本発明にかかる冷却室について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は冷却庫の前面図である。なお、以下の説明において、上下左右は図1に示すように冷却庫の前面に正対したときの上下左右とする。また、同様に前後は冷却庫の前面側(図1の紙面手前側)を前、背面側(図1の紙面奥側)を後とする。
図1に示すように、冷却庫Rfでは、最上段に冷蔵室1が配置されており、その下部に左右に並んだ製氷室2と上段冷凍室3とが配置されている。そして、製氷室2及び上段冷凍室3との下部に下段冷凍室4が配置されているとともに、最下段には野菜室5が配置されている。
図1に示すように、冷蔵室1の前面には、回転軸を中心として横方向(左又は右)に回動するヒンジ扉11、12が備えられている。ヒンジ扉11、12は独立して開閉可能な扉である。
製氷室2、上段冷凍室3、下段冷凍室4及び野菜室5は、いずれも、前後方向に水平に摺動することで貯蔵室ごと開閉する引出型の貯蔵室である。製氷室2、上段冷凍室3、下段冷凍室4及び野菜室5は前面側にそれぞれ、引出扉21、31、41及び51を備えている。また、各引出扉21、31、41及び51には、操作者が開閉操作するための把持部211、311、411及び511がそれぞれ設けられている。なお、把持部211、311、411及び511は引出扉21、31、41及び51の前面上部に設けられているが、これに限定されるものではない。
下段冷凍室4及び野菜室5は、箱型の貯蔵室40、50と、引出扉41、51と、物品を収納するための収納容器42、52とを備えている。
下段冷凍室4及び野菜室5は引出扉41及び51を摺動させるとき、収納容器42及び52も一体的に摺動する。近年、冷却庫Rfは、下段冷凍室4及び野菜室5は大型であり、内部に物品を収納すると、各収納容器42及び52は重くなる。そのため、本発明の冷却庫Rfにおいて、下段冷凍室4及び野菜室5には、操作者が引出扉41及び51を開くとき、開動作を補助する補助機構が備えられている。
下段冷凍室4及び野菜室5は大きさ等が異なる以外、実質的に同じ構成を有しており、以下の説明では、両者を代表して下段冷凍室4を参照して説明する。図2は本発明にかかる冷却庫の下段冷凍室の概略配置図である。なお、図2において、右が冷却庫Rfの前面側(手前側)であり、左が背面側(奥側)である。
図2に示すように、下段冷凍室4は、貯蔵室40と、引出扉41と、収納容器42と、容器支持部43と、連結部と、固定レール45と、固定ローラ46と、移動ローラ47と、開方向付勢部6と、距離検知部7とを備えている。なお、上述の補助機構は開方向付勢部6と距離検知部7とを含んでいる。
図2に示すように、下段冷凍室4において、貯蔵室40は、冷却庫Rfの筐体の一部であり、内部は断熱体で形成されているとともに冷気が流入するダクト(不図示)を備えている。貯蔵室40は前面に物品を出し入れするための開口400が形成されており、引出扉41は開口400を開閉可能なように配置される。また、引出扉41も内部が断熱体で形成されており、貯蔵室40及び引出扉41で囲まれた下段冷凍室4の内部の空間への外部の熱の伝導を抑制している。
下段冷凍室4は、貯蔵室40の内部を引出扉41で密閉する構造を有しており、密閉することで貯蔵室40内部の冷気の外部への漏れを抑制する。引出扉41の背面側には、パッキン412が設けられている。パッキン412は引出扉41で開口400を閉じたとき、貯蔵室40の前面の開口400を囲む部分と接触するように設けられている。
パッキン412は、ゴム、シリコンゴム等の弾性変形可能な材料で形成されている。これにより、貯蔵室40の前面と引出扉41の背面とに多少のずれがあっても、パッキン412が弾性変形し、開口400の前面に密着する。パッキン412を備えていることで、引出扉41は貯蔵室40に対してずれている場合でも貯蔵室40の開口400を確実に閉鎖(密閉)する。また、パッキン412を設けていることで、引出扉41と貯蔵室40の前面との間の緩衝材としてももちいられるため、衝突による音、変形或いは破損等を抑制できる。
引出扉41が貯蔵室40に対し前方に移動することで、貯蔵室40の開口400が開状態になる。引出扉41の背面側には、引出扉41の移動方向に延びる容器支持部43が取り付けられている。容器支持部43は引出扉41の左右両端部に平行となるように取り付けられた一対の長尺部材である。容器支持部43は板金を曲げて形成された部材であり、前面側を折り曲げて構成した固定部432を備えている。そして、容器支持部43は、固定部432を引出扉41の背面にねじ止めすることで固定されている。なお、この固定は、ねじ止めに限定されるものではなく、引出扉41と容器支持部43とをしっかり固定できる方法を広く採用することができる。
また、一対の容器支持部43の後端部(引出扉41に固定されるのと反対側)を連結する連結部(不図示)が取り付けられている。連結部は、クランク状に形成された線材であり、両端部が一対の容器支持部43のそれぞれに回転可能に取り付けられている。容器支持部43及び連結部は、収納容器42を下方から支持する。
収納容器42は、上部に開口を有する箱体である。収納容器42は、左右の外面から外側に突出する係合凸部421を備えている。係合凸部421を容器支持部43の上部に係合させることで、収納容器42は容器支持部43に支持される。収納容器42の背面側(奥側)の外面が連結部と接触することで、容器支持部43が引出扉41とともに移動するときに、後にずれるのを抑制する。なお、係合凸部421を容器支持部43で支持するとき、容器支持部43の上部に収納容器42が移動しないように係合凸部421と係合する係合部を備えていてもよい。
下段冷凍室4では収納容器42が容器支持部43に支持されるとともに容器支持部43が引出扉41に固定される。そのため、下段冷凍室4において、収納容器42は引出扉41の移動とともに開口400から外部に排出され、或いは、貯蔵室40の内部に収納される。
容器支持部43は、収納容器42を支持すする以外にも、引出扉41及び収納容器42の移動をガイドするガイド部材としても用いられる。容器支持部43による引出扉41及び収納容器42の移動ガイドについて説明する。
容器支持部43は外側に突出した移動レール430を備えている。移動レール430は、容器支持部43の長手方向(前後方向)に延びる凸部材である。また、貯蔵室40の左右両側壁の内面には、内側に向かって突出した固定レール45を備えている。固定レール45は、引出扉42が開口400を開閉するときの容器支持部43が摺動する方向(前後方向)に沿って延びるように形成されている。
移動レール430及び固定レール45は、いずれも前後に延びる凸部材が上下に並んで形成されており、それぞれ、断面コの字形状を有している。そして、貯蔵室40の左右両側の内壁の前側に回転可能に設けられた固定ローラ46と、容器支持部43の後側端部の移動レール430が突出している面に回転可能に設けられている移動ローラ47とを備えている。
容器支持部43は収納容器42を支持した状態で、移動ローラ47が固定レール45と転動可能に嵌るとともに、固定ローラ46が移動レール430に転動可能に嵌るように貯蔵室40に配置される。これにより、固定ローラ46が移動レール430の上壁の下面と摺動し、移動ローラ47が固定レール45の下壁の上面又は上壁の下面と摺動することで、容器支持部43の前後方向の移動がガイドされる。なお、移動ローラ47は引出扉41の位置によって、換言すると、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43を含む全体の重心の位置によって、固定レール45と接触する部分が下壁か上壁か切り替わる。
例えば、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43の重心が固定ローラ46よりも後側にあるときは、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43が後下がりになり、移動ローラ47は固定レール45の下壁の上面と接触する。一方、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43の重心が固定ローラ46よりも前にあるときは、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43が前下がりになるため、移動ローラ47は固定レール45の上壁の下面と接触する。
また、移動レール430の上壁の前端には前方が上方に向かって傾斜した上方傾斜部431が形成されている。固定レール45の後端は後方が下がる下方傾斜部451が形成されている。固定ローラ46が上方傾斜部431と摺動するとき、移動ローラ47が下方傾斜部451と摺動するようになっている。上方傾斜部431及び下方傾斜部451によって、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43が奥まで移動した際に所定量(例えば、2.5mm)下がるようになっている。
引出扉41を後に移動させ、固定ローラ46が上方傾斜部431と摺動し、移動ローラ47が下方傾斜部451と摺動するとき、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43は自重により下方に移動とともに後方に移動し、引出扉41が開口400を閉鎖する。このときの、引出扉41の状態を閉鎖位置とする。このことから、下方傾斜部451及び上方傾斜部431とそれぞれ摺動する移動ローラ47及び固定ローラ46とが引出扉41(扉)が閉鎖位置から一定の範囲にあるとき、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43を閉方向に付勢する閉方向付勢部を構成する。
引出扉41、収納容器42及び容器支持部43が閉方向付勢部から閉方向に付勢されているとき、引出扉41の背面に設けられているパッキン412は、引出扉41と貯蔵室40の前面とにはさまれて圧縮された状態となっている。
また、固定レール45前端の上壁の下面には、下方に向かって突出したストッパ452が備えられている。ストッパ452は容器支持部43とともに前方に移動する移動ローラ47が接触するようになっている。移動ローラ47がストッパ452に接触することで、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43の前方への移動が制限される。
なお、本実施形態において、閉方向付勢部として、レールの傾斜と引出扉41、収納容器42及び容器支持部43の自重とを利用したものを採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、磁力を利用するもの、ばねとフックを利用したもの等を採用することも可能である。また、これらに限定するものではなく、引出扉41が閉鎖位置から一定の範囲内にあるときに引出扉41、収納容器42及び容器支持部43を閉方向に付勢するものを広く採用することができる。
次に、開方向付勢部6の詳細について図面を参照して説明する。図3は開方向付勢部の構成を示す図である。図1、図2に示すように、開方向付勢部6は下段冷凍室4の貯蔵室40の下壁の上面に配置されている。そして、開方向付勢部6は、後述する扉付勢部62で引出扉41の下部を押すように配置されている。すなわち、下段冷凍室4において、引出扉41では開方向付勢部6からの付勢力が引出扉41の下部の中央部分に作用することで、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43が開方向に移動する。
図3に示すように、開方向付勢部6は、モータ61、扉付勢部62及び動力伝達部63を備えている。モータ61は、電力が供給されることで、出力軸611を回転する回転電動機である。扉付勢部62は、前方向に移動するとき、引出扉401を押圧し、引出扉401及び収納容器402を開方向に押す部材である。扉付勢部62は、前後方向に摺動可能に設けられている。
動力伝達部63は、モータ61の出力軸611の動力(回転)を、扉付勢部62に伝達するものである。動力伝達部63は、ウォーム630、第1歯車631、第2歯車632、第3歯車633及びラックギア634を備えている。
ウォーム630は、モータ61の出力軸611に固定され、螺旋状の溝を備えたねじ歯車である。ウォーム630は出力軸611と一体的に回転する。第1歯車631はウォーム630と歯合することができるウォームホイールであり、ここでは、はすば歯車である。モータ61の出力軸611が回転することで、その動力(回転力)は、ウォーム630を介して第1歯車631に伝達され、第1歯車631は回転する。
第1歯車631と第2歯車632とは歯合しており、第1歯車631の回転が第2歯車632に伝達される。第2歯車632と第3歯車633とは同一軸を有するように一体的に回転する。ラックギア634は扉付勢部62の側面に設けられており、第3歯車633と歯合する。第3歯車633の回転力がラックギア634を介して、扉付勢部62の直線方向の力として伝達される。
開方向付勢部6では、モータ61から出力された動力(回転力)を、動力伝達部63を利用して、扉付勢部62の直線移動に変換している。モータ61の動力をウォーム630から第1歯車631に伝達するとき、回転速度は小さくなる(減速する)が、トルクは大きくなる(増幅される)。
第1歯車631から第2歯車632に動力が伝達する際にも回転速度が減速する。また、第2歯車632と一体的に回転する第3歯車633は、第2歯車632よりも回転半径が小さいため、同じ回転角であっても歯車外周の移動量が小さくなり、結果として減速する。したがって、動力伝達部63は、モータ61の回転を減速するとともに、動力を増幅して扉付勢部62に伝達している。すなわち、モータ61のトルクが小さくても、扉付勢部62は大きな力で引出扉41を押圧することが可能である。なお、開方向付勢部6として、動力の伝達に3個の歯車と、ウォーム、ラックギアを用いているものとしているが、これに限定されるものではなく、モータの動力で引出扉を開方向に移動させるように付勢できる構成のものを広く採用することが可能である。
次に、距離検知部7について図面を参照して説明する。図4は距離検知部の斜視図である。図4に示す距離検知部7は、対象物として手Hdまでの距離を検知している状態を示している。距離検知部7は、赤外光等の人体に対する悪影響がほとんどない光を対象物に向けて照射するとともに対象物で反射した赤外光を検出し、三角測距法で対象物までの距離の測定及び対象物までの距離の変動を検知する。なお、三角測距法は従来周知の技術であるため詳細な説明は省略する。
図4に示すように、距離検知部7は、基板70と、基板70に実装された測距センサ71及びドライバ72とを有している。測距センサ71は、距離を測定する対象物(手Hd)に向けて赤外光を照射する光照射部711と、対象物(手Hd)で反射した赤外光を受光する受光部712とを備えている。光照射部711は、赤外光を出射する光源(例えば、赤外LED、図示省略)を備えている。また、受光部712は、対象物(手Hd)で反射した赤外光を受光する受光素子(図示省略)を備えている。
光照射部711は、一定の時間間隔で断続的に赤外光を出射するような構成であってもよいし、連続して赤外光を出射し続ける構成であってもよい。
受光部712(受光素子)は対象物(手Hd)までの距離によって受光する光の位置が変化する。そのため、対象物(手Hd)までの距離によって信号が変化する。そして、受光部712は、受光した信号に基づく電圧信号をとしてドライバ72に送る。
ドライバ72は、測距センサ71を制御するための制御回路(不図示)を含んでいる。ドライバ72は測距センサ71に検知を行う指示を出しており、測距センサ71の受光部712からの電圧信号を受信している。
距離検知部7は、光照射部711の光照射方向及び受光部712の受光方向が前面であり、図1に示しているように、距離検知部7の前面が、引出扉21、31、41で隠れないように貯蔵室40の前面の壁面に埋め込まれている。なお、図4に示す距離検知部7は、基板70に測距センサ71及びドライバ72が露出した状態で実装された構成となっているが、実際には、外装ケースで囲まれていてもよい。また、貯蔵室40の前面の壁面に直接配置されたのち、異物等が混入しないように透明(赤外線に対する透光性を有する)カバーを取り付けるようにしてもよい。
このように、距離検知部7の正面と引出扉21、31、41とが重ならないように距離検知部7配置することで、引出扉21、31、41が閉じた状態でも、冷却庫Rfの前面対象物があること及びその対象物との距離を検知することができる。
次に、冷却庫Rfの電気的な構成について図面を参照して説明する。図5は本発明にかかる冷却庫の電気的な接続を示すブロック図である。なお、図5に示すブロック図には下段冷凍室4に関係する部分のみが記載されているが、実際には他の収納室に関する部分も含まれる。
冷却庫Rfは、制御部Contを備えており、制御部Contは、開方向付勢部6(のモータ61)、距離検知部7(のドライバ72)、計時部Tm、扉開検知部8、及び通知部9が接続されている。
距離検知部7のドライバ72は、測距センサ71から送られてきた電圧信号に基づいて生成した測距信号を制御部Contに送信する。測距信号は、電圧信号に基づき、受光部712で取得した電圧値及びその測定時刻を含む信号であり、ドライバ72は一定時間ごとに測定信号を生成し制御部Contに送信する。なお、測距信号の送信の間隔は、受光部712で反射光を受光したタイミングであってもよいし、別途ドライバ72が決めたタイミングであってもよい。
制御部Contは、測距信号を受信することで、距離検知部7と対象物(手Hd)との距離値を得ることができる。なお、ドライバ72が電圧信号に基づいて距離値を算出し、測距信号として距離値を含む信号としてもよい。そして、制御部Contは、測距信号から得た距離値と測定時刻を関連付けた測距データを時系列に記憶している。さらに制御部Contは、測距データを時系列に比較することで、対象物の距離の増加又は減少或いは増加と減少の切り替わりを検出し、対象物(手Hd)が接近しているか、離間しているか或いは停止しているかを判断する。
制御部Contは、CPU、MPU等の演算回路を備えた構成となっている。制御部Contは、距離検知部7からの測距信号の入力及び扉開検知部8からの扉開信号の入力を受け付けており、これらの信号に基づいて引出扉41の位置、開方向付勢部6の動作を制御する。制御部Contには、計時部Tmが接続されており、計時部Tmは、一定の時間経過を計測するタイマー回路を備えている。制御部Contは、各制御動作の開始からの時間、検知信号を取得してからの時間等の時間を計時部Tmから取得している。
扉開検知部8は、引出扉41(のパッキン412)と貯蔵室40の前面との間に隙間が開いている(扉が開いている)ことを検知する検知部である。扉開検知部8はパッキン412が貯蔵室40から離れたときの引出扉41(又は収納容器42或いは容器支持部43)の位置(以下の説明では扉開位置とする)を検知するような構成を有している。
扉開検知部8は、例えば、ホールセンサ等のセンサを備えており、引出扉41が貯蔵室40の前面から一定距離以上離れていることを検知する。そして、扉開検知部8は、引出扉41と貯蔵室40の前面とが離れていること(扉が開いていること)を検知すると、扉開信号を制御部Contに送る。
通知部9は、第1LED91、第2LED92、警告用LED93及びブザー94を備えている。第1LED91は、ここでは、赤色の光を出射するLEDチップを備えており、点灯用のドライバ回路を内蔵している。第2LED92は、第1LED91と異なる色(ここでは、青)の光を出射するLEDチップを備えており、点灯用のドライバ回路を内蔵している。
警告用LED93は、引出扉41が確実に閉じていないことを知らせるための警報装置である。警告用LED93は、警告を行うものであるため、赤色の光を出射するLEDチップを備えている。また、警告用LED93は冷却庫Rfから離れている操作者に通報することができる構成であることが好ましく、第1LED91よりも高輝度なLEDチップ或いは多数のLEDチップを備えた構成となっている。警告用LED93もLEDチップの駆動を制御するためのドライバ回路を内蔵している。
ブザー94は、操作者に何らかの警告、注意喚起等を音声にて行うものである。ブザー94は制御部Contからの指示に従って、警告音又は注意を喚起する音等を発声するものである。なお、警告音と注意を喚起する音等はそれぞれ異なる旋律又はリズムのものであってもよいし、同じものであってもよい。また、言葉を発声するのであってもよい。
通知部9は、制御部Contと接続されており、制御部Contからの信号に基づいて、第1LED91の連続点灯(後述する第1通知)、点滅(後述する第2通知)、第2LED92の連続点灯(後述する第3通知)を行う。また、通知部9は、制御部Contからの信号に基づいて、警告用LED93を点灯(操作者に認識させるためには、点滅が好ましい)させるとともにブザー94から警告音を発声する。
なお、本実施形態の通報部9では、第1LED91、第2LED92及び警告用LED93の3種のLEDを備えたものとしているが、これに限定されない。例えば、同じ色の光を出射する第1LED91と警告用LED93とをまとめてもよいし、全てのLEDをまとめ、発光のパターンの変化(例えば、点滅の速度の変化)でそれぞれ異なる状態を通知するようにしてもよい。
さらには、通知部として、引出扉41の正面に取り付けられたLEDとしているが、これに限定されるものではなく、液晶パネル等のような表示装置を利用してもよい。また、通知部9は、引出扉41の動作について通知するものであるが、必ずしも引出扉41に設けられていなくてもよく、例えば、冷却庫Rfの中で目につきやすいヒンジ扉11又は12に設けられていてもよい
また、ブザー94も、下段冷凍室4の引出扉41に取り付けられたものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、冷却庫Rf全体で1個取り付けられる構成であって、ヒンジ扉11又は12や冷却庫Rfの本体(扉ではない部分)に取り付けられていてもよい。
以上に示した本発明にかかる冷却庫Rfでは、操作者が手を振る(指を下方に曲げる)いわゆる、手招き動作を行うことで、その動作を検知して引出扉41を開く。この手招きの動作は、距離検知部7で検知している。以下に、距離検知部7による手招き動作の検知について図面を参照して説明する。図6は距離検知部が手招きの動作を検知している状態を示す概略図であり、図7は図6に示す手招き動作を行っているときの距離検知部の検知状態を示す図である。
図6は、貯蔵室40の正面に向けて手Hdを接近させ、距離検知部7で検知可能な位置まで手Hdが移動したときに手招き動作を行う場合を示している。なお、冷却庫Rfにおいて、距離検知部7(すなわち、貯蔵室40の前面)から対象物(手Hd)までの距離は、距離検知部7からの測距信号から制御部Contが算出している。以下の説明で、便宜上、距離検知部7が距離を検知したと説明した場合、距離検知部7からの測距信号に基づいて制御部Contが距離を算出したものと同じであるとする。
通常、冷却庫の引出扉41を開く場合、操作者は冷却庫Rfの前面と向い合せになり、手Hdを把持部411に接近させるとともに把持部411を引っ張って引出扉41を引き出す。本発明の冷却庫Rfでも同様に操作者は、手Hdを距離検知部7の前面から接近させた後、距離検知部7で距離を検知可能な範囲に入った手Hdを手招き動作するものとして説明する。
図6は手Hdの接近及び手招き動作を行うときの手Hdの指の動きを表しており、貯蔵室40の前面に対する距離によって手Hdの位置P0〜P4としているが実際には、連続して動く。
先ず、手招き動作について説明する。図6に示すように、操作者が手Hdで手招き動作を行う場合、持ち上げた位置(P2、P4等)と、指を折り曲げた位置(P3)との間で指を往復させる。例えば、図6の位置P2に手Hdの指がある場合、距離検知部7は手Hdの最も近い部分を検知する。そして、距離検知部7は距離検知部7から距離L2に手Hdがあると検知する。また、指を折り曲げた位置P3に移動させると、指は距離検知部7から遠ざかり、位置P3に移動したとき距離検知部7は距離L3に手Hdがあると検知する。
さらに詳しく説明すると、図6に示すように、手Hdが位置P0に到達したとき(図7でS0のとき)、距離検知部7は手Hdの距離を検知できるようになる。すなわち、距離検知部7から距離値を算出可能な測距信号が制御部Contに出力される。
その後、手Hdが距離検知部7の検知可能範囲内を距離検知部7に向けて接近し、図6の位置P2まで移動したとする。このとき、制御部Contは、手Hdの距離が短くなっている、すなわち、制御部Contは、手Hdの距離が徐々に減少していることを認識している。なお、距離の減少は、手Hdが位置P2(距離L2)に到達するまで続く。
そして、手Hdが位置P2に到達した後、指を折り曲げて、手招きの動作を開始する場合、手Hdの指が距離検知部7から離間するので、手Hdまでの距離が大きくなる。つまり、制御部Contは、この間距離を測定しているので、位置P2で手Hdまでの距離の減少が増加に切り替わったことを認識する。なお、距離の増加は、手Hdの指が位置P3に到達するまで続く。
手Hdが距離検知部7からの距離が測定可能な距離Lfよりも近づいた(測定可能範囲に入った)後、制御部Contは、距離検知部7からの測距信号に基づいて、距離検知部7(貯蔵室40の前面)から手Hdまでの距離(最短距離)を取得している。そして、制御部Contは、一定時間ごとに距離のデータを取得しており、取得した距離値と取得した時間とを関連付けたデータ(測距データ)を保管している。この測距データを整理すると図7に示すグラフのようになる。
図7は縦軸を距離検知部7が検知した手Hdの(貯蔵室41の前面からの)距離とし、横軸を時間としている。なお、距離検知部7から制御部Contに送られる測距信号は、電圧信号であり、対象物を検知していないときは0V、対象物が近づくほど大きい電圧の信号となるものであり、縦軸を電圧とした場合、概ね図7のグラフと逆の形状となるとする。操作者が手Hdで手招き操作を行う場合、距離検知部7が検知する手Hdとの間の距離は、図7に示すように変化する。以下に、図7のグラフについて詳しく説明する。
図7に示すように、手Hdが位置P0に到達した時刻S0として測距開始とする。制御部Contは、時刻S0で手Hdが距離検知部7で測距可能な範囲に入ったこと、つまり、距離Lfよりも貯蔵室40に接近したことを検知する。上述したように、手Hdが位置P0から位置P2(距離L2の位置)に到達するまで、距離検知部7から手Hdの距離は短くなる。図7に示すようにグラフは、位置P0(時刻S0)から位置P2(時刻S2)まで右下がりになる。
そして、位置P2で手Hdの移動を一旦停止させ、指を折り曲げて手招き動作を開始するため、手Hdまでの距離は伸びる。図7に示すように、位置P2(時刻S2)から時間の経過とともに距離が延びるため、グラフは右上がりになる。図7に示すように、グラフは時刻S2で傾きの方向が切り替わっている。すなわち、制御部Contは、時刻S2で手Hdの距離が減少から増加に切り替わっている(増減の方向が切り替わっている)ことを検知している。
その後、指を折り曲げていき、手Hdの指が位置P3に到達したとき(時刻S3)、指は、距離検知部7側に接近するように移動する。図7に示すグラフは、時刻S2から時刻S3までは、右上がりであり、時刻S3を経過した後右下がりになっている。すなわち、制御部Contは、時刻S3(位置P3)で手Hdの指の距離が増加から減少に切り替わっていることを検知する。このように、手Hdの指が距離検知部7に接近する(指が延びる)とき、グラフは右下がりになり、指が距離検知部7から離間する(指が曲がる)とき、グラフは右上がりになる。
そして、制御部Contは、手Hdの指の距離が増加から減少に又は減少から増加に切り替わったこと(切り替わった時刻)を認識することで、手Hdの指が延びた状態と曲がった状態とを繰り返す手招き動作を検知することができる。例えば、制御部Contは、図7に示すように、時刻S2で手Hdの距離が減少から増加に切り替わることで、手Hdの指の最初の折り曲げ動作があった(1回目の手招き動作が行われた)と判断する。そして、時刻S3で手Hdの距離が減少から増加に切り替わったことで、手Hdの距離の減少を検知することで次の手招き動作のために指を伸ばしたと判断する(2回目の手招き動作が行われると判断する)。
このように、制御部Contは、手Hdの指の距離の変化を検知することで、手Hdの手招き動作が行われたか否かはんだんする。なお、以上の説明において、理解を容易にするため、距離と時間とを関連付けたグラフ(図7)を用いたが、実際に制御部Contは、グラフを作成するものではなく、保存している測距データを比較することで、手Hdの距離の増減の方向の変化を検知する。また、以下の説明においても同様の図を用いている。
また、実際の操作者は腕全体或いは体全体を動かして手招き動作を行う場合がある。この場合、手首やひじの動き等が加わり、指が複雑な動きになるが、制御部Contは距離の変化で判断しているため、同様の方法で手招き動作が行われたか否か判断することが可能である。また、手首やひじの動きが大きすぎて、手招き動作を検知できない場合もあるが、その場合、引出扉41の開動作が行われないので、操作者の想定とは異なる開動作によって、接触等の不具合が発生するのを抑制することができる。
冷却庫Rfでは、距離検知部7自体の誤差や取り付け時の誤差によって、検知可能な範囲がばらつく場合がある。このようなばらつきが発生した場合でも、一定の精度で手Hdの手招き動作の有無を判断するため、制御部Contは、距離Lfよりも短い距離L1(図6のポジションP1)を設定し、距離Lnから距離L1の間で手招き動作が行われたときに手招き動作を判断するようにしている。つまり、制御部Contは、測距データに基づいて手Hdの距離が距離Lnから距離L1の間にあるときだけ、手招き動作が有るかないか判断する。また、制御部Contは、測距データに基づいて距離検知部7から手Hdまでの距離値が距離L1よりも大きい状態で距離の変動を確認しても手招きとは判断しない。
本発明にかかる冷却庫Rfでは、対象物との距離を測定する距離検知部7で対象物の動作(距離の変化)を検知し、その距離の変化から、距離を検知している対象物が手招き動作を検知したものか、それ以外のものか判断している。そのため、冷却庫Rfは少なくとも2回の手招き動作を検知したときに、引出扉41を開方向に付勢する(開動作を行う)ようになっている。以下に冷却庫Rfにおいて、手招き動作の検知から引出扉41が開くまでの動作について説明する。図8は手招き動作によって引出扉が開く手順を示したフローチャートである。なお、手Hdは、図6及び図7に示すように動かされるものとしている。
距離Lfよりも接近した対象物(手Hdを含む)がない場合、反射光が入射されないため、距離検知部7から制御部Contに送られる測距信号の電圧値は0V(或いは、閾値以下)である。このとき、制御部Contは測距信号に基づいた距離値から、対象物までの距離を検知できない、すなわち、検知可能範囲内に対象物がないと判断する。
そして、図6の位置P0に手Hdが移動し、手Hdの指の先端が距離Lfに到達した時点(図7でS0時点)で、制御部Contは、距離検知部7の前面に接近する手Hd(或いは、その他の物品)を検知する。
操作者が手Hdを更に距離検知部7に接近させると、制御部Contは、手Hdが接近していることを検知する。制御部Contは、測距データから手Hdが距離L1(図6のポジションP1)の範囲内にあるか否か判断する(ステップS101)。手Hdが距離L1の範囲内にないとき(ステップS101でNoの場合)、通知部9の第1LED91が点灯又は点滅している場合は第1LED91を消灯し(ステップS102)、ステップS101に戻る。なお、第1LED91が点灯又は点滅していないときは消灯のステップは省略しステップS101に戻る。また、ステップS102は、通知部9の動作をリセットするものであり、第1LED91、第2LED92、警告用LED93の消灯及びブザー94の鳴動停止も含まれる。
手Hdが距離L1の範囲内にあると判断した場合(ステップS101でYesの場合)、制御部Contは、第1状態になったと判断し第1LED91の連続点灯(第1通知)を行う(ステップS103)。冷却庫Rfでは、図7のS1の時点で第1状態になっており、第1通知(第1LED91:赤色LEDの連続点灯)を行う。通知部9を利用して第1通知を行うことで、操作者は手Hdが手招き動作を検知できる位置にあることを認識できる。これにより、操作者が手Hdの手招き動作を正確に検知できる位置で手招き動作を行うため、距離検知部7で正確に手招き動作を検知することが可能であるとともに、操作者の無駄な動作(検知できない動作)を低減することができる。
制御部Contは、距離検知部7からの測距信号から距離値を得ているだけであり、測距中の対象物が手であるか否かは直接判断できないが、手招き動作を行っている場合には、手Hdの指が距離検知部7に対して短い距離の間で接近と離間を繰り返すので、距離L1内で離間が行われたとき、制御部Contはその測定対象物が手Hdで手招きを行う可能性があると判断する。
制御部Contは、距離検知部7から一定時間ごとに測距信号を受信しており、測距データから対象物(手Hd)が離間動作(例えば、図7の時刻S2から時刻S3への動作)しているか否か確認する(ステップS104)。対象物(手Hd)の動きが離間していない場合(ステップS104でNoの場合)、制御部Contは測距データから手Hdが距離Lnより近づいたか否か確認する(ステップS105)。手Hdが距離Lnよりも近づいていない場合(ステップS105でNoの場合)、制御部Contは、測距データから対象物(手Hd)が距離L1の範囲内にあるかの判断(ステップS101)に戻る。
対象物(手Hd)が距離Lnよりも近づいたと判断した場合(ステップS105でYesの場合)、制御部Contは、操作者は手招き動作で引出扉41を開けようとしているわけではないと判断し、第1LED91を消灯する(ステップS1051)。そして、手招き動作による引出扉41の開操作は終了する。なお、終了せず、通知部のリセットを行った後、対象物が距離L1の範囲内にあるかの判断(ステップS101)に戻ってもよい。このように、手Hdが距離Lnより近づいたことを検知することで、操作者が開方向付勢部6の駆動を必要せずに引出扉41の開閉を行うときや、扉の操作部を操作するときに邪魔にならない。
一方、対象物(手Hd)が離間動作していると確認した場合(ステップS104でYesの場合)、制御部Contは、手Hdが手招き動作を行う可能性があると判断し、第2状態になったと判断する。そして、制御部Contは第2状態になったとき(図7でS2になったとき)、第1LED91を連続点灯(第1通知)から点滅(第2通知)に切り替える(ステップS106)。
制御部Contは、対象物が手Hdで手招き動作に入った可能性があると判断しているが、距離検知部7は操作者の手Hdを認識しているものではなく、何らかの物体との距離を検知しているだけである。例えば、ペットや人が貯蔵庫40の前面に接近しその後離間する場合、制御部Contはペットや人の接近及び離間と手Hdの接近及び離間は同じ測距データになる場合がある。
しかしながら、ペットや人が通過するだけの場合、一旦接近してもすぐに距離L1の範囲内から外れてしまうのに対して、操作者の手Hdが手招き動作している場合、手Hdは距離L1の範囲内から外れないと考えられる。そのため、制御部Contは、距離検知部7が距離を検知している対象物が距離L1の範囲内にあるか否か確認する(ステップS107)。距離L1の範囲にない場合(ステップS107でNoの場合)、制御部Contはこれまで距離検知部7が検知していた対象物が手招き動作を行う操作者の手Hdではないと判断する。そして、制御部ContはステップS102に戻り、第1LED91を消灯する。
例えば、冷却庫Rfの前に人が立ったり、荷物が置かれたりした場合、距離検知部7は距離L1の範囲内に対象物を検知するが、手招き動作を行う手Hdではない。そのため、対象物が距離L1の範囲内にある場合(ステップS107でYesの場合)であっても、手招き動作でない場合もある。一方、手招き動作の場合、手Hdの指を素早く曲げ伸ばしを繰り返すものであるため、所定の時間内に接近と離間を繰り返す。このことを利用して、制御部Contは、一定時間t1経過するまでに接近離間が繰り返されるか否かで、手招き動作を行う手Hdか他の物体かを判断する。
すなわち、制御部Contは、第2状態になったときから一定時間t1経過するまでに物体の接近(最接近)があったとき、つまり、図7で時刻S2から一定時間t1経過するまでに時刻S3に示すように位置検知部7による検知量の変化の方向が変化したとき、制御部Contは手招き動作があったと判断する。
そのため、制御部Contは、第2状態になったとき(ステップS106:図7で時刻S2)に計時部Tmで時間の計測を開始する。そして、制御部Contは、第2状態になったときからの時間が予め決めた時間t1経過したか否か確認する(ステップS108)。予め決めた時間t1経過した場合(ステップS108でYesの場合)、制御部Contは、距離検知部7が検知している物体が手招き動作を行っている手Hdではないと判断し、第1LED91を消灯する(ステップS102)。
また、第2状態になったときから時間t1経過していない場合(ステップS108でNoの場合)、制御部Contは、測距データに基づいて対象物(手Hd)が接近しているか否か確認する(ステップS109)。接近が検知できない場合(ステップS109でNoの場合)、制御部Contは対象物が距離L1の範囲内にあるか否かの確認(ステップS107)に戻る。
対象物(手Hd)が接近していることを検知した場合(ステップS109でYesの場合)、制御部Contは対象物が手Hdであり、2回目の手招き動作に入ったと判断する。このとき、制御部Contは第3状態になったと判断し、第1LED91を消灯するとともに、第2LED92(青色LED)を点灯させる第3通知をおこなう(ステップS110)。
制御部Contは第3状態になったとき、手Hdが2回目の手招き動作に入ったと判断し、開方向付勢部6に指示を送り、引出扉41を開方向に付勢する開動作を行う(ステップS111)。そして、開動作が行われると同時に、制御部Contは第2LED92を消灯する(ステップS112)。このような動作を行うことで、冷却庫Rf(制御部Cont)は、操作者の手招き動作を確実に検知し、その手招き動作と連動するように引出扉41を開くことができる。
ステップS112の後、引出扉41は開状態になっている。そして、引出扉41が開状態になっているとき、扉開検知部8は引出扉41が開状態である開扉信号を制御部Contに送信している。引出扉41が開放された状態で放置されると、貯蔵室40内部の物品の温度が上昇し、物品が溶けたり、劣化したりしやすくなる。そのため、冷却庫Rfでは、引出扉Rfでは、引出扉41が一定時間開状態であったとき、操作者に対して警告を行うようになっている。
そのため、制御部Contは、計時部Tmから時間情報を取得し、扉開検知部8から開扉信号を受信したときから時間t3経過したか否かを確認する(ステップS113)。時間t3が経過している場合(ステップS113でYesの場合)、制御部Contは、警告用LED93を点滅させるとともにブザー94を鳴動させて操作者に対して警告を行う(ステップS114)。
時間t3が経過していない場合(ステップS113でNoの場合)又は警告を行った後(ステップS114の後)、制御部Contは、扉開検知部8からの開扉信号を確認し引出扉41が閉じられたか否か確認する(ステップS115)。なお、扉開検知部8が開扉信号を、引出扉41が閉じているときは出力されず、開いたときだけ出力される構成であってもよく、その場合、制御部Contは、開扉信号を受信しているときだけ引出扉41が開いていると判断する。また、扉開検知部8が引出扉41の開閉状態によって異なる開扉信号を常に出力しておき、制御部Contはその信号に基づいて引出扉41が閉じているか否か判断してもよい。
引出扉41が閉じていない場合(ステップS115でNoの場合)、制御部Contは引出扉41が開状態になってから時間t3経過したかの確認(ステップS113)に戻る。また、引出扉41が閉じられた場合(ステップS115でYesの場合)、警告用LED93を消灯しブザー94の鳴動を停止する(ステップS102)。
なお、扉開検知部8が、引出扉41が開扉していると判断している間は、図8に示すフローチャートを実行しないようにしてもよい。これにより、操作者が手動で引出扉41を開けた場合など、図8のフローチャートに沿わずに引出扉41が開いた場合であっても、開方向付勢部6が予期しない動作をしてしまうことを防止できる。
以上のようにして、冷却庫Rfでは、手招きという操作者にとって直感的に理解しやすく、また、簡単な動作で引出扉41を開くことができるので、操作者が違和感を覚えたり、開く引出扉41と接触して負傷してしまったりするのを抑制することができる。また、2回の手招き動作を確認して、引出扉41を開動作するため、手招き動作以外(例えば、ペットや人の通過等)で誤って引出扉41が開かれることを抑制することができる。これにより、意図していない引出扉41の開放を抑制し、内部の温度が上昇して劣化したり、無駄に電力を消費するのを抑制することができる。さらに、意図しない引出扉41の開動作で操作者又は近くにいる人或いは近くに配置されている物品と接触して、怪我や不快感或いは物品の破損等が発生するのを抑制することができる。
これにより、本発明にかかる冷却庫Rfは操作者が手Hdの手招き動作と引出扉41の開動作のずれや、手Hdと引出扉41との接触を抑制し、安全で違和感の少ない開動作補助を行うことができる。
また、上述の実施形態では、第3状態になったときに(すぐに)、開方向付勢部6を動作させ引出扉41を開く構成となっているが、安全性を考慮して、第3通知を行って一定時間経過した後、開方向付勢部6を動作させるようにしてもよい。なお、第3通知を行った後の開方向付勢部6の動作については、以下の実施形態でも同様の動作としてもよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、制御部Contは、測距データに基づいて対象物までの距離値を取得し、距離の変化を検知して、検知している対象物が手招き動作であるか否か判断していた。さらに詳しく説明すると、制御部Contは、対象物(手Hd)の距離L1の範囲内への接近を検知した後、距離の増大、さらにその後の距離の減少を確認すると手Hdが2回以上手招き動作を行ったと判断していた。
本実施形態では、さらに、2回目の手招き動作が行われたことを正確に検知(判断)するように、制御部Contを動作させている。本実施形態の冷却庫Rfの制御部Contの動作について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる制御部が手招き動作を行っているときの距離検知部の検知状態を示す図であり、図10は図9に示す検知状態のときのフローチャートである。図9は、第2状態になるまでは、図7と同じであるため、詳細な説明は省略する。また、手Hdの動きは図6に示すものと同じであるため、図6を参照して説明する。また、図10のフローチャートは、ステップS109とステップS110の間にステップS201及びステップS202とを含む以外は、図8と同じであり実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、手招き動作がゆっくりの場合、手Hdの指が最も曲がった状態(位置P3、時刻S3)から指を伸ばして、最も伸びた状態(位置P4、時刻S4)に到達するまでに引出扉41の開動作が開始される。つまり、手招き動作のうち、手Hdの指を引出扉41に接近させているときに、引出扉41が開動作を開始する場合がありえる。この場合、使用者にとっては手Hdの動作と引出扉41の開動作との方向が逆になり、少しではあるが、違和感を覚える場合がある。
このような、違和感を抑制するため、本実施形態において、制御部Contは、第2状態で手Hdの指が接近した後(位置P3、時刻S3の後)、離間されたとき(位置P4、時刻S4)に第3状態にと判断するようにしている。
本実施形態にかかる冷却庫Rfでは、第1実施形態と同じ条件で第2状態になる。そして、対象物(手Hd)が距離L1の範囲にあるか確認し(ステップS107)、一定t1時間の間に(ステップS108)、対象物(手Hd)が接近しているか否か確認する(ステップS109)。接近を検知しない場合は、ステップS107から繰り返す。
対象物(手Hd)の接近を検知した場合(ステップS109でYesの場合)、制御部Contは、第2状態になってから一定t1経過したか否か確認する(ステップS201)。なお、本実施形態の一定時間は第1実施形態の予め決められた時間t1と同じであってもよいし、第1実施形態の時間t1と異なってもよい。
一定時間t1経過した場合(ステップS201でYesの場合)、距離を検知していた対象物が手招き動作を行う手Hdではないと判断し、第1LED91を消灯する(ステップS102)。一定時間t1が経過していない場合(ステップS201でNoの場合)、制御部Contは、測距データに基づいて対象物(手Hd)が離間しているか否か判断する(ステップS202)。手Hdの手招き動作では、図9に示すように、第2状態で最も曲げたとき(位置P3、時刻S3)から指を伸ばして位置P4(時刻S4)に到達したとき、最も距離が短くなる。そして、時刻S4から再度指を折り曲げるため、時刻S4で手Hdの指の距離が離間する。時刻S4の後、離間を検出した場合(ステップS202でYesの場合)、制御部Contは対象物が確実に手招きを行っている手Hdであると判断する。そして、制御部Contは、第3状態になったと判断し、第2通知を終了して第3通知を行う(ステップS110)。以降、第1実施形態と同じである。
第2状態で手Hdの指が離間したタイミングで第3状態になったと判断することで、制御部Contは2回目の手招き動作をより確実に判断することができる。また、第3状態になったとき、手Hdの指が貯蔵室40から離れる方向に移動しているため、引出扉41の開方向の移動と指の移動の方向が同じになっている。すなわち、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43の開方向の移動と手Hdの指の動きとが同じであるため、操作者が違和感を覚えにくい。また、手Hdの指が遠ざかるときに引出扉41が開方向に移動するため、手Hdと引出扉41とが接触しにくく、操作者が怪我したりや不快感を覚えたりしにくい。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
本発明にかかる冷却庫Rfにおいて、制御部Contは第2状態になったときに1回目の手招き動作が行われたと判断し、第3状態になったときに2回目の手招き動作が行われたと判断している。第1実施形態及び第2実施形態では、測距データに基づいて得られた手Hdまでの距離が変化する方向(増加から減少又は減少から増加)の切り替わり部分を第2状態又は第3状態に切り替わるタイミングとしている。
距離検知部7の測距センサ71の精度やばらつき等で、手Hdの動きが遅い場合等、接近している又は離間しているにもかかわらず、距離が変化する方向が入れ替わる場合もある。この場合、制御部Contは距離が変化する方向の切り替わりの位置を正確に測定することが難しい場合もある。そこで、本実施形態では、測距センサ71の精度や手Hdの動きにかかわらず、制御部Contが精度よく手招き動作を認識できるような判断方法を採用している。図11は本発明にかかる制御部が手招き動作を行っているときの距離検知部の検知状態を示す図であり、図12は図11の手招き動作を行ったときのフローチャートである。手Hdの動きは図6に示すものと同じであるため、図6を参照して説明する。
本発明にかかる冷却庫Rfでは、第1実施形態と同じ条件で(ステップS101でYesのとき)第1状態になる(ステップS103)。そして、制御部Contは、対象物(手Hd)が離間しているか否か判断する(ステップS104)。離間していない場合(ステップS104でNoの場合)、第1実施形態と同じである。
手Hdの指が位置P2(図6参照)に到達したとき(時刻S2)、操作者は手Hdの指を曲げはじめる。操作者の指の動かし方(速度や方向)や距離検知部7の精度等で距離の変化をすぐに検知するのが難しい場合がある。そこで、制御部Contは、時刻S2で距離の変化が停止した(或いは、切り替わった)ことを確認した(ステップS104でYesの)後、予め決められた時間(ここでは、時間t2)経過したか確認する(ステップS301)。
制御部Contは、時間t2経過していない場合(ステップS301でNoの場合)、離間しているか否かの確認に戻る(ステップS104)。時間t2経過する間、離間していると判断した場合(ステップS301でYesの場合)、制御部Contは、手Hdの指が確実に離間していると判断し、その時点(時刻S21)で第2状態になったと判断する。
例えば、図11に示すように、手Hdが位置P2に到達したことを制御部Contが検知した後(時刻S2の後)、時間t2が経過した時刻S21までの間、手Hdの指の距離の増加を検知している場合、時刻S21で第1状態から第2状態に切り替わったと判断する。
このように判断することで、手招き動作の途中で手Hdを停止したり、距離検知部7の誤差によって距離の増減を正確に検知できない場合でも、制御部Contは、その距離の増加が手招き動作の主な動作によるものかどうか確実に判断することができる。これにより、誤判断を減らすことができ、操作者の意思により正確に合わせて引出扉41を開くことができる。
なお、以上の説明では、距離の変化を検知してから予め決められた時間t2経過するまで、距離の増加を継続して検知するとしているが、距離の変化を検知した時点(時刻S2)の距離と、それから予め決められた時間t2経過した時点(時刻S21)との差分のデータによって、距離の増加を検知してもよい。
また、距離の増加の検知を時間ではなく距離で行ってもよい。すなわち、図11に示すように、距離の変化の方向が切り替わった位置(距離L2の位置)から、予め決められた距離増加した位置(距離L21の位置)に到達したことを確認したときに、制御部Contは、手Hdの指が折曲方向に移動していると判断し、第2状態になるようにしてもよい。なお、制御部Contが、距離の変化の方向が切り替わった後、距離L21と距離L2との差分が一定の長さになったときに、第2状態になるものを挙げることができる。
また、上述では、第1状態から第2状態に切り替わるときについて説明しているが、第2状態から第3状態に切り替わるときも、同様に行うことが可能である。図13は制御部が第2状態から第3状態への切り替わりを判断するときを示す図である。図13に示すように、距離変化の方向が増加から減少に変わってから一定の時間(時刻S3から時刻S31まで)減少が継続した又は距離が一定長さ減少した(距離L3からL31に移動した)ことを検知したとき、第3状態に切り替わるようにしてもよい。
さらに、第2実施形態のように、第2状態から第3状態に切り替わるとき、2回目の離間を認識したときとしている場合にも同様に行うことが可能である。図14は制御部が第2状態から第3状態への切り替わりを判断するときを示す図である。図14に示すように、手Hdの距離の増加を検知したとき(時刻S2)、第2状態に切り替わる。そして、再度手Hdの距離の減少及び増加が行われ再度増加を検知した後(時刻S4)、一定時間経過したとき(時刻S41)に第3状態に切り替わる。 また、同様に、手Hdの指までの距離L4から一定長さ増加した(距離L4からL41に移動した)ことを検知したとき、第3状態に切り替わるようにしてもよい。
このように、距離の変化(増加又は減少)の方向が切り替わった後、予め決めた時間又は距離移動した後に、第1状態から第2状態に、第2状態から第3状態に切り替えることで、制御部Contが手招き動作を正確に認識することができる。
これ以外の点については、第1実施形態及び第2実施形態と同じである。
(第4実施形態)
本発明にかかる冷却庫の他の例について図面を参照して説明する。図15は距離検知部が手招きの動作を検知している状態を示す概略図であり、図16は図15に示す手招き動作を行っているときの距離検知部の検知状態を示す図である。図15及び図16は、距離検知部7で検知可能な位置まで手Hdが移動したときに手招き動作を行う場合を示している。なお、冷却庫Rfにおいて、距離検知部7(すなわち、貯蔵室40の前面)から対象物(手Hd)までの距離は、距離検知部7からの測距信号から制御部Contが算出している。図15では、手Hdが距離検知部7の測定可能範囲(距離Lfの範囲内)に入った場合、手招き動作の検知を行うようにしている。
距離検知部7の光照射部711は、照射する光として赤外LEDを利用している。赤外LEDは点光源であるため、赤外光の照射領域は赤外LEDを頂点とした円錐形である。そして、赤外光が対象物(手Hd)に照射され、その反射光を受光部712で受光することで距離(距離の変化)を検知している。
手招き動作を行う場合、手Hdの指を伸ばした状態で引出扉41に接近させ、その後、手招き動作を行う場合がある。例えば、図15に示すように、操作者が指を伸ばした状態(位置P01の状態)で距離検知部7に接近させると、手Hdの先端部が距離検知部7の距離検知が可能な距離よりも近づいても、距離検知ができない場合がある。本実施形態の冷却庫Rfの制御部Contは、手Hdの指を伸ばして接近させることで、接近の検知が困難な場合でも、手Hdの手招き動作を正確に検知するようになっている。以下に具体的な手招き動作の検知について説明する。
図15に示すように、手Hdを最も距離検知部7に接近させた位置P02まで移動させても、手Hdは赤外光の照射範囲に入っていないので、距離検知部7は手Hdを検知しない。そのため、制御部Contは、測距データを取得できない。そして、手Hdが位置P02に到達した後、操作者が手Hdの指を折り曲げて手招き動作を行うと、指が赤外光の照射範囲に入る(位置P03、時刻S01)。指が位置P03に移動したときに、距離検知部7による距離の検知が開始される。この後、制御部Contは測距信号から測距データを取得できる。
そして、操作者の手招き動作では、手Hdの指が位置P03(時刻S01)から位置P04(時刻S02)に折曲移動する。図15に示すように、手Hdの指が位置P03から位置P04に移動する間(時刻S01から時刻So2の間)は、指が赤外光の照射範囲内に入っている。そのため、制御部Contは、測距データを取得可能であり、手Hdの距離の変化を検知することができる。すなわち、時刻S01から時刻S02に到達するまで、制御部Contは、測距データに基づいて、手Hdの指の離間(距離の増加)を検知する。
そして、手Hdの指が位置P04に到達すると(時刻S02)、操作者は、再度指をまっすぐ伸ばす方向(位置P03の方向)に移動させる。このとき、制御部Contは、測距データに基づいて手Hdの指が接近している(距離が短くなっている)ことを検知する。
そして、手Hdの指が伸ばされ、位置P03を超えると(時刻S03)、手Hdの指が赤外光の照射位置から外れる。このとき、図16に示しているように、制御部Contは、測距データを得ることができなくなる。そして、手Hdの指が位置P02に到達した後、再度、指は位置P04に向けて折り曲げられる。手Hdの指が位置P03に到達したとき(時刻S04)、制御部Contは、測距データを取得可能となり、手Hdの指の距離が短くなっている(指が接近している)ことを検知する。
図15に示すような、手Hdの指の動きを行う場合、手Hdは一時、距離検知部7で検知可能な範囲から外れるが、手招き動作を行うので、すぐに距離検知部7内に入る。このような、繰り返しの動作を検知することで、制御部Contは、手招き動作が行われたことを検知して、引出扉41の開動作を行う。次に、本実施形態における引出扉の開動作について図面を参照して説明する。図17は引出扉の開動作を示すフローチャートである。なお、図17は、ステップS401、S402及びS403を備えていること、ステップS103がステップS104の後になり、ステップS106がステップS109になった以外は、図8に示すフローチャートと同じである。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図15に示すように、操作者が手Hdの指を伸ばして距離検知部7に接近させても、手Hdが測距センサ71の光照射部711の赤外光の照射範囲に入っていないので、距離検知部7は手Hdの距離の検知ができない。そのため、手Hdが距離Lfよりも接近しても、制御部Contは測距データを取得しない。そして、手Hdが位置P02に到達した後、手Hdの指が折り曲げられ、手Hdの指が赤外光の照射範囲に入ると、距離を検知できるようになる。
そのため、制御部Contは、距離検知部7からの測距信号から、手Hdの指が赤外光の照射範囲に入ったか否か確認する(ステップS401)。手Hdの指が赤外光の照射範囲に入っていない場合(ステップS401でNoの場合)、通知部9の動作をリセットして(ステップS102)、赤外光の照射範囲に手Hdの指が入ったか否かの確認(ステップS401)に戻る。
手Hdを位置P02から位置P03(時刻S01)に移動したとき手Hdが赤外光の照射範囲に入ると(ステップS401でYes)、制御部Contは距離検知部7からの測距信号に基づいて手Hdの指の距離値と測定時間を含む測距データを取得する。つまり、制御部Contは、測距データを取得できた時点で、手Hdが赤外光の照射範囲に入ったと判断する。
そして、制御部Contは、測距データから手Hdが貯蔵室40の前面から離間しているか否か確認する(ステップS104)。離間を検知していない場合(ステップS104でNoの場合)、対象物が距離Lnよりも近づいたか確認する(ステップS105)。その後の動作は、図8と同じである。制御部Contが離間を検知した場合(ステップS104でYesのとき)、制御部Contは手Hdが測定可能な範囲に入ったと判断し、第1状態と判断し、第1通知(第1LED91を点灯する)を行う(ステップS103)。
そして、制御部Contは、手Hdが測定距離Lf以上になったか確認し(ステップS107)、第1状態になってから一定時間t4経過するまでに(ステップS108)、手Hdの指の接近を検知した判断する(ステップS109)。なお、図8では、ステップS108は一定時間t1であるが、ここでは、時間t4である。時間t4は第1状態からの時間であるが、制御部Contの動作は同じである。
手Hdの接近を検知したとき(ステップS109でYes、位置P04、時刻S02)、制御部Contは、第2状態と判断し、第2通知(第1LED91を点滅させる)を行う(ステップS106)。そして、第1状態になってから時間t4経過したか否か確認する(ステップS402)。時間t4経過した場合(ステップS402でYesの場合)、第1LED91の点滅を終了する(ステップS102)。
また、手Hdの指を伸ばし、位置P03に移動すると(時刻S03)、手Hdは赤外光の照射範囲から外れる。そのため、制御部Contは、測距データを取得できなくなる。そして、その間も、制御部Contは、第1状態になってからの時間を確認し、時間t4が経過していない場合(ステップS402でNoの場合)、手Hdの指が離間したか否か確認する(ステップS403)。手Hdの指が離間したことを確認できない場合(ステップS403でNoの場合)、時間t4の確認に戻る(ステップS402)。
手Hdの指が位置P02にある状態から再度曲げはじめると、位置P03に到達したとき(時刻S04)で制御部Contは測距データを取得可能となる。そして、手Hdの指は、位置P03よりも離れた位置P04まで移動するため離間しており、このとき、手Hdは、2回目の手招き動作に入ったと判断できる。そこで、第1状態に入ってから時間t4経過するまでに離間を検知した場合(ステップS403でYesの場合)、制御部Contは、第3状態と判断し、第3通知(第1LED91を消灯し、第2LED92を点灯する)を行う(ステップS110)。
そして、制御部Contは、第3状態に切り替わったと判断したとき、開方向付勢部6を駆動して、引出扉41、収納容器42及び容器支持部43を開方向に付勢する(ステップS111)。これ以降の動作については、図8に示すフローチャートと同じであるため、説明を省略する。
このように、手Hdが手招き動作を行う場合であっても、その動作によって、距離検知部7の光照射部711の赤外光の照射範囲から外れる。このとき、制御部Contは、一時的に、測距データを取得できなくなるが、上述のような動作を行うことで、制御部Contが手招き動作を正確に検知し、その動作に合わせて引出扉41の開動作を行うことができる。これにより、本発明にかかる冷却庫Rfは操作者が手Hdの手招き動作と引出扉41の開動作のずれや、手Hdと引出扉41との接触を抑制し、安全で違和感の少ない開動作補助を行うことができる。
本実施形態において、操作者が手Hdで手招き動作を行うとき、手Hdが光照射部711の赤外光の照射範囲に入らない状態で、最も深い部分(位置P02)に移動させるものとしているが、これに限定されない。例えば、手Hdを下から振り上げた場合、一旦接近した後、測距データを取得できなくなる。このような場合、制御部Contが測距データを取得した時点で、動作開始(開動作の制御の開始)としてもよい。さらには、これら以外にも、手Hdの動作によって、距離検知部7による検知開始が変化するが、制御部Contは、測距データを取得できたときから動作するようにしてもよいし、離間又は接近を検知したときに、動作を開始するようにしてもよい。
上述の各実施形態では、誤検知を抑制するため、制御部Contが、距離検知部7を用いた対象物(手Hd)の距離の増加から減少又は減少から増加への切り替わりが2回以上あったときに、手招き動作があったと判断するようにしている。しかしながらこれに限定されるものではなく、3回以上の切り替わりを確認したとき、手招き動作が行われたと判断してもよい。この切り替わりの回数は、固定の数値であってもよいし、操作者が任意に設定できるものであってもよいが、誤判断を抑制するため2回以上であることが好ましい。
また、上述の各実施形態では、手招き動作として、手のひらを下にして、指を下に折り曲げる動作を例に説明しているが、これに限定されるものではない。手のひらを上にして、指を上に折り曲げる動作で反応するようにしてもよいし、さらには、横向きに折り曲げるようにしてもよい。手の動作は特に限定されるものではなく、一定の時間内に一定の範囲内で接近と離間を複数回切り替えるような動作を検知する。
また、上述の各実施形態では、距離検知部7の測距センサ71として赤外光照射および受光素子を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、超音波による測距センサや電波の反射による測距センサであってもよい。また、撮像素子が撮像する動画を解析して対象物との距離を演算する形態も使用できる。
また、上述の各実施形態では、扉として前方に引っ張る引出扉を例に説明しているが、軸を中心として回転するヒンジ扉に適用することも可能である。また、距離検知部7の配置位置として、引出扉41の上方に配置されているものとしているが、これに限定されるものではなく、手Hd(対象物)の距離の変動を正確に検知できる位置に配置されるものを挙げることができる。また、引出扉41或いはヒンジ扉11、12に取り付けられていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。