以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、以下の説明で、図1で示される上下方向501、左右方向502、及び前後方向503を用いることがある。
[第1の実施形態]
図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1Aの構成について説明する。画像形成装置1Aは、電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置1Aは、筐体7内に、シート供給部2、シート搬送部3、画像形成部4、光走査部5、定着部6、及びトナー補給部8などを備える。
画像形成装置1Aは、タンデム型画像形成装置であり、カラープリンターである。そのため、画像形成部4は、中間転写ベルト9、クリーニング装置10及び二次転写装置11をさらに備える。
また、画像形成部4は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対応した複数の単色画像形成部4Aを備える。さらに、画像形成装置1Aは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを後述する現像装置21各々の貯留部35(図2参照)に供給する複数のトナー補給部8を備える。トナー補給部8は、画像形成装置1Aの筐体7に対して取り外し可能に装着される。本実施形態では、トナー補給部8は、画像形成部4の上方位置に装着される。
なお、画像形成装置1Aは、コピー機、ファクシミリー、又はプリンター機能、ファクシミリー機能、スキャン機能などを併せ持つ複合機などであってもよい。
シート供給部2は、シート受部12及びシート送出部13を備えている。シート受部12は、複数の記録シート14を重ねて載置可能である。記録シート14は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
シート送出部13は、記録シート14に接して回転することにより、記録シート14をシート受部12から搬送路15へ向けて送り出す。
シート搬送部3は、レジストローラー16、搬送ローラー17及び排出ローラー18などを備える。レジストローラー16及び搬送ローラー17が、シート供給部2から供給される記録シート14を画像形成部4の二次転写装置11へ向けて搬送する。さらに、排出ローラー18が画像形成後の記録シート14を搬送路15の排出口から排出トレイ26上へ排出する。
中間転写ベルト9は、環状に形成された無端の帯状部材である。中間転写ベルト9は、2つのローラーに架け渡された状態で回転する。画像形成部4において、単色画像形成部4A各々は、回転する中間転写ベルト9の表面に各色の画像を形成する。これにより、各色の画像が重ねられたカラー画像が中間転写ベルト9に形成される。
二次転写装置11は、中間転写ベルト9に形成されたトナー像を記録シート14に転写する。クリーニング装置10は、中間転写ベルト9における二次転写装置11を経た後の部分に残存するトナーを除去する。
単色画像形成部4A各々は、トナー像を担持する感光ドラム19、帯電装置20、現像装置21、一次転写装置22及びクリーニング装置23などを備える。感光ドラム19は、画像データに基づくレーザー光が光走査部5から照射されることにより前記静電潜像が形成され、現像装置21から供給される前記トナーによって前記静電潜像が顕像化される。一次転写装置22及び二次転写装置11は、感光ドラム19に形成された前記トナー像を記録シート14に転写する。クリーニング装置23は、一次転写装置22によって実行される転写処理の後に感光ドラム19に残留する前記トナーを感光ドラム19から取り除く。
感光ドラム19各々は、中間転写ベルト9の周速度(移動速度)に応じた周速度で回転する。感光ドラム19としては、例えば、感光ドラム19がアモルファスシリコン(a−Si)感光体、或いは有機感光体が採用可能である。
単色画像形成部4A各々において、感光ドラム19が回転し、帯電装置20が感光ドラム19の表面を一様に帯電させる。さらに、光走査部5がレーザー光を走査することにより帯電した感光ドラム19の表面に静電潜像を形成する。
現像装置21は、感光ドラム19にトナーを供給することにより、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を用いて前記静電潜像を現像する。現像装置21は、二成分現像剤を撹拌することによってトナーを帯電させ、帯電した前記トナーを感光ドラム19に供給する。二成分現像剤は、本発明の現像剤の一例である。
帯電装置20は、感光ドラム19における前記静電潜像が書き込まれる前の部分を帯電させる帯電ローラー25を備える。
画像形成装置1Aは、他の通信機器と通信可能に接続されている。前記他の通信機器は、例えばパーソナルコンピューターである。画像形成装置1Aは、前記他の通信機器から要求される画像形成ジョブを実行する。前記画像形成ジョブのジョブ情報には、前記画像形成モードの種類及び記録シート14の種類などの情報が含まれている。記録シート14は、普通紙及び厚紙などの種類がある。
図2に示されるように、現像装置21は、現像装置21の装置本体であるハウジング本体30を有する。ハウジング本体30は、前後方向503に長尺の形状を有する。また、現像装置21は、現像ローラー32、2つの撹拌部材33及び規制ブレード34を備える。現像ローラー32、撹拌部材33及び規制ブレード34は、ハウジング本体30と同様、前後方向503に長尺の形状を有する。現像ローラー32及び撹拌部材33は、ハウジング本体30内に設けられている。具体的に、現像ローラー32及び撹拌部材33は、互いに平行な回転軸芯を中心として回転可能にハウジング本体30に支持されている。また、2つの撹拌部材33は、予め定められた距離を隔てて左右方向502に並設されている。右側に位置する方の撹拌部材33に対して予め定められた距離を隔てて右斜め上に現像ローラー32が配置されている。現像ローラー32の右斜め上に感光ドラム19が配置されている。
ハウジング本体30は、樹脂を材料として構成されており、下部フレーム41と、上部フレーム42と、第1プレート43と、第2プレート44(図3参照)と、第3プレート45(図3参照)とを有する。なお、これらの部材は、互いに隣接するもの同士がねじ止め、係合、接着等により連結されている。或いは、第2プレート44及び第3プレート45は、下部フレーム41に一体成型されていてもよい。第2プレート44及び第3プレート45は、貯留部35の図2の紙面に直交する方向の両端に設けられている。下部フレーム41は、本発明における下部ハウジングの一例である。本実施形態では、上部フレーム42と第1プレート43とは別部材であるが、上部フレーム42と第1プレート43とが一体形成されていてもよい。上部フレーム42及び第1プレート43は、本発明における上部ハウジングの一例である。
下部フレーム41は、ハウジング本体30の下側の部分を構成しており、その内側に二成分現像剤を貯留する貯留部35を形成する。貯留部35は、第1貯留室35Aと第2貯留室35Bとを有する。具体的に、下部フレーム41は、湾曲部41Aと、湾曲部41Bと、壁部41Cと、壁部41Dとを有する。湾曲部41Aは、断面円弧状に下方に湾曲して第1貯留室35Aを形成する。湾曲部41Bは、断面円弧状に下方に湾曲して第2貯留室35Bを形成する。湾曲部41Aと湾曲部41Bとは、前記円弧の端部41Eにおいて連結されている。
貯留部35に貯留される二成分現像剤に含まれるトナーは、トナー補給部8(図1参照)からトナーが供給される。具体的に、トナー補給部8から供給される前記トナーは、まず、第1貯留室35Aに供給される。その後、前記トナーが後述する撹拌部材33により搬送されつつ第2貯留室35Bに供給される。前記トナーは樹脂からなり、前記キャリアは磁性材料からなる。また、前記トナーの粒径は、前記キャリアの粒径より小さい。前記トナーは、前記キャリアに比べて重量が小さい。前記キャリアは、フェライト等からなる磁性粒子である。後述するようにトナーと混合された状態で撹拌されることにより前記トナーと前記キャリアとの摩擦で生じる静電気によってトナーを帯電させる。前記キャリアの存在によって、前記二成分現像剤は、トナーのみからなる一成分現像剤と比べて前記トナーを帯電させやすく、画像の高品質化を図ることができる。ただし、現像剤収容部35に収容される現像剤は一成分現像剤でもよい。一成分現像剤は、本発明の現像剤の一例である。また、前記二成分現像剤には、外添剤が添加されており、前記トナーの表面には外添剤が付着している。前記外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、或いは酸化マグネシウムなどの金属酸化物が挙げられる。
壁部41Cは、湾曲部41Bの断面形状である前記円弧の両端部41E、41Fのうち左右方向502における右側の端部41Fから上方に延出する部分である。壁部41Cは、第2貯留室35Bの右側を画定する。壁部41Cは、断面が先細り形状を有する。具体的に、壁部41Cは、撹拌部材33と対向する面と反対側に、外側面411と外側面412とを有する。外側面411は、端部41Fから上方に延びる。外側面412は、外側面411の上端から貯留部35側へ斜め上方に傾斜するように延びる。壁部41Cは、本発明における第1壁部の一例である。
壁部41Dは、湾曲部41Aと湾曲部41Bとの連結部から上方に延出する部分であり、第1貯留室35Aの上部空間と第2貯留室35Bの上部空間とを仕切る。壁部41Dは、第1貯留室35Aと第2貯留室35Bとを連通させる不図示の連通孔を有し、第1貯留室35Aに貯留される二成分現像剤は、前記連通孔を通じて第2貯留室35Bに供給される。
上部フレーム42は、下部フレーム41の上側に設けられている。上部フレーム42は、カバー部421と、カバー部422とを有する。カバー部421は、第1貯留室35Aに設けられた撹拌部材33の外周部に沿って、第1貯留室35Aを上方から覆うように延在する。カバー部422は、第2貯留室35Bを上方から覆い、且つ、現像ローラー32を設置するためのスペースS1を区画するように、カバー部421の右端から左右方向502における右側へ斜め上方に向かって延び、壁部41Cにおける上端部42Aの上方に達する。このような上部フレーム42の形状により、壁部41Cの上方には、スペースS1のうち図2の縦方向におけるスペースが設けられている。
第1プレート43は、壁部41Cに対して左右方向502の右側、すなわち壁部41Cに対し第2貯留室35Bとは反対方向の位置に設けられている。左右方向502は、壁部41Cが延出する延出方向に対し交差する方向である。また、左右方向502の右側は、壁部41Cに対し第2貯留室35Bとは反対方向に対応する。第1プレート43は、現像ローラー32から落下してくるトナーを受け止めて、前記トナーを第2貯留室35Bに戻すための部材である。
第1プレート43は、皿形の断面形状を有し、現像ローラー32の周面のうち右斜め下部分に対して対向するように、右斜め上から左斜め下へ傾斜する姿勢で設けられている。第1プレート43は、上端部43Aが上部フレーム42における上端部42Aから右斜め下方に隔てられ、下端部43Bが規制ブレード34の側面34Dの上下方向の略中央部に対向するように設けられている。すなわち、第1プレート43の上端部43Aは、下端部43Bよりも、壁部41Cに対して第2貯留室35Bとは反対側へ壁部41Cから隔てられている。これにより、壁部41Cの上方には、スペースS1のうち左右方向502(図2の横方向)におけるスペースが設けられている。第1プレート43は、本発明の第2壁部の一例である。上部フレーム42及び第1プレート43によって壁部41Cよりも上側にスペースS1が設けられ、そのスペースS1に現像ローラー32が設けられている。
上部フレーム42の上端部42Aと第1プレート43の上端部43Aとが隔てられており、ハウジング本体30の右斜め上の部分に開口30Aが形成されている。上部フレーム42の上端部42Aは、開口30Aの上側縁部を画定し、第1プレート43の上端部43Aは、開口30Aの下側縁部を画定する。そして、開口30Aを通じて、現像ローラー32の周面の一部がハウジング本体30から露出し、且つ、露出した部分と感光ドラム19とが対向する。
壁部41Cの上端部415と第1プレート43の下端部43Bとにより、ハウジング本体30の右側部に挿通口30Bが形成されている。壁部41Cの上端部415及び第1プレート43の下端部43Bは、規制ブレード34の挿通口30Bの縁部を画定する。規制ブレード34は、挿通口30Bを貫通する。なお、挿通口30Bと規制ブレード34との間の隙間を通じてハウジング本体30の外部にトナーが漏出するのを防止するため、前記隙間が不図示のシール部材で塞がれている。
撹拌部材33は、第1貯留室35A及び第2貯留室35Bの内部に回転可能に設けられている。撹拌部材33は、第1貯留室35A及び第2貯留室35B内の二成分現像剤を撹拌する。撹拌部材33は、本実施形態ではスクリュー部材である。撹拌部材33は、図2の紙面に直交する方向に沿って延びる長尺状の部材である。なお、撹拌部材33は、樹脂を材料として構成されている。撹拌部材33は、第2プレート44及び第3プレート45に回転可能に支持されている。図2に示される回転軸心Q3は、第2貯留室35Bの二成分現像剤を撹拌する撹拌部材33の回転軸心を示している。撹拌部材33が回転することにより、貯留部35内の二成分現像剤が移動しつつ撹拌される。この撹拌により発生する静電気によって前記トナーが予め定められた極性に帯電する。
現像ローラー32は、ハウジング本体30内のスペースS1に配置され回転可能に設けられている。すなわち、現像ローラー32は、第2貯留室35B及び壁部41Cの上端部の上側に位置し、現像ローラー32の表面(外周面)が壁部41Cの上端部415と対向する。現像ローラー32は、撹拌部材33によって撹拌された前記二成分現像剤を第2貯留室35Bから磁力によって引き寄せて受け取りその表面で担持する。
図2、図3に示されるように、現像ローラー32は、現像スリーブ48と、磁極部54とを有する。
現像スリーブ48は、スリーブ本体48Aと、軸部材48Bとを有する。スリーブ本体48Aは、円筒形状を有する部位であり、現像ローラー32の表面を構成する。軸部材48Bは、スリーブ本体48Aの軸方向における両端部に設けられている。軸部材48Bは、スリーブ本体48Aの両端の開口に嵌め込まれて固定される嵌合部481と、嵌合部481の外側面に設けられた円柱状の回転軸部482とを有する。回転軸部482は、嵌合部481の前記外側面の中心から前記外側面と直交する方向に延びる部位である。回転軸部482の突出方向に直交する断面の中心が、現像スリーブ48の回転軸心Q1(図2参照)となる。回転軸部482は、前記第1回転体の回転軸の一例である。
現像スリーブ48は、第2プレート44及び第3プレート45に回転可能に支持されている。具体的に、第2プレート44の内側面441と第3プレート45の内側面451とは互いに対向する。そして、第2プレート44の内側面441には現像ローラー32の回転軸部482の軸方向に突出するボス部442が形成されている。また、第3プレート45の内側面451には現像ローラー32の回転軸部482の軸方向に突出するボス部452が形成されている。ボス部442、452には、突出端部から前記軸方向に窪んだ凹部443、453が形成されている。換言すると、ボス部442、452は、円筒状を有している。ボス部442とボス部452とは互いに対向する。
ボス部442の凹部443には、ボールベアリング80が嵌め込まれており、ボス部452の内側の凹部453には、ボールベアリング81が嵌め込まれている。すなわち、ボス部442、452に形成されている凹部443、453の径は、ボールベアリング80、81の外径とほぼ同じである。そして、ボス部442は、ボールベアリング80に外嵌し、ボス部452は、ボールベアリング81に外嵌する。このように、ボールベアリング80、81は、第2プレート44及び第3プレート45に固定されている。ボールベアリング80、81は、本発明における軸受部の一例である。
現像スリーブ48の軸部材48Bにおける回転軸部482は、ボールベアリング80、81に内嵌する。これにより、現像スリーブ48の回転軸部482は、ボールベアリング80、81を通じて、第2プレート44及び第3プレート45に回転可能に支持されている。現像スリーブ48は、現像ローラー32が前記静電潜像を現像する現像期間、図2における回転方向X1(図2において反時計周りの方向)へ回転駆動される。現像スリーブ48は、本発明の第1回転体の一例である。回転方向X1は、本発明の予め定められた回転方向の一例である。
図3に示されるように、磁極部54は、現像スリーブ48の内部に設けられた複数の磁極を有する。複数の磁極は、汲上極49、規制極50、搬送極51、主極52、及び剥離極53であり、周方向に所定の間隔を隔てて並設されている。これらの磁極49〜53の位置は、現像スリーブ48の内部において固定されている。すなわち、磁極部54は、回転しない。各磁極49〜53は、例えば、磁力を発生する永久磁石で構成されている。
汲上極49は、第2貯留室35Bに設けられる撹拌部材33との対向位置にピーク磁力を生じさせる磁極である。具体的には、汲上極49は、第2貯留室35Bに設けられる撹拌部材33の回転軸心Q3と現像ローラー32の回転軸心Q1とを結ぶ線分の方向に前記ピーク磁力を生じさせる。汲上極49によって前記二成分現像剤が現像スリーブ48の表面上に磁力によって引き寄せられて吸着される。これにより、前記二成分現像剤が現像スリーブ48の表面に担持される。そして、この状態で現像スリーブ48が回転されることによって、二成分現像剤が下流側へ運ばれる。図2における位置P1は、第2貯留室35Bに収容された二成分現像剤が現像スリーブ48に転移する転移位置を示しており、本発明における受取位置の一例である。
規制極50は、規制ブレード34の後述する先端部34Aに対向する位置に設けられており、規制ブレード34を磁化させる。これにより、規制ブレード34の先端部34Aと規制極50との間の隙間には、磁界が形成される。汲上極49によって現像スリーブ48の表面に付着した前記二成分現像剤が隙間を通過するときに、前記二成分現像剤が前記磁界により隙間で磁気的に拘束されつつ、前記二成分現像剤の層厚が規制ブレード34の先端部34Aによって規制される。これにより、現像スリーブ48の表面には均一な層厚を有する現像剤層が形成される。
搬送極51は、規制極50より回転方向X1の下流側で規制極50と隣り合う位置に設けられている。搬送極51は、現像スリーブ48に前記二成分現像剤を担持させて周方向へ運ぶ。
主極52は、感光ドラム19に対面する位置に設けられており、感光ドラム19と対面する位置にピーク磁力を生じさせる磁極である。主極52は、位置P2で前記トナーが感光ドラム19に転移した後に現像ローラー32に残留する前記トナーを現像スリーブ48に引き付けておく。位置P2は、本発明における供給位置の一例である。
現像ローラー32各々には電圧が印加されている。これによって、現像ローラー32と感光ドラム19に形成されている前記静電潜像との間には電位差が生じる。この電位差により、現像ローラー32に担持される前記二成分現像剤のうちのトナーが感光ドラム19に転移する。図2における位置P2は、現像ローラー32に担持される前記トナーが感光ドラム19に転移する転移位置を示している。この位置P2は、感光ドラム19が現像ローラー32から前記トナーを受け取る位置といえる。
このように、現像ローラー32の現像スリーブ48は、ハウジング本体30内における貯留部35よりも上側の位置で、回転可能に支持されている。そして、現像スリーブ48は、回転方向X1へ回転することにより、位置P1において表面でトナーを担持しつつ前記トナーを現像ローラー32に渡す位置P2に前記トナーを搬送する。
剥離極53は、現像スリーブ48において実質的に磁束密度が零の剥離領域R1を形成する磁極である。この剥離領域R1に二成分現像剤が運ばれると、現像スリーブ48がトナーを磁力吸着する力が失われて、二成分現像剤が剥離領域R1から剥離される。剥離された二成分現像剤は、その下方に位置する第2貯留室35Bに落下し、撹拌部材33によって再び撹拌されつつ搬送される。そして、撹拌部材33によって撹拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電されたトナーとして汲上極49により再び現像スリーブ48上に汲み上げられる。
現像ローラー32は、感光ドラム19に形成された静電潜像を現像する場合、汲上極49の磁力により位置P1で第2貯留室35Bから前記二成分現像剤を受け取り、回転方向X1への現像スリーブ48の回転によって前記二成分現像剤を搬送する。前記二成分現像剤が位置P2まで搬送されると、現像ローラー32と感光ドラム19との間の電位差によって、前記二成分現像剤に含まれるトナーが感光ドラム19に転移する。
現像ローラー32は、回転方向X1への現像スリーブ48の更なる回転によって、現像スリーブ48の表面に残留する残留トナーを含む二成分現像剤を下流側へ搬送する。そして、現像ローラー32は、前記二成分現像剤を剥離領域R1まで搬送すると、前記二成分現像剤を現像ローラー32から剥離させていく。これにより、剥離した二成分現像剤は、下方の第2貯留室35Bに落下する。
規制ブレード34は、現像ローラー32の表面が担持する前記二成分現像剤の層厚を規制する板状の部材である。規制ブレード34は、本発明の層厚規制部材の一例である。規制ブレード34は、図3の位置P4において、規制ブレード34が前記二成分現像剤の層厚を規制する。位置P4は、現像ローラー32の外周のうち位置P2よりも回転方向X1における上流側の位置である。また、位置P4は、位置P1よりも回転方向X1における下流側の位置である。位置P4は、本発明の規制位置の一例である。
規制ブレード34は、現像ローラー32の軸方向に沿って長尺な板状の部材である。規制ブレード34は、現像ローラー32の外周がなす円のうち位置P4に対向する位置における法線に沿った姿勢で配置されている。すなわち、規制ブレード34の先端部34Aは、位置P4において現像ローラー32の現像スリーブ48の表面に対し隙間を隔てて対向し、また、先端部34Aと反対側の基端部34Bは、先端部34Aよりも前記円の径方向外方に位置する。
現像ローラー32は、感光ドラム19に形成された静電潜像を現像する場合、感光ドラム19の回転方向X2と反対の回転方向X1へ回転する。これにより、感光ドラム19及び現像ローラー32の表面における相互に対向する部分はそれぞれ同方向へ移動する。
このように、前記トナーは前記静電潜像を現像する場合に消費される。そのため、前記トナーは、トナー補給部8から貯留部35に補給され、前記消費分が補われる。
ところで、従来、板状の規制ブレードが支持部材に取り付けられている。このような構成においては、前記規制ブレードが前記貯留部から比較的離れた位置に配置される。つまり、前記規制ブレードは、前記ハウジングに対する前記支持部材の取り付けスペースの分だけ前記ハウジングから離れた位置に配置される。そのため、前記規制ブレードと前記貯留部との離間距離を縮めて、前記規制ブレードと前記貯留部からトナーを受け取る受取位置との距離が大きくなる。このため、前記現像装置のコンパクト化を図ることができないという問題がある。これに対し、本実施形態では、以下のように、従来の現像装置よりもコンパクト化される。
本実施形態では、図3、図4に示されるように、現像装置21は、支持部70と支持部90、91とを有し、規制ブレード34が支持部70と支持部90、91とにより支持される。
支持部70は、ハウジング本体30の壁部41Cに一体に形成されている。具体的に、支持部70は、壁部41Cの外側面411において壁部41Cに一体に形成されている。支持部70は、規制ブレード34の厚みに応じた長さだけ、外側面411から第2貯留室35Bとは反対方向へ延びた短尺の部分である。換言すると、支持部70は、外側面411と交差する方向へ外側面411から突出している。支持部70は、現像ローラー32の表面と予め定められた距離だけ隔てて対向する。支持部70は、本発明の第1支持部の一例である。
支持部70は、延設部71と延設部72とを有する。延設部71は、壁部41Cの外側面411から外側面411と交差する方向、具体的には外側面411に直交する方向に延びる。延設部72は、延設部71の先端部から上方へ延びる。そして、延設部71、延設部72、及び壁部41Cの外側面411により溝部73が形成されている。溝部73には、規制ブレード34の基端部34Bが挿入される。なお、図2に示される溝部73は、矩形状であるが、矩形状に限定されるものではない。溝部73に基端部34Bが挿入されると、規制ブレード34は、現像スリーブ48の表面へ向かって延出した姿勢をとる。延設部71は、本発明の第1延設部の一例である。延設部72は、本発明の第2延設部の一例である。溝部73は、本発明の第2溝部の一例である。支持部70は、溝部73に規制ブレード34の基端部34Bが挿入されることで、規制ブレード34の基端部34Bを支持する。このように、支持部70は、現像スリーブ48の表面との間で規制ブレード34を支持する。また、支持部70は、現像スリーブ48の表面へ向かって延出した姿勢で規制ブレード34を支持する。
支持部70は、規制ブレード34が現像ローラー32の表面に向けて延出する延出方向に弾性変形可能である。換言すると、支持部70は、延設部72が上下方向、つまり現像ローラー32に対して近接離間する方向に変位可能となるような弾性を有する。また、支持部70は、テーパ面75を有する。テーパ面75は、第2貯留室35Bから離間する部位ほど現像ローラー32から遠ざかるように傾斜する傾斜面である。
支持部90は、ハウジング本体30内に設けられている。具体的に、支持部90は、平板状の部材であり、図3又は図4に示されるように、基部95と延設部96とを有する。基部95は、環状を有する。延設部96は、2股形状を有し、壁部41Cへ向けて基部95から延設された部分である。基部95の中央部には、貫通孔92(図3参照)が形成されており、支持部90は、貫通孔92を通じてボス部442に外嵌する。また、図示されていないが、第2プレート44のボス部442の底面と基部95との間に設けられた不図示の係合構造によって、ボス部442内における基部95の回転が規制されている。そして、支持部90は、規制ブレード34の先端部34Aの端部を支持する。この端部は、現像ローラー32の表面に対向する部位と異なる部位である。
延設部96の先端面には、凹部93が形成されている。この凹部93に、規制ブレード34の先端部34Aが嵌め込まれている。これにより、支持部90は、規制ブレード34の先端部34Aにおける長手方向の一端を支持する。
具体的に、凹部93は、底面93Aと、側面93Bと、側面93Cとを有する。底面93Aは、凹部93に嵌め込まれた規制ブレード34の先端部34Aに面接触する。側面93Bは、底面93Aに直交し、規制ブレード34の側面34C、34Dのうち壁部41C側に位置する側面34Cに面接触する。側面93Cは、底面93Aに対して傾斜するテーパ面である。換言すると、凹部93の開口が、規制ブレード34の先端部34Aよりも第1プレート43側の部分において広がる形状を有する。
作業者は、規制ブレード34を支持部70及び支持部90、91に装着する場合、まず、規制ブレード34の先端部34Aを凹部93内に進入させる。ここで、凹部93の開口が、規制ブレード34の先端部34Aよりも第1プレート43側の部分において広がる形状を有するため、作業者は、先端部34Aを凹部93内に容易に進入させることが可能である。図5(A)に示されるように、作業者が先端部34Aを凹部93内に進入させると、側面93Cは、凹部93に嵌め込まれる規制ブレード34の先端部34Aを底面93Aへガイドする。そして、先端部34Aが凹部93の底面93Aに突き当たると、作業者は、規制ブレード34を壁部41C側に押圧する。このとき、基端部34Bは、支持部70のテーパ面75に当接する。ここで、前述したように、支持部70は弾性変形可能である。そのため、規制ブレード34の基端部34Bは、図5(B)に示されるように、前記押圧力によって延設部72を下方に変位させるように支持部70を変形させつつテーパ面75を乗り上げていく。そして、規制ブレード34の基端部34Bが延設部72を乗り越えると、基端部34Bが溝部73に嵌まり込む。これにより、規制ブレード34が支持部70及び支持部90、91に装着された状態となる。このように、作業者は、規制ブレード34を容易に取り付けることができる。
支持部70は、規制ブレード34の基端部34Bが溝部73に嵌まり込んでも、自然状態まで戻らず、延設部72が下方に予め定められた長さだけ変位した変形状態となっている。これにより、図5(C)に示されるように、支持部70の復元力により、規制ブレード34の基端部34Bが支持部70から現像ローラー32の表面へ向かって延出する延出方向の押圧力F1を受ける。これにより、規制ブレード34が、支持部70と支持部90、91との間で前記延出方向に弾性的に支持される。すなわち、規制ブレード34が支持部70と支持部90、91とにより弾性的に挟持される。
以上のように、支持部90は、ボールベアリング80と第2プレート44とにより保持されている。そして、支持部90は、規制ブレード34の先端部34Aにおける長手方向の一端を支持する。具体的に、支持部90は、規制ブレード34の先端部34Aのうち、現像スリーブ48のスリーブ本体48Aの表面に対向する部分を避けた端部の位置で軸部材48Bを回転可能に支持する。
支持部91は、ハウジング本体30内に設けられており、ボールベアリング81と第3プレート45とにより保持されている。そして、支持部91は、規制ブレード34の先端部34Aにおける長手方向の他端を支持する。なお、支持部91は、支持部90と同様の構成であるため、これ以上の説明は省略する。支持部90、91は、本発明の第2支持部の一例である。
規制ブレード34は、屈曲形状を有する。具体的に、規制ブレード34は、互いに交差する外側面411と外側面412とが壁部41Cに設けられていることに応じて折り曲げられている。つまり、規制ブレード34は、外側面411と外側面412とに沿うように折り曲げられている。これにより、延設部71、延設部72、及び壁部41Cの外側面411により形成された溝部73と、支持部90、91の凹部93とを結ぶ直線上に壁部41Cが存在する場合であっても、その壁部41Cを避けて現像ローラー32の表面上の前記二成分現像剤の層厚を規制することができる。なお、規制ブレード34は、屈曲形状に限らず、湾曲形状であってもよい。また、壁部41Cの高さ等によっては、屈曲形状又は湾曲形状でない一平面状(断面が一直線状)の規制ブレード34も採用できる場合がある。
壁部41Cの外側面411、412と規制ブレード34との間には、シール部材150が設けられている。シール部材150は、壁部41Cと規制ブレード34との間を塞ぐ。これにより、壁部41Cと規制ブレード34との間の隙間からハウジング本体30の外部に二成分現像剤が漏出するのを防止することができる。また、シール部材150は、ゴム或いはウレタン等、弾性を有する素材で構成されたシート状の部材であり、圧縮状態で設けられている。このシール部材150の復元力により、規制ブレード34が第1プレート43側へ規制ブレード34の側面34C、34Dの法線に沿った方向に押圧される。これにより、規制ブレード34の基端部34Bが延設部72と壁部41Cとにより強固に挟持され、溝部73に強固に保持される。シール部材150は、本発明の第2弾性部材の一例である。
以上のように、本実施形態では、支持部70がハウジング本体30に一体に形成されている。これにより、規制ブレード34と貯留部35との離間距離を縮めて、規制ブレード34と位置P2との距離を従来に比べて小さくすることができる。その結果、現像装置21のコンパクト化を図ることができる。
そして、規制ブレード34と位置P1との距離を従来に比べて小さくすることができることにより、次のような構成を実現することができる。すなわち、現像スリーブ48の軸部材48Bの回転軸心Q1と規制ブレード34の先端部34Aの位置とを結ぶ線分と、現像スリーブ48の回転軸心Q1と撹拌部材33の回転軸心Q3とを結ぶ線分とのなす角度θ(図2参照)が30°〜35°の範囲の角度となるように規制ブレード34を配置することができる。すなわち、回転方向X1における汲上極49と規制極50との距離を縮めることができる。その結果、位置P1及び位置P4で要求される磁力を小さくすることができ、汲上極49及び規制極50を小型化することができる。そして、汲上極49及び規制極50を小型化することができる分、汲上極49及び規制極50の設置に必要となるスペースを小さくすることができ、現像ローラー32、ひいては現像装置21の小型化に寄与し得る。さらに、位置P1で要求される磁力を発生する磁石と位置P4で要求される磁力を発生する磁石とを1つの磁石にまとめることも可能となる。
前記実施形態では、規制ブレード34の先端部34Aを保持するものとして、2つの支持部(支持部90及び支持部91)が備えられているが、いずれか一方でもよい。また、支持部70のみで規制ブレード34を確実に支持できる場合は、支持部90、91は設けられなくてもよい。
図6に示されるように、支持部70の溝部73と規制ブレード34の基端部34Bとの間、すなわち、溝部73の底面73A上に、例えばゴム或いはウレタンなどのシート状の弾性部材200が設けられてもよい。弾性部材200が設けられることで、溝部73の底面73Aと凹部93の底面93Aとの間が、規制ブレード34の長さ以上に、規制ブレード34の延在方向に沿って隔たる場合であっても、規制ブレード34の先端部34Aを支持部70、90、91に密着させることができる。そして、規制ブレード34を支持部70と支持部90、91とで弾性的に保持することができる。弾性部材200は、本発明の第1弾性部材の一例である。
溝部73に代えて、図7に示されるように、支持部70のうち現像ローラー32に対向する側の面における壁部41Cの外側面411から離間した位置に溝部78が設けられてもよい。この場合、支持部70は、規制ブレード34の基端部34Bが溝部78に挿入される。そして、規制ブレード34が支持部70により溝部78において支持される。溝部78は、本発明の第1溝部の一例である。なお、図7に示される溝部78は、矩形状であるが、矩形状に限定されるものではない。
画像形成装置1Aに搭載される現像装置は、これに限られるものではない。すなわち、画像形成装置1Aに搭載される現像装置は、磁気ローラーを具備し、磁気ローラーが、貯留部35に収容されている二成分現像剤を受け取り、前記トナーを現像ローラー32に供給するタイプの現像装置であってもよい。この場合、磁気ローラー32が第1回転体に相当する。
また、支持部90、91がボス部442、452により支持される構成に代えて、図8に示される構成でもよい。すなわち、図8に示されるように、第2プレート44及び第3プレート45の内側面には凹部447、457が形成されており、凹部447にボールベアリング80が、凹部457にボールベアリング81が嵌め込まれている。そして、支持部90は、貫通孔92を通じてボールベアリング80に外嵌する。また、支持部91は、貫通孔92を通じてボールベアリング81に外嵌する。そして、支持部90は、規制ブレード34の先端部34Aの端部を支持する。