JP6387122B2 - ワックス組成物 - Google Patents

ワックス組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6387122B2
JP6387122B2 JP2017001719A JP2017001719A JP6387122B2 JP 6387122 B2 JP6387122 B2 JP 6387122B2 JP 2017001719 A JP2017001719 A JP 2017001719A JP 2017001719 A JP2017001719 A JP 2017001719A JP 6387122 B2 JP6387122 B2 JP 6387122B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wax
penetration
less
endothermic peak
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017001719A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018111752A (ja
Inventor
佳真 西村
佳真 西村
紀明 棟久
紀明 棟久
田口 新
新 田口
松本 浩
浩 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Seiro Co Ltd
Original Assignee
Nippon Seiro Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Seiro Co Ltd filed Critical Nippon Seiro Co Ltd
Priority to JP2017001719A priority Critical patent/JP6387122B2/ja
Publication of JP2018111752A publication Critical patent/JP2018111752A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6387122B2 publication Critical patent/JP6387122B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、適度な融点をもち、低粘度、低揮発性、高感温性、高硬度である新しいワックス組成物に関する。
ワックスは、高級脂肪酸と高級1価アルコールとからなる固形エステルであるが、慣用としてはこの定義に入らないものも広く用いられており、例えば炭化水素であるパラフィンワックスなどがある(岩波「理化学辞典第5版」)とされている。また、「ワックスは、化学的には長鎖の脂肪酸と長鎖の一価アルコールのエステル固形状のものをいい、油脂とは別種のものであるが、実際にはもっと広義に用いられ、ろう状の物理的性質、すなわち耐水性、可塑性、光沢性、不透明性などを示し、一般には50〜90℃で融解するものをいう(「化学大辞典」第5刷、東京化学同人)とされている。
以上のような化学的な規定を踏まえ、現状では、慣用的に、ワックスは、常温から100℃付近までの適度な温度範囲で融解し、粘度が低い有機物と表現される。ワックスの用途は産業的には広範囲にわたっており、極めて重要な産業資材とされている。
上記ワックスは、各種有機系素材や無機系素材の機能性を向上する目的でしばしば添加される。その際ワックスに求められる特性は、高硬度でその形状を維持して素材の特性を損なわない事、及び、適度な加熱で速やかに融解して素材を目的の性質に変化させる高感温性などである。ワックスの溶融粘度は素材の滑性を調整する為に重要な因子であり、低い事が望まれる。さらには、使用環境下で発生する揮発成分は環境負荷の観点から少ない事が望まれる。しかしながら、ワックスの物性は、その組成によっても異なるが、上記の一般的な特徴の全ての技術的要件をバランス良く、万全なものとして満たすことは必ずしも容易ではない。例えば、高硬度なワックスは融点が高く高粘度であり、低硬度なワックスは融点が低く高揮発性であることが多い。
そこで、従来より様々な工夫や改善が試みられてきているが、さらなる改善の余地が残されているのが現状である。例えば、適度な融点を持ち、低粘度で高感温性なワックスとして、炭化水素系ワックスが知られている。直鎖状炭化水素の比率を高めることによる低粘度化や、炭素数分布を狭くすることによる感温性の向上や高硬度化が可能な素材だが、さらなる高硬度化や低揮発性化が望まれる。
また、適度な融点を持ち、高硬度なワックスとして、カルナバワックスやキャンデリラワックスが知られている。これらは、いずれも植物から分離、精製された異種の様々な有機物の混合物であり、その複雑な構造が有機的に機能して高硬度を実現している。一方で、これらの素材は樹脂状成分を多く含む為に高粘度であり、感温性も十分とは言えない。
そして、適度な融点を持ち、低粘度、低揮発性、高感温性である素材として、ひまわり種子から採取されたワックスが提案されてもいる(特許文献1、2参照)。これらの特性は、ひまわり種子から採取された粗蝋を高度に精製することで実現可能であるが、カルナバワックスやキャンデリラワックスに比べると低硬度であり、さらなる高硬度化が望まれる。
特開2011−48315 特開2012−214663
本発明は、以上のような従来技術の事情を踏まえ、ワックスに求められる技術的要件をバランス良く具備し、適度な融点を持ち、低粘度、低揮発性、高感温性、高硬度なワックス組成物を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、炭化水素系ワックス(A)、エステル系ワックス(B)およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)のうちの少くとも2種を含有し、次の特徴を有するワックス組成物を提供する。
<1>示差走査熱量分析(DSC)における最大吸熱ピーク温度が65〜80℃、
<2>DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下
<3>25℃における針入度が5以下
<4>35℃における針入度が7以下
<5>120℃における粘度が6mPa・s以下
<6>加熱減量分析(TG/DTA)により測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上。
そして、好ましいワックス組成物として、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を含有するワックス組成物、並びに、炭化水素系ワックス(A)、及び/又はエステル系ワックス(B)とオレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)を含有するワックス組成物を提供する。
本発明のワックス組成物においては、従来技術の問題点を解消し、ワックスに求められる技術的要件をバランス良く具備し、適度な融点を持ち、低粘度、低揮発性、高感温性、高硬度なワックスが実現される。
実施例1〜6の吸熱曲線と吸熱ピーク温度を示す図である。 実施例7、参考例1、実施例9の吸熱曲線と吸熱ピーク温度を示す図である。
本発明の炭化水素系ワックス(A)、エステル系ワックス(B)およびオレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)の少くとも2種を含有するワックス組成物における前記の<1>から<6>の特徴は以下のことを示している。
<1>DSC最大吸熱ピーク温度が65〜80℃の要件は、本発明のワックス組成物が有する適度な融点を示している。DSC最大吸熱ピーク温度が65℃未満の場合にはワックスを含有する素材の加工性や保存安定性が低下する理由から好ましくない。80℃を超える場合はワックスの融解に多量のエネルギーを要する理由から好ましくない。
<2>DSC最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下の要件は、本発明のワックス組成物が有する高感温性を示している。11℃を超える場合は、ワックスを含有する素材を目的の性質に変化させるまでの時間が長くなるため好ましくない。なお、前記半値幅の下限については、特に高感温である融点65〜80℃の単分散な直鎖状炭化水素での代表値が4℃である観点から一般的には、4℃であることが好ましく考慮される。
<3><4>針入度が25℃で5以下、35℃で7以下の要件は本発明のワックス組成物が有する高硬度性を示している。針入度がこれを超える場合には、ワックスを含有する素材の加工性や保存安定性が低下するため好ましくない。なお、針入度の下限値については、特に高硬度であるカルナバワックスでの代表値が25℃では0、35℃では0である観点から、一般的には、25℃では0、35℃では0であることが好ましく考慮される。
<5>120℃粘度6mPa・s以下の要件は、本発明のワックス組成物が有する低粘度性を示している。粘度が6mPa・sを超える場合はワックスを含有する素材の滑性が低く好ましくない。前記粘度の下限値については、特に低粘度である融点65〜80℃の単分散な直鎖状炭化水素での代表値が2mPa・sである観点から、一般的には、2mPa・sであることが好ましく考慮される。
<6>TG/DTA減量率50%到達温度が330℃以上の要件は、本発明のワックス組成物が有する低揮発性を示している。330℃未満では使用環境に於いて揮発成分の発生量が多くなる可能性が高まるため好ましくない。前記到達温度の上限については、特に低揮発である融点65〜80℃のマイクロクリスタリンワックスでの代表値が424℃である観点から、一般的には、430℃であることが好ましく考慮される。
本発明の好ましい実施の形態としては、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)とのワックス組成物(A+B)、そして、炭化水素系ワックス(A)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)とのワックス組成物(A+C)、エステル系ワックス(B)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)とのワックス組成物(B+C)の2種のワックスを含有するワックス組成物、すなわち:
A+B
A+C
B+C
が挙げられる。
また、3種のワックスを含有するRワックス組成物:
A+B+C
を挙げられる。
ここで、前記のワックス組成物(A+B)においては、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を配合する事による融点降下現象を利用して前記要件<1>から<6>の全てを達成するものである。具体的には、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)それぞれ単独での最大ピーク温度より算出される加重平均値よりも3℃以上低くなることが好ましい。このことは、高融点なワックスが持つ高硬度、低揮発性といった特性を維持しつつ、配合技術によって適度な融点に調整する事が目的であり、融点降下の効果が3℃未満では高融点であり不十分である。
また、前記のワックス組成物(A+B、B+C、A+B+C)においては、オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)を配合することによる高硬度化現象を利用して前記要件<1>から<6>の全てを達成するものである。具体的には、それぞれ単独での針入度より算出される加重平均値よりも25℃で1以上、35℃で2以上低いことが好ましい。このことは、適度な融点を持つワックスでは不足する硬度を、オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)を配合する事で高硬度化する事が目的であり、高硬度化の効果が25℃で1未満、35℃で2未満では不十分である。
本発明の前記のワックス組成物(A+B、A+C、A+B+C)の調製に用いられる炭化水素系ワックス(A)としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。必要に応じて溶剤抽出、蒸留、吸着、水添、ろ過などの精製処理を行ってもよい。炭化水素系ワックス(A)のDSCにおける最大吸熱ピーク温度は65〜80℃であることが好ましい。最大吸熱ピーク温度がこの範囲を外れると、エステル系ワックス(B)を配合した際のワックス組成物の最大吸熱ピークの半値幅が大きく、オレフィン―無水マレイン酸(C)を配合した際のワックス組成物の針入度が大きい。炭化水素系ワックス(A)のDSCにおける最大吸熱ピークの半値幅は10℃以下であることが好ましい。半値幅が10℃を超えるとワックス組成物の感温性に乏しい。炭化水素系ワックス(A)の25℃における針入度は8以下であり、35℃における針入度は11以下であることが好ましい。針入度がこれを超えるとワックス組成物の低硬度であり不十分である。炭化水素系ワックス(A)の120℃における粘度は7mPa・s以下であることが好ましい。粘度が7mPa・sを超えるとワックス組成物の高粘度であり不十分である。炭化水素系ワックス(A)のTG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度は330℃以上であり、330℃未満ではワックス組成物の高揮発性であり不十分である。
本発明の前記のワックス組成物(A+B、B+C、A+B+C)の調製に用いられるエステル系ワックス(B)は、長鎖の脂肪酸と長鎖の一価アルコールとのエステルとして各種であってよいが、植物由来のエステル系ワックスであることが好ましい。より好ましく例示されるのは、ひまわり種子より採取されたワックスである。ひまわり種子からワックスを採取する方法は特に限定しないが、種子の圧搾や溶剤抽出により採取されたひまわり油のウィンタリングや、種子外殻表面の溶剤洗浄などにより得ることが出来る。必要に応じて、溶剤抽出、蒸留、吸着、水添、ろ過などの精製処理を行ってもよい。エステル系ワックス(B)のDSCにおける最大吸熱ピーク温度は70〜80℃であることが好ましい。最大吸熱ピーク温度がこの範囲を外れると、炭化水素系ワックス(A)を配合した際の最大吸熱ピークの半値幅が大きく、オレフィン―無水マレイン酸(C)を配合した際の針入度が大きい。エステル系ワックス(B)のDSCにおける最大吸熱ピークの半値幅は10℃以下であり、10℃を超えるとワックス組成物の感温性に乏しい。エステル系ワックス(B)の25℃における針入度は7以下であり、35℃における針入度は9以下であることが好ましい。針入度がこれを超えるとワックス組成物は低硬度であり不十分である。エステル系ワックス(B)のけん化価は73〜97であることが好ましい。けん化価がこの範囲を外れるとワックス組成物の揮発性や硬度が不十分となる。エステル系ワックス(B)の120における粘度は8mPa・s以下であり、8mPa・sを超えると高粘度であり不十分である。エステル系ワックス(B)のTG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度は380℃以上であることが好ましい。380℃未満ではワックス組成物は高揮発性であり不十分である。
本発明の前記ワックス組成物(A+C、B+C、A+B+C)の調製に用いられる。オレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)は、末端に二重結合を有するオレフィンと無水マレイン酸をブチルパーオキシドなどの触媒下で共重合させたワックスである。DSCにおける最大吸熱ピーク温度は65〜80℃であることが好ましい。最大吸熱ピーク温度がこの範囲を外れると、炭化水素系ワックス(A)やエステル系ワックス(B)に配合した際のワックス組成物の針入度が大きい。オレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)の25℃における針入度は2以下であり、35℃における針入度が4以下であることが好ましい。針入度がこれを超えるとワックス組成物は低硬度であり不十分である。オレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)の140℃における粘度は400〜2000mPa・sであることが好ましい。粘度が400mPa・s未満では炭化水素系ワックス(A)やエステル系ワックス(B)に配合した際にワックス組成物の針入度が大きく、粘度が2000mPa・sを超えると高粘度であり不十分である。オレフィン―無水マレイン酸共重合体(C)のけん化価は140〜180mgKOH/gであることが好ましい。けん化価がこの範囲を外れると炭化水素系ワックス(A)やエステル系ワックス(B)に配合した際のワックス組成物の針入度が大きい。
本発明のワックス組成物は、以上のとおりの炭化水素系ワックス(A)、エステル系ワックス(B)、そしてオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)の2種以上を配合することにより調製されるが、その際の配合比率については、ワックス組成物の全体量に対して、質量%として、以下の範囲とすることが好ましく考慮される。
1)ワックス組成物(A+B、A+B+C)
炭化水素系ワックス(A):35〜65
エステル系ワックス(B):35〜65
オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C):2〜10
2)ワックス組成物(A+C、B+C)
炭化水素系ワックス(A):80〜98
エステル系ワックス(B):80〜98
オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C):2〜20
配合に際しては、各々のワックスを融解温度以上の、例えば100℃前後で混合することが考慮される。
以下、実施例、参考例、比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例、参考例、比較例における測定方法、調製方法は次のとおりである。
測定方法
[最大吸熱ピーク温度]
JIS K 7172に準拠して測定する。DSC測定装置(セイコー電子工業製 DSC6220)を用いる。装置検出部の温度補正は、水銀、ガリウム、インジウム、錫の融点を用いる。サンプルは約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ測定する。リファレンスとしてアルミ製の空パンを用いる。本発明では、150℃から30℃まで10℃/min.で冷却した後、30℃から150℃まで10/min.で昇温したときの最大吸熱ピーク温度である。
[最大吸熱ピークの半値幅]
最大吸熱ピークからベースラインに降ろした垂線の高さの1/2における示差熱曲線のピークの温度幅である。
[針入度]
JIS K 2235 5.4に準拠して、それぞれ25℃、35℃での値を測定する。
[粘度]
JIS K 6862に準拠して測定する。具体的には、TVB型粘度計、HM1ローター、60rpm、120℃で測定する。
[50%減量温度]
加熱減量分析(セイコー電子工業製TG/DTA2020)を用いる。試料約10mgを白金パンに精秤し、リファレンスとして酸化アルミニウムの入った白金パンを用いる。窒素雰囲気下で30℃から10℃/min.で昇温した際に試料重量の減量率が50%となったときの試料温度を測定する。
原材料
1)ECOSOLE−0001(融点76.6℃、日本精蝋株式会社製、ヒマワリ種子蝋、けん化価91mgKOH/g)
2)HNP−11(融点68.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
3)HNP−9(融点75.7℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
4)HNP−51(融点78.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
5)FT−0070(融点70.5℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
6)FNP−0090(融点89.9℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
7)Hi−Mic−1090(融点79.4℃、日本精蝋株式会社製、炭化水素系ワックス)
8)カルナバワックス1号(融点83.1℃、加藤洋行株式会社製、植物系ワックス)
9)キャンデリラワックス(融点62.9℃、加藤洋行株式会社製、植物系ワックス)
10)MAW−0071(融点70.1℃、25℃針入度1、35℃針入度3、けん化価164mgKOH/g、140℃粘度650mPa・s)日本精蝋株式会社製、αオレフィン−無水マレイン酸共重合物)
11)MAW−0300(融点73.0℃、25℃針入度2、35℃針入度6、けん化価105mgKOH/g、140℃粘度50mPa・s日本精蝋株式会社製、αオレフィン−無水マレイン酸共重合物)
12)WEISSEN−0672(融点63.0℃、25℃針入度4、35℃針入度9、日本精蝋株式会社製、エテン重合物)
13)HI−WAX100P(融点105℃、25℃針入度1、35℃針入度2、三井化学株式会社製、ポリエチレンワックス)
以上の原材料のうちの1)から9)までのワックスについて、表1に、最大吸熱ピーク温度、半値幅、針入度(25℃、35℃)、粘度(120℃)、50%減量温度を示す。
表1からも明らかなように、以下の実施例でも用いられているワックス成分単体では、本発明の要件<1>から<6>の全てを満たすものはない。また、カルナバワックス、キャンデリラワックスは、適度な融点で高硬度な素材として知られているが、粘度が高いことがわかる。
ワックス組成物の調製
HNP−11を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−9を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−51を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−11を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−9を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−9を90質量部、MAW−0071を10質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−51を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
[参考例1]
ECOSOLE−0001を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
HNP−9を47.5質量部、ECOSOLE−0001を47.5質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例1>
FT−0070を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例2>
FNP−0090を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例3>
Hi−Mic−1090を50質量部、ECOSOLE−0001を50質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例4>
FT−0070を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例5>
Hi−Mic−1090を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例6>
FNP−0090を95質量部、MAW−0071を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例7>
HNP−9を95質量部、WEISSEN−0672を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例8>
HNP−9を95質量部、MAW−0300を5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
<比較例9>
HNP−9を95質量部、Hi−Wax100Pを5質量部、それぞれを100℃に加熱した溶融設備で均一に混合して組成物を得た。得られた組成物について、示差走査熱量測定,熱重量測定、針入度、溶融粘度にて評価した。
評 価
以上の実施例、参考例、比較例について、最大吸熱ピーク温度、半値幅、針入度(25℃、35℃)、粘度(120℃)、50%未満減量温度の測定結果を表2、表3に示す。また、図1及び図2には、実施例1〜7、参考例1、実施例9についてのDSC吸熱曲線とピーク温度とを例示する。
表2の実施例1〜7、実施例9は、炭化水素系ワックス(A)、エステル系ワックス(B)、およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)のうちの少なくとも種を含有するワックス組成物であって、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が65〜80℃であり、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下であり、25℃における針入度が5以下であり、35℃における針入度が7以下であり、120℃における粘度が6mPa・s以下であり、TG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上である。これらの実施例によって、本発明のワックス組成物が、適度な融点をもち、低粘度、低揮発性、高感温性、高硬度である新しいワックス組成物であることがわかる。
具体的には、表2の実施例1〜3では、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を含有するワックス組成物(A+B)であって、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)それぞれ単独での最大吸熱ピーク温度より算出される加重平均値よりも3℃以上低くなる事で上記要件を満足したワックス組成物となったことがわかる。一方、表3の実施例1〜3とは異なる炭化水素系ワックスを配合した比較例1では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅と針入度が大きい。比較例2と3では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が大きく、粘度が高い。
表2の実施例4〜7、実施例9では、炭化水素系ワックス(A)オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)、又は、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)及びオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)を含有するワックス組成物(A+C、A+B+C)であり、針入度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)それぞれ単独での針入度より算出される加重平均値よりも25℃では1以上、35℃では2以上低くなる事で上記要件を満足したワックス組成物となったことがわかる。一方、表3の実施例4〜7、実施例9とは異なる炭化水素系ワックスを配合した比較例4では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が大きく、針入度が大きい。比較例5では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が大きく、針入度が大きく、粘度が高い。比較例6では、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が大きく、粘度が高い。また、実施例4〜7、実施例9とは異なるオレフィン−無水マレイン酸共重合体(MAW−0300)を用いた比較例8では、改質効果が不十分である為に針入度が大きい。また、オレフィン−無水マレイン酸共重合体の代わりに、エテン重合物を用いた比較例7に於いても、改質効果が不十分である為に針入度が大きい。また、オレフィン−無水マレイン酸共重合体の代わりに、高硬度なポリエチレンワックスを配合した比較例9に於いても、その改質効果が不十分である為に針入度が大きい。
本発明により、従来の天然ワックス、又は合成ワックスを代替し、あるいは、改質用として用いるのに有用な、適度な融点をもち、低粘度、低揮発性、高感温性、高硬度である新しいワックス組成物が提供される。このようなワックスは、各種有機系化合物や無機系化合物に配合する事で機能を向上させる事が可能であり、好適な用途例としては、トナー用、熱転写インク用、感熱紙用、タイヤ用、電気絶縁用、塗料用、石膏ボード用、紙加工用、接着剤用、文具用、農林業用、滑剤用、紡織用、皮革用、つや出し用、セラミック成型用など多岐に渡る。

Claims (6)

  1. 炭化水素系ワックス(A)と、エステル系ワックス(B)およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)のうちの少なくとも1種を含有するワックス組成物であって、
    <1>示差走査熱量分析(DSC)における最大吸熱ピーク温度が65〜80℃、
    <2>DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が11℃以下、
    <3>25℃における針入度が5以下
    <4>35℃における針入度が7以下
    <5>120℃における粘度が6mPa・s以下であり、
    <6>加熱減量分析(TG/DTA)により測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上
    であり、
    炭化水素系ワックス(A)がHNP(登録商標)−11、HNP(登録商標)−9又はHNP(登録商標)−51であり、
    エステル系ワックス(B)がECOSOLE(登録商標)−0001であり、
    オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)がMAW(商標)−0071であることを特徴とするワックス組成物。
  2. 炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)を含有するワックス組成物であって、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)それぞれ単独での最大吸熱ピーク温度より算出される加重平均値よりも3℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載のワックス組成物。
  3. 炭化水素系ワックス(A)オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)、又は、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)およびオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)を含有するワックス組成物であって、針入度が、炭化水素系ワックス(A)とエステル系ワックス(B)とオレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)それぞれ単独での針入度より算出される加重平均値よりも25℃では1以上、35℃では2以上低いことを特徴とする請求項1に記載のワックス組成物。
  4. 炭化水素系ワックス(A)は、DSCにおける最大吸熱ピークが65〜80℃であり、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が10℃以下であり、25℃における針入度が8以下であり、35℃における針入度が11以下であり、120℃における粘度が7mPa・s以下であり、TG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度が330℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のワックス組成物。
  5. エステル系ワックス(B)は、ひまわり種子より採取されたものであり、DSCにおける最大吸熱ピークが70〜80℃であり、DSCにおける最大吸熱ピークの半値幅が10℃以下であり、25℃における針入度が7以下であり、35℃における針入度が9以下であり、けん化価が73〜97であり、120℃における粘度が8mPa・s以下であり、TG/DTAにより測定した時の減量率が50%に到達する温度が380℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のワックス組成物。
  6. オレフィン−無水マレイン酸共重合体(C)は、DSCにおける最大吸熱ピークが65〜80℃であり、25℃における針入度が2以下であり、35℃における針入度が4以下であり、けん化価が140〜180mgKOH/gであり、140℃における粘度が400〜2000mPa・sであることを特徴とする請求項1または3に記載のワックス組成物。
JP2017001719A 2017-01-10 2017-01-10 ワックス組成物 Active JP6387122B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017001719A JP6387122B2 (ja) 2017-01-10 2017-01-10 ワックス組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017001719A JP6387122B2 (ja) 2017-01-10 2017-01-10 ワックス組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018111752A JP2018111752A (ja) 2018-07-19
JP6387122B2 true JP6387122B2 (ja) 2018-09-05

Family

ID=62911969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017001719A Active JP6387122B2 (ja) 2017-01-10 2017-01-10 ワックス組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6387122B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113980479B (zh) * 2021-11-09 2022-10-25 中国石油化工股份有限公司 一种专用于耐油丁腈橡胶制品的储存防黏连料及制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6460659A (en) * 1987-08-31 1989-03-07 Nippon Seiro Kk Base wax
JPH01225684A (ja) * 1988-03-04 1989-09-08 Nippon Seirou Kk パーティクルボード用撥水性付与組成物
JPH0333161A (ja) * 1989-06-30 1991-02-13 Nippon Seirou Kk ワックス分散液
JPH03199267A (ja) * 1989-12-27 1991-08-30 Nippon Seirou Kk ワックス分散物
JP2012214663A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Nippon Seiro Co Ltd 樹脂添加剤用ワックス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018111752A (ja) 2018-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Quinchia et al. Viscosity modification of different vegetable oils with EVA copolymer for lubricant applications
US8664458B2 (en) Method for producing waxes and grease base stocks through catalytic depolymerisation of waste plastics
JP6387122B2 (ja) ワックス組成物
US5772949A (en) Thermally expandable, viscosity modified wax compositions and method of use in actuators
Martín-Alfonso et al. Ethylene-vinyl acetate copolymer (EVA)/sunflower vegetable oil polymer gels: Influence of vinyl acetate content
Ataei et al. Fast physical drying, high water and salt resistant coatings from non-drying vegetable oil
US2390530A (en) Synthetic gum for paints and varnishes
US20160060463A1 (en) Pastes Containing Solvent
NO118089B (ja)
JP4531907B2 (ja) プロセスオイルおよびその製造方法
KR102134051B1 (ko) 트리글리세리드 기재의 저점도 고인화점 유전 유체
JP2019517919A (ja) 保護樹脂触媒の製造方法
JP4986127B2 (ja) 印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂組成物の製造方法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ
WO2014054048A1 (en) Triglyceride based, low viscosity, high flash point dielectric fluids
US7955429B2 (en) Enhancing the properties of waxes by use of trans-4-tertbutyl-1-phenylcyclohexanol
CN108026321B (zh) 用于丙烯酸胶黏剂和黏合剂的增塑剂
JPH10237481A (ja) ろうそく用ワックス組成物
JP6425055B1 (ja) 平版印刷インキ組成物及び印刷物
CN104703477A (zh) 基于非油酸甘油三酯、低粘度、高闪点的介电流体
WO2011133011A1 (en) Printing ink composition
JP2005075862A (ja) 印刷インキ用樹脂組成物、印刷インキ用樹脂ワニス、これらの製造方法、および印刷インキ
JPH08165417A (ja) マイクロクリスタリンワックス代替物
Florindo et al. Valorisation of Salvia Hispanica L.(Chia) Oil into Air-Drying Alkyd Resins: Towards Solvent-Free Nanodispersion Formulations and Their Oxidative Miniemulsion Polymerisation
Ireh et al. Synthesis and Mechanical Properties of Polystyrene Blended with Sand Apricot Seed Oil (SAO) used as a Plasticizer
Cameron et al. Comparative study between coal tar pitch and lower polycyclic aromatic hydrocarbon (PAH) alternative binders for use in taphole clays

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170110

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20180226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6387122

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250