JP6378233B2 - 固定サイクルにおける余りステップの順序変更もしくは再分配による高速化機能を備えた数値制御装置 - Google Patents

固定サイクルにおける余りステップの順序変更もしくは再分配による高速化機能を備えた数値制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、数値制御装置に関し、特に固定サイクルにおける余りステップの順序変更もしくは再分配による高速化機能を備えた数値制御装置に関する。
従来、数値制御装置により行われる穴あけ加工の動作パターンとして、図10に示すような深穴ドリルサイクルがある。この加工サイクルは、以下のような動作を行う。
動作1:切込み量qだけ一定の切削速度で送る。
動作2:復帰点まで早送りで戻る。
動作3:次の切込みのため、前の切込み終了点より逃げ量d(パラメータまたはセッティングで設定する)だけ手前まで早送りする。
動作4:d+qだけ一定の切削速度で送る。
動作5:動作2〜4を繰り返す。
動作6:切込みの途中で穴底に到達すると、切込みを終了する。
動作7:復帰点まで早送りで戻す。
上記した深穴ドリルサイクルは以下のコードにより指令することができる。
G83 Xx Yy Zz Rr Qq Ff;
上記指令において、x,y,z,r,q,fはデータ値で、X,YはXY平面上のドリル加工を行う位置の座標、Zはドリル加工の穴底の位置の座標、Rは復帰点の位置の座標、Qは切込み量、Fは送り速度を示している。
深穴ドリルサイクルは、深穴を加工する際に使用され、穴底まで、間欠的に切削送りして切りくずを外に排出しながら加工することを特徴とする。
このような固定サイクルの実行時間を短縮する方法として、切込み量を変更することが考えられる。例えば特許文献1に開示される技術では、切込み量を大きくすることにより、切込み動作の回数を減らして実行時間の短縮をしている。
特開2000−105606号公報
特許文献1に開示される技術を用いて切込み量を大きくしたときに、例えば切込み動作の回数が変わらなかった場合などのように、実行時間が短縮されるどころか、早送り動作の距離が伸びた分、実行時間が増加してしまうことがあるという問題がある。図11は、図10の設定から切込み量をaだけ大きくした場合の動作を示している。図10の深穴ドリルサイクルの動作と図11の深穴ドリルサイクルの動作とでは、切削の移動距離の合計こそ2q+q’+2dで変わらないが、早送りの移動距離の合計は、図10の場合、q+(q−d)+2q+(2q−d)+(2q+q’)=8q+q’−2dとなり、一方で図11の場合、(q+a)+(q+a−d)+2(q+a)+(2(q+a)−d)+(2q+q’)=8q+q’−2d+6aとなり、切込み量を大きくしたことで6aだけ移動距離が長くなり、実行時間が増加することがわかる。
そこで本発明の目的は、固定サイクルの各ステップを調整することによる高速化機能を備えた数値制御装置を提供することである。
本発明では、固定サイクルの各ステップの実行順序の調整、または各ステップにおける切込み量の調整を行うことで固定サイクルの実行時間を短縮する機能手段を数値制御装置に設けることにより、上記課題を解決する。
そして、本願の請求項1に係る発明は、プログラムに含まれる固定サイクル指令である深穴ドリルサイクル指令に基づいて複数の指令データを含む指令データ列を生成し、該指令データ列に基づいて機械を制御する数値制御装置において、前記深穴ドリルサイクル指令を解析し、解析結果に基づいて前記指令データ列を生成する固定サイクル演算部を備え、前記固定サイクル演算部は、前記深穴ドリルサイクル指令により指令されるワークに対する工具の全体の切込み量およびワークに対する1回の工具の切込み量に基づいて余りの切込み量を算出する余量算出部と、前記余りの切込み量に基づいて、前記指令データ列による前記工具の送り移動量の合計が少なくなるように前記指令データ列に含まれる指令データの順番または切込み量を調整する指令データ列調整部と、を備え、前記指令データ列調整部は、前記余りの切込み量の切削送りを指令する指令データを最初に実行するように前記指令データ列に含まれる指令データの順番を変更する順序変更部を備える、ことを特徴とする数値制御装置である。
本願の請求項に係る発明は、プログラムに含まれる固定サイクル指令である深穴ドリルサイクル指令に基づいて複数の指令データを含む指令データ列を生成し、該指令データ列に基づいて機械を制御する数値制御装置において、前記深穴ドリルサイクル指令を解析し、解析結果に基づいて前記指令データ列を生成する固定サイクル演算部を備え、前記固定サイクル演算部は、前記深穴ドリルサイクル指令により指令されるワークに対する工具の全体の切込み量およびワークに対する1回の工具の切込み量に基づいて余りの切込み量を算出する余量算出部と、前記余りの切込み量に基づいて、前記指令データ列による前記工具の送り移動量の合計が少なくなるように前記指令データ列に含まれる指令データの順番または切込み量を調整する指令データ列調整部と、を備え、前記指令データ列調整部は、前記指令データ列の最後の指令データの実行時に前記工具が取り付けられた主軸モータの負荷トルクを計測し、前記負荷トルクが予め設定された第2の閾値を越えない範囲で前記最後の指令データの切込み量に対して前記余りの切込み量を上乗せする余量再配分部を備える、ことを特徴とする数値制御装置である。
本発明により、従来動作と比べて、オペレータが意識して切込み量を変更しなくとも早送りの移動距離を短くすることができ、実行時間を短縮することができるため、切込み量を大きくした際に切込み動作の回数が変わらなかったとしても、早送りの移動距離が短くなり、実行時間を短縮することができる。また、余りステップを再分配可能であれば再分配するので、従来動作に比べて固定サイクルの切込み回数を減らすことができ、実行時間を短縮することができる。
本発明の数値制御装置による固定サイクルの各ステップの実行順序の調整方法を説明する図である。 図1において各ステップの切込み量を大きくした場合について説明する図である。 本発明の数値制御装置による固定サイクルの各ステップの切込み量の調整方法を説明する図である。 本発明の数値制御装置による他の固定サイクルの各ステップの切込み量の調整方法を説明する図である。 本発明の一実施形態による数値制御装置の要部構成図である。 本発明の一実施形態による数値制御装置の概略的な機能ブロック図である。 固定サイクルの各ステップの実行順序の調整を行う場合の動作を示す概略的なフローチャートである。 固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整(等分配)を切込み量の閾値aを用いて行う場合の動作を示す概略的なフローチャートである。 固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整を主軸モータの負荷トルクの閾値bを用いて行う場合の動作を示す概略的なフローチャート(1)である。 固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整を主軸モータの負荷トルクの閾値bを用いて行う場合の動作を示す概略的なフローチャート(2)である。 数値制御装置で行われる深穴ドリルサイクルによる穴あけ加工の動作パターンを示す図である。 図10において各ステップの切込み量を大きくした場合について説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本発明の数値制御装置は、固定サイクル指令を実行する際に、固定サイクルの各ステップの実行順序または各ステップにおける切込み量を、工具の移動量が最短となるように調整することにより固定サイクルの実行時間を短縮する。
図1を用いて本発明の数値制御装置による固定サイクルの各ステップの実行順序の調整方法を説明する。
図1(a)は、切込み量q(余りステップにおける切込み量はq’)とした場合における通常の深穴ドリルサイクル指令による切込み動作を示しており、また、図1(b)は、図1(a)から切込み量は変更せずに、余りステップを最初に実行するように実行順序を変更したものである。この時、切削の移動距離の合計は、図1(a)も図1(b)も2q+q’+2dで変わらないが、早送りの移動距離の合計は、図1(a)の場合、q+(q−d)+2q+(2q−d)+(2q+q’)=8q+q’−2dとなるが、図1(b)の場合、q’+(q’−d)+(q’+q)+(q’+q−d)+(q’+2q)=4q+5q’−2dとなり、4(q−q’)だけ移動距離が短くなり、実行時間が短縮できる。この方法を用いることによる高速化の効果は、穴あけのステップ数をnとすると、一般に2n(q−q’)分の移動距離の短縮となる。
図2は、本発明の数値制御装置により固定サイクルの各ステップの実行順序を調整した上で切込み量を大きくした場合について説明する図である。上記した方法により固定サイクルの各ステップの実行順序を調整して余りステップを最初に実行するようにすると、切込み量を大きくして、切込み動作の回数が変わらなかったとしても、早送りの移動距離が短くなり、実行時間を短縮することができる。
図2(a)は、切込み量q(余りステップにおける切込み量はq’)とした場合における余りステップを最初に実行した場合の深穴ドリルサイクル指令による切込み動作を示しており、また、図2(b)は図2(a)の設定から切込み量をaだけ大きくした場合の動作を示している。この時、切削の移動距離の合計は、図2(a)も図2(b)も2q+q’+2dで変わらないが、早送りの移動距離の合計は、図2(a)の場合、q’+(q’−d)+(q’+q)+(q’+q−d)+(q’+2q)=4q+5q’−2dとなるが、図2(b)の場合、(q’−2a)+(q’−2a−d)+((q’)+(q+a))+((q’−2a)+(q+a)−d)+(q’+2q)=4q+5q’−2d−6aとなり、6aだけ移動距離が短くなり、実行時間が短縮できることがわかる。この方法を用いることによる高速化の効果は、穴あけのステップ数をnとすると、一般にn(n−1)a分の移動距離の短縮となる。なお、余りステップは少なくとも最後に実行しないようにすれば通常の固定サイクルを実行した場合と比較して早送りの移動距離は短くなるので、必ずしも一番最初に余りステップを実行する必要はないが、なるべく早い順番で余りステップを実行するようにした方が早送りの移動距離の合計は短くなるので、状況が許す限り早い段階で余りステップを実行するようにするとよい。
次に、図3を用いて本発明の数値制御装置による固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整方法を説明する。
図3(a)は、切込み量q(余りステップにおける切込み量はq’)とした場合における通常の深穴ドリルサイクル指令による切込み動作を示している。本発明の数値制御装置では、予め余り量の閾値aを設定しておくことで、余りステップq’が閾値aよりも小さい場合に、当該余りステップを他の通常のステップに対して再分配する。例えば、図3(a)において、余りの切込み量q’とaを比較し、q’がaより小さいとした場合、本発明の数値制御装置では、図3(b)に示すように余りの切込み量q’を他のステップに等分配する。この時、切削の移動距離の合計は、図3(a)の場合、q+(d+q)+(d+q’)=2q+q’+2dとなる一方で、図3(b)の場合は、(q+q’/2)+(d+q+q’/2)=2q+q’+dとなり、dだけ短くなる。また、早送りの移動距離の合計は、図3(a)の場合、q+(q−d)+2q+(2q−d)+(2q+q’)=8q+q’−2dとなるが、図3(b)の場合は、(q+q’/2)+(q+q’/2−d)+(2q+q’)=4q+2q’−dとなり、4q−q’−dだけ移動距離が短くなる。このように、切削の移動距離および早送りの移動距離が短くなった分、固定サイクルの実行時間が短縮できる。
なお、余りステップの切込み量は必ずしも他のステップに等しく分配する必要はなく、最後のステップにまとめて追加しても良いし、最初のステップには少ない切込み量を、後のステップには多い切込み量を分配するなどしてもよい。
図4は、上記とは異なる固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整方法を説明する図である。図4では、図3で説明したように余りステップを再分配する条件として負荷トルクの閾値bを用いる例を考える。例えば、図4(a)における2回目の切込み動作時に、負荷トルクが閾値bを越えない場合は、切込み量に関わらず、切込み動作を続行するようにする。余りステップが十分に小さければ、穴底に到達するまで負荷トルクは閾値を越えず、図4(b)に示すように2回目の切込み動作で穴底まで切込んでしまうことができる。この時、切削の移動距離の合計は、図4(a)の場合、q+(d+q)+(d+q’)=2q+q’+2dとなる一方で、図4(b)の場合は、q+(d+q+q’)=2q+q’+dとなり、dだけ短くなる。また、早送りの移動距離の合計は、図4(a)の場合、q+(q−d)+2q+(2q−d)+(2q+q’)=8q+q’−2dとなるが、図4(b)の場合は、q+(q−d)+(2q+q’)=4q+q’−dとなり、4q−dだけ移動距離が短くなる。このように、切削の移動距離および早送りの移動距離が短くなった分、固定サイクルの実行時間が短縮できる。
以下では、上記した固定サイクルの各ステップの実行順序の調整方法または各ステップにおける切込み量の調整方法を実装した数値制御装置の構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による数値制御装置の要部を示すハードウェア構成図である。数値制御装置1が備えるCPU11は、数値制御装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、ROM12に格納されたシステムプログラムをバス20を介して読み出し、該システムプログラムに従って数値制御装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ及び表示器/MDIユニット70を介してオペレータが入力した各種データ等が格納される。
SRAM14は図示しないバッテリでバックアップされ、数値制御装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。SRAM14中には、インタフェース15を介して読み込まれた後述する加工プログラムや表示器/MDIユニット70を介して入力された加工プログラム等が記憶される。また、ROM12には、加工プログラムの作成及び編集のために必要とされる編集モードの処理や上記した固定サイクルの各ステップの調整処理を実行するための各種のシステムプログラムがあらかじめ書き込まれている。本発明を実行する加工プログラム等の各種加工プログラムはインタフェース15や表示器/MDIユニット70を介して入力し、SRAM14に格納することができる。
インタフェース15は、数値制御装置1とアダプタ等の外部機器72との接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは加工プログラムや各種パラメータ等が読み込まれる。また、数値制御装置1内で編集した加工プログラムは、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させることができる。PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)16は、数値制御装置1に内蔵されたシーケンスプログラムで工作機械の補助装置(例えば、工具交換用のロボットハンドといったアクチュエータ)にI/Oユニット17を介して信号を出力し制御する。また、工作機械の本体に配備された操作盤の各種スイッチ等の信号を受け、必要な信号処理をした後、CPU11に渡す。
表示器/MDIユニット70はディスプレイやキーボード等を備えた手動データ入力装置であり、インタフェース18は表示器/MDIユニット70のキーボードからの指令,データを受けてCPU11に渡す。インタフェース19は手動パルス発生器等を備えた操作盤71に接続されている。
各軸の軸制御回路30〜32はCPU11からの各軸の移動指令量を受けて、各軸の指令をサーボアンプ40〜42に出力する。サーボアンプ40〜42はこの指令を受けて、各軸のサーボモータ50〜52を駆動する。各軸のサーボモータ50〜52は位置・速度検出器を内蔵し、この位置・速度検出器からの位置・速度フィードバック信号を軸制御回路30〜32にフィードバックし、位置・速度のフィードバック制御を行う。なお、ブロック図では、位置・速度のフィードバックについては省略している。
スピンドル制御回路60は、工作機械への主軸回転指令を受け、スピンドルアンプ61にスピンドル速度信号を出力する。スピンドルアンプ61はこのスピンドル速度信号を受けて、工作機械の主軸モータ62を指令された回転速度で回転させ、工具を駆動する。
主軸モータ62には歯車あるいはベルト等でポジションコーダ63が結合され、ポジションコーダ63が主軸の回転に同期して帰還パルスを出力し、その帰還パルスはCPU11によって読み取られる。
図6は、上記した固定サイクルの各ステップの実行順序の調整方法または各ステップにおける切込み量の調整方法を図5に示した数値制御装置1に対してシステムプログラムとして実装した場合の概略的な機能ブロック図を示している。数値制御装置1は、指令解析部100、固定サイクル演算部110、補間部120、サーボ制御部130、スピンドル指令実行部140、スピンドル制御部150を備え、また、固定サイクル演算部110は、余量算出部111、および順序変更部113と余量再配分部114との少なくともいずれかを含む指令データ列調整部112を備える。
指令解析部100は、メモリに記憶される分割されたプログラム200からブロックを順次読み出して解析し、解析したブロックが通常の移動を指令するブロックである場合には、解析結果に基づいて各軸の移動を指令する指令データを作成し、作成した該指令データを補間部120へと出力する(図中点線矢印)。また、指令解析部100は、解析したブロックが主軸モータ62の回転を指令するブロックである場合には、解析結果に基づいて主軸モータ62を指令する主軸指令データを作成し、作成した該主軸指令データをスピンドル指令実行部140へと出力する(図中点線矢印)。一方で、指令解析部100は、解析したブロックが固定サイクルを指令するブロックである場合には、解析結果を固定サイクル演算部110へと出力する。
固定サイクル演算部110は、指令解析部100から受け付けた固定サイクル指令の解析結果に基づいて工具経路を指令する指令データを順次生成する。固定サイクル演算部110は、固定サイクル指令による各指令値に基づいて、例えば図1〜図4などに示した一連の切削送り及び早送りの指令データ列を生成する。固定サイクル演算部110は指令データ列を生成する際、余量算出部111により余りステップの切込み量q’を算出し、算出した余りステップの切込み量q’に基づいて指令データ列調整部112が上記した図1〜4を用いて説明した固定サイクルの各ステップの調整方法を実行し、指令データ列の調整を行う。指令データ列調整部112は、図1に例示した各ステップの実行順序の調整方法を実行する順序変更部113と、図3,4に例示した各ステップにおける切込み量の調整方法を実行する余量再配分部114との少なくともいずれかを含んでおり、指令解析部が解析した固定サイクル指令に対して適用可能ないずれかの調整方法を実行することにより指令データ列の調整を行う。指令データ列調整部112は、複数の調整方法を実行可能である場合には、それぞれの調整方法の内で、固定サイクルの実行時間を最も短縮できる調整方法を選択するようにしても良い。
補間部120は、指令解析部100が出力した指令データ、または固定サイクル演算部110が出力した指令データ列に基づいて、該指令データ(列)により指令される指令経路上の点を補間周期で補間計算した補間データを生成した上で、該補間データに対して補間周期毎の各駆動軸の速度を調整する加減速処理を行い、加減速の調整が為された補間データをサーボ制御部130へ出力する。
そして、サーボ制御部130は、補間部120の出力に基づいて制御対象となる機械の各軸の駆動部(サーボモータ50〜52)をサーボアンプ40〜42を介して制御する。
スピンドル指令実行部140は、指令解析部100が出力した主軸指令データ、または固定サイクル演算部110が出力した主軸指令データ列に基づいて、該主軸指令データ(列)により指令される主軸モータの回転・停止に係るデータを生成し、スピンドル制御部150へと出力する。
そして、スピンドル制御部150はスピンドル指令実行部140の出力に基づいて制御対象となる機械が備える主軸モータ62をスピンドルアンプ61を介して制御する。
図7は、順序変更部113により固定サイクルの各ステップの実行順序の調整を行う場合の固定サイクル演算部110の動作の流れを示す概略的なフローチャートである。
●[ステップSA01]余量算出部111は、固定サイクルのブロックで指令される復帰店から穴底までの距離zを切込み量qで割った商nと余りq’を算出してメモリに記憶する。
●[ステップSA02]順序変更部113は、最初にドリルを加工位置へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA03]順序変更部113は、余りステップの切込み量q’が0であるか否かを判定する。0である場合にはステップSA06へ処理を移行し、0でない場合にはステップSA04へ処理を移行する。
●[ステップSA04]順序変更部113は、ワークに対して切込み量q’だけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA05]順序変更部113は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA06]順序変更部113は、ワークに対して切込み量qだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA07]順序変更部113は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA08]順序変更部113はステップSA01でメモリに記憶したnの値を1だけ減算する。
●[ステップSA09]順序変更部113は、メモリに記憶されているnの値が0であるか否かを判定する。0である場合には本処理を終了し、0でない場合にはステップSA10へ処理を移行する。
●[ステップSA10]順序変更部113は、メモリに記憶されているnの回数(0〜n−1)だけステップSA11〜ステップSA13を繰り返し実行する。
●[ステップSA11]順序変更部113は、ドリルを次の切削開始点へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA12]順序変更部113は、ワークに対して切込み量q+dだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSA13]順序変更部113は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、順序変更部113の指令に従って指令データを出力する。
図8は、余量再配分部114により固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整(等分配)を切込み量の閾値aを用いて行う場合の固定サイクル演算部110の動作の流れを示す概略的なフローチャートである。
●[ステップSB01]余量算出部111は、固定サイクルのブロックで指令される復帰店から穴底までの距離zを切込み量qで割った商nと余りq’を算出してメモリに記憶する。
●[ステップSB02]余量再配分部114は、ステップSB01で算出したnと余りステップの切込み量q’とのいずれかが0であるか否かを判定する。いずれかが0である場合にはステップSB04へ処理を移行し、いずれも0でない場合にはステップSB03へ処理を移行する。
●[ステップSB03]余量再配分部114は、ステップSB01で算出した余りステップの切込み量q’が、予め設定された閾値aよりも小さいか否かを判定する。閾値aよりも小さい場合にはステップSB05へ処理を移行し、閾値a以上である場合にはステップSB04へ処理を移行する。
●[ステップSB04]余量再配分部114は、通常の固定サイクルの指令データ列を生成して出力するように固定サイクル演算部110に指令し、本処理を終了する。
●[ステップSB05]余量再配分部114は、最初にドリルを加工位置へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSB06]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q+q’/nだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSB07]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSB08]余量再配分部114はステップSB01でメモリに記憶したnの値を1だけ減算する。
●[ステップSB09]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの値が0であるか否かを判定する。0である場合には本処理を終了し、0でない場合にはステップSB10へ処理を移行する。
●[ステップSB10]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの回数(0〜n−1)だけステップSB11〜ステップSB13を繰り返し実行する。
●[ステップSB11]余量再配分部114は、ドリルを次の切削開始点へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSB12]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q+q’/n+dだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSB13]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
図9A,9Bは、余量再配分部114により固定サイクルの各ステップにおける切込み量の調整を主軸モータ62の負荷トルクの閾値bを用いて行う場合の固定サイクル演算部110の動作の流れを示す概略的なフローチャートである。
●[ステップSC01]余量算出部111は、固定サイクルのブロックで指令される復帰店から穴底までの距離zを切込み量qで割った商nと余りq’を算出してメモリに記憶する。
●[ステップSC02]余量再配分部114は、最初にドリルを加工位置へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC03]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの値が0であるか否かを判定する。0である場合にはステップSC04へ処理を移行し、0でない場合にはステップSC06へ処理を移行する。
●[ステップSC04]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q’だけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC05]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令して本処理を終了する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC06]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの値が1であるか否かを判定する。1である場合にはステップSC17へ処理を移行し、1でない場合にはステップSC07へ処理を移行する。
●[ステップSC07]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量qだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC08]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令して本処理を終了する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC09]余量再配分部114はステップSC01でメモリに記憶したnの値を1だけ減算する。
●[ステップSC10]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの値が1であるか否かを判定する。1である場合にはステップSC15へ処理を移行し、1でない場合にはステップSC11へ処理を移行する。
●[ステップSC11]余量再配分部114は、メモリに記憶されているnの値−1の回数(0〜n−2)だけステップSC12〜ステップSC14を繰り返し実行する。
●[ステップSC12]余量再配分部114は、ドリルを次の切削開始点へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC13]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q+dだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC14]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC15]余量再配分部114は、ドリルを次の切削開始点へ早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC16]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q+q’+dだけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令し、処理をステップSC18へ移行する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データの出力を開始する。
●[ステップSC17]余量再配分部114は、ワークに対して切込み量q+q’だけ切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令し、処理をステップSC18へ移行する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データの出力を開始する。
●[ステップSC18]余量再配分部114は、スピンドルアンプ61からフィードバックされる主軸モータ62の負荷トルクの値を計測する。
●[ステップSC19]余量再配分部114は、ステップSC18で計測した主軸モータ62の負荷トルク値があらかじめ設定された閾値bを超えているか否かを判定する。負荷トルク値があらかじめ設定された閾値bを超えている場合にはステップSC21へと処理を移行し、越えていない場合にはステップSC20へと処理を移行する。
●[ステップSC20]余量再配分部114は、固定サイクル演算部110から出力される指令データに基づく切削送り動作が完了したか否かを判定する。切削送り動作が完了した場合にはステップSC25へ処理を移行し、終了していない場合にはステップSC18へ処理を移行して主軸モータ62の負荷トルクの計測を継続する。
●[ステップSC21]余量再配分部114は、補間部120に対して切削送り動作を中断するように指令し、現在の軸位置を中断点としてメモリに記憶する。
●[ステップSC22]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC23]余量再配分部114は、ドリルを中断点のd手前まで早送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
●[ステップSC24]余量再配分部114は、ワークに対して穴底まで切込む切削送りをする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令し、処理をステップSC25へ移行する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データの出力を開始する。
●[ステップSC25]余量再配分部114は、ドリルを復帰点へ早送りする指令データを出力するように固定サイクル演算部110に指令する。固定サイクル演算部110は、余量再配分部114の指令に従って指令データを出力する。
このような構成を備えた数値制御装置では、従来動作と比べて、オペレータが意識して切込み量を変更しなくとも早送りの移動距離を短くすることができ、実行時間を短縮することができるため、切込み量を大きくした際に切込み動作の回数が変わらなかったとしても、早送りの移動距離が短くなり、実行時間を短縮することができる。また、余りステップを再分配可能であれば再分配するので、従来動作に比べて固定サイクルの切込み回数を減らすことができ、実行時間を短縮することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例にのみ限定されるものでなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
1 数値制御装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 SRAM
15 インタフェース
16 PMC
17 I/Oユニット
18 インタフェース
19 インタフェース
20 バス
30,31,32 軸制御回路
40,41,42 サーボアンプ
50,51,52 サーボモータ
60 スピンドル制御回路
61 スピンドルアンプ
62 主軸モータ
63 ポジションコーダ
70 表示器/MDIユニット
71 操作盤
72 外部機器
100 指令解析部
110 固定サイクル演算部
111 余量算出部
112 指令データ列調整部
113 順序変更部
114 余量再配分部
120 補間部
130 サーボ制御部
140 スピンドル指令実行部
150 スピンドル制御部
200 プログラム

Claims (2)

  1. プログラムに含まれる固定サイクル指令である深穴ドリルサイクル指令に基づいて複数の指令データを含む指令データ列を生成し、該指令データ列に基づいて機械を制御する数値制御装置において、
    前記深穴ドリルサイクル指令を解析し、解析結果に基づいて前記指令データ列を生成する固定サイクル演算部を備え、
    前記固定サイクル演算部は、
    前記深穴ドリルサイクル指令により指令されるワークに対する工具の全体の切込み量およびワークに対する1回の工具の切込み量に基づいて余りの切込み量を算出する余量算出部と、
    前記余りの切込み量に基づいて、前記指令データ列による前記工具の送り移動量の合計が少なくなるように前記指令データ列に含まれる指令データの順番または切込み量を調整する指令データ列調整部と、を備え
    前記指令データ列調整部は、
    前記余りの切込み量の切削送りを指令する指令データを最初に実行するように前記指令データ列に含まれる指令データの順番を変更する順序変更部を備える、
    ことを特徴とする数値制御装置。
  2. プログラムに含まれる固定サイクル指令である深穴ドリルサイクル指令に基づいて複数の指令データを含む指令データ列を生成し、該指令データ列に基づいて機械を制御する数値制御装置において、
    前記深穴ドリルサイクル指令を解析し、解析結果に基づいて前記指令データ列を生成する固定サイクル演算部を備え、
    前記固定サイクル演算部は、
    前記深穴ドリルサイクル指令により指令されるワークに対する工具の全体の切込み量およびワークに対する1回の工具の切込み量に基づいて余りの切込み量を算出する余量算出部と、
    前記余りの切込み量に基づいて、前記指令データ列による前記工具の送り移動量の合計が少なくなるように前記指令データ列に含まれる指令データの順番または切込み量を調整する指令データ列調整部と、を備え、
    前記指令データ列調整部は、
    前記指令データ列の最後の指令データの実行時に前記工具が取り付けられた主軸モータの負荷トルクを計測し、前記負荷トルクが予め設定された第2の閾値を越えない範囲で前記最後の指令データの切込み量に対して前記余りの切込み量を上乗せする余量再配分部を備える、
    ことを特徴とする数値制御装置。
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