JP6380251B2 - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力変換回路に電気的に接続された回転電機に適用される制御装置に関する。
この種の制御装置としては、下記特許文献1に見られるように、電力変換回路の電圧ベクトルの位相である電圧位相を入力とし、回転電機に流れる電流を出力とする伝達関数の利得に関する周波数特性について、回転電機の電気角速度付近の利得を低減するものが知られている。詳しくは、この伝達関数は、電気角速度付近で共振する特性を有する。制御装置は、回転電機としての同期機に流れるq軸電流の低周波成分をハイパスフィルタによって除去し、低周波成分を除去したq軸電流に基づいて、回転電機のトルクを指令トルクにフィードバック制御するための電圧位相を補正する。これにより、電気角速度付近の利得の低減を図っている。
特開2014−200148号公報
ここで上記特許文献1に記載された制御装置は、電圧位相が特定の範囲内にある場合において伝達関数の電気角速度付近の利得を低減できるものの、電圧位相が特定の範囲外となる場合には、伝達関数の電気角速度付近の利得を低減できず、共振抑制効果が得られない懸念がある。その結果、フィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きく設定することができず、フィードバック制御における応答性を高めることができなくなる懸念がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電圧位相の値によらず、共振抑制効果を得ることができる回転電機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
本発明は、回転電機(10)のトルク又は前記トルクと正の相関を有するパラメータを制御量とし、前記回転電機に電気的に接続された電力変換回路(20)の電圧ベクトルを操作することにより、前記制御量を制御する回転電機の制御装置(30)において、前記回転電機の回転座標系において前記電圧ベクトルの位相である電圧位相の変化に対する前記回転電機に流れる電流ベクトルの変化が非干渉化された座標軸を非干渉軸とし、前記電流ベクトルの前記非干渉軸方向成分を非干渉電流とし、前記制御量をその指令値にフィードバック制御すべく、前記電圧位相を操作する位相操作部(30l)と、前記電圧位相を入力とし、前記回転電機に流れる電流又は前記回転電機のトルクを出力とする伝達関数の利得に関する周波数特性について、前記回転電機の電気角速度付近の利得を低減するように、前記非干渉電流に基づいて、前記位相操作部によって操作される前記電圧位相を補正する位相補正部(30k)と、を備えることを特徴とする。
位相操作部によって操作される電圧位相の補正に上記非干渉電流を用いることにより、電圧位相の値によらず、上記伝達関数の極の実部を負の値にすることができる。このため、電圧位相の補正に非干渉電流を用いることにより、電圧位相の値によらず、共振抑制効果を得ることができる。
そこで上記発明では、伝達関数の電気角速度付近の利得を低減するように、非干渉電流に基づいて、位相操作部によって操作される電圧位相を補正する。このため、電圧位相の値によらず、共振抑制効果を得ることができる。これにより、フィードバック制御におけるフィードバックゲインを大きく設定することができ、フィードバック制御における応答性を高めることができる。
第1実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成図。 モータ制御のブロック図。 dq座標系、pl座標系及びλo座標系の関係を示す図。 共振が大きい場合のモータ伝達関数のゲイン特性を示す図。 dq座標系のモータモデルを示す図。 pq座標系,λo座標系のモータモデルを示す図。 複素平面上における極の軌跡を示す図。 電圧ベクトルの変化に伴う電流ベクトルの変化を説明するための図。 λ軸を説明するための図。 ゲインを低下させた場合のモータ伝達関数のゲイン特性を示す図。 ゲインを低下させた場合のステップ応答を示すタイムチャート。 λ軸電流の算出手法を示す図。 第1実施形態の効果を示す図。 第1実施形態の効果を示す図。 第2実施形態にかかるモータ制御のブロック図。 第3実施形態にかかるモータ制御のブロック図。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる制御装置を車載主機として3相回転電機を備える車両(例えば、電気自動車やハイブリッド車)に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、モータ制御システムは、モータジェネレータ10、「電力変換回路」としての3相インバータ20、及びモータジェネレータ10を制御対象とする制御装置30を備えている。本実施形態において、モータジェネレータ10は、車載主機であり、図示しない駆動輪に連結されている。本実施形態では、モータジェネレータ10として、同期機を用いており、具体的には永久磁石型同期機を用いている。また本実施形態では、モータジェネレータ10として、突極機であるIPMSMを用いている。
モータジェネレータ10は、インバータ20を介して、直流電源としてのバッテリ21に接続されている。バッテリ21の出力電圧は、例えば百V以上である。なお、バッテリ21及びインバータ20の間には、平滑コンデンサ22が設けられている。
インバータ20は、上アームスイッチSup,Svp,Swpと下アームスイッチSun,Svn,Swnとの直列接続体を3組備えている。U相上,下アームスイッチSup,Sunの接続点には、モータジェネレータ10のU相が接続されている。V相上,下アームスイッチSvp,Svnの接続点には、モータジェネレータ10のV相が接続されている。W相上,下アームスイッチSwp,Swnの接続点には、モータジェネレータ10のW相が接続されている。ちなみに本実施形態では、各スイッチSup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、より具体的には、IGBTを用いている。そして、各スイッチSup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnには、各フリーホイールダイオードDup,Dun,Dvp,Dvn,Dwp,Dwnが逆並列に接続されている。
モータ制御システムは、さらに、モータジェネレータ10に流れる各相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する相電流検出部を備えている。本実施形態において、相電流検出部は、モータジェネレータ10のV相に流れる電流を検出するV相電流センサ23Vと、W相に流れる電流を検出するW相電流センサ23Wとを含む。また、モータ制御システムは、電圧センサ24及び回転角センサ25を備えている。電圧センサ24は、インバータ20の電源電圧、すなわちバッテリ21から出力された直流電圧を検出する電圧検出部である。回転角センサ25は、モータジェネレータ10の回転角(電気角θ)を検出する角度検出部であり、例えばレゾルバを用いることができる。
制御装置30は、マイコンを主体として構成され、モータジェネレータ10の制御量(本実施形態ではトルク)をその指令値(以下「指令トルクTrq*」という)にフィードバック制御すべく、インバータ20を操作する。詳しくは、制御装置30は、インバータ20を構成する各スイッチSup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnをオンオフ操作すべく、上記各種センサの検出値に基づいて、各操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを生成し、生成した各操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを各スイッチに対応する各駆動回路Dr(ゲート駆動回路)に対して出力する。ここで、上アーム側の操作信号gup,gvp,gwpと、対応する下アーム側の操作信号gun,gvn,gwnとは、互いに相補的な信号となっている。すなわち、上アームスイッチと、対応する下アームスイッチとは、交互にオン操作とされる。なお、指令トルクTrq*は、例えば、制御装置30の外部に設けられた制御装置であって、制御装置30よりも上位の制御装置から出力される。
続いて、図2を用いて、制御装置30によって実行されるモータジェネレータ10のトルク制御について説明する。
2相変換部30aは、V相電流センサ23Vによって検出されたV相電流IV、W相電流センサ23Wによって検出されたW相電流IW、及び回転角センサ25によって検出された電気角θに基づいて、3相固定座標系におけるU相電流IU,V相電流IV,W相電流IWを、2相回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに変換する。dq座標系は、モータジェネレータ10の電気角速度ωで回転する直交2次元回転座標系である。
トルク推定器30bは、2相変換部30aから出力されたd,q軸電流Idr,Iqrに基づいて、モータジェネレータ10の推定トルクTeを算出する。ここで、推定トルクTeは、d軸電流Idr及びq軸電流Iqrと推定トルクTeとが関係付けられたマップを用いて算出してもよいし、モデル式を用いて算出してもよい。
トルク偏差算出部30cは、指令トルクTrq*から推定トルクTeを減算することにより、トルク偏差ΔTを算出する。なお、トルク偏差算出部30cに入力される推定トルクTeに、高周波成分を除去するローパスフィルタ処理を施してもよい。
位相設定部30dは、推定トルクTeを指令トルクTrq*にフィードバック制御するための操作量として、インバータ20の電圧ベクトルVnvtの位相である電圧位相φを設定する。詳しくは、トルク偏差ΔTを入力とする比例積分制御によってp軸電圧Vpを算出する。本実施形態において、電圧位相φは、d軸の正方向を基準とし、この基準から反時計回りの方向(d軸の正方向からq軸の正方向へと回転する方向)が正方向として定義されている。
ここで、制御装置30の制御対象となるモータジェネレータ10の伝達関数は、共振特性を有している。詳しくは、電圧位相φを入力とし、q軸電流を出力とする伝達関数の利得(ゲイン)に関する周波数特性(以下「ゲイン特性」という)において、電気角速度付近にゲインのピークが存在する。この場合、モータジェネレータ10のトルク制御性が低下する懸念がある。このため本実施形態では、このピークを低下させるために、p軸補正量算出部30j及びp軸補正部30k等の各処理部を備えている。以下、電気角速度付近のピークを低下させる原理について説明した後、上記各処理部について説明する。
まず、ゲインのピークを低下させる原理について説明する。
永久磁石型同期機の電圧方程式は、下式(eq1)で表される。
上式(eq1)において、「p」は微分演算子を示し、「R」は電機子巻線抵抗を示し、「Ld」,「Lq」はd,q軸インダクタンスを示し、「ω」はモータジェネレータ10の電気角速度を示し、「ψ」は永久磁石の電機子鎖交磁束の実効値を示す。また、「Vd」はd軸電圧を示し、「Vq」はq軸電圧を示す。なお、d軸電圧Vdの2乗値及びq軸電圧Vqの2乗値の和の平方根として、インバータ20の電圧ベクトルVnvtの振幅である電圧振幅Vnが定義されている。
d,q軸電圧Vd,Vpが微小変化する場合、上式(eq1)は下式(eq2)のように表される。
上式(eq2)において、「Δvd」はd軸電圧変化量を示し、「Δvq」はq軸電圧変化量を示す。また、「Δid」はd軸電圧Vdの変化に伴うd軸電流変化量を示し、「Δiq」はq軸電圧Vqの変化に伴うq軸電流変化量を示す。上式(eq2)から上式(eq1)を減算すると、下式(eq3)が導かれる。
上式(eq3)をd,q軸電流変化量Δid,Δiqについて解くと、下式(eq4)が導かれる。
ここで、2軸直交座標系であるpl座標系を導入する。pl座標系は、図3に示すように、電圧ベクトルVnvtと平行な方向に原点0から延びるl軸と、電圧ベクトルVnvtと直交する方向に原点0から延びるp軸とからなる座標系である。pl座標系は、原点0を中心にdq座標系を反時計回りに角度η(=φ−π/2)だけ回転させた座標系である。ここで、電圧ベクトルVnvtをl軸に投影した成分であるl軸電圧Vlを増減させることは、電圧振幅Vnを増減させることに等しい。また、電圧ベクトルVnvtをp軸に投影した成分であるp軸電圧Vpを増減させることは、電圧位相φを増減させることに等しい。
pl座標系は、dq座標系を反時計回りに角度ηだけ回転させたものであることから、下式(eq5)が成立する。
上式(eq5)において、「Δvp」はp軸電圧変化量を示し、「Δvl」はl軸電圧変化量を示す。上式(eq5)を上式(eq4)に代入すると、下式(eq6)が得られる。
ここで、電圧位相φが微小量Δφだけ変化した場合におけるp軸電圧変化量Δvpは、「sinΔφ≒Δφ」の関係を用いて下式(eq7)で表される。
上式(eq6),(eq7)より、下式(eq8)が導かれる。
上式(eq8)に示すように、電圧位相φを入力とし、トルクに大きく寄与するq軸電流Iqを出力とする有理式の伝達関数は、sの複素関数であり、2次遅れ系である。図4に、この伝達関数のゲイン特性を示す。図4に示すゲイン特性は、電気角速度ω付近に共振角速度を有し、共振角速度におけるゲインが大きい。このため、位相設定部30dの比例ゲイン及び積分ゲインであるフィードバックゲインを大きく設定できず、フィードバック制御におけるトルク応答性を高くすることができない。
ここで図5に示すように、d,q軸電圧Vd,Vqを入力とし、d,q軸電流Id,Iqを出力とするモータモデルをMODEL1とする。また図6に示すように、p,l軸電圧Vp,Vlを入力とし、λ,o軸電流Iλ,Ioを出力とするモータモデルをMODEL2とする。λo座標系は、図3に示すように、原点0を中心にdq座標系を反時計回りに角度λだけ回転させた座標系である。共振角速度におけるゲインを低下させるべく、まず、MODEL1をMODEL2に変換することを考える。
下式(eq9)を用いて、d,q軸電圧変化量Δvd,Δvqをpl座標系におけるp,l軸電圧変化量Δvp,Δvlに変換する。
原点0を中心にdq座標系を反時計回りに角度λだけ回転させたλo座標系におけるλ,o軸電流変化量Δiλ,Δioを、dq座標系に投影する場合、下式(eq10)を用いる。
上式(eq9)に上式(eq3),(eq10)を代入すると、下式(eq11)が導かれる。
ただし、上式(eq11)において、「Rs,Rc,Lλo,Loλ」は下式(eq12)に示すパラメータである。
ここで図6に示すように、モータモデルMODEL2に入力されるp軸電圧Vpを補正するために、p軸補正量算出部30jを導入する。本実施形態において、p軸補正量算出部30jは、λ軸電流Iλに比例ゲインK(>0)を乗算した値として位相補正量Δrを算出する。λ軸電流変化量Δiλを入力とした位相補正量Δrは「K×Δiλ」となる。位相補正量Δrを上式(eq11)の左辺に加えると、下式(eq13)が導かれる。
上式(eq13)を下式(eq14)のように変形する。
上式(eq14)をλ,o軸電流変化量Δiλ,Δioについて解くと、下式(eq15)が導かれる。
ここで、図6のモータモデルMODEL2において、p軸電圧Vpを入力としてλ軸電流Iλを出力とする伝達関数の極は、上式(eq15)の右辺の分母を0とするsとして求められる。sは、下式(eq16)により求められる。
上式(eq16)をsについて整理すると、下式(eq17)が導かれる。
上式(eq17)の解、すなわち伝達関数の極は、複素共役な値として、下式(eq18)により表される。
上式(eq18)に上式(eq12)の「Lo,Loλ」を代入すると、下式(eq19)が導かれる。
上式(eq19)において、「j」は虚数を示す。ここで、下式(eq20)が成立する場合、上式(eq19)は下式(eq21)となる。
上式(eq20)を角度λについて解くと、下式(eq22)が導かれる。
上式(eq21)の角度λに上式(eq22)を代入することにより導かれる伝達関数の極の配置は、図7に示すように、比例ゲインK(すなわち、位相補正量Δrの絶対値)を0から増加させた場合における極の軌跡が、複素平面上において極の実部が負の値となる領域に存在する。また、上式(eq21)の角度λに上式(eq22)を代入することにより導かれる伝達関数の極の配置は、比例ゲインKを0から増加させた場合における極の軌跡が、電圧位相φの値によらず複素平面上の実軸に沿うものとなる。詳しくは、電圧位相φの値によらず、比例ゲインKが増加するほど、極の虚部の値を維持するように極の実部が負方向に移動する。したがって、位相補正量Δrによってp軸電圧Vpを補正することにより、電圧位相φの値によらず、ゲイン特性における電気角速度ω付近のゲインを低減することができる。
ここで、位相補正量Δrの算出に用いられるλ軸電流Iλを規定するλ軸は、現在の電圧位相φが微小量Δφ変化した場合に電流ベクトルInvtが変化する方向と垂直方向の座標軸であり、非干渉軸に相当する。このことは、上式(eq7),(eq15)より上記微小量Δφとλ軸電流Iλとの関係が下式(eq23),(eq24)で表せることより説明できる。下式(eq23),(eq24)では、抵抗Rの影響は小さいとして無視し、また定常的な関係性を示すため微分演算子sの項を除外するものとする。
上式(eq12),(eq20)より、「Loλ=0」である。このため、電圧位相が微小量Δφ変化した場合にλ軸電流Iλは変化せず、λ軸と垂直方向に変化する。このことからλ軸は上記微小量Δφの非干渉軸と言える。
図8に、dq座標系における電圧ベクトルVnvt及び電流ベクトルInvtを示す。電流ベクトルは、d軸電流の2乗値及びq軸電流の2乗値の和の平方根として定義される。図8には、電圧位相φが微小量Δφだけ変化した場合の電流ベクトルInvtの変化分を「ΔIφ」にて示し、電圧振幅Vnが微小量ΔVnだけ変化した場合の電流ベクトルInvtの変化分を「ΔIvn」にて示した。また図9に、電流ベクトルInvtの変化分ΔIφと直交する方向に延びるλ軸を示す。
位相補正量Δrを用いることによりゲインが低下することを、伝達関数を用いて説明する。上式(eq10)に上式(eq15)を代入すると、下式(eq25)が導かれる。
上式(eq25)から下式(eq26)の伝達関数が導かれる。
上式(eq26)に上式(eq7)を代入すると、下式(eq27)が導かれる。
上式(eq27)は、電圧位相φを入力とし、q軸電流Iqを出力とする伝達関数を示す。この伝達関数は、上式(eq8)の伝達関数の分母に比例ゲインKを含む項が加わったものである。比例ゲインKを含む項の存在により、図10に示すように、比例ゲインKを大きくするほど、共振角速度におけるゲインを低下させることができる。なお図11には、電圧位相φによるトルクフィードバック制御において、指令トルクTrq*をステップ状に変化させた場合のトルク波形を示す。比例ゲインKを大きくすることにより、トルク制御の安定性を高めることができる。
続いて、図2に戻り、ゲイン特性における電気角速度付近のゲインを低下させるためのp軸補正量算出部30j等の各処理部について説明する。
速度算出部30eは、電気角θに基づいて、モータジェネレータ10の電気角速度ωを算出する。
指令電圧設定部30fは、指令トルクTrq*を入力として、規格化電圧振幅「Vl/ω」を算出する。本実施形態において、規格化電圧振幅「Vl/ω」とは、l軸電圧Vlを電気角速度ωで除算した値のことである。なお、規格化電圧振幅は、指令トルクTrq*及び規格化電圧振幅が関係付けられたマップを用いて算出すればよい。
速度乗算部30gは、規格化電圧振幅「Vl/ω」に電気角速度ωを乗算することで、l軸電圧Vlを算出する。l軸電圧Vlは、モータジェネレータ10のトルクを指令トルクTrq*にフィードフォワード制御するための操作量となる。
λ軸設定部30h(「非干渉軸設定部」に相当)は、「φ=η+π/2」の関係に基づいて、電圧位相φを算出する。本実施形態において、λ軸設定部30hは、「φ=η+π/2」の関係に基づいて、電圧位相φを算出する。特に本実施形態では、d軸とp軸とのなす角度ηの算出値のノイズ成分を除去すべく、上記角度ηにローパスフィルタ処理を施している。このため、電圧位相φを下式(eq28)によって算出する。
上式(eq28)では、速度乗算部30gから出力されたl軸電圧Vlと、後述するp軸補正部30kから出力された補正後p軸電圧Vpcとが用いられる。上式(eq28)において、右辺第1項は、前回の処理周期から今回の処理周期までの期間におけるd軸とp軸とのなす角度ηの変化分に対応する。上式(eq28)の右辺第2項の角度ηは、次回の処理周期における電圧位相φの算出のために、処理周期毎に、現在の処理周期で算出された電圧位相φから「π/2」減算した値に更新される。すなわち、上式(eq28)の右辺第2項の角度ηとして、前回更新された角度ηが用いられる。上式(eq28)のアークタンジェント演算により、例えば、上式(eq28)の右辺第1項を「−π〜+π」の間で算出することができる。特に本実施形態では、右辺第1項の括弧内の分母が0となってかつ分子が正の値となる場合、右辺第1項の値を「π/2」として算出する。一方、右辺第1項の括弧内の分母が0となってかつ分子が負の値となる場合、右辺第1項の値を「−π/2」として算出する。λ軸設定部30hは、算出した電圧位相φを入力として、上式(eq22)に基づいて上記角度λを算出する。
ちなみに、電圧位相φの算出手法としては、上述した手法に限らない。例えば、λ軸設定部30hは、トルク偏差ΔTに基づいて、推定トルクTeを指令トルクTrq*にフィードバック制御するための操作量として電圧位相φを算出してもよい。
λ軸実電流算出部30i(「非干渉電流算出部」に相当)は、2相変換部30aから出力されたd,q軸電流Idr,Iqrと、λ軸設定部30hから出力された角度λとを下式(eq29)に入力することにより、λ軸電流Iλrを算出する(図12参照)。
なお、λ軸がモータジェネレータ10の駆動状態の変化に伴って変化するため、λ軸電流Iλrもモータジェネレータ10の駆動状態の変化に伴って都度変化することとなる。
p軸補正量算出部30j(「位相補正量算出部」に相当)は、比例ゲインKをλ軸電流Iλrに乗算することにより、位相補正量Δrを算出する。
p軸補正部30k(「位相補正部」に相当)は、p軸電圧Vpから位相補正量Δrを減算することにより、補正後p軸電圧Vpcを算出する。すなわち、p軸補正部30kは、λ軸電流Iλrの符号を反転させた補正量をp軸電圧Vpに加える。
操作信号生成部30l(「位相操作部」に相当)は、補正後p軸電圧Vpcと、l軸電圧Vlと、電圧センサ44によって検出された電源電圧VINVとに基づいて、各操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを生成して各駆動回路Drに出力する。本実施形態では、以下のように各操作信号を生成する。
操作信号生成部30lは、まず、電圧位相φを算出する。ここで電圧位相φは、例えば、λ軸設定部30hにおける電圧位相φの算出手法と同様な手法で算出すればよい。そして、操作信号生成部30lは、算出した電圧位相φと、電圧振幅Vnに等しいl軸電圧Vlとに基づいて、位相が電気角で互いに120度ずつずれた正弦波状の3相指令電圧を算出する。そして、操作信号生成部30lは、電源電圧VINVで3相指令電圧を規格化した信号と、キャリア信号(例えば三角波信号)との大小比較に基づくPWM制御によって各操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを生成する。
続いて、図13及び図14を用いて、本実施形態の効果について説明する。
図13に、電圧位相φを様々な値に設定した場合のそれぞれにおいて、比例ゲインKを0から増加させたときの極の軌跡を示す。ここで、図13(a)は、先の図7に示したように、本実施形態における軌跡を示す。図13(b),(c)は、本実施形態と対比するための関連技術における極の軌跡である。詳しくは、図13(b)は、d軸電流Idrに比例ゲインKを乗算した値として位相補正量Δrを算出する場合の極の軌跡を示す。図13(b)に示す複素共役の極は、上式(eq19)において「λ=0」とすることにより、下式(eq30)で表される。
また図13(c)は、q軸電流Iqrに比例ゲインKを乗算した値として位相補正量Δrを算出する場合の極の軌跡を示す。図13(c)に示す複素共役の極は、上式(eq19)において「λ=π/2」とすることにより、下式(eq31)で表される。
図13(b),(c)に示すように、位相補正量Δrの算出にd,q軸電流Idr,Iqrを用いる場合、電圧位相φの値に応じて、比例ゲインKを0から増加させた場合の極の軌跡が異なる。例えば、図13(b),(c)において、電圧位相φが−30°の場合、極の実部が正の値となり得る。このため、図13(b),(c)に示す構成では、電圧位相φの値によっては、ゲイン特性における共振角速度のゲインの低下効果が小さかったり、トルク制御がかえって不安定になったりする。
これに対し、本実施形態によれば、図13(a)に示すように、比例ゲインKを0から増加させた場合における極の軌跡が、電圧位相φの値によらず、複素平面上において極の実部が負の値となる領域に存在する。また本実施形態によれば、比例ゲインKを0から増加させた場合における極の軌跡が、電圧位相φの値によらず、複素平面上の実軸に略平行となる。このため、共振角速度におけるゲインを低下させることができる。
続いて図14に、図13(a),(b),(c)のそれぞれに対応する各特性を示す。詳しくは、電圧位相φを入力とし、推定トルクTeを出力とする伝達関数のゲイン特性と、指令トルクTrq*を入力とし、推定トルクTeを出力とするフィードバック制御系の閉ループ伝達関数のゲイン特性と、p軸電圧Vpをステップ状に変化させた場合のq軸電流Iqのステップ応答とを示す。ここで各特性では、電圧位相φを30°,90°,150°に設定した。
図14(a)に示すように、位相補正量Δrの算出にλ軸電流Iλrを用いる本実施形態によれば、電圧位相φを入力とし、推定トルクTeを出力とする伝達関数のゲイン特性における共振角速度のゲインを低下できる。このため、閉ループ伝達関数のゲイン特性における共振角速度のゲインも低下でき、また、q軸電流のステップ応答も振動的にならず安定している。したがって、位相設定部30dにおけるフィードバックゲインを大きく設定でき、フィードバック制御におけるトルク応答性を高めることができる。
これに対し、図14(b)に示すように、位相補正量Δrの算出にd軸電流Idrを用いる関連技術では、電圧位相φを入力とし、推定トルクTeを出力とする伝達関数のゲイン特性における共振角速度のゲインは、電圧位相φが30°の場合に増大している。このため、閉ループ伝達関数のゲイン特性における共振角速度のゲインも増加し、また、電圧位相φが30°の場合のステップ応答も振動的となる。したがって、位相設定部30dにおけるフィードバックゲインを大きく設定できず、フィードバック制御におけるトルク応答性を高めることができない。
また、図14(c)に示すように、位相補正量Δrの算出にq軸電流Iqrを用いる関連技術でも、電圧位相φの値によっては、閉ループ伝達関数のゲイン特性における共振角速度のゲインも増加し、また、ステップ応答も振動的となる。なお、図14(c)のうちステップ応答を示す図では、煩雑となるため、電圧位相φの値の記載を省略している。
以上説明した本実施形態によれば、電圧位相φの値によらず、ゲイン特性における共振角速度のゲインを低下させることができる。このため、位相設定部30dにおけるフィードバックゲインを大きく設定することができ、ひいてはフィードバック制御におけるモータジェネレータ10のトルク応答性を高めることができる。
また本実施形態によれば、λ軸電流Iλrに比例ゲインKを乗算するといった簡易な手法により、位相補正量Δrを算出することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図15に、本実施形態にかかるトルク制御のブロック図を示す。なお、図15において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、推定トルクTeを指令トルクTrq*にフィードバック制御するためのp軸電圧Vpに基づく制御を位相制御と称すこととする。また、λ軸電流Iλrをλ軸指令電流Iλ*にフィードバック制御するためのl軸電圧Vlに基づく制御を振幅制御と称すこととする。
本実施形態において、制御装置30は、l軸電圧Vlを補正するl軸補正量算出部32を備えている。l軸補正量算出部32は、位相制御から振幅制御への干渉を抑制するためのものである。詳しくは、先の図8及び図9に示したように、λ軸は、電圧位相φが微小変化した場合における電流ベクトルInvtの変化分が0となる方向の座標軸である。このため、電圧振幅Vnが微小量ΔVnだけ変化した場合の電流ベクトルの変化分ΔIvnのうち、上記変化分ΔIvnをλ軸に写像したλ軸成分は、電圧位相φの変化の影響を受けない電流である。したがって、λ軸電流Iλをl軸電圧Vlの補正に用いることにより、位相制御から振幅制御への干渉を抑制できる。
以上を踏まえ、図15を用いて、l軸補正量算出部32の具体的な処理について説明する。
指令電流設定部32aは、指令トルクTrq*に基づいて、指令トルクTrq*を実現するためのd,q軸指令電流Id*,Iq*を設定する。本実施形態では、最小電流最大トルク制御を実現するための電流をd,q軸指令電流Id*,Iq*として設定する。
λ軸指令電流算出部32bは、指令電流設定部32aから出力された各指令電流Id*,Iq*と、λ軸設定部30hから出力された角度λとに基づいて、下式(eq32)を元に、λ軸指令電流Iλ*を算出する。
なお本実施形態において、λ軸設定部30hは、電圧位相φを、下式(eq33)に基づいて算出する。
上式(eq33)では、補正後p軸電圧Vpcと、後述するl軸補正部30nから出力された補正後l軸電圧Vlcとが用いられる。
λ軸電流偏差算出部32cは、λ軸指令電流Iλ*からλ軸電流Iλrを減算することにより、λ軸電流偏差ΔIλを算出する。なお、λ軸電流偏差算出部32cに入力されるλ軸電流Iλrに、高周波成分を除去するためのローパスフィルタ処理を施してもよい。
振幅補正量算出部32dは、λ軸電流偏差ΔIλに基づいて、λ軸電流Iλrをλ軸指令電流Iλ*にフィードバック制御するための操作量として振幅補正量Δlを算出する。詳しくは、λ軸電流偏差ΔIλを入力とする比例積分制御によって振幅補正量Δlを算出する。
l軸補正部30nは、速度乗算部30gから出力されたl軸電圧Vlに、振幅補正量算出部32dによって算出された振幅補正量Δlを加算することで、補正後l軸電圧Vlcを算出する。
操作信号生成部30l(「位相操作部」,「振幅操作部」に相当)は、補正後p軸電圧Vpcと、補正後l軸電圧Vlcと、電源電圧VINVとに基づいて、各操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnを生成して各駆動回路Drに出力する。
以上説明した本実施形態によれば、位相制御から振幅制御への干渉が抑制できるため、位相設定部30d及び振幅補正量算出部32dにおけるフィードバックゲインを大きく設定できる。このため、モータジェネレータ10のトルク応答性をさらに高めることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、位相補正量Δrを、λ軸電流Iλrに代えて、d,q軸電流Idr,Iqr及び電圧位相φに基づいて算出する。
図16に、本実施形態にかかるトルク制御のブロック図を示す。なお、図16において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
位相算出部30pは、l軸電圧Vlと、補正後p軸電圧Vpcとに基づいて、上記第2実施形態のλ軸設定部30hと同様の処理により電圧位相φを算出する。
p軸補正量算出部30qは、電圧位相φと、d,q軸電流Idr,Iqrとを入力として、下式(eq34)に基づいて位相補正量Δrを算出する。
p軸補正量算出部30qは、上式(eq34)におけるd軸係数Kd及びq軸係数Kqのそれぞれを、電圧位相φに基づいて可変設定する。これは、d軸電流Idrにd軸係数Kdを乗算した値と、q軸電流Iqrにq軸係数Kqを乗算した値との組み合わせにより、λ軸電流Iλrに比例した位相補正量Δrを算出するためである。具体的には例えば、先の図13(b)において電圧位相φが150°の場合の極の軌跡と、図13(c)において電圧位相φが150°の場合の極の軌跡とを所定の比率で組み合わせることにより、図13(a)に示す実軸に沿うような極の軌跡を得ることができる。以下、本実施形態にかかるd,q軸係数Kd,Kqの設定手法について説明する。
電圧位相φが90°の場合、先の図13(b)において電圧位相φが90°の場合の極の軌跡と、図13(a)に示す極の軌跡とが略一致する。このため、電圧位相φが90°の場合、d軸係数Kdを正の値である第1規定値K1に設定してかつ、q軸係数Kqを0に設定する。
電圧位相φが180°の場合、先の図13(c)において電圧位相φが180°の場合の極の軌跡と、図13(a)に示す極の軌跡とが略一致する。このため、電圧位相φが180°の場合、d軸係数Kdを0に設定してかつ、q軸係数Kqを正の値である第2規定値K2に設定する。
電圧位相φが0°の場合、先の図13(c)において電圧位相φが0°の場合の極の軌跡について比例ゲインKの符号を負にしたときの軌跡と、図13(a)に示す極の軌跡とが略一致する。このため、電圧位相φが0°の場合、d軸係数Kdを0に設定してかつ、q軸係数Kqを負の値である第3規定値K3に設定する。
電圧位相φが0°,90°,180°の場合における上述したd,q軸係数Kd,Kqの値によれば、電圧位相φが0°〜90°の場合、電圧位相φが大きいほど、d軸係数Kdを0から第1規定値K1に向かって大きく設定し、電圧位相φが大きいほど、q軸係数Kqを第3規定値K3から0に向かって大きく設定する。また、電圧位相φが90°〜180°の場合、電圧位相φが大きいほど、d軸係数Kdを第1規定値K1から0に向かって小さく設定し、電圧位相φが大きいほど、q軸係数Kqを0から第2規定値K2に向かって大きく設定する。
なお、p軸補正量算出部30qによって算出された位相補正量Δrは、p軸補正部30kに入力される。
以上説明した本実施形態によっても、電圧位相φの値によらず、ゲイン特性における共振角速度のゲインを低下させることができ、フィードバック制御におけるトルク応答性を高めることができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1実施形態では、λ軸を、現在の電圧位相φが微小量Δφ変化した場合に電流ベクトルInvtが変化する方向と垂直方向の座標軸として定義したがこれに限らない。例えば、λ軸を、現在の電圧位相φが微小変化した場合における電流ベクトルの変化分が0となる方向の座標軸として定義してもよい。
・上記各実施形態において、位相設定部30dにおけるフィードバック制御を、例えば、積分制御のみによって行ったり、比例積分微分制御によって行ったりしてもよい。また、上記第2実施形態において、振幅補正量算出部32dにおけるフィードバック制御を、積分制御のみによって行ったり、比例積分微分制御によって行ったりしてもよい。
・上記第1実施形態において、電圧振幅を指令トルクTrq*及び電気角速度ωに応じて可変にせず、固定値としてもよい。すなわち、電圧振幅のフィードフォワード制御がなくてもよい。ここで上記固定値としては、例えば、インバータ20利用領域を最大まで利用することを目的としてインバータ20の出力上限値を用いてもよいし、損失や騒音低減を目的として上記出力上限値未満の値を用いてもよい。上記出力上限値未満の値としては、例えば、インバータ20の出力電圧が1パルス以上となる出力電圧(「高調波変調型省パルス駆動による高効率モータ制御:古川公久ら、外7名、平成22年電気学会産業応用部門大会、1−134、pp.I−627〜I−632」を参照。)や、インバータ20線形領域における出力最大値を用いてもよい。
・上記第3実施形態に、上記第2実施形態で説明した振幅補正量Δlを用いる構成を適用してもよい。
・d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差が小さい場合には、「Ld/Lq」が1に近い値となる。このため、上式(eq22)において、電圧位相φのみに基づいてλ軸を求めることができる。また、モータジェネレータ10がSPMSMの場合、「Ld/Lq」が1となることから、電圧位相φのみに基づいてλ軸を求めることができる。
・上式(eq22)においてλ軸を求めるための電圧位相φは、上式(eq28)によって与えられる値の代わりに、角度ηに「π/2」加算した値を用いてもよいし、電気角速度ω及び指令トルクTrq*に応じた電圧位相φを事前に記録しておいた値を用いてもよい。
・q軸電流はモータジェネレータ10のトルクと正の相関を有する。このため、上記第1実施形態の上式(eq8)の伝達関数を、電圧位相φを入力とし、トルクを出力とする伝達関数に置き換えることができる。
・操作信号の生成手法としては、PWM制御によるものに限らず、例えば以下に説明するものであってもよい。電圧振幅Vnを実現するための線間電圧パターンが予め格納された記憶手段(例えば、ROM等のメモリ)を例えば制御装置30に備える。こうした構成において、記憶手段に記憶された線間電圧パターンを各スイッチング素子のゲートに対するパルスパターンに変換し、変換されたパルスパターンの出力タイミングを電圧位相φに基づいて設定することで、操作信号を生成する。
また、操作信号の生成手法としては、位相が電気角で互いに120度ずつずれた正弦波状の3相指令電圧を算出するものに限らない。例えば、正弦波に第3次の整数倍の高周波を重畳する方法であってもよい。
・上記各実施形態では、モータジェネレータ10のトルクを推定し、この推定値をモータ制御に用いたがこれに限らない。例えば、制御システムにモータジェネレータ10のトルクを検出するトルク検出部を備え、トルク検出部の検出値をモータ制御に用いてもよい。
・回転電機として、IPMSMに限らず、SPMSMや巻線界磁型同期機であってもよい。ここで、例えば上記第1実施形態においてSPMSMを採用する場合、回転電機のトルクがq軸電流によって定まる。このため、制御量を、トルクに代えてq軸電流としてもよい。また、回転電機としては、車載主機として用いられるものに限らず、電動パワーステアリング装置や空調用電動コンプレッサを構成する電動機等、車載補機として用いられるものであってもよい。加えて、回転電機としては、車載式のものに限らない。
10…モータジェネレータ、20…インバータ、30…制御装置。

Claims (8)

  1. 回転電機(10)のトルク又は前記トルクと正の相関を有するパラメータを制御量とし、前記回転電機に電気的に接続された電力変換回路(20)の電圧ベクトルを操作することにより、前記制御量を制御する回転電機の制御装置(30)において、
    前記回転電機の回転座標系において前記電圧ベクトルの位相である電圧位相の変化に対する前記回転電機に流れる電流ベクトルの変化が非干渉化された座標軸を非干渉軸とし、前記電流ベクトルの前記非干渉軸方向成分を非干渉電流とし、
    前記制御量をその指令値にフィードバック制御すべく、前記電圧位相を操作する位相操作部(30l)と、
    前記電圧位相を入力とし、前記回転電機に流れる電流又は前記回転電機のトルクを出力とする伝達関数の利得に関する周波数特性について、前記回転電機の電気角速度付近の利得を低減するように、前記非干渉電流に基づいて、前記位相操作部によって操作される前記電圧位相を補正する位相補正部(30k)と、を備えることを特徴とする回転電機の制御装置。
  2. 前記非干渉軸は、現在の前記電圧位相が微小変化した場合に前記電流ベクトルが変化する方向と垂直方向の座標軸である請求項1記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記非干渉軸は、現在の前記電圧位相が微小変化した場合における前記電流ベクトルの変化分が0となる方向の座標軸である請求項1記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記非干渉電流を算出する非干渉電流算出部(30i)と、
    前記非干渉電流算出部によって算出された前記非干渉電流に比例した位相補正量を算出する位相補正量算出部(30j)と、を備え、
    前記位相補正部は、前記位相補正量算出部によって算出された前記位相補正量に基づいて、前記電気角速度付近の利得を低減するように前記電圧位相を補正する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記電圧位相、又は前記電圧位相及び前記回転電機のインダクタンスに基づいて、前記非干渉軸を設定する非干渉軸設定部(30h)を備え、
    前記非干渉電流算出部は、前記非干渉軸設定部によって設定された前記非干渉軸、及び前記回転座標系において前記回転電機に流れる電流に基づいて、前記非干渉電流を算出する請求項4に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記電圧位相、前記回転電機に流れるd軸電流、及び前記回転電機に流れるq軸電流に基づいて、前記非干渉電流に比例した位相補正量を算出する位相補正量算出部(30q)を備え、
    前記位相補正部は、前記位相補正量算出部によって算出された前記位相補正量に基づいて、前記電気角速度付近の利得を低減するように前記電圧位相を補正する請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記位相補正部は、前記位相補正量の絶対値を0から増加させた場合における前記伝達関数の極の軌跡が、複素平面上において前記極の実部が負の値となる領域に存在してかつ、前記位相補正量の絶対値を0から増加させた場合における前記極の軌跡が、前記電圧位相の値によらず複素平面上の実軸に沿うような前記極の配置が実現できるように、前記位相補正量に基づいて前記電圧位相を補正する請求項4〜6のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 前記非干渉電流を算出する非干渉電流算出部(30i)と、
    前記非干渉電流算出部によって算出された前記非干渉電流を前記指令値に応じた指令電流にフィードバック制御すべく、前記電圧ベクトルの振幅である電圧振幅を操作する振幅操作部(30l)を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
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