JP5102510B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、原燃料及び空気を導入して発電を行う燃料電池システムに関するものである。
燃料電池システムの一つとして固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムがある。一般に固体酸化物形燃料電池システムは、灯油や都市ガス等の炭化水素燃料(原燃料)を改質して水素含有ガス(改質ガス)を生成する改質器と、この改質器で得られた改質ガスと空気とを電気化学的に発電反応させる燃料電池スタックとを備えている。燃料電池スタックは、通常550〜1000℃程度の高温下で作動される。そのようなSOFCシステムとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。
特開2002−358997号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、燃料電池システムの起動時には、改質器が改質ガスを生成可能な温度まで昇温される間、燃料電池スタックのアノード(燃料極)の酸化劣化を防止するために、水素等の還元性ガスをアノードに供給する必要がある。また、燃料電池システムの停止時には、改質器により改質ガスが生成されなくなった後に、同様の理由から還元性ガスをアノードに供給する必要がある。水素の供給源としては、水素ガスボンベ、水素吸蔵・吸熱発生材、電解水素など種々のものがある。しかし、このような水素供給源を用いると、システム(設備)が複雑化したり大規模化したりして、コストアップの要因となる。
本発明の目的は、設備の簡素化・小規模化を図りつつ、燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を防止することができる燃料電池システムを提供することである。
本発明の燃料電池システムは、第1原燃料を改質して第1改質ガスを生成する発電用改質器と、発電用改質器で生成された第1改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、起動・停止時において、第2原燃料を改質して燃料電池スタックのアノードを酸化劣化から保護するための第2改質ガスを生成し、第2改質ガスを燃料電池スタックのアノードに供給する起動・停止用改質器と、発電用改質器、燃料電池スタック、及び起動・停止用改質器を収容する容器とを備え、容器内における燃料電池スタックと起動・停止用改質器との間には、燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が配置されていることを特徴とするものである。
このような本発明の燃料電池システムの起動時には、例えば起動・停止用改質器を所定温度まで昇温した後、第2改質ガスが起動・停止用改質器によって生成され、その第2改質ガスが燃料電池スタックに供給される。その後、燃料電池スタックからの輻射熱や排ガス(オフガス)燃焼熱等によって発電用改質器が所定温度まで昇温されると、第1改質ガスが発電用改質器によって生成され、その第1改質ガスが燃料電池スタックに供給される。このように発電に用いる第1改質ガスが燃料電池スタックに供給される前には、燃料電池スタックのアノードを酸化劣化から保護するための第2改質ガスが燃料電池スタックに供給されることとなる。
燃料電池システムの停止時には、例えば起動・停止用改質器を所定温度まで昇温した後、起動・停止用改質器により第2改質ガスが生成され、その第2改質ガスが燃料電池スタックに供給されると共に、燃料電池スタックへの第1改質ガスの供給が停止される。その後、燃料電池スタックが所定の温度まで降温されると、燃料電池スタックへの第2改質ガスの供給が停止される。このように燃料電池スタックへの第1改質ガスの供給が停止された後には、燃料電池スタックのアノードを酸化劣化から保護するための第2改質ガスが燃料電池スタックに供給されることとなる。
ここで、電池スタックのアノードを酸化劣化から保護するための第2改質ガスとしては、水素含有ガス等の還元性ガスが好適である。水素含有ガスは、炭化水素系燃料を改質することで得られる。従って、第2原燃料として炭化水素系燃料を使用し、起動・停止用改質器により炭化水素系燃料を改質して第2改質ガスを生成することにより、水素供給源である水素ガスボンベ等を使用しなくて済む。しかも、起動・停止用改質器は、発電用改質器と共に容器内に配置されている。これにより、燃料電池システムのスペース効率が良好となり、システム(設備)の簡素化及び小規模化を図ることができる。
また、容器内における燃料電池スタックと起動・停止用改質器との間に、燃料電池スタックによる発電に寄与する部材を配置することにより、燃料電池システムの起動時に起動・停止用改質器が昇温される際、起動・停止用改質器から燃料電池スタックへの伝熱が、燃料電池スタックによる発電に寄与する部材に遮られるようになる。このため、燃料電池スタックは、起動・停止用改質器からの輻射熱を受けにくくなる。従って、起動・停止用改質器からの輻射熱によって燃料電池スタックの温度が必要以上に高くなることが抑制される。これにより、第2改質ガスが燃料電池スタックに供給される前に、燃料電池スタックのアノードが酸化劣化することを確実に防止できる。
好ましくは、燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が発電用改質器である。この場合には、燃料電池システムの起動・停止時に、発電用改質器が起動・停止用改質器から燃料電池スタックへの伝熱を遮るだけでなく、燃料電池スタックからの輻射熱やオフガス燃焼熱等を受けやすくなる。従って、発電用改質器が高温の熱源を必要とする場合に有効である。
また、燃料電池スタックに供給される空気を予熱する空気予熱器を更に備え、燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が空気予熱器であっても良い。このように空気予熱器を容器内に配置することにより、燃料電池システムのスペース効率が一層良くなると共に、空気予熱器が起動・停止用改質器から燃料電池スタックへの伝熱を遮ることとなる。
また、好ましくは、起動・停止用改質器と燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材との間には断熱材が介在されている。この場合には、起動・停止用改質器から燃料電池スタックへの伝熱が十分低減されるため、起動・停止用改質器からの輻射熱による燃料電池スタックの温度上昇が一層抑制されるようになる。
本発明によれば、設備の簡素化・小規模化を図りつつ、燃料電池スタックのアノードの酸化劣化を防止することができる。これにより、燃料電池システムにかかるコストを削減することが可能となる。
以下、本発明に係わる燃料電池システムの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる燃料電池システムの第1実施形態を示すシステム構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム1は、原燃料(第1原燃料)を改質して改質ガス(第1改質ガス)を生成する発電用改質器(第1改質器)2と、この発電用改質器2で得られた改質ガスと空気とを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタック3と、原燃料(第2原燃料)を改質して改質ガス(第2改質ガス)を生成する起動・停止用改質器(第2改質器)4とを備えている。発電用改質器2、SOFCスタック3及び起動・停止用改質器4は、モジュール容器5内に収容されてモジュール化されている。
また、燃料電池システム1は、発電用原燃料及び水蒸気が混合された発電用改質原料をモジュール容器5の外部から発電用改質器2に供給するための原料供給系6と、起動・停止用原燃料及び水蒸気が混合された起動・停止用改質原料をモジュール容器5の外部から起動・停止用改質器4に供給するための原料供給系7とを備えている。
原料供給系6は、発電用改質器2と接続された原料導入管8と、発電用原燃料の供給量を調整する電磁バルブ9と、水蒸気の供給量を調整する電磁バルブ10とを有している。発電用原燃料としては、例えば灯油や都市ガス等の炭化水素燃料が用いられる。原料供給系6は、例えば水気化器(図示せず)で得られた水蒸気に燃料気化器(図示せず)で得られた原燃料ガスを混合させて発電用改質原料ガスを生成する。そして、その発電用改質原料ガスが原料導入管8内を通って発電用改質器2に導入される。
原料供給系7は、起動・停止用改質器4と接続された原料導入管11と、起動・停止用原燃料の供給量を調整する電磁バルブ12と、水蒸気の供給量を調整する電磁バルブ13とを有している。起動・停止用原燃料としては、灯油や都市ガス等の炭化水素燃料が用いられる。原料供給系7は、原料供給系6と同様に、例えば水気化器(図示せず)で得られた水蒸気に燃料気化器(図示せず)で得られた原燃料ガスを混合させて起動・停止用改質原料ガスを生成する。そして、その起動・停止用改質原料ガスが原料導入管11内を通って起動・停止用改質器4に導入される。
発電用改質器2は、発電用改質原料を改質触媒で水蒸気改質反応させて、水素及び一酸化炭素を含有する改質ガスを生成する。この改質ガスは、SOFCスタック3による発電に用いられるガスである。水蒸気改質反応は非常に大きな吸熱反応であり、反応温度が550〜750℃程度と比較的高いので、高温の熱源が必要となる。このため、発電用改質器2は、SOFCスタック3の近傍に配置され、SOFCスタック3からの輻射熱及びオフガス燃焼熱を利用して水蒸気改質反応を行う。具体的には、発電用改質器2は、SOFCスタック3と起動・停止用改質器4との間に配置されている。
SOFCスタック3は、改質ガス供給管14を介して発電用改質器2と接続されている。また、SOFCスタック3には、モジュール容器5の外部から空気を導入するための空気導入管15が接続されている。空気導入管15には、空気の導入量を調整する電磁バルブ16が設けられている。
また、空気導入管15には、SOFCスタック3に供給される空気を予熱する空気予熱器17が設けられている。空気予熱器17としては、例えば熱交換器が使用される。なお、空気予熱器17は、図示の通りモジュール容器5内に配置されていても良いし、モジュール容器5の外部に配置されていても良い
SOFCスタック3は、複数の電池セルが積み重ねられて構成されている。電池セルは、アノード(燃料極)3aと、カソード(空気極)3bと、アノード3aとカソード3bとの間に配置された電解質3cとを有している。アノード3aには改質ガスが導入され、カソード3bには空気が導入される。これにより、各電池セルにおいて電気化学的な発電反応が行われることになる。なお、SOFCスタック3は、通常550〜1000℃程度の高温で作動する。
起動・停止用改質器4は、起動・停止用改質原料を改質触媒で水蒸気改質反応させて、還元性を有する水素を含有する改質ガスを生成するものである。この改質ガスは、燃料電池システム1の起動・停止時にSOFCスタック3のアノード3aを酸化劣化から保護するためのガスである。起動・停止用改質器4は、発電用改質器2に対してSOFCスタック3の反対側、つまりSOFCスタック3による発電反応時にSOFCスタック3からの輻射熱及びオフガス燃焼熱を直接受けにくい位置に、発電用改質器2から離間して配置されている。なお、起動・停止用改質器4は、特に発電に寄与するものでないので、発電用改質器2に比べて小容量であっても良い。
起動・停止用改質器4は、改質ガス供給管18を介して原料導入管8と分岐接続されている。起動・停止用改質器4により生成された改質ガスは、改質ガス供給管18、原料導入管8、発電用改質器2及び改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3に供給される。ここでは、起動・停止用改質器4で生成された改質ガスによって発電用改質器2の改質触媒を還元させるために、改質ガス供給管18を発電用改質器2の入力側に分岐接続したが、改質ガス供給管18を発電用改質器2の出力側(改質ガス供給管14)に接続しても良い。
また、燃料電池システム1は、運転時にシステム全体を制御する制御装置19を備えている。制御装置19は、電磁バルブ9,10を制御することで原燃料及び水蒸気の供給をそれぞれ制御し、電磁バルブ12,13を制御することで原燃料及び水蒸気の供給量をそれぞれ制御し、電磁バルブ16を制御することで空気の導入量を制御する。
図2は、燃料電池システム1の起動時に、制御装置19により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。本制御処理の実行は、例えば図示しない起動スイッチが操作されることで開始される。以下、図2に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム1の起動時の運転方法について説明する。
まず、例えば起動・停止用改質器4の近傍に配置されたバーナやヒータ(図示せず)等の熱源によって、起動・停止用改質器4を所定の温度まで加熱する。続いて、電磁バルブ12,13を制御して、起動・停止用改質器4に向けて原燃料及び水蒸気を供給することにより、起動・停止用改質器4に起動・停止用改質原料を供給する(手順101)。
ここで、起動・停止用改質器4の改質触媒表面に炭素が析出する、いわゆるコーキングが発生すると、改質触媒が劣化して改質反応を阻害する。これを防止するためには、最初に水蒸気のみを起動・停止用改質器4に供給し、その後で原燃料を起動・停止用改質器4に供給するのが望ましい。まず水蒸気のみが起動・停止用改質器4に供給されると、水蒸気が発電用改質器2及び改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3に供給される。その後、原燃料が起動・停止用改質器4に供給されると、起動・停止用改質器4により改質ガスが生成され、この改質ガスが発電用改質器2及び改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3に供給される。
また、電磁バルブ16を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに空気を供給する(手順102)。なお、この発電用空気の供給の開始は、手順101の前または手順101と同時に実行しても良い。
その後、SOFCスタック3からのアノードオフガス燃焼熱あるいはヒータ等によりモジュール容器5内が昇温される。そして、発電用改質器2の温度が所定の温度(前述の550〜750℃程度)に到達したら、電磁バルブ9,10を制御して、発電用改質器2に向けて原燃料及び水蒸気を供給することにより、発電用改質器2に発電用改質原料を供給する(手順103)。すると、発電用改質器2により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3に供給される。
このとき、発電用改質器2のコーキング(前述)を防止するために、上記と同様に最初に水蒸気のみを発電用改質器2に供給し、その後で原燃料を発電用改質器2に供給するのが望ましい。その後、SOFCスタック3が所定の温度まで昇温された後、SOFCスタック3から電流を取り出すことにより、SOFCスタック3による発電が開始される。
続いて、電磁バルブ12,13を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、起動・停止用改質器4への起動・停止用改質原料の供給を停止する(手順104)。また、起動・停止用改質器4またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。
このような燃料電池システム1の起動時には、起動・停止用改質器4で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給され始めると、SOFCスタック3がアノード3aの酸化劣化点(例えば400℃)以上の温度まで昇温されても、改質ガスによってアノード3aの酸化劣化が防止される。
図3は、燃料電池システム1の停止時に、制御装置19により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。本制御処理の実行は、例えば図示しない停止スイッチが操作されることで開始される。以下、図3に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム1の停止時の運転方法について説明する。
まず、例えば起動・停止用改質器4の近傍に配置されたヒータ(図示せず)等によって、起動・停止用改質器4を所定の温度まで加熱する。また、電磁バルブ9,10を制御して、原燃料及び水蒸気の供給量を減らすことにより、発電用改質器2への発電用改質原料の供給量を減らす。これにより、発電用改質器2で生成される改質ガスの供給量が減少する。
そして、電磁バルブ12,13を制御して、起動・停止用改質器4に向けて少量の原燃料及び水蒸気を供給することにより、起動・停止用改質器4に少量の起動・停止用改質原料を供給する(手順111)。すると、起動・停止用改質器4により改質ガスが生成され、この改質ガスが少量だけSOFCスタック3のアノード3aに供給される。
また、電磁バルブ9,10を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、発電用改質器2への発電用改質原料の供給を停止する(手順112)。これにより、発電用改質器2で生成された改質ガスの供給が停止する。
続いて、例えば電磁バルブ16を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに供給される空気量を増やす。これにより、SOFCスタック3への改質ガスの供給量を少量とする(前述)ことでSOFCスタック3からのアノードオフガス燃焼熱が減少することと相俟って、モジュール容器5内の降温が開始される(手順113)。なお、この手順は、手順112の前に実行しても良い。
SOFCスタック3内がアノード3aの酸化劣化点以下の温度になった後、電磁バルブ12,13を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、起動・停止用改質器4への起動・停止用改質原料の供給を停止する(手順114)。また、起動・停止用改質器4またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。
ここで、改質ガス供給管14,18内の改質ガスに比べて冷めにくいSOFCスタック3がアノード3aの酸化劣化点以下の温度まで降温するまでの間は、起動・停止用改質器4で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給され続けるので、アノード3aの酸化劣化が防止される。
以上のような本実施形態にあっては、炭化水素系の原燃料を改質して改質ガス(水素含有ガス)を生成する起動・停止用改質器4を設け、その起動・停止用改質器4で得られた改質ガスをSOFCスタック3に供給することにより、SOFCスタック3のアノード3aを酸化劣化から保護するようにしたので、水素供給源として水素ガスボンベ、水素吸蔵・吸熱発生材、電解水素等を使用しなくて済む。また、発電用改質原料を作るための原燃料と起動・停止用改質原料を作るための原燃料とが全く同じであれば、それらの原燃料の供給源を共有化することができる。さらに、起動・停止用改質器4は発電用改質器2と共にモジュール容器5内に配置されているので、省スペース化が図られる。以上により、システム(設備)の簡単化、小規模化及び低コスト化を図ることができる。
また、モジュール容器5内において、起動・停止用改質器4は発電用改質器2を挟んでSOFCスタック3の反対側に配置されているので、起動・停止用改質器4からSOFCスタック3に向かう輻射熱が発電用改質器2により遮られるようになる。
このため、燃料電池システム1の起動時に起動・停止用改質器4が昇温される際、起動・停止用改質器4からの輻射熱をSOFCスタック3が受熱しにくくなるため、起動・停止用改質器4からの輻射熱によってSOFCスタック3の温度が必要以上に高くなることが防止される。これにより、起動・停止用改質器4で生成された改質ガスがSOFCスタック3に供給される前、例えば水蒸気のみがSOFCスタック3に供給されている状態でも、SOFCスタック3のアノード3aの酸化劣化を防止することができる。
また、燃料電池システム1の停止時には、起動・停止用改質器4からSOFCスタック3への伝熱によってSOFCスタック3の降温時間が必要以上に長くなることが防止される。このため、起動・停止用改質器4で生成される改質ガスの供給量を少なくし、消費エネルギーを削減することが可能となる。
なお、上記第1実施形態では、発電用改質器2と起動・停止用改質器4とが離間して配置されているが、特にこれには限られない。つまり、燃料電池システム1の起動時に、起動・停止用改質器4から発電用改質器2を経由した伝熱によりSOFCスタック3が所定の温度以上になる虞がない場合、燃料電池システム1の停止時に、起動・停止用改質器4から発電用改質器2を経由した伝熱によりSOFCスタック3の降温時間が長くなる虞がない場合には、発電用改質器2と起動・停止用改質器4とを接合しても良い。
また、発電用改質器2及び起動・停止用改質器4の筐体の材質としては、起動・停止用改質器4からSOFCスタック3への伝熱を低減するため、熱伝導率の低いものを用いるのが望ましい。
図4は、本発明に係わる燃料電池システムの第2実施形態を示すシステム構成図である。図中、第1実施形態と同一または同等の部材及び要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の燃料電池システム20は、モジュール容器5内における発電用改質器2と起動・停止用改質器4との間に介在された断熱材21を備えている。断熱材21としては、シリカやアルミナ系等が用いられる。
このような断熱材21を設けることにより、起動・停止用改質器4から発電用改質器2を経由したSOFCスタック3への伝熱が一層低減されるようになる。これにより、燃料電池システム20の起動時に、SOFCスタック3のアノード3aの酸化劣化を一層防止することができる。
図5は、本発明に係わる燃料電池システムの第3実施形態を示すシステム構成図である。図中、第1実施形態と同一または同等の部材及び要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の燃料電池システム30は、モジュール容器5内における発電用改質器2と起動・停止用改質器4との間に配置された冷媒流通部材31と、改質ガス供給管18に設けられた熱交換器32とを備えている。スペースの観点から、冷媒流通部材31と熱交換器32とは一体化されているのが望ましい。
熱交換器32には、冷却媒体として液体の水を熱交換器32に供給するため水供給管33と、冷却媒体として空気を熱交換器32に供給するため空気供給管34とが並列に接続されている。水供給管33には、水の供給量を調整する電磁バルブ35が設けられ、空気供給管34には、空気の供給量を調整する電磁バルブ36が設けられている。
冷媒流通部材31は、熱交換器32を通過した水または空気を流通させることで、起動・停止用改質器4で発生した輻射熱を吸収するための部材である。冷媒流通部材31は、例えば複数の流路部を有する多管型構造をなしている。冷媒流通部材31には排出管37が接続されており、冷媒流通部材31内を流通した水または空気が排出管37を通ってモジュール容器5の外部に排出される。
また、燃料電池システム30は、上述した制御装置19に代えて、制御装置38を備えている。制御装置38は、電磁バルブ9,10を制御することで原燃料及び水蒸気の供給量をそれぞれ制御し、電磁バルブ12,13を制御することで原燃料及び水蒸気の供給量をそれぞれ制御し、電磁バルブ16を制御することで空気の導入量を制御し、電磁バルブ35,36を制御することで水または空気の供給量を制御する。
図6は、燃料電池システム30の起動時に、制御装置38により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。以下、図6に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム30の起動時の運転方法について説明する。
まず電磁バルブ35を制御して、熱交換器32を介して冷媒流通部材31に水を供給する(手順121)。そして、例えば起動・停止用改質器4の近傍に配置されたバーナやヒータ(図示せず)等によって起動・停止用改質器4を加熱する。このとき、冷媒流通部材31内には水が流通しているため、昇温している起動・停止用改質器4からの輻射熱が冷媒流通部材31内の水に吸収(吸熱)される。
そして、電磁バルブ12,13を制御して、起動・停止用改質器4に向けて原燃料及び水蒸気を供給することにより、起動・停止用改質器4に起動・停止用改質原料を供給する(手順122)。このとき、上述したように起動・停止用改質器4のコーキングを防止すべく、最初に水蒸気のみを起動・停止用改質器4に供給し、その後で原燃料を起動・停止用改質器4に供給する。
まず水蒸気のみが起動・停止用改質器4に供給されると、水蒸気がSOFCスタック3に向けて改質ガス供給管18内を流れるようになる。このとき、熱交換器32には蒸発潜熱の大きな水が流通しているので、改質ガス供給管18内の水蒸気は、熱交換器32により冷却された状態で発電用改質器2及び改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給されることとなる。
起動・停止用改質器4への水蒸気の供給を開始した後は、熱電対等の温度センサによって改質ガス供給管14,18内の温度を検出し、改質ガス供給管14,18内を流れる水蒸気の温度が水の沸点以上で且つアノード3aの酸化劣化点以下に保持されるように電磁バルブ35を例えばPID制御するのが望ましい。これにより、改質ガス供給管14,18内を流れる水蒸気の凝縮による水溜まりの発生を防止することができる。
その後、起動・停止用改質原料が起動・停止用改質器4に供給されると、起動・停止用改質器4により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管18、発電用改質器2及び改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給される。
また、電磁バルブ16を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに空気を供給する(手順123)。なお、SOFCスタック3への空気の供給は、手順122の前または手順122と同時に実行しても良い。
そして、改質ガスがSOFCスタック3に到達した後、電磁バルブ35を制御して、熱交換器32ひいては冷媒流通部材31への水の供給を停止する(手順124)。その後、SOFCスタック3からの輻射熱やアノードオフガス燃焼熱、或いはヒータ等によりモジュール容器5内の昇温が開始される。
そして、発電用改質器2が所定の温度まで昇温されたら、電磁バルブ9,10を制御して、発電用改質器2に向けて原燃料及び水蒸気を供給することにより、発電用改質器2に発電用改質原料を供給する(手順125)。すると、発電用改質器2により改質ガスが生成され、この改質ガスが改質ガス供給管14を介してSOFCスタック3のアノード3aに供給される。その後、SOFCスタック3が所定の温度まで昇温された後、SOFCスタック3から電流を取り出すことにより、SOFCスタック3による発電が開始される。
続いて、電磁バルブ12,13を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、起動・停止用改質器4への起動・停止用改質原料の供給を停止する(手順126)。また、起動・停止用改質器4またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。
このような燃料電池システム30の起動時においては、起動・停止用改質器4を昇温する際に、冷媒流通部材31内に水を流通させるようにしたので、起動・停止用改質器4からの輻射熱が冷媒流通部材31内の水に吸収されるようになる。これにより、起動・停止用改質器4からSOFCスタック3への伝熱によるSOFCスタック3の温度上昇が一層抑制される。また、改質ガス供給管18内を流れる水蒸気を熱交換器32により冷却するため、当該水蒸気によるSOFCスタック3の温度上昇も抑制される。その結果、SOFCスタック3のアノード3aの酸化劣化を一層防止することができる。
図7は、燃料電池システム30の停止時に、制御装置38により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。以下、図7に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム30の停止時の運転方法について説明する。
まず電磁バルブ36を制御して、熱交換器32を介して冷媒流通部材31に空気を供給する(手順131)。続いて、例えば起動・停止用改質器4の近傍に配置されたヒータ(図示せず)等によって、起動・停止用改質器4を所定の温度まで加熱する。また、電磁バルブ9,10を制御して、原燃料及び水蒸気の供給量を減らすことにより、発電用改質器2への発電用改質原料の供給量を減らす。これにより、発電用改質器2で生成される改質ガスの供給量が減少する。
そして、電磁バルブ12,13を制御して、起動・停止用改質器4に向けて少量の原燃料及び水蒸気を供給することにより、起動・停止用改質器4に少量の起動・停止用改質原料を供給する(手順132)。このとき、上述したように、まず水蒸気のみを起動・停止用改質器4に供給し、その後で原燃料を起動・停止用改質器4に供給する。すると、起動・停止用改質器4により改質ガスが生成され、この改質ガスが少量だけSOFCスタック3のアノード3aに供給される。
また、電磁バルブ9,10を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、発電用改質器2への発電用改質原料の供給を停止する(手順133)。これにより、発電用改質器2で生成された改質ガスの供給が停止する。
続いて、例えば電磁バルブ16を制御して、SOFCスタック3のカソード3bに供給される空気量を増やす。これにより、SOFCスタック3への改質ガスの供給量を少量とすることでSOFCスタック3からのアノードオフガス燃焼熱が減少することと相俟って、モジュール容器5内の降温が開始される(手順134)。なお、この手順は、手順133の前に実行しても良い。
このとき、上記のように温度センサによって改質ガス供給管14,18内の温度を検出し、改質ガス供給管14,18内を流れる改質ガスの温度が水の沸点以上で且つアノード3aの酸化劣化点以下に保持されるように電磁バルブ36を例えばPID制御するのが望ましい。これにより、改質ガス中に含まれる水分の凝縮により改質ガス供給管14,18内に水溜まりが生じることが防止される。また、熱交換器32に空気を供給するので、液体のような蒸発衝撃を引き起こすこと無く、改質ガス供給管18内の改質ガスを冷却することができる。
その後、SOFCスタック3の温度がアノード3aの酸化劣化点以下になったら、電磁バルブ12,13を制御して、原燃料及び水蒸気の供給を停止することにより、起動・停止用改質器4への起動・停止用改質原料の供給を停止する(手順135)。また、起動・停止用改質器4またはその近傍に設けられた熱源からの熱出力を停止する。そして、電磁バルブ36を制御して、熱交換器32への空気の供給を停止する(手順136)。
このように燃料電池システム30の停止時には、SOFCスタック3に供給される改質ガスを熱交換器32により冷却するので、SOFCスタック3の降温時間が短くなる。これにより、起動・停止用改質器4で生成される改質ガスの供給量を更に少なくし、消費エネルギーを一層削減することができる。
図8は、本発明に係わる燃料電池システムの第4実施形態を示すシステム構成図である。図中、第1実施形態と同一または同等の部材及び要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の燃料電池システム40は、モジュール容器5内において発電用改質器2、SOFCスタック3、起動・停止用改質器4及び空気予熱器17の配置パターンが上記第1実施形態と異なっている。
具体的には、SOFCスタック3と起動・停止用改質器4との間には、空気予熱器17が配置されている。これにより、起動・停止用改質器4からSOFCスタック3に向かう輻射熱の大部分は、空気予熱器17及び空気導入管15の一部により遮られることになる。また、発電用改質器2は、SOFCスタック3からの輻射熱及びオフガス燃焼熱を利用して水蒸気改質反応を行うために、SOFCスタック3の近傍に配置されている。
このような本実施形態においても、燃料電池システム40の起動時に、起動・停止用改質器4からの輻射熱をSOFCスタック3が受けにくくなるため、起動・停止用改質器4からの輻射熱によるSOFCスタック3の温度上昇が防止される。これにより、システム(設備)の簡単化、小規模化及び低コスト化を図りつつ、SOFCスタック3のアノード3aの酸化劣化を防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、SOFCスタック3と起動・停止用改質器4との間に発電用改質器2または空気予熱器17を配置するようにしたが、SOFCスタック3と起動・停止用改質器4との間に配置すべき部材としては特にこれらに限られず、SOFCスタック3による発電に寄与する部材であれば良い。
また、上記実施形態では、改質原料を水蒸気改質反応させる改質器を備えているが、本発明は、改質原料を自己熱改質反応や部分改質反応させる改質器を備えるシステムにも適用可能である。
また、上記実施形態は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)についてであるが、本発明は、例えばSOFCと同じ高温型燃料電池である溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)等にも適用可能である。
本発明に係わる燃料電池システムの第1実施形態を示すシステム構成図である。 図1に示した燃料電池システムの起動時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。 図1に示した燃料電池システムの停止時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。 本発明に係わる燃料電池システムの第2実施形態を示すシステム構成図である。 本発明に係わる燃料電池システムの第3実施形態を示すシステム構成図である。 図5に示した燃料電池システムの起動時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。 図5に示した燃料電池システムの停止時に、制御装置により実行される制御処理手順を示すフローチャートである。 本発明に係わる燃料電池システムの第4実施形態を示すシステム構成図である。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…発電用改質器(第1改質器)、3…固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタック、3a…アノード、4…起動・停止用改質器(第2改質器)、5…モジュール容器、15…空気導入管、17…空気予熱器、20…燃料電池システム、21…断熱材、30…燃料電池システム、40…燃料電池システム。

Claims (6)

  1. 第1原燃料を改質して第1改質ガスを生成する発電用改質器と、
    前記発電用改質器で生成された前記第1改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、
    起動・停止時において、第2原燃料を改質して前記燃料電池スタックのアノードを酸化劣化から保護するための第2改質ガスを生成し、前記第2改質ガスを前記燃料電池スタックの前記アノードに供給する起動・停止用改質器と、
    前記発電用改質器、前記燃料電池スタック、及び前記起動・停止用改質器を収容する容器とを備え、
    前記容器内における前記燃料電池スタックと前記起動・停止用改質器との間には、前記燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に前記燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に前記燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が前記発電用改質器であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池スタックに供給される空気を予熱する空気予熱器を更に備え、
    前記燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に前記燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材が前記空気予熱器であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  4. 前記起動・停止用改質器と前記燃料電池スタックによる発電に寄与すると共に前記燃料電池スタックからの輻射熱を利用する部材との間には断熱材が介在されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池システム。
  5. 前記発電用改質器及び前記起動・停止用改質器は水蒸気改質を行う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の燃料電池システム。
  6. 前記発電用改質器は水蒸気改質のみを行う、ことを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
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