄くすることが要求される。2つ目の特徴は、駆動電流の大部分が外部に放出されず、表面電極に回収され素子内に留まることである。従って、必要放出量を満足するためには、素子内に大きな電流を流す必要があり、そのためフォーミング後の素子抵抗もある程度低いことが求められる。
特開2009−146891号公報
特許文献1に記載された電子放出素子では、通電時における表面電極の破壊が課題となっており、ライフエンド時は全面に渡って破壊が進行し、表面電極としての機能がほぼ無くなるという問題がある。この場合、前記破壊によって網目模様のように細線化された表面電極では、面内の電気伝導性を十分に確保できず電圧降下を持つため、放出電流の面内均一性に対してムラを生じる原因となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、給電面の導通性を確保し、動作安定性の高い電子放出素子及び電子放出装置を提供することを目的とする。
本発明は、基板側の第1電極、放出側の第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に介設された中間層を備えた電子放出素子において、前記第2電極と前記中間層との界面に、所定の面パターンを有する金属層を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、電子の放出側となる第2電極と中間層との界面に所定の面パターンを有する金属層を設けることで、第2電極が、面パターンと重畳する給電領域(給電面)と電子の放出領域とに区分される。従って、素子の動作に伴って放出領域に対する破壊が進行しても、給電面に対する破壊は抑制され、すなわち給電面の導通性が確保されて、動作の安定性が維持される。
また、前記金属層は、前記中間層との界面に、前記中間層に内在する酸素成分と反応して不動態膜を形成する材料を有することを特徴とする。この構成によれば、金属層は、中間層との界面に、中間層に内在する酸素成分と反応することで不動態膜が形成されることとなる。不動態膜の形成は、既に内在する酸素成分との反応によって、あるいは通電による電気化学的作用によって進行する。不動態膜が形成されることで、中間層との界面が絶縁されるので給電面の導電性が長期に確保される。また、一時的に不動態膜にクラックが生じたとしても、通電により不動態膜が復元されて、面間の電気伝導性は長期に渡って安定した絶縁性を得る。また、不動態膜の形成は面間の電流パス付近、かつ界面のみに限定されることから、面内電気伝導性は良伝導性を保持し、給電機能が維持される。
また、金属層は、不動態膜の形成を図る観点から、Fe、Cr、Ni、Co、Mo、Al、Ti、Ta、Nb、Zrの元素の少なくとも1つ、およびこれらの元素の1つ以上を含む合金の一方から選ぶことが好ましい。
また、金属層の厚さが10nm以上であれば、電気的導通が確保される面パターンの形成が可能となる。
また、面パターンは、規則的な模様を有することを特徴とする。例えば、樹状模様または多連結模様が採用可能である。所定の模様とすることで給電面に対する給電性能が確保される。
また、以上の電子放出素子と、基板電極と表面電極との間に直流電圧を印加する電源とを備えることで、動作安定性の高い電子放出装置が提供できる。
本発明によれば、給電面の導電性を確保し、動作安定性の高い電子放出素子及び電子放出装置が提供できる。
第1の実施の形態に係る電子放出装置の概略構成を示す側断面図である。 図1中に示す電子放出素子を電子放出面側から見た平面図である。 不動態膜を説明する図で、(a)は概略側面断面、(b)は金属膜の概略平面図である。 電子放出素子の製造手順を示す図である。 電子放出素子の製造手順を示す図である。 電子放出素子の製造手順を示す図である。 第2の実施の形態に係る電子放出装置1Aを電子放出面側から見た平面図で、図2に対応する図である。 第3の実施の形態に係る電子放出装置1Bの概略構成を示す側断面で、図1に対応する図である。
図1、図2に示す第1の実施の形態に係る電子放出装置1は、電子放出素子10および所定の電圧を出力する電源20を備えている。電子放出装置1は、電子放出素子10に電源20からの所定の電圧が印加されると素子面から電子を放出する。電子放出装置1は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置に適用することが可能である。その他、電子線硬化装置、発光体と組み合わせることによる画像表示装置、あるいは放出された電子が発生させるイオン風を利用するイオン風発生装置等に適用することが可能である。
電子放出素子10は、第1電極としての基板電極11、絶縁層12、中間層13、第2電極としての表面電極15、および金属膜14を備え、図1に示すような積層構造を有している。なお、図中、各部の寸法は分かり易さを考慮して一部誇張して示されている。
電源20の負極は基板電極11に接続され、電源20の正極は表面電極15の適所、好ましくは表面の端部に接続されている。電源20から供給される電子は、中間層13内で基板電極11から表面電極15に向けて加速され、一部の電子が弾道電子として表面電極15から放出される。
基板電極11は、金属板などの電気伝導性を備えた板状の支持体からなる。基板電極11は、電気伝導性を備えておればよく、具体例としては、Al,Cu,SUSなどの金属板、B,Al,N,Pなどの不純物がハイドープされた半導体基板、および金属又は導電性材料が成膜されたガラス板、アクリル板、セラミック板などの絶縁性基板が使用可能である。基板電極11の板厚は特に限定されないが、素子としての剛性、および素子発熱による発熱の緩和を考慮した適宜な厚さに設定される。
中間層13と接する基板電極11の表面粗さRaは、中間層13の層厚と比べて十分に小さく、基板電極11と表面電極15との間で短絡が生じない程度に設定される。例えば、表面粗さRaは、0.1μm以下が好ましい。また、中間層13および表面電極15が耐えられるものであれば、基板電極11は柔軟性を持つ基板を使用してもよい。
絶縁層12は、必要に応じて形成されるもので、電気的に絶縁性を有すればよく、具体例としては金属酸化物、金属窒化物などの無機材料、またはシリコーン系樹脂、フェノール系樹脂などの有機材料を使用できる。絶縁層12は、表面電極15と電源20の接点直下に形成され、電源20との接点の直下への電流集中を緩和させて電極破壊の虞を抑制するものである。さらに、前記接点直下を含め、基板電極11の端縁について形成してもよい(後述の図4参照)。
中間層13は、絶縁性樹脂、導電性樹脂、および絶縁性微粒子のうちの1つ以上を含むものである。中間層13は、さらに金属微粒子が添加されていることが好ましい。第1の実施の形態では、図1に示すように、絶縁性樹脂131および金属微粒子132を混合したものを中間層13として用いている。中間層13の層厚は0.3〜5.0μmとすることが好ましい。
絶縁性樹脂131は、絶縁性を有する材料であれば良く、殆どの樹脂が使用可能である。例えば、シリコーン樹脂が使用でき、その硬化タイプも特に限定されない。金属微粒子132は、金属であればよく、例えばAu,Pt,Pd,Agなどの酸化に強い金属が好ましい。また、金属微粒子132の粒径は、中間層13に絶縁性微粒子を含める場合には当該絶縁性微粒子の粒径よりも小さい必要がある。金属微粒子132は、平均粒径が3〜20nmであることが好ましい。
表面電極15は、導電性材料の薄膜からなる。その材料は、高い電気伝導性を備えていれば良く、金属材料であることが好ましい。具体例としては、Au,Pt,Pd,Agなどを含む金属が挙げられる。特に大気中で駆動することを想定した場合、酸化などの化学反応を起こさない材料、例えばAuが好ましい。
表面電極15は、層厚が小さすぎると、面内抵抗が増大し、電子放出素子10の(面方向の)全体で無視できない大きさの抵抗を持つようになる。その結果、基板電極11と表面電極15との間で、面方向において等しい電圧がかからず、面内均一性が損なわれる。また、破壊耐性が低下し、表面電極15の寿命が低下する。反対に、表面電極15の層厚が大きすぎると、表面電極15の破壊が抑制され、欠損領域が低減することで電子放出量が低減する。
金属膜14は、表面電極15と中間層13との界面の一部に介設されたものである。金属膜14は、表面電極15と中間層13の間に位置し、表面電極15と電気的接点を持つ。金属膜14の材料は、例えばFe,Cr,Ni,Co,Mo,Al,Ti,Ta,Nb,Zrの金属元素の少なくとも1つ、もしくはこれらの内1つ以上を含む合金などが挙げられる。また、金属膜14は、電気的導通を確保する点から膜厚は10nm以上であることが好ましい。
部分的に金属膜14を形成することで、表面電極15は、電子放出面側から見て2つの領域に区分される。表面電極15は、金属膜14の成膜領域の直上が給電領域151となり、金属膜14の非成膜領域の真上が放出領域152となる。すなわち、電子放出面側から見た場合、金属膜14の成膜領域と給電領域151とは重なる。金属膜14は、中間層13とは絶縁であり、表面電極15とは短絡されている。金属膜14の成膜領域は、面内方向には電気を流す一方、面直方向には絶縁であり電流を流さない。すなわち、表面電極15の給電領域151は、金属膜14の成膜領域によって駆動時に、前述したような電極破壊が生じることが抑止され、専ら電子放出域として機能する周囲の放出領域152に対して、安定した給電路を確保し、給電性能を維持させる。
金属膜14の成膜領域の形状は、給電領域151および放出領域152が面内給電性能と電子放出性能とを両立させるために適切な面形状にパターニングされて形成される。図2には、面状のパターニングの一例として、金属膜14によって給電領域151がツリー状に形成された例を示している。すなわち、図2に示す金属膜14は、給電基部14A、幹部14B、および枝部14Cから構成されている。給電基部14Aは、表面電極15の電極面の一部、例えば一辺に沿うように配置されており、電源20との接点の直下を含む。幹部14Bは、所定幅を有し、給電基部14Aから所定角度方向に、例えば直交方向に対辺まで延設され、本実施の形態では所定間隔を置いて複数並設されている。枝部14Cは、幹部14Bから所定角度方向に、例えば直交方向に延設されたもので、本実施の形態では所定間隔を置いて複数並設されている。枝部14Cは、本実施の形態では、幹部14Bの幅方向両側に形成されている。また、隣り合う幹部14Bに形成される枝部14C同士は、互いに接することがないように、例えば互い違いに形成されている。これにより、給電領域151は、その全周囲が放出領域152に囲まれるような島状の領域となることはなく、所望のメタルマスク等を用いることで成膜することが可能となる。幹部14Bの線幅は、給電基部14Aの線幅よりも小さくなるように形成され、枝部14Cの線幅は幹部14Bの線幅よりも小さくなるように形成されることが好ましい。
なお、給電領域151は、ツリー状に限定されず、所定のパターン形状が採用可能である一方、第1の実施の形態では、給電領域151をツリー状の形状とすることで、電子放出効率の向上を図っている。すなわち、給電領域151の面方向における電圧降下を抑制するため、放出領域152は幅広な部分をできるだけ持たない、狭幅の領域として形成されることが好ましい。また、表面電極15の全面積に対する給電領域151の面積比率は、電子放出装置1の用途や具体的仕様によって適宜設定されればよいが、電子放出量を確保する観点からは、給電領域151の面積比率が大きくなることは好ましくない。これらの観点から、給電領域151の面積比率の増大を回避しつつ、放出領域152を狭幅の領域として形成するには、給電領域151を上述のようなツリー状に形成することは有意義である。また、ツリー状の給電領域151は、給電基部14Aから離れた位置に対して、平面視で、ほぼ最短の経路で給電できるといった利点もある。
図2に示す給電領域151では、幹部14Bおよび枝部14Cは一定の線幅にて形成されており、枝部14Cの線幅は幹部14Bの線幅よりも小さくなるように形成されている。すなわち、給電領域151は、給電基部14Aから離れる程、線幅が段階的に狭小化されている。また、給電領域151のパターン形状は、給電基部14Aから離れるに従って線幅が連続的に狭小化されるものであってもよい。例えば、幹部14Bについては、給電基部14Aに接続される側で太く、給電基部14Aから離れるにつれて徐々に細くなる形状をいう。また、枝部14Cについては、幹部14Bに接続される側で太く、幹部14Bから離れるにつれて徐々に細くなる形状をいう。なお、図1において、表面電極15は、給電領域151が放出領域152よりも嵩高になっているが、これは、金属膜14の成膜後に表面電極15の層を形成する際に、単に金属膜14の膜厚分によって嵩上げされたに過ぎないもので、表面電極15の上面は面一であってもよい。
また、金属膜14は、不動態膜が形成可能な、前述した金属材料からなることが好ましい。金属膜14の中間層13側との界面は、主に通電に伴う電気化学的作用によって酸化し、不動態膜が形成される。これにより金属膜14の中間層13側との界面は、電気的に絶縁となる。不動態膜の形成に必要な酸素は、前述した材料からなる中間層13に予め内在しているもの、または中間層13の外気露出部分より侵入することで内在することになるものがあり、電気的な伝導または拡散によって運ばれると考えられる。図3に模式的に示すように、中間層13には、金属膜14との界面から下方(面直方向)に向けて多数の短絡した電流パス13aが形成されることで、その界面箇所に不動態膜14aが多数形成され、成長して絶縁域となる。この不動態膜14aによって、放出電子による破壊から、金属膜14および給電領域151が保護される。また、形成された不動態膜14aに後にクラックなどが生じても、電気化学的作用によって、当該箇所に不動態膜が復元されることで、絶縁域が維持される。
<実施例>
(第1実施形態)
第1の実施の形態の実施例について説明する。本実施例では、表面電極15の真下にAl金属膜の面パターンを形成することで、電子放出面の面内均一性が改善された具体例を示す。
まず、本実施例における電子放出素子10の構成について説明する。基板電極11は、厚さが0.5mm、表面粗さRaが0.02〜0.1μmのAl板を使用した。中間層13は、絶縁性樹脂131および金属微粒子132からなり、絶縁性樹脂131として室温硬化型のシリコーン樹脂、金属微粒子132として平均粒径10nmのAgナノ粒子を用い、層厚は1μm程度とした。表面電極15は、Auを使用し、50nm積層した。金属膜14は、Alを使用し、表面電極15と中間層13との間に50nm積層した。
続いて、本実施例に係る電子放出素子10の製造手順について、図2および図4〜図6を参照して説明する。先ず、図4に示すように、基板電極11上に絶縁層12を形成する。基板電極11はAl板を使用し、絶縁層12は陽極酸化法により形成されたアルマイトを使用した。絶縁層12のパターニングはスクリーン印刷法によって形成される。すなわち、絶縁層12は、中間層13に電流を流す領域(放出領域152)に対応する開口部12Aを有するように形成される。十分に絶縁性が取れるように絶縁層12の層厚は、2.5μmとした。この場合、絶縁層12の層厚が中間層13の層厚よりも厚くなる。すなわち、図1に示す構成と異なり、開口部12Aの領域で中間層13が周囲の絶縁層12よりも凹んだ形状となるが、このような構成であっても電子放出素子10は性能に制限を受けない。
続いて、図5に示すように、絶縁層12および開口部12Aのほぼ全面を覆うように中間層13が形成される。中間層13の形成は、例えば、その材料をスプレーコート法を用いて絶縁層12および開口部12Aが形成された基板電極11上に塗布し、これを乾燥および硬化させることで行われる。中間層13の材料は、アルコラート処理が施されたAgナノ粒子、およびトルエン溶媒中のシリコーン溶液を所望の分量だけ試薬瓶に量り取って混合し(場合によってはトルエンを用いてさらに希釈し)、超音波洗浄器に5分間ほどかけて分散混合したものを用いた。このとき、Agナノ粒子とシリコーン固体分の質量比はおよそ1:10であった。溶液中のAgナノ粒子が十分に分散したことを確認後、スプレーコート法(ブロー圧100kPa)により絶縁層12および開口部12Aが形成された基板電極11上に塗布した。
中間層13の材料が塗布された基板電極11は、塗布液が乾燥および硬化するまで1日以上室温大気中で保管される。硬化後の中間層13の層厚は、断面走査型透過電子顕微鏡(断面STEM)、表面粗さ計、およびレーザ顕微鏡等を用いて測定した結果、およそ1.5μmであった。なお、この層厚は、開口部12A内の領域での層厚を示している。
中間層13の形成後(シリコーン樹脂の硬化後)に、金属膜14および表面電極15を成膜する。例えば、真空蒸着法を用いて各種金属をそれぞれのパターンに合わせて順次成膜する。
まず、金属膜14となるAl蒸着では、図6に示すように、絶縁層12の開口部12Aを横断するようにパターニングされた給電領域151に対応する領域を成膜する。このため、給電領域151のパターンが形成されたメタルマスクを塗布膜付きの基板電極11に重ね合わせて、真空蒸着装置のチャンバ内に導入し、10−5Pa程度の高真空領域に達したところでAlの蒸着を開始した。このときの蒸着速度は0.3nm/secであり、この膜厚は水晶振動子を用いて測定した。蒸着中はチャンバ内の温度が上昇しやすいため、基板電極11を保持するホルダ周辺を水冷方式で冷却し温度を管理する。このときの基板電極11の温度は80℃以下と見積もられた。Alを目的の膜厚まで成膜し終えると、大気開放せず高真空を保ったまま、基板電極11の冷却のため10分間放置した。
次に、表面電極15となるAu蒸着では、図2に示す平面図と同様に、絶縁層12の開口部12A、および金属膜14を覆うように成膜する。すなわち、メタルマスクを交換し、Al蒸着と同様の手順でAu蒸着が行われる。以上の手順により、本実施例に係る電子放出素子10(図2の平面図参照)が完成する。
(第2実施形態)
図7は、第2の実施の形態に係る電子放出装置1Aを電子放出面側から見た平面図で、図2に対応する図である。図2の電子放出装置1Aでは、金属膜14の面状のパターンとしてツリー状を採用したが、第2の実施の形態では、金属膜14を格子状に形成し、各格子の間に島状の放出領域152を配設した面状のパターンを採用している。金属膜14を格子状に形成することで、放出領域152のある1つの島への給電路が亀裂の発生などにより遮断されても、迂回路が存在することで給電の持続が図れる。なお、金属膜14の形状は島状の他、所定の幅を有する縞模様、市松模様などを含めた多連結模様が採用可能である。
(第3実施形態)
図8は、第3の実施の形態に係る電子放出装置1Bの概略構成を示す側断面で、図1に対応する図である。図1の電子放出装置1では、基板電極11の外部を露呈したものとしているが、基板電極11の外部、例えば底部に絶縁性基板16を積層する構造としてもよい。絶縁性基板16を設けることで、金属部材に接して搭載可能になり、また所定の強度を保持しつつ基板電極11の薄層化が図れる。絶縁性基板16としてはガラス板、樹脂板などが採用可能である。この場合、図8に示すように、電源20の正極は絶縁性基板16に接続することができる。また、基板電極11は中間層13の下面の一部領域(表面電極15と電源20との接点部位の真下域)を除いて配置されており、この中間層13の下面の一部領域に、金属膜14を介して表面電極15と接続される電極板17が、基板電極11と距離を置いて配置されている。これにより表面電極15の電源20との接点部位が保護される。
また、第1の実施の形態では、金属膜14を幹部14Bおよび枝部14Cを有するツリー状としたが、枝部を省略してもよいし、また枝部から更に小枝部を設ける態様としてもよい。ツリー形状は、直線形状に限定されず、所定の幅を有する曲線形状を含むなど適宜の形状が採用可能である。
また、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B 電子放出装置
10 電子放出素子
11 基板電極(第1電極)
12 絶縁層
13 中間層
14 金属膜(金属層)
14A 給電基部(面パターンの一部)
14B 幹部(面パターンの一部)
14C 枝部(面パターンの一部)
15 表面電極(第2電極)
151 給電領域(面パターン)
152 放出領域
20 電源

Claims (8)

  1. 基板側の第1電極、放出側の第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に介設された中間層を備えた電子放出素子において、前記第2電極と前記中間層との界面に、所定の面パターンを有する金属層を備えたことを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記金属層は、前記中間層との界面に、前記中間層に内在する酸素成分と反応して不動態膜を形成する材料を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記金属層は、Fe、Cr、Ni、Co、Mo、Al、Ti、Ta、Nb、Zrの元素の少なくとも1つ、およびこれらの元素の1つ以上を含む合金の一方であることを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子。
  4. 前記金属層は、厚さが10nm以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の電子放出素子。
  5. 前記面パターンは、規則的な模様を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電子放出素子。
  6. 前記面パターンは、樹状模様であることを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子。
  7. 前記面パターンは、多連結模様であることを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の電子放出素子と、前記基板電極と前記表面電極との間に直流電圧を印加する電源とを備えた電子放出装置。
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