JP6378581B2 - タイヤ構成部材の巻取り方法 - Google Patents

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本発明は、複数のゴムシートが貼付けられて構成されているタイヤ構成部材の巻取り方法に関する。
空気入りタイヤの製造においては、リールやボックスによりロール状に巻取られたタイヤ構成部材が多く使用されている。このようなタイヤ構成部材はシート状に成形された後、ライナーを介してロール状に巻取られて作製されるが、このとき、巻取りにより変化する巻取り径に合わせて、ライナーを巻出す際のテンションを制御することにより安定した形状に巻取りを行っていた(例えば、特許文献1)。
このようなタイヤ構成部材に、例えば、インナーライナー(幅広のゴムシート)の両側端部にチェーファー(幅狭のゴムシート)が貼付けられて構成されているアッセンブルインナーライナーなどのように、断面が下駄状になったタイヤ構成部材がある
断面が下駄状になったタイヤ構成部材の例を2種類、図8に示す。図8においては、インナーライナーILの両端側部にチェーファーCFが貼付けられて、断面が下駄状になったアッセンブルインナーライナーが形成されている。
このような断面が下駄状になったタイヤ構成部材を、上記した断面が下駄状になっていないタイヤ構成部材の巻取りと同様にしてロール状に巻取った場合、図9に示すように、チェーファーCFが巻取られた部分が凸状の下駄部A1を形成して、インナーライナーILが巻取られた凹部A2に比べて厚く巻取られて、高低差B1が形成された凹凸形状の巻物となる。なお、図9は、図8(b)に示したアッセンブルインナーライナーを巻取った例である。
このような凹凸形状に巻取られたタイヤ構成部材を次工程以降において巻出そうとすると、下駄部A1が波打った形状に巻出されることがあり、不良タイヤの発生を招くなど生産ロスを招く要因ともなっていた。
特開2008−081225号公報
上記した問題点に鑑み、本発明は、凹凸形状に巻取られたタイヤ構成部材の巻出しに際して、下駄部が波打った形状に巻出されることがなく、生産ロスの発生を抑制することができるタイヤ構成部材の巻取り方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明によれば上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
巻取り断面が凹凸形状を形成するタイヤ構成部材をライナーを介在させた状態で巻取るタイヤ構成部材の巻取り方法であって、
巻取られた前記タイヤ構成部材の前記凹凸形状の高低差を検知する検知工程と、
検知された前記凹凸形状の高低差と前記ライナーに掛かるテンションとの関係に基づいて、前記ライナーの送り出し速度を調整するようにブレーキを制御して、前記ライナーに掛かるテンションを調整することにより、検知された前記高低差を所定範囲に維持する維持工程と
を備えていることを特徴とするタイヤ構成部材の巻取り方法である。
請求項2に記載の発明は、
前記検知工程が、
前記タイヤ構成部材の凸部の高さを検知するセンサーの検知結果と、前記タイヤ構成部材の凹部の高さを検知するセンサーの検知結果とに基づいて、前記凹凸形状の高低差を検知する工程であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法である。
請求項3に記載の発明は、
前記維持工程が、
前記タイヤ構成部材の前記凹凸形状の高低差を20mm以下に維持する維持工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法である。
請求項4に記載の発明は、
前記タイヤ構成部材が、
幅広のシート状ゴム材料の上に、前記幅広のシート状ゴム材料とは異なる幅狭のシート状ゴム材料を貼付けることにより形成されており、
前記幅広のシート状ゴム材料の蛇行に合わせて、前記幅狭のシート状ゴム材料が移動されて貼付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法である。
請求項5に記載の発明は、
前記幅広のシート状ゴム材料と前記幅狭のシート状ゴム材料との貼付けが、
前記幅広のシート状ゴム材料の幅を検出する工程と、
検出された結果に追従して、前記幅狭のシート状ゴム材料を貼付け位置に誘導するガイドを移動させる工程と
により行われていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法である。
本発明によれば、凹凸形状に巻取られたタイヤ構成部材の巻出しに際して、下駄部が波打った形状に巻出されることがなく、生産ロスの発生を抑制することができるタイヤ構成部材の巻取り方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係るタイヤ構成部材の巻取り方法において使用される巻取装置を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るタイヤ構成部材の巻取り方法において使用される巻取装置を示す側面図である。 本発明の一実施の形態に係るタイヤ構成部材の巻取り方法において使用される巻取装置を示す正面図である。 タイヤ構成部材におけるシュリンクを説明する図である。 タイヤ構成部材における貼り付け状態を説明する図である。 従来のタイヤ構成部材の作製に使用される貼付け装置を示す側面図である。 本発明の一実施の形態に係るタイヤ構成部材の巻取り方法において使用される貼付け装置を示す側面図である。 断面が下駄状になったタイヤ構成部材の例を示す断面図である。 断面が下駄状になったタイヤ構成部材を巻取った状態を示す正面図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本実施の形態に係るタイヤ構成部材の巻取り方法において使用される巻取装置を示す斜視図、側面図および正面図である。
図1に示すように、本実施の形態においては、インナーライナーILの両側部にチェーファーCFが貼付けられて断面が凹凸形状に形成されたタイヤ構成部材Aが形成されている。このタイヤ構成部材Aは、図1や図2に示すように、ロール2から供給されるライナーDと貼り合わされることにより、ライナーDを介在させた状態でロール1に巻取られる。このとき、巻取られたタイヤ構成部材Aは、図3に示すように、チェーファーCFが巻取られた部分が下駄部A1とインナーライナーILが巻取られた凹部A2とで凹凸形状の高低差Bを形成する。
以上は、基本的に従来の巻取り方法と同様であるが、本実施の形態においては、この巻取りに際して、センサーS1、S2により、下駄部A1および凹部A2の高さを検出して、凹凸形状の高低差Bを検知し、その検知結果を利用してタイヤ構成部材Aの巻き取りを行っている点において、従来と異なっている。
即ち、従来の巻取り方法においては、前記したように、巻取りにより変化する巻取り径に合わせて、ライナーを巻出す際のテンションを制御することにより巻取りを行っていたため、次工程以降において巻出そうとすると、下駄部A1が波打った形状に巻出されることがあった。
本発明者は、凸状の下駄部A1と凹部A2の高低差B1に着目し、この高低差を適切に制御して巻取りを行った場合、巻出時の波打ちの発生を防止できることを見出した。
具体的には、センサーS1により検出された凸部A1とセンサーS2により検出された凹部A2の高さに基づいて凹凸形状の高低差Bを検知し、ライナーの送り出し速度を調整するようにブレーキ(図示せず)を制御して、検知された高低差を所定範囲、好ましくは20mm以下に維持した場合、巻取られたタイヤ構成部材を巻出した際に波打ちが発生しないことを見出した。
より具体的には、同じ凹凸形状を形成するタイヤ構成部材において、従来は波打ち高さ10mmで巻出されていたものが、本実施の形態を適用することにより波打ち高さが0mmで巻出すことができ、波打ちの発生件数が大きく低減できることが確認できている。
そして、本実施の形態を適用した場合には、巻出されたタイヤ構成部材Aにおいて発生していたシュリンクがなくなることが確認できている。
なお、上記したシュリンクは、図4に示すように、巻出されたタイヤ構成部材Aを定寸に切断した後、チェーファーCFとインナーライナーILとを引きはがした時に発生するインナーライナーILの収縮の程度を示す指標であり、100%に近いほど、波打ちに対して有利であることが分かっている。
以上のように、本実施の形態によれば、凹凸形状に巻取られたタイヤ構成部材の巻出しに際して、下駄部が波打った形状に巻出されることがなく、生産ロスの発生を抑制することができるが、本発明者がさらに検討を進めたところ、タイヤ構成部材自体が、精度高く貼り付けられている場合には、本実施の効果がさらに顕著に発揮されて好ましいことが分かった。
具体的に、例えば、凹凸形状に巻取られたタイヤ構成部材の一例であるアッセンブルインナーライナーは、前記したように、インナーライナーILの両側部にチェーファーCFが貼付けられて作製されるが、チェーファーCFは図5に示すように、所定の位置に継続的に貼り付けられている必要がある。
そこで、従来は、図6に示すような貼付け装置を用いてタイヤ構成部材の貼付けが行われていた。具体的には、図6に示すように、インナー位置調整ロール91、搬送コンベア92を経由して搬送されるインナーライナーILは、搬送コンベア92の上流において、インナー位置認識センサー94により検知されて、搬送されてきたインナーライナーILの位置が適正か否かが観察されている。
搬送されてきたインナーライナーILの位置が適正でないと判断された場合には、インナー位置調整ロール91がインナーライナーILを左右に移動させることにより、インナーライナーILが狙い位置に調整され、搬送コンベア92上を搬送される。
その後、狙い位置で搬送されてきたインナーライナーILに対して、ガイド93を経由して供給されてきたチェーファーCFを貼り付けることによりタイヤ構成部材A(アッセンブルインナーライナー)が作製される。
しかし、従来の方法では、ガイド93は固定されており、巻出されて搬送されてきたインナーライナーILの位置調整のみでは、チェーファーCFの貼り付け精度が高いとは言えないことが分かった。
そこで、本実施の形態においては、図7に示すように、従来と同様の、インナー位置調整ロールP1、搬送コンベアP2を経由して搬送されるインナーライナーILの位置を認識するインナー位置認識センサーP4に加えて、さらに、インナー幅認識センサーP5を設けた。
カメラなどのインナー幅認識センサーP5によりインナーライナーILの幅を検出し、その結果に追従してガイドP3を移動させる。このように、インナー幅認識センサーP5の検出結果をガイドP3の位置調整にフィードバックすることにより、インナーライナーILの蛇行に合わせてガイドP3を追従させることができるため、より高い貼り付け精度を確保することができ、貼付け不良や品質トラブルの発生を大きく低減することができる。
そして、このように、タイヤ構成部材自体を高い貼り付け精度で作製することにより、前記したように、本実施の形態における効果をさらに顕著に発揮させることができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1、2 ロール
91、P1 インナー位置調整ロール
92、P2 搬送コンベア
93、P3 ガイド
94、P4 インナー位置認識センサー
A タイヤ構成部材
A1 下駄部
A2 凹部
B、B1 高低差
CF チェーファー
D ライナー
IL インナーライナー
P5 インナー幅認識センサー
S1、S2 センサー

Claims (5)

  1. 巻取り断面が凹凸形状を形成するタイヤ構成部材をライナーを介在させた状態で巻取るタイヤ構成部材の巻取り方法であって、
    巻取られた前記タイヤ構成部材の前記凹凸形状の高低差を検知する検知工程と、
    検知された前記凹凸形状の高低差と前記ライナーに掛かるテンションとの関係に基づいて、前記ライナーの送り出し速度を調整するようにブレーキを制御して、前記ライナーに掛かるテンションを調整することにより、検知された前記高低差を所定範囲に維持する維持工程と
    を備えていることを特徴とするタイヤ構成部材の巻取り方法。
  2. 前記検知工程が、
    前記タイヤ構成部材の凸部の高さを検知するセンサーの検知結果と、前記タイヤ構成部材の凹部の高さを検知するセンサーの検知結果とに基づいて、前記凹凸形状の高低差を検知する工程であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法。
  3. 前記維持工程が、
    前記タイヤ構成部材の前記凹凸形状の高低差を20mm以下に維持する維持工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法。
  4. 前記タイヤ構成部材が、
    幅広のシート状ゴム材料の上に、前記幅広のシート状ゴム材料とは異なる幅狭のシート状ゴム材料を貼付けることにより形成されており、
    前記幅広のシート状ゴム材料の蛇行に合わせて、前記幅狭のシート状ゴム材料が移動されて貼付けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法。
  5. 前記幅広のシート状ゴム材料と前記幅狭のシート状ゴム材料との貼付けが、
    前記幅広のシート状ゴム材料の幅を検出する工程と、
    検出された結果に追従して、前記幅狭のシート状ゴム材料を貼付け位置に誘導するガイドを移動させる工程と
    により行われていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ構成部材の巻取り方法。
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