JP6368137B2 - 回転電機の積層鉄心締結構造 - Google Patents

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本発明は、電動機や発電機などの回転電機の積層鉄心の締結構造に関する。
従来の回転電機の積層鉄心の締結構造としては、たとえば特許文献1や2がある。
特許文献1(特開2001−292541号公報)に示すような電動機の積層鉄心では、磁気バランスに悪影響を与えないように凹凸部の係り止め部の直径を0.8mm以下とし、凹凸部を係り合わせした積層鉄心を用いた固定子または回転子が示されている。
特許文献2(特開2006−136164号公報)には、冷却用の貫通孔を積層鉄心の磁束密度の低くなる部分に設け、凹凸部の係り止め部は、積層鉄心の積層方向に貫通された複数の貫通孔に、貫通孔より若干大きくした周長の凹部を設け、隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板に設けられた貫通孔より若干大きくした周長の凸部とを係り止めし、薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体にかしめた固定子積層鉄心とすることが示されており、貫通孔はハウジングに固定するためのボルト挿入孔であったとしても同様の効果があるとしている。
特開2001−292541号公報 特開2006−136164号公報
しかしながら、特許文献1は係り止め部が磁束通過に対して抵抗になるのを完全に防ぐことはできなかった。特許文献2において、貫通孔をハウジングに固定するためのボルト挿入孔とした場合、例えば、M3のボルトを使用すると、貫通孔径は3.5mm程度となるので、係り止め部の凹部の径は、4mm程度必要となる。貫通孔を積層鉄心内の磁気通路を妨げることがないよう、磁束密度の低い部分に設けたとしても、係り止め部の周長が大きくなり、磁気的な悪影響を及ぼしてしまう。また、係り止め部を打ち抜きプレスで設ける場合、圧力の大きな打ち抜きプレスが必要となる問題があった。特許文献1や特許文献2では、打ち抜きプレス上で、薄板鋼板からの固定子または回転子の打ち抜き及び凹凸部の係り止め部を形成し、凹凸部の係り止めをしながら積層していく工程となる。さらに、特許文献1では、磁気バランスに悪影響を与えないように凹凸部の係り止め部の直径を0.8mm以下とし、凹凸部を係り合わせした積層鉄心としているが、凹凸の係り止め部を小さくすると締結強度が弱くなる。
本発明は平易な構造でありながら、既存の係り止め部のような磁束通過に対して抵抗が発生しない回転電機の積層鉄心締結構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、プレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を積層して締結し、積層鉄心を形成する回転電機の積層鉄心締結構造において、前記薄板鉄板の角部に大径と小径の穴部を形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて大径と小径の穴部が互いに交互に重なるように積層し、前記小径の穴部の周縁部を折り曲げて前記大径の穴部内に周縁折り曲げ部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことにある。
また、本発明は、前記薄板鉄板の角部に大径部と小径部の半円状の穴部を半分づつ形成した穴部を形成し、前記大径部と小径部の半円状の穴部の位置が逆向きに形成された穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて大径部と小径部の穴部が交互に重なるように積層し、前記小径部の周縁部を折り曲げて前記大径部の穴部内に周縁折り曲げ部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことにある。
さらに、本発明は、前記薄板鉄板の角部に、互いに対向する周縁部の一方に凹部を、他方に突起部を形成した穴部を形成し、前記凹部と突起部の位置が逆向きに形成された穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて前記凹部と突起部の位置が逆向きに形成された穴部同士が交互に重なるように積層し、前記突起部を折り曲げて重なり合う前記薄板鉄板の前記凹部に折り曲げ部を係合させて、前記薄板鉄板同士を互いに締結したことにある。
またさらに、本発明は、前記薄板鉄板の角部に、互いに対向する周縁部の少なくとも一方に縁部を突設した穴部を形成し、前記縁部と直交する位置関係に縁部を形成した穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて縁部が直交する向きに形成された穴部を、交互に重なるように積層し、前記縁部を折り曲げて重合する前記薄板鉄板の穴部内に縁部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことにある。
本発明によれば、積層鉄心の穴内部を用いて締結したため、係り止め部が存在せず、したがって係り止め部の磁束通過に対して抵抗が発生しないため磁気的な悪影響を極力低減し、積層鉄心の鉄損を抑えることが出来る。
本発明の実施の形態における回転電機の積層鉄心締結構造で、鉄板のボルト穴位置を示す概念図である。 本発明の第1の実施形態のボルト穴の大径、小径の位置関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態の別のボルト穴の大径、小径の位置関係を示す図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の第2の実施形態のボルト穴を示す図である。 図5のB−B線断面図である。 本発明の第3の実施形態のボルト穴を示す図である。 図7のC−C線断面図である。 本発明の第4の実施形態のボルト穴を示す図である。 図9のD−D線断面図である。 本発明の第5の実施形態のボルト穴を示す図である。 図11のEOE線断面図である。
以下本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図4は、回転電機の積層鉄心締結構造の第1の実施の形態である。図1は、回転電機の固定子積層鉄心の薄板鉄板を示すもので、略四角形状の薄板鉄板の四隅の角部に2個ずつ設けられた、計8個のボルト穴の位置を示している。図2(a)、(b)は、四隅の2個のボルト穴が、薄板鉄板を積層して、90°回転積層させた際に、重なり合う薄板鉄板のボルト穴の大径と小径が交互になるようにした実施の形態で、図2(a)は、各四隅に大径のボルト穴と、小径のボルト穴が1個ずつ形成されており、図2(b)は、各四隅に2個の大径のボルト穴または、小径のボルト穴が形成されている例である。
図1および図2において、回転電機の固定子積層鉄心の薄板鉄板1は、プレス等で鉄板を打ち抜くことで成形されたもので、四角形の薄板鉄板1には、内周を円形に形成された周縁部10から一定間隔で中心方向に向けて延出された多数の極子11が設けられている。この場合10極の極子11が放射状に形成され、極子11相互間には巻線を巻回するスロット12が設けられている。薄板鉄板1の周縁部10外側の角部13の四隅には、角部13外側に円弧状の凹部14が形成されており、凹部14両側の角部13の四隅には、大径のボルト穴15と、小径のボルト穴16が1個ずつ形成されている(図2参照)。大径のボルト穴15と、小径のボルト穴16は、隣り合う角部13相互間では、大径のボルト穴15同士、小径のボルト穴16同士が隣り合うように形成されており、積層された薄板鉄板1同士では、隣接する薄板鉄板1を90°回転した時、隣り合う薄板鉄板1同士では、薄板鉄板1の大径のボルト穴15と、重なり合う薄板鉄板1の小径のボルト穴16が重なるように形成されている。図1は、図2に示された小径のボルト穴16がバーリング加工を施すことにより重なり合う薄板鉄板1の大径のボルト穴15に折り曲げ部16aを圧入して締結することで一体に形成したものである。図4は図1のA−A線断面図で、小径のボルト穴16がバーリング加工により大径のボルト穴15に折り曲げ部16aが圧入されている状態が示されている。
図3は、図2の変形例で、この場合、薄板鉄板1の1つの角部13には、大径のボルト穴15または小径のボルト穴16が2個ずつ順番に形成されている。すなわち、1つの角部13の凹部14両側に大径のボルト穴15がそれぞれ形成され、この角部13から90°回転させた角部13には凹部14両側に小径のボルト穴16がそれぞれ形成されている。また、さらに90°回転させた角部13には、再び凹部14両側に大径のボルト穴15がそれぞれ形成されている。したがって、180°回転させると、大径のボルト穴15同士、小径のボルト穴16同士が重なる位置関係となる。この場合も小径のボルト穴16にバーリング加工を施すことにより重なり合う薄板鉄板1の大径のボルト穴15に折り曲げ部を圧入して薄板鉄板1同士を締結することができる。
図5および図6は、本発明の回転電機の積層鉄心締結構造の第2の実施の形態で、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。第1の実施形態では、締結が隣り合うボルト穴が交互に締結する構造であるが、第2の実施形態は、すべてのボルト穴で締結できるように改良したものである。そこで、第2の実施形態では、締結前のボルト穴20を特殊な形状にしている。
図5に示すとおり、穴20の半分20aは半径R1が大きく、穴20の半分20bは半径R2が小さい形状である。すなわち、R1>R2の関係に形成されている。実施形態1と同様に、四隅の2個のボルト穴20は、薄板鉄板1を積層する際、90°回転積層させた際に、重なり合う薄板鉄板1のボルト穴20の半径が短径R2と長径R1が交互に重なるように、各四隅に2個のボルト穴20が形成されている。図5に示された例では、1つの角部13の凹部14両側に2個のボルト穴20は、それぞれ半径R2の半分の穴20bが対向する位置関係で設けられている。この2個のボルト穴20が設けられた角部13と90°位置がずれた角部13では、対向する側に半径R1の半分の穴20aが設けられた穴20を凹部14の両側に形成している。こうして、薄板鉄板1を積層する際、90°回転積層させることで、ボルト穴20の半径が短径R2と長径R1が交互に重なるように、設けられている。
そして、回転積層して、短径R2側の半周分をバーリング加工することで、鉄板1同士を締結する構造である。この実施の形態では、全ての穴20においてバーリング加工が可能という特長を有する。
図6は第2の実施形態の積層鉄心の断面図である。同図を見ると、ひとつの穴20の両側でバーリング加工される鉄板1が一枚ずつずれているのが分かる。ここが第1の実施形態との違いで、本実施形態では常に全ての穴20でバーリング加工が可能な構成になっているためこのような断面になる。
図7および図8は、本発明の回転電機の積層鉄心締結構造の第3の実施の形態で、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
薄板鉄板1には、それぞれ角部13の凹部14両側に2個のボルト穴30が形成されており、このボルト穴30の形状は、円周方向に角部を形成した略六角形の穴31をそれぞれ形成し、この略六角形の穴の前記角部の一方に凹部32を、他方に凸部33を形成したものである。1つの角部13の凹部14両側に形成されたボルト穴30は、ボルト穴30の凹部32と凸部33がそれぞれ同じ方向に向くように形成されている。そして、これらボルト穴30の向きは、90°回転させた位置では、反対向きになるように形成し、180°回転させた位置では同じ向きになるように形成し、270°回転させた位置では、90°回転させた位置と同様に逆向きに形成されている。
そして、図7の鉄板1を回転積層させた際、一枚おきに凹部32と凸部33が交互に重なるように積層させる。凸部33の幅L1は凹部32の幅L2よりも若干大きく(L1>L2)なるように形成されており、図7の凸部33を凹部32に曲げいれるようし、締結させることで、図8のような断面形状の積層鉄心ができあがる。
図9および図10は、本発明の回転電機の積層鉄心締結構造の第4の実施の形態で、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
薄板鉄板1には、それぞれ角部13の凹部14両側に2個のボルト穴40が形成されており、このボルト穴40の形状は、丸穴41の両側、薄板鉄板1の中心軸を中心とする円周方向の一方に凹部42が、他方に三角形状の突起部43が形成されている。この突起部43は丸穴41の縁部に形成された一対の凹部44相互間によって形成されている。この実施の形態では、1つの角部13の凹部14両側に設けられる丸穴41は、突起部43が対向するように形成され、90°回転させた角部13では突起部43が外側を向くように配置されている。こうして、180°回転させた角部13では、最初の角部13と同様に突起部43が対向するように形成され、270°回転させた角部13では、突起部43が外側を向くように配置されている。
この第4の実施の形態は、図9に示すようなボルト穴の突起部43を押し潰し、かつ延ばして平滑化することによって鉄板1同士を締結する方法である。上記の実施形態と同様に図9の鉄板1を90°回転積層させた際、一枚おきに凹部42、凸部43が交互に重なるように積層させる。こうして、図10のような断面形状になる。
図11および図12は、本発明の回転電機の積層鉄心締結構造の第5の実施の形態で、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
第5の実施形態では、ボルト穴50を特殊な形状にした。このボルト穴50は、図11に示すように、90度間隔に穴51の半径R3が大きい形状と半径R4が小さい形状を交互に配列している。
上記の実施形態と同様に図11の鉄板を回転積層させた際、一枚おきに半径R3が大きい形状と半径R4が小さい形状が重なり凹部52と、凸部53が交互に重なるように積層される。そして、穴51の短径側の1/4周分×2箇所ずつをバーリング加工することで、鉄板1同士を締結する。図11のEOEのボルト穴50の断面は、図12のようになり、全ての穴50において交互にバーリング加工が可能という特長を有する。
上記実施の形態によれば、積層鉄心1の穴内部を用いて締結したため、係り止め部が存在せず、したがって係り止め部の磁束通過に対して抵抗が発生しないため磁気的な悪影響を極力低減し、積層鉄心1の鉄損を抑えることが出来る。
また、穴部内周面の変形し締結する形状や締結のしめしろの寸法を調整することで、従来の係り止めによる締結以上の積層鉄心締結強度を得ることが可能となる。
本願においては、一枚ずつ打ち抜いたバラ鉄板を締結させる際にも適用できる。バラ鉄板を締結させる際に、通常必要であったカシメピンの圧入や溶接などの他部品を使用しない状態で締結させることが可能である。
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されず、例えば、上記実施の形態では、固定子のボルト穴の例で説明したが、回転子や冷却用の貫通孔など、固定子、回転子に必要不可欠な貫通孔にすべて適用することができる。また、薄板鉄板1のボルト穴は90°回転させて重ねて反対側に向ける場合、あるいは180°回転させて重ねて反対側に向ける場合は適宜選択して適用することができる等、その他、本発明の技術的範囲を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることができることは言うまでもない。
1 薄板鉄板
10 周縁部
11 極子
12 スロット
13 角部
14 凹部
15 大径のボルト穴
16 小径のボルト穴
16a 折り曲げ部
20,30,40,50 ボルト穴

Claims (4)

  1. プレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を積層して締結し、積層鉄心を形成する回転電機の積層鉄心締結構造において、前記薄板鉄板の角部に大径と小径の穴部を形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて大径と小径の穴部が互いに交互に重なるように積層し、前記小径の穴部の周縁部を折り曲げて前記大径の穴部内に周縁折り曲げ部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことを特徴とする回転電機の積層鉄心締結構造。
  2. 前記薄板鉄板の角部に大径部と小径部の半円状の穴部を半分づつ形成した穴部を形成し、前記大径部と小径部の半円状の穴部の位置が逆向きに形成された穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて大径部と小径部の穴部が交互に重なるように積層し、前記小径部の周縁部を折り曲げて前記大径部の穴部内に周縁折り曲げ部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の積層鉄心締結構造。
  3. 前記薄板鉄板の角部に、互いに対向する周縁部の一方に凹部を、他方に突起部を形成した穴部を形成し、前記凹部と突起部の位置が逆向きに形成された穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて前記凹部と突起部の位置が逆向きに形成された穴部同士が交互に重なるように積層し、前記突起部を折り曲げて重なり合う前記薄板鉄板の前記凹部に折り曲げ部を係合させて、前記薄板鉄板同士を互いに締結したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の積層鉄心締結構造。
  4. 前記薄板鉄板の角部に、互いに対向する周縁部の少なくとも一方に縁部を突設した穴部を形成し、前記縁部と直交する位置関係に縁部を形成した穴部を四分の一回転ごとに交互に形成し、重なり合う前記薄板鉄板のいずれか一方を回動させて縁部が直交する向きに形成された穴部を、交互に重なるように積層し、前記縁部を折り曲げて重合する前記薄板鉄板の穴部内に縁部を係合させて前記薄板鉄板同士を互いに締結したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の積層鉄心締結構造。
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