以下、本発明の出力制御回路を太陽光発電装置の出力制御システム(以下「本システム」という)に適用した第1実施形態〜第4実施形態を各図に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、本システムの構成概要を図1を参照して説明する。図1には、本システムの構成概要を示すブロック図が図示されている。図1に示すように、本システムは、主に、出力制御装置20、蓄電制御装置150およびコントローラ170により構成されている。本システムでは、複数のDSSC10から出力される発電電力を出力制御装置20を介して蓄電制御装置150のチャージユニット190に集めて供給用電力として出力する。
第1実施形態では、出力制御装置20は、複数のDSSC10の個々に対応して出力制御装置20が設けられている。そのため、図1に示すように、DSSC10や出力制御装置20のそれぞれの符号の末尾には、便宜的に「a」,「b」…「n」等を付して表すが、いずれも以下説明するDSSC10や出力制御装置20と同様に構成されている。
DSSC10(10a,10b,10c,10d,…,10m,10n)は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する色素増感太陽電池(Dye Sensitized Solar Cell)である。DSSC10の典型的な例は、グレッツェル型であり、例えば、二酸化チタン粉末を焼き付けて色素を吸着させた透明電極(一方の電極(負極))と、この透明電極に所定距離を隔てて設けられる対極(他方の電極(正極))と、これらの電極間に保持されるヨウ素系電解液(電解質溶液)と、から構成される。
DSSCの発電の原理は、前述した非特許文献1(荒川裕則 編著「色素増感太陽電池の最新技術II」)に詳しく説明されているので、詳細はそちらを参照されたい。第1実施形態では、DSSC10は単セル、即ち1つの電池セルで構成される。そのため、DSSC10単体の出力電圧は0.5V前後であり、得られる電力はミリワットオーダに留まる。第1実施形態では、例えば、数10セル〜数100セルのDSSC10から発電電力を集めて蓄電制御装置150のチャージユニット190に蓄えて出力する。
出力制御装置20(20a,20b,20c,20d,…,20m,20n)は、主に、電力転送部21、入力ゲート部24、インピーダンスモニター部25等により構成されており、制御バスCBを介してコントローラ170に接続されている。この出力制御装置20は、DSSC10に対して1対1対応の関係で設けられており、出力制御装置20の電力入力端子PIには、DSSC10の発電電力を入力可能にDSSC10が接続されている。また、出力制御装置20は、コントローラ170から制御コマンドを受けて、DSSC10が太陽光を受けて発電している場合にはDSSC10から入力される発電電力を電力線PLに転送し、DSSC10が発電していない場合にはDSSC10と電力線PLの間を電気的に遮断する、等の各制御を行う。なお、図2に、出力制御装置20の構成例を示す回路図が図示されているので、ここからは図2を参照して説明する。
図2に示すように、出力制御装置20は、その電力転送部21を転送ゲート部22と状態設定部23とにより構成している。電力転送部21は、後述の入力ゲート部24を介してDSSC10から入力される発電電力を電力出力端子TOに出力する機能を有する。
転送ゲート部22は、例えば、NチャネルMOSトランジスタ(以下「NMOS」という)と、PチャネルMOSトランジスタ(以下「PMOS」という)とを並列に接続して構成されるトランスファーゲートである。即ち、転送ゲート部22は、入力ノードとしてNMOS22aのドレインとPMOS22bのソースとを接続し、また出力ノードとしてNMOS22aのソースとPMOS22bのドレインとを接続して構成される双方向アナログスイッチで、「トランスミッションゲート」や「CMOSスイッチ」とも称される。
転送ゲート部22は、NMOS22aのゲートにHレベルの電圧が印加され、かつPMOS22bのゲートにLレベルの電圧が印加されると、両MOS22a,22bはいずれもオン状態になるため、入出力間が導通する(導通状態)。これとは逆に、NMOS22aのゲートにLレベルの電圧が印加され、かつPMOS22bのゲートにHレベルの電圧が印加されると、両MOS22a,22bはいずれもオフ状態になるため、入出力間が遮断される(遮断状態)。なお、転送ゲート部22は、特許請求の範囲に記載の「トランスファーゲート」に相当し得るものである。
状態設定部23は、PMOS23a、NMOS23b、PMOS23c、NMOS23d、NMOS23e、NMOS23fおよびNMOS23gから構成されるフリップフロップ回路と、PMOS23h、NMOS23iおよびNMOS23kから構成されるインバータ回路と、により構成されている。
このフリップフロップ回路は、PMOS23aおよびNMOS23bからなる一方のインバータ回路と、PMOS23cおよびNMOS23dからなる他方のインバータ回路と、を交差接続したSRAMの記憶セルとほぼ同様に構成されているが、両インバータ回路のそれぞれの出力ノードが前述した転送ゲート部22のNMOS22aやPMOS22bのゲートに接続されている点と、NMOS23gによるリセット回路を有する点と、がSRAMの記憶セルと異なる。
即ち、一方のインバータ回路の出力ノード(プラス電源Vddにソースを接続したPMOS23aのドレインと、マイナス電源Vssにソースを接続したNMOS23bのドレインとの接続ノード)を、他方のインバータ回路の入力ノード(プラス電源Vddにソースを接続したPMOS23cのゲートと、マイナス電源Vssにソースを接続したNMOS23dのゲートとの接続ノード)に接続するとともに、転送ゲート部22のNMOS22aのゲートにも接続する。
同様に、他方のインバータ回路の出力ノード(プラス電源Vddにソースを接続したPMOS23cのドレインと、マイナス電源Vssにソースを接続したNMOS23dのドレインとの接続ノード)を、一方のインバータ回路の入力ノード(プラス電源Vddにソースを接続したPMOS23aのゲートと、マイナス電源Vssにソースを接続したNMOS23bのゲートとの接続ノード)に接続するとともに、転送ゲート部22のPMOS22bのゲートにも接続する。
また、データロード用のNMOS23e,23fのソースを前記一方のインバータ回路の入出力ノードおよび前記他方のインバータ回路の入出力ノードにそれぞれ接続する。このデータロード用のNMOS23eのドレインは、PMOS23h、NMOS23iおよびNMOS23kから構成されるインバータ回路の入力ノードに、またデータロード用のNMOS23fのドレインは、同インバータ回路の出力ノードに、それぞれ接続される。また、データロード用のNMOS23e,23fのゲートは、外部からロード信号が入力されるロード端子Ldに接続される。
さらに、マイナス電源Vssにソースを接続したリセット用のNMOS23gのドレインを、当該一方のインバータ回路の出力ノードおよび当該他方のインバータ回路の入力ノードに接続する。リセット用のNMOS23gのゲートは、外部から転送ゲートリセット信号が入力されるトランスファーゲートリセット端子T_Rstに接続される。
これに対して、PMOS23h、NMOS23iおよびNMOS23kから構成されるインバータ回路は、PMOS23hのソースがプラス電源Vddに接続され、またNMOS23iのソースがマイナス電源Vssに接続されて、これらMOS23h,23iの間にNMOS23kが直列に接続される。このNMOS23kは、当該インバータ回路の出力の可否を制御するコントロールゲートで、外部からイネーブル信号が入力されるモニターイネーブル端子Mon_EnにNMOS23kのゲートが接続されている。当該インバータ回路の入力ノードは、これらMOS23h,23iのゲート同士の接続ノードで、前述したフリップフロップ回路のデータロード用のNMOS23eのドレインと、インピーダンスモニター部25の出力ノードとに接続されている。また当該インバータ回路の出力ノードは、PMOS23hとNMOS23kの両ドレインの接続ノードで、データロード用のNMOS23fのドレインに接続されている。
これにより、トランスファーゲートリセット端子T_RstにHレベルの電圧が印加されると、リセット用のNMOS23gがオン状態になるため、NMOS22a、PMOS23cおよびNMOS23dの各ゲートがマイナス電源Vssの電圧(Lレベル)になるため、PMOS23cだけがオン状態になる。それにより、PMOS22b、PMOS23aおよびNMOS23bの各ゲートがプラス電源Vddの電圧(Hレベル)になるため、NMOS23bだけがオン状態になり、前記のフリップフロップ回路がリセット状態に設定される。一方、トランスファーゲートリセット端子T_RstがLレベルのときにロード端子LdにHレベルの電圧が印加されると、NMOS23e、NMOS23fのいずれもがオン状態になるとともに、このフリップフロップ回路の入力ノードは、これらMOS23e,23fのドレインから排他的に入力される電圧レベル(HレベルまたはLレベル)にセットされる。即ち、インピーダンスモニター部25から状態設定部23に、Hレベルの電圧が入力される場合には転送ゲート部22を導通状態に設定し、またLレベルの電圧が入力される場合には転送ゲート部22を遮断状態に設定する。
入力ゲート部24は、電力転送部21の前段に設けられるゲート回路で、NMOS24a、PMOS24bおよびインバータ24cにより構成されている。このゲート回路もトランスファーゲートである。入力ゲート部24は、入力ノードとしてNMOS24aのドレインとPMOS24bのソースとを接続し、また出力ノードとしてNMOS24aのソースとPMOS24bのドレインとを接続している。NMOS24aのゲートとPMOS24bのゲートとをインバータ24cを介して接続している。インバータ24cは、PMOS24bのゲートからNMOS24aのゲートに向けて両者間に介在する。これにより、このトランスファーゲートは、インバータ24cの入力ノードとPMOS24bのドレインとの接続ノードである制御ノードにLレベルの電圧が印加されると、入力ゲート部24の入出力間が導通し(導通状態)、同制御ノードにHレベルの電圧が印加されると、入力ゲート部24の入出力間が遮断される(遮断状態)。この制御ノードは、モニターイネーブル端子Mon_Enに接続されている。そのため、モニターイネーブル端子Mon_EnにLレベルの電圧が印加されているときに入力ゲート部24が導通状態になり、また同端子Mon_EnにHレベルの電圧が印加されているときに入力ゲート部24が遮断状態になる。
インピーダンスモニター部25は、状態設定部23の前段に設けられる監視回路で、PMOS25a、NMOS25bおよびNMOS25eから構成される検出回路と、PMOS25c、NMOS25dおよびNMOS25fから構成されるインバータ回路と、により構成されている。この検出回路は、ソースがプラス電源Vddに接続されるとともにゲート−ドレイン間を接続してプラス電源Vddから電流を引き込むPMOS25aと、ゲートが電力入力端子PIに接続されるとともにソースがマイナス電源Vssに接続されるNMOS25bと、の間にNMOS25eが直列に接続されている。このNMOS25eは、当該検出回路の出力の可否を制御するコントロールゲートで、前述のモニターイネーブル端子Mon_EnにNMOS25eのゲートが接続されている。
これに対して、PMOS25c、NMOS25dおよびNMOS25fから構成されるインバータ回路は、PMOS25cのソースがプラス電源Vddに接続され、またNMOS25dのソースがマイナス電源Vssに接続されて、これらMOS25c,25dの間にNMOS25fが直列に接続される。このNMOS25fは、当該インバータ回路の出力の可否を制御するコントロールゲートで、外部からイネーブル信号が入力されるモニターイネーブル端子Mon_EnにNMOS25fのゲートが接続されている。当該インバータ回路の入力ノードは、これらMOS25c,25dのゲート同士の接続ノードで、前述した検出回路のPMOS25aとNMOS25eとの接続ノードがこれに接続されている。
これにより、モニターイネーブル端子Mon_EnにHレベルの電圧が印加されて、電力入力端子PIに電圧が入力されている場合、つまりDSSC10が発電している場合には、NMOS25b、NMOS25eが共にオン状態になるため、検出回路の出力ノード(インバータ回路の入力ノード)、即ちPMOS25cおよびNMOS25dの各ゲートがマイナス電源Vssの電圧(Lレベル)になる。そのため、インバータ回路の出力ノードからは反転したHレベルの電圧が出力されることから、状態設定部23にはHレベルの電圧が入力されて転送ゲート部22を導通状態に設定する。
これとは逆に、電力入力端子PIに電圧が入力されていない場合、つまりDSSC10が発電していない場合には、NMOS25bがオフ状態になるため、検出回路の出力ノードおよびインバータ回路の入力ノード(PMOS25cおよびNMOS25dの各ゲート)がプラス電源Vddの電圧(Hレベル)になる。そのため、インバータ回路の出力ノードからは反転したLレベルの電圧が出力されることから、状態設定部23にはLレベルの電圧が入力されて転送ゲート部22を遮断状態に設定する。
なお、この出力制御装置20では、電力入力端子PIに入力されるDSSC10の発電電力をNMOS25bのゲートで受けている。そのため、NMOS25bのゲート電圧がNMOS25bの閾値電圧を超える場合を、DSSC10の出力インピーダンスが所定インピーダンス以上である場合として、インバータ回路の入力ノードにLレベルの電圧を出力している。つまり、DSSC10の発電電力による入力電圧がNMOS25bの閾値電圧を超える場合を、「DSSC10の出力インピーダンスが所定インピーダンス(発電状態にあるDSSC10の出力インピーダンス)以上である場合」にしている。しかし、実際には、DSSC10の発電時における出力インピーダンスは、その値が様々でありまたバラツキが多い。また発電時の出力電圧にもバラツキがある。そのため、後述するインピーダンスモニター部26(図6)では、検出回路による閾値電圧の閾値を可変にした構成を採ることにより、これらの問題を解決している。
また、モニターイネーブル端子Mon_EnにHレベルの電圧が印加されて、インピーダンスモニター部25がこのような動作をしている場合には、入力ゲート部24の制御ノードにもモニターイネーブル端子Mon_EnからHレベルの電圧が印加されているため、前述したように入力ゲート部24は遮断状態になる。これにより、電力入力端子PIから入力されるDSSC10の発電電力をインピーダンスモニター部25により監視している状態においては、DSSC10の発電電力は、入力ゲート部24を介して転送ゲート部22に出力されることなく専らインピーダンスモニター部25に入力される。したがって、DSSC10の出力状態をインピーダンスモニター部25により正確に監視することができる。
これに対して、電力入力端子PIから入力されるDSSC10の発電電力を、入力ゲート部24を介して転送ゲート部22に出力している状態においては、モニターイネーブル端子Mon_EnにはLレベルの電圧が印加されているため、インピーダンスモニター部25は、NMOS25e,25fがオフ状態になる。そのため、PMOS25aとNMOS25bの間が遮断されることから、PMOS25aからNMOS25bに電流が流れ込むことなく、インピーダンスモニター部25は休止状態になる。したがって、DSSC10の発電電力を損失なく全て転送ゲート部22に出力することができる。
このような出力制御装置20の各端子(モニターイネーブル端子Mon_En、ロード端子Ld、トランスファーゲートリセット端子T_Rst)に対する制御は、制御バスCBを介してコントローラ170によって行われる。コントローラ170は、典型的にはマイクロコンピュータであり、制御用のワンボードマイコン、ワンチップマイコンや汎用のパーソナルコンピュータ等がこれに相当する。なお、コントローラ170による出力制御装置20の制御例については、蓄電制御装置150の構成等を説明した後に、図4および図5を参照して説明する。
次に、図1および図3に基づいて、蓄電制御装置150の構成等を説明する。なお、図3には、蓄電制御装置150の構成例を示す回路図が図示されている。
図1に示すように、蓄電制御装置150は、主に、入出力ゲート部151、チャージモニター部153等により構成されており、電力線PLを介して各出力制御装置20(20a,20b,20c,20d,…,20m,20n)に接続されている。蓄電制御装置150は、コントローラ170にも接続されており、コントローラ170から制御コマンドを受けて、各出力制御装置20から電力線PLを介して送られた各DSSC10の発電電力をチャージユニット190に蓄電したり、チャージユニット190に蓄電された電力(電荷)を電力出力端子POを介して外部に転送したりする、等の各制御を行う。なお図3に、蓄電制御装置150の構成例を示す回路図が図示されているので、ここからは図3を参照して説明する。
図3に示すように、入出力ゲート部151は、導通および遮断の制御が逆になる前段トランスファーゲート(151a,151b)と後段トランスファーゲート(151c,151d)およびインバータ151eにより構成されている。
前段トランスファーゲートは、前述した転送ゲート部22のトランスファーゲートと同様に、NMOS151aとPMOS151bを並列に接続して構成している。NMOS151aのゲートにはトランスファーゲート制御端子T_Cntが接続され、またPMOS151bのゲートにはインバータ151eの出力側が接続されている。そして、この前段トランスファーゲートの入力ノードには蓄電制御入力端子CIが接続され、出力ノードにはチャージユニット端子Crgおよび後段トランスファーゲートの入力ノードが接続されている。なお、このチャージユニット端子Crgにはチャージユニット190が接続されている。チャージユニット190は、電気エネルギー(電荷)を蓄えられる蓄電デバイスであればよく、例えば、電気二重層コンデンサ等の大容量コンデンサや蓄電池等である。
同様に、後段トランスファーゲートも、NMOS151cとPMOS151dを並列に接続して構成しているが、トランスファーゲート制御端子T_CntはPMOS151dのゲートに、またインバータ151eの出力側はNMOS151cのゲートに、それぞれ接続されている。この後段トランスファーゲートの入力ノードには、前段トランスファーゲートの出力ノードおよびチャージユニット端子Crgが接続され、また出力ノードには電力出力端子POが接続されている。なお、インバータ151eの入力側はトランスファーゲート制御端子T_Cntに接続されている。
これにより、トランスファーゲート制御端子T_CntにHレベルの電圧が印加されると、前段トランスファーゲートの入出力間が導通状態になり、後段トランスファーゲートの入出力間が遮断状態になる。これとは逆に、トランスファーゲート制御端子T_CntにLレベルの電圧が印加されると、前段トランスファーゲートの入出力間が遮断状態になり、後段トランスファーゲートの入出力間が導通状態になる。このような2つのトランスファーゲートの排他的な動作によって、トランスファーゲート制御端子T_CntをHレベルにした場合には、蓄電制御入力端子CIに入力される電力をチャージユニット端子Crgに接続されたチャージユニット190に蓄えることができ、トランスファーゲート制御端子T_CntをLレベルにした場合には、チャージユニット190に蓄えられた電力(電荷)をトランスファーゲート制御端子T_Cntから外部に取り出す(転送する)ことができる。
チャージモニター部153は、チャージユニット端子Crgに接続されたチャージユニット190の蓄電状態を監視する回路であり、フリップフロップ回路により構成されている。このチャージモニター部153は、前述した状態設定部23のフリップフロップ回路とほぼ同様であるので、ここでは状態設定部23のフリップフロップ回路と比較して説明するので、図2も参照しながら説明する。
図2および図3に示すように、状態設定部23のフリップフロップ回路を構成する各MOSトランジスタ23a,23b,23c,23d,23e,23fに対して、チャージモニター部153のフリップフロップ回路を構成する各MOSトランジスタ153a,153b,153c,153d,153e,153fがそれぞれ対応する。ただし、図3に示すように、NMOS153b,153d,153e,153fのソースがいずれもマイナス電源Vssに接続されている点と、NMOS153eのゲートがチャージユニット端子Crgに接続され、またNMOS153fのゲートがステータスリセット端子S_Rstに接続される点が、図2に示す状態設定部23のフリップフロップ回路と異なる。
このチャージモニター部153は、ステータスリセット端子S_RstにHレベルの電圧を入力することにより初期状態(チャージユニット190に十分な電力(電荷)が蓄電されていないことを示す)に設定されて、Lレベルの電圧がステータス端子Stsから出力される。NMOS153fのゲートにLレベルの電圧が入力されると、NMOS153fがオン状態になる。すると、NMOS153fのドレイン、PMOS153aおよびNMOS153bのゲート、ならびにステータス端子Stsがマイナス電源Vssの電圧(Lレベル)になる。これにより、ステータス端子StsはLレベルになるとともに、PMOS153aがオン状態になるため、今度はPMOS153cおよびNMOS153dのゲートがプラス電源Vddの電圧(Hレベル)になる。このため、NMOS153dがオン状態になり、このフリップフロップ回路の状態が安定して、ステータス端子StsはLレベルに維持される。
これに対して、チャージユニット端子Crgに接続されるチャージユニット190が蓄電されてその電圧が上昇してHレベル相当の電圧がNMOS153eのゲートに入力されると、NMOS153eがオン状態になる。すると、NMOS153eのドレイン、PMOS153cおよびNMOS153dのゲートがマイナス電源Vssの電圧(Lレベル)になるため、PMOS153cがオン状態になる。これにより、PMOS153aおよびNMOS153bのゲート、さらにはステータス端子Stsがプラス電源Vddの電圧(Hレベル)になるため、NMOS153bがオン状態になり、このフリップフロップ回路の状態が安定する。つまり、ステータス端子Stsは、LレベルからHレベルに状態が遷移することで、チャージユニット190が十分に蓄電されたことを伝える。なお、再びステータスリセット端子S_RstにHレベルの電圧を入力することにより、ステータス端子StsはLレベルに戻る。なお、ここでは、NMOS153eがオフ状態からオン状態に移行する閾値電圧を、チャージユニット190の出力許容電圧の判断閾値に設定している。
このように構成される蓄電制御装置150の、入出力ゲート部151とチャージモニター部153は、いずれもMOSトランジスタにより構成されている。そのため、入出力ゲート部151とチャージモニター部153を、例えば、同じ半導体基板に形成することによって、これらを別々の半導体基板に形成する場合に比べ、コンパクトかつ低コストで構成することができる。また、入出力ゲート部151およびチャージモニター部153とともに、これらを制御するコントローラ170であるマイクロコンピュータのコアチップや周辺回路チップ等も同じ半導体基板に形成した場合には、よりコンパクトかつ低コストに構成することができる。
このように構成される本システムによるコントローラ170の制御について図4および図5を参照して説明する。図4および図5には、コントローラ170による制御例を示すタイミングチャートが図示されており、図4はDSSC10が日陰状態から日照状態に変化した場合の例、図5はDSSC10が日照状態から日陰状態に変化した場合の例である。
図4に示すように、コントローラ170は、まずトランスファーゲートリセット端子T_Rstおよびステータスリセット端子S_RstをLレベルからHレベルに変位させた後、Lレベルに戻す。これにより、出力制御装置20の転送ゲート部22が遮断状態に設定され、また蓄電制御装置150の入出力ゲート部151のうち、前段のトランスファーゲート(151a,151b)が導通状態に、さらに後段のトランスファーゲート(151c,151d)が遮断状態にそれぞれ設定される。またこれらと同時に、蓄電制御装置150のチャージモニター部153のステータス端子StsがLレベルに設定される。
次にコントローラ170は、出力制御装置20のモニターイネーブル端子Mon_EnをLレベルからHレベルに変位させる。すると、出力制御装置20の入力ゲート部24が遮断状態に遷移するため、発電電力が転送ゲート部22によって蓄電制御装置150に転送されることなく、図4に示すように立ち上がりエッジのタイミング(1)で電力入力端子PIの電圧が徐々に上昇する。またこのときにインピーダンスモニター部25が起動するため、インピーダンスモニター部25による監視が行われる。
モニターイネーブル端子Mon_EnをHレベルにしている間に、コントローラ170は、出力制御装置20のロード端子LdをLレベルからHレベルに変位させる(図4に示す(2))。これにより、インピーダンスモニター部25から状態設定部23のフリップフロップ回路に電力入力端子PIの電圧情報がセットされる。図4に示す例では、各DSSC10は発電しているため(図4に示す(3))、(2)のタイミングで転送ゲート部22が導通状態になる。
そして、コントローラ170がモニターイネーブル端子Mon_EnをHレベルからLレベルに変位させることにより、その立ち下がりエッジのタイミング(3)でインピーダンスモニター部25が休止するとともに入力ゲート部24が導通状態に遷移する。このため、電力入力端子PIに入力される発電電力は、入力ゲート部24および転送ゲート部22を介して出力制御装置20の出力制御出力端子TOに出力されることから、図4に示す電力入力端子PIの電圧はタイミング(3)で一時低下する。一方、出力制御装置20から電源ラインPLを介して蓄電制御装置150に発電電力が転送されるため、チャージユニット190の電圧は僅かに上昇する(図4に示す(3'))。
コントローラ170は、このような制御を所定時間ごと(例えば、1分、3分、10分、30分などごと)に繰り返す。これにより、図4に示す一連の(4),(5),(6),(6')の各タイミングで前述と同様の制御を行う。そして、チャージユニット190が出力許容電圧の判断閾値Vthに到達すると(図4に示す(7))、蓄電制御装置150のステータス端子StsがLレベルからHレベルに変位するため、これに基づいてコントローラ170は、トランスファーゲート制御端子T_CntをHレベルからLレベルに変位させる。
すると、それまで導通状態にあった蓄電制御装置150の前段トランスファーゲート(151a,151b)が遮断状態に遷移し、逆に遮断状態にあった後段トランスファーゲート(151c,151d)が導通状態に遷移する。そのため、チャージユニット190に蓄えられた電力(電荷)が後段トランスファーゲート(151c,151d)を介して電力出力端子POに出力される。これにより、チャージユニット190の電圧は減少し始め(図4に示すタイミング(8))、また電力出力端子POの電圧が急激に上昇する(図4に示す(8'))。なお、前段トランスファーゲート(151a,151b)が遮断状態になるため、電力入力端子PIの電圧が上昇し始める(図4に示す(8"))。
コントローラ170は、図略の電圧センサによる電力出力端子POの電圧情報に基づいて、電力出力端子POの電圧がほぼゼロボルトになったことをトリガにしてトランスファーゲート制御端子T_CntをLレベルからHレベルに変位させる。つまり、チャージユニット190に蓄えられた電力(電荷)がほぼ転送されたことを確認すると、入出力ゲート部151を元に戻す。即ち、前段トランスファーゲート(151a,151b)を導通状態に、また後段トランスファーゲート(151c,151d)を遮断状態に、それぞれ遷移させる。これにより、図4に示すように、各DSSC10が発電をし続けている場合には、タイミング(9)でチャージユニット190の電圧が徐々に上がり始め、また電力入力端子PIの電圧も上昇する(図4に示す(9'))。
なお、コントローラ170により、トランスファーゲートリセット端子T_RstをLレベルからHレベルに変位させることで、出力制御装置20の転送ゲート部22が遮断状態に遷移する。そのため、蓄電制御装置150への発電電力の転送が中断されることから、タイミング(10)から一時的にチャージユニット端子Crgの電圧の上昇も止まる。しかし、図4に示す(4)、(5)、(6)、(6')と同様の制御を行うことによって(図4に示す(11)、(12)、(13))、モニターイネーブル端子Mon_EnがHレベルからLレベルに変位すると電力(電荷)の転送が再開されたチャージユニット190の蓄電も再び始まる(図4に示す(13')。
なお、図5に示すように、DSSC10が日照状態から日陰状態に変化した場合においては、途中からコントローラ170による制御が異なる。即ち、図5に示すように、それまで日照を受けていた各DSSC10がタイミング(20)から日陰になった場合、チャージユニット190が出力許容電圧の判断閾値Vthに達していないときには、ステータス端子StsがLレベルからHレベルに遷移しない。そのため、コントローラ170は、蓄電制御装置150の入出力ゲート部151をHレベルからLレベルに変位させることはないことから、タイミング(20)の以降(図5に示す矢印)においては、チャージユニット190の電圧は一定値に保たれるかまたはやや減少する。
この場合、タイミング(21)以降においても、コントローラ170は、前述と同様に、一連の制御((1),(2),(3),(3')や、(4),(5),(6),(6')等)を行うが、DSSC10から電力入力端子PIに入力される発電はゼロボルトまたはそれに近い値をとる。そのため、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25から状態設定部23のフリップフロップ回路に電力入力端子PIの電圧情報がセットされても、転送ゲート部22は遮断状態を維持するため、出力制御装置20から蓄電制御装置150に発電電力が転送されない。
つまり、DSSC10が発電していない場合には、コントローラ170は、出力制御装置20の転送ゲート部22によって蓄電制御装置150との導通を遮断する。そのため、チャージユニット190に蓄えられた電力(電荷)が出力制御装置20の方向に逆流して、抵抗として作用するDSSC10により消費されることがない。したがって、電力損失を抑制することができる。
なお、上述したように、コントローラ170による制御では、インピーダンスモニター部25を常に動作させるのではなく、例えば、1分、3分、10分、30分などごとに、間欠動作をさせて所定時間ごとに出力インピーダンスを検出する。これにより、インピーダンスモニター部25が出力インピーダンスを常に検出する場合に比べて、インピーダンスモニター部25の動作時間が減少するため、インピーダンスモニター部25による消費電力量を削減することができる。なお、インピーダンスモニター部25は、図2に示すように、そのすべてをMOSトランジスタで構成しているため、NMOS25e,25fがオフ状態の場合には、PMOS25a,25cやNMOS25b,25dには直流電流が流れない。したがって、このように検出回路を間欠動作させることで、出力制御装置20による消費電力を大幅に削減することができる。
また、図4および図5では、すべてのDSSC10a〜10nが日照あるいは日陰になる場合を想定して説明したが、図1に示すように、出力制御装置20(20a〜20n)は、それぞれのDSSC10a〜10nに対応して個々に接続されている。そのため、太陽光の当たり具合がDSSC10a〜10nに個々に異なる場合には、図4および図5に示すような制御を、個々の出力制御装置20a〜20nがそれぞれのDSSC10a〜10nに対応して個別に行う。
なお、前述したコントローラ170の制御例では、インピーダンスモニター部25を、例えば、1分、3分、10分、30分などごとに、間欠動作をさせて所定時間ごとに出力インピーダンスを検出するように構成したが、インピーダンスモニター部25をほぼ連続的に動作させてもよい。これにより、インピーダンスモニター部25によるほぼ連続したインピーダンスの検出が可能になるので、DSSC10に対する監視の精度を高めることができる。
ここで、出力制御装置20の他の構成例を図6〜図9を参照して説明する。まず図6に示す構成例について説明する。この構成例による出力制御装置120は、前述した出力制御装置20に比べて、インピーダンスモニター部25をインピーダンスモニター部26に変更した点が異なる。他の構成については出力制御装置20と実質的に同一であるため、同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図6に示す出力制御装置120は、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25に代えて、インピーダンスモニター部26を備える。インピーダンスモニター部26は、インピーダンスモニター部25のNMOS25bを、実質的にフラッシュ素子26b2に変更した構成を採る。そのため、出力制御装置120のPMOS26a、26c、NMOS26d,26e,26fは、それぞれ出力制御装置20のPMOS25a、25c、NMOS25d,25e,25fに対応しているため構成上や機能上の違いはない。
フラッシュ素子26b2は、通常、フラッシュメモリを構成するための半導体デバイスである。しかし、ここではメモリデバイスとしてではなく、フラッシュ素子26b2のフローティングゲートに蓄えられる電荷量に依存してドレイン−ソース間のオンオフ制御の閾値電圧を可変にしたNMOSトランジスタとして機能する。なお、NMOS26b1,26b3は、フラッシュ素子26b2の書き込み時の制御に用い、通常時はいずれもオン状態を維持するようにゲート制御端子Cga,Cgbにゲート電圧が印加される。
フラッシュ素子26b2への閾値設定は、コントローラ170により次の手順で行われる。まず、出力制御装置120a〜120n(図1に示す出力制御装置20a〜20nに相当する)について、それぞれのゲート制御端子Cga,CgbにLレベルの電圧を印加して、フラッシュ素子26b2を挟む両NMOS26b1,26b3をオフ状態に設定する。次に電力入力端子PIをゼロボルトに設定(例えば、電力入力端子PIをGNDに接続する)した後、サブ基板端子Subに、例えば20ボルトを1ミリ秒〜100ミリ秒間、印加する。これにより、フローティングゲートに貯まっていた電子がサブ基板端子Sub側に引き抜かれて閾値電圧がマイナス電圧になるため、フラッシュ素子26b2はデプレッション状態になる(この状態をフラッシュメモリでは消去状態という)。
次に、出力制御装置120(20a〜20n)の電力入力端子PIに接続されるDSSC10(10a〜10n)について個々の閾値電圧を設定する。この設定は、それぞれの出力制御装置20a等に対して接続されるそれぞれのDSSC10a等ごとに行われる。ゲート制御端子Cga,CgbにLレベルの電圧を印加してNMOS26b1,26b3をオフ状態にした後、サブ基板端子Subに例えば−20ボルトを数マイクロ秒間、印加する。その後、ゲート制御端子Cga,CgbにHレベルの電圧を印加してNMOS26b1,26b3をオン状態にしてから、制御電圧端子Vcnに流れる電流を計測する。この電流は、電力入力端子PIの入力電圧に応じて変動するため、所望の電流値になるまで、電力入力端子PIの入力電圧の変更、−20ボルトの印加および計測を繰り返し、所望の電流値を計測すると、閾値電圧の設定を終了する。
この制御電圧端子Vcnに流れる電流は、電流センサや抵抗による降下電圧に基づいて検出されてコントローラ170に出力される電流情報であり、電力入力端子PIに接続されるDSSC10のインピーダンスにより変動する。そのため、コントローラ170では、このような電流情報から、個々のDSSC10に応じた所定インピーダンス(発電状態にあるDSSC10の出力インピーダンスであり、具体的にはDSSC10ごとに異なる)を求めて、所定インピーダンスに対応する電流値になった場合に、前述の閾値電圧の設定が終了するように出力制御装置20を制御する。なお、図6では電流センサ等は図示されていないことに注意されたい。また、所定インピーダンスのときにDSSC10が発電する電圧が予めわかっている場合には、その既知の電圧を電力入力端子PIに印加してフラッシュ素子26b2の閾値電圧を設定してもよい。これにより、電流センサ等の制御電圧端子Vcnに流れる電圧を測定する必要がなくなるので、構成を簡素化することができる。
なお、電力入力端子PIとサブ基板端子Subの相対電圧の関係が上記のように維持されれば、電力入力端子PIやサブ基板端子Subの電圧値を変更してもよい。例えば、サブ基板端子Subをゼロボルトにし、電力入力端子PIに−20Vを印加してもよい。また、先の手順ではコントローラ170により、すべての出力制御装置120a〜120nに対して、最初にフラッシュ素子26b2をマイナス閾値電圧状態(消去状態)に設定した後、閾値電圧の設定を行ったが、例えば、最初にフラッシュ素子26b2をプラスの高閾値電圧状態に設定した後、個別具体的な閾値電圧に下げる設定を個々に行ってもよい。
インピーダンスモニター部26では、このように閾値電圧(検出閾値)を可変可能なフラッシュ素子26b2のゲートで電力入力端子PIを受ける構成にしたため、DSSC10の出力インピーダンスの検出閾値、即ち出力インピーダンスが所定インピーダンス以上であるか未満であるかを判定する閾値を変更することが可能になる。このため、DSSC10の個々についてフラッシュ素子26b2の閾値電圧を設定することにより、DSSC10の出力インピーダンスにバラツキがあったりしても、検出閾値を最適値に設定することができる。したがって、電力損失をさらに抑制することができる。
次に図7に示す構成例について説明する。この構成例による出力制御装置220は、前述した出力制御装置20に比べて、インピーダンスモニター部25をインピーダンスモニター部27に変更した点が異なる。他の構成については出力制御装置20と実質的に同一であるため、同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図7に示す出力制御装置220は、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25に代えて、インピーダンスモニター部27を備える。インピーダンスモニター部27は、インピーダンスモニター部25のPMOS25aを、実質的に、PMOS27a、NMOS27b、PMOS27c、NMOS27d,27hにより構成されるカレントミラー回路に変更した構成を採る。そのため、出力制御装置220のNMOS27d、PMOS27e、NMOS27f,27h,27iは、それぞれ出力制御装置20のNMOS25b、PMOS25c、NMOS25d,25e,25fに対応して構成上や機能上の違いはない。なお、NMOS27d,27hは、カレントミラー回路の構成にも寄与している。
図7に示すインピーダンスモニター部27を構成するカレントミラー回路は、ソースがプラス電源Vddに接続されるとともにゲート−ドレイン間を接続してプラス電源Vddから電流を引き込むPMOS27aと、ゲートが比較電圧端子Vrfに接続されるとともにソースがマイナス電源Vssに接続されるNMOS27bと、の間にNMOS27gが直列に接続されている。このNMOS27gは、当該カレントミラー回路の動作の可否を制御するコントロールゲートで、モニターイネーブル端子Mon_EnにNMOS27gのゲートが接続されている。このPMOS27a、NMOS27b,27gに流れる電流を、PMOS27c、NMOS27d,27hに流れる電流として写す。そのため、PMOS27cのゲートは、PMOS27aのゲートに接続されている。比較電圧端子Vrfには、電力入力端子PIの入力電圧によって、インピーダンスモニター部27による検出の可否を決定する閾値電圧(比較基準電圧)を入力する。この電圧は、所定インピーダンスのときにDSSC10が発電する電圧である。
これにより、電力入力端子PIを受けるNMOS27dに直列に接続されるPMOS27cやNMOS27hは、いずれもPMOS25aのようなゲート−ドレイン間を接続したMOSダイオードを構成しない。そのため、PMOS27c、NMOS27h,27dに流れる電流を最小限に抑えることができることから、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25の構成に比べて、電力入力端子PIから入力されるDSSC10による発電電力の損失をさらに抑制することができる。また、比較電圧端子Vrfに入力する比較基準電圧により閾値電圧を容易に変更することができ、DSSC10a〜10nによって異なる発電時の個々のインピーダンスに柔軟に対応することができる。
次に図8に示す構成例について説明する。この構成例による出力制御装置320は、前述した出力制御装置20に比べて、インピーダンスモニター部25をインピーダンスモニター部28に変更した点が異なる。他の構成については出力制御装置20と実質的に同一であるため、同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図8に示す出力制御装置320は、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25に代えて、インピーダンスモニター部28を備える。インピーダンスモニター部28は、電力入力端子PIをオペアンプ28aにより受けた構成を採る。即ち、この構成例では、オペアンプ28aの差動入力の一方(非反転入力)に電力入力端子PIを接続し、他方(反転入力)には出力制御出力端子TOを接続する。オペアンプ28aの出力側は、状態設定部23のインバータ回路を構成するPMOS23hおよびNMOS23iの各ゲートに接続する。オペアンプ28aは、差動入力段をMOSトランジスタで構成する。オペアンプ28aは、正負両電源タイプであり、プラス電源+V、マイナス電源−Vのそれぞれから電力が供給される。
なお、+Vは、NMOS28bを介在させて供給することで、このNMOS28bのゲートにHレベルの電圧が印加されている場合にこのオペアンプ28aが動作するように構成されている。第1実施形態では、NMOS28bのゲートは、モニターイネーブル端子Mon_Enに接続されているため、これまで説明したインピーダンスモニター部25等と同様に、モニターイネーブル端子Mon_EnがHレベルになると、インピーダンスモニター部28が動作し、Lレベルのときには休止する。
このようにインピーダンスモニター部28をオペアンプ28aにより構成することにより、オペアンプ28aの差動入力段で電力入力端子PIを受けるため、電力入力端子PIに対する入力インピーダンスを高めることができる。よって、出力制御装置20のインピーダンスモニター部25の構成に比べて、電力入力端子PIから入力されるDSSC10による発電電力の損失を抑制することができる。
次に図9に示す出力制御装置420は、出力制御装置20の電力入力端子PIに負荷素子29を接続して、DSSC10から電力入力端子PIに発電電力の入力がある場合にはこの負荷素子29をDSSC10の負荷としてこれに電流を流し、また発電電力の入力がない場合にはこの負荷素子29からDSSC10に電流を流すことにより発生する電圧をインピーダンスモニター部25で検出する。そのため、他の構成については出力制御装置20と実質的に同一であるため、同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、負荷素子29は、フラッシュ素子29aと、このフラッシュ素子29aを挟んで直列に接続されるNMOS29b,29cとにより構成されている。この負荷素子29は、フラッシュ素子29aの閾値電圧を設定することにより負荷素子29としてのインピーダンスを変更することができ、DSSC10a〜10nに合わせて個々に調整可能に構成されている。
負荷素子29のフラッシュ素子29aの閾値電圧を設定する場合においては、電力入力端子PIにドレインが接続されるNMOS29bがオフ状態になるようにゲート制御端子CgaにLレベルの電圧を印加する。これにより、フラッシュ素子29aおよびNMOS29cが電力入力端子PIから電気的に切り離される。また、フラッシュ素子29aの閾値電圧の設定時において、NMOS29cのゲートにはゲート制御端子Cgbから、設定する閾値電圧に相当する閾値対応電圧が印加され、かつソースに接続された制御電圧端子VcnにLレベル(ゼロボルト)に設定される。この状態においてフラッシュ素子29aのフローティングゲート制御端子Cgfに20ボルトを印加することにより、フラッシュ素子29aの閾値電圧が上昇して予定した閾値電圧に設定される。なお、フラッシュ素子29aのサブ基板にサブ基板端子Subが接続されている場合には、制御電圧端子Vcnの代わりにサブ基板端子SubをLレベル(ゼロボルト)に設定してもよい。
これに対して、フラッシュ素子29aの閾値電圧を下降させる場合には、フローティングゲート制御端子Cgfに印加した電圧と、制御電圧端子Vcnまたはサブ基板端子Subに印加した電圧とを逆に設定する。つまりフローティングゲート制御端子CgfをLレベル(ゼロボルト)に設定し、制御電圧端子Vcnまたはサブ基板端子Subに20ボルトを印加する。また、NMOS29cのゲートにはゲート制御端子Cgbから、降下させる閾値電圧に相当する閾値対応電圧を印加する。これにより、フラッシュ素子29aの閾値電圧が下降するため、予定した閾値電圧に設定される。
このように負荷素子29およびその周辺回路を構成することで、負荷素子29を発電時のDSSC10の負荷にする場合には、NMOS29b,29cのいずれもオン状態になるようにHレベルの電圧をゲート制御端子Cga,Cgbに印加する。また、NMOS29cの制御電圧端子VcnをGND(アースまたは基準電位)に接続する。これにより、電力入力端子PIから負荷素子29に電流が流れるため、それにより発生する電圧をインピーダンスモニター部25により検出することで、発電時のDSSC10のインピーダンスを間接的に検出することができる。
一方、負荷素子29から、発電してないDSSC10に電流を流す場合にも、NMOS29b,29cのいずれもオン状態になるようにHレベルの電圧をゲート制御端子Cga,Cgbに印加する。そして、NMOS29cの制御電圧端子Vcnをプラス電源Vddに接続する。これにより、発電していないDSSC10に負荷素子29から電流が流れるため、それにより電力入力端子PIに発生する電圧をインピーダンスモニター部25により検出することで、非発電時に抵抗として作用するDSSC10のインピーダンスを直接的に検出することができる。
なお、上述した本システムの改変例として、インピーダンスモニター部による検出結果を外部に出力し得る外部モニタ端子を備えた構成例を図10および図11に基づいて説明する。図10に示すように、この改変例では、出力制御装置20’が外部モニタ端子Ex_Monを備えたインピーダンスモニター部25’を有し、各出力制御装置20’a,20’b,20’c,20’d,…,20’m,20’nから出力されるモニター情報がそれぞれモニタバスMBを介してコントローラ170で収集可能に構成されている。
図11に出力制御装置20’の構成例が図示されているので、ここからは図11を参照して説明する。この構成例による出力制御装置20’は、前述した出力制御装置20に比べて、インピーダンスモニター部25をインピーダンスモニター部25’に変更した点が異なり、他の構成については出力制御装置20と実質的に同一である。そのため、出力制御装置20と同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、インピーダンスモニター部25’は、検出回路を構成するPMOS25a、NMOS25bおよびNMOS25eのうち、NMOS25bのゲートに対してゲートを接続したNMOS25gを設けている。このNMOS25gは、ゲートが電力入力端子PIに接続されるとともにソースがマイナス電源Vssに接続され、ドレインがオープンドレインとして外部モニタ端子Ex_Monに接続されている。
これにより、この外部モニタ端子Ex_Monを介してNMOS25gのドレインに接続される外部機器は、例えば、この外部モニタ端子Ex_Monにプルアップ抵抗等を接続することで、電力入力端子PIからDSSC10による発電電力が入力された場合には、NMOS25bとともにNMOS25gもオフ状態からオン状態に移行するため、外部からDSSC10の発電状態を検出することができる。
また、この外部モニタ端子Ex_MonにはNMOS25gがオープンドレインで接続されているため、図10に示すように、複数の出力制御装置20’a,20’b,20’c,20’d,…,20’m,20’nに設けられる外部モニタ端子Ex_Mon同士を直接接続して1本のモニタバスMBにまとめることができる。そして、このモニタバスMBのインピーダンスを測定することにより、発電しているDSSC10の数が多いほどモニタバスMBのインピーダンスが下がる。そのため、モニタバスMBのインピーダンスの値から発電中のDSSC10の数を算出することもできる。
なお、外部モニタ端子Ex_MonとモニタバスMBとの間にMOSスイッチ等を介在させて両者の接続を外部から制御可能に構成することによって、個々の出力制御装置20’のNMOS25gのオンオフ状態を外部から検出することができるので、故障等により発電していないDSSC10が接続された出力制御装置20’を特定することもできる。また、コントローラ170による出力制御装置20’の個別制御によって、故障等により発電していないDSSC10が接続された出力制御装置20’を電力線PLから電気的に切り離すこともできる。即ち、図2を参照して説明したように、トランスファーゲートリセット端子T_RstをHレベルに設定することで、出力制御装置20’の転送ゲート部22は遮断状態に遷移するため、この状態を維持することによって、当該出力制御装置20’を電力線PLから電気的に切断することができる。
以上説明したように第1実施形態に係る本システムによると、出力制御装置20は、転送ゲート部22、状態設定部23、入力ゲート部24、インピーダンスモニター部25を備え、インピーダンスモニター部25によって検出したDSSC10の出力インピーダンスが、所定インピーダンス以上である場合には状態設定部23により転送ゲート部22が導通状態に設定され、所定インピーダンス未満である場合には状態設定部23により転送ゲート部22が遮断状態に設定される。これにより、インピーダンスの低くなったDSSC10に電流が流れ込んで電気エネルギーが消費されるのを防止する。したがって、電力損失を抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、本システムの第2実施形態について図12および図13を参照して説明する。図12に示すように、第2実施形態は、出力制御装置620が電力転送部61およびそれに付随する状態記憶部63を備える点に特徴があり、この点が第1実施形態の出力制御装置20と異なる。そのため、これら以外、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、第2実施形態でも、出力制御装置620は、複数のDSSC10の個々に対応して出力制御装置620が設けられている。そのため、図12に示すように、DSSC10や出力制御装置620のそれぞれの符号の末尾には、便宜的に「a」,「b」…「n」等を付して表すが、いずれも以下説明するDSSC10や出力制御装置620と同様に構成されている。出力制御装置620の状態記憶部63は、制御バスCBを介してコントローラ170に接続されており、コントローラ170から制御コマンドを受けて、DSSC10が太陽光を受けて発電している場合にはDSSC10から入力される発電電力を電力線PLに転送し、DSSC10が発電していない場合にはDSSC10と電力線PLの間を電気的に遮断する、等の各制御を行う。
図13に示すように、出力制御装置620は、電力転送部61、状態記憶部63、入力ゲート部24およびインピーダンスモニター部25により構成されている。このうち、入力ゲート部24およびインピーダンスモニター部25は、第1実施形態で説明したものと同じである。
電力転送部61は、NMOS61aだけからなるトランスファーゲートで、ここでは相補タイプではないが、第1実施形態で説明した転送ゲート部22のようにNMOS22aとPMOS22bとを並列に接続して構成してもよい。ただし、相補タイプを構成する場合には、次に説明する状態記憶部63を、NMOSとPMOSのそれぞれに対して設ける必要がある。NMOS61aのドレインには入力ゲート部24の出力側が接続され、またNMOS61aのソースには出力制御出力端子TOが接続されている。NMOS61aのゲートは状態記憶部63が接続されて制御される。
状態記憶部63は、インピーダンスモニター部25から出力されるDSSC10の検出結果を記憶してそれに基づいて電力転送部61を制御する機能を有する。NMOS63a,63cと、これらに挟まれて直列に接続されるフラッシュ素子63bと、ゲート−ドレイン間を接続してプラス電源VddからNMOS63aのゲートに電流を引き込むNMOS63gと、NMOS63d,63fと、これらに挟まれて直列に接続されるフラッシュ素子63eと、ゲート−ドレイン間を接続してプラス電源VddからNMOS63dのゲートに電流を引き込むNMOS63hと、ドレインが電力転送部61に接続されるNMOS63pと、インバータ回路を構成するPMOS63k、NMOS63m,63nと、により構成されている。
直列に接続されてインバータ回路を構成するPMOS63k、NMOS63m,63nは、そのPMOS63kのソースがプラス電源Vddに接続され、またNMOS63nのソースがマイナス電源Vssに接続されている。PMOS63kとNMOS63nの間に接続されるNMOS63mは、インバータ回路の動作の可否を制御するコントロールゲートで、外部からイネーブル信号が入力されるモニターイネーブル端子Mon_EnにNMOS63mのゲートが接続されている。インバータ回路の入力ノードは、PMOS63kとNMOS63nの両ゲートを接続したノードで、これにはNMOS63aのゲートが接続されている。一方、インバータ回路の出力ノードは、PMOS63kのドレインとNMOS63mのソースとを接続したノードで、これにはNMOS63dのゲートが接続されている。なお、フラッシュ素子63bとフラッシュ素子63eとは、互いにゲートが接続されており、またそれにゲート制御端子Cg2が接続されて外部から制御可能に構成されている。なお、これらのフラッシュ素子63b,63eは互いのサブ基板が電気的に接続されておりこれらに共通にサブ基板端子Subが接続されている。また、NMOS63cとNMOS63fも互いにゲートが接続されており、またそれにゲート制御端子Cg1が接続されて外部から制御可能に構成されている。また電力転送部61のNMOS61aのゲートにドレインが接続されるNMOS63pは、そのソースがマイナス電源Vssに接続され、またそのゲートが書込制御端子Cwに接続されている。
このように状態記憶部63を構成することによって、コントローラ170は、次の手順により出力制御装置620を制御する。まず、サブ基板端子Subに20ボルト、ゲート制御端子Cg1,Cg2および書込制御端子CwにLレベルの電圧を印加する。これにより、フラッシュ素子63b,63eのフローティングゲートから電子がサブ基板端子Sub側に放出され、フラッシュ素子63b,63eは閾値電圧が下がるためノーマリオンに設定される。
次に、コントローラ170は、モニターイネーブル端子Mon_EnにHレベルの電圧を印加するように出力制御装置620を制御する。これにより、入力ゲート部24は遮断状態になり、またインピーダンスモニター部25は電力入力端子PIから電圧入力があるとその検出結果が状態記憶部63に出力される。
続いて、サブ基板端子SubをGND、ゲート制御端子Cg1にLレベルの電圧、ゲート制御端子Cg2に20ボルト、書込制御端子CwにHレベルの電圧、をそれぞれ印加する。これにより、NMOS63aまたはNMOS63dのうち、ゲートの電位がHレベルになった方に接続されるフラッシュ素子のフローティングゲートに電子が注入されて閾値電圧が上昇する。つまり、ノーマリオフに設定される。
例えば、DSSC10の発電電力による電圧が電力入力端子PIに入力されている場合には、NMOS63aのゲートがHレベル、NMOS63dのゲートがLレベルになることから、NMOS63aがオン状態、NMOS63dがオフ状態になる。このときNMOS63pのゲートはLレベルであるため、NMOS63pはオン状態になり、マイナス電源Vss側から電子がオン状態のNMOS63aを経由してフラッシュ素子63bのフローティングゲートに注入される。これに対して、フラッシュ素子63eには、NMOS63dがオフ状態であるため、マイナス電源Vss側から電子は注入されない。これにより、フラッシュ素子63bの閾値電圧が上昇してノーマリオフに設定される。フラッシュ素子63eはノーマリオンを維持する。
一方、DSSC10から電圧が電力入力端子PIに入力されていない場合には、NMOS63aのゲートがLレベル、NMOS63dのゲートがHレベルになることから、NMOS63aがオフ状態、NMOS63dがオン状態になる。これにより、今度は、オン状態のNMOS63pとNMOS63dを経由してマイナス電源Vss側から電子がフラッシュ素子63eのフローティングゲートに注入される。この場合、フラッシュ素子63bには電子は注入されない。これにより、フラッシュ素子63eの閾値電圧が上昇してノーマリオフに設定される。フラッシュ素子63bはノーマリオンを維持する。
このようにしてフラッシュ素子63b,63eの閾値電圧がインピーダンスモニター部25による検出結果に応じて設定されると、モニターイネーブル端子Mon_EnをLレベルに戻した後、通常動作に移行する。通常動作では、サブ基板端子Subおよびゲート制御端子Cg2はGND、ゲート制御端子Cg1はHレベル、書込制御端子CwはLレベル、の電圧がそれぞれに印加される。これにより、NMOS63c,63fがともにオン状態になるため、電力転送部61のNMOS61aのゲートは、フラッシュ素子63b,63eのうち、ノーマリオンの方の電圧レベルが印加される。
例えば、DSSC10の発電電力による電圧が電力入力端子PIに入力されている場合には、フラッシュ素子63eがノーマリオンであることから、プラス電源Vddの電圧レベル、つまりHレベルがNMOS61aのゲートに印加されて電力転送部61が導通状態に制御される。一方、DSSC10から電圧が電力入力端子PIに入力されていない場合には、フラッシュ素子63bがノーマリオンであることから、マイナス電源Vssの電圧レベル、つまりLレベルがNMOS61aのゲートに印加されて電力転送部61が遮断状態に制御される。
このようなコントローラ170による一連の状態記憶部63の制御は、例えば、日照条件の良好な時間帯や日の入り時刻の2時間前、あるいは本システムの動作終了時等、に合わせて1回/日の頻度で行われる。これにより、例えば、本システムの起動時に毎回、インピーダンスモニター部による検出やその結果に基づいた転送ゲート部の制御等を行う必要がない。
このように第2実施形態では、出力インピーダンスを検出するインピーダンスモニター部25と、インピーダンスモニター部25から出力された検出結果に基づいて、DSSC10の前回の動作終了時における終了時出力インピーダンスが所定インピーダンス以上であったか否か、または終了時出力インピーダンスが所定インピーダンス未満であったか否か、を判定する状態記憶部63と、状態記憶部63による判定結果を記憶するフラッシュ素子63b,63eと、を備える。そして、フラッシュ素子63b,63eから読み出される判定結果に基づいて終了時出力インピーダンスが所定インピーダンス以上である場合には電力転送部61の入出力間を導通状態に制御し、終了時出力インピーダンスが所定インピーダンス未満である場合には入出力間を遮断状態に制御する。
これにより、例えば、DSSCのように、出力インピーダンスが出力電圧の減少とともに低下する電力出力装置の場合、DSSC10の前回の動作終了時における終了時出力インピーダンスが所定インピーダンス未満であるときには、状態記憶部63によって電力転送部61の入出力間が遮断状態に制御されるため、インピーダンスの低くなったDSSC10に電流が流れ込んで電気エネルギーが消費されることを防止する。また、再起動時には、フラッシュ素子63b,63eに記憶された判定結果に基づいて状態記憶部63が電力転送部61を導通状態または遮断状態に制御することから、インピーダンスモニター部25による出力インピーダンスの再検出等を行う必要がなく、処理速度を高速にできる。したがって、レスポンスが速いぶん、電力損失をさらに抑制することができる。
[第3実施形態]
次に、本システムの第3実施形態について図14および図15を参照して説明する。図14に示すように、第3実施形態は、出力制御装置720が電力転送部71およびそれに付随するフラッシュ素子制御部73を備える点に特徴があり、この点が第1実施形態の出力制御装置20と異なる。そのため、これら以外、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、第3実施形態でも、出力制御装置720は、複数のDSSC10の個々に対応して出力制御装置720が設けられている。そのため、図14に示すように、DSSC10や出力制御装置720のそれぞれの符号の末尾には、便宜的に「a」,「b」…「n」等を付して表すが、いずれも以下説明するDSSC10や出力制御装置620と同様に構成されている。出力制御装置720のフラッシュ素子制御部73は、制御バスCBを介してコントローラ170に接続されており、コントローラ170から制御コマンドを受けて、DSSC10が太陽光を受けて発電している場合にはDSSC10から入力される発電電力を電力線PLに転送し、DSSC10が発電していない場合にはDSSC10と電力線PLの間を電気的に遮断する、等の各制御を行う。
図15に示すように、出力制御装置720は、電力転送部71およびフラッシュ素子制御部73により構成されている。電力転送部71では、フラッシュ素子71aをトランスファーゲートとして用いており、このフラッシュ素子71aの前段にはNMOS73aが、また同後段にはNMOS73bが、直列に接続されている。フラッシュ素子71aのフローティングゲートにはフローティングゲート制御端子Cgfが接続され、またサブ基板にはサブ基板端子Subが接続されている。なお、これらのNMOS73a,73bは、トランスファーゲートではなく、フラッシュ素子71aの閾値電圧を設定する際に用いられるスイッチング素子である。そのため、これらはフラッシュ素子制御部73に含まれる。
フラッシュ素子制御部73は、NMOS73a,73b、NMOS73cおよび抵抗73dにより構成されている。NMOS73aは、そのゲートにゲート制御端子Cgaが接続されており、またNMOS73bのゲートにはゲート制御端子Cgbが接続されている。NMOS73cは、ドレインが電力入力端子PIに接続され、またソースが抵抗73dを介してプラス電源Vddに接続されている。このNMOS73cのゲートは、選択制御端子Cslに接続されている。
このようにフラッシュ素子制御部73を構成することによって、コントローラ170は、次の手順により出力制御装置720を制御する。まず、ゲート制御端子Cga,CgbにLレベルの電圧を印加し、フローティングゲート制御端子Cgfに20ボルトを印加する(初期化)。これにより、フラッシュ素子71aのフローティングゲートに電子が注入されるため、閾値電圧が上がってノーマリオフになる。つまり、エンハンスメントモードになる。
次に、ゲート制御端子CgaにHレベル、ゲート制御端子CgbにLレベル、選択制御端子CslにHレベル、フローティングゲート制御端子Cgfに−20ボルトの電圧をそれぞれ印加する(モード設定)。これにより、DSSC10が発電をしている場合には、DSSC10自体は高インピーダンスになるため、ここでNMOS73cがオン状態になると、NMOS73aのドレイン電圧が上昇するため、フラッシュ素子71aのフローティングゲートに貯まった電子がNMOS73a,73cを介してプラス電源Vdd側に引き抜かれる。そのため、フラッシュ素子71aはデプレッションモードになりゲートに電圧を印加しなくてもオン、つまりノーマリオンに設定される。
これに対して、DSSC10が発電をしていない場合には、DSSC10自体は低インピーダンスになるため、NMOS73cがオン状態になっても、プラス電源Vddの電流が低インピーダンスのDSSC10側に流れ込む。したがって、NMOS73aのドレイン電圧は上昇することなく、フラッシュ素子71aのフローティングゲートに貯まった電子はプラス電源Vdd側に引き抜かれることなく、フラッシュ素子71aはオフ状態を維持する。つまり、ノーマリオフのままである。
このようにしてフラッシュ素子71aの閾値電圧がフラッシュ素子制御部73により設定されると、通常動作に移行する。通常動作では、ゲート制御端子CgaにHレベル、ゲート制御端子CgbにHレベル、さらにフローティングゲート制御端子CgfにHレベルとLレベルの中位電位の電圧をそれぞれ印加する。これにより、DSSC10が発電をしている場合には、フラッシュ素子71aがノーマリオンになることから、DSSC10による発電電力がNMOS73bから出力制御出力端子TOに出力される。一方、DSSC10が発電していない場合には、フラッシュ素子71aがノーマリオフであることから、NMOS73bからの出力はない。
このようなコントローラ170による一連のフラッシュ素子制御部73の制御は、例えば、モニタを行うごとに実施される。なお、NMOS73cおよび抵抗73dは、DSSC10の出力電圧に余裕がある場合には、不要である。
このように第3実施形態では、フラッシュ素子71aをトランスファーゲートとして機能させ、かつ出力インピーダンスに応じてこのフラッシュ素子71aをデプレッションモードまたはエンハンスメントモードに設定し、フラッシュ素子71aの入出力間を、デプレッションモードであるときに導通状態、エンハンスメントモードであるときには遮断状態、になるようにフラッシュ素子71aを制御する。これにより、DSSC10の出力インピーダンスに応じた状態をフラッシュ素子71a自体が記憶するので、別途、記憶回路等を設ける必要がない。したがって、回路構成を簡素化することができる。
また、各出力制御装置720の選択制御端子Cslを1本のバスに接続して集めることにより、複数の出力制御装置720を一度に選択することができ、上述したコントローラ170による制御を一度に完了させることができる。これにより、コントローラ170による制御処理が非常にシンプルになるので、処理の高速化が可能になる。
[第4実施形態]
次に、本システムの第4実施形態について図16〜図25を参照して説明する。図16に示すように、第4実施形態は、出力制御装置820がセル状態検出/保持部82およびR/W制御部85を備える一方で、入力ゲート部を備えていない点、および、複数の出力制御装置820を個々に付与された固有アドレスによりそれぞれを特定可能である点、に特徴がある。また、蓄電制御装置250の構成も、第1実施形態〜第3実施形態の蓄電制御装置150と異なり構成がシンプルな点に特徴がある。そのため、これら以外、第1実施形態等と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図16に示すように、第4実施形態でも、出力制御装置820は、複数のDSSC10の個々に対応して出力制御装置820が設けられている。そのため、図16に示すように、DSSC10や出力制御装置820のそれぞれの符号の末尾には、便宜的に「a」,「b」…「n」等を付して表すが、いずれも以下説明するDSSC10や出力制御装置820と同様に構成されている。出力制御装置820のR/W制御部85は、システムバスSBを介してコントローラ170に接続されている。出力制御装置820は、コントローラ170から制御コマンドを受けて、DSSC10が太陽光を受けて発電している場合にはDSSC10から入力される発電電力を電力線PLに転送したり、DSSC10が発電していない場合にはDSSC10と電力線PLの間を電気的に遮断したりするほか、電力転送部81を任意に制御してDSSC10の動作状態を確認(試験)したりする、等の各制御を行う。
なお、システムバスSBは、例えば、リセット信号、ロード信号、イネーブル信号やステータス信号等の制御情報がやり取りされるデータバスと、アドレスデータ(アドレス情報)が送られてくるアドレスバスと、により構成されている。
図17に示すように、出力制御装置820は、電力転送部81、セル状態検出/保持部82およびR/W制御部85により構成されており、第1実施形態および第2実施形態で備えていた入力ゲート部24(図1、図10、図12参照)を備えていない。そのため、出力制御装置820では、第1、2実施形態の出力制御装置20,20’,120,220,320,420,620に比べて電力損失を低減可能にしている。なお、R/W制御部85については、その回路図が図18に図示されている。そのため、R/W制御部85は、図18を参照して説明する。
《電力転送部81》
電力転送部81は、NMOS81aだけからなるトランスファーゲートであり、第1実施形態等で説明をしたPMOSとNMOSを並列に接続する相補タイプのトランスファーゲートではない。そのため、電力転送部81のために割り当てる半導体のチップ面積やディスクリート部品が占める面積を最小限に抑制可能にしている。NMOS81aのドレインは電力入力端子PIが接続され、NMOS81aのソースは出力制御出力端子TOが接続されている。またゲートは、セル状態検出/保持部82が接続されてNMOS81aのオンオフ制御がされる。即ち、NMOS81aは、そのゲートに、Lレベルの電圧が入力されると遮断状態に制御され、Hレベルの電圧が入力されると導通状態に制御される。なお、トランスファーゲートとしてPMOSを用いていない理由は、DSSC10単体の出力電圧は、前述したように、0.5V前後であり、CMOSスイッチの一般的な伝達特性(入出力電圧特性)からわかるように、このような低い電圧ではなく、高い電圧のスイッチングに向いているPMOSは必ずしも必要ではないからである。
《セル状態検出/保持部82》
セル状態検出/保持部82は、セル状態検出部83とセル状態保持部84とにより構成されている。即ち、セル状態検出/保持部82は、セル状態検出部83により検出したDSSC10の発電状態を示す検出結果をセル状態保持部84により保持(記憶)してそれに基づいて電力転送部81を制御したり、R/W制御部85を介して外部に出力する機能を有する。
《セル状態検出部83》
セル状態検出部83は、DSSC10の出力電圧を検出して、所定の閾値電圧を超える場合にDSSC10の出力インピーダンスが所定インピーダンス以上であることを検出し、所定の閾値電圧以下の場合にDSSC10の出力インピーダンスが所定インピーダンス未満であることを検出する。つまり、DSSC10の発電状態を示す検出結果として、「良」および「否」の2値からなるDSSC10の良否情報を得る。なお、このDSSC10の良否情報は、後述するように、電力転送部81(トランスファーゲートNMOS81a)のオンオフ状態を示す情報でもある。所定の閾値電圧は、外部等から入力されて、任意の電圧に設定される。セル状態検出部83は、主にカレントミラー回路とインバータ回路により構成されている。
即ち、カレントミラー回路は、両ソースがともにプラス電源Vddに接続されるPMOS83a,83cと、これらのうち一方のPMOS83a(のドレイン)にドレインが接続されてPMOS83aに直列に接続されるNMOS83bと、他方のPMOS83c(のドレイン)にドレインおよびゲートが接続されてNMOS83bのゲートにも接続されるNMOS83dと、により構成されている。PMOS83aのゲートは、電力入力端子PIが接続されており、またNMOS83cのゲートは、比較電圧端子Vrfに接続されている。NMOS83bとNMOS83dの両ソースは互いに接続され、コントロールゲートとして機能するNMOS83gのドレインに接続されている。比較電圧端子Vrfには、電力入力端子PIの入力電圧によって、セル状態検出部83による検出の可否を決定する閾値電圧(比較基準電圧)が入力される。閾値電圧は、出力制御装置820の外部に設けられる外部電源から入力してもよいし、出力制御装置820の内部に設けられる定電圧源等から供給してもよい。また、閾値電圧の値を外部から可変可能に構成してもよい。
これに対してインバータ回路は、ソースがプラス電源Vddに接続されるPMOS83eと、ソースがNMOS83gのドレインに接続されるNMOS83fとにより構成されている。PMOS83e,NMOS83fは、ゲート同士が接続されて入力ノードを形成し、またドレイン同士が接続されて出力ノードを形成している。入力ノードは、カレントミラー回路の出力側(PMOS83aおよびNMOS83bのドレイン)に接続され、また出力ノードは、セル状態検出部83の出力としてセル状態保持部84の入力に接続されている。コントロールゲートとして機能するNMOS83gは、外部から入力されるイネーブル信号がHレベルのときにオン状態になり、Lレベルのときにオフ状態になるスイッチング素子である。そのため、NMOS83gのゲートは、外部からイネーブル信号が入力されるモニターイネーブル端子Mon_Enに接続されており、またソースはマイナス電源Vssに接続されている。
このようにセル状態検出部83を構成することにより、カレントミラー回路を構成するPMOS83cおよびNMOS83dに流れる電流が、PMOS83aおよびNMOS83bに流れ得る。その結果、外部からコントロールゲートのNMOS83gにイネーブル信号(Hレベル)が入力された場合において、比較電圧端子Vrfに入力される比較基準電圧(所定の閾値電圧)を超える入力電圧が電力入力端子PIに入力されたときに、カレントミラー回路からはLレベルの電圧が出力され、それがインバータ回路(PMOS83e、NMOS83f)に入力されると当該インバータ回路からHレベルの電圧が出力される。つまり、セル状態検出部83は、比較基準電圧(所定の閾値電圧)を超える入力電圧が電力入力端子PIに入力されたときには、DSSC10の発電状態を示す検出結果として「良」に相当するHレベルの電圧をセル状態検出部83から出力する。これとは逆に、比較基準電圧以下の入力電圧が電力入力端子PIに入力されたときには、DSSC10の発電状態を示す検出結果として「否」に相当するLレベルの電圧をセル状態検出部83が出力する。
《セル状態保持部84》
一方、セル状態保持部84は、主にフリップフロップ回路とインバータ回路により構成されており、セル状態検出部83から出力されたDSSC10の良否情報に基づいて電力転送部81をオンオフ制御するとともにDSSC10の良否情報を保持(記憶)してR/W制御部85に出力する機能を有する。フリップフロップ回路は、PMOS84aおよびNMOS84bからなる一方のインバータ回路と、PMOS84cおよびNMOS84dからなる他方のインバータ回路と、を交差接続したSRAMの記憶セルとほぼ同様に構成されている。ただし、一方のインバータ回路(PMOS84a,NMOS84b)の入力ノードは、インバータ84hに接続されており、セル状態保持部84、ひいてはセル状態検出/保持部82の出力としてR/W制御部85の入力にも接続されている。また、この入力ノードは、直列に接続される2つのNMOS84e,84gのうちのNMOS84eのドレインにも接続されている。このNMOS84eのゲートは、セル状態保持部84の入力として、セル状態検出部83の出力(PMOS83eおよびNMOS83fのドレイン)に接続されている。
なお、NMOS84gは、データロード用のコントロールゲートであり、ドレインがNMOS84eのソースに、ソースがマイナス電源Vssに、またゲートは、外部からロード信号が入力されるロード端子Ldに、それぞれ接続されている。これに対して、他方のインバータ回路(PMOS84c,NMOS84d)の入力ノードには、NMOS84fのドレインが接続されている。このNMOS84fは、リセット制御用のコントロールゲートであり、ソースがマイナス電源Vssに接続され、外部からリセット信号が入力されるリセット端子Rstにゲートが接続されている。
インバータ84hは、フリップフロップ回路と電力転送部81との間に介在する反転回路であり、前述したように、その入力ノードが一方のインバータ回路(PMOS84a,NMOS84b)の入力ノード、換言すれば他方のインバータ回路(PMOS84c,NMOS84d)の出力ノードに接続されている。またインバータ84hの入力ノードは、R/W制御部85の入力側(R/Wノード)にも接続されている。インバータ84hの出力ノードは、セル状態保持部84、ひいてはセル状態検出/保持部82の出力として、電力転送部81(のNMOS81aのゲート)に接続されている。
これにより、ロード端子Ldからロード信号(Hレベル)が入力されたタイミングで、セル状態検出部83からHレベルの電圧(発電状態「良」に相当)が入力されている場合には、セル状態保持部84は、フリップフロップ回路からLレベルの電圧を出力するとともに、NMOS81aをオン状態にするHレベルの電圧を電力転送部81に出力する。これに対し、ロード信号(Hレベル)の入力タイミングにおいて、セル状態検出部83からLレベルの電圧(発電状態「否」に相当)が入力されていた場合には、セル状態保持部84は、フリップフロップ回路からHレベルの電圧を出力するとともに、NMOS81aをオフ状態にするLレベルの電圧を電力転送部81に出力する。換言すると、DSSC10の良否情報は、NMOS81aのオンオフ状態を示す情報である。
なお、リセット端子Rstからリセット信号(Hレベル)が入力された場合には、NMOS84fがオン状態になる。そのため、セル状態検出部83の入力に関係なく、セル状態保持部84は、フリップフロップ回路からHレベルの電圧を出力するとともに、Lレベルの電圧を電力転送部81に出力してNMOS81aをオフ状態に設定する。つまり、セル状態保持部84は、リセット信号(Hレベル)の入力によって、トランスファーゲートとしてのNMOS81aを強制的に遮断状態にするリセット動作を行う。また、セル状態検出部83から入力されたDSSC10の良否情報は、セル状態保持部84によりHレベルおよびLレベルの電圧が反転されて出力される。即ち、発電状態「良」の場合にはLレベルの電圧がセル状態保持部84からR/W制御部85に出力され、発電状態「否」の場合にはHレベルの電圧がセル状態保持部84からR/W制御部85に出力される。このようにリセット端子Rstにリセット信号(Hレベル)が入力されると、電力転送部81を強制的に遮断状態にするので、例えば、故障したDSSC10を強制的に電力線PLから電気的に切り離すことができる。そのため、故障したDSSC10による電力消費を防ぐことによりチャージユニット190に蓄えられた電力損失を抑制することができる。
《R/W制御部85》
図18に示すように、セル状態検出/保持部82に接続されるR/W制御部85は、R/Wゲート部86とアドレスデコード部87により構成されている。R/W制御部85は、予め設定された固有アドレスに一致するアドレスデータがアドレス入力端子Adr_Inを介して外部から入力された場合にセル状態検出/保持部82に対して、書き込み動作と読み出し動作を行う機能を有する。この固有アドレスは、複数の出力制御装置820に個々に付与されているため、特定の出力制御装置820を選択することができる。書き込み動作は、DSSC10の発電状態に依存することなく、NMOS81a、つまりトランスファーゲートをオン状態に設定する動作である。即ち、書き込み動作は、トランスファーゲートとしてのNMOS81aを強制的に導通状態にするものであり、リセット動作の反対動作にあたる。他方、読み出し動作は、そのタイミングにセル状態保持部84に設定されているDSSC10の良否情報を読み出す動作である。
《R/Wゲート部86》
R/Wゲート部86は、PMOS86aとNMOS86bにより構成されるインバータ回路と、直列に接続される2つのコントロールゲートNMOS86c,86dと、インバータ回路の出力ノードに接続されるトランスファーゲート等により構成されている。インバータ回路は、ソースがプラス電源Vddに接続されるPMOS86aと、ソースがマイナス電源Vssに接続されるNMOS86bとにより構成されている。PMOS86a,NMOS86bは、ゲート同士が接続されて入力ノードを形成し、またドレイン同士が接続されて出力ノードを形成している。入力ノードは、R/W制御部85のR/Wノードとしてセル状態検出/保持部82を構成するセル状態保持部84のフリップフロップ回路の出力側に接続されている。なお、このR/Wノードは、図17,18等において、「R/W_Nod」と記載されていることに注意されたい。
コントロールゲートNMOS86cは、そのドレインがインバータ回路の入力ノード、つまりR/Wノードに接続されており、またゲートがライトイネーブル端子Wrt_Enに接続されている。このライトイネーブル端子Wrt_Enには、書き込みおよび読み出しの各動作を制御するイネーブル信号が入力される。即ち、書き込み動作時にはHレベルの電圧が入力され、読み出し動作時にはLレベルの電圧が入力される。もう一つのコントロールゲートNMOS86dは、そのドレインがNMOS86cのソースに接続されており、ソースがマイナス電源Vssに接続されている。NMOS86dのゲートは、アドレスデコード部87の出力を受けるインバータ86gの出力に接続されている。
トランスファーゲートは、PMOS86eとNMOS86fを並列に接続したものであり、入力がインバータ回路(PMOS86a,NMOS86b)の出力ノードに接続され、また出力がステータス端子Sts_Outに接続されている。PMOS86eのゲートは、アドレスデコード部87の出力に接続されており、またNMOS86fのゲートは、インバータ86gの出力に接続されている。これにより、アドレスデコード部87からLレベルの電圧が出力されると、このトランスファーゲートの入出力間が導通状態になり、アドレスデコード部87からHレベルの電圧が出力されると、トランスファーゲートの入出力間が遮断状態になる。つまり、インバータ回路(PMOS86a,NMOS86b)からの出力をステータス端子Sts_Outに出力する否かを制御する。ステータス端子Sts_Outからは、読み出し動作時において、DSSC10の良否情報が出力される。
《アドレスデコード部87》
アドレスデコード部87は、固有アドレスのビット数に対応した入力を持つNANDゲート87aにより構成されている。NANDゲート87aの入力は、システムバスSBのアドレスバスに接続されている。本実施形態では、アドレスバスは、8本のアドレス線からなり、4ビットの固有アドレスに対して、A0,/A0,A1,/A1,A2,/A2,A3,/A3に対応する8本により構成されている(/Anは、Anにオーバーバーが付されていることを表す)。そのため、4入力を持つNANDゲート87aは、当該出力制御装置820に一意に割り当てられた固有アドレスに対応して、それぞれの入力がアドレスバスの8本のアドレス線に接続されている。
例えば、図18に示すように、紙面左側から、A3,/A3,A2,/A2,A1,/A1,A0,/A0の順番に8本のアドレス線が並んでおり、そのうちの/A3,/A2,A1,A0に対応する4本がNANDゲート87aの入力に接続されている。そのため、このNANDゲート87aには、2進表記で「0011」、つまり固有アドレスとして10進表記で「3」が付与されていることがわかる。
このようにR/W制御部85を構成することにより、アドレスデコード部87に設定された固有アドレスに一致するアドレスデータがアドレス入力端子Adr_Inを介してアドレスバスから入力されると、アドレスデコード部87からLレベルの電圧が出力される。そのため、インバータ86gの出力を受けるコントロールゲートNMOS86dは、オン状態になることから、ゲートがライトイネーブル端子Wrt_Enに接続されるコントロールゲートNMOS86cがオン状態になると、R/Wノードの電圧がHレベルからLレベルに遷移する。
即ち、固有アドレスに一致するアドレスデータがアドレスデコード部87に入力されている間にライトイネーブル端子Wrt_EnがHレベルの電圧になることで、セル状態検出/保持部82を構成するセル状態保持部84のインバータ84hの入力ノードに、Lレベルの電圧が入力されることから、インバータ84hの出力ノードから電力転送部81のNMOS81aのゲートにHレベルの電圧が出力されることにより、トランスファーゲートが導通状態になる。つまり、R/W制御部85による書き込み動作が行われてトランスファーゲート(NMOS81a)が強制的にオン状態に移行する。
また、固有アドレスの一致により、アドレスデコード部87からLレベルの電圧が出力されると、PMOS86eとNMOS86fからなるトランスファーゲートが導通状態になり、セル状態検出/保持部82から入力されるDSSC10の良否情報がPMOS86aとNMOS86bからなるインバータ回路により反転されてステータス端子Sts_Outに出力される。
即ち、固有アドレスに一致するアドレスデータがアドレス入力端子Adr_Inを介してアドレスデコード部87に入力されている間において、ライトイネーブル端子Wrt_EnにLレベルの電圧が入力されることで、セル状態検出/保持部82が保持(記憶)しているDSSC10の良否情報が、インバータ回路(PMOS86a,NMOS86b)とトランスファーゲート(PMOS86e,NMOS86f)を介してステータス端子Sts_Outに出力される。これにより、発電状態「良」の場合にはHレベルの電圧がステータス端子Sts_Outから出力され、発電状態「否」の場合にはLレベルの電圧がステータス端子Sts_Outから出力される。つまり、R/W制御部85によるDSSC10の良否情報の読み出し動作が行われる。
《蓄電制御装置250》
次に、蓄電制御装置250の構成を図19に基づいて説明する。図19には、蓄電制御装置250の構成例を示す回路図が図示されている。蓄電制御装置250は、主に、チャージ制御部251とディスチャージ制御部253により構成されており、電力線PLを介して各出力制御装置820に接続されている。蓄電制御装置250は、コントローラ170にも接続されており、コントローラ170から制御コマンドを受けて、各出力制御装置820から電力線PLを介して送られた各DSSC10の発電電力をチャージユニット190に蓄電したり、チャージユニット190に蓄電された電力(電荷)を放電したりする、等の各制御を行う。なお、蓄電制御装置250は、蓄電制御入力端子CIと電力出力端子POの間に介在することなく、両端子を直接接続(直結)する。これにより、第1実施形態等で説明をした蓄電制御装置150に比べて入出力ゲート部151が介在することによる電力損失を低減可能にしている。
チャージ制御部251は、NMOS251aにより構成されている。NMOS251aは、蓄電制御入力端子CIと電力出力端子POを直結したその電力ラインにドレインが接続されており、ソースにはチャージユニット端子Crgが接続されている。このチャージユニット端子Crgには、チャージユニット190が接続されている。また、NMOS251aのゲートは、チャージイネーブル端子Crg_Enが接続されている。これにより、チャージイネーブル端子Crg_EnにHレベルの電圧が入力されることで、NMOS251aがオン状態になり、蓄電制御入力端子CIから入力される電力をチャージユニット端子Crgに接続されたチャージユニット190に蓄えることができる。
ディスチャージ制御部253は、NMOS253aにより構成されている。NMOS253aは、そのドレインがNMOS251aのソースに接続されており、ソースにはマイナス電源Vssが接続されている。このNMOS253aのゲートは、ディスチャージ端子Discrgが接続されている。チャージイネーブル端子Crg_EnにLレベルの電圧が入力されてNMOS251aがオフ状態になり、チャージユニット190が蓄電制御入力端子CIや電力出力端子POから電気的に切り離されている間に、ディスチャージ端子DiscrgにHレベルの電圧が入力されると、チャージユニット190に蓄えられた電気エネルギー(電荷)がNMOS253aを介してマイナス電源Vss側に放出(放電)される。
これにより、チャージユニット190にチャージされていた電気エネルギー(電荷)を急速に逃がして(放電して)ほぼゼロにすることが可能になるため、例えば、メンテナンス時にこのような放電動作をディスチャージ制御部253により行うことによって、チャージユニット190の放電特性をモニタすることができる。また、電気エネルギーがほぼゼロになったチャージユニット190に対して、チャージ制御部251のNMOS251aをオン状態(ディスチャージ制御部253のNMOS253aはオフ状態)にすることで、チャージユニット190の充電特性をモニタすることができる。
なお、蓄電制御入力端子CIと電力出力端子POが直結される電力ラインには、複数の出力制御装置820(の出力制御出力端子TO)が接続されている。そのため、メンテナンス作業の対象となる出力制御装置820以外の影響を受けることなく、チャージユニット190の充電特性をモニタする場合には、前述したようにリセット端子RstにHレベルの電圧を入力して電力転送部81を遮断状態に移行させて、各DSSC10を電力線PLから電気的に切り離す必要がある。
このように構成される本第4実施形態に係る当該システムによるコントローラ170の制御について図20〜図22を参照して説明する。図20には、コントローラ170による通常時の制御例を示すタイミングチャートが図示されており、DSSC10が日照状態から日陰状態に変化した場合の例である。また、図21、図22には、コントローラ170によるメンテナンス時の制御例を示すタイミングチャートであり、試験機能として、電力転送部81を強制的に導通状態に設定した場合の例(図21)と、試験機能として、セル状態検出/保持部82からDSSCの良否情報を読み出す場合の例(図22)が、図示されている。なお、これらの図20〜図22では、電力転送部81のことを「TG_81」に代えて表しているので、注意されたい。
《通常時の制御》
まず、DSSC10が発電している場合の制御、つまり通常時の制御について図20を参照して説明する。図20に示すように、コントローラ170は、リセット端子RstをLレベルからHレベルに変位させた後、Lレベルに戻す。これにより、出力制御装置820の電力転送部81が遮断状態に設定される(図20では、電力転送部81は最初から遮断状態にあるためその状態に変位はない)。次にコントローラ170は、出力制御装置820のモニターイネーブル端子Mon_EnをLレベルからHレベルに変位させ、さらにその間に出力制御装置820のロード端子LdをLレベルからHレベルに変位させる(図20に示す(41))。これにより、セル状態検出/保持部82のセル状態検出部83からセル状態保持部84のフリップフロップ回路にDSSC10の良否情報がセットされる。図20に示す例では、DSSC10は閾値電圧Vthを超える電圧で発電していることから、発電状態「良」に相当する情報に基づいて(42)のタイミングで電力転送部81が導通状態になる。
チャージイネーブル端子Crg_Enは、当初からHレベルに設定されているため、チャージユニット190は、チャージ制御部251を介して電力線PLに電気的に接続されている。このため、電力転送部81が導通状態に移行したタイミング(42)で、電力入力端子PIに入力される発電電力は、電力転送部81を介して出力制御装置820の出力制御出力端子TOに出力されることから、図20に示す電力入力端子PIの電圧は一時低下する一方で、そのタイミングでチャージユニット端子Crgおよび電力出力端子POの電圧が上昇し始める(図20に示す(43),(43'))。コントローラ170は、このような制御を所定時間ごと(例えば、1分、3分、10分、30分などごと)に繰り返す。これにより、コントローラ170は、図20に示す一連の(44),(45),(46),(46')の各タイミングで前述と同様の制御を行う。
一方、日照状態から日陰状態に変化してDSSC10の発電電圧が閾値電圧Vth以下に至った場合には、コントローラ170は次のような制御を行い電力転送部81を遮断する。即ち、ロード端子LdがLレベルからHレベルに変位するタイミング(図20に示す(47))で、DSSC10が閾値電圧Vthを超える電圧で発電していないときには、セル状態検出/保持部82のセル状態検出部83からセル状態保持部84のフリップフロップ回路に発電状態「否」に相当する情報(DSSC10の良否情報)がセットされる。このため、図20に示すように、電力転送部81は遮断状態に移行する(図20に示す(48))。また、それ以降におけるチャージユニット190および電力出力端子POの電圧は、徐々に低下するか、または維持される(図20に示す(49),(49'))。
《メンテナンス時の制御》
次に、DSSC10の動作状態を確認試験する場合の制御、つまりメンテナンス時の制御について図21および図22を参照して説明する。メンテナンス時の制御には、前述したように、書き込み動作による強制的な電力転送部81の導通制御と、読み出し動作によるDSSC10の良否情報の読み出し制御がある。まず図21を参照して、書き込み動作による強制的な電力転送部81の導通制御について説明する。
図21に示すように、コントローラ170は、リセット端子RstをLレベルからHレベルに変位させた後、Lレベルに戻す。これにより、前述の通常時の制御と同様に、出力制御装置820の電力転送部81が遮断状態に設定される(図21に示す(52))。なお、図21に示すR/W_Nodは、図17および図18に示すR/Wノードの電圧に対応するものであり、電力転送部81をオンオフ制御するインバータ84hに入力される電圧である。そのため、電力転送部81に状態移行よりも先に電圧が変位する(図21に示す(51))。電力転送部81が遮断状態に移行すると、それまで電力入力端子PIとほぼ同様の電圧を出力していた出力制御出力端子TOの電圧が切断される(図21に示す(53))。そのため、出力制御出力端子TOは、高インピーダンスになるので電圧が定まらなくなる(図21に示す不定区間)。
次に、出力制御装置820に割り当てられた固有アドレスに一致するアドレスデータAdr_Datがアドレス入力端子Adr_Inを介してアドレスバスから入力されると、アドレスデコード部87の出力がHレベルからLレベルに変位する(図21に示す(54))。また、アドレスデコード部87の出力変位を受けてR/Wゲート部86のトランスファーゲート(PMOS86e,NMOS86f)が遮断状態から導通状態に移行するため、ステータス端子Sts_OutがHレベルからLレベルに変位する(図21に示す(55))。アドレスデコード部87からLレベルの電圧が出力されている間に、コントローラ170がライトイネーブル端子Wrt_EnをLレベルからHレベルに変位させることで、R/Wノードの電圧がHレベルからLレベルに変位するため(図21に示す(56))、電力転送部81が導通状態に移行して(図21に示す(57))、再び出力制御出力端子TOに電圧が出力される(図21に示す(58))。これとほぼ同時にステータス端子Sts_OutがLレベルからHレベルに変位する(図21に示す(58'))。
このように固有アドレスに一致したアドレスデータAdr_Datが出力制御装置820に入力されている場合には、そのライトイネーブル端子Wrt_EnをHレベルに変位させることにより、発電電圧が閾値電圧Vth以下であっても、電力入力端子PIに入力されるDSSC10の発電電圧を出力制御出力端子TOから出力させることができる。このとき蓄電制御装置250のチャージ制御部251をオフ状態に設定しておくことにより、チャージユニット190の影響を受けることなく、DSSC10の発電電圧をモニタすることができる(図23に示すDSSC10の良否情報の読み出し制御を参照のこと)。なお、ライトイネーブル端子Wrt_EnをHレベルに変位させた状態で、各出力制御装置820に入力するアドレスデータAdr_Datを各出力制御装置820ごとの固有アドレスに対応して順次変更する構成を採ることによって、各出力制御装置820をスキャニングするようにDSSC10の発電電圧をモニタすることが可能になる。
続いて、読み出し動作によるDSSC10の良否情報の読み出し制御を図22を参照して説明する。図22(A)および図22(B)に示すように、コントローラ170は、リセット端子Rst、チャージイネーブル端子Crg_Enおよびライトイネーブル端子Wrt_EnをいずれもLレベルに設定する。なお、図22に図示していないが、モニターイネーブル端子Mon_Enとロード端子Ldは、通常時の制御と同様に、DSSC10の状態を取得したいタイミングに合わせて、LレベルからHレベルに変位させてから元に戻す。これにより、R/Wノードの電圧が決定され、また電力転送部81の状態が決まる。即ち、DSSC10の発電電圧が閾値電圧Vthを超えている場合には、R/Wノードの電圧がLレベルになり、電力転送部81が導通状態になる(図22(A))。逆に、DSSC10の発電電圧が閾値電圧Vth以下である場合には、R/Wノードの電圧がHレベルになり、電力転送部81が遮断状態になる(図22(B))。
このため、出力制御装置820に割り当てられた固有アドレスに一致するアドレスデータAdr_Datがアドレスバスから入力されると、アドレスデコード部87の出力がHレベルからLレベルに変位して(図22(A)に示す(61)、図22(B)に示す(71))、R/Wゲート部86のトランスファーゲート(PMOS86e,NMOS86f)が遮断状態から導通状態に移行する。そのため、DSSC10の発電電圧が閾値電圧Vthを超えている場合には、ステータス端子Sts_OutがLレベルからHレベルに変位し(図22(A)に示す(62))、閾値電圧Vth以下の場合には、ステータス端子Sts_OutはLレベルのままを維持する(図22に示す(72))。アドレスデコード部87の出力は、アドレスデータAdr_Datが一致しなくなると、Hレベルに戻るため(図22(A)に示す(63)、図22(B)に示す(73))、それに伴いステータス端子Sts_Outも元の電圧レベルに戻る(図22(A)に示す(64)、図22(B)に示す(74))。
このように固有アドレスに一致したアドレスデータAdr_Datが出力制御装置820に入力されている場合には、そのライトイネーブル端子Wrt_EnをLレベルに変位させることにより、DSSC10の良否情報をセル状態検出/保持部82のセル状態保持部84からステータス端子Sts_Outを介して読み出すことができる。また、チャージイネーブル端子Crg_EnをLレベルに設定しているため、蓄電制御装置250のチャージ制御部251がオフ状態に設定されてチャージユニット190が電力線PLから電気的に切り離される。そのため、チャージユニット190の影響を受けることのないDSSC10の発電状態を良否情報として読み出すことができる。なお、ライトイネーブル端子Wrt_EnをHレベルに変位させた状態で、各出力制御装置820に入力するアドレスデータAdr_Datを各出力制御装置820ごとの固有アドレスに対応して順次変更する構成を採ることによって、各出力制御装置820をスキャニングするようにDSSC10の良否情報を読み出すことが可能になる。
以上説明したように第4実施形態に係る本システムによると、出力制御装置820は、セル状態検出部83、セル状態保持部84、R/W制御部85を備え、セル状態保持部84およびR/W制御部85は、外部から入力される制御情報に従って電力転送部81を導通状態または遮断状態に設定する。これにより、セル状態検出部83によって検出した出力インピーダンスが、所定インピーダンス以上である場合にはセル状態保持部84およびR/W制御部85により電力転送部81が導通状態に設定され、所定インピーダンス未満である場合にはセル状態保持部84およびR/W制御部85により電力転送部81が遮断状態に設定される。また、セル状態検出部83によって検出した出力インピーダンスにかかわらず、外部から入力される制御情報に従って電力転送部81が強制的に導通状態または遮断状態に設定される。したがって、例えば、故障したDSSC10を強制的に電力線PLから、電気的に切り離すことができるため、故障したDSSC10による電力消費を防ぐことで電力損失をさらに抑制することができる。
また、第4実施形態に係る本システムによると、セル状態保持部84およびR/W制御部85によって設定された電力転送部81の導通または遮断の状態情報が外部から入力される制御情報に従って外部に出力される。したがって、このような電力転送部81の導通または遮断の状態情報を外部から読み出すことによりDSSC10の発電状態を容易に確認することができる。
さらに、第4実施形態に係る本システムによると、出力制御装置820は、当該出力制御装置820を特定するアドレスデータAdr_Datが入力されたか否かを判定するアドレスデコード部87をさらに備え、セル状態保持部84およびR/W制御部85は、当該出力制御装置820を特定するアドレスデータAdr_Datが入力されたことをアドレスデコード部87が判定した場合、制御情報に従った所定動作を行う。これにより、例えば、制御情報に従った所定動作が、電力転送部81を導通状態または遮断状態に設定することである場合には、この動作は、当該出力制御装置820を特定するアドレスデータAdr_Datが入力されたときに限り行われる。また、所定動作が、セル状態保持部84に記憶した電力転送部81の導通または遮断の状態情報を外部に出力することである場合には、当該動作は、当該出力制御装置820を特定するアドレスデータAdr_Datが入力されたときに限り行われる。したがって、当該出力制御装置820が、複数存在する場合、特定の出力制御装置820をアドレスデータAdr_Datで指定してこれらの所定動作を行わせることができるので、例えば、故障しているDSSC10を容易に特定することができる。また、アドレスデータAdr_Datにより特定する出力制御装置820を複数にすることにより、それらに接続される複数のDSSC10について、それぞれの出力電圧の和を電力線PLから得ることができる。
なお、第4実施形態では、複数の出力制御装置820に対して一意に設定される固有アドレスを持たせる構成を採り、システムバスSBを構成するアドレスバスを介して入力されるアドレスデータにより特定の出力制御装置820を指定して上述した各制御を行ったが、このようなアドレスの概念を出力制御装置820に持たせることなく、出力制御装置820を構成してもよい。この場合、すべての出力制御装置820に対して上述した各制御が同時期に実行されることになるが、メンテナンス時において、試験対象外の出力制御装置820やDSSC10等を適宜電気的に電力線PLから切り離すことで、上述と同様のメンテナンス時の制御が可能になる。
次に、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造により、チャージユニット190としてのMIMキャパシタ(コンデンサ)を構成する例を図23に基づいて説明する。上述した第1実施形態〜第4実施形態による本システムを、半導体基板に形成した場合、チャージユニット190をMIM構造により同基板内に形成する。これにより、本システムを構成するNMOSやPMOS等による半導体回路を形成する半導体の製造工程において、チャージユニット190をMIMキャパシタとして製造することで、例えば、チャージユニット190を別体のスーパーキャパシタ等で構成した場合に比べて抵抗損失が抑制される。そのため、チャージユニット190の蓄電効率を向上させることができる。また、同じ半導体基板内に収まるため、システムLSIとしてコンパクト化にも寄与する。
なお、図23に示す符号は次の通りである。1000は、本システムが構成される半導体デバイスを示し、1010はシリコン基板(P型領域)、1020は素子分離領域、1030はソース領域の拡散層(N型領域)、1040はドレイン領域の拡散層(N型領域)、1050はゲート電極、1060はゲート絶縁膜、をそれぞれを示す。これらにより、NMOSが形成される。
また、1070,1110,1210は層間絶縁膜を示し、また1080,1090はコンタクト(Wプラグ)を示す。1120,1130,1220,1230は配線層を示し、1150,1260はバイアホールを示し、1240はキャパシタ電極を示し、1310,1320は、銅配線またはアルミ配線を示す。MIMキャパシタ(チャージユニット190)は、配線層1230の一部とキャパシタ電極1240とにより構成される。なお、これらの間に位置する層間絶縁膜1210に代えて高誘電率の誘電体を配置してもよい。これにより、チャージユニット190の静電容量が高められる。
また、例えば、第4実施形態で説明した電力転送部81を構成するNMOS81a等のトランスファーゲートについて、半導体プロセスにおける二重ウェル工程を用いて製造してもよい。即ち、図23を参照して説明した半導体デバイス1000のNMOS構造を構成するシリコン基板1010のP型領域を囲むようにNウェル領域2020をシリコン基板1010に形成する。これにより、Nウェル領域2020内に位置するPウェル領域2010は、シリコン基板1010に対してNウェル領域2020で分離されるため、シリコン基板1010がアース等に接続されていた場合でも、Pウェル領域2010に基板電位と異なる電圧を印加することが可能になる。
このため、Pウェル領域2010に順バイアスをかけることにより、Pウェル領域2010の電位をソース領域1030の電圧よりも上げることが可能になるため、シリコン基板1010に形成されるNMOSの閾値電圧を低下させることができる。つまり、基板効果によるNMOSの閾値電圧の上昇を抑制する。これにより、DSSC10単体の出力電圧のように、0.5V前後の低い電圧であっても、電力損失を極力抑えたトランスファーゲート(NMOS)を構成することができる。なお、Pウェル領域2010に印加するバイアス電圧は、本実施形態の場合、例えば、0.1V程度に設定される。また、Nウェル領域2020に囲まれるPウェル領域2010は、電気的にシリコン基板1010に接続されていなければよい。そのため、例えば、Pウェル領域2010を電気的に浮かせるフローティング構造を採ってもよい。
さらに、上述した第1実施形態〜第4実施形態による本システムを、半導体基板に形成した場合、例えば、図25に示すように、出力制御装置20,20a,120,220,320,420,620,720,820(本段落と次段落においては、これらを「出力制御装置x20」と総称する)、蓄電制御装置150,250(本段落と次段落においては、これらを「蓄電制御装置x50」と総称する)、コントローラ170、チャージユニット190等を配置してもよい。なお、図25(A)には、本システムをシステムLSIとしてチップ化した場合におけるレイアウト例を示す説明図が図示されており、また図25(B)には、出力制御装置x20レイアウト例を示す一点鎖線α内の拡大図、さらに図25(C)には、比較レイアウトの例を示す拡大図、がそれぞれ図示されている。
図25(A)に示すように、本システムをLSIにする場合においては、DSSC10から入力される電力損失を極力低減する必要から、例えば、数10セル〜数100セルのDSSC10に対して1対1対応の関係で設けられる出力制御装置x20は、パッドPadの近傍に配置されることが望ましい。そのため、例えば、出力制御装置x20を構成する回路領域ブロックが短冊状を成す場合には、図25(B)に示すように、回路領域ブロックの短手方向の長さBhをパッドPadの配置ピッチPpに等しくなるように設定する(Bh=Pp)。これにより、回路領域ブロックとパッドPadを繋ぐ配線Waを一直線に形成することが可能になるため、図25(C)に示すような配線Wbが鉤状に形成される比較例(Ch>Bh,Pp)に比べて配線Waの配線長が短くなり、配線抵抗による電力損失を抑えることができる。なお、半導体チップDieの周囲に配置されるパッドPadは、リードフレームにダイボンディングされた半導体チップDieをリードフレームの各リードにワイヤボンディングするために設けられるものである。
なお、上述した各実施形態における記載中の「外部に出力」や「外部から入力」等の「外部」は、それぞれの実施形態に適用される、制御バスCB、モニタバスMBまたはシステムバスSBを意味していることに注意されたい。また、上述した各実施形態における記載中の「マイナス電源Vss」は、一般的にはグランドまたはアース電位GNDに接続される。
上述した各実施形態では、電力出力装置として、DSSC(色素増感太陽電池)10を例示して説明したが、これに限られることはなく、電力を出力可能な装置であれば、例えば、単結晶や多結晶のシリコンをベースにしたシリコン系太陽電池や有機半導体太陽電池、その他の方式による太陽電池等であってもよい。また、光による励起エネルギーに起因した発電装置に限られることはなく、例えば、酵素や微生物の生化学的なエネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う、生物に起因した発電装置であってもよい。つまり、発生する電圧が、NMOSタイプのトランスファーゲートによる降下電圧よりも高くシリコンダイオードによる降下電圧Vf(約0.6V)よりも低いものであれば、例えば、圧電効果による圧電素子や、ペルチエ素子等のゼーベック効果による熱電素子等の発電装置であってもよい。
また、上述した各実施形態では、フラッシュ素子の例として、フローティングゲート(電荷蓄積層)を有するものを例示したが、電荷を貯めることが可能な層(電荷蓄積層)であれば、これに限られることはなく、例えば、シリコンナイトライドを有するものでもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上記例示した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。