JP6389376B2 - 天井板材の取付装置並びにこれを使用した天井構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、天井板材を梁、母屋等の天井構造材に取り付けるための天井板材の取付装置並びにこれを使用した天井構造及びその施工方法に関する。
従来、建物の天井では、梁、母屋等を利用して天井材を敷設する天井構造が知られている。
例えば特許文献1には、図9に示すように、天井下地材82の下面に天井材84を貼着し、一側縁に係合部86を有する取付金物88が固着され、他側縁に取付部90が形成された天井パネル92を備え、天井予定部の第1の周辺部材94(屋根梁)に天井パネル92の取付金物88の係合部86を係合させるとともに、取付部90を周辺部材と対向する第二の周辺部材96(野縁)に取り付けた天井構造が開示されている。この天井構造により、野縁等の天井下地が不要となって施工工数が少なくなり、また容易に作業ができるというものである。
特許文献2には、C型鋼材からなる母屋上に敷設した内側下地材と外側下地材との間に、縦葺き屋根板が保持される保持部材の所要幅より広幅の中間下地材を敷設し、内側下地材と外側下地材との間に空気層を形成した縦葺き屋根の構造が開示されている。
また、特許文献3には、第1保持部材と第2保持部材とを備え、溝型鋼(屋根母屋)に装着される建材保持部材を用い、隣接する溝型鋼間に配置した屋根下地材を上記建材保持部材で保持する屋根構造の記載があり、これにより屋根下地材を確実に保持し、屋根下地材の吹き上げを防止するというものである。
特開平7−279300号公報 特開平6−235246号公報 特許第4563439号公報
さて、上記特許文献1に記載の天井構造は、天井パネルに取付金物及び取付部等を装備することから部品点数が増え、また取付け構造の異なる第一及び第二の周辺部材を利用するものであるため施工が複雑になるという問題がある。
また、特許文献2の縦葺き屋根の構造は、母屋の上部に外側下地材、内側下地材等を敷設する構造であるため、屋根板の敷設と同時に施工する必要があり、下地材等の施工が複雑になるという問題がある。特許文献3の屋根構造についても、溝型鋼を第1及び第2保持部材で覆い被着する構成であるため、部材に精度が要求され又作業が手間取るという問題がある。
また、屋根材のみの建物等では断熱性が劣るという問題があり、このため比較的簡易な手段により、天井板材を天井に敷設して空気層を設け、断熱性を改善したい等の要望がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、天井板材の取り付け作業が容易に行えて、施工性及び経済性に優れた天井板材の取付装置並びにこれを使用した天井構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る天井板材の取付装置は、図1等に示すように、建物の天井構造材に装着され、天井板材6を上記天井構造材4に取り付ける天井板材の取付装置2,52であって、上記天井構造材4の下部に固定される基部16、この基部の両側からそれぞれ上方に立ち上がり上記天井構造材4の下部近傍に嵌め合わされる側部17,17、及びこれら各側部からそれぞれ外向きに形成され、上記天井板材6の端部を上から保持する保持部18,18,68,68からなる上部材8,58と、上記上部材の下部に配置され、止着手段36により上記上部材の基部16とともに上記天井構造材4の下部に固定される固定部26、及びこの固定部の両側からそれぞれ外向きに形成され、上記天井板材6の端部を下から支持する支持部28,28からなる下部材10と、を有する構成である。
ここで、上記天井構造材4としては、例えば母屋、桁、或いは梁、又はこれらに沿い、或いはこれらと交差する方向に取り付けた横材等が含まれる。
また、上記止着手段36としては、ビス、ボルト、或いは釘等の止着具、又は係着具、又は接着剤等が含まれる。
本発明に係る天井板材の取付装置は、上記上部材8,58及び上記下部材10をともに長尺材とし、上記上部材の保持部18,18を各側部の上端部からそれぞれ横方向に形成し、上記下部材10の支持部28,28を固定部26の両側からそれぞれ斜め上方に形成した構成である。
本発明に係る天井板材の取付装置は、上記上部材8の保持部18,18に、端部から下方に向けさらに内側に向けて屈曲した保持片20,20を形成した構成である。
また、本発明に係る天井板材の取付装置は、上記上部材58の保持部78,68に、斜め上方に向けて屈曲したガイド片70,70を延設した構成である。
本発明に係る天井板材の取付装置は、上記下部材10の支持部28,28に、途中から横向きに屈曲した支持片30,30を形成した構成である。
本発明に係る天井板材の取付装置は、上記上部材の両側部の上部の間隔を、上記天井構造材4の下部近傍の幅より狭く形成し、バネ力により付勢された上記両側部により上記天井構造材4の下部近傍を挟持させ、上記上部材を天井構造材に係止させる構成である。
本発明に係る天井板材の取付装置は、上記上部材の両側部の各中間部に、それぞれ内向きに突出した突起部22,22を形成し、これら突起部の頂部間の間隔を、上記天井構造材4の下部近傍の幅より狭く形成し、バネ力により付勢された上記突起部22,22により上記天井構造材4の下部近傍を挟持させ、上記上部材を天井構造材に係止させる構成である。
本発明に係る天井構造は、上記何れかに記載の天井板材の取付装置を用いた天井構造であって、並設された天井構造材4間に、それぞれ上記取付装置を用いて上記天井板材6を取り付けた構成である。
本発明に係る天井板材の施工方法は、上記記載の天井板材の取付装置を用いた天井板材の施工方法であって、上記天井構造材4の下部近傍に上記上部材8,58の両側部を嵌めて係止仮止めし、この上部材の一方の保持部の下部に配置した上記天井板材6の端部を、下から配置した上記下部材10の一方の支持部を押し当てて挟み、止着手段36を用いて上記下部材とともに上記上部材を上記天井構造材4の下部に固定し、上記天井板材の端部を挟持し固定する一方、上記上部材の他方の保持部と上記下部材の他方の支持部との間に、他の天井板材の端部を差し込み挟持させて固定することである。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、天井構造材の下部に固定される基部、側部、及び天井板材の端部を上から保持する保持部からなる上部材と、天井構造材の下部に固定される固定部、及び天井板材の端部を下から支持する支持部からなる下部材と、を有する構成を採用したから、天井板材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、また部品点数も少なく経済性にも優れるという効果を奏する。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、上部材及び下部材をともに長尺材とし、上部材の保持部を横方向に形成し、下部材の支持部を斜め上方に形成した構成を採用したから、天井板材の支持が安定して行え、また下部材の支持部のバネ力が有効に機能し天井板材が確実に保持できるという効果がある。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、上部材の保持部に、端部から下方に向けさらに内側に向けて屈曲した保持片を形成した構成としたから、天井板材の保持が安定し且つ強固に行えるという効果がある。
また、本発明に係る天井板材の取付装置によれば、上部材の保持部に、斜め上方に向けて屈曲したガイド片を延設した構成としたから、天井板材を保持部の下部に配置し又は下部を通過させる際、天井板材の端部がガイドされ、作業が容易に行えるという効果がある。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、下部材の支持部に、途中から横向きに屈曲した支持片を形成した構成としたから、天井板材の支持が安定して行えるという効果がある。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、バネ力により付勢された両側部により天井構造材の下部近傍を挟持させ、上部材を天井構造材に係止させる構成としたから、天井構造材への上部材の仮止めが簡単に行え、作業性が良いという効果がある。
本発明に係る天井板材の取付装置によれば、バネ力により付勢された突起部により天井構造材の下部近傍を挟持させ、上部材を天井構造材に係止させる構成としたから、天井構造材への上部材の仮止めが確実かつ簡単に行え、作業性が良いという効果がある。
本発明に係る天井構造によれば、並設された天井構造材間に、それぞれ取付装置を用いて天井板材を取り付けた構成を採用したから、天井板材の取り付け作業が容易に行えて施工性に優れ、また天井に空気層が形成され断熱性が改善されるという効果がある。
本発明に係る天井板材の施工方法によれば、天井構造材に上部材を仮止めし、この上部材の一方の保持部の下部に配置した天井板材を下部材の一方の支持部で挟み、両部材を天井構造材に固定する一方、上部材の他方の保持部と下部材の他方の支持部との間に、他の天井板材の端部を差し込み挟持させて固定する方法を採用したから、天井板材の取り付けが効率的且つ簡単に行えて作業性に優れるという効果がある。
実施の形態に係る天井板材の取付装置を示す図である。 実施の形態に係る天井板材の取付装置の上部材を示す図である。 実施の形態に係る天井板材の取付装置の下部材を示す図である。 天井板材の取付装置を示す分解図である。 天井板材の取付装置の説明図である。 実施の形態に係り、天井板材の取付装置を用いた天井構造を示す図である。 他の形態に係る天井板材の取付装置を示す図である。 他の形態に係る天井板材の取付装置の上部材を示す図である。 従来例に係る天井構造を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係る天井板材の取付装置を示したものである。この取付装置2は、建物の天井構造材4(母屋、桁、或いは梁、又はこれらに取り付けた横材等を含む)に取り付けて使用され、天井板材6を天井に敷設するために用いられる。この天井板材6は、屋根材と平行或は水平に敷設し、屋根材との間に所定の空間部(空気層)を形成する。この取付装置2は、工場、店舗、公共施設等の建物の天井に天井板材6取り付ける場合に適用でき、屋根材との間に空気層を形成し天井部分の断熱、遮音性能を良くする。
上記取付装置2は、上部材8と下部材10からなる長尺材であり、これら両部材を用いて天井構造材4に天井板材6を取り付ける。
天井構造材4はここではC形鋼からなり、平坦な底面部12、この底面部12の左右部からそれぞれ直角に側面部13,13が立設形成され、断面は略長方形状である。天井構造材4は、断面がC形状以外に、長方形或は正方形状等のものが適用でき、少なくとも、底面部、この底面部の左右部からそれぞれ側面部が立設形成された形態のものであれば適用可能である。
上記上部材8、下部材10は、ともに長方形状の鋼板をプレス等により屈曲成形して得た長尺状の部材である。ここでは、上記鋼板の板厚は0.6mmのものを使用し、長尺方向の長さはともに1820mmである。また、上部材8、下部材10は、美観上、ともにカラー鋼板(着色亜鉛鋼板)を使用している。
図2、図4に示すように、上記上部材8は、平坦な基部16、この基部16の両側からそれぞれ上方(直角)に立ち上り、天井構造材4の下側を挟持する側部17,17及びこれら各側部17,17の上端部からそれぞれ横方向(直角)に鍔状に延設され、天井板材6の端部を上から押えて保持する保持部18,18、等を有する長尺状の材料である。
また、上記上部材8の両保持部18,18には、それぞれ端部から下方に向けさらに内側に向けてコの字状に屈曲した保持片20,20が形成されている。
さらに、上部材8の両側部17,17の各中間部(上下間の中央部より下寄りの位置)には、それぞれ内向きに突出した断面三角形状の突起部22が形成されている。これら突起部22,22は、長尺方向に沿って突条に形成されている。
上部材8は、左右の側部17,17を天井構造材4の下側(側面部13,13の下部近傍)に嵌めて使用するものであるため、上部材8の左右の側部17,17間の幅(下部内側)は、天井構造材4の左右の側面部13,13間の幅(外側)より少し大きく形成する。
そして作業性を良くするため、上部材8の突起部22,22により天井構造材4の側面部13,13を挟持し、上部材8を天井構造材4に係止させ、落下しないよう仮止めする。
このため、上部材8の両突起部22,22の頂部間の間隔(L)は、天井構造材4の側面部13,13の外側間の間隔(M)より少し狭く(L<M)設定する。
図5に示すように、上部材8を天井構造材4の下部近傍に嵌合させた場合、上部材8の両側部17,17が押し広げられ、両側部17,17に内向きのバネ力が生じる。そして、両突起部22,22の内向きの付勢力(P)が天井構造材4の側面部13,13に作用し、上部材8が天井構造材4に係止保持される。
加えて、上記上部材8の両側部17,17が押し広げられると、上部材8の両側部17,17の上部が広げられ(Q)、これとともに両保持部18,18が下方に押し下げられ(R)、両保持部18,18が保持する天井板材6を局部的に押圧するように作用する。
このように、上部材8と下部材10で天井板材6を挟持した状態では、両側部17,17のバネ力により、上部材8の両保持部18,18に天井板材6を押圧する付勢力が生じ、また下方に屈曲した保持片20,20は天井板材6を食い込み押圧することから、保持固定が強固に行える。
なお、上記上部材8の側部17,17に設けた突起部22,22は、他に、同様な位置に連続的でなく或いは点々とした形状に設けても良く、このような突起部についても、上記突起部22,22と同様、上部材8を天井構造材4に係止し、仮止めするという効果が得られる。
上記下部材10は図3、図4に示すように、平坦な固定部26、この固定部26の両側からそれぞれ斜め上方に翼状に形成され、天井板材6の端部を下から支持する支持部28,28等を有する長尺材である。この下部材10の両支持部28,28の先近傍には、さらに横向きの支持片30,30が形成されている。
また、下部材10の固定部26には、所定の間隔で孔部32が設けられている。止着具36(セルフドリルネジ)を用いる場合、敢えて孔部32を開設しておく必要はないが、この孔部32により止着具36による止着位置が定まり作業がし易くなる。
図4に示すように、取付装置2の寸法として、ここでは上部材8の両側部17,17間の幅(内側)を、下側(D1)=53.5mm、上側(D2)=52.5mmとしている。上側の幅を1.0mm狭くしているのは、両側部17,17に内側向きのバネ力を確保するためである。また、側部17,17の縦の長さは38mm、突起部22の突起の高さは1.8mmとしている。
上部材8の長さ(製造の基準長)は1820mmであり、必要により所定の長さに切断して使用する。上部材8の幅は78.1mmである。
下部材10についても、長さは1820mmである。下部材10の幅は104.0mmであり、また固定部26に対する支持部28の角度(θ)は135°である。下部材10には、孔部32が3か所設けられており、各孔部32間の間隔は890mmである。
また、上部材8の基部16及び下部材10の固定部26の各幅は、天井構造材4の底面部12の幅等と対応させておく必要がある。ここでは、上部材8の両側部17,17間の上記幅(D1)は天井構造材4の側面部13,13の外側幅(M)より少し広くしている。
また天井板材6として、ここでは軽量のGW(グラスウール)ボードを用いている。他の材質の天井板材6を用いることも可能である。この場合、天井板材6としては軽量のものが好適である。
上記GWボードの天井板材6は、矩形状(長方形又は正方形)の形状である。このGWボードは、板厚20mmのものを使用しているが、この板厚は10mm〜30mmの範囲のものが、断熱上効果的であり、施工上も好適である。
また、天井板材6の辺の内天井構造材4(取付装置2)と直交する辺の長さは、隣り合う天井構造材4間の距離と略同等の長さとする。これにより、天井構造材4間に天井板材6を架設することができる。天井板材6の辺の内天井構造材4と平行な辺の長さは、強度、施工性等に鑑みて適宜に決める。
また、天井板材6の辺の内取付装置2の長尺方向と平行な辺の長さは、取付装置2の長さと一致するように設定するのが効果的である。このように両者の長さを一致させることで、個々の天井板材6を個々の取付装置2(上部材8、下部材10)に対応させて取り付けることができ作業性が良い。
上記天井板材6には、大きさ、硬さ等必要により枠材34を取り付けると、天井板材6の端部を支持でき、弛み等が防止できて有効である。この枠材34は、天井板材6の周囲の4辺或いは向い合う2辺に取り付ける。枠材34は、鋼材又は軽量金属からなる断面L形或いは断面コの字形の材料等を用いる。
次に、上記天井板材の取付装置の施工方法について説明する。
建物の天井部分には、母屋、桁及び梁等などの天井構造材4が用いられており、この天井構造材4に取付装置2を装着し、天井板材6を取り付ける。通常、天井には天井構造材4が複数平行に配設されており、これら天井構造材4間に天井板材6を取り付ける。
このため、天井構造材4間の距離が長い場合等、それらの間に補助的な天井構造材4としてC形鋼等からなる横材を取り付け、また天井の端の箇所等、適当な天井構造材4がない箇所についても、補助的に上記横材を取り付けこれら横材に取付装置2を配設するようにしてもよい。
また、天井構造材4自体に、これと沿う方向或いは交差する方向に新たに補助的な天井構造材としてC形鋼等からなる横材を取り付け、これら横材に取付装置2を配設するようにしてもよい。
建物の天井構造材4については、ここでは便宜上、天井構造材4が4本(順に、第一から第四の天井構造材4)平行に配設され、これら天井構造材4間に天井板材6(順に、第一から第三の天井板材6)を敷設する場合について説明する。
この天井板材6は、GWボードからなり、ここでは天井構造材4と直交する辺(端部)にはそれぞれ枠材34を取り付ける。天井構造材4はC形鋼からなり、下部には平坦な底板部12が、左右には側板部13,13が形成された形状である。
取付装置2は、天井構造材4の下側に嵌めて係止可能なように、上部材8の基部16、及び下部材10の固定部26等の寸法を定め、各部材を準備する。
さて、取付装置2を用いて天井構造材4に天井板材6を取り付ける場合、先に上部材8のみを天井構造材4に係止させ仮止めしておき、この上部材8の保持部18の下部に天井板材6の端部を配置し、下から下部材10の支持部28を押し当てて天井板材6を挟持し、このまま止着具36を用いて両部材を天井構造材4に取り付ける第一の方法がある。
また、先に上部材8と下部材10を止着具36により天井構造材4に取り付けておき、これら上部材8の保持部18と下部材10の支持部28間に、天井板材6の端部を差し込み挟持固定する第二の方法がある。
この第二の方法は、上記第一の方法により上部材8の一方の保持部18と下部材10の一方の支持部28に天井板材6の端部を挟持固定した場合、上部材8の他方の保持部18と下部材10の他方の支持部28間に、他の天井板材6の端部を差し込み挟持固定する方法と同様である。
上記第二の方法により天井板材6を差し込む際、天井板材6の後部の端を少し持ち上げて傾斜させる等により、差し込みが容易に行える。止着具36を少し緩め、この状態で天井板材6を差し込み、その後止着具を締めるようにしてもよい。
上記第二の方法によれば、天井板材の端部が簡単に取付装置に装着でき、このため取付装置を用いた天井板材の施工が少ない作業員等で行えて効率的である。上記何れの方法を用いるかは、作業手順、現場の状況等に応じて適切に判断して行なう。
ここでは先ず、第一の天井構造材4に取付装置2の上部材8を装着する。作業者は、下方から天井構造材4の側面部13,13に上部材8の両側部17,17を嵌める。すると、上部材8の突起部22には、両側部17,17のバネ力により内側に向けた付勢力が作用し、上部材8を天井構造材4の両側面部13,13に係止し仮止めする。
そして、上記上部材8の基部16の下に下部材10の固定部26を配置し、セルフドリリング可能なビス等の止着具36を用い、この止着具36を下部材10の孔部32からねじ込み、上部材8及び下部材10を第一の天井構造材4に固定する。
次に、第一の天井板材6を第一及び第二の天井構造材4間に配置し、この第一の天井板材6の一方の端部を、上記第一の天井構造材4に取り付けた上部材8(保持部18)と下部材10(支持部28)との間に嵌め、差し込む。
続いて、第二の天井構造材4に上記と同様に上部材8を係止させ仮止めする。この上部材8の仮止め作業は、先に行っておいても良い。そして、この上部材8の保持部18の下に第一の天井板材6の他方の端部を配置し、その下部を下部材10の支持部28(支持片30)で押え、挟持する。
同時に、上部材8(基部16)とともに下部材10(固定部26)を、第二の天井構造材4の底面部12に押し当て、止着具36を用いて両部材を第二の天井構造材4に固定する。これで、第一の天井板材6の両端部がそれぞれ第一及び第二の天井構造材4に固定される。
次に、第二の天井板材6を第二と第三の天井構造材4間に配置し、この第二の天井板材6の一方の端部を、上記先に第二の天井構造材4に取り付けた上部材8の他の(天井板材6を取付けてない側)保持部18と下部材10の他の支持部28との間に差し込む。
続いて、第三の天井構造材4に上記と同様に上部材8を係止させ仮止めする。そして、この上部材8の保持部18の下に第二の天井板材6の他方の端部を配置し、その下部を下部材10の支持部28(支持片30)で押えて挟持し、同時に、止着具36を用いて上部材8とともに下部材10を第三の天井構造材4に固定する。これで、第二の天井板材6の両端部がそれぞれ第二及び第三の天井構造材4に固定される。
さらに、第三の天井板材6を第三及び第四の天井構造材4間に配置し、この第三の天井板材6の一方の端部を、上記第三の天井構造材4に取り付けた上部材8の保持部18と下部材10の支持部28との間に差し込む。
続いて、第四の天井構造材4に上記と同様に上部材8を係止させ仮止めする。そして、この上部材8の保持部18の下に第三の天井板材6の他方の端部を配置し、その下部を下部材10の支持部28(支持片30)で押えて挟持し、同時に、止着具36を用いて上部材8とともに下部材10を第四の天井構造材4に固定する。これで、第三の天井板材6の両端部がそれぞれ第三及び第四の天井構造材4に固定される。
以上の工程により、第一から第四の天井構造材4間にそれぞれ第一から第三の天井板材6が取り付けられる。同様に、天井構造材4の長尺方向についても、上記と同様にして天井板材6を取り付け、天井全体に天井板材6を敷設する。
図6は、取付装置2を用い、天井構造材4間に天井板材6を敷設した天井構造を示したものである。
上記実施の形態によれば、天井板材の取り付け作業が容易かつ効果的に行えて施工性に優れ、また部品点数も少なく経済性にも優れ、併せて天井の断熱効果が改善されるという効果がある。
なお、上記天井板材の施工では、天井構造材4に沿った方向に連続的に取付装置2を敷設したが、他の例として、不連続的に取付装置2を取り付けるようにしても良い。この場合、取付装置2の長さ(天井構造材に沿う方向)及び取付装置2間の間隔等は、天井板材6の大きさ等を考慮し適宜に設定する。
また、上記実施の形態では、上部材8の両側部17,17に形成した突起部22により、上部材8を天井構造材4に係止し仮止めするようにしたが、これは他に、突起部22を設ける代わりに、上部材の両側部を基部に対して直角より少し内向き(鋭角)に成形する構成とすることもできる。この場合、上部材の両側部の上端部の幅(内側)を天井構造材4の側面部13,13の幅(外側)より狭く形成する。
これにより、上部材を天井構造材4の下側に嵌め込むと、上部材の両側部の上端部には内側に向けたバネ力が作用し、これによる付勢力を利用して上部材を天井構造材4に係止し仮止めすることができる。
他に、上部材の基部と天井構造材4の底面部12との間に両面(接着可能)テープを介在させ、これにより上部材を天井構造材4に仮止めすることもできる。
また、作業性を考慮しないのであれば、上部材の両側部を天井構造材に係止しないフリーの状態とし、上部材を天井構造材4の下側に嵌め合わせ、この上部材を作業員等によって保持し、天井板材6を下部材との間で挟持させ、両部材を天井構造材に固定するようにしてもよい。
何れにしても、上記上部材8の保持部18の下から下部材10の支持部28を押し当てて天井板材6を挟持し、止着具36を用いて両部材を天井構造材4に取り付ける方法、及び先に取り付けた上部材8の保持部18と下部材10の支持部28間に、天井板材6の端部を差し込み挟持固定する方法、が採用できることはいうまでもない。
図7は、他の実施の形態に係る天井板材の取付装置52を示したものである。
この取付装置52に関しては、上記取付装置2関連と同様な部材については同じ符号を用い、ここでの詳細な説明は省略する。この取付装置52は、上記取付装置2と同様、建物の梁、母屋或いは桁等の天井構造材4に取り付けて使用され、天井板材6を天井に敷設するために用いられる。また、この取付装置52についても、工場、店舗、公共施設等の建物の天井に天井板材6を取り付ける場合に適用でき、屋根材との間に空気層を形成し天井部分の断熱、遮音性能を良くする。
この取付装置52は、上部材58と下部材10からなる長尺形状であり、これら両部材を用いて天井構造材4に天井板材6を取り付ける。この下部材10は、上記取付装置2に用いられるものと同様である。
図8に示すように、上部材58は、基部16、この基部16の両側からそれぞれ上方に立ち上り、天井構造材4の下側を挟持する側部17,17及びこれら各側部17,17の上端部からそれぞれ横方向(直角)に鍔状に延設され、天井板材6の端部を上から保持する保持部68,68等を有する長尺状の材料である。
さらに、上部材58の両保持部68,68には、それぞれ途中から斜め上方に向かうガイド片70が形成されている。また、上部材58の両側部17,17の各中間部(上下間の中央部より下寄りの位置)に、それぞれ内向きに突出した断面三角形状の突起部22が長尺方向に形成されている。
そして、作業性を良くするため、上部材58の突起部22が天井構造材4の側面部13,13を挟持し、上部材58を天井構造材4に係止して仮止めする。
この取付装置52についても、上部材58を天井構造材4の下部近傍に嵌合させた場合、上部材58の両側部17,17が押し広げられて内向きのバネ力が生じ、両突起部22,22の内向きの付勢力が天井構造材4の側面部13,13に作用し、上部材58が天井構造材4に係止保持される。
加えて、この上部材58は、保持部68,68に形成されたガイド片70,70により、下部材10の支持部28(支持片30)と、上部材の保持部68との間に天井板材6の端部を差し込む場合、この端部が上記ガイド片70により保持部68の下部にガイドされ導かれ、天井板材6の差し込みが正確かつ円滑に行える。また、天井構造材4に仮止めした上部材58の下部に天井板材6を配置する際にも、ガイド片70が有効に天井板材6の端部を案内する。
取付装置52の寸法として、ここでは上部材58の両側部17,17間の幅(内側)を、下側=53.5mm、上側=52.5mmとしている。ここで、上側を1.0mm狭くしているのは、両側部17,17に内側向きのバネ力を確保するためである。また、側部17,17の高さは36mm、突起部22の突起の高さは1.6mmとしている。
上部材58の長さは、1820mmであり、必要により所定の長さに切断して使用する。上部材58の幅は102.5mmである。また上部材58は、保持部68に対するガイド片70の傾斜角度(δ)を30°としている。
この取付装置52を用いた場合の、天井板材6を天井構造材4に取り付ける方法、天井構造等は、上記取付装置2を用いた場合と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
従って、この実施の形態においても、上記実施の形態と同様、天井板材の取り付け作業が容易かつ効果的に行えて施工性に優れ、また部品点数も少なく経済性にも優れ、併せて天井の断熱効果が改善されるという効果がある。
2,52 天井板材の取付装置
4 天井構造材
6 天井板材
8,58 上部材
10 下部材
16 基部
17 側部
18,68 保持部
20 保持片
22 突起部
26 固定部
28 支持部
30 支持片
36 止着手段(止着具)
70 ガイド片

Claims (9)

  1. 建物の天井構造材に装着され、天井板材を上記天井構造材に取り付ける天井板材の取付装置であって、
    上記天井構造材として、平坦な底面部、この底面部の左右部位からそれぞれ側面部が立設形成された断面の材料を用い、
    上記天井構造材の下部の上記底面部に固定される平坦な基部、この基部の両側からそれぞれ上方に立ち上がり上記天井構造材の下部近傍の上記各側面部にそれぞれ嵌め合わされる側部、及びこれら各側部からそれぞれ外向きに形成され、上記天井板材の端部を上から保持する保持部からなる上部材と、
    上記上部材の下部に配置され、止着により上記上部材の基部とともに上記天井構造材の下部の上記底面部に固定される平坦な固定部、及びこの固定部の両側からそれぞれ外向きに形成され、上記天井板材の端部を下から支持する支持部からなる下部材と、を有し、
    上記上部材の基部の下に上記下部材の固定部を配置し、上記止着具を上記下部材からねじ込み、上記上部材及び上記下部材を上記天井構造材の上記底面部に固定することを特徴とする天井板材の取付装置。
  2. 上記上部材及び上記下部材をともに長尺材とし、上記上部材の保持部を各側部の上端部からそれぞれ横方向に形成し、上記下部材の支持部を固定部の両側からそれぞれ斜め上方に形成したことを特徴とする請求項1に記載の天井板材の取付装置。
  3. 上記上部材の保持部に、端部から下方に向けさらに内側に向けて屈曲した保持片を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の天井板材の取付装置。
  4. 上記上部材の保持部に、斜め上方に向けて屈曲したガイド片を延設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の天井板材の取付装置。
  5. 上記下部材の支持部に、途中から横向きに屈曲した支持片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の天井板材の取付装置。
  6. 上記上部材の両側部の上部の間隔を、上記天井構造材の下部近傍の幅より狭く形成し、バネ力により付勢された上記両側部により上記天井構造材の下部近傍を挟持させ、上記上部材を天井構造材に係止させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の天井板材の取付装置。
  7. 上記上部材の両側部の各中間部に、それぞれ内向きに突出した突起部を形成し、これら突起部の頂部間の間隔を、上記天井構造材の下部近傍の幅より狭く形成し、バネ力により付勢された上記突起部により上記天井構造材の下部近傍を挟持させ、上記上部材を天井構造材に係止させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の天井板材の取付装置。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の天井板材の取付装置を用いた天井構造であって、
    並設された天井構造材間に、それぞれ上記取付装置を用いて上記天井板材を取り付けたことを特徴とする天井構造。
  9. 請求項6又は7に記載の天井板材の取付装置を用いた天井板材の施工方法であって、
    上記天井構造材の下部近傍に上記上部材の両側部を嵌めて係止仮止めし、この上部材の一方の保持部の下部に配置した上記天井板材の端部を、下から配置した上記下部材の一方の支持部を押し当てて挟み、止着手段を用いて上記下部材とともに上記上部材を上記天井構造材の下部に固定し、上記天井板材の端部を挟持し固定する一方、
    上記上部材の他方の保持部と上記下部材の他方の支持部との間に、他の天井板材の端部を差し込み挟持させて固定することを特徴とする天井板材の施工方法。
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