JP6387122B2 - ワックス組成物 - Google Patents
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Description
<1>示差走査熱量分析(DSC)における最大吸熱ピーク温度が65〜80℃、
<2>DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下
<3>25℃における針入度が5以下
<4>35℃における針入度が7以下
<5>120℃における粘度が6mPa・s以下
<6>加熱減量分析(TG/DTA)により測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上。
<1>DSC最大吸熱ピーク温度が65〜80℃の要件は、本発明のワックス組成物が有する適度な融点を示している。DSC最大吸熱ピーク温度が65℃未満の場合にはワックスを含有する素材の加工性や保存安定性が低下する理由から好ましくない。80℃を超える場合はワックスの融解に多量のエネルギーを要する理由から好ましくない。
<2>DSC最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下の要件は、本発明のワックス組成物が有する高感温性を示している。11℃を超える場合は、ワックスを含有する素材を目的の性質に変化させるまでの時間が長くなるため好ましくない。なお、前記半値幅の下限については、特に高感温である融点65〜80℃の単分散な直鎖状炭化水素での代表値が4℃である観点から一般的には、4℃であることが好ましく考慮される。
<3><4>針入度が25℃で5以下、35℃で7以下の要件は本発明のワックス組成物が有する高硬度性を示している。針入度がこれを超える場合には、ワックスを含有する素材の加工性や保存安定性が低下するため好ましくない。なお、針入度の下限値については、特に高硬度であるカルナバワックスでの代表値が25℃では0、35℃では0である観点から、一般的には、25℃では0、35℃では0であることが好ましく考慮される。
<5>120℃粘度6mPa・s以下の要件は、本発明のワックス組成物が有する低粘度性を示している。粘度が6mPa・sを超える場合はワックスを含有する素材の滑性が低く好ましくない。前記粘度の下限値については、特に低粘度である融点65〜80℃の単分散な直鎖状炭化水素での代表値が2mPa・sである観点から、一般的には、2mPa・sであることが好ましく考慮される。
<6>TG/DTA減量率50%到達温度が330℃以上の要件は、本発明のワックス組成物が有する低揮発性を示している。330℃未満では使用環境に於いて揮発成分の発生量が多くなる可能性が高まるため好ましくない。前記到達温度の上限については、特に低揮発である融点65〜80℃のマイクロクリスタリンワックスでの代表値が424℃である観点から、一般的には、430℃であることが好ましく考慮される。
A+B
A+C
B+C
が挙げられる。
A+B+C
を挙げられる。
炭化水素系ワックス(A):35〜65
エステル系ワックス(B):35〜65
オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C):2〜10
2)ワックス組成物(A+C、B+C)
炭化水素系ワックス(A):80〜98
エステル系ワックス(B):80〜98
オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C):2〜20
配合に際しては、各々のワックスを融解温度以上の、例えば100℃前後で混合することが考慮される。
測定方法
[最大吸熱ピーク温度]
JIS K 7172に準拠して測定する。DSC測定装置(セイコー電子工業製 DSC6220)を用いる。装置検出部の温度補正は、水銀、ガリウム、インジウム、錫の融点を用いる。サンプルは約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ測定する。リファレンスとしてアルミ製の空パンを用いる。本発明では、150℃から30℃まで10℃/min.で冷却した後、30℃から150℃まで10/min.で昇温したときの最大吸熱ピーク温度である。
[最大吸熱ピークの半値幅]
最大吸熱ピークからベースラインに降ろした垂線の高さの1/2における示差熱曲線のピークの温度幅である。
[針入度]
JIS K 2235 5.4に準拠して、それぞれ25℃、35℃での値を測定する。
[粘度]
JIS K 6862に準拠して測定する。具体的には、TVB型粘度計、HM1ローター、60rpm、120℃で測定する。
[50%減量温度]
加熱減量分析(セイコー電子工業製TG/DTA2020)を用いる。試料約10mgを白金パンに精秤し、リファレンスとして酸化アルミニウムの入った白金パンを用いる。窒素雰囲気下で30℃から10℃/min.で昇温した際に試料重量の減量率が50%となったときの試料温度を測定する。
原材料
1)ECOSOLE−0001(融点76.6℃、日本精蝋株式会社製、ヒマワリ種子蝋、けん化価91mgKOH/g)
2)HNP−11(融点68.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
3)HNP−9(融点75.7℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
4)HNP−51(融点78.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
5)FT−0070(融点70.5℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
6)FNP−0090(融点89.9℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
7)Hi−Mic−1090(融点79.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
8)カルナバワックス1号(融点83.1℃、加藤洋行株式会社製、植物系ワックス)
9)キャンデリラワックス(融点62.9℃、加藤洋行株式会社製、植物系ワックス)
10)MAW−0071(融点70.1℃、25℃針入度1、35℃針入度3、けん化価164mgKOH/g、140℃粘度650mPa・s)日本精蝋株式会社製、αオレフィン−無水マレイン酸共重合物)
11)MAW−0300(融点73.0℃、25℃針入度2、35℃針入度6、けん化価105mgKOH/g、140℃粘度50mPa・s日本精蝋株式会社製、αオレフィン−無水マレイン酸共重合物)
12)WEISSEN−0672(融点63.0℃、25℃針入度4、35℃針入度9、日本精蝋株式会社製、エテン重合物)
13)HI−WAX100P(融点105℃、25℃針入度1、35℃針入度2、三井化学株式会社製、ポリエチレンワックス)
以上の原材料のうちの1)から9)までのワックスについて、表1に、最大吸熱ピーク温度、半値幅、針入度(25℃、35℃)、粘度(120℃)、50%減量温度を示す。
ワックス組成物の調製
[参考例1]
<比較例1>
<比較例2>
<比較例3>
<比較例4>
<比較例5>
<比較例6>
<比較例7>
<比較例8>
<比較例9>
評 価
以上の実施例、参考例、比較例について、最大吸熱ピーク温度、半値幅、針入度(25℃、35℃)、粘度(120℃)、50%未満減量温度の測定結果を表2、表3に示す。また、図1及び図2には、実施例1〜7、参考例1、実施例9についてのDSC吸熱曲線とピーク温度とを例示する。
具体的には、表2の実施例1〜3では、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を含有するワックス組成物(A+B)であって、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)それぞれ単独での最大吸熱ピーク温度より算出される加重平均値よりも3℃以上低くなる事で上記要件を満足したワックス組成物となったことがわかる。一方、表3の実施例1〜3とは異なる炭化水素系ワックスを配合した比較例1では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅と針入度が大きい。比較例2と3では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が大きく、粘度が高い。
Claims (6)
- 炭化水素系ワックス(A)と、エステル系ワックス(B)およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)のうちの少なくとも1種を含有するワックス組成物であって、
<1>示差走査熱量分析(DSC)における最大吸熱ピーク温度が65〜80℃、
<2>DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下、
<3>25℃における針入度が5以下
<4>35℃における針入度が7以下
<5>120℃における粘度が6mPa・s以下であり、
<6>加熱減量分析(TG/DTA)により測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上
であり、
炭化水素系ワックス(A)がHNP(登録商標)−11、HNP(登録商標)−9又はHNP(登録商標)−51であり、
エステル系ワックス(B)がECOSOLE(登録商標)−0001であり、
オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)がMAW(商標)−0071であることを特徴とするワックス組成物。 - 炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を含有するワックス組成物であって、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)それぞれ単独での最大吸熱ピーク温度より算出される加重平均値よりも3℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載のワックス組成物。
- 炭化水素系ワックス(A)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)、又は、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)を含有するワックス組成物であって、針入度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)それぞれ単独での針入度より算出される加重平均値よりも25℃では1以上、35℃では2以上低いことを特徴とする請求項1に記載のワックス組成物。
- 炭化水素系ワックス(A)は、DSCにおける最大吸熱ピークが65〜80℃であり、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が10℃以下であり、25℃における針入度が8以下であり、35℃における針入度が11以下であり、120℃における粘度が7mPa・s以下であり、TG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のワックス組成物。
- エステル系ワックス(B)は、ひまわり種子より採取されたものであり、DSCにおける最大吸熱ピークが70〜80℃であり、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が10℃以下であり、25℃における針入度が7以下であり、35℃における針入度が9以下であり、けん化価が73〜97であり、120℃における粘度が8mPa・s以下であり、TG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度が380℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のワックス組成物。
- オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)は、DSCにおける最大吸熱ピークが65〜80℃であり、25℃における針入度が2以下であり、35℃における針入度が4以下であり、けん化価が140〜180mgKOH/gであり、140℃における粘度が400〜2000mPa・sであることを特徴とする請求項1または3に記載のワックス組成物。
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