以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1(a)および図2は、本発明の例示的な第1の実施形態に従う自転車レンタル・システム(以下、単に「システム」という。)10が示されている。このシステム10は、本発明に係るレンタル対象管理システムの一例であり、また、このシステム10においては、本発明に係るレンタル対象管理方法の一例である自転車レンタル方法が実施される。
図1(a)および図2に示すように、このシステム10は、各々、複数台の自転車12(「レンタル対象」の一例、「動産」の一例)を保管することが可能な複数のステーション20(図1(a)には、それらステーション20のうちの代表的なステーション20のみが図示されている)(「不動産」の一例)においてそれら自転車12の貸出および返却をユーザに対して行うサービスを提供するためのシステムである。各ステーション20は、対応する駐輪場22に割り当てられる。駐輪場22は、レンタル自転車保管用敷地であり、図示する例においては、平面視において矩形状を成している。
ステーション20の管理方式として、各ステーション20ごとに、そのステーション20に設置された設備のみを用いて自立的に(個別的にないしは自己完結的に)管理される自立管理方式と、複数のステーション20が遠隔的にある管理サーバと通信することによってそれらステーション20を集中的に管理する集中管理方式とが存在する。本実施形態に従うシステム10は、後者の集中管理方式を採用する。
その集中管理方式を実現するため、このシステム10は、複数のステーション20にそれぞれ設置される複数の第1発信機30と、複数の自転車12にそれぞれ装着される複数の第2発信機32と、複数のステーション20を集中的に管理する管理センタ40に設置される管理サーバ(センタ側ユニットの一例)50とを備えている。
ここに、第1発信機30は、設置位置に着目すると、ステーション側発信機と称され、また、運動特性に着目すると、固定発信機、静止発信機または位置不変の発信機と称される。同様にして、第2発信機32は、設置位置に着目すると、自転車側発信機または車載発信機と称され、また、運動特性に着目すると、可動発信機、移動発信機または位置可変の発信機と称される。
複数のステーション20はそれぞれ、固有のステーションIDを予め割り当てられている。同様に、複数の自転車12はそれぞれ、固有の自転車IDを予め割り当てられている。各ステーション20に設置された第1発信機30と管理サーバ50とは、直接的に通信されるのではなく、ユーザの携帯端末90を介して通信される。同様に、各自転車12に設置された第2発信機32と管理サーバ50とは、直接的に通信されるのではなく、ユーザの携帯端末90を介して通信される。
本実施形態においては、各第1発信機30が、対応するステーション20に固有のステーションIDを識別し得る局地的識別信号を発信するように構成される。また、各第2発信機32が、対応する自転車12に固有の自転車IDを識別し得る局地的識別信号を発信するように構成される。その結果、ステーションIDと自転車IDとの組合せにより、20において、そこに保管される複数台の自転車12に共通に使用される。
同じステーション20に保管される予定の自転車12の台数および種類は、予め決まっており、日ごとに変化しないものでもよいが、本実施形態においては、それらが予め決まっておらず、日毎に変化することが可能である。
そのため、前者の場合には、同じ自転車IDが常に同じステーションIDに対応することになるのに対し、本実施形態においては、同じ自転車IDが互いに異なる複数のステーションIDに対応することになる。具体的には、本実施形態においては、同じ自転車IDが、例えば、貸出時には、ステーションAのステーションIDに対応するが、返却時には、ステーションBのステーションIDに対応することになる。
図1(b)に示すように、各自転車12のうちの特定の部位には、対応する第2発信機32が装着されている。その特定の部位の一例は、各自転車12のうちの前部(例えば、かご部)、後部(例えば、荷台)、中央部(例えば、自転車12のうちのサドル62、自転車12のうち、サドル62を下方から支持する三角フレーム64)などである。
また、各自転車12のうち、第2発信機32が装着される部位は、その自転車12にユーザが乗車している状態で、そのユーザが携帯している携帯端末90が第2発信機32から発信された信号を障害物なしで受信できる可能性が高い部位(例えば、前記かご部、前記荷台など)であるように選択される。
図1(a)に示すように、このシステム10は、各ステーション20において、いずれも1つの駐輪場22に設置された固着物としての、上述の第1発信機30と、複数台の自転車12を保管するための自転車ラック(自転車収容装置)70とを備えている。その自転車ラック70は、自転車12を1台ずつ収容するための自転車ストール(小区画)72を複数備えている。一例においては、駐輪場22に設置されたフレーム74により、自転車ラック70が複数の自転車ストール72に仕切られている。ユーザへの貸出しに先立ち、各自転車12が各自転車ストール72に収容(保管)される。
図1(a)に示す例においては、1つのステーション20に1台の第1発信機30が設置されているが、例えば、図6(c)に例示するように、1つのステーション20に複数台の第1発信機30が設置されてもよい。
図2および図3に示すように、このシステム10においては、ユーザが、自身の携帯端末90を用いて、ユーザが現在滞在しているステーション20に設置されている第1発信機30からの識別信号と、その時点で今回のステーション20に保管されている複数の自転車12のうちユーザによって予約されたかまたは現地で選択されたものに設置されている第2発信機32からの識別信号とを、同時に、かつ、第1および第2発信機30、32との接触状態または非接触状態で受信する(近距離一方向無線通信を行う)。携帯端末90は、さらに、管理センタ40の管理サーバ50との間で遠距離双方向無線通信を行う。
ユーザの携帯端末90は、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。
<第1および第2発信機>
各ステーション20に設置される第1発信機30と、各自転車12に設置される第2発信機32とは、ハードウエア構成(図4参照)およびソフトウエア構成(図5参照)に関して互いに共通するため、説明の便宜上、それら第1および第2発信機30および32の構成を、それらを同じ発信機として扱って説明する。
各発信機30,32は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
各発信機30,32は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。各発信機30,32は、一例においては、原信号を変調することにより、対応するステーションIDを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
次に、機能ブロック図である図4を参照してハードウエア構成を説明するに、各発信機30,32は、プロセッサ100およびそのプロセッサ100によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ102を有するコンピュータ104を主体として構成されている。
各発信機30,32は、さらに、電源としての交換可能な使い捨て電池106を有している。電池106に代えて、充電可能な電池を採用したり、外部電源としての商用電源を採用することが可能である。
各発信機30,32は、さらに、自身に固有の正規発信機ID(「発信機コード」の一例)を表す識別信号を生成して発信する発信部108を有している。各第1発信機30は、固有の正規第1発信機IDを表す識別信号を発信するのに対し、各第2発信機32は、固有の正規第2発信機IDを表す識別信号を発信する。
発信部108は、電池106によって作動させられるとともに、コントローラ110によって制御される。そのコントローラ110は、コンピュータ100によって制御される。
次に、図5を参照して各発信機30,32のソフトウエア構成を説明するに、各発信機30,32のプロセッサ100は、図5にフローチャートで概念的に表されているプログラムを反復的に実行する。
各回のプログラムの実行時には、まず、ステップS1において、メモリ102から、各発信機30,32に対応する正規発信機ID(すなわち、第1発信機30に対応する正規第1発信機IDと、第2発信機32に対応する正規第2発信機IDのうち、今回説明しているプログラムに対応するもの)が読み込まれる。正規第1発信機IDは、1つのステーションIDに1対1に対応し、正規第2発信機IDは、1つの自転車IDに1対1に対応する。
次に、ステップS2において、電池106の残量が推定される。
続いて、ステップS3において、前記読み込まれた正規発信機IDと、前記推定された電池残量とが反映されるように、原信号(例えば、搬送信号)を変調するための信号がコントローラ110に対して出力される。そのコントローラ110は、発信部108を制御し、その結果、発信部108は、今回発信すべき識別信号を生成する。
その後、ステップS4において、その生成された識別信号が発信部108から発信される。続いて、ステップS1に戻る。
なお付言するに、各発信機30,32において、ステーションIDと自転車IDのうち該当するもの(該当ID)と電池残量とのうち少なくとも該当IDが反映されるように識別信号を生成するアルゴリズムまたは手順は、図5に示すアルゴリズムまたは手順とは異なるものを採用することが可能である。
<ユーザの携帯端末のハードウエア構成>
ここで、各発信機30,32に関連付けてユーザの携帯端末90の一機能を説明するに、その携帯端末90は、各発信機30,32から識別信号を受信している状態で、その携帯端末90のコンピュータに予めインストールされているあるプログラム、すなわち、発信機処理のための専用アプリケーション(以下、「発信機用アプリケーション」という。)を起動させる(ログイン)と、前記受信した識別信号を復調し、それにより、前記ステーションIDおよび自転車IDを解読する。
具体的には、携帯端末90は、第1発信機30から受信した識別信号からステーションIDを取得するとともに、第2発信機32から受信した識別信号から自転車IDを取得する。
携帯端末90は、さらに、その解読されたステーションIDおよび自転車IDを管理サーバ50に送信する。
さらに、携帯端末90は、各発信機30,32から識別信号を受信している状態で、前記発信機用アプリケーションを起動させると、前記受信した識別信号に基づき、その識別信号を発信したときの各発信機30,32の位置と、その識別信号を受信したときの携帯端末90の位置との間の距離を測定することも行う。
すなわち、携帯端末90は、各発信機30,32から受信した識別信号に基づき、第1発信機30が実際に設置されているステーション20に固有のステーションIDと、ユーザによって選択された自転車12であって第2発信機32が設置されているものに固有の自転車IDと、そのときの各発信機30,32との距離との双方を獲得するようになっているのである。
<各発信機の受信レンジの設定>
図6(a)に概念的に平面図で示すように、各発信機30,32には、2種類の受信エリアが割り当てられる。それらは、受信可能エリア(図示しない)と有効受信エリア(以下、「受信レンジ」ともいう。)である。
それらエリアは、いずれも、各発信機30,32を発信源とする円で概して定義される。受信可能エリアは、最大受信半径(例えば、約50m)を有するのに対し、有効受信エリアは、有効受信半径(例えば、0mの半径から、約50m以下の半径までの範囲)を有する。最大受信半径は不変値であるのに対し、有効受信半径は、後述のように、携帯端末90によって随時変更可能な可変値である。
受信可能エリアは、各発信機30,32の電力供給が正常である場合に、各発信機30,32からの識別信号が到達可能なエリア、すなわち、そのエリア内に存在する限り、携帯端末90がその識別信号を受信可能なエリアを意味する。
これに対し、有効受信エリアは、受信可能エリアの最大受信半径より小さい有効受信半径を有している。最大受信半径は、任意に設定することが不可能であるのに対し、有効受信半径は、携帯端末90によって任意に設定することが可能である。
すなわち、最大受信半径は、ハードウエアによって決まる受信限度を意味するのに対し、有効受信半径は、ソフトウエアによって決まる受信限度を意味するということが可能なのである。
前述のように、携帯端末90は、それが受信した識別信号を発信したときの各発信機30,32との距離を測定する。その距離測定値は、有効受信半径を超えることもあれば、超えないこともある。そして、その距離測定値が受信有効半径を超えないときは、携帯端末90が有効受信エリア内に存在するときであるのに対し、その距離測定値が受信有効半径を超えるときは、携帯端末90が受信可能エリア内には存在するが有効受信エリア内には存在しないときである。
携帯端末90は、前記発信機処理用アプリケーションを起動させることにより、前記距離測定値が有効受信半径の設定値以下であるか否かを判定し、その設定値以下であると判定すると、携帯端末90が現在、有効受信エリア(受信レンジ)内に位置するから、携帯端末90は、「各発信機30,32からの識別信号を有効に受信した(以下、単に「識別信号を受信した」ともいう。)」と判定する。
これに対し、携帯端末90は、前記距離測定値が前記設定値より大きいと判定すると、携帯端末90が現在、各発信機30,32の有効受信エリア外に位置するから、携帯端末90は、「各発信機30,32からの識別信号を有効に受信していない(以下、単に「識別信号を受信していない」ともいう。)」と判定する。
すなわち、本実施形態においては、携帯端末90が有効受信エリア外に位置する場合には、実際には、携帯端末90が識別信号を受信しているにもかかわらず、みかけ上、携帯端末90は識別信号を受信していないこととしてソフトウエア上で取り扱われることになるのである。
ここで、第1発信機30および第2発信機32間の有効受信エリアの幾何学的な関係を説明する。
本実施形態においては、図6(a)に示すように、1つのステーション20に1台の第1発信機30が設置されており、その第1発信機30の第1有効受信エリア(第1受信レンジ)は、対応する自転車12がステーション20の敷地内(境界線の内側)に存在する限り、第2発信機32の第2有効受信エリア(第2受信レンジ)の内側に配置されるように、第1有効受信エリアの第1受信半径と第2有効受信エリアの第2受信半径とが相対的に設定されている。
具体的には、第2受信半径が第1受信半径より短くなるように設定されており、その結果、第2有効受信エリアがショートレンジまたはミディアムレンジ、第1有効受信エリアがロングレンジとなる。
ここで、それら3つの受信レンジの具体例を説明する。
1)ショートレンジ
ユーザが携帯端末90を発信機のうちの送信部に接触させるかまたは非接触状態でかざさないと、携帯端末90が発信機を有効に受信できない受信レンジ(前記設定値が、例えば、約0cmから約30cmの範囲内)
2)ミディアムレンジ
ユーザが自転車12に乗車しているかまたは自転車12を押して移動させている限り、ユーザが携帯端末90を発信機のうちの送信部に接触させることもかざす(非接触・接近状態にする)こともなく、携帯端末90が発信機を有効に受信できる受信レンジ(前記設定値が、例えば、約0mから約2mの範囲内)
3)ロングレンジ
ユーザがステーション20内のいずれかの位置に存在する限り、ユーザが携帯端末90を発信機のうちの送信部に接触させることもかざすこともなく、携帯端末90が発信機を有効に受信できる受信レンジ(前記設定値が、例えば、約0mから約10mの範囲内)
図6(a)に示す例においては、第1有効受信エリアが、平面視において、ステーション20の全域をもれなくカバーし、部分的に、そのステーション20の境界線から逸脱した領域を有するように設定されている。これに代えて、別の例においては、図6(b)に示すように、第1有効受信エリアが、平面視において、ステーション20の境界線から逸脱した領域を有しないように設定されてもよい。
図6(a)および(b)にそれぞれ示す2つの例においては、1つのステーション20に1台の第1発信機30が設置されているが、これに代えて、図6(c)に例示するように、1つのステーション20に複数台の第1発信機30が設置される態様で本発明を実施することも可能である。
ところで、本実施形態においては、ステーション20の敷地が矩形状を成している。これに対し、第1有効受信エリアは、3次元的には、球形であり、また、2次元的には、円形である。そのため、ステーション20に1つの第1有効受信エリアを割り当てたのでは、図6(b)に示すように、ステーション20の敷地の境界線と、第1有効受信エリアの境界線との間に隙間(受信もれ領域)が残存してしまう。
これに対し、さらに別の例においては、図6(c)に示すように、ステーション20に複数の第1有効受信エリアを割り当てれば、それら有効受信エリアが合体したものがみかけ上の有効受信エリアとなり、このエリアの境界線と、ステーション20の境界線との間の隙間が減少する。その結果、携帯端末90を携帯しているユーザがステーション20内に存在するにもかかわらず携帯端末90が第1発信機30からの信号を有効に受信できないといういわゆる受信もれが防止される。
図6(c)に示す例においては、複数の第2発信機30が、互いに異なる発信機IDが割り当てられる一方で、互いに共通のステーションIDが割り当てられる。したがって、携帯端末90が、それら第1発信機30のうちの少なくとも1つから前記信号を受信すると、その受信した信号によって表される発信機IDが、対応するステーションIDに対応付けられ(変換され)、その結果、携帯端末90が今回のステーション20を識別することが可能となる。ここに、携帯端末90が今回のステーション20を識別(認識)することは、携帯端末90を携帯しているユーザがステーション20内に存在することが携帯端末90と発信機30との協働によって検知されたことと等価である。
<ユーザの携帯端末のソフトウエア構成>
次に、機能ブロック図である図7を参照してユーザの携帯端末90のハードウエア構成を説明するに、携帯端末90は、プロセッサ130およびそのプロセッサ130によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ132を有するコンピュータ134を主体として構成されている。
この携帯端末90は、さらに、情報を、例えば図15において符号「135」で示す画面(面積が有限で可変または不変であるウィンドウを有する)上に表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)136と、第1発信機30,第2発信機32および管理サーバ50からの信号を受信する受信部138と、信号を生成してその信号を管理サーバ50に送信する送信部140とを有する。
この携帯端末90は、さらに、ユーザからデータやコマンドを入力するための入力部150を有する。その入力部150は、例えば、所望の情報(例えば、コマンド、データなど)を携帯端末90に入力するためにユーザによって操作可能な操作部を有する。その操作部としては、ユーザによって操作可能なアイコン(例えば、仮想的なボタン)を表示するタッチスクリーン、ユーザによって操作可能な物理的な操作部(例えば、キーボード、キーパッド、ボタンなど)、音声を感知するマイクなどがあるが、これらに限定されない。
この携帯端末90は、さらに、GPS(衛星測位システム)受信機152を有する。GPS受信機152は、よく知られているように、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信し、それらGPS信号に基づき、GPS受信機152の地球上における位置(緯度、経度および高度)を三角測量によって測定する。すなわち、この携帯端末90は、衛星を利用する測位機能を有するのである。
図7に示すように、メモリ132は、地図データメモリ161、ステーション・データメモリ163、自転車データメモリ165および予約状況テーブル・メモリ167を含む複数のデータメモリを有する。
地図データメモリ161には、ユーザの現在位置に応じて、ユーザの携帯端末90が管理サーバ50または別の地図データベース(図示しない)からダウンロードした地図データが一時的に記憶される。その地図データに基づき、表示部136の画面135(図15参照)上に地図(「部分地図」の一例)が表示される。その画面135上に表示される地図は、ユーザが移動するにつれて時々刻々変化する。
図8に概念的に表すように、ステーション・データメモリ163には、複数のステーションIDと複数の正規第1発信機IDと複数のステーション位置データとの対応関係が、管理サーバ50からダウンロードされて記憶されることが可能である。複数のステーションIDは、システム10によって集中的に管理される複数のステーション20にそれぞれ対応している。また、複数のステーション位置データは、それぞれ、対応するステーション20の地上位置の経緯度(緯度X,経度Y)を表す。
ステーション・データメモリ163は、複数のステーション20に対応する複数のステーション位置データが、それに対応する複数のステーションIDおよび複数の正規第1発信機IDと共に一時的に記憶される。
携帯端末90においては、画面135上に、前記地図データに基づく地図が表示され、さらに、その地図上に、各瞬間ごとに、そのときにステーション・データメモリ163に記憶されている複数のステーション位置データに基づき、前記ダウンロードされた複数のステーション20のうち、携帯端末90の現在位置の近傍に位置する少数の候補ステーション20の各位置がオーバーレイ表示される(図15参照)。
ここに、「少数の候補ステーション20」は、前記ダウンロードされた複数のステーション20のうち、携帯端末90の現在位置に近いという地理上の理由で、画面135上に表示されている複数のステーション20を意味し、携帯端末90の現在位置から遠いという地理上の理由で、画面135から外れているステーション20は、対象外とされる。
図9に概念的に表すように、図7の自転車データメモリ165には、複数のステーションIDと複数の自転車IDと複数の正規第2発信機IDとの対応関係が、管理サーバ50からダウンロードされて記憶されることが可能である。複数の自転車12のうちのいずれかがユーザによって選択されれば、それに対応する1つの自転車IDが決まり、ひいては、それに対応する1つの正規第2発信機IDが決まる。
予約状況テーブル・メモリ167には、後述の予約状況テーブルが管理サーバ50から適宜ダウンロードされて保存される。
図11(a)に示すように、携帯端末90のメモリ132には、携帯端末90用の自転車レンタル・プログラムが記憶されており、その自転車レンタル・プログラムは、次の複数のモジュールを有している。
1)予約モジュール
これは、後に図14を参照して詳述するように、ユーザが、ステーション20に到着前に、いずれかの自転車12を予約することを支援するモジュールである。ここに、「予約する」とは、ユーザが、希望するステーション20の場所情報、希望する自転車12の識別情報(レンタル対象識別情報の一例)ならびに予定貸出時刻および予定返却時刻という時間情報を入力する作業と等価である。
2)予約あり時貸出処理モジュール
これは、後に図16を参照して詳述するように、ユーザが、自身の予約に従って、予約したステーション20において、予約した自転車12の貸出しを受けることを支援するモジュールである。
3)予約なし時貸出処理モジュール
これは、後に図17を参照して詳述するように、ユーザが、予約なしで、いずれかのステーション20において、いずれかの空き自転車12を選択して、その選択された自転車12の貸出しを受けることを支援するモジュールである。
4)返却処理モジュール
これは、後に図18を参照して詳述するように、ユーザが、自転車12の貸出しが行われたステーション20と同じかまたは別のステーション20において、貸し出された自転車12の返却を行うことを支援するモジュールである。
5)貸出時異常判定モジュール
これは、後に図19を参照して詳述するように、ユーザへの自転車12の貸出時に、何らかの異常が発生したか否かを判定するモジュールであるが、このモジュールは、このシステム10を実施するために任意選択的なモジュールであるため、後述の第2の実施形態において詳述する。
6)返却時異常判定モジュール
これは、後に図20を参照して詳述するように、ユーザからの自転車12の返却時に、何らかの異常が発生したか否かを判定するモジュールであるが、このモジュールは、このシステム10を実施するために任意選択的なモジュールであるため、後述の第2の実施形態において詳述する。
<管理サーバ>
次に、機能ブロック図である図10を参照して管理サーバ50のハードウエア構成を説明するに、管理サーバ50は、プロセッサ160およびそのプロセッサ160によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ162を有するコンピュータ164を主体として構成されている。
この管理サーバ50は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)166と、携帯端末90からの信号を受信する受信部168と、信号を生成してその信号を携帯端末90に送信する送信部170と、現在時刻を計測する時計172とを有する。この管理サーバ50は、発信機30からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末90を介して行うことになる。
図11(b)に示すように、管理サーバ50のメモリ162には、管理サーバ50用の自転車レンタル・プログラムが記憶されており、その自転車レンタル・プログラムは、次の複数のモジュールを有している。
1)予約モジュール
これは、後に図14を参照して詳述するように、携帯端末90の予約モジュールと同じ機能を有するモジュールである。
2)予約あり時貸出処理モジュール
これは、後に図16を参照して詳述するように、携帯端末90の予約あり時貸出処理モジュールと同じ機能を有するモジュールである。
3)予約なし時貸出処理モジュール
これは、後に図17を参照して詳述するように、携帯端末90の予約なし時貸出処理モジュールと同じ機能を有するモジュールである。
4)返却処理モジュール
これは、後に図18を参照して詳述するように、携帯端末90の返却処理モジュールと同じ機能を有するモジュールである。
5)貸出時異常判定モジュール
これは、後に図19を参照して詳述するように、携帯端末90の貸出時異常判定モジュールと同じ機能を有するモジュールであるが、このモジュールは、このシステム10を実施するために任意選択的なモジュールであるため、後述の第2の実施形態において詳述する。
6)返却時異常判定モジュール
これは、後に図20を参照して詳述するように、携帯端末90の返却時異常判定モジュールと同じ機能を有するモジュールであるが、このモジュールは、このシステム10を実施するために任意選択的なモジュールであるため、後述の第2の実施形態において詳述する。
<予約シーケンスの概要>
図12(a)には、携帯端末90および管理サーバ50による前記予約モジュールの実行により、ステーション20ごとに、複数人のユーザによる複数の自転車12の予約状況を管理するための予約状況テーブルの一例が示されている。
この予約状況テーブルは、管理サーバ50において作成・更新され、その最新版が、携帯端末90と共有される。この予約状況テーブルは、各ステーション20ごとに、かつ、各自転車12ごとに、予約の有無および予定レンタル時間帯(日時を含む)を表示する。
ユーザは、自身の携帯端末90の画面135上でこの予約状況テーブルを目視し、それを参照して、待機している少なくとも1台の自転車12が存在するステーション20を探し、そのステーション20の少なくとも1台の待機自転車12のうち、空き時間のあるものを探して、希望する日時および時間帯を指定する。
図12(a)においては、予約状況テーブル中の各自転車12ごとの時間軸(0時0分から23時59分まで)のうち、予約状況テーブルの最新更新時刻において、斜線でハッチングされた水平バーが存在する時間帯が、既に予約が存在する時間帯、すなわち、先約あり時間帯を表示する一方、前記バーが存在しない時間帯が、未だ予約が存在しない時間帯、すなわち、先約なし時間帯を表示している。
ユーザは、自身の携帯端末90に、図15(c)に例示するように、選択したステーション20の識別情報と、選択した自転車12の識別情報と、貸出日時と、返却日時とを入力し、それにより、該当するステーション20および自転車12の双方を予約することになる。
図11(b)には、携帯端末90および管理サーバ50による前記予約モジュールの実行により、複数人のユーザの予約内容を管理するためのユーザ別予約内容ファイルの一例が示されている。
このユーザ別予約内容ファイルは、管理サーバ50において作成・更新される。このユーザ別予約内容ファイルは、各ユーザごとに、本人認証情報(ユーザID,パスワードなど)、選択されたステーション20の場所を特定するための場所情報(選択ステーション20に固有のID)、選択された自転車12の場所を特定するための場所情報(選択自転車12に固有のID)、選択自転車12についての予定使用時間帯を定義するための時間情報(予定開始時刻,予定終了時刻,予定使用時間長さなど)、ユーザが今回の自転車レンタル・サービスを受けるために遵守することを要求される規則をユーザが違反したためにそのユーザに課されるペナルティの種別などを表す。
<主要シーケンスの概要>
システム10による主要シーケンスであって上述の予約シーケンスに後続するものの概要を図13を参照して説明する。
図13(図21においても同じ)において、「ステーション認識用受信」というラベルを付したタイムチャートは、携帯端末90が、各瞬間ごとに、第1発信機30から正規第1発信機IDを受信しているか否かを、説明の便宜上、携帯端末90が正規第1発信機IDを受信していない状態でローレベルとなり、受信している状態でハイレベルとなるパルス信号で表現している。
また、同様に、同図(図21においても同じ)において、「自転車認識用受信」というラベルを付したタイムチャートは、携帯端末90が、各瞬間ごとに、第2発信機32から正規第2発信機IDを受信しているか否かを、説明の便宜上、携帯端末90が正規第2発信機IDを受信していない状態でローレベルとなり、受信している状態でハイレベルとなるパルス信号で表現している。
<予約がある場合の主要シーケンスの概要>
図13(a)には、ユーザが、予約したステーション20内の予約した自転車12につき、予定レンタル開始時刻(貸出時刻)を15:00、予定レンタル終了時刻(返却時刻)を18:00として予約した場合を例にとり、主要シーケンスの概要が複数のタイムチャートで例示されている。
1)貸出処理
まず、ユーザが、予約した自転車12を借りるため、ある日の15:30という時刻に、予約したステーション(貸出ステーション)20に入場したために携帯端末90が第1有効受信エリア内に進入したと仮定すると、携帯端末90が第1発信機30を有効に受信することを開始する(図における「ステーション認識用受信信号」が立ち上がる)。
次に、ユーザが、今回のステーション20内に存在する予約した自転車12に接近し、その自転車12に設置されている第2発信機32に携帯端末90をかざしたためにその携帯端末90が第2有効受信エリア内に進入したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信することを開始する(図における「自転車認識用受信信号」が立ち上がる)。
その結果、15:30という時刻に、携帯端末90が第1発信機30および第2発信機32から同時に信号を受信している状態に遷移する。すなわち、携帯端末90がいずれかの発信機30,32からも信号を有効に受信しないかまたはいずれかの発信機30,32からしか信号を有効受信しない非同時受信状態から、いずれの発信機30,32からも信号を有効に受信する同時受信状態に遷移するのである。
ここに、「携帯端末90が第1発信機30および第2発信機32から同時に信号を受信している状態」とは、携帯端末90が第1発信機30からの信号と第2発信機32からの信号との双方を受信している双方受信状態を意味し、携帯端末90が第1発信機30からの信号の受信を開始するタイミングと、携帯端末90が第2発信機32からの信号の受信を開始するタイミングとが互いに一致することは必ずしも要求されない。
このとき、携帯端末90(または管理サーバ50)が、ユーザが実際に、自転車12の使用を開始した(貸出しが行われた)と判定する。
続いて、ユーザは、その使用開始時刻から例えば5分という第1制限時間内に貸出リクエストを携帯端末90に入力する。
その貸出リクエストに応答し、管理サーバ50は、ユーザによる自転車12の貸出しを許可する。その時刻が、実レンタル時間の開始時刻であるが、原則として、予定貸出時刻である15:00からユーザへの課金が開始される。具体的には、予定貸出時刻から、ユーザにとっての最終的なレンタル料金の額を計算するために参照される全レンタル時間のカウントが開始される。
その後、ユーザは、自転車12に乗車したまま貸出ステーション20から退場し、そのとき、携帯端末90は第1有効受信エリアから退出するため、第1発信機30を有効に受信できない状態に遷移する(前記ステーション認識用受信信号が立ち下がる)。
これに対し、ユーザが自転車12に乗車している限り、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信するため、前記自転車認識用受信信号はハイレベルに維持される。
2)返却処理
ユーザが、使用中の自転車12を返却するために、同じ日の17:30という時刻に、今回の貸出ステーション20と同じかまたはそれとは別のステーション(返却ステーション)20に入場したために携帯端末90が第1有効受信エリア内に進入したと仮定すると、前記ステーション認識用受信信号が立ち上がる。それ以前から、ユーザは自転車12に乗車しているため、携帯端末90は継続して第2発信機32を有効に受信する状態にある。
その結果、17:30という時刻に、携帯端末90が第1発信機30および第2発信機32から同時に信号を受信している状態(双方受信状態)に遷移する。すなわち、携帯端末90が第2発信機32からしか信号を有効に受信しない非同時受信状態から、いずれの発信機30,32からも信号を受信する同時受信状態に遷移するのである。
このとき、携帯端末90(または管理サーバ50)が、ユーザが実際に、自転車12の使用を終了したと判定する。
続いて、ユーザは、その使用終了時刻から例えば5分という第2制限時間内に返却リクエストを携帯端末90に入力する。
その返却リクエストに応答し、管理サーバ50は、ユーザによる自転車12の返却を許可する。その時刻が、実レンタル時間の終了時刻であるが、原則として、予定返却時刻である18:00までユーザへの課金が継続される。具体的には、予定返却時刻に、前記全レンタル時間のカウントが終了する。
その後、ユーザは、自転車12から降車したために携帯端末90が第2有効受信エリアから退出したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信できない状態に遷移し、前記自転車認識用受信信号が立ち下がる。この自転車認識用受信信号は、その後、ユーザが今回の自転車12に乗車していないため、ローレベルに維持される。
続いて、ユーザは、自転車12から離れて移動して今回の返却ステーション20から退場したために携帯端末90が第1有効受信エリアから退出したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信できない状態に遷移する(前記ステーション認識用受信信号が立ち下がる)。
管理サーバ50において、前記全レンタル時間の長さに基づくレンタル料金の計算が終了すると、ユーザは、携帯端末90を介してレンタル料金を電子的に決済する。
<予約がない場合の主要シーケンスの概要>
図13(b)には、ユーザが、いずれかのステーション20に入場し、そのステーション20内のいずれかの自転車12を選択してレンタル・サービスを開始する場合を例にとり、主要シーケンスの概要が複数のタイムチャートで例示されている。それらタイムチャートは、基本的には、課金処理などを除き、図13(a)に示すものと同様であるため、共通する要素については簡単に説明する。
1)貸出処理
まず、ユーザが、いずれかの自転車12を借りるため、ある日の15:30という時刻に、いずれかのステーション(貸出ステーション)20に入場したために携帯端末90が第1有効受信エリア内に進入したと仮定すると、携帯端末90が第1発信機30を有効に受信することを開始する。
次に、ユーザが、いずれかの自転車12に接近し、その自転車12に設置されている第2発信機32に携帯端末90をかざしたためにその携帯端末90が第2有効受信エリア内に進入したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信することを開始する。
その結果、15:30という時刻に、携帯端末90が第1発信機30および第2発信機32から同時に信号を受信している状態(双方受信状態)に遷移する。
このとき、携帯端末90(または管理サーバ50)が、ユーザが実際に、自転車12の使用を開始した(貸出しが行われた)と判定する。
続いて、ユーザは、その使用開始時刻から前記第1制限時間内に貸出リクエストを携帯端末90に入力する。
その貸出リクエストに応答し、管理サーバ50は、ユーザによる自転車12の貸出しを許可する。その時刻が、実レンタル時間の開始時刻であり、今回の事例においては、その実貸出時刻である15:30からユーザへの課金が開始される。具体的には、実貸出時刻から、前記全レンタル時間のカウントが開始される。
その後、ユーザは、自転車12に乗車したまま貸出ステーション20から退場し、そのとき、携帯端末90は第1有効受信エリアから退出するため、第1発信機30を有効に受信できない状態に遷移する。
これに対し、ユーザが自転車12に乗車している限り、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信するため、前記自転車認識用受信信号はハイレベルに維持される。
2)返却処理
ユーザが、使用中の自転車12を返却するために、同じ日の17:30という時刻に、今回の貸出ステーション20と同じかまたはそれとは別のステーション(返却ステーション)20に入場したために携帯端末90が第1有効受信エリア内に進入したと仮定すると、前記ステーション認識用受信信号が立ち上がる。それ以前から、ユーザは自転車12に乗車しているため、携帯端末90は継続して第2発信機32を有効に受信する状態にある。
その結果、17:30という時刻に、携帯端末90が第1発信機30および第2発信機32から同時に信号を受信している状態(双方受信状態)に遷移する。
このとき、携帯端末90(または管理サーバ50)が、ユーザが実際に、自転車12の使用を終了したと判定する。
続いて、ユーザは、その使用終了時刻から前記第2制限時間内に返却リクエストを携帯端末90に入力する。
その返却リクエストに応答し、管理サーバ50は、ユーザによる自転車12の返却を許可する。その時刻が、実レンタル時間の終了時刻であり、その実返却時刻である17:30までユーザへの課金が継続される。具体的には、実返却時刻に、前記全レンタル時間のカウントが終了する。
その後、ユーザは、自転車12から降車したために携帯端末90が第2有効受信エリアから退出したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信できない状態に遷移し、前記自転車認識用受信信号が立ち下がる。この自転車認識用受信信号は、その後、ユーザが今回の自転車12に乗車していないため、ローレベルに維持される。
続いて、ユーザは、自転車12から離れて移動して今回の返却ステーション20から退場したために携帯端末90が第1有効受信エリアから退出したと仮定すると、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信できない状態に遷移する。
管理サーバ50において、前記全レンタル時間の長さに基づくレンタル料金の計算が終了すると、ユーザは、携帯端末90を介してレンタル料金を電子的に決済する。
<予約シーケンス>
図14には、ユーザが、予約したいステーション20から離れた場所(例えば、図1に示すように、自宅)において、携帯端末90を管理サーバ90に接続し、そのステーション20内のいずれかの自転車12を予約するために、携帯端末90と、遠隔地に位置する管理サーバ50との間で行われる通信の一例が時系列的にシーケンス・フローで表されている。
携帯端末90において、ユーザにより、前記自転車レンタル・プログラム(既に管理サーバ50からダウンロードされて携帯端末90のメモリ132にインストールされている)が起動されると、複数のモードおよび複数のリクエストをユーザが発するために操作される複数のボタン(ユーザによって選択可能な表示対象)が携帯端末90の画面上に表示される。
複数のモードおよび複数のリクエストは、次のものを含んでいる。
1)予約モード
ステーション20および自転車12を予約するためにユーザによって選択される実行モード
2)予約あり時貸出処理モード
ユーザが、予約ありの状態で、ステーション20において自転車12を借りるために前記予約あり時貸出処理モジュールを起動させるためにユーザによって選択される実行モード
3)予約なし時貸出処理モード
ユーザが、予約なしの状態で、ステーション20において自転車12を借りるために前記予約なし時貸出処理モジュールを起動させるためにユーザによって選択される実行モード
4)返却処理モード
ユーザが、ステーション20に自転車12を返却するために前記返却処理モジュールを起動させるためにユーザによって選択される実行モード
5)貸出リクエスト
前記予約あり時貸出処理モジュールまたは前記予約なし時貸出処理モジュールの起動後、ユーザへの自転車12の貸出しを許可してもらうためにユーザから発せられるリクエスト
6)返却リクエスト
前記返却処理モジュールの起動後、ユーザから自転車12の返却を許可してもらうためにユーザから発せられるリクエスト
今回は、「予約モード」というボタンがユーザによって選択されると、携帯端末90用の自転車レンタル・プログラムのうち前記予約モジュールが携帯端末90のプロセッサ130によって実行されるとともに、管理サーバ50用の自転車レンタル・プログラムのうち前記予約モジュールが管理サーバ50のプロセッサ160によって実行される。
携帯端末90用の予約モジュールが携帯端末90のプロセッサ130によって実行されると、まず、ステップ101において、携帯端末90が、GPS受信機152が外部から受信したGPS信号に基づき、ユーザの現在位置(経緯度)が測定されるように作動する。
次に、ステップS102において、その測定されたユーザの現在位置が、地図を表示部136の画面135上に表示するためにプロセッサ130によって参照される基準位置(表示基準点の位置(経緯度))とされる。さらに、全体地図のうち、画面135上のウィンドウ内に一度に表示可能なサイズを有する部分であって前記基準位置が存在するものが、地図の表示範囲(すなわち、前記全体地図のうち、前記ウィンドウ内に各瞬間に表示される領域)に決定される。
図15(a)に例示するように、ユーザが時間と共に地上を移動すると、それに追従するように前記基準位置202(同図において黒色の三角形で示す)も時間と共に移動する。その結果、ユーザの移動に伴い、地図の表示範囲も全体地図上を時間と共に移動し、ひいては、前記ウィンドウ内に表示される地図の画像も時間と共に変化することになる。
続いて、ステップS103において、管理サーバ50にログインするためのログイン・リクエスト(「サービス開始信号」の一例)が、今回のユーザを識別するためのユーザIDおよびパスワードと共に管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50用の予約モジュールが管理サーバ50のプロセッサ160によって実行されると、管理サーバ50は、ステップS201において、前記ログイン・リクエストをユーザIDおよびパスワードと共に受信し、続いて、ステップS202において、前記複数のステーション20に関するステーション・データ(そのステーション・データの複数の構成要素については、図8参照)と、それらステーション20に属する複数の自転車12に関する自転車データ(その自転車データの複数の構成要素については、図9参照)と、前記予約状況テーブル(図12(a)参照)とを管理サーバ50のメモリ162(または別のメモリ)において検索する。
その後、ステップS203において、それら検索されたステーション・データ、自転車データおよび予約状況テーブルが携帯端末90に送信される。
これに対し、携帯端末90は、ステップS104において、それらステーション・データ、自転車データおよび予約状況テーブルを受信する。受信したステーション・データは、図7に示すステーション・データメモリ163に保存され、その結果、図8に示すテーブルが構築される。また、受信した自転車データは、図7に示す自転車データメモリ165に保存され、その結果、図9に示すテーブルが構築される。受信した予約状況テーブル(図12(a)参照)は、予約状況テーブル・メモリ167に保存される。
続いて、ステップS105において、前記保存されたステーション・データに基づき、画面135上に表示されている地図上に、複数のステーション20のうち、前記現在位置の近傍に位置するものが少数の候補ステーション20としてオーバーレイ表示される。
このステップ105においては、画面135上に、受信された複数のステーション・データによって表される複数のステーション20(管理サーバ50のメモリ162に保存されているすべてのステーション20)のすべてが表示されるわけではない。ユーザの現在位置と画面135のサイズとによって決まる、前記複数のステーション20より少数の複数のステーション20のみが画面135上に表示される。すなわち、管理サーバ50から受信した複数のステーション20が、ユーザの現在位置と画面135のサイズとによってさらに、少数の候補ステーション20に絞り込まれるのである。
一例においては、図15(a)に示すように、画面135上に表示されている地図上に、ユーザの現在位置が黒色の三角形202を用いてオーバーレイ表示されるとともに、複数の候補ステーション20が複数のステーション表示用アイコン204を用いてオーバーレイ表示される。この例においては、3個のステーション表示用アイコン204が、「A」、「B」および「C」というアルファベットが四角形の枠に包囲されて成る図形として構成されている。
本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、このステップS105を実行する部分が前記(8)項における「候補ステーション表示部」の一例および「候補ステーション表示工程」の一例を構成していると考えることが可能である。
なお、このステップS105と同じものは、後に図18を参照して詳述する返却処理シーケンス・フローにおいて、ユーザが、事前の情報を用いて、自転車12の返却先としていずれかのステーション20を複数の候補の中から、例えば、ユーザの現在位置との距離や、ユーザの最寄りの駅との距離などを考慮して選択するために採用することが可能である。
続いて、ステップS106において、ユーザが、画面135上において、いずれかの候補ステーション20の表示位置に指でタッチすることにより、いずれかのステーション20を今回の選択ステーション20として選択する。
具体的には、ユーザが、画面135上において、いずれかの候補ステーション20の表示位置に指でタッチすると、そのタッチ位置が表示部136のタッチスクリーンによって検出され、そのタッチ位置が、例えば、地図上の経緯度(絶対座標系であるグローバル座標系によって定義される)またはそれに対応するXY座標情報(相対座標系であるデバイス座標系によって定義される)である地図座標情報(位置情報)に変換される。その地図座標情報に基づき、いずれかの候補ステーション20が特定される。
その後、ステップS107において、図15(b)に例示するように、前記予約状況テーブルが画面135上に表示される。
本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、このステップS107を実行する部分が前記(8)項における「候補レンタル対象表示部」の一例および「候補レンタル対象表示工程」の一例を構成していると考えることが可能である。
続いて、ステップS108において、ユーザが、図15(c)に例示するように、予約したいステーション(貸出ステーション)20の識別情報(例えば、名称)と、予約したい自転車(貸出自転車)12の識別情報(例えば、番号)と、貸出日時(予定)と、返却日時(予定)とを入力する。ここに、ユーザが、予約したい自転車12の識別情報を携帯端末90に入力することは、ユーザがいずれかの自転車12を選択するための操作を携帯端末90に対して行うことと等価である。
その後、ステップS109において、携帯端末90が、前記入力された予約内容が、ユーザに関連付けて(例えば、ユーザIDと共に)管理サーバ50に送信する。
その結果、貸出ステーション20の識別情報と貸出自転車12の識別情報とがペアリングされる(紐づけされる)とともに、そのペアが、今回のユーザの識別情報に関連付けられ、それらの情報が携帯端末90から管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS204において、前記予約内容をユーザに関連付けて(例えば、ユーザIDと共に)受信する。続いて、管理サーバ50は、ステップS205において、その受信した予約内容を、前記複数のユーザ別予約内容ファイル(図12(b)参照)のうち、今回のユーザに関連付けられているものに登録し、さらに、メモリ162に保存されている予約状況テーブルを、前記受信した予約内容が反映されるように、更新する。
その後、管理サーバ50は、ステップS206において、予約が完了した旨のメッセージを携帯端末90に送信する。
これに対し、携帯端末90は、前記受信したメッセージを画面135上に表示するか音声で出力する。この表示により、ユーザが、自身の予約が成立したことを知らされる。
<予約あり時貸出処理シーケンス>
図16には、ユーザが、予約してあったステーション20に入場し、その後、予約してあった自転車12に接近し、その自転車12の貸出しを許可してもらうために、そのステーション20に位置する第1発信機30と、その自転車12に設置されている第2発信機32と、ユーザの携帯端末90と、管理サーバ50との間で行われる通信の一例が時系列的にシーケンス・フローで表されている。
第1および第2発信機30および32は、いずれも、自身に固有の識別信号を自発的にかつ継続的に発信する。ユーザが、予約してあったステーション20に入場すれば、携帯端末90が、第1発信機30の第1有効受信エリア内に存在することになるため(図6参照)、携帯端末90が第1発信機30からの識別信号を有効に受信する。やがて、ユーザが、携帯端末90を予約してあった自転車12の第2発信機32にかざせば、携帯端末90が、第2発信機32の第2有効受信エリア内に存在することになる(図6参照)。
本実施形態においては、予約の有無を問わず、第1発信機30の第1有効受信エリアの受信レンジが前記ロングレンジとされる一方、第2発信機32の第2有効受信エリアの受信レンジが前記ショートレンジとされる。この設定は、貸出処理であるか返却処理であるかを問わず、有効である。
今回は、携帯端末90の画面上において「予約あり時貸出処理モード」というボタンがユーザによって選択される。それに応答して携帯端末90用の予約あり時貸出処理モジュールが携帯端末90によって実行される。その実行により、まず、ステップ151において、携帯端末90が、管理サーバ50にログインするためのログイン・リクエストが、今回のユーザを識別するためのユーザIDおよびパスワードと共に管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50用の予約あり時貸出処理モジュールが管理サーバ50によって実行されると、管理サーバ50は、ステップS251において、前記ログイン・リクエストをユーザIDおよびパスワードと共に受信する。
続いて、ステップS252において、前記複数のユーザ別予約内容ファイルのうち、今回のユーザに関連付けられているものがメモリ162において検索される。さらに、その検索されたユーザ別予約内容ファイルにおいて、前記複数のステーション20のうち、予約されたステーション20(貸出ステーション)に関する情報と、そのステーション20の複数の自転車12のうち、予約された自転車12(貸出自転車)に関する情報とが、今回のユーザ予約関連情報として検索される。
その後、ステップS253において、その検索された今回のユーザ予約関連情報が携帯端末90に送信される。
これに対し、携帯端末90は、ステップS152において、今回のユーザ予約関連情報を受信する。続いて、ステップS153において、その今回のユーザ予約関連情報において、予約されているステーション20に設置されているはずである正規の第1発信機30に予め割り当てられている発信機コードが正規第1発信機コードとして検索されるとともに、予約されている自転車12に設置されているはずである正規の第2発信機32に予め割り当てられている発信機コードが正規第2発信機コードとして検索される。ユーザにとっての正規第1および第2発信機コードが取得されるのである。
続いて、ステップS154において、携帯端末90は、今回のステーション20内に存在する少なくとも1つの第1発信機30および少なくとも1つの第2発信機32のうちの少なくとも1つから信号を受信する。
一方、前述のように、携帯端末90が現在、第1発信機30の第1受信可能エリア外に位置する場合には、携帯端末90は第1発信機30から識別信号を全く受信できない。これに対し、携帯端末90が現在、第1発信機30の第1受信可能エリア内に位置する場合には、携帯端末90は第1発信機30から識別信号を受信できる。
また、携帯端末90が第1発信機30から識別信号を受信したとしても、携帯端末90が現在、その第1発信機30の第1有効受信エリア外に位置する可能性もあれば有効受信エリア内に存在する可能性もある。
そのような事情は、第2発信機32についても同様に当てはまる。
携帯端末90は、複数の発信機からの複数の信号を同時にかつ互いに識別可能に受信することが可能である。各発信機は、固有の信号を発信し、例えば、その信号の各パケットのヘッダにおける送信元アドレス(発信機IDに相当する)が他の発信機のものとは異なる。このことに着目し、携帯端末90は、同時に受信した複数の信号をそれぞれ個別に扱うことが可能である。
そこで、ステップS154に引き続き、ステップS155において、携帯端末90は、
1)携帯端末90が第1発信機30から識別信号を有効に受信したか否かの第1有効受信判定、すなわち、携帯端末90と第1発信機30との距離の測定値が第1有効受信エリアの有効受信半径(ロングレンジ)より小さいか否かの判定と、
2)携帯端末90が第2発信機32から識別信号を有効に受信したか否かの第2有効受信判定、すなわち、携帯端末90と第2発信機32との距離の測定値が第2有効受信エリアの有効受信半径(ショートレンジ)より小さいか否かの判定と、
3)携帯端末90が第1発信機30と第2発信機32から同時に受信したか否かの同時受信判定、すなわち、第1発信機30の第1有効受信判定が肯定されたタイミングと第2発信機32の第1有効受信判定が肯定されたタイミングとが実質的に同じ時刻に行われたか否かの判定と
を行う。
携帯端末90は、既に保存されているステーション・データ(図8)を参照し、どの発信機が第1発信機30(ステーション側発信機)に該当するのかを判別できるし、また、既に保存されている自転車データ(図9)を参照し、どの発信機が第2発信機32(自転車側発信機)に該当するのかを判別できる。よって、携帯端末90は、どの発信機の有効受信判定に第1有効受信エリアの有効受信半径(例えば、前記ロングレンジ)を適用し、どの発信機の有効受信判定に第2有効受信エリアの有効受信半径(例えば、前記ショートレンジ)を適用するのかも判別できる。
このステップ155の実行時、第1有効受信判定、第2有効受信判定および同時受信判定のいずれかでも否定的であった場合には、このステップ155の判定がNOとなり、ステップS154に戻る。これに対し、第1有効受信判定、第2有効受信判定および同時受信判定のいずれかも肯定的であった場合には、このステップ155の判定がYESとなり、ステップS156に移行する。
このステップS156においては、携帯端末90は、前記受信した識別信号を復調し、続いて、ステップS157において、携帯端末90は、その復調された識別信号によって表される発信機IDを実発信機IDとして解読する。具体的には、携帯端末90は、第1発信機30から受信した信号によって表される実第1発信機IDと、第2発信機32から受信した信号によって表される実第2発信機IDとを取得する。
前記復調された識別信号は、複数桁の二進数で表記されるコードである場合には、例えば、そのコードが、予め準備された変換表(例えば、管理サーバ50から事前にダウンロードされたもの)を用いて、発信機IDに変換される。ただし、用法上、「コード」であるか「ID」であるかという違いは、その用途が識別である以上、重要ではない。
続いて、ステップS158において、携帯端末90は、そのようにして解読された実第1および第2実発信機IDと、ステップS153の実行によって取得された正規第1および第2発信機IDとがそれぞれ、互いに一致するか否かを判定する。すなわち、ID照合が行われるのである。
ここに、「実第1発信機ID」は、複数のステーション20のうち、ユーザによって実際に選択されて訪問されたものに実際に設置されている第1発信機(選択された実在第1発信機)30に対応する第1発信機IDを意味し、一方、「正規第1発信機ID」は、複数のステーション20のうち、ユーザが携帯端末90を操作することによって仮想的に選択されたものに設置されているはずの第1発信機(選択された仮想第1発信機)30に対応する第1発信機IDを意味する。
同様に、「実第2発信機ID」は、複数の自転車12のうち、ユーザによって実際に選択されたものに実際に設置されている第2発信機(選択された実在第2発信機)32に対応する第2発信機IDを意味し、一方、「正規第2発信機ID」は、複数の自転車12のうち、ユーザが携帯端末90を操作することによって仮想的に選択されたものに設置されているはずの第2発信機(選択された仮想第2発信機)32に対応する発信機IDを意味する。
その後、ステップS159において、携帯端末90は、各実発信機IDと各正規発信機IDとが互いに一致したか否か、すなわち、前記ID照合に成功したか否かを判定する。
前記ID照合に成功しなかった場合には、ステップS159の判定がNOとなり、その後、ステップS160において、携帯端末90は、ユーザに対し、再度、携帯端末90によって第1発信機30および第2発信機32を検出することを再試行することを、例えば画面135上に適切なメッセージを表示するか音声で出力することなどを行うことにより、催促する。その後、ステップS154に戻る。
これに対し、前記ID照合に成功した場合には、ステップS159の判定がYESとなり、その後、ステップS161において、携帯端末90は、現在時刻において、今回のステーション20に貸出前の自転車12が存在していると判定する。この判定は、ユーザが、今回のステーション20において、今回の自転車12の使用を開始した(貸出しが行われた)との判定と等価である。
一例においては、ユーザが当該貸出処理モジュールを起動させた後、今回のステーション20に到着したが、未だ、予約してあった自転車12に到着しないうちは、ステップS155の判定がNOとなる。ユーザが、やがて、その自転車12に到着すると、そのステップS155の判定がNOからYESに遷移する。
このとき、携帯端末90が正規第2発信機IDを表す信号を受信していれば、前記ID照合に成功し、ステップS159の判定がYESとなる。その後、ステップS161において、現在時刻において初回の第1遷移が発生したと判定される。
ここで、ステップS159の判定がYESとなるタイミングは、携帯端末90が正規第2発信機IDを受信しない状態から受信する状態に遷移するタイミング(図13(a)の例における「自転車認識用受信信号」の「立ち上がりエッジ」の時間的位置に一致する)に一致する。
その後、ステップS162において、ユーザから携帯端末90に貸出リクエストが入力された(例えば、前記「貸出リクエスト」という仮想ボタンがユーザによって操作された)か否かが判定される。貸出リクエストが入力された場合には、ステップS162の判定がYESとなる。
続いて、ステップS163において、ユーザから貸出リクエストが発せられれたことと、ユーザが実際に、現在、予約してあったステーション20において、予約してあった自転車12の使用を開始したという判定結果とが、ユーザに関連付けられて(例えば、ユーザIDと共に)管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS254において、前記ステップS163の実行によって携帯端末90が送信した情報を受信する。
その後、ステップS255において、時計172を用いて現在時刻を測定する。続いて、ステップS256において、その現在時刻を実貸出時刻として認識する。続いて、ステップS257において、ユーザへの今回の自転車12の貸出しを許可する。
その後、ステップS258において、ユーザにつき、課金開始時刻が決定される。課金は、原則として、予定貸出時刻から開始され、予定貸出時刻からの経過時間(使用時間、貸与時間、レンタル時間)の長さに見合う金額がレンタル金額として計算される。
以上、携帯端末90が正規の2個の発信機30および32を同時に有効に受信した(双方受信状態が成立した)直後にユーザから貸出リクエストが正常に発令された場合を説明したが、発令されなかった場合には、ステップS162の判定がNOとなり、その後、ステップS164において、現在、ステップS161の実行時刻からの経過時間が第1制限時間(例えば、5分)内であるか否かが判定される。
第1制限時間内である場合には、ステップS164の判定がYESとなり、ステップS165において、ユーザに対し、貸出リクエストを入力することが、例えば画面135上に適切なメッセージが表示されるか音声で出力されることなどが行われることにより、催促される。続いて、ステップS162に戻る。
これに対し、現在、ステップS161の実行時刻からの経過時間が第1制限時間を超えている場合には、ステップS164の判定がNOとなり、その後、ステップS166において、ユーザに第1違反行為が発生したと判定される。
続いて、ステップS167において、今回は、ユーザに第1違反行為が発生したことが管理サーバ50に送信される。その送信内容は、ステップS254において、管理サーバ50によって受信され、今回は、自転車12の貸出しが禁止される。
<予約なし時貸出処理シーケンス>
図17には、ユーザが、予約なしの状態で、いずれかのステーション20に入場し、その後、いずれかの自転車12に接近し、その自転車12の貸出しを許可してもらうために、そのステーション20に位置する第1発信機30と、その自転車12に設置されている第2発信機32と、ユーザの携帯端末90と、管理サーバ50との間で行われる通信の一例が時系列的にシーケンス・フローで表されている。このフローは、図16に示すフローと共通する要素が多いため、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
今回は、携帯端末90の画面上において「予約なし時貸出処理モード」というボタンがユーザによって選択される。それに応答して携帯端末90用の予約なし時貸出処理モジュールが携帯端末90によって実行される。
その実行により、まず、ステップ201において、前述のステップS151と同様に、管理サーバ50にログインするためのログイン・リクエストが、今回のユーザを識別するためのユーザIDおよびパスワードと共に管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50用の予約なし時貸出処理モジュールが管理サーバ50によって実行されると、管理サーバ50は、ステップS271において、前述のステップS251と同様に、前記ログイン・リクエストをユーザIDおよびパスワードと共に受信する。
続いて、ステップS272において、前記予約状況テーブル(図12(a))がメモリ162において検索される。その後、ステップS273において、その検索された予約状況テーブルが携帯端末90に送信される。
これに対し、携帯端末90は、ステップS202において、前記予約状況テーブルを受信する。続いて、ステップS203において、その受信した予約状況テーブルを画面135上に表示する。
続いて、ステップS204において、前述のステップS154と同様に、携帯端末90は、今回のステーション20内に存在する少なくとも1つの第1発信機30および少なくとも1つの第2発信機32のうちの少なくとも1つから信号を受信する。
その後、ステップS205において、前述のステップS155と同様に、携帯端末90は、前記第1有効受信判定と前記第2有効受信判定と前記同時受信判定とを行う。
このステップ205の判定がNOとなると、ステップS204に戻るが、ステップ205の判定がYESとなると、ステップS206に移行する。
このステップS206においては、前述のステップS156と同様に、携帯端末90は、前記受信した識別信号を復調し、続いて、ステップS207において、前述のステップS157と同様に、携帯端末90は、その復調された識別信号から、第1発信機30の実第1発信機IDと第2発信機32の実第2発信機IDとを取得する。
続いて、ステップS208において、ユーザは、第1発信機30および第2発信機32からの受信の結果として今回のステーション(貸出ステーション)20と今回の自転車(貸出自転車)12とを選択したことが、前記予約状況テーブルと共に、画面135上に表示される。それにより、ユーザは、自身が選択したステーション20および自転車12を確認する。
さらに、このステップS208においては、ユーザが携帯端末90に対し、今回の自転車12についての予定返却時刻を入力する。
その後、ステップS209において、携帯端末90は、前記予約状況テーブルのうち、今回のステーション20および今回の自転車12に対応する個別予約状況を抽出し、その個別予約状況のうちの予約済み時間帯が、今回の実貸出時刻から前記予定返却時刻までの予定使用時間帯とオーバーラップしていないか否か、すなわち、先約が存在しないか否かを判定する。
先約が存在する場合には、ステップS209の判定がNOとなり、その後、ステップS210において、ステップS160と同様に、携帯端末90は、ユーザに対し、再度、携帯端末90によって第1発信機30および第2発信機32を検出することを再試行することを催促する。その後、ステップS204に戻る。
これに対し、先約が存在しない場合には、ステップS209の判定がYESとなり、その後、ステップS211において、携帯端末90は、現在時刻において、今回のステーション20に貸出前の自転車12が存在していると判定する。この判定は、ユーザが、今回のステーション20において、今回の自転車12の使用を開始した(貸出しが行われた)との判定と等価である。
その後、ステップS212において、前述のステップS162と同様に、ユーザから携帯端末90に貸出リクエストが入力されたか否かが判定される。貸出リクエストが入力された場合には、ステップS212の判定がYESとなる。
続いて、ステップS213において、前述のステップS163に準じて、ユーザが実際に、今回のステーション20において、今回の自転車12の使用を開始した(貸出しが行われた)という判定結果が、ユーザに関連付けられて(例えば、ユーザIDと共に)管理サーバ50に送信される。
その結果、貸出ステーション20の識別情報と貸出自転車12の識別情報とがペアリングされる(紐づけされる)とともに、そのペアが、今回のユーザの識別情報に関連付けられ、それらの情報が携帯端末90から管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS274において、前述のステップS254と同様に、前記ステップS213の実行によって携帯端末90が送信した情報を受信する。
続いて、ステップS275において、前述のステップS255と同様に、時計172を用いて現在時刻を測定する。続いて、ステップS276において、前述のステップS256と同様に、その現在時刻を実貸出時刻として認識する。続いて、ステップS277において、前述のステップS257と同様に、ユーザへの今回の自転車12の貸出しを許可する。
その後、ステップS278において、前述ステップS258と同様に、ユーザにつき、課金開始時刻が決定される。続いて、ステップS279において、今回の貸出内容、すなわち、貸出ステーション20の識別情報と、貸出自転車12の識別情報と、実貸出時刻と、予定返却時刻とを含むものが、前記複数のユーザ別予約内容ファイル(図12(b)参照)のうち、今回のユーザに関連付けられているものに登録される。
さらに、このステップS278においては、メモリ162に保存されている予約状況テーブルが、今回の貸出内容が反映されるように、更新される。
以上、ステップS212の判定がYESである場合を説明したが、判定がNOとなると、ステップS214において、前述のステップS164と同様に、現在、ステップS211の実行時刻からの経過時間が前記第1制限時間内であるか否かが判定される。
第1制限時間内である場合には、ステップS214の判定がYESとなり、ステップS215において、ステップS165と同様に、ユーザに対し、貸出リクエストを入力することが催促される。続いて、ステップS212に戻る。
これに対し、現在、ステップS211の実行時刻からの経過時間が第1制限時間を超えている場合には、ステップS214の判定がNOとなり、その後、ステップS216において、前述のステップS166と同様に、ユーザに第1違反行為が発生したと判定される。
続いて、ステップS217において、前述のステップS167と同様に、今回は、ユーザに第1違反行為が発生したことが管理サーバ50に送信される。その送信内容は、ステップS274において、前述のステップS254において、管理サーバ50によって受信され、今回は、自転車12の貸出しが禁止される。
<返却処理シーケンス>
図18には、ユーザが、借用していた自転車12に乗車して運転しつつあるか、または、借用していた自転車12を押しつつ、前記貸出ステーションと同じかまたは別のステーション(返却ステーション)20に入場し、その後、その自転車12の返却を許可してもらうために、そのステーション20に位置する第1発信機30と、その自転車12に設置されている第2発信機32と、予約してあった自転車12の返却処理を許可してもらうために、ユーザの携帯端末90と管理サーバ50との間で行われる通信の一例が時系列的にシーケンス・フローで表されている。
今回は、携帯端末90の画面上において「返却処理モード」というボタンがユーザによって選択される。それに応答して携帯端末90用の返却処理モジュールが携帯端末90によって実行される。
その実行により、まず、ステップ300において、前述のステップS151と同様に、管理サーバ50にログインするためのログイン・リクエストが、今回のユーザを識別するためのユーザIDおよびパスワードと共に管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50用の返却処理モジュールが管理サーバ50によって実行されると、管理サーバ50は、ステップS400において、前述のステップS251と同様に、前記ログイン・リクエストをユーザIDおよびパスワードと共に受信する。
これに対し、携帯端末90は、ステップS302において、前述のステップS155と同様に、前記第1有効受信判定と前記第2有効受信判定と前記同時受信判定とを行う。
このステップ302の判定がNOとなると、ステップS301に戻るが、ステップ302の判定がYESとなると、ステップS303に移行する。
このステップS303においては、前述のステップS156と同様に、携帯端末90は、前記受信した識別信号を復調し、続いて、ステップS304において、前述のステップS157と同様に、携帯端末90は、その復調された識別信号から、第1発信機30の実第1発信機IDと第2発信機32の実第2発信機IDとを取得する。
続いて、ステップS305において、ユーザは、第1発信機30および第2発信機32からの受信の結果として今回のステーション(返却ステーション)20と今回の自転車(返却自転車)12とを選択したことが画面135上に表示される。それにより、ユーザは、自身が選択したステーション20および自転車12を確認する。
さらに、このステップS305においては、携帯端末90は、現在時刻において、今回のステーション20に返却済の自転車(ユーザがこれから返却しようとしている自転車)12が存在していると判定する。この判定は、ユーザが、今回のステーション20において、今回の自転車12の使用を終了した(返却が行われた)との判定と等価である。
その後、ステップS306において、前述のステップS162に準じて、ユーザから携帯端末90に返却リクエストが入力された(例えば、前記「返却リクエスト」という仮想ボタンが操作された)か否かが判定される。返却リクエストが入力された場合には、ステップS306の判定がYESとなる。
続いて、ステップS307において、前述のステップS163に準じて、ユーザから返却リクエストが発せられれたことと、ユーザが実際に、今回のステーション20において、今回の自転車12の使用を終了した(返却が行われた)という判定結果(今回の返却ステーション20の識別情報と、今回の返却自転車12の識別情報)とが、ユーザに関連付けられて(例えば、ユーザIDと共に)管理サーバ50に送信される。
その結果、返却ステーション20の識別情報と返却自転車12の識別情報とがペアリングされる(紐づけされる)とともに、そのペアが、今回のユーザの識別情報に関連付けられ、それらの情報が携帯端末90から管理サーバ50に送信される。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS401において、前述のステップS254と同様に、前記ステップS307の実行によって携帯端末90が送信した情報を受信する。
その後、ステップS402において、時計172を用いて現在時刻を測定する。続いて、ステップS403において、その現在時刻を実返却時刻として認識する。その後、ステップS404において、ユーザによる今回の自転車12の返却を許可する。
その後、ステップS405において、ユーザにつき、前述のようにユーザごとに個別に決定された課金開始時刻から課金終了時刻(予約ありの場合は予定返却時刻、予約なしの場合には実返却時刻)までの時間が全レンタル時間として計算される。
続いて、ステップS406において、図示しない料金テーブルに従い、前記計算された全レンタル時間の長さと、料金レート(増額率)とに基づいて今回のレンタル金額が計算される。
その後、ステップS407において、前記予約状況テーブルから今回の自転車12についてのレンタル情報が削除されるように、その予約状況テーブルが更新される。続いて、ステップS408において、前記計算されたレンタル金額などの情報が携帯端末90に送信される。
これに対し、携帯端末90は、ステップS308において、管理サーバ50からレンタル金額などの情報を受信し、続いて、ステップS309において、そのレンタル金額を画面上に表示する。その後、ステップS310において、ユーザによる電子決済が行われる。
続いて、携帯端末90は、ステップS311において、管理サーバ50からのログアウトを要求するログアウト・リクエストを管理サーバ50に送信する。
これに対し、管理サーバ50は、ステップS409において、そのログアウト・リクエストを受信する。続いて、ステップS410において、そのログアウト・リクエストの受信が正常に完了したことを表す確認応答信号ACKが携帯端末90に送信される。
これに対し、携帯端末90は、ステップS312において、その確認応答信号ACKを管理サーバ50から受信する。
以上、ステップS306の判定がYESである場合を説明したが、判定がNOとなると、ステップS313において、前述のステップS164に準じて、現在、ステップS305の実行時刻からの経過時間が第2制限時間内であるか否かが判定される。
第2制限時間内である場合には、ステップS313の判定がYESとなり、ステップS314において、ステップS165に準じて、ユーザに対し、返却リクエストを入力することが催促される。続いて、ステップS306に戻る。
これに対し、現在、ステップS305の実行時刻からの経過時間が第2制限時間を超えている場合には、ステップS313の判定がNOとなり、その後、ステップS315において、ユーザに第2違反行為が発生したと判定される。続いて、ステップS316において、ユーザに第2違反行為が発生したことが管理サーバ50に送信される。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、図16のステップS154−S161、図17のステップS203−S211、図18のステップS301−S305などを実行する部分が、前記(2)項における「判定部」の一例および「判定工程」の一例を構成していると考えることが可能である。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、図16のステップS162、S163、S254、S257、図17のS212、S213、S274、S277、図18のステップS306、S307、S401、S404などを実行する部分が、前記(2)項における「許可部」の一例および「許可工程」の一例を構成していると考えることが可能である。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、図16のステップS163、S254、図17のS213、S274、S279、図18のステップS307、S401、S407などを実行する部分が、前記(6)項における「関連付け部(ペアリング部)」の一例および「関連付け工程(ペアリング工程)」の一例を構成していると考えることが可能である。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうち、図19のプログラムを実行する部分が、前記(7)項における「第1異常判定部」の一例および「第1異常判定工程」の一例を構成し、図20のプログラムを実行する部分が、同項における「第2異常判定部」の一例および「第2異常判定工程」の一例を構成していると考えることが可能である。
<第2の実施形態>
次に、図19−図21を参照することにより、本発明の例示的な第2の実施形態に従うシステム10を説明する。ただし、第1実施形態に従う自転車レンタル・システムと共通する部分については、同じ符号および名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
本実施形態においては、前述の第1の実施形態と同様に、各ステーション20(不動産の一例)と、各自転車12(動産の一例)とに、それぞれ固有の識別信号を発信する第1発信機30および第2発信機32がそれぞれ設置される。
ユーザの位置は、第1発信機30の位置と第2発信機32の位置という2つの基準位置に対して相対的に検出される。第1発信機30の位置は、絶対空間に常時固定されていて、時不変であるのに対し、第2発信機32の位置は、絶対空間に常時固定されておらず、時可変であり、よって、第1発信機30の位置に対して相対的に変化する。
また、ユーザの位置は、第1発信機30の位置に対して相対的に変化し、その変化は、ユーザの、ステーション20に対する入場・出場や接近・離間という動的挙動を反映する。
これに対し、ユーザの位置は、第2発信機32の位置に対して相対的に変化し、その変化は、ユーザの、自転車12に対する乗車・降車や接近・離間という動的挙動を反映する。
例えば、ユーザへの自転車12の貸出し時からユーザからの返却時までのレンタル期間のうち、ユーザが自転車12で移動する期間においては、ユーザと一体的に移動する。その結果、その移動期間においては、ユーザの位置の時間的推移と自転車12の位置の時間的推移とは互いに実質的に同期しつつ一致する。
これに対し、図13(a)に例示する自転車認識用受信信号に示すように、貸出処理のために、ユーザが自転車12に接近するがまだ到着していない段階では、ユーザは、第2発信機32から離れていて携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できないが、自転車12に到着すれば(例えば、乗車すれば)、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できる状態に遷移するというように、第2発信機32の受信状態、すなわち、前記自転車認識用受信信号が動的に変化する(今回の場合は、その信号が立ち上がる)。
また、図13(a)に例示する自転車認識用受信信号に示すように、返却処理のために、ユーザが自転車12に乗車しているかまたは接近している段階では、ユーザは、第2発信機32に接近していて携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できるが、自転車12から降車すると、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できない状態に遷移するというように、第2発信機32の受信状態、すなわち、前記自転車認識用受信信号が動的に変化する(今回の場合は、その信号が立ち下がる)。
また、ユーザが、自転車12の貸出し時と返却時とにそれぞれ示す標準的な動的挙動の特性は既知であり、また、その標準的な動的挙動の特性は、自転車12の貸出し時と返却時で互いに異なることが事前に判明している。
よって、ユーザの携帯端末90を用い、かつ、前記ステーション認識用受信信号と前記自転車認識用受信信号との関係に着目すれば、ユーザの実際の挙動を推定でき、ひいては、その推定結果と上述の既知の動的挙動特性とを組み合わせることにより、ユーザの動的挙動が正常であるか否かを判定することが可能である。
そこで、本実施形態においては、携帯端末90が、第1発信機30および第2発信機32からそれぞれ、近距離通信方式で、かつ、互いに同期的に(各時刻に関して互いに同期するように)受信した第1受信信号(前記ステーション認識用受信信号)および第2受信信号(前記自転車認識用受信信号)間の関係の時間的変化に基づき、各自転車12の各ステーション20に対する相対的な挙動を推定し、さらに、その推定された挙動が正常であるか否かを判定する。
<貸出時異常判定シーケンス>
本実施形態においては、図21(a)に示すように、自転車12の貸出処理期間であってユーザの貸出ステーション20への入場時刻から退場時刻までの期間のうちの退場時刻の付近において、ユーザの挙動の推定と、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つの異常の有無の判定とが行われる。
具体的には、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32がいずれも正常であれば、ユーザの退場時刻、すなわち、ステーション認識用受信信号の立ち下がりのタイミングで、図21(a)に破線で示すように、自転車認識用受信信号がハイレベルとなるはずである。なぜなら、貸出処理期間においては、ユーザのステーション20からの退場時刻に、ユーザは自転車12に乗車しているか、または、少なくとも自転車12の近傍に存在するはずであり、その状態においては、ユーザの携帯端末90が第2発信機32を有効に受信可能であるからである。
なお、第2発信機32の第2有効受信エリアが、貸出処理の終了後の期間においても、前述のショートレンジに設定される場合には、ユーザが自転車12に乗車して運転している期間中、ユーザが携帯端末90を携帯している(例えば、体に身に付けている)が携帯端末90を第2発信機32にかざさないと、その運転期間中、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できない。
これに対し、本実施形態においては、貸出処理が終了する(例えば、ユーザが貸出リクエストを発する)と、第2発信機32の第2有効受信エリアの受信半径設定値が拡大される。第2発信機32についての受信レンジがショートレンジから前述のミディアムレンジ(またはロングレンジ)に拡大されるのである。
その結果、貸出処理が終了すると、ユーザが自転車12に乗車している限り、ユーザがわざわざ携帯端末90を第2発信機32にかざさなくても、携帯端末90は第2発信機32を有効に受信できる。
なお、上記貸出処理の後、返却処理が開始されると、第2有効受信エリアは、前記ショートレンジに復元される。メディアムレンジのままにしておくと、返却処理において、ショテーション20において、携帯端末90が、自分の自転車12の近くにある別の自転車12の第2発信機32を有効に受信してしまうおそれがあり、それを排除するためである。
ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つが異常であれば、ユーザの退場時刻、すなわち、ステーション認識用受信信号の立ち下がりのタイミングで、図21(a)に実線で示すように、自転車認識用受信信号がローレベルとなってしまう。この現象を検知すれば、異常を検知できるはずである。
図19には、以上説明した信号処理を実現するための貸出時異常判定シーケンス・フローがフローチャートで表されている。その貸出時異常判定シーケンス・フローは、図11(a)に示す貸出時異常判定モジュールの携帯端末90による実行と図11(b)に示す貸出時異常判定モジュールの管理サーバ50による実行とによって達成される。それら貸出時異常判定モジュールは、前記予約あり時貸出処理モジュールまたは前記予約なし時貸出処理モジュールの実行終了後に自動的に起動される。
図19に示すように、貸出時異常判定シーケンス・フローにおいては、ステップS501において、携帯端末90が、メモリ132において、今回の第1発信機30に対応する正規第1発信機IDと、今回の第2発信機32に対応する正規第2発信機IDとを検索する。それら発信機IDは、貸出処理モジュールの実行により、メモリ132に保存されている。
次に、ステップS502において、携帯端末90が、第2発信機32についての受信レンジがミディアムレンジ(またはロングレンジ)に拡大された状態(現時点においては、ショートレンジに維持された状態であっても支障はない)で、第1発信機30および/または第2発信機32から有効に信号を受信し、続いて、ステップS503において、携帯端末90が、その受信した信号を復調することにより、実第1発信機IDおよび/または実第2発信機IDを取得する。
その後、ステップS504において、携帯端末90が、その取得された実第1発信機IDおよび/または実第2発信機IDの中に、前記正規第1発信機IDと一致するものが存在するか否かを判定する。
今回は、正規第1発信機IDと一致する実発信機IDが存在する、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第1発信機30を有効に受信したと仮定すると、ステップS504の判定がYESとなり、ステップS505において、正規の第1発信機30が有効に受信されたときにONとされるフラグ(メモリ132に保存される)がONにされる。その後、ステップS502に戻る。
やがて、正規第1発信機IDと一致する実発信機IDが存在しなくなった、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第1発信機30を有効に受信しなくなったと仮定すると、ステップS504の判定がNOとなる。このとき、前記ステーション認識用受信信号の立ち下がりが出現する。
この場合、その後、ステップS506において、前記フラグがONであるか否かが判定されると、今回は、その判定がYESとなる。続いて、ステップS507において、現在、退場時であると判定される。
続いて、ステップS508において、携帯端末90が、第2発信機32については受信レンジがミディアムレンジ(またはロングレンジ)である状態で、前記第1発信機30および/または第2発信機32から有効に信号を受信し、続いて、ステップS509において、携帯端末90が、その受信した信号を復調することにより、実第1発信機IDおよび/または実第2発信機IDを取得する。
その後、ステップS510において、携帯端末90が、その取得された実第1発信機IDおよび/または実第2発信機IDの中に、前記正規第2発信機IDと一致するものが存在するか否かを判定する。
今回は、正規第2発信機IDと一致する実発信機IDが存在する、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第2発信機32を有効に受信したと仮定すると、ステップS510の判定がYESとなり、ステップS511において、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32が正常である判定される。続いて、ステップS512において、その判定結果が管理サーバ50に送信される。管理サーバ50は、ステップS601において、その判定結果を受信する。
これに対し、今回は、正規第2発信機IDと一致する実発信機IDが存在しない、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第2発信機32を有効に受信しなかったと仮定すると、ステップS510の判定がNOとなり、ステップS513において、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つが異常である判定される。続いて、ステップS512において、その判定結果が管理サーバ50に送信される。管理サーバ50は、ステップS601において、その判定結果を受信する。
<返却時異常判定シーケンス>
本実施形態においては、図21(b)に示すように、自転車12の返却処理期間であってユーザの返却ステーション20への入場時刻から退場時刻までの期間のうちの退場時刻の付近において、ユーザの挙動の推定と、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つの異常の有無の判定とが行われる。
さらに具体的には、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32がいずれも正常であれば、ユーザの退場時刻、すなわち、ステーション認識用受信信号の立ち下がりのタイミングで、図21(b)に破線で示すように、自転車認識用受信信号がローレベルとなるはずである。なぜなら、返却処理期間においては、ユーザのステーション20からの退場時刻に、ユーザは自転車12に乗車していないか、または、少なくとも自転車12の近傍に存在しないはずであり、その状態においては、ユーザの携帯端末90が第2発信機32を有効に受信不可能であるからである。
これに対し、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つが異常であれば、ユーザの退場時刻、すなわち、ステーション認識用受信信号の立ち下がりのタイミングで、図21(b)に実線で示すように、自転車認識用受信信号がハイレベルとなってしまう。この現象を検知すれば、異常を検知できる。
図20には、以上説明した信号処理を実現するための返却時異常判定シーケンス・フローがフローチャートで表されている。その返却時異常判定シーケンス・フローは、図11(a)に示す返却時異常判定モジュールの携帯端末90による実行と図11(b)に示す返却時異常判定モジュールの管理サーバ50による実行とによって達成される。それら返却時異常判定モジュールは、前記予約あり時返却処理モジュールまたは前記予約なし時返却処理モジュールの実行終了後に自動的に起動される。
図20に示すように、返却時異常判定シーケンス・フローにおいては、ステップS701−S709が、前述のステップS501−S509と同様に実行される。
その後、ステップS710において、携帯端末90が、その取得された実第1発信機IDおよび/または実第2発信機IDの中に、前記正規第2発信機IDと一致するものが存在しないか否かを判定する。
今回は、正規第2発信機IDと一致する実発信機IDが存在しない、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第2発信機32を有効に受信しなかったと仮定すると、ステップS710の判定がYESとなり、ステップS711において、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32がいずれもが正常である判定される。続いて、ステップS712において、その判定結果が管理サーバ50に送信される。管理サーバ50は、ステップS801において、その判定結果を受信する。
これに対し、今回は、正規第2発信機IDと一致する実発信機IDが存在する、すなわち、携帯端末90が今回の正規の第2発信機32を有効に受信したと仮定すると、ステップS710の判定がNOとなり、ステップS713において、ユーザの挙動、第1発信機30および第2発信機32のうちの少なくとも1つが異常である(例えば、ユーザによる自転車12の乗り逃げが発生した)と判定される。続いて、ステップS712において、その判定結果が管理サーバ50に送信される。管理サーバ50は、ステップS801において、その判定結果を受信する。
<本発明の実施形態による効果>
以上説明したいくつかの実施形態によれば、次のようないくつかの効果が得られる。
1)自転車レンタル・サービスに関連して携帯端末90において使用されるデータのセキュリティが向上するという効果
前述のようなバーコードに代えて各発信機30,32が使用されているため、各発信機30,32から受信した信号によって表されるデータであって携帯端末90において使用されるものをユーザが簡単に改ざんすることは不可能である。
よって、前述のいくつかの実施形態によれば、携帯端末90において使用されるデータのセキュリティが向上する。
2)ユーザが、貸出が行われたステーションとは別のステーションに自転車を返却することが可能となり、ユーザの利便性が向上するという効果
システム10は、第1発信機30および第2発信機32からのそれぞれの信号を携帯端末90が同時に受信しない(双方受信状態が成立せず、検出されない)限り、ユーザに対する自転車12の貸出しおよび返却が許可されないというように設計されている。そのため、ステーション20と自転車12との組合せであって携帯端末90において認識される(ひいては、管理サーバ50において認識されるもの)ものをユーザが簡単に改ざんすることができない。
よって、ステーション20と貸し自転車12との組合せを表すデータであって携帯端末90において使用されるもののセキュリティが向上する。その結果、ステーション20と自転車12との実際の組合せが貸出し時と返却時とで互いに異なることがあっても、それはユーザの改ざんが原因ではなく、ユーザが貸出ステーションとは別のステーションに自転車を返却したという事実が発生しても、その真実に対して管理センタ40が疑念を抱かずに済む。
その結果、ユーザが、貸出が行われたステーションとは別のステーションに自転車を返却することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
3)ユーザが自転車12をステーション20の敷地の外側というような予定外の場所に返却して放置してしまうというようなユーザの予定外の行動を防止することが容易となるという効果
前述のように、システム10は、第1発信機30および第2発信機32からのそれぞれの信号を携帯端末90で同時に受信しない(双方受信状態が成立せず、検出されない)限り、ユーザに対する自転車12の貸出しおよび返却が許可されないというように設計されている。
さらに、システム10においては、各自転車12の第2発信機32の有効受信半径が第1発信機30の有効受信半径より短くなるように設定され、具体的には、第2発信機32の有効受信半径が、ユーザが携帯端末90を第2発信機32に接近させてかざすか接触させないかまたは自転車12に乗車していない限り携帯端末90が第2発信機32を有効に受信できないように設定されている。
よって、第1発信機30の有効受信エリアの外側のある位置にユーザが自転車12と一緒に存在する場合に、携帯端末90が第1発信機30と第2発信機32とを同時に受信する(双方受信状態が成立し、検出される)可能性が低下する。
したがって、ユーザが自転車12を第1発信機30の有効受信エリアの外側やステーション20の境界線の外側という、予定外の場所に返却して放置してしまうというようなユーザの予定外の行動を防止することが容易となる。
以上説明したいくつかの実施形態は、種々の変更を加えた状態で実施することが可能である。
<第1の変形例>
例えば、上述の第2実施形態においては、第2発信機32の受信レンジが、貸出処理の開始時には、ショートレンジであり、その貸出処理が終了すると、貸出時異常判定のために、ミディアムレンジとなり、返却処理が開始されると、ショートレンジとなり、その返却処理が終了すると、返却時異常判定のために、ミディアムレンジとなり、それが終了すると、ショートレンジに復元するというように、ユーザの動作に応じて可変制御される。
本実施形態においては、説明の便宜上、システム10のうちこの可変制御を行う部分が、前記(4)項における「制御部」の一例および「制御工程」の一例を構成すると考えることが可能である。
これに対し、一変形例においては、予約ありの状態で自転車12の貸出しおよび返却を行う場合には、それら貸出しおよび返却に先立ち、正規の第2発信機32、ひいては、正規第2発信機IDが判明しているため、第2発信機32の受信レンジがミディアムレンジであるために携帯端末90が複数の第2発信機32を同時に受信(双方受信状態が成立)してしまっても、それら第2発信機32のうち、正規第2発信機IDを表す信号を発信しているもののみを正規第2発信機として選択し、他のものを除外するというようにフィルタリング処理を行うことが可能である。
よって、予約ありの状態で自転車12の貸出しおよび返却を行う場合には、第2発信機32の受信レンジを継続的にミディアムレンジに維持してもよい。
<第2の変形例>
前述の第1および第2の実施形態においては、貸出処理において、携帯端末90が第1発信機30を有効に受信している状態(ユーザがステーション20内に存在する状態)で、第2発信機32についての前記自転車認識用受信信号が立ち上がるタイミング(例えば、ユーザが自転車12に乗車するタイミング)で、自転車12の使用が開始されたと判定される。
これに対し、一変形例においては、携帯端末90が第2発信機32を有効に受信している状態(例えば、ユーザが自転車12に乗車している状態)で、第1発信機30についての前記ステーション認識用受信信号が立ち下がるタイミング(例えば、ユーザがステーション20から退場するタイミング)で、自転車12の使用が開始されたと判定してもよい。
<第3の変形例>
前述の第1および第2の実施形態においては、返却処理において、携帯端末90が第1発信機30を有効に受信している状態(ユーザがステーション20内に存在する状態)で、第2発信機32についての前記自転車認識用受信信号が立ち下がるタイミング(ユーザが自転車12から降車するタイミング)で、自転車12の使用が終了したと判定される。
これに対し、一変形例においては、第2発信機32についての前記自転車認識用受信信号の立下り後(例えば、ユーザが自転車12から降車した後)に、第1発信機30についての前記ステーション認識用受信信号が立ち下がるタイミング(ユーザがステーション20から退場するタイミング)で、自転車12の使用が終了したと判定してもよい。
<第4の変形例>
ユーザが自転車12を返却するのに先立ち、ユーザの現在位置の近傍に位置する複数のステーション20から、空きがあるものを候補ステーションとして選択し、その選択された候補ステーション20を携帯端末90の画面135上に表示してもよい。
その際、ユーザが、空き数が多いステーション20に返却する場合は、空き数が少ないステーション20に返却する場合より多いポイントがユーザに付与されるようにし、それにより、ユーザの力を借りて、返却された自転車12が複数のステーション20に最適な方法で分配され、それにより、収容可能台数以上の自転車12があるステーション20に集中したり、全く空き自転車12が存在しないステーション20が発生することを防止することが容易となる。
<第5の変形例>
以上説明したいくつかの実施形態においては、ユーザによって選択された動産の一例としてのステーション20の識別情報と、ユーザによって選択された不動産の一例としての自転車12の識別情報とのペア、すなわち、ユーザの携帯端末90によって一緒に受信された第1発信機30および第2発信機32がそれぞれ設置されているステーション20および自転車12のペアが、ユーザの識別情報としてのユーザIDに関連付けられ、それにより、そのユーザの挙動が経時的に監視される。
これに対し、同じ用途に用いられるユーザの識別情報の別の例としては、携帯端末90の電話番号、電子メールアドレス、MACアドレスなどの固有のデバイス・アドレスなどがある。
なお、以上説明したいくつかの実施形態は、種々の変更を加えた状態で実施することが可能であり、例えば、携帯端末90によるデータ処理のうちの少なくとも一部と同じデータ処理を管理サーバ50によって実行するように改良したり、逆に、管理サーバ50によるデータ処理のうちの少なくとも一部と同じデータ処理を携帯端末90によって実行するように改良することが可能である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。