本発明にかかる冷却室について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は冷却庫の正面図である。なお、以下の説明において、上下左右は図1に示すように冷却庫の正面に正対したときの上下左右とする。また、同様に前後は冷却庫の正面側(図1の紙面手前側)を前、背面側(図1の紙面奥側)を後とする。
図1に示すように、冷却庫Rfでは、最上段に冷蔵室1が配置されており、その下部に左右に並んだ製氷室2と上段冷凍室3とが配置されている。そして、製氷室2及び上段冷凍室3との下部に下段冷凍室4が配置されているとともに、最下段には野菜室5が配置されている。
図1に示すように、冷蔵室1の正面には、回転軸を中心として横方向(左又は右)に回動するヒンジ扉101、102が備えられている。ヒンジ扉101、102は独立して開閉可能な扉である。
製氷室2、上段冷凍室3、下段冷凍室4及び野菜室5は、いずれも、前後方向に水平に摺動することで貯蔵室ごと開閉する引出型の貯蔵室である。製氷室2、上段冷凍室3、下段冷凍室4及び野菜室5は正面側にそれぞれ、引出扉201、301、401及び501を備えている。
下段冷凍室4及び野菜室5は、箱型の収納空間400、500と、収納空間400、500の正面側に配置された引出扉401、501と、引出扉401、501と接続した収納ケース402、502とを備えている。
下段冷凍室4及び野菜室5は引出扉401及び501を摺動させるとき、収納ケース402及び502も一体的に摺動する。下段冷凍室4及び野菜室5は大型であり、内部に物品を収納すると、各収納ケース402及び502は重くなる。そのため、本発明の冷却庫Rfにおいて、下段冷凍室4及び野菜室5には、引出扉401及び501を開放する方向に付勢する開方向付勢部6が備えられている。
引出扉401、501のそれぞれには、操作者が操作するスイッチ10が備えられており、スイッチ10の操作によって開方向付勢部6が動作するようになっている。なお、図1に示す引出扉401、501では、前面にスイッチ10が取り付けられているが、これに限定されるものではない。例えば、引出扉401、501の取手に設けられ、取手の操作を検出するような構成となっていてもよい。また、スイッチ10は引出扉401、501以外の箇所に設けてもよく、例えばヒンジ扉101、102の一方の前面に、他の操作スイッチや表示部などと集約して集中操作パネルとすることができる。さらに、スイッチ10を非接触センサや音声センサとすることもできる。
以下に本発明にかかる冷却庫の要部である開方向付勢部6は、下段冷凍室4、野菜室5の両方に配置されているが、いずれも同じ構成であるため、以下の説明では、両者を代表して下段冷凍室4及び下段冷凍室4に備えられている開方向付勢部6について説明する。
まず、下段冷凍室の詳細について説明する。図2は本発明にかかる冷却庫の下段冷凍室の概略配置図である。なお、図2において、右が冷却庫Rfの正面側(手前側)であり、左が背面側(奥側)である。
図2に示すように、下段冷凍室4において、収納空間400は、冷却庫Rfの筐体の一部であり、断熱体で囲まれているとともに冷気が流入するダクト(不図示)を備えている。また、引出扉401の内部にも断熱体が配置されており、引出扉401から熱が侵入するのを抑制している。そして、収納空間400の正面側と引出扉401の背面側との間に設けた磁石入りのパッキンなどによって収納空間400を引出扉401が密閉する構造を有しており、密閉することで冷気が外部に逃げるのを抑制している。なお、引出扉401が収納空間400を密閉する位置を、引出扉401の閉鎖位置P1とする。
引出扉401と収納ケース402とは、案内部41によって収納空間400内を一体的に前後にスライド移動する。案内部41は、固定レール42、移動レール43、固定ローラ44及び移動ローラ45を有している。固定レール42は前後に延び、下段冷凍室4の収納空間400の左右両側の内壁に固定されている。移動レール43は引出扉401の背面に設けられて前後に延び、収納ケース402の左右両側を支持している。
固定ローラ44は収納空間400の左右両側の内壁の前部に回転可能に設けられる。移動ローラ45は移動レール43の後部に回転可能に設けられる。
固定レール42及び移動レール43はそれぞれ移動ローラ45及び固定ローラ44が転動可能に嵌るように断面コ字型に形成される。固定ローラ44が移動レール43の上壁の下面と摺動し、移動ローラ45が固定レール42の下壁の上面又は上壁の下面と摺動して移動レール43及び収納ケース402が前後に案内される。なお、移動ローラ45は引出扉401の位置によって、換言すると、引出扉401及び収納ケース402の重心の位置によって、固定レール42と接触する部分が下壁か上壁か変化する。
すなわち、引出扉401及び収納ケース402の重心が固定ローラ44よりも後側にあるときは、引出扉401及び収納ケース402が後下がりになるため、移動ローラ45は固定レール42の下壁の上面と接触する。一方、引出扉401及び収納ケース402の重心が固定ローラ44よりも前にあるときは、引出扉401及び収納ケース402が前下がりになるため、移動ローラ45は固定レール42の上壁の下面と接触する。
また、移動レール43の上壁の前端には前方が上方に向かって傾斜した傾斜部431が形成されている。固定レール42後端は後方が下がる傾斜部421が形成されている。固定ローラ44が傾斜部431と摺動するとき、移動ローラ45が傾斜部421と摺動するようになっている。傾斜部421及び傾斜部431によって、引出扉401及び収納ケース402が奥まで移動した際に所定量(例えば、2.5mm)下がるようになっている。
引出扉401を後に移動させ、固定ローラ44が傾斜部431と摺動し、移動ローラ45が傾斜部421と摺動することで、引出扉401及び収納ケース402は自重により下方に移動するとともに後方に移動し、引出扉401が閉鎖位置P1に移動する。このことから、傾斜部421及び傾斜部431とそれぞれ摺動する移動ローラ45及び固定ローラ44とが引出扉401(扉)が閉鎖位置から一定の範囲にあるとき、引出扉401を閉方向に付勢する閉方向付勢部を構成する。
また、固定レール42前端の上壁の下面には、下方に向かって突出したストッパ422が備えられている。ストッパ422は収納ケース402とともに前方に移動する移動ローラ45が接触するようになっている。移動ローラ45がストッパ422に接触することで、引出扉401及び収納ケース402の前方への移動が制限される。
なお、本実施形態において、閉方向付勢部として、レールの傾斜と引出扉401及び収納ケース402の自重とを利用したものを採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、磁力を利用するもの、ばねとフックを利用したもの等を採用することも可能である。また、これらに限定するものではなく、引出扉401が閉鎖位置から一定の範囲内にあるときに引出扉401及び収納ケース402を閉方向に付勢するものを広く採用することができる。
図3は引出扉が閉鎖状態から移動したときの収納ケースの前後方向の位置と高さ方向の位置との関係を示す図である。図3は引出扉401が閉鎖位置P1にあるときを原点とし、引出扉401の前後方向の位置と引出扉401及び収納ケース402の上下方向の位置を示している。
引出扉401を閉鎖位置P1から開方向に移動するとき、固定ローラ44が移動レール43の傾斜部431と接触し、移動ローラ45が固定レール42の傾斜部421と接触している間、引出扉401及び収納ケース402は自重により(閉方向付勢部により)閉方向に付勢される。このとき、引出扉401を引きだすにつれ、引出扉401及び収納ケース402は上方に移動する。
そして、固定ローラ44が移動レール43の傾斜部431と水平部との境界部分に、移動ローラ45が固定レール42の傾斜部421と水平部との境界部分に到達することで、引出扉401及び収納ケース402の自重による閉方向への付勢力が無くなる。すなわち、閉方向付勢部による引出扉401及び収納ケース402を閉方向への付勢が解除される。なお、閉方向付勢部による付勢力が作用する引出扉401の境界位置を閉方向付勢前端位置P2とする。すなわち、引出扉401が閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2までの間、つまり閉鎖位置から一定の範囲に有るとき、閉方向付勢部が引出扉401(及び収納ケース402)を閉方向に付勢するものである。
下段冷凍庫4において、引出扉401が閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2までにあるとき、閉方向付勢部から閉方向に付勢されているので、引出扉401を引きだすのに大きな力がいる。そのため、下段冷凍室4では、開方向付勢部6で引出扉401に付勢し、引出扉401を閉鎖状態P1から開方向付勢完了位置P3に移動させている。次に、開方向付勢部6の詳細について図面を参照して説明する。図4は開方向付勢部の構成を示す図である。
図1、図2に示すように、開方向付勢部6は下段冷凍室4の収納空間400の下壁の上面に配置されている。そして、開方向付勢部6は、後述する扉付勢部62で引出扉401の下部を押すことができるように配置されている。すなわち、下段冷凍室4において、引出扉401では開方向付勢部6からの付勢力が引出扉401の下部の中央部分に作用することで、引出扉401及び収納ケース402が開方向に移動する。
図4に示すように、開方向付勢部6は、モータ61、扉付勢部62及び動力伝達部63を備えている。モータ61は、電力が供給されることで、出力軸611を回転する回転電動機である。扉付勢部62は、前方向に移動するとき、引出扉401を押圧し、引出扉401及び収納ケース402を開方向に押す部材である。扉付勢部62は、前後方向に摺動可能に設けられている。扉付勢部62が最も後方に移動した位置を原点位置とし、扉付勢部62が原点位置にあるとき、引出扉401が閉鎖位置P1にある。
動力伝達部63は、モータ61の出力軸611の動力(回転)を、扉付勢部62に伝達するものである。動力伝達部63は、ウォーム630、第1歯車631、第2歯車632、第3歯車633及びラックギア634を備えている。
ウォーム630は、モータ61の出力軸611に固定され、螺旋状の溝を備えたねじ歯車である。ウォーム630は出力軸611と一体的に回転する。第1歯車631はウォーム630と歯合することができるウォームホイールであり、ここでは、はすば歯車である。モータ61の出力軸611が回転することで、その動力(回転力)は、ウォーム630を介して第1歯車631に伝達され、第1歯車631は回転する。
第1歯車631と第2歯車632とは歯合しており、第1歯車631の回転が第2歯車632に伝達される。第2歯車632と第3歯車633とは同一軸を有するように一体的に回転する。ラックギア634は扉付勢部62の側面に設けられており、第3歯車633と歯合する。第3歯車633の回転力がラックギア634を介して、扉付勢部62の直線方向の力として伝達される。
開方向付勢部6では、モータ61から出力された動力(回転力)を、動力伝達部63を利用して、扉付勢部62の直線移動に変換している。モータ61の動力をウォーム630から第1歯車631に伝達するとき、回転速度は小さくなる(減速する)が、トルクは大きくなる(増幅される)。
第1歯車631から第2歯車632に動力が伝達する際にも回転速度が減速する。また、第2歯車632と一体的に回転する第3歯車633は、第2歯車632よりも回転半径が小さいため、同じ回転角であっても歯車外周の移動量が小さくなり、結果として減速する。したがって、動力伝達部63は、モータ61の回転を減速するとともに、動力を増幅して扉付勢部62に伝達している。すなわち、モータ61のトルクが小さくても、扉付勢部62は大きな力で引出扉401を押圧することが可能である。なお、開方向付勢部6として、動力の伝達に3個の歯車と、ウォーム、ラックギアを用いているものとしているが、これに限定されるものではなく、モータの動力で引出扉を開方向に移動させるように付勢できる構成のものを広く採用することが可能である。
開方向付勢部6の引出扉401への付勢は、少なくとも引出扉401が閉方向付勢前端位置P2に到達するまで行えばよい。しかしながら、閉方向付勢前端位置P2の位置精度、取り付け場所の状態、収納ケース402内の収納状態等によっては、閉方向付勢前端位置P2で付勢を終了すると、引出扉401が閉方向に移動してしまう場合がある。そのため、本発明にかかる冷却庫Rfに用いられる開方向付勢部6は、閉鎖位置P1から移動した引出扉401が閉方向付勢前端位置P2を超えて一定の距離移動した位置(開方向付勢完了位置P3とする、図3参照)まで付勢を行うようにしている。
すなわち、図3において、閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2までの間、引出扉401は閉方向付勢部から閉方向に付勢されているとともに、開方向付勢部6から開方向に付勢されている。開方向付勢部6からの付勢力が閉方向付勢部からの付勢力よりも大きいとき引出扉401は開方向に移動する。
また、閉方向付勢前端位置P2から開方向付勢完了位置P3までの間、引出扉401は開方向付勢部6から開方向に付勢されている。そのため、引出扉401は開方向に移動する。そして、引出扉401が開方向付勢完了位置P3よりも前方に移動すると、扉付勢部62の前端が引出扉401から離れる。これにより、開方向付勢部6の付勢力は引出扉401に作用しなくなるが、慣性力で引出扉401及び収納ケース402は開方向に移動する。
次に、閉方向付勢部の付勢による引出扉401の閉方向の移動を制限する移動制限部について説明する。本実施形態では、動力伝達部63にウォーム630および第1歯車(ウォームホイール)631からなるウォームギアを用いて減速している。一般的にウォームギアの特性として、ウォーム630から第1歯車(ウォームホイール)631への動力伝達は行われるが、第1歯車(ウォームホイール)631からウォーム630への動力伝達は行われ難い。
本実施形態では、この特性を利用して、モータ61の停止時に引出扉401の閉方向への移動を阻止することが可能である。すなわち、開方向付勢部6では、ウォーム630と第1歯車631とが、モータ61から扉付勢部62へと動力を伝達する動力伝達部63の一部を担うとともに、扉付勢部62からモータ61への逆方向の動力の伝達を阻止し、引出扉401の閉方向の移動を制限する移動制限部をも構成している。
なお、移動制限部は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、動力伝達部63の少なくとも一部を制動する制動部(ブレーキ)を備えていてもよい。また、モータ61の出力軸611を制動する構成としてもよく、例えば、モータ61の停止時にモータ61の電力入力部に適切な電気負荷を接続して出力軸611の回転による逆起電力を消費させることで軸負荷を増大させて制動効果を得る構成とすることができる。また、扉付勢部62自体の移動を制動する制動部を備えていてもよい。なお、このような制動部は、モータ61の動作開始に合わせて、制動を解除する構成となっている。
開方向付勢部6では、扉付勢部62による引出扉401の押圧状態を確認する必要がある。図5は開方向付勢部を駆動する駆動機構のブロック図である。図5に示すように、開方向付勢部6には、扉付勢部原点検出部S1、扉付勢完了検出部S2、モータ状態検出部S3及び制御部Contが備えられている。また、操作者から開方向付勢部6への指示(ここでは、開動作を行う指示)を入力するためのスイッチ10も制御部Contに接続されている。
制御部Contは、CPU、MPU等の演算回路を備えた構成となっている。制御部Contは、扉付勢部原点検出部S1、扉付勢完了検出部S2及びモータ状態検出部S3からの情報に基づいてモータ61を制御する演算を行っている。制御部Contには、計時部Tmが接続されており、各制御動作の開始からの時間を検出するタイマ回路を備えている。
扉付勢部原点検出部S1、扉付勢完了検出部S2は扉付勢部62の位置を検出するセンサを含んでいる。扉付勢部62が原点位置にあるときの扉付勢部62の側面の位置を検出できるように扉付勢部原点検出部S1が配置されている。また、扉付勢部原点検出部S1は、図4に示すように、扉付勢部62の移動方向と交差する方向に扉付勢部62を監視するように配置するものとしているが、距離を測定できるセンサを備えているものの場合、扉付勢部62が一定の範囲内に接近していることを検出するようにしてもよい。
扉付勢部原点検出部S1として、光センサ、測距センサ、静電センサ等の非接触のセンサを利用して扉付勢部62の後端を検出するものであってもよいし、リミットスイッチ等の物理スイッチを用いて扉付勢部62の原点位置を検出するようにしてもよい。また、扉付勢部原点検出部S1はこれらに限定されるものではなく、扉付勢部62の位置が原点位置にあることを検出できるものを広く採用することができる。
扉付勢完了検出部S2は、扉付勢部62の位置を側方から検出するようになっている。扉付勢完了検出部S2は、引出扉401が開方向付勢完了位置P3に移動するまで扉付勢部62が移動したことを検出できるように配置されている。
モータ状態検出部S3は、モータ61に付与される電流値を検出するセンサを含んでいる。なお、モータ状態検出部S3は、回路を流れる電流を直接検出するものであってもよいし、非接触で検出するような検電センサを利用してもよい。モータ61は、負荷(出力している動力)の変化に伴って電流値も変化する。そのため、制御部Contは、モータ状態検出部S3からの電流の情報に基づいて、モータ61の負荷が増加している、負荷が減少している、停止している等のモータ61の状態を検出することが可能である。例えば、扉付勢部62の移動が制限されると、モータ61の負荷が増加する。このとき、モータ61に供給される電流の変化をモータ状態検出部S3が検出することで、扉付勢部62の移動が制限されたことを検出することが可能である。
引出扉401は扉付勢部62に押されるものであり、引出扉401の移動方向、移動速度(移動状態とする)は、モータ61の回転方向、回転数(回転速度)と動力伝達部63のギア比(減速比)によって決まる。すなわち、引出扉401の移動状態は、モータ61の回転方向、回転速度を検出することで、検出することが可能である。そのため、開方向付勢部6では、モータ状態検出部S3は、移動検出部として用いられる。
なお、モータ状態検出部S3としては、モータ61の電力(電流、電圧)を測定する検出部に限定されるものではない。例えば、モータ61の出力軸の回転速度(回転数)を検出するセンサ、動力伝達部63の第1歯車631、第2歯車632、第3歯車633のいずれかの回転速度(回転数)を検出するセンサ等、モータ61の回転状態を検出できる構成を広く採用することが可能である。
動力伝達部63の減速比は一定であるため、モータ61の回転数を一定となるように制御することで、引出扉401が閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2に移動するまでの時間が一定となる。このことを利用し、扉付勢部原点検出部S1が扉付勢部62を検出しなくなってから、扉付勢完了検出部S2が扉付勢部62を検出しなくなるまでの時間を計時部Tmで測定し、その時間が、閾値よりも大きいと、扉付勢部62の移動に異常がある(例えば、止まっている)と判断することができる。すなわち、計時部Tm、扉付勢部原点検出部S1及び扉付勢完了検出部S2を移動検出部として利用することも可能である。
制御部Contは、扉付勢部原点検出部S1、扉付勢完了検出部S2からの情報に基づいて、引出扉401が閉鎖位置P1から開方向付勢完了位置P3までの範囲内に位置していることを検出することができる。また、モータ状態検出部S3を利用して、引出扉401の移動状態(停止している、負荷を受けて移動が遅くなっている等)を検出することが可能である。
次に、本発明にかかる冷却庫Rfの下段冷凍庫4の開扉動作について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかる冷却庫の開扉動作を示すフローチャートである。
上述しているように、開方向付勢部6による引出扉401を付勢する開動作は、閉方向付勢部から閉方向に付勢されているときに行われるものである。そのため、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2よりも前面にあるときは開動作を必要としない。また、引出扉401の開動作は、引出扉401の前面に備えられているスイッチ10の操作(押し動作)が行われると開始する。
そのため、制御部Contは、使用者によるスイッチ10の操作を確認すると(ステップS101)、開扉状態検知部からの情報に基づいて、引出扉401が開扉しているか否かを確認する(ステップS100)。なお、開扉状態検知部は、従来、冷却庫に広く用いられているものであり、詳細については省略する。引出扉401が既に開扉している場合(ステップS100でYesの場合)、開方向付勢部6による引出扉401を付勢する開動作は不要であると判断し、開動作を終了する。引出扉401が閉扉していると判断した場合(ステップS100でNoの場合)、制御部Contは、扉付勢部原点検出部S1及び扉付勢完了検出部S2からの情報に基づいて、引出扉401が閉鎖位置P1と開方向付勢完了位置P3との間にあるか否か確認する(ステップS102)。
引出扉401が閉鎖位置P1と開方向付勢完了位置P3との間の範囲内にあるか否かの確認は扉付勢完了検出部S2からの扉付勢部62を検出している情報に基づいて確認することが可能である。なお、引出扉401が閉鎖位置P1にあるとき又は開方向付勢完了位置P3にあるときも、閉鎖位置P1と開方向付勢完了位置P3との間にあると判断する。
引出扉401が閉鎖位置P1と開方向付勢完了位置P3との範囲内にない場合(ステップS102でNoの場合)、制御部Contは引出扉401が開方向付勢完了位置P3を超える位置まで扉付勢部62が前方に移動したと判断して、モータを逆回転させるなどによって扉付勢部62を原点位置まで引き戻す(ステップS108)。このとき、移動制限部の動作も同時に解除される。そして、扉閉鎖状態検出部S1からの検出情報に基づき扉付勢部62が原点位置まで戻ったことを確認したら開動作を終了する。
引出扉401が閉鎖位置P1と開方向付勢完了位置P3にある場合(ステップS102でYesの場合)、引出扉401に対して開方向付勢部6による開動作を行う(ステップS103)。すなわち、モータ61に電力の供給を開始し、モータ61を正回転に駆動する。モータ61を正回転に駆動すると扉付勢部62が前方に移動し、扉付勢部62が引出扉401を付勢することで、引出扉401及び収納ケース402が開方向(前方)に移動する。
例えば、開方向付勢部6が引出扉401を開方向に付勢しているとき、引出扉401の前面に使用者の手、足等の体の一部があったり、重量物があったりすると、引出扉401の移動動作が妨げられる。このように、引出扉401の移動動作が妨げられると、引出扉401の移動速度が低下したり、停止したりといった移動動作に異常が発生する。
このとき、モータ状態検出部S3によってモータ61の動作の変化を検出することで、引出扉401の移動動作の異常を検出することが可能である。そのため、モータ状態検出部S3の情報を制御部Contが監視し、制御部Contは、モータ状態検出部S3からの情報に基づいて、引出扉401の移動動作に異常があるか否か判断する(ステップS104)。たとえば、引出扉401の移動速度が低下したり、停止したりといった移動動作の異常によってモータ61の回転速度が低下すると、モータ61に供給される電流の直流成分が増大する、モータ61に供給される電圧や電流の脈動周期が低下する、などが発生すると考えられる。
引出扉401の移動動作に異常がない場合(ステップS104でNoの場合)、制御部Contは、開方向付勢部6が引出扉401を開方向に付勢しても問題ないと判断し、ステップS102に戻り、開方向付勢部6の動作を継続する。なお、引出扉401の移動動作に異常がないまま、引出扉401が開方向付勢完了位置P3まで押されると、モータを逆回転させるなどによって扉付勢部62を原点位置まで引き戻し(ステップS108)、扉閉鎖状態検出部S1からの検出情報に基づき扉付勢部62が原点位置まで戻ったことを確認したら開扉動作を終了する。
例えば、引出扉401の前面に使用者の手、足等の体の一部が当たって引出扉401の開方向の移動が制限されたとする。このとき、開方向付勢部6でさらに押し続けると使用者の手、足等の体の一部が引出扉401に無理やり押され、怪我の原因になる恐れがある。また、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2よりも閉鎖位置P1側にある場合は、閉方向付勢部から閉方向に付勢されており、引出扉401が閉方向に移動すると、引出扉401と収納空間400との隙間に体の一部を挟む恐れがあり、危険性が高くなる。
また、引出扉401が途中で止まってしまったとき、とっさに、引出扉401と収納空間400との隙間に指を入れて、引出扉401を開こうとすることがあり、引出扉401及び収納ケース402が重いと、指が挟まれる事故が発生する。
そこで、冷却庫Rfでは、引出扉401の移動動作に異常がある(ここでは、モータ61への供給電流が変動した)場合(ステップS104でYesの場合)、制御部Contは、開方向付勢部6の動作(モータ61の動作)を停止し、移動制限部(ウォーム630及び第1歯車631)で引出扉401の閉方向の移動を制限する(ステップS105)。
このように、引出扉401の移動動作に異常がある場合、引出扉401に開方向の付勢を停止(異常停止)するとともに、閉方向の移動を制限している。これにより、引出扉401の前面の手、足等の体の一部を引出扉401が押圧することによる事故、引出扉401と収納空間400との隙間で指等を挟むことによる事故等を抑制することが可能である。
ステップS105で引出扉401の移動を停止させた場合は、制御部Contは、不図示の警報装置を利用して使用者に引出扉401が移動の途中で停止していることを警告する(ステップS106)。これにより、開方向付勢部6が異常停止したことを使用者に報知し、異常停止した原因の排除を促すことができる。
警告は引出扉401の異常停止後すぐに発してもよい。この場合は可及的速やかに異常停止した原因が排除されることが期待できるので、下段冷凍室4の内部からの冷気流出を最小限に抑制できる。また、警告は引出扉401の異常停止後所定の時間をおいてから発してもよい。この場合は、使用者が引出扉401の異常停止を十分認識してから警告が発せられることで、使用者が慌ててしまうおそれを防ぐことができる。
なお、警報装置としては、警報音をならす音声通知装置であってもよいし、冷却庫Rfの状態を示す液晶パネル、LED等の視覚通知装置であってもよい。音声通知装置としては、冷却庫Rfに予め備えられている扉解放を通知するためのものを利用してもよいし、別途備えていてもよい。また、これら以外の方法で通知するものであってもよいし、複数の方法で同時に通知するようになっていてもよい。
移動制限部によって引出扉401の閉方向の移動が制限されて一定時間(ここでは時間t1とする)経過したか否か確認する(ステップS107)。時間t1経過する間、移動制限部によって引出扉401の閉方向の移動を制限することで、使用者に対して冷静な対応(引出扉401の移動を邪魔しているものを排除する等)を行う時間的な余裕を提供することができる。しかしながら、引出扉401が閉鎖されていない状態が続くと、下段冷凍室4の内部の冷気が逃げてしまう。
そこで、時間t1経過していない場合(ステップS107でNoの場合)、ステップS105に戻り、引出扉401の閉方向の移動の制限を継続するが、時間t1経過した場合(ステップS107でYesの場合)、制御部Contはモータ61を逆回転させて扉付勢部62を原点位置に移動させる(ステップS108)。このとき、ウォーム630と第1歯車631とを利用した移動制限部による引出扉401の閉方向の移動の制限も緩和される。また、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2よりも閉鎖位置P1側にある場合は、引出扉401及び収納ケース402は閉方向付勢部によって閉方向に付勢されているので、閉方向に移動する。
そして、扉付勢部62の移動は、モータ61の回転数と動力伝達部63の減速比によって決まるため、扉付勢部62は、引出扉401を閉方向付勢部の付勢力と対抗するように支持しつつ移動する。
したがって、制御部Contは、時間t1が経過した後のモータ61の逆回転時の回転数を制御することで、引出扉401を閉方向付勢部の付勢力によって閉扉する速度よりも遅く閉扉させることができる。これにより、引出扉401が異常停止した場合は、時間t1の間は引出扉401を閉じないように制限し、その後扉付勢部62を原点位置に移動させる際には、通常閉扉時よりもゆっくりと閉扉することができる。したがって、使用者が意図しない引出扉401の動作に対しても、使用者への認知と保全を確保することができる。
上述のような開方向付勢部6で引出扉401を開方向に付勢して、引出扉401及び収納ケース402を閉鎖状態から開くようにすることで、引出扉401が途中で止まったとしても、使用者の手、足等の体の一部や物品を傷つけるのを抑制し、開方向付勢部6の故障、破損を抑制することが可能である。
また、移動制限部としてウォーム630と第1歯車631とを利用し、モータ61への電力を供給しても移動制限できるようにすることで、モータ61が長時間、過負荷状態になることがなく、モータ61の故障、破損等を抑制することが可能である。
また、ステップS107で時間t1経過後に扉付勢部62を原点位置に戻す条件としているが、これに限定されるものではない。例えば、引出扉401を戻すためのスイッチ(スイッチ10と共通でもよいし、別途設けてもよい)の操作入力を検出したときに扉付勢部62を原点位置に戻すようにしてもよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる冷却庫の他の例について図面を参照して説明する。図7は本発明にかかる冷却庫の他の例の開扉動作のフローチャートである。本実施形態にかかる冷却庫Rfは、第1実施形態と同じ構成の冷却庫Rfであり実質上同じ部分には、同じ符号を付している。なお、本実施形態でも、下段冷凍室4を例に説明するものとする。
本実施形態にかかる冷却庫Rfの下段冷凍室4は、引出扉401が異常停止した後、開方向付勢部6の開動作を再開する構成となっている。そのため、図6に示すフローチャートに、再開回数による動作の分岐(ステップS201)と再開回数のカウント(ステップS202)を備えた構成となっている。それ以外は、図6に示すフローチャートと同じである。
引出扉401が開方向付勢部6の付勢により開方向に移動しているときに、異常停止すると警告が行われる。警告が行われることで、使用者等によって引出扉401の移動を邪魔する原因が取り除かれる場合がある。移動を邪魔する原因が取り除かれた状態で、開方向付勢部6の動作を再開することで、引出扉401を開方向に移動させることが可能である。そのため、本実施形態の構成では、異常停止してから一定時間(ここでは時間t2)経過した後に、開方向付勢部6の開動作を再開する。
一方で、再開動作を一定回数繰り返しても引出扉401の異常停止状態が改善されない場合もある。この場合、引出扉401が開いた状態が続き、下段冷凍室4の内部の冷気が逃げてしまう。そこで、本実施形態の開方向付勢部6では、一定回数、再開動作を行って引出扉401が開方向に移動しない場合、開動作を中止し、扉付勢部62を原点位置に戻すように制御する。以下に、本実施形態の開方向付勢部6の動作について説明する。
図7に示すように、スイッチ10の操作の確認から、移動制限部で引出扉401の閉方向の移動を制限してから時間t2経過したかの判断(ステップS117、第1実施形態のステップS107に相当)までは、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。なお、ステップS117は時間t2の経過を確認するステップであり、第1実施形態のステップS107と経過時間の長さが異なる場合もあることから別のステップとしているが、実質同じものである。そのため、実質上ステップS117までは、第1実施形態と同様としている。時間t2の詳細については、後述する。
図7に示すように、引出扉401の閉方向の移動の制限が時間t2経過した後(ステップS117でYes)、制御部Contは、開動作を再開した回数を確認する(ステップS201)。開動作の再開回数が一定の回数に達していない場合(ステップS201でNoの場合)、制御部Contは再開回数を1回加算し(ステップS202)、開動作(ステップS103)に戻る。
制御部Contは、開動作が複数回行われると、使用者が近くにいない、スイッチ10の操作が使用者の意図しない操作であった等、開動作の継続が不要と判断する。そのため、開動作の再開回数が一定の回数に達すると(ステップS201でYes)、制御部Contは、扉付勢部62を原点位置に移動する(ステップS108)。なお、再開を繰り返した時間、警告を繰り返しており、引出扉401が異常停止してから扉付勢部62が原点位置に戻るまで継続して警告を行っている。このことから使用者に対して冷静な対応(収納空間400と引出扉401との間に手や物品を挟まない等)を行う時間的な余裕を提供することができ、事故を抑制することが可能である。
本実施形態において、開方向付勢部6は、開方向付勢部6の開動作を停止(異常停止)した後に、開方向付勢部6の開動作が再開されることで、引出扉401を開方向に移動させることができる。
例えば、引出扉401の前面に使用者の手や足、ペット等が障害物として接触すると、開方向付勢部6は、安全上、引出扉401の開方向の移動を停止(異常停止)する。これらの障害物は引出扉401と接触すると、引出扉401の前面からよける場合が多い。すなわち、異常停止から時間t2経過するまでに、異常停止の原因が取り除かれる。この状態で、開動作を再開することで、引出扉401が閉方向付勢部の付勢の影響がなくなる位置、閉方向付勢前端位置P2よりも前側であり、ここでは、扉付勢部62による引出扉401の付勢が終わる開方向付勢完了位置P3まで引出扉401及び収納ケース402を押す。これにより、安全であるとともに利便性の高い扉を有する冷却庫Rfを提供することができる。
なお、本実施形態において、異常停止から開動作再開までの時間t2(ステップS117)は、第1実施形態の異常停止から扉付勢部62を原点位置に戻すまでの時間t1(ステップS107)と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。本実施形態の場合、時間t2経過するごとに、開動作を再開する構成であり、内部の温度上昇を抑えるため、第1実施形態の時間t1よりも短く設定することを挙げることができる。
また、この時間t2については、予め決められたものであってもよいし、使用者が自由に変更可能であってもよい。収納空間400の内部の温度上昇を抑えるものであり、外気温、湿度等の条件に基づいて決定するようにしてもよい。例えば、外気温が高いと収納空間400の内部の温度の上昇が速く、外気温が低いと下段冷却室4の内部の温度の上昇が遅い。そのため、外気温が高いときは、低いときに比べて時間t2を短くするように決定するものを挙げることができる。このとき、時間t2の決定方法として、予め備えられているテーブルを利用するものを挙げることができる。
さらに、冷却庫Rfの利用者の特徴(例えば、年齢構成)に基づいて自動的に決まるようにしてもよい。例えば、動作を俊敏に行うのが難しい利用者が含まれる場合、含まれない場合に比べて時間t2を長くするように決定してもよい。このとき、時間t2の最大値(最長値)及び(又は)最小値(最短値)を決めておき、その範囲内で決めるようにしてもよい。このとき、時間t2の決定方法として、予め備えられているテーブルを利用するものを挙げることができる。
なお、本実施形態では、開方向付勢部6の引出扉401の開動作の再開回数が、一定回数に到達すると開動作をやめ、扉押圧部62を原点位置に戻している。この再開回数は、予め決められた回数であってもよい。また、引出扉401が開方向付勢完了位置P3より前方に移動するまで、開動作を再開し続ける構成となっていてもよい。この場合、図6のステップS117で時間t2経過を確認した後、開動作再開(ステップS103)に戻るようにしておけばよい。
(第3実施形態)
本発明にかかる冷却庫のさらに他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる冷却庫の開方向付勢部を駆動する駆動機構のブロック図であり、図9は本発明にかかる冷却庫の他の例の開扉動作のフローチャートである。本実施形態にかかる冷却庫Rfは、第1実施形態と同じ構成の冷却庫Rfであり実質上同じ部分には、同じ符号を付している。なお、本実施形態でも、下段冷凍室4を例に説明するものとする。
まず、本実施形態にかかる開方向付勢部6の駆動機構について説明する。図8に示すように、駆動機構は図5に示す駆動機構の構成に加え、制御部Contと接続された閉方向付勢前端検出部S4を備えている。閉方向付勢前端検出部S4は、扉付勢部原点検出部S1、扉付勢完了検出部S2と同様の構成を有し、扉付勢部62の位置を検出するセンサを含んでいる。閉方向付勢前端検出部S4は、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2に到達したときの扉付勢部62の位置を検出できるように配置されている。
本実施形態にかかる冷却庫Rfの開方向付勢部6は、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2より後ろにあるか前にあるかで開方向付勢部6が異なる動作を行う。そのため、引出扉401の閉方向の移動を制限したときの引出扉401の位置を確認するステップS301、時間の経過を確認するステップS302を備えた構成となっている。
引出扉401が閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2までに位置しているとき、引出扉401は閉方向付勢部から閉方向に付勢されている。そのため、引出扉401が閉鎖位置P1から閉方向付勢前端位置P2までにあるとき、引出扉401が異常停止した場合、引出扉401は閉方向付勢部で閉方向に付勢されるため、開方向付勢部6は時間t2経過するごとに開動作を再開する。
閉方向付勢前端位置P2から開方向付勢完了位置P3までの間で引出扉401が異常停止した場合、引出扉401は閉方向付勢部からの閉方向の付勢を受けないので、移動制限部で閉方向の移動を制限しなくても、引出扉401が自動的に閉方向に移動しない。そのため、閉方向付勢前端位置P2から開方向付勢完了位置P3までの間で引出扉401が異常停止した場合、一定時間(ここでは、時間t3とする)経過後、扉付勢部62を原点位置に戻すように制御する。以下に、本実施形態の開方向付勢部6の動作について説明する。
図9に示すように、スイッチ10の確認から、開方向付勢部6の動作(モータ61の動作)が停止し、警告を行う(ステップS101〜ステップS106)までは第2実施形態の動作と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、引出扉401の閉方向の移動を制限し(ステップS105)、警告をした(ステップS106)後、制御部Contは、扉付勢完了検出部S2及び閉方向付勢前端検出部S4からの情報に基づき、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間にあるか否か確認する(ステップS301)。
引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間にない場合、換言すると、引出扉401が閉鎖位置P1と閉方向付勢前端位置P2の間にある場合、開方向付勢部6の開動作の再開を行う(ステップS117に進む)。
引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3の間にある場合(ステップS301でYesの場合)、制御部Contは、時間t3経過したか否かを確認する(ステップS302)。時間t3経過していない場合(ステップS302でNoの場合)、開動作停止を継続する(ステップS105に戻る)。引出扉401の異常停止後、時間t3経過した場合(ステップS302でYesの場合)、扉付勢部62を原点位置に戻す(ステップS108)。
開方向付勢部6を以上のような動作をさせることで、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間で異常停止してから時間t3経過するまでは、引出扉401の閉方向の移動が制限されている。そのため、異常停止の直後に、使用者があわてて引出扉401を閉じる方向に押圧しても引出扉401が急激に閉方向に移動することがなく、使用者がバランスを崩して転倒したり、冷却庫Rfと衝突したりする事故を抑制することができる。
また、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間にあるとき、引出扉401及び収納ケース402は閉方向付勢部から閉方向に付勢されていない。この位置で異常停止し、扉付勢部62が原点位置に戻った後も、引出扉401は自動的に(閉方向付勢部による付勢力で)移動しない。そのため、使用者が引出扉401の異常停止に気付き、あわてて、引出扉401と収納空間400の間に手や物品を入れてしまっても、手や物品が引出扉401と収納空間400とで挟まれる事故を抑制することができる。
なお、引出扉が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間にあるときは、引出扉401は閉方向付勢部の付勢を受けないので、引出扉401が異常停止し、閉方向の移動が制限された直後に扉付勢部62を原点位置に移動させても問題がない。そのため、引出扉401が閉方向付勢前端位置P2と開方向付勢完了位置P3との間にあるときは、時間t3の経過を待たず(時間t3を0とする又はステップS302を省略して)、扉付勢部62を原点位置に移動するようにしてもよい。
(第4実施形態)
本発明にかかる冷却庫のさらに他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる冷却庫の開方向付勢部を駆動する駆動機構のブロック図であり、図11は本発明にかかる冷却庫の他の例の開扉動作のフローチャートである。本実施形態にかかる冷却庫Rfは、第1実施形態と同じ構成の冷却庫Rfであり実質上同じ部分には、同じ符号を付している。なお、本実施形態でも、下段冷凍室4を例に説明するものとする。
まず、開方向付勢部6の駆動機構について説明する。図10に示す駆動機構は図5に示す駆動機構の構成に加え、制御部Contと接続された応力検出部S5を備えている。応力検出部S5は、引出扉401に作用する応力を検出するセンサを含んでいる。例えば、扉付勢部62が引出扉401を開方向に付勢しているときに、使用者が引出扉401を閉方向に押すと、引出扉401は扉付勢部62を閉方向に付勢することになり、応力検出部S5で検出される応力は増加する。
このような応力検出部S5を備えることで、制御部Contは、引出扉401が異常停止した状態で、引出扉401に閉方向の応力が作用しているか否か判断することができる。
応力検出部S5は、引出扉401と扉付勢部62との接触面に取り付けて、接触面の応力を直接検出するものであってもよいし、扉付勢部62の一部に取り付けて、扉付勢部62の変形(歪み)や移動量から応力を検出するものであってもよい。また、応力検出部S5は、引出扉401に取り付けられていてもよい。
また、応力検出部S5として独立したセンサを設けるだけでなく、他の検出部からの信号を使用してもよい。例えば、扉付勢部原点検出部S1や扉付勢完了検出部S2などの扉付勢部62の位置を検出するセンサの出力に基づいて、扉付勢部62の移動量と移動方向を検知することで引出扉401への閉方向の応力を検知することができる。また、移動制限部の保持力を超えてモータ61が逆回転したことをモータ状態検出部S3が検知してもよい。この場合、移動制限部の保持力が閉方向付勢部による付勢力よりも大きく、且つ意図的な閉扉操作と認識される所定の応力が作用しているときの付勢力よりも小さく設定されることが好ましい。
なお、本実施形態のように応力検出部S5を設ける場合は、他の実施形態を含め、引出扉401の移動動作に異常があるか否か判断するステップ(ステップS104)に、モータ状態検出部S3からの情報を使用するだけでなく、応力検出部S5からの情報を使用することもできる。この場合、応力検出部S5は、ステップS104では引出扉401の移動動作中の異常検知を担うとともに、ステップS401では引出扉401が異常停止中のときに引出扉401を閉鎖させるスイッチの役割を担うことになる。
以下に、本実施形態にかかる開方向付勢部6の動作について説明する。本実施形態にかかる開方向付勢部6の動作では、引出扉401から扉付勢部62に作用する応力を検出し、その応力変化に基づいて、引出扉401に作用している力を判断し、扉付勢部62(モータ61)の動作を決定する工程(ステップS401)を備えている。なお、図11に示すフローチャートでは、スイッチ10の確認から、開方向付勢部6の動作(モータ61の動作)が停止し、警告を行う(ステップS101〜ステップS106)までは第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
異常停止(ステップS105)し警告を発した(ステップS106)後、制御部Contは応力検出部S5からの情報に基づいて引出扉401に閉方向の応力が作用しているか否か確認する(ステップS401)。
引出扉401に閉方向の応力が作用していない場合(ステップS401でNoの場合)、異常停止から時間t1経過を確認し(ステップS107)、時間t1経過後、扉付勢部62を原点位置に戻す(ステップS108)。なお、ステップS107以降は、第1実施形態と同じ動作である。
一方、引出扉401に閉方向の応力が作用している場合(ステップS401でYesの場合)、制御部Contはモータを逆回転させるなどによって扉付勢部62を原点位置まで引き戻す(ステップS108)。このとき、引出扉401及び収納ケース402は閉方向に付勢されているため、閉方向に移動する。
そして、扉付勢部62の移動は、モータ61の回転数と動力伝達部63の減速比によって決まるため、扉付勢部62は、引出扉401を閉方向の付勢力と対抗するように支持しつつ移動する。そのため、引出扉401はゆっくり閉じるようにすることもできる。
開方向付勢部6が以上のような動作を行うようにすることで、引出扉401の開動作中に無理に閉じようとした場合でも、引出扉401が勢いよく閉じるのを抑制することができ、使用者がバランスを崩し、転倒したり冷却庫に衝突したりする事故を抑制することが可能である。
例えば、引出扉401が開方向付勢部6の開方向の付勢により開方向に移動している状態で、引出扉401に閉方向の力が作用し押し戻そうとした場合、制御部Contは引出扉401の移動動作の異常を確認し、異常停止(ステップS105)及び警告(ステップS106)を行う。このように、引出扉401を無理に押し戻そうとしても、閉じ方向の移動を制限するので、指や物品を隙間に挟む事故を抑制することができる。そして、引出扉401が停止した後に扉に閉じる方向の力がかかった(かかっている)場合には引出扉401が閉鎖するように動作するため、使用者の安全を確保しながら、使用者に違和感を感じさせずに引出扉401を閉鎖することができる。
(第5実施形態)
本発明にかかる冷却庫のさらに他の例について図面を参照して説明する。図12は本発明にかかる冷却庫の開方向付勢部を駆動する駆動機構のブロック図であり、図13は本発明にかかる冷却庫の他の例の開扉動作のフローチャートである。本実施形態にかかる冷却庫Rfは、第1実施形態と同じ構成の冷却庫Rfであり実質上同じ部分には、同じ符号を付している。なお、本実施形態でも、下段冷凍室4を例に説明するものとする。
まず、開方向付勢部6の駆動機構について説明する。図12に示す駆動機構は図5に示す駆動機構の構成に加え、制御部Contと接続された扉接離検出部S6を備えている。扉接離検出部S6は、扉付勢部62の前端が引出扉401と接触しているか否かを検出する検出部である。扉接離検出部S6は、静電容量センサ、感圧センサ等の接触センサを備えた構成であってもよいし、接触によってONになるスイッチを備えているものであってもよい。扉付勢部62と引出扉401との接触を精度よく検出できるものを広く採用することができる。また、引出扉401に位置検出部を設けて、引出扉401の位置と扉付勢部62の位置とから、扉付勢部62と引出扉401との距離を算出して接触状態を検出してもよい。
例えば、使用者が引出扉401が異常停止したことに気付いた場合、引出扉401を手動で開方向に移動させる(引き出す)場合がある。本実施形態では、引出扉401が異常停止し警告を行った(ステップS106)の後に、引出扉401が使用者に引きだされたときの開方向付勢部6の動作について説明する。
なお、図13に示すフローチャートでは、スイッチ10の確認から、開方向付勢部6の動作(モータ61の動作)が停止し、警告を行う(ステップS101〜ステップS106)までは第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
使用者は、異常停止後の警告がなされると(ステップS106)、引出扉401が異常停止したことを認識し、引出扉401の停止の原因を取り除くとともに引出扉401を開方向に移動する場合がある。このとき、扉付勢部62は停止状態であり、使用者が引出扉401を開方向に移動すると、扉付勢部62は引出扉401から離れる。そのため、制御部Contは、引出扉401と扉付勢部62とが離れた否かを判断する(ステップS501)。制御部Contは、引出扉401と扉付勢部62とが離れたか否かの判断は、扉接離検出部S6からの情報に基づいて行うことが可能である。
引出扉401と扉付勢部62とが離れていない場合(ステップS501でNoの場合)、制御部Contは、引出扉401が開方向に移動されていないと判断し、時間t1の経過の確認を行う(ステップS107)。この時間t1の確認以降は、図6に示すフローチャートと同じである。
引出扉401と扉付勢部62とが離れている場合(ステップS501でYesの場合)、制御部Contは、引出扉401が使用者によって引きだされたと判断する。そして、引出扉401の閉方向の移動の制限が不要であると判断し、扉付勢部62を原点位置まで戻す(ステップS108)。
制御部Contは、扉接離検出部S6からの情報に基づいて引出扉401と扉付勢部62とが離れていることを検出しているが、これに限定されるものではない。例えば、引出扉401と扉付勢部62とが離れている場合、引出扉401と扉付勢部62との接触面に作用する応力は0になる。このことを利用して、制御部Contは、第4実施形態で用いた応力検出部S5のような検出部の情報に基づいて(応力が0であることを検出したとき)引出扉401と扉付勢部62とが離れていると判断してもよい。また、第4実施形態と同様に、他の検出部からの信号を使用することもできる。
本実施形態に示したように、開方向付勢部6を動作させた場合、使用者が手動で引出扉401を開方向に移動させた場合は、引出扉401に対して扉付勢部62による付勢や移動制限部による閉方向への移動の制限を解除し、扉付勢部62が原点位置に戻るため、開動作の途中で使用者が手動による開動作を行った場合であっても、使用者が違和感を感じることなく引出扉401を開くことができる。
なお、本実施形態では、引出扉401が使用者によって開方向に移動された時点で、扉付勢部62を原点位置に戻す構成としているが、これに限定されない。引出扉401が閉方向付勢前端位置P2に到着するまでは、閉方向付勢部が引出扉401及び収納ケース402を閉方向に付勢している。このとき、使用者による扉を開方向に移動する力が弱くなっても、引出扉401が閉鎖位置P1に勢いよく移動するのを抑制するため、少なくとも、引出扉401が閉方向付勢前端部P2に到達するまでは、扉付勢部62を開方向に移動させる或いは原点位置に戻さないようにしてもよい。
なお、第3実施形態で用いた閉方向付勢前端検出部S4のような検出部を備えていない場合もあり、その場合、引出扉401が使用者の力で開方向に移動されても、扉付勢部62が扉付勢完了検出部S2で検出される位置まで移動させた後、原点位置に戻すようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、本発明にかかる冷却庫Rfにおいて、開方向付勢部6は、ヒンジ扉101、102、引出扉201、301、501にも同様の構成で適用することが可能である。なお、ヒンジ扉101、102については、閉方向付勢部の構成が異なるが、引出扉と同様に、回動をガイドするガイド部に傾斜を設け、自重で閉方向に付勢するようになっているものを採用することが可能である。これ以外にも、磁力、弾性部材による弾性力を利用する構成としてもよい。
上記各実施形態において、開方向付勢部として、モータ、歯車を用いた駆動機構を挙げているが、これに限定されるものではなく、ソレノイドのような電磁力で往復動する構成のものや、油空圧等で動作するシリンダ等、閉方向付勢部の付勢力よりも大きい付勢力を付勢できる構成のものを広く採用することが可能である。また、上記各実施形態の構成は適宜組み合わせて実施することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。