JP6370634B2 - 男性不妊症の予防乃至治療薬、及び食品乃至飼料 - Google Patents
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Description
<1> アルキルグリセロールを含むことを特徴とする男性不妊症の予防乃至治療薬である。
<2> 個体に、前記<1>に記載の男性不妊症の予防乃至治療薬を投与することを特徴とする男性不妊症の予防乃至治療方法である。
<3> アルキルグリセロールを含むことを特徴とする食品乃至飼料である。
本発明の男性不妊症の予防乃至治療薬は、アルキルグリセロールを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記アルキルグリセロールは、エーテル脂質の一種である。
前記アルキルグリセロールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(1)で表されるアルキルグリセロールが好ましく、バチルアルコール(Batyl alchohol(1−O−octadecyl−sn−glycerol)、下記式(1)中のnは、17である)がより好ましい。前記アルキルグリセロールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。前記担体としても、特に制限はなく、例えば、剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記男性不妊症の予防乃至治療薬中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記男性不妊症の予防乃至治療薬は、単独で使用してもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用してもよい。また、前記男性不妊症の予防乃至治療薬は、他の成分を有効成分とする医薬中に配合された状態で使用してもよい。
前記男性不妊症の予防乃至治療薬の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤などが挙げられる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどが挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
前記男性不妊症の予防乃至治療薬の対象となる男性不妊症としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、造精機能障害による男性不妊症などが挙げられる。
前記造精機能障害による男性不妊症としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乏精子症、奇形精子症、精子無力症、無精子症などが挙げられる。これらの中でも、奇形精子症が好ましい。
前記奇形精子症としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円形頭部精子奇形の症状を生じるものが好ましい。
前記男性不妊症の予防乃至治療薬の投与対象動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらの中でも、ヒトが特に好ましい。
また、前記男性不妊症の予防乃至治療薬の投与回数としても、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて、適宜選択することができる。
前記男性不妊症の予防乃至治療薬は、前記アルキルグリセロールを含むので、個体に投与することにより、奇形精子が生じる症状を軽減し、全精子における正常精子の割合を増加させ、男性不妊症をを予防乃至治療することができる。したがって、本発明は、個体に前記男性不妊症の予防乃至治療薬を投与することを特徴とする男性不妊症の予防乃至治療方法にも関する。前記男性不妊症は、前記<男性不妊症>の項目に記載したとおりである。
本発明の食品乃至飼料は、アルキルグリセロールを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記アルキルグリセロールは、上述した本発明の男性不妊症の予防乃至治療薬の項目に記載したものと同様である。前記アルキルグリセロールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記食品乃至飼料中の前記アルキルグリセロールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記食品乃至飼料は、前記アルキルグリセロールそのものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、通常の食品又は飼料に用いる成分を目的に応じて適宜選択することができる。
前記食品乃至飼料中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、栄養補助食品、健康食品、特定保健用食品、飲料などが挙げられる。
前記飼料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペットフード、家畜飼料などが挙げられる。
アルキルグリセロールの男性不妊症に対する治療効果を、雄性不妊モデルマウスを用い、以下のようにして試験した。
雄性不妊モデルマウスとして、雄のTysnd1欠損マウス(以下、「Tysnd1−/−マウス♂」と称することがある)を使用した。前記Tysnd1−/−マウス♂は、奇形精子症を発症している。
前記Tysnd1−/−マウス♂は、非特許文献1(PLoS Genet. 2013;9(2):e1003286. doi: 10.1371/journal.pgen.1003286. Epub 2013 Feb 14.)に記載の方法で調製した。
前記Tysnd1−/−マウス♂に、バチルアルコール(製品コード:B1202、東京化成工業株式会社製)を餌(粉末飼料(CLEA Rodent diet CE−2、日本クレア株式会社製))に混ぜて投与した。なお、バチルアルコールは、100gの餌に25mgの割合で混ぜた。
前記バチルアルコールのマウスへの投与量は、マウスが1日に4gの餌を食べると仮定すると、1日に約1mgのバチルアルコールを摂取することとなる。なお、前記バチルアルコールの投与量は、体重60kgのヒトに換算すると、1日に約1.5gを摂取する量となる。
なお、水については、通常の水を自由摂取させた。
比較対照として、バチルアルコールを混ぜない餌を投与したTysnd1−/−マウス♂についても同様に試験した。
前記バチルアルコールの投与期間は、6週齢から27週齢までの21週間とした。
前記投与期間終了後、マウスを解剖し、精巣上体を採取した。前記精巣上体から精子を取り出し、前記精子をTYH培地(下記参照)中で、37℃で60分間培精した。前記培精した精子50μLに、MitoFluor Red 589(Molecular Probes社製, M22424) 5μLを入れ、37℃で15分間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えて洗い、2,000gで遠心し、PBSに再懸濁した。次いで、等量のカルノア固定液(メタノール:酢酸=3:1)で15分間固定した。試料をスライドガラスに塗抹、風乾後、DAPI入り封入剤(VECTASHIELD Hard・Set Mounting Medium with DAPI, Vector Laboratories社製, H−1500)で封入した。蛍光顕微鏡(Axiowert 200M、カールツァイス社製)下で、精子の形状の観察、及び正常精子の割合を計測した。
NaCl 697.6mg、 KCl 35.6mg、 CaCl2・2H2O 25.1mg、 KH2PO4 16.2mg、 MgSO4・7H2O 29.3mg、 NaHCO3 210.6mg、 ピルビン酸ナトリウム 5.5mg、 グルコース 100mg、及び牛血清アルブミン 400mgをミリQ水 100mLに溶かし、フィルター濾過したものを使用した。
蛍光顕微鏡下で複数の視野について、マウス1個体当たり約200個の精子を観察し、正常、異常の判別を行った。バチルアルコール非投与群は3個体、バチルアルコール投与群は4個体について計測を行った。
図1Cの結果から、バチルアルコール投与群のマウスでは、正常な形状の精子の割合がバチルアルコール非投与群のマウスと比べて有意(p<0.05)に上昇しており、バチルアルコール非投与群のマウスの2倍以上に増えていることがわかった。したがって、アルキルグリセロールであるバチルアルコールを投与することにより、男性不妊症である奇形精子症を治療できることが示された。
<1> アルキルグリセロールを含むことを特徴とする男性不妊症の予防乃至治療薬である。
<2> アルキルグリセロールが、下記式(1)で表されるアルキルグリセロールである前記<1>に記載の男性不妊症の予防乃至治療薬である。
<3> アルキルグリセロールが、バチルアルコールである前記<1>から<2>のいずれかに記載の男性不妊症の予防乃至治療薬である。
<4> 男性不妊症が、奇形精子症である前記<1>から<3>のいずれかに記載の男性不妊症の予防乃至治療薬である。
<5> 個体に、前記<1>から<4>のいずれかに記載の男性不妊症の予防乃至治療薬を投与することを特徴とする男性不妊症の予防乃至治療方法である。
<6> アルキルグリセロールを含むことを特徴とする食品乃至飼料である。
<7> アルキルグリセロールが、下記式(1)で表されるアルキルグリセロールである前記<6>に記載の食品乃至飼料である。
<8> アルキルグリセロールが、バチルアルコールである前記<6>から<7>のいずれかに記載の食品乃至飼料である。
Claims (6)
- アルキルグリセロールを含むことを特徴とする奇形精子症による男性不妊症の予防乃至治療薬。
- アルキルグリセロールが、下記式(1)で表されるアルキルグリセロールである請求項1に記載の男性不妊症の予防乃至治療薬。
- アルキルグリセロールが、バチルアルコールである請求項1から2のいずれかに記載の男性不妊症の予防乃至治療薬。
- アルキルグリセロールを含むことを特徴とする奇形精子症による男性不妊症の予防乃至治療用食品乃至飼料。
- アルキルグリセロールが、下記式(1)で表されるアルキルグリセロールである請求項4に記載の食品乃至飼料。
- アルキルグリセロールが、バチルアルコールである請求項4から5のいずれかに記載の食品乃至飼料。
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