JP6371949B2 - 遺伝子組換え食品植物の判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝子組換え植物の判定方法に関する。
遺伝子組換え植物は、植物に遺伝子操作を行い、新たな遺伝子を導入して発現させたり、内在性の遺伝子の発現を促進・抑制させたりすることなどにより、新たな形質が付与された植物である。
遺伝子組換え植物の利用にあたっては、その安全性を国が審査した上で、承認されたものについてのみ販売・流通が認められている。国内で食品として商業利用可能と認定された作物には、海外で開発されたダイズ、ワタ、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、アルファルファ、パパイヤなどの8作物290品種以上がある。
世界ではこれまでに、27カ国以上で遺伝子組換え植物の商業栽培の実績が報告されている。遺伝子組換え植物の全栽培面積の50%を占める世界最大の栽培国である米国では、除草剤耐性ダイズやナタネ、害虫抵抗性トウモロコシやジャガイモ、ワタ等、生産効率を向上させるための特性を付与した遺伝子組換え植物の商業栽培が行われている。
このように、世界的には遺伝子組換え植物の普及は広まっているものの、国内での食品として商業利用可能と認定されたものは限定されているため、認定されていない遺伝子組換え植物が意図せずに市場へ流通することもあり得る。
遺伝子組換え食物のスクリーニング試験には、カリフラワーモザイクウィルス(Cauliflower mosaic virus:CaMV)の35SRNAプロモーター(P35S)の検出が行われる。しかしながら、CaMVに感染した植物が、野菜ジュースや片栗粉等の加工食品中に混入する場合があり、その場合、P35Sが検出された食物は遺伝子組換え食物の混入に関する「擬陽性」判定となる問題が生じる。
特許文献1には、所定のプライマーを使用して、カリフラワーモザイクウィルス由来のP35S核酸配列を検出し、これによりトランスジェニック植物イベントに由来する遺伝子組換え材料が試料中に存在するか否かを検出する方法が記載されている。
特表2010−516270号公報
しかし、上述の技術では、P35Sが検出された場合、その結果は、CaMVに感染した植物の存在に基づくのか(即ち擬陽性なのか)、それとも、遺伝子組換え植物の存在に基づくのか(即ち陽性なのか)、いずれであるのか判別を適切に行うことが困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、適切に遺伝子組換え植物を判定することができる方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる遺伝子組換え食品植物の判定方法は、P35Sのメチル化が検出された対象食品植物が遺伝子組換え植物か否か判定する遺伝子組換え食品植物の判定方法であって、対象食品植物におけるP35Sのメチル化率を検出し、そのメチル化率が20%以下である場合は、対象食品植物は遺伝子組換え植物であることを示す真陽性であり、20%よりも大きい場合は、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)又はCaMVに感染したアブラナ科植物の混入に基づく偽陽性であり、対象食品植物は非遺伝子組換え植物であると判定することを特徴とする。
本発明によれば、適切に遺伝子組換え植物を判定することができる。
CaMV由来P35S配列のDNAメチル化パターン解析を示す図であり、そのうち(A)は、メチル化対象のシトシン配列(CpNpG,CpG)の位置を示す図であり、(B)は、レーン1がプライマー1/3(385 bp)、レーン2がプライマー2/6(343 bp)、レーン3がプライマー2/4(212 bp)、レーン4がプライマー2/5(259 bp)であるアガロース2%(w/v)電気泳動図である。 コカブに感染したCaMV由来のP35S塩基配列のメチル化パターンをバイサルファイトシーケンシング法より解析した図である。 GMパパイヤ(Rainbow)に導入されたP35S塩基配列のメチル化パターンをバイサルファイトシーケンシング法より解析した図である。 バイサルファイトシーケンシングより得られたメチル化パターンを利用し、メチル化感受性制限酵素の影響を受けないリファレンス配(ref.)列と、メチル化の影響を受ける配列(CaMV)を設定する解析例の説明図である。 リファレンス及びCaMVを標的としたリアルタイムPCR用プライマー及びプローブの配列を示す図である。 リアルタイムPCR法を使用したメチル化の検出法を説明する図であり、そのうち(A)は制限酵素処理の条件、(B)はリアルタイムPCR反応の条件、(C)は設計したオリゴ配列である。 DNAメチル化パターン解析結果を示す図であり、そのうち(A)は、GMパパイヤ(Rainbow品種)とCaMVの感染したアブラナ科植物とにおける、P35S DNAメチル化対象配列のメチル化率であり、(B)は、アブラナ科植物(ブロッコリー、キャベツ、コカブ)に感染したP35Sメチル化パターンの多変量解析結果である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
本実施形態にかかる遺伝子組換え植物(以下、GM植物とする。)の判定方法は、対象植物におけるカリフラワーモザイクウィルスの35SRNAプロモーター(P35S)のメチル化パターン又はメチル化率を検出する。
CaMVは植物に感染するウィルスで、カリモウイルス科カリモウイルス属に属する。CaMVは開環状二本鎖DNAをゲノムとする球状ウィルス(直径50 nm)で、ゲノムDNAの複製はRNAを介して行われる。二本鎖DNA から転写されるmRNAには、35Sと19Sの2種類があり、P35SはCaMVの遺伝子発現を制御する強力なプロモーターとして知られており、ある特定の遺伝子を植物中で強く発現させるため、P35SのDNA断片と目的の遺伝子を結合させた融合遺伝子を植物体に導入するという手法がよく用いられる。
対象植物は、特に限定されるものではないが、アブラナ科植物であることが好ましい。アブラナ科の植物には、特に限定されるものではないが、例えば、アブラナ属、アマナズナ属、イヌガラシ属、イヌナズナ属、イワナズナ属、エゾスズシロ属、エダウチナズナ属、カキネガラシ属、キバナスズシロ属、クジラグサ属、グンバイナズナ属、ショカツサイ属、シロイヌナズナ属、シロガラシ属、ダイコン属、タイセイ属、タネツケバナ属、トモシリソウ属、ナズナ属、ナタネハタザオ属、ハクセンナズナ属、ハタザオ属、ハナナズナ属、ハナハタザオ属、ハマナ属、ハリナズナ属、マメグンバイナズナ属、ミヤガラシ属、ムラサキナズナ属、ヤマガラシ属、ヤマハタザオ属、ワサビ属等の植物が含まれる。
本実施形態にかかる発明において、発明者は、CaMVに感染した植物のP35Sは高度にメチル化されており、またGM植物のP35Sメチル化修飾パターンとは全く異なることを新知見として見いだした。ここから、本実施形態にかかる発明においては、メチル化率が20%以下である場合は、対象植物はGM植物であり、20%よりも大きい場合は、対象植物は非GM植物であると判定する。
メチル化率とは、対象植物において、メチル化されたシトシン塩基の割合である。DNAメチル化は真正細菌を含めた広範な生物に見られる現象であり、真核生物でのメチル化はシトシンの5位にメチル基を付加する反応である。メチル化された5-メチルシトシンはグアニンと対を作る際に、通常のシトシンとほぼ同様に行動する。
「植物」とは、天然の植物のみならず、品種改良、突然変異誘発又は遺伝学的手法によって改変された植物も含む。「GM植物」とは、交雑品種改良、突然変異又は天然の組換え(即ち、遺伝子情報の組換え)といった自然発生の中では得られないような遺伝物質の改変がなされている植物であり、一般的には植物の特性を改変するため、植物の染色体に1種以上の遺伝子が組み込まれる。
メチル化の検出は、特に限定されるものではないが、例えば、PCR、メチル化特異的PCR、リアルタイムメチル化特異的PCR、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ、パイロシーケンス又はバイサルファイトシーケンス等の方法により行われることが好ましい。また、本実施形態にかかるGM植物の判定方法は、対象植物におけるP35Sのメチル化を検出し、そのメチル化パターン及びメチル化量の情報を基に、対象植物がGM植物か非GM植物かを判定することも可能である。即ち、多変量解析の結果、非GM植物とGM植物とでは、P35SのDNAメチル化修飾をグループ化して明確に見分けることが可能であるため、メチル化量及びメチル化パターンを組み合わせてGM植物を判定することが可能である。
(1)試料
P35Sが導入されているGM植物のモデルとして、GMパパイヤ55-1系統の果肉部位を使用した。CaMV検体は、農業生物資源研究所より提供されたアブラムシ伝搬性のCaMV(M株, MAFF番号104018)を用いた。感染実験には、CaMVの感染が成立するアブラナ科植物(コカブ、キャベツ、ブロッコリー)を宿主に使用した。カリフラワーモザイクウィルスの感染には、乳鉢・乳棒を使用して感染葉を重量比で5倍のPBS(pH7.5)を加え磨砕した溶液を使用した。柔らかい若葉の表葉にカーボランダム600メッシュで傷を付けウィルス感染葉の磨砕液を接種させ1か月間感染後、接種を行っていない上位葉を実験に使用した。形質転換用プロモーターは、GM植物に汎用されるP35S (GenBank no.: E05206.1)を参照した。
(2)DNA試料の調製
葉からのDNAの精製には、キアゲン製DNeasy Plant Mini Kitを使用した。葉は、液体窒素を使用して瞬間冷凍させ均質に粉砕した。粉砕した試料は、0.1 g をポリプロピレン製遠沈管(1.5 mL 容)に量り採り、あらかじめ65℃に温めておいたAP1 緩衝液400μL とRNaseA 4μLを加え、試料塊がないようにボルテックスミキサーで激しく混合し、65℃で10分間加温した。その間2〜3回、遠沈管を反転させて試料を攪拌した。AP2 緩衝液130μLを加え混合し、氷上で5分間 静置した。13,000 rpm、室温の条件で5分間遠心後、得られた上清をQIAshredder spin column に負荷し、13,000 rpm、2分間遠心後、溶出液の上清を新しい遠沈管(1.5 mL 容)に移した。その溶出液の1.5倍量のAW1緩衝液を加えた。混合液650μL をmini spin column に負荷し、13,000 rpmで1分間遠心し、溶出液を捨てた。最終的に混合液がすべてなくなるまで同様の操作でmini spin column に負荷した。次いでAW2 緩衝液500μL を負荷し、13,000 rpm、で1分間遠心し、溶出液を捨て、再度AW2 緩衝液500μL を負荷し、13,000 rpmで1分間遠心した。溶出液を捨てた後、mini spin column を乾燥させるため、13,000 rpmで2分間遠心した。mini spin column を新しい遠沈管(1.5 mL 容)に移し、あらかじめ65℃に温めておいたAE溶液50μLを加え、5分間静置した後、13,000 rpmで1分間遠心しDNA を溶出した。さらにAE溶液50μLを加え、5分間静置した後、13,000 rpmで1分間遠心しDNA を溶出した。得られた溶出液を合わせ、DNA 試料原液とした。
(3)バイサルファイト処理
MethylEasyTMXceed Rapid DNA Bisulphite Modification Kitを用いてバイサルファイト処理及びバイサルファイト処理後のDNAの精製を行った。15 ng/μLに調整したDNA溶液20μLをPCR用0.2 mL tubeに入れ、3M NaOH 2.2 μLを混合し、サーマルサイクラーで37℃、15分間保温した。あらかじめ結晶を溶かし80℃、15分間温めておいたReagent1 + Reagent2 混合液を220μL加え混合した。その液をPCR用0.2 mL tubeに80μLずつ分注し、サーマルサイクラーで80℃、45分間保温した。新しい遠沈管(1.5 mL 容)に溶液を移し、反応溶液240μLに対しあらかじめ60℃に温めておいたReagent3 240μLを加えよく混合し、カラムに負荷した。13,000 rpmで1分間遠心し、溶出液を捨てた後、Reagent4 を300μL加え、13,000 rpmで1分間遠心した。再びReagent4 を300μL加え、13,000 rpmで1分間遠心し、溶出液を捨てた。カラムを乾燥させるため、13,000 rpmで4分間遠心した後、新しい遠沈管(1.5 mL 容)に移し、あらかじめ70℃に温めておいたReagent5を30μLを加え、13,000 rpmで1分間遠心しDNA を溶出した。DNA溶出液はPCR用0.2 mL tubeに移し、サーマルサイクラーで95℃、20分間保温した。バイサルファイ処理後のDNAサンプルは、すぐにPCRに用いる、もしくは、分注し-20℃で保存したものは、1度の融解に限り使用した。
(4)PCRプライマーの設計
バイサルファイト処理後のPCR用プライマー対(150〜400 bpのアンプリコンサイズ)は、CaMV及びGMパパイヤのゲノム配列に基づいてKismeth Bisulfite Primer designソフト(http://katahdin.mssm.edu/kismeth)を使用して設計した。P35Sを増幅させるために使用したプライマー対は以下の通りである。
MT-5F-Y (Primer1);
5'GAAGGTTAAAGATGYAGTYAAAAG3'(配列番号1)
MT-8F-Y (Primer2);
5'TTGAGAYTTTTYAAYAAAGGGT3'(配列番号2)
MT-8R-R (Primer3);
5'TACCCTTTRTTRAAAARTCTCA3'(配列番号3)
MT-0R-R5 (Primer4);
5'TTCTTTTTCCACRATRCTCCT3'(配列番号4)
MT-0R-R6 (Primer5);
5'RARATATCACATCAATCCACT3'(配列番号5)
MT-0R-R4 (Primer6);
5'CTCTCCAAATRAAATRAACTTCC3'(配列番号6)
PCR反応は、バイサルファイト処理したDNAを効率よく増幅させるTaKaRa EpiTaqHS DNA polymerase(タカラバイオ)を使用した。反応液の組成は以下の通りである。5 U/μL TaKaRa EpiTaqHS 0.25μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50μmol/L)0.25 μL、2.5 mM dNTP 6μL、10 X PCR buffer 5μLを混合し、水で全量50μLに調製後、バイサルファイト処理後のDNA試料液5μLを添加した。プライマーは、プライマーセット4種類(1, MT-5F-Y/MT-8R-R; 2, MT-8F-Y/MT-0R-R4; 3, MT-8F-Y/MT-0R-R5; 4, MT-8F-Y/MT-0R-R6)を使用した。ホットスタート法で94℃、2分間の条件で保持し反応を開始した。その後、94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 30秒を1サイクルとして、30サイクルの増幅反応を行った。得られたPCR産物はアガロース電気泳動により検出し、目的増幅配列を切り出し抽出・精製を行った。泳動にはGelRedを含む2% (w/v)アガロースゲルを用いた。PCR反応液の全量をTAE (tris-acetate EDTA)緩衝液中で100 V定電圧で電気泳動を行った。次いで、ゲルイメージ解析装置を使用し、UV(312 nm)照射下で画像を取り込み、増幅されるDNAの検出を行った。また、予想される長さのDNAが増幅された場合は、その増幅産物をQIAquick PCR purification kit (キアゲン)により精製し、該当するPCR産物 3.5μLに、5μLの2X T4 DNA ligase buffer(プロメガ)を加え、0.5μLのpGEM-T easyベクター(プロメガ)、1μLのT4 DNA ligase(タカラバイオ)を加えて室温で1時間反応させTA-cloningベクターへのライゲーションを行った。その後、DH5a大腸菌の形質転換を行い、クローニングを行った。形質転換した大腸菌を100μg/mlカルベニシリン入りLB-agar寒天培地にまき、一晩37℃で培養後、各コロニーからillustra TemphiPhi DNA Amplification Kitを用いてシークエンス解析用サンプルを調製した。PCR用0.2 mL tubeにSample buffer 5 μLを分注し、その溶液にコロニーを溶解した。サーマルサイクラーで95℃、3 分間保温した後、あらかじめ調整しておいたPre-mix (Reaction buffer 5μL + Enzyme mix 0.2μL ) 5μL加えた。サーマルサイクラーで30℃、5時間保温し、次いで65℃、10 分間保温した後、得られた溶液を水で10倍希釈しシークエンス解析用DNA試料とした。メチル化の頻度は、PCRで増幅後クローニングして得られた23個以上のクローンの配列より算出した。
(5)メチル化感受性制限酵素を使用したメチル化率の算出
メチル化感受性制限酵素HpyCH4IV(NEB)を用いて37℃で1時間精製DNA 300 ngを処理した後、フェノール・クロロホルムでタンパク質除去を行い、1/10倍量の3 M 酢酸ナトリウムと2.5倍量のエタノールを混合してDNAをエタノール沈殿後、13,000×g以上、4℃の条件で5分間遠心した。次いで、DNA沈殿物は70%(v/v)エタノールで洗浄し13,000×g以上、4℃の条件で5分間遠心後、エタノールを除去し、水25μLを加えに精製DNAを溶解させた。リアルタイムPCR反応は、Universal Master Mix(ライフテクノロジーズ)を使用して行った。反応液の組成は以下の通りである。Universal Master Mix 12.5μL、対象プライマー対溶液(各プライマー、50μmol/L)0.4μL、試料 5μLを混合し、水で全量25μLに調製した。50℃、1分間反応後、ホットスタート法で95℃、10分間の条件で保持し反応を開始した。その後、95℃ 15秒、60℃ 1分を1サイクルとして、50サイクルの増幅反応を行った。PCR増幅曲線から、Threshold Line 0.2の交点(Ct値)を記録した。サンプル間のメチル化の相対比は、メチル化感受性制限酵素で切断の影響を受けないリファレンス標的配列を検出するプライマー・プローブ(ref., アンプリコンサイズ76 bp)と受ける配列を検出するプライマー・プローブ(CaMV, アンプリコンサイズ101 bp)を使用した。
それぞれの配列は以下の通りである。
Ref.:
5’TAAGGGATGACGCACAATC3’(Forward primer,p35S-1-F2)(配列番号7)
5’CTCTCCAAATGAAATGAACTTCCT3’(Reverse primer,p35S-1-R2)(配列番号8)
FAM-TAGAGGAAGGGTCTTGCGAAGGATAGT-TAMRA(Probe,p35S-1-P2)(配列番号9)
CaMV:
5’ATTGATGTGATATCTCCACTGACGT3’(Forward primer,P35S 1-5’)(配列番号10)
5’CCTCTCCAAATGAAATGAACTTCCT3’(Reverse primer,P35S 2-3’)(配列番号11)
FAM-CCCACTATCCTTCGCAAGACCCTTCCT-TAMRA(Probe,P35S-Taq)(配列番号12)
メチル化相対比率は、GMパパイヤのP35Sを1として算出した。すなわち、Ref.とCaMVプライマー・プローブから得られたCt値の差(ΔCt)をサンプル毎に算出し、GMパパイヤのP35SをリファレンスにΔΔCt値をもとめ、相対比率(2-ΔΔCt)を算出した。
(6)結果
GM植物の作出に汎用されるP35S配列のメチル化標的配列(CpNpG及びCpG)を図1Aに示す。バイサルファイト処理後のゲノムDNA配列を基に、PCR用プライマーペア(Primer1/3, Primer2/6, Primer2/4, Primer 2/5)の設計を行った。設計したPrimer1/3を使用し非特異的増幅の見られないPCRを行うことに成功した(図1B)。バイサルファイトシーケンシングの結果、コカブに感染させたCaMVゲノムのP35S配列339 bpのうち、メチル化対象候補69個の全てのシトシン塩基がメチル化されており、またメチル化の頻度は35〜82%であった(図2)。一方、GMパパイヤのP35S配列については、メチル化対象候補のシトシン塩基約1/3の21個がメチル化されており、またメチル化の頻度は4〜12%と低かった(図3)。これらの結果より、宿主に感染し複製したCaMVのP35Sは高度にメチル化され、そのメチル化率とパターンはGM植物ゲノムのP35Sとは大きく異なることが示唆された。得られたメチル化率とパターンを利用して、メチル化感受性制限酵素処理を行ったDNAをリアルタイムPCRにより定量することで、GM配列とCaMV由来配列とを判別できるか検討を行った(図4)。リアルタイムPCRの標的配列は、それぞれメチル化感受性制限酵素HpyCH4IVで切断されるもしくは切断されない配列を標的に設計を行った(図5)。リアルタイムPCR検査法の手順を図6に示す。リアルタイムPCRより得られたCt値(Threshold値0.2)を基に、メチル化比率を算出した。表1Aは無処理の場合であり、表1Bは制限酵素処理の場合である。ブロッコリー、キャベツ及びコカブに感染したCaMVはGMパパイヤ55-1系統と比較し31〜225倍であった(表1A、表1B)。以上よりメチル化率が20%以下である場合は、対象植物はGM植物であり、20%よりも大きい場合は、対象植物は非GM植物であると判定できると考察した。
(7)考察
CaMVは主にアブラナ科の植物に感染することで葉にモザイク状の病斑を起こし、アブラムシにより伝搬される。本発明では、アブラナ科のブロッコリー、キャベツ及びコカブに感染させたCaMVのP35Sのメチル化パターンを解析した(図7A)。その結果、いずれの植物に感染したCaMVにおいてもP35Sは高度にメチル化されていた。一方、GMパパイヤに導入された同配列は、低メチル化されていた。解析を行った339 bpのうち67か所のシトシン塩基のメチル化パターンの多変量解析の結果、CaMV感染ウィルス由来とGMパパイヤ由来のP35SのDNAメチル化修飾をグループ化することができ、それぞれを明確に見分けることが可能であった(図7B)。また、メチル化パターンとメチル化率の情報を基に、メチル化感受性制限酵素処理やリアルタイムPCR法を駆使し、GM植物とCaMVの混入を検知できるメチル化率定量判別法を確立することができた。
遺伝子組換え植物の判定に使用することができる。
配列番号1〜8,10,11:プライマー
配列番号9,12:プローブ

Claims (2)

  1. P35Sのメチル化が検出された対象食品植物が遺伝子組換え植物か否か判定する遺伝子組換え食品植物の判定方法であって、
    対象食品植物におけるP35Sのメチル化率を検出し、そのメチル化率が20%以下である場合は、対象食品植物は遺伝子組換え植物であることを示す真陽性であり、20%よりも大きい場合は、CaMV又はCaMVに感染したアブラナ科植物の混入に基づく偽陽性であり、対象食品植物は非遺伝子組換え植物であると判定することを特徴とする遺伝子組換え食品植物の判定方法。
  2. メチル化の検出は、PCR、メチル化特異的PCR、リアルタイムメチル化特異的PCR、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ、パイロシーケンス又はバイサルファイトシーケンスの何れかの方法により行われることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子組換え食品植物の判定方法。
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