JP3583067B2 - 移動炉床式熱処理炉の排出装置およびその操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動炉床式熱処理炉の排出装置およびその操業方法に関する。
より詳しくは、移動炉床式熱処理炉、および下流側設備の操業が妨げられることがなく、再酸化性の恐れが高い還元鉄を、排出する場合においても還元鉄を再酸化させることがなく、定量的、かつ連続的に排出することができ、しかも構成部品の損耗を少なくすることを可能ならしめるようにした移動炉床式熱処理炉の排出装置およびその操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、近年、鉄鉱石、または製鉄所のダスト、その他の廃棄物、石炭等を成分とする原料を還元することによって、還元鉄または金属鉄を製造する移動炉床式熱処理炉が広く利用されるようになってきている。還元鉄または金属鉄を製造する移動炉床式熱処理炉は、その移動炉床上で原料を還元、または還元後に、さらなる加熱により鉄とスラグを溶融分離させる。そして、排出口から排出された再酸化性の高い還元鉄または再酸化の問題のない金属鉄(以下、被熱処理物という。)、炭素質粉、スラグ混合物を炉外に排出するための排出装置を備えているが、このような移動炉床式熱処理炉の排出装置には種々の形態のものが知られている。
【0003】
先ず、従来例1に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置は、この移動炉床式熱処理炉の被熱処理物の排出口と下流側設備との間に配設されるシュートと、このシュートに配設され、移動炉床式からの高温ガスの流出を阻止する2段構え、またはそれ以上の段数の周知の構成になる高温開閉弁とから構成されている。つまり、高温開閉弁相互の開閉操作により、移動炉床式熱処理炉からの高温ガスの流出を阻止しながら、被熱処理物を炉外に排出すると共に、排出された被熱処理物を下流側設備に供給する構成になるものである。
【0004】
従来例2に係る移動炉床式熱処理炉の物排出装置は、この移動炉床式熱処理炉の被熱処理物を排出する排出口と取外し式密閉容器との間に配設されるシュートと、このシュートの途中に配設される周知の構成になる高温開閉弁とから構成されてなるものである。
【0005】
従来例3に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置は、この移動炉床式熱処理炉の被熱処理物を排出する排出口に一端側が接続されたシュートの他端側に、振動フィーダー、スクリュコンベヤ、またはパンコンベヤ等の定量排出機器が配設されてなる構成になるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例1に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置では、移動炉床式熱処理炉の排出口から排出される被熱処理物は最高1000℃もの高温であるのに加えて、粉体(炭素質粉)も排出されるため、高温開閉弁に閉塞、固着等のトラブルが発生し易く、安定操業の継続が困難である。また、高温開閉弁による被熱処理物の排出は断続的であり、特に下流側に溶解炉が設置されている場合には連続溶解ができず、還元鉄または金属鉄の生産性の向上が望めないという解決すべき課題があった。
【0007】
上記従来例2に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置では、高温開閉弁について上記従来例1の場合と同様の問題があるのに加えて、移動炉床式熱処理炉と取外し式密閉容器との間に配設されるシュートとを完全に密閉構成にすることが困難であり、特に移動炉床式熱処理炉を負圧で操業する場合、移動炉床式熱処理炉内に空気が流入する危険性が大である。つまり、移動炉床式熱処理炉内に空気が流入すると、還元された還元鉄が再酸化して製品価値が低下すると共に、酸化時の熱により還元鉄が溶融して融着したり、炭素質粉が燃焼する等の問題が生じて排出困難となり、さらに製品価値が低下することになる。
【0008】
上記従来例3に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置では、被熱処理物を定量的に排出することができるという利点があるものの、振動フィーダー、スクリュコンベヤ、またはパンコンベヤ等に、耐高温性、気密性に関する問題があり、上記従来例2の場合と同様に、還元鉄が再酸化して製品価値が低下すると共に、酸化時の熱により還元鉄が溶融して還元鉄同志が融着したり、炭素質粉が燃焼する等の問題が生じる。また、振動フィーダー、スクリュコンベヤ、パンコンベヤ等のうち、最も気密性が優れているのはスクリュコンベヤであるが、スクリュコンベヤでは、構造上、スクリュシャフトが高温の被熱処理物に直接接触するため、耐熱性の問題に加えて、摩耗による消耗が激しくメンテナンスコストが嵩むという解決すべき課題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、移動炉床式熱処理炉、および下流側設備の操業が妨げられることがなく、再酸化性の恐れが高い還元鉄を、排出する場合においても還元鉄を再酸化させることがなく、定量的、かつ連続的に排出することができ、しかも構成部品の損耗を少なくすることを可能ならしめる移動炉床式熱処理炉の排出装置および移動炉床式熱処理炉の操業方法を提供することである。なお、本発明は、還元鉄または金属鉄を対象として限定するものではなく、非鉄金属等を含有する熱処理された金属含有物を対象とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置が採用した手段の特徴とするところは、移動炉床式熱処理炉から被熱処理物を下流側設備に排出する移動炉床式熱処理炉の排出装置であって、ケーシング内に、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を受入れて一時的に保持する受入れ凹所を備えた凹状保持部材と、前記受入れ凹所の面に沿うように往復動して、この受入れ凹所内に保持されている被熱処理物を前記ケーシング内に排出するスクレーパーとを設けたところにある。
【0011】
本発明の請求項2に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置が採用した手段の特徴とするところは、請求項1に記載に移動炉床式熱処理炉の排出装置において、前記移動炉床式熱処理炉と前記凹状保持部材との間に、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を前記凹状保持部材の受入れ凹所に導くシ−ルレグを配設したところにある。
【0012】
本発明の請求項3に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置が採用した手段の特徴とするところは、請求項2に記載に移動炉床式熱処理炉の排出装置において、前記ケーシング内に再酸化防止ガスを吹込むガス吹込みノズルを、前記シールレグに連通させたところにある。
【0013】
本発明の請求項4に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置が採用した手段の特徴とするところは、請求項3に記載の移動炉床式熱処理炉の排出装置において、前記移動炉床式熱処理炉と前記シ−ルレグとの間に、被熱処理物中の異物を選別して系外に排出するスクリーンサイザーを配設したところにある。
【0014】
本発明の請求項5に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法が採用した手段の特徴とするところは、移動炉床式熱処理炉から被熱処理物を下流側設備に排出する移動炉床式熱処理炉の操業方法であって、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物をケーシング内に設けた凹状保持部材の受入れ凹所に受入れると共に一時的に保持し、前記受入れ凹所の面に沿うようにスクレーパーを往復動させて、前記受入れ凹所内に保持されている被熱処理物を前記ケーシング内に排出するところにある。
【0015】
本発明の請求項6に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法が採用した手段の特徴とするところは、請求項5に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法において、前記ケーシング内に、少なくとも被熱処理物の再酸化を防止する再酸化防止ガスを吹込むところにある。
【0016】
本発明の請求項7に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法が採用した手段の特徴とするろころは、請求項5または6のうちの何れか一つの項に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法において、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を、前記シ−ルレグ中を通して前記凹状保持部材の受入れ凹所に受入れるところにある。
【0017】
本発明の請求項8に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法が採用した手段の特徴とするろころは、請求項7に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法において、前記ケーシング内に吹込む再酸化防止ガスの吹込み量を、前記被熱処理物の表面温度により制御するところにある。
【0018】
本発明の請求項9に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法が採用した手段の特徴とするろころは、請求項5乃至8のうちの何れか一つの項に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法において、前記スクレーパーの単位時間当たりの往復動数を調整することにより被熱処理物の排出量を制御するところにある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の移動炉床式熱処理炉の操業方法を実施する実施の形態に係る移動炉床式熱処理炉としての移動炉床式還元炉の排出装置を、その模式的全体斜視図の図1と、そのホッパー付ケーシングの模式的縦断断面図の図2と、そのスクレーパーの作動説明図の図3とを順次参照しながら説明する。
【0020】
先ず、図1に示す符号1は、垂直軸心を回転中心として回転する円形状の、図示しない炉床を有する移動炉床式還元炉である。この移動炉床式還元炉1の外周部側面には、図示しない投入装置により炉床上に投入された原料を、この炉床が垂直軸心を回転中心として1回転する間に熱処理されたもの、つまり還元された被熱処理物(再酸化性の高い還元鉄または再酸化の問題のない金属鉄)または炭素質粉、スラグ混合物を排出する排出口11が設けられており、前記被熱処理はこの排出口11から、後述する構成になる排出装置2に排出されるように構成されている。なお、図示省略しているが、前記排出口11から前記排出装置2には、気密可能な筒状の排出シュートが連通している。
【0021】
前記排出装置2は、前記排出口11から排出された被熱処理物の中から、例えば耐火物、ペレットが付着し合った塊状物、剥離した炉床、原料装入時の異物等の種々の異物を系外に排出する、複数本の回転ロール31が平行に配設されると共に、図示しない気密ケーシング内に収容されてなる、ローラスクリーンとも呼ばれるスクリーンサイザー3を備えている。このスクリーンサイザー3により異物が除去された被熱処理物を下方に導くマテリアルシール機能を有する筒状のシ−ルレグ4を備えると共に、このシ−ルレグ4の下端が、再酸化し易い還元鉄の場合には再酸化を防止する再酸化防止ガス、例えば窒素ガス等の不活性ガス、または酸化性ガスを含まない排ガス等を吹込む複数(この例では2本である。)のガス吹込みノズル6(図2参照。)を備えると共に、後述する構成、かつ機能を有する定量排出装置7を有し、下部にホッパー部51を備えたホッパー付ケーシング5に気密可能に貫通している。
【0022】
なお、前記シールレグ4の形状は円筒状であるが、マテリアルシール機能を有していればこの形状に限定されるものではなく、例えば角筒状であっても良い。また、前記ガス吹込みノズル6は、図2に示すように、前記シ−ルレグ4の前記ホッパー付ケーシング5内に突出する部位に連通させてあるが、この構成に限るものではなく、このシ−ルレグ4の前記ホッパー付ケーシング5外であっても良い。つまり、前記シ−ルレグ4への前記ガス吹込みノズル6の連通位置は、前記移動炉床式還元炉1の炉内圧保持メインテナンス性等を考慮して決定すれば良いものである。
【0023】
前記定量排出装置7は、図1乃至3に示すように構成されている。即ち、上側に受入れ凹所71aが形成されるように平板が湾曲形成され、前記シ−ルレグ4から排出される被熱処理物を受入れて一時的に保持する凹状保持部材である受けパン71を備えている。また、この受けパン71の湾曲面に沿うように往復動、つまりスイングされ、前記受けパン71に受入れられている被熱処理物を、その両側外方に排出する機能を有する横長平板状のスクレーパー72を備えている。前記スクレーパー72の端部のそれぞれには、上端が前記ホッパー付ケーシング5の端面を貫通する回動軸74に固着されたスイングアーム73の下端が固着されており、前記回動軸74は回動軸作動シリンダー75のロッドの伸縮作動により回動されるように構成されている。勿論、前記受けパン71の幅方向の端部は、前記ホッパー付ケーシング5の内壁、または平行、かつ垂直な2枚の壁板に固着され、この受けパン71の幅方向に被熱処理物が零れ落ちることがないように配慮されている。
【0024】
なお、前記回動軸作動シリンダー75は、油圧、空圧、電動駆動等の何れの駆動源によるものであっても良い。また、前記回動軸74の先端部にピニオンを外嵌すると共に、前記回動軸作動シリンダー75のロッドの先端に、前記ピニオンに噛合するラックを取付け、このラックを往復動させることにより、前記回動軸74を回動させて前記スクレーパー72をスイングさる構成にしても、前記回動軸作動シリンダー75と同等の機能を発揮させることができるから、上記スイング構成に限定されるものではない。
【0025】
前記スクレーパー72は、上記のとおり、被熱処理物を前記受けパン71の両側外方に排出する機能を有しているので、被熱処理物または異物等のサイズがシールレグ4を通過し得る範囲の大きさである場合には、大塊の被熱処理物であっても、前記排出装置2のみにより問題なく排出することが可能であるため、必ずしも前記スクリーンサイザー3を設ける必要がないものである。但し、特に排出口11から高頻度で大塊の被熱処理物が排出される場合は、スクリーンサイザー3を設けることにより大塊の被熱処理物を除去することができるので、スクレーパー72を円滑にスイング作動させることが可能になるという効果が生じる。
【0026】
そして、前記ホッパー付ケーシング5のホッパー部51の下部排出口52から定量ずつ排出された被熱処理物は、図示しない下流側設備に送られるように構成されている。ところで、前記スクレーパー72のスイング作動を停止させることにより、受けパン71やシールレグ4またはホッパー部51中に被熱処理物を滞留させることができるので、例えば下流設備や上流の移動炉床式還元炉が緊急停止したとしても、ある程度のバッファー機能を発揮することができる。
【0027】
以下、上記構成になる移動炉床式還元炉1の排出装置2の作用態様を説明すると、炉床上において熱処理された被熱処理物を排出口11から排出するに際しては、先ず移動炉床式還元炉1からの高熱ガスの流出を防止し、被熱処理物の再酸化を防止するために、ガス吹込ノズル6からホッパー付きケーシング5内に窒素ガス等の不活性ガスや酸化性ガスを含まない排ガス等の再酸化防止ガスが吹込まれると共に、排出口11から被熱処理物の排出が開始される。再酸化防止ガスの吹込量は、被熱処理物の温度の高低によって加減制御、つまり、被熱処理物の温度が高温であれば大量の再酸化防止ガスが吹込まれる一方、被熱処理物の温度が低温であれば少量の再酸化防止ガスが吹込まれる。
【0028】
前記排出口12から排出された被熱処理物は、スクリーンサイザー3により大塊の異物が除去され、所定以下の粒径の被熱処理物だけが再酸化防止ガスが吹き込まれている筒状のシ−ルレグ4内に移動し、マテリアルシール機能により移動炉床式還元炉1からのガスの流出を防止し、そして外気等の酸化性ガスを含む下流側ガスの流入を防止しながら、このシ−ルレグ4内を下降してホッパー付ケーシング5内の受けパン71の受入れ凹所71aの上面に落下し、安息角に応じて受入れ凹所71aの上面に堆積して一時的に保持される。
【0029】
ところで、本実施の形態では、上記のとおり、被熱処理物が再酸化し易い還元鉄等である場合には、ガス吹込ノズル6から窒素ガス等の不活性ガスや酸化性ガスを含まない排ガス等の再酸化防止ガスが吹込まれるが、例えばこれら窒素ガスなどの不活性ガスや酸化性ガスを含まない排ガス等の代わりに還元性ガスである炭化水素系ガス、例えば天然ガスを吹込むことができる。ガス吹込ノズル6から天然ガスを吹込むことによって、シ−ルレグ4やホッパー付ケーシング5内の被熱処理物のうち、高温の還元鉄の再酸化による金属化率の低下を防止することが可能になると共に、還元鉄や金属鉄の温度が高温であるほど吸熱反応である分解反応が促進されるから、自己制御的、かつ簡易的に還元鉄や金属鉄の表面温度を制御することができ、さらに分解反応により還元鉄や金属鉄の表面付近にカーボンが生じるので、これら還元鉄や金属鉄同志の固着をより効果的に防止することが可能になるという効果が生じる。
【0030】
また、移動炉床式還元炉1から異常に高温の被熱処理物が排出された場合、受けパン71の受入れ凹所71aの上面に堆積する被熱処理物の表面温度、またはスクリーンサイザー3、シールレグ4、およびスクレーパー72、またはそれら相互を結合するシュート等の鉄皮の表面温度の高低に応じて、ガス吹込みノズル6からの再酸化防止ガスの吹込み量を制御して緊急冷却することにより、被熱処理物の再酸化を防止することができる。
【0031】
また、移動炉床式還元炉1から異常に高温の被熱処理物が排出された場合や高温の被熱処理物が排出装置2内に長時間滞留する場合には、上記のような再酸化防止ガスの吹込みによる被熱処理物の冷却、再酸化防止に加えて、スクリーンサイザー3、シールレグ4、およびスクレーパー72等に粉状炭素質材または石灰系物質を供給することにより、被熱処理物である還元鉄や金属鉄同志の固着を防止することができる。
【0032】
次いで、スクレーパー72の回動速度を制御して、前記受けパン71の上に一時的に保持されている被熱処理物を、この受けパン71の長手方向の両端部からホッパー付ケーシング5内に排出する。その場合、スクレーパー72の回動速度を、シールレグ4、または受けパン71の受入れ凹所71aの上面における被熱処理物の堆積レベルにより制御してもよいし、その堆積重量、またはその重量変化によって制御しても構わないものである。このようにしてホッパー付ケーシング5内に排出された被熱処理物は、このホッパー付ケーシング5のホッパー部51を滑落または転がり落ちて下部排出口52から下流側設備に供給され、下流側設備において然るべき処理が施されることとなる。
【0033】
なお、受けパン71の受入れ凹所71aの上面における被熱処理物の堆積レベルの測定方法については、特に制限がないけれども、非接触式で被熱処理物の堆積レベルを測定する構成にすることが好ましい。例えば、シールレグ4、またはホッパー付ケーシング5の外壁面に非接触式のガンマ線レベル計を付設することが考えられる。また、ロードセルやマイクロ波、静電容量式の測定装置等の採用も考えられる。
【0034】
以上詳述したように、本実施の形態に係る移動炉床式還元炉1の排出装置2によれば、受けパン71とスクレーパー72とは、極めて簡単な構造であるため、耐高温性の素材だけで構成することができる。また、受けパン71とスクレーパー72やスクリーンサイザー3の回転ロール31を2重筒状の水冷構成にすることにより耐熱性を向上させて、排出される還元鉄、炭素質粉とスラグとの混合物の温度条件に対応することもできる。さらに、前記回動軸74および図示しない駆動部は、図1,2から良く理解されるように、被熱処理物に接触するようなことがない。
【0035】
従って、本実施の形態に係る移動炉床式還元炉1の排出装置2は、上記従来例1や2に係る移動炉床式還元炉の排出装置と異なり、高温開閉弁を備えていないからトラブルの発生が少なく、安定操業の継続が容易である。また、高温開閉弁によらず、スクレーパー72の回動により排出する構成であって、被熱処理物を連続的に排出することができるから、例え下流側に溶解炉が設置されている場合であっても、還元鉄または金属鉄を連続溶解することができ、鉄製品の生産性の向上に大いに寄与することができる。
【0036】
また、本実施の形態に係る移動炉床式還元炉1の排出装置2は、上記従来例2、3に係る移動炉床式還元炉の排出装置と異なり、シールレグ4におけるマテリアルシール機能と、再酸化防止ガスとにより移動炉床式還元炉1内への外気等の酸化性ガスの流入を遮断することができ、例え移動炉床式還元炉1を負圧で操業する場合でも、移動炉床式還元炉1内に酸化性ガスが流入するような恐れが少ないから、還元された還元鉄の酸化による製品価値の低下、酸化時の熱による還元鉄の溶融に起因する融着や、炭素質粉の燃焼による問題が生じるような恐れを少なくすることができる。
【0037】
上記従来例3に係る移動炉床式還元炉の排出装置では、振動フィーダー、スクリュコンベヤ、またはパンコンベヤ等に耐高温性、気密性に問題があったが、本実施の形態に係る移動炉床式還元炉1の排出装置2は、上記のとおり、受けパン71とスクレーパー72やスクリーンサイザー3の回転ロール31を2重筒状の水冷等の冷却手段を備えた構成にすることにより耐熱性を向上させて、排出される被熱処理物の温度条件に対応することができるのに加えて、前記回動軸74は被熱処理物の排出中に、この被熱処理物に接触するようなことがない。
【0038】
さらに、スクレーパー72は、従来例3に係る排出装置のスクリュコンベヤのスクリュシャフトの場合と同様に、被熱処理物に直接接触するが、板状であってスクリュシャフトに比較して遙にその構造が簡単であり、しかも接触圧も低く摩耗量も少ないから、耐熱性の問題や摩耗による消耗が少なく、排出装置2のメンテナンスコストに関して有利になるという優れた経済効果がある。
【0039】
なお、以上では、被熱処理物として、再酸化性の高い還元鉄または再酸化の問題のない金属鉄、炭素質粉、スラグ混合物等を排出する移動炉床式還元炉1を例として説明した。しかしながら、再酸化性が高い高温還元鉄の排出だけでなく、再酸化性が比較的低い金属鉄や実質的に再酸化の問題がない高純度の金属鉄または非鉄金属等を含有する熱処理された金属含有物の排出に対しても、本発明の技術的思想を適用することができるので、上記実施の形態によって、本発明の技術的思想の適用範囲が限定されるものではなく、また本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1乃至4に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置、本発明の請求項5乃至9に係る移動炉床式熱処理炉の操業方法によれば、従来例1または2に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置のように、高温開閉弁を備えていないから、安定操業の継続が可能になる。また、被熱処理物の排出はスクレーパーの往復動により行われるため、高温開閉弁の場合よりも断続間隔が短く、より連続に近い状態で下流側の溶解炉に供給することができるから、従来例1または2に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置の場合よりも、安定操業の継続が可能であるから還元鉄または金属鉄の生産性が優れている。
【0041】
また、シールレグによるマテリアルシール機能と、排出装置内への再酸化防止ガスの吹込みにより移動炉床式熱処理炉内への空気の流入を遮断する構成で、上記従来例2に係る移動炉床式熱処理炉の排出装置にように、移動炉床式熱処理炉と取外し式密閉容器との間にシュートが配設されてなる構成でなく、例え移動炉床式熱処理炉を負圧で操業する場合であっても、移動炉床式熱処理炉内に外気等の酸化性ガスが流入する恐れが少なくなるから、還元鉄が再酸化することがなく、酸化時の熱により還元鉄が溶融して融着したり、炭素質粉が燃焼する等の問題が生じることがないから、品質が優れた製品を製造することができる。
【0042】
また、スクレーパーが、従来例3に係る排出装置のスクリュコンベヤのスクリュシャフトと同様に被熱処理物に直接接触するが、板状であってスクリュシャフトに比較して遙にその構造が簡単であり、しかも接触圧も低く摩耗量も少ないから、従来例3に係る排出装置のスクリュコンベヤに比較して、メンテナンスコストが遙に安価になるという優れた経済効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動炉床式還元炉の操業方法を実施する実施の形態に係る移動炉床式還元炉の排出装置の模式的全体斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る移動炉床式還元炉の排出装置のホッパー付ケーシングの模式的縦断断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る移動炉床式還元炉の排出装置のスクレーパーの作動説明図である。
【符号の説明】
1…移動炉床式還元炉,11排出口
2…排出装置
3…スクリーンサイザー,31…回転ロール
4…シールレグ
5…ホッパー付ケーシング,51…ホッパー部,52…下部排出口
6…不活性ガス吹込ノズル
7…定量排出装置,71…受けパン,71a…受入れ凹所,72…スクレーパー,73…スイングアーム,74…回動軸,75…回動軸作動シリンダー
Claims (9)
- 移動炉床式熱処理炉から被熱処理物を下流側設備に排出する移動炉床式熱処理炉の排出装置であって、ケーシング内に、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を受入れて一時的に保持する受入れ凹所を備えた凹状保持部材と、前記受入れ凹所の面に沿うように往復動して、この受入れ凹所内に保持されている被熱処理物を前記ケーシング内に排出するスクレーパーとを設けたことを特徴とする移動炉床式熱処理炉の排出装置。
- 前記移動炉床式熱処理炉と前記凹状保持部材との間に、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を前記凹状保持部材の受入れ凹所に導くシ−ルレグを配設したことを特徴とする請求項1に記載に移動炉床式熱処理炉の排出装置。
- 前記ケーシング内に再酸化防止ガスを吹込むガス吹込みノズルを、前記シールレグに連通させたことを特徴とする請求項2に記載に移動炉床式熱処理炉の排出装置。
- 前記移動炉床式熱処理炉と前記シ−ルレグとの間に、被熱処理物中の異物を選別して系外に排出するスクリーンサイザーを配設したことを特徴とする請求項3に記載の移動炉床式熱処理炉の排出装置。
- 移動炉床式熱処理炉から被熱処理物を下流側設備に排出する移動炉床式熱処理炉の操業方法であって、前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物をケーシング内に設けた凹状保持部材の受入れ凹所に受入れると共に一時的に保持し、前記受入れ凹所の面に沿うようにスクレーパーを往復動させて、前記受入れ凹所内に保持されている被熱処理物を前記ケーシング内に排出することを特徴とする移動炉床式熱処理炉の操業方法。
- 前記ケーシング内に、少なくとも被熱処理物の再酸化を防止する再酸化防止ガスを吹込むことを特徴とする請求項5に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法。
- 前記移動炉床式熱処理炉から排出された被熱処理物を、前記シ−ルレグ中を通して前記凹状保持部材の受入れ凹所に受入れることを特徴とする請求項5または6のうちの何れか一つの項に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法。
- 前記ケーシング内に吹込む再酸化防止ガスの吹込み量を、前記被熱処理物の表面温度により制御することを特徴とする請求項7に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法。
- 前記スクレーパーの単位時間当たりの往復動数を調整することにより被熱処理物の排出量を制御することを特徴とする請求項5乃至8のうちの何れか一つの項に記載の移動炉床式熱処理炉の操業方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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