JP6379084B2 - 防食ペースト、防食構造体、および、防食構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
海辺に建設されたプラントなどにおいては、この金属製管などの金属製部材を腐食から保護すべく、該金属製部材を覆う防食構造体を形成させることが行われている。
一般的な防食構造体の形成方法としては、帯状の基材シートに防食コンパウンドを担持させた防食テープを用いる方法が知られており、前記金属製部材の表面上に巻き付けた前記防食テープで防食層を形成させる方法が広く知られている(下記特許文献1参照)。
また、このような防食構造体の形成に用いる防食テープとしては、基油を含有する防食コンパウンドを帯状の基材(不織布等)に担持させたものが知られており、前記基油として防錆効果に優れたペトロラタムが知られている。
そのため、従来、金属製部材に接する第1防食層と該第1防食層に積層された第2防食層との2層以上の積層構造を有する防食構造体を形成させ、第2防食層を防食テープで形成させるとともに該防食テープの下地となる第1防食層を下塗り材などと呼ばれる防食ペーストで形成させて金属製部材の表面との間に隙間ができることを防止する方法が採用されている。
また、斯かる防食ペーストによれば、防錆剤により金属製部材が保護されるので、金属製部材の腐食をより一層抑制することができる。
さらに、金属製部材が鉄製部材である場合には、斯かる防食ペーストによれば、前記酸化ワックスに取り込まれた水と前記防錆剤とによって前記金属製部材の表面に金属との錯体を形成することにより、前記金属製部材が錆難くなるという利点がある。
よって、斯かる防食ペーストによれば、金属製部材の腐食をより一層抑制することができる。
金属製部材の表面に接し、前記防食ペーストで形成されている防食ペースト層Aと、
基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食ペースト層Aに積層されている防食シートで形成されている防食シート層Bとを備える、防食構造体である。
前記防食コンパウンドは、平行板粘度計による23℃における降伏値が1〜30000Paであり、滴点が30℃〜200℃であり、
前記基材に含浸されている前記防食コンパウンドの量が、300〜5000g/m2である。
本実施形態に係る防食ペーストは、金属製部材の表面に付着させて用いられる。
また、本実施形態に係る防食ペーストは基油を含有する。該基油としては、ペトロラタムが挙げられる。
さらに、本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスと、防錆剤とを含有する。
本実施形態に係る防食ペーストは、降伏値が3000Pa以下であることにより、金属製部材の表面に薄く塗布しやすいものとなる。その結果、防食ペーストの使用量を抑制できるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食ペーストは、降伏値が1Pa以上であることにより、ペーストが液だれし難くなるという利点を有する。
なお、本実施形態における平行板粘度計による降伏値は、JIS K5701−1:2000「平版インキ−第1部:試験方法」の「スプレッドメータによる方法」に従って測定することができる。荷重板の重さを5kgとし、“荷重板が試料に接したとき”から“広がりの直径を測定するとき”までの時間を60秒とする。
本実施形態に係る防食ペーストは、酸価が1KOHmg/g以上であることにより、金属製部材の表面に存在する水分を防食ペースト内部に置換する事ができるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食ペーストは、酸価が100KOHmg/g以下であることにより、周りの環境から水分を取り込むのを抑制できるという利点を有する。
なお、本実施形態における酸価は、JIS K0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の“電位差滴定法”によって測定することができる。
本実施形態に係る防食ペーストは、水酸基価が1KOHmg/g以上であることにより、金属製部材の表面に存在する水分をペースト内部に置換する事ができるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食ペーストは、水酸基価が100KOHmg/g以下であることにより、周りの環境からの水分の取り込みを抑制できるという利点を有する。
なお、本実施形態における水酸基価は、JIS K0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の“電位差滴定法”によって測定することができる。
酸化ワックスはカルボン酸を有し、酸化ワックスはカルボキシル基及び水酸基を有し、水酸基は水置換性に優れる。よって、本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスを有することにより、水分が金属製部材に接し難くなるという利点を有する。
また、金属製部材の表面に水分が付着した状態(例えば、金属製部材の表面に露が付着した状態や、金属製部材が水中に存在する状態など)で該表面に防食ペーストを付着させる場合には、従来の防食ペーストでは該水分によって付着させ難いが、本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスが水置換性に優れるので、金属製部材の表面に付着させやすいものとなるという利点を有する。
さらに、酸化ワックスは室温付近において防食ペーストを軟化させるので、本実施形態に係る防食ペーストは、金属製部材の表面に塗布しやすいという利点を有する。
また、酸化ワックスは、酸価が、好ましくは1〜300KOHmg/g、より好ましくは3〜150KOHmg/g、さらにより好ましくは5〜100KOHmg/gである。
本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスの酸価が1KOHmg/g以上であることにより、金属製部材の表面に存在する水分を防食ペースト内部に置換する事ができるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスの酸価が300KOHmg/g以下であることにより、周りの環境から水分を取り込むのを抑制できるという利点を有する。
また、酸化ワックスは、水酸基価が、好ましくは1〜300KOHmg/g、より好ましくは3〜150KOHmg/g、さらにより好ましくは5〜100KOHmg/gである。
本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスの水酸基価が1KOHmg/g以上であることにより、金属製部材の表面に存在する水分を防食ペースト内部に置換する事ができるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食ペーストは、酸化ワックスの水酸基価が300KOHmg/g以下であることにより、周りの環境から水分を取り込むのを抑制できるという利点を有する。
無機系防錆剤としては、例えば、クロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられる。
有機系防錆剤としては、例えば、タンニン酸、カルボン酸(オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸など)、カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa、酸化ワックスBaなど)、スルフォン酸塩(Naスルフォネート、Caスルフォネート、Baスルフォネートなど)、アミン塩、エステル(高級脂肪酸とグリセリンとが反応して得られたエステル、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレートなど)などが挙げられる。
前記防錆剤としては、タンニン酸、ポリリン酸が好ましく、タンニン酸が特に好ましい。
前記タンニン酸の酸価は、好ましくは30〜600KOHmg/g、より好ましくは40〜500KOHmg/g、さらにより好ましくは100〜400KOHmg/gである。
前記タンニン酸の水酸基価は、好ましくは50〜600KOHmg/g、より好ましくは100〜500KOHmg/g、さらにより好ましくは150〜400KOHmg/gである。
無機系防錆剤及び有機系防錆剤として例示した防錆剤はいずれも金属への吸着力が高く、防錆剤により保護層が金属製部材の表面に形成される。
本実施形態に係る防食ペーストは、防錆剤を、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらにより好ましくは1〜10質量%含有する。
前記充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、雲母状酸化鉄、金属粉などが挙げられる。
前記軟化剤としては、前記基油よりも分子量が低い有機化合物が挙げられ、例えば鉱物油(パラフィンオイル)、ワセリン(白ワセリン等)等が挙げられる。
本実施形態に係る防食構造体は、2以上の層を有する。
また、図1に示すように、本実施形態に係る防食構造体1は、金属製部材の表面に接し、本実施形態に係る防食ペーストで形成された防食ペースト層Aと、基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有する防食シートで形成されている防食シート層Bとを備える。
さらに、本実施形態に係る防食構造体1は、前記防食シート層Bよりも外側(防食ペースト層A側とは反対側)にプラスチックシートで形成されている保護層Cをさらに備える。
また、本実施形態に係る防食構造体1は、前記防食ペースト層Aと前記防食シート層Bとの間に配され、防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dをさらに備える。
前記防食ペースト層Aは、円筒状の金属製部材の外側表面全体に薄く塗布することで形成される。前記防食ペースト層Aの外表面は、前記金属製部材の凹凸によって凹凸が形成されている。
本実施形態に係る防食構造体1は、前記防食シート層Bを有することにより、物が当たるなどして防食構造体が剥がれるのを抑制でき、その結果、金属製部材の腐食を抑制することができる。
また、前記金属製部材が直射日光が当たる場所で用いられるものである場合には、本実施形態に係る防食構造体1は、前記保護層Cを有することにより、防食ペースト層A及び防食シート層Bが紫外線によって劣化するのを抑制することができ、その結果、金属製部材の腐食をより一層抑制することができる。
さらに、前記金属製部材が土中に配されて用いられる場合には、本実施形態に係る防食構造体1は、防食ペースト層A及び防食シート層Bが土の小石などが土圧で防食構造体1に押し付けられても、前記保護層Cを有することにより、小石などで防食ペースト層A及び防食シート層Bが傷つくのを抑制することができ、その結果、金属製部材の腐食をより一層抑制することができる。
本実施形態に係る防食構造体1は、防食シート層Bと防食ペースト層Aとの間の隙間を埋めることができ、金属製部材の腐食を抑制することができる。
前記防食マスチックは、基油を含有する。基油としては、ペトロラタムが挙げられる。
また、前記防食マスチックは、他の充填剤として、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、雲母状酸化鉄、金属粉などを含有してもよい。
前記防錆剤としては、無機系防錆剤、有機系防錆剤が挙げられる。
無機系防錆剤としては、例えば、クロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられる。
有機系防錆剤としては、例えば、タンニン酸、カルボン酸(オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸など)、カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa、酸化ワックスBaなど)、スルフォン酸塩(Naスルフォネート、Caスルフォネート、Baスルフォネートなど)、アミン塩、エステル(高級脂肪酸とグリセリンとが反応して得られたエステル、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレートなど)などが挙げられる。
なお、防食マスチックの粘度は、防食マスチック層Dの形成の際の粘度を意味する。
前記防食シート層Bにおける前記基材としては、不織布が好ましく、ポリエステル不織布が特に好ましい。
前記不織布は、繊維どうしがバラバラになるのを抑制すべく、ウェブなどと呼ばれる、繊維を堆積させたシート体を、該シート体よりも引張強度が強い糸(以下、「補強糸」ともいう。)で補強させた不織布が好ましい。
また、補強糸で補強された不織布としては、補強糸が長手方向に沿って縫い目を形成するようにシート体に縫い込まれている不織布がより好ましく、言い換えれば、タテ糸で補強されている不織布がより好ましい。不織布がこのように構成されていることにより、円筒状の金属製部材にテープ状の防食シートを巻きつける際に、補強糸によって防食シートが伸びるのを抑制することができる。その結果、大きな張力を加えた状態で防食シートを金属製部材に巻きつけることができる。また、巻きつける力を緩めた際に防食シートが収縮するのを抑制でき、その結果、巻き付けの作業性が良好にとなる。該不織布は、前記補強糸が幅方向に一定間隔を設けて並列配置されてなることがより好ましい。
さらに、補強糸で補強された不織布としては、長さ方向における一定応力に対する伸びが幅方向に比べて高い不織布が好ましい。
また、補強糸で補強された不織布としては、幅方向には補強がされていない不織布がより好ましく、言い換えれば、ヨコ糸による補強がなされていない不織布が好ましい。円筒状の金属製部材にテープ状の防食シートを巻きつける際に、防食シートの幅が狭くなるが、ヨコ糸が存在すると、ヨコ糸が防食シートの幅方向の収縮を阻害し、防食シートにカールが生じやすくなるが、ヨコ糸がなければカールが生じ難くなる。よって、ヨコ糸がなければ、金属製部材の形状に防食シートが追従しやすくなり、金属製部材上に形成された防食ペースト層Aと、防食シート層Bとの間に隙間が生じやすくなる。従って、防食性能を高めるという観点から、前記不織布としては、ヨコ糸による補強がなされていない不織布が好ましい。
前記防錆剤としては、無機系防錆剤、有機系防錆剤が挙げられる。
無機系防錆剤としては、例えば、クロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられる。
有機系防錆剤としては、例えば、タンニン酸、カルボン酸(オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸など)、カルボン酸金属石鹸(ラノリンCa、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa、酸化ワックスBaなど)、スルフォン酸塩(Naスルフォネート、Caスルフォネート、Baスルフォネートなど)、アミン塩、エステル(高級脂肪酸とグリセリンとが反応して得られたエステル、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレートなど)などが挙げられる。
また、防食ペーストを塗布しやすくし、且つ、防食コンパウンドの液だれを防止するという観点から、平行板粘度計による23℃における前記防食コンパウンドの降伏値は、平行板粘度計による23℃における前記防食ペーストの降伏値よりも、好ましくは5Pa以上高く、より好ましくは10Pa以上高く、さらに好ましくは20Pa以上高い。
なお、防食コンパウンドの粘度は、防食シート層Bの形成の際の粘度を意味する。
本実施形態の滴点は、DIN51801に記載の方法で測定することができる。
なお、“前記基材に含浸されている前記防食コンパウンドの量”は、シート状の基材の一の面の面積に対する、基材全体に含浸されている防食コンパウンドの量を意味する。
なお、オーバーラップとは、防食シートの幅に対する、重なり合っている部分の幅の比を意味する。
本実施形態に係る防食構造体は、保護層Cを有することにより、防食シート層Bに傷が生じるのを抑制でき、その結果、防食性能を保持しやすくなるという利点を有する。
プラスチックシートは、表面に粘着剤層を備えてもよい。該粘着剤層を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤などが挙げられる。
前記保護層の厚みの最大値が、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらにより好ましくは2mm以下である。本実施形態に係る防食構造体は、前記保護層の厚みの最大値が3mm以下であることにより、防食ペースト層A及び防食シート層Bを外力から保護しつつ、施工性を向上できるという利点を有する。
本実施形態に係る防食構造体は、前記引張弾性率が1×102Pa以上であることにより、防食シート層Bによる防食性能を保持しやすくなるという利点を有する。また、本実施形態に係る防食構造体は、前記引張弾性率が9×1010Pa以下であることにより、防食シート層Bの上に保護層Cを巻き付ける際の作業性が向上するという利点を有する。
なお、本実施形態の引張弾性率は、JIS K7161−1:2014に準じ、以下の条件で測定することができる。
引張速度:300mm/min
標線間距離:100mm
具体的には、本実施形態の引張弾性率Et(MPa)は下記式で求めることができる。
Et = (σ2−σ1)/(ε2−ε1)
σ1: ひずみε1=0.05%における応力(MPa)
σ2: ひずみε2=0.25%における応力(MPa)
但し、応力は、0.05%、0.25%のひずみにおける測定値F1、F2を保護層の断面積(mm2)で割った値とする。
<参考例1>
厚さ0.3mmのEVA基材フィルム単層の保護シート
引張弾性率:50MPa
<参考例2>
厚さ0.2mmのPVC基材フィルムにゴム系粘着剤を厚さ0.2mmで塗布した保護テープ(厚さ:0.4mm)
引張弾性率:5.2MPa
<参考例3>
厚さ0.3mmのLLPE基材フィルムにゴム系粘着剤を厚さ0.2mmで塗布した保護テープ(厚さ:0.5mm)
引張弾性率:150MPa
本実施形態に係る防食構造体の製造方法は、本実施形態に係る防食構造体を作製する方法である。
具体的には、接続されたフランジ11間の隙間に防食マスチックを充填する。また、フランジ11どうしの接合を固定するボルト12及びナット13を防食マスチックで覆う。そして、防食ペースト層Aの凹凸を小さくすべく、防食ペースト層Aの凹部に防食マスチックを充填することにより防食マスチック層Dを形成する。
防食テープの長さは、フランジ11の外径よりも大きいことが好ましい。
防食テープにあまり高い張力をかけながら防食テープを巻きつけると、防食コンパウンドが基材からはみ出し易くなるので、防食テープを巻きつける際には、防食テープにあまり高い張力がかからないようにするのが望ましい。
また、防食テープを巻きつける際には、シワや浮が生じないようにすることが望ましい。
さらに、防食テープの端部を防食テープの防食コンパウンドで覆うように防食テープをなでつける。
また、防食テープを巻き付けた後には、防食テープの表面の凹凸や、防食テープと防食シートとの重なり部分を防食コンパウンドで覆うように防食テープをなでつける。
プラスチックシートにあまり高い張力をかけながらプラスチックシートを巻きつけると、保護層Cの外側に防食コンパウンドがみ出し易くなるので、プラスチックシートを巻きつける際には、プラスチックシートにあまり高い張力がかからないようにするのが望ましい。
まず、防食ペーストの評価方法について説明する。
水を付着させた鋼板(150mm×70mm×2mm)に防食ペーストを塗布した後、水中に24時間保持する。その後、鋼板における赤錆の発生の有無を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
○:目視では赤錆が見られなかった。
×:目視で赤錆が見られた。
鋼板(150mm×70mm×2mm)に対してJIS Z1903:2007に記載の被覆方法でバーコーターを用いて防食ペーストを塗布し試験片とした。JIS Z2371:2015の方法に従って2週間試験片に塩水を噴霧した。その後、マイクロスコープを用いて錯体(黒錆)の発生を確認し、以下の基準で評価を行った。
◎:観測した箇所において、面積比で75%以上が黒錆となっている。
〇:観測した箇所において、面積比で20%以上75%未満が黒錆となっている。
△:観測した箇所において、面積比で0.5%以上20%未満が黒錆となっている。
×:観測した箇所において、面積比で0.5%未満が黒錆となっている(黒錆が確認されなかった場合も含む。)。
平行板粘度計による23℃における降伏値は上述した方法で測定した。
基油であるペトロラタム100質量部に対して、軟化剤である白ワセリンを70質量部、パラフィンオイルを50質量部、酸化ワックスである酸化ペトロラタムを110質量部加えた。更に充填剤であるタルクを140量部、防錆剤である合成スルフォネートを30質量部、防錆剤であるタンニン酸を0.5質量部加えた複合物を120℃の温度下で羽根つきの攪拌機を用いて1000rpmの速さで10分間撹拌し、防食ペースト(防食ペーストにおけるタンニン酸の含有割合:0.1質量%)を得た。
防食ペーストにおけるタンニン酸の含有割合を下記表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして防食ペーストを得た。
基油であるペトロラタム100質量部に対して、軟化剤である白ワセリンを80質量部、パラフィンオイルを30質量部加えた。更に充填剤であるタルクを90質量部、防錆剤である合成スルフォネートを20質量部、防錆剤であるタンニン酸を3.3質量部加えた複合物を120℃の温度下で羽根つきの攪拌機を用いて1000rpmの速さで10分間撹拌し、防食ペースト(防食ペーストにおけるタンニン酸の含有割合:1.0質量%)を得た。
基油であるペトロラタム100質量部に対して、軟化剤である白ワセリンを80質量部、パラフィンオイルを30質量部加えた。更に充填剤であるタルクを115質量部加えた複合物を120℃の温度下で羽根つきの攪拌機を用いて1000rpmの速さで10分間撹拌し、防食ペーストを得た。
基油であるペトロラタム100質量部に対して、軟化剤である白ワセリンを70質量部、パラフィンオイルを50質量部、酸化ワックスである酸化ペトロラタムを110質量部加えた。更に充填剤であるタルクを140量部量部加えた複合物を120℃の温度下で羽根つきの攪拌機を用いて1000rpmの速さで10分間撹拌し、防食ペーストを得た。
防食コンパウンド及び防食マスチックについて、平行板粘度計による23℃における降伏値を測定した。結果を表2に示す。なお、平行板粘度計による23℃における降伏値は上述した方法で測定した。
防食ペースト(実施例5)、酸化ペトロラタム及びタンニン酸について、酸価及び水酸基価を測定した。結果を表3に示す。なお、酸価及び水酸基価は、上述した方法で測定した。
10:金属製部材、11:フランジ、12:ボルト、13:ナット
Claims (19)
- 酸化ワックスと、防錆剤とを含有し、
酸価が30〜600KOHmg/g、水酸基価が50〜600KOHmg/gであるタンニン酸を前記防錆剤として含有し、前記酸化ワックスの酸価が、1〜300KOHmg/gである、防食ペースト。 - 水酸基価が1〜100KOHmg/gである、請求項1に記載の防食ペースト。
- 平行板粘度計による23℃における降伏値が1〜3000Paである、請求項1又は2に記載の防食ペースト。
- 酸価が1〜100KOHmg/gである、請求項1〜3の何れか1項に記載の防食ペースト。
- 軟化剤を更に含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の防食ペースト。
- 充填剤を更に含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の防食ペースト。
- 2以上の層を有する、防食構造体であって、
金属製部材の表面に接し、請求項1〜6の何れか1項に記載の防食ペーストで形成されている防食ペースト層Aと、
基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食ペースト層Aに積層されている防食シートで形成されている防食シート層Bとを備える、防食構造体。 - 前記基材がポリエステル不織布を有する、請求項7に記載の防食構造体。
- 前記基材の坪量が50〜300g/m2であり、
前記防食コンパウンドは、平行板粘度計による23℃における降伏値が1〜30000Paであり、滴点が30℃〜200℃であり、
前記基材に含浸されている前記防食コンパウンドの量が、300〜5000g/m2である、請求項7又は8に記載の防食構造体。 - 2以上の層を有する、防食構造体であって、
金属製部材の表面に接し、防食ペーストで形成されている防食ペースト層Aと、
基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食ペースト層Aに積層されている防食シートで形成されている防食シート層Bとを備え、
前記防食ペーストは、酸化ワックスと、防錆剤とを含有し、
前記防食ペーストの酸価が1〜100KOHmg/gであり、
前記基材の坪量が50〜300g/m 2 であり、
前記防食コンパウンドは、平行板粘度計による23℃における降伏値が1〜30000Paであり、滴点が30℃〜200℃であり、
前記基材に含浸されている前記防食コンパウンドの量が、300〜5000g/m 2 である、防食構造体。 - 平行板粘度計による23℃における前記防食コンパウンドの降伏値は、平行板粘度計による23℃における前記防食ペーストの降伏値よりも5Pa以上高い、請求項7〜10の何れか1項に記載の防食構造体。
- 2以上の層を有する、防食構造体であって、
金属製部材の表面に接し、防食ペーストで形成されている防食ペースト層Aと、
基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食ペースト層Aに積層されている防食シートで形成されている防食シート層Bとを備え、
前記防食ペーストは、酸化ワックスと、防錆剤とを含有し、
前記防食ペーストの酸価が1〜100KOHmg/gであり、
平行板粘度計による23℃における前記防食コンパウンドの降伏値は、平行板粘度計による23℃における前記防食ペーストの降伏値よりも5Pa以上高い、防食構造体。 - 前記防食シート層Bよりも外側にプラスチックシートで形成されている保護層Cをさらに備える、請求項7〜12の何れか1項に記載の防食構造体。
- 前記保護層Cの厚みの最小値が0.025mm以上であり、前記保護層Cの厚みの最大値が3mm以下であり、前記プラスチックシートの引張弾性率が、1×102〜9×1010Paである、請求項13に記載の防食構造体。
- 前記プラスチックシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、又は、合成ゴムで形成されている、請求項13又は14に記載の防食構造体。
- 前記防食ペースト層Aと前記防食シート層Bとの間に配され、防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dをさらに備える、請求項7〜15の何れか1項に記載の防食構造体。
- 2以上の層を有する、防食構造体であって、
金属製部材の表面に接し、防食ペーストで形成されている防食ペースト層Aと、
基材、及び、該基材に含浸されている防食コンパウンドを有し、前記防食ペースト層Aに積層されている防食シートで形成されている防食シート層Bとを備え、
前記防食ペーストは、酸化ワックスと、防錆剤とを含有し、
前記防食ペーストの酸価が1〜100KOHmg/gであり、
前記防食ペースト層Aと前記防食シート層Bとの間に配され、防食マスチックで形成されている防食マスチック層Dをさらに備える、防食構造体。 - 前記防食マスチックは、平行板粘度計による23℃における降伏値が1〜500000Paである、請求項16又は17に記載の防食構造体。
- 前記金属製部材の表面に前記防食ペーストを塗布して前記防食ペースト層Aを形成し、前記防食ペースト層A上に前記防食シートを積層して前記防食シート層Bを形成することにより、請求項7〜18の何れか1項に記載の防食構造体を作製する、防食構造体の製造方法。
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