JP6365443B2 - 酸化ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、これを焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する方法に関する。
酸化ニッケル粉末は、フェライトの構成原料として電子部品であるインダクタ等の機能性材料や、ソーダ電解における電極の溶射ライニング材料等として工業的に広く用いられている。特に近年では、小型パーソナルコンピューターやスマートフォン等の移動式端末の普及とその性能向上に伴って、電子部品用途において旺盛な需要が続いている。
一般的にフェライト原料としての酸化ニッケル粉末は、酸化鉄や酸化亜鉛等の他の材料と混合して焼結されるが、高密度且つ均質な焼結体を得るため粒子径の小さなものが望まれている。また、フェライトがインダクタとして用いられる場合には、中心部のコイルを形成する銀が硫化反応により劣化するため、硫黄含有率が低い酸化ニッケル粉末が要求されている。
一方で、電極用途としての酸化ニッケル粉末には、より低密度で多孔質の焼結体を得るために、電子部品用途と比較すれば粒子径が大きいのもが必要とされている。このように、酸化ニッケル粉末には機能性材料として多種多様な品質と性質が要求されており、従って酸化ニッケル粉末の製造工程では、これらの要求を満足する製品を安定的に製造することが非常に重要になっている。
かかる酸化ニッケル粉末は、一般的に硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等のニッケル化合物を原料とし、キルン等の転動炉を用いて酸化性雰囲気で焙焼することによって製造される。例えば、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、これをロータリーキルン等の焙焼炉で焙焼して酸化ニッケル粉末を製造することが行われてきた。
具体的な酸化ニッケル粉末の製造方法として、例えば図1に示すように、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、これを第1焙焼炉に定量装入して、450〜600℃の温度でか焼することにより無水硫酸ニッケル粉末とする。第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末は、連通設備を用いて第2焙焼炉に供給され、950〜1150℃の温度で焙焼することによって酸化ニッケル粉末が得られる。
更に詳しく説明すると、まず、原料の結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を第1焙焼炉において450〜600℃の温度でか焼する。この第1焙焼炉でのか焼によって、例えば原料の硫酸ニッケルが6水和物である場合には下記化学式1に示すように、硫酸ニッケル6水和物が熱分解によって無水硫酸ニッケルとなり、結晶水は水蒸気となって排ガスに持ち去られる。
[化1]
NiSO・6HO→NiSO+6H
第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末は、連通設備により下方に設置された第2焙焼炉に送られ、更に950〜1150℃で焙焼する。この第2焙焼炉での焙焼によって、下記化学式2及び化学式3に示すように、無水硫酸ニッケルが熱分解されて酸化ニッケル粉末が得られる。その際、原料中の硫酸根(SO)は、硫酸ガス(SO)又は亜硫酸ガス(SO)となって排ガスに持ち去られる。
[化2]
NiSO→NiO+SO
[化3]
NiSO→NiO+SO+1/2O
上記第1焙焼炉と第2焙焼炉では、それぞれ発生するガスを速やかに排出し、炉内で熱分解されている粉末の粒子界面における気相部のガスを速やかに空気と置換するために、図1に示すように、各焙焼炉の排出側からフリーエアーを導入しながら、装入側からファン等の吸引機によって排ガスを排出するようになっている。また、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスは含まれる成分が異なるため、それぞれ別の排ガス処理設備による処理が行われている。
即ち、第1焙焼炉の排ガスについては、結晶水を含有する硫酸ニッケルや無水硫酸ニッケルから発生した微細なダストを含むため、これらのダストを除塵設備で回収した後、大気に放出される。一方、第2焙焼炉の排ガスについては、洗浄塔方式の除害塔により、水やアルカリ水溶液に硫酸ガス(SO)及び亜硫酸ガス(SO)を吸収して無害化された後、大気に放出される。尚、炉内で熱分解中の粒子界面に存在する気相部のガスを速やかに空気と置換するための最適な設備として、第1焙焼炉及び第2焙焼炉には一般にロータリーキルンが採用されている。
上記第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末は、図1に示すように、第1焙焼炉と第2焙焼炉の間に設けられた連通設備によって下方の第2焙焼炉に供給される。上記の連通設備は、一般的に図2に示すように、第1焙焼炉の出口に設けた排出シュート1及び第2焙焼炉の入口に設けた装入シュート2と、その間に設けた中間ホッパー3とを備え、排出シュート1の仕切弁1aと中間ホッパー3の仕切弁3aの開閉動作によって、第1焙焼炉から第2焙焼炉への無水硫酸ニッケル粉末の受渡しが行われるようになっている。尚、仕切弁としては一般的にダンパーが使用されている。
一方、反応系の排ガス処理に関しては、例えば特許文献1には、粒状の吸着材を充填した移動層式の反応塔と、反応塔の塔底から吸着材を排出するための排出コンベアと、反応塔の塔頂に吸着材を供給するための供給コンベアとを備えた排ガス処理装置において、反応塔の排出口の下流側に2つの自動開閉弁により形成される第1の密閉系を設け、反応塔の供給口の上流側に2つの自動開閉弁により形成される第2の密閉系を設け、各密閉系を乾燥雰囲気とするためのガスの供給口を設け、且つ移動層における吸着材を断続的に流すように構成したことを特徴とする排ガス処理装置が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1は、従来は連続的に吸着材を供給し且つ排出していた装置について、第1及び第2の密閉系を乾燥雰囲気とするためのガスの供給口を設けることで断続式の装置に変え、そのことによって装置を簡素化し、装置の高さを低くすることを狙ったものである。上記各密閉系へのガスの供給は、反応塔内のガスを反応塔外に流出させないための手段となっている。
また、特許文献2には、廃棄物を投入するための投入口を有する投入ホッパーと、投入ホッパーに投入された廃棄物を高温溶融させて無害化する溶融炉と、投入ホッパーと溶融炉の間に配設され、複数個の仕切弁及びこれらの仕切弁で仕切られた閉空間をもち、閉空間内に不活性ガスを吹き込むガス供給ノズルを配設した複数個のホッパー室を有する多段仕切弁システムとを具え、仕切弁で仕切られたホッパー室の閉空間内にガス供給ノズルを通じて不活性ガスを充填し、閉空間内の圧力を炉内圧力に対して98〜980Paだけ高く設定することにより、溶融炉内への廃棄物投入時の炉内圧力の変動を抑制することを特徴とする廃棄物の処理装置が開示されている。
上記特許文献2によれば、溶融炉内への廃棄物投入時の炉内圧力の変動を抑制することができ、これによって炉内の均一な燃焼状態が維持でき、燃焼効率を向上させることができ、加えて、生成ガス中の可燃ガスが炉外に排出されても大気中の酸素と接触することがないので、火災や爆発の恐れもなくなることが記載されている。
しかし、上記の特許文献1及び特許文献2に開示された方法や装置は、反応塔や溶融炉内の排ガスが外部に漏洩することを防止するための技術であり、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料として酸化ニッケル粉末を製造する際に、第1焙焼炉の出口と第2焙焼炉の入口の間に設ける連通設備において、それぞれの焙焼炉からの排ガスの混合を防止する技術とは異なる。
特開平11−137945号公報 特開2005−042954号公報
上記したように結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、第1焙焼炉と第2焙焼炉を用いて酸化ニッケル粉末を製造する方法においては、第2焙焼炉での焙焼により発生した硫酸ガス(SO)及び亜硫酸ガス(SO)を含む排ガスが連通設備を通って第1焙焼炉に流入しないように、第2焙焼炉の入口側の負圧を第1焙焼炉の出口側よりも高く設定している。そのため、第2焙焼炉内で発生した硫酸ガス(SO)や亜硫酸ガス(SO)を含む排ガスは、第2焙焼炉への装入シュートまでは上昇しても、原則的に連通設備の中間ホッパー内に入ることはないと考えられていた。
しかしながら、第2焙焼炉の炉内温度は第1焙焼炉の炉内温度よりも高温であるため、中間ホッパーの仕切弁が開いた状態となったとき、第2焙焼炉で発生した硫酸ガス(SO)や亜硫酸ガス(SO)を含む排ガスの上昇流が発生することがある。図2を参照して説明すると、中間ホッパー3の仕切弁3aが開いた状態となったとき、第2焙焼炉から炉内温度が相対的に低い第1焙焼炉に向かって上昇流が発生する。その際に、第2焙焼炉で発生した硫酸ガス(SO)や亜硫酸ガス(SO)が、開いた仕切弁3aを通過して中間ホッパー3内に入り、第1焙焼炉で発生して中間ホッパー3内に滞留している水蒸気と混合することによって硫酸が生成される。
その結果、生成された硫酸が結露したり、結露した硫酸に無水硫酸ニッケル粉末が固着して付着物が生成したりすることによって、仕切弁の作動不良や、第1焙焼炉から第2焙焼炉への無水硫酸ニッケル粉末の供給不良あるいは供給バラツキの発生など、安定操業を阻害する数多くの要因が引き起こされることがあり、稀には腐食により中間ホッパー等に穴開きが発生することもある。このような場合には、操業を停止してメンテナンスをせざるを得なくなり、生産効率やコストにも重大な影響を及ぼすことになる。
更には、第2焙焼炉の排ガスの一部が連通設備を通って第1焙焼炉にまで達すると、第1焙焼炉の排ガス処理設備にまで硫酸ガス(SO)及び亜硫酸ガス(SO)が導入されることになる。その場合には、連続式のSOx計の測定値が閾値を超えることがあるため、排ガスルートの切替えや操業停止など、環境トラブルに対する緊急の処置が必要となることがあった。
また、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、これを焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する方法においては、たとえ原料として高純度の硫酸ニッケル粉末を用いたとしても、硫酸ニッケルにはニッケルと等モルの硫酸根が含まれているため、焙焼条件等にもよるが、得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率が高目になり易いという課題があり、その解決も望まれていた。
ところが、上記した第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスが混合した場合には、仕切弁を含めた連通設備内への付着物の生成によって第2焙焼炉への無水硫酸ニッケル粉末の供給速度が変動し、且つ仕切弁のシール性の悪化や穴開き部からの空気の混入によって第2焙焼炉内の空気の流通状態が悪くなるため、得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率が高くなり、また、硫黄含有率のバラツキが大きくなるという製品品質面での問題も発生していた。
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を原料とし、焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する方法において、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの混合を防止して、設備の腐食、付着物の生成、環境トラブルによる操業不安定化を解消し、製品品質を安定化させることが可能な、酸化ニッケル粉末の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、第1焙焼炉の出口と第2焙焼炉の入口の間に配設された無水硫酸ニッケル粉末を受渡しするための連通設備において、複数の仕切弁にて間仕切りをすることで閉空間を形成できる中間ホッパーに加圧空気を供給することによって、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの混合を防止することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の酸化ニッケル粉末の製造方法は、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を第1焙焼炉でか焼して無水硫酸ニッケル粉末とし、得られた無水硫酸ニッケル粉末を第2焙焼炉において排出側からフリーエアーを導入しながら焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する方法において、第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末を、第1焙焼炉の排出シュートと第2焙焼炉への装入シュートの間に中間ホッパーを有する連通設備を用いて第2焙焼炉に供給すると共に、中間ホッパー内に開口した排出シュートの下端開口部と装入シュート内に開口した中間ホッパーの下端開口部とにガスシール可能な仕切弁を設け、且つ該排出シュートの下端開口部に設けた仕切弁と該中間ホッパーの下端開口部に設けた仕切弁とが閉じて閉空間が形成された状態における該中間ホッパーのゲージ圧力が490〜980Paの範囲となるように該中間ホッパー内への加圧空気供給を制御することを特徴とする。
本発明によれば、結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する際に、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの混合によって引き起こされる不具合、即ち設備の腐食、付着物の生成、環境トラブル等による操業の不安定化を解消して、製品品質を安定化させることができる。
結晶水を含有する硫酸ニッケルを原料とし、これを焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する工程を示す概略図である。 第1焙焼炉の出口と第2焙焼炉の入口の間に設ける連通設備を示す概略の断面図である。 連通設備による第1焙焼炉の出口から第2焙焼炉の入口への無水硫酸ニッケル粉末の供給過程(a)〜(d)を示す概略の断面図である。
一般的に、連通設備による第1焙焼炉の出口から第2焙焼炉の入口への無水硫酸ニッケル粉末の供給過程においては、まず図3(a)に示すように、排出シュート1の仕切弁1aと中間ホッパー3の仕切弁3aを共に閉じた状態で、第1焙焼炉(図示せず)の出口から無水硫酸ニッケル粉末を排出シュート1に投入する。尚、第1焙焼炉の出口から排出シュート1への無水硫酸ニッケル粉末の投入は、排出シュート1の仕切弁1aの開閉状態にかかわらず続けることができる。
排出シュート1内に所定量の無水硫酸ニッケル粉末が溜まったとき、図3(b)に示すように、排出シュート1の仕切弁1aが開き、排出シュート1内の無水硫酸ニッケル粉末は中間ホッパー3に投入される。次に排出シュート1の仕切弁1aが閉じられ、図3(c)に示すように、排出シュート1の仕切弁1aと中間ホッパー3の仕切弁3aが共に閉じた状態で、第1焙焼炉の出口から排出シュート1への無水硫酸ニッケル粉末の投入が続けられる。
そして、中間ホッパー3内に所定量の無水硫酸ニッケル粉末が溜まると、図3(d)に示すように、中間ホッパー3の仕切弁3aが開かれて、中間ホッパー3内の無水硫酸ニッケル粉末は装入シュート2に投入され、第2焙焼炉(図示せず)に供給される。このように図3の(a)〜(d)の動作を繰り返すことによって、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスを混合させることなく、無水硫酸ニッケル粉末を第1焙焼炉から第2焙焼炉に受け渡すことができる。
しかしながら、上記したように従来の酸化ニッケル粉末の製造方法では、上記供給過程において図3(d)に示すように中間ホッパー3の仕切弁3aが開かれた際に、第2焙焼炉から第1焙焼炉に向かって硫酸ガス(SO)や亜硫酸ガス(SO)を含む排ガスの上昇流が発生しやすいという問題があった。この上昇流により、既に述べたように連通設備の主に中間ホッパー3内において、第1焙焼炉で発生した排ガス中の水蒸気と反応して硫酸が生成され、この硫酸によって設備の腐食や付着物の生成等が起こり、操業の不安定化等が生じていた。
そこで、本発明においては、第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末を排出シュートと中間ホッパーと装入シュートが上下方向に順に配設された連通設備を用いて第2焙焼炉に供給すると共に、中間ホッパー内に開口した排出シュートの下端開口部と装入シュート内に開口した中間ホッパーの下端開口部とにガスシール可能な仕切弁を設け、且つ中間ホッパー内に加圧空気を供給する。この中間ホッパー内への加圧空気の供給によって、上記した第2焙焼炉から第1焙焼炉への上昇流の発生を抑え、硫酸の生成をなくすことができる。
また、酸化ニッケル粉末の製造原料として結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を用いた場合、硫酸ニッケルが規則的な結晶構造を持つため、粒子径が小さく粒径分布の狭い酸化ニッケル粉末が得られる利点がある。このような粒子径が小さく粒径分布の狭い酸化ニッケル粉末は、電子部品のフェライト原料として極めて良好なものである。しかしながら、得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率に関しては、たとえ原料として高純度の硫酸ニッケル粉末を用いたとしても、ニッケルと等モルの硫酸根が含まれるため、焙焼条件等にもよるが硫黄含有率が高目になり易いという課題があった。
得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率を低くするためには、基本的には、第2焙焼炉での焙焼温度を上昇させて、無水硫酸ニッケルの熱分解反応速度を増加させればよいことが知られている。しかしながら、第2焙焼炉での焙焼温度を上昇させると、得られる酸化ニッケル粉末の粒径が大きくなる、即ち1次粒子同士が焼結した2次粒子がより肥大化し易くなるという欠点がある。
一方、無水硫酸ニッケルの熱分解反応では、ガス拡散率速となって反応が進むことから、得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率を低下させる方策として、粒子界面の気相部におけるSO及びSOの濃度を低下させることが有効である。そのためには、粒子表面に均一に空気を当てることで粒子界面の気相部のSOガスやSOガスを空気と置換すること、並びに無水硫酸ニッケルの供給速度を極力一定にすることが大事になる。
以上まとめると、本発明の酸化ニッケル粉末の製造方法により粒子径が小さく且つ硫黄含有率が低い酸化ニッケル粉末を安定的に製造するためには、上記のごとく中間ホッパー内に加圧空気を供給することに加えて、第2焙焼炉での焙焼温度を出来るだけ上昇させずに、原料である無水硫酸ニッケル粉末の供給速度を極力一定に保持することによって粉末粒子の表面に均一に空気を当てることが重要となる。
ただし、中間ホッパー内への加圧空気の過剰な供給は、上記のごとく第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの分離には有効ではあるが、本来なら第2焙焼炉の排出側から導入されるはずのフリーエアーの代わりに装入側からエアー(加圧空気)を導入することになる。そのため、供給された加圧空気の分だけ排出側のフリーエアー量が低下し、第2焙焼炉内における硫酸ガス(SO)及び亜硫酸ガス(SO)の置換効率が低下して、得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有率が高くなりやすい。逆に加圧空気の供給量が少な過ぎると、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの混合を防止するという本発明本来の効果が得られなくなる。
これらの点を考慮すると、加圧空気を供給する中間ホッパー内のゲージ圧力は、排出シュートの下端開口部と中間ホッパーの下端開口部に設けた仕切弁が閉じて閉空間が形成された状態において、490〜980Pa(50〜100mm水柱)の範囲に制御することが好ましい。その際、圧力制御ではなく、中間ホッパー内が上記ゲージ圧力となるような流量を供給し、流量制御とすることが好ましい。酸化ニッケル粉末の硫黄含有率を決定する重要な因子が第2焙焼炉の排出側から導入されるフリーエアー量であり、また中間ホッパー内のゲージ圧力の低下によって、本発明の副次的な効果として仕切弁のシール性の悪化を検出することができるからである。
[従来例]
原料である結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を第1焙焼炉でか焼して無水硫酸ニッケル粉末とし、得られた無水硫酸ニッケル粉末を第2焙焼炉で焙焼することによって、酸化ニッケル粉末を製造する操業を約9ヶ月間継続して実施した。尚、第1焙焼炉としては外径800mm、長さ10.5mのステンレス鋼製の外熱式ロータリーキルンを用い、第2焙焼炉としては外径827mm、長さ9mのNi−Cr−W合金製の外熱式ロータリーキルンを用いた。
第1焙焼炉の出口と第2焙焼炉の入口の間には、図2に示すように、排出シュート1と中間ホッパー3と装入シュート2が上下方向に順に配設された構造の連通設備を設置した。また、操業条件は、第1焙焼炉への硫酸ニッケル粉末の装入量を90〜120kg/h、第1焙焼炉のか焼温度を450〜600℃及び回転数を0.33rpmとし、第2焙焼炉の焙焼温度は950〜1150℃及び回転数を1rpmとした。
原料として用いた硫酸ニッケル粉末は、Niが22.3重量%、Coが10重量ppm未満、Cuが1重量ppm未満、Feが1重量ppm未満、Znが1重量ppm未満、Mgが100重量ppm未満、Siが50重量ppm未満、Naが20重量ppm未満、Caが30重量ppm未満の組成であった。
第2焙焼炉から排出された焙焼物を常温まで冷却した後、アトマイザーで粉砕して酸化ニッケル粉末を得た。得られた酸化ニッケル粉末の硫黄含有率を、ロット毎に、高周波燃焼−赤外吸収法により測定した。尚、1ロットの大きさは1〜2tであり、1〜4日の産出分に相当する。
その結果、得られた酸化ニッケル粉末の硫黄含有率は、平均で592重量ppmであり、標準偏差は211重量ppmであった。尚、約9か月間の継続操業の間に、中間ホッパーの入口側及び出口側の仕切弁が腐食したため、それぞれ2回の交換作業を行った。また、第1焙焼炉の排ガス中のSOx濃度について、管理値を超えるトラブルが3回発生した。
[実施例1]
上記従来例と同じ第1焙焼炉と第2焙焼炉及び連通設備を使用し、中間ホッパー2内に約1m/分の流量で加圧空気を供給した以外は上記従来例と同じ条件により、原料の結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する操業を約9ヶ月間継続して実施した。尚、中間ホッパー内のゲージ圧力は、排出シュートの下端開口部と中間ホッパーの下端開口部に設けた仕切弁が閉じて閉空間が形成された状態において、490〜980Pa(50〜100mm水柱)の範囲となるように調整した。
その結果、得られた酸化ニッケル粉末の硫黄含有率は、平均で314重量ppmであり、標準偏差は65重量ppmであった。また、仕切弁を含めた中間ホッパーの腐食は認められず、その交換作業も実施する必要が無かった。また、第1焙焼炉の排ガス中のSOx濃度についても、管理値を超えるトラブルは発生しなかった。
以上の結果から、本発明の実施によって、第1焙焼炉の排ガスと第2焙焼炉の排ガスの混合によって引き起こされる不具合、即ち設備の腐食、付着物の生成、環境トラブルによる操業不安定化を解消し、製品品質を安定化させることができることが分かる。
1 排出シュート
1a 仕切弁
2 装入シュート
3 中間ホッパー
3a 仕切弁

Claims (2)

  1. 結晶水を含有する硫酸ニッケル粉末を第1焙焼炉でか焼して無水硫酸ニッケル粉末とし、得られた無水硫酸ニッケル粉末を第2焙焼炉において排出側からフリーエアーを導入しながら焙焼して酸化ニッケル粉末を製造する方法において、
    第1焙焼炉で得られた無水硫酸ニッケル粉末を、第1焙焼炉の排出シュートと第2焙焼炉への装入シュートの間に中間ホッパーを有する連通設備を用いて第2焙焼炉に供給すると共に、中間ホッパー内に開口した排出シュートの下端開口部と装入シュート内に開口した中間ホッパーの下端開口部とにガスシール可能な仕切弁を設け、且つ該排出シュートの下端開口部に設けた仕切弁と該中間ホッパーの下端開口部に設けた仕切弁とが閉じて閉空間が形成された状態における該中間ホッパーのゲージ圧力が490〜980Paの範囲となるように該中間ホッパー内への加圧空気供給を制御することを特徴とする酸化ニッケル粉末の製造方法。
  2. 前記第2焙焼炉の入口側が負圧であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。
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