以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のラベル装着装置を含むラベル装着システム10を示す上面図である。図2は、第1実施形態のラベル装着装置の要部を示す斜視図である。図5は、図1のラベル装着システムにおいてラベルが容器に装着される様子を平面上に展開して示すとともに、ラベル拡径工程が実行される加温領域Hを破線で示す図である。
図1に示すように、ラベル装着システム10は、ボトル供給部12、ラベル供給装置13、ラベル受渡部14、ロータリー型のラベル装着装置15及びボトル搬出部16を備える。図1において、ラベル装着装置15を基準に見ると、正面視(図1の下側から上側を見る方向)でボトル供給部12はラベル装着装置15の手前右側に配置され、ボトル搬出部16はラベル装着装置15の手前左側に配置されている。また、ラベル供給装置13は、ラベル装着装置15の左側奥に配置されている。
ラベル装着システム10は、ラベル装着装置15でPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる多数のボトルタイプの容器Bを搬送しながら、各容器Bの胴部にストレッチフィルムからなる筒状のラベルLを連続的に装着する処理を行う。ラベル装着装置15では、容器Bの上方位置でラベルLを筒状に開いた後、容器Bを上昇させてその容器Bの胴部にラベルLを装着する処理が行われる。
ラベル装着システム10のボトル供給部12は、多数の容器Bを所定の間隔で連続的にラベル装着装置15に供給する機能を有する。ボトル供給部12は、ベルトコンベア121、図示省略のスクリュー、及びスターホイール122を含む。ベルトコンベア121は多数の容器Bを一列に並べてラベル装着装置15側(図1では右側から左側への搬送)に搬送する。スクリューはベルトコンベア121で搬送された容器Bの間隔をスターホイール122のボトル受取間隔に調整する。スターホイール122は、図1において時計回りに回転してスクリューで搬送される各容器Bを受け取り、ラベル装着装置15の容器Bの受取タイミングに同期してボトル供給位置γに搬送し、各容器Bをラベル装着装置15に受け渡す。
ラベル供給装置13は、ボトル供給部12がラベル装着装置15に容器Bを供給する周期と同一の周期でラベル基材から個々のラベルL(図5参照)を切断して、ラベル受渡部14に供給する機能を有する。ラベル基材LSは、同一の絵柄が一定間隔で印刷された例えばポリエチレン系樹脂などからなる帯状のストレッチフィルムを筒状に整形し、シート状に折り畳んだものである。ラベル基材に用いられるストレッチフィルムは、伸縮性の良いフィルムで、例えば、厚さ10μm〜100μmで周方向の伸長倍率が1.01倍〜1.60倍の弾性伸縮性フィルムである。
ラベル基材LSから切断形成されたラベルLは、ラベル基材を構成するフィルムの端縁同士を重ね合わせて接合した部分であるシール部を有する。シール部がヒートシールされて接合されている場合、シール部近傍に位置するフィルム部分が熱履歴の影響により硬化して限界伸長率が低下していることがある。この場合、このように硬化したフィルム部分がラベルLを拡径させるときに限界伸長率を超えて伸びると、フィルムの塑性変形により局部的に大きく伸長することよってその部分の印刷層が割れるインク割れ等の問題が生じ得る。このインク割れの対策として、本実施形態のラベル装着装置15ではラベル拡径時の拡径速度を従来技術とは異ならせている。これについては後述する。
長尺帯状でシート状に折り畳まれたラベル基材LSは、図示しない基材ロールから繰り出されてラベル供給装置13に搬送される。ラベル供給装置13は、ラベル基材LSを高速搬送しながら切断装置で所定長さごとに切断して個々のラベルLを生成し、各ラベルLをラベル供給位置αに順次に搬送する。そして、ラベル供給装置13は、ラベル供給位置αにおいてラベルLをラベル受渡部14のテイクアップ部材142に受け渡す。
ラベル供給装置13に隣接して設けられるラベル受渡部14は、ラベル供給装置13から供給される各ラベルLをラベル供給装置13のラベル供給位置αで受け取り、ラベル装着装置15のラベル受渡位置βに搬送し、ラベル装着装置15に渡す。ラベル受渡部14は、回転軸141から放射状に突設された複数のテイクアップ部材142を有する。テイクアップ部材142は、櫛歯状のラベル受取面を有し、そのラベル受取面には吸引孔が設けられている。複数のテイクアップ部材142は、図1において時計回りに回転し、ラベル供給位置αでラベル供給装置13からラベルLをラベル受取面で受け取り、吸着によりそのラベルLを保持してラベル受渡位置βまで回転しながら搬送する。
ラベル装着装置15は、ボトル供給部12から所定の間隔で供給される多数の容器Bをボトル供給位置γで受け取り、各容器Bを所定の円軌道上で搬送しながらラベル供給装置13から供給されるラベルLを各容器Bに装着する。ボトル搬出部16は、ラベル装着装置15でラベルLが装着された容器Bをボトル搬出位置δで受け取り、後工程に搬出する。
ボトル搬出部16は、ベルトコンベア161とスターホイール162を有する。スターホイール162は、図1において時計回りに回転し、ボトル搬出位置δでラベル装着装置15の容器Bの受渡タイミングに同期してラベル付き容器Bを受け取り、ベルトコンベア161まで搬送する。スターホイール162で搬送された各ラベル付き容器Bは、ベルトコンベア161に載置され、そのベルトコンベア161によって後工程に搬送される。なお、ボトル搬出部16のベルトコンベア161は、ボトル供給部12のベルトコンベア121と連続的につながったものであってもよいし、分離した別個のものであってもよい。
ラベル装着装置15は、主軸151の周りを反時計回りに回転する環状の支持盤152を備える。この支持盤152には周縁に沿って例えば24個の容器Bを保持するボトル保持部80が等間隔DBで設けられている。また、各ボトル保持部80の上部に、ラベル受渡部14からシート状に折り畳まれたラベルLを受け取り、当該ラベルLを筒状に開く処理と容器Bを上昇させて当該ラベルLを装着させた当該容器Bをボトル搬出位置δに搬送する処理とを行うラベル装着ヘッド70が設けられている。
なお、後述するように、ラベル装着装置15はボトル供給位置γで受け取った容器Bをラベル受渡位置βまで搬送する間に上昇させてラベル装着ヘッド70のボトル持上部90(図5参照)に引き渡し、ボトル持上部90によってボトル搬出位置δまで搬送する動作をする。このため、高さ方向におけるボトル搬出位置δは、図5に示すように、ボトル供給位置γ(支持盤152の設けられている高さ位置と略同じ)よりも高い位置に設けられている。
支持盤152の各ボトル保持部80には、保持した容器Bを上昇させるボトル昇降機構が設けられている。ボトル保持部80は、図5に示すように、所定長の棒状のボトル昇降軸82と、ボトル昇降軸82の上端に固定されて容器Bを載置する円盤状のボトル載置台84とを含む。上記ボトル昇降軸82が図示しないカム機構によって上下移動することによって、容器Bが所定の位置で上昇移動するよう構成されている。
図1を再び参照すると、支持盤152の各ボトル保持部80には、ボトル供給部12から容器Bを立った状態で受け取ってその状態を保持するためにボトルガイド86が設けられている。ボトルガイド86は、支持盤152に固定された固定ガイド86aと、図示しないカム機構によって固定ガイド86aに対して接近・離間するように揺動する可動ガイド86bとを含む。これにより、可動ガイド86bは、ボトル供給位置γでボトル供給部12から容器Bが渡されるタイミングで外側に移動して(ボトルガイド86を開いて)スターホイール122から供給される容器Bをボトル載置台84上に受け入れ、容器Bがボトル載置台84に載置されるタイミングで内側に移動して(ボトルガイド86を閉じて)当該容器Bを保持する。
ラベル装着ヘッド70は、主軸151を中心とした同心円上に一定間隔で多数(本実施形態では24個)取り付けられている。ラベル装着ヘッド70は、図5に示すように、ラベル受取部28、ラベル拡開部40及びボトル持上部90を有する。ラベル受取部28は、ラベル受渡位置βでラベル受渡部14からシート状に折り畳まれたラベルLを受け取り、そのラベルLを予備的に筒状に開く。ラベル拡開部40は径方向に移動可能な6本の拡径爪50(図2参照)を有し、ボトル昇降軸82によって上昇する容器BがラベルLの内側を通り抜けられるように、ラベル受取部28で予備的に開口されたラベルLを拡径爪50により当該ラベルの伸縮性に抗して更に容器Bの外径より大きいサイズに押し広げる機能を有する。ラベル拡開部40の構造については後に詳述する。
ラベル受取部28は、ラベルLを受け取る開閉可能な一対のクランプ部材28aを有する。クランプ部材28aは、テイクアップ部材142と同様に、櫛歯状のラベル受取面を有し、そのラベル受取面には吸引孔が設けられている。ラベル受取部28は、一対のクランプ部材28aを開いた状態でラベル受渡位置βを水平方向に移動し、一方のクランプ部材28aのラベル受取面がラベル受渡部14のテイクアップ部材142と交差して当該テイクアップ部材142のラベル受取面で保持されているラベルLを受け取る。
ラベル受取部28は、ラベルLを受け取ると、一旦クランプ部材28aを閉じる動作をする。そして、両クランプ部材28aの吸引孔によってラベルLの表裏両面を吸着した後、開く動作をすることによりシート状に折り畳まれたラベルLを予備的に略舟形状に開いて、ラベル拡開部40において縮径位置にある複数の拡径爪50の周囲に被嵌する(図5(b)参照)。
ラベル装着ヘッド70のボトル持上部90は、図5に示すように、一対のグリッパ93を備える。各グリッパ93は、その内側の略中間位置に一対のネッククランパを有するとともに、その下端部に一対の胴部クランパを有する。そして、一対のグリッパ93が図示しない昇降機構および開閉機構によって上下移動および開閉動作することによって、ラベルLの内側に挿入された容器BをラベルLと共に持ち上げてラベル拡開部40から抜き取る動作を行う。グリッパ93によって持ち上げられたラベル付き容器Bは、グリッパ93の開動作によって解放されて、ボトル搬出部16のスターホイール162に受け渡される。
次に、図2を参照して、ラベル装着ヘッド70の要部であるラベル拡開部40について説明する。図2は、ラベル拡開部40の斜視図である。図2では、カム板のカム溝を見やすくするために、上板43の一部が除去されて示されている。ラベル拡開部40の上方には上述したラベル受取部28が設けられ、ラベル拡開部40の下方には上述したボトル保持部80が設けられる。また、ラベル受取部28の上方に上記ボトル持上部90が配設されている。
ラベル拡開部40は、ラベル装着ヘッド70に連結される基部41と、基部41の上に設けられたカム板42と、カム板42の上に設けられた上板43と、上板43に配置された複数の拡径爪50を含んで構成される。基部41とカム板42と上板43は、いずれも中心部に円形の開口部44を有する円環状部材である。この開口部44は、その中をラベルLが装着される容器Bが上昇して通るための貫通部である。
基部41は、ラベル装着ヘッド70をラベル装着システム10の支持盤152に取り付ける部材である。ラベル拡開部40は、基部41によりラベル装着ヘッド70において一定高さに固定的に取り付けられてもよいし、あるいは、カム機構によって支持盤152の回転動作に伴ってラベル拡開部40を昇降移動させるように構成してもよい。
カム板42は、カム溝45が設けられる円環部材である。カム板42に設けられるカム溝45は、拡径爪50を上板43の径方向に移動させるための溝である。カム溝45は、各拡径爪50のそれぞれに1つずつ設けられる。また、カム板42の外周縁部には、略U字状の切込部47が形成された駆動用レバー部48が突設されている。このレバー部48が後述する駆動機構と係合することによって、カム板42が正回転または逆回転される。
上板43は、予め定めた個数の複数本の拡径爪50を周方向に配置する円環状部材である。上板43は、拡径爪50を放射状に配置する基台に相当する。拡径爪50の配置には、上板43に径方向に沿って放射状に設けられるガイド溝46が用いられる。図2の例では、6本の拡径爪50が用いられているので、ガイド溝46が周方向に60度の等間隔で放射状に形成されている。上板43は、カム板42と異なり回転せず、基部41に対して固定されている。なお、図2では6本の拡径爪50が用いられる例を示すが、例えば8本等の他の本数であってもよい。
拡径爪50は、スライド部52と、爪部54と、スライド部52に設けられるカムピン56とを含んで構成される。スライド部52は、上板43のガイド溝46に支持された状態で上板43の径方向に移動可能な案内部材である。スライド部52は1つの部材であってもよいし、複数の部材を組み合わせたものであってもよい。爪部54は、スライド部52の一方側端部から軸方向に沿って長く延びる軸部材である。爪部54は、例えば、ステンレス等の金属製棒材をほぼ半割りして形成されることで、略半円状断面を有する。ここで拡径爪50に関する軸方向とは、ラベル拡開部40の開口部44の中心軸に平行な方向であり、後述するように複数の拡径爪50によって拡径されるラベルLの軸方向に一致する。
図2に示す例では、各爪部54の爪長手方向は、それぞれ上下方向または鉛直方向に沿って延びている。また、爪部54は、スライド部52と一体化される。一体化には、同一部材をL字型に加工して、爪部54とスライド部52としてもよく、別部材で爪部54とスライド部52を作って、これらを組み立てて一体化してもよい。
カムピン56は、スライド部52の下部に突き出て、カム板42のカム溝45に嵌り込むピンである。カムピン56は、スライド部52を貫通するピンとすることができる。その場合には、スライド部52の上部にもカムピン56の頭部が現れる。図2では、スライド部52の上部にカムピン56の頭部が示されている。
上記のように構成される拡径爪50は、カム板42が回転すると、カム溝45の軌跡に沿ってカムピン56が駆動される。カムピン56が配置されるスライド部52は、上板43の径方向にのみ移動可能にガイド溝46に案内されるので、カム板42が回転するとスライド部52が上板43の径方向に移動する。爪部54はスライド部52と一体であるので、結局、カム板42が回転すると、拡径爪50の爪部54が上板43の径方向に移動することになる。
カム板42が正回転するときに、拡径爪50が上板43の径方向外側に移動するとすれば、カム板42が逆回転のときは、正回転時と逆方向に、すなわち上板43の径方向内側に拡径爪50が移動する。このように、カム板42の回転方向を制御することで、拡径爪50を上板43の外径側または内径側に移動させることができる。
そこで、ラベルLを拡径するためにラベルLを受け取るときは、拡径爪50を内径側に移動させ、ラベルLを径方向に引き伸ばしてその中に容器Bを挿入させるときは、拡径爪50を外径側に移動させる。以後、前者の拡径爪50の位置を縮径位置、後者の拡径爪50の位置を拡径位置ということにする。したがって、拡径爪50は、ラベルLを受け取る縮径した縮径位置と、ラベルLを引き伸ばす拡径した拡径位置との間で、上板43の径方向に移動可能である。
図3は、ラベル拡開部40の駆動機構60を示す平面図である。また、図4は、図3の駆動機構60によって複数の拡径爪50が縮径位置から最大拡径位置まで移動される様子を示す図である。ここで「最大拡径位置」とは、ラベルLが容器Bに装着される前に最も引き伸ばされた状態となるときの拡径爪の位置をいい、このときのラベルLの状態を「最大拡径状態」という。
ラベル拡開部40の基部41は、ベースプレート49を介して支持盤152に固定されている。駆動機構60は、一方側アーム部61a及び他方側アーム部61bを有して略V字状をなすカムレバー61と、カム溝45を有するカム板42を正回転させる駆動力を生じさせるバネ62とを含む。
カムレバー61は、ベースプレート49に立設された軸部材63によって回動可能に支持されている。カムレバー61の一方側アーム部61aの端部にはカムローラ64が回転自在に取り付けられており、このカムローラ64がカム板42の駆動用レバー部48の切込部47に係合している。また、カムレバー61の他方側アーム部61bの端部にも、カムローラ65が回転自在に取り付けられている。
ラベル拡開部40の駆動力を生じさせるバネ62は、一端部がベースプレート49に立設される固定部(例えばスタッド)66に係止され、他端部がカムレバー61の他方側アーム部61bに係止されている。これにより、バネ62は、カムレバー61を矢印A方向に回転させる引っ張り力を作用させ、その結果、カム板42を矢印B方向に正回転させる駆動力を生じさせるようになっている。
なお、上記固定部66を偏心ピンで構成し、この偏心ピンを回転させることによってバネ62の引っ張り力を調整可能としてもよい。また、本実施形態ではカム板42の回転駆動力をバネ62によって得るように構成するが、これに限定されるものではなく、例えば、圧縮空気によって駆動されるエアシリンダ、回転速度およびトルクを制御可能なサーボモータ等を用いてカム板42を回転させる駆動機構を構成してもよい。これらのバネ、エアシリンダ、サーボモータ等の駆動力発生源によってカム板42の駆動力(すなわち拡径爪50によるラベル拡開力)を調整可能に構成することで、ラベルLの直径または折径、ラベルLのフィルム材質等の特性が変更された場合にも、駆動機構の構成部品を変更することなく迅速かつ容易に対応することが可能になる。
図3に示すように、ベースプレート49には、ストッパ67が立設されている。ストッパ67は、カムレバー61が矢印A方向に回転したときに一方側アーム部61aに当接することによって、拡径爪50が最大拡径位置を超えて移動しないようカム板42の回転を規制する規制部材である。このようにストッパ67によってカムレバー61の正回転時の最大回転位置が規定されることで、カム板42が必要以上に正回転することによって生じる機械的な衝突を回避することができる。
図4に示すように、ラベル装着装置15は、規制ガイド68を備える。規制ガイド68は、支持盤152(図1参照)の内周側において支持盤152から独立して固定された略円弧状のガイド部材である。規制ガイド68が存在する領域では、バネ62の引っ張り力によってカムローラ65が規制ガイド68の内周面68aに付勢された状態となっている。この状態では、ラベル拡開部40の拡径爪50は互いに近接した縮径位置に保持されている。
そして、支持盤152が矢印C方向に回転することでカムローラ65が規制ガイド68の端部68bから外れると、バネ62の引っ張り力によってカムレバー61が矢印A方向に回転する。これにより、カム板42が矢印B方向に回転して、拡径爪50が縮径位置から最大拡径位置へと径方向外側に移動する。上記バネ62の引っ張り力はラベルLの弾性力に応じて適宜に設定されていれば、ラベルLを拡開する速度が最初は速くて、最大拡径状態に近づくに従って遅くなる。バネ62の引っ張り力は、ラベルLを最大拡径状態まで引き伸ばすのに必要な力より、少し大きい程度に設定されるのが良い。
ラベル装着装置15は、更に、図4に示すように、強制ガイド69を備える。強制ガイド69は、支持盤152(図1参照)の内周側において支持盤152から独立して固定された略円弧状のガイド部材である。この強制ガイド69の端部69aは、上記規制ガイド68の端部68bから周方向に所定距離だけ離れて位置し、カムローラ65の乗り上げを円滑にするための傾斜面を有している。
カムレバー61のカムローラ65が支持盤152の回転に伴って移動して強制ガイド69の外周面69bに乗り上げることで、カムレバー61が所定の回転位置まで強制的に回転する。したがって、バネ62による駆動力が不十分であった場合などにも、拡径爪50を確実に最大拡径位置まで移動させることができる。その結果、ラベル装着装置15において、意図しない不都合な機械的な衝突を回避することができる。
なお、支持盤152がさらに回転して規制ガイド68の図示しない端部からその内周面68a上に接触した状態になったとき、各拡径爪50は最大拡径位置から縮径位置へと径方向内側へ移動することになる。
次に、図5を参照してラベルLが容器Bに装着される様子を概説する。図5は、図1中のラベル装着装置15においてラベルLが容器Bに装着される様子を平面上に展開して示す。また、図5には、ラベル装着装置15においてラベル拡径工程が実行される加温領域Hが破線で示されている。
図5(a)に示すように、ラベル拡開部40の上方にラベル受取部28およびボトル持上部90が配置されており、ラベル拡開部40の下方にボトル保持部80が配置されている。ラベル受取部28の一対のクランプ部材28aは、ラベル受渡部14のテイクアップ部材142から受け取ったラベルLを挟持して保持している。この状態から一対のクランプ部材28aがラベルLを吸引しつつ開動作することにより、ラベルLを筒状に開口させる。また、このとき、ラベル拡開部40の拡径爪50は縮径位置にあり、ボトル保持部80のボトル載置台84上には容器Bが保持されている。
続いて、図5(b)に示すように、ラベルLを開口した状態で保持した一対のクランプ部材28aが下降移動して、縮径位置にある拡径爪50の周囲にラベルLを被嵌する。ただし、これとは逆に、一対のクランプ部材28aに対してラベル拡開部40が上昇移動して、縮径位置にある拡径爪50をラベルLの内側に挿入して受け取り、その後、ラベル拡開部40が元の位置まで下降移動してもよい。
続いて、図5(c)に示すように、ラベル拡開部40において拡径爪50が径方向外側へ移動して、ラベルLを最大拡径状態とする。この状態で、ボトル保持部80が上昇移動して容器BがラベルLの内側に下方から挿入される。
図5(b),(c)に示すラベルLの被嵌工程、および、ラベルLの拡径工程は、破線で示される加温領域H中で実行される。この加温領域Hは、上述した加温装置100によって、ラベル装着工程に含まれる工程のうち、複数の拡径爪50の周囲にラベルLが被嵌される工程と、複数の拡径爪50によってラベルLが拡径される工程とが実行される空間領域を加温することにより設けられる。このように加温した雰囲気中でラベルLを拡径させることで、ラベルLの限界伸長率の低下を抑えることができ、その結果、本実施形態におけるラベル拡径速度の調整と相まってインク割れの発生を効果的に抑制することができる。
ただし、加温領域Hは、図5(b),(c)に示す各工程を少なくとも含んでいればよく、他の1つ又は複数の工程を含んでもよい。例えば、図5(a)に示すラベル被嵌前において拡径爪50が縮径状態にある工程を含んでもよい。このようにすれば、拡径爪50が加温領域H中に置かれることで予熱され、ラベルLとの接触領域におけるインク割れの発生を効果的に抑制することができる利点がある。また、ラベル装着装置15全体を含むように加温領域Hが設けられてもよい。
図5(c)に続いて、図5(d)に示すように、ボトル持上部90が下降移動して一対のグリッパ93が容器Bのネック部と胴部とを把持する。このとき、グリッパ93の下部に位置する胴部グリッパは、ラベルLの外側から容器Bの胴部をグリップする。
続いて、図5(e)に示すように、ボトル持上部90が上昇移動することで、ラベルLの内側から拡径爪50が引き抜かれ、その結果、ラベルLは自己の弾性収縮力によって容器Bの胴部周囲に密着して装着される。このとき、ボトル保持部80は下降移動してボトル供給部12からの容器Bの受け取りに備える。
そして、このようにラベルLが装着された容器Bは、図5(f)に示すように、ボトル持上部90のグリッパ93が開動作して容器Bを解放し、ボトル搬出部16のスターホイール162に容器Bを受け渡す。
次に、図6A〜図6Cを参照して、本実施形態のラベル装着装置15におけるラベル拡開速度について説明する。図6Aは、ラベルLを拡径する拡径爪50の移動に関する時間と移動距離の関係を示すグラフであり、拡径爪50の拡径速度が前段で高速であり後段では低速になる状態を概念的に示したものである。また、図7は、ラベルLが拡径される様子を段階的に示す図である。
図6A〜図6Cにおいて、横軸は時間(秒)、縦軸は拡径爪50の径方向の移動距離をそれぞれ示す。図6Aに示す例では、ラベルLは、拡径開始時(すなわち時間ゼロ)で状態A、時間0.25Tで状態B(本発明の「第1状態」に相当)となり、時間Tで最大拡径状態である状態C(本発明の「第2状態」に相当)となる。具体的には、図7(a)に示すように、状態Aでは縮径位置にある拡径爪50の周囲に略舟形状に開口されたラベルLが被嵌され、この状態Aから拡径爪50が拡径動作を開始して図7(b)に示すようにラベルLが弛みなく張った略六角形状の状態Bとなり、拡径爪50が最大拡径位置までさらに移動することで図7(c)に示すようにより大きな略六角形状に拡径された状態Cになる。
図6Aに示す例において拡径爪50は、状態Aから状態Bまで第1速度で移動し、状態Bから状態Cまでは第1速度よりも遅い第2速度で移動する。これは、拡径爪50の駆動機構60による駆動力がバネ62によって生じていることから、駆動機構60においてカムレバー61のカムローラ65が規制ガイド68から外れた途端に瞬時に拡径爪50がバネ62の引っ張り力によって状態Aから状態Bまで拡径動作するため高速で移動するためである。その後も拡径動作は継続するが、ラベルLが引き伸ばされるときのテンションに抗しながら拡径爪50が拡径動作するためにラベルLの拡径速度が比較的低速になる。
ここで、ラベルLが弛みなく張った状態Bにおけるラベル伸長率は、最大拡径状態である状態Cのときのラベル伸長率に対してゼロより大きく50%以下とするのが好ましい。このように、ラベルLが引き伸ばされる前段の伸び領域での拡径速度を高速とし、後段の伸び領域での拡径速度を低速にすることで、ラベル装着の生産性を維持しながらインク割れを抑制することが可能になる。また、上記第1速度および第2速度の関係は、拡径爪50の状態Aから状態Bに至る間の拡径爪50の最大移動速度が、状態Bから状態Cに至るまでの拡径爪50の最大移動速度よりも遅いという意味である。
なお、本実施形態では、状態BはラベルLが弛みなく張った状態であるとして説明するが、これに限定されるものではなく、拡径爪50の拡径動作開始からラベルLが最大拡径状態に至る途中の中間状態であればよい。例えば、ラベルが伸長率ゼロで弛みなく張られた状態となる以前の状態を本発明における第1状態としてもよい。また、上記ではラベルLが弛みなく張った状態Bにおけるラベル伸長率が最大拡径状態である状態Cのときのラベル伸長率に対してゼロより大きく50%以下とするのが好ましいと説明したが、例えば加温装置100等による影響でラベル伸長率が50%を超えてもインク割れが発生しないのであれば、状態Bにおけるラベル伸長率は50%より大きくなるように設定してもよい。
上記のように本実施形態のラベル装着装置15によれば、ラベルLが弛みなく張られた状態Bから最大拡径状態である状態Cまでの拡径速度を比較的低速である第2速度にすることで、ラベルLを構成するストレッチフィルムが限界伸長率を超えにくくなり、その結果、ラベルLのインキ割れを抑制することができる。したがって、自己伸縮性を有するラベルLの装着状態の外観不良を低減することができる。
また、状態Aから状態Bまではバネ62の引っ張り力によって移動することから、容器Bの種類や胴部径等の変更に伴ってラベルLの直径(すなわちシート状に折り畳まれたラベルLの折径)が変更になった場合でも、駆動機構60の構成を変更せずに対応することができる。
さらに、図6Bは状態Aから状態Cまで拡径爪50の拡径速度を一定にしてラベルLを拡径させる場合を示すが、本実施形態ではラベルLを状態Aから状態Cまで拡径するのに要する時間Tは、拡径速度を一定とした場合の所要時間Tと同等またはそれ以下に設定される。これにより、ラベルLの拡径および装着に要する時間が延長されることがなく、ラベル装着装置15の生産性を維持または向上させることができる。
なお、図6Aでは状態Aから状態B、及び、状態Bから状態Cまでの拡径速度がそれぞれ一定(すなわち直線状)である例を示すが、これは拡径速度の変化を概念的に示したものであって、これに限定されるものではない。例えば、図6Cに示すように、拡径開始から時間tで状態Bとなり、そこから曲線状の速度変化でもって比較的低速である第2速度になって状態Cになるように設定してもよい。また、状態Aから状態Bに至るまでの所要時間tは、図6Aに示すように(1/4)Tに限定されるものではなく、ラベルLの材質、厚み、限界伸長率等に基づいて適宜に設定されるものである。
また、上記ではバネ力によってラベルLを最大拡径状態まで拡径すると説明したが、これに限定されるものではなく、状態Aから状態Bまでの拡径力をバネ力で得る一方で、状態Bから状態Cまでの拡径力はモータ等の別の駆動源で得るよう組み合わせて構成してもよい。
<第2実施形態>
次に、図8を参照して、第2実施形態のラベル装着装置について説明する。図8は、第2実施形態のラベル装着装置においてラベルが拡径される様子を段階的に示す図である。第2実施形態のラベル装着装置は、拡径爪50の拡径動作を除いて上述した第1実施形態のラベル装着装置15と同じ構成を備えているため、ここでは相違点のみについて説明する。
第2実施形態のラベル装着装置では、拡径爪50によるラベルLの拡径動作のみが相違する。すなわち、第1実施形態では、6本の拡径爪50が同時に拡径動作してラベルLを拡径させるのに対し、第2実施形態のラベル装着装置では、複数の拡径爪50が径方向に対向する2つの拡径爪50からなる拡径爪対を少なくとも3対含み、1対または複数対の拡径爪対を拡径移動させてラベルLを張った後に他の拡径爪対を遅れて拡径移動させることにより、周方向に隣接する拡径爪50間に張られた複数のラベル領域について高テンション領域と低テンション領域をつくることを特徴とする。
このような拡径爪50の拡径動作は、ラベル拡開部40のカム板42におけるカム溝45の形状を異ならせることによって実現される。また、ラベル拡開部40のカム板42を駆動する駆動機構は、図6Bに示すように一定の拡径速度を実現するようにモータで駆動力を発生させるものとしてもよいし、あるいは、上記第1実施形態の場合と同様にバネ62によって駆動力を発生させて拡径速度を前段で速く後段で遅くする構成としてもよい。
まず図8(a)の左図を参照すると、この例では6本の拡径爪50が径方向に対向する3対の拡径爪50a,50b,50cを構成する。また、ラベルLは、フィルム端部同士の接合部であるシール部Sと、ラベルLの破断容易化線であるミシン孔Mとを有している。ラベルLのシール部Sがヒートシールによって接合されている場合、シール部近傍のストレッチフィルム部分が熱履歴の影響により硬化して限界伸長率が低下しており、そのためにラベルLを最大拡径状態まで引き伸ばしたときに上記硬化した部分が限界伸長率を超えてインク割れが発生しやすくなる。また、ミシン孔MはラベルLの軸方向に沿って形成されたミシン目線であり、ラベルLを最大拡径状態まで引き伸ばしたときに破れやすい部分となる。
図8(a)の中間図に示すように、まず1対の拡径爪50aを拡径動作させてラベルLを張った状態とする。このとき、ラベルLは他の2対の拡径爪50b,50cと接触した状態になる。その後、他の2対の拡径爪50b,50cがラベルLと接触しつつ両拡径爪50b,50c間に位置するラベル領域をより強く引っ張るようにして拡径動作する。これにより、図8(a)の右図に示すように、周方向に隣接する拡径爪50b,50c間に張られたラベル領域L1(一点鎖線で図示)が高テンション領域となり、他の拡径爪50a,50b間、および、拡径爪50a,50c間に張られたラベル領域L2(実線で図示)が低テンション領域となる。このとき、ラベルLのシール部Sおよびミシン孔Mを低テンション領域L2に位置させることにより、シール部S近傍でのインク割れ及びミシン孔Mでの破れを抑制することができる。なお、ラベルLのシール部Sおよびミシン孔Mの位置は、ラベル受取部28からラベルLがラベル拡開部40の拡径爪50の周囲に被嵌されるときに決められる。
図8(b)に示す例では、6本の拡径爪50が径方向に対向する3対の拡径爪50a,50b,50cを構成する。そして、図8(b)の左図および中間図に示すように、縮径位置にある3対の拡径爪50a,50b,50cのうち、まず2対の拡径爪50b,50cを拡径動作させてラベルLを略四角形状に張った状態にする。その後、図8(b)の右図に示すように、他の1対の拡径爪50aを拡径動作させて、ラベルLを最大拡径状態である略六角形状にする。このとき、拡径爪50b,50c上でラベルLの周方向の滑りが若干生じるが、ラベルLの周方向のテンションを均一にする程度までの滑りは生じない。そのため、周方向に隣接する拡径爪50a,50b間、および、拡径爪50a,50c間に張られたラベル領域L1が高テンション領域となり、周方向に隣接する拡径爪50b,50c間に張られたラベル領域L2が低テンション領域となる。したがって、図8(b)に示す例では、ラベルLのシール部Sおよびミシン孔Mを拡径爪50b,50c間の低テンション領域L2に位置させることにより、シール部近傍でのインク割れ及びミシン孔Mでの破れを抑制することができる。
図8(c)に示す例では、8本の拡径爪50が径方向に対向する4対の拡径爪50a,50b,50c,50dを構成する。そして、まず図8(c)の左図および中間図に示すように、まず1対の拡径爪50aを拡径動作させてラベルLを張った状態とする。このとき、ラベルLは他の3対の拡径爪50b,50c,50dと接触した状態になる。その後、他の3対の拡径爪50b,50c,50dがラベルLと接触しつつ両拡径爪50b,50c間に位置するラベル領域をより強く引っ張るようにして拡径動作する。これにより、図8(c)の右図に示すように、周方向に隣接する拡径爪50b,50d間、および、拡径爪50c,50d間に張られたラベル領域L1が高テンション領域となり、他の拡径爪50a,50b間、および、拡径爪50a,50c間に張られたラベル領域L2が低テンション領域となる。したがって、ラベルLのシール部Sおよびミシン孔Mを拡径爪50a,50b間、および、拡径爪50a,50c間の少なくとも何れかの低テンション領域L2に位置させることにより、シール部近傍でのインク割れ及びミシン孔Mでの破れを抑制することができる。
なお、第2実施形態のラベル装着装置においても、図5(b),(c)に示すように加温領域Hを設けることが好ましい。これにより、ラベルLのシール部近傍でのインク割れおよびミシン孔の裂けを効果的に抑制することができる。