JP6384358B2 - 燃料噴射弁駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射弁駆動装置に関する。
車両に搭載されるエンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁(インジェクタ)としては、コイルへの通電によって開弁する電磁式のものがある。
この種の燃料噴射弁を駆動する燃料噴射弁駆動装置は、車両のバッテリ電圧を昇圧してコンデンサを充電するDCDCコンバータと、コンデンサの充電電圧がバッテリ電圧よりも高い目標電圧となるようにDCDCコンバータを動作させる制御手段とを備える。
そして、この種の燃料噴射弁駆動装置では、燃料噴射弁の駆動期間の開始時に、コンデンサから燃料噴射弁のコイルへ放電させ、コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達したことを検知すると、コンデンサからの放電を終了する。その後は、駆動期間が終了するまで、バッテリ電圧を用いてコイルに一定の電流を流す。コイルに流す一定の電流としては、先に流す方のピックアップ電流と、後で流す方のホールド電流とがある。ピックアップ電流は、燃料噴射弁の開弁を完了させるための電流であり、詳しくは、コンデンサからコイルへの放電によってリフトした燃料噴射弁の弁体を開弁位置に到達させるための電流である。ホールド電流は、ピックアップ電流よりも小さい電流であり、燃料噴射弁の開弁状態を保持するための最小限の電流である(例えば、特許文献1参照)。
また、車両に搭載されるエンジンでは、排気ガス低減の目的で高効率な燃焼を図るべく、気筒の1回の燃料噴射可能期間(例えば圧縮〜燃焼行程)において、燃料噴射弁による燃料噴射を複数回実施する技術がある。その技術は、多段噴射と呼ばれ、その多段噴射で実施する燃料噴射の回数は、噴射段数(あるいは単に、段数)と呼ばれる。
例えば、こうした多段噴射を実施する燃料噴射弁駆動装置においては、コンデンサから燃料噴射弁のコイルに対して、短期間に複数回の放電を実施することとなる。そして、多段噴射が実施される場合には、各噴射の間隔が短いため、一般にはコンデンサの充電が実施されず、燃料噴射の実施毎にコンデンサの充電電圧が低下する。つまり、コンデンサの充電電圧が変動し易い。
特開2013−160260号公報
燃料噴射弁は、コイルに供給されるエネルギーが所定の開弁必要値に達することで開弁する。エネルギーとは電気エネルギーのことである。
一方、コンデンサからコイルへの放電電流の傾きは、放電開始前のコンデンサの充電電圧(以下、コンデンサ電圧ともいう)に応じて変動する。放電電流の傾きは、コンデンサ電圧が高いほど急峻になり、逆にコンデンサ電圧が低いほど緩やかになる。
このため、燃料噴射弁の駆動開始時から、コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達するまでの放電時間は、コンデンサ電圧が高い場合ほど短くなり、逆にコンデンサ電圧が低い場合ほど長くなる。そして、放電時間が短くなれば、コンデンサからコイルへの供給エネルギーが小さくなり、逆に放電時間が長くなれば、コンデンサからコイルへの供給エネルギーが大きくなる。
よって、放電時間が短い場合と長い場合とで、放電終了後のピックアップ電流が同じであると、コイルに供給されるエネルギーが開弁必要値に達するまでの時間(即ち、燃料噴射弁の開弁遅れ時間)が変わってしまう。
つまり、放電開始前のコンデンサ電圧が高いほど、放電時間が短くなり、コンデンサからコイルへの供給エネルギーが小さくなる。このため、コイルに供給されるエネルギーが、ピックアップ電流による供給エネルギーも含めて、開弁必要値に達するまでの時間が長くなり、その結果、燃料噴射弁の開弁タイミングが遅れる。
逆に、放電開始前のコンデンサ電圧が低いほど、放電時間が長くなり、コンデンサからコイルへの供給エネルギーが大きくなる。このため、コイルに供給されるエネルギーが、ピックアップ電流による供給エネルギーも含めて、開弁必要値に達するまでの時間が短くなり、その結果、燃料噴射弁の開弁タイミングが早くなる。
このように燃料噴射弁の開弁タイミングがばらついてしまうと、燃料噴射量が変動してしまうため、燃費やエミッションの悪化を招いてしまう。
そこで、本発明は、燃料噴射弁の開弁タイミングのばらつきを抑制することを目的としている。
第1発明の燃料噴射弁駆動装置は、燃料噴射弁のコイルに放電するエネルギーが蓄積されるコンデンサと、電源電圧を昇圧してコンデンサを充電するDCDCコンバータと、充電制御手段と、を備える。充電制御手段は、コンデンサの充電電圧が電源電圧よりも高い目標電圧となるように、DCDCコンバータを動作させる。
更に、燃料噴射弁駆動装置は、放電制御手段と、定電流制御手段と、電流値制御手段と、を備える。
放電制御手段は、燃料噴射弁の駆動期間の開始タイミングが到来すると、コンデンサからコイルへ放電させ、コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達したことを検知すると、コンデンサからコイルへの放電を終了する。
定電流制御手段は、燃料噴射弁の駆動期間において、コンデンサからコイルへの放電が終了すると、所定のタイミングが到来するまでの間、コイルに燃料噴射弁の開弁を完了させるためのピックアップ電流を流す。そして、定電流制御手段は、ピックアップ電流の供給を終了してから駆動期間が終了するまでの間は、コイルに燃料噴射弁の開弁状態を保持するためのホールド電流を流す。
電流値制御手段は、コンデンサからコイルへの放電が始まる前の充電電圧を検出し、その検出した充電電圧に応じて、定電流制御手段がコイルに流すピックアップ電流を変更する。
この燃料噴射弁駆動装置によれば、コンデンサからの放電終了後にコイルに流すピックアップ電流が、放電開始前のコンデンサの充電電圧に応じて変更される。
このため、駆動期間の開始時からコイルに供給されるエネルギーが開弁必要値に達するまでの時間が一定となるように、ピックアップ電流を変更することができる。よって、燃料噴射弁の開弁タイミングのばらつきを抑制することができ、延いては、燃料噴射量の制御精度を向上させて、燃費やエミッションの向上を達成することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
第1実施形態の燃料噴射制御装置(ECU)の構成を表す構成図である。 第1実施形態の駆動電流制御部の動作内容を説明する説明図である。 第1実施形態の駆動電流制御部を表す構成図である。 メモリに記憶された充電電圧と目標ピック電流値との対応関係を説明する説明図である。 充電電圧の検出タイミングを説明する説明図である。 ピックアップ電流(ピック電流)を変更する理由を説明する説明図である。 第1実施形態の作用を説明する第1の図である。 第1実施形態の作用を説明する第2の図である。 第2実施形態の駆動電流制御部を表す構成図である。 第2実施形態の駆動電流制御部における判定部の動作を表すフローチャートである。
以下に、実施形態の燃料噴射弁駆動装置としての燃料噴射制御装置について、図面を用い説明する。
本実施形態の燃料噴射制御装置(以下、ECUという)は、車両(自動車)に搭載された多気筒(この例では4気筒)エンジンの各気筒#1〜#4に燃料を噴射供給する4個の燃料噴射弁としてのインジェクタを駆動する。そして、ECUは、各インジェクタのコイルへの通電開始タイミング及び通電時間を制御することにより、各気筒#1〜#4への燃料噴射タイミング及び燃料噴射量を制御する。また、本実施形態において、スイッチとしてのトランジスタ(スイッチング素子)は、例えばMOSFETであるが、バイポーラトランジスタやIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の他種類のトランジスタでも良い。尚、ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のECU1は、インジェクタ2のコイル2aの一端(上流側)が接続される端子5と、コイル2aの他端(下流側)が接続される端子7と、端子7に一方の出力端子が接続されたトランジスタT10と、トランジスタT10の他方の出力端子とグランドラインとの間に接続された電流検出用抵抗R10と、を備える。グランドラインは、基準電位(=0V)のラインである。
インジェクタ2では、コイル2aに通電されると、図示しない弁体(いわゆるノズルニードル)が開弁位置に移動し(つまり、開弁し)、燃料噴射が行われる。また、コイル2aの通電が遮断されると、弁体が元の閉弁位置に戻り(つまり、閉弁し)、燃料噴射が停止される。
尚、図1では、4個のインジェクタ2のうち、第n気筒#n(nは1〜4の何れかであり、以下でも同様)に対応する1つのインジェクタ2だけを示している。以下では、その1つのインジェクタ2の駆動に関して説明する。実際には、端子5は、複数のインジェクタ2について共通の端子となっている。また、端子7及びトランジスタT10は、各インジェクタ2について(換言すれば、各気筒について)それぞれ備えられている。トランジスタT10は、駆動対象のインジェクタ2(換言すれば、噴射対象の気筒)を選択するためのスイッチであり、気筒選択スイッチとも呼ばれる。
そして、ECU1は、電源電圧としてのバッテリ電圧(車載バッテリのプラス端子の電圧)VBが供給される電源ライン9に一方の出力端子が接続された定電流スイッチとしてのトランジスタT11と、トランジスタT11の他方の出力端子にアノードが接続され、カソードが上記端子5に接続された逆流防止用のダイオードD11と、アノードがグランドラインに接続され、カソードが端子5に接続された電流還流用のダイオードD12と、コイル2aに放電するエネルギーが蓄積されるコンデンサC0と、バッテリ電圧VBを昇圧してコンデンサC0を充電する充電回路としてのDCDCコンバータ21と、を備える。
DCDCコンバータ21は、電源ライン9に一端が接続された昇圧用のコイルL0と、コイルL0の他端とグランドラインとの間の経路上に直列に設けられた昇圧用スイッチとしてのトランジスタT0と、トランジスタT0とグランドラインとの間に設けられた電流検出用の抵抗R0と、コイルL0の他端とトランジスタT0のコイルL0側の端子(この例ではドレイン)とを結ぶ電流経路にアノードが接続された逆流防止用のダイオードD0と、を備える。
そして、コンデンサC0は、ダイオードD0のカソードとグランドラインとの間の経路上に直列に設けられている。コンデンサC0は、例えばアルミ電解コンデンサであるが、他の種類のコンデンサでも良い。
DCDCコンバータ21においては、トランジスタT0がオン/オフされると、コイルL0とトランジスタT0との接続点に、バッテリ電圧VBよりも高いフライバック電圧(逆起電圧)が発生し、そのフライバック電圧によりダイオードD0を通じてコンデンサC0が充電される。このため、コンデンサC0はバッテリ電圧VBよりも高い電圧で充電される。
更に、ECU1は、コンデンサC0の正極側を端子5に接続させる放電スイッチとしてのトランジスタT12と、アノードが端子7に接続され、カソードがコンデンサC0の正極側に接続されたエネルギー回収用のダイオードD13と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)25と、トランジスタT0,T10,T11,T12を制御する制御IC27と、コンデンサC0の正極側の電圧(即ち、コンデンサC0の充電電圧)VCを所定の比率で分圧する分圧回路29と、を備える。
分圧回路29は、充電電圧VCのラインとグランドラインとの間に直列に接続された2つの抵抗R1,R2によって構成されている。そして、その抵抗R1,R2同士の接続点の電圧が、充電電圧VCを表す電圧モニタ信号Vmとして、制御IC27に入力される。
また、制御IC27には、電流検出用抵抗R10の両端に生じる電圧を、図示しない増幅回路で増幅した信号が、コイル2aに流れる電流である駆動電流を表す電流モニタ信号Viとして入力される。
マイコン25は、図示は省略しているが、プログラムを実行するCPU、プログラムや固定のデータ等が記憶されたROM、CPUによる演算結果等が記憶されるRAM等を備えている。
また、マイコン25には、エンジン回転数NEを表す信号や、車両の運転者によるアクセル開度ACCを表す信号や、エンジンの冷却水温THWを表す信号などが入力される。そして、マイコン25は、入力される各種信号により検出されるエンジンの運転状態に基づいて、気筒毎に噴射指令信号を生成して制御IC27に出力する。
噴射指令信号は、その信号のレベルがアクティブレベル(本実施形態では例えばハイ)の間だけインジェクタ2を駆動する(つまり、インジェクタ2のコイル2aに通電する)、という意味を持っている。このため、マイコン25は、エンジンの運転情報に基づいて、気筒毎に、インジェクタ2の駆動期間(コイル2aへの通電期間でもある)を設定し、その駆動期間だけ、該当する気筒の噴射指令信号をハイにしていると言える。
また、マイコン25は、エンジンの運転状態に基づいて、実施する燃料噴射の段数を決定する。決定した段数が2以上であるということは、多段噴射を実施すると決定したことを意味し、決定した段数が1であるということは、多段噴射を実施しない(つまり、非多段噴射である1段噴射を実施する)と決定したことを意味する。
制御IC27は、DCDCコンバータ21(詳しくは、トランジスタT0)を制御する充電制御部31と、トランジスタT10,T11,T12を制御することによりコイル2aに流す駆動電流を制御する駆動電流制御部33と、を備える。そして、駆動電流制御部33は、放電制御部35と、定電流制御部37と、目標ピック電流値制御部39と、を備える。
制御IC27において、充電制御部31は、分圧回路29からの電圧モニタ信号Vmに基づいて充電電圧VCを検出する。そして、充電制御部31は、検出した充電電圧VCをバッテリ電圧VBよりも高い目標電圧(例えば65V)にするための、充電制御を行う。具体的には、充電制御部31は、充電電圧VCが目標電圧となるようにDCDCコンバータ21のトランジスタT0をオン/オフさせる。例えば、充電制御部31は、充電電圧VCが目標電圧よりも所定値(例えば目標電圧の5%)だけ低い下限値以下になったと判定すると、充電電圧VCが目標電圧以上になったと判定するまで、トランジスタT0のオン/オフ制御を実施してコンデンサC0を充電する。また、充電制御部31は、トランジスタT0のオン/オフ制御としては、例えば、トランジスタT0をオンしてから、抵抗R0に生じる電圧によって検出される電流(即ち、トランジスタT0を介してコイルL0に流れる電流)が所定値に達すると、トランジスタT0を所定時間だけオフさせて再びオンさせる、という制御を繰り返す。
また、後述するように、コイル2aへの通電開始時には、コンデンサC0からコイル2aへの放電(以下単に、放電ともいう)が実施されるが、充電制御部31は、コンデンサC0の充電を、コンデンサC0からコイル2aへの放電が実施されていないときに行う。但し、多段噴射の実施期間中は、噴射間隔が短くなり、放電が実施されない期間も短くなる。このため、例えば、充電制御部31は、多段噴射が実施される場合には、1段目の噴射のための放電が開始されたタイミングから、最終段目の噴射のための放電が終了するタイミングまでの間は、コンデンサC0の充電を実施しない。
次に、制御IC27における駆動電流制御部33の動作内容について、図2を用い説明する。
図2に示すように、駆動電流制御部33は、マイコン25から出力される第n気筒#nの噴射指令信号S#nがハイになると、その噴射指令信号S#nがハイになっている間、第n気筒#nのインジェクタ2に対応するトランジスタT10をオンさせる。
また、駆動電流制御部33は、噴射指令信号S#nがハイになると、トランジスタT12をオンする。すると、コンデンサC0の正極側が端子5に接続されて、コンデンサC0からコイル2aに放電され、この放電により、コイル2aへの通電が開始される。
駆動電流制御部33は、コイル2aに流れる電流(駆動電流)を前述の電流モニタ信号Viに基づき検出する。そして、駆動電流制御部33は、トランジスタT12をオンした後において、駆動電流が目標ピーク値ia(例えば12A)になったことを検知すると、トランジスタT12をオフする。
このようにして、コイル2aへの通電開始時には、コンデンサC0に蓄積されていたエネルギーがコイル2aに放出される。この例では、コンデンサC0からコイル2aへの、目標ピーク値iaになるまでの放電電流が、インジェクタ2の開弁速度を速めるための電流(いわゆるピーク電流)である。
そして、駆動電流制御部33は、トランジスタT12をオフした後は、駆動電流が、上記目標ピーク値iaよりも小さい一定の電流となるように、トランジスタT11をオン/オフさせる定電流制御を行う。
具体的に説明すると、駆動電流制御部33は、噴射指令信号S#nがハイになった時(駆動期間の開始時)から一定の時間Tbが経過するまでの間は、下記の第1定電流制御を行う。第1定電流制御は、「駆動電流が第1下側閾値ibL以下であることを検知するとトランジスタT11をオンし、駆動電流が第1上側閾値ibH以上であることを検知するとトランジスタT11をオフする」という制御である。
そして、駆動電流制御部33は、上記時間Tbが経過した時点から噴射指令信号S#nがローになるまで(即ち、駆動期間の終了時まで)の間は、下記の第2定電流制御を行う。第2定電流制御は、「駆動電流が第2下側閾値icL以下であることを検知するとトランジスタT11をオンし、駆動電流が第2上側閾値icH以上であることを検知するとトランジスタT11をオフする」という制御である。
第1及び第2下側閾値ibL,icLと、第1及び第2上側閾値ibH,icHと、目標ピーク値iaとの大小関係は、図2の如く「ia>ibH>ibL>icH>icL」になっている。
よって、図2に示すように、駆動電流が目標ピーク値iaから低下して第1下側閾値ibL以下になると、第1定電流制御によりトランジスタT11のオン/オフが繰り返されて、駆動電流の平均値が、ibHとibLとの間の電流値である第1の一定値ibに維持される。
そして、駆動期間の開始時から上記時間Tbが経過したタイミングになると、第1定電流制御から第2定電流制御に切り替わる。第1定電流制御から第2定電流制御に切り替えるタイミングのことを、電流値切替タイミングという。
このため、電流値切替タイミングから駆動期間の終了時までは、第2定電流制御によりトランジスタT11のオン/オフが繰り返されて、駆動電流の平均値が、icHとicLとの間の電流値である第2の一定値ic(<ib)に維持される。
このように、駆動電流制御部33は、コンデンサC0からコイル2aへの放電が終了した後の駆動電流を、平均値が第1の一定値ibとなる電流と、平均値が第1の一定値ibよりも小さい第2の一定値icとなる電流とに、2段階に切り替えるようにしている。
放電の終了時から電流値切替タイミングが到来するまでの期間において、コイル2aに流す電流(平均値が第1の一定値ibとなる電流)は、インジェクタ2の開弁を完了させるためのピックアップ電流(以下、ピック電流という)である。図2における最下段に示すように、インジェクタ2は、コイル2aにピック電流が流されている期間中に開弁する(つまり、閉弁状態から開弁状態に遷移する)こととなる。
そして、電流値切替タイミングから駆動期間が終了するまでの期間において、コイル2aに流す電流(平均値が第2の一定値icとなる電流)は、インジェクタ2の開弁状態を保持するためのホールド電流である。ホールド電流は、インジェクタ2の開弁状態を保持するために必要な最小限の電流であるため、ピック電流よりも小さい。
尚、コイル2aへは、トランジスタT11のオン時には、電源ライン9側からトランジスタT11とダイオードD11を介して電流が流れ、トランジスタT11のオフ時には、グランドライン側からダイオードD12を介して電流が還流する。また、図2の4段目に示すように、噴射指令信号S#nがハイになってから、駆動電流が第1上側閾値ibHに到達するまでの間、トランジスタT11がオンしているのは、第1定電流制御によるものである。
駆動電流制御部33は、マイコン25からの噴射指令信号S#nがハイからローになると、トランジスタT10をオフすると共に、トランジスタT11のオン/オフを終了して、トランジスタT11もオフ状態に保持する。
すると、コイル2aへの通電が停止してインジェクタ2が閉弁し、そのインジェクタ2による燃料噴射が終了する。また、噴射指令信号S#nがローになって、トランジスタT10とトランジスタT11が共にオフされると、コイル2aにフライバックエネルギーが発生するが、そのフライバックエネルギーは、エネルギー回収経路をなすダイオードD13を通じてコンデンサC0へ、電流の形で回収される。
尚、第n気筒#n以外のインジェクタ2についても、上記と同様の手順で駆動される。
次に、駆動電流制御部33における放電制御部35、定電流制御部37及び目標ピック電流値制御部39について、図3を用い説明する。
図3に示すように、放電制御部35は、目標ピーク値比較部41と、出力部42と、を備える。
目標ピーク値比較部41は、電流モニタ信号Viに基づく駆動電流の検出値と、目標ピーク値iaとを比較して、「駆動電流の検出値<目標ピーク値ia」であれば、出力部42への駆動許可信号S0をアクティブレベル(この例ではハイ)にする。また、目標ピーク値比較部41は、「駆動電流の検出値≧目標ピーク値ia」であれば、駆動許可信号S0をローにする。
出力部42は、マイコン25からの噴射指令信号S#nがハイになってから、目標ピーク値比較部41からの駆動許可信号S0がローになるまでの間、放電スイッチとしてのトランジスタT12をオンする。
このような放電制御部35により、前述したトランジスタT12の制御、つまり、噴射指令信号S#nがハイになると駆動電流が目標ピーク値iaに達するまでトランジスタT12をオンしてコンデンサC0からコイル2aに放電させる放電制御が実現される。
定電流制御部37は、第1比較部43と、第2比較部44と、出力部45と、タイマ部46と、を備える。
第1比較部43は、電流モニタ信号Viに基づく駆動電流の検出値と、目標ピック電流値制御部39から与えられる目標ピック電流値とを比較する。
目標ピック電流値は、ピック電流の目標値であり、この例では、前述した第1下側閾値ibL(図2参照)を表すものとして説明する。
このため、第1比較部43は、目標ピック電流値を第1下側閾値ibLとして設定すると共に、目標ピック電流値に所定値iαを加えた値を、前述の第1上側閾値ibHとして設定する。そして、第1比較部43は、駆動電流の検出値が第1下側閾値ibL以下であると判定すると、出力部45への第1駆動許可信号S1をハイに保持し、駆動電流の検出値が第1上側閾値ibH以上であると判定すると、出力部45への第1駆動許可信号S1をローに保持する。
また、第2比較部44は、電流モニタ信号Viに基づく駆動電流の検出値と、目標ホールド電流値とを比較する。
目標ホールド電流値は、ホールド電流の目標値であり、この例では、前述した第2下側閾値icL(図2参照)を表すものとして説明する。また、目標ホールド電流値は、固定値である。
このため、第2比較部44は、目標ホールド電流値を第2下側閾値icLとして設定すると共に、目標ホールド電流値に所定値iβを加えた値を、前述の第2上側閾値icHとして設定する。そして、第2比較部44は、駆動電流の検出値が第2下側閾値icL以下であると判定すると、出力部45への第2駆動許可信号S2をハイに保持し、駆動電流の検出値が第2上側閾値icH以上であると判定すると、出力部45への第2駆動許可信号S2をローに保持する。
タイマ部46は、噴射指令信号S#nがローからハイになると、時間の計測を開始して、前述の時間Tbが経過すると、出力部45に対して電流値切替タイミングが到来したことを通知する。
出力部45は、噴射指令信号S#nがハイになってから、タイマ部46により電流値切替タイミングの到来が通知されるまでの間は、第1比較部43からの第1駆動許可信号S1に従って、定電流スイッチとしてのトランジスタT11をオン/オフさせる。つまり、第1駆動許可信号S1がハイであればトランジスタT11をオンし、第1駆動許可信号S1がローであればトランジスタT11をオフする。そして、この出力部45の動作と第1比較部43の動作により、前述の第1定電流制御が実現される。
また、出力部45は、タイマ部46により電流値切替タイミングの到来が通知されてから、噴射指令信号S#nがローになるまでの間は、第2比較部44からの第2駆動許可信号S2に従って、トランジスタT11をオン/オフさせる。つまり、第2駆動許可信号S2がハイであればトランジスタT11をオンし、第2駆動許可信号S2がローであればトランジスタT11をオフする。そして、この出力部45の動作と第2比較部44の動作により、前述の第2定電流制御が実現される。
目標ピック電流値制御部39は、電圧検出部47と、メモリ48と、比較部49と、を備える。
電圧検出部47は、コンデンサC0からコイル2aへの放電が始まる前の充電電圧VCを、分圧回路29からの電圧モニタ信号Vmに基づいて検出する。尚、電圧検出部47による充電電圧VCの検出タイミングについては後で説明する。
メモリ48には、例えば図4における実線で例示するように、充電電圧VCと目標ピック電流値との対応関係が記憶されている。メモリ48に記憶されている対応関係は、実際の充電電圧VCに対して設定すべき目標ピック電流値を定めるものである。そして、メモリ48に記憶されている対応関係は、充電電圧VCが大きいほど目標ピック電流値が大きくなる、という対応関係である。また、この例において、メモリ48に記憶されている対応関係は、充電電圧VCと目標ピック電流値とのリニアな対応関係を示している。尚、変形例として、図4における一点鎖線で例示するように、メモリ48に記憶される対応関係としては、充電電圧VCに対して目標ピック電流値が段階的に変化する対応関係でも良く、具体的には、充電電圧VCが大きいほど目標ピック電流値が段階的に大きくなる、という対応関係でも良い。
比較部49は、メモリ48から、電圧検出部47により検出された充電電圧VCに対応する目標ピック電流値を読み出し、その読み出した目標ピック電流値を、定電流制御部37(詳しくは第1比較部43)に与える。
このため、定電流制御部37の第1比較部43が駆動電流の検出値と比較するのに用いる目標ピック電流値は、インジェクタ2の駆動時毎に、コンデンサC0からコイル2aへの放電が始まる前の充電電圧VCに応じて可変設定されることとなる。そして、目標ピックアップ電流値が変更されれば、第1定電流制御によってコイル2aに流されるピック電流が変更される。
次に、電圧検出部47による充電電圧VCの検出タイミングについて、図5を用い説明する。
図5における1段目と4段目に示すように、噴射指令信号S#nがハイになってから(換言すれば、駆動期間の開始タイミングから)、コンデンサC0からコイル2aへの放電が開始されるまでには遅れ時間Tdがある。少なくともトランジスタT12のターンオン時間があるからである。このため、電圧検出部47は、噴射指令信号S#nがハイになると(換言すれば、駆動期間の開始タイミングが到来すると)、上記遅れ時間Tdが経過するまでの間に、充電電圧VCを検出する。よって、コンデンサC0からコイル2aへの放電が始まる直前の充電電圧VCを検出することができる。
一方、他の構成例として、電圧検出部47は、図5における1段目〜3段目に示すように、噴射指令信号S#nがローの期間において、一定時間毎(この例では制御IC27のクロックの1周期毎)に充電電圧VCを検出するようになっていても良い。そして、この場合には、噴射指令信号S#nがハイになった時点で電圧検出部47により検出されている最新の充電電圧VC(図5の例では点線の円で囲まれたクロックのタイミングで検出された充電電圧VC)が、検出結果として比較部49に供給されるようになっていれば良い。但し、このような構成例よりも、噴射指令信号S#nがハイになると上記遅れ時間Tdが経過するまでの間に充電電圧VCを検出する、という構成の方が、放電開始時からみて、より直前の充電電圧VCを検出することができる。
次に、ピック電流(目標ピック電流値)を可変制御している理由について、図6を用い説明する。
インジェクタ2は、コイル2aに供給されるエネルギーが所定の開弁必要値に達することで開弁する。図6において、「top」はインジェクタ2の開弁タイミングであり、斜線を付した駆動電流の面積は、開弁必要値のエネルギーを示している。
一方、図6に示すように、コンデンサC0からコイル2aへの放電電流の傾きは、放電開始前のコンデンサC0の充電電圧VCに応じて変動する。放電電流の傾きは、図6の下段に示すように、充電電圧VCが高いほど急峻になり、図6の上段に示すように、充電電圧VCが低いほど緩やかになる。
このため、インジェクタ2の駆動開始時から、コイル2aに流れる駆動電流が目標ピーク値iaに到達するまでの放電時間Taは、図6の下段に示すように、充電電圧VCが高い場合ほど短くなり、図6の上段に示すように、充電電圧VCが低い場合ほど長くなる。そして、放電時間Taが短くなれば、コンデンサC0からコイル2aへの供給エネルギーが小さくなり、逆に放電時間Taが長くなれば、コンデンサC0からコイル2aへの供給エネルギーが大きくなる。
よって、図6に示すように、放電時間Taが短い場合と長い場合とで、放電終了後のピック電流が同じであると、インジェクタ2の駆動開始時からコイル2aに供給されるエネルギーが開弁必要値に達するまでの時間(即ち、インジェクタ2の開弁遅れ時間)Todが変わってしまう。
つまり、放電開始前の充電電圧VCが高いほど、放電時間Taが短くなり、コンデンサC0からコイル2aへの供給エネルギーが小さくなる。このため、コイル2aに供給されるエネルギーが、ピック電流による供給エネルギーも含めて、開弁必要値に達するまでの時間Todが長くなり、その結果、インジェクタ2の開弁タイミングtopが遅れる。逆に、放電開始前の充電電圧VCが低いほど、放電時間Taが長くなり、コンデンサC0からコイル2aへの供給エネルギーが大きくなる。このため、コイル2aに供給されるエネルギーが、ピック電流による供給エネルギーも含めて、開弁必要値に達するまでの時間Todが短くなり、その結果、インジェクタ2の開弁タイミングtopが早くなる。図6における「Δt」は、充電電圧VCの違いによる開弁タイミングtopのばらつきを示している。そして、このようにインジェクタ2の開弁タイミングがばらついてしまうと、燃料噴射量が変動してしまうため、燃費やエミッションの悪化を招いてしまう。
そこで、ECU1では、制御IC27に目標ピック電流値制御部39を設けて、放電開始前の充電電圧VCに応じてピック電流を可変制御することにより、充電電圧VCが変動してもインジェクタ2の開弁タイミングが一定となるようにしている。具体的には、図4に示したように、放電開始前の充電電圧VCが大きいほどピック電流を大きい値に変更するようになっている。逆に、放電開始前の充電電圧VCが小さいほどピック電流を小さい値に変更するようになっている。
例えば、図7に示すように、多段噴射が実施される場合には、各段の燃料噴射の実施毎に充電電圧VCが低下していく。図7の例では、多段噴射の開始前には充電電圧VCが充電制御における目標電圧になっていて、各段の燃料噴射のためにコンデンサC0からコイル2aへの放電が実施される毎に、充電電圧VCが目標電圧から徐々に低下していく場合を示している。図7において、〈1〉の期間は1段目の噴射期間であり、〈2〉の期間は2段目の噴射期間であり、〈3〉の期間は3段目の噴射期間である。図7に示すような場合、充電電圧VCが低下するにつれてピック電流が小さい値に変更されることとなる。
また、図8において、点線の波形は、例えば図7における1段目の噴射期間における駆動電流を表しており、実線の波形は、例えば図7における3段目の噴射期間における駆動電流を表している。そして、点線の波形と実線の波形との各々において、斜線を付した面積は、開弁必要値のエネルギーを示している。
図8に示すように、ECU1によれば、充電電圧VCが変化する各段の噴射について、インジェクタ2の駆動開始時からコイル2aに供給されるエネルギーが開弁必要値に達するまでの開弁遅れ時間Todが一定となるように、ピック電流を変更することができる。このため、インジェクタ2の開弁タイミングのばらつきを抑制することができ、延いては、燃料噴射量の制御精度を向上させて、燃費やエミッションの向上を達成することができる。
また、インジェクタ2の駆動開始時からコイル2aに供給されるエネルギーが開弁必要時に達するまで開弁遅れ時間Todを一定にするには、目標ピーク値iaを変更する方法も考えられる。しかし、放電電流は大電流の為、トランジスタT12の最大定格の余裕分が少ないので、目標ピーク値iaには上限値の制限が発生する。ピック電流は、放電電流より電流値が小さい為、トランジスタT11の最大定格に余裕がある。よって、ピック電流を変更する方法が有効である。
ところで、ピック電流は、インジェクタ2が開弁するまではコイル2aに流さなければならない。このため、第1定電流制御から第2定電流制御に切り替える電流値切替タイミングは、インジェクタ2の開弁遅れ時間Todが最大になった場合の開弁タイミングよりも後となるように、設定する必要がある。よって、開弁遅れ時間Todのばらつき(開弁タイミングのばらつきでもある)が大きいと、電流値切替タイミングは、設計上の標準的な開弁タイミングよりも大きく遅らせたタイミングに設定しなければならない。すると、駆動期間のうち、コイル2aにホールド電流を流す期間が短くなり、インジェクタ2を駆動するための消費電力の増大を招く。
これに対して、ECU1によれば、インジェクタ2の開弁タイミングのばらつきを抑制することができるため、電流値切替タイミングを標準の開弁タイミングよりも大きく遅らせたタイミングに設定する必要がない。つまり、コイル2aにピック電流を流す期間を短く設定することができる。上記の例では、駆動期間の開始時から電流値切替タイミングまでの時間Tb(図2参照)を短い時間に設定することができるようになる。よって、インジェクタ2を駆動するための消費電力を小さくすることができる。
また、ECU1では、図4における実線で例示したように、充電電圧VCに応じてピック電流をリニアに変更するようになっている。このため、ピック電流の可変分解能を上げることができ、延いては、インジェクタ2の開弁タイミングを一定にする精度を向上させることができる。
また、ECU1では、図5を用いて説明したように、目標ピック電流値制御部39の電圧検出部47は、噴射指令信号S#nがハイになると、コンデンサC0からの放電が開始されるまでの間に充電電圧VCを検出する。このため、コンデンサC0からの放電が始まる直前の充電電圧VCを確実に検出することができる。よって、インジェクタ2の開弁タイミングを一定にするためのピック電流を一層正しく設定することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のECUについて説明するが、ECUの符号としては、第1実施形態と同じ“1”を用いる。また、第1実施形態と同様の構成要素や処理についても、第1実施形態と同じ符号を用いる。
第2実施形態のECU1は、第1実施形態のECU1と比較すると、下記《1》,《2》の点が異なっている。
《1》マイコン25は、多段噴射を実施すると決定した場合には、その多段噴射における最初の(1段目の)噴射用の噴射指令信号を出力するタイミングよりも前に、今から実施する多段噴射の噴射段数を示す段数情報を、制御IC27に出力する。段数情報は、例えば噴射段数を示す複数ビットのデータである。また、マイコン25は、1段噴射を実施すると決定した場合にも、その1段噴射用の噴射指令信号を出力するタイミングよりも前に、噴射段数が1であることを示す段数情報を、制御IC27に出力する。
《2》制御IC27は、図3の駆動電流制御部33に代えて、図9に示す駆動電流制御部34を備えている。そして、図9に示す駆動電流制御部34は、図3の駆動電流制御部33と比較すると、判定部51を更に備えている点が異なる。
図9に示すように、判定部51には、マイコン25からの段数情報が入力される。そして、判定部51は、段数情報が入力されると、図10の動作を行う。
図10に示すように、判定部51は、マイコン25からの段数情報に基づいて、今からインジェクタ2に実施させる燃料噴射の噴射段数が所定値N(例えば2)以上であるか否かを判定する(S110)。
そして、判定部51は、噴射段数が所定値N以上であると判定した場合には(S110:YES)、目標ピック電流値制御部39に動作許可信号を出力する(S120)。すると、目標ピック電流値制御部39により、充電電圧VCに応じた目標ピック電流値の可変制御が実施される。
また、判定部51は、噴射段数が所定値N以上ではないと判定した場合には(S110:NO)、目標ピック電流値制御部39に動作停止信号を出力する(S130)。すると、目標ピック電流値制御部39の動作は停止する。その場合、定電流制御部37の第1比較部43には、目標ピック電流値として、予め定められた固定値が与えられる。その固定値は、メモリ48において、目標電圧に対して記憶されている目標ピック電流値と同じ値である。噴射段数が所定値N以上でない場合には、充電電圧VCが目標電圧から大きく乖離することはないと考えられるため、このようにしている。
以上のような第2実施形態のECU1によれば、充電電圧VCが大きく変動すると考えられる場合に限って目標ピック電流値制御部39による目標ピック電流値の可変制御が実施されることとなる。このため、制御IC27での処理負荷及び消費電力を低減する効果が得られる。
[変形例1]
第1定電流制御から第2定電流制御に切り替えるタイミング(電流値切替タイミング)は、トランジスタT12をオフした放電終了時から一定の時間が経過したタイミングであっても良い。
[変形例2]
定電流制御部37の第1比較部43には、目標ピック電流値として、例えば第1上側閾値ibHを表す値が与えられるようになっていても良い。その場合、第1比較部43は、目標ピック電流値を第1上側閾値ibHとして設定すると共に、目標ピック電流値から所定値iαを減じた値を、第1下側閾値ibLとして設定すれば良い。また例えば、定電流制御部37の第1比較部43には、目標ピック電流値として、前述した第1の一定値ib(図2参照)を表す値が与えられるようになっていても良い。その場合、第1比較部43は、目標ピック電流値に所定値i1を加えた値を、第1上側閾値ibHとして設定し、目標ピック電流値から所定値i2を減じた値を、第1下側閾値ibLとして設定すれば良い。これらのことは、目標ホールド電流値及び第2比較部44についても同様である。
[変形例3]
ECU1は、充電電圧VCの制御に用いる目標電圧を変更する電圧変更手段を備えていても良い。その電圧変更手段は、例えば、インジェクタ2に実施させる燃料噴射の噴射段数に応じて目標電圧を変更する、といった構成にすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。また、前述の数値も一例であり他の値でも良い。
例えば、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。また、上述したECUの他、当該ECUを構成要素とするシステム、当該ECUとしてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、燃料噴射弁駆動方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
2…インジェクタ(燃料噴射弁)、2a…コイル、C0…コンデンサ、21…DCDCコンバータ、31…充電制御部、35…放電制御部、35…定電流制御部、T11…定電流スイッチとしてのトランジスタ、T12…放電スイッチとしてのトランジスタ、39…目標ピック電流値制御部

Claims (4)

  1. 燃料噴射弁(2)のコイル(2a)に放電するエネルギーが蓄積されるコンデンサ(C0)と、
    電源電圧を昇圧して前記コンデンサを充電するDCDCコンバータ(21)と、
    前記コンデンサの充電電圧が前記電源電圧よりも高い目標電圧となるように前記DCDCコンバータを動作させる充電制御手段(31)と、
    前記燃料噴射弁の駆動期間の開始タイミングが到来すると、前記コンデンサから前記コイルへ放電させ、前記コイルに流れる電流が目標ピーク値に到達したことを検知すると、前記コンデンサから前記コイルへの放電を終了する放電制御手段(35,T12)と、
    前記駆動期間において、前記コンデンサから前記コイルへの放電が終了すると、所定のタイミングが到来するまでの間、前記コイルに前記燃料噴射弁の開弁を完了させるためのピックアップ電流を流し、そのピックアップ電流の供給を終了してから前記駆動期間が終了するまでの間は、前記コイルに前記燃料噴射弁の開弁状態を保持するためのホールド電流を流す定電流制御手段(37,T11)と、
    前記コンデンサから前記コイルへの放電が始まる前の前記充電電圧を検出し、その検出した充電電圧に応じて、前記定電流制御手段が前記コイルに流す前記ピックアップ電流を変更する電流値制御手段(39)と、
    前記燃料噴射弁に実施させる燃料噴射の噴射段数が所定値以上であるか否かを判定する判定手段(51)と、を備え、
    前記電流値制御手段は、前記判定手段により前記噴射段数が前記所定値以上であると判定された場合に動作すること(S110:YES,S120)、
    特徴とする燃料噴射弁駆動装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
    前記電流値制御手段は、前記検出した充電電圧が大きいほど、前記ピックアップ電流を大きい値に変更すること、
    を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
    前記電流値制御手段は、前記検出した充電電圧に応じて前記ピックアップ電流をリニアに変更すること、
    を特徴とする燃料噴射弁駆動装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の燃料噴射弁駆動装置において、
    前記駆動期間の開始タイミングから、前記コンデンサから前記コイルへの放電が開始されるまでには遅れ時間があり、
    前記電流値制御手段は、前記駆動期間の開始タイミングが到来すると前記遅れ時間が経過するまでの間に、前記充電電圧を検出すること、
    を特徴とする燃料噴射弁駆動装置
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