[従来の作業のやり直し方法の詳細な説明]
まず、本願発明の詳細な説明を行う前に、従来の作業のやり直し方法について説明する。従来の作業工程が失敗した場合の作業のやり直し方法として、例えば、以下に挙げる3つの方法がある。以下で説明するやり直し方法1と2は、作業指示書を紙文書で運用する製造現場で、やり直し方法3は、作業指示書を電子データで運用する製造現場で行われている。以下に、各やり直し方法において作業に失敗した後の作業手順を説明する。
(やり直し方法1)
1.失敗工程の作業者は、成功分の仕掛品を仕掛品置き場(仕掛品を一時的に置いておく場所)に置き、生産管理者に失敗した旨と失敗数を口頭で報告する。
2.生産管理者は、失敗の報告を受けると、作業指示書に記載されている当初の生産数を失敗数に書き換え、申し送り事項欄に当該ジョブが元のジョブの失敗分であることを記入し、最初の作業工程の作業者に該作業指示書を渡す。尚、ジョブとは、注文や納期などの人間にとって意味のある単位で作業をまとめたものを言う。
3.失敗工程の作業者は、作業指示書の申し送り事項欄を読み、自工程で製造した仕掛品を仕掛品置き場の仕掛品と一緒にして次工程の作業者に渡すのか、あるいは、一緒にせずに自工程で製造した仕掛品のみを次工程の作業者に渡すのか判断する。その上で、仕掛品を次工程に渡す。
(やり直し方法2)
1.失敗工程の作業者は、複写機で作業指示書を1部複製する。
2.失敗工程の作業者は、複製した作業指示書に記載されている当初の生産数を成功数に書き換え、該作業指示書と成功分の仕掛品を次工程の作業者に渡す。
3.失敗工程の作業者は、元の作業指示書の当初の生産数を失敗数に書き換え、該作業指示書を生産管理者に渡す。
4.生産管理者は、最初の作業工程の作業者に該作業指示書を渡す。
5.作業指示書を受け取った作業者は、作業指示書の指示に従い作業を行う。
(やり直し方法3)
IPDSには、印刷機での紙詰まりエラー、印刷データに含まれる予期しないコードによるエラー、前処理あるいは後処理でのエラーなどに対応するエラーコードが規定されている。やり直し方法3では、このエラーコードを用いて印刷現場のやり直し作業を支援する方法である。
1.印刷機は、印刷機で発生した障害に対応するエラーコードをホストPCに送信する。
2.ホストPCは、予め登録されたエラーコードに対応するエラーメッセージの対応表を検索し、受信したエラーコードに対応するエラーメッセージを取得し画面に表示することで作業者に障害の発生を通知する。
3.作業者は、表示されたエラーメッセージを読み、障害を除去するための方法を考え、印刷機の復旧を試みる。
4.印刷機が復旧したら、その作業工程における残りの作業を行う。
しかし、上記の各方法においては以下のような問題点があった。
(やり直し方法1の問題点)
生産管理者が、手作業で作業指示書を修正するため、修正作業が手間であった。また、各作業工程の作業者は、作業指示書の申し送り事項欄を逐一読み、自工程の仕掛品のみを次工程に渡すのか、あるいは、仕掛品置き場の仕掛品と一緒にして次工程に渡すのか判断しなければならないため、作業効率が低下していた。
(やり直し方法2の問題点)
失敗工程の作業者が、手作業で作業指示書をコピーし、元の作業指示書とコピーした作業指示書を修正するため、コピー作業と修正作業が手間であり、更に、作業が中断されるため、作業効率が低下していた。
(やり直し方法3の問題点)
製造支援システムは、作業者に印刷機で発生した障害に対応するエラーメッセージを表示するだけであったため、生産管理者あるいは作業者は、障害の度に失敗分を補い、かつ、成功分の作業工程と不整合なく合流するための作業工程を考えなければならない。よって、生産効率を低下させる原因になっていた。
特許文献1は、仕様の変更があった場合に作業指示データを変更するための技術であり、作業の失敗があった場合に作業工程を変更する技術は開示されていないため、失敗があった場合の作業のやり直しには適さなかった。また、特許文献1では、仕様が変わる度に、生産管理者は仕様変更のあった作業工程を登録しなければならない。このため、特許文献1を作業の失敗のやり直しに適用しようとすると、作業工程で失敗が発生する度に、生産管理者は失敗をやり直すための作業工程を逐一登録しなければならず、生産管理者にとって大きな負担になる。
特許文献2は、製造装置の障害が発生した場合に作業手順を変更する技術であり、作業の失敗があった場合に作業工程を変更する技術は開示されていない。そのため、失敗があった場合のやり直しには適さない。
特許文献2では、製造装置の障害が発生したときに、障害が発生した作業工程を含むそれ以降の作業工程を複製し、この作業工程の前に結合工程と確認工程を追加し、更に作業工程の最後に確認工程と結合工程を追加する。特許文献2を作業工程で失敗した際のやり直しに適用しようとすると、失敗工程を含むそれ以降の作業工程が複製されるため、失敗分の仕掛品を製造することはできない。
特許文献3は、作業工程の作業中に作業手順を変更する指示があった場合に作業手順を変更する技術であって、作業の失敗があった場合に作業工程を変更する技術は開示されていない。そのため、失敗があった場合のやり直しには適さない。
特許文献3は、作業工程の作業中に作業手順を変更する指示があった場合に、現作業工程と次工程の間に、現作業工程と同じ作業内容で担当者を現作業工程の作業者とした作業工程と、次工程と同じ作業内容で担当者を任意とした作業工程とを並列に挿入する。特許文献3を作業工程で失敗した際のやり直しに適用しようとすると、失敗工程と次工程の間に、失敗工程と同じ作業工程と次工程と同じ作業工程が挿入される。すなわち、失敗工程以前の作業工程が実行されないため、失敗分を製造することはできない。
上記の問題点をふまえて、本願発明について説明を行う。
<第一の実施形態>
以下、本発明を適用した第一の実施形態を説明する。先ず、図1を用いて本実施形態に係る印刷管理システムと関連するハードウェアを含む生産管理システムの構成について説明する。
[印刷管理システムと関連するハードウェアを含むシステム構成]
図1において、印刷会社101は、印刷管理システムを運用し、発注者からの注文に対応する印刷物を製造する印刷会社である。サーバ102は、印刷会社101に設置され、本印刷管理システムのプログラムを格納、実行するサーバである。サーバおよび後述する管理者端末、作業者端末、発注者端末の各端末のハードウェア構成については後に図2を用いて説明する。
管理者端末103は、印刷会社101の生産管理者が、注文の受注、生産の管理などを印刷管理システムに入力するための管理者端末である。作業者端末104は、印刷会社101の作業者が、これから作業するジョブの確認、選択、および作業結果の入力を行うための作業者端末である。作業者端末104は、例えば、タッチパネルと表示装置を備え、ほぼ片手で支持できる程度の大きさの薄い板状の計算機であり、タブレット端末やスマートフォンなどのスマートデバイスである。作業者は一人につき一台、あるいは、数人の作業者グループにつき一台の作業者端末104を保持し、作業の間、作業者端末104を介して作業に関する様々な情報を閲覧、操作することができる。
印刷機105は、印刷物を印刷するオフセット印刷機やオンデマンド印刷機などの印刷機である。尚、オフセット印刷機とは、印刷イメージが形成された版を用いて印刷する印刷機である。オンデマンド印刷機とは、デジタル化された印刷データを使って印刷する印刷機である。オンデマンド印刷機の多くは、印刷物を印刷するための印刷設定を記述したプリントチケットなるファイルを読み込み、プリントチケットに記述された指示に従い、印刷物を印刷することができる。また、印刷機はオフセット印刷機やオンデマンド印刷機に限る必要はなく、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、スクリーン印刷機など被印刷物に画像を形成する印刷機であればどのような印刷機でも構わない。印刷機105は、印刷会社に1台あるいは複数台設置されているものとする。
加工機106は、印刷会社の作業者が操作、あるいは、印刷物を加工するための加工設定を記述したジョブチケットなるファイルを読み込み、ジョブチケットに記述された指示に従い、印刷物を加工する。加工機106は、印刷会社に1台あるいは複数台設置されている。加工機の種類としては、くるみ製本機、三方断裁機、折り機などがある。くるみ製本機は、複数ページで構成された本文を表紙でくるみ、背表紙部分を糊付けし、くるみ製本冊子を製造する加工機である。三方断裁機は、印刷物の天地(印刷物の長手方向の上下)および小口(印刷物の背の反対側の端辺)を切り落とす加工機である。折り機は、二つ折りや巻き三つ折り、観音折りなどの印刷物を所定の形態になるように折る加工機である。
発注者環境107は、印刷物を注文する発注者の発注者環境である。印刷物を注文できる環境であれば、発注者環境107が屋内であっても屋外であっても構わない。発注者端末108は、発注者環境107にある発注者端末である。発注者端末108は、デスクトップPCやノートPC、スマートデバイスなど、印刷管理システムに注文を指示することができれば、どのような計算機でも構わない。
インターネット109は、各拠点に存在する計算機を相互に接続するインターネットである。サーバ102〜加工機106は、印刷会社101に敷設されたネットワークに接続され、相互に通信できるものとする。図1においてネットワークに接続された印刷機105や加工機106は、ネットワークを介して動作指示を受けるが、ネットワークに接続する機能がない印刷機や加工機も存在する。そのような印刷機や加工機に対しては、作業者の入力操作によって動作指示が入力される。また、印刷会社101と発注者環境107はインターネット109に接続し、インターネット109を介して相互に通信できるものとする。
[サーバおよび各端末のハードウェア構成]
図2を用いて、サーバ102および各端末(管理者端末103、作業者端末104、発注者端末108)のハードウェア構成例を説明する。
図2において、CPU(Central Processing Unit)201は、記憶装置206に格納された計算機プログラムを読み込み、解釈、実行し、バス209を介して接続された各種部位を制御する中央演算処理装置である。ROM(Read Only Memory)202は、バスに接続されたハードウェアとの低レベルでの入出力制御を行う読み出し専用メモリである。RAM(Random Access Memory)203は、CPU201が演算する際の情報を一時的に記憶するランダムアクセスメモリである。ディスプレイ204は、CPUによる計算結果を表示する。
キーボード205は、ユーザからの入力を受け付ける。但し、端末がスマートデバイスの場合は、タッチパネルを備え、キーボード205は付随していなくてもよい。記憶装置206は、計算に利用するプログラムやデータを格納する。ネットワークI/F207は、ローカルネットワークやイントラネット、インターネットなどのネットワークに接続する。ポインティングデバイス208は、ユーザが画面上で指定した座標を受け付けるマウスやトラックボールなどのポインティングデバイスである。バス209は、CPU201〜ポインティングデバイス208が接続された信号線である。なお、サーバおよび端末は、本発明の主たる要件ではないので、詳細な説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
図3を用いて本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成を説明する。印刷管理システム301は、印刷会社101のサーバ102上で動作する印刷管理システムのプログラムである。製品管理部302は、印刷物の製品仕様や価格、製造方法などの製品に関連する情報(製品情報)を管理する。発注部303は、発注者からの製品閲覧要求への応答、発注者が入力した注文情報の受け付けなどの発注者が印刷物を発注する際に発生する情報の入出力を制御する。
受注部304は、発注者からの注文を一旦預かり、生産管理者に注文の発生を通知し、生産管理者からの注文の受け付け諾否を受け付ける。注文管理部305は、受注した注文に対応する注文情報への入出力を管理する。生産管理部306は、注文管理部305で管理される注文情報のうち、生産ラインに投入された注文情報に対応する生産情報を管理する。作業結果取得部307は、作業者によって入力される各作業工程の作業結果を取得する。変更部308は、作業結果取得部307で取得した作業結果に基づき、注文情報および製品の作業工程を変更する。記憶部309は、製品情報、注文情報、生産情報などの印刷物の製造に関わる情報を記憶する。
なお、指示入力部310、注文処理選択部311、推奨処理記憶部312、指示生成部313、判断情報生成部314、および情報収集部315は、第二の実施形態以降の実施形態にて用いられる構成要素であり、詳細については、各実施形態の説明の中で述べる。
発注者端末320は、発注者が扱う端末装置である。制御部321は、発注者端末320で入出力される情報および命令を制御する。表示部322は、制御部321からの指示に従い情報の処理結果をディスプレイ204に表示する。入力部323は、発注者からの入力操作を受け付け、制御部321に操作情報を受け渡す。
管理者端末330は、印刷会社の生産管理者が扱う端末装置である。作業者端末340は、印刷会社の作業者が扱う端末装置である。管理者端末330および作業者端末340の論理構成は、発注者端末320と同じであるとし、説明は省略する。
印刷機350は、印刷会社に設置された印刷機である。印刷部351は、作業者あるいはプリントチケットからの印刷指示に従い印刷データを印刷用紙に印刷する。加工機360は、印刷会社に設置された加工機である。加工部361は、作業者あるいはジョブチケットからの加工指示に従い印刷物を加工する。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
製品情報の登録から製品の配送までの印刷業務の全体的な流れをくるみ製本冊子を製造する場合を例に、図4に示すシーケンス図を用いて説明する。以下に示す各処理は、印刷管理システム、もしくは、管理者および作業者が扱う端末のCPUがROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
図4において、ライフライン401〜407はそれぞれ、処理の主体である発注者、印刷管理システム、生産管理者、表紙印刷作業者、本文印刷作業者、くるみ製本作業者、三方断裁作業者のライフラインを表す。また、ライフライン間を横切る矢印、および同一ライフライン上で回転する円弧状の矢印はメッセージ(もしくはデータ)を表す。例えば、S101の矢印であれば、生産管理者から印刷管理システムへ送られた、製品情報を登録するメッセージを表す。また、S108の円弧状の矢印であれば、表紙印刷作業者の印刷指示によって印刷機が表紙の印刷データを印刷することを表す。
以下、S101〜S140の各ステップを用いて、印刷業務の流れを説明する。
S101において、製品管理部302は、発注者が製品を注文するために必要な情報の登録を生産管理者から受け付ける。製品管理部302は、生産管理者から製品登録の要求を受け取ると、製品情報と製品に関連する情報(以下、製品関連情報と称す)を生産管理者に入力させるための製品登録画面を管理者端末330の表示部(不図示)に表示する。生産管理者は、製品登録画面に製品情報と製品関連情報を入力する。製品情報と製品関連情報について、図5(a)〜(d)に示すデータ構造を用いて説明する。
図5(a)は、各作業工程の作業内容を表す作業工程テーブルである。作業工程テーブルには、各作業工程を識別するための作業工程番号、その作業工程の呼称である作業工程名、およびその作業工程の作業内容が登録される。作業内容としては、その作業工程で使用する印刷機や加工機、用紙のサイズ、紙種、印刷面、印刷色、開き方向などのその作業工程で作業をする上で必要な情報が格納される。
図5(b)は、各製品の仕様(製品仕様)に関する情報(製品仕様情報)を表す製品仕様テーブルである。製品仕様テーブルには、各製品仕様を識別するための製品仕様番号、その製品仕様の呼称である製品仕様名、その製品仕様の製品を製造するための作業工程の作業工程番号、およびその作業工程の作業順序を示す連結情報が格納される。連結情報は、先行の作業工程と後続の作業工程の組で表現される。
製品仕様の例を、図5(c)を用いて説明する。製品仕様が、例えば、くるみ製本冊子の場合、くるみ製本冊子を製造するためには、先ず、表紙と本文を印刷した後、本文を表紙でくるみ、用紙の不要部分を断裁する。図5(c)のツリー構造は、図5(b)のくるみ製本冊子を製造する作業順序を示す。表紙印刷工程501は、作業工程番号WP001の表紙印刷工程である。本文印刷工程502は、作業工程番号WP002の本文印刷工程である。くるみ製本工程503は、作業工程番号WP003のくるみ製本工程である。三方断裁工程504は、作業工程番号WP004の三方断裁工程である。
連結線505は、表紙印刷工程501とくるみ製本工程503を連結する連結線である。連結線505は、表紙印刷工程501での作業が完了したら、次工程であるくるみ製本工程503に仕掛品を渡すことを表す。連結線506は、本文印刷工程502とくるみ製本工程503を連結する連結線である。連結線506は、本文印刷工程502での作業が完了したら、次工程であるくるみ製本工程503に仕掛品を渡すことを表す。連結線507は、くるみ製本工程503と三方断裁工程504を連結する連結線である。連結線507は、くるみ製本工程503での作業が完了したら、次工程である三方断裁工程504に仕掛品を渡すことを表す。
図5(d)は、各製品の属性に関する情報を表す製品テーブルである。製品テーブルには、各製品を識別するための製品番号、その製品の呼称である製品名、1部当たりの単価、仕上りサイズ、およびその製品に対応する製品仕様の製品仕様番号が登録される。尚、製品の価格情報は、1部当たりの単価に限る必要はなく、100部や1000部などのあるまとまりを単位とした価格でも良く、製品の価格を示す情報であればどのような情報でも構わない。
また、生産管理者により製品情報および製品関連情報を入力させる手段は、管理者端末330の表示部(不図示)にユーザインターフェース(UI)画面を表示し、その画面を介して対話的に入力させるような方法であっても良い。また、作業工程テーブルなどの各テーブルを生産管理者がテキストファイルに予め記述しておき、そのテキストファイルを印刷管理システムに読み込ませるような方法であっても良い。製品情報および製品関連情報が印刷管理システムに登録されれば、どのような方法であっても良い。
S102において、発注部303は、発注者からの製品の注文情報の入力を受け付ける。注文情報の例を、図5(e)を用いて説明する。図5(e)は、発注者からの注文に対応する注文情報を格納する注文テーブルである。注文テーブルには、各注文を識別するための注文番号、その注文の呼称である注文名、注文を受注した受注日、注文の納品日、注文を発注した発注者の氏名、発送先、連絡先を表す発注者情報、発注者が入稿した入稿ファイル、注文に含まれる注文明細の注文明細番号、その注文に対応する生産情報の生産番号、およびその注文に対応する製品の製品番号が格納される。
注文明細の例を、図5(f)を用いて説明する。図5(f)は、注文情報に含まれる注文明細情報を格納する注文明細テーブルである。注文明細テーブルには、各注文明細を識別するための注文明細番号、その注文明細の生産部数を表す部数、製品の単価と前記部数を乗算することで算出されるその注文明細の料金、注文明細が属する注文の注文番号、注文明細に対応する製品情報の製品番号、および注文明細のステータスを表す注文明細ステータスが格納される。
次に、発注者が注文情報を入力するための発注画面の例について、図6を用いて説明する。発注画面601は、発注者端末320の表示部322に表示される発注画面である。発注画面601は、製品メニュー602と印刷仕様および発注者情報を入力する部分で構成される。
製品メニュー602は、生産管理者によって登録された製品のカテゴリを発注者に選択させるためのメニューである。製品メニュー602は、葉書、チラシ、冊子、ポスターなどの印刷物の特徴ごとに分類した製品カテゴリボタンを備える。製品カテゴリボタンは、小分類を備え、製品カテゴリボタンが発注者に押下されることにより、表示される。小分類は、例えば、冊子カテゴリであれば、くるみ製本、中綴じ、無線綴じなどがある。
くるみ製本ボタン603は、冊子カテゴリに属するくるみ製本ボタンである。くるみ製本ボタン603が、発注者による押下を受け付けると、発注部303は、くるみ製本冊子に対応する入力欄を発注画面601に表示する。以下に示す入力部は、リスト、ラジオボタン、ボタン、文字入力領域などにより表現されるコントロールとなる。
用紙サイズ選択部604は、発注者に印刷物の用紙サイズを選択させる入力部である。表紙紙種選択部605は、発注者に表紙の紙種を選択させる入力部である。本文紙種選択部606は、発注者に本文の紙種を選択させる入力部である。ページ選択部607は、発注者に本文のページ数を選択させる入力部である。印刷面選択部608は、発注者に印刷面の種別(両面印刷あるいは片面印刷)を選択させる入力部である。印刷色選択部609は、発注者に印刷色の種別(カラーあるいはモノクロ)を選択させる入力部である。印刷色の種別は、カラーやモノクロに限る必要はなく、1色、2色、3色など印刷に使用する色数を選択させるようにしても良い。
開き方向選択部610は、発注者に印刷物の開き方向を選択させる入力部である。入稿ファイル名入力部611は、発注者に入稿ファイルのファイル名を入力させる入力部である。ファイル参照ボタン612は、発注者端末320に保存されているファイルの一覧を表示し、一覧の中から入稿ファイルを発注者に指定させるためのボタンである。部数入力部613は、発注者に印刷物の生産部数を入力させる入力部である。納期選択部614は、発注者に印刷物の納期を選択させる入力部である。
料金表示部615は、発注者が入力した印刷仕様に対応する印刷物の料金を表示する表示部である。発注者名入力部616は、発注者に発注者の氏名を入力させる入力部である。配送先入力部617は、発注者に印刷物の配送先を入力させる入力部である。連絡先入力部618は、発注者に発注者の連絡先を入力させる入力部である。発注ボタン619は、発注者による発注の決定を受け付けるためのボタンである。発注部303は、発注者による発注ボタン619の押下を受け付けると、注文番号と注文明細番号を採番し、発注画面で入力された情報から注文情報と注文明細情報を生成し、注文テーブルおよび注文明細テーブルにそれぞれ格納する。キャンセルボタン620は、注文の作成を取り消すためのボタンである。発注部303は、発注者によるキャンセルボタン620の押下を受け付けると、発注画面を閉じる。
S103において、注文管理部305は、生産管理者からの注文一覧取得要求を受け取ると、管理者端末330の表示部(不図示)に注文の一覧を表示する。具体的には、管理者端末330は、注文テーブル、注文明細テーブルから情報を読み込み、注文ごとに読み込んだ情報を表示する。管理者端末330の表示部(不図示)に表示される注文一覧画面の例を図7(a)に示す。図7(a)の注文一覧画面701は、注文の一覧を表す画面である。注文一覧702は、注文の一覧を示し、各注文について、生産管理者に受注の諾否を選択させる受注選択欄、注文番号、受注日、納品日、注文名、部数、および料金を表示する。受注ボタン703は、生産管理者による注文の受注許可の決定を受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン704は、生産管理者により注文一覧画面701にてなされた操作を取り消すためのボタンである。
S104において、受注部304は、生産管理者から注文の受注許可を受け付ける。受注許可は、受注ボタン703の押下により受注部304に通知される。受注部304は、受注許可を受け付けると、注文一覧702の受注選択欄で選択された注文に対応する注文明細の注文明細ステータスを「受注済み」に設定する。また、受注部304は、生産番号を採番し、生産情報を生成し、生産テーブルに格納する。
S105において、生産管理部306は、生産管理者からの生産一覧取得要求を受け取ると、管理者端末330の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。管理者端末330の表示部(不図示)に表示される生産一覧画面の例を図7(b)に示す。図7(b)の生産一覧画面801は、生産情報の一覧を表す画面である。生産一覧802は、生産情報の一覧を示し、各生産情報について、生産管理者に生産開始の諾否を選択させる生産開始選択欄、生産番号、納品日、製品名、注文明細番号、部数、および生産ステータスを表示する。生産開始ボタン803は、生産管理者による生産開始許可の決定を受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン804は、生産管理者により生産一覧画面801になされた操作を取り消すためのボタンである。
生産管理部306は、生産管理者による生産開始ボタン803の押下を受け付けると、図5(g)に示す生産テーブルに当該注文の生産状況を管理するための生産情報を登録する。生産テーブルには、各生産情報を識別するための生産番号、その生産情報に対応するジョブの生産ステータス、その生産情報に対応する注文明細番号、製品番号、作業結果、作業に失敗したときの失敗理由、失敗部数、合流工程、および生産部数が格納される。作業結果の格納領域には、各作業工程における「作業着手」、「未着手」、「成功」、「失敗」を表す記号が格納される。生産テーブルに生産情報が追加された時点では、各作業工程の作業結果欄は「未着手」を表す記号が初期値として格納される。失敗理由、失敗部数、注文明細番号、生産部数の格納領域も同様に、各作業工程に対応する失敗理由、失敗部数、注文明細番号、および生産部数がそれぞれ格納される。合流工程の格納領域には、作業者が指定した作業工程番号が格納される。
S106において、生産管理部306は、表紙印刷作業者からの生産一覧取得要求を受け取ると、表紙印刷作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。作業者端末340の表示部(不図示)に表示される生産一覧画面の例を図7(c)に示す。図7(c)の生産一覧画面901は、生産情報の一覧を表す画面である。生産一覧902は、生産情報の一覧を示し、各生産情報について、作業者が生産詳細を確認したい生産情報を選択させる生産情報選択欄、生産番号、納品日、製品名、注文明細番号、および部数を表示する。生産詳細確認ボタン903は、作業者による生産情報選択欄の選択の決定を受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン904は、作業者により生産一覧画面901になされた操作の取り消しを受け付けるためのボタンである。
S107において、生産管理部306は、生産詳細情報を表紙印刷作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に表示する。作業者端末340の表示部(不図示)に表示される生産詳細画面の例を図8(a)に示す。図8(a)の生産詳細画面1001は、作業者が選択したジョブの詳細情報を表示する画面である。作業工程表示部1002は、当該印刷物を製造するための作業工程を表す表示部である。尚、当該作業者が担当する作業工程が一瞥して分かるように、担当する作業工程がハイライトされる。本作業工程は、表紙印刷工程であるので、表紙印刷工程の枠がハイライトされる。なお、担当する作業工程が明確に認識できれば、例えば点滅など他の表示方法であっても構わない。
印刷機名表示部1003は、当該作業工程で使用する印刷機名を表示する表示部である。紙種表示部1004は、印刷物の紙種を表示する表示部である。用紙サイズ表示部1005は、印刷物の用紙サイズを表示する表示部である。サイズ幅表示部1006は、印刷物の仕上がりサイズ幅を表示する表示部である。サイズ高さ表示部1007は、印刷物の仕上がりサイズ高さを表示する表示部である。印刷面表示部1008は、印刷物の印刷面を表示する表示部である。印刷色表示部1009は、印刷物の印刷色を表示する表示部である。部数表示部1010は、当該作業工程で生産する印刷物の部数を表示する表示部である。
作業開始ボタン1011は、作業者による当該作業工程の作業の開始の指示を受け付けるためのボタンである。生産管理部306は、作業開始ボタン1011の押下を受け付けると、生産テーブルの生産ステータスに現作業工程の作業工程番号を格納する。印刷機がプリントチケットに対応している場合、生産管理部306は、注文情報、注文明細情報、生産情報、製品情報、製品仕様情報に設定された各種の情報に基づき、プリントチケットを生成する。ここでの印刷機がプリントチケットに対応している場合とは、具体的には、印刷機がプリントチケットを受け取り該プリントチケットに記述された印刷設定を解釈し印刷設定に記述された通りの印刷を実行できる場合をいう。生産管理部306は、生成したプリントチケットと入稿ファイルを印刷機に送信し、印刷機に印刷の実行を指示する。
尚、入稿ファイルは、面付け済みで、印刷機が解釈できるフォーマットに則って記述された印刷データとする。面付けは、製本や断裁などの加工を行ったときにページ順や天地左右が正しく並ぶように配置することであり、発注者が行っても良いし、発注画面から入稿された入稿ファイルを生産管理者あるいは作業者が開き、編集ソフトウェアで行っても良い。あるいは、入稿された入稿ファイルを自動で開き面付けを行う面付けソフトウェアによって面付けを行わせても良く、何らかの面付け手段で適時面付けが行われていれば良い。
作業結果入力ボタン1012は、作業者からの作業結果入力要求を受け付けるためのボタンである。生産管理部306は、作業結果入力ボタン1012の押下を受け付けると、作業者端末340の表示部(不図示)に作業結果入力画面を表示する。作業結果入力画面は、作業の成否を作業者に選択させる成功ラジオボタンと失敗ラジオボタン、選択を確定するためのOKボタン、および作業結果入力画面での操作を取り消して作業結果入力画面を閉じるキャンセルボタンを備える。作業者は、作業が生産詳細画面の指示通りに全て終わった場合には成功ラジオボタンを選択し、反対に、作業が生産詳細画面の指示通りに終わらなかった場合には失敗ラジオボタンを選択する。
キャンセルボタン1013は、生産詳細画面1001を閉じるためのボタンである。
S108において、印刷部351は、表紙印刷作業者あるいはプリントチケットによって設定された印刷設定を用い、表紙印刷作業者の印刷指示に応じて印刷データを印刷する。
S109において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された作業結果を取得する。作業結果は、作業結果入力画面のOKボタンが作業者によって押下されることで作業結果取得部307に送信される。作業結果取得部307は、作業結果を受け取ると、生産テーブルの作業結果の格納領域に作業結果を格納する。作業が成功した場合には、作業結果取得部307は、対応する作業工程番号の作業結果欄に「成功」を表す記号を格納する。他方、作業が失敗した場合には、作業結果取得部307は、対応する作業工程番号の作業結果欄に「失敗」を表す記号を格納する。本例における表紙印刷工程では、作業が指示通りに完了したものとして、成功ラジオボタンが選択されるものとする。作業に失敗した場合の処理については、後述するくるみ製本工程において説明する。
S106〜S109の処理は、表紙印刷工程での処理である。続くS110〜S113の処理は、本文印刷工程での処理である。S106〜S109と、S110〜S113とは、生産一覧画面、生産詳細画面、および作業結果入力画面の操作者、使用する印刷機、および印刷物の印刷仕様などは異なるが、処理の流れはほぼ同じなので、詳細な説明は省略する。
S114において、生産管理部306は、くるみ製本作業者からの生産一覧取得要求を受け取ると、くるみ製本作業者が持つ作業者端末340の表示部に生産情報の一覧を表示する。作業者端末340の表示部に表示される生産一覧画面の例を図8(b)に示す。図8(b)の生産一覧画面1101は、生産情報の一覧を表す画面である。生産情報一覧1102は、生産情報の一覧を示し、各ジョブについて、作業者が生産詳細を確認したいジョブを選択させるジョブ選択欄、生産番号、納品日、製品名、注文明細番号、および部数を表示する。生産詳細確認ボタン1103は、作業者によるジョブ選択欄の選択の決定を受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン1104は、作業者により生産一覧画面1101になされた操作の取り消しを受け付けるためのボタンである。
S115において、生産管理部306は、生産詳細情報をくるみ製本作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に表示する。作業者端末340の表示部(不図示)に表示される生産詳細画面の例を図8(c)に示す。図8(c)の生産詳細画面1201は、作業者が選択したジョブの詳細情報を表示する画面である。作業工程表示部1202は、当該印刷物を製造するための作業工程を表す表示部である。尚、当該作業者が担当する作業工程が一瞥して分かるように、担当する作業工程がハイライトされる。本作業工程は、くるみ製本工程であるので、くるみ製本工程の枠がハイライトされる。なお担当する作業工程の表示方法はこれに限定するものではなく、例えば矢印で示すなど他の方法であっても構わない。
加工機名表示部1203は、当該作業工程で使用する加工機名を表示する表示部である。仕上がりサイズ幅表示部1204は、印刷物の仕上がりサイズ幅を表示する表示部である。仕上がりサイズ高さ表示部1205は、印刷物の仕上がりサイズ高さを表示する表示部である。部数表示部1206は、当該作業工程で生産する印刷物の部数を表示する表示部である。
作業開始ボタン1207は、作業者による当該作業工程の作業の開始の指示を受け付けるためのボタンである。加工機がジョブチケットに対応している場合、生産管理部306は、注文情報、注文明細情報、生産情報、製品情報、製品仕様情報に設定された各種の情報に基づき、ジョブチケットを生成する。ここでの加工機がジョブチケットに対応している場合とは、具体的には、加工機がジョブチケットを受け取り該ジョブチケットに記述された加工設定を解釈し、加工設定に記述された通りの加工を実行できる場合をいう。生産管理部306は、生成したジョブチケットを加工機に送信し、加工機に載置された加工対象の印刷物に対する加工を指示する。
作業結果入力ボタン1208は、作業者からの作業結果入力要求を受け付けるためのボタンである。生産管理部306は、作業結果入力ボタン1208の押下を受け付けると、作業者端末340の表示部(不図示)に作業結果入力画面を表示する。作業結果入力画面は、作業の成否を作業者に選択させる成功ラジオボタンと失敗ラジオボタン、選択を確定するためのOKボタン、および作業結果入力画面での操作を取り消して作業結果入力画面を閉じるためのキャンセルボタンを備える。作業が生産詳細画面の指示通りに全て終わった場合には、作業者は、成功ラジオボタンを選択する。反対に、作業が生産詳細画面の指示通りに終わらなかった場合には、作業者は、失敗ラジオボタンを選択する。
キャンセルボタン1209は、生産詳細画面を閉じるためのボタンである。
S116において、加工部361は、くるみ製本作業者あるいはジョブチケットによって設定された加工設定を用い、くるみ製本作業者の加工指示によって印刷物を加工する。
S117において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された作業結果を取得する。作業者に作業結果を入力させる作業結果入力画面の例を、図8(d)を用いて説明する。図8(d)の作業結果入力画面1301は、作業者からの作業結果の入力を受け付ける受付手段としての画面である。成功ラジオボタン1302は、作業が成功したことを示すラジオボタンである。失敗ラジオボタン1303は、作業が失敗したことを示すラジオボタンである。作業者の入力ミスを防止するため、失敗ラジオボタン1303が選択されるまでは失敗部数入力部1304、失敗理由入力部1305、および合流工程指定部1306は、入力および選択不可状態とする。そして、失敗ラジオボタン1303が選択されたことに応じてこれらの入力部が入力可能として活性化するものとする。
失敗部数入力部1304は、作業者からの失敗部数の入力を受け付ける入力部である。失敗理由入力部1305は、作業者からの作業の失敗理由を受け付ける入力部である。失敗理由入力部1305においては、文字列入力が可能であっても良いし、予め定義された項目の中から選択させるようにしても良い。
合流工程指定部1306は、失敗分の印刷物を成功分の印刷物と合流させる合流工程の位置を作業者に指定させる入力部である。成功分の印刷物は、少なくとも失敗工程以降の作業場所か仕掛品置き場に置かれているため、合流工程指定部1306にて表示される合流工程の選択肢としての作業工程は、失敗が生じた作業工程以降の作業工程となる。作業結果取得部307は、現作業工程がどの作業工程であるかは、生産テーブルの生産ステータスを参照することにより特定できる。したがって、作業結果取得部307は、製品仕様テーブルの連結情報から後続の作業工程を検索し、失敗工程およびそれ以降の作業工程名を合流工程の選択肢として合流工程指定部1306に表示する。ここで、「失敗分の印刷物」とは、作業に失敗した分の失敗部数を補うための印刷物(製品の部品)を意味し、以下の説明において、特に断らない限りこの意味で使用する。
OKボタン1307は、作業者による作業結果の確定を受け付けるためのボタンである。作業結果取得部307は、作業者によるOKボタン1307の押下を受け付けると、作業結果、失敗理由、失敗部数、および合流工程を追加する作業工程番号を生産テーブルに格納する。キャンセルボタン1308は、作業者により作業結果入力画面1301になされた操作を取り消し、作業結果入力画面1301を閉じるためのボタンである。
前述のS108の表紙印刷工程とS112の本文印刷工程では、作業が指示通りに完了したものとして説明したが、S116のくるみ製本工程では、作業が失敗したものとする。くるみ製本工程での失敗例としては、例えば、次のようなものがある。表紙と本文を糊付けする際に糊量が多すぎるために接着面から糊が大量にはみ出て、はみ出た箇所が汚くなってしまう場合がある。逆に、糊量が少なすぎるために接着強度が弱く、本文が表紙から脱落してしまう場合がある。
また、くるみ製本冊子では、表紙と本文の接着強度を上げるために本文の接着面側の小口を毛羽立つ程度に削るが、削り量が多すぎると仕上りサイズの幅が小さくなり、印刷仕様とは異なる印刷物ができてしまう場合がある。逆に、削り量が少なく十分な毛羽立ちが確保できないと、やはり、接着強度が上がらず、本文が表紙から脱落してしまう場合がある。また、表紙と本文をくるみ製本機に投入した際に、表紙もしくは本文の一部がくるみ製本機の可動部分に挟まり、折れや破れが発生する場合がある。また、表紙と本文をくるみ製本機に投入時あるいは投入後に、表紙と本文あるいは本文の一部がずれてしまい、そのまま接着されると表紙あるいは本文がずれた印刷物ができてしまう場合がある。これらのような失敗が発生した場合には、失敗により損失のあった部材(ここでは、表紙および本文)を製造する作業工程をやり直す必要がある。
S118において、変更部308は、失敗工程を含む注文明細を分割する。注文明細の分割方法については、図10(a)を用いて後述する。S119において、変更部308は、失敗工程を含む作業工程を変更する。作業工程の変更方法については、図10(b)を用いて後述する。
S120において、生産管理部306は、生産管理者からの生産一覧取得要求を受け取ると、管理者端末330の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。生産一覧取得要求を受け取るための方法としては、変更部308が、生産テーブルの更新を完了したときに、更新が完了したことを表す更新完了情報を管理者端末330の制御部(不図示)に送信する。そして、更新完了情報を受信した管理者端末330の制御部(不図示)が、管理者端末330の表示部(不図示)に更新完了の旨を表すメッセージを表示し、そのメッセージを確認した後、生産管理者が生産一覧取得要求を出すようにしても良い。
その他の方法として、生産管理者が、操業中は生産一覧画面を常時起動しておき、生産一覧画面が一定間隔で生産テーブルの更新を監視する。そして、更新があった場合に、生産管理者が生産管理部306に生産一覧取得要求を送信して生産一覧画面を更新すると共に、更新があった旨を表すメッセージを管理者端末330の表示部(不図示)に表示する。そして、そのメッセージを確認した後、生産管理者が生産一覧取得要求を出すようにしても良い。また、生産管理者は一定間隔で生産一覧を更新するような運用ルールを設けて、生産テーブルの更新を知った後に生産一覧取得要求を出すようにしても良い。さらには、生産テーブルの更新を生産管理者が知ることができ、生産管理者が生産一覧取得要求を出すことができれば、どのような方法であっても構わない。
図9に、管理者端末330の表示部(不図示)に表示される、生産テーブル更新後の生産一覧画面の例を示す。図9の生産一覧画面1401は、生産情報の一覧を表す画面である。生産情報一覧1402は、生産情報の一覧を表す。生産開始ボタン1403は、生産開始選択欄で選択された生産管理者による生産情報の生産開始許可の決定を受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン1404は、生産管理者により生産一覧画面1401になされた操作を取り消すためのボタンである。
図9において、変更部308による注文明細テーブルと生産テーブルの変更により、元の生産番号P001が削除され、代替の生産番号P101、P102が追加されている。生産番号P102は、生産ステータスが「生産待ち」で、生産開始選択欄が選択可能状態で表示される。このように表示することで、生産管理者に失敗分の生産情報をどのタイミングで生産ラインに投入するか指示させることができる。
S121〜S124において、印刷管理システム301は、表紙印刷作業者に失敗分の表紙を印刷させる。つまり、失敗した分の部品である表紙に対して作業工程を再度実行することにより、これらの部品を再度生産させている。処理の内容は、前述のS106〜S109と同じであるため、説明は省略する。S125〜S128において、印刷管理システム301は、本文印刷作業者に失敗分の本文を印刷させる。つまり、失敗した分の部品である本文に対して作業工程を再度実行することにより、これらの部品を再度生産させている。処理の内容は、前述のS110〜S113と同じであるため、説明は省略する。S129〜S132において、印刷管理システム301は、くるみ製本作業者に失敗分の印刷物を製本させる。処理の内容は、前述のS114〜S117と同じであるため、説明は省略する。
前述のS116では、作業に失敗したと仮定したため、S117では、作業者により失敗ラジオボタン1303が選択された。しかし、S131では、作業に成功したものとし、S132では、作業者により成功ラジオボタン1302が選択されるものとする。
S133において、生産管理部306は、失敗分の印刷物と成功分の印刷物をまとめて次工程に渡す指示をくるみ製本作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に表示する。S134において、くるみ製本作業者は、失敗分の印刷物と成功分の印刷物をまとめて次工程に渡す。
S135において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された合流工程の作業結果を取得する。ここでは、作業は成功したものとし、「成功」を表す記号が取得される。作業結果取得部307は、生産テーブルにおいて、生産番号P101の生産ステータスに「WP004」を設定し、WP005の作業結果に「成功」を表す記号を設定し、失敗部数に「0」を設定する。また、作業結果取得部307は、生産テーブルにおいて、生産番号P102の生産ステータスに「生産完了」を表す記号を設定し、WP005の作業結果に「成功」を表す記号を設定し、失敗部数に「0」を設定する。
S136において、生産管理部306は、三方断裁作業者からの生産一覧取得要求を受け取ると、三方断裁作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。表示する生産一覧画面の項目は、図8(b)に示した生産一覧画面と同じであるが、各項目の内容は、三方断裁作業者向けの内容である。ここでは、三方断裁工程をその作業工程に含む生産番号P101が少なくとも表示される。
S137において、生産管理部306は、生産詳細情報を三方断裁作業者が扱う作業者端末340の表示部(不図示)に表示する。表示する生産詳細画面は、図8(a)や図8(c)のように、現作業工程を作業者に識別させる作業工程表示、作業内容を作業者に認知させる作業内容表示、作業開始ボタン、作業結果入力ボタン、およびキャンセルボタンを備える。もちろん、表示される作業内容は、三方断裁作業者向けの作業内容であることは言うまでもない。
S138において、加工部361は、三方断裁作業者によって設定された加工設定を用いて、三方断裁作業者の加工指示によって印刷物を断裁する。
S139において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された作業結果を取得する。ここでは、作業は成功したものとし、「成功」を表す記号が取得される。作業結果取得部307は、生産番号P101の生産ステータスに「生産完了」を表す記号を設定し、WP004の作業結果に「成功」を表す記号を、失敗部数に「0」を設定する。最後に、S140において、印刷物が発注者に配送される。
以上のような流れで、製造された印刷物が発注者に届けられる。
[注文明細の分割処理]
次に、前述のS118で行う注文明細の分割処理について、図10(a)を用いて、以下に説明する。
S201において、変更部308は、元の注文明細情報から成功分の注文明細情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文明細番号を採番し、注文明細情報を注文明細テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文明細情報の注文明細番号を除く各項目に、元の注文明細情報の各項目の内容を複製する。複製が完了したこの注文明細情報を成功分の注文明細とする。
S202において、変更部308は、元の注文明細情報から失敗分の注文明細情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文明細番号を採番し、注文明細情報を注文明細テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文明細情報の注文明細番号を除く各項目に、元の注文明細情報の各項目の内容を複製する。複製が完了したこの注文明細情報を失敗分の注文明細とする。
S203において、変更部308は、注文明細テーブルから元の注文明細情報を削除する。S204において、変更部308は、当該注文情報の注文明細番号格納領域から元の注文明細情報番号を削除する。S205において、変更部308は、当該注文情報の注文明細番号格納領域に成功分と失敗分の注文明細番号を格納する。
[作業工程の変更処理]
次に、前述のS119で行う作業工程の変更処理について、図10(b)を用いて、以下に説明する。
S301において、変更部308は、作業工程テーブルに合流工程を追加する。具体的には、変更部308は、新規に作業工程番号を採番し、作業工程情報を作業工程テーブルに追加する。変更部308は、追加した作業工程情報の作業工程名に、「合流工程」の文字列を格納する。
S302において、変更部308は、元の製品仕様情報から成功分の製品仕様情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に製品仕様番号を採番し、製品仕様情報を製品仕様テーブルに追加する。変更部308は、追加した製品仕様情報の製品仕様番号以外の各項目に、元の製品仕様情報の各項目の内容を複製する。次に、変更部308は、作業工程番号の格納領域に合流工程の作業工程番号WP005を追加する。そして、変更部308は、連結情報の格納領域を検索し、前工程がWP003である連結情報を取得する。変更部308は、取得した連結情報を複製し、一つは、後工程を「WP005」に書き換え、もう一つは、前工程を「WP005」に書き換える。具体的には、連結情報<WP003,WP004>が取得された場合には、連結情報<WP003,WP005>、<WP005,WP004>として書き換えられる。連結情報の書き換えが完了したこの製品仕様情報を成功分の製品仕様情報とする。
S303において、変更部308は、元の製品仕様情報から失敗分の製品仕様情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に製品仕様番号を採番し、製品仕様情報を製品仕様テーブルに追加する。変更部308は、追加した製品仕様情報の製品仕様番号以外の各項目に、元の製品仕様情報の各項目の内容を複製する。次に、変更部308は、作業工程番号の格納領域から失敗工程より下流の作業工程番号を削除するとともに合流工程の作業工程番号WP005を追加する。そして、変更部308は、連結情報の格納領域を検索し、前工程がWP003の連結情報を取得する。変更部308は、取得した連結情報の後工程を「WP005」に書き換える。連結情報の書き換えが完了したこの製品仕様情報を失敗分の製品仕様情報とする。
S304において、変更部308は、元の製品情報から新規に製品情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に製品番号を採番し、製品情報を製品テーブルに追加する。変更部308は、追加した製品情報の製品番号と製品仕様番号を除く各項目に、元の製品情報の各項目の内容を複製する。そして、変更部308は、製品仕様番号の格納領域にS302とS303で生成した製品仕様情報の製品仕様番号を格納する。
S305において、変更部308は、元の生産情報から成功分の生産情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に生産番号を採番し、生産情報を生産テーブルに追加する。変更部308は、追加した生産情報の生産番号以外の各項目に、元の生産情報の各項目の内容を複製する。そして、変更部308は、この生産情報の作業結果、失敗部数、注文明細番号、および部数の各格納領域に合流工程の各情報を格納するための格納領域を追加する。変更部308は、追加した格納領域にそれぞれ、「未着手」を表す記号、値が設定されていないことを表す記号「−」、成功分の注文明細番号(ここでは「OD001002」)、および元の生産部数(ここでは「100」)を格納する。また、変更部308は、合流工程の格納領域に「−」を格納する。さらに、変更部308は、注文明細番号の格納領域に格納されている各作業工程に関連する注文明細番号を成功分の注文明細番号OD001002に書き換える。
S306において、変更部308は、元の生産情報から失敗分の生産情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に生産番号を採番し、生産情報を生産テーブルに追加する。変更部308は、追加した生産情報の生産番号を除く各項目に、元の生産情報の各項目の内容を複製する。そして、変更部308は、この生産情報の作業結果、失敗部数、注文明細番号、および、失敗部数が格納されている格納領域の値をそれぞれ、「未着手」を表す記号、「−」、失敗分の注文明細番号OD001003、失敗部数「40」に書き換える。
次に、変更部308は、この生産情報の作業結果、失敗部数、注文明細番号、および、失敗部数が格納されている格納領域から失敗工程以降の作業工程の情報を格納する格納領域を削除する。ここでは、変更部308は、作業工程番号WP004の情報を格納する格納領域を削除する。次に、変更部308は、各項目、作業結果、失敗部数、注文明細番号、および失敗部数の格納領域に、合流工程の情報を格納する格納領域を追加する。そして、変更部308は、各項目にそれぞれ、「未着手」を表す記号、「−」、成功分の注文明細の注文明細番号(ここでは、「OD001002」)、および元の生産部数(ここでは、「100」)を格納する。次に、変更部308は、この生産情報の生産ステータスを「生産待ち」に設定する。最後に、変更部308は、合流工程を「−」に設定する。
S307において、変更部308は、当該注文の注文情報を更新する。注文情報には、注文明細番号、生産番号、および製品番号が格納されている。前述のS201とS202で注文明細番号が、S304で製品番号が、S305とS306で生産番号が、それぞれ採番されている。そのため、注文情報に格納される注文明細番号、生産番号および製品番号と整合を取る必要がある。そこで、変更部308は、注文情報に格納されている元の注文明細番号OD001001と元の生産情報の生産番号P001、元の製品情報の製品番号PR001を削除する。そして、変更部308は、新規に生成した注文明細番号OD001002およびOD001003と、生産番号P101およびP102と、製品番号PR101をそれぞれ格納する。
S308において、変更部308は、当該注文の注文明細情報を更新する。注文明細情報は、製品番号を含んでいるため、製品番号の採番に伴って注文明細情報を更新して整合を取る必要がある。そこで、変更部308は、注文明細情報OD001002、OD001003に格納されている製品番号に「PR101」を格納する。
上述した注文明細の分割処理と作業工程の変更処理によって、注文明細の分割と作業工程の変更が完了する。変更前後の各種情報を図11A、図11Bに示す。図11A(a)〜(f)は、それぞれ変更前の作業工程テーブル、製品仕様テーブル、製品テーブル、注文テーブル、注文明細テーブル、および生産テーブルである。また、図11B(a’)〜(f’)は、それぞれ変更後の各種テーブルを示す。尚、図11A、図11Bに示したこれらのテーブルは、説明の分かりやすさを優先し、本来のテーブルから主要項目だけを抜粋している。
また、図11A(g)、図11B(g’)、(g’’)は、それぞれ変更前、成功分、失敗分の作業工程をツリー構造で示している。四角の枠は作業工程を示し、楕円内の数字は各作業工程における生産部数を示す。図11B(g’)において、くるみ製本工程の後に合流工程1605が追加され、失敗工程以前の各作業工程の生産部数1607、1608、1609が成功部数「60」に変更されている。また、図11B(g’’)において、同じくくるみ製本工程の後に合流工程1705が追加され、失敗工程以降の作業工程(図11A(g)の作業工程1505に相当)が削除されている。そして、失敗工程以前の各作業工程の生産部数1706、1707、1708が失敗部数「40」に変更されている。
以上、説明した技術によれば、印刷管理システムが、各作業工程における作業結果を取得し、取得した作業結果が失敗だった場合に、失敗工程を識別する作業工程番号と失敗部数から成功分と失敗分に対応する注文明細および作業工程を生成する。これにより、成功分の作業工程と失敗分の作業工程の整合がとれた注文明細および作業工程を自動的に作成することができる。その結果、生産管理者は、失敗の度に作業工程を作り直すことに労力を費やす必要がなくなるため、印刷現場の生産性を向上させることができる。
また、成功分の印刷物と失敗部の印刷物を合流してから後続の工程に作業を流すため、配送する際、必ず全部数揃った情報で配送できる。このため、配送回数を一回に抑えることが出来る。また、作業者が入力した作業結果が、印刷管理システムを介して生産管理者に通知されるため、作業者と生産管理者の作業場所が離れていても作業結果を通知することができる。また、作業結果に基づき作業工程が生成されるため、生産管理者による作業工程の再作成忘れを防止することができる。
また、失敗工程と失敗数に基づき作業工程が自動的に作成されるため、作業工程の作成過程において人為的ミスが発生する余地がなくなり、間違った作業の実行を防止することができる。また、失敗分を補う作業工程が自動的に作成されるため、生産管理者が考える必要がなくなることで、生産管理者が作業工程を考えるよりも少ない時間で失敗分を補う作業工程を得ることができる。
また、作業者は、作業結果を入力しなければ次の作業に進むことができないため、作業者に確実に作業結果を印刷管理システムに入力させることができる。また、作業結果入力項目が少ないため、作業者は作業結果を少ない工数で入力することができる。また、作業に失敗があった場合でも、失敗分を補う適切な作業工程を生成することができるため、作業者は生成された作業工程に従って作業を行うだけで良いので、作業者の作業効率を向上させることができる。
<第二の実施形態>
第一の実施形態では、作業結果が失敗だった場合に、注文明細を分割し、その分割した注文明細に基づいて失敗分の印刷物が出来上がるのを待ってから、仕掛品置き場に置かれた成功分の印刷物とまとめて次工程に渡していた。この構成により、当初の生産部数が全て揃ってから印刷物が配送されるので、配送回数が一回になる。その結果、例えば、配送料は一回分だけで済むというメリットが配送料を支払う側にあった。
しかしながら、配送回数が複数になっても構わない場合がある。例えば、製品をある工場で製造し、他方、その製品の説明書をその工場とは別の離れた印刷所で印刷している場合を考える。このような状況において、工場と印刷所間を配送料が実質発生しない定期便が往復しているような場合、一注文に対する配送回数が複数回になったとしても、配送料が発生しないため、第一の実施形態のように配送回数の削減を意識する必要性は低い。
また、別の例としては、量販店で製品カタログを配布していたが、その日の客足が急増し製品カタログが全てなくなってしまったとする。このような状況において、量販店は、機会損失を最小にしたいため、少部数でも構わないから、すぐに製品カタログを入手したいと考える。このようなケースでは、配送料の削減よりも機会損失の削減が優先されることがある。
そこで、第二の実施形態では、上述のようなケースを鑑み、作業結果が失敗だった場合に、成功分の印刷物と失敗分の印刷物の製造を別々に進め、成功分の印刷物は継続して処理を進めることで先行して配送する方法について説明する。以下、第一の実施形態との差異を重点的に説明する。
本実施形態における印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成、および、印刷管理システムの論理構成は、第一の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
次に、印刷物の製品登録から配送までの流れは、一部を除き第一の実施形態と同じである。以下、図4を用いて第一の実施形態と差異のあるステップについて説明する。
第一の実施形態では、S117において、作業結果取得部307は、作業者に作業結果を入力させる際に、成功分の注文と失敗分の注文を合流させる合流工程を作業者に指定させた。しかしながら、第二の実施形態では、各注文はそれぞれ別々に配送されるため、成功分と失敗分の注文を合流させる必要がない。したがって、作業者に合流工程を指定させる必要がない。そこで、第二の実施形態における作業結果入力画面には合流工程指定部(図8(d)の合流工程指定部1306)は存在しない。
第二の実施形態における作業結果入力画面の例を、図13を用いて説明する。図13の作業結果入力画面2001は、作業者に作業結果を入力させる画面である。成功ラジオボタン2002は、作業が成功したことを表すラジオボタンである。失敗ラジオボタン2003は、作業が失敗したことを表すラジオボタンである。失敗部数入力部2004は、失敗した部数を作業者に入力させる入力部である。
失敗理由選択部2005は、作業に失敗した理由を作業者に選択させる入力部である。ここでは、予め各作業工程で予想される失敗理由の一覧を作業工程テーブルに登録しておき、作業工程ごとに対応する失敗理由の一覧を表示し、作業者に選択させる。このように、作業者に失敗理由を選択させる構成にすることで、作業者は入力の手間を省くことができる。また、失敗理由が規格化されるので、失敗理由ごとの発生頻度などが集計し易くなるため、作業効率の改善に活かし易くなる。
OKボタン2006は、作業者による作業結果の確定を受け付けるためのボタンである。作業結果取得部307は、作業者によるOKボタン2006の押下を受け付けると、作業結果、失敗理由、および失敗部数を生産テーブルに格納する。キャンセルボタン2007は、作業者により作業結果入力画面2001になされた操作を取り消し、作業結果入力画面2001を閉じるためのボタンである。
第一の実施形態では、S118において、変更部308は、注文明細情報を分割した。第二の実施形態では、成功分の印刷物を先行して配送できるようにするため、注文情報を分割する。注文情報の分割方法の詳細は、図12(a)を用いて後述する。S119において、変更部308は、失敗工程を含む作業工程を変更する。作業工程の変更方法の詳細は、図12(b)を用いて後述する。
S118とS119を経て、成功分と失敗分の注文が新規に生成されるため、S120以降の処理は、元の注文とは生産部数が異なる2つの注文の印刷物を製造することになる。但し、成功分の注文は、生産ステータスがくるみ製本工程まで完了している。したがって、成功分の注文については、三方断裁工程の作業を行い、完成した印刷物を発注者に配送する。他方、失敗分の注文については、表紙印刷工程、本文印刷工程、くるみ製本工程、および、三方断裁工程の各工程の作業を行い、完成した印刷物を発注者に配送する。
[注文の分割処理]
図4のS118で行う本実施形態に係る注文の分割処理について、図12(a)を用いて、以下に説明する。
S401において、変更部308は、元の注文明細情報から成功分の注文明細情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文明細番号を採番し、注文明細情報を注文明細テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文明細情報の注文明細番号を除く各項目に、元の注文明細情報の各項目の内容を複製した後、生産部数を成功分の生産部数、ここでは「60」に書き換える。
S402において、変更部308は、元の注文明細情報から失敗分の注文明細情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文明細番号を採番し、注文明細情報を注文明細テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文明細情報の注文明細番号を除く各項目に、元の注文明細情報の各項目の内容を複製した後、生産部数を失敗分の生産部数、ここでは「40」に書き換える。
S403の処理は、第一の実施形態の図10(a)S203と同じであるため、説明は省略する。
S404において、変更部308は、元の注文情報から成功分の注文情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文番号を採番し、注文情報を注文テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文情報の注文番号を除く各項目に、元の注文情報の各項目の内容を複製した後、注文明細番号の格納領域の値を成功分の注文明細番号(ここでは「OD002001」)に書き換える。
S405において、変更部308は、元の注文情報から失敗分の注文情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に注文番号を採番し、注文情報を注文テーブルに追加する。変更部308は、追加した注文情報の注文番号を除く各項目に、元の注文情報の各項目の内容を複製した後、注文明細番号の格納領域の値を失敗分の注文明細番号(ここでは「OD003001」)に書き換える。
S406において、変更部308は、注文テーブルから元の注文情報を削除する。
[作業工程の変更処理]
図4のS119で行う本実施形態に係る作業工程の変更処理について、図12(b)を用いて、以下に説明する。
S501において、変更部308は、元の生産情報から成功分の生産情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に生産番号を採番し、生産情報を生産テーブルに追加する。変更部308は、追加した生産情報の生産番号を除く各項目に、元の生産情報の各項目の内容を複製する。そして、変更部は、この生産情報の注文明細番号と生産部数が格納されている格納領域の値をそれぞれ成功分の注文明細番号と成功部数に書き換える。ここでは、変更部308は、それぞれの項目の値を「OD002001」、「60」に書き換える。また、変更部308は、合流工程の格納領域の値を「−」に設定する。
S502において、変更部308は、元の生産情報から失敗分の生産情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に生産番号を採番し、生産情報を生産テーブルに追加する。変更部308は、追加した生産情報の生産番号を除く各項目に、元の生産情報の各項目の内容を複製する。そして、変更部308は、この生産情報の注文明細番号と生産部数が格納されている格納領域の値をそれぞれ失敗分の注文明細番号と失敗部数に書き換える。ここでは、変更部308は、それぞれの項目の値を「OD003001」、「40」に書き換える。また、変更部308は、この生産情報の生産ステータス、作業結果、失敗部数、合流工程の格納領域の値をそれぞれ「生産待ち」、「未着手」、「−」、「−」で初期化する。
S503において、変更部308は、成功分と失敗分の注文情報を更新する。具体的には、変更部308は、成功分の注文情報の生産番号格納領域の値を成功分の生産番号に書き換え、失敗分の注文情報の生産番号格納領域の値を失敗分の生産番号に書き換える。
S504において、変更部308は、成功分と失敗分の注文明細情報を更新する。具体的には、変更部308は、成功分の注文明細情報の注文番号格納領域の値を成功分の注文番号に書き換え、失敗分の注文明細情報の注文番号格納領域の値を失敗分の注文番号に書き換える。
上述した注文明細の分割処理と作業工程の変更処理によって、注文明細の分割と作業工程の変更が完了する。図11A(d)〜(f)に示す各テーブルの変更後のテーブルを図14に示す。図14(d’)〜(f’)は、それぞれ変更後の注文テーブル、注文明細テーブル、および生産テーブルである。尚、作業工程テーブル、製品仕様テーブル、および製品テーブルは、分割処理、変更処理の前後で変化はない。また、図11Bと同様、図14に示したこれらのテーブルは、説明の分かりやすさを優先し、本来のテーブルから主要項目だけを抜粋している。
また、図14(g’)、(g’’)は、各テーブルを変更した後の作業工程をツリー構造で示した図であり、それぞれ成功分と失敗分を示す。図14(g’)、(g’’)において、生産部数がそれぞれ成功分と失敗分の生産部数に変更されている。
以上、説明した技術によれば、印刷管理システムが、各作業工程における作業結果を取得し、取得した作業結果が失敗だった場合に、失敗工程を識別する作業工程番号と失敗部数から成功分と失敗分に対応する注文情報および作業工程情報を生成する。これにより、注文および作業工程を自動的に作成することができる。その結果、生産管理者は、失敗の度に作業工程を作り直すことに労力を費やす必要がなくなるため、印刷現場の生産性を向上させることができる。
また、成功分の印刷物と失敗分の印刷物を別々に配送できるため、成功分から順次発注者に印刷物を提供することができる。
<第三の実施形態>
第一および第二の実施形態では、作業に失敗した場合に、注文の処理方法を、それぞれ注文明細を分割、注文を分割という方法で処理していた。しかしながら、印刷現場によっては、注文の性格や印刷現場の状況などに応じて注文の処理方法を変えたい場合がある。
例えば、午前中に作業に失敗があったとして、午後に印刷会社の営業が発注元企業を訪問することが予め分かっている場合、成功分の印刷物を一緒に配送してもらうことができる。この場合には、注文を分割して成功分だけ先行して製造することが好ましい。一方、直近で発注元企業を訪問する予定がない場合には、注文明細を分割して注文部数全てが揃ってから配送することが、配送料削減の観点から好ましい。
第三の実施形態では、上述のようなケースを鑑み、作業結果が失敗だった場合に、生産管理者からの注文の処理方法の選択を受け付け、選択結果に基づき注文の処理方法を切り替える方法について説明する。以下、第一、第二の実施形態との差異を重点的に説明する。
本実施形態における印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成は、第一の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成の例を説明する。
本実施形態に係る論理構成において、第一の実施形態の論理構成に指示入力部310と注文処理選択部311が加わる。指示入力部310は、注文の処理方法に対する生産管理者からの指示を受け付ける。注文処理選択部311は、指示入力部310で入力された指示に基づき注文の処理方法を選択する。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
本実施形態に係る印刷物の製品登録から配送までの流れについて説明する。以下、図4を用いて第一の実施形態と差異のあるステップについて説明する。S101〜S116における処理は第一の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
S117において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された作業結果を取得する。第一の実施形態では、S117において作業者に作業結果を入力させる際、併せて合流工程を選択させた。しかし、第三の実施形態では生産管理者に選択させるため、作業結果入力画面に合流工程指定部(図8(d)の合流工程指定部1306)を表示しない。本実施形態に係る作業結果入力画面の例を図16に示す。
図16の作業結果入力画面2101は、作業者からの作業結果の入力を受け付ける画面である。成功ラジオボタン2102は、作業が成功したことを示すラジオボタンである。失敗ラジオボタン2103は、作業が失敗したことを示すラジオボタンである。失敗部数入力部2104は、作業者からの失敗部数の入力を受け付ける入力部である。失敗理由入力部2105は、作業者からの作業の失敗理由を受け付ける入力部である。OKボタン2106は、作業者による作業結果の確定を受け付けるためのボタンである。作業結果取得部307は、作業者によるOKボタン2106の押下を受け付けると、作業結果、失敗理由、失敗部数を生産テーブルに格納する。キャンセルボタン2107は、作業者により作業結果入力画面2101になされた操作を取り消し、作業結果入力画面2101を閉じるためのボタンである。
本実施形態では、図4には示していないが、S117の後にS141、S142、S143を順に追加する。S141において、生産管理部306は、生産管理者からの生産一覧取得要求を受け取ると、管理者端末330の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。管理者端末330の表示部(不図示)に表示される生産一覧画面の例を図15(a)に示す。
図15(a)の生産一覧画面2201は、生産情報の一覧を表す画面である。生産情報一覧2202は、生産情報の一覧を表す。注文処理選択ボタン2203は、生産情報に対応する注文の処理方法を選択するための注文処理選択画面の表示要求を受け付けるためのボタンである。注文処理選択ボタン2203には、生産管理者からの注文の処理方法の選択を待機している旨を表すメッセージが表示される。注文処理選択ボタン2203は、生産情報のステータス欄に表示され、生産管理者により押下されると、図15(b)に示す注文処理選択画面2301が呼び出される。
S142において、指示入力部310は、生産管理者からの注文処理方法についての指示を取得する。生産管理者からの注文処理方法の指示を取得するための注文処理選択画面について、図15(b)を用いて説明する。図15(b)の注文処理選択画面2301は、管理者端末330の表示部(不図示)に表示される画面である。失敗工程表示部2302は、失敗工程の作業工程名を表示する表示部である。失敗部数表示部2303は、失敗部数を表示する表示部である。失敗理由表示部2304は、失敗理由を表示する表示部である。納品日表示部2305は、当該注文の納品日を表示する表示部である。発注者表示部2306は、当該注文の発注者を表示する表示部である。
注文処理方法選択部2307は、注文に対する生産管理者からの処理方法の選択を受け付ける入力部である。選択肢として、注文明細を分割するか、注文を分割するか、元の注文情報を修正(以下、「注文修正」と称す)するかが表示され、いずれか一つの選択肢だけが選択されるよう選択状態を排他的に制御される。各選択肢には各々を識別できるよう注文処理方法番号が割り当てられているものとする。ここでは、各注文処理方法に対して、それぞれ0,1,2の値が割り当てられているものとする。
ここで、注文修正とは、新規に注文や注文明細は生成せずに、元の注文情報を修正し、作業工程を更新する注文処理方法である。これは、印刷会社によっては注文や注文明細を増やしたくない場合があることを想定した注文処理方法である。例えば、売上数を目視で確認するような印刷会社では、元の注文や注文明細が分割され増加すると注文実績と配送実績の照合作業が煩雑になるため、注文や注文明細を分割しない処理方法が望ましい。このようなケースを鑑み、本実施形態では注文処理方法の選択肢として注文修正を備える。
OKボタン2308は、注文処理方法選択部における選択の決定を受け付けるためのボタンである。指示入力部310は、生産管理者によるOKボタン2308の押下を受け付けると、注文処理方法選択部2307で選択された選択肢に対応する注文処理方法番号を記憶部309に保存する。キャンセルボタン2309は、注文処理選択画面2301でなされた操作を取り消し、注文処理選択画面2301を閉じるためのボタンである。
なお、本実施形態では、注文処理方法として注文修正が選択されたものとする。
S143において、注文処理選択部311は、S141で保存された注文処理方法番号を取得し、番号に対応する注文処理方法を変更部308に渡す。
S118において、変更部308は、S143で渡された注文処理方法に応じた注文処理を行う。変更部308は、注文分割が選択された場合には注文の分割を行い、注文明細分割が選択された場合には注文明細分割を行う。一方、注文修正が選択された場合には、変更部308は、注文あるいは注文明細への変更は行わない。本実施形態では、注文修正が選択された場合を仮定しているので、本ステップにおいて注文および注文明細への変更は行われない。
S119において、変更部308は、S143で渡された注文処理方法に応じた作業工程の変更処理を行う。変更部308は、注文分割が選択された場合には元の作業工程から、合流工程を付加した成功分と失敗分の作業工程を生成し、注文明細分割が選択された場合には元の作業工程から成功分と失敗分の作業工程を生成する。また、注文修正が選択された場合には、変更部308は、元の作業工程から、成功分と失敗分の作業工程を一つの作業工程で表現した作業工程を生成する。さらに、変更部308は、生産ステータスを「生産中」に変更する。本実施形態では、注文修正が選択された場合を仮定しているので、成功分と失敗分の作業工程を一つの作業工程で表現した作業工程が生成される。注文修正の詳細は、図17を用いて後述する。
S120において、生産管理部306は、生産管理者からの生産一覧取得要求を受け取ると、管理者端末330の表示部(不図示)に生産情報の一覧を表示する。生産管理者はS142で選択した生産情報の生産ステータスが「生産中」であることを確認する。S121以降では、失敗分の印刷物を補うための作業工程と失敗工程以降の作業工程に関する処理を行い、完成した印刷物を発注者に配送する。
[作業工程の変更処理]
S119で行う注文修正における作業工程の変更処理について、図17を用いて、以下に説明する。
S601において、変更部308は、作業工程テーブルに失敗工程より前の作業工程に対応する作業工程情報を追加する。具体的には、変更部308は、新規に作業工程番号を採番し、製品仕様情報の連結情報を参照し、失敗工程より前の作業工程情報を複製し、作業工程テーブルに追加する。
S602において、変更部308は、元の製品仕様情報から失敗分を補う製品仕様情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に製品情報番号を採番し、製品仕様情報を製品仕様テーブルに追加する。変更部308は、追加した製品仕様情報の製品仕様番号を除く各項目に、元の製品仕様情報の各項目の内容を複製する。次に、変更部308は、この製品仕様情報の作業工程番号格納領域にS601で追加した作業工程情報の作業工程番号を追加する。さらに、変更部308は、この製品仕様情報の連結情報格納領域に元の連結情報を追加し、追加した連結情報に関して、失敗工程以前の作業順序を再現しかつ失敗工程が失敗工程の次工程に接続するように連結情報を変更する。
連結情報の変更方法について、図18を用いて説明する。図18(a’)〜(f’)は、図11A(a)〜(f)を注文修正によって変更した後の各テーブルである。図18(g’)は、変更後の作業工程をツリー構造で示した図である。図18(g’)のツリー構造2401は、変更後の作業工程のツリー構造である。作業工程2402〜2408は、図18(a’)に示す作業工程テーブルの各作業工程である。生産部数2409〜2415は、各作業工程における生産部数である。
S602で作業工程情報を複製する際、変更部308は、複製した作業工程情報の対応関係を記憶しておく。図18(a’)の例では、WP001〜WP003がそれぞれ、WP005〜WP007に対応することを記憶しておく。次に、変更部308は、製品仕様情報の連結情報格納領域に元の連結情報を追加した後、作業工程番号の対応関係を参照して、追加した連結情報の作業工程番号を書き換える。図18(b’)の例では、元の連結情報として、<WP001,WP003>、<WP002,WP003>、<WP003,WP004>が追加される。そのため、作業工程番号の対応関係を参照して、それぞれ<WP005,WP007>、<WP006,WP007>、<WP007,WP004>に書き換えられる。
S603において、変更部308は、元の製品情報から失敗分を補う製品情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に製品番号を採番し、製品情報を製品テーブルに追加する。変更部308は、追加した製品情報の製品番号を除く各項目に、元の製品情報の各項目の内容を複製する。次に、変更部308は、製品仕様番号格納領域の製品仕様番号をS602で生成した製品仕様番号に書き換える。
S604において、変更部308は、元の生産情報から失敗分を補う生産情報を生成する。具体的には、変更部308は、新規に生産番号を採番し、生産情報を生産テーブルに追加する。変更部308は、追加した生産情報の生産番号を除く各項目に、元の生産情報の各項目の内容を複製し、製品番号、合流工程の格納領域の値をそれぞれ、S603で生成した製品情報の製品番号、「−」に書き換える。さらに、変更部308は、部数の格納領域における失敗工程以前の作業工程に対応する部数を、元の生産部数から失敗部数を減算した値(すなわち成功部数)に書き換える。そして、変更部308は、生産情報の作業結果、失敗部数、注文明細番号、部数の各格納領域にS601で追加した作業工程の分の情報を格納する領域を追加する。変更部308は、この追加した格納領域に、それぞれ「未着手」、「−」、元の注文明細番号(ここでは「OD001001」)、失敗部数を格納する。
S605において、変更部308は、S603およびS604における各テーブルが格納する情報の変更に伴い、元の注文情報を更新する。具体的には、変更部308は、当該注文情報の生産番号、製品番号の格納領域の値をそれぞれ、S604およびS603で生成された生産番号と製品番号に書き換える。図18(d’)の例では、生産番号と製品番号がそれぞれ、「P101」と「PR101」に書き換えられる。
S606において、変更部308は、S603におけるテーブルが格納する情報の変更に伴い、元の注文明細情報を更新する。具体的には、変更部308は、当該注文明細情報の製品番号の格納領域の値をS603で生成された製品番号に書き換える。図18(e’)の例では、製品番号が「PR101」に書き換えられる。
以上、説明した技術によれば、印刷管理システムが、各作業工程における作業結果を取得し、取得した作業結果が失敗だった場合に、生産管理者からの注文処理方法の選択を取得し、選択に応じた方法で作業工程を生成する。これにより、失敗分を補うための注文の処理方法を決定する時の製造現場の状況や注文の性格を考慮した作業工程を得ることができる。その結果、その時の状況や注文の性格に適したタイミングで印刷物を発注者に提供することができる。
<第四の実施形態>
第三の実施形態では、作業結果が失敗だった場合に注文処理方法を生産管理者に選択させ、選択に応じた方法で作業工程を生成した。この方法は、生産管理者が専任で常時作業現場にいるような比較的大規模な印刷会社では有効である。一方、小規模な印刷会社では作業者が生産管理者の役割を兼任している場合があり、作業失敗の通知に即座に対応できないことがある。その場合、失敗分を補うための作業工程が生成されないことになり、かえって作業の進行を遅らせてしまうことになる。
第四の実施形態では、このようなケースを鑑み、失敗工程の作業者に注文処理方法の選択肢を提示し、選択させる。ここで、作業者には、生産管理者のように注文の特性に応じて注文処理方法を選択するための十分な情報が与えられていることは少ないため、何らかの選択の指針を提供する必要がある。そのため、第四の実施形態では、予め製品ごとに推奨する注文処理方法を登録しておき、推奨する処理方法を注文処理方法の選択時に併せて提示することにより、作業者による選択を支援する。この構成により、作業者が生産管理者を兼任しているような印刷現場であっても、作業者が容易に注文処理方法を選択することができるため、作業を遅延なく進めることができる。
以下、第三の実施形態との差異を重点的に説明する。なお、本実施形態における印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成は、第三の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成の例を説明する。本実施形態に係る論理構成は、第三の実施形態の論理構成に推奨処理記憶部312が加えられる。推奨処理記憶部312は、製品ごとに推奨する注文処理方法を記憶する。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
本実施形態に係る印刷物の製品登録から配送までの流れについて説明する。以下、図4を用いて第三の実施形態と差異のあるステップについて説明する。
S101において、製品管理部302は、発注者が製品を注文するために必要な情報の登録を生産管理者から受け付ける。処理の内容は第一の実施形態のS101とほぼ同じであり、異なる点は、製品情報が推奨する注文処理方法番号を格納する格納領域を有し、該格納領域に推奨する注文処理方法番号を格納する点である。注文処理方法番号は、0,1,2が定義され、それぞれ注文分割、注文明細分割、注文修正に対応する。この注文処理方法格納領域が推奨処理記憶部312に相当する。S102〜S116における処理は第一の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
S117において、作業結果取得部307は、推奨処理記憶部312に格納された注文処理方法番号に基づき推奨する処理方法を提示するとともに、作業者によって入力された作業結果を取得する。具体的には、作業結果取得部307は、推奨処理記憶部312に格納された推奨する注文処理方法番号を取得し、作業結果を作業者に入力させるための作業結果入力画面を表示する。このとき、作業結果入力画面に設けられた注文処理方法選択部の選択肢のうち、推奨する注文処理方法番号に対応する選択肢を最初から選択状態にしておく。
本実施形態に係る作業結果入力画面の例を図19に示す。図19の作業結果入力画面2501は、作業者からの作業結果の入力を受け付ける画面である。成功ラジオボタン2502は、作業が成功したことを示すラジオボタンである。失敗ラジオボタン2503は、作業が失敗したことを示すラジオボタンである。失敗部数入力部2504は、作業者からの失敗部数の入力を受け付ける入力部である。
注文処理方法選択部2505は、推奨する注文処理方法を示すとともに、作業者からの注文処理方法の選択を受け付ける入力部である。尚、注文処理方法選択部2505で注文明細分割が選択された場合、作業者からの合流工程の指定を受け付ける合流工程指定部を活性化し、合流工程の指定を受け付けるものとする。
OKボタン2506は、作業者による作業結果の確定を受け付けるためのボタンである。作業結果取得部307は、作業者によるOKボタン2506の押下を受け付けると、作業結果、失敗部数を生産テーブルに格納し、注文処理方法番号を記憶部309に保存する。注文処理方法選択部2505で注文明細分割が選択された場合には、作業結果取得部307は、合流工程を追加する作業工程番号も生産テーブルに格納する。キャンセルボタン2507は、作業者により作業結果入力画面2501になされた操作を取り消し、作業結果入力画面2501を閉じるためのボタンである。
第三の実施形態では、S117の後にS141、S142、S143を追加したが、本実施形態では、S142、S143を順に追加する。S142において、指示入力部310は、作業者からの注文処理方法についての指示を取得する。そして、S143において、指示入力部310は、S117で保存された注文処理方法番号を取得し、変更部308に渡す。
S118、S119において、変更部308は、S142で渡された注文処理方法番号に応じた処理方法で作業工程を変更する。S120以降では、失敗分の印刷物を補うための作業工程と失敗工程以降の作業工程に関する処理を行い、完成した印刷物を発注者に配送する。
以上、説明した技術によれば、製品ごとに作業失敗時の推奨注文処理方法を保持し、作業者が自工程の作業結果を入力する際に、作業者に推奨注文処理方法を提示する。これにより、作業者でも注文処理方法を選択することができる。その結果、生産管理者が作業者の役割を兼任しているような印刷会社であっても、作業失敗時の注文処理方法を作業結果入力時に決定できるので、作業の進行を止めることなく進めることができる。
<第五の実施形態>
第四の実施形態では、製品ごとに作業失敗時の推奨注文処理方法を保持し、作業者に推奨注文処理方法を示すとともに、注文処理方法を選択させている。仮に、この推奨注文処理方法の確度が十分に高く信頼できるものであれば、作業者に注文処理方法を選択させることなく、推奨注文処理方法をもとに失敗時の注文処理方法を決定することも可能である。そこで、第五の実施形態では、製品ごとの作業失敗時の推奨注文処理方法に基づき、失敗時の注文処理方法を決定する。このようにすることで、作業者に注文処理方法を選択させる手間をかけさせず、作業を進めることができる。
以下、第四の実施形態との差異を重点的に説明する。本実施形態における印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成は、第四の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成の例を説明する。本実施形態に係る論理構成は、第四の実施形態の論理構成から指示入力部310を取り除き、代わりに指示生成部313が加わる。指示生成部313は、推奨処理記憶部312に保持された推奨注文処理方法に基づき、失敗時の注文処理方法についての指示を生成する。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
本実施形態に係る印刷物の製品登録から配送までの流れについて説明する。以下、図4を用いて第四の実施形態と差異のあるステップについて説明する。第四の実施形態では、S141の後に、S142を追加した。本実施形態では、S142の代わりに、S144を追加する。S101〜S117、S141における処理は第四の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
S144において、指示生成部313は、製品に応じた推奨注文処理方法に基づき注文処理方法についての指示を生成する。具体的には、指示生成部313は、製品情報の注文処理方法番号の格納領域から注文処理方法番号を取得し、注文処理選択部311に渡す。S118〜S140における処理は第四の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
以上、説明した技術によれば、製品ごとに登録された失敗時の推奨注文処理方法に基づき注文処理方法が決定される。そのため、生産管理者や生産者は作業失敗の度に注文処理方法を選択する必要がなくなる。その結果、生産管理者、生産者の作業の手間を削減することができる。
<第六の実施形態>
第三、第四の実施形態では、失敗時の注文処理方法をそれぞれ生産管理者、作業者に選択させたが、発注者側も注文処理方法を選択したい場合が考えられる。例えば、製品カタログを配布する量販店において、在庫が少なくなってきたので納期7日で補充分を発注したとする。しかし、発注後に製品カタログの在庫が急激に減少した場合に、印刷作業で失敗が発生したが、一部の部数でも納品できるのであれば、納期を前倒してでも発注者が納品を希望することがありうると考えられる。つまり、この例のように、発注時と発注後で重要度が変化するような注文が存在することが考えられる。
そこで、本実施形態では、発注者に失敗時の注文処理方法を選択させる。また、発注者に対し、単に注文処理方法の選択肢を示したところで、判断材料がないので選びようがない。そこで、本実施形態では、発注者に注文処理方法の選択肢を示す際に、注文処理方法を選択した場合に当初の注文内容に対する影響に関する情報を併せて提示することで、発注者による選択を支援する。これにより、発注者による注文処理方法の選択が容易になるため、より発注者側の事情に即した作業工程を作成することができる。
以下、第三の実施形態との差異を重点的に説明する。なお、本実施形態における印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成は、第三の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成の例を説明する。本実施形態に係る論理構成では、第三の実施形態の論理構成に判断情報生成部314が加わる。判断情報生成部314は、発注者が注文処理方法を選択する際の判断を支援するための判断情報を生成する。判断情報生成部314は、失敗工程の作業工程番号、後続の作業工程数、失敗部数などの情報から、各注文処理方法に対する判断情報を生成する。例えば、失敗工程が全体の作業工程の中で上流工程だった場合、やり直す工程が少ないので、当初の納期と想定される納期との乖離が少ない。他方、失敗工程が下流工程だった場合には、やり直す工程が多いので、納期の乖離が大きいことが予想される。また、失敗部数が少ない場合には、納期の乖離が少ないが、逆に、失敗部数が多い場合には、納期の乖離が大きいことが予想される。判断情報生成部314は、例えば、上記のような納期に関連する情報を生成する。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
本実施形態に係る印刷物の製品登録から配送までの流れについて説明する。以下、図4を用いて第三の実施形態と差異のあるステップについて説明する。S101〜S116における処理は第一の実施形態と同じなので、説明を省略する。
S117において、作業結果取得部307は、作業者によって入力された作業結果を取得する。本実施形態において、作業者端末340の表示部(不図示)に表示する作業結果入力画面は図16のように、失敗部数入力部と失敗理由入力部を備える。図16については、既に説明しているので、ここでは説明を省略する。
第三の実施形態では、S117の後にS141、S142、S143を追加した。本実施形態では、S141は追加せず、S145、S142、S143を順に追加する。
S145において、判断情報生成部314は、発注者が注文処理方法を選択する際の判断を支援する判断情報を生成する。具体的には、判断情報生成部314は、失敗工程の作業工程番号、後続の作業工程数、失敗部数などの情報から、各注文処理方法に対する判断情報を生成する。
S142において、生産管理部306は、S145で生成された判断情報を発注者に提示するとともに、発注者からの注文処理方法についての指示を取得する。発注者からの注文処理方法の指示を取得するための注文処理選択画面の例について、図20を用いて説明する。
図20の注文処理選択画面2601は、発注者端末320の表示部322に表示される画面である。連絡事項表示部2602は、印刷会社から発注者への連絡事項を表示する表示部である。失敗部数表示部2603は、失敗部数を表示する表示部である。注文処理方法選択部2604は、注文処理方法を発注者に選択させる入力部である。注文明細分割ラジオボタン2605、注文分割ラジオボタン2606、注文修正ラジオボタン2607はそれぞれ、注文明細分割、注文分割、注文修正に対応する注文処理方法を選択するためのラジオボタンである。判断情報表示部2608〜2610はそれぞれ、注文明細分割、注文分割、注文修正に対応する注文処理方法を選択した場合に想定される影響に関する情報を表示する表示部である。
OKボタン2611は、注文処理方法選択部2604における選択の決定を受け付けるためのボタンである。生産管理部306は、発注者によるOKボタン2611の押下を受け付けると、注文処理方法選択部2604で選択された選択肢に対応する注文処理方法番号を記憶部309に保存する。キャンセルボタン2612は、注文処理選択画面2601でなされた操作を取り消し、注文処理選択画面2601を閉じるためのボタンである。
注文処理選択画面2601を発注者端末320の表示部322に表示する場合、印刷管理システム301から制御部321に表示要求を発行できるようなI/Fを設けて、制御部321が表示要求の発行を受け取るようにしても良い。また、発注者の携帯電話番号や携帯メールアドレスなど常時連絡を受信し確認できる連絡先を発注時に発注者に入力させ、該連絡先を介して注文処理選択画面2601に誘導するようにしても良い。また、発注者が注文処理選択画面を表示できればどのような方法でも構わない。さらに言えば、画面である必要はなく、電話による音声案内で発注者に注文処理方法に対応する発信ボタンを入力させるようにしても良く、発注者による選択を取得することができればどのような方法でも構わない。
S143、S118以降の処理は第三の実施形態と同じなので、説明を省略する。
以上、説明した技術によれば、作業失敗の注文処理方法の選択肢を発注者に提示し、発注者からの選択を受け付けるため、発注者側の事情に即した作業工程を作成することができる。さらに、選択肢を提示するとともに、判断情報も併せて提示するため、発注者は容易に注文処理方法を選択することができる。
<第七の実施形態>
第三の実施形態では、失敗時の注文処理方法を生産管理者に選択させた。生産管理者に注文処理方法を選択させることにより、製造現場の状況に適した方法で失敗分の作業工程を生成することができたが、生産管理者による入力が避けられなかった。第五の実施形態では、生産管理者の入力作業を軽減するため、予め製品情報に登録した注文処理方法に基づき注文処理方法を選択した。この場合、注文処理方法が静的に定義されているため、製造現場の生産状況や機器の稼働状況に応じた動的な選択には対応していなかった。そこで、本実施形態では、製造現場の生産状況や機器の稼動状況に関する情報を収集し、収集した情報に基づき失敗時の注文処理方法を決定する。このようにすることで、より製造現場の状況に即した作業工程を作成することができる。
以下、第五の実施形態との差異を重点的に説明する。本実施形態に係る印刷管理システムおよびそれと関連するハードウェアを含むシステム構成、サーバおよび各端末のハードウェア構成、および、印刷管理システムの論理構成は、第一の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
[印刷管理システムの論理構成]
本実施形態に係る印刷管理システムの論理構成を説明する。本実施形態に係る論理構成は、第三の実施形態の論理構成から指示入力部310を取り除き、代わりに指示生成部313が加わる。さらに、情報収集部315が加わる。指示生成部313は、第三の実施形態で既に説明しているので、ここでは説明を省略する。情報収集部315は、印刷現場の生産状況や製造装置の稼動状況に関する情報を収集する。この情報を以下、「状況情報」と称す。
状況情報としては、納品日と作業に失敗した日との差分値(すなわち納品日までの残日数)、全作業工程数に対する作業が完了している作業工程数、製品の製造に用いる印刷機のうち正常動作中の印刷機数、製品の製造に用いる加工機のうち正常動作中の加工機数、製品を製造することができる作業者のうち現在作業が割り当てられていない作業者の数、失敗部数などが挙げられる。
[製品情報の登録から製品の配送までの流れ]
本実施形態に係る印刷物の製品登録から配送までの流れについて説明する。以下、図4を用いて第三の実施形態と差異のあるステップについて説明する。S101〜S117における処理は第一の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
第三の実施形態では、S117の後にS141、S142、S143を追加したが、本実施形態では、S146、S143を順に追加する。
S146において、情報収集部315は、記憶部309、印刷部351、加工部361から状況情報を収集する。収集した状況情報の加重平均値を算出し、予め定めた閾値と比較し、比較結果に応じて注文処理方法を決定する。
S143において、指示生成部313は、S146で収集した状況情報に基づき注文処理方法についての指示を生成する。
S118以降では、失敗分の印刷物を補うための作業工程と失敗工程以降の作業工程に関する処理を行い、完成した印刷物を発注者に配送する。
以上、説明した技術によれば、作業失敗時に印刷現場の状況情報を収集し、この状況情報に基づき注文処理方法を決定するため、よりその時の印刷現場の状況に適した作業工程を作成することができる。また、生産管理者による判断および入力作業に係る負荷を削減できるので、印刷現場の生産効率を向上させることができる。
<その他の実施形態>
上述した実施形態において、作業者端末はスマートデバイスであるとしたが、これに限定するものではなく、デスクトップPCやノートPCなどの計算機でも良く、作業に関わる情報の入出力ができればどのような計算機であっても良い。
上述した実施形態において、受注部304は、注文を一旦預かり、生産管理者からの受け付け諾否を受け付けるとしたが、これに限る必要はなく、発注者からの注文をそのまま受注するようにしても良い。また、受注前に予め定めた最大注文部数と当該注文の注文部数を比較し、注文部数が最大注文部数以下なら受注するようにしても良い。さらに言えば、注文を受け付けることができればどのような構成であっても構わない。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。