JP6384358B2 - 燃料噴射弁駆動装置 - Google Patents
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Description
この種の燃料噴射弁を駆動する燃料噴射弁駆動装置は、車両のバッテリ電圧を昇圧してコンデンサを充電するDCDCコンバータと、コンデンサの充電電圧がバッテリ電圧よりも高い目標電圧となるようにDCDCコンバータを動作させる制御手段とを備える。
一方、コンデンサからコイルへの放電電流の傾きは、放電開始前のコンデンサの充電電圧(以下、コンデンサ電圧ともいう)に応じて変動する。放電電流の傾きは、コンデンサ電圧が高いほど急峻になり、逆にコンデンサ電圧が低いほど緩やかになる。
そこで、本発明は、燃料噴射弁の開弁タイミングのばらつきを抑制することを目的としている。
放電制御手段は、燃料噴射弁の駆動期間の開始タイミングが到来すると、コンデンサからコイルへ放電させ、コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達したことを検知すると、コンデンサからコイルへの放電を終了する。
このため、駆動期間の開始時からコイルに供給されるエネルギーが開弁必要値に達するまでの時間が一定となるように、ピックアップ電流を変更することができる。よって、燃料噴射弁の開弁タイミングのばらつきを抑制することができ、延いては、燃料噴射量の制御精度を向上させて、燃費やエミッションの向上を達成することができる。
本実施形態の燃料噴射制御装置(以下、ECUという)は、車両(自動車)に搭載された多気筒(この例では4気筒)エンジンの各気筒#1〜#4に燃料を噴射供給する4個の燃料噴射弁としてのインジェクタを駆動する。そして、ECUは、各インジェクタのコイルへの通電開始タイミング及び通電時間を制御することにより、各気筒#1〜#4への燃料噴射タイミング及び燃料噴射量を制御する。また、本実施形態において、スイッチとしてのトランジスタ(スイッチング素子)は、例えばMOSFETであるが、バイポーラトランジスタやIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の他種類のトランジスタでも良い。尚、ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。
図1に示すように、本実施形態のECU1は、インジェクタ2のコイル2aの一端(上流側)が接続される端子5と、コイル2aの他端(下流側)が接続される端子7と、端子7に一方の出力端子が接続されたトランジスタT10と、トランジスタT10の他方の出力端子とグランドラインとの間に接続された電流検出用抵抗R10と、を備える。グランドラインは、基準電位(=0V)のラインである。
図2に示すように、駆動電流制御部33は、マイコン25から出力される第n気筒#nの噴射指令信号S#nがハイになると、その噴射指令信号S#nがハイになっている間、第n気筒#nのインジェクタ2に対応するトランジスタT10をオンさせる。
次に、駆動電流制御部33における放電制御部35、定電流制御部37及び目標ピック電流値制御部39について、図3を用い説明する。
目標ピーク値比較部41は、電流モニタ信号Viに基づく駆動電流の検出値と、目標ピーク値iaとを比較して、「駆動電流の検出値<目標ピーク値ia」であれば、出力部42への駆動許可信号S0をアクティブレベル(この例ではハイ)にする。また、目標ピーク値比較部41は、「駆動電流の検出値≧目標ピーク値ia」であれば、駆動許可信号S0をローにする。
第1比較部43は、電流モニタ信号Viに基づく駆動電流の検出値と、目標ピック電流値制御部39から与えられる目標ピック電流値とを比較する。
このため、第1比較部43は、目標ピック電流値を第1下側閾値ibLとして設定すると共に、目標ピック電流値に所定値iαを加えた値を、前述の第1上側閾値ibHとして設定する。そして、第1比較部43は、駆動電流の検出値が第1下側閾値ibL以下であると判定すると、出力部45への第1駆動許可信号S1をハイに保持し、駆動電流の検出値が第1上側閾値ibH以上であると判定すると、出力部45への第1駆動許可信号S1をローに保持する。
目標ホールド電流値は、ホールド電流の目標値であり、この例では、前述した第2下側閾値icL(図2参照)を表すものとして説明する。また、目標ホールド電流値は、固定値である。
電圧検出部47は、コンデンサC0からコイル2aへの放電が始まる前の充電電圧VCを、分圧回路29からの電圧モニタ信号Vmに基づいて検出する。尚、電圧検出部47による充電電圧VCの検出タイミングについては後で説明する。
図5における1段目と4段目に示すように、噴射指令信号S#nがハイになってから(換言すれば、駆動期間の開始タイミングから)、コンデンサC0からコイル2aへの放電が開始されるまでには遅れ時間Tdがある。少なくともトランジスタT12のターンオン時間があるからである。このため、電圧検出部47は、噴射指令信号S#nがハイになると(換言すれば、駆動期間の開始タイミングが到来すると)、上記遅れ時間Tdが経過するまでの間に、充電電圧VCを検出する。よって、コンデンサC0からコイル2aへの放電が始まる直前の充電電圧VCを検出することができる。
インジェクタ2は、コイル2aに供給されるエネルギーが所定の開弁必要値に達することで開弁する。図6において、「top」はインジェクタ2の開弁タイミングであり、斜線を付した駆動電流の面積は、開弁必要値のエネルギーを示している。
次に、第2実施形態のECUについて説明するが、ECUの符号としては、第1実施形態と同じ“1”を用いる。また、第1実施形態と同様の構成要素や処理についても、第1実施形態と同じ符号を用いる。
《1》マイコン25は、多段噴射を実施すると決定した場合には、その多段噴射における最初の(1段目の)噴射用の噴射指令信号を出力するタイミングよりも前に、今から実施する多段噴射の噴射段数を示す段数情報を、制御IC27に出力する。段数情報は、例えば噴射段数を示す複数ビットのデータである。また、マイコン25は、1段噴射を実施すると決定した場合にも、その1段噴射用の噴射指令信号を出力するタイミングよりも前に、噴射段数が1であることを示す段数情報を、制御IC27に出力する。
図10に示すように、判定部51は、マイコン25からの段数情報に基づいて、今からインジェクタ2に実施させる燃料噴射の噴射段数が所定値N(例えば2)以上であるか否かを判定する(S110)。
第1定電流制御から第2定電流制御に切り替えるタイミング(電流値切替タイミング)は、トランジスタT12をオフした放電終了時から一定の時間が経過したタイミングであっても良い。
定電流制御部37の第1比較部43には、目標ピック電流値として、例えば第1上側閾値ibHを表す値が与えられるようになっていても良い。その場合、第1比較部43は、目標ピック電流値を第1上側閾値ibHとして設定すると共に、目標ピック電流値から所定値iαを減じた値を、第1下側閾値ibLとして設定すれば良い。また例えば、定電流制御部37の第1比較部43には、目標ピック電流値として、前述した第1の一定値ib(図2参照)を表す値が与えられるようになっていても良い。その場合、第1比較部43は、目標ピック電流値に所定値i1を加えた値を、第1上側閾値ibHとして設定し、目標ピック電流値から所定値i2を減じた値を、第1下側閾値ibLとして設定すれば良い。これらのことは、目標ホールド電流値及び第2比較部44についても同様である。
ECU1は、充電電圧VCの制御に用いる目標電圧を変更する電圧変更手段を備えていても良い。その電圧変更手段は、例えば、インジェクタ2に実施させる燃料噴射の噴射段数に応じて目標電圧を変更する、といった構成にすることができる。
例えば、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。また、上述したECUの他、当該ECUを構成要素とするシステム、当該ECUとしてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、燃料噴射弁駆動方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
Claims (4)
- 燃料噴射弁(2)のコイル(2a)に放電するエネルギーが蓄積されるコンデンサ(C0)と、
電源電圧を昇圧して前記コンデンサを充電するDCDCコンバータ(21)と、
前記コンデンサの充電電圧が前記電源電圧よりも高い目標電圧となるように前記DCDCコンバータを動作させる充電制御手段(31)と、
前記燃料噴射弁の駆動期間の開始タイミングが到来すると、前記コンデンサから前記コイルへ放電させ、前記コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達したことを検知すると、前記コンデンサから前記コイルへの放電を終了する放電制御手段(35,T12)と、
前記駆動期間において、前記コンデンサから前記コイルへの放電が終了すると、所定のタイミングが到来するまでの間、前記コイルに前記燃料噴射弁の開弁を完了させるためのピックアップ電流を流し、そのピックアップ電流の供給を終了してから前記駆動期間が終了するまでの間は、前記コイルに前記燃料噴射弁の開弁状態を保持するためのホールド電流を流す定電流制御手段(37,T11)と、
前記コンデンサから前記コイルへの放電が始まる前の前記充電電圧を検出し、その検出した充電電圧に応じて、前記定電流制御手段が前記コイルに流す前記ピックアップ電流を変更する電流値制御手段(39)と、
前記燃料噴射弁に実施させる燃料噴射の噴射段数が所定値以上であるか否かを判定する判定手段(51)と、を備え、
前記電流値制御手段は、前記判定手段により前記噴射段数が前記所定値以上であると判定された場合に動作すること(S110:YES,S120)、
を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
前記電流値制御手段は、前記検出した充電電圧が大きいほど、前記ピックアップ電流を大きい値に変更すること、
を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
前記電流値制御手段は、前記検出した充電電圧に応じて前記ピックアップ電流をリニアに変更すること、
を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
前記駆動期間の開始タイミングから、前記コンデンサから前記コイルへの放電が開始されるまでには遅れ時間があり、
前記電流値制御手段は、前記駆動期間の開始タイミングが到来すると前記遅れ時間が経過するまでの間に、前記充電電圧を検出すること、
を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。
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