JP6376700B2 - SiC化学気相成長装置 - Google Patents
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化学気相成長装置において被処理体上に均一に薄膜を形成するためには、被処理体に対して均一に原料ガスを供給することが重要である。そのため、様々な検討が進められてきた。
なお、CVD用反応ガスを構成する成分の液化温度は、例えばトリクロロシランの場合大気圧下で32℃であり、当該温度より高くすることは化学気相成長装置において当然の条件である。
即ち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
すなわち、ガス導入管内で原料ガスが分解し、原料ガス起因のSiC付着物の生成を抑制することができる。また、輻射の低減による温度上昇の抑制であるため、例えば、ガス導入管を水冷等で冷却するような極端な温度変化を生じさせない。そのため、緩やかな温度勾配による温度上昇の抑制が可能となり、炉体内のガスの対流や拡散を抑制することができる。
なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
第1実施形態のSiC化学気相成長装置100は、成長空間を構成する炉体10と、炉体10内に備えられ、SiCウェハを載置する載置台20と、炉体10内へ原料ガスを導入するガス導入管30と、ガス導入管30の周囲に配置されたヒートシールド40と、ヒートシールド40の貫通孔41に冷却ガスを供給する冷却ガス供給口50とを備える。さらに、ヒートシールド40を冷やすための冷却ガスが供給される空間と反応空間の仕切り板42(以下、仕切り板42と呼ぶ)を備えてもよい。ここで、反応空間とは、SiCエピタキシャル成長を行うために原料ガスが供給されている空間を意味する。仕切り板42は、成膜ガスが反応空間から冷却ガス導入空間に流入することを防ぐ。図1では、ヒートシールド40を冷やすための冷却ガスが供給される空間は、仕切り板42によって反応空間と完全に分離されている。この場合、SiC化学気相成長装置100は、ヒートシールド40を冷やし終えた冷却ガスが、炉体10の外へ流れ出る流路を有する(図視略)。また、後述するように、ヒートシールド40を冷やすための冷却ガスが供給される空間は、炉体10の反応空間と完全に分離されている必要はなく、接続されていてもよい。炉体10はガスを排出する排出口60を有する。載置台20上にSiCウェハWを載置し、SiC化学気相成長装置を動作させることで、SiCウェハWの表面にSiCエピタキシャル膜を成長させる。
なお、図1は、成長用の基板を下側に配置し、上側から原料ガスを供給して、上から下へ原料ガスを流通してエピタキシャル成長を行う縦型の配置の化学気相成長装置である。本発明は、当該縦型の配置の化学気相成長装置に限られず、横型の配置の化学気相成長装置でもよい(図11参照)。
伝熱は大きく分けて、熱伝導、熱伝達、熱輻射の三パターンにより形成されるが、熱輻射による伝熱を阻害することができれば、ガス導入管30の温度上昇を抑制することができる。
なお、仕切り板42は熱輻射による伝熱を阻害する。すなわちヒートシールドとしても働きうる。しかし、仕切り板42として機能させるために、その形状が炉の形状やガス導入構造に応じて制限される。例えば厚みが大きすぎる箇所や、小さすぎる箇所ができてしまうことがある。そのため、必ずしもヒートシールド40としての機能を十分有さない場合もある。
ヒートシールド40は貫通孔41を有し、この貫通孔41には冷却ガス供給口50から導入された冷却ガスを供給することができる。貫通孔41は、円形でも四角形でもよく、その形状を問わない。またヒートシールド40にランダムに配置されていても、規則的に配置されていてもよい。貫通孔41の加工方法は、特に問わず、一般に使用される機械加工等を用いることができる。
ヒートシールド40が貫通孔41を有し、その貫通孔に冷却ガスを供給することで、ヒートシールド40自体が熱を有し、ヒートシールド40からの熱伝導によりガス導入管30の温度が高くなることを抑制できる。
なお、ヒートシールド40は、ガス導入管30の周囲に配置されるものであって、図2の中央のガス導入管30が配置されるための穴は、貫通孔41ではない。
冷却ガスとしては、例えば、H2、Ar、He、等を用いることができる。また、HCl等のエッチングガス、N2等の不純物ドーピングガスを添加することもできる。これらのガスは分解による堆積物の付着の恐れがなく、冷却ガスに添加しても悪影響がない。
ヒートシールド40の貫通孔41は、ヒートシールド40の厚さ方向に対して傾きを有していることが好ましい。ヒートシールド40の厚さ方向とは、図3のZ方向を意味する。貫通孔41がヒートシールド40の厚さ方向に対して傾きを有すると、平面視した際にヒートシールド40が形成されていない部分の面積をより少なくすることができ、輻射によるガス導入管が高温になることをより抑制することができる。また貫通孔41の内表面の面積が大きくなるため、ヒートシールド40をより効率的に冷やすことができる。そのため、ヒートシールド40からの熱伝導によりガス導入管30が高温になることを抑制することができる。
貫通孔41の傾斜角は、ヒートシールドの厚みによって異なるが、平面視した際に貫通孔を通して反対側が見えなくなる程度傾けることが好ましい。
図4に示すように、ヒートシールド40が複数ある場合、隣り合うヒートシールド40の貫通孔41が平面視で重ならないことが好ましい。ヒートシールド40が複数あり、隣り合うヒートシールド40の貫通孔41が平面視で重ならなければ、輻射を伝播する電磁波が障壁無く通過できる部分を無くすことができ、より輻射によりガス導入管が高温になることを抑制できる。
ヒートシールド40は、SiCエピタキシャル膜を成長させる際に、加熱により熱応力を受け、ヒートシールド40の破損等を招く。しかしながら、ヒートシールド40がスリットを有すれば、このスリットにより熱応力を緩和することができるため、装置の耐久性を高めることができる。またスリットを1箇所のみに設けることで、一方の端面から他方の端面まで分離することなく連続した1つの部材とすることができ、設置等が容易になり作業性を高めることができる。また円形であることで、全方位に対して均等に応力を分散させることができ、より破損を避けることができる。また炉体10の上面(図視Y方向)の形状が円形の場合は、隙間なくヒートシールド40を設けることができ、より熱輻射を抑制することができる。
Si系原料ガスとしては、例えばシラン系ガスとして、シラン(SiH4)を用いることができるほか、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4などのエッチング作用があるClを含む塩素系Si原料含有ガス(クロライド系原料)を用いることもできる。また、例えばシランに対してHClを添加したガスを用いてもよい。
C系原料ガスとしては、例えばプロパン(C3H8)等を用いることができる。
またこれらのガスと同時に、第3のガスとしてパージガスを供給しても良い。パージガスは、SiやCを含まないガスであり、H2を含むエッチング作用があるガスのほか、Ar,Heなどの不活性ガス(希ガス)を用いることもできる。またSiCウェハW上に積層されるSiCエピタキシャル膜の導電型を制御する場合、不純物ドーピングガスを同時に供給することもできる。例えば、導電型をn型とする場合にはN2、p型とする場合にはTMA(トリメチルアルミニウム)を用いることができる。
Si系原料ガス、C系原料ガス、HCl、パージガス、不純物ドーピングガスは、それぞれ分離して供給しても、混合して供給してもよい。
図6に示すように、原料ガスを分離して導入することで、不要なSiC生成物がガス導入管30sや炉体10内壁面等に形成されることを抑制することができる。
Si堆積物と比較すると、C堆積物は堆積し難いが、Si系ガス導入管30sの導入口32s及びC系原料ガス導入管30cの導入口32cをテーパー形状とすることで、より堆積物の付着を抑制し、パーティクルの発生を抑制することができる。
また、図8に示すように、ヒートシールドが分割されており、それぞれのヒートシールドが別々のガス導入管を取り囲むような構成としてもよい。図8では2分割の構成としているが、いくつに分割してもよい。
図9は、ガス導入管30が外管33によって覆われ、ガス導入管30と外管33とが二重管構造の断面模式図である。簡単のために一つのガス導入管30を含む二重構造の周囲のみを図示した。図9に示すように、ガス導入管30の内部から原料ガスgが炉体10内に導入され、ガス導入管30と外管33との間からガス導入管30の周囲に冷却ガスを導入する。冷却ガスを通す外管33が内管であるガス導入管30を覆っており、ヒートシールド40が直接ガス導入管30と接触することを避けることができる。すなわち、ヒートシールド40からガス導入管30への熱伝導を阻害することができる。
また、この外管33から供給される冷却ガスを炉体10内に供給できる構成とすることが好ましい。内管であるガス導入管30から炉体10内に導入される原料ガスgが、冷却ガスによってガス導入管に再度回り込むことを防ぐことができる。すなわち、ガス導入管30の導入口に堆積物が付着を効果的に抑制することができる。
外管33から供給される冷却ガスとしては、例えば、H2、Ar、He、等を用いることができる。また、HCl等のエッチングガス、N2等の不純物ドーピングガスを添加することもできる。これらのガスは分解による堆積物の付着の恐れがなく、冷却ガスに添加しても悪影響がない。
また外管33のテーパーの勾配角は、ガス導入管30のテーパーの勾配角と同一であることが好ましい。外管33とガス導入管30のテーパーの勾配角が同一であれば、不要な乱流の発生を抑制することができる。
冷却ガスが供給される空間と反応空間の仕切り板42に貫通孔を形成することで、貫通孔を通して、冷却ガスを反応空間へ流すことができる。そのため、ガス導入管30の周囲の仕切り板42に、複数の冷却ガス通過用貫通孔34が形成されていることが好ましい。複数の冷却ガス通過用貫通孔34は、小さな穴が多数あいたシャワーヘッド状に形成され、冷却ガスが供給される空間と反応空間に圧力差があることにより各穴からガスを均一に反応空間に流す構造になっていることが、より好ましい。
図10に示すように、ガス導入管30の周囲にシャワーヘッド状の冷却ガス通過用貫通孔34が形成されていると、冷却ガス供給口50から供給された冷却ガスが成膜処理前室(ヒートシールド40を冷やすための冷却ガスが供給される空間)35に供給される。成膜処理前室35は、冷却ガスで充填されているため、ヒートシールド40を効率的に冷却することができる。
また冷却ガスがさらに供給され、成膜処理前室35内部の圧力が高くなると、冷却ガス通過用貫通孔34を介して、冷却ガスが炉体10内部に供給される。すなわち、ガス導入管30の周囲から冷却ガスがシャワー状に供給される。冷却ガス通過用貫通孔34から炉体10内に供給される冷却ガスによって、原料ガスgがガス導入管30に再度回り込むことを防ぐことができる。すなわち、ガス導入管30の導入口32に堆積物が付着することをより効果的に抑制することができる。
なお、図10では、ガス導入管30が3つの場合を例示したが、当該数には限られず一つでも、より複数でもよい。
また、HCl等のエッチングガス、N2等の不純物ドーピングガスを添加することもできる。これらのガスは分解による堆積物の付着の恐れがなく、冷却ガスに添加しても悪影響がない。
Claims (11)
- 成長空間を構成する炉体と、
前記炉体内に備えられ、SiCウェハを載置する載置台と、
前記炉体内へ原料ガスを導入するガス導入管と、
前記ガス導入管の周囲に配置され、貫通孔を有するヒートシールドと、
前記ヒートシールドの貫通孔に冷却ガスを供給できる冷却ガス供給口とを備え、
前記ガス導入管は、ガス導入路とガス導入口とを備え、
前記ヒートシールドは複数あり、ガス導入口の周囲を囲んでいることを特徴とする、
SiC化学気相成長装置。 - 前記貫通孔のガスの流れ方向に対して垂直な方向の断面積が、貫通孔1個あたり100mm2以下であることを特徴とする請求項1に記載のSiC化学気相成長装置。
- 前記貫通孔が、前記ヒートシールドの厚さ方向に対して傾きを有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のSiC化学気相成長装置。
- 前記ヒートシールドが複数あり、隣り合うヒートシールドの貫通孔が平面視で重ならないことを特徴とする請求項1に記載のSiC化学気相成長装置。
- 前記ヒートシールドが平面視円形であり、前記円形のヒートシールドの中央部から外周部にわたってスリットが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。
- 前記冷却ガスとして、H2、Ar、Heからなる群から選ばれる1種以上のガスを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。
- 前記ガス導入管が複数備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。
- 複数の前記ガス導入管は、その一部がSi系原料ガスを前記炉体内へ導入するSi系原料ガス導入管であり、別の一部がC系原料ガスを前記炉体内へ導入するC系原料ガス導入管であり、
前記Si系原料ガス導入管と前記C系原料ガス導入管はそれぞれ分離されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。 - 前記ガス導入管を覆う外管を備え、
前記ガス導入管と外管が二重構造を構成し、
前記ガス導入管と外管の間から前記ガス導入管の周囲に冷却ガスを供給できることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。 - 前記ガス導入管が前記載置台の上部に配置された縦型の炉体構造を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。
- 冷却ガスが供給される空間と反応空間を仕切る仕切り板を備え、前記ヒートシールドが、前記冷却ガスが供給される空間内の前記ガス導入管の周囲に配置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のSiC化学気相成長装置。
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