JP6372617B2 - 可変圧縮比内燃機関及びその学習方法 - Google Patents
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Description
本発明は、可変圧縮比機構を備えた内燃機関に関し、特に、制御軸の基準位置の学習に関する。
特許文献1には、制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関において、制御軸の基準位置を学習する技術が開示されている。具体的には、クランクシャフトを回転可能に支持するクランク軸受部に設けられたストッパに、制御軸とともに作動する可動部を突き当てた状態で、圧縮比センサの出力信号に基づいて基準位置を学習している。
また、特許文献2には、第1制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関において、第2制御軸の一部をハウジングに設けたストッパに突き当てて、制御軸角度の基準位置を検出することが開示されている。
また、特許文献2には、第1制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関において、第2制御軸の一部をハウジングに設けたストッパに突き当てて、制御軸角度の基準位置を検出することが開示されている。
しかしながら、特許文献1においては、クランク軸受部の周囲にはクランクシャフトとともに回転するクランクピンやカウンターウエイト等の回転部品が存在するために、レイアウト的な制約が厳しく、クランク軸受部に設けられたストッパの強度・剛性を十分に確保することは困難である。このため、制御軸と連動して作動する可動部をストッパに突き当てる際に、速度を弱めるなどによりトルクを制限する必要が生じ、基準位置の学習に要する時間が増大する、という問題がある。
また、特許文献2においては、ストッパを設けるハウジングがシリンダブロック外側にあって、ストッパとピストンとの間に多くのリンク部品が介在しているため、基準位置の精度に課題があった。
さらに、制御軸の基準位置の学習においては、制御軸の一方の回転方向での最大回転位置だけでなく、逆回転方向での最大回転位置でも実施する必要がある。
また、特許文献2においては、ストッパを設けるハウジングがシリンダブロック外側にあって、ストッパとピストンとの間に多くのリンク部品が介在しているため、基準位置の精度に課題があった。
さらに、制御軸の基準位置の学習においては、制御軸の一方の回転方向での最大回転位置だけでなく、逆回転方向での最大回転位置でも実施する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基準位置の学習精度を低下させることなく、学習に要する時間を短縮することを目的としている。
制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、上記制御軸の回転位置を変更・保持する駆動モータと、機関本体の外側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第1可動部が当接することにより、上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第1ストッパと、上記機関本体の内側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第2可動部が当接することにより、上記第1回転方向とは逆方向である上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第2ストッパと、を有し、上記第1ストッパにより上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の基準位置を学習し、その後、上記第2ストッパにより上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の最大変換角度範囲を学習する。
機関本体の外側に第1ストッパを設けることで、この第1ストッパを機関本体の内側に設ける場合に比して、レイアウト的な制約が少ないことから、強度・剛性の確保が容易となる。従って、第1ストッパを堅牢に設けることができ、この第1ストッパに制御軸の第1可動部を突き当てる際のトルクを制限するために速度を弱めるなどの必要がない。この結果、基準位置の学習精度を低下させることなく、学習に要する時間を短縮することが可能となる。また、第1回転方向とは逆方向である第2回転方向の側に位置する第2ストッパにより制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、制御軸の最大変換角度範囲を学習する構成とすることで、制御軸センサのばらつきを更に確実に排除し、機関圧縮比の検出精度を向上することができる。そして、機関本体の内側に第2ストッパを設けることで、この第2ストッパを機関本体の外側に設ける場合に比して、第2ストッパとピストンとの間に介在させるリンク部品が少なくて済み、基準位置の学習精度が向上できる。
本発明によれば、基準位置の学習精度を低下させることなく、学習に要する時間を短縮することができる。
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比機構について説明する。なお、この機構は上記の特開2006−226133号公報等にも記載のように公知であるので、簡単な説明にとどめる。
内燃機関の機関本体の一部を構成するシリンダブロック1には、各気筒のピストン3がシリンダ2内に摺動可能に嵌合しているとともに、クランクシャフト4が回転可能に支持されている。可変圧縮比機構10は、クランクシャフト4のクランクピン5に回転可能に取り付けられるロアリンク11と、このロアリンク11とピストン3とを連結するアッパリンク12と、シリンダブロック1等の機関本体側に回転可能に支持される制御軸14と、この制御軸14に偏心して設けられた制御偏心軸部15と、この制御偏心軸部15とロアリンク11とを連結する制御リンク13と、を有している。ピストン3とアッパリンク12の上端とはピストンピン16を介して相対回転可能に連結され、アッパリンク12の下端とロアリンク11とは第1連結ピン17を介して相対回転可能に連結され、制御リンク13の上端とロアリンク11とは第2連結ピン18を介して相対回転可能に連結され、制御リンク13の下端は上記の制御偏心軸部15に回転可能に取り付けられている。
制御軸14には、連結機構21を介して駆動モータ20(図2等参照)が連結されており、この駆動モータ20により制御軸14の回転位置を変更・保持することによって、ロアリンク11の姿勢の変化を伴って、ピストン上死点位置やピストン下死点位置を含むピストンストローク特性が変化して、機関圧縮比が変化する。従って、制御部40により駆動モータ20を駆動制御することによって、機関運転状態に応じて機関圧縮比を制御することができる。
制御部40は、機関圧縮比に対応する制御軸14の回転位置を検出する制御軸センサ41の他、内燃機関の油温を検出する油温センサ42や吸気温度を検出する吸気温センサ43等の各種センサ接続されており、これらセンサの出力信号に基づいて、燃料噴射制御や点火時期制御等の各種機関制御を実行する。例えば、制御軸センサ41の出力信号に基づいて、機関圧縮比を目標圧縮比の近傍に維持するように駆動モータ20をフィードバック制御する。
シリンダブロック1の下方に固定され、機関本体の一部を構成するオイルパンアッパ6Aの吸気側の側壁7の外側には、連結機構21の一部を収容するハウジング22と、このハウジング22に取り付けられる駆動モータ20と、が機関前後方向に沿うように配置されている。つまり、ハウジング22を介して駆動モータ20が機関本体としてのシリンダブロック1に取り付けられている。
図1,図2に示すように、機関本体内部に配置される制御軸14と、ハウジング22内に配置される連結機構21の補助シャフト30とは、レバー31によって連結されている。なお、この実施例では補助シャフト30を減速機(図示省略)の出力軸と一体的に構成しているが、補助シャフト30を減速機の出力軸と別体の構成とし、両者が一体的に回転する構造としても良い。
レバー31の一端と、制御軸14の軸方向中央部より径方向外方へ延びるアーム32の先端とは、第3連結ピン33を介して相対回転可能に連結されており、レバー31の他端と補助シャフト30とは第4連結ピン35を介して相対回転可能に連結されている。なお、図2では、第4連結ピン35を省略し、この第4連結ピン35が嵌合する補助シャフト30のピン連結孔35Aが描かれている。オイルパンアッパ6Aの吸気側の側壁7には、上記のレバー31が挿通するスリット状の連通孔が貫通形成されている。
連結機構21には、駆動モータ20の出力を減速して制御軸14側へ伝達する減速機が設けられている。減速機としては、大きな減速比が得られる波動歯車装置やサイクロ減速機等が用いられる。さらに、レバー31、アーム32等を含めたリンク構造による減速比は、制御軸14の回転位置に応じて変化するように構成されている。すなわち、制御軸14を回転すると機関圧縮比が変化するとともに、アーム32及びレバー31の姿勢が変化することから、駆動モータ20から制御軸14への回転動力伝達経路の減速比も変化することとなる。具体的には、図7に示すように、基本的には制御軸14が低圧縮比方向に回転すると駆動モータ20から制御軸14への回転動力伝達経路の減速比が高くなるように構成されており、かつ、最大圧縮比の近傍では、制御軸14が高圧縮比方向へ回転すると減速比が高くなるように構成されている。
図3に示すように、制御軸14と連動して作動する補助シャフト30には、軸方向に扇状に張り出した第1可動部51が一体的に設けられている。そして、連結機構21の一部を収容するハウジング22には、第1可動部51が当接することにより、制御軸14の低圧縮比方向である第1回転方向R1(図4参照)への最大回転位置を機械的に規制する第1ストッパ52が設けられている。
また、図4に示すように、クランク軸受部としてのベアリングキャップ53と補助キャップ54とは、複数本のボルト55,56によって機関本体としてのシリンダブロック1のバルクヘッド57に共締め固定されており、ベアリングキャップ53とバルクヘッド57との間にクランクシャフト4のメインジャーナル部4Aが回転可能に支持され、ベアリングキャップ53と補助キャップ54との間に制御軸14のジャーナル部が回転可能に支持されている。制御軸14には、径方向外方へ張り出した第2可動部58が設けられ、この第2可動部58は制御軸14と一体的に作動する。ベアリングキャップ53の一側面には、第2可動部58と当接可能なように制御軸14の軸方向へ張り出した第2ストッパ59が一体的に設けられている。この第2ストッパ59に第2可動部58が当接することにより、制御軸14の高圧縮比方向である第2回転方向R2への最大回転位置が機械的に規制される。
次に、図5及び図6を参照して、本実施例の基準位置学習制御について説明する。なお、この基準位置学習制御は、例えば内燃機関の組立工場内で内燃機関の組立後に一度実行されるが、必要に応じて機関運転中に実行することも可能である。
先ず、ステップS11において、駆動モータ20により制御軸14を低圧縮比方向である第1回転方向R1へ回転駆動する。図6の時刻t1〜t2が、制御軸14が低圧縮比方向へ回転・移行している状態を表している。この際、制御軸14の回転速度は制限されておらず、制御軸14が最大速度で回転するように、駆動モータ20がトルク制限されることなく制御軸14を回転駆動する。
ステップS12では、第1可動部51が第1ストッパ52に突き当てられて、制御軸14が第1回転方向R1への最大回転位置に保持されている状態であるか否かを判定する。この判定は、例えば簡易的に制御軸14の第1回転方向R1への駆動開始から一定時間が経過したか否かにより判定され、あるいは、上述した制御軸センサ41の検出信号に基づいて判定するようにしても良い。
第1可動部51が第1ストッパ52に突き当てられて制御軸14が第1回転方向R1への最大回転位置に保持されている状態であると判定されると、ステップS12からステップS13へ進み、制御軸センサ41の検出信号に基づいて、基準位置学習制御を実施する(図6の時刻t2〜t3)。このように、この制御軸14の回転位置が第1ストッパ52により機械的に規制されている位置で制御軸センサ41の検出信号を学習・補正することにより、制御軸センサ41のばらつきを排除し、機関圧縮比の検出精度を向上することができる。
基準位置学習制御を終了すると、ステップS14において、第1回転方向R1とは逆方向である高圧縮比方向の第2回転方向R2へ制御軸14を回転駆動する。この高圧縮比方向への移行期間の前半(図6の時刻t3〜t4)では、制御軸14の目標回転速度は制限されておらず、制御軸14が最大速度で回転するように、駆動モータ20がトルク制限されることなく制御軸14を回転駆動する。
ステップS15では、高圧縮比移行期間の後半となる速度切換ポイント(図6の時刻t4)となったか否かを判定する。この判定は、例えば簡易的に高圧縮比移行期間の開始から一定時間が経過したか否かにより判定され、あるいは、上述した制御軸センサ41の検出信号に基づいて判定するようにしても良い。
速度切換ポイントに到達し、つまり高圧縮比移行期間の後半(図6の時刻t4〜t5)へ移行すると、ステップS15からステップS16へ進み、制御軸14の回転速度を制限するように、駆動モータ20の駆動トルク(目標回転速度)を制限する。これにより、制御軸14の回転速度が制限された状態で、制御軸14が高回転側の第2回転方向R2へ回転する。
ステップS17では、第2可動部58が第2ストッパ59に突き当てられて制御軸14が第2回転方向R2への最大回転位置に保持されている状態であるか否かを判定する。第2可動部58が第2ストッパ59に突き当てられて制御軸14が第2回転方向R2への最大回転位置に保持されている状態であれば、ステップS17からステップS18へ進み、第2ストッパ59により制御軸14の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、制御軸センサ41の検出信号に基づいて、制御軸14の最大変換角度範囲の学習制御を実施する(図6の時刻t5〜t6)。このように、制御軸14の回転位置が第2ストッパ59により機械的に規制されている位置で制御軸センサ41の検出信号を学習・補正することにより、制御軸センサ41のばらつきを更に確実に排除し、機関圧縮比の検出精度を向上することができる。
このような本実施例のよる特徴的な構成及び作用効果について、以下に列記する。 [1]第1ストッパ52により制御軸14の第1回転方向R1への最大回転位置を機械的に規制した状態で、制御軸14の基準位置を学習する構成において、第1ストッパ52をハウジング22に設けている。このように、機関本体の外側にあるハウジング22に第1ストッパ52を設けているために、機関本体を構成するシリンダブロック1内のベアリングキャップ53(クランク軸受部)等に第1ストッパ52を設ける場合に比して、レイアウト的な制約が少ないことから、強度・剛性の確保が容易となる。従って、第1ストッパ52を堅牢に設けることができ、この第1ストッパ52に第1可動部51を突き当てる際のトルクを制限するように速度を弱めるなどの必要がない。この結果、基準位置の学習精度を低下させることなく、学習に要する時間を短縮することが可能となる。
また、制御軸14と連動して作動する第2可動部58が当接することにより、第1回転方向R1とは逆方向である制御軸14の第2回転方向R2への最大回転位置を機械的に規制する第2ストッパ59を有し、この第2ストッパ59により制御軸14の第2回転方向R2への最大回転位置を機械的に規制した状態で、制御軸14の最大変換角度範囲を学習する構成としている。このように制御軸14の最大変換角度範囲を学習・補正することにより、制御軸センサ41のばらつきを更に確実に排除し、機関圧縮比の検出精度を向上することができる。ここで、機関本体の内側にあるベアリングキャップ53に第2ストッパ59を設けることで、この第2ストッパ59を機関本体の外側に設ける場合に比して、第2ストッパ59とピストン3との間に介在させるリンク部品が少なくて済み、基準位置の学習精度が向上できる。 図8は、本実施例L1と比較例L0との学習時間の相違を示すタイミングチャートである。なお、分かり易くするために実際に学習が行なわれている時間は省略している。この図8に示すように、学習制御の開始時点t7では、制御軸14の回転位置が不明である。図8の特性L0で示す比較例のように、仮に先ず制御軸14を第2回転方向R2(高圧縮比方向)へ回転し、その後に制御軸14を第1回転方向R1(低圧縮比方向)へ回転する構成とした場合、第2可動部58がベアリングキャップ53に設けられた第2ストッパ59に突き当たる際のトルクを制限するように、駆動モータ20の駆動開始直後(t7)から駆動モータ20の速度を制限する必要がある。これは、機関本体内側にあるベアリングキャップ53の周囲にはクランクシャフト4とともに回転するクランクピン5やカウンターウエイト等の回転部品が存在するために、レイアウト的な制約が厳しく、ベアリングキャップ53に設けられた第2ストッパ59の強度・剛性を十分に確保することは困難であるため、第2可動部58を第2ストッパ59に突き当てる際に、速度を制限する必要があるためである。従って、第2可動部58が第2ストッパ59に突き当たるまでに非常に時間がかかり(t7〜t11)、ひいては学習終了までの時間(t7〜t12)が非常に長くなる。
これに対して、特性L1で示す本実施例では、先ず、第1ストッパ52により制御軸14の第1回転方向R1への最大回転位置を機械的に規制した状態で制御軸14の基準位置を学習し、その後、第2ストッパ59により制御軸14の第2回転方向R2への最大回転位置を機械的に規制した状態で制御軸14の最大変換角度範囲を学習している。つまり、先ず制御軸14を第1回転方向R1へ回転駆動し、その後に第2回転方向R2へ回転駆動している。ここで、第1回転方向R1の側に位置する第1ストッパ52が堅牢なハウジング22に設けられており、駆動モータ20の速度制限を行なう必要がないので、先ず制御軸14を第1回転方向R1に回転駆動する際に駆動モータ20の速度を制限する必要がない。従って、第1可動部51が第1ストッパ52に突き当たるまでの時間(t7〜t8)が短縮される。しかも、その後に制御軸14を第2回転方向R2へ回転駆動する際にも、第1可動部51が第1ストッパ52に突き当てられた状態から制御軸14の第2回転方向R2への回転駆動を開始することから、初期段階(t8〜t9)では駆動モータ20の速度制限を行なう必要がない。この結果、学習を終了するまでの時間(t7〜t10)を大幅に短縮することができる。
[2]そして、この第2ストッパ59をクランク軸受部であるベアリングキャップ53に設けている。このように最大変換角度範囲の学習が行なわれるストッパ位置を、制御軸14に近い位置であるベアリングキャップ53とすることで、学習精度を向上することができる。
[2]そして、この第2ストッパ59をクランク軸受部であるベアリングキャップ53に設けている。このように最大変換角度範囲の学習が行なわれるストッパ位置を、制御軸14に近い位置であるベアリングキャップ53とすることで、学習精度を向上することができる。
[3]但し、シリンダブロック1内に設けられるベアリングキャップ53の周囲にはクランクピン5やカウンターウェイト等の回転部品が存在するために、レイアウト的な制約が厳しく、第2ストッパ59を十分に堅牢に設けることはできない。そこで、最大変換角度範囲を学習するために第2可動部58を第2ストッパ59に突き当てる際、付き当て時のトルクを抑制するように駆動モータ20の作動速度を制限する。これにより、第2ストッパ59をベアリングキャップ53に設けつつ、所期の学習精度を確保することができる。
[4]図7に示すように、駆動モータ20から制御軸14への回転動力伝達経路の減速比は、制御軸14が低圧縮比方向から高圧縮比方向へ回転するに従って、大、小、大の順に変化するように構成されている。そして、上記の減速比が小から大へ変化する区間K2内で、第2可動部58が第2ストッパ59に突き当たるように構成されており、かつ、最大変換角度範囲を学習するために、第2可動部58を第2ストッパ59に突き当てる際、上記の減速比が小から大へ切り換わった後の区間K2内で、駆動モータ20の作動速度を制限するように構成されている。
仮に減速比が大から小へ変化する区間K1で駆動モータ20の速度を制限すると、制御軸14が第2回転方向R2(高圧縮比方向)へ回転するに従って減速比が小さくなり、駆動モータ20から制御軸14へ伝達されるトルクも小さくなることから、各部のフリクション等により第2可動部58が途中で停止してしまうおそれがある。
本実施例では、減速比が小から大へ切り換わった後の区間K2内で駆動モータ20の速度を制限しているために、制御軸14が第2回転方向R2(高圧縮比方向)へ回転するに従って減速比が大きくなって、駆動モータ20から制御軸14へ伝達されるトルクも大きくなることから、速度制限を行なっても第2可動部58が第2ストッパ59に突き当たる前に停止することを抑制し、学習制御の信頼性を向上することができる。
[5]第1回転方向R1へ回転するほど機関圧縮比が低くなり、第2回転方向R2へ回転するほど機関圧縮比が高くなるように構成されている。このように、ノッキングやプレイグニッションの発生を抑制するために、高い精度が要求される高圧縮比方向の第2ストッパ59が、ピストン3や制御軸14に近いベアリングキャップ53に設けられることとなり、高圧縮比側に高い学習精度を確保し、ノッキングやプレイグニッションの発生を良好に抑制することができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形・変更を含むものである。例えば、本実施例では第1回転方向R1を低圧縮比方向、第2回転方向R2を高圧縮比方向としているが、これとは逆に、第1回転方向R1を高圧縮比方向、第2回転方向R2を低圧縮比方向としても良い。
1…シリンダブロック
4…クランクシャフト
10…可変圧縮比機構
14…制御軸
20…駆動モータ
21…連結機構
22…ハウジング
51…第1可動部
52…第1ストッパ
53…ベアリングキャップ(クランク軸受部)
58…第2可動部
59…第2ストッパ
4…クランクシャフト
10…可変圧縮比機構
14…制御軸
20…駆動モータ
21…連結機構
22…ハウジング
51…第1可動部
52…第1ストッパ
53…ベアリングキャップ(クランク軸受部)
58…第2可動部
59…第2ストッパ
Claims (6)
- 制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
上記制御軸の回転位置を変更・保持する駆動モータと、
機関本体の外側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第1可動部が当接することにより、上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第1ストッパと、
上記機関本体の内側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第2可動部が当接することにより、上記第1回転方向とは逆方向である上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第2ストッパと、
上記第1ストッパにより上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の基準位置を学習する基準位置学習手段と、
上記制御軸の基準位置を学習した後、上記第2ストッパにより上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の最大変換角度範囲を学習する変換角度範囲学習手段と、を有する
可変圧縮比内燃機関。 - クランクシャフトを回転可能に支持するクランク軸受部を有し、
上記第2ストッパを上記クランク軸受部に設けた請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。 - 上記最大変換角度範囲を学習するために、上記第2可動部を上記第2ストッパに突き当てる際、上記駆動モータの作動速度を制限する請求項1又は2に記載の可変圧縮比内燃機関。
- 上記駆動モータから制御軸への回転動力伝達経路の減速比は、制御軸が低圧縮比側から高圧縮比側へ回転するに従って、大、小、大の順に変化するように構成されており、
上記最大変換角度範囲を学習するために、上記第2可動部を上記第2ストッパに突き当てる際、上記減速比が小から大へ切り換わった後、上記駆動モータの作動速度を制限する請求項1〜3のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関。 - 上記第1回転方向へ回転するほど機関圧縮比が低くなり、
上記第2回転方向へ回転するほど機関圧縮比が高くなるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関。
- 制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
上記制御軸の回転位置を変更・保持する駆動モータと、
機関本体の外側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第1可動部が当接することにより、上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第1ストッパと、
上記機関本体の内側に設けられ、上記制御軸と連動して作動する第2可動部が当接することにより、上記第1回転方向とは逆方向である上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制する第2ストッパと、を有する可変圧縮比内燃機関の学習方法であって、
上記第1ストッパにより上記制御軸の第1回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の基準位置を学習した後、
上記第2ストッパにより上記制御軸の第2回転方向への最大回転位置を機械的に規制した状態で、上記制御軸の最大変換角度範囲を学習する、
可変圧縮比内燃機関の学習方法。
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