JP6369771B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、原料ガスに含まれる不純物を除去する不純物除去器を備えた燃料電池システムとその製造方法に関するものである。
原料ガスとして炭化水素を用いる燃料電池システムでは、この原料ガスを改質するために、例えば、水蒸気を用いた水蒸気改質が利用されている。この水蒸気改質を促進するために水蒸気改質触媒が用いられているが、原料ガス中には付臭剤として例えば、硫黄化合物が含まれており、これらによってこの水蒸気改質触媒が劣化させられるおそれがある。そこで、水蒸気改質触媒の劣化を防止するために、原料ガス中に含まれる硫黄化合物を低減させる脱硫器が利用されている。
このような脱硫器としては、例えば、硫黄化合物を触媒(Ni−Mo系、Co−Mo系)上で水素と反応させて硫化水素に変換し、この硫化水素を酸化亜鉛に取り込んで除去する、いわゆる水添脱硫法により脱硫を行なう水添脱硫装置が挙げられる。
水添脱硫装置は、水添脱硫法により脱硫を行なう際に水素を必要とするとともに、脱硫反応に適した温度制御が必要となる。そこで、脱硫器の温度制御を行う構成を有した燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
より具体的には、特許文献1では、図24に示すように燃料電池スタック104や改質器103から排出される輻射熱等の伝熱により脱硫器110を加熱する。また、脱硫器110の温度が100〜300℃となるように制御装置で流通させるガス(冷却用ガスまたは加熱用ガス)の選択および流量の調整をすることで脱硫器110の温度制御を行う。
また、特許文献2では、図25に示すように断熱槽201と内部筐体216の間に脱硫器202を設置し、燃焼器207から放出される燃焼熱の伝播により脱硫器202を加熱する。
また、特許文献3では、図26に示すように、内部が高温状態に保たれるように設けられた高温断熱部の外側に脱硫器301が設けられている。そして、高温断熱部を介して伝播する固体酸化物形燃料電池の排熱を利用して脱硫器301が所定の温度範囲に保たれるように構成されている。
また、燃料電池から発生する高温の排ガスを利用して脱硫器を加熱する燃料電池システムも提案されている(例えば、特許文献4、5)。特許文献4の燃料電池システム(SOFCシステム)では、燃料電池430を収容し、この燃料電池430から放出される高温の排ガスを外部に対して遮蔽する燃焼室420内、あるいは、図27に示すようにこの燃焼室420とは別に設けられた加熱室400内に脱硫器411を収納する構成が開示されている。特許文献4の燃料電池システムでは、排ガスにより燃焼室420内または加熱室400内にある脱硫器411を加熱する構成となっている。
また、特許文献5では、図28に示すようにハウジング(筐体)500内に、原料ガス、酸化剤ガス、および水を加熱する予熱器501と、原料ガスに対して水蒸気改質を行う改質器502と、燃料電池本体503と、を収容した燃料電池システムが開示されている。特許文献5の燃料電池システムでは、燃料電池本体503から排出される排ガスをハウジング500の外部に配置された脱硫器504に導き、この脱硫器504を加熱する構成となっている。
特開2010−272333号公報 特開2011−216308号公報 特許第4911927号公報 特開2006−309982号公報 特開2012−155978号公報 特許第2993507号公報 特開昭63−44934号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている燃料電池システムでは、燃料電池スタック104や改質器103から排出される輻射熱等の伝熱により脱硫器110を加熱するため、脱硫器全体を温度ムラなく均一に加熱することが難しく、過昇温を未然に防止することが難しい。また、図24に示すように複数の弁の切り替えや制御装置が別途必要になるという課題がある。また、特許文献2、3に開示されている燃料電池システムも同様に、図25、図26に示すように燃焼器から放出される燃焼熱の伝播により脱硫器を加熱する構成であるため、温度ムラの発生や過昇温といった特許文献1と同様の課題を避けることができない。
また、特許文献4に開示されている燃料電池システム(SOFCシステム)は、図27に示すように水加熱手段410および気化器412と、脱硫器411とが同じ筐体(加熱室400)内に設けられており、これらはそれぞれ近接して配置されている。ここで水加熱手段410および気化器412は、水、灯油を気化させるために大きな熱量を消費するため、加熱室400内における排ガスの温度分布が不均一となる。このため、脱硫器411全体を排ガスにより均一の温度で加熱することが困難となるという問題がある。
特許文献5に開示されている燃料電池システムでは、脱硫器504の加熱源として排ガスを利用しているが、脱硫器504全体を排ガスで覆って加熱する構成となっておらず、脱硫器504全体を均一の温度で加熱することが困難となるという問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、不純物を除去する不純物除去器全体を、均一の温度で加熱することができる燃料電池システムとその製造方法を提供することにある。
本発明に係る燃料電池システムは、上記した課題を解決するために、供給された原料ガスに含まれる不純物を除去する不純物除去器と、供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器により生成された水蒸気と、前記不純物除去器により不純物が除去された前記原料ガスとから改質反応により燃料となる改質ガスを生成する改質器と、供給された空気と前記燃料とを利用して発電反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼部と、前記蒸発器、前記改質器、前記燃料電池、および前記燃焼部を収容する筐体と、前記燃焼部における燃焼により生じた排ガスを、前記筐体内から当該燃料電池システム外へと排出させるため、該排ガスが流通する排ガス経路と、前記排ガス経路の途中に該排ガス経路の一部を構成するように設けられ、前記不純物除去器を配置するための収容空間と、を備える。
本発明にかかる燃料電池システムは、以上に説明したように構成され、不純物除去器全体を、均一の温度で加熱することができるという効果を奏する。
実施形態1に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態1に係る燃料電池システムの構成において、筐体と収納器とを分離した際の構成を示した模式図である。 本発明の実施形態1の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態1の変形例に係る燃料電池システムの構成において、筐体と収納器とを分離した際の構成を示した模式図である。 実施形態2に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 実施形態3の変形例に係る燃料電池システムにおいて、筐体から収納器を分離させた構成の一例を示す図である。 実施形態1、3に係る燃料電池システムの製造方法の一例を示すフローチャートである。 従来技術を示すものであり、燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 従来技術を示すものであり、燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 従来技術を示すものであり、燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 従来技術を示すものであり、燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。 従来技術を示すものであり、燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。
本発明では以下に示す態様を提供する。
本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、供給された原料ガスに含まれる不純物を除去する不純物除去器と、供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器により生成された水蒸気と、前記不純物除去器により不純物が除去された前記原料ガスとから改質反応により燃料となる改質ガスを生成する改質器と、供給された空気と前記燃料とを利用して発電反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼部と、前記蒸発器、前記改質器、前記燃料電池、および前記燃焼部を収容する筐体と、前記燃焼部における燃焼により生じた排ガスを、前記筐体内から当該燃料電池システム外へと排出させるため、該排ガスが流通する排ガス経路と、前記排ガス経路の途中に該排ガス経路の一部を構成するように設けられ、前記不純物除去器を配置するための収容空間と、を備える。
ここで、排ガス経路中に設けられた収容空間とは、例えば、排ガス経路の途中(任意の位置)に該排ガス経路と連通するように設けられ、不純物除去器を収容可能とする容器などによって形成された空間であってもよい。あるいは、排ガス経路の経路断面が不純物除去器を収容できるほど十分に大きい場合は、排ガス経路そのものによって形成された空間であってもよい。
上記した構成によると、前記不純物除去器が前記排ガス経路の途中に設けられた収容空間内配置されているため、この不純物除去器全体を燃焼部で生じた排ガスで覆って加熱することができる。ここで、不純物除去器に導かれる排ガスは、筐体内に収容された蒸発器および改質器で熱利用されたものであり、筐体から出て行く時点では、所定の温度範囲となっている。また、筐体から出て行く時点では排ガス中における温度ムラが解消された状態となっている。それゆえ、不純物除去器全体をこの温度ムラのない所定の温度範囲の排ガスにより加熱することができる。
したがって、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、不純物除去器全体を均一の温度で加熱することができるという効果を奏する。
また、本発明の第2の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様において、前記不純物除去器は、前記原料ガスから不純物として硫黄成分を除去する脱硫器であってもよい。
上記した構成によると、前記不純物除去器が脱硫器であるため、原料ガスに含まれる不純物として、触媒の劣化要因となる硫黄成分を取り除くことができる。
また、本発明の第3の態様に係る燃料電池システムは、上記した第2の態様において、前記脱硫器に前記原料ガスを供給するために、該原料ガスを流通させる原料ガス経路と、水素含有ガスを前記原料ガス経路へと導くためのリサイクル経路とを備え、前記脱硫器が、前記原料ガス経路を流通する水素含有ガスを利用して、水添脱硫により前記原料ガスから不純物として硫黄成分を除去するように構成されていてもよい。上記した構成によると、脱硫器が水添加脱硫により原料ガスから硫黄成分を除去することができるため、硫黄成分を高効率に除去することができる。
また、本発明の第4の態様に係る燃料電池システムは、上記した第3の態様において、前記水素含有ガスとして、前記改質器により生成した改質ガスの一部が前記リサイクル経路を流通するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、水素含有ガスである改質ガスを原料ガス経路へと導くことができるため、例えば、除去器が水添脱硫を行う脱硫器である場合、この水添脱流に必要な水素を供給することができる。
また、本発明の第5の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1から第4のいずれか1つの態様において、前記不純物除去器が平板型形状であってもよい。不純物除去器が平板型形状であるため、排ガス経路内に配置されたこの不純物除去器を筐体から排出された排ガスにより全体的に略均一に覆うことができる。このため、不純物除去器を、温度ムラなく排ガスにより加熱することができる。
また、本発明の第6の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1から第5のいずれか1つの態様において、前記燃料電池に供給する空気と前記排ガスとの熱交換により該排ガスを冷却する空気熱交換器を前記筐体内に備えるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、空気熱交換器を備えるため、筐体内において燃焼部からの排ガスの温度を適温まで下げるように調整することができる。このため、適温に調整された排ガスとの熱交換により不純物除去器を適温で加熱することができる。
また、本発明の第7の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1から第6のいずれか1つの態様において、前記不純物除去器を配置するための前記収容空間を形成する収納器を備え、前記収納器は前記筐体に接続されるように構成されていてもよい。
上記した構成によると不純物除去器を収容するための収容空間を形成する収納器を備えるため、排ガス経路を流通する排ガスで収納器内に配置された不純物除去器の温度制御を行うことが容易となる。また、不純物除去器を収納器内に収容し管理することができるため、不純物除去器の管理が容易となる。
また、本発明の第8の態様に係る燃料電池システムは、上記した第7の態様において、前記筐体に対して前記収納器が着脱可能となるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、筺体に収納器を取り付ける製造工程が容易となったり、メンテナンス等で交換が必要となった際に筺体から収納器を取り外すことが容易となったりする。
また、本発明の第9の態様に係る燃料電池システムは、上記した第1から第8のいずれか1つの態様において前記筐体は、少なくとも前記蒸発器、前記改質器、前記燃料電池および前記燃焼部を収容する第一の筐体と、前記第一の筐体の外周を囲む第二の筐体とを備えるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、第一の筐体と第二の筐体と2重に壁を設けることができるため、筐体内から外部への放熱を抑制することができる。
また、本発明の第10の態様に係る燃料電池システムは、上記した第9の態様において、前記第一の筐体と第二の筐体との間の少なくとも一部に断熱材が収容されていてもよい。
上記した構成によると、第一の筐体と第二の筐体との間において、断熱材が収容されているため、筐体内から外部への放熱を更に確実に抑制することができる。
また、本発明の第11の態様に係る燃料電池システムの製造方法は、供給された空気と原料ガスから生成した燃料とを利用して発電反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼部と、前記燃焼部における燃焼により生じた排ガスが保有する熱を利用して、原料ガスに含まれる不純物を除去する不純物除去器と、供給された水を蒸発させ水蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器により生成された水蒸気と、前記不純物除去器によって不純物が除去された原料ガスとから改質反応により燃料となる改質ガスを生成する改質器と、前記燃料電池、前記燃焼部、前記蒸発器、および前記改質器を収容する筐体と、前記燃焼部における燃焼により生じた排ガスを、前記筐体内から当該燃料電池システム外へと排出させるため、該排ガスが流通する排ガス経路と、前記筐体に対して着脱可能であるとともに、前記排ガス経路の途中に該排ガス経路の一部を構成するように設けられ、前記不純物除去器を配置するための収容空間を形成する収容器と、を備えた燃料電池システムの製造方法であって、前記筐体から取り外された状態で、前記不純物除去器または該不純物除去器を収容する前記収納器を加熱する第一の工程と、前記不純物除去器に充填された触媒を還元する第二の工程と、前記収納器を前記筐体に取り付ける第三の工程と、を含む。
上記した方法によると、不純物除去器に充填した触媒を活性させるのに必要になる加熱及び還元処理を行う工程、すなわち前記第一の工程と第二の工程とを、筐体に不純物除去器を取り付ける前に行うことができる。したがって、不純物除去器または不純物除去器を収容する収納器以外の構成部品まで加熱及び還元工程に加える必要がなく、無駄なエネルギーを投入することなく効率的な燃料電池システムの製造方法の実現が可能となる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態(実施形態1)を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
図1を参照して本発明の実施形態1に係る燃料電池システムについて説明する。図1は、実施形態1に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図1では、実施形態1に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。
図1に示すように、燃料電池システムは、原料ガス経路1、不純物除去器3、改質器4、空気熱交換器5、燃料電池6、蒸発器9、空気経路10、改質水経路11、改質空気経路12、脱硫後原料ガス経路14、燃料ガス経路16、空気供給経路17、減圧部18、リサイクル経路19、筐体7、第1断熱部(断熱材)22、および燃焼部23を備えてなる構成である。
実施形態1に係る燃料電池システムでは、筐体7によって囲われた空間には、改質器4、空気熱交換器5、燃料電池6、蒸発器9、および燃焼部23が配置されている。そして、筐体7内部では、燃料電池6の上部において改質器4と対向するように燃焼部23が設けられている。
筐体7は、図1に示すように、少なくとも燃料電池6および燃焼部23を収容する第一の筐体7aと、この第一の筐体7aの外周を囲む第二の筐体7bとから構成されている。そして、これら第一の筐体7aと第二の筐体7bとの間における少なくとも一部には、第1断熱部(断熱材)22が設けられている。
なお、筐体7内に収容される部材はこれらの部材に限定されるものではなく、筐体7内には、少なくとも燃料電池6および燃焼部23が収容されていればよい。すなわち、改質器4および空気熱交換器5が必ずしも筐体7内に設けられる必要はない。例えば、実施形態1に係る燃料電池システムにおいて、燃料電池6としては溶融炭酸塩形燃料電池や固体酸化物形燃料電池等の高温(600℃以上)で発電を行う燃料電池を用いることができる。これらの燃料電池を用いる場合、改質器4を設けなくても、原料ガスを燃料電池の電極にて内部改質を行い発電することが可能である。このため、内部改質を行い発電する構成の場合は、筐体7内に改質器4は設けられないこととなる。ただし、燃料電池の耐久性を鑑みれば、改質器4を設けた方が望ましい。このため、実施形態1に係る燃料電池システムでは第一の筐体7a内に改質器4を設けた構成を例に挙げ説明する。
また、燃料電池システムにおいて、適切に加温された空気が燃料電池6に導かれるように構成されている場合は、空気熱交換器5を備える必要はない。このため、適切に加温された空気が燃料電池6に導かれる構成の場合、筐体7内には空気熱交換器5が設けられないこととなる。
この燃料電池システムでは、燃料電池6として固体酸化物形燃料電池をより好適に用いることができる。このため、本発明の実施形態1では、燃料電池6として固体酸化物形燃料電池を用いた構成を例に挙げ説明するものとする。
(燃焼電池システムの構成)
実施形態1に係る燃料電池システムでは、筐体7(第一の筐体7aおよび第二の筐体7b)の外部から供給された原料ガス(原燃料ガス)を改質器4で改質し、改質された改質ガスと外部から供給された空気とを利用して燃料電池6が発電反応により発電するように構成されている。なお、本明細書では、原料ガス経路1を通じて外部から供給されるガスを原料ガス(原料)と称し、原料ガスから硫黄成分が取り除かれ、改質器4において改質反応により改質された改質ガスを燃料ガス(燃料)と称するものとする。
燃料電池システムは、燃料電池6の動作時(発電時)には、燃焼部23にて、発電反応に利用されなかった燃料ガスと空気とを燃焼させ、高温の排ガスを生成し、その熱エネルギーを有効に利用することで高効率な運転を実現している。生成した排ガスは第一の筐体7a内から外部へと連通する排ガス経路20を通じて流出する。なお、第一の筐体7a内から排ガス経路20に導かれる排ガスは、第一の筐体7a内に配置された、改質器4、空気熱交換器5、および蒸発器9等によって熱利用され、所定の温度範囲となっている。また、この排ガスは、第一の筐体7a内に配置された各部材において消費される熱量の違いに起因して発生する温度ムラが解消された状態となっている。すなわち、例えば、大きな熱量を消費する蒸発器9の近傍では他の場所よりも排ガス温度が低くなるなど筐体7内において温度分布が均一とならない状態が発生したとしても、燃焼部23の上方へは、排ガスが略均一的に拡散して導かれる。このため、結果として筐体7の上面側の温度分布は略均一化するようになっている。
本発明の実施形態1に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3を排ガス経路20中に設けられた収容空間内に配置することによって、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの間で熱交換するように構成されている。すなわち、排ガス経路20を流通する排ガスが不純物除去器3全体を覆って通過することで、不純物除去器3全体を加熱することができる。また、不純物除去器3は排ガス経路20を流通して導かれる排ガスによりできるだけ均一に加熱されるように、例えば、図1に示すように平板型形状となっている。なお、不純物除去器3の形状はこの平板型形状に限定されるものではなく、供給される原料から不純物を十分に取り除くことができ、かつ不純物除去器3の外周を流通する排ガスにより、全体が均一に加熱されるような形状であればよい。
また、燃料電池システムでは、第一の筐体7aと第二の筐体7bの間に断熱材からなる第1断熱部(断熱部材)22が備えられており、第一の筐体7aの内部から外部への放熱を可能な限り遮断するように構成されている。
また、本発明の実施形態1に係る燃料電池システムでは、第一の筐体7a及び第二の筐体7bの外部に昇圧部2が配置されている。そして、昇圧部2は、原料ガス経路1を通じて供給された原料ガスを昇圧し、筐体7b内に配置されている不純物除去器3に導入するように構成されている。なお、原料ガス経路1を通じて供給される原料ガスとしては、都市ガスまたは、プロパンガスなどの炭化水素を主成分とするガスを用いることができる。そして、本発明の実施形態1に係る燃料電池システムでは、原料ガスに含まれる不純物を除去する不純物除去器3として、水添脱硫方式により硫黄成分を除去する脱硫器を用いる。
なお、原料ガスおよび不純物除去器3は、上述したものに限定されない。例えば、資源の有効活用および廃棄物の減量化の観点から原料ガスとしてバイオマスまたは廃棄物から製造したガスを利用することもできる。ただし、原料ガスとしてバイオマスまたは廃棄物から製造したガスを利用する場合、ガス中から水銀またはハロゲン化物等の不純物を除去する必要がある。そこで、このようなガスを原料ガスとして利用する場合、不純物除去器3は、水銀またはハロゲン化物等の不純物を除去する不純物除去剤が充填された重金属除去装置とすることができる。
なお、実施形態1に係る燃料電池システムでは図1に示すように、不純物除去器3は排ガス経路20の一部とともに、収容空間を形成する収納器27内に収容されている。そして、不純物除去器3は排ガスの熱伝達による伝熱を熱源として加熱される。
また、実施形態1に係る燃料電池システムは、燃焼部23からの排ガスと燃料電池6に供給する空気とが熱交換する空気熱交換器5を第一の筐体7a内に更に備えた構成となっている。このような構成をとれば、燃焼部23からの排ガスの温度が所定範囲となるように空気熱交換器5により冷却することができる。したがって、不純物除去器3の温度調整する温度調整部などを別途設けることなく、該不純物除去器3を適温に維持することが更に容易となる。また、空気熱交換器5は、排ガスとの熱交換により回収した熱量を、燃料電池6に供給する空気の加熱に用いるため、効率の良い動作が可能となる。
不純物除去器3が脱硫器として機能する場合、この不純物除去器3に充填する脱硫剤としては、例えば、銅および亜鉛を含む脱硫剤が挙げられる(例えば、特許文献6)。なお、脱硫剤は、水添脱硫を行うことができればこの脱硫剤に限定されるものではなく、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛との組み合わせであってもよい。Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛とを組み合わせた脱硫剤の場合、不純物除去器3は350〜400℃の温度範囲にて、原料ガス中の有機硫黄を水添分解する。そして、不純物除去器3は、生成したHSを、350〜400℃の温度範囲にてZnOに吸着させて除去する。
例えば、原料ガスが都市ガスの場合、付臭剤として硫黄化合物であるジメチルスルフィド(dimethl sulfide ;CS,DMS)が含有されている。このDMSは、不純物除去器3において、以下の反応式(式(1)、(2))によるZnSの形、または物理吸着の形で脱硫剤によって除去される。
S+2H→2CH+HS ・・・(1)
S+ZnO→HO+ZnS ・・・(2)
なお、付臭剤は、上述したDMSに限定されるものではなく、TBM(C10S)またはTHT(CS)等の他の硫黄化合物であってもよい。
充填する脱硫剤が銅および亜鉛を含む場合、不純物除去器3は、10〜400℃程度、好ましくは150〜300℃程度の温度範囲で脱硫を行う。この銅亜鉛系脱硫剤は、水添脱硫能力に加えて物理吸着能力もあり、低温では主に物理吸着、高温では化学吸着(HS+ZnO→HO+ZnS)を行うことができる。この場合、脱硫後の原料ガスに含まれる硫黄含有量は、1vol ppb(parts per billion)以下、通常は0.1vol ppb以下となる。
このように、不純物除去器3において、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒、あるいは銅および亜鉛のいずれかを含む脱硫剤が充填されている場合、単位体積あたりの硫黄成分除去量が大きくなる。それゆえ、上述した脱硫剤を用いる場合、所望の硫黄濃度まで硫黄を除去するために必要となる脱硫剤の量を低減させることができる。
以上のようにして不純物除去器3によって脱硫された原料ガスは、脱硫後原料ガス経路14を通じて、改質器4(蒸発器9)へと供給される。
次に改質器4について説明する。改質器4は、部分酸化改質用として用いられるものであってもよいが、更に高効率な動作を実現するために、部分酸化改質反応だけでなく、水蒸気改質反応も行える仕様にしておくことが有利である。図1に示すように実施形態1では改質器4の上流側(脱硫後原料ガス経路14が配置される側)に蒸発器9を配置し、この蒸発器9によって外部から改質水経路11を通じて供給された水(改質水)を蒸発させ水蒸気を生成する。そして、蒸発器9によって生成された水蒸気と脱硫された原料ガスとが混合され改質器4に供給される構成となっている。
なお、改質器4に充填される改質触媒としては、Al(アルミナ)の球体表面にNiを含浸し、担持したものや、Alの球体表面にルテニウムを付与したものを適宜用いることができる。
ところで、燃料電池システムの起動時では、改質器4において吸熱反応である水蒸気改質反応を行うためには熱エネルギーが不足している。そこで、燃料電池システムの起動時には、改質水経路11から蒸発器9に水を供給させずに、改質空気経路12を通じて改質器4に導入した空気を利用して、改質器4は以下の式(3)で表される部分酸化改質反応を行い、水素含有ガスとして水素ガスおよび一酸化炭素を生成する。
+ (n/2)O → n・CO +(m/2)H(n,mは任意の自然数)・・・(3)
そして、これらの水素ガスおよび一酸化炭素を、燃料ガス供給経路16を通じて燃料電池6に供給し、空気供給経路17を通じて供給された空気と合わせて、発電反応を行う。
燃料電池システムが起動して発電が進むにつれ、改質器4の温度が上昇していく。すなわち、上記の式(3)で表される部分酸化改質反応は発熱反応であり、更に、燃焼部23で生成された排ガスが有する熱及び燃焼熱23からの輻射熱(燃焼部23の燃焼による燃焼熱)により、改質器4の温度が上昇させられる。そして、改質器4の温度が、例えば、400℃以上になれば以下の式(4)で表される水蒸気改質反応を並行して行うことが可能となる。
+ n・HO → n・CO +(m/2+ n)H(n,mは任意の自然数)・・・(4)
上述した式(4)で示される水蒸気改質反応は、式(3)で示される部分酸化改質反応と比較すると、同じ量の炭化水素(C)から生成できる水素量がより多くなり、その結果、燃料電池6での発電反応に利用可能な改質ガスの量が多くなる。つまり、水蒸気改質反応の方が効率よく改質ガスを生成することができる。
また、式(4)に示す水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、式(3)に示す部分酸化改質反応による発熱と燃焼部23から排出された排ガスが保有する熱、及び燃焼部23からの輻射熱を利用し、必要な熱量を補いつつ、水蒸気改質反応を進行させる。そして、改質器4の温度が例えば、600℃以上になれば、式(4)の水蒸気改質反応に必要な熱量を排ガスの有する熱及び燃焼部23からの輻射熱だけで補うことが可能となるため、水蒸気改質反応のみの運転に切り替えることができる。
蒸発器9は、改質器4にて水蒸気改質反応を行うために設置したものである。蒸発器9では、燃焼部23から排出された排ガスの熱及び燃焼部23からの輻射熱を利用して、改質水経路11から供給された水(改質水)を気化させ、不純物除去器3から供給された脱硫後の原料ガスと混合させる。そして、蒸発器9は、混合後の原料ガスを改質器4へと導入する。
燃料電池6は、上述したように燃料ガス経路16を通じて供給された燃料(改質ガス)と、空気供給経路17を通じて供給された空気(発電用空気)とを利用して発電反応により発電を行うものである。すなわち、燃料電池6に用いる固体酸化物形燃料電池では、燃料(改質ガス)が供給される燃料極および発電空気が供給される空気極を有し、該燃料極と該空気極との間で発電反応を行って発電する燃料電池単セルを複数枚、直列に接続してセルスタックを形成している。なお、燃料電池6は、更に直列接続したセルスタックを並列に接続させた構成としてもよい。
燃料電池6に用いる固体酸化物形燃料電池を構成する燃料電池単セルとしては、例えばイットリアをドープしたジルコニア(YSZ)、イットリビウムやスカンジウムをドープしたジルコニア、あるいはランタンガレート系の固体電解質からなる燃料電池単セルを用いることができる。例えば、燃料電池単セルがYSZの場合、厚みにもよるが、約600〜900℃の温度範囲にて、発電反応が行われる。
また、実施形態1に係る燃料電池システムでは、燃料電池6へと向かう燃料ガス供給経路16を途中で分岐させ、改質器4から供給される改質ガスの一部を水素含有ガスとして原料ガス経路1に戻すためのリサイクル経路19が設けられている。このため、原料ガス経路1を流通し、不純物除去器3へと供給される原料ガスに水素を添加することが可能となり、不純物除去器3は、この水素を利用して前述の水添脱硫を行うことができるように構成されている。
なお、燃料ガス供給経路16とリサイクル経路19との分岐点近傍でかつ、該リサイクル経路19内に減圧部18が設けられている。減圧部18は、リサイクル経路19内を流通する改質ガスの流量を調整するものであり、例えば、キャピラリチューブなどにより実現できる。すなわち、減圧部18は、キャピラリチューブなどにより流路を細くし圧力損失を大きくさせることで、リサイクル経路19内を所望の流量だけ改質ガスが流通するように構成されている。
本発明の実施形態1では、不純物除去器3は収納器27に収容されている。収納器27は、図1に示すように筐体7の上面において図1の左右方向に延伸し、内部が中空となった構造をしている。そして、一方の端部(図1における、左側の端部)において排ガス経路20と接続するように、鉛直方向における下向きに突出した突出部が形成されている。他方の端部(図1における、右側の端部)には、当該収納器27内を流通した排ガスが系外へと排出されるように鉛直方向における上向きに突出した突出部が形成されている。このように、この収納器27と排ガス経路20とが連通している。換言すると、排ガス経路20の少なくとも一部を収納器27内において形成している。
さらにまた、収納器27の内側には第2断熱部(断熱材)33が設けられている。これにより、収納器27内から外部への放熱を可能な限り遮断することができる。更に、筐体7と収納器27とは、原料ガス経路接続部(第2接続部)32および排ガス経路接続部31によって接続される。そして、第2接続部32および排ガス経路接続部31は、経路内を流通する原料ガスまたは排ガスが外部に漏れないように構成されている。具体的には、排ガス経路接続部31、第2接続部32を構成する部材としては、例えばスウェージロック(登録商標)に代表される継ぎ手などを好適に用いることができる。
図2に示すように、実施形態1に係る燃料電池システムは、排ガス経路接続部31および第2接続部32を介して筐体7から収納器27が着脱可能となる構成である。図2は実施形態1に係る燃料電池システムの構成において、筐体7と収納器27とを分離した際の構成を示した模式図である。
このように、筐体7から収納器27が着脱可能となる構成とすることで、燃料電池システムを製造する際に、不純物除去器3を収容した収納器27を筐体7に容易に取り付けることが可能となる。更に、燃料電池システムが稼動して長時間経過した後、不純物除去器3に充填した触媒が劣化し、不純物除去器3を交換する必要が生じた場合であっても、筐体7から収納器27を取り外し、収納器27に収容されている不純物除去器3を取り出すことが容易である。したがって、メンテナンス性に優れた燃料電池システムを構成することができる。
また、前述にように、不純物除去器3において、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛とを組み合わせた脱硫剤を充填する場合、350〜400℃の温度範囲、または脱硫剤が銅および亜鉛を含む場合は、10〜400℃程度、好ましくは150〜300℃程度の温度範囲になるように構成される。それゆえ、例えば、後述する図16に示すような、収納器27内の不純物除去器3と脱硫後原料ガス経路14とを接続する原料ガス経路接続部(第1接続部)30、ならびに収納器27と排ガス経路20とを接続する排ガス経路接続部31も不純物除去器3と同じ温度範囲になる。そして、これらの接続部も第1断熱部(断熱材部)22内または第2断熱部(断熱材部)33内に収容するように構成することで、燃焼部23からの輻射や排ガスからの熱伝達等の伝熱により、高温(400℃以上)に長時間さらされ、熱劣化するといった不具合が生じることを抑制することができる。
(実施形態1の変形例)
次に、図3を参照して本発明の実施形態1の変形例に係る燃料電池システムの構成について説明する。図3は、本発明の実施形態1の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図3では、実施形態1の変形例に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。
実施形態1の変形例に係る燃料電池システムは、実施形態1と比較して、収納器27が配置される位置が異なる。具体的には、実施形態1に係る燃料電池システムでは、収納器27が第二の筐体7bの上面上に配置されていた。これに対して、実施形態1の変形例に係る燃料電池システムでは図3に示すように、収納器27が第一の筐体7aと第二の筐体7bとの間に収まるように配置されている。すなわち、収納器27の外側に露出する面が第二の筐体7bの上面とほぼ同じ高さ位置となるように配置されている。実施形態1の変形例に係る燃料電池システムは、この収納器27の配置以外は実施形態1に係る燃料電池システムと同様の構成である。このため、同じ部材には同じ符号を付し、それぞれ各部材の説明は省略する。
実施形態1の変形例に係る燃料電池システムでは、上述した位置に収納器27が配置されるため、実施形態1に係る燃料電池システムのように第二の筐体7bの上面からさらに収納器27が外部に突出した構成とならず、燃料電池システム全体の寸法を小型化することができる。また、第一の筐体7aと収納器27との間の第1断熱部22および第2断熱部33の厚みを十分に取れば、第一の筐体7aからの輻射熱等の伝熱により、不純物除去器3が加熱されることを防ぎ、排ガス経路20を流通する排ガスにより、不純物除去器3を温度制御することが可能となる。
また、実施形態1の変形例に係る燃料電池システムは、実施形態1に係る燃料電池システムと同様に、第2接続部32および排ガス経路接続部31を備えるため、図4に示すように収納器27を筐体7(第二の筐体7b)に対して着脱可能とすることができる。図4は、実施形態1の変形例に係る燃料電池システムの構成において、第一の筐体7aと収納器27を分離した際の構成を示した模式図である。このように収容器27を第二の筐体7bに対して着脱可能となるように構成されているため、燃料電池システムにおいて不純物除去器3を容易に取り外したり、取り付けたりすることができる。よって、燃料電池システムの製造及びメンテナンスが容易となる。
上記では、不純物除去器3が収納器27内に収納され、排ガス経路20を流通した排ガスにより、所定の温度状態に保たれるように加熱される構成であった。しかしながら、不純物除去器3は、このように収納器27に収納される構成に限定されるものではなく、筐体7の内側、すなわち、第一の筐体7aと第二の筐体7bとの間に設けられた断熱部内に不純物除去器3が設けられる構成であってもよい。このように構成される場合について、以下、実施形態2として説明する。
(実施形態2)
図5および図6を参照して実施形態2に係る燃料電池システムについて説明する。図5および図6は、実施形態2に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図5では、実施形態2に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。図6では、実施形態2に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成を模式的に示している。なお、筐体7は、実施形態1と同様に第一の筐体7aと第二の筐体7bとから構成されているが、ここでは特に、図示しない。
図5および図6に示すように、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した実施形態1に係る燃料電池システムと同様に、不純物除去器3、改質器4、空気熱交換器5、燃料電池6、蒸発器9、および減圧部18を筐体7内部に配置してなる構成である。そして、燃料電池6の上部には改質器4と対向するように燃焼部23が設けられている。
また、実施形態2に係る燃料電池システムでは、上述した実施形態1に係る燃料電池システムと同様に、筐体7の外部から供給された原料ガス(原燃料ガス)を改質器4で改質し、改質された改質ガスと外部から供給された空気とを利用して燃料電池6が発電反応により発電するように構成されている。
すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムは、実施形態1に係る燃料電池システムと比較して、不純物除去器3が収納器27ではなく、第1断熱部22内に収容されている点で異なる。それ以外は、同様の構成となるため、同様な部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
また、実施形態2に係る燃料電池システムにおいても、不純物除去器3は、例えば、水添脱硫方式により原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する脱硫器とすることができる。実施形態2では、不純物除去器3は、図5において筐体7の紙面右側の側面下方に配置されている。
また、実施形態2に係る燃料電池システムでは、減圧部18は、筐体7内に設けられているが、減圧部18が設けられる位置はこの位置に限定されない、例えば、上述した実施形態1、あるいは後述する実施形態3に係る燃料電池システムで示すように、筐体7の外部に減圧部18が設けられていてもよい。
次に実施形態2に係る燃料電池システムの特徴的な構成である燃焼部23で生成した排ガスが排ガス経路20を流通する過程と、排ガス経路20中の一部において設けられた不純物除去器3とについて説明する。なお、排ガス経路20は、第1断熱部22内に形成されており、この排ガス経路20からの放熱をできる限り低減できるように構成されている。
ところで、燃焼部23で生成する排ガスの流量およびその温度については、燃料電池6における燃料ガス及び空気(発電空気)の燃料利用率(発電反応により、燃料として燃料電池6で消費される割合)を調整することにより、制御することが可能である。実施形態2では、例えば、燃焼部23の温度範囲を、約600〜900℃になるように、燃料電池6における燃料ガス及び空気の燃料利用率を設定する。
実施形態2では燃焼部23で未利用の燃料ガスと空気とを燃焼して生成した排ガスは、まず改質器4を加熱する。これにより排ガスの有する熱の一部が消費される。さらに、熱の一部が消費された排ガスによって空気熱交換器5を加熱する。この空気熱交換器5による空気と排ガスとの熱交換によって、排ガスが有する熱がさらに奪われ、不純物除去器3を加熱するのに適切な温度まで低下させられる。このように温度が低下させられた排ガスは排ガス経路20を流通して不純物除去器3へ供給される。
すなわち、燃焼部23で生成された排ガスの温度は、例えば約600℃〜900℃と高温である。しかし、この排ガスによって、改質器4を加熱し、更に空気熱交換器5によって空気との熱交換を行い、空気を加熱すれば、排ガス経路20に到達するまでに排ガスの温度は低下する。特に、燃料電池を用いて、例えば1kWの発電を行う場合、50L/min以上の空気を外気温から約400〜800℃になるまで加熱する必要があるため、空気熱交換器5では大量の熱量が必要となる。そこで、この必要な熱量を排ガスの熱量によって賄う。
以上のように、排ガス経路20を流通する排ガスの温度は、燃焼部23で生成する排ガスの流量と温度、改質器4に吸熱される熱量、および空気熱交換器5に吸熱される熱量などを考慮して所望の値となるように制御されている。そして、排ガス経路20に到達した排ガスは経路内を流通し、不純物除去器3へと流通する。そして、排ガスは不純物除去部3の外周を取り囲みながら流れ系外へと排出される。
次に、不純物除去器3へ到達した際の排ガス温度について説明する。
不純物除去器3において、銅および亜鉛を含む脱硫剤(例えば、特許文献6)を充填する場合、不純物除去器3に到達した際の排ガス温度が約150〜350℃になるように、燃焼部23で生成する排ガスの流量と温度、改質器4にて吸熱される熱量、空気熱交換器5にて吸熱される熱量等を調整する。このようにして、不純物除去器3を、水添脱硫を行うのに適した温度(150〜300℃)とする。
また、不純物除去器3において、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛とを組み合わせた脱硫剤を充填する場合、不純物除去器3に到達した際の排ガス温度が約350〜450℃になるように、燃焼部23で生成する排ガスの流量と温度、改質器4にて吸熱される熱量、空気熱交換器5にて吸熱される熱量を調整する。このようにして、同様に不純物除去器3を、水添脱硫を行うのに適した温度(350〜400℃)とする。
以上のように、排ガス経路20に不純物除去器3を設置することにより、該不純物除去器3を、水添脱硫を行うのに適した所望の温度とすることができる。
また、不純物除去器3は、第1断熱部22に覆われるように設置する。このようにすれば、不純物除去器3からの放熱を防ぐとともに筐体7内の500〜600℃の熱に不純物除去器3が直接、曝されることを防ぐことができる。さらにまた、第1断熱部22によって不純物除去器3が覆われているため、不純物除去器3における温度分布をできるだけ一様とし、ばらつきを抑制することができる。よって、不純物除去器3における温度制御を容易とすることができる。
また、長時間の運転の後、不純物除去器3に充填した改質触媒が劣化した際には、燃料電池システム全体の性能が著しく低下する懸念がある。そこで、不純物除去器3は筐体7から着脱可能となっている。このため、改質触媒が劣化した不純物除去器3を新しい不純物除去器3と交換するだけでさらに長時間の運転が可能となる。
(実施形態2の変形例1)
次に、実施形態2に係る燃料電池システムの変形例1について図7を参照して説明する。図7は実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図7では、実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。なお、実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成は、図6に示す燃料電池システムの構成と同様となるため図示していない。
実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して、不純物除去器3の外周に排ガス熱交換器21をさらに備えている点で異なる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
排ガス熱交換器21は、排ガス経路20内を流通する排ガスと不純物除去器3との間で熱交換を行い、不純物除去器3を所望の温度まで加熱するものである。排ガス経路20からの放熱をできる限り低減させるため、排ガス熱交換器21も第1断熱部22内に形成されていることが有益である。実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムは、このように排ガス熱交換器21を備えるため、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの間での伝熱面積の拡大及び熱伝達率の向上を図ることができる。したがって、水添脱硫を行うのに適した温度となるように不純物除去器3を迅速に加熱することが可能となる。
(実施形態2の変形例2)
さらに、実施形態2に係る燃料電池システムの変形例2について図8を参照して説明する。図8は、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図8では、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。なお、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成は、図6に示す燃料電池システムの構成と同様となるため図示していない。
実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して、排ガス熱交換器21と凝縮器24とをさらに備えている点で異なる。すなわち、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムは、実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムの構成において凝縮器24をさらに備えた構成である。このため、実施形態2に係る燃料電池システムあるいは、実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
凝縮器24は、リサイクル経路19に設けられており、リサイクル経路19を流通する燃料ガス中に含まれる水分を凝縮させるものである。凝縮して得られた水は不図示の排水タンクに貯留される。
このように実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムは、凝縮器24を備えるため、リサイクル経路19中において、流通する燃料ガスが低温化した際に、凝縮器24により水分を回収することができる。このため、結露水による流路(リサイクル経路19)内の水つまりや昇圧部2の腐食および破損といった不具合を抑制することができる。
(実施形態2の変形例3)
次に、実施形態2に係る燃料電池システムの変形例3について図9を参照して説明する。図9は、実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図9では、実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。なお、実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成は、図6に示す構成と同様となるため図示していない。
実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して、排ガス熱交換器21、凝縮器24、およびファン25をさらに備えている点で異なる。すなわち、実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムは、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムの構成において筐体7の外部にファン25をさらに備えた構成である。このため、実施形態2に係る燃料電池システムあるいはその変形例1、2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
ファン25は、不純物除去器3を冷却するために風を送るための送風機である。実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムは、ファン25を備えるため、不純物除去器3の温度が上昇しすぎた際、このファン25からの強制対流により、容易に所望の温度まで冷却させることができる。
なお、不純物除去器3がファン25により冷却される側の面は、冷却効率を高めるために第1断熱部22によって覆われていない方が有利である。
(実施形態2の変形例4)
次に、図10、11を参照して実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムについて説明する。図10および図11は、実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図10では、実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。図11では、実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成を模式的に示している。
実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムは、図5、6に示した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して以下の点で異なる。すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が筐体7の右側側面の下方に配置されていたのに対して、実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムは、筐体7の上面側における略中央部分(燃焼部23と対向する位置)に配置されている点で異なる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムでは、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3が配置されている。燃料電池6で生じる発電反応熱および燃焼部23の燃焼による燃焼熱を保有する排ガスは、筐体7の上面に向かって上昇する過程で、まず改質器4を加熱し、さらに空気熱交換器5との熱交換により保有する熱の一部が奪われた状態で燃焼部23の上方にある不純物除去器3に向かう。すなわち、不純物除去器3に充填された脱硫剤に適した温度まで低下させられた状態で排ガスは不純物除去器3に向かう。
ここで、燃焼部23の上方へは、排ガスが略均一的に拡散して導かれるため、筐体7の上面側の温度分布が略均一化するようになっている。したがって、不純物除去器3の温度分布を均一とすることができ、不純物除去器3に対して水添脱硫を効率よく実施させることができる。そして、このように均一に不純物除去器3を加熱した排ガスは、排ガス経路20を流通して筐体7の外部に排出される。
なお、筐体7は上面が着脱可能となっており、さらにその上面から不純物除去器3が着脱可能となっている。このため、不純物除去器3を交換する場合、まず、筐体7の上面を取り外し、その後、不純物除去器3を筐体7の上面から取り外す。
(実施形態2の変形例5)
次に、図12を参照して実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムについて説明する。図12は、実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図12では、実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。なお、実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成は、図11に示す変形例4の構成と同様となるため図示していない。
実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムは、図5、6に示した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して以下の点で異なる。すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が筐体7の右側側面の下方に配置されていたのに対して、実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムは、筐体7の上面側における略中央部分(燃焼部23と対向する位置)に配置されている点で異なる。さらに、リサイクル経路19中に凝縮器24をさらに備える点でも異なる。つまり、実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2の変形例4の構成において、さらにリサイクル経路19中に凝縮器24を備えた構成であるともいえる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
実施形態2の変形例5に係る燃料電池は、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3が配置されている。このため、燃焼部23が生成した排ガスによって略均一に不純物除去器3が加熱されることとなる。また、リサイクル経路19に凝縮器24が設けられている。このように実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムは、凝縮器24を備えるため、リサイクル経路19中において、流通する燃料ガスが低温化した際に、凝縮器24により水分を回収することができる。このため、結露水による流路(リサイクル経路19)内の水つまりや昇圧部2の腐食および破損といった不具合を抑制することができる。
(実施形態2の変形例6)
次に、図13、14を参照して実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムについて説明する。図13および図14は、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図13では、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。図14では、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成を模式的に示している。
実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムは、図5、6に示した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して以下の点で異なる。すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が筐体7の右側側面の下方に配置されていたのに対して、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムは、筐体7の上面側における略中央部分に配置されている点で異なる。また、排ガス経路20において、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの熱交換を行う排ガス熱交換器21を備える点でも異なる。つまり、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2の変形例4の構成において、さらに排ガス経路20に排ガス熱交換器21を備えた構成であるともいえる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
実施形態2の変形例6に係る燃料電池は、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3が配置されている。このため、燃焼部23が生成した排ガスによって略均一に不純物除去器3が加熱されることとなる。特に、実施形態2の変形例6に係る燃料電池は、排ガス経路20に排ガス熱交換器21を備えているため、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの間での伝熱面積の拡大および熱伝達率の向上を図ることができる。したがって、不純物除去器3の温度分布を均一に保ちつつ、迅速に水添脱硫を行うのに適した温度まで上げることができる。
(実施形態2の変形例7)
次に、図15を参照して実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムについて説明する。図15は、実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図15では、実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。なお、実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムの筐体7内を上から見たときの構成は、図14に示す変形例6の構成と同様となるため図示していない。
実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムは、図5、6に示した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して以下の点で異なる。すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が筐体7の右側側面の下方に配置されていたのに対して、実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムは、筐体7の上面側における略中央部分(燃焼部23と対向する位置)に配置されている点で異なる。また、排ガス経路20において、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの熱交換を行う排ガス熱交換器21を備える点、ならびにリサイクル経路19中に凝縮器24をさらに備える点でも異なる。つまり、実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムは、上述した実施形態2の変形例6の構成において、リサイクル経路19中に凝縮器24をさらに備えた構成であるといえる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
実施形態2の変形例7に係る燃料電池は、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3が配置されている。このため、燃焼部23が生成した排ガスによって略均一に不純物除去器3が加熱されることとなる。特に、実施形態2の変形例7に係る燃料電池は、排ガス経路20に排ガス熱交換器21を備えているため、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの間での伝熱面積の拡大および熱伝達率の向上を図ることができる。したがって、不純物除去器3の温度分布を均一に保ちつつ、迅速に水添脱硫を行うのに適した温度まで上げることができる。
また、リサイクル経路19に凝縮器24が設けられている。このように実施形態2の変形例7に係る燃料電池システムは、凝縮器24を備えるため、リサイクル経路19中において、流通する燃料ガスが低温化した際に、凝縮器24により水分を回収することができる。このため、結露水による流路(リサイクル経路19)内の水つまりや昇圧部2の腐食および破損といった不具合を抑制することができる。
以上のように、実施形態2に係る燃料電池システムは、高効率かつ安定的に動作する燃料電池システムを提供することが可能である。
すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムは、供給された燃料と空気とを利用して発電反応により発電する燃料電池6(例えば、固体酸化物形燃料電池)と、燃料電池6で未利用の燃料と空気とを燃焼する燃焼部23と、燃焼部23の燃焼による燃焼熱を保有する排ガスの熱を利用して改質反応により、供給された原料から前記燃料となる改質ガスを生成する改質器4と、この排ガスの熱を利用して供給された水を蒸発させ水蒸気を生成する蒸発器9と、改質器4により熱利用された後の排ガスの熱を利用して、燃料電池6に供給する空気を加熱する空気熱交換器5と、空気熱交換器5により熱利用された後の排ガスの有する熱を利用して、供給された原料に含まれる硫黄成分を水添脱硫により除去し、改質器4へと供給する不純物除去器3(例えば、脱硫器)と、を備えている。
このように、実施形態2に係る燃料電池システムは、不純物除去器3を備えるため、原料から硫黄成分を除去した状態で改質器4に供給することができる。このため硫黄成分による改質器4の改質触媒の劣化を防止することができるため、改質器4を長期的に使用可能とすることができる。それゆえ、燃料電池システムでは、当該システムの長期耐久性を確保できる。
また、この不純物除去器3は、改質器4および空気熱交換器5により熱利用され所定の温度まで低下させられた排ガスの熱を利用して水添脱硫を行う構成である。すなわち、排ガスにより不純物除去器3を、水添脱硫を行うのに適した所望の温度となるように加熱することができる。
よって、実施形態2に係る燃料電池システムは、不純物除去器3の温度を、水添脱硫を行うのに適した温度となるように制御するとともに、長期耐久性を確保できる。さらにまた、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、不純物除去器3が燃焼部23の上方でかつ対向する位置に配置されていてもよい構成である。
ここで、燃料電池6で生じる発電反応熱および燃焼部23の燃焼による燃焼熱を保有する排ガスは燃焼部23の上方でかつ対向する位置を、温度分布が略均一な状態で加熱する。上記した構成によると、燃焼部23の上方でかつ対応する位置に不純物除去器3が配置されているため、不純物除去器3を均一に加熱することができる。このため、不純物除去器3は、効率よく原料ガスに対して脱硫を実施することができる。さらにまた、不純物除去器3は、排ガス経路20の途中に該排ガス経路20の一部を構成するように設けられた収容空間(収納器27)内に配置され、不純物除去器3の外周を流通する排ガスによって加熱される構成である。このため、排ガスによって不純物除去器3全体を略均一に加熱することができる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、不純物除去器3と排ガスとの間で熱交換させる排ガス熱交換器21をさらに備えるように構成してもよい。
この構成によると、排ガス熱交換器21を備えているため、不純物除去器3と排ガス経路20を流通する排ガスとの間での伝熱面積の拡大及び熱伝達率の向上を図ることができ、迅速に不純物除去器3の温度を所望の温度とすることができる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、改質器4が、水蒸気改質反応に利用するために供給された水を気化させるための蒸発器9を有するように構成されていてもよい。
この構成によると、蒸発器9を備え、改質器4により、燃料ガスの水蒸気改質反応を行うことができるため、燃料効率に優れた燃料電池システムの実現が可能となる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、不純物除去器3は、当該燃料電池システムに着脱可能に設けられるように構成してもよい。
この構成によると、不純物除去器3が燃料電池システムに着脱可能に設けられているため、不純物除去器3に充填した脱硫触媒が劣化した際に、不純物除去器3の取り換えを容易に行うことができる。したがって、燃料電池システムのさらなる長期運転を容易とすることができる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、少なくとも燃料電池6、燃焼部23、改質器4、空気熱交換器5、および不純物除去器3を収容する筐体7と、筐体7の内壁に配置された第1断熱部22と、をさらに備え、不純物除去器3の少なくとも一部が、第1断熱部22内に配置されるように構成されていてもよい。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、少なくとも燃料電池6、燃焼部23、改質器4、空気熱交換器5、不純物除去器3、および排ガス熱交換器21を収容する筐体7と、筐体7の内壁に配置された第1断熱部22と、をさらに備え、不純物除去器3および排ガス熱交換器21の少なくとも一部が、第1断熱部22内に配置されるように構成されていてもよい。
この構成によると、不純物除去器3および排ガス熱交換器21の少なくとも一部を第1断熱部22内に配置するため、不純物除去器3または排ガス熱交換器21からの放熱を抑制することができる。したがって、不純物除去器3を所望の温度となるように容易に加熱することができる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、筐体7の外側に、不純物除去器3を冷却するファン25をさらに備えるように構成されていてもよい。
この構成によると、ファン25を備えるため、不純物除去器3が昇温しすぎた際にこのファン25からの強制対流により容易に冷却することができる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムは、上述した構成において、原料ガス経路1を流通する原料を昇圧して不純物除去器3に供給する昇圧部2と、リサイクル経路19中に設けられ、該リサイクル経路19を流通する燃料に含有される水分を凝縮させる凝縮器24と、をさらに備え、リサイクル経路19は燃料の一部を原料ガス経路1における昇圧部2の上流側に導く構成としてもよい。
この構成によると、リサイクル経路19中に凝縮器24が設けられている。このため、このリサイクル経路19を流通する燃料が低温化した場合、この凝縮器24により水分を回収することができるので、結露水による経路内の水つまりを抑制することができる。さらに、このリサイクル経路19では燃料の一部を昇圧部2の上流側に導くように構成されている。このため、燃料の低温化などで生じた水分を凝縮器24により回収した状態で、この燃料を昇圧部2に導くことができる。それゆえ、水分による昇圧部2の腐食または破損といった不具合を抑制することができる。
ところで、例えば脱硫器などの不純物除去器3内に充填されている触媒は、使用により劣化していくため、その交換が必要となる。しかしながら、例えば、特許文献1から3に開示されている燃料電池システムの構成では、不純物除去器3が筐体(例えば、特許文献1の断熱槽102)の内部空間に設置されているため、不純物除去器3自体を取り外すことが困難となるという問題があった。
また、例えば、実施形態2の変形例4で示した構成のように、不純物除去器3が設けられている筐体7の上面を、筐体7の本体から取り外すことができる構成とすることで不純物除去器3の交換を可能とすることも考えられえる。しかしながら、このような構成の場合であっても、筐体7のサイズが大きい場合は、上面を筐体7から取り外す作業は困難であり、容易に不純物除去器3の取り外しができない場合がある。
そこで、発明者は、不純物除去器3を容易に取り外すことができるようにし、製造およびメンテナンスを容易に行うことができる燃料電池システムの構成を検討したところ、上述した実施形態1に係る燃料電池システムのように、不純物除去器3を収納器27内に格納した構成とすることが有効であることを見出した。
以下では、不純物除去器3を収納器27内に格納した構成として、実施形態1とは異なる構成について具体的に実施形態3として説明する。なお、実施形態3については構成がより類似する実施形態2との比較によりその構成を説明するものとする。
(実施形態3)
図16および図17を参照して実施形態3に係る燃料電池システムについて説明する。図16および図17は、実施形態3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図16では、実施形態3に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。図17では、図16に示す燃料電池システムにおいて、筐体7から後述する収納器27を分離させた際の構成の一例を示す。
実施形態3に係る燃料電池システムは、図5、6に示した実施形態2に係る燃料電池システムと比較して以下の点で異なる。すなわち、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3は第1断熱部22内に収容されていたのに対して、実施形態3に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3は、収納器27内に収容されている点で異なる。
また、実施形態2に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が筐体7の右側面の下方に配置されていたのに対して、実施形態3に係る燃料電池システムでは、筐体7の上面側における略中央部分(燃焼部23と対向する位置)に配置されている点でも異なる。ただし実施形態3に係る不純物除去器3の配置はこれに限定されるものではなく、実施形態2に係る燃料電池システムと同様に筐体7の右側面の下方に配置された構成であってもよい。
また、筐体7内の排ガスを収納器27内に導くとともに、収納器27内を流通した排ガスを収納器27外に導く排ガス経路20を設け、この排ガス経路20が連通するように上流側排ガス経路20aと収納器内排ガス経路20cとを接続するとともに、下流側排ガス経路20bと収納器内排ガス経路20cとを接続するための2つの排ガス経路接続部31を備える点でも異なる。つまり、収納器27内には、不純物除去器3の外周を囲むように、排ガスが流通するための流路である収納器内排ガス経路20cが形成されている。そして、この収納器内排ガス経路20cは、排ガス経路接続部31によって、上流側排ガス経路20a、下流側排ガス経路20bそれぞれと接続されるように構成されている。
図16に示す例では、排ガス経路接続部31のうち、収納器側排ガス経路接続部31aは、筐体7と接する側の面となる収納器27の底面に設けられている。一方、筐体側排ガス経路接続部31bは、収納器27を収容できるように筐体7の上面に形成された凹部の底に筐体側排ガス経路接続部31bが設けられている。より具体的には、筐体側排ガス経路接続部31bは、凹部の底において、筐体7に収納器27を取り付けた際に、収納器側排ガス経路接続部31aに対応する位置であり、かつ第1断熱部22内に設けられている。
さらにまた、原料ガス経路1と不純物除去器3とが連通するよう筐体7と収納器27とを接続する第1接続部30、ならびに脱流後原料ガス経路14と不純物除去器3とが連通するよう筐体7と収納器27とを接続する第2接続部32を備えている点でも異なる。なお、第1接続部30と第2接続部32とによって、本発明の原料ガス経路接続部を実現する。
すなわち、実施形態3に係る燃料電池システムは、原料ガス経路接続部(第1接続部30および第2接続部32)によって収納器27を筐体7に接続している。さらには、2つの排ガス経路接続部31によっても収納器27を筐体7に接続している構成である。なお、上記した点を除けば、実施形態2と同様の構成となる。
図16に示すように、実施形態3に係る燃料電池システムでは、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3を収容した収納器27が配置されている。そして、燃料電池6で生じる発電反応熱および燃焼部23の燃焼による燃焼熱を保有する排ガスは、筐体7の上面に向かって上昇する過程で、まず改質器4、蒸発器9を加熱し、さらに空気熱交換器5との熱交換により保有する熱の一部が奪われた状態で燃焼部23の上方にある不純物除去器3に向かう。すなわち、不純物除去器3に充填された脱硫剤に適した温度まで低下させられた状態で排ガスは不純物除去器3に向かう。
このように、実施形態3に係る燃料電池システムでは、改質器4、蒸発器9と空気熱交換器5とによって排ガスが保有する熱の一部を奪うように構成されている。このため、燃焼部23で生成された排ガスを適温まで冷却させ、収納器27内に供給する排ガスの保有する熱量を抑制することができる。
したがって、収納器27に収容された不純物除去器3の温度調整をする温度調整部などを別途設ける必要がなく、容易に不純物除去器3を適温に維持することができる。また、空気熱交換器5が排ガスとの熱交換により回収した熱は、燃料電池に供給する空気の加熱に用いることができるため、燃料電池システムの効率的な稼動を実現できる。
また、不純物除去器3に充填された脱硫剤に適した温度まで低下させられた排ガスは、上流側排ガス経路20aを通じて収納器27の一方の端部側から、この収納器27内に形成されている収納器内排ガス経路20cに流入する。そして、収納器内排ガス経路20cを流通する排ガスと不純物除去器3とが熱交換をする。
このように、脱硫剤3に適した温度まで排ガスの温度を低下させることができる。このため、システムの故障等に起因して高温となった、燃焼部23からの輻射熱または排ガスが保有する熱などが第1断熱部22を熱移動し、不純物除去器3の温度が適温よりも高温になったとしても、収納器内排ガス流路20cを流通する排ガスによって冷却させることができる。よって、実施形態3に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3を適温に維持することが容易となる。
収納器内排ガス経路20cを流通した排ガスは、収納器27の他方の端部側から、下流側排ガス経路20bに流出し、筐体7の外部に導かれる。なお、図16に示すように、実施形態3に係る燃料電池システムは、実施形態2に係る燃料電池システム同様に、排ガス経路20の途中に、不純物除去器3が配されている。そして、不純物除去器3よりも上流側に上流側排ガス経路20aが、不純物除去器3よりも下流側に下流側排ガス経路20bが配されている。
不純物除去器3が収容されている収納器27は、その内側に第2断熱部(第2断熱材部)33が設けられており、この収納器27の内部から外部への放熱および外部からの伝熱を可能な限り遮断するように構成されている。実施形態3に係る燃料電池システムでは、図16に示すように、収納器27において収納器側排ガス経路接続部31aが形成されている底面を除く面の内側に第2断熱部33が設けられている。すなわち、収納器27は、少なくとも一部(図16では底面)が第1断熱部22と接して、筐体7に対して着脱可能に設けられている。さらに、少なくとも第1断熱部22と接していない収納器27の面の内側には第2断熱部33が設けられている。
このため、不純物除去器3を排ガスとの熱交換で適温となるように加熱しつつ、不純物除去器3に排ガスが有する熱以外の熱が伝わることを遮ることで不純物除去器3の温度を適温に維持することができる。
なお、第2断熱部33の材質は、第1断熱部22の材質と同様であってもよいし、異なる材質であってもよい。例えば、第1断熱部22よりも第2断熱部33の方が高温に曝されないため、第2断熱部33は、第1断熱部22よりも高温に耐えうる材質とする必要がない。
また、筐体7と収納器27とは、上述したように第1接続部30、第2接続部32、ならびに2つの排ガス経路接続部31とによって接続されている。そしてこれら第1接続部30、第2接続部32、および排ガス経路接続部31は、流通する原料ガスまたは排ガスが漏れないように気密性が確保されている。
また、図17に示すように、実施形態3に係る燃料電池システムでは、上述した第1接続部30、第2接続部32、および排ガス経路接続部31によって、筐体7に対して収納器27を着脱可能となるように構成されている。第1接続部30、第2接続部32、および排ガス経路接続部31は、例えば、実施形態1の原料ガス経路接続部(第1接続部30)および排ガス経路接続部31と同様に、スウェージロック(登録商標)に代表される締め付け部材であってもよい。このように、筐体7に対して収納器27を着脱可能とする構成にすることで、燃料電池システムを製造する際に、不純物除去器3を筐体7に容易に取り付けることができる。
更に、長時間の使用後、不純物除去器3に充填した触媒が劣化し、不純物除去器3を交換する必要が生じた場合であっても、筐体7から収納器27を取り外し、収納器27内から不純物除去器3を容易に取り出すことができる。したがって、メンテナンス性に優れた燃料電池システムを構成することができる。
また、前述のように、不純物除去器3は、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛とを組み合わせた脱硫剤を充填する場合は350〜400℃の温度範囲、または脱硫剤が銅および亜鉛を含む場合は、10〜400℃程度、好ましくは150〜300℃程度の温度範囲になるように構成されている。
ところで、実施形態3に係る燃料電池システムでは、第1接続部30(収納器側第1接続部30a、筐体側第1接続部30b)、ならびに第2接続部32(収納器側第2接続部32a、筐体側第2接続具32b)は、第1断熱部22内または第2断熱部33内に収容されるように構成されている。さらに、排ガス経路接続部31も第1断熱部22内に収容されている。このようにこれらの接続部は第1断熱部22または第2断熱部33内に収容されているため、筐体7内部の高温な熱に直接、曝されることがなく、不純物除去器3と同じ温度範囲に保たれる。
したがって、燃焼部23からの輻射熱や排ガスの有する熱により、第1接続部30、第2接続部、ならびに排ガス経路接続部31が高温な熱(例えば400℃以上の熱)に長時間さらされ、熱劣化するといった不具合が発生することを抑制することができる。
また、実施形態3に係る燃料電池システムでは、図16および図17に示すように、収納器内排ガス経路20cは、収納器27において、不純物除去器3の外周を取り囲むように形成されていた。しかしながら、収納器内排ガス経路20cをこのように形成する構成に限定されるものではない。
例えば、不純物除去器3の厚みが薄い場合、収納器内排ガス経路20cは、図18に示すような配置としてもよい。図18は本発明の実施形態3に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。この図18に示すように、不純物除去器3の一方の側面が第2断熱部33と接しており、収納器内排ガス経路20cは不純物除去器3の他方の側面側にのみ形成されている。すなわち、不純物除去器3の一方の側面側にのみ形成された収納器内排ガス経路20cを流通する排ガスとの熱交換により適温に維持されるだけ十分に不純物除去器3が薄い場合は、不純物除去器3の外周を取り囲むように収納器内排ガス経路20cを形成する必要がない。このように収納器内排ガス経路20cが不純物除去器3の一方の側面側にのみ形成される構成の場合、不純物除去器3を収容する収納器3の厚みをより薄くすることができ小型化を図ることができる。
上記した実施形態3に係る燃料電池システムでは、不純物除去器3が収納器内排ガス経路20cを流通する排ガスとの熱交換により適温に維持される構成であった。しかしながら、例えば、筐体7内の排ガスが保有する熱および燃焼部23の輻射熱が、第1断熱部22を熱移動して不純物除去器3の温度が適温となるように加熱させる構成としてもよい。このような構成を、実施形態3の変形例として図19、図20を参照して具体的に説明する。
(実施形態3の変形例)
以下、図19、図20を参照して実施形態3に係る燃料電池システムの変形例について説明する。図19、図20は、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。図19では、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムを側部から見たときの構成を模式的に示している。図20では、図19に示す燃料電池システムにおいて、筐体7から収納器27を分離させた際の構成の一例を示す。
実施形態3の変形例に係る燃料電池システムは、上記した実施形態3の燃料電池システムと比較して、収納器27において収納器内排ガス経路20cが形成されていない点で異なる。また、上流側排ガス経路20a、下流側排ガス経路20bそれぞれが排ガス経路接続部31によって収納器内排ガス経路20cに接続された構成ではない点でも異なる。すなわち、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、排ガス経路20は筐体7の内部から第1断熱部22を貫通し、筐体7の外部に延設されている。
上記した点を除けば、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成は、実施形態3の燃料電池システムの構成と同様の構成となる。このため、実施形態2に係る燃料電池システムと同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
図19に示すように、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、筐体7の上面側であって、燃焼部23と対向する位置に不純物除去器3を収容した収納器27が配置されている。そして、燃料電池6で生じる発電反応熱および燃焼部23の燃焼による燃焼熱を保有する排ガスは、筐体7の上面に向かって上昇する過程で、まず改質器4、蒸発器9を加熱し、さらに空気熱交換器5との熱交換により保有する熱の一部が奪われた状態で燃焼部23の上方に向かう。そして、温度低下させられた状態の排ガスが保有する熱および燃焼部23からの輻射熱、すなわち燃焼部23の燃焼による燃焼熱が第1断熱部22を熱移動し不純物除去器3を加熱する。
このように、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、改質器4と空気熱交換器5とによって排ガスが保有する熱などの一部を奪うように構成されている。このため、燃焼部23で生成された排ガスを所望の温度まで冷却させ、第1断熱部22を通じて収納器27内に伝わる排ガスの保有する熱量を抑制することができる。
したがって、収納器27に収容された不純物除去器3の温度調整をする温度調整部などを別途設ける必要がなく、不純物除去器3を適温に維持することができる。ただし、実施形態3に係る燃料電池システムのように、収納器27内に排ガスを導き、この排ガスと不純物除去器3との熱交換を行う構成の方が、不純物除去器3が高温になった場合、排ガスにより適温まで温度を低下させることができる点で有利である。
不純物除去器3が収容されている収納器27は、実施形態3で示した構成と同様にその内側に第2断熱部33が設けられており、この収納器27の内部から外部への放熱を可能な限り遮断するように構成されている。
また、筐体7と収納器27とは、第1接続部30および第2接続部32によって接続されている。そしてこれら第1接続部30および第2接続部32は、流通する原料ガスが漏れないように気密性が確保されている。
また、図20に示すように、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、第1接続部30および第2接続部32によって、筐体7に対して収納器27を着脱可能となるように構成されている。このように、筐体7に対して収納器27を着脱可能とする構成にしておけば、燃料電池システムを製造する際に、不純物除去器3を収容した収納器27を筐体7に容易に取り付けることができる。
更に、長時間の使用後、不純物除去器3に充填した触媒が劣化し、不純物除去器3を交換する必要が生じた場合であっても、筐体7から収納器27を取り外し、収納器27内から不純物除去器3を容易に取り出すことができる。したがって、メンテナンス性に優れた燃料電池システムを構成することができる。
また、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、第1接続部30(収納器側第1接続部30a、筐体側第1接続部30b)、ならびに第2接続部32(収納器側第2接続部32a、筐体側第2接続具32b)は、第1断熱部22内または第2断熱部33内に収容されるように構成されている。このようにこれらの接続部は第1断熱部22または第2断熱部33内に収容されているため、筐体7内部の高温に直接曝されることがなく、不純物除去器3と略同じ温度範囲に保たれる。
したがって、燃焼部23からの輻射熱および排ガスの有する熱により、第1接続部30および第2接続部32が高温(例えば400℃以上)に長時間さらされ、熱劣化するといった不具合が発生することを抑制することができる。
なお、筐体7内において改質器4を加熱することで、燃焼部23からの輻射熱および排ガスなどが所望される温度まで低下する場合、図21に示すように空気熱交換器5を必ずしも備える必要はない。図21は、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成の一例を示した模式図である。ただし、空気熱交換器5を備える構成の方が、排ガスとの熱交換により回収した熱量を、燃料電池に供給する空気の加熱に用いることができる点で有利である。
また、上記した実施形態3および実施形態3の変形例に係る燃料電池システムでは、収納器27が筐体7の第1断熱部22内に収まるように構成されていた。しかしながらこのような構成に限定されるものではない。
例えば、図22に示すように、収納器27を筐体7の上面から上方に突出した状態で取り付けられる構成であってもよい。
図22は、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムにおいて、筐体7から収納器27を分離させた構成の一例を示す図である。なお、図22では、説明の便宜上、実施形態3の変形例に係る燃料電池システムの構成を例に挙げて説明しているが、実施形態3に係る燃料電池システムでも同様に構成することは可能である。
図22に示すように、収納器27は、長手方向における両端部が下方に突出した、断面形状が略U字形状となっている。この下方に突出した部分には第2断熱部33が設けられており、この突出した部分の端部でかつ第2断熱部33の中に収納器側第1接続部30aおよび収納器側第2接続部32aがそれぞれ設けられている。
一方、筐体7では、収納器27が取り付けられる位置において、突出した収納器27の端部を収容できるように凹部が形成されている。そして、この凹部の底でかつ第1断熱部22内において筐体側第1接続部30bおよび筐体側第2接続部32bがそれぞれ備えられている。また、筐体7に形成された凹部の縁であり、かつ筐体7と収納器27とが接する位置に密封部材であるOリング34が備えられた構成であってもよい。
このように、筐体7から外部に向かって突出するように収納器27が取り付けられるような構成としてもよい。
(実施形態1、3の燃料電池システムの製造方法)
次に、燃料電池システムの製造方法について図23を参照して説明する。特に、不純物除去器3が収納器27内に格納されており、収納器27が燃料電池システムにおいて容易に着脱可能となった実施形態1、3に係る燃料電池システムの製造方法について説明する。図23は、実施形態1、3に係る燃料電池システムの製造方法の一例を示すフローチャートである。
(燃料電池システムの製造方法)
次に、上述した本発明の実施形態1または実施形態3に係る燃料電池システムの製造方法について図23を参照して説明する。図23は、本発明の実施形態1または実施形態3に係る燃料電池システムの製造方法の一例を示すフローチャートである。
一般的に、触媒を充填した装置を用いる際には、まず触媒を活性化させるために加熱及び還元処理がなされる(例えば、特許文献7)。そこで、本発明の製造方法では、筐体7に収納器27を取り付ける前に加熱及び還元処理を行う。
具体的には、まず、第一の工程(S1)として、不純物除去器3に充填した触媒を活性化させる温度(150〜300℃)になるように加熱処理を行う。この第一の工程(S1)を、筐体7から取り外された状態で、不純物除去器3のみに対して行うこともできるが、不純物除去器3を収容した収納器27に対して行うことも可能である。
次に、第二の工程(S2)では、不活性ガス(例えば、窒素)に0.1〜5%の水素を含んだ還元ガスを、不純物除去器3または、不純物除去器3を収納した収容器27に流通させて還元処理を行う。この還元ガスにより、酸化されている触媒を還元し、触媒の活性化を行う。そして、第三の工程(S3)では第二の筐体7bに不純物除去器3を収納している収納器27を取り付ける。
以上の製造方法によると、不純物除去器3に充填した触媒を活性化させるのに必要な上述した第一の工程(S1)及び第二の工程(S2)を、第二の筐体7bに収納器27を取り付ける第三の工程を行う前にすることができる。したがって、不純物除去器3または収納器27以外の構成部品まで加熱及び還元工程に加える必要がないので、余計なエネルギーやガスの消費を抑えることができる。したがって、燃料電池システムの効率的な製造方法の実現が可能となる。
上記発明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の燃料電池システムは、水添脱硫を実施する不純物除去器3を、適切な温度範囲となるように管理することができる構成である。このため、原料ガスから水添脱硫により硫黄成分を取り除く脱硫器を備えた燃料電池システムにおいて幅広く適用できる。
1 原料ガス経路
2 昇圧部
3 不純物除去器
4 改質器
5 空気熱交換器
6 燃料電池
7 筐体
7a 第一の筐体
7b 第二の筐体
9 蒸発器
10 空気供給経路
11 改質水経路
12 改質空気経路
14 脱硫後原料ガス経路
16 燃料ガス供給経路
17 空気供給経路
18 減圧部
19 リサイクル経路
20 排ガス経路
20a 上流側排ガス経路
20b 下流側排ガス経路
20c 収納器内排ガス経路
21 排ガス熱交換器
22 第1断熱部
23 燃焼部
24 凝縮器
25 ファン
27 収納器
30 第1接続部
30a 収納器側第1接続部
30b 筐体側第1接続部
31 排ガス経路接続部
31a 収納器側排ガス経路接続部
31b 筐体側排ガス経路接続部
32 第2接続部
32a 収納器側第2接続部
32b 筐体側第1接続部
33 第2断熱部

Claims (5)

  1. 供給された原料ガスに含まれる硫黄成分を除去する水添脱硫方式の脱硫器と、
    供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発器と、
    前記蒸発器により生成された水蒸気と、前記脱硫器により硫黄成分が除去された前記原料ガスとから改質反応により燃料となる改質ガスを生成する改質器と、
    供給された空気と前記燃料とを利用して発電反応により発電する燃料電池と、
    前記燃料電池で利されなかった燃料を燃焼する燃焼部と、
    前記蒸発器、前記改質器、前記燃料電池、および前記燃焼部を収容する筐体と、
    前記燃焼部における燃焼により生じた排ガスを、前記筐体外へと排出させるため、該排ガスが流通する排ガス経路と
    前記筐体内に設けられた、前記燃料電池に供給する空気と前記排ガスとの熱交換により該排ガスを冷却する空気熱交換器と、を備え、
    前記排ガスが、前記改質器、前記蒸発器を加熱し、さらに前記空気熱交換器との熱交換により保有する熱の一部が奪われた状態で、前記脱硫器を加熱するように、前記排ガス経路が構成され、
    前記脱硫器が、前記空気熱交換器と対向する位置に配置されている燃料電池システム。
  2. 前記筐体が前記脱硫器から前記筐体外への放熱を抑制する断熱部を有する、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記脱硫器に前記原料ガスを供給するために、該原料ガスを流通させる原料ガス経路と、
    水素含有ガスを前記原料ガス経路へと導くためのリサイクル経路とを備え、
    前記脱硫器が、前記原料ガス経路を流通する水素含有ガスを利用して、水添脱硫により前記原料ガスから前記硫黄成分を除去する請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記水素含有ガスとして、前記改質器により生成した前記改質ガスの一部が前記リサイクル経路を流通する請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記脱硫器が平板型形状である請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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