JP6372118B2 - 両性界面活性剤とその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、このような残留成分が少ないベタイン型界面活性剤の製造方法が開示されている。しかしながら、残留成分を十分に除去できても、ベタイン型界面活性剤は、他の両性型と比較して皮膚刺激性がやや強い。
特許文献2では、アミノアルコールとエポキシアルカンの反応物に、アクリル酸エステルを反応させ、アルカリで鹸化したβ-アラニン型両性界面活性剤が開示されている。β-アラニン型両性界面活性剤はベタイン型界面活性剤と比較すると、皮膚刺激性は低いが、起泡性がやや劣る。また、この製造法では未反応のアミンの除去や脱塩処理が必要であり、除去が不十分な場合、諸物性に悪影響を及ぼす。
特許文献3では、アミノアルコールとエポキシアルカンの反応物にアクリル酸を反応させた、脱塩処理を必要としないβ-アラニン型両性界面活性剤の製造方法が開示されている。しかしながら、この場合も未反応のアクリル酸の除去が必要であり、残留した場合、皮膚刺激性を悪化させる恐れがある。上記で挙げた両性界面活性剤は、いずれもアニオン性界面活性剤との混合した時に増粘効果を発現するが、その効果は小さく、洗浄剤組成物として使用する場合には、別途、増粘作用を有する水溶性樹脂を添加している場合が多い。以上の観点から、皮膚刺激性が低く、かつ少量で効果的に増粘効果を有する両性界面活性剤の開発が求められている。
本発明の両性イオン型界面活性剤は、一般式(1)に示すようなピロリジン-2-カルボン酸由来のアミノ酸残基を親水基に有する事を特徴としており、一般式(2)に示されるアクリロイル基を有する1官能の疎水性エチレン性不飽和単量体にピロリジン-2-カルボン酸をマイケル付加反応させたものであることが好ましい。
n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、2-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、4−t-ブチルシクロヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、イソボニル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基等の炭素数4以上の直鎖、分岐、脂環状のアルキル基のほか;
ノニルフェニル基、ノニルフェノキシ-ポリエチレングリコール基、ノニルフェノキシ-ポリプロピレングリコール基、ノニルフェノキシ-ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール基等の、炭素数4以上のアルキル基とフェニル基とを有する置換基;
ラウロキシポリエチレングリコール基、ステアロキシポリエチレングリコール基等の、炭素数4以上のアルキル基とアルキレンオキシ鎖とを有する置換基;等が挙げられる。
ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシ-ポリエチレングリコール−モノアクリレート、ノニルフェノキシ-ポリプロピレングリコール−モノアクリレート、ノニルフェノキシ-ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)−モノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール-モノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート
2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート等が挙げられる。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、アクリロイル基を有する1官能の疎水性エチレン性不飽和単量体とピロリジン-2-カルボン酸とを当モルになるように仕込む。次に反応溶剤であるエタノールを仕込む。反応時間の短縮とエチレン性不飽和単量体の安定性を考慮すると、原料成分の濃度は20〜70重量%の範囲である事が好ましい。仕込み完了後、反応槽を撹拌しながら昇温する。溶媒へのピロリジン-2-カルボン酸の溶解量とエチレン性不飽和単量体の安定性を考慮すると、反応温度は50〜90℃の範囲でおこなう事が好ましく、反応時間は5時間〜24時間である事が好ましい。ピロリジン-2-カルボン酸の粉末は緩やかに溶解し消費されていく。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料由来のピーク消失もしくは、生成物の1H−NMR測定による不飽和結合由来のピーク消失により判断した。反応完了後、減圧乾燥により反応溶媒を除去し、目的の両性界面活性剤を得た。目的物が結晶性を有する場合には、アセトンなどの貧溶媒により再結晶をおこなった。
[1H−NMR]
NMRスペクトルは、日本電子製ECX−400P(400MHz)を使用して測定した。測定時の重溶媒には重クロロホルム(CDCL3)を用いた。
[元素分析]
元素分析は、パーキンエルマー社製、2400CHNを使用して測定した。
[実施例1]
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、ラウリルアクリレート100.0重量部、ピロリジン-2−カルボン酸47.9重量部、エタノール221.9重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、75℃で8時間反応させた。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料のスポットが消失した事で判断した。反応後、減圧乾燥により溶媒を除去し、アセトンで再結晶をおこなった。得られた生成物について、1H−NMRおよび元素分析をおこなった。収率は88.0%であった。
[1H−NMRスペクトル]
(δ値)0.83−0.89(3H)、1.18−1.34(18H)、1.54−1.66(2H)、1.84−1.99(2H)、2.13−2.35(3H)、2.64−2.81(3H)、3.05−3.15(1H)、3.35−3.44(1H)、3.53−3.60(1H)、4.05−4.11(2H)
[元素分析]
C20H37O4N1として
理論値(%):H=10.49 C=67.57 N= 3.94
実測値(%):H=10.62 C=67.49 N= 3.99
上記の結果から、生成物が化合物(1)で表される両性界面活性剤であると同定した。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート100.0重量部、ピロリジン-2-カルボン酸89.8重量部、エタノール184.7重量部、イソピロピルアルコール100.0重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、75℃で7時間反応させた。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料のスポットが消失した事で判断した。反応後、減圧乾燥により溶媒を除去し、アセトンで再結晶をおこなった。得られた生成物について実施例1と同様にして、1H−NMRおよび元素分析の測定をおこなった。収率は85.5%であった。
[1H−NMRスペクトル]
(δ値)0.83−0.89(3H)、1.18−1.30(2H)、1.54−1.66(2H)、1.84−1.99(2H)、2.13−2.35(3H)、2.64−2.81(3H)、3.05−3.15(1H)、3.35−3.45(1H)、3.53−3.60(1H)、4.05−4.12(2H)
[元素分析]
C12H21O4N1として
理論値(%):H= 8.70 C=59.24 N= 5.76
実測値(%):H= 8.75 C=59.30 N= 5.65
上記の結果から、生成物が化合物(2)で表される両性界面活性剤であると同定した。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、ステアリルアクリレート100.0重量部、ピロリジン-2-カルボン酸35.5重量部、エタノール307.1重量部、メソイソブチルケトン80.0重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、75℃で15時間反応させた。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料のスポットが消失した事で判断した。反応後、減圧乾燥により溶媒を除去し、アセトンで再結晶をおこなった。得られた生成物について、1H−NMRおよび元素分析をおこなった。収率は89.7%であった。
[1H−NMRスペクトル]
(δ値)0.83−0.89(3H)、1.18−1.39(30H)、1.54−1.66(2H)、1.84−1.99(2H)、2.13−2.35(3H)、2.64−2.81(3H)、3.05−3.15(1H)、3.35−3.45(1H)、3.53−3.60(1H)、4.05−4.12(2H)
[元素分析]
C26H49O4N1として
理論値(%):H= 11.23 C=71.03 N= 3.19
実測値(%):H= 11.22 C=70.99 N= 3.24
上記の結果から、生成物が化合物(3)で表される両性界面活性剤であると同定した。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、n-オクチルアクリルアミド100.0重量部、ピロリジン-2-カルボン酸62.8重量部、エタノール407.0重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、80℃で15時間反応させた。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料のスポットが消失した事で判断した。反応後、減圧乾燥により溶媒を除去し、アセトンで再結晶をおこなった。得られた生成物について実施例1と同様にして、1H−NMRおよび元素分析の測定をおこなった。収率は84.3%であった。
[1H−NMRスペクトル]
(δ値)0.83−0.89(3H)、1.18−1.32(10H)、1.43−1.52(2H)、1.83−1.99(2H)、2.13−2.35(3H)、2.64−2.81(3H)、3.05−3.15(1H)、3.20−3.26(2H)、3.35−3.45(1H)、3.53−3.60(1H)
[元素分析]
C16H30O3N2として
理論値(%):H=10.13 C=64.40 N=9.39
実測値(%):H=10.05 C= 64.85 N=9.35
上記の結果から、生成物が化合物(4)で表される両性界面活性剤であると同定した。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、ヘキサデシルアクリレート100.0重量部、ピロリジン-2-カルボン酸38.8重量部、エタノール258.5重量部、酢酸ブチル50.0重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、75℃で15時間反応させた。反応の終点は薄層クロマトグラフィーにより原料のスポットが消失した事で判断した。反応後、減圧乾燥により溶媒を除去し、アセトンで再結晶をおこなった。得られた生成物について、実施例1と同様にして、1H−NMRおよび元素分析の測定をおこなった。収率は90.2%であった。
[1H−NMRスペクトル]
(δ値)0.83−0.89(3H)、1.18−1.38(26H)、1.54−1.66(2H)、1.84−1.99(2H)、2.13−2.35(3H)、2.64−2.81(3H)、3.05−3.15(1H)、3.35−3.45(1H)、3.53−3.60(1H)、4.05−4.12(2H)
[元素分析]
C24H45O4N1として
理論値(%):H= 11.01 C=70.04 N= 3.40
実測値(%):H= 11.05 C= 70.10 N= 3.46
上記の結果から、生成物が化合物(5)で表される両性界面活性剤であると同定した。
還流器および撹拌機を備えた反応容器に、日油製ブレンマ−ALE−200(ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−モノアクリレート、エチレンオキサイドの平均付加モル数30)100.0重量部、ピロリジン−2−カルボン酸7.2重量部、エタノール160.3重量部を仕込んだ。撹拌しながら昇温した後、75℃で15時間反応させた。得られた生成物について、1H−NMRを測定し、原料のエチレン性不飽和単量体の不飽和結合由来のピークδ値5.79、6.11、6.36の消失を確認し、ピロリジン-2-カルボン酸のアクリルロイル基への付加反応が完了している事を確認した。反応後、生成物をヘキサンで再沈し、減圧乾燥をおこなった。収率は78.4%であった。生成物は化合物(6)で表される両性界面活性剤である。
実施例1〜6の両性界面活性剤と表1に示す比較例1〜6の界面活性剤を使用して、皮膚刺激性(蛋白質変性率)とアニオン性界面活性剤と混合時の増粘効果について評価した。
水系高速液体クロマトグラフィー法(カラム;東ソー TSKG3000SWXL(30cm),測定温度;室温,溶離液;0.15M硫酸ナトリム含有0.05Mリン酸緩衝溶液(pH7),検出器;UV)により、卵白アルブミン0.025%を含有するリン酸緩衝液(pH=7.0)に試料濃度1%(有効成分濃度)となるように界面活性剤を添加し、220nmの紫外線吸収ピークを測定した。測定したピークから下の式により卵白アルブミン変性率(蛋白質変性率)を算出した。評価基準は以下の通りである。
卵白アルブミン変性率(%)=(Ho−Hs)/Ho×100
Ho:卵白アルブミンの220nmの吸収ピークの高さ
Hs:卵白アルブミン緩衝溶液に試料を添加した時の220nmの吸収ピークの高さ
◎:卵白アルブミン変性率が10%未満である
○:卵白アルブミン変性率が10%以上〜30%未満である
△:卵白アルブミン変性率が30%以上〜50%未満である
×:卵白アルブミン変性率が50%以上である
1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液50部に実施例1〜6ならびに比較例1〜6の界面活性剤を0.5部、イオン交換水を50部添加し、攪拌して溶解させた。25℃の条件下、レオメーター(TAインスツルメンツ社製AR−2000)で添加前後の水溶液の粘度を測定し、下の式から粘度の増加率を算出した。評価基準は以下の通りである。
粘度の増加率%=(添加後の粘度−添加前の粘度)/(添加前の粘度)×100
◎:粘度の増加率が50%以上である
○:粘度の増加率が30%以上、50%未満である。
△:粘度の増加率が10%以上、30%未満である。
×:粘度の増加率が10%未満である。
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