最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電波センサは、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信可能であり、かつ上記第1端部と反対側の第2端部側に設置された第2アンテナから上記第2端部を含む第2エリアに電波を送信可能である送信部と、上記第1エリアからの電波および上記第2エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部によって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知する検知部とを備える。
このように、横断歩道の第1端部側および第2端部側からそれぞれ電波を送信する構成により、たとえば、第1端部または第2端部における人間の検知を妨げる自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、当該人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部および第2端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(2)好ましくは、上記第1エリアおよび上記第2エリアは、互いの一部が重複する。
このような構成により、第1エリアおよび第2エリアが重複する重複エリアにおいて、第1アンテナから送信された電波および第2アンテナから送信された電波の両方に基づいて対象物を検知することができるので、たとえば、第1アンテナおよび第2アンテナからの距離が長いため重複エリアにおける電波が弱く、当該対象物の検知が困難である場合においても、重複エリアにおける当該対象物の検知精度を向上させることができる。
また、第1エリアおよび第2エリアを合わせたエリア内に横断歩道を含めることができるので、横断歩道における対象物を直接検知することができる。
(3)好ましくは、上記横断歩道は、上記第1エリアと上記第2エリアとの間に位置する第3エリアを含み、上記検知部は、上記第1エリア、上記第2エリアおよび上記第3エリアの少なくともいずれか1つにおける対象物を検知する。
このように、横断歩道を複数のエリアに分割して検知する構成により、車両および人間が同時期に1つのエリアで検知される確率を低減することができるので、車両からの電波および人間からの電波を同時に受信することにより対象物を精度よく検知することが困難となってしまう状況を回避することができる。これにより、対象物をより精度よく検知することができる。
(4)好ましくは、上記検知部は、上記第1エリアにおける対象物の検知結果を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いる。
このような構成により、たとえば、第2エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第1エリアにおける検知結果を第2エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(5)より好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記受信部によって受信された電波に基づいて、上記検知部によって検知された上記対象物の移動方向を判定する方向判定部を備え、上記検知部は、上記第1エリアにおける上記対象物の検知結果、および上記方向判定部によって判定された上記対象物の上記移動方向を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いる。
このような構成により、検知した対象物の移動先のエリアを取得することができるので、移動元のエリアにおける検知結果を、移動先のエリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができる。
(6)より好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記受信部によって受信された電波に基づいて、上記検知部によって検知された上記対象物の種類を判別する判別部を備え、上記検知部は、上記第1エリアにおける上記対象物の検知結果、および上記判別部によって判別された上記対象物の種類を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いる。
このような構成により、たとえば、検知した対象物の種類に応じて、他のエリアにおける対象物の検知のサポートを行うか否かを決定することができるので、検知処理の効率を向上させることができる。
(7)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記検知部による上記第1エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記送信部によって上記第2アンテナから上記第2エリアに送信される電波の電力を変更する制御部を備える。
このように、たとえば、第1エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第2エリアに送信される電波の電力を変更して第2エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第2エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(8)本発明の実施の形態に係る電波センサは、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信可能であり、かつ上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアに電波を送信可能である送信部と、上記第1エリアからの電波および上記第2エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部によって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知する検知部とを備え、上記検知部は、上記第1エリアにおける対象物の検知結果を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いること、および上記第2エリアにおける対象物の検知結果を、上記第2エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いることの少なくともいずれか一方を行う。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第2エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第1エリアにおける検知結果を第2エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第1エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第2エリアにおける検知結果を第1エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(9)本発明の実施の形態に係る電波センサは、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信可能であり、かつ上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアに電波を送信可能である送信部と、上記第1エリアからの電波および上記第2エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部によって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知する検知部と、上記検知部による上記第1エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記送信部によって上記第2アンテナから上記第2エリアに送信される電波の電力を変更する処理、および上記検知部による上記第2エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記送信部によって上記第1アンテナから上記第1エリアに送信される電波の電力を変更する処理の少なくともいずれか一方を行う制御部とを備える。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第1エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第2エリアに送信される電波の電力を変更して第2エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第2エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第2エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第1エリアに送信される電波の電力を変更して第1エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第1エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(10)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信するステップと、上記第1端部と反対側の第2端部側に設置された第2アンテナから上記第2端部を含む第2エリアに電波を送信するステップと、上記第1エリアからの電波、または上記第2エリアからの電波を受信するステップと、受信した電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップとを含む。
このように、横断歩道の第1端部側および第2端部側からそれぞれ電波を送信する構成により、たとえば、第1端部または第2端部における人間の検知を妨げる自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、当該人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部および第2端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(11)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信するステップと、上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアに電波を送信するステップと、上記第1エリアからの電波、または上記第2エリアからの電波を受信するステップと、受信した電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップとを含み、上記対象物を検知するステップにおいては、上記第1エリアにおける対象物の検知結果を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いること、および上記第2エリアにおける対象物の検知結果を、上記第2エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いることの少なくともいずれか一方を行う。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第2エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第1エリアにおける検知結果を第2エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第1エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第2エリアにおける検知結果を第1エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(12)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1端部を含む第1エリアに電波を送信するステップと、上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアに電波を送信するステップと、上記第1エリアからの電波、または上記第2エリアからの電波を受信するステップと、受信した電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップと、上記第1エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記第2アンテナから上記第2エリアに送信する電波の電力を変更する処理、および上記第2エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記第1アンテナから上記第1エリアに送信される電波の電力を変更する処理の少なくともいずれか一方を行うステップとを含む。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第1エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第2エリアに送信される電波の電力を変更して第2エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第2エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第2エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第1エリアに送信される電波の電力を変更して第1エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第1エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(13)本発明の実施の形態に係る検知プログラムは、横断歩道の第1端部を含む第1エリアからの電波を受信し、上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアからの電波を受信する電波センサにおいて用いられる検知プログラムであって、コンピュータに、上記第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1エリアに電波を送信するステップと、上記第2端部側に設置された第2アンテナから上記第2エリアに電波を送信するステップと、上記電波センサによって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、横断歩道の第1端部側および第2端部側からそれぞれ電波を送信する構成により、たとえば、第1端部または第2端部における人間の検知を妨げる自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、当該人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部および第2端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(14)本発明の実施の形態に係る検知プログラムは、横断歩道の第1端部を含む第1エリアからの電波を受信し、上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアからの電波を受信する電波センサにおいて用いられる検知プログラムであって、コンピュータに、上記第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1エリアに電波を送信するステップと、上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第2エリアに電波を送信するステップと、上記電波センサによって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップとを実行させるためのプログラムであり、上記対象物を検知するステップにおいては、上記第1エリアにおける対象物の検知結果を、上記第1エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いること、および上記第2エリアにおける対象物の検知結果を、上記第2エリア以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いることの少なくともいずれか一方を行う。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第2エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第1エリアにおける検知結果を第2エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第1エリアにおいて対象物の検知が困難な場合においても、第2エリアにおける検知結果を第1エリアにおける対象物の検知のサポートに用いることができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(15)本発明の実施の形態に係る検知プログラムは、横断歩道の第1端部を含む第1エリアからの電波を受信し、上記第1端部と反対側の第2端部を含む第2エリアからの電波を受信する電波センサにおいて用いられる検知プログラムであって、コンピュータに、上記第1端部側に設置された第1アンテナから上記第1エリアに電波を送信するステップと、上記第1端部側に設置された第2アンテナから上記第2エリアに電波を送信するステップと、上記電波センサによって受信された電波に基づいて、上記第1エリアおよび上記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知するステップと、上記第1エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記第2アンテナから上記第2エリアに送信する電波の電力を変更する処理、および上記第2エリアにおける対象物の検知結果に基づいて、上記第1アンテナから上記第1エリアに送信される電波の電力を変更する処理の少なくともいずれか一方を行うステップとを実行させるためのプログラムである。
このように、横断歩道の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道を渡ろうとする人間、および横断歩道を渡り終えた人間の両方を対象物として精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物を検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、第1エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第2エリアに送信される電波の電力を変更して第2エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第2エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第2エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、第2エリアにおける対象物の検知結果に応じて、第1エリアに送信される電波の電力を変更して第1エリアの範囲を変更する構成により、交通状況に応じて第1エリアの範囲を柔軟に変更することができるので、第1エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの構成を示す図である。
図1を参照して、信号制御システム201は、電波センサ101と、信号制御装置151と、歩行者用信号灯器161A,161Bとを備える。電波センサ101は、筐体111A,111Bを含む。信号制御システム201における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161A,161Bは、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。以下、歩行者用信号灯器161A,161Bの各々を歩行者用信号灯器161とも称する。
電波センサ101は、対象エリアA1およびB1における対象物Tgtを検知する検知センサとして機能する。以下、対象エリアA1、対象エリアB1および後述する対象エリアC1の各々を対象エリアとも称する。
対象エリアは、たとえば、電波センサ101の設置者であるセンサ設置者が設定するエリアである。具体的には、図1に示すように、センサ設置者は、たとえば、道路Rd1を隔てて設置された歩道Pv1,Pv2の間に位置する横断歩道PC1における歩行者Tgt2を対象物Tgtとする場合、以下のように対象エリアを設定する。
すなわち、センサ設置者は、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部を含むエリアを対象エリアA1として設定し、また、横断歩道PC1の当該端部の反対側すなわち歩道Pv2側の端部を含むエリアを対象エリアB1として設定する。
[重複配置]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を上方から見た状態を示す平面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を道路上から交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図2および図3を参照して、センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1を、互いの一部が重なるように設定する。以下、対象エリアA1および対象エリアB1の一部が互いに重なる配置を重複配置とも称する。
より詳細には、道路Rd1に中央分離帯Med1が含まれる場合において、横断歩道PC1の近傍のエリアは、たとえば、待機エリアAsA,AsB、分離帯エリアAm、および車道エリアArA,ArBの5つのエリアに分けることが可能である。
具体的には、待機エリアAsAは、たとえば、横断歩道PC1に隣接する歩道の一部であって道路Rd1に対して電波センサ101の筐体111A側に位置する歩道Pv1の一部である。また、待機エリアAsBは、たとえば、横断歩道PC1に隣接する歩道の一部であって道路Rd1に対して電波センサ101の筐体111B側に位置する歩道Pv2の一部である。
分離帯エリアAmは、たとえば、中央分離帯Med1を道路Rd1の延伸方向に延長させたエリアと横断歩道PC1とが重なるエリアである。
車道エリアArAは、たとえば、横断歩道PC1において、分離帯エリアAmと歩道Pv1との間のエリアである。車道エリアArBは、たとえば、横断歩道PC1において、分離帯エリアAmと歩道Pv2との間のエリアである。
センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsA、車道エリアArAおよび分離帯エリアAmの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアA1を設定する。また、センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsB、車道エリアArBおよび分離帯エリアAmの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアB1を設定する。
このように、横断歩道PC1およびその近傍のエリアを対象エリアA1および対象エリアB1の2つのエリアに分割する構成により、電波センサ101によって同時期に検知される対象物Tgtの個数を減少させることができる。
なお、センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1の少なくともいずれか一方が横断歩道PC1の全部を含むように対象エリアを設定してもよい。
[分離配置]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を上方から見た状態を示す平面図である。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を道路上から交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図4および図5を参照して、歩道Pv1,Pv2、道路Rd1、電波センサ101における筐体111A,111Bおよび横断歩道PC1の位置関係は、図2および図3に示す重複配置における位置関係と同様である。
センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1を、互いに重ならないように設定する。以下、対象エリアA1および対象エリアB1が重ならない配置を分離配置とも称する。
センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsAおよび車道エリアArAの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアA1を設定してもよい。また、センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsBおよび車道エリアArBの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアB1を設定してもよい。また、センサ設置者は、たとえば、横断歩道PC1の一部であって、対象エリアA1および対象エリアB1の間のエリアを対象エリアC1として設定してもよい。
[隣接配置]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を上方から見た状態を示す平面図である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を道路上から交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図6および図7を参照して、歩道Pv1,Pv2、道路Rd1、電波センサ101における筐体111A,111Bおよび横断歩道PC1の位置関係は、図2および図3に示す重複配置における位置関係と同様である。
センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1を、互いに隣接するように設定する。以下、対象エリアA1および対象エリアB1が隣接する配置を隣接配置とも称する。また、対象エリアA1および対象エリアB1が隣接する境界線を境界線Dabとも称する。
より詳細には、道路Rd1に中央分離帯Med1の代わりに中央線CLが含まれる場合において、横断歩道PC1の近傍のエリアは、たとえば、待機エリアAsA,AsB、および車道エリアArA,ArBの4つのエリアに分けることが可能である。
具体的には、待機エリアAsAは、たとえば、重複配置における待機エリアAsAと同様である。また、待機エリアAsBは、たとえば、重複配置における待機エリアAsBと同様である。
車道エリアArAは、たとえば、横断歩道PC1において、中央線CLを道路Rd1の延伸方向に延長させたエリアに境界線Dabを設定したときの境界線Dabと歩道Pv1との間のエリアである。車道エリアArBは、たとえば、当該境界線Dabと歩道Pv2との間のエリアである。
センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsAおよび車道エリアArAの各々の少なくとも一部を含み、かつ対象エリアB1と隣接するように対象エリアA1を設定してもよい。また、センサ設置者は、たとえば、待機エリアAsBおよび車道エリアArBの各々の少なくとも一部を含み、かつ対象エリアA1と隣接するように対象エリアB1を設定してもよい。
なお、センサ設置者は、たとえば、中央線CLを含む道路Rd1に重複配置および分離配置を設定することが可能であるし、また、中央分離帯Med1を含む道路Rd1に隣接配置を設定することが可能である。
再び図1を参照して、電波センサ101は、たとえば道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101に含まれる筐体111Aは、たとえば道路Rd1付近に設置された支柱P1Aに固定され、また、筐体111Bは、たとえば道路Rd1付近であって道路Rd1に対して支柱P1Aの反対側に設置された支柱P1Bに固定されている。筐体111Aおよび111Bは、たとえば図示しない信号線で接続されている。
歩行者用信号灯器161Aおよび信号制御装置151は、たとえば支柱P1Aに固定されている。電波センサ101における筐体111Aおよび信号制御装置151は、たとえば図示しない信号線で接続されている。信号制御装置151および歩行者用信号灯器161Aは、たとえば図示しない信号線で接続されている。
歩行者用信号灯器161Bは、たとえば支柱P1Bに固定されている。信号制御装置151および歩行者用信号灯器161Bは、たとえば図示しない信号線で接続されている。
電波センサ101は、たとえば対象エリアにおける対象物Tgtを検知する検知処理を行う。より詳細には、電波センサ101は、たとえば信号制御装置151の制御に従って、横断歩道PC1を含む対象エリアへ電波を送信する。対象物Tgtは、たとえば自動車Tgt1および歩行者Tgt2である。
対象物Tgtは、たとえば対象エリア内に位置しており、電波センサ101から送信される電波を反射する。電波センサ101は、たとえば、対象物Tgtにより反射された電波を受信し、受信した電波に基づいて対象エリアにおける対象物Tgtを検知する検知処理を行う。
たとえば、電波センサ101は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知処理の結果である検知結果を、対象エリアA1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる連携動作、または対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる連携動作を行う。電波センサ101は、たとえば検知結果を信号制御装置151へ送信する。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、たとえば横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して「すすめ」または「とまれ」を点灯して表示する。
信号制御装置151は、電波センサ101から検知結果を受信すると、受信した検知結果に基づいて歩行者用信号灯器161を制御する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者Tgt2が待機エリアAsAまたはAsBへ進入したことを検知結果が示すとき、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する。これにより、歩行者Tgt2を優先的に通行させることができる。
また、たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合において、対象エリアにおいて歩行者Tgt2を検知したとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、たとえば、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。
また、信号制御装置151は、たとえば、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、対象エリアにおいて歩行者Tgt2を検知したとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
なお、信号制御装置151は、電波センサ101から受信する検知結果に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供してもよい。具体的には、信号制御装置151は、たとえば、検知結果が対象エリアにおいて歩行者Tgt2を検知したことを示すとき、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨の警告を自動車Tgt1に与える。
[電波センサの構成]
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図8を参照して、電波センサ101は、送信回路(送信部)10A,10Bと、送信アンテナ11A,11Bと、受信回路(受信部)12A,12Bと、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bと、信号処理部3と、検知部4とを備える。送信回路10A、送信アンテナ11A、受信回路12A、受信アンテナ13A,14A、信号処理部3および検知部4は、筐体111Aに収容される。送信回路10B、送信アンテナ11B、受信回路12Bおよび受信アンテナ13B,14Bは、筐体111Bに収容される。なお、送信アンテナ11A,11Bおよび受信アンテナ13A,13B,14A,14Bは、電波センサ101が備える構成に限らず、電波センサ101の外部に設けられてもよい。
以下、送信回路10A,10Bの各々を送信回路10とも称する。送信アンテナ11A,11Bの各々を送信アンテナ11とも称する。受信回路12A,12Bの各々を受信回路12とも称する。受信アンテナ13A,13Bの各々を受信アンテナ13とも称する。受信アンテナ14A,14Bの各々を受信アンテナ14とも称する。
送信回路10Aは、図1〜図7に示すように、たとえば、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された筐体111Aに収容された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアA1に電波を送信する。また、送信回路10Bは、たとえば、横断歩道PC1の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側に設置された筐体111Bに収容された送信アンテナ11Bから当該第2端部を含む対象エリアB1に電波を送信する。
以下、特に説明のない限り、基本的には、送信回路10A、送信アンテナ11A、受信回路12Aおよび受信アンテナ13A,14Aの動作と、送信回路10B、送信アンテナ11B、受信回路12Bおよび受信アンテナ13B,14Bの動作とは同様である。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける送信回路の構成を示す図である。
図9を参照して、送信回路10は、電波生成部31と、方向性結合器32と、パワーアンプ33と、GPS(Global Positioning System)用アンテナ34と、GPS受信部35と、供給電力断続部36とを含む。電波生成部31は、電圧制御発振器37と、電圧発生部38と、周波数切替部39とを含む。
ここで、電波センサ101は、たとえば、四分一 浩二、外2名、”拡大するミリ波技術の応用”、[online]、[平成26年4月28日検索]、インターネット〈URL:http://www.spc.co.jp/spc/pdf/giho21_09.pdf〉(非特許文献1)、または稲葉 敬之、桐本 哲郎、”車載用ミリ波レーダ”、自動車技術、2010年2月、第64巻、第2号、P.74−79(非特許文献2)に記載された2周波CW方式を用いる電波センサである。
[電波の送信処理]
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る周波数切替部が出力する切替信号の時間変化の一例を示す図である。
図10を参照して、送信回路10におけるGPS受信部35は、GPS衛星から送信される電波をGPS用アンテナ34経由で受信し、受信した電波に含まれる時刻情報に基づいて標準時刻を取得する。このように、標準時刻を用いる構成により、送信回路10Aと送信回路10Bとを同期させることができる。GPS受信部35は、取得した標準時刻を供給電力断続部36へ出力する。
供給電力断続部36は、GPS受信部35から受ける標準時刻に基づいて、電波生成部31およびパワーアンプ33へ供給する電力を断続する。より詳細には、供給電力断続部36は、たとえば、電波を連続的に送信する50ミリ秒の送信期間と電波の送信を停止する50ミリ秒の停止期間とを繰り返すように設定する。
より詳細には、図10に示すように、送信回路10Aにおける供給電力断続部36は、時刻t1から時刻(t1+50)ミリ秒までの送信期間Tta1を設定し、送信期間Tta1が満了する時刻(t1+50)ミリ秒から時刻(t1+100)ミリ秒までの停止期間Tha2を設定する。
同様に、送信回路10Aにおける供給電力断続部36は、時刻(t1+100)ミリ秒から時刻(t1+150)ミリ秒までの送信期間Tta3を設定し、送信期間Tta3が満了する時刻(t1+150)ミリ秒から時刻(t1+200)ミリ秒までの停止期間Tha4を設定する。
送信回路10Aにおける供給電力断続部36は、時刻(t1+200)ミリ秒以降についても、送信期間および停止期間がこの順に繰り返されるように設定する。
一方、送信回路10Bにおける供給電力断続部36は、送信回路10Aにおける供給電力断続部36が送信期間を設定した期間において停止期間を設定し、また、送信回路10Aにおける供給電力断続部36が停止期間を設定した期間において送信期間を設定する。
具体的には、図10に示すように、送信回路10Bにおける供給電力断続部36は、時刻t1から時刻(t1+50)ミリ秒までの停止期間Thb1を設定し、送信期間Thb1が満了する時刻(t1+50)ミリ秒から時刻(t1+100)ミリ秒までの送信期間Ttb2を設定する。
同様に、送信回路10Bにおける供給電力断続部36は、時刻(t1+100)ミリ秒から時刻(t1+150)ミリ秒までの停止期間Thb3を設定し、送信期間Thb3が満了する時刻(t1+150)ミリ秒から時刻(t1+200)ミリ秒までの送信期間Ttb4を設定する。
送信回路10Bにおける供給電力断続部36は、時刻(t1+200)ミリ秒以降についても、停止期間および送信期間がこの順に繰り返されるように設定する。
以下、送信回路10Aにおける供給電力断続部36が設定する送信期間の各々を送信期間Ttaとも称する。また、送信回路10Aにおける供給電力断続部36が設定する停止期間の各々を送信期間Thaとも称する。また、送信回路10Bにおける供給電力断続部36が設定する送信期間の各々を送信期間Ttbとも称する。また、送信回路10Bにおける供給電力断続部36が設定する停止期間の各々を送信期間Thbとも称する。
再び図9を参照して、供給電力断続部36は、送信期間において、電波生成部31およびパワーアンプ33へ電力を供給し、また、停止期間において、電波生成部31およびパワーアンプ33への電力の供給を停止する。
電波生成部31は、供給電力断続部36から受ける電力に基づいて、送信期間において電波を送信アンテナ11経由で連続的に送信し、停止期間において電波の送信を停止する。
具体的には、電波生成部31は、たとえば24GHz帯の周波数を有する電波すなわちミリ波を生成し、生成したミリ波を方向性結合器32へ出力する。
なお、電波生成部31は、たとえば60GHz帯、76GHz帯または79GHz帯の周波数を有する電波を生成してもよい。また、電波生成部31は、たとえばミリ波帯より周波数の低いマイクロ波帯の周波数を有する電波を生成してもよいし、また、ミリ波帯より周波数の高いテラヘルツ帯の周波数を有する電波を生成してもよい。
より詳細には、電波生成部31における周波数切替部39は、送信アンテナ1から送信される電波である送信波の周波数を所定の切替周波数fswtで交互に切替えるための切替信号を電圧発生部38および信号処理部3へ出力する。
具体的には、周波数切替部39は、たとえば、図10に示すように、送信期間において、10キロヘルツの切替周波数fswtすなわち0.1ミリ秒の周期でレベルLsをハイレベルおよびローレベルに切り替える切替信号を電圧発生部38および信号処理部3へ出力する。また、停止期間において、切替信号のレベルLsはたとえばゼロとなる。
電圧発生部38は、たとえば、所定の送信周波数f1,f2の電波を電圧制御発振器37に発生させるための制御電圧Vf1,Vf2をそれぞれ設定する。なお、送信周波数f2およびf1の差は、たとえば数メガヘルツ程度である。
電圧発生部38は、たとえば、周波数切替部39から受ける切替信号のレベルLsがローレベルである場合、制御電圧Vf1を生成し、生成した制御電圧Vf1を電圧制御発振器37へ出力する。また、電圧発生部38は、たとえば、切替信号のレベルLsがハイレベルである場合、制御電圧Vf2を生成し、生成した制御電圧Vf2を電圧制御発振器37へ出力する。
電圧制御発振器37は、具体的にはVCO(Voltage−controlled oscillator)であり、電圧発生部38から受ける制御電圧Vf1,Vf2に応じた周波数を有するミリ波帯の送信波を生成する。
より詳細には、電圧制御発振器37は、たとえば、図10に示すように、ローレベルの切替信号に基づく制御電圧Vf1を電圧発生部38から受けている間、以下の式(1)に示す周波数f1を有する送信波T1(t)を生成する。
ここで、φ1は初期位相である。式(1)および以下の式中におけるtは時刻を表す。また、電圧制御発振器37は、たとえば、図10に示すように、ハイレベルの切替信号に基づく制御電圧Vf2を電圧発生部38から受けている間、以下の式(2)に示す周波数f2を有する送信波T2(t)を生成する。
ここで、φ2は初期位相である。なお、送信波T1(t)の振幅および送信波T2(t)の振幅はたとえば共にAである。電圧制御発振器37は、送信波T1(t),T2(t)を交互に生成して方向性結合器32へ出力する。
方向性結合器32は、電波生成部31から受ける送信波T1(t),T2(t)をパワーアンプ33および受信回路12へ分配する。パワーアンプ33は、供給電力断続部36から受ける電力を用いて、方向性結合器32から受ける送信波T1(t),T2(t)を増幅する。パワーアンプ33は、増幅後の送信波T1(t),T2(t)を送信アンテナ11経由で対象エリアへ交互に送信する。
電波センサ101の筐体111Aに収容される送信アンテナ11Aは、図1に示すように、たとえば指向性の方向DAが横断歩道PC1の横断方向に沿うように設置される。同様に、筐体111Bに収容される送信アンテナ11Bは、図1に示すように、たとえば指向性の方向DBが横断歩道PC1の横断方向に沿うように設置される。
具体的には、送信アンテナ11Aの指向性の方向DAは、たとえば筐体111Aから横断歩道PC1の略中央の位置Cnと比べて歩道Pv1に近い位置CnAへの方向である。好ましくは、送信アンテナ11Aは、たとえば、横断歩道PC1の面に対して指向性の方向を当該面の法線方向に射影した方向と、歩行者Tgt2が対象エリアにおける横断歩道PC1を移動する方向vmすなわち方向vm2とが平行または反平行になるように設置される。
同様に、送信アンテナ11Bの指向性の方向DBは、たとえば筐体111Bから横断歩道PC1の略中央の位置Cnと比べて歩道Pv2に近い位置CnBへの方向である。好ましくは、送信アンテナ11Bは、たとえば、横断歩道PC1の面に対して指向性の方向を当該面の法線方向に射影した方向と、歩行者Tgt2が対象エリアにおける横断歩道PC1を移動する方向vmすなわち方向vm3とが平行または反平行になるように設置される。
[電波の受信処理]
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける受信回路の構成を示す図である。
図11を参照して、受信回路12は、ローノイズアンプ41S,41Dと、差分信号生成部42SI,42SQ,42DIと、移相器43とを含む。以下、ローノイズアンプ41S,41Dの各々をローノイズアンプ41とも称する。差分信号生成部42SI,42SQ,42DIの各々を差分信号生成部42とも称する。
受信回路12Aは、対象エリアA1からの電波を受信する。また、受信回路12Bは、対象エリアB1からの電波を受信する。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る受信波処理部における差分信号生成部の構成を示す図である。
図12を参照して、差分信号生成部42は、ミキサ45と、IF(Intermediate Frequency)アンプ46と、ローパスフィルタ47と、A/Dコンバータ(ADC)48とを含む。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る送信アンテナ、受信アンテナおよび対象物の配置の一例を示す図である。
図11〜図13を参照して、受信回路12は、対象エリアからの電波、たとえば反射波を受信アンテナ13,14経由で受信する。ここで、受信アンテナ13,14は、送信期間において、対象エリアにおける対象物Tgtが送信波T1(t)またはT2(t)をそれぞれ反射することにより生成される反射波R1(t)またはR2(t)を受信可能な構成であればよい。
具体的には、受信アンテナ13,14のいずれか一方は、送信アンテナ11と同じアンテナであってもよいし、異なるアンテナであってもよい。なお、送信アンテナ11ならびに受信アンテナ13,14が別々のアンテナである場合、受信アンテナ13,14は、送信アンテナ11から離れた位置に配置されてもよいが、電波センサ101の構成を簡易にするために送信アンテナ11の近傍に配置されることが好ましい。なお、受信アンテナ13および14の配置の詳細については後述する。
より詳細には、受信アンテナ13,14が受信する反射波には、たとえば、対象エリア内を移動する対象物Tgtが送信アンテナ11により送信された送信波を反射することによって発生するドップラー反射波が含まれる。
ここで、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った対象物Tgtの移動速度を検出対象速度vdと定義する。言い換えると、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った受信アンテナ13,14に対する対象物Tgtの相対速度の成分が検出対象速度vdである。
たとえば、受信アンテナ13,14に対する対象物Tgtの速度を相対速度vtと定義すると、検出対象速度vdは、対象物Tgtから受信アンテナ13,14への方向の単位ベクトルndと相対速度vtとの内積で表される。なお、電波センサ101は、たとえば支柱P1A,P1B等の地面に対して動かないものに固定されていてもよいし、地面に対して動くものに固定されていてもよい。たとえば電波センサ101が支柱P1A,P1Bに固定されている場合、受信アンテナ13,14および対象エリアは地面に対して固定されるので、相対速度vtは、対象物Tgtの地面に対する相対速度でもある。
受信アンテナ13,14が受信する対象物Tgtからのドップラー反射波の周波数f1r,f2rは、送信波の周波数f1,f2に対して、対象物Tgtに対応する検出対象速度vdに応じてそれぞれシフトする。また、ドップラー反射波の振幅は、対象物Tgtの反射断面積σに応じた振幅となる。
[受信アンテナ13,14の配置]
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る受信アンテナを上方から見た場合における配置の一例を示す図である。
図14を参照して、受信アンテナ13,14は、たとえば、横断歩道PC1の横断方向を示すベクトルDcに対して直交する方向に水平に並べて配置され、また、たとえば距離d離して配置される。以下、受信アンテナ13,14が並ぶ方向を示すベクトルをベクトルDlとも称する。
たとえば、受信アンテナ13,14と対象物Tgtとの距離である対象距離Lが距離dに比べて十分長い場合、受信アンテナ13,14が受信するドップラー反射波を平面波として近似することができる。
ここで、対象物Tgtからのドップラー反射波の受信アンテナ13,14への入射角ξを以下のように定義する。すなわち、たとえば、ドップラー反射波が伝搬する方向を示すベクトルDp、およびベクトルDlを含む面を入射面Pinと定義する。したがって、受信アンテナ13,14は、入射面Pinに含まれる。そして、入射面Pinに含まれ、ベクトルDlと直交し、かつ横断歩道PC1に向いたベクトルDaとベクトルDpとのなす角度を入射角ξと定義する。また、入射角ξは、受信アンテナ13,14の上方から見て反時計回りに増加するように定義する。また、ベクトルDpがベクトルDaと一致したときの入射角ξを0°と定義する。
たとえば、入射角ξが0°である場合、対象物Tgtから受信アンテナ13までの距離と、対象物Tgtから受信アンテナ14までの距離とは同じになる。一方、たとえば、入射角ξが正である場合、対象物Tgtから受信アンテナ14までの距離は、対象物Tgtから受信アンテナ13までの距離と比べて光路差Δsだけ長くなる。ここで、光路差Δsは、たとえばd×sin(ξ)である。また、たとえば、入射角ξが負である場合、対象物Tgtから受信アンテナ14までの距離は、対象物Tgtから受信アンテナ13までの距離と比べて光路差Δsだけ短くなる。
すなわち、たとえば、入射角ξが0°である場合、受信アンテナ14が受信するドップラー反射波の位相と、受信アンテナ13が受信するドップラー反射波の位相とは同じになる。一方、たとえば、入射角ξが正である場合、受信アンテナ14が受信するドップラー反射波の位相は、受信アンテナ13が受信するドップラー反射波の位相と比べて光路差Δsに応じて遅れる。また、たとえば、入射角ξが負である場合、受信アンテナ14が受信するドップラー反射波の位相は、受信アンテナ13が受信するドップラー反射波の位相と比べて光路差Δsに応じて進む。
したがって、受信アンテナ13が受信するドップラー反射波の位相を基準とした場合における受信アンテナ14が受信するドップラー反射波の位相のずれ具合から入射角ξを算出することが可能となる。これにより、受信アンテナ13,14に対する対象物Tgtへの方向を算出することが可能となる。
以下、位相の基準とする受信アンテナ13が受信するドップラー反射波について詳細に説明するが、受信アンテナ14が受信するドップラー反射波についても同様である。
送信波T1(t)が式(1)により表される場合において、たとえば受信アンテナ13が送信アンテナ11の近傍に配置されているとき、受信アンテナ13が受信するドップラー反射波R1Sd(t)は、非特許文献1または非特許文献2に示すように以下の式(3)により表される。
ここで、Lは受信アンテナ13および対象物Tgt間の対象距離である。cは光速である。aはたとえば送信波T1(t)の振幅Aおよび波長、送信アンテナ11および受信アンテナ13,14のアンテナゲイン、対象距離Lならびに反射断面積σ等により定まる値である。
ドップラー反射波R1Sd(t)の周波数f1rは、式(3)に示すように、送信波T1(t)の周波数f1に対して、f1×(2×vd/c)を加えた周波数となる。具体的には、対象物Tgtが受信アンテナ13へ近づく方向へ移動するとき、vdが正となるので周波数f1rは周波数f1より高くなり、また、対象物Tgtが受信アンテナ13から遠ざかる方向へ移動するとき、vdが負となるので周波数f1rは周波数f1より低くなる。
受信アンテナ13が受信する反射波R1S(t)には、一般に、ドップラー反射波R1Sd(t)、および対象物Tgt以外の部分からの非ドップラー反射波R1Snd(t)が含まれる。したがって、反射波R1S(t)は、ドップラー反射波R1Sd(t)および非ドップラー反射波R1Snd(t)の重ね合わせとなり、以下の式(4)により表される。
ここで、対象物Tgt以外のものの検出対象速度vdがゼロである状況、すなわち非ドップラー反射波R1Snd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じである状況を想定する。
なお、受信アンテナ14が受信する反射波R1D(t)は、式(1)、(3)および(4)と同様に導出される、以下の式(5)により表される。
同様に、受信回路12は、送信アンテナ11から送信波T2(t)が送信されている期間、式(1)、(3)および(4)と同様に導出される、以下の式(6)に示す反射波R2S(t)を受信アンテナ13経由で受信する。
ここで、送信波T1(t)およびT2(t)の振幅はともにAであり、かつ周波数f1およびf2はほぼ同じであるため、ドップラー反射波R2Sd(t)の振幅は、式(3)におけるaで表すことが可能である。
また、受信アンテナ14が受信する反射波R2D(t)は、式(6)と同様に導出される、以下の式(7)により表される。
再び図11および図12を参照して、受信回路12におけるローノイズアンプ41Sは、受信アンテナ13が受信した反射波R1S(t),R2S(t)を増幅し、差分信号生成部42SI、42SQへ出力する。また、ローノイズアンプ41Dは、受信アンテナ14が受信した反射波R1D(t),R2D(t)を増幅し、差分信号生成部42DIへ出力する。
移相器43は、たとえば、送信回路10により生成される送信波の位相をπ/2ずらし、位相をずらした送信波を差分信号生成部42SQへ出力する。
以下、差分信号生成部42SIにおける動作を詳細に説明するが、差分信号生成部42SQ,42DIにおける動作も同様である。
図12に示す差分信号生成部42すなわち差分信号生成部42SIにおけるミキサ45は、送信回路10から送信波T1(t)が送信されている期間、以下の処理を行う。
すなわち、ミキサ45は、送信回路10における方向性結合器32から受ける送信波T1(t)と、ローノイズアンプ41Sから受ける反射波R1S(t)とを乗算する。そして、ミキサ45は、送信波T1(t)の周波数成分と反射波R1S(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号および両周波数成分の和の周波数成分を有する和周波信号を生成する。
ミキサ45において、送信波T1(t)と反射波R1S(t)とから生成される差分信号B1S(t)は、以下の式(8)により表される。
ここで、B1Sd(t)は、送信波T1(t)とドップラー反射波R1Sd(t)とから生成される差分信号である。Kは差分信号B1Sd(t)の振幅である。−4π×f1×L/cが遅延位相θ1Sである。2×f1×vd/cがドップラー周波数f1dである。また、D1Sは、送信波T1(t)と非ドップラー反射波R1Snd(t)とから生成される差分信号であり、非ドップラー反射波R1Snd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分となる。
同様に、ミキサ45は、送信回路10から送信波T2(t)が送信されている期間、以下の処理を行う。すなわち、ミキサ45は、送信波T2(t)と反射波R2S(t)とを乗算し、以下の式(9)により表される差分信号B2S(t)および和周波信号を生成する。
ここで、B2Sd(t)は、送信波T2(t)とドップラー反射波R2Sd(t)とから生成される差分信号である。Kは差分信号B2Sd(t)の振幅である。−4π×f2×L/cが遅延位相θ2Sである。2×f2×vd/cがドップラー周波数f2dである。また、D2Sは、送信波T2(t)と非ドップラー反射波R2Snd(t)とから生成される直流の差分信号である。
ミキサ45は、生成した差分信号B1S(t),B2S(t)および和周波信号をIFアンプ46へ出力する。
IFアンプ46は、たとえば低周波数帯から中間周波数帯にかけて大きな増幅率を有するアンプであり、ミキサ45において生成された差分信号B1S(t),B2S(t)および和周波信号のうち差分信号B1S(t),B2S(t)を大きな増幅率で増幅し、増幅した差分信号B1S(t),B2S(t)をローパスフィルタ47へ出力する。
ローパスフィルタ47は、IFアンプ46において増幅された差分信号B1S(t),B2S(t)の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分、たとえば1キロヘルツ以上の成分を減衰させる。
A/Dコンバータ48は、たとえば所定のサンプリング周波数fsmplで差分信号B1S(t),B2S(t)のサンプリング処理を行う。より詳細には、A/Dコンバータ48は、ローパスフィルタ47を通過したアナログ信号である差分信号B1S(t),B2S(t)を、サンプリング周期である(1/fsmpl)ごとにqビット(qは2以上の整数)のデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ48は、変換後のデジタル信号すなわちI(In−phase)成分のデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
また、差分信号生成部42SQは、送信回路10から送信波T1(t),T2(t)がそれぞれ送信されている期間、位相がπ/2ずれた送信波T1(t),T2(t)の周波数成分とローノイズアンプ41Sから受ける反射波R1S(t),R2S(t)の周波数成分との差の周波数成分を有するQ(Quadrature)成分のデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
差分信号生成部42DIは、送信回路10から送信波T1(t)が送信されている期間、以下の式(10)により表される、式(8)と同様の差分信号B1D(t)を生成する。
ここで、B1Dd(t)は、送信波T1(t)とドップラー反射波R1Dd(t)とから生成される差分信号である。Kは差分信号B1Dd(t)の振幅である。(−(4π×f1×L+2×π×f1×d×sin(ξ))/c)が遅延位相θ1Dである。2×f1×vd/cがドップラー周波数f1dである。また、D1Dは、送信波T1(t)と非ドップラー反射波R1Dnd(t)とから生成される差分信号であり、非ドップラー反射波R1Dnd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分となる。
また、差分信号生成部42DIは、送信回路10から送信波T2(t)が送信されている期間、以下の式(11)により表される、式(9)と同様の差分信号B2D(t)を生成する。
ここで、B2Dd(t)は、送信波T2(t)とドップラー反射波R2Dd(t)とから生成される差分信号である。(−(4π×f2×L+2×π×f2×d×sin(ξ))/c)が遅延位相θ2Dである。
差分信号生成部42DIは、差分信号B1D(t),B2D(t)に基づいてI成分のデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
[信号処理]
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。
図15を参照して、信号処理部3は、バッファ制御部71と、第1バッファ72Aと、第2バッファ72Bと、FFT処理部73とを含む。第1バッファ72Aは、(f1,I,S)成分格納領域75Aと、(f2,I,S)成分格納領域76Aと、(f1,Q,S)成分格納領域77Aと、(f1,I,D)成分格納領域78Aと、(f2,I,D)成分格納領域79Aとを含む。第2バッファ72Bは、(f1,I,S)成分格納領域75Bと、(f2,I,S)成分格納領域76Bと、(f1,Q,S)成分格納領域77Bと、(f1,I,D)成分格納領域78Bと、(f2,I,D)成分格納領域79Bとを含む。
信号処理部3は、受信回路12から受けるデジタル信号を処理する。より詳細には、信号処理部3におけるバッファ制御部71は、送信期間Ttaにおいて、送信回路10Aから受ける切替信号のレベルLsに基づいて、受信回路12Aから受けるデジタル信号を第1バッファ72Aにおける各格納領域に振り分けながら蓄積する。
具体的には、バッファ制御部71は、たとえば送信回路10Aからローレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信回路10Aが周波数f1の送信波T1(t)を送信アンテナ11A経由で対象エリアA1へ送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信回路12Aにおける差分信号生成部42SI、42SQおよび42DIから受けるデジタル信号を第1バッファ72Aにおける(f1,I,S)成分格納領域75A、(f1,Q,S)成分格納領域77Aおよび(f1,I,D)成分格納領域78Aに時系列順にそれぞれ蓄積する。
また、バッファ制御部71は、たとえば送信回路10Aからハイレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信回路10Aが周波数f2の送信波T2(t)を送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信回路12Aにおける差分信号生成部42SIおよび42DIから受けるデジタル信号を第1バッファ72Aにおける(f2,I,S)成分格納領域76Aおよび(f2,I,D)成分格納領域79Aに時系列順にそれぞれ蓄積する。
バッファ制御部71は、たとえば送信回路10Aから受ける切替信号のレベルLsがゼロになると送信期間Ttaが満了したと認識し、デジタル信号の蓄積を終了する。そして、バッファ制御部71は、たとえばFFT処理部73へ第1バッファ蓄積完了通知を出力する。
したがって、第1バッファ蓄積完了通知が出力されるタイミングにおいて、第1バッファ72Aには、送信期間Ttaにおいて対象エリアA1から受信する電波に基づく時系列順のデジタル信号すなわち時間スペクトルが蓄積されている。
より詳細には、(f1,I,S)成分格納領域75Aには、差分信号B1S(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,S,A)が蓄積される。(f2,I,S)成分格納領域76Aには、差分信号B2S(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f2,I,S,A)が蓄積される。(f1,Q,S)成分格納領域77Aには、位相がπ/2ずれた送信波T1(t)と反射波R1S(t)との差分信号に基づくQ成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,Q,S,A)が蓄積される。(f1,I,D)成分格納領域78Aには、差分信号B1D(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,D,A)が蓄積される。(f2,I,D)成分格納領域79Aには、差分信号B2D(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f2,I,D,A)が蓄積される。
同様に、バッファ制御部71は、送信回路10Aから受ける切替信号のレベルLsがゼロになった後、たとえば送信回路10Bからローレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信回路10Bが周波数f1の送信波T1(t)を送信アンテナ11B経由で対象エリアB1へ送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信回路12Bにおける差分信号生成部42SI、42SQおよび42DIから受けるデジタル信号を第2バッファ72Bにおける(f1,I,S)成分格納領域75B、(f1,Q,S)成分格納領域77Bおよび(f1,I,D)成分格納領域78Bに時系列順にそれぞれ蓄積する。
また、バッファ制御部71は、たとえば送信回路10Bからハイレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信回路10Bが周波数f2の送信波T2(t)を送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信回路12Bにおける差分信号生成部42SIおよび42DIから受けるデジタル信号を第2バッファ72Bにおける(f2,I,S)成分格納領域76Bおよび(f2,I,D)成分格納領域79Bに時系列順にそれぞれ蓄積する。
バッファ制御部71は、たとえば送信回路10Bから受ける切替信号のレベルLsがゼロになると送信期間Ttbが満了したと認識し、デジタル信号の蓄積を終了する。そして、バッファ制御部71は、たとえばFFT処理部73へ第2バッファ蓄積完了通知を出力する。
したがって、第2バッファ蓄積完了通知が出力されるタイミングにおいて、第2バッファ72Bには、送信期間Ttbにおいて対象エリアB1から受信する電波に基づく時系列順のデジタル信号すなわち時間スペクトルが蓄積されている。
より詳細には、(f1,I,S)成分格納領域75Bには、差分信号B1S(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,S,B)が蓄積される。(f2,I,S)成分格納領域76Bには、差分信号B2S(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f2,I,S,B)が蓄積される。(f1,Q,S)成分格納領域77Bには、位相がπ/2ずれた送信波T1(t)と反射波R1S(t)との差分信号に基づくQ成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,Q,S,B)が蓄積される。(f1,I,D)成分格納領域78Bには、差分信号B1D(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,D,B)が蓄積される。(f2,I,D)成分格納領域79Bには、差分信号B2D(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f2,I,D,B)が蓄積される。
FFT処理部73は、たとえば、バッファ制御部71から第1バッファ蓄積完了通知を受けると、第1バッファ72Aに蓄積された時間スペクトルを高速フーリエ変換することにより、周波数スペクトルすなわちドップラースペクトルおよび位相スペクトルを作成する。
より詳細には、FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,S,A)からドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)および位相スペクトルPS(f1,I,S,A)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,S,A)からドップラースペクトルDS(f2,I,S,A)および位相スペクトルPS(f2,I,S,A)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,Q,S,A)からドップラースペクトルDS(f1,Q,S,A)および位相スペクトルPS(f1,Q,S,A)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,D,A)からドップラースペクトルDS(f1,I,D,A)および位相スペクトルPS(f1,I,D,A)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,D,A)からドップラースペクトルDS(f2,I,D,A)および位相スペクトルPS(f2,I,D,A)を作成する。
同様に、FFT処理部73は、たとえば、バッファ制御部71から第2バッファ蓄積完了通知を受けると、第2バッファ72Bに蓄積された時間スペクトルを高速フーリエ変換することにより、周波数スペクトルすなわちドップラースペクトルおよび位相スペクトルを作成する。
より詳細には、FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,S,B)からドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)および位相スペクトルPS(f1,I,S,B)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,S,B)からドップラースペクトルDS(f2,I,S,B)および位相スペクトルPS(f2,I,S,B)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,Q,S,B)からドップラースペクトルDS(f1,Q,S,B)および位相スペクトルPS(f1,Q,S,B)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,D,B)からドップラースペクトルDS(f1,I,D,B)および位相スペクトルPS(f1,I,D,B)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,D,B)からドップラースペクトルDS(f2,I,D,B)および位相スペクトルPS(f2,I,D,B)を作成する。
以下、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,A),DS(f2,I,S,A),DS(f1,Q,S,A),DS(f1,I,D,A),DS(f2,I,D,A)の各々をドップラースペクトルDSAとも称する。また、位相スペクトルPS(f1,I,S,A),(f2,I,S,A),(f1,Q,S,A),(f1,I,D,A),(f2,I,D,A)の各々を位相スペクトルPSAとも称する。ドップラースペクトルDS(f1,I,S,B),DS(f2,I,S,B),DS(f1,Q,S,B),DS(f1,I,D,B),DS(f2,I,D,B)の各々をドップラースペクトルDSBとも称する。また、位相スペクトルPS(f1,I,S,B),(f2,I,S,B),(f1,Q,S,B),(f1,I,D,B),(f2,I,D,B)の各々を位相スペクトルPSBとも称する。
FFT処理部73は、作成したドップラースペクトルおよび位相スペクトルを検知部4へ出力する。
[検知処理]
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける検知部の構成を示す図である。
図16を参照して、検知部4は、バッファ61と、対象波形取得部62と、対象波形分析部63と、分析結果判断部64とを含む。対象波形分析部63は、種類判別部65と、距離取得部66と、移動方向判定部67と、方位取得部68と、速度取得部69とを含む。
検知部4は、受信回路12A,12Bによって受信された電波に基づいて、対象エリアA1および対象エリアB1の少なくともいずれか一方における対象物Tgtを検知する。
より詳細には、検知部4は、たとえば、送信期間Ttaにおいて受信回路10Aによって受信された電波に基づいて1回分の検知処理を行い、また、送信期間Ttbにおいて受信回路10Bによって受信された電波に基づいて1回分の検知処理を行う。
具体的には、検知部4におけるバッファ61は、たとえば、信号処理部3から受けるドップラースペクトルおよび位相スペクトルに関する情報を保持する。バッファ61に保持されるドップラースペクトルおよび位相スペクトルの内容は、たとえば50ミリ秒ごとに更新される。
より詳細には、バッファ61の内容は、たとえば図10に示す送信期間Ttaが満了した後、ドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAに更新される。また、バッファ61の内容は、たとえば送信期間Ttbが満了した後、ドップラースペクトルDSBおよび位相スペクトルPSBに更新される。
(歩行者のドップラースペクトルの特徴)
対象波形取得部62は、送信期間Ttaが満了した後、バッファ61の内容が更新されると、バッファ61からたとえばドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)を取得する。
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成するドップラースペクトルの一例を示す図である。
図17には、たとえば、送信期間Ttaにおいて受信アンテナ13Aにより受信された電波に基づくドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)が示される。横軸は、ドップラー周波数f1dすなわち検出対象速度vdの大きさを示し、縦軸は、反射強度Irを示す。
ここでは、代表的にドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)を用いた検知処理について説明するが、他のドップラースペクトルを用いた検知処理についても同様である。
より詳細には、図17に示すドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)は、たとえば、対象エリアA1において対象物Tgtである歩行者Tgt2、具体的には1または複数の歩いている人間および1または複数の走行中の自転車が、図1に示す横断歩道PC1の横断方向に沿って移動している場合におけるドップラースペクトルである。
歩行者Tgt2のドップラースペクトルの特徴として、たとえば以下のことが挙げられる。すなわち、歩行者Tgt2は、たとえば、横断歩道PC1の横断方向すなわち送信波の指向性の方向DA,DBに沿ってほぼ一定の速度で移動するため、歩行者Tgt2の検出対象速度vdの大きさすなわち|vd|は、継続して一定の範囲に含まれる。ここで、|vd|は、検出対象速度vdの絶対値を表す。
したがって、歩行者Tgt2の|vd|すなわちドップラー周波数は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)における周波数軸方向、具体的にはドップラー周波数軸方向における50Hz以上かつ700Hz以下の範囲に継続して含まれることが多い。
また、たとえば、歩行者Tgt2の反射断面積は、自動車Tgt1の反射断面積と比べて小さいので、歩行者Tgt2の反射強度は、一定のレベル以下、具体的には−60dBm以下になる場合が多い。
再び図16を参照して、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)において、所定のしきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれる場合、対象エリアA1において対象物Tgtを検知したと判断する。
そして、対象波形取得部62は、たとえば、しきい値Thaより大きい反射強度Irを有する対象波形Wm1,Wm2,Wm3をドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)から取得し、取得した対象波形Wm1,Wm2,Wm3を対象波形分析部63へ出力するとともに、上記判断結果を示す対象エリアA1検知情報を分析結果判断部64へ出力する。
また、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)において、所定のしきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれない場合、対象エリアA1において対象物Tgtが存在していないと判断し、判断結果を示す対象エリアA1不検知情報を分析結果判断部64へ出力する。
(自動車のドップラースペクトルの特徴)
また、対象波形取得部62は、送信期間Ttbが満了した後、バッファ61の内容が更新されると、バッファ61からたとえばドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)を取得する。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する自動車のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図18には、たとえば、送信期間Ttbにおいて受信アンテナ13Bにより受信された電波に基づくドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)が示される。横軸は、ドップラー周波数f1dすなわち検出対象速度vdの大きさを示し、縦軸は、反射強度Irを示す。なお、図18に示す横軸および縦軸のスケールは、図17に示す横軸および縦軸のスケールとそれぞれ同じである。
より詳細には、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)は、たとえば、対象エリアB1において対象物Tgtである自動車Tgt1が移動している場合のドップラースペクトルである。
自動車Tgt1のドップラースペクトルの特徴として、たとえば以下のことが挙げられる。すなわち、たとえば、自動車Tgt1が一定の速度vc2で横断歩道PC1を直角に横切る場合、電波センサ101に対する自動車Tgt1の検出対象速度vdが自動車Tgt1の位置に応じて変化する。具体的には、自動車Tgt1が移動することにより位置を変える際、図13に示すように相対速度vtの方向と単位ベクトルndの方向とが変化するため、検出対象速度vdが変化する。
したがって、自動車Tgt1が位置を変える際、自動車Tgt1による対象波形の周波数は変化する。すなわち、自動車Tgt1による対象波形の周波数は時間と共に変化する。
また、たとえば、トラック等の全長の長い自動車Tgt1では自動車Tgt1の前部からの反射波のドップラー周波数と自動車Tgt1の後部からの反射波のドップラー周波数とが大きく異なることがある。したがって、自動車Tgtのドップラースペクトルでは、たとえば図18に示す対象波形Wc2のように、幅の広い対象波形が観測される。
また、自動車Tgt1では、各部分の反射断面積が大きく異なる場合が多い。このため、たとえば対象波形Wc2のように、自動車Tgt1による対象波形に含まれるピークの数が多くなる場合が多い。
また、たとえば、自動車Tgt1の反射断面積は歩行者Tgt2の反射断面積より大きいため、図17に示す対象波形Wc2における各ピークのように、自動車Tgt1に基づくピークの強度は、歩行者Tgt2に基づくピークの強度より大きくなることが多い。
再び図16を参照して、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)において、所定のしきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれる場合、対象エリアB1において対象物Tgtを検知したと判断する。
そして、対象波形取得部62は、たとえば、しきい値Thbより大きい反射強度Irを有する対象波形Wc1,Wc2,Wc3をドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)から取得し、取得した対象波形Wc1,Wc2,Wc3を対象波形分析部63へ出力するとともに、上記判断結果を示す対象エリアB1検知情報を分析結果判断部64へ出力する。
また、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)において、所定のしきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれない場合、対象エリアB1において対象物Tgtが存在していないと判断し、判断結果を示す対象エリアB1不検知情報を分析結果判断部64へ出力する。
対象波形取得部62は、たとえば、送信期間Ttaおよび送信期間Ttbが満了するごとに、バッファ61からドップラースペクトルを取得するので、対象エリアA1検知情報または対象エリアA1不検知情報対象とエリアB1検知情報または対象エリアB1不検知情報とは、概ね50ミリ秒間隔で分析結果判断部64へ出力されることになる。
[対象波形分析処理]
対象波形分析部63は、対象波形取得部62から対象波形を受けると、受けた対象波形を分析し、分析結果を分析結果判断部64へ出力する。
(対象物Tgtの種類の判別)
対象波形分析部63における種類判別部65は、受信回路12によって受信された電波に基づいて、対象波形取得部62によって検知された対象物Tgtの種類を判別する。具体的には、種類判別部65は、対象波形取得部62から受けた対象波形の幅、反射強度の大きさ、形状、ピーク数、ピーク周波数、およびピーク周波数の時間変化等の対象波形の特性に基づいて対象物Tgtの種類を判別する。
より詳細には、種類判別部65は、たとえば、図17に示す対象波形Wm1,Wm2,Wm3を対象波形取得部62から受けた場合、対象波形Wm1,Wm2,Wm3の特徴に基づいて対象物Tgtの種類を人間と判別し、判別結果を分析結果判断部64へ出力する。
また、種類判別部65は、たとえば、図18に示す対象波形Wc1,Wc2,Wc3を対象波形取得部62から受けた場合、対象波形Wc1,Wc2,Wc3の特徴に基づいて対象物Tgtの種類を車両と判別し、判別結果を分析結果判断部64へ出力する。
また、種類判別部65は、対象波形に含まれる1または複数のピークのうち、最も反射強度が大きいメインピークを探索し、探索したメインピークの周波数であるピークドップラー周波数f1dmaxを取得する。種類判別部65は、取得したピークドップラー周波数f1dmaxを距離取得部66、移動方向判定部67、方位取得部68および速度取得部69へ出力する。
(検出対象速度vdの取得)
速度取得部69は、受信回路12によって受信された電波に基づいて、自己の電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った対象物Tgtの移動速度すなわち検出対象速度vdを取得する。具体的には、速度取得部69は、種類判別部65から受けるピークドップラー周波数f1dmaxに基づいて検出対象速度vdの大きさを取得する。
より詳細には、速度取得部69は、たとえば、以下の式(12)を用いて、種類判別部65から受けるピークドップラー周波数f1dmaxから対象物Tgtの検出対象速度vdの大きさを算出する。速度取得部69は、算出した検出対象速度vdの大きさを分析結果判断部64へ出力する。
(対象距離Lの取得)
距離取得部66は、受信回路12によって受信された電波に基づいて、対象エリアA1および対象エリアB1の少なくともいずれか一方における対象物Tgtと自己の電波センサ101との距離を取得する。具体的には、距離取得部66は、種類判別部65から受けるピークドップラー周波数f1dmaxおよび位相スペクトルに基づいて自己の電波センサ101から対象物Tgtまでの対象距離Lを取得する。
より詳細には、距離取得部66は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S,A)およびPS(f2,I,S,A)を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxに対応する遅延位相θ1Smaxおよびθ2Smaxをそれぞれ取得する。距離取得部66は、たとえば、以下の式(13)を用いて、取得した遅延位相θ1Smaxおよびθ2Smaxから対象距離Lを算出する。距離取得部66は、算出した対象距離Lを分析結果判断部64へ出力する。
また、距離取得部66は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S,B)およびPS(f2,I,S,B)を用いて対象距離Lを算出する。
また、距離取得部66は、たとえば、遅延位相θ1Smaxおよびθ2Smaxの代わりに、受信アンテナ14により受信された電波に基づく遅延位相θ1Dmaxおよびθ2Dmaxから対象距離Lを算出してもよい。また、距離取得部66は、たとえば、遅延位相θ1Smaxおよびθ2Smaxから算出した距離と、遅延位相θ1Dmaxおよびθ2Dmaxから算出した距離との平均を対象距離Lとして算出してもよい。
(移動方向の判定)
移動方向判定部67は、受信回路12によって受信された電波に基づいて、対象波形取得部62によって検知された対象物Tgtの移動方向を判定する。具体的には、移動方向判定部67は、種類判別部65から受けるピークドップラー周波数f1dmaxおよびドップラースペクトルに基づいて対象物Tgtたとえば歩行者Tgt2の移動方向を検出する。
具体的には、移動方向判定部67は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積されたドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxにおける強度すなわちI成分強度を取得する。また、移動方向判定部67は、たとえば、バッファ61に蓄積されたドップラースペクトルDS(f1,Q,S,A)を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxにおける強度すなわちQ成分強度を取得する。
また、移動方向判定部67は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積されたドップラースペクトルDS(f1,I,S,B),DS(f1,Q,S,B)を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxにおけるI成分強度およびQ成分強度を取得する。
移動方向判定部67は、たとえば、I成分強度の符号およびQ成分強度の符号の関係に基づいて、ピークドップラー周波数f1dmaxを含む対象波形に対応する対象物Tgtの移動方向を判定する。移動方向判定部67は、判定結果を分析結果判断部64へ出力する。
(対象物Tgtの方位の取得)
方位取得部68は、受信回路12によって受信された電波に基づいて、対象波形取得部62によって検知された対象物Tgtの自己の電波センサ101に対する方位を取得する。具体的には、方位取得部68は、種類判別部65から受けるピークドップラー周波数f1dmaxおよび位相スペクトルに基づいて入射角ξを算出し、算出した入射角ξを自己の電波センサ101に対する対象物Tgtへの方位として取得する。
具体的には、方位取得部68は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S,A)およびPS(f1,I,D,A)を参照し、ピークドップラー周波数f1dmaxに対応する遅延位相θ1Smaxおよびθ1Dmaxをそれぞれ取得する。方位取得部68は、たとえば、以下の式(14)を用いて、取得した遅延位相θ1Smaxおよびθ1Dmaxから入射角ξを算出する。方位取得部68は、算出した入射角ξを分析結果判断部64へ出力する。
また、方位取得部68は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)に基づくピークドップラー周波数f1dmaxを種類判別部65から受けた場合、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S,B)およびPS(f1,I,D,B)を用いて入射角ξを算出する。
また、方位取得部68は、たとえば、遅延位相θ1Smaxおよびθ1Dmaxの代わりに、送信回路10が周波数f2の送信波T2(t)を送信している期間において、受信アンテナ13,14によってそれぞれ受信された電波に基づく遅延位相θ2Smaxおよびθ2Dmaxから入射角ξを算出してもよい。また、方位取得部68は、たとえば、遅延位相θ1Smaxおよびθ1Dmaxから算出した入射角と、遅延位相θ2Smaxおよびθ2Dmaxから算出した入射角との平均を入射角ξとして算出してもよい。
[検知結果の補正]
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における分析結果判断部の構成を示す図である。
図19を参照して、分析結果判断部64は、警戒要否判断部81と、警戒期間設定部82と、集約検知情報作成部83と、集約検知情報補正部84とを含む。
検知部4は、たとえば、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、たとえば、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる。
より詳細には、検知部4は、対象波形取得部62による対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果、種類判別部65により判別された当該対象物Tgtの種類、および移動方向判定部67によって判定された当該対象物Tgtの移動方向を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、対象波形取得部62による対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果、種類判別部65により判別された当該対象物Tgtの種類、および移動方向判定部67によって判定された当該対象物Tgtの移動方向を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる。
具体的には、検知部4における分析結果判断部64は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果、当該対象物Tgtの種類、および当該対象物Tgtの移動方向に基づいて対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を補正する。また、分析結果判断部64は、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果、当該対象物の種類Tgt、および当該対象物Tgtの移動方向に基づいて対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を補正する。
たとえば、分析結果判断部64における集約検知情報作成部83は、対象波形取得部62から受ける対象エリアA1検知情報、対象エリアA1不検知情報、対象エリアB1検知情報および対象エリアB1不検知情報、ならびに対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの種類を集約することにより集約検知情報を作成し、作成した集約検知情報を集約検知情報補正部84経由で信号制御装置151へ送信する。
より詳細には、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けると、対象エリアA1における対象物Tgtの種類を対象波形分析部63から受けるまで待機する。
集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「車両」を受けると、メッセージ「対象エリアA1:車両が存在」を含む集約検知情報を作成する。また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「人間」を受けると、メッセージ「対象エリアA1:人間が存在」を含む集約検知情報を作成する。また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「車両および人間」を受けると、メッセージ「対象エリアA1:車両および人間が存在」を含む集約検知情報を作成する。
また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1不検知情報を受けると、メッセージ「対象エリアA1:対象物なし」を含む集約検知情報を作成する。
また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象エリアA1検知情報または対象エリアA1不検知情報を受けたタイミングから概ね50ミリ秒後に対象波形取得部62から対象エリアB1検知情報を受けると、対象エリアB1における対象物Tgtの種類を対象波形分析部63から受けるまで待機する。
集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「車両」を受けると、メッセージ「対象エリアB1:車両が存在」を集約検知情報に追加する。また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「人間」を受けると、メッセージ「対象エリアB1:人間が存在」を集約検知情報に追加する。また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形分析部63から当該対象物Tgtの種類として「車両および人間」を受けると、メッセージ「対象エリアB1:車両および人間が存在」を集約検知情報に追加する。
また、集約検知情報作成部83は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアB1不検知情報を受けると、メッセージ「対象エリアB1:対象物なし」を集約検知情報に追加する。
集約検知情報作成部83は、たとえば、対象エリアB1についての情報を集約検知情報に追加した後、集約検知情報を集約検知情報補正部84へ出力する。
警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受け、かつ対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒が必要であるか否かを判断する。
また、警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアB1検知情報を受け、かつ対象波形分析部63から対象エリアB1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、対象エリアA1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒が必要であるか否かを判断する。
以下、分析結果判断部64が対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けた場合について詳細に説明するが、分析結果判断部64が対象波形取得部62から対象エリアB1検知情報を受けた場合についても同様である。
警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けると、対象エリアA1における対象物Tgtの種類を対象波形分析部63から受けるまで待機する。
警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「車両」を受けると、対象エリアA1において歩行者Tgt2が検知されなかったので、以下の処理を行う。すなわち、警戒要否判断部81は、たとえば、対象エリアA1から対象エリアB1へ移動する歩行者Tgt2が存在しないことから、対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒は必要でないと判断する。
また、警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、以下の処理を行う。すなわち、警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの移動方向が対象エリアB1から対象エリアA1へ向かう方向であるとき、対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒は必要でないと判断する。
一方、警戒要否判断部81は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの移動方向が対象エリアA1から対象エリアB1へ向かう方向であるとき、対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒が必要であると判断し、判断結果を警戒期間設定部82へ出力する。
図20は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが検知対象とする対象エリアを移動する歩行者の一例を示す図である。
図21は、本発明の第1の実施の形態に係る分析結果判断部における警戒期間設定部が設定する警戒期間の一例を示す図である。
図20および図21を参照して、警戒期間設定部82は、たとえば、対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒が必要であると警戒要否判断部81が判断した場合、以下の処理を行う。
すなわち、警戒期間設定部82は、たとえば、図20に示すように、対象波形分析部63から受ける対象距離Lおよび入射角ξに基づいて、対象エリアA1において対象物Tgtである歩行者Tgt2が位置する座標Ca(xa,ya)を算出する。そして、警戒期間設定部82は、たとえば、座標Ca(xa,ya)と対象エリアB1との位置関係に基づいて座標Ca(xa,ya)から対象エリアB1までの距離Kgbを算出する。
警戒期間設定部82は、たとえば、距離Kgbを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアB1へ進入するまでに要する時間Tgbを算出し、図21に示すように、算出した時間Tgbを現在の時刻tpに加えたタイミングを、対象エリアB1における横断歩道PC1の歩行者Tgt2に対する警戒が必要となる警戒期間Pbの開始タイミングtsbに設定する。
また、警戒期間設定部82は、たとえば、座標Ca(xa,ya)と歩道Pv2との位置関係に基づいて座標Ca(xa,ya)から歩道Pv2までの距離Kgp2を算出する。警戒期間設定部82は、たとえば、距離Kgp2から距離Kgbを差し引いた値を、歩行者Tgt2が対象エリアB1における横断歩道PC1を移動する距離Kcbとして算出する。
警戒期間設定部82は、たとえば、算出した距離Kcbを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアB1における横断歩道PC1の移動に要する時間Tcbを算出し、図21に示すように、警戒期間Pbの開始タイミングtsbに時間Tcbを加えたタイミングを警戒期間Pbの終了タイミングtebに設定する。
なお、警戒期間設定部82は、時間TgbおよびTgp2を算出する際、たとえば、検出対象速度vdの横断歩道PC1の横断方向への成分であるvma=(vd/cos(ξ))を検出対象速度vdの代わりに用いてもよい。これにより、時間TgbおよびTgp2をより正しく算出することができる。
警戒期間設定部82は、たとえば、警戒期間Pbの開始タイミングtsbから終了タイミングtebまで、ハイレベルの歩行者警戒信号WSbを集約検知情報補正部84へ継続して出力する。
同様に、警戒期間設定部82は、たとえば、警戒要否判断部81が対象エリアA1における横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2に対する警戒が必要となると判断した場合、以下の処理を行う。
すなわち、警戒期間設定部82は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象距離Lおよび入射角ξに基づいて、対象エリアB1において対象物Tgtである歩行者Tgt2が位置する座標Cb(xb,yb)を算出する。そして、警戒期間設定部82は、たとえば、座標Cb(xb,yb)、対象エリアA1および歩道Pv1の位置関係に基づいて、座標Cb(xb,yb)から対象エリアA1までの距離Kgaおよび座標Cb(xb,yb)から歩道Pv1までの距離Kgp1を算出する。
また、警戒期間設定部82は、たとえば、距離Kgp1から距離Kgaを差し引いた値を、歩行者Tgt2が対象エリアA1における横断歩道PC1を移動する距離Kcaとして算出する。
警戒期間設定部82は、たとえば、算出した距離KgaおよびKcaに基づいて、歩行者Tgt2が対象エリアA1へ進入するまでに要する時間Tga、および歩行者Tgt2が対象エリアA1における横断歩道PC1の移動に要する時間Tcaをそれぞれ算出する。
警戒期間設定部82は、たとえば、現在の時刻tpに算出した時間Tgaを加えたタイミングを、対象エリアA1における横断歩道PC1の歩行者Tgt2に対する警戒が必要となる警戒期間Paの開始タイミングtsaに設定し、設定した開始タイミングtsaに時間Tcaを加えたタイミングを警戒期間Paの終了タイミングteaに設定する。
警戒期間設定部82は、たとえば、警戒期間Paの開始タイミングtsaから終了タイミングteaまで、ハイレベルの歩行者警戒信号WSaを集約検知情報補正部84へ継続して出力する。
再び図19を参照して、集約検知情報補正部84は、警戒期間設定部82から受ける歩行者警戒信号WSa,WSbに基づいて、集約検知情報作成部83から受ける集約検知情報を補正し、補正後の集約検知情報を信号制御装置151へ送信する。
具体的には、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSa,WSbが共にローレベルである場合、集約検知情報作成部83から受ける集約検知情報を補正せずにそのまま信号制御装置151へ送信する。
また、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSa,WSbの少なくともいずれか一方がハイレベルである場合、集約検知情報において、ハイレベルとなっている歩行者警戒信号に対応する対象エリアについてのメッセージを補正する。
図22は、本発明の第1の実施の形態に係る分析結果判断部における集約検知情報補正部が用いる補正表の一例を示す図である。
図22を参照して、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSaがハイレベルである場合、図22に示す補正表Tbl1を用いて、集約検知情報に含まれるメッセージのうち対象エリアA1についてのメッセージを補正する。
具体的には、集約検知情報補正部84は、たとえば、対象エリアA1についてのメッセージが「対象エリアA1:車両が存在」および「対象エリアA1:対象物なし」である場合、それぞれのメッセージを「対象エリアA1:車両および人間が存在」および「対象エリアA1:人間が存在」に補正する。
また、集約検知情報補正部84は、たとえば、対象エリアA1についてのメッセージが「対象エリアA1:車両および人間が存在」および「対象エリアA1:人間が存在」である場合、補正を行わない。
すなわち、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSaがハイレベルである場合において、対象エリアA1についてのメッセージに「人間」が含まれないとき、当該メッセージに「人間」を含める補正を行う。
図23は、本発明の第1の実施の形態に係る分析結果判断部における集約検知情報補正部が用いる補正表の一例を示す図である。
図23を参照して、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSbがハイレベルである場合、歩行者警戒信号WSaがハイレベルである場合と同様に、図23に示す補正表Tbl2を用いて、集約検知情報に含まれるメッセージのうち対象エリアB1についてのメッセージを補正する。
具体的には、集約検知情報補正部84は、たとえば、対象エリアB1についてのメッセージが「対象エリアB1:車両が存在」および「対象エリアB1:対象物なし」である場合、それぞれのメッセージを「対象エリアB1:車両および人間が存在」および「対象エリアB1:人間が存在」に補正する。
また、集約検知情報補正部84は、たとえば、対象エリアB1についてのメッセージが「対象エリアB1:車両および人間が存在」および「対象エリアB1:人間が存在」である場合、補正を行わない。
すなわち、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSbがハイレベルである場合において、対象エリアB1についてのメッセージに「人間」が含まれないとき、当該メッセージに「人間」を含める補正を行う。
また、集約検知情報補正部84は、たとえば、歩行者警戒信号WSb,WSbのレベルが共にハイレベルである場合、補正表Tbl1,Tbl2を用いて、集約検知情報に含まれる対象エリアA1についてのメッセージおよび対象エリアB1についてのメッセージを補正する。
集約検知情報補正部84は、集約検知情報について補正を行った後、補正後の集約検知情報を信号制御装置151へ送信する。
[効果]
たとえば、電波センサ101は、図20に示すように、対象エリアA1に存在する歩行者Tgt2が対象エリアB1に進入した後、対象エリアB1を自動車Tgt1が移動するとき、筐体111Bに収容された送信アンテナ11Bから送信される電波に基づく、以下の反射波を受信する。
すなわち、電波センサ101は、歩行者Tgt2により反射された反射波、および自動車Tgt1により反射された反射波を重ね合わせた反射波を筐体111Bに収容された受信アンテナ13B,14Bにより受信し、受信した電波に基づくドップラースペクトルを作成する。
この際、電波センサ101は、たとえば、図17に示すドップラースペクトルDS(f1,I,S,A)と図18に示すドップラースペクトルDS(f1,I,S,B)とを重ね合わせたドップラースペクトルを作成する。作成したドップラースペクトルでは、歩行者Tgt2の対象波形Wm1〜Wm3と自動車の対象波形Wc1〜Wc3とが重なるため、電波センサ102では、作成したドップラースペクトルに基づいて横断歩道PC1における歩行者Tgt2を正確に検知することが困難となることがある。
また、たとえば、筐体111Bと歩行者Tgt2との間に自動車Tgt1が位置する場合、歩行者Tgt2により反射された反射波が遮られ、筐体111Bに収容された受信アンテナ13B,14Bが、当該反射波を受信することができないことがある。
これに対して、分析結果判断部64では、歩行者Tgt2が対象エリアB1における横断歩道PC1に存在する警戒期間Pbを設定する構成により、複数の対象物Tgtからの反射波を重ね合わせた反射波を受信する場合、および歩行者Tgt2からの反射波が遮られて受信できない場合においても、歩行者Tgt2が対象エリアB1に存在することを検知することができる。これは、対象エリアA1に存在する歩行者Tgt2の検知についても同様である。
[動作]
図24は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける送信回路が対象エリアへ電波を送信する際の動作手順を定めたフローチャートである。信号制御システム201における電波センサ101は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
図24を参照して、電波センサ101における送信回路10Aおよび10Bは、GPS衛星から送信される電波に含まれる標準時刻を用いることにより同期している。送信回路10Aは、送信期間Ttaにおいて、送信アンテナ11A経由で対象エリアA1へ電波を送信する。また、受信回路12Aは、対象エリアA1からの電波を受信する(ステップS102)。
次に、送信回路10Bは、送信期間Ttbにおいて、送信アンテナ11B経由で対象エリアB1へ電波を送信する。また、受信回路12Bは、対象エリアB1からの電波を受信する(ステップS104)。
図25は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサ電波センサが、受信した電波に基づく信号を処理する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図25を参照して、信号処理部3は、送信期間Tta満了後、受信回路12Aにより受信された対象エリアA1からの電波に基づくドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAを作成する(ステップS202)。
次に、検知部4は、ドップラースペクトルDSAにおいて、しきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれない場合(ステップS204でNO)、対象エリアA1において対象物Tgtが存在していないと判断し、集約検知情報を作成する(ステップS212)。
一方、検知部4は、ドップラースペクトルDSAにおいて、しきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれる場合(ステップS204でYES)、対象エリアA1において対象物Tgtが存在すると判断し、対象波形を取得する(ステップS206)。
次に、検知部4は、取得した対象波形、ドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAに基づいて、対象物Tgtの種類を判別するとともに、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)を取得する(ステップS208)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)に基づいて警戒期間Pbの設定処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果に基づいて集約検知情報の作成処理を行う(ステップS210)。
次に、信号処理部3は、送信期間Ttb満了後、受信回路12Bにより受信された対象エリアB1からの電波に基づくドップラースペクトルDSBおよび位相スペクトルPSBを作成する(ステップS214)。
次に、検知部4は、ドップラースペクトルDSBにおいて、しきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれない場合(ステップS216でNO)、対象エリアB1において対象物Tgtが存在していないと判断し、判断結果を含むメッセージを集約検知情報に追加する(ステップS224)。
一方、検知部4は、ドップラースペクトルDSBにおいて、しきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれる場合(ステップS216でYES)、対象エリアB1において対象物Tgtが存在すると判断し、対象波形を取得する(ステップS218)。
次に、検知部4は、取得した対象波形、ドップラースペクトルDSBおよび位相スペクトルPSBに基づいて、対象物Tgtの種類を判別するとともに、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)を取得する(ステップS220)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)に基づいて警戒期間Paの設定処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果を集約検知情報に追加する(ステップS222)。
次に、検知部4は、警戒期間Pa,Pbに基づいて集約検知情報を補正する(ステップS226)。
次に、検知部4は、集約検知情報を信号制御装置151へ送信する(ステップS228)。
次に、検知部4は、送信期間Tta満了後、受信回路12Aにより受信された対象エリアA1からの電波に基づくドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAを作成する(ステップS202)。
図26は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが警戒期間の設定処理および集約検知情報の作成処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図26は、図25のステップS210における警戒期間Pbの設定処理および集約検知情報の作成処理の動作の詳細を示している。
図26を参照して、検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれる場合(ステップS252でYES)、以下の処理を行う。
すなわち、検知部4は、対象物Tgtである歩行者Tgt2の移動方向が対象エリアA1から対象エリアB1へ向かう方向である場合(ステップS254でYES)、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)に基づいて警戒期間Pbを設定する(ステップS256)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれるか否かを判断する(ステップS258)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの移動方向が対象エリアA1から対象エリアB1へ向かう方向でない場合(ステップS254でNO)、警戒期間Pbを設定することなく、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれるか否かを判断する(ステップS258)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれる場合(ステップS258でYES)、メッセージ「対象エリアA1:車両および人間が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS264)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれない場合(ステップS258でNO)、メッセージ「対象エリアA1:人間が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS260)。
また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれない場合(ステップS252でNO)、メッセージ「対象エリアA1:車両が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS262)。
図27は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが警戒期間の設定処理および集約検知情報のメッセージ追加処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図27は、図25のステップS222における警戒期間Paの設定処理および集約検知情報にメッセージを追加する処理の動作の詳細を示している。
図27を参照して、検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれる場合(ステップS302でYES)、以下の処理を行う。
すなわち、検知部4は、対象物Tgtの移動方向が対象エリアB1から対象エリアA1へ向かう方向である場合(ステップS304でYES)、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)に基づいて警戒期間Paを設定する(ステップS306)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれるか否かを判断する(ステップS308)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの移動方向が対象エリアA1から対象エリアB1へ向かう方向でない場合(ステップS304でNO)、警戒期間Paを設定することなく、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれるか否かを判断する(ステップS308)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれる場合(ステップS308でYES)、メッセージ「対象エリアB1:車両および人間が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS314)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれない場合(ステップS308でNO)、メッセージ「対象エリアB1:人間が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS310)。
また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれない場合(ステップS302でNO)、メッセージ「対象エリアB1:車両が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS312)。
図28は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における集約検知情報補正部が集約検知情報を補正する際の動作手順を定めたフローチャートである。図28は、図25のステップS226における集約検知情報の補正処理の動作の詳細を示している。
図28を参照して、検知部4の分析結果判断部64における集約検知情報補正部84は、警戒期間Paにおいて、すなわち警戒期間設定部82からハイレベルの歩行者警戒信号WSaを受けている間(ステップS352でYES)、図22に示す補正表Tbl1を用いて、集約検知情報に含まれる対象エリアA1についてのメッセージを補正する(ステップS354)。
次に、集約検知情報補正部84は、警戒期間設定部82から受ける歩行者警戒信号WSbのレベルを確認する(ステップS356)。
一方、集約検知情報補正部84は、警戒期間設定部82からローレベルの歩行者警戒信号WSaを受けている間(ステップS352でNO)、集約検知情報に含まれる対象エリアB1についてのメッセージの補正を行わず、警戒期間設定部82から受ける歩行者警戒信号WSbのレベルを確認する(ステップS356)。
次に、集約検知情報補正部84は、警戒期間Pbにおいて、すなわち警戒期間設定部82からハイレベルの歩行者警戒信号WSbを受けている間(ステップS356でYES)、図23に示す補正表Tbl2を用いて、集約検知情報に含まれる対象エリアB1についてのメッセージを補正する(ステップS358)。
一方、集約検知情報補正部84は、警戒期間設定部82からローレベルの歩行者警戒信号WSbを受けている間(ステップS356でNO)、集約検知情報に含まれる対象エリアB1についてのメッセージの補正を行わない。
[対象物Tgtの移動先のエリアの推定]
図29は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における分析結果判断部の変形例の構成を示す図である。
図29を参照して、図19に示す分析結果判断部64の変形例である分析結果判断部364は、移動先エリア推定部381と、横断期間設定部382と、集約検知情報作成部83と、推定メッセージ追加部384とを含む。
分析結果判断部364における集約検知情報作成部83の動作は、図19に示す分析結果判断部64における集約検知情報作成部83と同様である。
図29を参照して、以下、図4および図5に示す分離配置において用いられる電波センサ101における分析結果判断部364の構成および動作について説明する。なお、重複配置および隣接配置において用いられる電波センサ101が、分析結果判断部364を備える構成であってもよい。
分離配置において用いられる電波センサ101では、送信回路10Aは、図4および図5に示すように、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された筐体111Aに収容された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアA1に電波を送信する。また、送信回路10Bは、当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側に設置された筐体111Bに収容された送信アンテナ11Bから当該第2端部を含む対象エリアB1に電波を送信する。
したがって、分離配置において用いられる電波センサ101では、送信回路10A,10Bは、対象エリアC1へ電波を送信しないので、対象エリアC1における対象物Tgtを直接検知することができない。一方、電波センサ101は、対象エリアA1およびB1における対象物Tgtの移動先のエリアを推定することにより、対象エリアC1における対象物Tgtを間接的に検知する。
具体的には、検知部4における分析結果判断部364は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果、当該対象物Tgtの種類、および当該対象物Tgtの移動方向に基づいて、対象物Tgtが対象エリアA1以外の他のエリアのうちいずれのエリアへ移動するかを推定する。また、分析結果判断部364は、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果、当該対象物Tgtの種類、および当該対象物Tgtの移動方向に基づいて、対象物Tgtが対象エリアB1以外の他のエリアのうちいずれのエリアへ移動するかを推定する。
より詳細には、分析結果判断部364における集約検知情報作成部83は、対象波形取得部62から受ける対象エリアA1検知情報、対象エリアA1不検知情報、対象エリアB1検知情報および対象エリアB1不検知情報、ならびに対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの種類を集約することにより集約検知情報を作成し、作成した集約検知情報を推定メッセージ追加部384経由で信号制御装置151へ送信する。
移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受け、かつ対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、対象エリアA1における対象物Tgtすなわち歩行者Tgt2の移動先のエリアを推定する。
また、移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアB1検知情報を受け、かつ対象波形分析部63から対象エリアB1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、対象エリアB1における対象物Tgtすなわち歩行者Tgt2の移動先のエリアを推定する。
以下、分析結果判断部364が対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けた場合について詳細に説明するが、分析結果判断部364が対象波形取得部62から対象エリアB1検知情報を受けた場合についても同様である。
すなわち、移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けると、対象エリアA1における対象物Tgtの種類を対象波形分析部63から受けるまで待機する。
移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「車両」を受けると、対象エリアA1において歩行者Tgt2が存在しないことから、対象エリアA1における対象物Tgtの移動先のエリアを推定する必要がないと判断する。
また、移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形分析部63から対象エリアA1における対象物Tgtの種類として「人間」または「車両および人間」を受けると、対象エリアA1における対象物Tgtの移動先のエリアを推定する必要があると判断し、以下の処理を行う。
すなわち、移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの移動方向が、図4に示す横断歩道PC1から歩道Pv1へ向かう方向であるとき、対象エリアA1における対象物Tgtの移動先のエリアを待機エリアAsAと推定する。
一方、移動先エリア推定部381は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象物Tgtの移動方向が歩道Pv1から横断歩道PC1へ向かう方向であるとき、対象エリアA1における対象物Tgtの移動先のエリアを対象エリアC1と推定する。移動先エリア推定部381は、推定結果を横断期間設定部382へ出力する。
図30は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが検知対象とする歩行者の横断歩道における移動の一例を示す図である。
図31は、本発明の第1の実施の形態に係る分析結果判断部における横断期間設定部が設定する横断期間の一例を示す図である。
図30および図31を参照して、横断期間設定部382は、たとえば、移動先エリア推定部381が対象エリアA1における対象物Tgtの移動先のエリアを対象エリアC1と推定した場合、以下の処理を行う。
すなわち、横断期間設定部382は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象距離Lおよび入射角ξに基づいて、図30に示すように、対象エリアA1において対象物Tgtである歩行者Tgt2が位置する座標Ca(xa,ya)を算出する。
そして、横断期間設定部382は、たとえば、座標Ca(xa,ya)と対象エリアA1との位置関係に基づいて座標Ca(xa,ya)から対象エリアC1までの距離Kgacを算出し、算出した距離Kgacを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアC1へ進入するまでに要する時間Tgacを算出する。
横断期間設定部382は、たとえば、図31に示すように、算出した時間Tgacを現在の時刻tpに加えたタイミングを、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を渡り始める横断期間Pcacの開始タイミングtsacに設定する。
また、横断期間設定部382は、たとえば、座標Ca(xa,ya)と対象エリアB1との位置関係に基づいて座標Ca(xa,ya)から対象エリアB1までの距離Kgabを算出し、算出した距離Kgabから距離Kgacを差し引いた値を、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を移動する距離Kcacとして算出する。
横断期間設定部382は、たとえば、算出した距離Kcacを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を渡るのに要する時間Tcacを算出し、図31に示すように、横断期間Pcacの開始タイミングtsacに時間Tcacを加えたタイミングを横断期間Pcacの終了タイミングteacに設定する。
横断期間設定部382は、たとえば、横断期間Pcacの開始タイミングtsacから終了タイミングteacまで、ハイレベルの歩行者横断信号CSacを推定メッセージ追加部384へ継続して出力する。
同様に、横断期間設定部382は、たとえば、移動先エリア推定部381が対象エリアB1における対象物Tgtの移動先のエリアを対象エリアC1と推定した場合、以下の処理を行う。
すなわち、横断期間設定部382は、たとえば、対象波形分析部63から受ける対象距離Lおよび入射角ξに基づいて、対象エリアB1において対象物Tgtである歩行者Tgt2が位置する座標Cb(xb,yb)を算出する。
そして、横断期間設定部382は、たとえば、座標Cb(xb,yb)と対象エリアB1との位置関係に基づいて座標Cb(xb,yb)から対象エリアC1までの距離Kgbcを算出し、算出した距離Kgbcを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアC1へ進入するまでに要する時間Tgbcを算出する。
横断期間設定部382は、たとえば、算出した時間Tgbcを現在の時刻tpに加えたタイミングを、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を渡り始める横断期間Pcbcの開始タイミングtsbcに設定する。
また、横断期間設定部382は、たとえば、座標Cb(xb,yb)と対象エリアA1との位置関係に基づいて座標Cb(xb,yb)から対象エリアA1までの距離Kgbaを算出し、算出した距離Kgbaから距離Kgbcを差し引いた値を、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を移動する距離Kcbcとして算出する。
横断期間設定部382は、たとえば、算出した距離Kcbcを検出対象速度vdで除することにより、歩行者Tgt2が対象エリアC1における横断歩道PC1を渡るのに要する時間Tcbcを算出し、横断期間Pcbcの開始タイミングtsbcに時間Tcbcを加えたタイミングを横断期間Pcbcの終了タイミングtebcに設定する。
横断期間設定部382は、たとえば、横断期間Pcbcの開始タイミングtsbcから終了タイミングtebcまで、ハイレベルの歩行者横断信号CSbcを推定メッセージ追加部384へ継続して出力する。
再び図29を参照して、推定メッセージ追加部384は、横断期間設定部382から受ける歩行者横断信号CSac,CSbcに基づいて、集約検知情報作成部83から受ける集約検知情報に後述する推定メッセージを追加し、追加後の集約検知情報を信号制御装置151へ送信する。
具体的には、推定メッセージ追加部384は、たとえば、歩行者横断信号CSac,CSbcが共にローレベルである場合、集約検知情報作成部83から受ける集約検知情報に推定メッセージ「対象エリアC1:対象物なし」を追加して信号制御装置151へ送信する。
また、推定メッセージ追加部384は、たとえば、歩行者横断信号CSac,CSbcの少なくともいずれか一方がハイレベルである場合、集約検知情報作成部83から受ける集約検知情報に推定メッセージ「対象エリアC1:人間が存在」を追加して信号制御装置151へ送信する。
[動作]
図32は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが、受信した電波に基づく信号を処理する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図32を参照して、ステップS402〜S408およびステップS412の動作は、図25に示すフローチャートにおけるステップS202〜S208およびステップS212の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)に基づいて横断期間Pcacの設定処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果に基づいて集約検知情報の作成処理を行う(ステップS410)。
以降のステップS414〜S420およびステップS424の動作は、図25に示すフローチャートにおけるステップS214〜S220およびステップS224の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)に基づいて横断期間Pcbcの設定処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果を集約検知情報に追加する(ステップS422)。
以降のステップS426〜S428の動作は、図25に示すフローチャートにおけるステップS226〜S228の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
図33は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが横断期間の設定処理および集約検知情報の作成処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図33は、図32のステップS410における横断期間Pcacの設定処理および集約検知情報の作成処理の動作の詳細を示している。
図33を参照して、ステップS452〜S454およびステップS462の動作は、図26に示すフローチャートにおけるステップS252〜S254およびステップS262の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれ、かつ対象物Tgtである歩行者Tgt2の移動方向が対象エリアA1から対象エリアB1へ向かう方向である場合(ステップS452でYESおよびステップS454でYES)、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)に基づいて横断期間Pcacを設定する(ステップS456)。
以降のステップS458〜S460およびステップS464の動作は、図26に示すフローチャートにおけるステップS258〜S260およびステップS264の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
図34は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが横断期間の設定処理および集約検知情報のメッセージ追加処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図34は、図32のステップS422における横断期間Pcbcの設定処理および集約検知情報にメッセージを追加する処理の動作の詳細を示している。
図34を参照して、ステップS502〜S504およびステップS512の動作は、図27に示すフローチャートにおけるステップS302〜S304およびステップS312の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれ、かつ対象物Tgtである歩行者Tgt2の移動方向が対象エリアB1から対象エリアA1へ向かう方向である場合(ステップS502でYESおよびステップS504でYES)、検出対象速度vdおよび対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)に基づいて横断期間Pcbcを設定する(ステップS506)。
以降のステップS508〜S510およびステップS514の動作は、図27に示すフローチャートにおけるステップS308〜S310およびステップS314の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
図35は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における推定メッセージ追加部が推定メッセージを集約検知情報に追加する際の動作手順を定めたフローチャートである。図35は、図32のステップS426における推定メッセージの追加処理の動作の詳細を示している。
図35を参照して、検知部4の分析結果判断部364における推定メッセージ追加部384は、横断期間PcacまたはPcbcである場合、すなわち横断期間設定部382からハイレベルの歩行者横断信号CSacまたはハイレベルの歩行者横断信号CSbcを受ける場合(ステップS552でYESまたはステップS556でYES)、推定メッセージ「対象エリアC1:人間が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS560)。
一方、推定メッセージ追加部384は、横断期間設定部382からローレベルの歩行者横断信号CSacおよびローレベルの歩行者横断信号CSbcを受ける場合(ステップS552でNOおよびステップS556でNO)、推定メッセージ「対象エリアC1:対象物なし」を集約検知情報に追加する(ステップS558)。
[電波センサ101の変形例]
図36は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの一例を道路上から交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図36を参照して、たとえば、自動車Tgt2は、表面が金属で覆われておりかつ歩行者Tgt2と比べて表面積が大きいので、自動車Tgt2の反射断面積は、歩行者Tgt1の反射断面積より大きい。
したがって、たとえば、センサ設置者が、横断歩道PC1における対象物Tgtとして歩行者Tgt2を検知対象とするために隣接配置を設定した場合、自動車Tgt1を検知可能なエリアは、以下のようになる。
すなわち、電波センサは、筐体111Aに収容された送信アンテナ11Aから送信した電波に基づいて、対象エリアA1と比べて、図36に示すように、対象エリアA1および対象エリアB1が隣接する境界線Dabより筐体111B側に延長されたエリアである対象エリアCA1内に位置する自動車Tgt2を検知することが可能である。
また、電波センサは、筐体111Bに収容された送信アンテナ11Bから送信した電波に基づいて、対象エリアB1と比べて、図36に示すように、境界線Dabより筐体111A側に延長されたエリアである対象エリアCB1内に位置する自動車Tgt2を検知することが可能である。
以下、対象エリアCA1および対象エリアCB1が重なる領域を車両感知重複エリアRc1とも称する。
[課題]
たとえば、電波センサは、図36に示すように、対象エリアA1に歩行者Tgt2が存在する場合において、車両感知重複エリアRc1に自動車Tgt1が存在するとき、筐体111Aに収容された送信アンテナ11Aから送信した電波に基づく、以下の反射波を受信する。
すなわち、電波センサは、歩行者Tgt2により反射された反射波、および自動車Tgt1により反射された反射波を重ね合わせた反射波を筐体111Aに収容された受信アンテナ13A,14Aにより受信する。このため、電波センサでは、受信した反射波に基づいて横断歩道PC1における歩行者Tgt2を正確に検知することが困難となることがある。これは、対象エリアB1において歩行者Tgt2が存在する場合においても同様である。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサの変形例では、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
図37は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサの変形例の構成を示す図である。
図37を参照して、図8に示す電波センサ101の変形例である電波センサ102は、電波センサ101と比べて、さらに、制御部6を備える。
電波センサ102における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bおよび信号処理部3の動作は、図8に示す電波センサ101における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bおよび信号処理部3とそれぞれ同様である。
たとえば、図36に示すように隣接配置において用いられる電波センサ102では、送信回路10Aは、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された筐体111Aに収容された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアCA1に電波を送信する。また、送信回路10Bは、当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側に設置された筐体111Bに収容された送信アンテナ11Bから当該第2端部を含む対象エリアCB1に電波を送信する。
[送信電力の変更]
図38は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサの変形例における分析結果判断部の構成を示す図である。
図38を参照して、分析結果判断部464は、図19に示す分析結果判断部64と比べて、警戒要否判断部81、警戒期間設定部82および集約検知情報補正部84の代わりに、車両位置判断部481を含む。
分析結果判断部464における集約検知情報作成部83の動作は、図19に示す分析結果判断部64における集約検知情報作成部83と同様である。
図37および図38を参照して、集約検知情報作成部83は、集約検知情報を作成し、作成した集約検知情報を信号制御装置151へ送信する。
車両位置判断部481は、たとえば、対象波形取得部62から対象エリアA1検知情報を受けると、対象物Tgtの種類を対象波形分析部63から受けるまで待機する。
車両位置判断部481は、たとえば、対象波形分析部63から対象物Tgtの種類として「車両」または「車両および人間」を受けると、対象波形分析部63から受ける対象距離Lおよび入射角ξに基づいて、当該対象物Tgtである自動車Tgt1の位置を取得する。
車両位置判断部481は、たとえば、取得した位置が車両感知重複エリアRc1に含まれる場合、重複エリア車両検知情報RCAを制御部6へ出力する。
再び図37を参照して、制御部6は、たとえば、検知部4による対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Bによって送信アンテナ11Bから対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更する。また、制御部6は、たとえば、検知部4による対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Aによって送信アンテナ11Aから対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更する。
具体的には、制御部6は、たとえば、検知部4から重複エリア車両検知情報RCBを受けると、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnAからGnAより小さいGeAに設定する。
このような構成により、送信回路10Aから送信アンテナ11A経由で送信される電波の電力を小さくすることができるので、対象エリアCA1を小さくすることができる。これにより、電波センサ102は、車両感知重複エリアRc1に存在する自動車Tgt2からの反射波の影響を抑制することによって、対象エリアCA1における歩行者Tgt2を良好に検知することができる。
そして、制御部6は、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeAに設定してから所定時間Trca経過後、当該パワーアンプ33の増幅率をGnAに戻す。
同様に、制御部6は、たとえば、検知部4から重複エリア車両検知情報RCAを受けると、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnBからGnBより小さいGeBに設定する。
このような構成により、送信回路10Bから送信アンテナ11B経由で送信される電波の電力を小さくすることができるので、対象エリアCB1を小さくすることができる。これにより、電波センサ102は、車両感知重複エリアRc1に存在する自動車Tgt2からの反射波の影響を抑制することによって、対象エリアCB1における歩行者Tgt2を良好に検知することができる。
そして、制御部6は、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeBに設定してから所定時間Trcb経過後、当該パワーアンプ33の増幅率をGnBに戻す。
[動作]
図39は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが、受信した電波に基づく信号を処理し、処理結果に基づいて送信電力を変更する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図39を参照して、信号処理部3は、送信期間Tta満了後、受信回路12Aにより受信された対象エリアCA1からの電波に基づくドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAを作成する(ステップS602)。
次に、検知部4は、ドップラースペクトルDSAにおいて、しきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれない場合(ステップS604でNO)、対象エリアCA1において対象物Tgtが存在していないと判断し、集約検知情報を作成する(ステップS612)。
一方、検知部4は、ドップラースペクトルDSAにおいて、しきい値Thaより大きい反射強度Irが含まれる場合(ステップS604でYES)、対象エリアCA1において対象物Tgtが存在すると判断し、対象波形を取得する(ステップS606)。
次に、検知部4は、取得した対象波形、ドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAに基づいて、対象物Tgtの種類を判別するとともに、対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)を取得する(ステップS608)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および対象物Tgtの座標Ca(xa,ya)に基づいて送信電力変更処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果に基づいて集約検知情報の作成処理を行う(ステップS610)。
次に、信号処理部3は、送信期間Ttb満了後、受信回路12Bにより受信された対象エリアCB1からの電波に基づくドップラースペクトルDSBおよび位相スペクトルPSBを作成する(ステップS614)。
次に、検知部4は、ドップラースペクトルDSBにおいて、しきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれない場合(ステップS616でNO)、対象エリアCB1において対象物Tgtが存在していないと判断し、判断結果を含むメッセージを集約検知情報に追加する(ステップS624)。
一方、検知部4は、ドップラースペクトルDSBにおいて、しきい値Thbより大きい反射強度Irが含まれる場合(ステップS616でYES)、対象エリアCB1において対象物Tgtが存在すると判断し、対象波形を取得する(ステップS618)。
次に、検知部4は、取得した対象波形、ドップラースペクトルDSBおよび位相スペクトルPSBに基づいて、対象物Tgtの種類を判別するとともに、対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)を取得する(ステップS620)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および対象物Tgtの座標Cb(xb,yb)に基づいて送信電力変更処理を行う。また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果および上記判断結果を集約検知情報に追加する(ステップS622)。
次に、検知部4は、集約検知情報を信号制御装置151へ送信する(ステップS626)。
次に、検知部4は、送信期間Tta満了後、受信回路12Aにより受信された対象エリアCA1からの電波に基づくドップラースペクトルDSAおよび位相スペクトルPSAを作成する(ステップS602)。
図40は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが送信電力の変更処理および集約検知情報の作成処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図40は、図39のステップS610における送信電力変更処理および集約検知情報の作成処理の動作の詳細を示している。
図40を参照して、検知部4は、対象エリアCA1における対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれる場合(ステップS652でYES)、以下の処理を行う。
すなわち、検知部4は、自動車Tgt1が車両感知重複エリアRc1内に存在する場合(ステップS654でYES)、重複エリア車両検知情報RCAを制御部6へ出力する。そして、制御部6は、重複エリア車両検知情報RCAを検知部4から受けると、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnBからGeBに下げる(ステップS656)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれるか否かを判断する(ステップS658)。
一方、検知部4は、自動車Tgt1が車両感知重複エリアRc1内に存在しない場合(ステップS654でNO)、重複エリア車両検知情報RCAを制御部6へ出力することなく、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれるか否かを判断する(ステップS658)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれる場合(ステップS658でYES)、メッセージ「対象エリアA1:車両および人間が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS664)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれない場合(ステップS658でNO)、メッセージ「対象エリアA1:車両が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS660)。
また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれない場合(ステップS652でNO)、メッセージ「対象エリアA1:人間が存在」を含む集約検知情報を作成する(ステップS662)。
次に、制御部6は、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeBに下げてから所定時間Trcb経過した場合(ステップS666でYES)、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnBに戻す(ステップS668)。
一方、制御部6は、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeBに下げてから所定時間Trcb経過していない場合(ステップS666でNO)、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeBのまま維持する。
なお、制御部6は、上記ステップS656において、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnBからGeBに下げるとともに、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnAからGeAに下げてもよい。
このような構成により、送信回路10Bから送信アンテナ11B経由で送信される電波の電力だけでなく、送信回路10Aから送信アンテナ11A経由で送信される電波の電力も小さくすることができるので、電波センサ102は、車両感知重複エリアRc1に存在する自動車Tgt2からの反射波の影響を抑制することによって、対象エリアCA1および対象エリアCB1における歩行者Tgt2を良好に検知することができる。
図41は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが送信電力の変更処理および集約検知情報のメッセージ追加処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図41は、図39のステップS622における送信電力変更処理および集約検知情報にメッセージを追加する処理の動作の詳細を示している。
図41を参照して、検知部4は、対象エリアCB1における対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれる場合(ステップS702でYES)、以下の処理を行う。
すなわち、検知部4は、自動車Tgt1が車両感知重複エリアRc1内に存在する場合(ステップS704でYES)、重複エリア車両検知情報RCBを制御部6へ出力する。そして、制御部6は、重複エリア車両検知情報RCBを検知部4から受けると、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnAからGeAに下げる(ステップS706)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれるか否かを判断する(ステップS708)。
一方、検知部4は、自動車Tgt1が車両感知重複エリアRc1内に存在しない場合(ステップS704でNO)、重複エリア車両検知情報RCBを制御部6へ出力することなく、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれるか否かを判断する(ステップS708)。
次に、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれる場合(ステップS708でYES)、メッセージ「対象エリアB1:車両および人間が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS714)。
一方、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「人間」が含まれない場合(ステップS708でNO)、メッセージ「対象エリアB1:車両が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS710)。
また、検知部4は、対象物Tgtの種類の判別結果において「車両」が含まれない場合(ステップS702でNO)、メッセージ「対象エリアB1:人間が存在」を集約検知情報に追加する(ステップS712)。
次に、制御部6は、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeAに下げてから所定時間Trca経過した場合(ステップS716でYES)、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnAに戻す(ステップS718)。
一方、制御部6は、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeAに下げてから所定時間Trca経過していない場合(ステップS716でNO)、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGeAのまま維持する。
なお、制御部6は、上記ステップS706において、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnAからGeAに下げるとともに、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnBからGeBに下げてもよい。
ところで、特許文献1に記載の物体識別装置では、音波または電磁波の照射処理および検出処理と、画像処理とを用いて物体の種別を識別するため、装置の構成が複雑になり、かつコストがかかるという問題がある。
また、たとえば、車道を横切る横断歩道を検知対象である対象物が位置する対象エリアとする場合において、特許文献2に記載のドップラーレーダを用いて当該対象エリアにおける対象物を検知するとき、以下の問題が生ずることがある。
すなわち、歩行者および自動車等の複数の対象物が対象エリアに存在する場合、ドップラーレーダは、歩行者により反射された電波である反射波、および自動車により反射された電波である反射波を重ね合わせた反射波を受信する。この場合、ドップラーレーダは、受信した反射波に基づいて横断歩道における各対象物を正確に検知することが困難となる。上記のような場合でも、対象物を精度よく検知することが可能なドップラーレーダ等の電波センサが求められている。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信回路10Aは、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアA1に電波を送信可能である。送信回路10Bは、当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側に設置された送信アンテナ11Bから当該第2端部を含む対象エリアB1に電波を送信可能である。受信回路12Aは、対象エリアA1からの電波を受信する。受信回路12Bは、対象エリアB1からの電波を受信する。検知部4は、受信回路12Aおよび受信回路12Bによって受信された電波に基づいて、対象エリアA1および対象エリアB1の少なくともいずれか一方における対象物Tgtを検知する。
このように、横断歩道PC1の第1端部側および第2端部側からそれぞれ電波を送信する構成により、たとえば、第1端部または第2端部における人間の検知を妨げる自動車Tgt2等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、当該人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部および第2端部において、たとえば、横断歩道PC1を渡ろうとする人間、および横断歩道PC1を渡り終えた人間の両方を対象物Tgtとして精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物Tgtを検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、対象エリアA1および対象エリアB1は、互いの一部が重複する。
このような構成により、対象エリアA1および対象エリアB1が重複する重複エリアにおいて、送信アンテナ11Aから送信された電波および送信アンテナ11Bから送信された電波の両方に基づいて対象物Tgtを検知することができるので、たとえば、送信アンテナ11Aおよび11Bからの距離が長いため重複エリアにおける電波が弱く、当該対象物Tgtの検知が困難である場合においても、重複エリアにおける当該対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、対象エリアA1および対象エリアB1を合わせたエリア内に横断歩道PC1を含めることができるので、横断歩道PC1における対象物Tgtを直接検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、横断歩道PC1は、対象エリアA1と対象エリアB1との間に位置する対象エリアC1を含む。検知部4は、対象エリアA1、対象エリアB1および対象エリアC1の少なくともいずれか1つにおける対象物Tgtを検知する。
このように、横断歩道PC1を複数のエリアに分割して検知する構成により、車両および人間が同時期に1つのエリアで検知される確率を低減することができるので、車両からの電波および人間からの電波を同時に受信することにより対象物を精度よく検知することが困難となってしまう状況を回避することができる。これにより、対象物Tgtをより精度よく検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。
このような構成により、たとえば、対象エリアB1において対象物Tgtの検知が困難な場合においても、対象エリアA1における検知結果を対象エリアB1における対象物Tgtの検知のサポートに用いることができるので、対象エリアB1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、移動方向判定部67は、受信回路12Aおよび受信回路12Bの少なくともいずれか一方によって受信された電波に基づいて、検知部4によって検知された対象物Tgt2の移動方向を判定する。検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgt2の検知結果、および移動方向判定部67によって判定された当該対象物Tgtの移動方向を、対象エリアA1以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いる。また、検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgt2の検知結果、および移動方向判定部67によって判定された当該対象物Tgtの移動方向を、対象エリアB1以外の他のエリアにおける対象物の検知に用いる。
このような構成により、検知した対象物Tgtの移動先のエリアを取得することができるので、移動元のエリアにおける検知結果を、移動先のエリアにおける対象物Tgtの検知のサポートに用いることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、種類判別部65は、受信回路12Aおよび受信回路12Bの少なくともいずれか一方によって受信された電波に基づいて、検知部4によって検知された対象物Tgtの種類を判別する。検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果、および種類判別部65によって判別された当該対象物Tgtの種類を、対象エリアA1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果、および種類判別部65によって判別された当該対象物Tgtの種類を、対象エリアB1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。
このような構成により、たとえば、検知した対象物Tgtの種類に応じて、他のエリアにおける対象物Tgtの検知のサポートを行うか否かを決定することができるので、検知処理の効率を向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、制御部6は、検知部4による対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Bによって送信アンテナ11Bから対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更する。また、制御部6は、検知部4による対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Aによって送信アンテナ11Aから対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更する。
このように、たとえば、対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に応じて、対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更して対象エリアCB1の範囲を変更する構成により、交通状況に応じて対象エリアCB1の範囲を柔軟に変更することができるので、対象エリアCB1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信部として2つの送信回路10A,10Bが設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではなく、送信部として送信回路が1つ設けられる構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、受信部として2つの受信回路12A,12Bが設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではなく、受信部として受信回路が1つ設けられる構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、検知部4は、対象波形取得部62による対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果、種類判別部65により判別された当該対象物Tgtの種類、および移動方向判定部67によって判定された当該対象物Tgtの移動方向を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部4は、少なくとも対象波形取得部62による対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いる構成であればよい。同様に、検知部4は、少なくとも対象波形取得部62による対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる構成であればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、検知部4は、対象波形取得部62による対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用い、かつ対象波形取得部62による対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部4は、対象波形取得部62による対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いるか、または対象波形取得部62による対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、制御部6は、検知部4による対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Bによって送信アンテナ11Bから対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更する制御、および検知部4による対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Aによって送信アンテナ11Aから対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更する制御の両方を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部6は、これらの制御のいずれか一方を行う構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、対象エリアA1および対象エリアB1へ交互に電波を送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、対象エリアA1へ送信する電波の周波数と異なる周波数の電波を対象エリアB1へ送信することにより、対象エリアA1および対象エリアB1へ同時に電波を送信する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、2周波CW方式に従って、対象エリアにおける対象物Tgtを検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、2周波CW方式以外の方式に従って、対象エリアにおける対象物Tgtを検知する構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電波センサと比べて、アンテナの配置を変えた電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電波センサと同様である。
図42は、本発明の第2の実施の形態に係る信号制御システムの構成を示す図である。
図42を参照して、信号制御システム202は、電波センサ103と、信号制御装置151と、歩行者用信号灯器161A,161Bとを備える。電波センサ103は、筐体113を含む。信号制御システム202における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161A,161Bの動作は、図1に示す信号制御システム201における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161A,161Bと同様である。
電波センサ103は、たとえば道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ103に含まれる筐体113は、たとえば道路Rd1付近に設置された支柱P1Aに固定されている。電波センサ101における筐体113および信号制御装置151は、たとえば図示しない信号線で接続されている。
[電波センサの構成]
図43は、本発明の第2の実施の形態に係る信号制御システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図43を参照して、電波センサ103は、送信回路(送信部)10A,10Bと、送信アンテナ11A,11Bと、受信回路(受信部)12A,12Bと、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bと、信号処理部3と、検知部4とを備える。送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14B、信号処理部3および検知部4は、筐体113に収容される。なお、送信アンテナ11A,11Bおよび受信アンテナ13A,13B,14A,14Bは、電波センサ103が備える構成に限らず、電波センサ103の外部に設けられてもよい。
電波センサ103における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14B、信号処理部3および検知部4の動作は、図8に示す電波センサ101における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14B、信号処理部3および検知部4と同様である。
たとえば、検知部4は、たとえば、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1における対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、たとえば、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1における対象物Tgtの検知に用いる。
送信回路10Aは、たとえば、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された筐体113に収容された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアA1に電波を送信する。また、送信回路10Bは、たとえば、筐体113に収容された送信アンテナ11Bから当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側を含む対象エリアB1に電波を送信する。
ここで、センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1を、図2および図3に示す重複配置に設定してもよいし、図4および図5に示す分離配置に設定してもよいし、図6および図7に示す隣接配置に設定してもよい。
[電波センサ103の変形例]
図44は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサの変形例の構成を示す図である。
図44を参照して、図43に示す電波センサ103の変形例である電波センサ104は、電波センサ104と比べて、さらに、制御部6を備える。
電波センサ104における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bおよび信号処理部3の動作は、図43に示す電波センサ103における送信回路10A,10B、送信アンテナ11A,11B、受信回路12A,12B、受信アンテナ13A,13B,14A,14Bおよび信号処理部3とそれぞれ同様である。電波センサ104における検知部4の動作は、図37に示す電波センサ102における検知部4と同様である。
図45は、本発明の第2の実施の形態に係る信号制御システムの一例を道路上から交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図45を参照して、たとえば、隣接配置において用いられる電波センサ104では、送信回路10Aは、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された筐体113に収容された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアCA1に電波を送信する。また、送信回路10Bは、筐体113に収容された送信アンテナ11Bから当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部側を含む対象エリアCB1に電波を送信する。
上述したように、自動車Tgt2の反射断面積は、歩行者Tgt1の反射断面積より大きいので、たとえば、センサ設置者が、横断歩道PC1における対象物Tgtとして歩行者Tgt2を検知対象とするために隣接配置を設定した場合、自動車Tgt1を検知可能なエリアは、以下のようになる。
すなわち、電波センサ104は、筐体113に収容された送信アンテナ11Aから送信される電波に基づいて、対象エリアA1と比べて、図45に示すように、対象エリアA1および対象エリアB1が隣接する境界線Dabより筐体113の反対側に延長されたエリアである対象エリアCA1内に位置する自動車Tgt2を検知することが可能である。
また、電波センサ104は、筐体113に収容された送信アンテナ11Bから送信される電波に基づいて、対象エリアB1と比べて、図45に示すように、境界線Dabより筐体113側に延長されたエリアである対象エリアCB1内に位置する自動車Tgt2を検知することが可能である。
再び図44を参照して、電波センサ104における制御部6は、たとえば、検知部4による対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Aによって送信アンテナ11Aから対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更する。具体的には、制御部6は、たとえば、検知部4から重複エリア車両検知情報RCBを受けると、送信回路10Aにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnA2からGnA2より小さいGeA2に設定する。
また、制御部6は、たとえば、検知部4による対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Bによって送信アンテナ11Bから対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更する。具体的には、制御部6は、たとえば、検知部4から重複エリア車両検知情報RCAを受けると、送信回路10Bにおけるパワーアンプ33の増幅率をGnB2からGnB2より小さいGeB2に設定する。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアA1に電波を送信可能である。送信回路10Bは、当該第1部側に設置された送信アンテナ11Bから当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部を含む対象エリアB1に電波を送信可能である。受信回路12Aは、対象エリアA1からの電波を受信する。受信回路12Bは、対象エリアB1からの電波を受信する。検知部4は、受信回路12Aおよび受信回路12Bによって受信された電波に基づいて、対象エリアA1および対象エリアB1の少なくともいずれか一方における対象物Tgtを検知する。検知部4は、対象エリアA1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアA1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。また、検知部4は、対象エリアB1における対象物Tgtの検知結果を、対象エリアB1以外の他のエリアにおける対象物Tgtの検知に用いる。
このように、横断歩道PC1の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車Tgt2等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道PC1を渡ろうとする人間、および横断歩道PC1を渡り終えた人間の両方を対象物Tgtとして精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物Tgtを検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、対象エリアB1において対象物Tgtの検知が困難な場合においても、対象エリアA1における検知結果を対象エリアB1における対象物Tgtの検知のサポートに用いることができるので、対象エリアB1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、対象エリアA1において対象物Tgtの検知が困難な場合においても、対象エリアB1における検知結果を対象エリアA1における対象物Tgtの検知のサポートに用いることができるので、対象エリアA1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、横断歩道PC1の歩道Pv1側の端部すなわち第1端部側に設置された送信アンテナ11Aから当該第1端部を含む対象エリアCA1に電波を送信可能である。送信回路10Bは、当該第1部側に設置された送信アンテナ11Bから当該第1端部と反対側の歩道Pv2側の端部すなわち第2端部を含む対象エリアCB1に電波を送信可能である。受信回路12Aは、対象エリアCA1からの電波を受信する。受信回路12Bは、対象エリアCB1からの電波を受信する。検知部4は、受信回路12Aおよび受信回路12Bによって受信された電波に基づいて、対象エリアCA1および対象エリアCB1の少なくともいずれか一方における対象物Tgtを検知する。制御部6は、検知部4による対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Aによって送信アンテナ11Aから対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更する。また、制御部6は、検知部4による対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に基づいて、送信回路10Bによって送信アンテナ11Bから対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更する。
このように、横断歩道PC1の第1端部側から集中して電波を送信する構成により、たとえば、自動車Tgt2等の車両が第1端部と第2端部との間に存在しても、第1端部における人間を精度よく検知することができる。
これにより、第1端部において、たとえば、横断歩道PC1を渡ろうとする人間、および横断歩道PC1を渡り終えた人間の両方を対象物Tgtとして精度よく検知することができる。
また、画像処理を行うことなく対象物Tgtを検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、たとえば、対象エリアCA1における対象物Tgtの検知結果に応じて、対象エリアCB1に送信される電波の電力を変更して対象エリアCB1の範囲を変更する構成により、交通状況に応じて対象エリアCB1の範囲を柔軟に変更することができるので、対象エリアCB1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、対象エリアCB1における対象物Tgtの検知結果に応じて、対象エリアCA1に送信される電波の電力を変更して対象エリアCA1の範囲を変更する構成により、交通状況に応じて対象エリアCA1の範囲を柔軟に変更することができるので、対象エリアCA1における対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
横断歩道の第1端部側に設置された第1アンテナから前記第1端部を含む第1エリアに電波を送信可能であり、かつ前記第1端部と反対側の第2端部側に設置された第2アンテナから前記第2端部を含む第2エリアに電波を送信可能である送信部と、
前記第1エリアからの電波および前記第2エリアからの電波を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された電波に基づいて、前記第1エリアおよび前記第2エリアの少なくともいずれか一方における対象物を検知する検知部とを備え、
前記送信部は、第1送信回路および第2送信回路を含み、
前記第1送信回路および前記第2送信回路は、2周波CW方式に従って、前記第1アンテナおよび前記第2アンテナからそれぞれ前記第1エリアおよび前記第2エリアに電波を送信し、
前記第1送信回路および前記第2送信回路は、前記第1エリアへの電波の送信、および前記第2エリアへの電波の送信を交互に繰り返し、
前記受信部は、第1受信回路および第2受信回路を含み、
前記第1受信回路は、前記第1送信回路が前記第1エリアへ電波を送信する間、前記第1エリアからの電波を受信し、
前記第2受信回路は、前記第2送信回路が前記第2エリアへ電波を送信する間、前記第2エリアからの電波を受信する、電波センサ。