JP6384245B2 - 溶接部の防錆方法、防錆シート - Google Patents

溶接部の防錆方法、防錆シート Download PDF

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Description

本発明は、2つの鉄系部材が溶接により接合した鉄系接合体の溶接部の防錆方法、及びこの防錆方法で用いられる防錆シートに関するものである。
従来、自動車などの車両には、めっき膜などの防錆膜で覆われた2つの鉄系部材が溶接により接合された箇所がある。2つの鉄系部材を接合し、1つの鉄系接合体を作成する手段として、例えばスポット溶接あるいはアーク溶接がよく用いられている。
しかし、2つの鉄系部材が溶接により接合した鉄系接合体は、表面が防錆膜に覆われている被覆部と表面が防錆膜に覆われていない溶接部とを有する状態となる。そのため、車両が実際に使用される段階において当該溶接部に、特定の理由に起因して雨水などが進入し、錆が発生する虞がある。よって、錆によって当該溶接部に穴が開きにくいよう、厚めの鋼板を使用する等の対策が必要となる。
そこで、例えば特許文献1には、溶接部に液状の防錆剤を転写させる方法が開示されている。
特開平5−50261号公報
しかしながら、特許文献1の方法のように溶接部に液状の防錆剤を転写した場合、溶接箇所によっては、防錆剤が液ダレしてしまい、所望の防錆効果が得られないことがある。
本発明の目的は、防錆能に優れた防錆膜で容易に溶接部を覆うことができる溶接部の防錆方法および防錆シートを提供することにある。
本発明の溶接部の防錆方法は、溶接工程と、貼付工程と、加熱工程と、を有する。
溶接工程は、2つの鉄系部材を溶接し、例えば、防錆膜と表面が防錆膜に覆われていない溶接部とを有する鉄系接合体を作成する。この鉄系接合体は、詳述すると、表面が防錆膜に覆われている被覆部と、表面が防錆膜に覆われていない溶接部と、を有する。
貼付工程は、溶接部を覆うよう鉄系接合体に、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とを含む防錆シートを貼付する。
加熱工程は、防錆シートを加熱し、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末との反応により、SnCuNi金属間化合物またはSnCuMn金属間化合物を主相とする防錆用保護膜を形成する。
加熱工程では、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とが、液相拡散接合(以下、「TLP接合:TransientLiquid Phase DiffusionBonding」)し、液相拡散接合に伴って反応する。
この反応は、比較的低温かつ比較的短時間で進行する。この結果、例えば400℃以上の融点を有するSnCuNi金属間化合物またはSnCuMn金属間化合物を主相とする緻密な防錆用保護膜が形成される。
したがって、本発明によれば、防錆シートを貼付し、比較的低温で加熱するだけで、耐熱性および防錆能に優れた防錆用保護膜で溶接部を覆うことができる。
貼付工程は、溶接部の周囲に位置する防錆膜と接触するよう、鉄系接合体に防錆シートを貼付することが好ましい。
この構成では、防錆シートによる防錆用保護膜と鉄系部材の表面に元から存在していた防錆膜とで溶接部の表面を密閉する。これにより、加熱工程の後、防錆用保護膜は、溶接部の表面が酸化することを抑制できる。
防錆膜は、Ni系防錆膜またはSn系防錆膜であることが好ましい。これにより、防錆用シートと防錆膜との重なり部分に防錆用シートと防錆膜との反応相を形成することができ、より確実に溶接部表面の酸化を抑制できる。
加熱工程は、防錆シートを加圧しながら加熱することが好ましい。これにより、より緻密な防錆用保護膜の形成が可能になるとともに、防錆シート中のSn成分が溶融中に球状化することを防止できる。
また、本発明の防錆シートは、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とを含み、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とが加熱により反応し、SnCuNi金属間化合物またはSnCuMn金属間化合物を主相とする防錆用保護膜を形成することが好ましい。
本発明の防錆シートは、本発明の溶接部の防錆方法で用いられるシートである。したがって、本発明の防錆シートによれば、本発明の溶接部の防錆方法と同様の効果を奏する。
本発明によれば、耐熱性および防錆能に優れた防錆膜で容易に溶接部を覆うことができる。
本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法で用いられる2つの鉄系部材の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる溶接工程を模式的に示す断面図である。 図2に示す溶接工程で溶接により接合された鉄系接合体の断面図である。 図2に示す溶接工程で溶接により接合された鉄系接合体の外観斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を示す外観斜視図である。 図5に示す貼付工程を模式的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる加熱工程を模式的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる加熱工程を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法で用いられる2つの鉄系部材の断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる溶接工程を模式的に示す断面図である。図3は、図2に示す溶接工程で溶接により接合された鉄系接合体の断面図である。図4は、図2に示す溶接工程で溶接により接合された鉄系接合体の外観斜視図である。
なお、図3は、図4に示すS−S線の断面に対応する。
図1に示すように、表面が防錆膜18、19で覆われた2つの鉄系部材8、9を用意する。鉄系部材8、9は、例えばSUS(Stainless steel)で構成されている。防錆膜18、19は、例えば、Ni系防錆膜またはSn系防錆膜である。
次に、図2に示すように、2つの鉄系部材8、9を溶接により接合する(溶接工程)。溶接方法は、例えば例えばスポット溶接あるいはアーク溶接である。
この溶接工程により、図3、図4に示すように、2つの鉄系部材8、9が溶接により接合した鉄系接合体10を作成する。鉄系接合体10は、表面が防錆膜20に覆われている被覆部12と、表面が防錆膜20に覆われていない溶接部11と、を有する。鉄系接合体10は、自動車などの車両の一部を構成する部材とする。
なお、防錆膜20は、溶接時の加熱により鉄系接合体10のFe中に拡散し消失してしまうため、溶接部11の表面は、Feが露出した状態となる。
図5は、本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を示す外観斜視図である。図6は、図5に示す貼付工程を模式的に示す断面図である。図7は、本発明の第1実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる加熱工程を模式的に示す断面図である。
なお、図6、図7は、図5に示すT−T線の断面に対応する。
図5、図6に示すように、防錆シート110を用意する。この防錆シート110は、図7に示す防錆用保護膜137を形成するための原料成分と、熱処理時に軟化・流動する樹脂成分との混合層を備える。この防錆シート110はフレキシブルなシート状成形体であり、鉄系部材8、9や鉄系接合体10や溶接部11の形状に応じて密に貼り付けられる。
具体的には、この防錆シート110は、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141とSn厚膜接合材142と粘着層34とが接合して一体化したシートである。粘着層34は、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141の一方の面を被覆している。
防錆シート110は、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141とSn厚膜接合材142とを積層後に圧着や熱圧着することにより、または、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141とSn厚膜接合材142との内いずれか一方の上に他方をコーティングされることにより、一体化されている。
Sn+Cu−Ni厚膜接合材141は、層状である。Sn+Cu−Ni厚膜接合材141は、例えば粒径0.5〜30μmのCuNi合金粉末(高融点金属粉末)31、および粒径0.5〜30μmのSn粉末(低融点金属粉末)32と、熱処理時に軟化・流動する樹脂成分とを含む。Sn+Cu−Ni厚膜接合材141の樹脂成分は主にバインダおよびフラックスである。
ここで、Sn粉末32とCuNi合金粉末31の配合比は重量比で80:20〜30:70の範囲であることが好ましい。Sn粉末32の割合が80重量%を超えると、加熱時にSn+Cu-Niの厚膜接合が球状化し易くなる。
一方、金属粉末中のSn粉末の割合が30重量%未満となると、図7に示す加熱工程後において、表面が防錆膜20(例えばNiめっき膜)に覆われている被覆部12と防錆用保護膜137との接合力が低下してしまう。ここで、防錆シート110は、表面にNiめっきが存在しない溶接部11と接着しない。
Sn厚膜接合材142は、層状である。Sn厚膜接合材142は、粒径0.5μm〜100μmのSn粉末と、熱処理時に軟化・流動する樹脂成分とを含む。Sn厚膜接合材142の樹脂成分は主にバインダおよびフラックスである。
なお、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141とSn厚膜接合材142とに含まれる全ての金属粉末中に占めるSn粉末32の割合は90重量%を超えないことが好ましい。全ての金属粉末中に90重量%を超えるSn粉末32が存在する場合、Sn粉末32とCuNi合金粉末31とが反応する前に、複数のSn粉末32が一体化し、球状化してしまう場合があるためである。
次に、図5、図6に示すように、溶接部11を覆うよう、鉄系接合体10に防錆シート110を貼付する(貼付工程)。貼付工程では、溶接部11の周囲に位置する防錆膜20と接触するよう、鉄系接合体10に防錆シート110を貼付することが好ましい。この場合、溶接部11の表面は、防錆シート110に密閉される。
次に、溶接部11およびその近傍を加熱する(加熱工程)。加熱温度は、Sn粉末の融点(231.9℃)以上、後述するCuNiSn金属間化合物の融点未満の範囲内の温度に設定する。
加熱工程は、例えば工業用ドライヤー、バーナー、遠赤外線加熱、又は高周波誘導加熱で行う。加熱工程は、フレキシブルなシート状ヒーター(例えばシリコン等の樹脂製シート状ヒーター)を防錆シート110に押しあてながら行うことが好ましい。加熱温度は例えば250〜350℃、加熱時間は最高温度到達後30秒から120秒程度で十分である。
この加熱工程により、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141に含まれるCuNi合金粉末31と、Sn粉末32とは、液相拡散接合(以下、「TLP接合:TransientLiquid Phase DiffusionBonding」)に伴って反応し、金属間化合物を主相とする防錆用保護膜137を形成する(図7参照)。
この金属間化合物は、CuNiSn合金であり、高い融点(例えば400℃以上)を有する。防錆用保護膜137は、例えばCuNiSn等の金属間化合物から構成され、多孔質体である。
ここで、溶接部11と防錆用保護膜137との界面には空隙139が形成されることがある。また、防錆シート110における防錆膜20側の面は、防錆膜20の表面と反応し、金属間化合物であるNiSn合金層138を形成する。また、図6に示すSn厚膜接合材142に含まれるSn粉末32は、加熱工程で溶融して防錆用保護膜137の複数の孔に浸透し、防錆用保護膜137内をより緻密にする。
なお、粘着層34にフラックスが含まれていることが好ましい。そのことにより、被覆部12を覆う防錆膜20の表面の清浄化(酸化膜除去)効果があり、防錆膜20の表面との反応速度がより向上する。
以上のようにして、TLP接合に伴う反応が比較的低温で進行し、例えば400℃以上の融点を有する緻密な防錆用保護膜137が形成される。
したがって、本実施形態によれば、防錆シート110を貼付し、比較的低温で加熱するだけで、耐熱性および防錆能に優れた防錆用保護膜137で溶接部11を覆うことができる。よって、錆びによって穴が溶接部11に開く場面を想定しなくても済むため、鉄系接合体10を薄くでき、自動車などの車両の軽量化が可能になる。
また、前述の貼付工程において溶接部11の周囲に位置する防錆膜20と接触するよう、鉄系接合体10に防錆シート110を貼付することで、加熱工程の後、防錆用保護膜137は、溶接部11の表面が酸化することを抑制できる。
なお、前述の加熱工程は、防錆シート110を加圧しながら加熱することが好ましい。これにより、緻密な防錆用保護膜137の形成が可能になるとともに、防錆シート110中のSn成分が溶融中に球状化することを防止できる。
次に、以下、本発明の第2実施形態に係る溶接部の防錆方法について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を模式的に示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係る防錆シート210が防錆シート110と相違する点は、Sn粉末32からなるSn厚膜接合材142を、Sn箔242のような薄板材に置き換えた点である。この防錆シート210もフレキシブルなシート状成形体であり、鉄系部材8、9や鉄系接合体10や溶接部11の形状に応じて密に貼り付けられる。その他の点に関しては同じであるため、説明を省略する。
なお、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141とSn箔242とに含まれる全ての金属中に占めるSnの割合は90重量%を超えないことが好ましい。全ての金属中に90重量%を超えるSnが存在する場合、SnとCuNi合金とが反応する前に、Snが、球状化してしまう場合があるためである。
この構成においても、先ず図5に示すように、溶接部11を覆うよう、鉄系接合体10に防錆シート210を貼付する(貼付工程)。
次に、溶接部11およびその近傍を加熱する(加熱工程)。この加熱工程により、図8に示すように、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141に含まれるCuNi合金粉末31と、Sn粉末32とは、液相拡散接合(以下、「TLP接合:TransientLiquid Phase DiffusionBonding」)し、液相拡散接合に伴って反応し、金属間化合物を主相とする防錆用保護膜137を形成する。
この金属間化合物は、CuNiSn合金であり、高い融点(例えば400℃以上)を有する。防錆用保護膜137は、例えばCuNiSn等の金属間化合物から構成され、多孔質体である。
さらに、Sn箔242は溶融して防錆用保護膜137にできた複数の孔に浸透する。これにより、Snが防錆用保護膜137の複数の孔に充填されるため、防錆用保護膜137は緻密になる。
したがって、第2実施形態に係る溶接部の防錆方法は、第1実施形態の溶接部の防錆方法と同様の作用効果を奏する。
次に、以下、本発明の第3実施形態に係る溶接部の防錆方法について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる貼付工程を模式的に示す断面図である。図10は、本発明の第3実施形態に係る溶接部の防錆方法に含まれる加熱工程を模式的に示す断面図である。
防錆シート310は、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341とSn+Cu−Ni厚膜接合材342とを積層後に圧着や熱圧着することにより、または、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341とSn+Cu−Ni厚膜接合材342との内いずれか一方の上にコーティングされることにより一体化されている。また、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341の一方の面には粘着層34が被覆されている。この防錆シート310もフレキシブルなシート状成形体であり、鉄系部材8、9や鉄系接合体10や溶接部11の形状に応じて密に貼り付けられる。
Sn+Cu−Ni厚膜接合材341は、前述のSn+Cu−Ni厚膜接合材141と同様の構成を有し、シート状である。Sn+Cu−Ni厚膜接合材341は、例えば粒径0.5〜30μmのCuNi合金粉末(高融点金属粉末)31、および粒径0.5〜30μmのSn粉末(低融点金属粉末)32を含む。Sn+Cu−Ni厚膜接合材341の樹脂成分は主にバインダおよびフラックスである。
ここで、Sn粉末32とCuNi合金粉末31の配合比は重量比で80:20〜30:70の範囲であることが好ましい。Sn粉末32の割合が80重量%を超えると、加熱時にSn+Cu−Niの厚膜接合が球状化し易くなる。
一方、金属粉末中のSn粉末の割合が30重量%未満となると、図10に示す加熱工程後において、表面が防錆膜20(例えばNiめっき膜)に覆われている被覆部12と防錆用保護膜337との接合力が低下してしまう。ここで、防錆シート310は、表面にNiめっきが存在しない溶接部11と接着しない。
次に、Sn+Cu−Ni厚膜接合材342も、層状である。Sn+Cu-Ni厚膜接合材342中におけるSn粉末32の量は、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341中におけるSn粉末32の量より多い。
その他の点に関して、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341とSn+Cu−Ni厚膜接合材342とは、同じ構成であるため、Sn+Cu−Ni厚膜接合材341の説明を省略する。
なお、Sn+Cu−Ni厚膜接合材342とSn+Cu−Ni厚膜接合材341とに含まれる全ての金属粉末中に占めるSn粉末32の割合は90重量%を超えないことが好ましい。
全ての金属粉末中に90重量%を超えるSn粉末32が存在する場合、Sn粉末32とCuNi合金粉末31とが反応する前に、複数のSn粉末32が一体化し、球状になってしまう場合があるためである。
次に、図5に示すように、溶接部11を覆うよう、鉄系接合体10に防錆シート310を貼付する(貼付工程)。貼付工程では、溶接部11の周囲に位置する防錆膜20と接触するよう、鉄系接合体10に防錆シート310を貼付することが好ましい。
次に、溶接部11およびその近傍を加熱する(加熱工程)。加熱温度は、Sn粉末の融点(231.9℃)以上、後述するCuNiSn金属間化合物の融点未満の範囲内の温度に設定する。
加熱工程は、例えば工業用ドライヤー、バーナー、遠赤外線加熱、又は高周波誘導加熱で行う。加熱工程は、フレキシブルな樹脂シートヒーター(例えばシリコン製シートヒーター)で行うことが好ましい。
この加熱工程により、図10に示すように、Sn+Cu−Ni厚膜接合材141に含まれるCuNi合金粉末31と、Sn粉末32とは、液相拡散接合(以下、「TLP接合:TransientLiquid Phase DiffusionBonding」)に伴って反応し、金属間化合物を主相とする防錆用保護膜337を形成する。
この金属間化合物は、CuNiSn合金であり、高い融点(例えば400℃以上)を有する。防錆用保護膜337は、例えばCuNiSn等の金属間化合物から構成され、多孔質体である。
ここで、図10に示すように、溶接部11と防錆用保護膜337との界面には空隙139が形成される。また、防錆シート310における防錆膜20側の面は、防錆膜20の表面と反応し、金属間化合物であるNiSn合金層138を形成する。また、図9に示すSn厚膜接合材342に含まれるSn粉末32は、加熱工程で溶融して防錆用保護膜337の複数の孔に浸透し、防錆用保護膜337内をより緻密にする。
なお、粘着層34にフラックスが含まれていることが好ましい。そのことにより、被覆部12を覆う防錆膜20の表面の清浄化(酸化膜除去)効果があり、防錆膜20の表面との反応速度がより向上する。
以上のようにして、TLP接合に伴う反応が比較的低温で進行し、例えば400℃以上の融点を有する緻密な防錆用保護膜337が形成される(図10参照)。
したがって、本実施形態によれば、防錆シート310を貼付し、比較的低温で加熱するだけで、耐熱性および防錆能に優れた防錆用保護膜337で溶接部11を覆うことができる。よって、錆びによって穴が溶接部11に開く場面を想定しなくても済むため、鉄系接合体10を薄くでき、自動車などの車両の軽量化が可能になる。
なお、前述の加熱工程は、防錆シート310を加圧しながら加熱することが好ましい。これにより、緻密な防錆用保護膜337の形成が可能になるとともに、防錆シート310中のSn成分が溶融中に球状化することを防止できる。
《他の実施形態》
なお、前述の各実施形態においてCuNi合金粉末を用いているが、これに限るものではない。実施の際は、CuMn合金粉末を用いてもよい。この場合、加熱工程において、CuMn合金粉末とSn粉末との反応により、SnCuMn金属間化合物を主相とする防錆用保護膜を形成する。
また、液相拡散(TLP)反応に関して加熱工程は、材料に適した熱処理条件(温度および時間)を設定すればよい。
また、前述の各実施形態において防錆膜は、Ni系防錆膜を用いているが、これに限るものではない。実施の際は、Sn系防錆膜を用いてもよい。
また、前述の各実施形態において防錆シート110、210、310は、図4、図5に示すように、鉄系接合体10の表面に貼付されているが、これに限るものではない。実際の際、防錆シート110、210、310は、例えば、鉄系接合体10の裏面に貼付されていてもよい。また、防錆シート110、210、310は、例えば、溶接部11を完全に覆うよう、鉄系接合体10の表面、側面および裏面の全てに貼付されていてもよい。
最後に、前記実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
8、9…鉄系部材
10…鉄系接合体
11…溶接部
12…被覆部
18、19…防錆膜
20…防錆膜
31…CuNi合金粉末
32…Sn粉末
34…粘着層
110…防錆シート
137…防錆用保護膜
138…NiSn合金層
139…空隙
141…Sn+Cu−Ni厚膜接合材
142…Sn厚膜接合材
210…防錆シート
242…Sn箔
310…防錆シート
337…防錆用保護膜
341…Sn+Cu−Ni厚膜接合材
342…Sn+Cu−Ni厚膜接合材

Claims (5)

  1. 2つの鉄系部材を溶接する溶接工程と、
    溶接部を覆うよう鉄系接合体に、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とを含む防錆シートを貼付する貼付工程と、
    前記防錆シートを加熱し、前記CuNi合金粉末または前記CuMn合金粉末と前記Sn粉末との反応により、SnCuNi金属間化合物またはSnCuMn金属間化合物を主相とする防錆用保護膜を形成する加熱工程と、
    を有する、溶接部の防錆方法。
  2. 前記鉄系部材は防錆膜を備えていて、前記溶接工程によって、前記防錆膜と表面が前記防錆膜に覆われていない溶接部とを形成し、前記貼付工程は、前記溶接部の周囲に位置する前記防錆膜と接触するよう、前記鉄系接合体に前記防錆シートを貼付する、請求項1に記載の溶接部の防錆方法。
  3. 前記防錆膜は、Ni系防錆膜またはSn系防錆膜である、請求項2に記載の溶接部の防錆方法。
  4. 前記加熱工程は、前記防錆シートを加圧しながら加熱する、請求項1から3のいずれか1項に記載の溶接部の防錆方法。
  5. 加熱されることにより反応し、SnCuNi金属間化合物またはSnCuMn金属間化合物を主相とする防錆用保護膜を形成する、CuNi合金粉末またはCuMn合金粉末とSn粉末とを含むことを特徴とする防錆シート。
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