JP6391016B2 - 抵抗溶接機 - Google Patents
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Description
スポット溶接は、一般的には上下の電極で鋼板などの被溶接物を挟持した状態で電流を流すことで溶接するものである(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
また、コンデンサを内蔵することで、受電設備が大容量化せず、瞬時の大電流で溶接できる抵抗溶接機は、上記の一般的な抵抗溶接機と比べて、熱歪や焼け跡が比較的少ないといわれている(特許文献4、特許文献5参照)。
本発明は、単価の安い低容量のコンデンサを使用しても大容量のコンデンサを使用した場合と同等の溶接性能が得られる抵抗溶接機を提供することを目的とする。
〈構成1〉
本発明の抵抗溶接機は、2つの電極を有する溶接機本体22に溶接電流を供給することで被溶接物に対して溶接を行う抵抗溶接機であって、溶接電流の供給に用いられるコンデンサ7と、2次側からは1次側の印加電圧に応じた溶接電流を出力するインバータ用溶接トランス21と、前記コンデンサ7を前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値に充電する降圧昇圧充電回路6と、前記コンデンサ7の充電電圧をオンオフして前記溶接機本体22に供給する溶接電流を得るための電圧を生成し、前記コンデンサ7の充電電圧が前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧以上の時、前記インバータ用溶接トランス21の1次側に印加する印加電圧の平均値が前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えないようにパルス幅制御を行うインバータ回路1と、を備える。
構成1に記載の抵抗溶接機において、前記降圧昇圧充電回路6は、溶接電流が小さく前記インバータ回路1におけるパルス幅制御範囲を下回る時には、前記コンデンサ7の充電電圧を前記パルス幅制御範囲となるように制御する。
従来のコンデンサ式の抵抗溶接機で使用されるコンデンサよりも容量の小さいコンデンサ7を使用できるので、コストダウンが図れるとともに、抵抗溶接機自体の小型化が図れる。
例えば、溶接電流、通電時間が同じ場合の具体的な事例として、前記のコンデンサの必要容量の計算例で、コンデンサ7の充電電圧600V(インバータ用溶接トランス21の定格電圧)をインバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値の700Vにした場合を示す。
コンデンサ7の充電電圧を600Vにした場合の必要容量は0.12Fである。即ち、(160μΩ×50KA×50KA)×30msec×2/(600V×600V−400V×400V)=0.12Fとなる。
これに対し、コンデンサ7の充電電圧を700Vにした場合、必要容量は0.073Fとなる。即ち、(160μΩ×50KA×50KA)×30msec×2/(700V×700V−400V×400V)=0.073Fとなる。
0.073Fは0.12Fの約60%(0.073F/0.12F=約60%)となり、本発明のインバータトランス21の定格電圧を超えた値にコンデンサ7を充電することで、コンデンサ7の容量を大幅に低減できる。
〈構成2の効果〉
コンデンサ7を適正な電圧に充電することで、PWM制御を安定して行うことができ、使用できる溶接電流適応範囲を広げることが可能となる。
コンデンサ内蔵式の抵抗溶接機は、三相電源を整流し直流に変換する整流器4、溶接電流を供給する大容量のコンデンサ(以下、“大容量コンデンサ”と呼ぶ)7、大容量コンデンサ7を充電する降圧昇圧充電回路6、溶接電流を制御するインバータ回路1(インバータ制御回路2を含む)、大電流を流すインバータ用溶接トランス21、溶接機本体22で構成される。三相電源を整流した直流電圧を使用し、降圧昇圧充電回路6で大容量コンデンサ7を充電する。充電は前回の通電終了から今回の通電開始までの間に行う。溶接制御回路3で起動を受け付け、溶接機本体22でワークを加圧し、充電された大容量コンデンサ7のエネルギを使用してインバータ制御回路2、インバータ回路1によりインバータ用溶接トランス21にPWM制御された図3(a)に示すスイッチング波形電圧を印加する。PWM制御されたスイッチング波形電圧をインバータ用溶接トランス21に印加し、図3(b)に示す1流が流れ、溶接機本体22に流れる図3(c)の溶接電流を制御する。
例えば電源電圧AC200Vの場合、整流した約283Vまでは降圧制御で大容量コンデンサ7を充電し283V以上は昇圧制御で充電する。大容量コンデンサ7の電圧が283Vに近づくと充電電流が低下するため、早めに昇圧制御に切り替える。従来は溶接制御回路3の指令に従い、インバータ用溶接トランス21の定格電圧まで充電するが、本発明ではインバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値に充電する。図6は充電電圧による通電可能時間を比較したものであるが、従来は大容量コンデンサ7をインバータ用溶接トランス21の定格電圧、例えば600Vに充電していたが、本発明では定格電圧を超えた値の700Vに充電する。
例えば最大電流:50KA、最大通電時間:30msec、インバータ用溶接トランス21の巻数比:50、コンデンサの充電電圧:DC600V(インバータ用溶接トランス21の定格電圧とする)、溶接電流供給によるコンデンサ放電の電圧降下:200V、その時のPWM制御のデューティを100%とする場合、
実際の概算を示すと、溶接機本体22の概算抵抗は、
(600V−200V)/50/50KA=160μΩとなり、コンデンサ容量(単位はF)は、(160μΩ×50KA×50KA)×30msec×2/(600V×600V−400V×400V)=0.12Fとなる。
実際にはこの値に余裕を持たせた値となる。
極性の切り替わり時間は、インバータ用溶接トランス21及び1ケーブルのインダクタンスによる電圧降下が関係し、インバータ用溶接トランス21に印加する電圧に逆比例し、電圧を高くすれば短くできる。図5に一例を示す。図5は図3(a)のデューティ100%のPWM制御のスイッチング波形で、インバータ用溶接トランス21の1次側の電流波形で、W1(A1、B1)の波形は、W2(A2、B2)の波形に対して印加電圧は高く、切り替わり時間のB1、B2はB1(印加電圧が高い側)の方が短く、効率が良い。大容量コンデンサ7の電圧は溶接経過とともに降下するので、PWM制御の効率は徐々に悪くなる。大容量コンデンサ7の容量に余裕があり電圧降下が少ない方が効率は良くなる。
例えば定格電圧600V、周波数1KHzのインバータ用溶接トランス21の場合、600V、0.5msecのパルス電圧を印加でき、スイッチング波形が図3(a)の場合、印加電圧×印加時間=600V×0.5msecで制限される。750Vの場合、0.5msec×(600/750)=0.4msecの時間は印加できる。平均電圧は750V×(0.4msec/0.5msec)=600Vでとなり、印加時間は平均電圧で管理できる。従来はインバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値の電圧を印加することは考えなかったが、平均電圧がインバータ用溶接トランス21の定格電圧を越えなければ磁気飽和することもなく正常に使用することができる。前記の例の場合は許容されるパルス幅は0.5msec×平均電圧/現在のコンデンサ電圧となる。
前記と同様に計算すると、コンデンサ容量は、(160μΩ×50KA×50KA)×30msec×2/(700V×700V−400V×400V)=0.073Fとなる。0.073Fは0.12Fの約60%(0.073F/0.12F=約60%)となり、本発明のインバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値に大容量コンデンサ7を充電することで、大幅にコンデンサ容量を低減できる。
一般的に最大電流の5%から15%を最低制御電流の目安にしている。例えば最大電流が50KAの場合、2.5KA〜7.5KAが最低制御電流の目安となる。大容量コンデンサ7の充電電圧を高くすれば最大電流も高くなり、最低制御電流も高くなる。そのため、本発明のように大容量コンデンサ7をインバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値に充電して使用する場合、特に使用する溶接電流に応じて大容量コンデンサ7の充電電圧の制限が必要となる。例えば大容量コンデンサ7の電圧が600Vで最大電流50KAの場合、750Vにすると最低制御電流は2.5KA〜7.5KAが、3.1KA〜9.4KAとなり、大容量コンデンサ7の充電電圧を高くすると溶接電流の適応範囲が狭くなる。
2 インバータ制御回路
3 溶接制御回路
4 整流器
6 降圧昇圧充電回路
7 大容量コンデンサ
13 電流センサ
14 大容量コンデンサの電圧
15 1次電圧
16 2次電圧
21 インバータ用溶接トランス
22 溶接機本体
31 リアクトル
32 電流センサ
33 降圧制御用スイッチ
34 整流器
35 昇圧制御用スイッチ
36 整流器
37 電圧センサ
38 降圧昇圧制御回路
Claims (2)
- 2つの電極を有する溶接機本体22に溶接電流を供給することで被溶接物に対して溶接を行う抵抗溶接機であって、
溶接電流の供給に用いられるコンデンサ7と、
2次側からは1次側の印加電圧に応じた溶接電流を出力するインバータ用溶接トランス21と、
前記コンデンサ7を前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えた値に充電する降圧昇圧充電回路6と、
前記コンデンサ7の充電電圧をオンオフして前記溶接機本体22に供給する溶接電流を得るための電圧を生成し、前記コンデンサ7の充電電圧が前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧以上の時、前記インバータ用溶接トランス21の1次側に印加する印加電圧の平均値が前記インバータ用溶接トランス21の定格電圧を超えないようにパルス幅制御を行うインバータ回路1と、
を備えた抵抗溶接機。 - 前記降圧昇圧充電回路6は、溶接電流が小さく前記インバータ回路1におけるパルス幅制御範囲を下回る時には、前記コンデンサ7の充電電圧を前記パルス幅制御範囲となるように制御する請求項1に記載の抵抗溶接機。
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