JP6387240B2 - 水素センサ - Google Patents

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Description

本発明は、水素センサに関し、特に希土類金属の物理的特性を利用した水素センサに関する。
近年、水素燃料電池を筆頭に多くの水素関連技術の開発が進められており、それに伴って、水素ガスの漏れ検知や水素ガスの濃度測定に用いる水素センサの開発も進められている。
水素センサの一例としてイットリウム等の希土類金属を用いるものがある。イットリウム等の希土類金属は、水素を吸収すると光学特性が変化したり、電気抵抗が変化したりすることが知られており、このような希土類金属の物理的特性を利用した水素センサがこれまでに種々提案されている(特許文献1、特許文献2)。
希土類金属は空気中で酸化しやすく、酸化してしまうと水素を吸収も透過もしないため、希土類金属を水素センサに用いるためには、希土類金属表面に適切な保護膜を形成する必要がある。この問題に対して、特許文献1では、水素透過性の高いパラジウムやプラチナ等からなる保護膜で希土類金属膜の表面を被覆することが提案されている。
このようにパラジウムやプラチナ等からなる保護膜で希土類金属膜の表面を被覆すれば希土類金属の酸化を防止することはできるが、パラジウム等の水素透過性金属は水素の吸収・放出を繰り返すことによって劣化が進み、水素透過性金属で形成した保護膜が希土類金属から剥離してしまうという別の問題が生じる。そこで、特許文献2では、アルミニウム窒化物やシリコン窒化物等のセラミックス材料中に水素透過性金属粒子を分散してなる保護膜を希土類金属膜上に形成した水素センサが提案されている。
特表2002−535651号公報 特開2005−274559号公報
しかしながら、特許文献2に開示されている方法でセラミックス材料中に水素透過性金属粒子を分散させた保護膜を希土類金属膜上に形成した場合、次のような問題が生じる。すなわち、特許文献2では、セラミックス材料と水素透過性金属とを同時に気相成長させる方法、あるいはスパッタリングする方法により、セラミックス材料中に水素透過性金属粒子を分散させた保護膜を希土類金属膜上に形成しているが、実際に水素透過性金属をセラミックス材料中に均一に分散させることは難しく、均質な水素センサを再現性高く製造することは困難である。
そのため、図7に示すように、特許文献2に開示されている方法で形成した水素センサ100における保護膜130では、セラミックス材料140中にうまく水素透過性金属粒子150が分散せず、希土類金属膜120との界面近くに多くの水素透過性金属粒子150が偏って分散してしまうことがある(図中の110は基板)。そのような希土類金属膜120の近くにある水素透過性金属粒子140は保護膜130中から希土類金属膜120へと拡散してしまうため、センサ特性が劣化してしまうという問題がある。また、図8に示すように、特許文献2に開示されている方法で形成した水素センサ200における保護膜230では、水素透過性金属250がセラミックス材料240中にうまく分散せず、水素透過性金属250が塊状に固まってセラミックス材料240中に存在してしまうこともある(図中の210は基板)。そのような水素透過性金属250の塊状体は、やはり希土類金属膜220への水素透過性金属250の拡散を引き起こし、センサ特性の劣化に繋がってしまう。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、水素透過性金属の希土類金属膜への拡散を防止する構造を有するとともに、均質にかつ再現性高く製造可能な水素センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第一に本発明は、基板と、前記基板上に形成された希土類金属膜と、前記希土類金属膜上に形成された保護膜とを備え、前記保護膜が複数のセラミックス材料層を積層してなり、前記複数のセラミックス材料層上に水素透過性金属が配置されていることを特徴とする水素センサを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、水素透過性金属を複数のセラミックス材料層上に配置した積層構造とすることにより、水素透過性金属が塊状にならず、セラミックス材料層中に適度に分散した状態を作り出すことができるため、水素透過性金属が保護膜中から希土類金属膜へと拡散することが防止される。また、希土類金属膜と水素透過性金属との間に少なくとも一層のセラミックス材料層があることも、保護膜中から希土類金属膜への水素透過性金属の拡散防止に寄与する。さらに、このような積層構造の保護膜は、セラミックス材料層の生成と水素透過性金属の生成とを別々の工程として交互に繰り返すことによって形成することができるので、セラミックス材料層中に水素透過性金属を分散させる場合のようにスパッタリングによって複数のターゲットを同時に照射する必要がなくなる。結果としてスパッタリングの制御性が高まるため、均質な水素センサを再現性高く製造することができる。
上記発明(発明1)においては、前記水素透過性金属がアイランド状に形成されていることが好ましい(発明2)。
セラミックス材料層上に水素透過性金属を形成した場合、当該水素透過性金属の端部とセラミックス材料層との境界部分近くには格子欠陥が生じるため、当該境界部分近くにおいては水素原子の移動の活性が高くなる。上記発明(発明2)によれば、水素透過性金属がアイランド状に形成されていることにより、水素透過性金属が単純な層状に形成されているよりも、セラミックス材料層と水素透過性金属の端部との境界が多く形成されることになるため、水素センサの反応性能を引き上げることができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記複数のセラミックス材料層がSiNx(但し、0.3<x<1.3)であることが好ましい(発明3)。また、上記発明(発明3)においては、前記複数のセラミックス材料層がそれぞれ異なるxを有していてもよく(発明4)、その場合には前記複数のセラミックス材料層のそれぞれが有するxが前記希土類金属膜に近いセラミックス材料層ほど小さいことが好ましい(発明5)。
このように、セラミックス材料層をSiNx(シリコン窒化物)とし、複数積層するセラミックス材料(SiNx)層のx値を変化させ、希土類金属膜に近いSiNx層では窒素濃度を低く、表面に近いSiNx層では窒素濃度を高くすることにより、次のような効果が得られる。すなわち、保護膜の外表面近くではSiNx層の窒素濃度が高いため、水素透過性金属とSiNx層とが分離して存在しやすくなり、水素透過性金属による水素解離の触媒機能が高められる。一方、希土類金属膜に近い内部では窒素の欠乏により一部のSiと水素透過性金属とが結合したり、Siにダングリングボンドが形成されたりすることにより、SiNx層中に水素原子が溶け込みやすくなり、水素原子が保護膜中をより高速で移動することができるようになる。その結果、水素センサの反応性能をより引き上げることができる。
上記発明(発明1〜5)においては、前記希土類金属膜がイットリウム、ランタン及びセリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい(発明6)。また、上記発明(1〜6)においては、前記水素透過性金属がパラジウムであることが好ましい(発明7)。
本発明の水素センサによれば、水素透過性金属が保護膜中から希土類金属膜へと拡散することが防止される。また、本発明の水素センサは均質にかつ再現性高く製造が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る水素センサの構造を示す断面模式図である。 図2は、同実施形態に係る水素センサを構成する保護膜の製造工程を示すフロー図である。 図3は、本発明の実施例における水素センサへの電極の取り付け方法を示す模式図である。 図4は、同実施例における水素センサの電気抵抗の時間変化を示すグラフ(その1)である。 図5は、同実施例における水素センサの電気抵抗の時間変化を示すグラフ(その2)である。 図6は、同実施例における水素センサの検知水素濃度と電気抵抗値の関係を示す対数グラフである。 図7は、従来技術によって製造された水素センサの構造を示す断面模式図である。 図8は、従来技術によって製造された他の水素センサの構造を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係る水素センサ1は、図1に示すように、基板2の上面に希土類金属膜3が形成されており、希土類金属膜3の上面には保護膜4が形成されている。保護膜4は、希土類金属膜3側から順に第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cの三層が積層され、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cのそれぞれの上面にアイランド状に形成された多数の水素透過性金属42が配置された構造となっている。
基板2は、希土類金属膜3及び保護膜4を支持できるものであれば、その材質は特に限定されず、例えばガラス板、セラミックス板等を用いることができる。必要に応じて、基板2上に加熱ヒータを設けてもよく、加熱ヒータとしては、例えばプラチナ、酸化ルテニウム、銀−パラジウム合金等の抵抗体を用いることができる。
希土類金属膜3は水素検知機能を有する希土類金属を主成分とするものであり、希土類金属としては、例えば、イットリウム、セリウム、ランタン等の水素検知能力の高いものが挙げられる。これらの希土類金属のうち、特に水素検知能力の高いイットリウム、ランタン及びセリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。希土類金属膜3は、例えば、スパッタリングによって成膜することができる。
希土類金属膜3の厚みは5〜1000nmであることが好ましい。厚みが5nm未満であると希土類金属膜3の強度が不足してしまうことがあり、厚みが1000nmを超えると製造コストが高くなってしまう。
保護膜4は、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cの三層が積層され、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cのそれぞれの上面にアイランド状に形成された多数の水素透過性金属42が配置された構造となっている。このように、水素透過性金属42を複数のセラミックス材料層上に配置した積層構造とすることにより、水素透過性金属42が塊状にならず、セラミックス材料層中に適度に分散した状態を作り出すことができるため、水素透過性金属42が保護膜4中から希土類金属膜3へと拡散することが防止される。また、希土類金属膜3と水素透過性金属42との間に少なくとも一層のセラミックス材料層41Aがあることも、保護膜中から希土類金属膜への水素透過性金属の拡散防止に寄与する。
第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cを構成するセラミックス材料としては、シリコン窒化物(SiNx)やアルミニウム窒化物(AlNx)、シリコン酸化物(SiOx)、アルミニウム酸化物(AlOx)等を用いることができる。これらのセラミックス材料のうち、水素と結合し易い酸素を含んでおらず、化学的に安定なSiNx(但し、0.3<x<1.3)を用いることが好ましい。
水素透過性金属42としては、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、銀(Ag)等を用いることができ、これら金属を含む合金であってもよい。これらのうち、水素解離能が高く、それ自身も水素を透過する能力が高いPdを用いることがより好ましい。
本実施形態においては、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cはそれぞれ組成の異なるSiNxで構成されている。すなわち、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cを構成するSiNxのx値は、0.3<x<1.3の範囲で全て異なっている。以下、第1セラミックス材料層41Aを構成するSiNxをSiNx、第2セラミックス材料層41Bを構成するSiNxをSiNx、第3セラミックス材料層41Cを構成するSiNxをSiNxとする。
また、本実施形態においては、希土類金属膜3に近いほどセラミックス材料層中の窒素濃度が低くなるように構成されており、第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41CのSiNxの組成においては、0.3<x<x<x<1.3という関係が成立している。このように希土類金属膜に近いセラミックス材料層(SiNx層)では窒素濃度を低く、表面に近いセラミックス材料層(SiNx層)では窒素濃度を高くすることにより、次のような効果がある。
すなわち、保護膜4の外表面近くではSiNx層の窒素濃度が高いため、水素透過性金属42とSiNx層とが分離して存在しやすくなり、水素透過性金属42による水素解離の触媒機能が高められる。一方、希土類金属膜3に近い内部では窒素の欠乏により一部のSiと水素透過性金属42とが結合したり、Siにダングリングボンドが形成されたりすることにより、SiNx層(つまり第1セラミックス材料層41A)中に水素原子が溶け込みやすくなり、水素原子が保護膜4中をより高速で移動することができるようになる。その結果、水素センサ1の水素反応性能がより引き上げられることになる。
本実施形態においては、水素透過性金属42は第1セラミックス材料層41A、第2セラミックス材料層41B及び第3セラミックス材料層41Cの上面にアイランド状に形成されている。このように水素透過性金属42がアイランド状に形成されていることも、水素センサ1の水素反応性能を引き上げることに繋がっている。これは次のような理由による。一般に、セラミックス材料層上に水素透過性金属42を形成した場合、当該水素透過性金属42の端部とセラミックス材料層との境界部分近くには格子欠陥が生じるため、当該境界部分近くにおいては水素原子の移動の活性が高くなることが見込まれる。本実施形態においては、水素透過性金属42がアイランド状に形成されていることにより、水素透過性金属42が単純な層状に形成されているよりも、各セラミックス材料層(41A,41B,41C)と水素透過性金属42の端部との境界が多く形成されることになるため、水素センサ1の反応性能を引き上げることができる。
セラミックス材料層41A、セラミックス材料層41B及びセラミックス材料層41Cの厚みはそれぞれ5〜100nmであることが好ましい。厚みが5nm未満であると均一な連続膜にするのが困難であり、厚みが100nmを超えると水素透過速度が低下する。
保護膜4全体としての厚みは15〜200nmであることが好ましい。厚みが15nm未満であると、希土類金属膜3に対する水素以外のガスによる有害な影響を抑止できないおそれがあり、厚みが200nm以上になると、保護膜4を水素が透過できなくなるおそれがある。
保護膜4全体における水素透過性金属42の含有割合は10〜60原子%であることが好ましい。この含有割合が10原子%未満であると水素解離・水素透過速度が大幅に低下し、含有割合が60原子%を超えると機械的強度の低下や希土類金属膜3への水素透過性金属42の溶け込みによる水素センサ性能の劣化が生じる可能性が高まる。
保護膜4は、基板2上に形成した希土類金属膜3の上に、セラミックス材料層をスパッタリングによって成膜する工程と、水素透過性金属42をスパッタリングによって生成する工程とを交互に繰り返すことによって形成することができる。具体的には、図2に示すように、まず、基板2上に形成した希土類金属膜3の上に第1セラミックス材料層41Aを成膜する(S101)。次に、水素透過性金属42を第1セラミックス材料層41A上にアイランド状に形成する(S102)。続いて、第1セラミックス材料層41A上に第2セラミックス材料層41Bを成膜する(S103)。次に、再び水素透過性金属42を今度は第2セラミックス材料層41B上にアイランド状に形成する(S104)。さらに、第2セラミックス材料層41B上に第3セラミックス材料層41Cを成膜する(S105)。最後に第3セラミックス材料層41C上にも水素透過性金属42をアイランド状に形成する(S106)。
第1セラミックス材料層41Aは、例えば、シリコン(Si)ターゲットを用い、そのターゲットの上方に基板を取り付けた状態でターゲットをスパッタすることにより成膜する。スパッタはアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で行う。第2セラミックス材料層41Bも、第1セラミックス材料層41Aと同様のスパッタリング方法によって成膜するが、外側に位置する第2セラミックス材料層41Bの方が希土類金属膜3に近い第1セラミックス材料層41Aよりも窒素濃度が高くなるように、アルゴンと窒素の混合ガスの比率を変えてスパッタリングを行う。また、第3セラミックス材料層41Cも第1セラミックス材料層41Aと同様のスパッタリング方法によって成膜するが、より外表面に近いセラミックス材料層41Cの方が第2セラミックス材料層41Bよりも窒素濃度が高くなるように、アルゴンと窒素の混合ガスの比率を変えてスパッタリングを行う。
一方、水素透過性金属42は、例えば、パラジウム(Pd)ターゲットを用い、そのターゲットの上方に基板を取り付けた状態でターゲットをスパッタすることにより形成する。スパッタはアルゴンガス雰囲気で行う。水素透過性金属42を積層する量が少ないことや、セラミックス材料層との間の界面エネルギーが大きいことから、水素透過性金属42は自然とアイランド状に形成される。
このように、セラミックス材料層41A,41B,41Cと水素透過性金属42とからなる積層構造であれば、セラミックス材料層41A,41B,41Cの生成と水素透過性金属の生成とを別々の工程として交互に繰り返すことによって形成することができるので、セラミックス材料層中に水素透過性金属粒子を分散させる場合のようにスパッタリングによって複数のターゲットを同時に照射する必要がなくなる。結果としてスパッタリングの制御性が高まるため、均質な水素センサを再現性高く製造することができる。
以上、本実施形態に係る水素センサについて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更実施が可能である。例えば、本実施形態においてはセラミックス材料層を三層構造としたが、これに限られるものではなく、セラミックス材料層を二層としてもよいし、四層以上としてもよい。
また、本実施形態においては各セラミックス材料層(SiNx層)の窒素濃度を全て異なるものとしたが、全てのセラミックス材料層を同一の組成を有するSiNx層によって構成してもよいし、一部のセラミックス材料層のみ異なる組成を有するSiNx層によって構成してもよい。
[水素センサの製造]
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本実施例では、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて、図1に示す水素センサを作製した。まず、高周波マグネトロンスパッタリング装置内に、ガラス基板を配置し、装置内を2.7×10−4Pa程度にまで減圧した。次に、装置内にアルゴンガスを導入し、装置内の環境が9.1×10−1Paとなったところで、イットリウムターゲットを配置したカソードに電力を投入し、室温でスパッタリングを5分間行った。その結果、ガラス基板上に厚み25nmのイットリウム薄膜が成膜された。
次に、装置内にアルゴンガスと窒素ガスの混合ガス(体積比7.5×10−1Pa:1.6×10−1Pa)を導入し、シリコンターゲットを配置したカソードに電力を投入して、圧力9.1×10−1Pa、室温でスパッタリングを3分間行った。その結果、イットリウム薄膜上に厚み5nmの第1窒化シリコン薄膜が成膜された。
続いて、装置内にアルゴンガスを導入し、パラジウムターゲットを配置したカソードに電力を投入して、圧力9.1×10−1Pa、室温でスパッタリングを1分間行った。その結果、第1窒化シリコン薄膜上にアイランド状にパラジウムが形成された。
再び装置内にアルゴンガスと窒素ガスの混合ガス(体積比8.0×10−1Pa:1.1×10−1Pa)を導入し、シリコンターゲットを配置したカソードに電力を投入して、圧力9.1×10−1Pa、室温でスパッタリングを6分間行った。その結果、アイランド状にパラジウムが形成された第1窒化シリコン薄膜上に厚み10nmの第2窒化シリコン薄膜が成膜された。続いて、第2窒化シリコン薄膜上にも、上記の方法を用いてアイランド状にパラジウムを形成した。
最後に、装置内にアルゴンガスと窒素ガスの混合ガス(体積比8.5×10−1Pa:6.0×10−2Pa)を導入し、シリコンターゲットを配置したカソードに電力を投入して、圧力9.1×10−1Pa、室温でスパッタリングを3分間行った。その結果、アイランド状にパラジウムが形成された第2窒化シリコン薄膜上に厚み5nmの第3窒化シリコン薄膜が成膜された。さらに、第3窒化シリコン薄膜上にも、上記の方法を用いてアイランド状にパラジウムを形成した。
以上のようにして得られた水素センサは、全体で20nmの厚みを持つ保護膜が厚み25nmのイットリウム薄膜上に形成され、保護膜は三層構造の窒化シリコン薄膜からなり、それぞれの窒化シリコン薄膜上にアイランド状にパラジウムが形成されているものである。保護膜内におけるパラジウムの含有割合は30原子%であった。保護膜の三層構造の窒化シリコン薄膜は、イットリウム薄膜に近いほど窒素濃度が低く、各窒化シリコン薄膜の窒素濃度の関係は、第1窒化シリコン薄膜<第2窒化シリコン薄膜<第3窒化シリコン薄膜となっている。
[電気抵抗測定]
得られた水素センサの上面に、図3に示すように電極5を取り付け、水素ガスの導入や真空引きが可能な密閉された測定装置内で、電気抵抗の時間変化を測定した。測定装置内の温度は100℃に設定した。
始めに測定装置内に100%の水素ガスを導入し、約82秒後に真空引きによる脱水素ガス処理を行った。次に、約370秒後に1%の水素ガスを測定装置内に導入し、約510秒後に再び真空引きによる脱水素ガス処理を行った。続いて、約680秒後に100ppmの水素を導入し、約1140秒後に真空引きによる脱水素ガス処理を行った。この一連の処理中の、水素センサの電気抵抗の時間変化を図4及び図5に示す。図4及び図5の縦軸は電気抵抗値、横軸は時間変化である。また、図5は図4の縦軸を100倍に拡大したものである。図4及び図5から、本実施例においては、希土類金属膜(イットリウム薄膜)を有する水素センサの検知水素濃度と水素センサの特性(電気抵抗)とは対数の関係にあることが示される。具体的には、水素濃度が100%の場合は電気抵抗値が約9000Ω、水素濃度が1%の場合は電気抵抗値が約600Ω、水素濃度が100ppmの場合は電気抵抗値が約85Ωとなっており、水素濃度が100倍になると電気抵抗が約10倍になることがわかる。本実施例における水素センサの検知水素濃度と水素センサの特性(電気抵抗)との関係を示す対数グラフを図6に示す。
図4及び図5によれば、本実施例の水素センサは、100%の水素ガスに曝した後でも低濃度の水素に対して反応を示しており、100ppmといった極めて低濃度の水素ガスについても非常に高速で反応していることが明らかになった。また、従来の方法で製造されたセラミックス材料中にパラジウム粒子を分散させた保護膜でイットリウム薄膜を保護する水素センサでは、パラジウムが拡散してイットリウムへと溶け込んでしまうことにより、電気抵抗が安定しないという問題があったが、本実施例の水素センサではそのような問題も生じていないことが明らかになった。100ppmといった極めて低濃度の水素ガスについても非常に高速で反応していること、水素化・脱水素化に要する時間が大幅に短縮されることは、保護膜の三層構造の窒化シリコン薄膜それぞれの組成を変化させ、イットリウム薄膜に近いほど窒素濃度が低くなるように保護膜を形成した効果によるものであると推測される。
本発明の水素センサは、水素透過性金属の希土類金属膜への拡散を防止する構造を有するとともに、均質にかつ再現性高く製造可能な水素センサであるため、低濃度の水素検出を要求される検査装置等に好適に利用することができる。
1…水素センサ
2…基板
3…希土類金属膜
4…保護膜
41A…第1セラミックス材料層
41B…第2セラミックス材料層
41C…第3セラミックス材料層
42…水素透過性金属
5…電極

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された希土類金属膜と、
    前記希土類金属膜上に形成された保護膜とを備え、
    前記保護膜が複数のセラミックス材料層を積層してなり、前記複数のセラミックス材料層のそれぞれのに水素透過性金属が配置されていることを特徴とする水素センサ。
  2. 前記水素透過性金属がアイランド状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水素センサ。
  3. 前記複数のセラミックス材料層がSiNx(但し、0.3<x<1.3)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素センサ。
  4. 前記複数のセラミックス材料層がそれぞれ異なるxを有することを特徴とする請求項3に記載の水素センサ。
  5. 前記複数のセラミックス材料層のそれぞれが有するxが前記希土類金属膜に近いセラミックス材料層ほど小さいことを特徴とする請求項4に記載の水素センサ。
  6. 前記希土類金属膜がイットリウム、ランタン及びセリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素センサ。
  7. 前記水素透過性金属がパラジウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素センサ。
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