JP5545179B2 - 発泡絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高速信号伝送に用いられる発泡絶縁電線及びその製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化と高性能化に伴い、それらに使用される信号伝送用電線においても高性能化、すなわち伝送速度の高速化や通信容量の増大が強く望まれている。
伝送速度は遅延時間(Td)で表されることが多く、殆どの場合1mの電線を信号が通過するのに必要な時間(ns/m)で表される。このTdが小さいほど伝送速度は大きい。
伝送速度は電線に用いる絶縁体の誘電率の影響が大きく、誘電率が小さいほど伝送速度が向上することは広く知られており、ポリエチレン(比誘電率:約2.3)やふっ素樹脂(比誘電率:2.1〜2.2)の低誘電率絶縁体が用いられている。更に、空気の比誘電率が1であることから、これらの絶縁体中に気泡を含有させることで絶縁体全体としての比誘電率を抑制する技術も実用化されており、発泡絶縁電線として一般化している。発泡度の高いタイプではTdが4.0ns/m以下となるものがある。
発泡絶縁電線の製造方法には大別して以下の2種類の製造方法がある。
(物理発泡法)
一つは押出機の中で溶融した樹脂中に高圧のガスを注入する方法で、物理発泡法と称される。概略手順は以下の通りである。
1) 押出機中に樹脂を投入し、加熱混練を行って溶融させる。
2) 樹脂の流路の途中から高圧のガスを注入し溶解させる。
3) 導体上にガスの溶解した樹脂を被覆する。
4) 導体の移動に伴い、被覆した樹脂を押出機外部に移動させる。
5) 押出機内部での圧力から開放され、樹脂中に溶解していたガスが気泡となる。
6) 気泡が過剰に成長して絶縁体が不均一になる前に冷却し、樹脂を固化させる。
(化学発泡法)
もう一つは、樹脂と共に化学的な発泡剤を投入する方法で、化学発泡法と呼ばれる。概略手順は以下の通りである。
1) 押出機中に樹脂と発泡剤を投入する。発泡剤は単独でも樹脂中に混練していてもよい。
2) 押出機中で発泡剤の分解温度以上に加熱する。その際押出機中で発泡しないよう樹脂の圧力が高い状態を維持し、発生したガスを樹脂中に溶解させる。
3) 導体上にガスの溶解した樹脂を被覆する。
4) 導体の移動に伴い、被覆した樹脂を押出機外部に移動させる。
5) 押出機内部での圧力から開放され、樹脂中に溶解していたガスが気泡となる。
6) 気泡が過剰に成長して絶縁体が不均一になる前に冷却し、樹脂を固化させる。
物理発泡方式は、化学発泡方式に比べ以下の利点がある。
(1)高い発泡度を得やすい。
(2)化学的な発泡剤を使用しないため、発泡剤や発泡剤の残渣による絶縁体の電気特性(誘電率εや誘電正接tanδ)の低下が少ない。
以上の理由から、高性能発泡絶縁電線の製造には物理発泡方式が多用されている。
特開2006−339099号公報
しかしながら、当該発泡方式による発泡絶縁電線には、気泡成長が不安定になるという問題がある。気泡成長は、気泡内のガス圧を推進力としているため、周囲の材料粘度が高い場合は遅く、ゼロせん断粘度が低い場合は速くなることが知られている。気泡成長が速すぎると、気泡の成長にバラつきが生じたり、異常成長が起きやすくなり、外径変動、偏心(偏肉)、発泡度変動、巣の発生の原因となる。
このような変動は、絶縁体の誘電率の変動となるため、Tdが変動することになる。これは製品のばらつきという面で大きな問題である。
特に細径薄肉の発泡絶縁電線の場合、僅かな気泡成長の違いが発泡絶縁体の変動に繋がるため、比較的高粘度の材料を用いて気泡の成長を穏やかにする場合が多い。しかし、高発泡の絶縁体を形成する場合は、高粘度の材料を使用してもさらに高圧のガスで発泡させるため気泡の異常成長が起きやすく、このような電線、ケーブルは生産性が低くなってしまう。
この問題への対策のひとつとして、発泡核剤を極端に微粒子化して用いる方法(特許文献1)などが提案されている。これは発泡起点となる微粒子の核剤を使用することで気泡を大量に発生させ、個々の気泡に流入するガスを減らすことで、気泡の異常成長防止を狙っている。しかし、この方法も以下のような問題を抱えている。
(1) 超微粒子核剤は樹脂中への均一な分散が難しいため、2次凝集や分散不良の問題が発生しやすい。
(2) 核剤が超微粒子になると、作業環境を汚染しやすいため、取扱い上の手間がかかり、作業性が低下する。
(3) 微粒子の核剤を使用しても、発泡度を向上させるため添加量を増やした場合、発泡絶縁体としての誘電率εや誘電正接tanδに悪影響を与えやすい。
本発明は、掛かる点に関して成されたものであり、発泡度が高く、しかもTdのバラツキを防止した発泡絶縁電線及びその製造方法を提供する。
この課題を解決するため本発明は、中心導体と、前記中心導体の外周に被覆された発泡絶縁体と、を備え、前記発泡絶縁体は、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが0.3以上2以下の高密度ポリエチレンを15質量部以上35質量部以下と、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが6以上10以下の直鎖状低密度ポリエチレンを55質量部以上75質量部以下と、を含む樹脂組成物を発泡させてなり、前記発泡絶縁体の発泡度が60%以上75%以下であり、かつ前記発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下であることを特徴とする発泡絶縁電線である。
前記発泡絶縁体の外径が2mm以下で、かつ前記中心導体の直径が1mm以下であるとよい。
前記樹脂組成物は、発泡剤もしくは発泡核剤を含む20質量部以下のマスターバッチを更に含むとよい。
また、本発明は、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが0.3以上2以下の高密度ポリエチレンを15質量部以上35質量部以下と、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが6以上10以下の直鎖状低密度ポリエチレンを55質量部以上75質量部以下と、発泡剤もしくは発泡核剤を含むマスターバッチを20質量部以下と、を含む樹脂組成物を押出機で押し出すと共に化学発泡又は物理発泡させ中心導体の外周に発泡絶縁体として被覆し、前記発泡絶縁体の発泡度が60%以上75%以下であり、かつ前記発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下である発泡絶縁電線を製造することを特徴とする発泡絶縁電線の製造方法である。
本発明によれば、発泡度が高く、しかもTdのバラツキを防止した細径の発泡絶縁電線及びその製造方法を提供できる。
本発明の一実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面図である。 ポリエチレンの伸長粘度の測定結果を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る発泡絶縁電線の断面図である。
図1に示すように、発泡絶縁電線1は、中心導体2の外周に、ポリオレフィン樹脂と発泡剤もしくは発泡核剤を含む樹脂組成物が押出被覆され、多数の気泡3を有する発泡絶縁体4が形成されてなるものである。
中心導体2の導体としては銅を用いる。中心導体2は、単線でもより線でもよい。なお、より線の場合は単線に比べて導体断面積が小さくなるため、同一断面積に換算したより線径に読み替えるものとする。
発泡絶縁体4の発泡度は、60%未満では発泡絶縁電線1の遅延時間(Td)が大きくなり、75%を超えると外径変動が大きくなるなどの問題が生じるので、本発明では、60%以上75%以下である。発泡絶縁体4は、ポリオレフィン樹脂と発泡剤もしくは発泡核剤を含む樹脂組成物から形成される。本発明の樹脂組成物は、後述するゼロせん断粘度と共に述べる。
発泡絶縁電線1の発泡絶縁体4の外径は2mm以下で、かつ中心導体2の直径は1mm以下である。
ここで、発泡絶縁電線においては、伝送速度の高速化の観点からTdを小さくすることが望まれる。そのためには、発泡絶縁電線の発泡絶縁体における発泡度を高くする必要がある。
しかし、発泡絶縁体の発泡度を高くすると、発泡絶縁体の長手方向に亘って発泡を均一にすることは難しいため、発泡絶縁電線のTdにバラツキが生じてしまう。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、発泡度が高くてもTdのバラツキを防止し、発泡絶縁体を高い生産性で形成できる条件を見出した。
すなわち、本発明は、発泡絶縁体の発泡度が60%以上75%以下であり、かつ発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下であれば、気泡が均一に分散でき、発泡絶縁電線を高い生産性で形成できる旨、保証するものである。
以下、発泡絶縁電線1を構成する各項目について説明する。
(発泡度)
発泡度F(%)は、発泡絶縁電線1の1m当たりの静電容量C、導体直径aと発泡絶縁体の外径bから求めた発泡絶縁体の誘電率εs、発泡前の樹脂組成物の誘電率εpから求める。詳細な計算方法は、下式(1),(2)の通りである。
(発泡方式、条件)
発泡方式について述べる。発泡方法としては、物理発泡、化学発泡の2つの方法があり、本発明に適用する方法としては物理発泡方式が好ましいが、製品の目的と要求性能にあわせて化学発泡方式を選択することも出来る。
発泡絶縁電線1のTdは、発泡絶縁体4の発泡度により調整する。例えば、樹脂組成物の主成分がLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の場合、発泡度を60%以上とすれば、Tdを4.0ns/m以下とすることが出来る。
(ゼロせん断粘度)
樹脂組成物のゼロせん断粘度は、3000Pa・s以上18000Pa・s以下の範囲であるが、より好ましくは8000Pa・s以上12000Pa・s程度の範囲である。この範囲から更に粘度が高くなると、高圧のガスを用いて発泡せざるを得ず、巣の発生や気泡の異常成長が生じやすくなる。一方、低粘度に傾くと、中心導体2の外周に被覆した際に液ダレによる偏心(偏肉)が生じやすくなる。このため、材料の粘度は、最適範囲を中心とした3000Pa・s以上18000Pa・s以下が望ましい。
中心導体上に被覆すると共に、発泡し、形成された発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度は、被覆形成前の樹脂組成物の170℃におけるゼロせん断粘度と変わらない。
ゼロせん断粘度の測定には、例えば、TAインスツルメンツ社製、動的粘度測定装置ARESを使用し、170℃でφ20mmパラレルプレートにて周波数をパラメータとして測定する。ゼロせん断粘度は、この測定結果を低周波側に延長し、せん断速度0に外挿して求める。
(樹脂組成物の配合)
本発明は、170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下のポリオレフィン樹脂と発泡剤もしくは発泡核剤を含む樹脂組成物を発泡させることに特徴があり、特に材料組成を規定するものではないが、より、好ましい樹脂組成物の配合の例を表1に示す。
すなわちJIS−K7210に準拠して測定したMFR(190℃、荷重2.16kg)が0.3〜2のHDPE(高密度ポリエチレン)とMFRが6〜10のLLDPE、第三成分としての発泡剤または発泡核剤を含むマスターバッチ(MB)のそれぞれの比率(質量部)が、15〜35、55〜75、20以下、である。MBについては後述する。
LLDPEは、同レベルのゼロせん断粘度を持つ、他のHDPEやLDPE(低密度ポリエチレン)と比較すると、伸張粘度の歪硬化性が大きいという特徴を持つ(図2参照)。そのため、気泡が大きく成長した場合、歪硬化が発現して樹脂の粘性抵抗が増すことで、異常成長による破泡や巣の発生、外径変動等の問題を軽減できる。このLLDPEを主材料とすることで、低粘度でありながら気泡の異常成長を防止して性能の安定した発泡絶縁電線1の製造が可能になる。低粘度と歪硬化特性を併せ持つLLDPEとしては、(株)プライムポリマー製のウルトゼックス(登録商標)15150Jや、住友化学(株)製のスミカセン(登録商標)L−5721が挙げられる。
無論、上記は本発明の考え方を示したものであり、樹脂組成物の材料配合は発泡絶縁電線1に要求される性能に応じて選択できる。
(発泡核剤MB)
物理発泡方式を採用する場合、樹脂中に溶解しているガスが気泡として発生するための起点として、発泡核剤を使用することが出来る。発泡核剤は殆どの場合微細な粉体状であり、これらを押出機中に投入した場合は樹脂中で分散不良を起こしやすい。このため、予めマスターバッチ(MB)と称する、発泡核剤を高濃度に配合したコンパウンドを添加する方法が一般的である。
発泡核剤MBは、高濃度の発泡核剤を分散させることが目的であるため、特にその性状、形態は問わない。また、押出機中での分散性を更に向上させるため、予め本発明で使用するHDPEやLDPEあるいはLLDPEの一部または全部で希釈混練を行うことも出来る。
発泡核剤の種類は、有機物、無機物、あるいは大きさや形状によって様々な選択肢が考えられるが、特に規定するものではなく、その目的と効果によって選択することが出来る。
有機物の一例としてはADCA(アゾジカルボンアミド)に代表されるアゾ化合物、N−N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに代表されるニトロソ化合物、OBSH(4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))やHDCA(ヒドラゾジカルボンアミド)に代表されるヒドラジン誘導体などが挙げられる。これらは後述の発泡剤としての作用も持つが、発泡核剤として使用することを制限するものではない。また、ポリエステル、ポリイミド、ふっ素樹脂、ポリメチルペンテン、環状オレフィンコポリマー、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、その他各種樹脂の粉末を選択できる。
また、ポリオレフィン樹脂とは異なる樹脂を発泡核剤として添加し、押出機中で混練、攪拌することで発泡核剤としての効果を発揮させる方法も選択できる。
無機物としては、シリカ、タルク、その他金属化合物を選択できる。
勿論、発泡核剤の添加が一般的ではあるが、発泡絶縁電線1の用途や目的よっては発泡核剤の添加を行わない方法も選択できる。
(発泡剤MB)
一方、化学発泡を行う場合、発泡ガスの発生源としての発泡剤を樹脂中に混練しておく必要がある。発泡剤の場合も、発泡核剤MBと同様に予めMB化しておくことが一般的であるが、単体で押出機中に投入、あるいは事前に希釈混練を行うことも出来る。
発泡剤としては、ADCA(アゾジカルボンアミド)に代表されるアゾ化合物、N−N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに代表されるニトロソ化合物、OBSH(4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))やHDCA(ヒドラゾジカルボンアミド)に代表されるヒドラジン誘導体、炭酸水素ナトリウムなど、用途と目的に応じて使用できる。
(添加剤など)
発泡絶縁電線1の本来の目的から、その電気特性上可能な限り、樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と発泡剤もしくは発泡核剤のみからなることが好ましいが、その他の性能維持や、樹脂組成物の製造上止むを得ない添加剤等の使用は可能である。
前者の例では、酸化防止剤、発泡核剤分散のための分散助剤、多数の発泡絶縁電線1を識別するための着色剤などがあり、後者の例では樹脂組成物合成時の分子量制御(過剰重合防止のための失活剤)や触媒の残留などである。これらはその目的と効果に応じて、使用することが出来る。
(導体)
中心導体2に用いる導体は銅線に限らず、その他の金属や合金、充分な導電性が確保できるのであればセラミックスや有機物の線条体に導電性を付与したものでも使用可能である。
更にめっきの有無やその種類についてもその目的と用途に応じて、金、銀、錫あるいはそれ以外のめっきが選択可能である。めっき以外の表面改質方法として、コーティング、焼結、クラッド材の使用なども選択可能である。
以上の条件により、中心導体2の外周にポリオレフィン樹脂と発泡剤もしくは発泡核剤を含む樹脂組成物を押出被覆し、多数の気泡3を有する発泡絶縁体4を形成することで発泡絶縁電線1を製造する。
こうして得られた発泡絶縁電線1は、発泡絶縁体4の発泡度が60%以上75%以下と高発泡であるにもかかわらず、発泡絶縁体4の気泡3が異常成長していないのでTdにバラつきが生じず、性能が安定している。
発泡絶縁電線1は、発泡絶縁体4を被覆しただけの状態で使用してもよいが、複数本を撚り合せる、2心平行(ツインナックス)構造に配置する、等としてもよい。また、シールド層を設ける、シース層を設けることなどもでき、これらを複数組合せることも可能である。
本実施の形態では、中心導体2の外周に発泡絶縁体4を形成した発泡絶縁電線1について説明したが、発泡絶縁電線は、着色剤(顔料、染料など)を配合した樹脂組成物を別途用意し、発泡絶縁体の外層に被覆する構造としてもよい。
また、着色剤を配合した樹脂組成物による外層被覆だけでなく、中心導体の直上(外周)に非発泡層を設け、その外周に発泡層を設けることも可能である。これは、特により線を使用した場合に、素線のより目に沿ってガスが抜ける現象を防止するのに効果的である。また、これの変形例として、少しでも発泡度を向上させるため、内層を僅かに発泡させる方法を採ってもよい。
以上要するに、本発明によれば、発泡度の高い発泡絶縁体を高い生産性で形成できるので、高速信号伝送用の高性能な発泡絶縁電線を効率よく生産できる。
また、本発明によれば、発泡を均一に行えるので、発泡絶縁体の外径を2mm以下とし、かつ中心導体の直径を1mm以下とする細径薄肉の発泡絶縁電線を形成でき、電子機器の小型化と高性能化に対応できる。
さらに、LLDPEを主成分とする樹脂組成物を発泡絶縁体に用いることで、低粘度でありながら気泡の異常成長を防止して性能の安定した発泡絶縁電線の製造が可能となる。
次に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。
表2に実施例と比較例の材料組成を示す。樹脂組成物として、密度0.951g/cm3,MFR0.8のHDPE、密度0.937g/cm3,MFR8のLLDPE、発泡核剤MB(核剤MB)をそれぞれ配合し、表中のゼロせん断粘度をもつ材料を得た。核剤MBはベース樹脂に密度0.918g/cm3,MFR4のLDPEを使用し、核剤としてADCAを10mass%含有している。
これらの材料組成からなる樹脂組成物を用いて、電線試作を行った。試作条件を表3に示す。発泡度の目標は60%及び75%とし、中心導体上に各樹脂組成物からなる発泡絶縁体を形成し、それぞれの発泡度の電線を試作した。発泡度をこの数値にすると、外部導体を設けTdを測定した場合に、Tdが各々4.0ns/m、3.85ns/mを示すことから、この値も併記した。
試作には、口径45mm、L/D25(L:押出機のシリンダー長さ、D:押出機のシリンダーの口径)の押出機を用いた。試作ライン中に、静電容量、外径、偏心の各測定機を設け、静電容量と外径から求めた発泡度と外径が、それぞれの目標に一致するよう温度や線速、ガス圧を調節した。押出温度は150〜190℃、線速は80〜150m/min、ガス圧は20〜60MPaであった。
使用した導体は錫めっき銅線の単線で、外径0.81mm(20AWG)であった。この導体に発泡押出を行い、外径1.84mmの発泡絶縁電線を得た。
試作した結果を表4,5に示す。試作結果と材料粘度の関係を見やすくするため、発泡度別に表4には発泡度60%の試作結果、表5には発泡度75%の試作結果を表示し、粘度の順に並べた。
表4,5中の各評価項目について、以下に測定方法及び評価の判定基準を述べる。
各試料とも5000m以上を作製し、上述のように押出機のライン中に設けた各測定機のデータから外径、偏平量、発泡度の変動、巣の発生の有無を評価した。
また、発泡絶縁体外周に外部導体を設けて同軸ケーブルとし、Tdを測定した。
試作した発泡絶縁電線とケーブルの判定基準を表6に示した。判定基準に対する合否の○、×だけでなく、特に優れる◎も含めた3段階評価とした。
(外径変動)
外径変動量の測定には、電線製造ライン上に設置した2台(X−Y軸)の外径測定機を使用した。0.2秒毎に外径を測定し、データロガーを経由してPCにデータを蓄積することで、経時的な外径変動を評価した。変動量は±10μm以下を○、±5μm以下を◎とした。
(偏平量)
偏心測定機から、試料が偏平化した際の長径と短径を読取り、その差が10μm以下を○、5μm以下を◎とした。
(発泡度変動)
外径変動と同様に、静電容量Cも連続的に測定を行った。導体直径aと発泡絶縁体の外径b、静電容量Cから発泡絶縁体の誘電率εsが計算でき、さらに発泡前の樹脂組成物(ポリエチレン)の誘電率εpは既知であることから、発泡絶縁体(ポリエチレン発泡体)の発泡度Fが計算できる。これにより、発泡変動量を測定した。発泡度Fの詳細な計算方法は、先に示した式(1),(2)の通りである。
発泡変動は、試作目標値に対する発泡度の変動を示すものである。変動量は±1.0%以下を○、±0.5%以下を◎とした。
(Td:遅延時間)
製造した同軸ケーブルを約500m毎に切断し、長さ3mの試料を採取して、高機能オシロスコープのTDT(Time Domain Transmission)や、TDR(Time Domain Reflection)モードでTdを測定した。目標値に対する測定値の変動幅が、±0.1ns/m以下を○、±0.05ns/m以下を◎とした。
(巣の発生)
製造した発泡絶縁電線を約500m毎に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察して、巣の有無、頻度、大きさを比較した。巣の認定は、『周囲の気泡と比較して、概ね5倍以上の直径を持つ』を基準とした。個々の巣が大きくなっているものを×、巣は発生しているが、個々の大きさが小さく品質上問題のないものを○、巣の発生がほとんどみられないものを◎とした。
(総合判定)
各評価項目の結果を総合し、実生産における可能性を上記3段階で示した。
実施例及び比較例の結果を比較検討する。
発泡度60%、Td4.0ns/mの試作結果を比較した表4に基づき説明する。最も低粘度材料を用いた比較例1では偏平量や発泡度変動が大きく、巣の発生も見られた。一方、実施例1〜4においては、外径変動、偏平量、発泡度変動量及びTd変動量はいずれも小さく巣の発生も無かった。高粘度材料を用いた比較例2では偏平量は非常に小さかったが、外径と発泡度の変動量が大きかった。
発泡度75%、Td3.85ns/mの試作結果を比較した表5を説明する。やはり低粘度材料を用いた比較例3では各項目ともに変動が大きくなっている。実施例5では各項目とも基準値に入り、裕度はないものの実用上の問題は無くなる。実施例6、7ではいずれの項目も基準に対し充分な裕度を持っていることがわかる。実施例8では外径変動や発泡度変動が大きくなるが、基準値内であり、実用上の問題はない。比較例4になると、外径変動や発泡度変動が基準値を超え、巣の発生も目立ち、実用に耐えないことがわかった。
以上、表4,5の評価結果に示したように、本発明による発泡絶縁電線は、外径変動、偏平量、発泡度変動、Td変動量及び巣の発生のいずれも従来のものよりも小さいことがわかった。これにより、高速信号伝送用の高性能な電線が、効率よく生産できる。
1 発泡絶縁電線
2 中心導体
3 気泡
4 発泡絶縁体

Claims (4)

  1. 中心導体と、
    前記中心導体の外周に被覆された発泡絶縁体と、
    を備え、
    前記発泡絶縁体は、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが0.3以上2以下の高密度ポリエチレンを15質量部以上35質量部以下と、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが6以上10以下の直鎖状低密度ポリエチレンを55質量部以上75質量部以下と、を含む樹脂組成物を発泡させてなり、
    前記発泡絶縁体の発泡度が60%以上75%以下であり、かつ前記発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下であることを特徴とする発泡絶縁電線。
  2. 前記発泡絶縁体の外径が2mm以下で、かつ前記中心導体の直径が1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡絶縁電線。
  3. 前記樹脂組成物は、発泡剤もしくは発泡核剤を含む20質量部以下のマスターバッチを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡絶縁電線。
  4. JIS−K7210に準拠して測定したMFRが0.3以上2以下の高密度ポリエチレンを15質量部以上35質量部以下と、JIS−K7210に準拠して測定したMFRが6以上10以下の直鎖状低密度ポリエチレンを55質量部以上75質量部以下と、発泡剤もしくは発泡核剤を含むマスターバッチを20質量部以下と、を含む樹脂組成物を押出機で押し出すと共に化学発泡又は物理発泡させ中心導体の外周に発泡絶縁体として被覆し、前記発泡絶縁体の発泡度が60%以上75%以下であり、かつ前記発泡絶縁体の170℃におけるゼロせん断粘度が3000Pa・s以上18000Pa・s以下である発泡絶縁電線を製造することを特徴とする発泡絶縁電線の製造方法。
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