JP6371679B2 - 搬送機構 - Google Patents

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Description

本発明は、反りを持ったワークを搬送する搬送機構に関し、特に、円板状のワークの外周を保持して搬送するエッジクランプ式の搬送機構に関する。
金属板の上面に樹脂を塗布して形成されるパッケージ基板等のワークは、表面に凹凸が形成されているため、ワークの上面を吸着保持することができない。そこで、ワークの外周部分をクランプして搬送するエッジクランプ式の搬送機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の搬送機構では、円板状のワークの周方向に等間隔に設けられた3つの保持部を径方向に移動させ、保持部をワークの外周(エッジ)に接触させることでワークを保持する。これにより、ワークの表面を吸着保持することなくワークを搬送することができる。
また、上記したワークは反りを持っていることがあるため、当該ワークを加工テーブルに載置したときにワークの一部が加工テーブルの吸着面から浮いてしまい、ワークの下面を加工テーブルの吸着面で適切に吸着保持することができない場合があった。このため、搬送時に、ワークの反りを矯正してワークの下面を加工テーブルに密着させる搬送機構が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の搬送機構は、ワークの上面中央を吸着パッドで吸着してワークを搬送するように構成されている。この搬送機構は、ワークを加工テーブルの吸着面上に載置した後、吸着パッドの吸着保持を解除する前にワークの外周部分を上面から環状の押圧部で加工テーブルに向かって押し付ける。これにより、ワークの反りが矯正され、ワークの下面全体を加工テーブルの吸着面に密着させることができる。
特許第4634950号公報 特許第5180557号公報
しかしながら、特許文献2に記載の搬送機構では、押圧部によってワークが加工テーブルに押し付けられてワークの反りが矯正される際に、ワークの中心位置がずれてしまうという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、反りを持ったワークであっても、反りを矯正すると共にワークの位置ずれを防止してワークを搬送することができる搬送機構を提供することを目的とする。
本発明の搬送機構は、反りを持った円板状のワークを外周で保持して、ワークを吸着保持する加工テーブルに搬送する搬送機構であって、ワークの径方向に少なくとも3つの保持部を移動させワークの外周に保持部を接触させワークを保持する保持手段と、保持手段で保持し加工テーブルの上面に搬送したワークをワークの上面から加工テーブルの上面に対して垂直方向に加工テーブルの上面に向かって押圧する押圧手段と、加工テーブルに載置するときおよび押圧手段がワークを押圧するときにワークの外周に接触させワークの位置ずれを防止する少なくとも3つの位置ずれ防止部で構成される位置ずれ防止手段と、を備える。
この構成によれば、保持部をワークの外周に接触させることでワークをエッジクランプすることができる。そして、ワークを搬送先の加工テーブルに載置するときに、保持部がワークの外周から離れてワークが開放されても、位置ずれ防止部がワークの外周に接触している。このため、押圧手段によってワークが加工テーブルの上面に向かって押圧されても、ワークの位置ずれが防止される。また、ワークが押圧手段によって押圧されることでワークの反りが矯正されるため、ワークの下面を加工テーブルに密着させることができる。このように、反りを持ったワークであっても、反りを矯正すると共にワークの位置ずれを防止して加工テーブルに密着させた状態でワークを搬送することができる。
また、本発明の上記搬送機構において、位置ずれ防止手段は、位置ずれ防止部と保持部とを連結してワークの外周から中心に向かって位置ずれ防止部を付勢する付勢力を有する連結部を備え、押圧手段でワークを押圧するとき、保持部をワークの外周から離間させ連結部により位置ずれ防止部を継続してワークの外周に接触させる。
本発明によれば、加工テーブル上でワークの外周に位置ずれ防止部を接触させながらワークを加工テーブルに向かって押圧することにより、反りを持ったワークであっても、反りを矯正すると共にワークの位置ずれを防止して加工テーブルに密着させた状態でワークを搬送することができる。
本実施の形態に係る搬送機構の分解斜視図である。 本実施の形態に係る保持手段及び位置ずれ防止手段の一例を示す斜視図である。 本実施の形態に係るワークの断面模式図である。 本実施の形態に係る搬送機構を側面から見たときの動作説明図である。 本実施の形態に係る搬送機構を上面から見たときの動作説明図である。
以下、図1から図3を参照して、本実施の形態に係る搬送機構及びワークについて説明する。図1は、本実施の形態に係る搬送機構の分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る保持手段及び位置ずれ防止手段の一例を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係るワークの断面模式図である。なお、本実施の形態に係る搬送機構は、以下に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。また、図1においては、説明の便宜上、3つの保持部のうち、2つのみを図示している。
先ず、搬送の対象となるワークWについて説明する。本実施の形態に係るワークWは、円板状に形成されるパッケージ基板であり、図3に示すように、円板状の金属板10の上にエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂11を塗布して構成される。ワークWは、格子状の分割予定ライン(不図示)によって複数の領域に区画されており、各領域には、デバイス(不図示)が形成されている。なお、ワークWは、パッケージ基板に限らず、適宜変更が可能である。このようなワークWにおいては、金属板10と樹脂の熱膨張率の違いから反りを持っている場合がある。本実施の形態においては、樹脂11が塗布された側の中央部分が上方に盛り上がるような反りについて説明するが、この構成に限定されず、例えば、ワークWの外周側が上方に反っていてもよい。
上記したワークWは樹脂11の表面に凹凸を有するため、吸着パッドを備えた搬送機構で当該ワークWを搬送しようとしても、ワークWの表面を吸着保持することができない。そこで、ワークWの外周を保持するエッジクランプ式の搬送機構によって、ワークWの表面に触れることなく加工テーブル12(図4参照)まで搬送することが考えられる。しかしながら、上記したようにワークWが反りを持っているため、ワークWを加工テーブル12の吸着面12a(図4参照)に載置したときに、ワークWの沿った部分が加工テーブル12の吸着面12aから浮き上がってしまい、適切にワークWの下面を吸着保持することができない場合がある。
そこで、本件出願人は、通常のエッジクランプ式の搬送機構が、ワークWの表面に吸着パッドを触れさせないようにすることを目的としてなされたものであるのに対し、敢えてエンジクランプ式の搬送機構1において、後述する押圧手段によってワークWの表面を加工テーブル12に向かって押し付け、ワークWの反りを矯正するように構成している。さらに、搬送機構1が、ワークWの表面を押し付けた際にワークWの位置ずれを防止する位置ずれ防止手段3を備える構成とした。これにより、反りを持ったワークWであっても、反りを矯正すると共にワークWの位置ずれを防止して加工テーブル12に密着させた状態でワークWを搬送することができる。以下、本実施の形態に係る搬送機構1の詳細構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る搬送機構1は、いわゆるエッジクランプ式の搬送機構であり、複数(本実施の形態では3つ)の保持部20を備えた保持手段2で円板状のワークWの外周をクランプすることでワークWを保持して、搬送先の加工テーブル12(図4参照)まで搬送ように構成されている。また、保持手段2(保持部20)には、搬送先においてワークWの保持を解除する際のワークWの位置ずれを防止する位置ずれ防止手段3(位置ずれ防止部30)が設けられている。なお、保持手段2(保持部20)及び位置ずれ防止手段3(位置ずれ防止部30)の詳細な構成については後述する。
本実施の形態に係る搬送機構1は、円板状のベースプレート4下面の外周側に3つの保持部20で構成される保持手段2を設けて構成される。ベースプレート4は、搬送機構1を構成する保持手段2等の各種部品を保持すると共に、鉛直方向に進退可能な鉛直シリンダ5を介して搬送アーム6に支持される。保持部20は、鉛直方向に延びる円柱形状を有しており、上端にネジ穴21aが形成されている。
ベースプレート4の中央には、鉛直シリンダ5が挿通可能な貫通穴40が形成されており、ベースプレート4の外周側には、径方向に延びる長穴41が周方向に等間隔に3つ形成されている。各長穴41には保持部20の先端が挿通される。長穴41の幅は、保持部20の外径より僅かに大きく形成されている。このため、保持部20は、長穴41の形状に沿って長穴41の長さ方向に移動可能になっている。このように、長穴41は、保持部20をベースプレート4の径方向に移動させるガイドの役割を果たす。
鉛直シリンダ5は、ワークWの上面を押圧する押圧手段を構成し、鉛直方向に延びる円筒状のシリンダ本体50内部でエアーにより鉛直方向に進退可能なピストンロッド51を有している。ピストンロッド51の先端(下端)には、円板状の押圧部52が設けられている。また、シリンダ本体50の上面には、鉛直シリンダ5を搬送アーム6に固定するための3つのネジ穴50aと、鉛直シリンダ5に対してエアーを供給する2つの圧力導入口50bとが形成されている。
鉛直シリンダ5は、ピストンロッド51を下降させることで押圧部52をワークWの上面に接触させ、ワークWを下方に向かって押し付ける。これにより、ワークWの反りを矯正し、ワークWの下面を加工テーブル12の吸着面12a(図4参照)に密着させることができる。なお、本実施の形態では、押圧手段をエア駆動のシリンダで構成したが、この構成に限定されず、適宜変更が可能である。押圧手段は、ワークWの上面を加工テーブル12に向かって押圧するものであれば、どのように構成されてもよい。
搬送アーム6は、水平な方向に延びる長尺体で形成される。搬送アーム6の上面には、鉛直シリンダ5に形成された3つのネジ穴50a及び2つの圧力導入口50bに対応する位置に、3つの貫通穴6a及び2つの配管取付口6bが形成されている。3つの貫通穴6aにそれぞれネジ60を挿通し、ネジ60を鉛直シリンダ5のネジ穴50aにねじ込むことにより、鉛直シリンダ5が搬送アーム6に固定される。また、2つの配管取付口6bには、それぞれ配管(不図示)が取り付けられ、配管は切換バルブ61を介してエアー源62に接続される。切換バルブ61によってエアーの供給先(圧力導入口50b)を切換えることにより、押圧部52(ピストンロッド51)の昇降を切換えることが可能になる。
ベースプレート4の上面側には、保持部20を駆動するための保持部駆動手段7が設けられる。保持部駆動手段7は、駆動源となる水平シリンダ8と、複数の部材からなるリンク機構9とで構成される。水平シリンダ8は、水平方向に延びる円筒状のシリンダ本体80内部で、エアーにより水平方向に進退可能なピストンロッド81を有している。ピストンロッド81の先端(水平シリンダ8の一端)には、ネジ穴81aが形成されている。
シリンダ本体80の基端(水平シリンダ8の他端)は、ネジ82によってベースプレート4に取り付けられ、水平シリンダ8は、ネジ82を中心にベースプレート4の面方向に揺動可能になっている。一方、ピストンロッド81の先端は、リンク機構9(後述する回転プレート90)に連結される。本実施の形態では、水平シリンダ8によるピストンロッド81の進退運動が、リンク機構9を介して保持部20の径方向の運動に変換される。
リンク機構9は、鉛直シリンダ5の外周に取り付けられる環状の回転プレート90と、回転プレート90に連結される3つのリンクアーム93(図1では2つのみ図示)とを備えている。回転プレート90は、環状に形成される環状部91と、環状部91の外周の所定箇所から径方向に突出する突出部92とを有している。環状部91には、周方向に等間隔に3つのネジ穴91a(図1では2つのみ図示)が形成されている。環状部91には鉛直シリンダ5が挿通され、回転プレート90は、ベアリング94を介してシリンダ本体50の外面に取り付けられる。これにより、回転プレート90は、鉛直シリンダ5を軸に回転可能になる。
また、突出部92の先端には、ピストンロッド81に連結するための貫通穴92aが形成されている。貫通穴92aにはワッシャ83を介してネジ84が挿通され、ネジ84はワッシャ83を介してピストンロッド81のネジ穴81aにねじ込まれる。これにより、回転プレート90が水平シリンダ8に対して揺動可能に連結される。
リンクアーム93は、水平方向に延びる長尺体で構成され、両端に貫通穴93aが形成されている。リンクアーム93の一端は、回転プレート90(環状部91)の下面側から貫通穴93aにワッシャ95を介してネジ96を挿通し、さらにワッシャ95を介してネジ96を回転プレート90(環状部91)のネジ穴91aにねじ込むことにより、揺動可能に連結される。一方、リンクアーム93の他端は、上面側から貫通穴93aにワッシャ97を介してネジ98を挿通し、さらにワッシャ97を介してネジ98を保持部20のネジ穴21aにねじ込むことにより、保持部20に対してリンクアーム93が揺動可能に連結される。
このように構成された搬送機構1では、水平シリンダ8によってピストンロッド81が進退されることで、回転プレート90が回転される。回転プレート90の回転により、リンクアーム93に連結された3つの保持部20(保持手段2)は、長穴41にガイドされながら径方向に移動される。このように、水平シリンダ8によるピストンロッド81の進退運動を回転プレート90の回転運動に変換し、さらにリンクアーム93を介して保持手段2の径方向の進退運動に変換することができる。保持手段2が長穴41に沿って径方向に進退することで、ワークWの外周に対して3つの保持部20を接触及び離反させることができる。この結果、ワークWの保持状態及び非保持状態を切換えることができる。
次に、保持手段及び位置ずれ防止手段の詳細な構成について説明する。図2Aに示すように、保持部20(保持手段2)は、鉛直方向に延びる円柱形状の円柱部21と、円柱部21の下端に設けられる略円錐台形状のクランプ部22とを有している。円柱部21の上面には、上記したネジ穴21aが形成されている。水平シリンダ8(図1参照)が駆動され、保持部20が径方向内側に移動し、ワークWの外周が円柱部21の側面及びクランプ部22の側面に接触することにより、ワークWがエッジクランプ(保持)される。
また、保持手段2には、保持部20を開いてワークWの保持を開放してワークWを加工テーブル12(図4参照)に載置する際にワークWの位置ずれを防止する位置ずれ防止手段3が設けられている。位置ずれ防止手段3は、3つの位置ずれ防止部30と、各位置ずれ防止部30を保持部20に連結する3つの連結部31とを備えている。なお、図2においては、1つの保持部20に対して1つの位置ずれ防止部30が1つの連結部31を介して連結されている状態を示している。また、本実施の形態では、3つの保持部20をまとめて保持手段2とし、3つの位置ずれ防止部30及び3つの連結部31をまとめて位置ずれ防止手段3としている。
位置ずれ防止部30は、鉛直方向に延びる円柱形状を有しており、円柱形状の側面をワークWの外周に接触させることで、ワークWの位置ずれを防止するように構成されている。連結部31は、水平方向に厚みを有する波形の板バネで形成されている。連結部31の一端が保持部20(円柱部21)の側面に固定され、連結部31の他端は位置ずれ防止部30の側面に固定されることにより、位置ずれ防止部30と保持部20とが連結される。また、連結部31は、ワークWの外周から中心に向かって径方向に位置ずれ防止部30を付勢する付勢力を有している。さらに、保持部20と位置ずれ防止部30とは、クランプ部22の下端と位置ずれ防止部30の下端とが略同一の高さとなるように連結されている。
このように構成される保持手段2及び位置ずれ防止手段3は、図2Bに示すように、ワークWを保持する際には、保持部20がベースプレート4(図1参照)の長穴41に沿って径方向内側に移動して円柱部21の側面及びクランプ部22のテーパ面(傾斜面)がワークWの外周に接触する。このとき、位置ずれ防止部30は連結部31によって径方向内側に付勢されているため、位置ずれ防止部30の側面がワークWの外周に接触している。3つの保持部20及び3つの位置ずれ防止部30によってワークWの外周が保持されることにより、ワークWの中心位置を位置決めした上で安定的に搬送することができる。
そして、ワークWを搬送先の加工テーブル12上に載置した後、図2Cに示すように、保持部20を径方向外側に僅かに退避させて保持部20によるワークWの保持を解除する。このとき、円柱部21の側面及びクランプ部22のテーパ面(傾斜面)はワークWの外周から離間するものの、位置ずれ防止部30が連結部31の付勢力を受けて径方向内側に付勢されているため、位置ずれ防止部30の側面は継続してワークWの外周に接触される。
このように、保持部20によるワークWの保持が解除されても、位置ずれ防止部30によってワークWの径方向の移動が規制されている。このため、押圧部52によってワークWの上面が加工テーブル12(図4参照)に向かって押し付けられても、ワークWの位置がずれることはない。なお、詳細は後述するが、ワークWの反りが矯正される際に、連結部31の付勢力に抗して僅かに径方向外側にワークWの外周が広がる。よって、連結部31の付勢力は、ワークWの反りを矯正する際にワークWの外周が径方向外側に広がるのを許容する程度の大きさであることが好ましい。
次に図4及び図5を参照して、本実施の形態に係るワークの搬送方法及び搬送機構の動作について説明する。図4は、本実施の形態に係る搬送機構を側面から見たときの動作説明図である。図5は、本実施の形態に係る搬送機構を上面からの動作説明図である。図4A及び図5Aはワークを保持する前の様子を示し、図4B及び図5Bはワークを保持して搬送するときの様子を示し、図4C及び図5Cはワークを搬送先の加工テーブルに載置したときの様子を示している。
また、説明の便宜上、図4においては一部の構成を断面で示しており、図5においては一部の構成を省略している。なお、以下の図4及び図5では、研削装置において、仮置きテーブルに載置されたワークを加工テーブルに搬送する例について説明するが、この構成に限定されない。本実施の形態に係る搬送機構は、ワークを搬送することができればよく、どのような装置に適用されてもよい。
本実施の形態に係るワークの搬送方法は、ワークを保持する保持工程と、保持したワークを加工テーブルの上面に搬送する搬送工程と、ワークを加工テーブルの上面に載置する載置工程と、ワークの上面を押圧する押圧工程と、ワークを加工テーブルで吸着保持する吸着保持工程とを備えている。以下、本実施の形態に係るワークの搬送方法の各工程におおける動作について説明する。
図4Aに示すように、ワークWは、ワークWの外径より小径の仮置きテーブル13上に載置されている。ワークWの下面略中央部分は仮置きテーブル13に支持され、ワークWの外周部分は仮置きテーブル13の上面より僅かに下方に反っている。保持工程では、先ず、仮置きテーブル13の上方に搬送機構1が位置付けられる。そして、図示しない昇降手段により、保持部20のクランプ部22がワークWの外周部分より僅かに下方に位置するように、搬送機構1の高さが調整される。このとき、保持部20及び位置ずれ防止部30は、ワークWの外周から離間している(特に図5A参照)。
そして、図4B及び図5Bに示すように、水平シリンダ8が駆動され、ピストンロッド81が後退される(縮む)と、回転プレート90は鉛直シリンダ5を中心にピストンロッド81の後退方向に合わせて回転する。回転プレート90が回転すると、各リンクアーム93に連結された保持部20は長穴41に沿って径方向内側に移動する。そして、円柱部21の側面がワークWの外周に接触し、クランプ部22のテーパ面(円錐台の斜面)にワークWの下面(側のエッジ)が接触する。これにより、ワークWが保持される。このとき、連結部31によって径方向内側に付勢されている位置ずれ防止部30も、ワークWの外周に接触する。このように、ワークWの外周を複数箇所保持することにより、ワークWの中心位置を位置決めした状態で仮置きテーブル13からワークWを搬出することができる。
図4Cに示すように、搬送先の加工テーブル12は、円板形状を有しており、上面にワークWを吸着保持する吸着面12aが形成されている。吸着面12aは、図示しない吸引源に接続されており、加工テーブル12は、吸着面12aに生じる負圧によってワークWを吸着保持することができる。搬送工程では、ワークWを保持した搬送機構1が図示しない移動機構によって加工テーブル12の上方に位置付けられる。このとき、ワークWの中心と吸着面12aの中心とが位置合わせされる。そして、搬送機構1が下降され、クランプ部22の下面が加工テーブル12の上面に略接触する高さに調整される。このとき、ワークWは、加工テーブル12の上面から僅かに浮いた位置に位置付けられている。
図4C及び図5Cに示すように、載置工程では、水平シリンダ8が駆動され、ピストンロッド81が前進される(延びる)と、回転プレート90は鉛直シリンダ5を中心にピストンロッド81の前進方向に合わせて回転する。回転プレート90が回転すると、各リンクアーム93に連結された保持部20は長穴41に沿って径方向外側に移動する。このとき、保持部20の移動量は、円柱部21の側面がワークW外周から離間しても位置ずれ防止部30の側面がワークWの側面に接触した状態を維持する程度に調整される。円柱部21の側面がワークWの外周から離間することにより、保持部20によるワークWの保持が解除される。この結果、ワークWは自重によって落下し、加工テーブル12上に載置される。
上記したように、位置ずれ防止部30は連結部31によって径方向内側に付勢されているため、保持部20がワークWの外周から離間しても、位置ずれ防止部30の側面がワークの外周に接触した状態が維持されている。よって、ワークWは、径方向の移動が規制された状態で、位置ずれ防止部30に沿って落下することができる。このように、位置ずれ防止手段3は、ワークWを載置する際の移動を案内するガイド部の役割も果たす。なお、このとき、連結部31の付勢力は、ワークWの落下を阻害しない程度に設定されることが好ましい。
ワークWが加工テーブル12上に載置されたとき、加工テーブル12の外周側では、ワークWの下面が吸着面12aに接触しているのに対し、加工テーブル12の中央部分では、ワークWの下面と保持面との間に僅かに隙間が空いた状態になっている。そして、押圧工程が実施される。押圧工程では、鉛直シリンダ5が駆動されることで押圧部52(ピストンロッド51)が下降し、押圧部52の下面がワークWの上面中央に接触した後、押圧部52はワークWをワークWの上面から加工テーブル12の上面に対して垂直方向に押し付ける。本実施の形態では、後の研削工程でワークWの上面を研削加工するため、ワークWの上面を押圧部52で押圧しても特に問題はない。
ワークWの中央部分が押圧されると、ワークWの反りが矯正され、ワークWの下面中央と吸着面12aとの隙間が無くなる。このとき、ワークWは、連結部31の付勢力に抗して僅かに径方向外側に広がるが(特に図5C参照)、連結部31を介して3つの位置ずれ防止部30が、それぞれ均等にワークWの外周を径方向内側に付勢しているため、ワークWの中心位置がずれることはない。以上により、ワークWが押圧部によって押圧されてワークWの反りが矯正され、ワークWの下面を加工テーブル12の吸着面12aに密着させることができる。なお、図5Cにおいては、押圧前のワークWの外径を二点差鎖線で示しており、押圧後のワークWの外径を破線で示している。また、図5Cにおいて、押圧後のワークWの外径を誇張して表現している。
押圧部52でワークWを押圧し、ワークWを加工テーブル12に密着させた状態で、次に吸着保持工程が実施される。吸着保持工程では、図示しない吸引源によって吸着面12aに負圧を生じさせることにより、ワークWの下面を吸着保持する。このとき、吸着面12aに生じる負圧は、ワークWの反りが元に戻らない程度の圧力に調整されることが好ましい。ワークWを吸着保持したら、押圧部52を上昇させて押圧部52をワークWの上面から離間させると共に、位置ずれ防止部30の側面がワークWの外周から離間する位置まで保持部20を径方向外側に移動させる。そして、搬送機構1を加工テーブル12から退避させる。これらにより、加工テーブル12に対するワークWの搬送が終了する。
以上のように、本実施の形態に係る搬送機構1によれば、保持部20をワークWの外周に接触させることでワークWをエッジクランプすることができる。そして、ワークWを搬送先の加工テーブル12に載置するときに、保持部20がワークWの外周から離れてワークWが開放されても、位置ずれ防止部30がワークWの外周に接触している。このため、押圧部52によってワークWが加工テーブル12の上面に向かって押圧されても、ワークWの位置ずれが防止される。また、ワークWが押圧部52によって押圧されることでワークWの反りが矯正されるため、ワークWの下面を加工テーブル12に密着させることができる。このように、反りを持ったワークWであっても、反りを矯正すると共にワークWの位置ずれを防止して加工テーブル12に密着させた状態でワークWを搬送することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施の形態では、押圧手段がワークWの上面中央を押圧する構成としたが、この構成に限定されない。押圧手段は、ワークWの反り方向に応じて押圧箇所を適宜変更してもよい。例えば、ワークWの外周が上方に反る場合には、ワークWの外径に応じた環状の押圧部でワークWの外周を押圧し、ワークWの反りを矯正してもよい。
また、本実施の形態では、保持部20が3つ設けられる構成としたが、この構成に限定されない。保持部20は、少なくとも3つあればよく、4つ以上設けられてもよい。
また、本実施の形態では、連結部31を板バネで構成したがこの構成に限定されない。連結部31は、位置ずれ防止部30を径方向内側に付勢するものであればよく、例えば、連結部31をトーションバネで構成してもよい。この場合、トーションバネ(連結部31)のコイル部分に保持部20を挿通してトーションバネの一端と保持部20とを固定し、トーションバネの他端と位置ずれ防止部30とを連結する。
また、本実施の形態では、エアー駆動のシリンダ(鉛直シリンダ5、水平シリンダ8)によって進退運動を実現する構成としたが、この構成に限定されない。進退する機構であれば電動で進退する電動シリンダを用いてもよい。また、回転プレート90を回転させることで保持部20を回転させているので、回転プレート90をモータで回動させる構成としてもよい。
以上説明したように、本発明は、反りを持ったワークであっても、反りを矯正すると共にワークの位置ずれを防止してワークを搬送することができるという効果を有し、特に、円板状のワークの外周を保持して搬送するエッジクランプ式の搬送機構に有用である。
W ワーク
1 搬送機構
12 加工テーブル
2 保持手段
20 保持部
3 位置ずれ防止手段
30 位置ずれ防止部
31 連結部
5 鉛直シリンダ(押圧手段)
52 押圧部

Claims (2)

  1. 反りを持った円板状のワークを外周で保持して、ワークを吸着保持する加工テーブルに搬送する搬送機構であって、
    ワークの径方向に少なくとも3つの保持部を移動させワークの外周に該保持部を接触させワークを保持する保持手段と、該保持手段で保持し該加工テーブルの上面に搬送したワークをワークの上面から該加工テーブルの上面に対して垂直方向に該加工テーブルの上面に向かって押圧する押圧手段と、該加工テーブルに載置するときおよび該押圧手段がワークを押圧するときにワークの外周に接触させワークの位置ずれを防止する少なくとも3つの位置ずれ防止部で構成される位置ずれ防止手段と、を備えることを特徴とする搬送機構。
  2. 該位置ずれ防止手段は、該位置ずれ防止部と該保持部とを連結してワークの外周から中心に向かって該位置ずれ防止部を付勢する付勢力を有する連結部を備え、
    該押圧手段でワークを押圧するとき、該保持部をワークの外周から離間させ該連結部により該位置ずれ防止部を継続してワークの外周に接触させることを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
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