JP6372320B2 - 同軸ケーブル及びそれを用いた医療用ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、超音波診断等の医療用途に好適な同軸ケーブル及びそれを用いた医療用ケーブルに関する。
従来、超音波診断等の医療用途に使用されている医療用ケーブルの信号線においては、高周波信号を効率的に伝送するため、内部信号の漏洩や外部雑音の影響を低減することができる同軸構造が採用されている（例えば、特許文献１を参照）。
同軸構造では、静電容量を下げるため、絶縁体として、数多の気泡を含有していると共に気泡を含有していない非発泡絶縁体よりも全体の誘電率が低い発泡絶縁体が使用されている（例えば、特許文献２を参照）。
特開２００２−３６７４４４号公報 特開２０１１−２２８０６４号公報 特開２０１２−１０４３７１号公報 特開平５−５４７２９号公報
ところで、発泡絶縁体を形成する際は物理発泡法や化学発泡法等の加圧充実方式で絶縁樹脂中に気泡を発生させるが（例えば、特許文献３を参照）、医療用ケーブルの細径化を目指して外径が小さい中心導体を使用している場合、中心導体が気泡発生時の発泡圧力に耐えきれず損傷を受けたり破断したりする虞がある。
また、物理発泡法や化学発泡法等の加圧充実方式では、医療用ケーブルの細径化に伴い厚さが薄い発泡絶縁体を形成しようとしても、気泡が絶縁樹脂中に均一に分散している発泡絶縁体を形成することは困難であり、所望の電気特性を実現することができない。
なお、中心導体の周囲に発泡絶縁体を囲繞形成する方法としては、発泡絶縁テープを中心導体の周囲に巻き付けて発泡絶縁体とする方法も知られているが（例えば、特許文献４を参照）、発泡絶縁テープは、数多の気泡を含有しているため、中心導体の周囲に巻き付ける際の巻付張力で気泡を起点に破断し易い。
特に、ＡＷＧ（American Wire Gauge）４８以下である中心導体の周囲に発泡絶縁テープを巻き付ける場合、厚さが非常に薄く幅が非常に狭い発泡絶縁テープを使用する必要があるが、前述の通り、発泡絶縁テープが巻付張力で破断するため、発泡絶縁テープを中心導体の周囲に巻き付けて発泡絶縁体とすることは不可能に近い。
そこで、本発明の目的は、外径が小さい中心導体を使用している場合であっても、中心導体の損傷や破断を回避し、所望の電気特性を実現することが可能な同軸ケーブル及びそれを用いた医療用ケーブルを提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、中心導体と、前記中心導体の周囲に囲繞形成されている絶縁体と、を備えており、前記絶縁体は、片面に形成されている複数の空隙を有していると共にその片面を外周面として前記中心導体の周囲に重ね巻きされている絶縁テープからなる同軸ケーブルである。
前記絶縁テープは、前記空隙が形成されている空隙含有層と、前記空隙含有層に熱融着されている補強層と、からなることが好ましい。
前記空隙含有層は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンで形成されており、前記補強層は、ポリエチレンテレフタレートで形成されていることが好ましい。
前記空隙含有層は、前記空隙で貫通されていることが好ましい。
前記空隙は、丸型であり、それぞれが等間隔で千鳥状に配置されていることが好ましい。
前記絶縁体の周囲に囲繞形成されている保護体を更に備えていることが好ましい。
前記保護体は、前記絶縁体の周囲に巻き付けられている保護テープ又は前記絶縁体の周囲に非充実押出成型されている保護層からなることが好ましい。
前記絶縁テープは、厚さが３０μｍ以下であることが好ましい。
また、本発明は、複数本の前記同軸ケーブルを撚り合わせてなる複数本の心線ユニットが集合されてなる医療用ケーブルである。
本発明によれば、外径が小さい中心導体を使用している場合であっても、中心導体の損傷や破断を回避し、所望の電気特性を実現することが可能な同軸ケーブル及びそれを用いた医療用ケーブルを提供することができる。
本発明に係る同軸ケーブルを示す断面模式図である。 絶縁テープを示す斜視模式図である。 本発明に係る医療用ケーブルを示す断面模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に順って説明する。
図１に示すように、本発明の好適な実施の形態に係る同軸ケーブル１００は、中心導体１０１と、中心導体１０１の周囲に囲繞形成されている絶縁体１０２と、絶縁体１０２の周囲に囲繞形成されている保護体１０３と、保護体１０３の周囲に囲繞形成されている遮蔽体１０４と、遮蔽体１０４の周囲に囲繞形成されているジャケット１０５と、を備えている。
中心導体１０１は、同軸構造の内部導体を構成しており、例えば、銅や銅合金等の導電率が高い材料で形成されていると共にその表面に銀鍍金又は錫鍍金等が施されている単線又は撚線からなる。
絶縁体１０２と保護体１０３は、同軸構造の絶縁体を構成しており、このうち、絶縁体１０２は、片面に等間隔で均一に分散されて形成されている複数の空隙１０６を有していると共にその片面を外周面として中心導体１０１の周囲に螺旋状に重ね巻きされている絶縁テープ１０７からなる。
これにより、絶縁体１０２の空隙率を同軸ケーブル１００の長手方向に亘って均一にすることができ、その結果として、絶縁体１０２の誘電率が同軸ケーブル１００の長手方向に亘って均一となり、同軸ケーブル１００において、所望の電気特性を実現することが可能となる。
保護体１０３は、空隙１０６に異物が侵入したり絶縁テープ１０７が損傷を受けたりして絶縁体１０２の空隙率が低下することを抑制しており、絶縁体１０２の周囲に巻き付けられている保護テープ又は絶縁体１０２の周囲に非充実押出成型（チューブ押出成型）されている保護層からなる。
遮蔽体１０４は、同軸構造の外部導体を構成しており、例えば、銅や銅合金等の導電率が高い材料で形成されている編組シールドや横巻シールドからなる。
ジャケット１０５は、例えば、フッ素樹脂等の機械的特性や耐薬品性が高い樹脂で形成されており、遮蔽体１０４の損傷による電気特性の劣化等を抑制している。
空隙１０６は、絶縁テープ１０７の片面に向けて開口しており、その片面の表面に向かうに連れて開口が拡大している。これは、中心導体１０１の周囲に絶縁テープ１０７を巻き付ける際に内側に配置される内周面よりも外側に配置される外周面の方が円周が長くなるため、外周面となる絶縁テープ１０７の片面が延伸されるからである。
図２に示すように、空隙１０６は、丸型であり、それぞれが等間隔で千鳥状に配置されていることが好ましい。
これにより、中心導体１０１の周囲に絶縁テープ１０７を巻き付ける際の巻付張力が局所的に集中することを防止することができ、同軸ケーブル１００の製造時における絶縁テープ１０７の破断を効果的に抑制することが可能となる。
絶縁テープ１０７は、空隙１０６が形成されている厚さが２５μｍ以下程度である空隙含有層１０８と、空隙含有層１０８に熱融着されている厚さが５μｍ以下程度である補強層１０９と、からなり、全体の厚さが３０μｍ以下程度である。
空隙含有層１０８は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレン等の誘電率が低い材料で形成されており、補強層１０９は、ポリエチレンテレフタレート等の機械的強度が高い材料で形成されている。
このうち、補強層１０９は、特に、引張強度が４００ＭＰａ程度である超延伸ポリエチレンテレフタレートで形成されていることが好ましい。
これにより、補強層１０９の厚さが５μｍ以下程度であっても、中心導体１０１の周囲に絶縁テープ１０７を巻き付ける際の巻付張力による空隙含有層１０８の延伸や破断を十分に抑制することができるため、同軸ケーブル１００の細径化に貢献することが可能となる。
さて、絶縁テープ１０７は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレン等の誘電率が低い材料で形成されている低誘電率シートにエンボス加工や打抜加工を施してエンボスや貫通孔を形成し、エンボスや貫通孔が形成されている低誘電率シートとポリエチレンテレフタレート等の機械的強度が高い材料で形成されている補強シートとを熱融着させて貼り付けて一体化して絶縁シートとし、その後、絶縁シートを所望の幅と長さに切断して作製する。
これにより、エンボスや貫通孔が有底凹状の空隙１０６となると共に空隙１０６を有している空隙含有層１０８が補強層１０９で補強されるため、中心導体１０１の周囲に絶縁テープ１０７を巻き付ける際の巻付張力で空隙含有層１０８が延伸されて空隙１０６が潰れることを抑制すると共に機械的強度が弱い空隙１０６を起点に空隙含有層１０８が破断することを抑制することが可能となる。
なお、エンボス加工を経て形成される空隙１０６よりも打抜加工を経て形成される空隙１０６の方が空隙１０６としての体積が大きいことから、絶縁体１０２の空隙率を増加させて絶縁体１０２の誘電率を低下させるためには、打抜加工を経て形成される空隙１０６を採用し、空隙含有層１０８が空隙１０６で貫通されていることが好ましい。
また、空隙１０６は溝型でも良い。しかし、空隙１０６は丸型である方が、エンボスや貫通孔が形成された低誘電率シートが一体的で分離しないため、低誘電率シートと補強シートとの貼り付けが容易であり、より好ましい。
従って、本実施の形態に係る同軸ケーブル１００によれば、同軸ケーブル１００の細径化を目指して外径が小さい中心導体１０１を使用している場合であっても、絶縁体１０２として発泡絶縁体を使用していないため、中心導体１０１が損傷を受けたり破断したりすることを回避することができる。
また、本実施の形態に係る同軸ケーブル１００によれば、同軸ケーブル１００の細径化に伴い厚さが薄い絶縁体１０２を形成することを目的として厚さが薄い絶縁テープ１０７を使用している場合であっても、空隙含有層１０８に空隙１０６が均一に存在しているため、所望の電気特性を実現することができる。
更に、本実施の形態に係る同軸ケーブル１００では、同軸ケーブル１００の細径化に伴い厚さが薄い絶縁体１０２を形成することを目的として厚さが薄い絶縁テープ１０７を使用している場合であっても、空隙含有層１０８が補強層１０９で補強されているため、絶縁テープ１０７が中心導体１０１の周囲に巻き付ける際の巻付張力で破断し難い。
そのため、本実施の形態に係る同軸ケーブル１００によれば、ＡＷＧ（American Wire Gauge）４８以下である中心導体１０１の周囲に絶縁テープ１０７を巻き付ける場合であっても、絶縁テープ１０７が破断せず、絶縁テープ１０７を中心導体１０１の周囲に巻き付けて絶縁体１０２とすることが可能となる。
なお、図３に示すように、複数本の同軸ケーブル１００を撚り合わせてなる複数本の心線ユニット２００を、例えば、バインドテープ３０１、編組シールド３０２、シース３０３等で束ねてプローブケーブル等の医療用ケーブル３００として使用することもできる。これにより、医療用ケーブル３００の細径化にも貢献することが可能となる。
以上の通り、本発明によれば、外径が小さい中心導体１０１を使用している場合であっても、中心導体１０１の損傷や破断を回避し、所望の電気特性を実現することが可能な同軸ケーブル１００及びそれを用いた医療用ケーブル３００を提供することができる。
１００ 同軸ケーブル
１０１ 中心導体
１０２ 絶縁体
１０３ 保護体
１０４ 遮蔽体
１０５ ジャケット
１０６ 空隙
１０７ 絶縁テープ
１０８ 空隙含有層
１０９ 補強層
２００ 心線ユニット
３００ 医療用ケーブル

Claims (9)

  1. 中心導体と、
    前記中心導体の周囲に囲繞形成されている絶縁体と、
    を備えており、
    前記絶縁体は、片面に形成されている複数の空隙を有していると共にその片面を外周面として前記中心導体の周囲に重ね巻きされている絶縁テープからなることを特徴とする同軸ケーブル。
  2. 前記絶縁テープは、前記空隙が形成されている空隙含有層と、前記空隙含有層に熱融着されている補強層と、からなる請求項１に記載の同軸ケーブル。
  3. 前記空隙含有層は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンで形成されており、前記補強層は、ポリエチレンテレフタレートで形成されている請求項２に記載の同軸ケーブル。
  4. 前記空隙含有層は、前記空隙で貫通されている請求項２又は３に記載の同軸ケーブル。
  5. 前記空隙は、丸型であり、それぞれが等間隔で千鳥状に配置されている請求項１から４の何れか一項に記載の同軸ケーブル。
  6. 前記絶縁体の周囲に囲繞形成されている保護体を更に備えている請求項１から５の何れか一項に記載の同軸ケーブル。
  7. 前記保護体は、前記絶縁体の周囲に巻き付けられている保護テープ又は前記絶縁体の周囲に非充実押出成型されている保護層からなる請求項６に記載の同軸ケーブル。
  8. 前記絶縁テープは、厚さが３０μｍ以下である請求項１から７の何れか一項に記載の同軸ケーブル。
  9. 請求項１から８の何れか一項に記載の複数本の同軸ケーブルを撚り合わせてなる複数本の心線ユニットが集合されてなることを特徴とする医療用ケーブル。
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