以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1および図2を参照するに、本発明の例示的な第1の実施形態に従う駐車場管理システム(以下、単に「システム」という。)10は、各々、複数台の車両が駐車可能な複数の駐車場20(図1には、それら駐車場20のうちの代表的な駐車場20のみが図示されている)を管理するためのシステムである。
このシステム10においては、本発明の例示的な実施形態に従う駐車場管理方法であって、複数人のユーザの携帯端末90との通信により、遠隔地にある管理サーバ50が複数の駐車場20を集中的に管理するものが実施される。
一例においては、このシステム10が、ユーザが自身の携帯端末90を駐車券代わりに用い、かつ、予定された駐車時間の長さに見合う額の前払い駐車料金を支払うことを条件に、ユーザが駐車場20を利用することを許可する。別の例においては、このシステム10が、ユーザが自身の携帯端末90を駐車券代わりに用い、かつ、実際に駐車した時間の長さに見合う額の前払い駐車料金を支払うことを条件に、ユーザが駐車場20を利用することを許可する。
図1には、駐車場20が平面図で示されている。その駐車場20は、複数台の車両の同時駐車を可能にする複数の車室(前記駐車スペースの一例)22を有する。この駐車場20には、唯一の入出庫口24(入庫口でもあるし出庫口でもある)が存在する。図2には、複数の車室22のうちの一部が、各車室22に車両が停止している状態で示されている。
この駐車場20は、無人式であり、さらに、この駐車場20には、駐車場20の入出庫口24からの不正車両の出庫を阻止するために適宜開閉するゲート装置も、車室22からの不正車両の出庫を阻止するために適宜出没する車止め装置も、運転者であるユーザに対し、駐車券をユーザに対して発行するための発券機およびユーザが駐車料金を精算するための精算機も設置されていない。
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
図1に示すように、駐車場20の敷地には、2種類の駐車区画が存在する。それは、各車両のユーザに対し、1日単位で車室22を貸し出すための区画(一時預り区画または日貸し用区画)と、各車両のユーザに対し、事前の契約を前提に、1月単位で車室22を貸し出すための区画(月極用区画)とである。以下、単に「駐車場20」というときには、この駐車場20のうち、一時預り区画のみを意味する。
このシステム10は、その駐車場管理方式として前述の集中管理方式を採用している。具体的には、図3に示すように、各駐車場20に居る各ユーザの携帯端末90と、複数の駐車場20を集中的に管理する管理センタ40に設置される管理サーバ50とを備えている。
管理センタ40は、駐車場管理者(例えば、駐車場20として使用される土地の所有者であって自らその駐車場20を管理するもの、他人の土地の所有者からその土地を駐車場20として管理することを委託される駐車場管理会社)によって運営される。
ユーザの携帯端末90は、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。
携帯端末90は、前述の情報処理端末の一例であるが、常時ユーザによって携帯されるタイプの情報処理端末ではない。携帯端末90は、車両内においてはユーザによって携帯されないが、車両外においてはユーザによって携帯されるというように、携帯可能な端末を意味である。
図4に示すように、携帯端末90は、必須の機能として、宇宙空間内に存在する複数の人工衛星からのGPS(Global Positioning System、グローバル・ポジショニング・システム)信号を受信し、携帯端末90の現在の地図上位置(地上位置)を測定する測位機能を有する。
さらに、携帯端末90は、任意選択的な態様においては、GPS信号(場外発信機の一例)に加えて、基地局(場外発信機の別の例)の位置座標を表す信号や、駐車場20に設置される発信機(「場内発信機」ともいう)30からの信号であって各発信機30に固有の発信機IDを表すものも受信する。
この任意選択的な態様においては、携帯端末90が、各発信機30から受信した信号によって表される発信機IDを、それに対応する駐車場IDであって当該発信機30が設置されているはずである駐車場30を識別するものに、両者間の対応関係を表すように予め定義されたルール(例えば、変換テーブル)に従って変換する。
その結果、携帯端末90は、今回検知した発信機30を他の発信機30から識別してその今回検知した発信機30の位置(例えば、地図上位置、設置されている駐車場の位置など)を測定し、および/または、今回の発信機30から受信した信号の強度を測定することにより、その発信機30と携帯端末90との間の距離を測定する。
発信機30は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機30は、一例においては、原信号を変調することにより、対応する発信機ID(または駐車場ID)を表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
図4に示すように、携帯端末90は、管理センタ40の管理サーバ50との間で遠距離双方向無線通信を行う。また、発信機30が駐車場20に設置されている態様においては、図4に示すように、携帯端末90は、ユーザが現在訪問している駐車場20に設置されている発信機30から前述の識別信号を、発信機30との接触状態または非接触状態で、近距離一方向無線通信方式で受信する。
図2に示すように、ユーザは、携帯端末90を車内において操作することにより、測位のための受信(GPS受信、基地局からの受信、場内発信機30からの受信など)を行ったり、管理サーバ50と通信することが可能である。この態様によれば、ユーザは、入庫(前払い駐車の場合の決済を含む)および出庫(後払い駐車の場合の決済を含む)のための携帯端末90に対する操作を車内で行うことができ、寒暖、風雨等の天候によって煩わされずに済む。
これに対し、図3に示すように、ユーザは、携帯端末90を車外において操作することにより、測位のための受信を行ったり、管理サーバ50と通信することが可能である。この態様は、例えば、ユーザが携帯端末90を場外発信機30に接近してかざしたり接触したりすることが必要である場合に有意義である。
次に、機能ブロック図である図5を参照して携帯端末90のハードウエア構成を説明するに、携帯端末90は、プロセッサ130およびそのプロセッサ130によって実行される複数のプログラム(「アプリケーション」ともいう)を記憶するメモリ132を有するコンピュータ134を主体として構成されている。
この携帯端末90は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)136と、発信機30および管理サーバ50からの信号を受信する受信部138と、信号を生成してその信号を管理サーバ50に送信する送信部140とを有する。
この携帯端末90は、さらに、ユーザからデータやコマンドを入力するための入力部150を有する。その入力部150は、例えば、所望の情報(例えば、コマンド、データなど)を携帯端末90に入力するためにユーザによって操作可能な操作部を有する。その操作部としては、ユーザによって操作可能なアイコン(例えば、仮想的なボタン)を表示するタッチスクリーン、ユーザによって操作可能な物理的な操作部(例えば、キーボード、キーパッド、ボタンなど)、音声を感知するマイクなどがあるが、これらに限定されない。
この携帯端末90は、さらに、GPS(衛星測位システム)受信機152を有する。GPS受信機152は、よく知られているように、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信し、それらGPS信号に基づき、GPS受信機152の地球上における位置(緯度、経度および高度)を三角測量によって測定する。
なお、これに代わるかまたはこれに加えて、携帯端末90は、地球上における位置(緯度および経度)を、複数の基地局の位置を用いて三角測量によって測定してもよい。
すなわち、携帯端末90のうち、測位部230(前記位置取得部の一例)は、各々場外発信機としての、GPS測位部もしくは基地局測位部であってもよく、または、場内発信機30であってもよいのである。
この携帯端末90は、さらに、自身の加速度(例えば、携帯端末90が並進運動する際の加速度)を検出する加速度センサ154を内蔵している。その加速度センサ154は、携帯端末90に搭載されているため、携帯端末90と一体的に振動し、その結果、加速度センサ154自体に作用する加速度を、携帯端末90に作用する加速度と等価なものとして検出する。
この加速度センサ154の型式は、例えば、半導体ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型などである。一例においては、この加速度センサ154が、X軸、Y軸およびZ軸という3軸方向の加速度Gx,Gy,Gzを個々に検出し、それら3つの検出値Gx,Gy,Gzの合成値Grとして1つの代表加速度を出力するように設計することが可能である。
この加速度センサ154は、ユーザが携帯端末90を携帯している場合には、そのユーザに作用する加速度に近似するものを検出し、また、そのユーザが車両に乗車している場合には、その車両に作用する加速度(例えば、前後方向加速度、前後方向減速度)に近似するものを検出する。
なお、携帯端末90に作用する加速度は、理論的には、上述のGPS信号に基づいて測定された位置の時間微分を行って速度を計算し、さらに、その速度の時間微分を行うことによって計算することが可能である。しかし、精度の点では、加速度センサ154によって検出された加速度の方が優れている可能性がある。いずれにしても、この加速度センサ154は、車両の軸加速度を検出または推定によって取得する加速度取得部の一例なのである。
この携帯端末90は、さらに、任意選択的に、図示しないが、携帯端末90に曝される光(例えば、太陽光)を検出する光センサ、携帯端末90に曝される音(例えば、車両のエンジン音)を検出する音センサ、携帯端末90に対する物体(例えば、車両)の接近を検出する近接センサ(その一例を後に詳述する)などを内蔵することが可能である。
次に、機能ブロック図である図6を参照して管理サーバ50のハードウエア構成を説明するに、管理サーバ50は、プロセッサ160およびそのプロセッサ160によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ162を有するコンピュータ164を主体として構成されている。
この管理サーバ50は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)166と、携帯端末90からの信号を受信する受信部168と、信号を生成してその信号を携帯端末90に送信する送信部170と、時計172とを有する。この管理サーバ50は、発信機30からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末90を介して行うことになる。
次に、機能ブロック図である図7を参照して携帯端末90のコンピュータ134および管理サーバ50のコンピュータ164のそれぞれのソフトウエア構成を概念的に説明する。
図7に示すように、携帯端末90のコンピュータ134は、次の特徴部(プログラム実行部ないしは機能部)を有する。
1.駐車場案内部200
これは、システム10において、利用可能な複数の駐車場20を潜在的な複数人のユーザに地図に関連付けて案内するために携帯端末90によって実行される駐車場案内プログラムの一例に相当する(図11の左側部分を参照)。
この駐車場案内部200は、後述の駐車場案内部300も同様であるが、通常、いずれの駐車場20にも滞在していない潜在的な複数人のユーザ(これからいずれかの駐車場に移動してその駐車場を利用したいと思っているユーザ)に対し、各ユーザからの個別のアクセスに応答して、管理サーバ50が、必要な案内情報を各ユーザの携帯端末90に個別に配信する。
具体的には、この駐車場案内部200は、後述の駐車場案内部300も同様であるが、潜在的な各ユーザからのアクセスに応答し、実在する各駐車場20を、利用可能な車室の存否を表す満空情報(後述の空室判定部306によって取得される)と一緒に、各ユーザの携帯端末90の画面上に表示する。
その結果、携帯端末90は、複数の駐車場20のうち、ユーザの現在位置(例えば、GPSによって測定された位置)の近傍に位置する、すべての駐車場20より少数の候補駐車場20のみを自動的に選択して画面上に表示する。その表示される候補駐車場20の位置および種類は、ユーザの移動につれて変化する。
2.入庫処理部202
これは、システム10において、ユーザが、そのユーザによって選択されたいずれかの駐車場(以下、「選択駐車場」ともいう)20において入庫処理を行うことを支援するために携帯端末90によって実行される入庫処理プログラムの一例に相当する(図12の左側部分を参照)。この入庫処理部202は、後述の入庫処理部302も同様であるが、ユーザが選択駐車場20に滞在していないと、ユーザによる入庫処理を受け付けない。
この入庫処理部202は、後述の入庫処理部302と同様に、駐車料金を計算する駐車料金計算部を備えている。その駐車料金計算部は、一例においては、駐車場20ごとに異なるルールであってもよいが、同じ駐車場20を利用するユーザに対しては一律に、同じルールで駐車料金を計算し、また、別の例においては、駐車場20ごとに異なるルールで、かつ、同じ駐車場20を利用するユーザごとに異なるルールで駐車料金を計算する。このことは、前払い駐車料金であるか後払い駐車料金であるかを問わない。
後者の例においては、駐車料金の額が、駐車場30の位置ごとに変動するとともに、ユーザごとに変動することになり、その結果、ユーザへの個別の対応(例えば、ユーザごとの個別の利用実績を反映してディスカウントしたり、過去の違反履歴を反映して通常値より高額の駐車料金を請求する)を行うことが可能となる。
3.経過監視部204
これは、システム10において、各ユーザが駐車場20において駐車を開始した後、実際の駐車時間の経過を個別に監視し、その結果(有効駐車時間のうちの残存時間)を、各ユーザが駐車場20の内部にいるか外部にいるかを問わず、各ユーザの携帯端末90に個別に通知するために携帯端末90によって実行される経過監視プログラムの一例に相当する(図13の左側部分を参照)。
4.延長リクエスト処理部206
これは、システム10において、各ユーザが駐車場20において駐車を開始した後、各ユーザが駐車場20の内部にいるか外部にいるかを問わず、携帯端末90を介した各ユーザからの延長リクエストに応答して有効駐車時間を個別に延長するために携帯端末90によって実行される延長リクエスト処理プログラムの一例に相当する(図15の左側部分を参照)。
5.出庫処理部208
これは、システム10において、ユーザが選択駐車場20において駐車を開始した後、ユーザが選択駐車場20内において出庫処理を行うことを支援するために携帯端末90によって実行される出庫処理プログラムの一例に相当する(図16および図17のそれぞれの左側部分を参照)。この出庫処理部208は、後述の出庫処理部310も同様であるが、ユーザが選択駐車場20に滞在していないと、ユーザによる出庫処理を受け付けない。
6.行動解析部210
これは、システム10において、ユーザが出庫のために選択駐車場20に入場した後、ユーザの行動を解析するために携帯端末90によって実行される行動解析プログラムの一例を概念的に表すフローチャートに相当する(図18の左側部分を参照)。
この行動解析部210は、1)携帯端末90によって測定された自身の位置に基づき、ユーザが駐車場20内に存在していることを検出する位置検出部212と、2)ユーザが駐車場20内を移動している(歩行中であるか車両に乗車中であるかを問わない)ことを検出する移動検出部214と、3)携帯端末90に搭載されて一体的に振動する加速度センサ154によって検出された加速度に基づき、ユーザが車両に乗車して移動している(走行している)ことを検出する乗車検出部216とを有する。
一例においては、移動検出部214が、携帯端末90によって測定された自身の位置の時間的変化の有無に基づき、ユーザが駐車場20内を移動している(歩行中であるか車両に乗車中であるかを問わない)ことを検出する。
別の例においては、移動検出部214が、携帯端末90によって時々刻々検出または推定される自身の速度のうちの実質的な最大値が第1基準値(例えば、時速1km)以下であれば、ユーザが静止中または停止中であると判定する一方、その第1基準値を超えれば、ユーザが移動中であると判定する。
一例においては、乗車検出部216が、携帯端末90に搭載されて一体的に振動する加速度センサ154によって検出された加速度に基づき、ユーザが車両に乗車して移動している(走行している)ことを検出する。
この場合、その乗車検出部216は、加速度センサ154によって検出された加速度の波形のうちの最新の分析窓内の部分(最新の時間窓セグメント)に属する複数の加速度値のうちの最大強度を、時間の経過につれて順次測定する強度解析部と、加速度センサ154によって検出された加速度の波形のうちの最新の分析窓内の部分(最新の時間窓セグメント)から複数の周波数成分を抽出し、それら周波数成分のうち振幅が最大であるものの周波数を測定する周波数解析部とを有する。
別の例においては、乗車検出部216が、携帯端末90によって時々刻々検出または推定される自身の速度のうちの実質的な最大値が第2基準値(例えば、時速10km)以下であれば、ユーザが歩行中であると判定する一方、その第2基準値を超えれば、ユーザが車両移動中であると判定する。
この行動解析部210は、さらに、追加的なオプションまたは代替的なオプションとして、加速度センサ154の検出結果に基づき、単位時間当たりのユーザの歩数を検出する歩数検出部218を有する。
その歩数検出部218は、加速度センサ154によって検出される加速度であってユーザによって携帯される携帯端末90のものが所定値以上の振れ幅で変化したことに基づき、携帯端末90に、検知すべき振動が発生したとして、振動の累積数に1を加算するように動作するプログラムである。
その歩数検出部218の一例が、特開2009−296097号公報に開示されており、それと同様な技術を本実施形態における歩数検出部218が採用してもよい。
また、この行動解析部210においては、乗車検出部216が移動検出部214を兼ねることにより、その移動検出部214を省略してもよい。この場合、目的達成のために、乗車検出部216は、携帯端末90の速度は参照するが加速度は参照せずに済む。
7.測位部230
これは、前記GPS信号、基地局または場内発信機30からの識別信号に基づいて携帯端末90の位置すなわちユーザの位置を測定するために携帯端末90によって実行される測位プログラム(図示しない)の一例に相当する。
前述のように、場内発信機30は、近距離通信用デバイスであるため、測位部230は、駐車場20の外部においては、GPS信号または基地局を用いて測位を行う一方、駐車場20の内部においては、GPS信号、基地局および/または場内発信機30を用いて測位を行う。
場内発信機30は、高層建築物などの障害物に隣接しているためにGPS信号の受信障害が発生するかもしれない駐車場20において、常に安定した特性での受信ひいては測位を携帯端末90に保証する点で有利である。
次に、機能ブロック図である図7を参照して管理サーバ50のコンピュータ164のソフトウエア構成を概念的に説明する。ただし、測位部230は、GPS測位部または基地局測位部のみとし、場外発信機30を除外する。
1.駐車場案内部300
これは、システム10において、利用可能な複数の駐車場20を潜在的な複数人のユーザに地図に関連付けて案内するために管理サーバ50によって実行される駐車場案内プログラムの一例に相当する(図11の右側部分を参照)。
具体的には、この駐車場案内部300は、潜在的な各ユーザからのアクセスに応答し、実在する各駐車場20を、利用可能な車室の存否を表す満空情報(後述の空室判定部306によって取得される)と一緒に、各ユーザの携帯端末90の画面上に表示する。
2.入庫処理部302
これは、システム10において、ユーザが選択駐車場20において入庫処理を行うことを支援するために管理サーバ50によって実行される入庫処理プログラムの一例に相当する(図12の右側部分を参照)。
3.経過監視部304
これは、システム10において、各ユーザが駐車場20において駐車を開始した後、実際の駐車時間の経過を個別に監視し、その結果(有効駐車時間のうちの残存時間)を、各ユーザが駐車場20の内部にいるか外部にいるかを問わず、各ユーザの携帯端末90に個別に通知するために管理サーバ50によって実行される経過監視プログラムの一例に相当する(図13の右側部分を参照)。
4.空室判定部306
これは、システム10において、各ユーザの携帯端末90からの情報に基づき、各駐車場20に空室があるか否かを判定するために管理サーバ50によって実行される空室判定プログラムの一例に相当する(図14を参照)。
4.延長リクエスト処理部308
これは、システム10において、各ユーザが駐車場20において駐車を開始した後、各ユーザが駐車場20の内部にいるか外部にいるかを問わず、携帯端末90を介した各ユーザからの延長リクエストに応答して有効駐車時間を個別に延長するために管理サーバ50によって実行される延長リクエスト処理プログラムの一例に相当する(図15の右側部分を参照)。
5.出庫処理部310
これは、システム10において、ユーザが選択駐車場20において駐車を開始した後、ユーザが選択駐車場20内において出庫処理を行うことを支援するために管理サーバ50によって実行される出庫処理プログラムの一例に相当する(図16および図17のそれぞれの右側部分を参照)。
<駐車シーケンスのいくつかの例>
図8には、システム10を用いて実現される駐車シーケンスのいくつかの例がタイムチャートで表されている。以下、具体的に説明する。
<第1の駐車シーケンス>
図8(a)には、システム10において、ユーザが車両をある駐車場20に入庫させた後、有効駐車時間の満了前に、ユーザが携帯端末90に対して出庫操作(例えば、後述のように、携帯端末90の画面上に表示される仮想的な「出庫ボタン」をユーザがタップする(その他にも、例えば、タッチする、押圧する、選択する、音声指示する)という操作)を行った後、ユーザが自身の車両に乗車して駐車場20から退場する(出庫する)という第1の例示的な駐車シーケンスが概念的に表されている。
後述の他の駐車シーケンスにおいても同様に、入庫ステージは、ユーザが、入庫(車両が駐車場に進入すること)を目的として、ある駐車場20に入場する行為によって開始し、その駐車場20から退場する行為によって終了する。ユーザが駐車リクエスト(または入庫リクエスト)を携帯端末90に対して入力すると、そのタイミングで有効駐車時間のうちの残存時間の減算(カウントダウン)が開始されるとともに実駐車時間の増加(カウントアップ)が開始される。
これに対し、出庫ステージは、ユーザが、出庫(車両が駐車場から退出すること)を目的として、前記入庫が行われた駐車場20に入場する行為によって開始し、その駐車場20から退場する行為によって終了する。
図8(a)に示す駐車シーケンスにおいては、有効駐車時間の満了前にユーザが駐車場20から退場し、その退場に先立ち、ユーザは前記出庫操作を行う。その結果、実駐車時間は、「入庫(駐車リクエストの発生、入庫操作)」を始点とし、「出庫操作」を終点とする。そのため、この駐車シーケンスにおいては、出庫ステージにおけるユーザの退場(車両と一緒に)が、実際の出庫(実出庫)を意味することになる。
<第2の駐車シーケンス>
図8(b)には、システム10において、ユーザが車両をある駐車場20に入庫させた後、有効駐車時間の満了前に、ユーザが携帯端末20に対して前記出庫操作を行うことなく自身の車両に乗車して駐車場20から退場する(出庫する)という第2の例示的な駐車シーケンスが概念的に表されている。
この駐車シーケンスにおいては、有効駐車時間の満了前に、ユーザが駐車場20から車両と共に退場し、その退場に先立ち、ユーザは前記出庫操作を行わない。この場合、その後、有効駐車時間が満了すると、ユーザは出庫操作を行ったものとみなされる。よって、この場合、実駐車時間は有効駐車時間と一致する。そのため、この駐車シーケンスにおいては、出庫ステージにおけるユーザの退場(車両と一緒に)が、仮の出庫(仮出庫)を意味することになる。
<第3の駐車シーケンス>
図8(c)には、システム10において、ユーザが車両をある駐車場20に入庫させた後、有効駐車時間の満了前に、ユーザが携帯端末90に対して前記出庫操作を行うことなく駐車場20から出庫(車両と共に退場)し、さらに、その後、再度、車両を同じ駐車場20に入庫させるという第3の例示的な駐車シーケンスが概念的に表されている。
この駐車シーケンスにおいては、1回目の実駐車が終了し、ユーザが車両を駐車場20から出庫させる。その出庫に先立ち、図示しないが、ユーザが前記出庫操作を、有効駐車時間の満了前に行わない。よって、ユーザには再入庫が許可される(新たな駐車料金の支払いなしで入庫が許可される)。その再入庫が許可される時間帯は、1回目の実駐車における出庫のタイミングと、有効駐車時間が満了するタイミングとの間で定義される。
その後、ユーザは、2回目の実駐車のために車両を同じ駐車場20に入庫させる。今回は、前記再入庫が許可されているため、ユーザは、1回目の実駐車の際に要求された入庫処理(例えば、有効駐車時間の入力、駐車料金の支払い)を行うことが不要となり、直ちに、空いているいずれかの車室内に車両を入庫させることが許可される。その結果、2回目の実駐車が開始される。
その後、同図に示すように、ユーザが、前記出庫操作を行うことなく、車両を駐車場20から出庫させる場合には、その後に有効駐車時間が満了すると、ユーザが前記出庫操作を行ったものとみなされる。そのタイミングで、2回目の実駐車についての継続時間の進行も全体の実駐車時間の進行も終了する。
これに対し、図示しないが、ユーザが、前記出庫操作を行った後、車両を駐車場20から出庫させる場合には、前記出庫操作を行ったタイミングで、2回目の実駐車についての継続時間の進行も全体の実駐車時間の進行も終了する。
図9には、システム10において、駐車場20への入庫ステージにおいてユーザがとり得る複数の行為とそれら行為によって生じる結果とが一覧表示されている。
ある回の入庫ステージにおいて、ユーザがある駐車場20に入場するという事例は、その入場が初回の入場であるという事例と、再度の入場(2回目の入場、3回目以上の各回の入場)であるという事例とに分類される。初回の入場であるという事例においては、初回の入庫に該当するため、ユーザに対し、通常の取扱いが行われる。
これに対し、再度の入場であるという事例は、それに先行する出庫ステージにおいてユーザが前記出庫操作を行っていたという事例と、行っていなかったという事例とに分類される。
ユーザが前記出庫操作を行っていたという事例においては、ユーザに対し、初回の入庫と同じ取扱いが行われる。
これに対し、ユーザが前記出庫操作を行っていなかったという事例においては、ユーザに対し、各時点において、有効駐車時間がオーバーしておらず、時間内である場合には、ユーザに対し、今回の入庫、すなわち、再入庫が許可される。一方、その時点において有効駐車時間がオーバーしている場合には、ユーザに対し、今回の入庫、すなわち、再入庫が禁止される。その結果、ユーザに対し、初回の入庫と同じ取扱いが行われる。
図10には、システム10において、駐車場20からの出庫ステージにおいてユーザがとり得る複数の行為とそれら行為によって生じる結果とが一覧表示されている。
ある回の出庫ステージにおいて、ユーザがある駐車場20に入場するという事例は、その後に前記出庫操作が有効駐車時間内に行われるという事例と、その後に前記出庫操作が行われないという事例とに分類される。
入場後に前記出庫操作が時間内に行われるという事例は、ユーザが時間内に車両と共に退場したという事例と、退場しないという事例とに分類される。前者の事例においては、ユーザが車両を駐車場20から出庫させたと判定される。
これに対し、ユーザが退場しないという事例は、各時点において、時間内であるという事例と、有効駐車時間のうちの残存時間がわずかであるという事例と、有効駐車時間が経過して時間オーバーとなったという事例とに分類される。
それら事例のうち、残存時間がわずかであるという事例においては、ユーザに対し、有効駐車時間を延長することを催促され、また、時間オーバーとなったという事例においては、ユーザが不正な行為を行ったという理由で、何らかのペナルティがユーザに課される。
一方、入場後に前記出庫操作が行われないという事例は、ユーザが車両と共に退場したという事例と、退場しないという事例とに分類される。
ユーザが車両と共に退場したという事例は、時間内に退場したという事例と、時間オーバーとなった後に退場したという事例とに分類される。前者の事例においては、ユーザに対し、再入庫が許可される。これに対し、後者の事例においては、時間オーバーとなったタイミングで、ユーザが前記出庫操作を行ったものとみなされる。
これに対し、ユーザが車両と共に退場しないという事例は、各時点において、時間内であるという事例と、有効駐車時間のうちの残存時間がわずかであるという事例と、有効駐車時間が経過して時間オーバーとなったという事例とに分類される。
それら事例のうち、残存時間がわずかであるという事例においては、ユーザに対し、有効駐車時間を延長することを催促され、また、時間オーバーとなったという事例においては、ユーザが、駐車場20の規約に違反したという理由で、何らかのペナルティがユーザに課される。
次に、携帯端末90および管理サーバ50によって実行される複数の処理、すなわち、ユーザに提供される複数のサービスを説明する。ただし、駐車場20が前払い時間貸し式である場合を例にとり、説明する。
<駐車場案内および測位>
図11に示すように、携帯端末90のうちの駐車場案内部200および測位部230ならびに管理サーバ50のうちの駐車場案内部300は、それぞれの駐車場案内プログラムを実行する。
具体的には、携帯端末90は、ステップS1101において、管理サーバ50が運営するウエブサイトにログインするためのリクエストを管理サーバ50に送信する。
そのリクエストを受信すると、管理サーバ50は、ステップS1151において、携帯端末90と管理サーバ50との間に通信を確立する。
その後、管理サーバ50は、ステップS1152において、メモリ162を検索して、管理センタ40が管理している複数の駐車場20の全部または一部につき、各駐車場20の地図上位置(例えば、各駐車場20を代表する1か所の経緯度)を表す駐車場位置データと、各駐車場20を識別するための駐車場IDを表す駐車場IDデータとを取得する。
その後、管理サーバ50は、ステップS1153において、空室判定部304から、各駐車場20ごとに、空室が存在するか否かを表す満空状態データ(または、駐車場20内の車両の混雑度を表す混雑度データ)を取得する。
続いて、管理サーバ50は、ステップS1154において、上述の、複数の駐車場20についての複数の駐車場位置データと、複数の駐車場20についての複数の駐車場IDデータと、複数の駐車場20についての複数の満空状態データとを含む(駐車場20に場内発信機30が存在する場合には、その場内発信機30の発信機IDを含む)駐車場関連データセットを携帯端末90に送信する。
これに応答し、携帯端末90は、ステップS1102において、前記駐車場関連データセットを受信し、メモリ132に保存する。それにより、携帯端末90は、いずれかの駐車場20の位置を駐車場IDに変換すること、いずれかの駐車場20に設置されているいずれかの場内発信機30から受信した発信機IDを駐車場IDに変換することが可能となる。
続いて、携帯端末90は、ステップS1103において、GPS受信機152が外部から受信したGPS信号に基づき、ユーザの現在位置(経緯度)が測定される。これが、測位部230を構成する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1104において、その測定されたユーザの現在位置が、地図を表示部136の画面上に表示するためにプロセッサ130によって参照される基準位置(表示基準点の位置(経緯度))とされる。さらに、全体地図のうち、携帯端末90の画面上のウィンドウ内に一度に表示可能なサイズを有する部分であって前記基準位置が存在するものが、地図の表示範囲(すなわち、前記全体地図のうち、前記ウィンドウ内に各瞬間に表示される領域)に決定される。
良く知られているように、ユーザが時間と共に地上を移動すると、それに追従するように前記基準位置も時間と共に移動する。その結果、ユーザの移動に伴い、地図の表示範囲も全体地図上を時間と共に移動し、ひいては、前記ウィンドウ内に表示される地図の画像も時間と共に変化することになる。
続いて、携帯端末90は、ステップS1105において、前記受信した複数の駐車場位置データに基づき、携帯端末90の画面上に表示されている地図上に、複数の駐車場20がオーバーレイ表示される。さらに、前記受信した満空状態データに基づき、携帯端末90の画面上に、各駐車場20の表示位置に関連付けて、各駐車場20が満杯であるかまたは空室を有するかに関する満空情報(例えば、満室を意味する「満」という文字または各駐車場20が混雑状態にあることを意味する「混」という文字、空室があることを意味する「空」という文字、空室数を表す数字など)も併せて表示される。
このような視覚的表示により、潜在的な各ユーザは、利用可能な駐車場20の存在および位置を知ることが容易となる。
<駐車場別ステータス管理テーブルおよびユーザ行動パターンの再現>
本実施形態において、ユーザの携帯端末90からの時系列的な行動情報であって、駐車場20には紐づけられるが、その駐車場20内の車室22には紐付けされないものを管理サーバ50が参照することにより、駐車場20の稼働状況すなわちステータスが、車室単位ではなく、ユーザ単位で、総合的にかつリアルタイムで(遅れ時間なく)分析される。
すなわち、本実施形態においては、ある駐車場20内の個々の車室22に着目し、各車室22が空いているか否かを問題にするのではなく、当該駐車場20に実在する複数台の車両を使用する複数人のユーザのそれぞれに着目し、それぞれの時系列的な行動パターンを復元できるデータを、ユーザに関連付けるとともに、時刻や時間的順序に関連付けて、駐車場別ステータス管理テーブルに記録する。
そのため、ユーザの携帯端末90からの時系列的な行動情報であって、ユーザの行動が逐次、複数の分類のいずれかに分類され、その分類された複数の行動の時系列データであって図26に例示される駐車場別ステータス管理テーブルを構成するものが作成される。
ここに、「複数の分類」は、例えば、入庫と、出庫とを含み、さらに、入庫は、初回入庫と、再入庫とに分類され、また、「出庫」は、正規出庫と、みなし出庫と、仮出庫とに分類される。同じ駐車場20における複数人のユーザの行動パターンの例が、上記行動分類に従い、図35にタイムチャートで表されている。
駐車場別ステータス管理テーブルは、ユーザの携帯端末90から管理サーバ50に送信される各種データを反映するように、リアルタイムで更新される。その結果、駐車場別ステータス管理テーブルにおける各項目の経時変化を観察することにより、図35に例示するユーザ行動パターンを管理サーバ50のコンピュータ164内で時系列的にリアルタイムで再現することが可能となる。
<駐車場別ステータス管理テーブルに使用される各種フラグ>
駐車場別ステータス管理テーブルにおいては、駐車場20に対するユーザの各種行動を符号化して(二値データとして記録可能となるように)分類するために、複数のフラグが使用される。
1.入庫済フラグ
入庫済フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、a)当該ユーザが所定の入庫条件(例えば、ユーザが必要な個人情報や駐車関連情報を入力し、かつ、必要な料金を支払ったなど)を満たしたためにユーザが特定の駐車場20に入庫する権限を取得した初回入庫が成立したか、または、後述の再入庫権限を有するユーザが同じ駐車場20に再入庫したか否かを表す。
この入庫済フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、入庫権限または再入庫権限を取得したことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、入庫権限も再入庫権限も取得していないことを表す。この入庫済フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
2.再入庫許可フラグ
再入庫許可フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、当該ユーザが所定の再入庫条件(例えば、有効駐車時間の満了前であって、出庫操作が行われていないなど)を満たしたためにユーザが、入庫した駐車場20と同じ駐車場20に駐車する権限を取得したか否かを表す。
この再入庫許可フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、再入庫権限を取得したことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、再入庫権限を取得していないことを表す。この再入庫許可フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
3.出庫済フラグ
出庫済フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、当該ユーザが、a)前記有効駐車時間の満了前に乗車状態で駐車場20を退場し、その際に出庫操作を行ったために正規出庫(図8(a)における「実出庫」に相当する)が成立したか、または、b)前記有効駐車時間の満了前に乗車状態で駐車場20を退場し、その際に出庫操作を行わなかったために仮出庫(図8参照)が成立し、その後、前記有効駐車時間が満了したためにみなし出庫(図8参照)が成立したか否かを表す。正規出庫またはみなし出庫が成立すると、当該ユーザに対する課金が停止する(実駐車時間が確定する)(図8参照)。
この出庫済フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、正規出庫またはみなし出庫が確認されたことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、正規出庫もみなし出庫も確認されないことを表す。この出庫済フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
4.正規出庫フラグ
正規出庫フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、正規出庫が行われたか否かを表す。
この正規出庫フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、正規出庫が確認されたことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、正規出庫が確認されないことを表す。この正規出庫フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
5.みなし出庫フラグ
みなし出庫フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、みなし出庫が行われたか否かを表す。
このみなし出庫フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、みなし出庫が確認されたことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、みなし出庫が確認されないことを表す。このみなし出庫フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
6.仮出庫フラグ
仮出庫フラグは、異なる2つのステータスに切り換わるフラグであって、管理サーバ50(または携帯端末90)のメモリに位置し、ユーザに関連付けて保存され、仮出庫が行われたか否かを表す。
この仮出庫フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、仮出庫が確認されたことを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、仮出庫が確認されないことを表す。この仮出庫フラグは、通常、初期状態においては、第2のステータスにある。
7.走行中フラグ
走行中フラグは、第1のステータス(例えば、ON状態)において、ユーザが車両に乗車して移動中(乗車中)であることを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、それとは異なることを表す。
8.歩行中フラグ
歩行中フラグであって、第1のステータス(例えば、ON状態)において、ユーザが歩行中であることを表す一方、第2のステータス(例えば、OFF状態)において、それとは異なることを表す。
<入庫処理および測位>
図12に示すように、携帯端末90のうちの入庫処理部202および測位部230ならびに管理サーバ50のうちの入庫処理部302は、それぞれの入庫処理プログラムを実行する。
携帯端末90の入庫処理プログラムは、ユーザが初回の入庫または再入庫のためにいずれかの駐車場20内に入場し、かつ、その駐車場20内のいずれかの、空いている車室22内にユーザが車両を入庫させたときに、ユーザによって手動で起動させられるか、または、自動的に起動することが望ましい。
なぜなら、先行して行われる前述の駐車場案内において、いずれかの駐車場20内に空室があると、ある車両のユーザに案内されても、同じ駐車場20に実際に入庫するまでに時間がかかる場合には、その間に、別の車両が、その案内された空室に入庫してしまう可能性があり、その場合には、同じ駐車場20が満室状態となってしまう可能性があるからである。
ここに、前記入庫処理プログラムが自動的に起動するようにするために、例えば、携帯端末90が、いずれかの駐車場20内に携帯端末90の、測定された現在位置が存在するか否かを判定し、存在すると判定した後に、携帯端末90の位置が所定時間以上変化しない(または、その変化量が基準値以下である)場合に、車両がいずれかの車室22に入庫したと判定し、携帯端末90が前記入庫処理プログラムを自動的に起動させることが可能である。
これと同様にして、これに代えてまたはこれに加えて、前記出庫処理プログラムを自動的に起動させることが可能である。
前記入庫処理プログラムにおいては、具体的には、携帯端末90は、ステップS1201において、管理サーバ50が運営するウエブサイトにログインするためのリクエストを管理サーバ50に送信する。そのリクエストを受信すると、管理サーバ50は、ステップS1251において、携帯端末90と管理サーバ50との間に通信を確立する。
その後、携帯端末90は、ステップS1202において、GPS受信機152が外部から受信したGPS信号(または場内発信機30から受信した識別信号)に基づき、ユーザの現在位置(経緯度)が測定される。これも、測位部230を構成する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1203において、前記測定された現在位置と、前記複数の駐車場20のそれぞれの駐車場位置(経緯度)(この位置情報は、前述のように、管理サーバ50から携帯端末90に既にダウンロードされている)との間の距離が基準値以下であるか否かを判定することにより、ユーザが、前記複数の駐車場20のうちのいずれかにも存在しない状態から、いずれかの駐車場20内に存在する状態に変化したか否か、すなわち、ユーザが今まさに、いずれかの駐車場20に入場したか否かを判定する。
例えば、ステップS1203の前回の実行時には、ユーザの現在位置といずれの駐車場20の位置との距離が基準値より長かったが、今回の実行時には、その距離が基準値以下であったか否かを判定するのである。
本実施形態においては、入場の有無の判定手法につき、出庫ステージにおける入場判定と同様に、入庫ステージにおいても、ユーザの行動解析の結果、ユーザが車両に乗車して移動している(走行中である)と判定されることを条件に、ユーザがいずれかの駐車場20に入場したか否かを判定するという手法は採用しない。
すなわち、入庫ステージにおいても、歩行によるか車両に乗車した状態であるかを問わず(加速度センサ154を用いたユーザ行動解析を行うことなく)、ユーザがいずれかの駐車場20に入場したか否かを判定するのである。これは、出庫ステージにおける入場と同様に、入庫ステージにおいても、その性質上、通常、ユーザが歩行していずれかの駐車場20に入場することはないことと考えるのが常識であるからである。
しかし、これに代えて、ユーザの行動解析の結果、ユーザが車両に乗車して移動している(走行中である)と判定されることを条件に、ユーザがいずれかの駐車場20に入場したか否かを判定する態様で本発明を実施することが可能である。
なお、ステップS1202およびS1203においては、該当する駐車場20に場内発信機30が設置されている場合には、GPS信号に代えて、その場内発信機30から受信した識別信号を用いて、ユーザの現在位置すなわち現在の駐車場20の位置を取得してもよい。
ユーザがいずれの駐車場20にも入場していない場合には、このステップS1203の判定がNOとなり、ステップS1202に戻る。ユーザがいずれかの駐車場20に入場する状態が実現されるまで、ステップS1202−1203が反復される。
ユーザがいずれかの駐車場20に入場した場合には、このステップS1203の判定がYESとなり、ステップS1204に進む。
このステップS1204においては、図24に例示するように、携帯端末90が、前記いずれかの駐車場20を識別するための情報(例えば、駐車場の名称、所在地)を、現在の駐車場すなわち現在、ユーザによって選択されてユーザが実際に滞在している駐車場(以下、「現在の駐車場」という)20であることが少なくとも視覚的に分かるように、画面上に表示する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1205において、ユーザが、現在の駐車場20の位置において、その現在の駐車場20を利用したい旨の駐車リクエスト(または入庫リクエスト)を携帯端末90に対して入力した(画面上の特定位置をタップしたか、特定の音声を入力した)か否かを判定する。
図25に示す例においては、このステップS1205において、ユーザが駐車リクエスト(または入庫リクエスト)を携帯端末90に対して入力するために操作される入庫ボタン(アイコンなど)が携帯端末90の画面上に表示される。
ここに、ユーザが駐車リクエスト(または入庫リクエスト)を携帯端末90に対して入力するという操作、ユーザが携帯端末90の画面上において入庫ボタンを選択するという操作(図25参照)、ユーザが携帯端末90の画面上の特定位置(例えば、現在の駐車場P3)をタップするという操作(図24参照)、ユーザが特定の音声を携帯端末90に入力するという操作は、それぞれ、ユーザの意思表示としての入庫操作を意味する。
ユーザが現在の駐車場20について駐車リクエストを発しない場合には、ステップS1205の判定がNOとなり、ステップS1202に戻る。ユーザがいずれかの駐車場20について駐車リクエストを発する状態が実現されるまで、ステップS1202−1205が反復される。
これに対し、ユーザが現在の駐車場20について駐車リクエストを発した場合には、ステップS1205の判定がYESとなり、ステップS1206に進む。
このステップS1206においては、携帯端末90が、現在の駐車場20に対応する駐車場IDをメモリ132から読み出し、それにより、今回の駐車場IDを決定する。
続いて、ステップS1207において、ユーザが携帯端末90に対し、自身の車両を識別するための車両情報を入力する。その車両情報の一例は、車両に固有の番号の一例である車両番号(車両ナンバープレートの番号)(例えば、4桁の番号(例えば、1234))である。車両情報の別の例は、車両に固有の画像データの一例であって、ユーザが携帯端末90の撮影カメラによって車両を撮影して取得した画像データである。
その後、ステップS1208において、携帯端末90が、ユーザまたは当該携帯端末90を識別するためのユーザID(例えば、ユーザID、ユーザの住所氏名、携帯端末90の電話番号、携帯端末90のメールアドレスなど)と共に前記決定された駐車場IDと、前記入力された車両情報と、ユーザがその意思表示としての入庫操作(入庫ボタンの操作)を携帯端末90に対して行ったことを表す入庫操作データとを管理サーバ50に送信する(図26に示す駐車場別ステータス管理テーブルを参照)。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1252において、それらユーザIDと駐車場IDと車両情報とを受信する。続いて、管理サーバ50は、ステップS1253において、メモリ162を検索することにより、それら受信したユーザIDと駐車場IDと車両情報との組合せと同じものが既に登録されているか否か、すなわち、同じユーザが同じ車両を同じ駐車場20にすでに入庫させて駐車しているか否かを判定する。
登録済ではない場合には、このステップS1253の判定がNOとなり、それら受信したユーザIDと駐車場IDと車両情報との組合せがメモリ162に登録され、今回の入庫は初回の入庫として扱われ(以下、「初回入庫として扱われ」という)、ステップS1209に移行する。
これに対し、登録済である場合には、ステップS1253の判定がYESとなり、管理サーバ50は、ステップS1254において、有効駐車時間が満了したか否か、すなわち、時間オーバーであるか否かを判定する。具体的には、管理サーバ50は、後述のように、図13に示す経過監視プログラムによって時間オーバーであると判定されたか否かを判定する。時間オーバーである場合には、このステップS1254の判定がYESとなり、初回入庫として扱われ、この場合にも、ステップS1209に移行する。
これに対し、時間オーバーではない場合には、ステップS1254の判定がNOとなり、管理サーバ50は、ステップS1255において、図17を参照して後述する出庫処理プログラムの実行(図12に示す入庫処理プログラムに先立って実行される場合)により、今回の車両およびユーザに対して再入庫が許可されているか否かを判定する。
再入庫が許可されているか否かの判定は、例えば、管理サーバ50のメモリ162において、ユーザIDまたは駐車場IDに関連付けられている再入庫許可フラグ(OFF状態で、再入庫する権限がユーザに付与されていないことを表す一方、ON状態で、その権限がユーザに付与されていることを表すフラグ)がONであるか否かを判定することによって行われる(図26参照)。
再入庫が許可されていない場合には、ステップS1255の判定がNOとなり、初回の入庫として扱われ、この場合にも、ステップS1209に移行する。
これに対し、再入庫が許可されている場合には、ステップS1255の判定がYESとなり、管理サーバ50は、ステップS1256において、再入庫が許可されていることを表す再入庫許可データを今回のユーザの携帯端末90に対して送信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1214において、前記再入庫許可データを受信し、続いて、ステップS1215において、図25に例示するように、再入庫が許可されていることを表示するためのデータを画面上に表示する。
再入庫が許可されている場合には、携帯端末90がステップS1209−1213を実行せず、また、管理サーバ50がステップS1257−1264を実行しない。その結果、ユーザによる有効駐車時間の入力および駐車料金の決済(支払い)が省略される。
これに対し、再入庫が許可されていない場合、すなわち、初回入庫扱いである場合には、ステップS1209において、ユーザが携帯端末90に対し、ユーザが現在の駐車場20に車両を駐車することを希望する時間帯である有効駐車時間またはその有効駐車時間を特定するための関連時間情報を入力する。
ここに、前記有効駐車時間は、例えば、時間の長さを表す数字で定義してもよい。また、前記関連時間情報は、実際の入庫時刻が携帯端末90または管理サーバ50において自動的に測定されることから、予定出庫時刻で定義してもよい。この場合、実際の入庫時刻が携帯端末90または管理サーバ50によって測定されるため、自動的に有効駐車時間の長さが計算できる。
続いて、携帯端末90は、ステップS1210において、前記入力された有効駐車時間(この時間の長さは、ユーザが延長リクエストを発すると延長される可変時間である)または関連時間情報(以下、単に「有効駐車時間」と総称する)を管理サーバ50に対して送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1257において、前記送信された有効駐車時間を受信する。
続いて、管理サーバ50は、ステップS1258において、その受信した有効駐車時間または他の情報に基づいて今回のユーザについての駐車料金を前払い駐車料金として計算する。その後、管理サーバ50は、ステップS1259において、その計算された駐車料金の額を携帯端末90に送信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1211において、その送信された駐車料金の額を受信する。その後、携帯端末90は、ステップS1212において、図25に例示するように、その受信した駐車料金の額を、関連情報、例えば、前記有効駐車時間の長さ、予定出庫時刻、現在の駐車場20を表す情報(例えば、名称および所在地など)と一緒に画面上に表示する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1213において、ユーザが、今回の駐車料金を電子的に決算する(例えば、携帯端末90が別の決済サーバにアクセスする)ことを可能にする。その決済が完了すると、携帯端末90は、そのことを管理サーバ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、その決済完了の事実を受信すると、ステップS1260において、今回のユーザに対して車両を現在の駐車場20に入庫させることを許可する。具体的には、入庫が許可されているか否か、すなわち、正式に入庫済であるか否かの判定は、例えば、管理サーバ50のメモリ162の駐車場別ステータス管理テーブル(図26参照)において、ユーザIDまたは駐車場IDに関連付けられている入庫済フラグ(OFF状態で、今回の駐車場20に入庫する権限がユーザに付与されていないことを表す一方、ON状態で、その権限がユーザに付与されていることを表すフラグ)がONであるか否かを判定することによって行われる(図26参照)。続いて、管理サーバ50は、ステップS1261において、現在時刻を計測し、それと等しい時刻として入庫時刻を決定する。
その後、管理サーバ50は、ステップS1262において、その決定された入庫時刻に、前記受信した有効駐車時間の長さを加算することにより、予定出庫時刻(この時刻は、ユーザが延長リクエストを発すると更新される可変時刻である)を計算する。
続いて、管理サーバ50は、ステップS1263において、前記受信した有効駐車時間と、前記計算された駐車料金の額と、前記決定された入庫時刻と、前記計算された予定出庫時刻とを、いずれも、今回のユーザID,駐車場IDおよび車両情報の組合せに関連付けてメモリ162に登録し、それにより、駐車場別ステータス管理テーブルを作成する(図26参照)。
その後、管理サーバ50は、ステップS1264において、その登録された内容を携帯端末90に送信する。続いて、携帯端末90は、ステップS1214において、その登録された内容を受信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1214において、その登録された内容を受信し、続いて、ステップS1215において、その内容を表すデータを、入庫が許可されたことを表すデータと併せて、画面上に表示する(図25参照)。
<経過監視>
図13に示すように、携帯端末90のうちの経過監視部204ならびに管理サーバ50のうちの経過監視部306は、それぞれの経過監視プログラムを実行する。
具体的には、管理サーバ50は、ステップS1351において、メモリ162に登録されている複数人のユーザのうち、今回の注目対象を今回の対象ユーザとして選択する。メモリ162には、ユーザIDと、駐車場IDと、有効駐車時間と、予定出庫時刻などの各種データが互いに関連付けて登録されている。
次に、管理サーバ50は、ステップS1352において、時計172を用いて現在時刻を計測し、続いて、ステップS1353において、今回の対象ユーザの予定出庫時刻がメモリ162から読み出される。
その後、管理サーバ50は、ステップS1354において、その予定出庫時刻から前記現在時刻を引き算することにより、有効駐車時間のうちの残存時間を計算する。続いて、ステップS1355において、その計算された残存時間が0以下であるか否か、すなわち、前記有効駐車時間が満了したか否かを判定する。
残存時間が0より長い場合には、このステップS1355の判定がNOとなり、ステップS1356がスキップされる結果、「時間オーバー」との判定が行われず、その後、ステップS1358において、別のユーザが次回の対象ユーザとされる。続いて、ステップS1352に戻る。
これに対し、残存時間が0以下である場合には、ステップS1355の判定がYESとなり、管理サーバ50は、ステップS1356において、「時間オーバー」と判定する。続いて、ステップS1357において、「時間オーバー」との判定結果が、前記残存時間を表すデータと一緒に、今回の対象ユーザの携帯端末90に送信される。その後、ステップS1358において、別のユーザが次回の対象ユーザとされる。続いて、ステップS1352に戻る。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1301において、管理サーバ50から「時間オーバー」との判定結果と残存時間の最新値とを受信し、次に、ステップS1302において、その判定を表すデータをメモリ132に保存する。続いて、携帯端末90は、ステップS1303において、「時間オーバー」であることを表すデータを画面上に表示し、ユーザに通知する。
その後、携帯端末90は、ステップS1304において、前記残存時間が、0ではない基準値T0(例えば、1時間の如き固定値、有効駐車時間の長さの約10%として計算される如き可変値)より短いか否かを判定する。現在、前記有効駐車時間が満了する間際であるために、前記残存時間がわずかであるか否かを判定するのである。
なお、このステップS1304および1305は、管理サーバ50がステップS1357を実行したために携帯端末90がステップS1301−1303を実行したか否かを問わず、実行される。
前記残存時間が基準値T0(例えば、1時間)より短い場合には、ステップS1304の判定がYESとなり、ステップS1305において、ユーザに対し、前記有効駐車時間を延長することを請求するための延長リクエストを携帯端末90を介して管理サーバ50に送信するための視覚的、聴覚的または触覚的な刺激(例えば、特定のメッセージやボタンの表示、ブザー音、携帯端末90の振動など)が携帯端末90からユーザに与えられる。
これに対し、前記残存時間が基準値T0より短くはない場合には、ステップS1304の判定がNOとなり、ステップS1305がスキップされる。
<空室判定>
図14に示すように、管理サーバ50のうちの空室判定部304は、空室判定プログラムを実行する。
具体的には、管理サーバ50は、ステップS1451において、メモリ162の駐車場別ステータス管理テーブルに登録されている(以下、単に「メモリ162に登録されている」ともいう。)複数の駐車場20のうち、今回の注目対象を今回の対象駐車場として選択する。前述のように、メモリ162の駐車場別ステータス管理テーブルには、ユーザIDと、駐車場IDと、有効駐車時間と、予定出庫時刻などの各種データが互いに関連付けて登録されている。
次に、管理サーバ50は、ステップS1452において、今回の対象駐車場に関し、最新の入庫許可がいずれかの携帯端末90に送信されたか否かを判定する。そうであると判定されれば、ステップS1453において、今回の対象駐車場のうち現時点で利用可能な車室22(空いている車室22)の総数である空室数Nの現在値がメモリ162から読み込まれる。
その空室数Nは、今回の対象駐車場に用意されている時間貸し可能な車室22の総数を初期値とし、1車室分(1回分、車両1台分)の入庫が確認されるごとに1減算される一方、1車室分(1回分、車両1台分)の出庫(実出庫およびみなし出庫)が確認されるごとに1加算されるカウンタである。
続いて、管理サーバ50は、ステップS1454において、空室数Nを1だけ減算し、その後、ステップS1455において、その内容でメモリ162を更新する。続いて、ステップS1456において、空室数Nの現在値が0(または、マージンを見込んで、0より大きい基準値)より大きいか否か、すなわち、今回の対象駐車場に空室が存在するか否かを判定する。
空室数Nの現在値が0より大きい場合には、ステップS1457において、「空室あり」と判定するが、そうではない場合には、ステップS1458において、「空室なし」と判定する。
その後、管理サーバ50は、ステップS1459において、上述のいずれの場合にも、その判定結果をメモリ162に登録するか、その判定結果が反映されるようにメモリ162を更新する。続いて、ステップS1460において、別のユーザが次回の対象ユーザとされる。続いて、ステップS1452に戻る。
以上、1車室分の入庫が確認されたためにステップS1452の判定がYESであった場合を説明したが、1車室分の入庫が確認されなかったためにステップS1452の判定がNOであった場合には、管理サーバ50は、ステップS1461において、1車室分についてのユーザの出庫操作が確認された(実出庫済フラグがONである)か否かを判定する。
1車室分についてのユーザの出庫操作が確認された(実出庫済フラグがONである)場合には、ステップS1461の判定がYESとなり、管理サーバ50は、ステップS1462において、空室数Nの現在値をメモリ162から読み込む。続いて、ステップS1463において、空室数Nを1だけ加算し、その後、ステップS1455に移行する。
これに対し、1車室分についてのユーザの出庫操作が確認されなかった(実出庫済フラグがOFFである)場合には、ステップS1461の判定がNOとなり、管理サーバ50は、ステップS1464において、1車室分についてのみなし出庫が確認された(みなし出庫済フラグがONである)か否かを判定する。
そのみなし出庫が確認された場合には、ステップS1464の判定がYESとなり、ステップS1462に移行するが、そのみなし出庫が確認されなかった(みなし出庫済フラグがOFFである)場合には、ステップS1464の判定がNOとなり、ステップS1462およびS1463がスキップされ、その後、ステップS1456に移行する。
なお、この例においては、出庫済フラグとして、実出庫済フラグおよびみなし出庫済フラグというように2種類存在するが、そのように使い分けることは不可欠ではなく、後述のように、共通に1つの出庫済フラグを用いてもよい。
<延長リクエスト処理>
図15に示すように、携帯端末90のうちの延長リクエスト処理部206ならびに管理サーバ50のうちの延長リクエスト処理部308は、それぞれの延長リクエスト処理プログラムを実行する。
具体的には、携帯端末90は、ステップS1501において、ユーザが携帯端末90に延長リクエストを入力したか否かを判定する。延長リクエストが入力された場合には、ステップS1502に移行するが、入力されなかった場合には、ステップS1501に戻る。
延長リクエストが入力された場合には、携帯端末90は、ステップS1502において、ユーザから、前記有効駐車時間を延長する長さである延長時間を入力する。続いて、ステップS1503において、ユーザIDに関連付けて、延長リクエストが発せられたことと、希望された延長時間の長さとを、管理サーバ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1551において、ユーザIDに関連付けて、延長リクエストが発せられたことと、希望された延長時間の長さとを受信する。続いて、ステップS1552において、その延長時間の長さに見合う額の延長料金を計算する。その後、ステップS1553において、その延長料金の額を携帯端末90に送信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1504において、その送信された延長料金の額を受信し、続いて、ステップS1505において、その受信した延長料金の額を画面上に表示する。その後、ステップS1506において、ユーザがその延長料金を電子決済することを可能にする。
続いて、携帯端末90は、ステップS1507において、前記決済が完了したことを管理サーバ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1554において、前記決済が完了したことを受信し、続いて、ステップS1555において、ユーザに対し、前記有効駐車時間の延長を許可する。その後、ステップS1556において、前記有効駐車時間を延長することにより、予定出庫時刻を未来側に更新する。続いて、ステップS1557において、その内容でメモリ162の駐車場別ステータス管理テーブルを更新する。その後、ステップS1558において、延長された有効駐車時間(最新の有効駐車時間)と、更新された予定出庫時刻とを携帯端末90に送信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1508において、その送信された最新の有効駐車時間および予定出庫時刻を受信し、続いて、ステップS1509において、それらの情報を画面上に表示する。その後、ステップS1501に戻る。
<出庫処理および測位>
図16および図17に示すように、携帯端末90のうちの出庫処理部208および測位部230ならびに管理サーバ50のうちの出庫処理部310は、それぞれの出庫処理プログラムを実行する。
まず、携帯端末90が、図16に示すステップS1601において、図12におけるステップS1202と同様にして、携帯端末90の現在位置すなわちユーザの現在位置が測定される。
続いて、ステップS1602において、図12におけるステップS1203と同様にして、ユーザが、前記複数の駐車場20のうちのいずれかにも存在しない状態から、いずれかの駐車場20内に存在する状態に変化したか否か、すなわち、ユーザが今まさに、いずれかの駐車場20に入場したか否かを判定する。
ユーザがいずれの駐車場20にも入場していない場合には、このステップS1602の判定がNOとなり、ステップS1601に戻る。ユーザがいずれかの駐車場20に入場する状態が実現されるまで、ステップS1601−1602が反復される。
ユーザがいずれかの駐車場20に入場した場合には、このステップS1602の判定がYESとなり、ステップS1603に進む。
このステップS1603においては、携帯端末90が、現在の駐車場20に対応する駐車場IDをメモリ132から読み出し、それにより、実駐車場IDを取得する。続いて、ステップS1604において、入庫が許可された駐車場20に対応する駐車場ID、すなわち、今回の駐車場IDをメモリ132から読み出す。
その後、携帯端末90は、ステップS1605において、前記取得された実駐車場IDと今回の駐車場IDとが互いに一致するか否かを判定する。すなわち、ユーザが現在、入庫した駐車場20と同じ駐車場20に入場したか否かを判定するのである。
続いて、携帯端末90は、ステップS1606において、ユーザが現在、出庫のために駐車場20に滞在していることを管理サーバ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1651において、ユーザが現在、出庫のために駐車場20に滞在していることを受信する。続いて、ステップS1652において、前記経過監視プログラムにおいて「時間オーバー」と判定されたか否かを判定する。「時間オーバー」と判定された場合には、ステップS1652の判定がYESとなり、ステップS1653において、ユーザに対し、所定のペナルティが課される。
一方、「時間オーバー」と判定されなかった場合には、ステップS1652の判定がNOとなり、管理サーバ50は、ステップS1654において、ユーザに対し、現在の駐車場20から出庫することを許可する。続いて、ステップS1655において、携帯端末90に対し、ユーザの出庫が許可されたことを表すデータを送信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS1607において、ユーザの出庫が許可されたことを表すデータを管理サーバ50から受信する。続いて、ステップS1608において、ユーザによって操作されるべき「出庫ボタン」を画面上に表示する。それにより、ユーザに対し、出庫するという意思表示を携帯端末90に入力するために「出庫ボタン」を操作するという出庫操作が要求されることになる。
続いて、携帯端末90は、ステップS1609において、ユーザが「出庫ボタン」を操作したか否かを判定する。ユーザが「出庫ボタン」を操作した(すなわち、出庫操作した)と仮定すると、このステップS1609の判定がYESとなる。
その後、携帯端末90は、ステップS1613において、前記経過監視プログラムの実行時に「時間オーバー」と判定されたか否かを判定する。「時間オーバー」と判定された場合には、このステップS1613の判定がYESとなり、ステップS1614において、ユーザに対し、所定のペナルティが課される。
これに対し、「時間オーバー」と判定されなかった場合には、ステップS1613の判定がNOとなり、その後、携帯端末90は、ステップS1615において、図18に示す行動解析プログラムによって管理される走行中フラグ(ON状態で、ユーザが車両に乗車して移動中であることを示すフラグ)であってメモリ132に記憶されているものを読み出す。
続いて、携帯端末90は、ステップS1616において、その読み出された走行中フラグがONであるか否かを判定する。ONではない場合には、ステップS1613に戻る。ONである場合(すなわち、ユーザが車両に乗車して移動している(走行している)場合には、ステップS1617において、ステップS1601と同様にして、携帯端末90の現在位置すなわちユーザの現在位置(例えば、ユーザが乗車している車両の現在位置)を測定する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1618において、ユーザが、携帯端末90によって測定されたユーザ位置の時間的変化の有無に基づき、現在の駐車場20に存在する状態からその駐車場20に存在しない状態に変化したか否か、すなわち、ユーザが今まさに、現在の駐車場20から退場したか否かを判定する。
ユーザが未だ現在の駐車場20から退場していない場合には、このステップS1618の判定がNOとなり、ステップS1613に戻る。ユーザが現在の駐車場20から退場するまで、ステップS1613−1618が反復される。
すなわち、それらステップのうち、ステップS1615−1618は、ユーザが車両に乗車して現在の駐車場20から退場したか否かを判定するステップ群(以下、「出庫判定ステップ群」という)なのである。
ユーザが現在の駐車場20から退場する(今回は、車両に乗車した状態で)と、ステップS1618の判定がYESとなり、携帯端末90は、ステップS1619において、ステップS1613においてユーザが出庫操作を行ったことを表すデータと、ユーザが車両に乗車して駐車場20から退場したことを表すデータとを管理センタ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS1656において、ユーザが車両に乗車して駐車場20から退場したことを表すデータを携帯端末90から受信する。続いて、ステップS1657において、出庫が完了したと判定し、駐車場別ステータス管理テーブルにおいて、出庫済フラグをONにし、さらに、正規出庫フラグをONにする(図26参照)。
その後、ステップS1658において、ユーザが同じ駐車場20に再入庫することを禁止し、駐車場別ステータス管理テーブルにおいて、再入庫許可フラグをOFFにする(図26参照)。続いて、ステップS1659において、ユーザが同じ駐車場20に再入庫することを禁止されたことを表すデータを携帯端末90に送信する。
以上、ユーザが出庫操作を行った場合を説明したが、未だ出庫操作を行っていない場合には、ステップS1609の判定がNOとなり、携帯端末90は、ステップS1610において、前記経過監視プログラムにおいて「時間オーバー」と判定されたか否か、すなわち、現在、前記有効駐車時間が満了したか否かを判定する。
「時間オーバー」と判定されなかった場合には、このステップS1610の判定がNOとなり、携帯端末90は、ステップS1621において、ユーザが車両に乗車して現在の駐車場20から退場したか否かを判定するために、前記出庫判定ステップ群と同じものを実行する。ユーザが未だ車両に乗車して現在の駐車場20から退場しない場合には、このステップS1621の判定がNOとなり、ステップS1609に戻る。
これに対し、ユーザが車両に乗車して駐車場20から退場した場合には、ステップS1621の判定がYESとなり、続いて、携帯端末90は、ステップS1622において、ユーザが同じ駐車場20に再入庫することを許可する。その後、ステップS1623において、再入庫が許可されたことを表すデータを管理サーバ50に送信し、それを受信すると、管理サーバ50は、メモリ162の駐車場別ステータス管理テーブルにおいて、今回のユーザに関連付けられる再入庫許可フラグをONにする。
その後、携帯端末90は、図17のステップS1627において、前記経過監視プログラムにおいて「時間オーバー」と判定されたか否か、すなわち、現在、前記有効駐車時間が満了したか否かを判定する。
「時間オーバー」と判定されなかった場合には、判定がNOとなり、ステップS1627に戻るが、「時間オーバー」と判定された場合には、判定がYESとなり、ステップS1629において、携帯端末90は、このタイミング、すなわち、有効駐車時間が満了したタイミングで、実際の出庫操作が存在しないにもかかわらず、ユーザが出庫操作を行ったものとみなし、それにより、みなし出庫が行われたと判定する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1630において、ユーザが同じ駐車場20に再入庫することを禁止する。その後、ステップS1631において、みなし出庫が行われたことを表すデータと、再入庫が禁止されたことを表すデータとを管理サーバ50に送信する。
その管理サーバ50は、ステップS1662において、それらデータを受信し、続いて、ステップS1663において、それらデータが反映されるようにメモリ162の駐車場別ステータス管理テーブルを更新する。それにより、出庫済フラグがONにされ、みなし出庫フラグがONにされ、再入庫許可フラグがOFFにされる。さらに、仮出庫フラグもOFFにされる。
これに対し、ユーザが出庫操作を行うことも、前記有効駐車時間の満了前に、乗車して駐車場20から退場することもしなかった場合には、図16のステップS1610において、「時間オーバー」と判定されたか否かが判定されれば、その判定がYESとなり、続いて、ステップS1610aにおいて、ユーザに対し、所定のペナルティが課される。
<行動解析>
図18に示すように、携帯端末90のうちの行動解析部210は、行動解析プログラムを実行する。
まず、携帯端末90が、ステップS1801において、図12におけるステップS1202と同様にして、ユーザの現在位置が測定される。
次に、携帯端末90は、ステップS1802において、ユーザが移動中であるか否かを判定する。具体的には、前記測定されたユーザの現在位置と、過去に同様にして測定されたユーザの位置(正確には、携帯端末90の位置)であってメモリ132に記憶されているものとの間の変化量を計算する。
その変化量が基準値以上である場合には、ユーザが移動中であると判定し、一方、前記変化量が前記基準値に満たない場合には、携帯端末90は、ステップS1818において、ユーザが停止中(静止中)であると判定する。続いて、ステップS1819において、歩行中フラグであって、ON状態で、ユーザが歩行中であることを示すものがOFFにされ、さらに、ステップS1820において、前記走行中フラグもOFFにされる。
なお、ステップS1801および1802の実行によるユーザが移動中であるか否かの判定は、駐車場20に場内発信機30が設置されている場合には、携帯端末90が場内発信機30から受信した信号の強度に基づいて両者間の距離を測定し、その距離の時間的変化の有無に基づいてユーザが移動中であるか否かを判定する処理を、代替的にまたは追加的に行ってもよい。
ユーザが移動中であると判定された場合には、続いて、携帯端末90は、ステップS1803において、加速度センサ154から信号を取り込み、その信号に基づき、携帯端末90に作用する加速度(ユーザの振動および/または車両の振動によって生起されるもの)の時間プロファイル(時系列)を表す原波形を測定する。
図19(b)および図21(b)に例示するように、連続した原波形のうち、所定時間幅を有する分析窓であって現在時刻から過去に延びるものによってカバーされる部分が、今回の解析対象とされる。
図19(a)には、中心加速度が0の状態(加速度波形のうちの低周波成分の加速度(ユーザの実質的な歩行加速度)が0の状態)でユーザが歩行している際に測定される加速度Gの原波形の一例がグラフで表されており、一方、図21(a)には、中心加速度が0の状態(加速度波形のうちの低周波成分の加速度(車両の実質的な走行加速度)が0の状態)でユーザが車両に乗車して移動している際に測定される加速度Gの原波形の一例がグラフで表されている。
よって、図19(a)にも図21(a)にも、実質的には、携帯端末90の加速度波形のうちの高周波成分のみが示されていることになる。ここに、高周波成分は、低周波成分を主たる成分として取り扱う場合には、ノイズ成分を意味し、逆に、低周波成分は、高周波成分を主たる成分として取り扱う場合には、ノイズ成分を意味することになる。
図19(b)には、ユーザ歩行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分のうちの最大強度がグラフで表されており、一方、図21(b)には、ユーザ走行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分のうちの最大強度がグラフで表されている。
図20(a)には、ユーザ歩行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分の大振幅周波数成分がグラフで表されており、一方、図22(a)には、ユーザ走行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分の大振幅周波数成分がグラフで表されている。
図20(b)には、ユーザ歩行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分の小振幅周波数成分がグラフで表されており、一方、図22(b)には、ユーザ走行中に測定される原波形のうち最新の分析窓内に存在する部分の小振幅周波数がグラフで表されている。
その後、携帯端末90は、ステップS1804において、強度解析を行う。一例においては、前記測定された原波形(上下に振動しつつ進行する波形)のうちの上側部に対してピークホールドを行うことにより、その上側部の包絡線を取得し、同様にして、前記原波形のうちの下側部に対してピークホールドを行うことにより、その下側部の包絡線を取得する。
続いて、携帯端末90は、ステップS1805において、前記測定された原波形を代表する実質的な最大強度Iを測定する。
一例においては、図19(b)および図21(b)に例示するように、上側部の包絡線のうちの最大値と下側部の包絡線のうちの最小値との間の隔たり(近似的な振幅)として、最大強度Iを測定する。この例は、後述の例より、最大強度Iの計算が単純化される。
別の例においては、図示しないが、前記取得された2つの包絡線間の隔たりを一定の時間刻みでサンプリングし、隔たりすなわち振幅についての複数のサンプル値のうち実質的に最大であるものとして、最大強度Iを測定する。
その後、携帯端末90は、ステップS1806において、前記測定された最大強度Iが第1しきい値I0より大きいか否かを判定する。大きい場合には、このステップS1806の判定がYESとなる。
続いて、携帯端末90は、ステップS1807において、周波数解析を行う。具体的には、前記測定された原波形に対して、例えばフーリエ変換、ハーパスフィルタ、ローパスフィルタなどの信号処理を行う。それにより、原波形から複数の周波数成分を抽出する。
その後、携帯端末90は、ステップS1808において、それら周波数成分のうち振幅が最大であるものの周波数Fを測定する。図20に示す例においては、「F1」が、大振幅周波数成分の周波数であり、図22に示す例においては、「F2」が、大振幅周波数成分の周波数である。
続いて、携帯端末90は、ステップS1809において、前記測定された周波数Fが第2しきい値F0より小さいか否かを判定する。小さい場合には、このステップS1809の判定がYESとなる。
その後、携帯端末90は、ステップS1810において、現在、ユーザが車両に乗車せず、歩行していると判定する。続いて、ステップS1811において、前記歩行中フラグであってメモリ132に記憶されているものがONにされる。その後、続いて、ステップS1812において、ON状態で、前記走行中フラグであってメモリ132に記憶されているものがOFFにされる。続いて、ステップS1801に戻る。
以上、最大強度Iが第1しきい値I0より大きい場合を説明したが、第1しきい値I0以下である場合には、ステップS1806の判定がNOとなり、携帯端末90は、ステップS1813において、前記歩行中フラグがONであるか否かを判定する。ONである場合には、ステップS1814において、ユーザが走行中であると判定するが、ONではない場合、すなわち、OFFである場合には、ステップS1814−1817がスキップされてステップS1801に戻る。
その理由を説明するに、ユーザの通常の行動パターンとして、ユーザが駐車場20に入場した後、直ちに車両に乗車することは不可能であり、ユーザは、まず、歩行して駐車場20に入場したらさらに歩行し、次に、駐車してある車両に乗車し、その後、車両に乗車した状態で走行して駐車場20の出口に向かう。
このようなユーザに期待される行動パターンを考慮してユーザ行動の解析精度を向上させるべく、本実施形態においては、歩行中フラグがONでない状態でステップS1806またはステップS1809の判定がNOとなった直後には、ユーザが走行中であるとは判定しないようになっている。
ステップS1814の実行に続いて、携帯端末90は、ステップS1815において、ユーザは車両に乗車した直後であると判定する。ユーザの行動が、歩行から走行にシフトした直後であるからである。
この乗車直後判定は、例えば、前記空室数Nをカウントアップするトリガーとして用いてもよい。その場合には、図14に示す例のように、出庫操作やみなし出庫をカウントアップのトリガーとして用いる場合より早期に空室の存在を他の潜在的なユーザに案内でき、それにより、駐車場20の稼働率が向上するという効果が得られる。
その後、携帯端末90は、ステップS1816において、前記走行中フラグをONにし、さらに、ステップS1817において、前記歩行中フラグをOFFにする。続いて、ステップS1801に戻る。
なお、図18における複数のステップのうち、例えば、ステップS1802−1820の全部または一部は、携帯端末90の処理負荷軽減のために、携帯端末90によってではなく管理サーバ50において実行してもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の例示的な第2の実施形態に従う駐車場管理システム10および駐車場管理方法を説明する。ただし、第1の実施形態と共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
本実施形態は、図18に示す行動解析プログラムに代えて図23に示す行動解析プログラムが実行される点を除き、前述の第1の実施形態と共通する。
図23に示す行動解析プログラムは、ステップS2301−2303,2306−23016を有し、それらは、図18に示す行動解析プログラムのうちのステップS1801−1803、1810−1820とそれぞれ共通する。
図23に示す行動解析プログラムは、さらに、ステップS2304を有し、それは、図18に示す行動解析プログラムのうちのステップS1804,1805,1807および1808を代替する。
図23に示す行動解析プログラムは、さらに、ステップS2305を有し、それは、図18に示す行動解析プログラムのうちのステップS1806および1809を代替する。
図23に示す行動解析プログラムが携帯端末90によって実行されると、ステップS2304において、携帯端末90は、加速度センサ154によって時々刻々測定された一連の複数の加速度に基づき、ユーザの歩数Nを検出する。この検出は、携帯端末90が歩数検出アルゴリズムを実行することによって実行される。
また、ステップS2305においては、その検出された歩数Nが第3しきい値N0より大きい場合には、ステップS2306において、ユーザが歩行中であると判定される。これに対し、検出された歩数Nが第3しきい値N0以下である場合には、前記歩行中フラグがONであることを条件に、ステップS2310において、ユーザが走行中であると判定される。
その理由を説明するに、ユーザが走行中である場合には、ユーザおよび車両から加速度センサ154に加えられる加速度すなわち振動が、ユーザが歩行中である場合より弱い。そのような弱い加速度すなわち振動は、ステップS2304によって実行される歩数検出アルゴリズムによって検知されない。よって、歩数Nが少ない場合には、ユーザが走行中であり、逆の場合には、ユーザが歩行中であると判定される。
[上述のいくつかの実施形態によって得られるいくつかの例示的な効果]
1.駐車場管理者が駐車場20の設備に関して負担すべき費用および労力の軽減
本実施形態によれば、駐車場20に設置された設備を利用する代わりにユーザの携帯端末90を利用することにより、出庫ステージにおいて、ユーザが自身の車両に乗車して駐車場20から退場したのか、ユーザが自身の車両に乗車せずに歩行者として駐車場20から退場したのかを判別することができる。
よって、本実施形態によれば、出庫検出のために、車両の通過を電磁的に検出するセンサ(例えば、ループコイル)を専用の設備として駐車場20に設置することが不可欠ではなくなる。
したがって、本実施形態によれば、駐車場20に設置される設備の製造または購入、設置および保守点検に必要な費用および労力の削減が容易となる。
2.出庫ステージにおいてユーザが行うことを要求される操作および負担の軽減
本実施形態によれば、出庫ステージにおいて、ユーザが不注意に前記出庫操作を失念したまま駐車場20から出庫しまっても、有効駐車時間が満了すると、自動的に出庫扱いとなる。
よって、本実施形態によれば、ユーザが不注意に前記出庫操作を怠ったまま駐車場20から出庫してしまっても、新たな操作ならびに時間的および経済的な負担がユーザに追加されずに済む。例えば、延長料金の請求などがユーザに対して行われずに済む。
3.同じ駐車場20への再入庫を必要とするユーザの使い勝手の向上
本実施形態によれば、ユーザが意図的に前記出庫操作を保留したまま駐車場20から出庫すれば、有効駐車時間が満了するまで、その後に同じ駐車場20に再入庫して、その駐車場20を何度でも断続的に利用することが可能となる。
4.駐車場管理者が駐車場20に存在する空室数を推定する精度の向上
1)第1の理由
本実施形態においては、前述のように、空室判定部304により、入庫の確認件数および出庫の確認件数に基づき、駐車場20内の複数の車室に、使用されてない空室が存在するか否かが判定される。
具体的には、空室判定部304は、1回分の入庫が確認されるごとに、駐車場20内の複数の車室のうち、使用されてない空室の数である空室数Nを1ずつ減算する減算部と、1回分の実際の出庫操作またはみなし出庫操作が確認されるごとに、空室数Nを1ずつ加算する加算部とを有している。
ところで、これに代えて、前記加算部を、1回分の実際の出庫操作が確認されない限り、空室数Nを1ずつ加算しない態様で実施すると、みなし出庫が確認された場合、すなわち、実際にそのみなし出庫が確認された車両が駐車場20に実在しない場合であっても、空室数Nが増加しないことになる。これは、駐車場20の実際の稼働状態を正しく反映しておらず、駐車場20内の空室が無駄に駐車に利用されずに終わり、駐車場20の稼働率が向上しない。
これに対し、本実施形態によれば、前記加算部が、1回分の実際の出庫操作が確認された場合のみならず、1回分のみなし出庫が確認された場合にも、空室数Nを増加させるようになっている。
よって、本実施形態によれば、駐車場20に存在する空室数Nを推定する精度が向上し、駐車場20内の空室が無駄に駐車に利用されずに済み、それにより、駐車場20の稼働率を高めることが容易となる。
2)第2の理由
本実施形態に代えて、出庫ステージにおいて、ユーザによる実際の出庫操作の有無を問わず、有効駐車時間が満了したら一律に出庫扱いとされて空室数Nが1だけ加算される態様で本発明を実施することが可能である。
この態様によれば、ユーザにとっては、出庫操作が不要となるという理由で、使い勝手が向上するという利点があるかもしれない。
しかし、駐車場管理者側にとっては、欠点があり得る。なぜなら、出庫意思確認のためにユーザに対して出庫操作を要求しないと、ユーザが実際には、有効駐車時間が満了するよりかなり早い時刻に駐車場20から出庫し、その分の車室が空室となった場合であっても、有効駐車時間が満了するまでは、前記加算部が空室数Nを加算しないため、管理サーバ50は、実際に1つの空室が増加した事実を潜在的な複数人のユーザに通知することができないからである。
これに対し、本実施形態によれば、原則として、ユーザに対し、駐車場20からの出庫のための意思表示として、出庫操作を要求する。
ユーザに対して出庫操作が要求されていることをユーザ自身に認識させるために、本実施形態においては、ユーザが、駐車場20からの出庫のためにその駐車場20に入場し、かつ、出庫操作を行わず、かつ、車両に乗車して駐車場20から退場することもしないと、ユーザの携帯端末90を介して、ユーザが延長リクエストを携帯端末90に対して入力することを催促する。
その催告は、携帯端末90が視覚的に(特定のメッセージやボタン表示で)、聴覚的に(特定の音を発生させることで)、または、触覚的に(携帯端末90を振動させることで)行うことが可能である。
したがって、本実施形態によれば、ユーザに対して出庫操作を要求することによっても、駐車場20に存在する空室数Nを推定する精度が向上し、駐車場20内の空室が無駄に駐車に利用されずに済み、それにより、駐車場20の稼働率を高めることが容易となる。
5.駐車場管理者がユーザごとに個別に駐車料金を設定する際の自由度の向上
本実施形態によれば、ユーザは、自身の携帯端末90を介して管理サーバ50と通信する。管理サーバ50は、すべてのユーザについて駐車料金を計算するが、その際、すべてのユーザに共通の料金計算ルールを用いることは不可欠ではない。
なぜなら、管理サーバ50は、各ユーザの携帯端末90に対して個別に対応でき、また、駐車場管理者は、駐車場20に設置される料金看板上の料金表を書き換えるためにわざわざその駐車場20に出向くことが不要となるからである。
管理サーバ50は、駐車料金を、例えば、次のいくつかのルールに従い、フレキシブルないしはダイナミックに計算してもよい。
1)駐車場別稼働率応答型ルール
複数の駐車場20のうち、実際の稼働率が低い駐車場20については低額で、実際の稼働率が高い駐車場20については高額となるように、その都度、いずれの駐車場20に該当するのかをフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
2)時間帯別稼働率応答型ルール
各駐車場20につき、実際の稼働率が低い時間帯であるときは低額で、実際の稼働率が高い時間帯であるときは高額となるように、その都度、いずれの時間帯であるのかをフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
3)時間帯応答型ルール
各駐車場20の稼働率が低いことが統計的に予想される時間帯であるときは低額で、稼働率が高いことが統計的に予想される時間帯であるときは高額となるように、その都度、いずれの時間帯にあるのかをフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
4)使用履歴応答型ルール
各ユーザの駐車場20の利用頻度が低いときは高額で、利用頻度が高くなると低額となるように、各ユーザの実際の個別の利用頻度をフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
5)曜日応答型ルール
各駐車場20の稼働率が低いことが統計的に予想される曜日であるときは低額で、稼働率が高いことが統計的に予想される曜日であるときは高額となるように、その都度、いずれの曜日であるのかを検出し、それをフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
6)天候応答型ルール
各駐車場20の稼働率が低いことが統計的に予想される天候であるときは低額で、稼働率が高いことが統計的に予想される天候であるときは高額となるように、その都度、いずれの天候であるのかを検出し、それをフィードバックして各ユーザの個別の駐車料金をフレキシブルに計算する。
6.駐車場管理者が駐車料金の額をリアルタイムで変更できる。
一般に、駐車場ごとにユーザが駐車料金の額を計算することを可能にするために、駐車場に料金看板が設置される。その料金看板は、通常、金額表示を遠隔的に操作可能であるようにはなっておらず、作業者がいちいち現地に赴いて表示パネルを貼り換えるなどの手作業を必要とする。そのため、駐車場が料金看板を必要とする限り、駐車料金の計算ルールをリアルタイムで変更することは物理的に困難である。
これに対し、本実施形態によれば、駐車料金の額は、駐車場ごとに、ユーザごとに、時間帯ごとに個別に管理サーバ50によって計算されることが可能であり、駐車料金の額の計算に駐車場20に設置される料金看板は不要である。
したがって、本実施形態によれば、駐車場管理者が駐車料金の額を、外的要因や内的要因、例えば、そのときに自身の駐車場に想定される需要(地理的にみてその駐車場を利用することが予想されるユーザの数など)(外的要因の例)や、そのときの自身の駐車場の実際の稼働率(内的要因の例)やそれに隣接する他の駐車場の実際の稼働率(外的要因の例)に応じてリアルタイムで変更できる。
7.駐車場20に対するユーザの入庫(乗車した状態での入場)および/または出庫(乗車した状態での退場)という行動(動作、挙動)の種類に応答してユーザの携帯端末90における駐車アプリのうち対応する部分が自動的に起動する。
具体的には、例えば、ユーザの携帯端末90は、GPS受信機152(ユーザ位置の検出と、ユーザの移動方向の検出を行う機能部)と加速度センサ154(歩行中か走行中かの判別を行う機能部)との少なくとも一方を用いることにより、バックグラウンドで、ユーザの入庫および/または出庫という行動(動作、挙動)の種類を判別する。携帯端末90は、入庫を検知したら、前記入庫処理プログラムを起動させる一方、出庫を検知したら、前記出庫処理プログラムを起動させる。
8.駐車場20に対する入出庫処理の自動化とユーザからの意思表示の明確化との両立
本実施形態においては、携帯端末90および管理サーバ50が、入出庫処理を完全に自動化するわけではなく、ユーザの携帯端末90が、いずれかの駐車場20への入場(乗車して入場すること)を検知すると、ユーザからの意思表示を確認するために、入庫ボタンを画面上に表示し(図25参照)、また、同じ駐車場20からの退場(乗車して退場すること)を検知すると、ユーザからの意思表示を確認するために、出庫ボタンを表示する(図25参照)。
さらに、ユーザによる入庫ボタンの選択という入庫操作を待って、前記入庫処理プログラムは、入庫済フラグをOFFからONに変化させ(図26参照)、一方、ユーザによる出庫ボタンの選択という出庫操作を待って、前記出庫処理プログラムは、出庫済フラグをOFFからONに変化させる(図26参照)。
それにより、携帯端末90および管理サーバ50が、ユーザの意に反する動作、すなわち、誤作動を行わずに済む。
9.入庫ステージでは携帯端末90内の加速度センサ154を用いたユーザ行動解析が省略される。
携帯端末90は、入庫ステージでは、GPS受信機152は使用するが加速度センサ154は使用することなくユーザの行動解析を行うが、出庫ステージでは、GPS受信機152と加速度センサ154との双方を使用してユーザの行動解析を行う。
よって、携帯端末90内の加速度センサ154を用いたユーザ行動解析は、出庫ステージにおいてのみ行われ、入庫ステージにおいては、そのような解析の必要性が比較的低いことから省略され、無駄な電力消費が防止される。
[第3の実施形態]
次に、本発明の例示的な第3の実施形態に従う駐車場管理システム10および駐車場管理方法を説明する。ただし、第1および第2の実施形態と共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
図27に示すように、本実施形態においては、携帯端末90が、さらに、自身の角速度(例えば、携帯端末90に固定された軸線周りの回転速度)を検出するジャイロセンサ(またはヨーレートセンサ)156を内蔵している。そのジャイロセンサ156は、携帯端末90に搭載されているため、携帯端末90と一体的に回転し、その結果、ジャイロセンサ156は、各測定基準軸(X,Y,Z)周りの回転運動の角速度を、携帯端末90に作用する角速度と等価なものとして検出する。
具体的には、ジャイロセンサ156は、ユーザが携帯端末90を携帯している(身に着けている)場合には、そのユーザと一体的に運動する傾向が強く、よって、そのユーザに作用する角速度またはそれに対応する近似値(角速度に連動して変化する値など)を検出する。
これに対し、ジャイロセンサ156は、携帯端末90のユーザが車両に乗車している場合には、そのユーザが車両と一体的に運動する傾向が強いため、結果的に、車両の旋回中には、ジャイロセンサ156は、車両と一体的にヨー運動(車両の上下方向中心線周りの回転運動)を行う傾向が強い。よって、ジャイロセンサ156は、車両に作用する角速度(例えば、車両のヨーレート、車両の旋回角速度など)またはそれに対応する近似値を検出する。すなわち、ジャイロセンサ156は、車両の回転運動を検出または推定によって取得する回転運動状態量取得部の一例なのである。
また、レイアウトについては、ジャイロセンサ156は、携帯端末90のユーザが車両に乗車している状態において、携帯端末90がユーザの体から離れ、車両内の特定の場所、例えば、図28に例示するように、車両のほぼ中心に位置するダッシュボード180等の内装部品の凹部182(例えば、物入れポケット)内に載置される場合がある。この場合には、ジャイロセンサ156は、ユーザとではなく、車両と一体的に運動する傾向が強いため、車両の旋回中には、その車両に作用する角速度(例えば、車両のヨーレート、車両の旋回角速度など)を、車両内においてユーザが携帯端末90を身に着けている場合より高い精度で検出する。
なお、図28に示す例においては、携帯端末90が、ダッシュボード180に設けられた凹部182であって上向きに開口するものの中に、理想的には、ジャイロセンサ156のいずれかの測定基準軸と車両の上下中心線とが互いにほぼ平行となる姿勢で配置される。この例によれば、ジャイロセンサ156は、その設置された位置および姿勢のおかげで、車両のヨーレートを十分に正確に検出することが可能となる。
例えば、ジャイロセンサ156につき、携帯端末90の厚さ方向に平行な方向(画面に直角な方向)の測定基準軸に着目すれば、図28に示す例のように、携帯端末90がほぼ真上を向く姿勢で凹部182内に載置されると、現に注目している測定基準軸と車両の上下中心線とが互いにほぼ平行となる。
ところで、ユーザによって携帯されるか否かを問わず、携帯端末90が車両内に載置される場合には、ジャイロセンサ156の基準軸線が車両の上下中心線に対して平行ではない成分を含む場合がある。この場合には、ジャイロセンサ156によって検出される角速度が、車両のヨーレートに厳密に一致しない。
しかし、ジャイロセンサ156が車両内に、ジャイロセンサ156の測定基準軸が車両の上下中心線に対して平行な成分を含む姿勢で固定的に保持される限り、ジャイロセンサ156によって検出される角速度と車両のヨーレートとの間に一定の相関が成立することが容易に予想される。
よって、特段の事情がない限り、車両の旋回中においては、車両の直進走行中におけるより、ジャイロセンサ156によって検出される角速度の絶対値が大きいことが容易に想定される。したがって、車両内における携帯端末90の向きの如何を問わず、ジャイロセンサ156を、車両が旋回状態にあるか否かを区別することさえ可能であれば足りるセンサとして用いることは妥当である。
なお、ジャイロセンサ156は、携帯端末90の角加速度(例えば、ヨーレート微分)を検出するセンサに置換したり、携帯端末90の角度(例えば、ヨー角)を検出するセンサ(例えば、後述の地磁気センサ157、傾斜センサ、重力センサなど)に置換することが可能である。
図27に示すように、この携帯端末90は、さらに、地磁気センサ(磁力センサともいう)157を内蔵している。その地磁気センサ157は、地球の磁場を利用することにより、絶対空間に対する携帯端末90の方向(例えば、磁北からの角度)を検出する。よって、携帯端末90が車両に固定されれば、地磁気センサ157は、絶対空間に対する車両の向きを逐次検出することが可能となる。ジャイロセンサ156も地磁気センサ157も、車内において(理想的には位置固定状態で)使用される場合には、それらセンサは、車両の動的挙動を検出する運動センサまたは動的挙動取得部として機能する。
例えば、図28に示すように、携帯端末90がほぼ真上を向く姿勢で凹部182内に載置されると、地磁気センサ157の測定基準軸と車両の上下中心線とが互いにほぼ平行となる。この場合には、地磁気センサ157が、車両のヨー角、すなわち、車両を真上から見た場合のその車両の絶対空間に対する向きを検出することができる。
その向きの変化頻度(例えば、向きの符号の変化頻度)が高ければ、車両の旋回運動が高頻度で行われたことが分かる。すなわち、この地磁気センサ157も、車両の回転運動を検出または推定によって取得する回転運動状態量取得部の一例なのである。
なお、上述のいくつかの例の回転運動状態量取得部が車両の回転運動を、ユーザによる車両のステアリングホイールSW(図28参照)の回転操作としてい間接的に検出することが可能であり、そのために、携帯端末90は、例えば、そのステアリングホイールSWに、それと一体的に回転するように装着されてもよい。
図27に示すように、この携帯端末90は、さらに、近接センサ158を内蔵している。車両のその近接センサ158は、例えば、静電容量式であり、自身と検出対象との間に生じる静電容量の変化を検出する。その検出される静電容量変化分は、検出対象の大きさや検出対象との距離dに応じて変化する。
ここに、検出対象は、ユーザ本人、車両やその車両内の部品を含む物体(金属製であるか合成樹脂製であるかを問わない)とすることが可能である。近接センサ158は、携帯端末90の位置を基準として、それの周辺に位置する物体との距離dを相対的に検出する。その検出値は、車両の挙動には依存しない。なぜなら、車両の挙動が変化しても、近接センサ158と周辺物体との距離が変化しないからである。
その検出対象は、図28に示す例においては、ダッシュボード182に固定的に、着脱可能に、または格納可能に装着されている被検出部材(衝立、カバーなど)184である。この被検出部材184は、近接センサ158によって検出可能な範囲内に設置され、例えば、携帯端末90の画面をそれの前方から少なくとも部分的に覆うように設置される。その非検出部材184は、ユーザが車両の操縦中、ユーザが携帯端末90の画面を視認することを実質的に妨害しない形状またはレイアウトを有してもよい。
また、近接センサ158は、車両に固定された(車内において静止部材として作用する)被検出部材184を検出する場合には、その近接センサ158によって検出された距離dが時間的に変化せず、定常的である場合には、携帯端末90が、車両に対して相対的に同じ位置に載置されていると推定できる。これに対し、近接センサ158によって検出された距離dが時間的に変化し、非定常的である場合には、携帯端末90が、車両に対して相対的に変動する位置に載置されていると推定できる。そのような位置の典型例は、ユーザの身体である。
したがって、近接センサ158すなわち携帯端末90と、車両に固定された被検出部材184との組合せにより、携帯端末90がユーザに携帯されているか否かを推定することが可能なのである。
近接センサ158を車両の室内において用いれば、携帯端末90が、乗車中、ユーザによって携帯されているか、携帯されておらず、車両の室内のいずれかの場所に固定的に載置されているかを区別することが可能となる。
その区別のためのアルゴリズムの具体例については、近接センサ158によって検出された静電容量変化分(または距離)の時間プロファイル(時系列データ)が非定常であるか、および/または検出された距離dがしきい値d0より長い(例えば、近接センサ158が非検出部材184を検出することができないため)場合には、携帯端末90が、乗車中、ユーザによって携帯されている可能性が高いと判定する。
これに対し、近接センサ158によって検出された静電容量変化分(または距離)の時間プロファイルが実質的に定常であるか、および/または検出された距離dが前記しきい値d0を超えない(例えば、図28に示すように、近接センサ158が継続して非検出部材184を検出するため)場合には、携帯端末90が、乗車中、ユーザによって携帯されておらず、車両の室内のいずれかの場所(ダッシュボード182内の特定位置)に固定的に載置されている可能性が高いと判定することが可能である。
なお、近接センサ158によって検出された静電容量変化分(または距離)の時間プロファイルが実質的に定常であるか否かは判定するが、その検出された距離dが前記しきい値d0を超えないか否かは判定しない態様で実施してもよい。その検出値波形が定常的であれば、ユーザが携帯端末90を身に着けておらず、ユーザの身体の動きにもかかわらず携帯端末90が静止状態にあることから、駐車場20への入庫の有無が主に議論されるこのシナリオにおいて、携帯端末90が静止状態にあることさえ判明すれば、携帯端末90が車両内に固定的に載置されているとの推定を行うことが妥当であるからである。そして、この態様によれば、被検出部材184のような追加部品を車両に装着せずに済む。
一方、携帯端末90が、乗車中、ユーザによって携帯されている場合には、加速度センサ154、ジャイロセンサ156および地磁気センサ157がそれぞれ対応する車両挙動を検出する精度が低いが、携帯端末90が、乗車中、車両の室内のいずれかの場所に固定的に載置されている場合には、加速度センサ154、ジャイロセンサ156および地磁気センサ157がそれぞれ対応する車両挙動を検出する精度が高い。
よって、近接センサ158は、加速度センサ154、ジャイロセンサ156および地磁気センサ157がそれぞれ対応する車両挙動を高精度で検出する状態を確保するために用いることが可能である。
本実施形態に従うシステム10は、図7に示す複数の特徴部(プログラム実行部ないしは機能部)のうち、入庫処理部202、出庫処理部208および行動解析部210を除くものと同じを有する。また、入庫処理部202は、図12のステップS1203を除き、図12に示す入庫処理プログラムと同じものを実行し、また、出庫処理部208は、図16のステップS1602、S1615−S1618(前記出庫判定ステップ群)およびS1621ならびに図17のステップS1627を除き、図16および図17に示す出庫処理プログラムと同じものを実行する。
図29には、図12に示す入庫処理プログラムのうちのステップS1203を置換すべき変形例が、入庫ステージにおいてユーザが乗車して入場した駐車場を特定する入庫時入場駐車場特定モジュールとしてフローチャートで表されている。
この入庫時入場駐車場特定モジュールは、次のような複数の工程を有する駐車場特定方法を実行する。
A.進入判定工程
入庫ステージにおいて、図32に例示するように、測位部230(地球に固定された座標系を用いるGPS測位部または基地局測位部)によって測定された現在位置CPが、すべての駐車場20についての基準座標点RP(経度、緯度)を中心とするすべての空間領域SPの外に存在する状態から、いずれかの駐車場20についての基準座標点RP(経度、緯度)を中心とするいずれかの空間領域SPの内に存在する状態に遷移したか否かを判定する。それにより、現在位置CPが、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SP内に進入したか否かを判定する。
図32に示す例においては、車両AMが、空間領域SP外の現在位置CP1から、空間領域SP内の現在位置CP2に移動し、その結果、その時点で、現在位置CPが空間領域SP内に進入したと判定される。
空間領域SPは、対応する駐車場20の敷地の境界線またはそれに相当するものを幾何学的に正確に反映するように、複数の座標点(例えば、前記敷地の境界線を定義するための複数の座標点の集まり)を用いて定義してもよい。しかし、この場合には、その定義のために必要なデータのサイズが大きくなり、携帯端末90の通信負荷および記憶容量をその分確保することが必要となる。
これに対し、図32に示す例においては、1個の空間領域SPが、1個の円領域(複数の円領域の集まりであってもよい)として定義されている。その1個の円領域は、1個の基準座標点RPを中心とする1個の半径rを有する。よって、1個の空間領域SPが、1個の基準座標点RPを表すデータと、1個の半径rを表すデータという比較的サイズの小さいデータセットのみで定義される。したがって、この例によれば、携帯端末90の通信負荷および記憶容量が節約される。
しかし、1個の空間領域SPを少なくとも1個の円領域として定義する場合には、1個の空間領域SPが、対応する1つの駐車場20の敷地の全体を過不足なくカバーすることは通常、困難である。
具体的には、図32に示す例においては、1個の円領域が、対応する1つの駐車場20の敷地であって円形ではないものを漏れなくカバーすることを優先させるために、1個の円領域が駐車場20の敷地外の部分をも含んでしまう。
そのため、携帯端末90において取得される位置情報(測位部230)のみを用いて、車両がいずれの駐車場20に進入したのかを判断する場合には、ある駐車場20の敷地外の部分に車両AMが位置していても、車両AMがその駐車場20に進入したとの誤った判定が行われてしまうおそれがある。
ところで、本発明者らの研究の結果、一般に、車両が、種類の如何を問わず、任意の駐車場内を走行する場合には、車両が通常の路上を走行する場合には存在しない固有の挙動を車両が示すという事実が判明した。
具体的には、図1に示すように、各駐車場20には、通常、複数の車室が互いに詰めて配列され、その状況において、ユーザは、それら車室のうちのいずれかを選択して、隣接道路からその駐車場20に進入することが必要である。そのため、車両は、各駐車場20内において、通常の路上を走行する場合により高い頻度で旋回運動(左操舵、右操舵、戻し操舵、保舵など)を行うとともに加減速運動(ブレーキング、加速、減速、発進、停止、後退など)を行うことが判明した。
このような知見を背景に、本実施形態においては、携帯端末90において取得される位置情報(測位部230)を用いて、車両AMがすべての駐車場20のすべての空間領域SPの外に位置する状態から、いずれかの駐車場20のいずれかの空間領域SPの内に位置する状態に遷移したという条件が成立することのみをもって、車両AMが、前記位置情報から誘導される駐車場20に進入したと判定するのではない。
本実施形態においては、その条件と、後に詳述するように、車両AMが、高頻度旋回を行う(または、これに代わるかまたはこれに加えて高頻度加減速を行う)という条件とを含む複数の条件が同時に成立した場合に、はじめて、車両AMが、前記位置情報から誘導される駐車場20に存在すると判定する。
B.乗車状態判定工程
入庫ステージにおいて、加速度センサ154(前記加速度取得部の一例)を用いることにより、携帯端末90の加速度を検出し、その検出された加速度の波形のうちの高周波成分の振幅および/または周波数に基づき、ユーザが車両AMに乗車中である可能性があるか否かを判定する。
なお、加速度センサ154の機能および用途を検討するに、その加速度センサ154によって検出された加速度波形を用いて携帯端末90に発生する加速度波形(振動波形)の振幅および/または周波数を検出する場合には、その加速度センサ154は、振動取得部の一例を構成する。これに対し、加速度センサ154を用いて携帯端末90の並進運動の加速度(軸加速度)を検出する場合には、その加速度センサ154は、典型的な加速度取得部の一例を構成する。
前述のように、図21(a)には、中心加速度が0の状態でユーザが歩行している場合の携帯端末90の加速度波形の一例が示され、また、図21(a)には、中心加速度が0の状態で走行している車両にユーザが乗車している場合の携帯端末90の加速度波形の一例が示されている。、
この乗車状態判定工程のおかげで、後述の車内載置状態判定工程、高頻度旋回状態判定工程および高頻度加減速状態判定工程が、ユーザが車両AMに乗車せず、いずれかの駐車場20内を歩行している場合には、それら判定工程がそもそも乗車状態で実行されるように設計されたものであるため、実行されないか、たとえ実行されたとしてもその実行結果が無視されるようになっている。
その結果、この乗車状態判定工程によれば、駐車場20が完全に無人化されるうえに、その駐車場20に特別の設備を設置することが省略されるにもかかわらず、当該システムの誤作動が抑制され、当該システムの判定結果の信頼性が向上する。
とはいえ、この乗車状態判定工程を省略した状態で本発明を実施することが可能である。
C.車内載置状態判定工程
入庫ステージにおいて、近接センサ158を用いることにより、図28に例示するように、乗車中、携帯端末90がユーザによって携帯されておらず、携帯端末90が車両AMの室内に固定的に載置されている可能性があるか否かを判定する。
この車内載置状態判定工程のおかげで、後述の高頻度旋回状態判定工程および高頻度加減速状態判定工程が、ユーザが車両AMに乗車している状態において、ユーザが携帯端末90を携帯している場合には、それら判定工程の精度が低下するおそれがあるため、実行されないか、たとえ実行されたとしてもその実行結果が無視されるようになっている。
その結果、この車内載置状態判定工程によれば、この乗車状態判定工程と同様に、当該システムの誤作動が抑制され、当該システムの判定結果の信頼性が向上する。
とはいえ、この車内載置状態判定工程を省略した状態で本発明を実施することが可能である。
D.高頻度旋回状態判定工程
入庫ステージにおいて、ジャイロセンサ156または地磁気センサ157(いずれも、前記回転運動状態量取得部の一例である)を用いることにより、携帯端末90の回転運動(特に、ヨー運動)の角速度(特に、ヨーレートθ)を検出し、その検出された角速度の変化頻度に基づき、車両が通常の路上を走行している場合に想定される頻度より高い頻度で車両が旋回運動を行う高頻度旋回状態にある可能性があるか否かを判定する。
ここに、角速度の変化頻度は、例えば、角速度の符号(例えば、ヨー運動の向き)の変化頻度、すなわち、ユーザが一定時間当たりに車両のステアリングホイールSW(図28参照)を切り返すハンドル切返し回数と等価である。
具体的に説明するに、図1に示す駐車場20の例においては、隣接道路を走行している車両が入出庫口24から駐車場20内に進入し、その駐車場20を走行し、いずれかの車室22を目標車室22として、その目標車室22内に進入するためには、例えば、車両が隣接道路を左側から右側に向かって進行した後に左折して駐車場20内に進入し、その後に右折して右側の5つの車室22のいずれかである目標車室22に進入して駐車するというシナリオが想定され得る。
このシナリオにおいては、図33(θ:ヨー角、Δθ:ヨーレート)に例示するように、ユーザが車両のステアリングホイールSWを、
1)入出庫口24の手前での左操舵、
2)入出庫口24の通過直後の戻し操舵、
3)駐車車室の手前での右操舵、および
4)駐車車室への進入直後の戻し操舵
というように4回、操舵する(切り返す)ことが必要となる。これと同じ距離だけ車両が路上を走行する際に、一般的に、ユーザがステアリングホイールSWを切り返す回数は、それより少ない。なお、各車室22のサイズは、例えば、幅2.5m、奥行き5.0mであるから、車両が隣接道路のうちの入出庫口24付近から目標車室22まえ走行する距離の概略が推定される。
このような知見に基づき、前記高頻度旋回状態判定工程は、角速度(ヨーレートΔθ)の変化頻度n(例えば、ヨーレートΔθを表す図33のグラフに単位時間当たりに出現する山部と谷部の合計数)がしきい値n0を超えたか否かを判定することにより、車両が高頻度旋回状態にある可能性があるか否か、すなわち、車両が通常の路上を走行している場合には出現しないが任意の駐車場20内を走行している場合には出現する固有の動的挙動を車両が示すか否かを判定する。
具体的には、前記高頻度旋回状態判定工程は、例えば、角速度の観測時間Δt(単位:秒)(例えば、20秒、30秒、40秒)当たりに、角速度の符号が正から負に、および、負から正にそれぞれ変化した回数nがしきい値n0(例えば、4回、6回、8回、それら数値の中間の値など)を超えたか否かを判定することにより、車両が高頻度旋回状態にある可能性があるか否かを判定する。
これに代えて、回数nを観測時間Δtで割り算した比率n/Δtが、所定値(例えば、0.2,0.3,0.4,0.5、それら数値の中間の値など)を超えた場合に、車両が高頻度旋回状態にある可能性があると判定してもよい。
なお、この高頻度旋回状態判定工程は、ジャイロセンサ156に代わるかまたはこれに加えて地磁気センサ157または別のセンサ(例えば、傾斜センサ、重力センサなど)を用いて同じ機能を実現してもよい。
E.入場駐車場特定工程
入庫ステージにおいて、4つの条件、すなわち、
1.現在位置CPがいずれかの駐車場20に対応する空間領域SP内に進入したという第1の条件と、
2.ユーザが車両AMに乗車中である可能性があるという第2の条件と、
3.携帯端末90がユーザによって携帯されておらず、携帯端末90が車両AMの室内に固定的に載置されている可能性があるという第3の条件と、
4.車両AMが前記高頻度旋回状態にある可能性があるという第4の条件と
がすべて同時に成立した場合に、前記いずれかの駐車場20を、ユーザが車両に乗車して入場した駐車場として特定する。
F.高頻度加減速状態判定工程
前述の高頻度旋回状態判定工程に代わるか、またはこれに加えて、高頻度加減速状態判定工程を実行してもよい。
この高頻度加減速状態判定工程は、入庫ステージにおいて、加速度センサ154を用いることにより、携帯端末90の加速度を検出し、その検出された加速度の波形のうちの低周波成分の変化頻度に基づき、車両AMが通常の路上を走行している場合に想定される頻度より高い頻度で車両AMが加減速(発進(速度0からの加速)、停止(速度0への減速)、加速、減速など)を行う高頻度加減速状態にある可能性があるか否かを判定する。
前述の、図1に示す駐車場20を例にとって説明したシナリオと同じシナリオにおいては、ユーザは、図示しないアクセルペダルおよびブレーキペダルを踏込み操作して、
1)入出庫口24の手前での減速、
2)入出庫口24への進入直後の加速、
3)前記駐車車室の手前での減速、
4)前記駐車車室への進入直後の加速、および
5)前記駐車車室に車両を停車させるための減速
というように5回、車両の走行状態を減速と加速とに切り換えることが必要となる。これと同じ距離だけ車両が路上を走行する際に、一般的に、ユーザが減速と加速とに切り換える回数は、それより少ない。
図34には、車両が加速して減速する場合に取得される加速度波形の一例が示されている。その加速度波形は、前述のように、低周波成分と高周波成分とを有する。
前述のように、高周波成分は、図19(a)および図21(a)に示されており、これは、ユーザが歩行しているのか車両に乗車しているのかによって変動する成分である。
具体的には、図19(a)は、ユーザの歩行中にユーザの足が路面に接地する際に、ユーザの身体に装着されて一体的に動く携帯端末90が、ユーザの足および身体の他の部分を媒介として路面から受ける衝撃波を反映する。一方、図21(a)は、ユーザの走行(車両乗車)中に車両のタイヤが路面の凹凸を転動する際に、車両内の座席に着座しているユーザの身体に装着されて一体的に動く携帯端末90が、前記足および身体より高い衝撃吸収性を有する車両の部品であってタイヤ、懸架装置および座席を経由して路面から受ける衝撃波を反映する。
これに対し、低周波成分は、ユーザまたは車両の実質的な加速度を示す。よって、高頻度加減速状態においては、低周波成分が、注目すべき主要な成分として取り使われ、これは、車両の加速度の時間プロファイル(時刻歴)を示す。
このような知見に基づき、前記高頻度加減速状態判定工程は、加速度センサ154を用いることにより、携帯端末90の加速度を検出し、その検出された加速度の波形のうちの低周波成分の変化頻度mがしきい値m0より高いか否かを判定することにより、車両が高頻度加減速状態にある可能性があるか否かを判定する。
具体的には、前記高頻度加減速状態判定工程は、例えば、加速度の観測時間Δt(単位:秒)(例えば、20秒、30秒、40秒)当たりに、加速度の符号が正から負に、および、負から正にそれぞれ変化した回数mがしきい値m0(例えば、4回、6回、8回、それら数値の中間の値など)を超えたか否かを判定することにより、車両が高頻度加減速状態にある可能性があるか否かを判定する。
これに代えて、回数mを観測時間Δtで割り算した比率m/Δtが、所定値(例えば、0.2,0.3,0.4,0.5、それら数値の中間の値など)を超えた場合に、車両が高頻度加減速状態にある可能性があると判定してもよい。
1.入庫時入場駐車場特定モジュール
ここで、図29に戻り、入庫時入場駐車場特定モジュールを説明すると、図12に示すステップS1202(GPS測位部または基地局測位部である測位部230により、携帯端末90の現在位置CPを測定する)の実行後、ステップS2901において、ステップS1202の前回実行時に測位された現在位置CP1は、すべての駐車場20に対応するすべての空間領域SPの外にあったが、ステップS1202の直前実行時に測位された現在位置CP2は、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SP内にあるか否かが判定される。
すなわち、ユーザが、すべての駐車場20に対応するすべての空間領域SPの外から、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SP内に移動したか否か、すなわち、いずれかの空間領域SP内に進入した直後であるか否かが判定されるのである。
ここに、各駐車場20に対応する空間領域SPは、その駐車場20に対応する基準座標点RP(駐車場20の識別コードの関数)と、その駐車場20に割り当てられた半径r(駐車場20の識別コードの関数)とによって互いに共同して定義され、それにより、絶対空間上に1つの空間領域SPが定義される。駐車場20に関連付けて、基準座標点RPと半径rとの組合せが、空間領域記述データとして、携帯端末90のメモリ132に記憶されている。
その空間領域記述データは、予め、すべての駐車場20についてか、または、すべての駐車場20のうち、携帯端末90の現在位置の近傍に位置するもの(例えば、現在位置から所定距離の範囲内にあるもの)のみについて、管理サーバ50からダウンロードされる。
ここに、現在位置が各駐車場20に対応する空間領域SP内にあるか否かの判定は、例えば、現在位置と各駐車場20の基準座標点との距離Dを計算し、その距離Dが、各駐車場20に対応する半径r以下であれば、現在位置が空間領域SP内にあると判定し、その距離Dが、各駐車場20に対応する半径rより長ければ、現在位置が空間領域SP外にあると判定することによって行うことが可能である。
その判定がNOであれば、ステップS1202に戻るが、YESであれば、ステップS2902において、該当する空間領域SPに対応する1つの駐車場20が、ユーザが、入庫ステージにおいて入場した駐車場20の候補として選択される。
続いて、ステップS2905において、近接センサ158を用いることにより、前記距離dが検出される。続いて、ステップS2906において、その距離dが前記しきい値d0より短く、かつ、距離dの時間プロファイルが時間経過につれて定常的であるか否かが判定される。
このステップS2906の判定がNOであれば、携帯端末90がユーザによって携帯されている可能性があると判定されて、ステップS2907において、ユーザへの警告のためのメッセージが画像または音声で携帯端末90から出力される。その警告は、ユーザに、携帯端末90を車内の指定位置、例えば、ダッシュボード180に載置することを催促するために行われる。その後、ステップS1202に戻る。
これに対し、ステップS2906の判定がYESであれば、ステップS2908において、携帯端末90がユーザによって携帯されておらず、車内の指定位置に固定的に載置されている可能性があると判定される。すなわち、室内載置状態にあると判定されるのである。この場合に、前述の高頻度旋回状態判定工程の実行が許可されて開始される。
具体的には、ステップS2909において、ジャイロセンサ156を用いることにより、携帯端末90の角速度、すなわち、今回は、車両の角速度(ヨーレート)が検出される。
続いて、ステップS2910において、過去一定時間にわたる角速度検出値の波形から、角速度の向き(正負)の変化頻度(一定時間当たりにユーザが車両のステアリングホイールSWを切り返した回数、角速度波形の周波数など)nが計算される。例えば、その変化頻度nは、過去5、10または20秒間内にユーザが車両のステアリングホイールSWを切り返した回数である。
その後、ステップS2911において、その変化頻度nが前記しきい値n0より高いか否かが判定される。そのしきい値n0は、例えば、2,4,6である。
変化頻度nが前記しきい値n0以下である場合には、ステップS2911の判定がNOとなり、今回は、車両が通常の路上を走行している可能性が高いと判定されて、その後、ステップS1202に戻る。
これに対し、変化頻度nが前記しきい値n0より高い場合には、ステップS2911の判定がYESとなり、ステップS2912において、車両が高頻度旋回状態にある可能性があると判定される。
続いて、ステップS2913において、ユーザが実際に、乗車して前記候補駐車場に入場したと判定される。その後、ステップS2914において、その候補駐車場が、ユーザが現在居る駐車場20、すなわち、ユーザが入庫ステージにおいて入場した駐車場として特定される。続いて、図12のステップS1204に移行する。
その後、携帯端末90は、ステップS1208において、ユーザIDと、駐車場IDと、車両情報と、今回のユーザが、入庫ステージにおいて、乗車して今回の駐車場20に入場したことを表す乗車入場データを管理サーバ50に送信する。これに対し、管理サーバ50は、ステップS1252において、それら情報を携帯端末90から受信する。
2.出庫時入場駐車場特定モジュール
図30には、図16に示す出庫処理プログラムのうちのステップS1602を置換すべき変形例が、出庫ステージにおいてユーザが歩行して入場した駐車場を特定する出庫時入場駐車場特定モジュールとしてフローチャートで表されている。
この出庫時入場駐車場特定モジュールを説明すると、図16に示すステップS1601の実行後、ステップS3001において、上述のステップS2901と同様にして、ユーザが、すべての駐車場20に対応するすべての空間領域SPの外から、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SP内に移動したか否かが判定される。
その判定がNOであれば、ステップS1601に戻るが、YESであれば、ステップS3002において、該当する空間領域SPに対応する1つの駐車場20が、ユーザが、出庫ステージにおいて入場した駐車場20の候補として選択される。
続いて、ステップS3003において、上述のステップS2903と同様にして、加速度センサ154を用いることにより、前記加速度の波形が取得され、さらに、その加速度波形から高周波成分が抽出され、さらに、その高周波成分からそれの周波数Fが計算される。
その後、ステップS3004において、その計算された周波数Fが前記しきい値F0より高いか否かが判定される。
周波数Fがしきい値F0より低い場合には、ステップS3004の判定がNOとなり、乗車状態と判定されてステップS1601に戻るが、周波数Fがしきい値F0以上である場合には、ステップS3004の判定がYESとなり、ステップS3005において、歩行状態と判定される。
続いて、ステップS3006において、ユーザが実際に、前記候補駐車場に歩行して入場したと判定される。その後、ステップS3007において、その候補駐車場が、ユーザが現在居る駐車場20、すなわち、ユーザが出庫ステージにおいて入場した駐車場として特定される。続いて、図16のステップS1603に移行する。
3.出庫時退場駐車場特定モジュール
図31には、図16および図17に跨って示す出庫処理プログラムのうち、図16のS1615−S1618(第1置換部分)を置換すべき第1の変形例と、図16のS1621(第2置換部分)を置換すべき第2の変形例とが、出庫ステージにおいてユーザが乗車して退場した駐車場を特定する出庫時退場駐車場特定モジュールとしてフローチャートで表されている。
を含む駐車場管理方法。
第1の変形例については、図16のステップS1613の判定がNOであると、この出庫時退場駐車場特定モジュールの実行が開始され、また、第2の変形例については、図16のステップS1610の判定がNOであると、この出庫時退場駐車場特定モジュールの実行が開始される。
いずれの変形例についても、この出庫時退場駐車場特定モジュールの実行が開始されると、まず、ステップS3101において、GPS測位部または基地局測位部である測位部230により、携帯端末90の現在位置CPが測定される。次に、ステップS3102において、ステップS3101の前回実行時に測位された現在位置CP1は、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SP内にあったが、ステップS3102の直前実行時に測位された現在位置CP2は、そのいずれかの空間領域SPの外にあるか否かが判定される。
すなわち、ユーザが、いずれかの駐車場20に対応するいずれかの空間領域SPの内からその空間領域SPの外に移動したか否か、すなわち、いずれかの空間領域SPから退出した直後であるか否かが判定されるのである。
このステップS3102の判定がNOであれば、第1の変形例については、ステップS1613に移行し、第2の変形例については、ステップS1609に移行する。
これに対し、ステップS3102の判定がYESであれば、ステップS2902において、直前まで現在位置が該当した空間領域SPに対応する1つの駐車場20が、ユーザが、出庫ステージにおいて退場した駐車場20の候補として選択される。
続いて、ステップS3104において、加速度センサ154を用いることにより、前記加速度の波形が、図34に例示するように、過去一定時間(分析窓)にわたり、取得される。さらに、その加速度波形のうち、デジタルハイパスフィルタにより、高周波成分が抽出される。さらに、その高周波成分から、それの周波数F(例えば、図20(a)および図22(a)に示す大振幅周波数成分の周波数F1またはF2)が計算される。
その後、ステップS3105において、その計算された周波数Fがしきい値F0(前記第2しきい値F0と等価である)より低いか否かが判定される。
周波数Fがしきい値F0以上である場合には、ステップS3105の判定がNOとなり、歩行状態と判定されて、ステップS1613,S1609およびS1628のうち該当するものに移行するが、周波数Fがしきい値F0より低い場合には、ステップS3105の判定がYESとなり、ステップS3106において、乗車状態と判定される。
続いて、ステップS3107において、ユーザが実際に、乗車して前記候補駐車場から退場したと判定される。その後、ステップS3108において、その候補駐車場が、ユーザが出庫ステージにおいて乗車して退場した駐車場として特定される。続いて、第1の変形例については、ステップS1619に移行し、第2の変形例については、ステップS1622に移行する。
その後、第1の変形例については、携帯端末90が、ステップS1619において、さらに、ユーザが、出庫ステージにおいて、出庫操作を伴って、乗車して今回の候補駐車場から退場したことを表す出庫操作付き乗車退場データ(出庫操作があったことを表す出庫操作判別データと、乗車して退場したことを表す乗車退場判別データとの組合せに相当する)を管理サーバ50に送信する。これに対し、管理サーバ50は、ステップS1656において、その出庫操作付き乗車退場データを携帯端末90から受信する。管理サーバ50は、さらに、現在時刻を出庫時刻とし、前記駐車場別ステータス管理テーブルを、その出庫時刻を反映し、さらに、出庫済フラグがONとなるように、更新する。
また、第2の変形例については、携帯端末90が、ステップS1623において、さらに、ユーザが、出庫ステージにおいて、出庫操作を伴うことなく、乗車して今回の候補駐車場から退場したことを表す出庫操作欠如乗車退場データ(出庫操作がないことを表す出庫操作判別データと、乗車して退場したことを表す乗車退場判別データとの組合せに相当する)を管理サーバ50に送信する。これに対し、管理サーバ50は、その出庫操作欠如乗車退場データを携帯端末90から受信する。管理サーバ50は、さらに、前記駐車場別ステータス管理テーブルを、再入庫フラグがONとなるように、更新する。
第1および第2の実施形態と本実施形態との対比
第1および第2の実施形態によれば、入庫ステージにおいては、ユーザの位置情報は参照されるがユーザの行動情報も車両の挙動情報も参照されずに入庫処理が行われるのに対し、出庫ステージにおいては、ユーザの位置情報およびユーザの行動情報(歩行中か乗車中か)は参照されるが車両の挙動情報は参照されずに出庫処理が行われる。
その結果、それら第1および第2の実施形態によれば、入庫ステージにおいては、ユーザが歩行していずれかの駐車場20に入場したのか乗車して入場したのかを区別することはできない(そもそも、入庫ステージにおいては、ユーザが歩行していずれかの駐車場20に入場するというシナリオを通常では想定できない)が、出庫ステージにおいては、ユーザが歩行して利用駐車場20を退場したのか乗車して退場したのかを区別することができる。
しかし、出庫ステージにおいても、ユーザが歩行して利用駐車場20を退場したのか乗車して退場したのかを区別することが不要であれば(例えば、有効駐車時間内での再入庫を許可しない場合)、入庫ステージのみならず出庫ステージにおいても、ユーザの行動情報を参照することが不要となる。
これに対し、本実施形態によれば、第1および第2の実施形態とは異なり、入庫ステージにおいては、ユーザの位置情報および車両の挙動情報(例えば、高頻度旋回、高頻度加減速)は参照されるがユーザの行動情報は参照されずに入庫処理が行われる。
したがって、本実施形態によれば、第1および第2の実施形態とは異なり、車両の挙動情報も参照されるため、第1および第2の実施形態より、駐車場20に設置された設備に依存しないにもかかわらず、ユーザが利用中の駐車場を特定する技術に関し、システム10の信頼性が向上する。
また、本実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様に、出庫ステージにおいては、ユーザの位置情報および行動情報は参照されるが車両の挙動情報は参照されずに出庫処理が行われるため、ユーザが歩行して利用駐車場20を退場したのか乗車して利用駐車場20を退場したのかを区別することが可能となる。
ただし、入庫処理および/または出庫処理においてユーザの行動情報を参照して本発明を実施することは不可欠ではない。なぜなら、ユーザに対し、駐車場20を利用するために、自身の携帯端末90を車両内の所定位置に載置するという条件を課される場合には、前述の入庫処理および/または出庫処理が、携帯端末90を車両内に存在する状態で実行されることになるため、それらの処理がユーザの行動情報を必要としないからである。
なお、入庫ステージおよび/または出庫ステージにおいて、少なくともユーザの位置情報および車両の挙動情報(例えば、高頻度旋回、高頻度加減速)を参照して入庫処理および/または出庫処理を行う技術思想は、任意の駐車場20、その運営形態の如何を問わず、適用することが可能であり、例えば、前払い時間貸し方式に適用しても後払い時間貸し方式に適用してもよい。
[第4の実施形態]
次に、本発明の例示的な第4の実施形態に従う駐車場管理システム10および駐車場管理方法を説明する。ただし、第1ないし第3の実施形態と共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
図35は、このシステム10における駐車場別ステータス管理テーブル作成・更新部および空室判定部の作動原理を説明するために、ある駐車場20において、ユーザごとに、各車室22のステータス(占有状態、稼働状態)が時間と共に遷移する様子を例示するタイムチャートである。図36は、このシステム10における管理テーブル作成・更新部を実施するための管理テーブル作成・更新モジュールを概念的に表すフローチャートである。
本実施形態に従うシステム10は、第1ないし第3の実施形態と同様に、前払い時間貸し式の駐車場20を管理するように設計される。
具体的には、まず、入庫ステージにおいて、図36の上部に示すように、まず、ステップS3601において、ユーザが、ユーザIDを携帯端末90に入力する。次に、ステップS3602において、携帯端末90が、入庫する駐車場(入庫のためにユーザが車両に乗車している状態で入場した駐車場)20の選択、すなわち、例えば、図29に示すアルゴリズムに従って、ユーザの位置情報および車両の挙動情報を参照して、入庫した駐車場20を特定する。
続いて、ステップS3603において、ユーザが携帯端末90上で入庫ボタンを操作することにより、今回の駐車場20への入庫を最終的に管理サーバ50に対して意思表示する。その後、ステップS3604において、ユーザが、前記有効駐車時間を携帯端末90に入力する。
続いて、ステップS3605において、携帯端末90が、上述の情報、すなわち、ユーザIDと、入庫した駐車場20を表す駐車場ID(前述の「入庫駐車場識別データ」の一例である)と、有効駐車時間と、ユーザによる入庫操作が行われたことを表す入庫操作データとを管理サーバ50に送信する(前述の「第1の送信工程」の一例である)。
その後、ステップS3606において、ユーザが、携帯端末90を介して、前記有効駐車時間の長さに見合う額の前払い駐車料金を支払う。続いて、ステップS3607において、ユーザは、今回の駐車場20に車両を駐車したまま、その車両から降車し、その後、その駐車場20内を歩行して入出庫口24から退場する。
第1ないし第3の実施形態においては、入庫ステージにおいて、携帯端末90も管理サーバ50も、ユーザが歩行して駐車場20から退場したか否かを判定するアルゴリズムを有しないが、図31に示すステップS3101−S3105により表されるアルゴリズムと同様なものを実行し、それにより、ユーザが歩行して駐車場20から退場したか否かを自動的に判定してもよい。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS3651において、前記ステップS3605において携帯端末90から送信された各種情報を受信する。続いて、ステップS3652において、第1ないし第3の実施形態と同様にして、図26に示すような駐車場別ステータス管理テーブル(以下、単に「管理テーブル」という。)を作成する(前述の「管理テーブル作成・更新工程」の一例である)。
その後、ステップS3653において、管理サーバ50が、前記管理テーブルにつき、各種フラグの状態を初期設定する。各種フラグの状態を初期設定するのは、今回は、入庫ステージにあるからである。具体的には、入庫済フラグはONに初期設定するが、再入庫許可フラグ、仮出庫フラグ、出庫済フラグ、正規出庫フラグおよびみなし出庫フラグはいずれもOFFに初期設定する。
次に、出庫ステージにおいて、図36の下部に示すように、まず、ステップS3611において、ユーザが、ユーザIDを携帯端末90に入力する。次に、ステップS3612において、携帯端末90が、出庫しようとしている駐車場(出庫のためにユーザが歩行状態で入場した駐車場)20の選択、すなわち、例えば、図30に示すアルゴリズムに従って、ユーザの位置情報および行動情報を参照して、出庫しようとしている駐車場20を特定する。
続いて、ステップS3613において、携帯端末90が、現在の駐車場20の駐車場IDが、入庫駐車場20の駐車場IDであって前記管理テーブルにユーザに関連付けて保存されているものと一致するか否かを判定する。
一致する場合には、ステップS3614において、携帯端末90が、ユーザが携帯端末90上で出庫ボタンを操作したか否か、すなわち、意思表示としての出庫操作を行ったか否かを表す出庫操作判別データを作成する。
続いて、出庫操作の有無を問わず、ステップS3615において、携帯端末90が、図31に示すステップS3101およびS3102により表されるアルゴリズムと同様なものに従い、携帯端末90が今回の駐車場20から退場したか否かを判定する。
退場したと判定された場合には、ステップS3616において、携帯端末90が、図31に示すステップS3104−S3106により表されるアルゴリズムと同様なものに従い、ユーザが車両に乗車している乗車状態にあるか否かを判定する。
その後、ステップS3617において、携帯端末90が、ステップS3615およびS3616のそれぞれの判定結果を踏まえ、ユーザが乗車状態で今回の駐車場20から退場したか否かを表す乗車退場判別データを作成し、その乗車退場判別データを前記出庫操作判別データと共に、ユーザに関連付けて管理サーバ50に送信する(前述の「第2の送信工程」の一例である)。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS3671において、携帯端末90から乗車退場判別データと出庫操作判別データとをユーザに関連付けて受信する。続いて、ステップS3672において、管理サーバ50が、前記管理テーブルにおける有効駐車時間(例えば、予定出庫時刻)が時計172によって計測される現在時刻の時点で満了しているか否か、すなわち、時間オーバーであるか否かを判定する。
時間オーバーであると判定された場合には、ステップS3673において、管理サーバ50が、各種フラグの状態を更新することにより、前記管理テーブルを更新する(前述の「管理テーブル作成・更新工程」の一例である)。
具体的には、管理サーバ50は、前記受信した乗車退場判別データが、ユーザの前記乗車状態での退場を表し、かつ、前記受信した出庫操作判別データが、前記出庫操作を伴わないことを表し、かつ、それらデータの受信時刻の時点において前記有効駐車時間が満了していなかった場合には、仮出庫が行われたと判定し、仮出庫フラグの状態をOFFからONに切り換え、さらに、同じユーザが同じ駐車場に再入庫する権限をユーザに与えることを表す再入庫許可フラグの状態をOFFからONに切り換える。
さらに、管理サーバ50は、前記受信した乗車退場判別データが、ユーザの前記乗車状態での退場を表し、かつ、前記受信した出庫操作判別データが、前記出庫操作を伴うことを表し、かつ、それらデータの受信時刻の時点において前記有効駐車時間が満了していなかった場合には、正規出庫が成立したと判定し、正規出庫フラグの状態をOFFからONに切り換え、さらに、出庫済フラグの状態をOFFからONに切り換える。
さらに、管理サーバ50は、前記仮出庫と判定された後、前記受信時刻の時点において前記有効駐車時間が満了したか否かを判定し、満了した場合には、みなし出庫が成立したと判定し、みなし出庫フラグの状態をOFFからONに切り換え、さらに、この場合にも、前記正規出庫が成立する場合と同様に、出庫済フラグの状態をOFFからONに切り換える。
さらに、管理サーバ50は、前記再入庫許可フラグがONである状態で、前記受信時刻の時点において前記有効駐車時間が満了したか否かを判定し、満了した場合には、再入庫の権限を消滅させるべく、前記再入庫許可フラグの状態をONからOFFに切り換える。
なお、管理サーバ50は、メモリ162の容量節約などのため、各回の判定サイクルにおいて、正規出庫またはみなし出庫が成立すれば、対応するユーザに関する行動パターンを前記管理テーブルから削除してもよい。その場合には、図35に示す例においては、時刻t5においては、番号1のユーザに関するデータが前記管理テーブルに存在しないことになる。
ところで、第1ないし第3の実施形態においては、図7に示すように、管理サーバ50が空室判定部304を有する。この空室判定部304は、携帯端末90が搭載してもよいが、いずれにしても、各駐車場ごとに、入庫の確認件数および出庫の確認件数に基づき、駐車場20内の複数の車室に、使用されてない空室が存在するか否かを判定する。
具体的には、空室判定部304は、1回分の入庫が確認されるごとに、各駐車場20内の複数の車室のうち、使用されてない空室の数である空室数を1ずつ減算し、また、1回分の実際の出庫操作(正規出庫)またはみなし出庫が確認されるごとに、前記空室数を1ずつ加算する。
第1ないし第3の実施形態においては、携帯端末90が管理サーバ50のうちの空室判定部304から、各駐車場20ごとに、空室が存在するか否か、すなわち、現在、全く空室が存在しない満車状態(空室なし状態)であるか、現在、少なくとも1つの空室が存在する空車状態(空室あり状態)であるかを区別して表す満空状態データ(または、駐車場20内の車両の混雑度を表す混雑度データ、駐車場ステータスを表す駐車場ステータス・データ、駐車場稼働状態データ、駐車場満空状態データなどともいう。)を受信する。
ところで、第1ないし第3の実施形態においては、ユーザが、有効駐車時間が満了しないうちに、乗車して駐車場20から退場し、その際にユーザが出庫操作を行わなかった場合(仮出庫)には、そのユーザには、同じ駐車場20に再入庫する権限を、前記有効駐車時間が満了するまで、積極的にであるか事実上であるかを問わず、与えられる。
一方、第1ないし第3の実施形態においては、ユーザが、出庫ステージにおいて、乗車して(車両と共に)駐車場20から退場したのか、歩行して(車両は駐車場20に置いたまま)駐車場20から退場したのかを区別することができる。
ここに、ユーザが前記仮出庫を行った場合には、その後、前記有効駐車時間が満了しないうちに、ユーザが、前記再入庫する権限を行使して、実際に再入庫を行う可能性と、ユーザが、その権限を行使せず、実際には再入庫を行わず、前記有効駐車時間が満了すると、前記みなし出庫扱いとなる可能性との双方が存在する。
前者の可能性を後者の可能性より重視して、駐車場20について空室判定を控えめに(ユーザの利益重視で)行うと、結果的に、「仮出庫が行われても、そのユーザについては、車両が駐車場20に存在するものとみなして、空室判定が行われる」ため、実際には、その駐車場20に、別のユーザによって利用されない空室が無駄に発生してしまうおそれがある。
これに対し、後者の可能性を前者の可能性より重視して、駐車場20について空室判定を大胆に(駐車場管理者の利益重視で)行うと、結果的に、「仮出庫が行われると、そのユーザについては、再入庫が行われることはないものとみなして、空室判定が行われる」ため、実際には、その駐車場20に、同じユーザが再入庫しようとしても、空室が全く存在せず、再入庫できないおそれがある。
このような事情を背景として、本実施形態に従うシステム10は、将来における再入庫の予想発生件数を見込まずに、空車状態か満車状態かのいずれかを判定するという空室判定を行うとその判定結果が空車状態となるが、将来における再入庫の予想発生件数を見込んで前記空室判定を行うとその判定結果が満車状態となる場合には、最終的な判定結果を混雑状態に決定する。それにより、ユーザの利益と駐車場管理者の利益とをうまくバランスさせる。
ここで、このシステム10が空室判定を行う際にアルゴリズムを概略的に説明する。
このシステム10は、各駐車場20についての空室判定を、ユーザごとに、かつ、所定の時間インターバルΔtで反復的に行う。その空室判定を車室22ごとに行うのではなく、ユーザごとに行うのは、本実施形態においては、ユーザがいずれの車室22に駐車しているのかを管理することが不要となっているからである。
ここに、「時間インターバルΔt」は、通常、ある車両がある駐車場20に入庫してから出庫するまでにかかる最短駐車時間より短い長さを有するように、すなわち、1回分の時間インターバルΔt内においてある車両がある駐車場20に入庫して出庫してしまうことがないように設定され、例えば、1分とか、5分とか、10分とされる。
ただし、時間インターバルΔtは、短いほど、実際の駐車場20のステータスを正確に監視できるのに対し、管理サーバ50の処理負担が増加するというようにトレードオフの関係にあるため、監視精度と処理負担とがうまくバランスするように設定すべきである。
さらに、このシステム10は、各駐車場20についての空室判定を、各駐車場20の稼働状況を、3つの稼働状態、すなわち、各駐車場20に空いた車室22が存在しない満車状態と、空いた車室22が存在する空車状態と、実際に満車状態である可能性も空車状態である可能性もあることを示す混雑状態とのいずれかにあるかを判定するように行う。
具体的には、このシステム10は、各駐車場20についての空室判定を、ユーザごとに、所定の時間インターバルで反復的に、図26に例示する前記管理テーブルを参照して行う。
このシステム10は、各回の判定サイクルごとに、前記管理テーブルの最新の内容に従い、駐車場20に対するユーザの行動パターンの変化を観察する。
具体的には、このシステム10は、各回の判定サイクルにおいて、前記管理テーブルの内容に基づき、各駐車場20ごとに、
X1:各回の判定サイクル中に前記有効駐車時間が満了しないユーザの人数である有効駐車件数と、
X2:各回の判定サイクル中に、前記有効駐車時間が満了せず、かつ、ユーザの前記乗車状態での退場が前記出庫操作を伴って行われたために正規出庫が成立したユーザの人数である確定出庫件数と、
X3:各回の判定サイクル中に、前記有効駐車時間が満了せず、かつ、ユーザの前記乗車状態での退場が前記出庫操作を伴わずに行われたために仮出庫が成立し、同じユーザが同じ駐車場に再入庫する権限を与えられたユーザの人数である不確定出庫件数と
を計算する。
ここに、不確定出庫件数X3は、その後に実際に再入庫を行ったユーザの人数と一致しない可能性がある。一致する場合には、実在駐車件数Yの計算値は、
Y=X1−X2
となるが、一致しない場合には、実在駐車件数Yの計算値は、
Y=X1−(X2+X3)となる。
このように、実在駐車件数Yの計算値は、実際に再入庫を行ったユーザの人数によって変動する流動的なものである。
Ymin<=Y<=Ymax
このシステム10は、それら3つの計算値X1,X2およびX3と、各駐車場20の複数の車室22のうちユーザへの時間貸しのために割り当てられたものの総数(ユーザへの時間貸しが全く行われていない状態から、ユーザへの時間貸しが予定された車室22の総数)Zとの関係に基づき、所定の判定規則に従って、各回の判定サイクル直後の各駐車場20の稼働状況を、満車状態と空車状態と混雑状態とのいずれかにあるかを予想する。
ここに、「総数Z」は、各駐車場20に割り当てられる複数の車室22のすべての数nと等しい数として定義してもよく、また、それら車室22のうち、図1に例示するように、一部の車室22が、時間貸し用車室ではなく、例えば、月極契約者用車室である場合には、総数Zは、数nより少ない数として定義してもよい。
また、「所定の判定規則」は、潜在的な複数の判定規則から選択された1つの判定規則、または、複数の判定規則の組合せとして定義される。
ここに、「潜在的な複数の判定規則」は、不確定出庫件数X3すなわち将来における再入庫の発生を想定しない(再入庫を想定しない)判定規則と、想定する判定規則とに分類される。
まず、再入庫を想定しない判定規則の一例によれば、各時刻に各駐車場20を利用しているユーザの人数、すなわち、最大駐車件数Ymaxは、
Ymax=X1−(X2+X3)
という式で定義される。
そして、Ymax<Zという条件が成立すれば、駐車場20は空車状態にあると判定され、一方、Ymax=Zという条件が成立すれば、駐車場20は満車状態にあると判定される。
次に、再入庫を想定する判定規則の一例によれば、各時刻に各駐車場20を利用しているユーザの人数、すなわち、最小駐車件数Yminは、
Ymin=X1−X2
という式で定義される。
そして、Ymin<Zという条件が成立すれば、駐車場20は空車状態にあると判定され、一方、Ymin=Zという条件が成立すれば、駐車場20は満車状態にあると判定される。
「潜在的な判定規則」の一例は、各回の判定サイクルにおいて、最大駐車件数Y1から駐車場20の稼働状況を満車状態と空車状態とのいずれにあるかを判定するとその判定結果が満車状態となるが、最小駐車件数Y2から駐車場20の稼働状況を満車状態と空車状態とのいずれにあるかを判定するとその判定結果が空車状態となる場合には、最終的な判定結果を混雑状態に決定するというものである。
「潜在的な判定規則」の別の例は、各回の判定サイクルにおいて、前回の判定サイクルでの判定結果が満車状態または混雑状態であった場合、そのことを考慮せずに、かつ、最小駐車件数Y2から駐車場20の稼働状況を満車状態と空車状態とのいずれにあるかを判定するとその判定結果が空車状態となる場合には、最終的な判定結果を混雑状態に決定するというものである。
いずれにしても、このシステム10によれば、各駐車場20の稼働状態が、空車状態と満車状態とのいずれであるとは断定できず、実際には、空車状態と満車状態との間で変動する可能性がある場合には、駐車場20が、空車状態でも満車状態でもなく、混雑状態にあると判定される。
これにより、駐車場20が混雑状態にあることを知らされたユーザは、現場に到着したときに空室が見つからない可能性があることを覚悟しつつも空室が見つかるかもしれないと期待して駐車場20に行ってみたときに本当に空室が見つからなくてもそれほど不愉快さを感じずに済む。
図37は、このシステム10のうち、以上説明されたアルゴリズムに従って空室判定を行う空室判定部304を実施するために管理サーバ50のプロセッサ160によって実行される空室判定モジュールを概念的に表すフローチャートである。
この空室判定モジュールは、前記時間インターバルΔtが経過するごとに、異なる駐車場20について1回の判定サイクルを実行する。
この空室判定モジュールの各回の判定サイクルにおいては、まず、ステップS3701において、管理サーバ50によって管理される複数の駐車場20のうち、今回の実行対象である駐車場20が選択され、その選択された駐車場20に対応する前記管理テーブルがメモリ162から読み込まれる。
次に、ステップS3702において、前記管理テーブルのうち、予定出庫時刻(図35においては、実線または破線の右端位置)が現在時刻(例えば、t5)より将来にあるユーザの人数が有効駐車件数X1としてカウントされ、その値がメモリ162に駐車場20に関連付けて記憶される。
例えば、図35に示すシナリオにおいては、例えば、時刻t5において、有効駐車件数X1が、番号2−4、6および7が付された5人のユーザについての有効駐車時間をそれぞれ原因として、「5」とカウントされる。
続いて、ステップS3703において、前記管理テーブルのうち、今回の判定サイクル(時刻t5については、時刻t4と時刻t5との間)において正規出庫フラグがOFFからONに遷移したユーザの人数が確定出庫件数X2としてカウントされ、その値がメモリ162に駐車場20に関連付けて記憶される。
例えば、図35に示すシナリオにおいては、確定出庫件数X2が、例えば、時刻t4と時刻t5との間における番号4のユーザの正規出庫を原因として、「1」とカウントされる。
その後、ステップS3704において、前記管理テーブルのうち、仮出庫フラグがONであるユーザの人数が不確定出庫件数X3としてカウントされ、その値がメモリ162に駐車場20に関連付けて記憶される。
例えば、図35に示すシナリオにおいては、例えば、時刻t5において、不確定出庫件数X3が、番号6および7が付された二人のユーザについての仮出庫とをそれぞれ原因として、「2」とカウントされる。
なお、番号5が付されたユーザも、仮出庫の経験があるが、その後にみなし出庫扱いとされて、仮出庫フラグがOFFにされているため、不確定出庫件数X3に算入されない。
その後、ステップS3706において、前記カウントされた有効駐車件数X1および確定出庫件数X2を用いて最大駐車件数Ymaxが計算され、その値がメモリ162に駐車場20に関連付けて記憶される。
例えば、図35に示すシナリオにおいては、例えば、時刻t5において、最大駐車件数Ymaxが、4(=5−1)と計算される。
続いて、ステップS3707において、前記カウントされた有効駐車件数X1、確定出庫件数X2および不確定出庫件数X3を用いて最小駐車件数Yminが計算され、その値がメモリ162に駐車場20に関連付けて記憶される。
例えば、図35に示すシナリオにおいては、例えば、時刻t5において、最小駐車件数Yminが、2(=5−(1+2))と計算される。
その後、ステップS3708において、最大駐車件数Ymaxが総数Zより小さいか否かが判定される。最大駐車件数Ymaxが総数Zより小さい場合、すなわち、再入庫を想定した場合の実在駐車件数Yの計算値が総数Zより小さい(空車状態)と判定される場合には、ステップS3709において、駐車場20が空車状態であると判定される。
これに対し、最大駐車件数Ymaxが総数Z以上である場合、すなわち、再入庫を想定すると実在駐車件数Yの計算値が総数Zより小さい(空車状態)とは判定されない場合には、ステップS3710において、最小駐車件数Yminが総数Zより小さいか否かが判定される。
最小駐車件数Yminが総数Zより小さい場合、すなわち、再入庫を想定しないことによってはじめて実在駐車件数Yの計算値が総数Zより小さい(空車状態)と判定される場合には、ステップS3712において、駐車場20が混雑状態であると判定される。
これに対し、最小駐車件数Yminが総数Z以上である場合、すなわち、再入庫を想定してもしなくても実在駐車件数Yの計算値が総数Z以上である場合には、ステップS3711において、駐車場20が満車状態であると判定される。
なお、本実施形態においては、前記空室判定のために、ユーザの携帯端末90を用いる。しかし、携帯端末90は、常に車両と共に動くとは限らないため、携帯端末90の挙動が常に車両の挙動と一致するとは限らない。
そのため、本実施形態においては、少なくとも出庫ステージにおいて、携帯端末90に搭載されたセンサ機能を用いて、ユーザが駐車場20から退場した場合に乗車して退場した(車両と共に退場した)のか歩行して退場した(車両は駐車したままユーザが単独で退場した)のかを区別する。
よって、本実施形態によれば、前記空室判定を、駐車場20に専用設備を設置することなくユーザの携帯端末90を用いて行うことが可能となる。しかし、これは本発明を実施するために不可欠なことではない。
すなわち、前記空室判定は、例えば、駐車場20に車室22ごとに設置される車両存否センサ(例えば、近接センサ、反射光センサなど)や、駐車場20に車室22ごとに設置される車番カメラ(この場合、駐車場は、ユーザごとにではなく、車両ごとに管理されてもよい)、駐車場20の入出庫口24に設置される車両通過検知センサ(この場合、駐車場は、車室22ごとにではなく、ユーザごとに管理されてもよい)などの専用設備を用いて実施したり、特許文献3に記載の料金精算装置および出庫ゲート管理装置などの専用設備(この場合、駐車場は、ユーザごとに管理されてもよい)を用いて実施してもよいのである。
要するに、有効駐車時間内であれば再入庫可能である態様で前払い式駐車場を運営する状況であれば、その種類の如何を問わず、本発明を適用することが可能なのである。
すなわち、本実施形態においては、前述のように、ある駐車場20内の複数の車室22に個々に着目し、各車室22が空いているか否かを問題にするのではなく、各瞬間においてその駐車場20に実在する複数台の車両を使用する複数人のユーザに個々に着目し、それぞれのユーザの時系列的な行動パターンを復元できるデータ(各種フラグなど)を、駐車場別ステータス管理テーブル(図26)に、ユーザに関連付けるとともに、時刻や時間的順序に関連付けて記録するのである。
さらに、本実施形態においては、各瞬間において、その駐車場20に実在するユーザの人数を、その駐車場20における実在駐車件数として把握する。さらに、仮出庫後の再入庫の発生を見込んだ空室判定と、見込まない空室判定とを行い、それぞれの可能性について、未来においてその駐車場20に実在する駐車件数を予測する。
その予測値が、その駐車場20の有効駐車台数Zを超えなければ、空車状態にあると判定され、一致すれば、満車状態にあると判定される。さらに、仮出庫後の再入庫の発生を見込んだ空室判定と、見込まない空室判定との比較結果に応じ、判定結果を、空車状態から混雑状態に変更し、その判定結果を期待するユーザの期待を裏切らないようにする。
なお付言するに、上述のいくつかの実施形態は、本発明を、自動車を駐車対象とする駐車サービスに適用した場合のいくつかの具体例であるが、これに代えて、本発明は、例えば、自転車を駐車対象とする駐車サービスに適用したり、自動二輪車を駐車対象とする駐車サービスに適用することが可能である。
さらに付言するに、上述のいくつかの実施形態は、本発明を、ユーザの携帯端末90であってユーザによって携帯される場合と携帯されずに車内に載置される場合とがあるものを本発明における「ユーザ情報処理端末」として用いる通信環境に適用した場合のいくつかの具体例であるが、これに代えて、本発明は、例えば、ユーザの車両に搭載されたコンピュータであって通信機能と車両挙動情報取得機能とを有するものを本発明における「ユーザ情報処理端末」として用いる通信環境に適用することも可能である。
すなわち、本発明における「ユーザ情報処理端末」は、ユーザによって携帯されることを予定された種類の情報処理端末であっても車両に搭載される種類の情報処理端末であってもよいのである。
ただし、本発明を、そのような車載コンピュータを本発明における「ユーザ情報処理端末」として用いる通信環境に適用する場合には、その車載コンピュータは、常にユーザの車両と共に動くため、本発明を適用するに際し、本発明における「ユーザ情報処理端末」が、歩行しているユーザの身体と共に移動しているのかユーザの身体から離れて車両と共に移動しているのかを区別することも、ユーザによって携帯されているのか車内に載置されているのかを区別することも不要となる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。