次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態における無線通信端末1は、他の無線通信端末や無線アクセスポイントなどと無線通信を行う端末である。後述するように、本実施形態における無線通信端末1は当該無線通信端末1が送信した無線フレーム信号と他機が送信した無線フレーム信号との衝突を検出することが出来るように構成されている。また、本実施形態における無線通信端末1は、無線フレーム信号の衝突の状況(衝突状況)を検出するよう構成されている。そして、本実施形態における無線通信端末1は、検出した衝突状況に応じたパラメータの変更を行うよう構成されている。
図2を参照すると、本実施形態における無線通信端末1は、無線モジュール部11と、ロス検出部12(送信ロス情報検出部)と、フレーム検出部13(衝突情報検出部の一部)と、衝突抑制制御部14(衝突情報検出部の一部、送信制御部)と、を有する。
無線モジュール部11は、無線通信を行う機能を有する。具体的には、本実施形態における無線モジュール部11は、IEEE802.11の規格に準拠した無線信号の送受信を行う。無線モジュール部11は、例えば図示しないアンテナ部を介して、他の無線通信端末や無線アクセスポイントと無線信号の送受信を行うことになる。
なお、本実施形態では、無線モジュール部11が行う無線通信の規格の一例としてIEEE802.11の規格を挙げた。しかしながら、本発明は、IEEE802.11の規格で無線通信を行う場合に限らず実施可能である。無線モジュール部11はCSMA/CAを行っていればよく、無線通信に用いる規格は特に限定する必要はない。
ロス検出部12は、無線モジュール部11が送信した信号が何らかの原因により送信先に届かなかったこと(送信ロス)を検出する機能を有する。つまり、ロス検出部12は、送信ロスを示す送信ロス情報を検出する。例えば、IEEE802.11の規格では、無線モジュール部11が送信した信号に対し、送信先端末はAck(Acknowledgment:応答信号(確認応答))フレームを送信する。そのため、ロス検出部12は、無線モジュール部11を監視することで送信ロスを検出することが可能である。つまり、ロス検出部12は、無線フレーム信号の送信後所定時間経過まで無線モジュール部11によるAckフレームの受信がなかった場合に、無線モジュール部11が送信した信号が送信先端末に届かなかったと判断し送信ロスを検出する。例えばこのような方法により、ロス検出部12は送信ロスを検出する。なお、ロス検出部12による送信ロスの検出は、上記方法を用いる場合に限定されない。ロス検出部12は、送信ロスを検出可能な様々な方法を用いて送信ロスを検出するように構成することが出来る。
また、ロス検出部12は、送信ロス率を算出する機能を有することが出来る。ここで、ロス検出部12による送信ロス率の算出は、例えば、ロス検出部12が検出した送信ロスの数を無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信回数で除算することで求めることが考えられる。ロス検出部12は、例えば、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する毎に、上記方法により送信ロス率を算出する。また、ロス検出部12は、例えば図示しない送信ロス率記憶部に、算出した送信ロス率を記憶することが出来る。
このように、ロス検出部12は、送信ロスを検出する。また、ロス検出部12は、送信ロス率を算出することが出来る。その後、ロス検出部12は、送信ロスを検出した旨を衝突抑制制御部14へと送信する。また、ロス検出部12は、送信ロスを検出した旨を衝突抑制制御部14へと送信する際に、算出した送信ロス率を衝突抑制制御部14へと送信する。
なお、本実施形態においては、送信ロス率の算出はロス検出部12が行うとした。しかしながら、本発明は、送信ロス率の算出をロス検出部12が行う場合に限定されず実施可能である。送信ロス率の算出は、例えば、後述する衝突抑制制御部14が行っても構わない。また、ロス検出部12は図示しないCPU(中央演算装置、Central Processing Unit)と記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUが実行することで、上記機能を実現することになる。
フレーム検出部13は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出する機能を有する。フレーム検出部13は、例えば、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号を検出する。ここで、フレーム検出部13が検出する無線フレーム信号は、例えば図3で示すようになる。図3を参照すると、フレーム検出部13は、無線フレームを送信電力と送信時間とからなる信号として抽出する。なお、フレーム検出部13が検出する無線フレームの送信電力、送信時間は、送信するデータ量や通信方式により変化することになる。
このように、フレーム検出部13は、空間電波信号の電力を検出する。つまり、フレーム検出部13は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号の電力の時間的な変化をパターンとして検出する。そして、フレーム検出部13は、検出した検出結果を衝突抑制制御部14へと送信する。
衝突抑制制御部14は、フレーム検出部13が検出した検出結果(パターン)を解析し、衝突発生の有無(衝突有無情報)と所定の衝突状況(衝突状況情報)を検出する機能を有する。つまり、衝突抑制制御部14は、フレーム検出部13が検出した検出結果を解析することで、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号と他の無線通信端末が送信した無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報(衝突有無情報及び衝突状況情報)を検出する。また、衝突抑制制御部14は、検出した所定の衝突状況から衝突の原因を特定し、特定した衝突の原因に応じたパラメータの変更を行う機能を有する(衝突抑制制御部14は、無線モジュール部11による送信処理を制御する)。つまり、衝突抑制制御部14は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号と他の無線通信端末が送信した無線フレーム信号との所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う機能を有する。
図4を参照すると、衝突抑制制御部14は、例えば、衝突検出部21と、送信ロス率・衝突率閾値比較部22と、衝突原因分析部23と、パラメータ調整部24と、パラメータ記憶部25と、調整内容記憶部26と、しての機能を有している。なお、上記各機能は、衝突抑制制御部14のCPU(中央演算装置)が当該衝突抑制制御部14に組み込まれたプログラムを実行することで、実現することになる。
衝突検出部21は、フレーム検出部13が検出した検出結果を解析し、衝突発生の有無と所定の衝突状況を検出する機能を有する。つまり、衝突検出部21は、フレーム検出部13が検出した検出結果を解析することで、衝突の有無を示す衝突有無情報と衝突パターンである衝突状況を示す衝突状況情報とを検出する。衝突検出部21は、まず、フレーム検出部13から検出結果(電力のパターン)を受信する。そして、衝突検出部21は検出結果を解析することで、衝突発生の有無と衝突状況を検出することになる。
ここで、衝突が発生していない場合、フレーム検出部13が検出する電力のパターンは、例えば、図3で示すものになる。このように、送信パケットと送信パケットとの間に時間的な猶予が存在しており各送信パケットが重なっていない(干渉していない)場合、衝突検出部21は、衝突は発生していないと判断する。
一方、衝突が発生している場合、フレーム検出部13は、例えば、図5で示す衝突パターン(衝突状況)を検出する。図5を参照すると、無線フレーム信号が衝突した場合の衝突パターン(衝突状況)は、図5(A)〜(K)までの11種類に分類することが出来る。このような複数のパケットが重なっていると判断されるパターンを検出した場合、フレーム検出部13は、衝突が発生していると判断することになる。そして、衝突検出部21は、検出結果がどの衝突パターンに該当するかの判断を行う。この判断を行うことで、衝突検出部21は、衝突状況を検出することが出来る。なお、このような衝突パターンの違いは、例えば、無線通信端末の配置や送信に用いる電力、送信データ量、伝送レートなどの違いによって生じることになる。
このように、衝突検出部21はフレーム検出部13が検出する電力のパターンを解析することで、フレーム検出部13が検出したパターンが上記11種類の衝突パターンのいずれに該当するかを判断し衝突状況を検出する。続いて、衝突検出部21は、衝突パターン(衝突状況)の発生回数をカウントする。衝突検出部21は、例えば、衝突状況を検出する毎に当該衝突状況に応じた衝突パターンの発生回数を1カウントすることで、衝突パターンの発生回数をカウントする。そして、衝突検出部21は、カウントした結果と無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信回数とを比較することで、全ての衝突パターンにおける衝突率と、衝突パターン毎の発生率と、を算出する。また、衝突検出部21は、算出結果を例えば図示しない衝突率記憶部に記憶することが出来る。
なお、上記11種類の衝突パターン(衝突状況)は、以下に示す3種類の主な衝突状況に分類することが可能である。
図5(A)〜(I)の9種類の衝突パターンは、衝突、被衝突した送信フレームのサイズが各パターンで異なっているが、何れの場合も送信フレームの先頭から衝突が発生しているパターンである。つまり、図5(A)〜(I)は、無線モジュール部11による無線フレーム信号と他の無線フレーム信号とが同時に送信されることで発生した衝突の衝突パターン(同時送信衝突発生状況)を示している。
図5(J)の衝突パターンは、自装置の送信フレームの途中で他装置の送信フレームが衝突しているパターンである。つまり、図5(J)は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで発生した衝突の衝突パターン(送信中送信衝突発生状況の一つ)を示している。
図5(K)の衝突パターンは、他装置の送信フレームの途中で自装置の送信フレームが衝突しているパターンである。つまり、図5(K)は、他の無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11による無線フレーム信号が送信されることで発生した衝突の衝突パターン(送信中送信衝突発生状況の一つ)を示している。
このように、衝突検出部21が検出する主な衝突パターンとしては、大きく3種類の衝突状況に分類することが可能である。つまり、自装置と他装置が同時に無線フレーム信号を送信することで衝突が発生した。自装置が無線フレーム信号を送信している最中に他装置が無線フレーム信号を送信することで衝突が発生した。他装置が無線フレーム信号を送信している最中に自装置が無線フレーム信号を送信することで衝突が発生した。という3種類が、衝突検出部21が検出する主な衝突パターンになる。そのため、衝突検出部21は、衝突状況として上記3種類の衝突状況を検出して、検出した衝突状況毎の発生回数をカウントし、衝突率や衝突状況毎の発生率を算出するように構成しても構わない。
送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率と衝突率とを予め定められた閾値Th(送信ロス率用閾値、衝突率用閾値)と比較する機能を有する。送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率と閾値Thとの比較、衝突率と閾値Thとの比較、を行う。そして、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、比較の結果に基づいて、パラメータ調整の必要性の判断などを行うことになる。
送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、まず、ロス検出部12が送信する送信ロス率を受信する。また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、衝突検出部21が算出した衝突率を取得する。そして、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、受信した送信ロス率と、取得した衝突率と、閾値Thと、の比較を行う。送信ロス率・衝突率閾値比較部22による比較は、例えば、図6で示す表に基づいて行われることになる。
図6を参照すると、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率が閾値Th以下であり、かつ、衝突率が閾値Th以下である場合、無線モジュール部11による無線フレーム信号は正常に送信されておりパラメータ調整の必要はないと判断する。この場合、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、以降の処理の実行を中止することが出来る。
また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率が閾値Th以下であり、かつ、衝突率が閾値Thよりも大きい場合、正常に送信されているものの衝突があると判断する。また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、パラメータ調整の必要はないと判断する。この場合、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、以降の処理の実行を中止することが出来る。または、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、衝突原因分析部23に対して、衝突の原因を分析するように指示することが出来る。
また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率が閾値Thよりも大きく、かつ、衝突率が閾値Th以下である場合、減衰が発生しておりパラメータ調整の必要があると判断する。この場合、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、減衰の判断結果をパラメータ調整部24へと送信することになる。また、上記送信は、衝突原因分析部23を介して行われても構わない。
また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率が閾値Thよりも大きく、かつ、衝突率が閾値Thよりも大きい場合、衝突が発生しておりパラメータ調整の必要があると判断する。この場合、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、衝突原因分析部23に対して、衝突原因を分析するよう指示することになる。
このように、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率と閾値Th、衝突率と閾値Th、の比較を行う。そして、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、比較の結果に基づいて、発生内容(正常に送信されているか、減衰が発生しているか、衝突が発生しているか)とパラメータ調整の必要性について判断する。
なお、送信ロス率・衝突率閾値比較部22で用いられる閾値Th(送信ロス率用閾値、衝突率用閾値)は、ユーザが任意で決定することが可能である。閾値Thは、送信ロス率との比較の際と衝突率との比較の際とで同じ閾値を使用しても構わないし、別々の閾値で比較を行っても構わない。
衝突原因分析部23は、衝突検出部21による検出結果を基に衝突原因を特定する機能を有する。本実施形態における衝突原因分析部23による衝突原因の特定は、例えば、送信ロス率・衝突率閾値比較部22がパラメータ調整の必要があると判断し、かつ、送信ロスの原因が衝突であると判断した場合に行われることになる。
衝突原因分析部23による衝突原因の特定は、例えば、図7で示す表を用いて行われる。図7を参照すると、衝突原因分析部23は、図5で示す衝突パターン(A)〜(I)の合計数と、衝突パターン(J)の数と、(K)の数と、もしくはその合計数と、の比較を行うことで衝突原因を特定する。
図7で示すように、衝突原因分析部23は、衝突パターン(A)〜(I)の合計数が最も多かった場合、その衝突の原因はバックオフタイムの一致によるところが大きいと判断する。つまり、衝突原因分析部23は、自装置(無線通信端末1)と他装置(他の無線通信端末)が同時に無線フレーム信号を送信することで衝突が発生する場合が多いと判断した場合、衝突の大きな原因としてバックオフタイムの一致を特定する。なお、バックオフタイムの一致の詳細については後述する。
また、衝突原因分析部23は、衝突パターン(J)が最も多かった場合、かつ、衝突パターン(K)が0(若しくは極端に少なかった場合。例えば、予め定められた閾値以下の場合など)の場合、その衝突の原因は隠れ端末問題1によるところが大きいと判断する。つまり、衝突原因分析部23は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生することが多いと判断した場合、衝突の大きな原因として隠れ端末問題1を特定する。なお、隠れ端末問題1の詳細については後述する。
また、衝突原因分析部23は、衝突パターン(K)が最も多かった場合、かつ、衝突パターン(J)が0(若しくは、極端に少なかった場合。例えば、予め定められた閾値以下の場合など)の場合、その衝突の原因は隠れ端末問題2によるところが大きいと判断する。つまり、衝突原因分析部23は、他の無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11による無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生することが多いと判断した場合、衝突の大きな原因として隠れ端末問題2を特定する。なお、隠れ端末問題2の詳細については後述する。
また、衝突原因分析部23は、衝突パターン(J)、(K)の合計数が最も多かった場合、その衝突の原因は、隠れ端末問題3によるところが大きいと判断する。つまり、衝突原因分析部23は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生することと、他の無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11による無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生することがともにあると判断した場合、衝突の大きな原因として隠れ端末問題3を特定する。なお、隠れ端末問題3の詳細については後述する。
このように、衝突原因分析部23は、衝突パターン(衝突状況)の発生具合を比較することで衝突原因を特定する。つまり、衝突原因分析部23は、衝突のパターンやその数(発生頻度など)から衝突の主な原因を特定する。そして、衝突原因分析部23は、特定した原因をパラメータ調整部24へと送信する。
ここで、衝突が起こる原因について詳しく説明する。まず、バックオフタイムの一致について説明する。
バックオフタイムの一致とは、無線モジュール部11と他の無線通信端末とでランダムに選択される送信待ち時間が一致したということである。一般に、CSMA/CAのもとでは、各無線通信端末は周囲の状況をキャリアセンス(監視)し、周囲に無線通信を行う他の端末が存在している場合互いの通信が衝突しないよう通信を行っている。例えば、図8を参照すると、無線通信端末1は他の無線通信端末が送信中は送信を行わないように構成されている。また、他の無線通信端末も無線通信端末1やさらに他の無線通信端末が送信中は送信を行わないように構成されている。そのため、原則としては、図8で示す空間上波形のように、衝突は発生しないようになっている。しかしながら、図9で示すように、ランダムな時間待機した結果同時に待機が終了した場合、複数の無線通信端末が同時に送信を開始することになる。つまり、バックオフタイムはランダムに決定されるため、待機が終了する時間が偶然一致してしまう場合がある。この場合には、複数の無線通信端末が同時に送信を開始し、無線フレーム信号の衝突が発生することになる。これがバックオフタイムの一致である。バックオフタイムの一致は、端末の数が増すごとに一致する確率が増加していくことになる。
次に、隠れ端末問題について説明する。上述したように、CSMA/CAのもとでは、各無線通信端末は周囲の状況をキャリアセンス(監視)することで、周囲に無線通信を行う他の端末が存在している場合互いの通信が衝突しないよう通信を行っている。そのため、例えば図10で示すように、無線通信端末1と他の無線通信端末とが互いにキャリアセンスできている場合は問題ない(バックオフタイムの一致の問題はある)。しかしながら、例えば、図11で示すように、無線通信端末1(自機)はキャリアセンスできている一方で他の無線通信端末はキャリアセンスできていない場合、他の無線通信端末からは無線通信端末1は把握できていないことになる。そのため、このような場合には、無線通信端末1の無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信される場合がある。その結果、衝突が発生することになる。つまり、無線通信端末1(自機)はキャリアセンスできている一方で、他の無線通信端末がキャリアセンスできていない場合、衝突が発生する場合がある。このような場合を、隠れ端末問題1とする。同様に、図12で示すように、他の無線通信端末がキャリアセンスできている一方で、無線通信端末1(自機)はキャリアセンスできていない場合、他の無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11による無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生する場合がある。このような場合を、隠れ端末問題2とする。また、図13で示すように、無線通信端末1(自機)、他の無線通信端末ともにキャリアセンスできていない場合、上記隠れ端末問題1、2の両方の衝突が発生することになる。このような場合を、隠れ端末問題3とする。
このように、CSMA/CAのもとでも、バックオフタイムの一致や隠れ端末問題(1、2、3)を原因として、衝突が発生する場合がある。そこで、衝突原因分析部23は、衝突原因として、バックオフタイムの一致や隠れ端末問題を特定することになる。
なお、バックオフタイムの一致を原因として衝突が発生した場合、その衝突状況は、自機と他機とが同時に無線フレーム信号を送信することで衝突が発生する、というものになる。つまり、バックオフタイムの一致を原因として衝突が発生していた場合、その衝突パターンは図5で示す(A)〜(I)のいずれかになる。一方、隠れ端末問題を原因として衝突が発生した場合、その衝突状況は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生する、というものになる。又は、他の無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11による無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生する、というものになる。つまり、隠れ端末問題を原因として衝突が発生していた場合、その衝突パターンは図5で示す(J)、(K)の何れか、若しくは両方、が発生することになる。
このように、衝突が発生する原因に応じて、衝突パターン(衝突状況)は異なるものとなる。そのため、衝突原因分析部23は、衝突の起こり方やその数(発生頻度など)を調べることで(衝突パターン、衝突状況に応じて)、衝突の原因を特定することが出来る。
なお、本実施形態では、衝突原因分析部23は、例えば、送信ロス率・衝突率閾値比較部22がパラメータ調整の必要があると判断し、かつ、送信ロスの原因が衝突であると判断した場合に衝突原因の分析を行うとした。しかしながら、衝突原因分析部23による衝突原因の分析は、上記場合に限らず実施することが出来る。例えば、送信ロス率・衝突率閾値比較部22が減衰と判断したものの、少数の衝突が発生している場合、正常に送信が行われていると判断したものの衝突が発生している場合などにおいて、衝突原因分析部23は衝突原因の分析を行うよう構成することが出来る。
パラメータ調整部24は、衝突原因分析部23が特定した衝突の原因や送信ロス率・衝突率閾値比較部22が判断した発生内容(減衰)に応じたパラメータの調整を行う機能を有する。パラメータ調整部24は、衝突原因分析部23から当該衝突原因分析部23が特定した衝突の原因についての情報を取得する。または、パラメータ調整部24は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22から減衰の判断結果を受信する。そして、パラメータ調整部24は、パラメータ記憶部25が記憶する各衝突原因や減衰に応じたパラメータ調整テーブルを取得する。
パラメータ調整部24は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22の判断結果が減衰だった場合、減衰に応じたパラメータ調整テーブル(送信電力パラメータなど)をパラメータ記憶部25から取得する。図14を参照すると、減衰に応じたパラメータ調整テーブルには、例えば、優先度1として、送信電力を上げる調整が記載されている。また、減衰に応じたパラメータ調整テーブルには、優先度2として、伝送レートを下げる調整が記載されている。そこで、パラメータ調整部24は、取得した減衰に応じたパラメータ調整テーブルに基づいて、優先度に応じたパラメータの調整を行うことになる。なお、優先度の詳細については後述する。
また、パラメータ調整部24は、衝突原因分析部23が特定した衝突原因に応じて、パラメータ調整テーブルをパラメータ記憶部25から取得する。そして、パラメータ調整部24は、取得したパラメータ調整テーブルに基づいて優先度に応じたパラメータの調整を行う。
例えば、図15を参照すると、衝突原因がバックオフタイムの一致である場合には、パラメータ調整部24は、調整を実施しない、バックオフタイムを上げる、伝送レートを上げる、などの調整が記載されたパラメータ調整テーブル(バックオフタイムパラメータなど)を取得する。また、図16を参照すると、衝突原因が隠れ端末問題1である場合には、パラメータ調整部24は、送信電力を上げる、伝送レートを下げる、RTS/CTS(Request To Send/Clear To Send)を実行する、などの調整が記載されたパラメータ調整テーブル(キャリアセンスパラメータなど)を取得する。また、図17を参照すると、衝突原因が隠れ端末問題2である場合には、パラメータ調整部24は、キャリアセンス閾値を下げる、伝送レートを下げる、RTS/CTSを実行する、などの調整が記載されたパラメータ調整テーブル(キャリアセンスパラメータなど)を取得する。また、図18を参照すると、衝突原因が隠れ端末問題3である場合には、パラメータ調整部24は、送信電力を上げてキャリアセンス閾値を下げる、伝送レートを下げる、RTS/CTSを実行する、などの調整が記載されたパラメータ調整テーブル(キャリアセンスパラメータなど)を取得する。なお、キャリアセンス閾値とは、電力を検出する閾値のことである。キャリアセンス閾値を下げることで、電力を検出しやすくなる、つまり他の無線通信端末をキャリアセンスしやすくなることになる。
このように、パラメータ調整部24は、減衰や衝突原因に応じてパラメータ記憶部25が記憶するパラメータ調整テーブルを取得し、優先度に応じたパラメータの調整を行う。ここで、優先度について説明する。パラメータ調整部24は、パラメータ記憶部25からパラメータ調整テーブルを取得した際に(又は、前後して)、調整内容記憶部26に記憶されている内容の確認を行う。後述するように、調整内容記憶部26には、前回のパラメータ調整時の衝突原因と使用したパラメータ調整テーブル、調整したパラメータの内容が記憶されている。そこで、パラメータ調整部24は、今回のパラメータ調整の内容が、前回行ったパラメータ調整の内容と一致するか否かの判断を行う。そして、一致しなかった場合、パラメータ調整部24は、優先度1のパラメータを選択してパラメータの調整を実施する。一方、パラメータ調整の内容が一致していた場合、前回行ったパラメータ調整の優先度の次の優先度のパラメータを選択してパラメータの調整を実施する。このように、パラメータ調整部24は、前回実施したパラメータ調整と異なるパラメータ調整を行う場合には、優先度1のパラメータの調整を行うことになる。一方で、パラメータ調整部24は、前回実施したパラメータ調整と同じパラメータの調整を行う場合には、前回実施した優先度よりも1低い優先度のパラメータの調整を行うことになる。
このようにして、パラメータ調整部24はパラメータの調整を行う。その後、パラメータ調整部24は、衝突原因と使用したパラメータ調整テーブル、調整したパラメータの内容を調整内容記憶部26へと送信する。そして、調整内容記憶部26で、今回の調整の内容が記憶されることになる。なお、パラメータ調整部24によるパラメータ調整で行う調整量は、例えば、ユーザが任意で決定することが出来る。
パラメータ記憶部25は、例えば、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置で構成される。パラメータ記憶部25には、上述したように、減衰や衝突原因に応じたパラメータ調整テーブルが記憶されている。パラメータ記憶部25が記憶するパラメータ調整テーブルは、パラメータ調整部24により取得されることになる。なお、本実施形態で説明したパラメータ記憶部25が記憶するパラメータ調整テーブルの内容は、パラメータ記憶部25が記憶しうる内容の一例である。パラメータ記憶部25が記憶する内容は、本実施形態で説明した内容に限定されない。
調整内容記憶部26は、例えば、ハードディスクやRAM(Random Access Memory)などの記憶装置で構成される。調整内容記憶部26には、前回のパラメータ調整時の衝突原因と使用したパラメータ調整テーブル、調整したパラメータの内容が記憶されている。調整内容記憶部26が記憶する記憶内容は、パラメータ調整部24により取得されることになる。
以上が、本実施形態における無線通信端末1の構成である。次に、無線通信端末1の動作について説明する。
図19を参照すると、まず無線通信端末1の無線モジュール部11が無線フレーム信号の送信を行う(S101)。続いて、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号をフレーム検出部13が検出する(S102)。そして、フレーム検出部13は、検出結果を衝突抑制制御部14へと送信する。
このように、無線通信端末1は、常にフレーム検出部13を用いて、無線モジュール部11より送信される自身の無線フレーム信号の監視を行っている。
続いて、衝突抑制制御部14が、フレーム検出部13による検出結果を受信する。そして、衝突抑制制御部14の衝突検出部21は、検出結果を解析することで、衝突の発生と衝突状況とを検出する。また、衝突抑制制御部14は、解析の結果衝突パターンが存在していた場合(衝突が発生していた場合)、解析した衝突パターンとその発生回数をカウントする。そして、衝突抑制制御部14は、衝突の発生回数と無線モジュール部1による無線フレーム信号の送信回数とを比較することで、全ての衝突パターンにおける衝突率と、衝突パターン毎の発生率を記憶する。
また、ロス検出部12が、送信した無線フレーム信号が送信相手に到達し送信が成功したかの監視を行う(S103)。ロス検出部12はこの際に、送信ロス率を算出しても構わない。そして、ロス検出部12は、送信ロスを検出すると、送信ロスを検出した旨を衝突抑制制御部14へと送信する。また、ロス検出部12は、送信ロス率を衝突抑制制御部14へと送信することが出来る。なお、ロス検出部12による送信ロスの検出は、例えば、無線モジュール部11がAckフレームが受信できなかったことにより行われることになる。
このようにして、衝突抑制制御部14には、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する毎に、衝突率と送信ロス率とが送信されることになる。そこで、まず、衝突抑制制御部14は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信がn回行われたか判断する(S104)。そして、衝突抑制制御部14は、無線モジュール部11により無線フレーム信号の送信がn回行われた後、送信ロス率と閾値との比較、衝突率と閾値との比較、を行う(S105)。なお、衝突抑制制御部14が閾値の比較を行うきっかけとなる送信回数n回は特に制限のある数字ではない。送信回数n回はユーザが任意に決定して構わない。
続いて、衝突抑制制御部14の送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率と衝突率とを閾値Thと比較し、通信が正常送信されたか、正常送信だが衝突が発生したか、減衰が発生したか、衝突が発生したか、を判断する。送信ロス率・衝突率閾値比較部22によるこの判断は、例えば、図6で示す表に基づいて行われることになる。
そして、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロスの原因が減衰であると判断した場合、減衰の判断結果を衝突抑制制御部14のパラメータ調整部24へと送信する。一方、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロスの原因が衝突であると判断した場合、衝突抑制制御部14の衝突原因分析部23に対して、衝突原因を分析するよう指示を行う。また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、通信が正常送信された、と判断した場合、移行の処理を中止する。また、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、正常送信だが衝突が発生した場合には、以降の処理を中止するか、衝突原因分析部23に対して衝突原因を分析するよう指示を行う。
なお、送信ロス率・衝突率閾値比較部22で用いられる閾値Thは、ユーザが任意で決定することが可能である。閾値Thは、送信ロス率との比較の際と衝突率との比較の際とで同じ閾値を使用しても構わないし、別々の閾値で比較を行っても構わない。
続いて、衝突原因の分析の指示が行われた場合、衝突抑制制御部14の衝突原因分析部23が、衝突原因の分析を行う(S106)。衝突原因の分析は、例えば図7で示す表に基づいて行われる。このように、衝突原因分析部23は、衝突の起こり方やその数(発生頻度など)から衝突の主な原因を特定する。そして、衝突原因分析部23は、特定した原因を衝突抑制制御部14のパラメータ調整部24へと送信する。
このようにして、パラメータ調整部24には、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による判断の結果(減衰が発生した)や、衝突原因分析部24による衝突原因の分析の結果が送信されることになる(S107)。そこで、パラメータ調整部24は、上記結果を受けて、パラメータ記憶部25が記憶する上記結果(判断の結果や分析の結果)に応じたパラメータ調整テーブルを取得する。つまり、パラメータ調整部24は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22から減衰が発生したという結果を受信した場合、パラメータ記憶部25から減衰に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S108)。また、パラメータ調整部24は、衝突原因分析部24からバックオフタイムの一致の分析結果を得た場合には、パラメータ記憶部25からバックオフタイムに対するパラメータ調整テーブルを取得する(S109)。同様に、隠れ端末問題1の分析結果を得た場合には、隠れ端末問題1に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S110)。また、パラメータ調整部24は、隠れ端末問題2の分析結果を得た場合には隠れ端末問題2に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S111)。また、パラメータ調整部24は、隠れ端末問題3の分析結果を得た場合には隠れ端末問題3に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S112)。一方、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による判断の結果や衝突原因分析部24による分析の結果がそれ以外だった場合(例えば、正常送信だが衝突が発生した場合など)には、n回のデータ送信に戻り再度送信ロス率や衝突率と閾値Thとの比較が行われることになる。
続いて、パラメータ調整部24は、パラメータ記憶部25からパラメータ調整テーブルを取得した際に(又は、前後して)、調整内容記憶部26に記憶されている内容の確認を行う(S113)。そして、パラメータ調整部24は、今回のパラメータ調整の内容が、前回行ったパラメータ調整の内容と一致するか否かの判断を行う(S114)。
そして、判断の結果パラメータ調整の内容が前回の内容と一致していなかった場合には、パラメータ調整部24は、優先度1のパラメータを選択する(S115)。一方、パラメータ調整の内容が一致していた場合には、パラメータ調整部24は、前回行ったパラメータ調整の優先度の次の優先度のパラメータを選択する(S116)。そして、パラメータ調整部24は、選択したパラメータの調整を実施する(S117)。また、パラメータ調整部24は、衝突原因と使用したパラメータ調整テーブル、調整したパラメータの内容を調整内容記憶部26へと送信する(S118)。その後、処理の最初へと戻り、再度の処理が繰り返されることになる。
このようにして、無線通信端末1は処理を繰りかえすことになる。このような処理を繰りかえすことで、無線通信端末1は、その稼動中に、衝突原因と調整内容とをフィードバックしつつ各種原因に対して対処していくことになる。なお、複数の衝突原因が混在する場合は、発生頻度の高い順から対処を行うことになる。
このように、本実施形態における無線通信端末1は、衝突抑制制御部14を備えている。また、本実施形態における衝突抑制制御部14は、衝突検出部21と衝突原因分析部23とを備えている。このような構成により、本実施形態における無線通信端末1は、衝突検出部21が検出した衝突状況(衝突パターン)に応じて衝突原因分析部23が衝突の原因を分析することが出来る。また、無線通信端末1は、衝突原因の分析結果を基にして衝突状況に応じたパラメータの調整を行うことが可能となる。その結果、衝突の原因(衝突状況)に応じた適切なパラメータの調整を行うことが可能となり、的確なパケットの衝突抑制を行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態の応用として、周囲に存在している端末の数を推測することが可能な無線通信端末3について説明する。なお、無線通信端末3は、第1の実施形態で説明した無線通信端末1と同様の構成を備えている。そのため、本実施形態においては、第2の実施形態に特有の構成について説明する。なお、以下で説明する図においては、既に説明した構成と同様の構成については同じ符号が付されているものとする。
図20を参照すると、無線通信端末3は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突抑制制御部34と、を有している。また、図21を参照すると、衝突抑制制御部34は、衝突検出部21と、送信ロス率・衝突率閾値比較部22と、衝突原因分析部23と、パラメータ調整部24と、パラメータ記憶部25と、調整内容記憶部26と、バックオフタイム一致確率記憶部37と、しての機能を有している。なお、衝突抑制制御部34の各機能は、当該衝突抑制制御部34に組み込まれたプログラムを実行することで、実現することになる。
このように、本実施形態における無線通信端末3は、衝突抑制制御部34がバックオフタイム一致確率記憶部37を有することを特徴とする。そこで、以下においては、バックオフタイム一致確率記憶部37について説明する。
バックオフタイム一致確率記憶部37は、例えば、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置で構成される。バックオフタイム一致確率記憶部37は、CW(Countention Window)毎にランダム値が一致する確率をテーブル化して記憶している。このような情報をバックオフタイム一致確率記憶部37が記憶することで、無線通信端末3は、周囲に存在している端末の数を推測することが可能になる。
以下、詳しく説明する。まず、バックオフタイムは、IEEE802.11規格においてCWから求めることが出来る。具体的には、以下の式を用いることで、バックオフタイムを求めることが出来る。
バックオフタイム=ランダム値×スロットタイム
ここで、ランダム値とは、0〜CWの範囲から生成されるランダムな整数である。また、CWは、可変値であり、15から1023のいずれかの値である。スロットタイムは使用する通信方式毎に固定値である。
そのため、仮に無線通信端末3がCW=15で通信を行っていた場合、生成されるランダム値は、0〜15の16通りとなる。従って、周囲に同値のCWを設定した無線通信端末がn台存在する場合、ランダム値が一致する確率は例えば以下のようになる。
n=1の場合:1−(15/16)1=約6%
n=2の場合:1−(15/16)2=約12%
n=3の場合:1−(15/16)3=約18%
n=16の場合:1―(15/16)16=約64%
つまり、ランダム値が一致する確率は以下の式で求めることが出来る。
1―((CW−1)/CW)n
ここで、上記バックオフタイムの式を参照すると、ランダム値が一致するとバックオフタイムが一致することになる。つまり、その結果として、バックオフタイムの一致を原因とする衝突が起こることになる。従って、上記ランダム値が一致する確率を求める式を用いることで、衝突率を求めることが出来る。
衝突率=1―((CW−1)/CW)n
上記のようにして求めた、CW毎にランダム値が一致する確率をテーブル化したものがバックオフタイム一致確率記憶部37に記憶されているものである。従って、無線通信端末3は、衝突検出部21が検出した衝突率とバックオフタイム一致確率記憶部37に記憶されているランダム値が一致する確率とを比較することで、周囲の無線通信端末の数を推測することが可能となる。つまり、無線通信端末3は、衝突率=ランダム値が一致する確率に基づいて、無線通信端末が存在する数nを特定することが可能となる。
このように、本実施形態における無線通信端末3は、バックオフタイム一致確率記憶部37を備えている。このような構成により、本実施形態における無線通信端末3は、算出した衝突率とバックオフタイムが一致する確率とを比較することが可能となる。その結果、無線通信端末3は、周囲に存在している端末の数を推測することが可能となる。
なお、衝突相手の数の特定は、例えば、送信電力が最大若しくは最小の設定時、図5で示す衝突パターン(A)〜(I)を計上し、衝突相手の送信電力毎に分類することでも、行うことが出来る。無線通信端末3は、そのような分類を行うよう構成することも出来る。
[第3の実施形態]
次に本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。第3の実施形態では、衝突状況に応じたパラメータの変更の一つとしてチャネルの遷移も行うことが可能なよう構成された無線通信端末4について説明する。本実施形態における無線通信端末4は、周囲に存在している端末の数を推測するよう構成されている。また、本実施形態における無線通信端末4は、推測した端末の数が予め定められた遷移閾値を超えた場合に、チャネルの遷移を行うよう構成されている。
図22を参照すると、本実施形態における無線通信端末4は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突抑制制御部34と、チャネル遷移判断部45と、を有している。
上述したように、衝突抑制制御部34は、衝突率から周囲に存在する他の端末の数を推測することが出来るように構成されている。この構成についての説明は、既に行ったため省略する。
チャネル遷移判断部45は、衝突抑制制御部34が推測した他の端末の数をもとにチャネルを遷移するか否かの判断を行う機能を有する。上述したように、無線通信端末の数が増加すると、バックオフタイムの一致による衝突が発生する確率は大きくなる。また、バックオフタイムには上限があるため、パラメータ調整部24がバックオフタイムの一致に対する調整を行っても、その衝突抑制効果には限界がある。そこで、チェネル遷移判断部45は、衝突抑制制御部34が推測した周囲に存在する他の端末の数と、予め定められた遷移閾値との比較を行う。そして、チャネル遷移判断部45は、衝突抑制制御部34が推測した周囲に存在する他の端末の数が予め定められた遷移閾値を超えた場合、チャネルの遷移の実行を判断する。つまり、チャネル遷移判断部45は、衝突抑制制御部34が推測した周囲に存在する他の端末の数が予め定められた遷移閾値を超えた場合、バックオフタイムの調整よりもチャネルの遷移を行った方が効果が高いと判断して、チャネルの遷移の実行を判断することになる。このように、周囲の端末の数が増えた場合にはチャネルの遷移を行うことで、より効果的に衝突抑制を行うことが出来る。なお、チャネルの遷移を行うと、遷移した先のチャネルで再び本発明が実施されることになる。
このように、本実施形態における無線通信端末4は、衝突抑制制御部34と、チャネル遷移判断部45と、を備えている。このような構成により、無線通信端末4は、衝突抑制制御部34が周囲に存在する端末の数の推測を行い、推測される端末の数に応じてチャネルを遷移することが可能となる。その結果、より効果的に衝突の抑止を行うことが可能となる。
[第4の実施形態]
次に本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。第4の実施形態では、衝突が検出された場合に、現在送信中の無線フレーム信号の送信を中止し、衝突を検出した無線フレーム信号の送信を再度行う無線通信端末5について説明する。
図23を参照すると、本実施形態における無線通信端末5は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突抑制制御部14と、送信制御部55と、を有している。
送信制御部55は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信の制御を行う機能を有する。具体的には、衝突検出部21が衝突を検出した場合、衝突検出部21は、衝突を検出した旨を送信制御部55へと送信する。すると、送信制御部55は、衝突検出部21からの連絡を受けて、無線モジュール部11に対して、現在行っている無線フレーム信号の送信を中止するように指示を送る。また、送信制御部55は、無線モジュール部11に対して、衝突が発生した無線フレーム信号の再送処理を行うように指示を送る。
このように、本実施形態における無線通信端末5は、送信制御部55を備えている。このような構成により、無線通信端末5は、衝突検出部21が衝突を検出した際に、無線モジュール部11の制御を行うことが可能になる。具体的には、現在行っている無線フレーム信号の送信を中止し、衝突が発生した無線フレーム信号の再送処理を行うことが出来るようになる。その結果、衝突が発生したとしてもより確実に無線フレーム信号の送信を行うことが出来るようになる。
なお、本実施形態における無線通信端末5は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突抑制制御部14と、送信制御部55と、を備えるとした。しかしながら、無線通信端末5は、衝突抑制制御部14の代わりに衝突抑制制御部34を備えていても構わない。また、無線通信端末5は、チャネル遷移判断部45を備えていても構わない。
[第5の実施形態]
次に本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。第5の実施形態では、自機のパラメータを調整し、他機の送信ロスを抑えることが可能な無線通信端末6について説明する。なお、本実施形態における無線通信端末6は、上記説明した無線通信端末と同様の構成を備えることが出来る。そのため、構成の説明については省略する。
上述のように、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による比較の結果、自機(無線通信端末6)は正常に送信されているものの衝突が発生していると判断されることがある。そして、この場合に、衝突原因分析部23で衝突原因の分析を行った結果、隠れ端末問題1、隠れ端末問題3が原因であると分析されることがある。
このような場合には、自機の無線フレーム信号に衝突してきた他機(他の無線通信端末)の無線フレーム信号の送信電力が自機の送信フレームの送受信に影響を与えないほど小さいため、自機の送信は正常に行われていると考えることが出来る。一方で、このような場合、他機にとっては、自機の送信フレームの送信電力が大きく、自機の影響で送信ロスが発生していると考えられる。
そこで、このような場合には、つまり、正常に送信されており、かつ、隠れ端末問題1又は3がある場合には、パラメータ調整部24は、パラメータの調整を行うことで他機の送信ロスを抑えようとするよう構成することが考えられる。このような制御を実現するため、例えば、パラメータ記憶部25が図25で示すパラメータ調整用テーブルを記憶する。このような構成を備えることで、パラメータ調整部24は、上記衝突状況を検出した場合(正常に送信されており、かつ、隠れ端末問題1又は3がある場合)、図25で示すパラメータ調整テーブルをパラメータ記憶部25から取得する。そして、パラメータ調整部24は、パラメータ調整テーブルを参照して、送信電力を下げる調整を行う。このように調整することで、自機の送信フレームが他機へ衝突することを防止することが出来る。
このように、本実施形態におけるパラメータ記憶部25は、正常に送信されており、かつ、隠れ端末問題1又は3がある場合に対するパラメータ調整テーブルを記憶している。また、パラメータ調整部24は、正常に送信されており、かつ、隠れ端末問題1又は3がある場合に、パラメータ記憶部25を参照してパラメータの調整を行うように構成されている。このように構成することで、正常に送信されており、かつ、隠れ端末問題1又は3がある場合には、パラメータ調整部24は、他機へ届かないレベルに自機の送信電力を下げることが出来る。その結果、自機の送信フレームが他機へ衝突することを抑制することが出来る。
[第6の実施形態]
次に本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。第6の実施形態では、フレームの衝突を検出し、フレームの衝突を検出すると衝突原因の分析を行わずにパラメータの調整を行う無線通信端末7について説明する。
図26を参照すると、本実施形態における無線通信端末7は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突抑制制御部71と、を有している。このように、本実施形態における無線通信端末7は、衝突抑制制御部71を有していることを特徴としている。そのため、以下においては、衝突抑制制御部71について詳しく説明する。なお、既に説明したものと同じ構成については、同じ符号を付すものとする。
図27を参照すると、衝突抑制制御部71は、衝突検出部81と、送信ロス率・衝突率閾値比較部22と、パラメータ調整部83と、パラメータ記憶部84と、調整内容記憶部26と、しての機能を有している。
衝突検出部81は、フレーム検出部13が検出した検出結果を解析し、衝突発生の有無を検出する機能を有する。衝突検出部81は、まず、フレーム検出部13から検出結果(電力のパターン)を受信する。そして、衝突検出部81は、検出結果を解析することで衝突発生の有無を検出する。今まで説明した実施形態では、衝突検出部81は、衝突発生の有無の検出と衝突パターンの判別とを行っていた。しかしながら、本実施形態における衝突検出部81は、衝突を検出すると、衝突パターンの判別を行わずに衝突を検出した旨の情報(若しくは衝突率)を送信ロス率・衝突率閾値比較部22へと送信する。
送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、既に説明した構成と同様の機能を有している。つまり、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、送信ロス率と衝突率とを予め定められた閾値Th(送信ロス率用閾値、衝突率用閾値)と比較する。そして、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、比較の結果に基づいて、パラメータ調整の必要性や衝突や減衰などの内容の判断などを行う。その後、送信ロス率・衝突率閾値比較部22は、判断結果をパラメータ調整部83へと送信する。
パラメータ調整部83は、パラメータの調整を行う機能を有する。パラメータ調整部83は、まず、送信ロス率・衝突率閾値比較部22から閾値Thとの比較結果を受信する。すると、パラメータ調整部83は、パラメータ記憶部84に記憶されているパラメータ調整用テーブルの参照を行う。具体的には、パラメータ調整部83は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による比較結果が減衰だった場合、減衰のパラメータ調整用テーブルを参照する。又は、パラメータ調整部83は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による比較結果が衝突だった場合、衝突のパラメータ調整用テーブルを参照する。また、パラメータ調整部83は、調整内容記憶部26を参照することで前回の調整内容を参照し、パラメータ調整を行う優先度を選択する。そして、パラメータ調整部83は、選択した優先度のパラメータの調整を実行する。その後、パラメータ調整部83は、調整した内容を調整内容記憶部26に記憶する。なお、パラメータ調整部83が行う優先度の選択方法は、既に説明したものと同様である。そのため、優先度の選択方法についての説明は省略する。
パラメータ記憶部84は、例えば、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置で構成される。パラメータ記憶部84には、パラメータ調整テーブルが記憶されている。パラメータ記憶部84が記憶するパラメータ調整テーブルは、パラメータ調整部83により取得されることになる。
ここで、本実施形態におけるパラメータ記憶部84が記憶するパラメータ調整テーブルの一例について説明する。図28を参照すると、パラメータ記憶部84は、例えば、以下のような表を記憶している。
優先度1:何もしない
優先度2:バックオフタイムを上げる
優先度3:送信電力を上げる
優先度4:キャリアセンス閾値を下げる
優先度5:送信電力を上げ、キャリアセンス閾値を下げる
優先度6:伝送レートを下げる
優先度7:RTS/CTSを実行する
このように、パラメータ記憶部84は、上述したパラメータ記憶部24が記憶するパラメータ調整テーブルの内容を網羅的に記憶している。つまり、パラメータ記憶部84は、衝突原因毎に必要となるパラメータ調整の内容を網羅的に記憶している。
調整内容記憶部26は、例えば、ハードディスクやRAM(Random Access Memory)などの記憶装置で構成される。調整内容記憶部26には、前回のパラメータ調整時の衝突原因と使用したパラメータ調整テーブル、調整したパラメータの内容が記憶されている。調整内容記憶部26が記憶する記憶内容は、パラメータ調整部83により取得されることになる。
以上が、無線通信端末7の構成である。次に、無線通信端末7の動作の一例について説明する。なお、以下においては、本実施形態に特徴的な動作について説明する。
図29を参照すると、本実施形態におけるパラメータ調整部83には、送信ロス率・衝突率閾値比較部22による判断の結果(減衰が発生したか衝突が発生した)が送信されることになる(S201)。そこで、パラメータ調整部83は、上記結果を受けて、パラメータ記憶部84が記憶する上記判断の結果に応じたパラメータ調整テーブルを取得する。つまり、パラメータ調整部83は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22から減衰が発生したという結果を受信した場合、パラメータ記憶部84から減衰に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S108)。また、パラメータ調整部83は、送信ロス率・衝突率閾値比較部22から衝突が発生したという結果を受信した場合、パラメータ記憶部84から衝突に対するパラメータ調整テーブルを取得する(S202)。その後、パラメータ調整部83は、調整内容記憶部26を参照して優先度に応じたパラメータの調整を行うことになる。
このように、本実施形態における無線通信端末7は、衝突検出部81と、パラメータ調整部83と、パラメータ記憶部84と、の機能を有する衝突抑制制御部71を有している。このような構成により、衝突検出部81が衝突を検出する。また、パラメータ調整部83は、パラメータ記憶部84が記憶するパラメータ調整テーブルを参照して、優先度に応じたパラメータの調整を行う。上記のように、パラメータ記憶部84は、衝突原因毎に必要となるパラメータ調整を網羅的に記憶している。そのため、無線通信端末7は、優先度に応じて順番にパラメータの調整を行うことで、パケットの衝突抑制を行うことが出来る。無線通信端末7がこのような構成を備えることで、衝突原因の分析を行わなくても、パケットの衝突抑制を行うことが出来るようになる。
なお、本実施形態で説明したパラメータ記憶部84が記憶するパラメータ調整テーブルの内容は、パラメータ記憶部84が記憶しうる内容の一例である。パラメータ記憶部84が記憶する内容は、本実施形態で説明した内容に限定されない。
[第7の実施形態]
次に本発明の第7の実施形態について図面を参照して説明する。第7の実施形態では、無線フレーム信号の衝突状況を検出し、検出した衝突状況に応じたパラメータの変更を行う無線通信端末9について説明する。なお、本実施形態では、無線通信端末9の構成の概略について説明する。
図30を参照すると、無線通信端末9は、無線モジュール部91と、フレーム検出部92と、衝突抑制制御部93と、を有している。
無線モジュール部91は、無線フレーム信号を送信する機能を有する。また、フレーム検出部92は、無線モジュール部91が送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出する機能を有する。また、衝突抑制制御部93は、フレーム検出部92が検出した検出結果に基づいて、無線モジュール部91が送信した無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う機能を有する。
このように、無線通信端末9は、無線モジュール部91と、フレーム検出部92と、衝突抑制制御部93と、を有している。このような構成により、無線通信端末9は、無線モジュール部91が送信した無線フレーム信号をフレーム検出部92で検出して、衝突の有無を確かめることが出来る。また、無線通信端末9は、フレーム検出部92が検出した検出結果に基づいて、無線モジュール部91が送信した無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突を検出するとともに所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行うことが出来る。つまり、無線通信端末9は、衝突状況に応じた適切なパラメータの変更を行うことが出来る。その結果、無線通信端末9は、効果的な衝突抑制を行うことが可能となる。
また、上述した無線通信端末9は、当該無線通信端末9に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、無線通信端末に、無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出するフレーム検出部と、フレーム検出部が検出した検出結果に基づいて、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突を検出するとともに所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う衝突抑制制御部と、を実現させるためのプログラムである。
また、上述した無線通信端末9が作動することにより実行される無線通信方法は、送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出し、検出結果に基づいて、無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突を検出するとともに所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う、という方法である。
上述した構成を有する、プログラム、又は、無線通信方法、の発明であっても、上記無線通信端末9と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
[第8の実施形態]
次に本発明の第8の実施形態について図面を参照して説明する。第8の実施形態では、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出して、当該検出した衝突有無情報に基づいて無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを制御する無線通信端末100について説明する。つまり、本実施形態における無線通信端末100は、衝突の有無に応じて上記各実施形態で説明したパラメータの一つである伝送レートの制御を行うことになる。
図31を参照すると、本実施形態における無線通信端末100は、無線モジュール部11と、ロス検出部12(送信ロス情報検出部)と、フレーム検出部13(衝突情報検出部の一部)と、衝突有無検出部101(衝突情報検出部の一部)と、マルチレート制御部102(送信制御部)と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13とは、上述した各実施形態で説明したものと同様の構成を有している。また、衝突有無検出部101及びマルチレート制御部102は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUが実行することで、後述する各機能を実現する。
無線モジュール部11は、図示しないアンテナ部を有しており、当該アンテナ部を介して無線通信を行う。また、本実施形態における無線モジュール部11は、複数の伝送レートのうちのいずれか一つの伝送レートを用いて無線フレーム信号を送信するよう構成されている。
また、無線モジュール部11は、キャリアセンスの実施や送信電力の増減など、無線通信を行う際に用いる機能を有することが出来る。
図32は、無線モジュール部11が無線フレーム信号の送信を行う際に用いる伝送レートの一例である。本実施形態における無線モジュール部11は、後述するように、マルチレート制御部102による制御に基づいて、図32で示す伝送レートの何れか一つを用いて無線フレーム信号を送信するよう構成されている。具体的には、本実施形態における無線モジュール部11は、送信に成功した回数が所定回数(例えば、4回)になることで、次回無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを例えば一つ高くするようマルチレート制御部102により制御される。例えば、無線モジュール部11が図32で示す24Mbpsの伝送レートを用いて行った送信に、4回成功したとする。すると、無線モジュール部11は、次回無線フレーム信号を送信する際に24Mbpsより一つ高いレートである36Mbpsの伝送レートを用いて送信を行うよう、マルチレート制御部102により制御されることになる。また、本実施形態における無線モジュール部11は、送信に失敗して、かつ、所定の条件を満たす回数が所定回数(例えば、4回)になることで、次回無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを例えば一つ低くするようマルチレート制御部102により制御される。例えば、無線モジュール部11が図32で示す12Mbpsの伝送レートを用いて行った送信に失敗して、かつ、所定の条件を満たす回数が4回になったとする。すると、無線モジュール部11は、次回無線フレーム信号を送信する際に12Mbpsより一つ低いレートである11Mbpsの伝送レートを用いるよう、マルチレート制御部102により制御されることになる。
このように、本実施形態における無線モジュール部11は、複数の伝送レートのうちのいずれか一つの伝送レートを用いて無線フレーム信号を送信するよう構成されている。なお、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを決定するためのアルゴリズムは、上記した場合に限定されない。無線モジュール部11が無線通信に用いる伝送レートを決定する際に用いるアルゴリズムは、無線通信の成功又は失敗をトリガにレート変更する様々なアルゴリズムを採ることが出来る。
ロス検出部12は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号が送信先に届かなかったこと(送信ロス)を示す送信ロス情報を検出する。具体的には、ロス検出部12は、無線フレーム信号の送信後所定時間経過まで無線モジュール部11がAckフレームを受信しない場合に、送信ロスが発生しているとみなしてその旨の情報(送信ロス情報)を検出する。そして、ロス検出部12は、検出した送信ロス情報をマルチレート制御部102へと送信する。一方、ロス検出部12は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信後所定時間経過までの間に無線モジュール部11がAckフレームを受信した場合には、その旨の情報をマルチレート制御部102へと送信する。なお、送信ロスが発生していない場合(Ackフレームを受信した場合)のマルチレート制御部102への情報の送信は、無線モジュール部11が行うように構成しても構わない。
フレーム検出部13は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出する。つまり、フレーム検出部13は、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号の電力の時間的な変化を検出する。そして、フレーム検出部13は、検出結果を衝突有無検出部101へと送信する。
衝突有無検出部101は、フレーム検出部13が検出した検出結果を解析することで、衝突の様子を示す衝突情報の一つである、衝突発生の有無を示す衝突有無情報を検出する機能を有する。
具体的には、衝突有無検出部101は、まず、フレーム検出部13から検出結果を受信する。そして、衝突有無検出部101は、当該受信した検出結果を解析することで、衝突発生の有無を示す衝突有無情報を検出する。例えば、衝突有無検出部101は、フレーム検出部13からの検出結果から複数の送信パケット(無線フレーム信号)が重なっていると判断される場合に、衝突が発生していると判断して、衝突が発生している旨の衝突有無情報を検出する。そして、衝突有無検出部101は、衝突が発生している旨の衝突有無情報をマルチレート制御部102に対して送信する。この処理により、衝突有無検出部101は、マルチレート制御部102により行われる後述する送信ロス情報に基づく送信失敗カウンタをカウントする処理を中止するよう割り込みをかけることになる。一方、例えば、衝突有無検出部101は、フレーム検出部13からの検出結果から各送信パケット(無線フレーム信号)が重なっていないと判断される場合に、衝突が発生していないと判断して、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を検出する。そして、衝突有無検出部101は、衝突が発生していない旨の衝突有無情報をマルチレート制御部102に対して送信する。ここで、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を送信する際には、衝突有無検出部101は、上記のようなカウントする処理を中止するようマルチレート制御部102に対して割り込みを行わない。そのため、後述するように、マルチレート制御部102は、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を受信した際には、処理を中止せずに送信ロス情報に基づいて送信失敗カウンタをカウントすることになる。
このように、本実施形態における衝突有無検出部101は、衝突発生の有無を検出し、当該衝突の有無を示す衝突有無情報をマルチレート制御部102へと送信するように構成されている。つまり、本実施形態における衝突有無検出部101は、衝突有無情報を含む衝突情報を検出して、当該検出した衝突有無情報を含む衝突情報をマルチレート制御部102へと送信するよう構成されている。なお、衝突有無検出部101は、衝突状況を示す衝突状況情報を含む衝突情報を検出するように構成しても構わない。
マルチレート制御部102は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報に応じて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを制御する機能を有する。また、マルチレート制御部102は、上記のように、衝突有無検出部101から処理を中止するよう割り込みをかけられることがある。そのため、マルチレート制御部102は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報と衝突有無検出部101から受信した衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを制御することになる。
また、マルチレート制御部102は、図示しない送信成功カウンタ部及び送信失敗カウンタ部と、送信成功カウンタ用閾値(m)及び送信失敗カウンタ用閾値(n)を記憶するメモリなどの記憶装置と、を有している。
送信成功カウンタ部は、送信ロスが発生しなかった旨の情報をマルチレート制御部102が受信した際に、マルチレート制御部102の制御により無線フレーム信号の送信に成功した数をカウントする機能を有している。つまり、マルチレート制御部102は、送信ロスが発生しなかった旨(送信が成功した旨)の情報を受信すると、送信成功カウンタ部の送信成功カウンタを例えば1加算する処理を行うことになる。また、送信失敗カウンタ部は、送信ロス情報をマルチレート制御部102が受信した際に、マルチレート制御部102の制御により無線フレーム信号の送信に失敗した数をカウントする機能を有している。つまり、マルチレート制御部102は、送信ロス情報を受信すると、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを例えば1加算する処理を行おうとすることになる。ここで、上記のように、衝突が発生している旨の衝突有無情報を衝突有無検出部101が検出した際には、衝突有無検出部101は、送信失敗カウンタをカウントする処理を中止するようマルチレート制御部102に対して割り込みをかけることになる。そのため、マルチレート制御部102は、送信ロス情報を受信して、かつ、衝突が発生している旨の衝突有無情報を受信した際には、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを加算する処理を中止してカウントを行わないことになる。一方で、マルチレート制御部102は、送信ロス情報を受信して、かつ、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を受信した際には、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを例えば1加算する処理を行うことになる。
このように、マルチレート制御部102は、無線モジュール部11が無線フレーム信号の送信に成功した回数を数えるよう構成されている。また、本実施形態におけるマルチレート制御部102は、無線モジュール部11が無線フレーム信号の送信に失敗して、かつ、衝突が発生していない回数を数えるよう構成されている。
送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値は、例えば4回などの任意の数値である。送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値は、送信成功カウンタ部及び送信失敗カウンタ部のカウント数(無線フレーム信号の送信に成功した回数及び送信に失敗して、かつ、衝突が発生していない回数)と比較されることになる。
具体的には、マルチレート制御部102は、上記カウント処理の後に、送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する。そして、マルチレート制御部102は、カウントする送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上である場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ低いレート(例えば、図32で示す一つ右のレート)へと変更する。つまり、マルチレート制御部102は、送信に失敗して、かつ、衝突が発生していなかった回数が送信失敗カウンタ用閾値以上になった場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ低いレートへと変更するよう制御する。一方で、マルチレート制御部102は、送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値よりも小さい場合には、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する。そして、マルチレート制御部102は、カウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値以上である場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレート(例えば、図32で示す一つ左のレート)へと変更する。つまり、マルチレート制御部102は、送信に成功した回数が送信成功カウンタ用閾値以上になった場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更するよう制御する。また、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値よりも小さい場合には、レートの変更を行わない旨の判断を行う。
また、マルチレート制御部102は、無線モジュール部11の伝送レートを変更する制御を行った場合、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタをクリアする。つまり、マルチレート制御部102は、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるため無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ低いレートへと変更すると、その後、送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタの値を0に戻す。また、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値以上であるため無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更すると、その後、送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタの値を0に戻す。このように、マルチレート制御部102は、無線モジュール部11が用いる伝送レートを制御するごとに、送信失敗カウンタ及び送信成功カウンタを0に戻して数え直すよう構成されている。
以上のように、本実施形態におけるマルチレート制御部102は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報と衝突有無検出部101から受信した衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを制御する。
なお、本実施形態においては、上記のように、所定回数送信に成功すると伝送レートを高くする制御を行う一方で、送信に失敗して、かつ、衝突が発生していない回数が所定回数になると伝送レートを低くする制御を行うマルチレート制御部102について説明した。しかしながら、本発明の実施は、上記場合に限定されない。マルチレート制御部102は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて伝送レートの制御を行う様々なアルゴリズムを適用することが出来る。
また、本実施形態においては、送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値の一例として、4を挙げた。しかしながら、送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値は、上記場合に限定されない。送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値は、3以下であっても構わないし、5以上であっても構わない。また、送信成功カウンタ用閾値と送信失敗カウンタ用閾値とで、同じ値であっても構わないし異なる値であっても構わない。
また、本実施形態においては、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出するための構成として、フレーム検出部13と衝突有無検出部101とを挙げた。しかしながら、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出可能であれば、本発明の構成は上記場合に限定されない。本発明は、フレーム検出部13と衝突有無検出部101との代わりに、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出する様々な構成を有することが出来る。
以上が、本実施形態における無線通信端末100の構成である。次に、無線通信端末100の動作について説明する。
図33を参照すると、まず無線通信端末100の無線モジュール部11が、無線フレーム信号の送信を行う(S301)。続いて、フレーム検出部13が、上記無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号を取得する(S302)。
このように、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号をフレーム検出部13が取得することで、無線フレーム信号の衝突を監視することになる。具体的には、図34を参照すると、上記動作により無線フレーム信号を取得したフレーム検出部13は、その取得した結果を衝突有無検出部101へと送信する。続いて、衝突有無検出部101が、フレーム検出部13が送信した結果を受信する(S321)。そして、衝突有無検出部101は、受信した結果を解析して衝突有無情報を検出する(S322)。例えば、衝突有無検出部101は、受信した結果から複数の送信パケットが重なっていると判断される場合に、衝突が発生していると判断して、衝突が発生している旨の衝突有無情報を検出する。また、例えば、衝突有無検出部101は、フレーム検出部13からの検出結果から各送信パケット(無線フレーム信号)が重なっていないと判断される場合に、衝突が発生していないと判断して、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を検出する。その後、衝突有無検出部101は、衝突が発生していた旨を示す衝突有無情報を検出した場合(S323、Yes)には、当該衝突が発生していた旨を示す衝突有無情報をマルチレート制御部102に送信することで、送信失敗カウンタをカウントする処理を中止するよう割り込みをかける(S325)。一方で、衝突有無検出部101は、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を検出した場合(S323、No)には、当該衝突が発生していない旨の衝突有無情報をマルチレート制御部102に送信する(S324)。つまり、衝突有無検出部101は、衝突が発生していない旨の衝突有無情報を検出した場合(S323、No)には、送信失敗カウンタをカウントする処理を中止するよう割り込みをかけないことになる。このような動作により、無線通信端末100は、フレーム検出部13及び衝突有無検出部101を用いて無線フレーム信号の衝突を監視することになる。
また、図33で示すように、ロス検出部12は、無線モジュール部11を監視することで、当該無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号が送信先に届かなかったことを示す送信ロス情報を取得する(S303)。そして、ロス検出部12は、取得した送信ロス情報をマルチレート制御部102へと送信する。
続いて、マルチレート制御部102は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報に基づいて、送信ロスが発生したか否かの判断を行う(S304)。そして、送信ロスが発生していなかった場合(S304、No)には、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ部の送信成功カウンタを1加算する(S305)。一方、送信ロスが発生していた場合(S304、Yes)には、マルチレート制御部102は、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを1加算しようとする。ここで、上記のように、衝突が発生している旨の衝突検出情報を衝突有無検出部101が検出した際には、衝突有無検出部101は、送信ロス情報に基づく送信失敗カウンタをカウントする処理を中止するようマルチレート制御部102に対して割り込みをかけている(図34のS325)。そのため、マルチレート制御部102は、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生した場合(S306、Yes)には、送信失敗カウンタをカウントする処理を中止することになる。一方で、マルチレート制御部102は、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生していなかった場合(S306、No)には、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを1加算する(S307)。
上記のような動作により、マルチレート制御部102は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、送信成功カウンタをカウントするか、送信失敗カウンタをカウントするか、あるいは、何もカウントしないかを判断する。
その後、マルチレート制御部102は、送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタと送信失敗カウンタ用閾値(n)とを比較することで、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する(S308)。そして、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上である場合(S308、Yes)に、マルチレート制御部102は、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ低いレートへと変更する(S309)。その後、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタをクリアする(S313)。一方で、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値よりも小さい場合(S308、No)には、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値(m)以上であるか否かを判断する(S310)。そして、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値以上である場合(S310、Yes)に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更する(S311)。その後、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタをクリアする(S313)。一方で、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ部がカウントする送信成功カウンタが送信成功カウンタ用閾値よりも小さい場合(S310、No)には、レートの変更を行わない旨の判断を行う(S312)。
以上のような動作を、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信するごとに繰り返すことになる。
ここで、本実施形態における無線通信端末100と関連する、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出する機能を持たない無線通信端末について説明する。衝突有無情報を検出する機能を無線通信端末が有していない場合、当該無線通信端末は、送信ロスが発生した際に送信ロスが衝突を原因とするものであるのか否かを判別することが出来ない。そのため、上記のような無線通信端末は、送信ロスが発生した際に、衝突の有無を考慮せず一律に送信失敗カウンタをカウントすることになる。その結果、上記のような無線通信端末は、衝突の有無にかかわらず一律に伝送レートを下げる処理を行うことになる。
しかしながら、衝突を原因として送信ロスが発生していた場合、仮に伝送レートを下げたとしても、他の無線通信端末との同時送信の問題を解決することは出来ない。つまり、伝送レートを下げても問題の解決には繋がらないことになる。また、衝突を原因として送信ロスが発生している場合に伝送レートを下げると、伝送レートを下げたことにより1回の送信時間が長くなるため、再度衝突が発生する確率を逆に上げてしまう虞がある。このように、衝突を原因として送信ロスが発生している場合にマルチレート制御を実施することは、送信ロスの解消に繋がらず、制御の効率を低下させてしまう虞があるものと考えられる。つまり、上記のような衝突の有無を示す衝突有無情報を検出する機能を持たない無線通信端末の場合、冗長な制御をしてしまう虞があることになり、また、通信品質を確保することが難しいことがあると考えられる。
一方で、本実施形態における無線通信端末100は、送信ロス情報を検出するロス検出部12と、フレーム検出部13と、フレーム検出部13の検出結果に基づいて衝突有無情報を検出する衝突有無検出部101と、マルチレート制御部102と、を有している。このような構成により、マルチレート制御部102は、ロス検出部12が検出した送信ロス情報と衝突有無検出部101が検出した衝突有無情報とに基づいて、伝送レートの制御を行うことが出来る。つまり、本実施形態におけるマルチレート制御部102は、衝突が発生していることにより送信ロスが発生していると考えられる場合には、伝送レートを下げないような制御を行うことが可能となる。その結果、冗長な制御を減らすことが可能となり、制御効率を向上させることが可能となると考えられる。また、冗長な制御を行わない的確な制御により通信品質を確保することが可能となると考えられる。
また、本実施形態における無線通信端末100は、本実施形態における無線通信端末100と関連する無線通信端末にフレーム検出部13と衝突有無検出部101とを追加するだけで実現することができ、マルチレート制御部102に手を加える必要は必ずしもない。そのため、本実施形態における無線通信端末100の実装は容易であるものと考えられる。
[第9の実施形態]
次に本発明の第9の実施形態について図面を参照して説明する。第9の実施形態における無線通信端末110は、衝突の有無を示す衝突有無情報と衝突状況(衝突パターン)を示す衝突状況情報とを検出するように構成されている。後述するように、本実施形態における無線通信端末110は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを制御することになる。
図35を参照すると、本実施形態における無線通信端末110は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、衝突原因検出部111(衝突情報検出部の一つ)と、マルチレート制御部112と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、の構成は、上述した実施形態で説明したものと同様である。そのため、説明は省略する。また、衝突原因検出部111及びマルチレート制御部112は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUが実行することで、後述する各機能を実現する。
衝突原因検出部111は、フレーム検出部13が検出した検出結果から、無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突パターンである衝突状況を示す衝突状況情報を検出する機能を有する。また、衝突原因検出部111は、衝突状況に応じて、衝突した無線フレーム信号の衝突原因を検出する。つまり、本実施形態における衝突原因検出部111は、衝突原因を示す情報を含む衝突状況情報を検出することになる。
具体的には、衝突原因検出部111は、フレーム検出部13から当該フレーム検出部13が検出した検出結果を取得する。また、衝突原因検出部111は、衝突有無検出部101から衝突有無情報を取得する。そして、衝突原因検出部111は、衝突有無検出部101から取得した衝突有無情報に基づいて衝突が発生していると判断される場合に、フレーム検出部13から取得した検出結果を解析して、衝突パターンである衝突状況を検出する。そして、衝突原因検出部111は、衝突状況に応じた衝突原因を検出する。なお、本実施形態における衝突原因検出部111は、衝突が発生した1送信フレームごとに衝突原因を検出するよう構成されている。
ここで、上述した各実施形態で説明したように、フレーム検出部13が検出する検出結果である衝突パターンは、例えば、図5で示すようになる。そこで、衝突原因検出部111は、フレーム検出部13が検出した検出結果がいずれの衝突パターンであるかを判断することで、衝突原因を検出する。例えば、衝突原因検出部111は、フレーム検出部13が検出した衝突パターンが、図5で示す(A)〜(I)の場合に、衝突原因としてバックオフタイムの一致を検出する。一方、衝突原因検出部111は、フレーム検出部13が検出した衝突パターンが、図5で示す(J)、(K)の場合に、衝突原因として隠れ端末問題を検出する。つまり、衝突原因検出部111は、無線モジュール部11による無線フレーム信号と他の無線通信端末が送信した無線フレーム信号とが同時に送信されることで衝突が発生していると判断される場合に、衝突の原因としてバックオフタイムの一致を検出する。一方、衝突原因検出部111は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信中に他の無線通信端末により無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生していると判断される場合に、衝突の原因として隠れ端末問題を検出する。また、衝突原因検出部111は、他の無線通信端末による無線フレーム信号の送信中に無線モジュール部11により無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生していると判断される場合に、衝突の原因として隠れ端末問題を検出する。
このように、本実施形態における衝突原因検出部111は、無線モジュール部11と他の無線通信端末とが同時に送信を開始することで衝突が発生していた場合に、衝突の原因としてバックオフタイムの一致を検出する。また、衝突原因検出部111は、無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生していた場合に、衝突の原因として隠れ端末問題を検出する。その後、衝突原因検出部111は、検出した衝突原因を示す情報を含む衝突状況情報をマルチレート制御部112へと送信する。
なお、本実施形態における衝突原因検出部111は、衝突原因としてバックオフタイムの一致と隠れ端末問題とを検出するとした。しかしながら、上述した他の実施形態で示したように、隠れ端末問題は、隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とに細かく分けることが出来る(隠れ端末問題3は隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とが多数発生している状態をさすため、本実施形態においては判断しないものとする)。そのため、衝突原因検出部111は、衝突原因として、バックオフタイムの一致と隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とを検出するように構成しても構わない。
マルチレート制御部112は、第8の実施形態で説明したマルチレート制御部102と同様の構成を有している。さらに、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、衝突原因検出部111から衝突状況情報を取得するよう構成されている。このような構成により、マルチレート制御部112は、送信ロス情報と、衝突有無情報と、衝突原因検出部111から取得した衝突状況情報とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際に用いる伝送レートを制御することになる。
また、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、第8の実施形態で示した構成に加えて、図示しない隠れ端末問題衝突カウンタ部を有している。さらに、マルチレート制御部112が有する記憶装置には、送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値に加えて、隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値(K)が記憶されている。
隠れ端末問題衝突カウンタ部は、衝突の原因が隠れ端末問題である旨の情報をマルチレート制御部112が受信した際に、マルチレート制御部112の制御により衝突原因が隠れ端末問題である数をカウントする機能を有している。つまり、マルチレート制御部112は、衝突原因が隠れ端末問題である旨の衝突状況情報を受信することで、隠れ端末問題衝突カウンタ部の隠れ端末問題衝突カウンタを例えば1加算する処理を行うことになる。一方、マルチレート制御部112は、バックオフタイムの一致が衝突原因である旨の衝突状況情報を受信した場合には、隠れ端末問題衝突カウンタをカウントする処理を行わない。
このように、マルチレート制御部112は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とに基づいて、送信成功カウンタや送信失敗カウンタをカウントすると共に隠れ端末問題衝突カウンタをカウントする。具体的には、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、処理を中止する旨の割り込みを衝突有無検出部101からかけられると、衝突状況情報に基づいて衝突原因が隠れ端末問題であるのか否かを判断する。そして、マルチレート制御部112は、衝突原因が隠れ端末問題である場合には、隠れ端末問題衝突カウンタ部の隠れ端末問題衝突カウンタをカウントする。つまり、マルチレート制御部112は、送信ロス情報を受信して、かつ、衝突が発生している旨の衝突有無情報を受信して、かつ、衝突原因が隠れ端末問題である旨の衝突状況情報を受信した場合に、隠れ端末問題衝突カウンタをカウントする処理を行うことになる。
また、隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値は、例えば4回などの任意の数値である。隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値は、隠れ端末問題衝突カウンタ部のカウント数と比較されることになる。
具体的には、マルチレート制御部112は、上記カウント処理の後に、隠れ端末問題衝突カウンタ部がカウントする隠れ端末問題衝突カウンタが、隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する。そして、マルチレート制御部112は、カウントした隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更する。つまり、マルチレート制御部112は、送信に失敗して、かつ、衝突が発生しており、かつ、衝突の原因が隠れ端末問題である回数が隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更するよう制御する。一方、マルチレート制御部112は、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値よりも小さい場合には、送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する。以降、マルチレート制御部112は、第8の実施形態で説明した処理と同様の処理を行うことになる。
また、マルチレート制御部112は、無線モジュール部11の伝送レートを変更する制御を行った場合、送信成功カウンタ、及び、送信失敗カウンタ、及び、隠れ端末問題衝突カウンタの全てを0にクリアする。つまり、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、無線モジュール部11の伝送レートを変更する制御を行った場合、全てのカウントを0に戻すことになる。
このように、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突原因検出部111から受信した衝突状況情報とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを制御する
なお、上述したように、衝突原因検出部111は、衝突原因として、バックオフタイムの一致と隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とを検出するように構成することが出来る。そのため、マルチレート制御部112は、隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とを区別して処理を行うように構成しても構わない。例えば、マルチレート制御部112は、隠れ端末問題1衝突カウンタ部と隠れ端末問題2衝突カウンタ部とを有することが出来る。このような構成により、マルチレート制御部112は、隠れ端末問題1衝突カウンタ部でカウントする隠れ端末問題1衝突カウンタと隠れ端末問題2衝突カウンタ部でカウントする隠れ端末問題2衝突カウンタとのそれぞれに基づいて、伝送レートの制御を行うことが出来る。
また、隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値は、送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値と同じ値であっても構わないし、違う値であっても構わない。また、隠れ端末問題1衝突カウンタ用閾値と隠れ端末問題2衝突カウンタ用閾値とを用いる場合には、隠れ端末問題1衝突カウンタ用閾値と隠れ端末問題2衝突カウンタ用閾値とは、同じ値であっても構わないし、違う値であっても構わない。また、マルチレート制御部112は、衝突原因が隠れ端末問題である数を数える代わりに、衝突原因がバックオフタイムの一致である数を数えるよう構成しても構わない。
以上が、本実施形態における無線通信端末110の構成である。次に、無線通信端末110の動作について説明する。
図36を参照すると、マルチレート制御部112が衝突発生の有無を判断するまでは、無線通信端末110の動作は、第8の実施形態で示した無線通信端末100の動作と同様になる。また、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生していなかった場合(S306、No)には、マルチレート制御部112は、第8の実施形態と同様に、送信失敗カウンタ部の送信失敗カウンタを1加算する(S307)。
一方、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生していた場合(S306、Yes)には、マルチレート制御部112は、送信失敗カウンタを1加算しようとして、当該加算処理を中止するよう割り込みをかけられることになる。このような場合、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、衝突状況情報に基づいて衝突原因の分析を行うことになる(S331)。そして、衝突原因が隠れ端末問題であった場合(S332、Yes)、マルチレート制御部112は、隠れ端末問題衝突カウンタ部の隠れ端末問題衝突カウンタを1加算する(S333)。一方、衝突原因が隠れ端末問題でなかった場合(例えば、バックオフタイムの一致であった場合)(S332、No)には、マルチレート制御部112は、何もカウントしないことになる。
上記のような動作により、マルチレート制御部112は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とに基づいて、送信成功カウンタをカウントするか、送信失敗カウンタをカウントするか、隠れ端末問題衝突カウンタをカウントするか、あるいは、何もカウントしないかを判断する。
その後、マルチレート制御部102は、隠れ端末問題衝突カウンタと隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値(K)とを比較することで、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する(S334)。そして、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合(S334、Yes)に、マルチレート制御部112は、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更する(S335)。その後、マルチレート制御部102は、送信成功カウンタ及び送信失敗カウンタ及び隠れ端末問題衝突カウンタをクリアする(S336)。一方、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値よりも小さい場合(S334、No)には、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否か判断する(S308)。以降の動作は、第8の実施形態で説明した無線通信端末100の動作と同様であるため、省略する。
以上のような動作を、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信するごとに繰り返すことになる。
このように、本実施形態における無線通信端末110は、衝突原因検出部111と、マルチレート制御部112と、を有している。このような構成により、無線通信端末110は、衝突状況情報を加味した上で伝送レートの制御を行うことが可能となる。
ここで、衝突の原因がバックオフタイムの一致である場合、当該衝突はバックオフタイムに依存して起こることになる。そのため、衝突の原因がバックオフタイムの一致である場合では、伝送レートを変更して1フレーム送信にかかる時間を変更したとしても、衝突が起こる確率に特に変化はないものと考えられる。一方で、衝突の原因が隠れ端末問題である場合、衝突はバックオフタイムに依存せずランダムで発生することになる。そのため、1フレーム送信にかかる時間を短くすることで、干渉源となる他の無線通信端末が通信していない期間の間に1フレームの通信を正常に完了出来る確率が高くなると考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末110は、衝突原因検出部111とマルチレート制御部112とを有することにより、衝突原因が隠れ端末問題である場合に伝送レートを高くすることを可能とする。その結果、1フレーム送信にかかる時間を短くすることが可能となり、衝突が発生することにより送信ロスが発生する確率を下げることが可能となる。また、無線通信端末110は、上記のような構成を有することにより、衝突原因が隠れ端末問題でない場合(バックオフタイムの一致である場合)に伝送レートの制御を行わないことを可能とする。その結果、衝突が起こる確率に特に変化はない場合に伝送レートの制御を行わないよう処理することが可能となる。つまり、本実施形態における無線通信端末110は、上記のような構成を有することで、冗長な制御を行わずにより高い通信品質を確保することが可能となる。
[第10の実施形態]
次に本発明の第10の実施形態について図面を参照して説明する。第10の実施形態では、トラフィック量を加味した上で伝送レートを制御する無線通信端末120について説明する。なお、トラフィック量とは、チャネル上で送受信される信号やデータの量や単位時間当たりの使用率のことをいう。
本実施形態における無線通信端末120は、第9の実施形態における無線通信端末110と同様の構成を有している。そのため、各構成についての詳細な説明は省略する。
また、本実施形態における無線通信端末120は、無線通信端末110の構成に加えて、トラフィック量を取得することが出来るように構成されている。トラフィック量の取得は、例えば、無線モジュール部11を利用することで実現することが出来る。具体的には、トラフィック量の取得は、例えば、無線モジュール部11によるキャリアセンスを利用することでチャネルがどの程度混雑しているか監視することにより実現することが出来る。また、トラフィック量の取得は、例えば、フレーム検出部13を用いて信号電力を監視することによっても実現することが出来る。このように、トラフィック量の取得は、様々な構成を用いて実現することが可能である。
また、本実施形態におけるマルチレート制御部112が有する記憶装置は、送信成功カウンタ用閾値及び送信失敗カウンタ用閾値及び隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値に加えて、トラフィック量閾値(TH)を記憶している。トラフィック量閾値は任意の値であり、例えば、1秒間隔でのチャネルの使用率が50%である旨を示している。トラフィック量閾値は、マルチレート制御部112にて、取得されたトラフィック量と比較されることになる。
具体的には、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値を超える場合に、取得した周囲のトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する。そして、マルチレート制御部112は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上の場合に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更する。一方で、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合には、伝送レートの変更を行わずに、送信失敗カウンタ部がカウントする送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否かを判断する。つまり、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、衝突の原因が隠れ端末問題である回数が隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上であったとしても、周囲のトラフィック量がトラフィック量閾値以上でない場合は、伝送レートを高くしないよう制御することになる。なお、上記制御以外は、既に説明したものと同様の制御を行うことになる。
このように、本実施形態におけるマルチレート制御部112は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とトラフィック量とに基づいて、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを制御するよう構成されている。
なお、無線通信端末120は、上記例示した以外の構成を用いてトラフィック量を取得しても構わない。また、トラフィック量閾値は50%以外の数値であっても構わない。また、トラフィックには自無線通信端末の送信と他の周囲の無線通信端末によるものとが存在するが、無線通信端末120は、上記トラフィックのどちらかだけを監視するように構成しても構わないし、両方を監視するように構成しても構わない。
図37は、本実施形態における無線通信端末120の動作の一例である。図37を参照すると、無線通信端末120は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信の際(S301)に、周囲のトラフィック量を取得する(S341)。そして、取得したトラフィック量をマルチレート制御部112へと送信する。
また、本実施形態における無線通信端末120が有するマルチレート制御部112は、カウントする隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合(S334、Yes)に、上記動作により取得したトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する(S342)。そして、マルチレート制御部112は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合(S342、Yes)に、無線モジュール部11が用いる伝送レートを一つ高いレートへと変更する(S335)。その後、マルチレート制御部112は、全てのカウンタを0にクリアする(S336)。一方、マルチレート制御部112は、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合(S342、No)には、レートの変更を行わずに、送信失敗カウンタが送信失敗カウンタ用閾値以上であるか否か判断する(S308)。以降の動作は、既に説明したものと同様である。
このように、本実施形態における無線通信端末120は、トラフィック量を取得するように構成されている。このような構成により、無線通信端末120は、トラフィック量を加味した上で伝送レートを制御することが出来る。
ここで、トラフィック量とは、上記のように、チャネル上で送受信される信号やデータの量や単位時間当たりの使用率を示している。そのため、トラフィック量が少ないほど、1回の伝送時間が長くても衝突が起こりにくいものと考えられる。つまり、仮に隠れ端末問題を原因として衝突が起こっているとしても、トラフィックが混雑していない環境下においては、伝送レートを高くしなくても再度の送信が成功する確率が高いものと考えられる。一方で、トラフィックが混雑している環境下においては、再度の送信が成功する確率を上げるため、伝送レートを高くすることが望ましいものと考えることが出来る。
そこで、本実施形態における無線通信端末120は、トラフィック量を取得するよう構成することにより、衝突の原因が隠れ端末問題の場合でも、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合には、伝送レートの変更を行わないように制御することを可能とする。また、無線通信端末120は、上記のような構成を有することにより、衝突の原因が隠れ端末問題であり、かつ、トラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合に、伝送レートを一つ高くすることを可能とする。その結果、伝送レートを高くしなくても再度の送信が成功する確率が高い場合には伝送レートの変更をしない一方で、そのままでは再度の送信が失敗する可能性がある場合に伝送レートの変更を行うよう制御することが可能となる。つまり、無線通信端末120は、上記のような構成を有することで、冗長なマルチレート制御を抑制しつつ、通信品質を確保することが可能となる。
[第11の実施形態]
次に本発明の第11の実施形態について図面を参照して説明する。第11の実施形態では、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出して、当該検出した衝突有無情報に基づいて再送制御を制御する無線通信端末130について説明する。なお、再送制御とは、送信が失敗した際に、同じデータを再度届けようと無線モジュール部11が再度の送信を行う制御のことをいう。
図38を参照すると、本実施形態における無線通信端末130は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、再送制御部131(送信制御部)と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、の構成は、上述した各実施形態で説明した構成と同様の構成を有している。そのため、以下においては、上記各構成の詳細な説明は省略する。また、再送制御部131は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUが実行することで、後述する機能を実現する。
本実施形態における無線モジュール部11は、当該無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信が失敗した際に、再送制御部131の制御に基づいて、再送制御を行う機能を有している。つまり、本実施形態における無線モジュール部11は、無線フレーム信号の送信に失敗した場合には、予め決定された最大再送試行回数の分だけ、送信ロスが発生しなくなるまで、送信に失敗したものと同じ内容の送信を行うことになる。
衝突有無検出部101は、既に説明したように、衝突有無情報を取得して、当該取得した衝突有無情報を再送制御部131に対して送信する。本実施形態における衝突有無検出部101は、再送制御部131に対して衝突有無情報を送信する際に、所定の処理を中止させる割り込みは行わずに、衝突有無情報の送信のみをすることになる。
再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11による再送制御を制御する機能を有している。また、再送制御部131は、最大再送試行回数を決定する機能や再送時のバックオフタイムの範囲を増加させる機能を有している。また、再送制御部131は、図示しないメモリなどの記憶装置を有している。
本実施形態における再送制御部131は、最大再送試行回数を決定する。最大再送試行回数は、例えば4回などの任意の値である。そして、再送制御部131は、決定した最大再送試行回数を当該再送制御部131が有する記憶装置に記憶する。後述するように、本実施形態における再送制御部131は、決定した最大再送試行回数を超えない範囲で再送制御を行うよう制御することになる。なお、最大再送試行回数は4以外の値であっても構わない。
また、再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11による再送制御を制御する。具体的には、再送制御部131は、ロス検出部12から送信ロス情報を受信する。また、再送制御部131は、衝突有無検出部101から衝突有無情報を受信する。そして、再送制御131は、送信ロス情報を受信して、かつ、衝突が発生している旨の衝突有無情報を受信した場合に、予め決定した最大再送試行回数を超えない範囲内において再送制御を行うよう、無線モジュール部11を制御する。一方、再送制御部131は、送信に成功した場合や、送信ロス情報を受信したものの衝突が発生していない旨の衝突有無情報を受信した場合、予め定められた最大再送試行回数分再送を実行した場合に、再送制御を終了するよう制御する。このように、本実施形態における再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づくことで、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生している場合にのみ再送制御を行うよう制御する。
また、再送制御部131は、再送時にバックオフタイムの範囲を増加させて再送時の衝突確率を減少させるよう構成されている。具体的には、バックオフタイムを決定するパラメータCWは、最小値CWmin、最大値CWmaxの範囲内で決定される整数であり、下記式に基づいて再送ごとにCWの範囲が増加するように再送制御部131により算出されることになる。つまり、再送制御部131は、最大値CWmaxを超えない範囲内において、再送回数に応じて、バックオフタイムを決定するパラメータCWを大きくすることになる。
CW=(CWmin+1)×2α−1
なお、αは再送回数であり、0以上の値である。また、CWmin、及び、CWmaxは、無線通信端末が使用するIEEE802.11の規格ごとに一意に決定される値である。
このように、本実施形態における再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11による再送制御を制御する機能を有している。
以上が、本実施形態における無線通信端末130の構成である。次に、本実施形態における無線通信端末130の動作の一例について説明する。
図39を参照すると、まず、再送制御部131が、最大再送試行回数を決定する(S401)。続いて、無線モジュール部11が、無線フレーム信号を送信する(S402)。そして、フレーム検出部13が、上記無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号を取得する(S403)。
このように、無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号をフレーム検出部13が取得することで、無線フレーム信号の衝突を監視することになる。なお、衝突を監視する際の動作は、既に説明したものと同様のため省略する。
また、ロス検出部12が、送信ロス情報を取得する(S404)。そして、ロス検出部12は、取得した送信ロス情報を再送制御部131へと送信する。
続いて、再送制御部131は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報に基づいて、送信ロスが発生したか否かの判断を行う(S405)。そして、送信ロスが発生していなかった場合(S405、No)には、再送制御部131は、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。つまり、再送制御部131は、上記場合には、再度最大再送試行回数を決定した上で無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信を待つことになる。一方、送信ロスが発生していた場合(送信ロス情報を受け取った場合)(S405、Yes)には、再送制御部131は、衝突有無情報に基づいて、衝突が発生したか否かの判断を行う(S406)。そして、衝突が発生していなかった場合(S406、No)には、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、衝突が発生していた場合(S406、Yes)には、再送制御部131は、再送数が最大再送試行回数を超えているか否かの判断を行う(S407)。そして、最大再送試行回数分の再送を既に行っている場合(S407、Yes)には、再送制御部131は、それ以降の処理を終了する。一方、再送数が最大再送試行回数よりも小さい場合(S407、No)には、再送制御部131は、再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行う(S408)。また、再送制御部131は、再送を行った回数をカウントする。その後、再度フレーム検出部13により無線フレーム信号を取得し、また、ロス検出部12により送信ロス情報を取得する。以降、再送制御部131は、上記説明した動作と同様の動作を繰り返すことになる。
上記のような動作により、再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11の再送制御を制御することになる。そして、再送制御部131は、上記動作を、無線モジュール部11が無線フレーム信号を送信しようとするごとに繰り返すことになる。
このように、本実施形態における無線通信端末130は、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、再送制御部131と、を有している。このような構成により、再送制御部131は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、再送制御を制御することが出来る。
ここで、送信ロスが生じた際に衝突がなかった場合、減衰による送信ロスが発生しているものと考えられる。そのため、このような場合に再送を行ったとしても、再度減衰により送信が失敗する確率が高いと考えられる。一方で、送信ロスの原因が衝突である場合には、再送制御を行うことで送信が成功する可能性があるものと考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末130は、フレーム検出部13と衝突有無検出部101とを有することにより、送信ロスが発生しても衝突が発生していない場合に、再送制御を行わないよう制御することを可能とする。また、無線通信端末130は、上記のような構成を有することにより、送信ロスが発生して、かつ、衝突が発生している場合に、再送制御を行うよう制御することを可能とする。その結果、再度減衰により送信が失敗する確率が高い場合に再送制御を行わないよう制御することが可能となり、再送を行うことで成功する確率がある場合に再送を行うよう制御することが可能となる。つまり、無駄な再送を抑制しつつ通信品質を確保することが可能となる。
[第12の実施形態]
次に本発明の第12の実施形態について図面を参照して説明する。第12の実施形態では、衝突の有無を示す衝突有無情報と衝突状況を示す衝突状況情報とを検出して、当該検出した衝突有無情報と衝突状況情報とに基づいて再送制御を制御する無線通信端末140について説明する。
図40を参照すると、本実施形態における無線通信端末140は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、衝突原因検出部111と、再送制御部141と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、の構成は、上述した各実施形態で説明したものと同様である。また、衝突原因検出部111の構成は、第9の実施形態で説明したものと同様である。そのため、上記各構成の説明は説明する。再送制御部141は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUで実行することで、後述する機能を実現する。
再送制御部141は、第11の実施形態で説明した再送制御部131と同様の機能を有している。つまり、再送制御部141は、無線モジュール部11による再送制御を制御する機能、最大再送試行回数を決定する機能、再送時のバックオフタイムの範囲を増加させる機能、などを有している。さらに、本実施形態における再送制御部141は、上記再送制御を制御する際に、衝突状況情報を加味した上で制御するよう構成されている。
再送制御部141は、送信ロス情報や衝突有無情報を受信すると共に、衝突原因検出部111から衝突状況情報を受信する。そして、本実施形態における再送制御部141は、送信ロスが発生して、かつ、衝突が発生している場合に、衝突状況情報が示す衝突原因を加味した上で、再送制御を制御する。具体的には、再送制御部141は、衝突原因が隠れ端末問題である場合には、再送制御を行わないように構成されている。そのため、再送制御部141は、送信ロスが発生して、かつ、衝突が発生して、かつ、衝突原因が隠れ端末問題でない場合(例えば、バックオフタイムの一致の場合)に、再送制御を行うよう制御することになる。
次に、本実施形態における無線通信端末140の動作の一例について説明する。
図41を参照すると、まず、再送制御部141が、最大再送試行回数を決定する(S401)。続いて、無線モジュール部11が、無線フレーム信号を送信する(S402)。そして、フレーム検出部13が、上記無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号を取得する(S403)。また、ロス検出部12が、送信ロス情報を取得する(S404)。その後、送信ロス情報及び衝突有無情報が再送制御部141に送信される。
また、衝突原因検出部111が衝突原因を検出して衝突状況情報を再送制御部141に送信する。このような動作により、再送制御部141には、送信ロス情報と、衝突有無情報と、衝突状況情報と、が送信されることになる。
続いて、再送制御部141は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報に基づいて、送信ロスが発生したか否かの判断を行う(S405)。そして、送信ロスが発生していなかった場合(S405、No)には、再送制御部141は、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、送信ロスが発生していた場合(S405、Yes)には、再送制御部141は、衝突有無情報に基づいて、衝突が発生したか否かの判断を行う(S406)。そして、衝突が発生していなかった場合(S406、No)には、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、衝突が発生していた場合(S406、Yes)には、再送制御部141は、衝突状況情報に基づいて衝突原因の分析を行う(S411)。そして、衝突原因が隠れ端末問題である場合(S412、Yes)には、再送制御部141は、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、衝突原因が隠れ端末問題でなかった場合(バックオフタイムの一致である場合)(S412、No)には、再送制御部141は、再送数が最大再送試行回数を超えているか否かの判断を行うことになる(S407)。以降の処理は、既に説明したものと同様のため省略する。
このように、本実施形態における無線通信端末140は、衝突原因検出部111と再送制御部141とを有している。このような構成により、無線通信端末140は、衝突状況情報を加味した上で再送制御を制御することが可能となる。
ここで、第11の実施形態で説明したように、再送制御部141は、再送を行う際にバックオフタイムの範囲を増加させて再送時の衝突確率を減少させるよう構成されている。そのため、衝突の原因がバックオフタイムの一致である場合には、再送時の送信が成功する確率は上がっているものと考えられる。一方、衝突の原因が隠れ端末問題である場合には、衝突が発生する確率はバックオフタイムに依存しないため、再送を行っても再度衝突する確率は変わらず無駄な再送になってしまう可能性があるものと考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末140は、衝突原因検出部111を有することにより、再送により送信が成功する確率の高くなる、衝突原因がバックオフタイムの一致である場合に再送制御を行うよう制御することを可能とする。また、無線通信端末140は、上記構成を有することにより、衝突する確率が変わらず無駄な送信になる虞のある、衝突原因が隠れ端末問題の場合に再送制御を行わないよう制御することを可能とする。その結果、再送により送信が成功する確率が上がっている場合にのみ再送制御を行うよう制御することが可能となる。つまり、冗長な制御を行わずにより高い通信品質を確保することが可能となる。
[第13の実施形態]
次に本発明の第13の実施形態について図面を参照して説明する。第13の実施形態では、トラフィック量を加味した上で再送制御を制御する無線通信端末150について説明する。
本実施形態における無線通信端末150は、第12の実施形態における無線通信端末140と同様の構成を有している。そのため、各構成についての詳細な説明は省略する。
また、本実施形態における無線通信端末150は、第10の実施形態で説明した無線通信端末120と同様に、トラフィック量を取得するようことが出来るように構成されている。トラフィック量の取得は、例えば、無線モジュール部11を利用することで実現することが出来る。具体的には、例えば、無線モジュール部11によるキャリアセンスを利用することでチャネルがどの程度混雑しているか監視することにより、トラフィック量を取得することを実現することが出来る。また、例えば、フレーム検出部13を用いて信号電力を監視することによっても、トラフィック量を取得することを実現することが出来る。無線通信端末150は、上記以外の方法でトラフィック量を取得するように構成しても構わない。
また、本実施形態における再送制御部141が有する記憶装置は、トラフィック量閾値を記憶するように構成されている。なお、トラフィック量閾値は、既に第10の実施形態で説明したものと同様であるため、その詳細な説明については省略する。
また、本実施形態における再送制御部141は、衝突原因が隠れ端末問題である場合に、取得した周囲のトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する。そして、再送制御部141は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上の場合には、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、再送制御部141は、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合には、最大再送試行回数分の再送を既に行ったか否かを判断する。その後、再送制御部141は、再送数に応じて再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御することになる。このように、本実施形態における再送制御部141は、衝突原因が隠れ端末問題であったとしても、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合は、再送数が最大再送試行回数を超えない範囲で再送制御を行うよう制御するように構成されていることになる。
以上のように、本実施形態における再送制御部141は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とトラフィック量とに基づいて、再送制御を制御するよう構成されている。
図42は、本実施形態における無線通信端末150の動作の一例である。図42を参照すると、無線通信端末120は、無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信の際(S402)に、周囲のトラフィック量を取得する(S421)。そして、取得したトラフィック量を再送制御部141へと送信する。
また、本実施形態における再送制御部141は、衝突原因が隠れ端末問題である場合(S412、Yes)に、上記動作により取得したトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する(S422)。そして、再送制御部141は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合(S422、Yes)には、再送制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、再送制御部141は、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合(S422、No)には、再送数が最大再送試行回数を超えているか否かの判断を行うことになる(S407)。以降の処理は、既に説明したものと同様のため省略する。
このように、本実施形態における無線通信端末150は、トラフィック量を取得するように構成されている。このような構成により、無線通信端末150は、トラフィック量を加味した上で再送制御を制御することが出来る。
ここで、衝突の原因が隠れ端末問題である場合にトラフィックが混雑している場合、再送を行っても再度衝突する可能性が高いと考えられる。一方で、仮に隠れ端末問題を原因として衝突が発生しているとしても、トラフィックが混雑していない環境下においては、再送を行っても衝突が発生しない可能性があり再送が成功する可能性があるものと考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末150は、トラフィック量を取得するように構成することにより、隠れ端末問題を原因として衝突が起こっていたとしても、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合は、最大再送試行回数を超えない範囲内において再送制御を行うよう制御することを可能とする。また、無線通信端末150は、上記構成を有することにより、隠れ端末問題を原因として衝突が起こっており、かつ、トラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合に、再送制御を行わないよう制御することを可能とする。その結果、再送により送信が成功する確率が上がっていない場合でも再送を行うことで送信が成功する確率が高いと判断される場合に、再送制御を行うよう制御することが可能となる。つまり、無線通信端末150は、上記のような構成を有することにより、冗長な制御を抑制しつつ、通信品質を確保することが可能となる。
[第14の実施形態]
次に本発明の第14の実施形態について図面を参照して説明する。第14の実施形態では、衝突の有無を示す衝突有無情報を検出して、当該検出した衝突有無情報に基づいてマルチレートリトライ制御を実行する無線通信端末160について説明する。なお、マルチレートリトライとは、マルチレート制御と再送制御とを組み合わせたアルゴリズムのことをいう。つまり、マルチレートリトライ制御のもとでは、最大再送試行回数分の再送が失敗した場合、伝送レートを下げてより通信しやすい状態での再送を試みることになる。また、伝送レートを下げた状態でさらに最大再送試行回数分の再送が失敗した場合、再度伝送レートを下げ再送を試みることになる。マルチレートリトライは、このような動作を繰り返して再送とレート制御とを行うアルゴリズムである。
図43を参照すると、本実施形態における無線通信端末160は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、マルチレートリトライ制御部161(送信制御部)と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13と、衝突有無検出部101とは、上述した各実施形態で説明した構成と同様の構成を有している。そのため、以下においては、上記各構成の詳細な説明は省略する。また、マルチレートリトライ制御部161は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUが実行することで、後述する機能を実現する。
無線モジュール部11は、複数の伝送レートのうちのいずれか一つの伝送レートを用いて無線フレーム信号を送信するよう構成されている。さらに、無線モジュール部11は、当該無線モジュール部11による無線フレーム信号の送信が失敗した際に、マルチレートリトライ制御部161の制御に基づいて、再送制御を行うよう構成されている。本実施形態における無線モジュール部11は、このように構成されることで、再送が成功するまで伝送レートを下げつつ再送を行うことになる。
図44は、マルチレートリトライのアルゴリズムの一例である。本実施形態における無線モジュール部11は、後述するように、マルチレートリトライ制御部161による制御に基づいて、図44で示す伝送レートの何れか一つを用いて無線フレーム信号を送信(再送)することになる。具体的には、本実施形態における無線モジュール部11は、各伝送レートに予め対応付けられている最大再送試行回数分再送を失敗した場合、伝送レートを一つ下げて再送を試みることになる。例えば、無線モジュール部11が図44で示す48Mbpsの伝送レートで3回再送に失敗した場合、無線モジュール部11は、次の再送を36Mbpsの伝送レートで行うよう、マルチレートリトライ制御部161により制御されることになる。また、その後、無線モジュール部11が36Mbpsの伝送レートで3回再送に失敗した場合、無線モジュール部11は、次の再送を24Mbpsの伝送レートで行うよう、マルチレートリトライ制御部161により制御されることになる。
マルチレートリトライ制御部161は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11によるマルチレートリトライを制御する機能を有している。また、マルチレートリトライ制御部161は、使用する伝送レートや各レートの最大再送試行回数を決定する機能、再送時のバックオフタイムの範囲を増加させる機能、などを有している。さらに、マルチレートリトライ制御部161は、図示しないメモリなどの記憶装置を有している。
本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部161は、再送の際に使用する伝送レートや各レートの最大再送試行回数を決定する。伝送レートは、54Mbpsや24Mbps、1Mbpsなどの値であり、最大再送試行回数は、4などの任意の値である。そして、マルチレートリトライ制御部161は、決定した伝送レートや最大再送試行回数を当該マルチレートリトライ制御部161が有する記憶装置に記憶する。後述するように、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部161は、決定した最大再送試行回数分再送に失敗すると、一つ下の伝送レートに変更した上で再度再送を行うよう制御することになる。なお、マルチレートリトライ制御部161が決定する伝送レートは、上記例示した以外のものであっても構わない。また、マルチレートリトライ制御部161が決定する最大再送試行回数は4以外の値であっても構わない。また、最大再送試行回数は、伝送レートごとに異なる値であっても構わない。
また、マルチレートリトライ制御部161は、上記のように、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、無線モジュール部11によるマルチレートリトライを制御する。具体的には、マルチレートリトライ制御部161は、ロス検出部12から送信ロス情報を受信する。また、マルチレートリトライ制御部161は、衝突有無検出部101から衝突有無情報を受信する。そして、マルチレートリトライ制御部161は、送信ロス情報を受信して、かつ、衝突が発生している旨の衝突有無情報を受信して、かつ、予め決定した最大再送試行回数の再送を実施していない場合に、再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する。また、マルチレート制御部161は、現在使用している伝送レートで最大再送試行回数分の再送を既に実施していた場合、伝送レートを次の伝送レート(一つ低い伝送レート)に変更した上で再度再送制御を行うよう、無線モジュール部11を制御する。一方、マルチレートリトライ制御部161は、送信に成功した場合や、変更可能な伝送レートが無い場合には、処理を終了して再送制御を制御しないことになる。
このように、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部161は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、マルチレートリトライを制御するよう構成されている。
図45は、本実施形態における無線通信端末160の動作の一例である。図45を参照すると、無線通信端末160のマルチレートリトライ制御部161は、まず、再送に使用する伝送レートの集まりであるマルチレートリトライテーブルを決定する(S501)。また、マルチレートリトライ制御部161は、各レートの最大再送試行回数を決定する(S502)。続いて、マルチレートリトライ制御部161は、上記マルチレートリトライテーブルを用いて無線モジュール部11が最初に無線フレーム信号を送信する際の伝送レートを設定する(S503)。具体的には、マルチレートリトライ制御部161は、マルチレートリトライテーブルのうちの最も大きな伝送レート(例えば、図44で示すR1)を、最初に無線フレーム信号を送信する際の伝送レートとして設定する。その後、無線モジュール部11が、無線フレーム信号を送信する(S504)。
続いて、フレーム検出部13が、上記無線モジュール部11が送信した無線フレーム信号を取得する(S505)。これにより、無線送信端末160は、無線フレーム信号の衝突を監視する。なお、衝突を監視する際の動作は、既に説明したものと同様のため省略する。
また、ロス検出部12が、送信ロス情報を取得する(S506)。そして、ロス検出部12は、取得した送信ロス情報をマルチレートリトライ制御部161へと送信する。
続いて、マルチレートリトライ制御部161は、ロス検出部12から受信した送信ロス情報に基づいて、送信ロスが発生したか否かの判断を行う(S507)。そして、送信ロスが発生していなかった場合(S507、No)には、マルチレートリトライ制御部161は、制御の必要はないと判断してそれ以降の処理を終了する。一方、送信ロスが発生していた場合(送信ロス情報を受け取った場合)(S507、Yes)には、マルチレートリトライ制御部161は、衝突有無情報に基づいて、衝突が発生したか否かの判断を行う(S508)。そして、衝突が発生していなかった場合(S508、No)には、マルチレートリトライ制御部161は、設定可能な次のレートあるか否かの確認を行う(S510)。設定可能なレートがある場合(S510、Yes)には、マルチレートリトライ制御部161は、次のレートに伝送レートを変更した(伝送レートを一つ下げた)(S511)上で再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行う(S512)ことになる。一方、設定可能なレートが無い場合には、マルチレートリトライ制御部161は、それ以降の処理を中断することになる。また、衝突が発生していた場合(S508、Yes)には、マルチレートリトライ制御部161は、最大再送試行回数分の再送を既に実施したか否かの判断を行う(S509)。そして、最大再送試行回数の再送を実施していなかった場合(S509、No)には、そのままの伝送レートで再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行う(S512)ことになる。一方、最大再送試行回数の再送を実施していた場合(S509、Yes)には、マルチレートリトライ制御部161は、設定可能な次のレートがあるか否かの確認を行う(S510)。そして、設定可能なレートがある場合(S510、Yes)には、マルチレートリトライ制御部161は、次のレートに伝送レート変更(S511)した上で再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行う(S512)ことになる。一方、設定可能なレートが無い場合には、それ以降の処理を中断することになる。また、再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行った場合(S512)には、マルチレートリトライ制御部161は、再度フレーム検出部13により無線フレーム信号を取得し、また、ロス検出部12により送信ロス情報を取得する。以降、マルチレートリトライ制御部161は、上記説明した動作と同様の動作を繰り返すことになる。
上記のような動作により、マルチレートリトライ制御部161は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、マルチレートリトライを制御することになる。
このように、本実施形態における無線通信端末130は、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、マルチレートリトライ制御部161と、を有している。このような構成により、マルチレートリトライ制御部161は、送信ロス情報と衝突有無情報とに基づいて、マルチレートリトライを制御することが出来る。
ここで、送信ロスが生じた際に衝突があった場合、再送を行うことで送信が成功する可能性があり、また、そのような場合の伝送レートの変更は冗長であると考えられる。一方、送信ロスが生じた際に衝突がなかった場合、減衰による送信ロスが発生しているものと考えられる。そのため、このような場合にただ単に再送を行ったとしても、再度減衰により送信が失敗する確率が高いと考えられる。そこで、本実施形態における無線通信端末160は、フレーム検出部13と衝突有無検出部101とを有することにより、送信ロスが発生しており、かつ、衝突が発生していない場合に、最大再送試行回数の再送を待たずに伝送レートを制御する(下げる)ことを可能とする。その結果、減衰が原因で送信ロスが発生している際に伝送レートを下げることが可能となり、減衰を原因とした送信ロスが生じる可能性を減らすことが可能となる。つまり、無駄な再送を抑制しつつ通信品質を確保することが可能となる。
なお、上述したように、衝突を原因として送信ロスが発生していた場合、仮に伝送レートを下げたとしても、他の無線通信端末との同時送信の問題を解決することは出来ない。また、衝突を原因として送信ロスが発生している場合に伝送レートを下げると、伝送レートを下げたことにより1回の送信時間が長くなるため、再度衝突が発生する確率を逆に上げてしまう虞がある。従って、衝突発生を原因として送信ロスが発生している際に伝送レートを変更する制御は冗長な制御であると考えられる。
そこで、図46で示すように、衝突が発生している場合(S508、Yes)で最大再送試行回数の再送を実施した場合(S521、Yes)、伝送レートの変更を行った上での再送を行わずに処理を終了することが考えられる。このような処理を行うようマルチレートリトライ制御部161を構成することで、衝突による伝送レートの変更を無くすことが出来、より制御効率を上げることが可能となる。
また、一般的なマルチレートリトライ制御では、再送成功時の次の無線フレーム信号の送信の際に使用される伝送レートは、常に図44で示すR1から開始される(常に同じ伝送レートから開始される)ことになると考えられる。これは、送信失敗の原因が減衰かフレーム衝突か分からなかったためである。
しかしながら、本実施形態では、上記のように、衝突検出により冗長なレート制御を抑制している。そのため、最適な伝送レートを確定することが可能になる。そこで、図47で示すように、本実施形態における無線通信端末160は、再送完了時に選択されていた伝送レートを次回の無線フレーム信号の送信時の初期伝送レートとして用いるよう構成することが出来る。このように構成することで、再送完了後の次の無線フレーム信号の送信時に、送信が成功した際の繋がりやすい伝送レートを用いて送信を開始することが出来るようになる。その結果、次の送信時に送信ロスが発生する可能性を抑制することが可能となる。
[第15の実施形態]
次に本発明の第15の実施形態について図面を参照して説明する。第15の実施形態では、衝突の有無を示す衝突有無情報と衝突状況を示す衝突状況情報とを検出して、当該検出した衝突有無情報と衝突状況情報とに基づいてマルチレートリトライを制御する無線通信端末170について説明する。
図48を参照すると、本実施形態における無線通信端末170は、無線モジュール部11と、ロス検出部12と、フレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、衝突原因検出部111と、マルチレートリトライ制御部171と、を有している。なお、無線モジュール部11とロス検出部12とフレーム検出部13と、衝突有無検出部101と、衝突原因検出部111の構成と、の構成は、上述した各実施形態で説明したものと同様である。そのため、上記各構成の詳細な説明は説明する。マルチレートリトライ制御部171は、図示しないCPUと記憶装置とを有しており、記憶装置が記憶するプログラムをCPUで実行することで、後述する機能を実現する。
マルチレートリトライ制御部171は、第14の実施形態で説明したマルチレートリトライ制御部161と同様の機能を有している。さらに、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、衝突状況情報を加味した上でマルチレートリトライを制御するよう構成されている。
また、マルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタ部と、隠れ端末問題衝突カウンタ部用閾値を記憶するメモリなどの記憶装置と、を有している。なお、隠れ端末問題衝突カウンタ部や隠れ端末問題衝突カウンタ部用閾値は既に説明したものと同様のため、説明は省略する。
マルチレートリトライ制御部171は、送信ロス情報や衝突有無情報を受信すると共に、衝突原因検出部111から衝突状況情報を受信する。そして、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、送信ロスが発生して、かつ、衝突が発生している場合に、衝突状況情報が示す衝突原因を加味した上で、再送制御を制御する。具体的には、マルチレートリトライ制御部171は、送信ロス及び衝突が発生しており、かつ、最大再送試行回数の再送を行っておらず、かつ、衝突原因が隠れ端末問題である場合に、隠れ端末問題衝突カウンタを1加算する処理を行う。また、マルチレートリトライ制御部171は、上記加算する処理の後、再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する。一方、マルチレートリトライ制御部171は、送信ロス及び衝突が発生しており、かつ、最大再送試行回数の再送を行っておらず、かつ、衝突原因が隠れ端末問題でない場合には、カウント処理を行わずに再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する。
また、マルチレートリトライ制御部171は、最大再送試行回数の再送を行っていた場合には、隠れ端末問題衝突カウンタ部がカウントする隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上であるか否かの判断を行う。そして、マルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合に、設定可能な伝送レートがあるか否か確認した上で、伝送レートを一つ高くするよう制御する。その後、マルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタをクリアする。一方、マルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値よりも小さい場合には、レートを一つ低くするよう制御することになる。そして、マルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタをクリアする。
このように、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題を原因として送信ロスが発生していることが多いと判断される場合には、伝送レートを一つ高くした上で再送制御を制御するように構成されている。
次に、本実施形態における無線通信端末170の動作の一例について説明する。
図49を参照すると、マルチレートリトライ制御部171が最大再送試行回数の再送を実施したか否か判断する(S509)までは、無線通信端末170の動作は、第14の実施形態で示した無線通信端末160の動作と同様になる。そのため、説明は省略する。
そして、マルチレートリトライ制御部171は、最大再送試行回数の再送を実施していない場合、衝突状況情報に基づいて衝突原因の分析を行う(S531)。そして、マルチレートリトライ制御部171は、衝突原因が隠れ端末問題である場合には(S532、隠れ端末問題)、隠れ端末問題衝突カウンタを1加算する(S533)。その後、マルチレートリトライ制御部171は、再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する(S512)。一方、マルチレートリトライ制御部171は、衝突原因が隠れ端末問題でない場合(バックオフタイムの一致である場合)には(S532、バックオフタイムの一致)、何もカウントせずに再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する(S512)。このように、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、送信ロス及び衝突が発生しており、かつ、最大再送試行回数の再送を実施しておらず、かつ、衝突原因が隠れ端末問題である場合に、隠れ端末問題衝突カウンタ部がカウントする隠れ端末問題衝突カウンタを1加算する。そして、マルチレートリトライ制御部171は、再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する。一方、送信ロス及び衝突が発生しており、かつ、最大再送試行回数の再送を実施しておらず、かつ、衝突原因が隠れ端末問題である場合には、何もカウントせずに再送制御を行うよう無線モジュール部11を制御する。
また、マルチレートリトライ制御部171は、最大再送試行回数の再送を実施している場合、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上であるか否かの判断を行う(S534)。そして、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値以上である場合には、マルチレートリトライ制御部171は、設定可能な次の(一つ高い)レートあるか否かの判断を行う(S535)。設定可能なレートがある場合(S535、Yes)には、マルチレートリトライ制御部171は、伝送レートを一つ高く変更(S536)した上で再送制御を行うよう無線モジュール部11に対して制御を行う(S512)ことになる。一方、設定可能なレートが無い場合(S535、No)には、それ以降の処理を中断することになる。また、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値よりも小さい場合(S534、No)には、設定可能な次の(一つ低い)レートがあるか否かの判断を行う(S510)。その後の動作については既に説明したものと同様のため省略する。
このように、本実施形態における無線通信端末170は、衝突原因検出部111とマルチレートリトライ制御部171とを有している。このような構成により、無線通信端末170は、衝突状況情報を加味した上でマルチレートリトライを制御することが可能となる。
ここで、上述したように、衝突原因が隠れ端末問題である場合、伝送レートを高くした上で再送を行うことにより、再送時の送信が成功する確率を高くすることが出来る。一方、衝突原因がバックオフタイムの一致の場合には、伝送レートを変更して1フレーム送信にかかる時間を変更したとしても、衝突が起こる確率に特に変化はないものと考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末170は、衝突原因検出部111とマルチレートリトライ制御部171とを有することにより、衝突原因として隠れ端末問題が多い場合に、伝送レートを高くした上で再送制御を行うことを可能とする。その結果、1フレーム送信にかかる時間を短くすることが可能となり、衝突が発生することにより送信ロスが発生する確率を下げることが可能となる。つまり、本実施形態における無線通信端末170は、上記のような構成を有することで、冗長な制御を行わずにより高い通信品質を確保することが可能となる。
なお、図50で示すように、最大再送試行回数の再送を実施して、かつ、隠れ端末問題衝突カウンタが隠れ端末問題衝突カウンタ用閾値よりも小さい場合(S541、No)には、マルチレートリトライ制御部171はそれ以降の処理を中止するように構成しても構わない。
また、上述したように、衝突原因検出部111は、衝突原因として、バックオフタイムの一致と隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とを検出するように構成することが出来る。また、マルチレートリトライ制御部171は、上記衝突原因検出部111の構成に応じて、隠れ端末問題1と隠れ端末問題2とを区別して処理を行うように構成しても構わない。
また、無線通信端末170は、再送完了時に選択されていた伝送レートを次回の無線フレーム信号の送信時の初期伝送レートとして用いるよう構成しても構わない。
[第16の実施形態]
次に本発明の第16の実施形態について図面を参照して説明する。第16の実施形態では、トラフィック量を加味した上で再送制御を制御する無線通信端末180について説明する。
本実施形態における無線通信端末180は、第15の実施形態における無線通信端末170と同様の構成を有している。そのため、各構成についての詳細な説明は省略する。
また、本実施形態における無線通信端末180は、無線通信端末120や無線通信端末150と同様に、トラフィック量を取得するようことが出来るように構成されている。また、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171が有する記憶装置は、トラフィック量閾値を記憶するように構成されている。なお、トラフィック量を取得するための構成やトラフィック量閾値は既に説明したものと同様であるため、その詳細な説明については省略する。
また、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタを1加算した際に、取得した周囲のトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する。そして、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上の場合には、伝送デートを高くするための処理を行おうとすることになる。一方、マルチレートリトライ制御部171は、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合には、レートの制御を行わずに再送制御を制御することになる。
このように、本実施形態における再送制御部171は、送信ロス情報と衝突有無情報と衝突状況情報とトラフィック量とに基づいて、マルチレートリトライを制御するよう構成されている。
図51は、本実施形態における無線通信端末180の動作の一例である。図51を参照すると、無線通信端末180は、フレーム検出部13による無線フレーム信号の取得の際(S505)やロス検出部12による送信ロス情報の取得の際(S506)に、周囲のトラフィック量を取得する(S551)。そして、取得したトラフィック量をマルチレートリトライ制御部171へと送信する。なお、トラフィック量を取得するタイミングは上記場合に限定されない。
また、本実施形態におけるマルチレートリトライ制御部171は、隠れ端末問題衝突カウンタをカウントする際に(S533)に、上記動作により取得したトラフィック量がトラフィック量閾値以上であるか否かを判断する(S552)。そして、マルチレートリトライ制御部171は、トラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合(S552、Yes)には、伝送レートを高くしようと制御を行うことになる(S535、S536)。一方、トラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合(S552、No)には、レートの変更を行わずに再送制御を制御することになる(S512)。
このように、本実施形態における無線通信端末150は、トラフィック量を取得するように構成されている。このような構成により、無線通信端末150は、トラフィック量を加味した上でマルチレートリトライを制御することが出来る。
ここで、トラフィックが混雑している環境下において衝突の原因が隠れ端末問題である場合、再送を行っても再度衝突する可能性が高いと考えられる。一方で、仮に隠れ端末問題を原因として衝突が発生しているとしても、トラフィックが混雑していない環境下においては、再送を行っても衝突が発生しない可能性があり再送が成功する可能性があるものと考えられる。
そこで、本実施形態における無線通信端末180は、トラフィック量を取得するように構成することにより、衝突原因が隠れ端末問題である際にトラフィック量がトラフィック量閾値よりも小さい場合に、そのままの伝送レートで再送制御を制御することを可能とする。また、無線通信端末180は、上記のようにトラフィック量を取得するように構成することにより、衝突原因が隠れ端末問題である際にトラフィック量がトラフィック量閾値以上である場合に、伝送レートを高くした上で再送制御を制御することを可能とする。その結果、伝送レートを高くしなくても再度の送信が成功する確率が高い場合には伝送レートの変更をしない一方で、そのままでは再度の送信が失敗する可能性がある場合に伝送レートの変更を行うよう制御することが可能となる。つまり、無線通信端末180は、上記のような構成を有することで、冗長な制御を抑制しつつ、通信品質を確保することが可能となる。
[第17の実施形態]
次に本発明の第17の実施形態について図面を参照して説明する。第17の実施形態では、フレーム検出部13が検出する衝突発生時の衝突パターンの他の分類の一例について説明する。
上記各実施形態においては、衝突発生時にフレーム検出部13が検出する検出パターンの一例として、図5で示す11種類の衝突パターンに分類することが出来るとした。しかしながら、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、11種類以外のパターンに分類することも可能である。
例えば、図52を参照すると、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、27種類の衝突パターンに分類することが出来る。具体的には、図52で示すように、図5の(J)で示した、隠れ端末問題1と判断されることになる衝突パターンは、電力、送信データ量、伝送レートなどにより、合計9種類の衝突パターンに分類することが可能である。
また、同様に、図5の(K)で示した、隠れ端末問題2と判断されることになる衝突パターンは、電力、送信データ量、伝送レートなどにより、合計9種類の衝突パターンに分類することが可能である。このように、図5の(J)及び(K)は、電力、送信データ量、伝送レートなどにより、それぞれ合計9種類の衝突パターンに分類することが出来る。そのため、図5の(A)から(J)で示す衝突パターンと併せて、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、27種類の衝突パターンに分類することが出来る。
以上のように、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、11種類に限定されない。フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、例えば、27種類の衝突パターンに分類することが出来る。また、第1の実施形態で示したように、11種類の衝突パターンは、3種類の主な衝突状況に分類することが可能である。これは、27種類の衝突パターンに分類したときも同様である。このように、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、例えば、11種類や27種類、3種類に分類することが出来る。なお、フレーム検出部13が検出する衝突パターンは、上記以外の種類の衝突パターンに分類されても構わない。
[第18の実施形態]
次に本発明の第18の実施形態について図面を参照して説明する。第18の実施形態では、無線フレーム信号の衝突の様子を示す衝突情報を検出し、当該検出した衝突情報に基づいて送信処理を制御する無線通信端末190について説明する。なお、本実施形態では、無線通信端末190の構成の概略について説明する。
図53を参照すると、無線通信端末190は、無線モジュール部191と、送信ロス検出部192と、衝突情報検出部193と、送信制御部194と、を有している。
無線モジュール部191は、無線フレーム信号を送信する機能を有する。また、送信ロス検出部192は、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報を検出する機能を有する。また、衝突情報検出部193は、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報を検出する機能を有する。また、送信制御部194は、送信ロス情報と衝突情報とに基づいて、無線モジュール部191による送信処理を制御する機能を有する。
このように、本実施形態における無線通信端末190は、無線モジュール部191と、送信ロス情報検出部192と、衝突情報検出部193と、送信制御部194と、を有している。このような構成により、無線通信端末190は、送信ロス情報検出部192が検出した送信ロス情報と衝突情報検出部193が検出した衝突情報とに基づいて、無線モジュール部191による送信処理を制御することが可能となる。その結果、無線通信端末190は、通信品質低下の原因に応じた処理ではない冗長な制御を抑制しつつ、通信品質を確保することが可能となる。
また、上述した無線通信端末190は、当該無線通信端末190に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、無線通信端末に、無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報を検出する送信ロス情報検出部と、無線モジュール部が送信した無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報を検出する衝突情報検出部と、送信ロス情報と衝突情報とに基づいて、無線モジュール部による送信処理を制御する送信制御部と、を実現させるためのプログラムである。
また、上述した無線通信端末190が作動することにより実行される無線通信方法は、送信した無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報と、無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報と、を検出し、検出した送信ロス情報と衝突情報とに基づいて、送信処理を制御する、という方法である。
上述した構成を有する、プログラム、又は、無線通信方法、の発明であっても、上記無線通信端末190と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における無線通信端末などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない
(付記1)
無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出するフレーム検出部と、
前記フレーム検出部が検出した検出結果に基づいて、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う衝突抑制制御部と、
を備える無線通信端末。
(付記2)
付記1に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と前記他の無線フレーム信号との衝突のパターンを検出する、
無線通信端末。
(付記3)
付記2に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号とが同時に送信されることで衝突が発生した同時送信衝突発生状況を検出し、当該同時送信衝突発生状況に応じたパラメータである、ランダムに選択される送信待ち時間であるバックオフタイムパラメータの変更を行う、
無線通信端末。
(付記4)
付記2又は3に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信中送信衝突発生状況を検出し、当該送信中送信衝突発生状況に応じたパラメータである、チャネルの空き状況を調べる際に用いるキャリアセンスパラメータを変更する、
無線通信端末。
(付記4−1)
付記4に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号の送信中に前記他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信前送信衝突発生状況を検出し、当該送信前送信衝突発生状況に応じたパラメータである、前記無線モジュール部が前記無線フレーム信号を送信する際に用いる送信電力パラメータを変更する、
無線通信端末。
(付記4−2)
付記4に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、前記他の無線フレーム信号の送信中に前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信後送信衝突発生状況を検出し、当該送信後送信衝突発生状況に応じたパラメータである、キャリアセンスの感知範囲であるキャリアセンス感知範囲パラメータを変更する、
無線通信端末。
(付記4−3)
付記4に記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記衝突状況として、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号の送信中に前記他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信前送信衝突発生状況と、前記他の無線フレーム信号の送信中に前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信後送信衝突発生状況と、を検出し、前記送信前送信衝突発生状況と前記送信後送信衝突発生状況とに応じたパラメータである、前記送信電力パラメータと、前記キャリアセンス感知範囲パラメータと、を変更する、
無線通信端末。
(付記5)
付記1乃至4の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを検出し、当該無線フレーム信号が送信先に届かなかった確率である送信ロス率を検出するロス検出部を備え、
前記衝突抑制制御部は、前記ロス検出部が検出した前記送信ロス率が予め定められた所定の閾値である送信ロス率用閾値を超えた場合に、前記パラメータの変更を行う、
無線通信端末。
(付記6)
付記1乃至5の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記衝突抑制制御部は、前記モジュール部による無線通信の回数と検出した衝突の回数とに基づいて衝突率を算出し、当該算出した衝突率が予め定められた所定の閾値である衝突率用閾値を超えていない場合、前記無線モジュール部が前記無線フレーム信号を送信する際のパラメータである送信電力パラメータを変更し、前記衝突率が前記衝突率用閾値を超えている場合、衝突が発生していると判断し前記所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う、
無線通信端末。
(付記6−1)
付記1乃至6の何れかに記載の無線通信端末であって、
チャネルの遷移を行うチャネル遷移部を備え、
前記衝突抑制制御部は、前記モジュール部による無線通信の回数と検出した衝突の回数とに基づいて衝突率を算出し、当該算出した衝突率に基づいて周囲に存在している他の無線通信端末の数の推測を行うよう構成され、
前記チャネル遷移部は、前記衝突抑制制御部が推測した他の無線通信端末の数と予め定められた遷移用閾値に基づいて、チャネルの遷移を行うよう判断する、
無線通信端末。
(付記7)
送信した無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出し、
検出結果に基づいて、前記前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う、
無線通信方法。
(付記8)
付記7に記載の無線通信方法であって、
無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と前記他の無線フレーム信号との衝突のパターンに基づいて前記衝突状況を検出する、
無線通信方法。
(付記9)
無線通信端末に、
無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出するフレーム検出部と、
前記フレーム検出部が検出した検出結果に基づいて、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との所定の衝突状況を検出し、当該検出した所定の衝突状況に応じたパラメータの変更を行う衝突抑制制御部と、
を実現させるためのプログラム。
(付記10)
付記9に記載のプログラムであって、
前記衝突抑制制御部は、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と前記他の無線フレーム信号との衝突のパターンに基づいて前記衝突状況を検出する、
プログラム。
(付記11)
無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と同じチャネルで空間電波信号の電力を検出するフレーム検出部と、
前記フレーム検出部が検出した検出結果に基づいて、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突を検出し、当該検出した衝突に応じたパラメータの変更を行う衝突抑制制御部と、
を備える無線通信端末。
(付記12)
無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報を検出する送信ロス情報検出部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報を検出する衝突情報検出部と、
前記送信ロス情報と前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部による送信処理を制御する送信制御部と、
を備える無線通信端末。
(付記13)
付記12に記載の無線通信端末であって、
前記衝突情報検出部は、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の有無を示す衝突有無情報を含む前記衝突情報を検出するよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部による送信処理を制御する、
無線通信端末。
(付記14)
付記13に記載の無線通信端末であって、
前記無線モジュール部は、複数の伝送レートのうちの何れか一つの伝送レートを用いて前記無線フレーム信号を送信するよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部が前記無線フレーム信号を送信する際に用いる前記伝送レートを制御する、
無線通信端末。
(付記14−1)
付記14に記載の無線通信端末であって、
前記送信制御部は、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号の送信に失敗し、かつ、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突がない場合に送信失敗カウンタを加算するように構成され、当該送信失敗カウンタが所定の送信失敗閾値を超えた場合に、前記伝送レートを低レートへと変更する、
無線通信端末。
(付記15)
付記13又は14に記載の無線通信端末であって、
前記無線モジュール部は、前記送信制御部の制御に応じて、再度同じ内容の無線フレーム信号を送信する再送処理を行うよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部が行う前記再送処理を制御する、
無線通信端末。
(付記15−1)
付記15に記載の無線通信端末であって、
前記送信制御部は、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号の送信に失敗し、かつ、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突がある場合に、前記無線モジュール部が前記再送処理を行うよう制御する、
無線通信端末。
(付記15−2)
付記13乃至15−1の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記無線モジュール部は、前記送信制御部の制御に応じて、予め定められた回数再送処理が失敗した際に、伝送レートを下げて再度再送処理を行うマルチレートリトライ処理を行うよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部が行う前記マルチレートリトライ処理を制御する、
無線通信端末。
(付記16)
付記12乃至15の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記衝突情報検出部は、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突状況を示す衝突状況情報を含む前記衝突情報を検出するよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突状況情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部による送信処理を制御する、
無線通信端末。
(付記16−1)
付記16に記載の無線通信端末であって、
前記無線モジュール部は、複数の伝送レートのうちの何れか一つの伝送レートを用いて前記無線フレーム信号を送信するよう構成され、
前記送信制御部は、前記衝突が発生し、かつ、当該衝突が生じた際の衝突状況が無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信中送信衝突発生状況である場合に、前記伝送レートを高レートへと変更する、
無線通信端末。
(付記16−2)
付記16又は16−1に記載の無線通信端末であって、
前記送信制御部は、前記衝突が発生し、かつ、当該衝突が生じた際の衝突状況が無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信中送信衝突発生状況でない場合に、前記無線モジュール部が前記再送処理を行うよう制御する、
無線通信端末。
(付記17)
付記12乃至16の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記送信制御部は、チャネル上で流れるデータの量であるトラフィック量を取得するよう構成され、当該取得したトラフィック量を考慮して前記無線モジュール部による送信処理を制御する、
無線通信端末。
(付記18)
付記12乃至17のいずれかに記載の無線通信端末であって、
前記衝突検出部は、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突状況を示す衝突状況情報を含む前記衝突情報を検出するよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突状況情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部が送信処理を行う際に用いる前記衝突状況に応じたパラメータを制御する、
無線通信端末。
(付記19)
付記18に記載の無線通信端末であって、
前記衝突情報検出部は、前記衝突状況情報が示す衝突状況として、前記無線モジュール部による前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号とが同時に送信されることで衝突が発生した同時送信衝突発生状況を検出し、
前記送信制御部は、前記同時送信衝突発生状況に応じたパラメータである、ランダムに選択される送信待ち時間であるバックオフタイムパラメータを制御する、
無線通信端末。
(付記20)
付記18又は19に記載の無線通信端末であって、
前記衝突情報検出部は、前記衝突状況情報が示す衝突状況として、無線フレーム信号の送信中に他の無線フレーム信号が送信されることで衝突が発生した送信中送信衝突発生状況を検出し、
前記送信制御部は、前記送信中送信衝突発生状況に応じたパラメータである、チャネルの空き状況を調べる際に用いるキャリアセンスパラメータを制御する、
無線通信端末。
(付記21)
付記18乃至20の何れかに記載の無線通信端末であって、
前記送信ロス情報検出部は、前記送信ロス情報に基づいて前記無線フレーム信号が送信先に届かなかった確率である送信ロス率を算出するよう構成され、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報検出部が検出した前記送信ロス率が予め定められた所定の閾値である送信ロス率用閾値を超えた場合に、前記衝突状況に応じたパラメータを制御する、
無線通信端末。
(付記22)
付記21に記載の無線通信端末であって、
前記送信制御部は、前記無線モジュール部による無線通信の回数と前記衝突情報検出部が検出した衝突の回数とに基づいて衝突率を算出し、当該算出した衝突率が予め定められた所定の閾値である衝突率用閾値を超えていない場合、前記無線モジュール部が前記無線フレーム信号を送信する際のパラメータである送信電力パラメータを変更し、前記衝突率が前記衝突率用閾値を超えている場合、衝突が発生していると判断し前記衝突状況に応じたパラメータを制御する、
無線通信端末。
(付記23)
送信した無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報と、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報と、を検出し、
検出した前記送信ロス情報と前記衝突情報とに基づいて、送信処理を制御する、
無線通信方法。
(付記24)
付記24に記載の無線通信方法であって、
前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の有無を示す衝突有無情報を含む前記衝突情報を検出し、
検出した前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、送信処理を制御する、
無線通信方法。
(付記25)
付記24に記載の無線通信方法であって、
前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突状況を示す衝突状況情報を含む前記衝突情報を検出し、
検出した前記送信ロス情報と前記衝突状況情報を含む前記衝突情報とに基づいて、送信処理を行う際に用いる前記衝突状況に応じたパラメータを制御する、
無線通信方法。
(付記26)
無線通信端末に、
無線フレーム信号を送信する無線モジュール部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号が送信先に届いたか否かを示す送信ロス情報を検出する送信ロス情報検出部と、
前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の様子を示す衝突情報を検出する衝突情報検出部と、
前記送信ロス情報と前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部による送信処理を制御する送信制御部と、
を実現させるためのプログラム。
(付記26−1)
付記26に記載のプログラムであって、
前記衝突情報検出部は、前記無線モジュール部が送信した前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突の有無を示す衝突有無情報を含む前記衝突情報を検出し、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突有無情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部による送信処理を制御する、
プログラム。
(付記26−2)
付記26に記載のプログラムであって、
前記衝突検出部は、前記無線フレーム信号と他の無線フレーム信号との衝突パターンである衝突状況を示す衝突状況情報を含む前記衝突情報を検出し、
前記送信制御部は、前記送信ロス情報と前記衝突状況情報を含む前記衝突情報とに基づいて、前記無線モジュール部が送信処理を行う際に用いる、前記衝突状況に応じたパラメータを制御する、
プログラム。
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
なお、本発明は、日本国にて2014年2月14日に特許出願された特願2014−026463の特許出願に基づく優先権主張の利益を享受するものである。