以下,本発明にかかる読取装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像読取機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に本発明を適用したものである。
本形態のMFP100は,図1に示すように,シートに画像を印刷する画像形成部10と,原稿の画像を読み取る画像読取部20と,ユーザによる操作を受け付ける操作パネル40とを備えている。操作パネル40は,各種の表示を行う液晶ディスプレイ41と,スタートキー,ストップキー,テンキー等から構成されるボタン群42とを備えている。
画像形成部10は,シートの1枚ごとに画像を印刷する構成である。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
画像読取部20は,その断面を図2に示すように,読取ヘッド21とADF(自動原稿搬送装置)22とを有している。ADF22は,原稿を1枚ずつ搬送する装置であり,読取ヘッド21の上部に,本体に対して開閉可能に設けられている。画像読取部20は,原稿と読取ヘッド21とを相対的に移動させつつ,原稿の画像を読み取る。本形態の画像読取部20は,カラー読み取りが可能であっても,モノクロ読み取りのみであってもよい。また,両面読み取りが可能であっても,片面読み取りのみであってもよい。
読取ヘッド21は,イメージセンサ211と,図2中の矢印A方向に移動可能なキャリッジ212とを有する。イメージセンサ211は,キャリッジ212に保持されて,キャリッジ212とともに移動する。これにより,読取ヘッド21は,図中の矢印A方向に移動可能である。イメージセンサ211は,複数の受光素子を有し,画像を読み取る。
さらに,画像読取部20は,ADF22と対向する位置の本体側に,第1コンタクトガラス23と,第2コンタクトガラス24とを有している。第1コンタクトガラス23と,第2コンタクトガラス24とは,並んで配置されており,それらのいずれかの下面側に,読取ヘッド21が配置される。MFP100は,読取ヘッド21のイメージセンサ211によって,第1コンタクトガラス23または第2コンタクトガラス24を透して,その上方にある原稿を読み取る。
ADF22は,複数の搬送部材を含み,図2中に一点鎖線で示す搬送路26に沿って原稿を搬送する。そして,MFP100は,ADF22にて搬送中の原稿を,読取ヘッド21にて読み取ることができる。以下では,ADF22を使用して原稿を移動させつつ,読取ヘッド21を移動させないで原稿を読み取る読取動作を,「第1読取動作」とする。
具体的に,ADF22には,読み取り前の原稿が収容される原稿トレイ28と,読み取り後の原稿が収容される原稿排出トレイ29とが設けられている。そして,MFP100は,第1読取動作にて読み取る場合には,原稿トレイ28にセットされた原稿の1枚を搬送路26に引き込み,第1コンタクトガラス23の上面側を通過させて搬送する。また,読取ヘッド21を第1コンタクトガラス23の下面側の所定の位置に配置し,搬送中の原稿を第1コンタクトガラス23を透して読取ヘッド21に読み取らせる。そして,読み取りが終了した原稿を,原稿排出トレイ29に排出する。
また,MFP100では,ADF22を開放状態とすると,第2コンタクトガラス24の上面が開放される。そして,MFP100は,第2コンタクトガラス24の上面にセットされた原稿を,読取ヘッド21を移動させて読み取ることもできる。以下では,原稿を搬送せず,読取ヘッド21を移動させて原稿を読み取る読取動作を,「第2読取動作」とする。
本形態のMFP100は,第2読取動作にて読み取る場合には,ADF22による原稿の搬送を行わない。そして,第2コンタクトガラス24の下面に沿って読取ヘッド21を移動させ,第2コンタクトガラス24を透して読取ヘッド21に原稿を読み取らせる。読み取り終了後は,読取ヘッド21を移動前の位置に戻す。
第1読取動作を実行する読取処理は第1の読取処理の一例であり,第2読取動作を実行する読取処理は第2の読取処理の一例である。そして,原稿トレイ28が第1の原稿台の一例であり,第2コンタクトガラス24は第2の原稿台の一例である。また,読取ヘッド21が読取部の一例であり,ADF22が搬送部の一例である。すなわち,MFP100は,原稿トレイ28と,第2コンタクトガラス24との2つの原稿台を有し,第1読取動作と第2読取動作との2種類の読取方式での読み取りが可能である。
MFP100は,図2に示すように,原稿トレイ28にセットされた原稿の有無を検知する原稿検出部221と,ADF22内の規定位置まで搬送された原稿の有無を検知する規定位置検出部222とを有している。規定位置は,原稿の搬送方向について,原稿トレイ28へ原稿のセット位置よりも下流側であり,読取ヘッド21に対向して読み取られる位置よりも上流側である。
原稿検出部221および規定位置検出部222はいずれも,例えば,揺動片付きの光透過センサであり,それぞれの位置に1枚以上の原稿が有るか否かに応じて,出力レベルの異なる信号を出力する。MFP100は,原稿検出部221から出力される信号に基づいて,原稿トレイ28上の原稿の有無を検知できる。また,MFP100は,規定位置検出部222から出力される信号に基づいて,規定位置まで搬送された原稿の有無を検知できる。
なお,規定位置検知部222は,規定位置における原稿の有無を判断できる位置に設けられていればよく,規定位置そのものに対向して設けられていなくてもよい。また,規定位置は,原稿の先端部が原稿トレイ28より下流側で読取ヘッド21に対向する位置より上流側となる位置であればよく,所定の1箇所の位置に限らず,幅のある範囲であってもよい。
また,前述したように,ADF22は本体に対して開閉可能であり,MFP100は,図2に示すように,ADF22の開閉状態を検知する開閉検知部223を有している。開閉検知部223は,例えば,揺動片付きの光透過センサであり,ADF22が開状態であるか閉状態であるかに応じて,出力レベルの異なる信号を出力する。MFP100は,開閉検知部223から出力される信号に基づいて,ADF22が開閉されたことを検知できる。
なお,本形態のMFP100は,開閉検知部223の出力信号に基づいて,第2コンタクトガラス24上に原稿がセットされたと判断する。例えば,MFP100は,ADF22の開閉状態が開状態から閉状態へと変化したことを検知した場合に,第2コンタクトガラス24上に原稿がセットされたと判断する。
本形態のADF22は,閉状態とすることにより第2コンタクトガラス24の上面を覆うものであり,第2の原稿台をカバーするカバー部の一例として機能する。そして,開閉検知部223は,カバー部の開閉を検知する検知部の一例である。なお,ADF22とは別に,第2コンタクトガラス24の上面を覆うカバーを有していてもよく,その場合には,開閉検知部223はそのカバーの開閉を検知する。
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34と,ASIC35とを含むコントローラ30を備えている。また,MFP100は,画像形成部10と,画像読取部20と,原稿検出部221と,規定位置検出部222と,開閉検知部223と,有線LANインターフェース37と,USBインターフェース38と,操作パネル40とを備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。
ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは,データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素を制御する。
CPU31は,制御部の一例である。なお,コントローラ30が制御部であってもよいし,ASIC35が制御部であってもよい。なお,図3中のコントローラ30は,CPU31等,MFP100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にMFP100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
有線LANインターフェース37は,LANケーブル等を用いてネットワークを介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。USBインターフェース38は,USBケーブル等を介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。有線LANインターフェース37とUSBインターフェース38とはそれぞれ,インターフェースの一例である。なお,無線LANインターフェース等の他のインターフェースをさらに有していてもよい。
MFP100は,有線LANインターフェース37またはUSBインターフェース38を介して,外部装置からの指示を受け付ける。指示を受け付けた場合には,その指示に含まれるIPアドレスやノード名,MACアドレス等に基づいて,指示発信した外部装置を特定することができる。つまり,MFP100は,受け付けた指示ごとに,その発信元の外部装置を区別できる。
続いて,本形態のMFP100の読取動作について説明する。前述したように,本形態のMFP100は,原稿トレイ28にセットされた原稿を搬送しつつ読み取る第1読取動作と,第2コンタクトガラス24上にセットされた原稿を読取ヘッド21を移動させつつ読み取る第2読取動作とを実行可能である。
さらに,MFP100は,第1読取動作として,原稿トレイ28にまとめてセットされた複数枚の原稿について,全て読み終わるまで連続して読み取る連続読取動作と,1枚の原稿だけを読み取る1枚読取動作との2種類の動作を実行可能である。MFP100は,1枚読取動作を行う読取指示を受け付けた場合には,1枚読取動作を実行する。また,連続読取動作を行う読取指示を受け付けた場合には,連続読取動作を実行する。また,1枚読取動作と連続読取動作とのいずれを実行するかの設定のない読取指示を受け付けた場合には,デフォルト設定されている動作を行ってもよいし,ユーザに問い合わせてもよい。
そして,MFP100は,連続読取動作での読み取りを行う場合には,原稿トレイ28に収容されている原稿が無くなるまで,連続して次の原稿を搬送し,第1読取動作を実行する。連続読取動作の実行中には,他の読取指示を受け付けない。
一方,MFP100は,1枚読取動作での読み取りを行う場合には,原稿トレイ28に複数枚の原稿がまとめてセットされていても,最上位置の1枚だけを読み取る。そして,まとめてセットされた複数枚の原稿について,連続して1枚読取動作の指示を受け付けた場合には,例えば,図4に示したように,(1)〜(4)の順に原稿の搬送とその読み取りが実行される。なお,この図4は,図2に示したように湾曲している搬送路26を直線状にして,模式的に示したものである。
まず,図4の(1)に示すように,原稿トレイ28に複数枚の原稿Pが収容される。MFP100は,この状態で,読取指示を受け付けるまで待機する。この状態では,MFP100は,原稿検出部221の出力信号に基づいて,原稿トレイ28に原稿Pがあると判断する。この状態では,規定位置Qまで搬送された原稿Pはない。MFP100は,規定位置検出部222の出力信号に基づいて,規定位置に原稿Pがないと判断する。
(1)の状態で1枚読取動作の実行指示を受け付けると,図4の(2)に示すように,最上位置の1枚の原稿Pを搬送する。そして,搬送した1枚の原稿Pをイメージセンサ211により読み取って,その1枚を原稿排出トレイ29に向けて搬送する。その際,次に最上位置となる後続の1枚の原稿Pを原稿トレイ28から引き込む。例えば,給紙ローラと搬送ローラとを同一モータにて駆動するMFP100では,原稿トレイ28に複数枚の原稿Pをセットした状態で最上位置の1枚を搬送すると,次の原稿も搬送される可能性がある。
(2)の読み取りが終了し,後続の1枚の原稿Pを原稿トレイ28から引き込んだ場合には,MFP100は,図4の(3)に示すように,後続の1枚の原稿Pを規定位置Qまで搬送して停止させる。そして,次の1枚の読み取りを開始する読取指示を待つ。つまり,図4の(3)の状態では,1枚の原稿Pが規定位置Qにて停止している。MFP100は,規定位置検出部222の出力信号に基づいて,規定位置に原稿Pがあると判断できる。
(3)の状態で読取指示を受け付けると,MFP100は,図4の(4)に示すように,規定位置Qにて停止させていた原稿Pをさらに搬送して読み取る。そして,(2)と同様に,次の原稿Pがある場合には,その次の1枚の原稿Pを規定位置Qまで搬送して停止させ,(3)の状態となって次の読取指示を受け付けるまで待機する。
そして,MFP100は,1枚読取動作では,1枚の原稿Pを読み取った後,(3)の状態となって停止する。つまり,原稿トレイ28に原稿Pが残っていても,連続して読み取りを実行することはない。1枚読取動作にて原稿Pの読み取りを実行した後であって,原稿トレイ28または規定位置Qに原稿Pがあり,読取指示の入力を待っている状態は,特定状態の一例である。なお,前述の特定状態のうち,原稿Pが規定位置Qにある状態は,規定位置待ち状態の一例である。
一方,連続読取動作では,(3)の状態で待機しない。つまり,連続読取動作での読み取りを行う場合には,原稿トレイ28に収容されている原稿が無くなるまで,搬送と読み取りを実行する。ただし,全ての原稿の読取終了前に,読み取りを中断する指示を受け付けた場合には,読み取り実行中の1枚を原稿排出トレイ29に排出して,連続読取動作を中断する。なお,中断の指示は,操作パネル40への入力でもよいし,有線LANインターフェース37等を介した外部装置からの入力でもよい。
そして,MFP100は,連続読取動作の実行中に中断の指示を受け付けた場合には,(3)または(1)の状態で,読み取り動作を再開させるための読取指示,または,ジョブのキャンセル指示を受け付けるまで待機する。この連続読取動作の中断中の状態も,特定状態の一例である。なお,連続読取動作の中断中の状態では,次の1枚の原稿は,規定位置まで搬送されている場合もあるし,搬送開始前で原稿トレイ28に残っている場合もある。
本形態のMFP100は,前述した特定状態にて,読取指示を受け付けると,第2読取動作を実行するための特定条件を満たすか否かを判断する。そして,判断結果に基づいて,第1読取動作を実行するか,第2読取動作を実行するかを決定する。特定条件については,後述する。
続いて,本形態のMFP100にて原稿の読み取り動作を実現する読取処理の手順について,図5のフローチャートを参照して説明する。この読取処理は,MFP100に対して読取指示を受け付けたことを契機に,CPU31にて実行される。なお,読取指示は,操作パネル40への入力操作や,有線LANインターフェース37またはUSBインターフェース38を介した外部装置からの入力によって受け付ける。
この読取処理の実行開始の契機となる読取指示としては,新規に読み取りを開始させる読取ジョブを受け付ける読取指示以外に,前述した1枚読取動作にて原稿の1枚だけの読み取りを指示する読取指示,前述した連続読取動作の中断中におけるその連続読取動作の再開を指示する読取指示も含まれる。これらは全てこの読取処理の開始の契機となる。
読取処理では,まず,原稿トレイ28に原稿がセットされているか否かを判断する(S101)。つまり,原稿検出部221の出力信号に基づき,原稿検出部221の検知位置に原稿は有ると検出されていれば,原稿トレイ28に原稿がセットされていると判断する。そして,原稿トレイ28に原稿がセットされていないと判断した場合は(S101:NO),第2読取動作にて1枚の原稿を読み取り(S102),読取処理を終了する。
すなわち,MFP100は,原稿トレイ28に原稿がセットされていない状態で読取指示を受け付けた場合には,第2コンタクトガラス24上に原稿がセットされていると判断して,第2読取動作を実行する。第2読取動作にて1枚の原稿を読み取ったら,受け付けた読取指示の処理を完了したので,読取処理を終了する。なお,前回の読取の実行後に,開閉検知部223にてADF22の開閉状態の変化を検知したか否かに基づいて,第2コンタクトガラス24上に原稿がセットされているか否かを判断してもよい。
原稿トレイ28に原稿がセットされていると判断した場合には(S101:YES),1枚読取フラグがセットされている,または,連続読取動作の中断中である,の少なくとも一方であるか否かを判断する(S104)。1枚読取フラグは,後述するように,1枚読取動作を実行した後,後続の原稿がある場合にセットされるフラグである。つまり,MFP100は,1枚読取フラグによって,前回の読取が第1読取動作であって,第1読取動作の終了後も原稿トレイ28または規定位置Qに原稿Pが残っていることを記憶している。また,MFP100は,連続読取動作の実行中に中断の指示を受け付けた場合は,中断中であることを記憶する。
そして,1枚読取フラグがセットされている状態と,連続読取動作の中断中の状態とは,いずれも,第1読取動作にて少なくとも1枚の原稿の読取を開始した後であって,その読取を開始した原稿に後続する原稿がある状態である。1枚読取フラグがセットされている状態と,連続読取動作の中断中の状態とは,それぞれ,特定状態の一例である。つまり,S104にてYESであるとは,MFP100が特定状態であることを意味する。
MFP100は,1枚読取フラグがセットされているか,または,連続読取動作の中断中であると判断した場合には(S104:YES),特定条件を満たすか否かを判断する(S106)。特定条件は,第2読取動作を実行するか否かを決定するための条件である。つまり,MFP100は,特定条件を満たすと判断した場合には第2読取動作を実行し,特定条件を満たさないと判断した場合には第1読取動作を実行する。S106は,判断処理の一例である。
具体的に,ADF22にセットされている原稿があっても,ユーザは,ADF22を開状態として第2コンタクトガラス24上に原稿をセットできる。そこで,第1読取動作による前回の読取後に第2コンタクトガラス24上に原稿がセットされたと推測できる条件を特定条件として,特定条件を満たすと判断した場合には第2読取動作を実行する。一方,特定条件を満たさないと判断した場合には,第1読取動作を実行する。
そこで,本形態のMFP100は,S106にて用いる特定条件として,例えば,次の(C1)〜(C3)のうちの少なくとも1つを備え,備えている特定条件を満たすか否かを判断する。そして,(C1)〜(C3)の条件の少なくとも1つを満たした場合,特定条件を満たすと判断して,第2読取動作にて読み取ると決定する。
(C1):前回の読取指示が1枚読取動作の指示であり,前回の読取指示と同じではない外部装置から読取指示を受け付けた。
(C2):前回の読取指示が1枚読取動作の指示であり,前回の読取指示と同じではないインターフェースから読取指示を受け付けた。
(C3):前回の読み取りを第1読取動作にて実行し,前回の読み取り後に開閉検知部223にてADF22の開閉を検知し,その後に読取指示を受け付けた。
そして,例えば,1枚読取動作が複数回連続して指示される場合には,各読取指示は同じ外部装置から送信される可能性が高い。そのため,前回の読取指示が1枚読取動作の読取指示であって,前回と同じではない外部装置,または,前回と同じではないインターフェースから読取指示を受け付けた場合には,1枚読取動作の次の原稿の読取指示ではないと判断する。
なお,本形態のMFP100は,(C1)または(C2)の条件を判断するために,前回受け付けた読取指示を発信した外部装置,および,インターフェースを記憶している。例えば,前回の読取指示に含まれるIPアドレスやノード名,MACアドレスを記憶し,今回の読取指示を発信した外部装置と同じであるか否かを判断する。また,前回の読取指示を受け付けたインターフェースを記憶し,今回の読取指示を受け付けたインターフェースと同じであるか否かを判断する。
また,本形態のMFP100は,第1読取動作にて読み取りを実行した後に,ADF22が開閉され,その後に読取指示の入力を受け付けた場合には,第2コンタクトガラス24に原稿が載置されたと推測する。例えば,1枚読取動作による読み取りを実行した後や,連続読取動作を中断した後の,初回の読取指示の場合である。ADF22が開閉されていることから,原稿トレイ28にセットされている原稿や規定位置Qにて停止している原稿を読み取る指示ではなく,第2コンタクトガラス24に載置された原稿を読み取る指示であると判断する。
そのために,MFP100は,特定状態にて,開閉検知部223にてADF22の開閉を検知した場合に,開閉を検知したことを記憶する。なお,1枚読取動作や連続読取動作の実行中はADF22が閉状態とされているので,(C3)における開閉とは,開閉検知部223の出力信号が,閉状態→開状態→閉状態と変化したことを意味する。
本形態のMFP100は,S106にて,前述の(C1)〜(C3)以外に,次の(C4)の選択入力を受け付け,その結果に基づいて,特定条件を満たすか否かを判断してもよい。(C4)の選択を受け付ける処理は,選択処理の一例である。
(C4):読取指示に合わせて,読取指示の読み取り対象を指定する選択入力の指示を受け付けた。
具体的には,MFP100は,特定状態において,以下の(C4−1)〜(C4−3)のうちから,次に読み取る原稿として,いずれか1つを選択する選択入力を受け付けることが可能である。
(C4−1):規定位置まで搬送されている原稿。
(C4−2):原稿トレイ28にセットされている原稿。
(C4−3):第2コンタクトガラス24上にセットされている原稿。
MFP100は,(C4)の選択入力を受け付けた場合には,その選択に基づいて特定条件を満たすか否かを判断する。なお,選択入力の指示は,特定状態となるごとに毎回行われるものではなく,ユーザの必要に応じて受け付ける。例えば,読取指示に付加して指定することができる。つまり,MFP100は,ユーザによる選択入力の指示を受け付けない限り,ユーザによる選択入力を待つことはない。
例えば,(C4−3)が選択された場合には,MFP100は,特定条件を満たすと判断する。読取対象の原稿として,第2コンタクトガラス24上にセットされている原稿が選択されている場合には,第2読取動作の実行が指示されていると判断できる。
一方,(C4−1)または(C4−2)が選択された場合には,第1読取動作の実行が指示されているので,MFP100は,特定条件を満たさないと判断する。(C4−1)は,搬送路中の原稿を読み取る指示であると判断できる。また,(C4−2)は,例えば,規定位置まで搬送されている原稿ではなく原稿トレイ28にセットされている原稿,または,原稿トレイ28に既に収容されている原稿の上に追加してセットされた原稿,を読み取る指示であると判断できる。
なお,特定条件として複数の条件を備えている場合には,予め決めた優先順に従って判断する。優先順としては,例えば,優先されるものから順に(C4),(C3),(C1),(C2)とする。例えば,ユーザにて明示的に選択入力を受け付けた場合にはその内容を最優先する。また,例えば,前回と同じ外部装置からの読取指示であっても,ADF22が開閉された後であれば,1枚読取動作の続きではないとして特定条件を満たすと判断してもよい。
そして,MFP100は,特定条件を満たすと判断した場合には,(S106:YES),補正フラグをセットして(S107),第2読取動作にて1枚の原稿を読み取り(S102),読取処理を終了する。補正フラグは,第1読取動作の実行時に参照されるフラグであり,詳細については後述する。
一方,特定条件を満たさないと判断した場合には,(S106:NO),第1読取動作にて原稿を読み取るための準備として,読取準備処理を実行する(S109)。
次に,読取処理のS109にて実行される読取準備処理の手順について,図6に示すフローチャートを参照して説明する。読取準備処理では,まず,補正フラグがセットされているか否かを判断する(S201)。
補正フラグは,斜行補正が必要であることを示すフラグであり,図5のS107にてセットされる。つまり,特定状態中にて特定条件を満たし,第2読取動作を実行した場合には,補正フラグがセットされている。斜行補正は,読み取った画像データから,原稿の端部を検出し,端部の傾きに応じて画像データの傾きを補正する処理である。斜行補正の手順については,既知の手順を採用する。
例えば,原稿トレイ28に原稿が有る状態で第2読取動作を実行した場合,ADF22が開閉された可能性が高い。そして,ADF22が開閉されると,原稿トレイ28にセットされている原稿が傾くおそれがある。また,規定位置まで搬送済みで停止している原稿についても,少なからず傾く可能性がある。原稿が,その搬送方向に対して傾いた状態で搬送され,そのまま読み取られると,傾いた画像データとなる可能性が高い。そこで,MFP100は,特定状態中にて第2読取動作を実行した場合には,その後の第1読取動作にて斜行補正を実行する。なお,第2読取動作を実行しなくても,特定状態中にADF22が開閉されたことを検知した場合には,補正フラグをセットするとよい。
そして,図6のS201にて,MFP100は,補正フラグがセットされていると判断した場合には(S201:YES),斜行補正機能をオンとする(S202)。一方,補正フラグがセットされていないと判断した場合には(S201:NO),斜行補正機能をオフとする(S203)。斜行補正機能がオンとなっている状態で読取動作を実行すれば,MFP100は,読み取ったデータに斜行補正を施して,画像データを生成する。原稿が傾いている可能性が小さい場合には,斜行補正機能をオフとして,斜行補正を施さないことで,早期に画像データを取得できる。
次に,図5のS106にて特定条件として,前述の(C4−2)が選択されたか否かを判断する(S205)。つまり,読取指示にて今回の読取指示の読み取り対象を指定する選択入力の指示を受け付けており,その選択入力が,原稿トレイ28にセットされている原稿であったか否かを判断する。
そして,(C4−2)が選択されていると判断した場合には(S205:YES),規定位置Qまで搬送されている原稿P(図4参照)を排出する(S206)。このとき,MFP100は,原稿を読み取ることなく搬送し,原稿排出トレイ29に排出する。これにより,次の読取動作の対象は,原稿トレイ28の一番上にセットされている原稿となる。一方,(C4−2)が選択されていない場合は(S205:NO),原稿の搬送は行わない。また,規定位置Qまで搬送済みとなっている原稿がない場合には,(C4−2)が選択されていても,S206をスキップする。そして,読取準備処理を終了する。
図5に戻り,S109の読取準備処理の終了後,第1読取動作にて1枚の原稿の読取を開始する(S111)。S111では,規定位置に原稿があればその原稿が読み取られ,規定位置に原稿がない場合には,原稿トレイ28から原稿が搬送される。また,斜行補正機能がオンとなっていれば,読み取った画像に対して斜行補正を行う。そして,読み取り開始後,原稿トレイ28に次の原稿が有るか否かを判断する(S113)。
次の原稿がないと判断した場合には(S113:NO),補正フラグをクリアし(S114),1枚読取フラグをクリアし(S115),読取処理を終了する。これより後に原稿トレイ28へセットされた原稿については,現状の補正フラグの状態を引き継ぐ必要はない。また,1枚読取フラグは,前述したように,1枚読取動作を実行した後であって,原稿トレイ28にセットされている原稿があることを示すフラグである。S115では,原稿トレイ28にセットされている原稿が無くなったことにより,MFP100は,特定状態ではなくなったので,1枚読取フラグをクリアする。
一方,原稿トレイ28に次の原稿が有ると判断した場合には(S113:YES),続きの原稿についても,傾いているか否かの状態は,今読み取った原稿と同様であると考えられる。そこで,補正フラグの状態は,現状のままとして,変更しない。
そして,実行中の読取ジョブが,1枚読取動作のジョブであるか否かを判断する(S116)。1枚読取動作での読み取り後も原稿トレイ28にセットされている原稿がある場合には(S116:YES),次の読取指示を受け付けるまで再び特定状態となる。そのため,1枚読取フラグをセットする(S117)。また,例えば,次の原稿を規定位置まで搬送して,読取処理を終了する。
一方,実行中の読取ジョブが1枚読取動作のジョブではないと判断した場合(S116:NO),連続読取動作のジョブである。そこで,ジョブ中断の指示を受け付けたか否かを判断する(S118)。ジョブ中断の指示を受け付けていなければ(S118:NO),S111に戻る。そして,前の原稿の読み取りが終了したら,第1読取動作にて次の1枚の原稿の読み取りを開始する。そして,原稿トレイ28に原稿がある間,かつ,ジョブ中断の指示を受け付けていない間,連続して読み取りを実行し,原稿が無くなったら読取処理を終了する。また,ジョブ中断の指示を受け付けた場合には(S118:YES),中断中による特定状態となって,読取処理を終了する。
また,104にて,1枚読取フラグがセットされていない,かつ,連続読取動作の中断中ではないと判断した場合(S104:NO),S111に進んで,第1読取動作にて原稿を1枚読み取る。そして,原稿トレイ28にまだ原稿があれば,受け付けた読取指示に基づいて,連続読取動作または1枚読取動作を実行する。
以上,詳細に説明したように,本形態のMFP100によれば,原稿を移動させる方式での第1読取動作と,読取ヘッド21を移動させる方式での第2読取動作との2種類の読取方式にて原稿の読取動作が可能である。そして,ADF22の原稿トレイ28に原稿がセットされ,そのうち少なくとも1枚の読み取り後,後続する原稿に対する読取指示を受け付けるまでの間の状態である特定状態にて読取指示を受け付けた場合,第2読取動作を実行するための特定条件を満たすか否かによって読取方式を決定している。つまり,特定条件を満たすと判断した場合には第2読取動作を実行し,特定条件を満たさないと判断した場合には第1読取動作を実行する。従って,ユーザの選択を待つ必要がないので,ユーザの手間が少なく,早期の読み取り開始が期待できる。
また,本形態のMFP100によれば,例えば,あるユーザが複数枚で構成される原稿束をセットして,MFP100にて1枚読取動作を実行した後に,規定位置Qまで搬送した原稿があっても,ADF22の開閉を検知したり,読み取り対象として第2コンタクトガラス24上にセットされている原稿が選択されたりした場合には,第2読取動作を実行できる。従って,1枚読取動作後に,他のユーザが第2コンタクトガラス24上に原稿をセットして,第2読取動作による読み取りを簡単に行わせることができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,複写機,スキャナ,FAX装置等,画像読取機能を備え,2種類の読取処理を実行可能なものであれば適用可能である。
また,例えば,本実施の形態にて例示した各種の特定条件は,これに限るものではない。これらのうち1つ以上の条件を備えていればよく,さらに他の条件を備えていてもよい。また,複数の条件を備えていても,いずれか1つの条件を満たせば他の条件については判断しなくてもよい。つまり,特定状態で受け付けた読取指示が,第1読取動作を実行する指示であるか,第2読取動作を実行する指示であるかを決定することができればよい。
また,本実施の形態では,特定状態での読取指示であれば特定条件を満たすか否かを判断するとしたが,これに限らない。例えば,特定状態中にADF22の開閉を検知した場合に限って,特定条件を満たすか否かの判断を実行してもよい。この場合,特定条件に前述の(C3)は含まない。特定状態中であっても,ADF22が開閉されていない場合には,第2読取動作のための原稿がセットされていないと推測できる。そして,ADF22には,読取を開始していない原稿が残っている。そこで,ADF22の開閉が検知されていない場合には,第1読取動作を実行するとしてもよい。
また,例えば,本実施の形態では,1枚の原稿の読み取り後,次の原稿を規定位置まで搬送するとしたが,搬送しなくてもよい。つまり,毎回,読取指示を受け付けてから,原稿トレイ28からの原稿の搬送を開始してもよい。その場合には,(C4−2)の選択を受けた場合でも,1枚の排出をしなくてもよい。つまり,図6のS205とS206は削除してもよい。
また,原稿トレイ28に複数の原稿がセットされた場合に,そのうちの1枚の搬送及び読み取りを実行すると,読み取りを実行した原稿の排出前に,次の1枚の原稿を搬送路へ引き込む構成のMFP100もある。例えば,次の原稿を規定位置まで搬送して停止させ,読取指示の受付を待つMFP100であれば,センサ222の出力信号に基づいて,1枚読取動作の実行後または連続読取動作の中断中の特定状態であるか否かを判断してもよい。そして,センサ222の出力信号に基づいて,規定位置に停止している原稿がないと判断した場合には,S104にてNOと判断し,S111へ移行するとしてもよい。つまり,原稿トレイ28に原稿があって,規定位置に原稿がない場合には,判断処理を実行しなくてもよい。
また,連続読取動作を中断する指示と再開の指示とは,同じ外部装置から送信される可能性が高い。そこで,連続読取動作の中断中の特定状態にて,中断の指示と同じではない外部装置やインターフェースから読取指示を受け付けた条件も特定条件の1つとしてもよい。つまり,中断指示と同じではない外部装置やインターフェースから読取指示を受け付けた場合には,特定条件を満たすと判断して,第2読取動作にて読み取るとしてもよい。
また,例えば,斜行補正機能を有していなくてもよい。その場合には,補正フラグおよびそのセットやクリアの処理は不要である。また,実施の形態では,S107にて,特定状態にて第2読取動作を実行した場合に補正フラグをセットするとしたが,カバーの開閉によって特定条件を満たすと判断した場合だけ,補正フラグをセットするとしてもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。