以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
尚、本説明におけるガスとは、基本的に、メタンガス等の検知対象ガスを意味するものとする。
図1は、本例のガス警報器の構成図である。
図示のガス警報器10は、ガス器具やガス配管から漏れた都市ガスやLPガスなどの可燃性ガスを検知して警報を発するガス漏れ警報器であって、特に電池を電源とする電池式ガス警報器である。
図示の例のガス警報器10は、ガスセンサ11、制御回路部12、警報部13、周囲温度検出部14、電池部15等と、更に負荷抵抗R、トランジスタスイッチSW1、トランジスタスイッチSW2等から成る図示の回路を有している。尚、以下、トランジスタスイッチSW1,トランジスタスイッチSW2は、省略して、スイッチSW1、スイッチSW2と記すものとする。
検知対象ガスを検出するガスセンサ11は、ガス濃度を検出するためのセンサ抵抗11aと、これを加熱するためのヒータ抵抗11bとを備える。既に従来で説明したように、センサ抵抗11aは周囲ガスの濃度に応じた抵抗値となるものであり、上記所定の駆動周期で行うガス漏れ検出処理の際には、ヒータ抵抗11bを例えば400℃等に加熱して、この状態でセンサ抵抗11aの抵抗値(抵抗値に相当する電圧値等)を測定することになる。尚、検知対象ガスは、都市ガスであってもよいしLPガスであってもよいし、他のガスであってもよいが、検知対象ガスの種類に応じたガスセンサを用いることになる。
電池部15は、本例では3ボルトの電源を供給し、図1に示す回路全体の電力供給源となる。すなわち、電池部15からの電圧を、ガスセンサ11内のヒータ抵抗11bとセンサ抵抗11a、負荷抵抗R、スイッチSW1、SW2等からなるガス検出手段であるセンサ系回路に供給する。また、制御回路部12にも電池部15から電力供給している。ここで、上記センサ系回路や制御回路部12への電力供給は、電池部15からの電圧を昇圧または降圧する構成(不図示の安定化電源など)から供給しても良い。
また、図示の通り、スイッチSW2とセンサ抵抗11aと負荷抵抗Rとが直列に接続して成る直列回路(第一直列回路)と、スイッチSW1とヒータ抵抗11bとが直列に接続してなる直列回路(第二直列回路)とが、並列に設けられている。各直列回路には上記電池部15による電源電圧(3V)が印加される。
制御回路部12は、ガス警報器10全体の動作を制御するマイコン(CPU等)であり、不図示の内蔵メモリに予め記憶されているプログラムを実行することにより、上記制御の処理や、後述する図4、図5等に示すフローチャートの処理等を実行する。
制御回路部12は、出力端子OUT1、OUT2、入力端子AD1,AD2等を有している。出力端子OUT1はスイッチSW1のベースに接続しており、出力端子OUT1からの出力によってスイッチSW1をON/OFF制御する。出力端子OUT2はスイッチSW2のベースに接続しており、出力端子OUT2からの出力によってスイッチSW2をON/OFF制御する。
入力端子AD1には、センサ抵抗11a−負荷抵抗R間の電圧V1が入力される。スイッチSW2がONのときには、電圧V1は、電池部15によって上記第一直列回路に印加される電圧が、センサ抵抗11aと負荷抵抗Rとによって分圧されて成るものである。負荷抵抗Rの抵抗値は任意でよいが固定であり、センサ抵抗11aの抵抗値が変化すると、電圧値V1が変化することになる。つまり、電圧値V1はセンサ抵抗11aの抵抗値を示すものである。
尚、入力端子AD1には、入力端子だけでなく、入力端子に入力されるアナログ信号(電圧値V1等)をディジタル値に変換する機能(ADコンバータ)も含まれているものとする。よって、制御回路部12は、入力端子AD1を介して、電圧値V1のディジタル値を入力することになる。
上記所定の駆動周期で行うガス漏れ検出処理の際には、制御回路部12は、出力端子OUT1、OUT2からの出力によってスイッチSW1およびスイッチSW2をオンすることで、ガスセンサ11(そのヒータ抵抗11b、センサ抵抗11a)、負荷抵抗Rからなるセンサ系回路に電力供給させて動作させる。ヒータ抵抗11bへの電力供給によって、ヒータ抵抗11bは例えば400℃程度の高温状態となる。特に図示しないが、センサ抵抗11aはヒータ抵抗11bの近くに配置されており、上記400℃程度の高温状態でセンサ抵抗11aの抵抗値を測定することになる。実際には上記の通り、電圧V1を入力して、これをセンサ抵抗11aの抵抗値(センサ抵抗値と呼ぶものとする)に換算することになる。これ自体は既存技術であり、特に説明しない。
都市ガス(メタンガス)等の検知対象ガスがある状況では、ガス濃度に応じてセンサ抵抗値(換言すれば電圧V1)が変化する。つまり、ガス濃度が高くなるほど、センサ抵抗値は低下していき、以って電圧V1は上昇していく。
制御回路部12は、入力端子AD1を介してガスセンサ11のセンサ出力(電圧値V1;センサ抵抗11aの抵抗値に相当)を検出し、例えば当該センサ出力V1が所定のガス濃度(後述する警報基準濃度(警報レベル))に対応する値を超えた場合には、換言すればセンサ抵抗値が所定のガス濃度に対応する値未満となった場合には、ガス漏れ発生と判定することにより、ガス漏れ検出を行う。勿論、この例に限らず、例えば、電圧V1をセンサ抵抗11aの抵抗値に換算し、このセンサ抵抗値が警報基準濃度に対応する値未満となった場合に、ガス漏れ発生と判定するようにしてもよい。尚、この様なガス漏れ検出機能自体は、既存の機能である。
このように、ガス濃度が上記警報レベルの高濃度になれば、既存機能により警報を発することになるが、本手法ではそれ以前の段階で、ガス漏れの可能性がある状況であると判定して、センサ駆動周期を一時的に短周期(20秒)に切替えることで、ガス漏れ検知遅れが生じないようにしている。尚、短周期とは、基本的には、通常時の駆動周期(本例では45秒)より短い周期であれば何でもよく、ここでは一例として20秒としているが、この例に限らない。
また、制御回路部12が、パルス通電中のセンサ抵抗値(またはセンサ出力V1))を制御回路部12内のRAMなどの記憶部(不図示)に記憶する機能部を有し、この記憶データを用いてセンサ駆動周期の変更等の処理を行う例があってよい。詳しくは後述する。尚、センサ抵抗値の代わりにセンサ出力(電圧V1)等を用いて、センサ駆動周期の変更等の判定を行うものであってもよい。但し、本説明では基本的に、センサ抵抗値を用いる例を用いるものとする。
警報部13は、警報音出力部13a、警報表示部13b、外部警報出力部13cを備える。警報音出力部13aは、警報音等の音を発する部分であり、例えばスピーカやブザーなどで構成される。警報音出力部13aは、制御回路部12からの制御に基づいて、音声メッセージや電子音でガス漏れ状態を報知する。警報表示部13bは、LED(発光ダイオード)等で構成されており、警報時にはLEDを点滅や点灯させて警報状態をLEDで表示させてガス漏れ状態を報知する。外部警報出力部13cは、警報時にはガスメータや集中監視盤等の外部機器へ警報信号の出力を行う。
尚、周囲温度検出部14は、本発明には関係ないので詳細な説明は省略するが、入力端子AD2を介して周囲温度値を制御回路部12に入力し、制御回路部12に周囲温度に基づくガス濃度の温度補正計算などを実施させる為の構成である。
尚、図1に示す回路構成自体は、従来と同様と見做して構わない。従来と異なるのは、制御回路部12による制御処理の内容であり、これについては後に詳しく説明する。
ここで、第一の実施形態によるセンサ駆動について、図2のタイムチャートおよび図3のパルス通電時間とセンサ抵抗値との関係図を用いて説明する。
制御回路部12は、センサ駆動周期Ta、センサ駆動時間Tb(上記パルス通電時間に相当)で、ガスセンサ11を駆動することで、周期Ta毎のガス検知を行う。このセンサ駆動周期Ta、センサ駆動時間Tbは、基本的には予め設定されている値を用いるものであり、ここでは一例としてTa=45秒、Tb=100ms(ミリ秒)とする。この値は、例えば開発者等が任意に決めて設定しておく。
但し、本手法では、このセンサ駆動周期Taやセンサ駆動時間Tbが、一時的に変更される場合がある。ここでは一例として、一時的にTa=20秒、Tb=200msに変更される場合があるものとする。このように、本説明では一例として、通常時は45秒周期でセンサ駆動(ガス検知)を行うが、所定の条件に該当する場合には一時的に短周期(20秒周期)でセンサ駆動を行う場合がある。詳しくは後述する。
本実施形態では上記の通り、通常時は、一例として例えば、センサ駆動周期Ta=45秒、センサ駆動時間Tb=100ms(ミリ秒)で、ガスセンサ11を駆動するものとする。具体的には制御回路部12の内部タイマ(不図示)による制御に基づいてセンサ駆動周期Ta毎に以下の動作を実行する。
上記センサ駆動周期Taによるセンサ駆動開始タイミングになる毎に、制御回路部12は、出力端子OUT1、OUT2からの出力によってスイッチSW1とスイッチSW2をオンすることで、ガスセンサ11内のヒータ抵抗11bとセンサ抵抗11aに電源電圧を印加する。ヒータ抵抗11bは電源電圧を印加することで例えば400℃等に加熱する。
制御回路部12は、センサ駆動中に2回、ガスセンサ出力(電圧V1)を読み込む。例えば一例としては、上記センサ駆動開始から50ms経過したときと、センサ駆動終了時(本例では開始から100ms経過時)とに、それぞれ、AD1端子を介してガスセンサ出力(電圧V1)を読み込む。勿論、この例に限らないが、100ms経過時の電圧V1は、従来でもガス濃度計測の為に取得しているので、上記一例では従来より1回だけ多く電圧V1を読み込むだけで済むことになる。尚、上記50ms経過や100ms経過は、例えば不図示の内部タイマにより判定している。
制御回路部12は、上記50ms経過時のガスセンサ出力(電圧V1)をセンサ抵抗値に換算し、さらに、上記100ms経過時のガスセンサ出力(電圧V1)をセンサ抵抗値に換算し、これらの比(センサ抵抗値比=50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値)を算出する。尚、本説明では、例えば100ms経過時のセンサ抵抗値を100msセンサ抵抗値、50ms経過時のセンサ抵抗値を50msセンサ抵抗値などと記すものとする。尚、センサ抵抗値比の定義は、上記の例に限らず、例えばその逆(センサ抵抗値比=100msセンサ抵抗値/50msセンサ抵抗値)等であっても構わない。
また、制御回路部12は、100ms経過時のセンサ出力(電圧V1)をガス濃度に換算し、このガス濃度が所定の閾値(警報基準濃度;警報レベル)を越えている場合には、警報すべきガス漏れ状態と判定する。
尚、センサ出力(電圧V1)をガス濃度およびセンサ抵抗値に換算する処理自体は、既存の一般的なものであり、ここでは特に説明しない。更に、上記換算したガス濃度(測定したガス濃度)を所定の警報レベルと比較・判定する処理自体も既存技術であるので、詳細には説明しない。
本手法では、一例としては、前回のセンサ駆動時に求めた上記センサ抵抗値比を、前回値として制御回路部13の不図示の記憶部(RAMなど)に記憶しておき、この前回値と、今回のセンサ駆動時に求めたセンサ抵抗値比(今回値)とを用いて、(急激な)ガス濃度の変化があったか否かを判定する。但し、この例に限らず、後述するように、上記センサ抵抗値比に関して、前回値は用いない(今回値は用いる)方法であってもよい。
本例では一例として、上記前回のセンサ抵抗値比と今回のセンサ抵抗値比との比(前回値/今回値)が、所定の閾値(本例では‘2’)以上である場合には、(急激な)ガス濃度の変化があったものと見做し、上記のように一時的に短周期(20秒周期)でセンサ駆動を行うモードへと移行する。但し、この方法は、後述する図4の処理例に相当するものであり、この例に限らず、例えば後述する図5A、図5B(まとめて図5と記す場合があるものとする)の処理例のように、前回値は用いずに(今回値は用いる)、(急激な)ガス濃度の変化があったか否かを判定するようにしてもよい。
あるいは、上記“比”(前回値/今回値)に限らず、例えば差分(前回値−今回値)を用いてもよい。あるいは“比”を“今回値/前回値”としてもよいし、センサ抵抗値比を“100msセンサ抵抗値/50msセンサ抵抗値”等としてもよい。勿論、閾値等はこれに応じたものとする。あるいは、上記センサ抵抗値比(例えば、50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値)の例に限らず、センサ抵抗値差(例えば、50msセンサ抵抗値−100msセンサ抵抗値)等であっても構わない。更に、50msセンサ抵抗値や100msセンサ抵抗値を用いる例に限らず、例えば60msセンサ抵抗値や90msセンサ抵抗値等を用いるものであっても構わない。このように、本説明は処理の一例を示しているものであり、当該一例に限定されるものでなく、少なくとも当該一例と同義の処理・定義や、略同様と見做してよい処理・定義・数値等は、本発明に含まれるものである。
尚、センサ駆動の際にはパルス通電(100ms等の電圧印加)を行う。
従来は、パルス通電の最後にAD1端子を介してガスセンサ出力(電圧V1)を読み込んで警報判定をするのみであったが、一方、本手法では、パルス通電中に複数回(本例では2回)、AD1端子を介してガスセンサ出力(電圧V1)の読み込みを行う。よって、少なくとも1回は、パルス通電の途中でセンサ出力(電圧V1)を読み込むことになる。尚、上記パルス通電の最後も上記パルス通電中に含まれるものとする。そして、これら各センサ出力に応じた各センサ抵抗値を求めて、当該複数の(本例では2つの)センサ抵抗値を用いて上記“センサ抵抗値比”を算出する。
ここで、パルス通電中のセンサ抵抗値の変化(センサ特性)を、図3を用いて説明する。
尚、図3(a)の凡例のN(*)は、図2のセンサ駆動タイミングのN(*)と対応している。尚、ここでは*は、−3、−2、−1,0,1,2等を意味するものとする。
また尚、図2に示す「センサ抵抗値」の欄には、各センサ駆動毎のパルス通電の最後(100ms)でのセンサ抵抗値を白丸で示している。図示のように、ガス濃度が上昇するとセンサ抵抗値は下がることになる。
図3(a)において、周囲にガスがない状態(N(-3)、N(-2)、N(-1))では、センサ抵抗値は、パルス通電開始から40ms経過時までは急激に低下しているが、50ms〜100msにおいてはセンサ抵抗値は殆ど変化せず安定している。よって、この状態では、上記センサ抵抗値比はほぼ‘1’となる。
一方、ガス濃度が急激に変化(上昇)している状況(N(0)やN(1))では、20〜30ms程度まではガスがない状態とあまり変わらないが、50ms経過以降もセンサ抵抗値は低下し続けており、安定しない。よって、この状態では、上記センサ抵抗値比は少なくとも‘1’近辺の値とはならず、ここでは仮に‘2’以上となるものとする。
ここで、例えば、仮にガス濃度自体はN(0)と同程度の場合であっても、定常状態(同じガス濃度の状態がある程度続いた場合)では、図3(b)において一点鎖線で示すようなセンサ特性となる。つまり、一点鎖線で示すように、この例では、N(-3)等と略同様に、50ms〜100msにおいてはセンサ抵抗値は殆ど変化せず安定していることになる。勿論、100ms経過時のセンサ抵抗値はN(0)と同程度となる。上記の通り、この例では、ガス濃度自体はN(0)と同程度であるからである。
上記のように、例えば後述するステップS106の判定は、N(0)の場合がYESになるが、ガス濃度自体はN(0)と同程度の場合であっても上記定常状態の場合にはNOとなることになる。これは、ガス濃度が変化している状況(N(0)やN(1)等)では、応答が遅れて、その結果、図3(a)に示すように50ms〜100msにおいてもセンサ抵抗値は徐々に低下していくことになるからである。
この様に、本手法は、ガス濃度値自体ではなく、ガス濃度変化を見ているのであり、ガス濃度がある程度以上急激に変化(上昇)していると見做せる場合に、一時的な短周期駆動モードに切替えるものである。ガス濃度変化がどの程度であれば“急激な変化”であると見做すのかは、開発者等が任意に決めて、それに応じて後述するステップS6等で用いる閾値を決定すればよい(本例では閾値=‘2’としているが、この例に限らない)。
上記のように、一例としては、50msセンサ抵抗値と100msセンサ抵抗値との比をとると、ガスがない状態ではほぼ‘1’なのに対し、ガス濃度が(ある程度急激に)上昇する状況では‘2’以上等の値となる。よって、パルス通電中のセンサ抵抗値を2回モニタすることで、ガス濃度が(急激に)上昇したか否かを判別することができる。パルス通電中のセンサ抵抗値を2回モニタする方法は、上記一例では開始から50msと100ms経過時としたが、この例に限らず、例えば一例としては、開始から40ms〜100ms程度の範囲内で2回モニタを行えばよく。例えば55msと95msの2回、モニタする等としてもよい。尚、上記モニタとは、例えば、上記電圧V1を測定することであり、以ってセンサ抵抗値を測定することである。
上記のことから、本手法では、例えば一例として図5に示す処理を行う。
以下、図5に示す処理例に対応する説明を行うものとする。
すなわち、本手法では、図5に示す例の場合には、センサ駆動する毎に、パルス通電中のセンサ抵抗値の変化(センサ抵抗値比;本例では50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値)が、所定の閾値以上(例えば‘2’以上)であるか否かをチェックする。
そして、センサ抵抗値比が所定の閾値(所定値)以上である場合には、センサ駆動周期Taやパルス通電時間Tbを一時的に変更する。例えば、センサ駆動周期Taを一時的に短周期(20秒)に変更する。尚、パルス通電時間Tbは、必ずしも変更する必要はない。また、ガス濃度が警報基準濃度を超えている場合には、警報処理を行うことになるので、センサ抵抗値比が所定値以上であっても、センサ駆動周期Ta等を変更する必要性はない。
ここで、図2の「ガス濃度」欄には、上記警報基準濃度、測定ガス濃度の具体例を示している。そして、図2の「センサ抵抗値」欄、「センサ駆動」欄、「警報表示」欄には、「ガス濃度」欄の例に応じたセンサ抵抗値、センサ駆動周期とパルス通電時間、報知・発報タイミングを示している。
図2に示す例では、図示のN(-1)とN(0)の間で(急激な)ガス濃度上昇が始まっており、これよりここでは図示のN(0)の時点で、センサ抵抗値比が所定値以上であると判定されるものとする。これによって、N(0)の時点で、センサ駆動周期Taを短周期(20秒)に変更すると共にパルス通電時間Tbは200msに変更している。尚、パルス通電時間Tbは変更しない構成であっても構わない。これより、本説明においては、パルス通電時間Tbの変更については特に述べない場合もあるものとする。センサ駆動周期Taは、上記通常時のセンサ駆動周期(=45秒)よりも短くするように変更し、本例では例えばTa=20秒とするが、当然、この例に限らない。
尚、ガス濃度上昇の検出方法は、上記例に限るものではなく、例えばセンサ抵抗値の差分(100msセンサ抵抗値−50msセンサ抵抗値)を用いるようにしてもよい。この場合には、当該差分に対応する閾値を予め設定しておき、算出された差分が閾値未満である場合に、「ガス濃度が(急激に)上昇中」と見做して、センサ駆動周期を短周期(20秒)に変更するようにしてもよい。
また、100msや50msのタイミングに限らず、他のタイミング(例えば60ms経過時と90ms経過時など)でのセンサ抵抗値を用いても構わない。さらに、センサ抵抗値ではなく、センサ出力(電圧V1)や換算したガス濃度を用いて、(急激な)ガス濃度上昇の有無の判定等を行うようにしてもよい。但し、電圧V1やガス濃度は、実質的にセンサ抵抗値に相当するものと考えてよいので、「センサ抵抗値を用いる」とは、センサ抵抗値を用いる場合に限らず、電圧V1やガス濃度を用いる場合も含まれるものとする。
尚、上記ガス濃度上昇を検知後、測定ガス濃度が警報基準濃度を超えた場合には、従来と同様、上記警報部13を制御してガス漏れ報知動作を行う。
上記のように、図5の処理に応じた一例では、センサ駆動毎に、当該駆動中に複数回(本例では2回)測定されたセンサ抵抗値の比である“センサ抵抗値比”を求めて、これに基づいてガス濃度上昇の有無の判定を行うが、この例に限らず、例えば図4A、図4B(まとめて図4と記す場合があるものとする)の処理例に応じて、センサ抵抗値比の前回値も用いてガス濃度上昇の有無の判定を行うようにしてもよい。
すなわち、前回のセンサ駆動の際に求めたセンサ抵抗値比(前回値)を記憶しておき、これと今回の処理で求めたセンサ抵抗値比(今回値)とに基づいて、前回値と今回値との差分や比を求めて閾値等と比較することにより、ガス濃度上昇中であるか否かを判別するようにしてもよい。この方法について、以下、説明する。
尚、以下の説明では、図4に示す例に応じて、センサ抵抗値比の前回値と今回値との比(今回値/前回値)を用いる例について説明する。すなわち、「今回値/前回値」が予め設定される所定の閾値(本例では‘2’)以上である場合、ガス濃度上昇と見做し、センサ駆動周期Taを短周期(20秒)に変更などするものとする。
但し、上記の通り、この例に限らず、例えば前回値と今回値との差分等を用いても良い。
図2に示す例では、ガスが無い状態におけるガス検知すなわち初回(N(-3))から3回目(N(-1))のまでのガス検知では、パルス通電中のセンサ抵抗値は図3において点線で示すもの(N(-3)、N(-2)、N(-1))であり、図示のように50ms経過時以降ではセンサ抵抗値は殆ど変化していない。よって、上記センサ抵抗値比(=50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値)は、N(-3)、N(-2)、N(-1)の何れにおいてもほぼ‘1’である。
よって、前回値と今回値との比(今回値/前回値)もほぼ‘1’となる。すなわち、例えばN(-2)のときには、N(-3)時のセンサ抵抗値比が前回値となるが、前回値も今回値もほぼ‘1’であるので、これらの比もほぼ‘1’となる。同様に、N(-1)のときには、N(-2)時のセンサ抵抗値比が前回値となるが、前回値も今回値もほぼ‘1’であるので、これらの比もほぼ‘1’となる。
このように、今回センサ抵抗値比が前回センサ抵抗値比と比較して殆ど変化していない場合には、ガス漏れが生じている可能性は低いものと見做して、センサ駆動周期Taも45秒のままで継続される。
しかしながら、図2の4回目のガス検知処理(N(0))の際には、ガス濃度が(急激に)上昇しており、今回センサ抵抗値比は上記のように‘2’以上となる。その一方で、このときの前回センサ抵抗値比はN(-1)のセンサ抵抗値比であるのでほぼ‘1’となっている。従って、前回値と今回値との比(今回値/前回値)は‘2’以上となり、これより(急激な)ガス濃度上昇有りと判定することになり、以って一時的に短周期(20秒)駆動するモードに切替えることになる。
つまり、この判定が行われた場合の処理は、上記図5の例と同様、センサ駆動周期Taやセンサ駆動時間Tbを変更する(本例ではセンサ駆動周期Taを通常時の45秒周期から20秒周期に変更する)。また、図2の例では、このとき、測定ガス濃度は、警報レベル濃度である警報基準濃度を超えていないので、ガス漏れ警報は行わない。
以上、センサ抵抗値比を用いてガス濃度上昇状態か否かを判別する処理として、前回値も用いる例について説明した。この例でも、上記のように4回目のガス検知処理において周囲にガスがある状態であると判定して、センサ駆動周期Taを一時的に短くする等の周期変更を行うことになる。
以下、前回値も用いる方法であるか前回値は用いない方法であるかに関係なく、図2に示す5回目以降について説明する。
尚、以下の5回目以降の説明は、後述するフローチャート図の処理例に準ずるものとする。すなわち、測定ガス濃度が警報基準濃度を越えたか否かを判定し、越えた場合にはガス漏れ警報発報すると共に、センサ駆動周期Taを通常周期(本例では45秒)に戻すものとする。また、測定ガス濃度が警報基準濃度を越えない状態のまま、短周期(本例では20秒周期)で実行するガス検知処理の回数が、所定回数(本例では5回)に達した場合には、センサ駆動周期Taを通常周期(本例では45秒)に戻すものとする。但し、これらの例に限らない。例えば上記“回数”の代わりに経過時間を用いても良い。つまり、短周期駆動開始から所定時間経過しても測定ガス濃度が警報基準濃度を越えない場合には、センサ駆動周期Taを通常周期に戻すようにしてもよい。
また、以下の説明では、センサ駆動時間Tbの変更については言及しないものとする。
図2の例において、5回目のガス検知処理(N(1))は、上述したように4回目のガス検知処理(N(0))の際にセンサ駆動周期Taが短周期(本例では20秒周期)に変更されたことで、4回目のガス検知から20秒後に実施される。そして、図2に示す例では、このとき、測定ガス濃度は警報基準濃度以下であるので、ガス漏れ警報は発しない。また、短周期でのガス検知処理回数(=1回目)が所定回数(5回)未満であるため、センサ駆動周期Ta=20秒が継続される。
続いて、6回目のガス検知処理(N(2))では、測定ガス濃度が上昇して警報レベル濃度である警報基準濃度を超えているので、音声によるガス漏れ警報発報やLED表示による警報表示を行う。また、ガス漏れ警報を行うと、目的である早期ガス検知は満足されるので、センサ駆動周期Taを通常の45秒周期に戻して、当該通常周期でガス検知処理を継続する。これより、図示のように、7回目(N(3))以降のガス検知処理は、通常周期に戻っている。
上述したように、本例のガス警報器10は、通常時は45秒周期動作により省電力化を実現して電池消耗を抑えつつ、(急激な)ガス濃度上昇を検出した場合には一時的に短周期(20秒周期)動作に変更することで、検知遅れなく早期にガス漏れ検知できるようになり、信頼性の高いガス警報器を提供することができる。
また、図2のタイムチャートには示していないが、ガス濃度上昇を検出した後に所定回数(本例では5回)連続して「測定ガス濃度<警報基準濃度」(図4のステップS4がNO)となった場合には、すなわち周囲にガスがある状態となってから所定時間経過してもガス濃度が警報基準濃度を超えない場合には、ガス濃度の上昇は緩やかであり緊急性はないと判断できるため、20秒周期でのセンサ駆動周期をやめて通常のセンサ駆動周期である45秒周期に戻し、無駄な電力消費を抑制するようにしてもよい。
尚、検知回数や短いセンサ駆動周期の値は、検出したいガス濃度変化により適宜最適な値に決定されるべきものであり(例えば開発者等が任意に決定する)、上記の値(5回や20秒)に限定されるものではない。
図4A、図4Bは、本例のガス漏れ検知処理のフローチャート図(1/2)、(2/2)である。尚、上記の通り、本説明では図4A、図4Bをまとめて図4と記す場合があるものとする。
このフローチャート図の処理は、図1の制御回路部12(マイコン等)によって、センサ駆動を実行する毎に(Ta周期で)繰り返し実行される。尚、駆動するセンサは、当然、上記ガスセンサ11である。
まず、図1の制御回路部12は、その不図示の内部タイマによる制御に基づいて、センサ駆動周期Taでセンサ駆動時間Tbのセンサ駆動を行い、本例ではセンサ駆動の中間時(50ms経過時)および終了時(100ms経過時)に、入力端子AD1を介してガスセンサ11のセンサ出力(電圧V1)を読み込む(ステップS1)。但し、センサ駆動時間(パルス通電時間)を延長する場合には、パルス通電時間を開始から200msまでに延長したうえで、その最後、つまり開始から200ms経過時におけるセンサ出力(電圧V1)も読込む。
尚、上記の通り本例では通常時のTaは45秒であり、またTbは100msである。
そして、制御回路部12は、測定ガス濃度を算出する。すなわち、センサ駆動の最後のタイミングで測定したセンサ出力(電圧V1)を、ガス濃度に換算する(ステップS2)。すなわち、通常は、上記100ms経過時のセンサ出力(電圧V1)を用いて測定ガス濃度を算出するが、上記延長する場合には上記200ms経過時のセンサ出力(電圧V1)を用いて測定ガス濃度を算出する。
ここで、パルス通電時間を延長するか否かの判断は、例えば、所定のフラグを参照して行う。すなわち、例えば、前回またはそれ以前の本処理で後述するステップS11の処理が実行された為に後述する延長フラグがフラグONになっている場合には、パルス通電時間を延長する。
また、上記延長フラグがフラグOFFの場合であっても、所定の条件に該当する場合にはパルス通電時間を延長するようにしてもよい。所定の条件とは、例えば、上記100ms経過時のセンサ出力(電圧V1)から換算されるセンサ抵抗値が、所定の閾値未満となった場合等である。換言すれば、ガス濃度が、ある程度以上高い場合等である。
また、制御回路部12は、読み込んだセンサ出力(電圧V1)に基づいて今回センサ抵抗値比を算出する。すなわち、上記50ms経過時のセンサ出力(電圧V1)と100ms経過時のセンサ出力(電圧V1)とに基づいて、上述した今回の“センサ抵抗値比”を求める(ステップS3)。尚、今回センサ抵抗値比の算出は、上記パルス通電時間を延長する場合でも、開始から50msと100ms経過時のセンサ出力電圧V1を用いて行う。つまり、延長するか否かに関係なく、常に、開始から50msと100ms経過時のセンサ出力(電圧V1)を用いて、今回センサ抵抗値比を算出する。
次に、上記ステップS2で算出した現在のガス濃度(測定ガス濃度)が、警報レベル濃度である警報基準濃度以上であるか否か(測定ガス濃度≧警報基準濃度)を判定する(ステップS4)。尚、警報基準濃度は予め任意の値が設定されている。
測定ガス濃度値が警報基準濃度以上である場合は(ステップS4,YES)、後述する短周期動作中フラグをクリアし(ステップS16)、さらに、センサ駆動周期Taを通常の周期(本例では45秒)として(ステップS17)、所定の警報処理を行い(ステップS18)、本処理を終了する。尚、ステップS18の処理は、上述した警報部13による警報処理である。
尚、基本的には、上記ステップS4がYESになる前に、後述する「センサ駆動周期Taを短周期(本例では20秒)とする処理」が行われるはずであり、短周期動作中であることを示す上記短周期動作中フラグがONとなっているはずである。つまり、上記ステップS16、S17の処理は、これらを通常の状態に戻す処理と言える。
なお、上記ステップS4は、ガス濃度が急激に上昇して1回目の測定ガス濃度値が警報基準濃度以上となった場合には短周期動作を開始しないという意味も有している。
一方、測定ガス濃度が警報基準濃度未満である場合(ステップS4,NO)、短周期動作中であるか否かを判定する(ステップS5)。短周期動作中フラグがONの場合には、短周期動作中であると判定する。
短周期動作中である場合には(ステップS5,YES)、再度のガス濃度変化の判定(後述するステップS6の判定)を行う必要はないため、そのままステップS8へ移行する。尚、短周期動作中には、センサ駆動周期Taが短周期(20秒)となっていると共に、短周期動作中フラグがONとなっている。これより、短周期動作中フラグを参照すれば、ステップS5の判定が行える。
短周期動作中ではない場合(ステップS5,NO)、ステップS3で算出した上記今回センサ抵抗値比と、前回の本処理の際に算出されたセンサ抵抗値比である前回センサ抵抗値比との比(今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比;これは、上述した今回値/前回値に相当する)を算出する。尚、言うまでも無く、上記前回センサ抵抗値比は、前回の本処理の際にメモリ等に記憶しているものである。
そして、“今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比”が所定値以上であるか否かを判定することで、(急激な)ガス濃度上昇があったか否かを判定する(ステップS6)。尚、ここでは上記所定値=2であるものとして説明するが、勿論、この例に限らない。
“今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比”が所定値(=2)未満であれば(ステップS6,NO)、(急激な)ガス濃度上昇は無いと判定して、短周期動作中フラグをクリアし(更に後述する短周期検知カウンタのカウンタ値を初期化(=0または−1)としてもよい)(ステップS14)、センサ駆動周期Taを通常駆動の45秒にセットする(ステップS15)。更に、パルス通電時間の延長を解除して、元の100msに戻してもよい。
そして、ステップS12、S13の処理を実行して、本処理を終了する。すなわち、今回センサ抵抗値比(今回値)を、新たな前回センサ抵抗値比(前回値)として保存し(ステップS12)、警報無し状態として(警報中であれば警報解除して)(ステップS13)、本処理を終了する。
尚、上記ステップS6の処理例の代わりに、この処理と同義の処理を行うものであってもよく、例えば、“前回センサ抵抗値比/今回センサ抵抗値比”が所定値(=0,5)以下である場合には、(急激な)ガス濃度上昇があったものと判定するようにしてもよい。
一方、“今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比”が所定値(=2)以上である場合は(ステップS6、YES)、(急激な)ガス濃度上昇があったものと見做して、短周期動作を開始する。図示の例では、これに関連して、まず、短周期動作中フラグをセットする(ステップS7)。これによって、後の処理において上記のように短周期動作中であると判定することになる。そして、後述するステップS10の処理等を実行することになる。
上記ステップS5の判定がYESの場合もしくは上記ステップS6の判定がYESの場合、換言すれば短周期動作中の場合もしくは短周期動作開始となった場合には、短周期検知カウンタを+1カウントアップする(ステップS8)。そして、短周期検知カウンタのカウント値が所定値(本例では5回)以上となっているかを判定する(ステップS9)。
尚、ステップS6がYESの場合のステップS8の処理では、短周期検知カウンタが初期値(=0や−1)の状態でカウントアップすることになるので、カウント値は‘1’または‘0’となる。その後、本処理が実行される毎に、(ステップS4の判定がYESとならない限りは)上記ステップS5の判定がYESとなってステップS8で1ずつカウントアップすることになる。そして、カウント値が所定値(本例では5回)に達したら(ステップS9,YES)、ステップS14、S15の処理が行われることになる。但し、その前に上記ステップS4の判定がYESとなったら、上記ステップS16〜S18の処理が行われることになる。
ステップS4の判定がYESとなることなく短周期検知カウンタのカウント値が5回以上となった場合には(ステップS9,YES)、既に必要な分だけ短周期ガス検知を行っていると見做してよいため(既に述べた理由により)、上記ステップS14、S15の処理を実行する。すなわち、短周期動作中フラグをクリア(OFF)して(ステップS14)、センサ駆動周期Taを通常駆動の45秒周期に戻す(ステップS15)。尚、ステップS14の処理の際に、更に、後述する延長フラグをクリア(OFF)するようにしてもよい。
一方、短周期検知カウンタのカウント値が5回未満の場合には(ステップS9,NO)、センサ駆動周期を20秒にセットし(既に20秒の場合はそのままとして短周期での検知を継続し)(ステップS10)、パルス通電時間を延長する(本例では、100ms→200ms)。これは例えば不図示の延長フラグをフラグONする(既にフラグON状態であればそのままとする)(ステップS11)。これによって、次回以降の本処理において上記のようにステップS2の処理の際に、延長フラグがONであることによってパルス通電時間が延長されることになる。
そして、上記ステップS12、S13の処理を行って、本処理を終了する。
ここで、パルス通電時間を延長しているのは、ガス検知の為のデータ(電圧V1)をより安定させて取得するためであり、特にガスが急激に増加したような場合においてはパルス通電時間が100ms程度では、センサ材料表面の負電荷吸着酸素の消費が十分ではなく、ガス濃度に対応したセンサ抵抗値まで低下しない場合があるためである。また、200msまで延長することで検知対象ガス以外の雑ガスの影響などを排除できるためである。
尚、パルス通電時間の延長に関しては、上記の処理例に限らず、例えば図2に示す例のような短周期動作開始判定を行ったときから200msに延長するような処理(この処理については特に図示・説明はしない)等であっても構わない。
パルス通電時間を延長させる期間は、短周期としている期間(図2のN(0)、N(1)、N(2))でも良いし、ガス濃度が所定値以上(警報基準濃度以上や警報基準濃度の1/2以上)の場合としても良い。また、もちろん、それら両方の場合であっても良い。
上述した図4に示す処理例に係る実施例を、第一の実施形態と呼ぶものとする。本手法は、第一の実施形態の例に限らず、例えば後述する第二の実施形態の例であってもよいし、他の例であっても構わない。第二の実施形態は、図5に示す処理例に係る実施例である。基本的には、ガス漏れの疑いがある状況となったと見做したら、センサ駆動周期Taを一時的に短周期とするものであれば、何でも良い。
以上説明したようにして、第一の実施形態では、ガス漏れの疑いがある状況となったら(本例では“「今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比」≧2”になったら)、一時的に、通常のセンサ駆動周期(45秒)よりも短いセンサ駆動周期(20秒)に切り替えて、通常よりも短いセンサ駆動間隔でガス検知を行うようにする。
これによって、通常時は省電力化を実現して電池消耗を抑えつつ、ガス濃度が急激に増加する場合でも、検知遅れが生じることなく早期にガス漏れを検知して警報を発することができるようになる。特に「高濃度(12500ppm)のガス中試験において、ガス漏れを60秒以内に検知して警報を発する」という要求を、省電力化を実現して電池消耗を抑えつつ実現させることができる。
また、本実施形態では、上記ステップS16とS17あるいはステップS9、S14とS15の処理によって、短周期(20秒)でセンサ駆動する回数(時間)に制約を掛けることができ、無駄な電力消費を抑制することができる。
さらに、センサ駆動時間を延長して例えば200ms等とすることで、雑ガスなどの影響を防止するとともにより安定した状態にてセンサ出力を取得することができ、以ってより正確にガス濃度を計測できる。
尚、上記の判定の為の閾値や所定値や、駆動周期等は、一例であり、開発者等がセンサ特性や警報器本体の構造などにより適宜最適な値に設定するようにすればよい。
次に、第二の実施形態について、図5のフローチャート図を用いて説明する。
図5A、図5Bは、第二の実施形態によるセンサ駆動周期を判定する処理フローチャート図(1/2)、(2/2)である。尚、上記の通り、図4の場合と同様、本説明では図5A、図5Bをまとめて図5と記す場合があるものとする。図4、図5は、何れも、1つの処理を2つの図面に分けて示しているからである。
制御回路部12の主要な動作は、上記第一の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
本実施形態は、上記第一の実施形態と比較すると、ガス濃度上昇の有無の判定を、前回のセンサ抵抗値は用いずに行う点で相違する。つまり、第二の実施形態では、今回のセンサ抵抗値比が所定値(例えば「2」)以上である場合には、ガス濃度上昇中と見做して、センサ駆動周期Taを一時的に短周期(本例では20秒周期)に変更する。
尚、パルス通電時間Tbは必ずしも変更する必要はない。また、ガス濃度が警報基準濃度を超えている場合には、警報処理を行うことになるので、センサ抵抗値比が所定値以上であっても、センサ駆動周期Ta等を変更する必要性はない。
第二の実施形態においても、制御回路部12は、上記ステップS1と同様、その不図示の内部タイマによる制御に基づいて、センサ駆動周期Taでセンサ駆動時間Tbずつのセンサ駆動を行い、本例ではセンサ駆動の中間時(50ms経過時)および終了時(100ms経過時)に、入力端子AD1を介してガスセンサ11のセンサ出力(電圧V1)を読み込む(ステップS101)。
制御回路部12は、上記100ms経過時または200ms経過時のセンサ出力(電圧V1)から、ガス濃度を求める(ステップS102)。この処理自体は、上記ステップS2と同じであってよいので、その説明は省略する。制御回路部12は、更に、読み込んだセンサ出力(電圧V1)に基づいて、センサ抵抗値比を算出する(ステップS103)。この処理も、上記ステップS3と同じであってよいので、その説明は省略する。
尚、上記の通り本例では通常時のTaは45秒であり、またTbは100msである。
次に、上記ステップS102で算出した現在のガス濃度(測定ガス濃度)が、警報レベル濃度である警報基準濃度以上であるか否か(測定ガス濃度≧警報基準濃度)を判定する(ステップS104)。測定ガス濃度値が警報基準濃度以上である場合は(ステップS104,YES)、短周期動作中フラグをクリアし(ステップS116)、さらに、センサ駆動周期Taを通常の周期(本例では45秒)として(ステップS117)、所定の警報処理(ステップS118)を行い、本処理を終了する。
尚、ステップS118は上述した警報部13による警報処理である。尚、これらステップS104、S116,S117,S118の処理は、上記ステップS4、S16,S17,S18の処理と同じであってよい。
一方、測定ガス濃度が警報基準濃度未満である場合(ステップS104,NO)、短周期動作中であるか否かを判定する(ステップS105)。短周期動作中である場合には(ステップS105,YES)、再度のガス濃度変化の判定をする必要はないため、そのままステップS108へ移行する。
短周期動作中ではない場合(ステップS105,NO)、ステップS103で算出したセンサ抵抗値比に基づいて、センサ抵抗値比が所定の閾値(所定値;本例では‘2’)以上であるか否かを判定することで、(急激な)ガス濃度上昇があったか否かを判定する(ステップS106)。センサ抵抗値比が所定値以上である場合には(ステップS106,YES)、(急激な)ガス濃度上昇があったものと判定する。尚、ここでは所定値=2であるものとして説明するが、勿論、この例に限らない。ステップS106の判定の意味は、既に述べている通りであり、ここでは説明しない。
また、尚、上記ステップS106の処理例の代わりに、この処理と同義の処理を行うものであってもよく、例えば、上記センサ抵抗値比を“100msセンサ抵抗値/50msセンサ抵抗値”とし、当該センサ抵抗値比が所定の閾値(=0,5)以下である場合には、(急激な)ガス濃度上昇があったものと判定するようにしてもよい。
尚、図5の処理が図4の処理と異なる点は、ステップS6の代わりにステップS106が実行される点と、ステップS12の処理(前回値保存)が必要ない点である。つまり、これらの点以外は図4と同じであってよく、よって以下に説明する処理も、上記2つの相違点以外は図4と略同様と見做してよいので、その説明は簡略化するものとする。
センサ抵抗値比が所定値(=2)未満であれば(ステップS106,NO)、急激なガス濃度上昇は無いと判定して、短周期動作中フラグをクリアし(更に上記短周期カウンタを初期値する)(ステップS114)、センサ駆動周期Taを通常駆動の45秒(ステップS115)にセットして、警報無し状態として(警報中であれば警報解除して)(ステップS113)、本処理を終了する。
一方、センサ抵抗値比が所定値(=2)以上である場合は(ステップS106,YES)、短周期動作中フラグをセットして短周期動作中であることを示す(ステップS107)。さらに、上記短周期検知カウンタを+1カウントアップしたうえで(ステップS108)、この短周期検知カウンタのカウント値が設定値以上(本例では‘5’以上)となっているか否かを判定する(ステップS109)。短周期検知カウンタ値が5回以上となっている場合には(ステップS109,YES)、既に必要な分だけ短周期ガス検知を行っていると見做してよいため(既に述べた理由により)、短周期動作中フラグをクリアすると共に(ステップS114)、センサ駆動周期Taを通常駆動の45秒周期に戻す(ステップS115)。
一方、短周期検知カウンタ値が5回未満の場合には(ステップS109,NO)、センサ駆動周期を20秒にセットし(既に20秒の場合はそのままとして短周期での検知を継続し)(ステップS110)、パルス通電時間を延長して(本例では100ms→200ms;上記延長フラグをONする)(ステップS111)、上記ステップS113の処理を行って、本処理を終了する。
上述した処理では基本的に、ステップS106において(急激な)ガス濃度上昇があったものと判定された場合には、ステップS110でセンサ駆動周期が短周期(20秒)に変更されることになり、これに伴ってステップS107で短周期動作中フラグをONすることで、その後もステップS104またはS109がYESとならない限り、つまりガス濃度が警報レベルとなるか若しくは短周期駆動期間を終了する場合を除いては、引き続き短周期駆動を続行することになる。
尚、既に述べた通り、上記ステップS105、S107,S108,S109,S110,S111,S113,S114,S115の処理は、図4のステップS5、S7、S8、S9,S10,S11,S13,S14,S15の処理と同じであってよい。尚、既に述べたように、図4のステップS6の代わりに、上記ステップS106の処理が行われると共に、これに伴って上記ステップS12の処理が必要なくなる点が、図4の処理との違いであり、それ以外の処理は図4と同様であると見做して構わない。
以上説明したようにして、第二の実施形態では、ガス漏れの疑いがある状況であるか否かを、今回のセンサ抵抗値比を用いて行う。つまり、今回のセンサ抵抗値比が所定の閾値(ここでは‘2’)以上となった場合に、(急激な)ガス濃度上昇あり(ガス漏れの疑いがある状況である)と判定する。この判定後の動作は第一の実施形態と同様である。すなわち、ガス漏れの疑いがある状況になったら、通常のセンサ駆動周期(45秒)よりも短いセンサ駆動周期(20秒)に切り替えて、通常よりも短いセンサ駆動間隔でガス検知を行うようにする。これによって、通常時は省電力化を実現して電池消耗を抑えつつ、ガス濃度が急激に増加する場合でも、検出遅れが生じることなく早期にガス漏れを検知して警報を発することができるようになる。
また、第一の実施形態と比較して、第二の実施形態では前回センサ抵抗値比との比較を行わないため、前回センサ抵抗値比を保存する必要がなく且つ処理が容易になる。
そのほか、より判定精度を向上させるため、“センサ抵抗値比が所定値(=2)以上であるか否か”の判定だけではなく、100ms時のセンサ抵抗値が所定値(例えばガス濃度500ppmでのセンサ抵抗値)以下となっているかを判定し、両方の判定が成立(YES)している場合に条件成立(短周期駆動を実行するもの)としても良い。上記500ppmとは、ガス濃度が低く短周期駆動を行う必要がないケースの具体例の1つであり、この例に限らない。
ここで、ガス漏れ判定に関して、例えば、図6のフローチャートに示すように、パルス通電時間を、センサ抵抗値等が安定するまで延長することが考えられる。つまり、上記図4や図5の処理でもパルス通電時間の延長を行っていたが、固定的に決まった時間(例では200ms)への延長を行うものであり、延長したからといって必ずしも安定した状態でセンサ抵抗値(センサ出力)を取得することができるとは限らない。
これに対して、図6の処理では、センサ出力が安定した状態(正確にガス濃度を測定可能な状態)となったと見做せるまで、すなわち後述するステップS203の判定がNOとなるまで、パルス通電時間を延長し続ける。これにより、より安定する状態でセンサ抵抗値(センサ出力)を取得することができ、以って、より正確にガス濃度を測定することが可能となり、それによって、より的確なガス漏れ判定結果が得られることが期待できる。
図6に示すガス漏れ判定処理について、以下、説明する。
尚、これを第三の実施形態の処理と見做すものとする。
尚、この処理は、例えば図1に示す構成のガス警報器10における制御回路部12が実行するものとする。
図6に示す処理例では、制御回路部12は、その不図示の内部タイマによる制御に基づいて、センサ駆動周期Taでセンサ駆動時間Tbずつのセンサ駆動を行い、センサ駆動の中間時(50ms経過時)および終了時(100ms経過時)に、入力端子AD1を介してガスセンサ11のセンサ出力(電圧V1)を読み込む(ステップ201)。制御回路部12は、読み込んだ各センサ出力(電圧V1)に基づいて、センサ抵抗値比を算出する(ステップS202)。これは既に述べたように「センサ抵抗値比=50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値」等である。
次に、取得したセンサ抵抗値比が所定の閾値(本例では1.2)以上である(センサ抵抗値比≧1.2)か否かを判定する(ステップS203)。
センサ抵抗値比が閾値(=1.2)以上の場合には(ステップS203,YES)、センサ出力は未だ安定しておらず変化途中であると判断し、パルス通電時間を100ms延長し、ステップS201に戻る。ステップS201では、今度は、この時点(延長開始)から50ms経過時と100ms経過時のセンサ出力を読み込むことになる。つまり、例えば1回目の延長では、通電開始から150ms経過時と200ms経過時のセンサ出力を読込むことになる。そして、当該新たに読込んだ2つのセンサ出力に基づいて、上記ステップS202、S203の処理を行う。これを、基本的にはステップS203の判定がNOとなるまで繰り返す。但し、最大の延長通電時間(例えば1000msなど)を設定することで、ステップS203の判定がNOとならなくても、通電開始から例えば1000ms経過したらステップS205へ移行するようにしてもよい。
センサ抵抗値比が所定の閾値未満(センサ抵抗値比<1.2)となった場合には(ステップS203,NO)、センサ出力は安定したと見做してパルス通電を終了すると共に(ステップS205)、当該パルス通電最後のタイミングでのセンサ出力(ステップS201で取得している)を、ガス濃度に換算する(ステップS206)。そして、この測定ガス濃度が警報基準濃度以上となっているか否かを判定する(ステップS207)。測定ガス濃度が警報基準濃度以上の場合には(ステップS207,YES)、警報処理を行う(ステップS209)。この警報処理は、上記ステップS18、S118の警報処理と同じであってよい。
一方、測定ガス濃度が警報基準濃度未満の場合には(ステップS207,NO)、警報解除処理を実行して(ステップS208)、本処理を終了する。この警報解除処理は、ステップS13、S113の処理と同じであってよい。
尚、延長の時間単位は、上記ステップS204の例では100msとしたが、この例に限らず、例えば50ms等であっても構わない。但し、これに応じて他の処理も多少変更する必要があるかもしれない。例えば、ステップS201では25ms経過時と50ms経過時のセンサ出力を取り込むものとし、ステップS203の閾値(1.2)も適宜変更する必要があるかもしれない。
また、第三の実施形態を、第一の実施形態や第二の実施形態に適用しても良い。但し、この場合、図6の処理を多少変形させた図7の処理を、図4や図5の処理に適用することになる。
すなわち、第三の実施形態を第一の実施形態に適用する場合には、図4のフローチャートのステップS3とステップS4の間に、図7の処理を実行することで、場合によってはパルス通電の延長駆動が行われるようにしてもよい。尚、この場合、ステップS4の判定は、延長があった場合には当該延長に応じた値を使用するが、ステップS6のセンサ抵抗値比は延長があっても関係なく常にステップS3で求めた値(つまり、開始から50msと100msの値)を用いる。
ここで、図7の処理について説明する。尚、図7の各処理ステップのなかで図6に示す処理ステップと略同様のものには同一のステップ番号を付して、その説明は簡略化または省略するものとする。
図7の処理は、図示のように、基本的には図6のステップS203,S204,S205,S206の処理が行われるものであるが、ステップS204の後にステップS210の処理を実行したうえで、ステップS203に戻るようにする。つまり、ステップS203の判定がNOとなるまでの間、ステップS203→S204→S210→ステップS203のループ処理を、繰り返し実行する。
尚、もし1回も延長が行われない場合には、ステップS206の処理は実行する必要はなく、ステップS2で算出済みの測定ガス濃度を用いればよい。尚、図4等で説明したように、ステップS2において200msまで延長した場合のガス濃度を算出する場合も有り得る。この場合には、延長が1回だけの場合にも、ステップS206の処理は実行する必要はないことになる。
ここで、上記ステップS210の処理は、ステップS204でパルス通電時間を100ms延長する毎に、当該延長時点から50ms経過時と100ms経過時のセンサ抵抗値を求めて、これらの比(センサ抵抗値比)を求める処理である。つまり、1回目の延長時にはパルス通電開始から150msと200ms経過時のセンサ抵抗値を求めて、これらの比を算出する。同様に、2回目の延長時にはパルス通電開始から250msと300ms経過時のセンサ抵抗値を求めて、これらの比を算出することになる。尚、ここで算出するセンサ抵抗値比は、ステップS203の判定の為だけに用いるものであり、上記のようにステップS6の判定処理には、常に、ステップS3で求めたセンサ抵抗値比を用いる。
上記処理を、ステップS210で求めたセンサ抵抗値比が所定の閾値(本例では1.2)未満となるまで繰り返し、所定の閾値未満となったら(ステップS203,NO)、ステップS205へ移行する。
但し、ステップS203の判定処理は、1回目だけは、ステップS3で求めたセンサ抵抗値比を用いる。ステップS3で求めたセンサ抵抗値比が、所定の閾値未満である場合には、延長は行われず、そのままステップS205の処理へと移行する。
ステップS205ではパルス通電(センサ駆動)を終了する。そして、ステップS206では、パルス通電の最後におけるセンサ出力値を、ガス濃度に換算する。これは、延長が行われている場合には、ステップS210の処理の際にパルス通電の最後におけるセンサ出力値を取得済みであり、これを用いる。1回延長の場合には開始から200ms経過時のセンサ出力値を用い、2回延長の場合には開始から300ms経過時のセンサ出力値を用いることになる。また、上記の通り、延長が行われなかった場合には、ステップS206の処理を行う必要はない。既にステップS2で「開始から100ms経過時のガス濃度」を算出済みであるからである。
そして、上記ステップS206またはS2で得られた「測定ガス濃度」を用いて、上記ステップS4の判定処理を実行することになる。
また、第三の実施形態を第二の実施形態に適用する場合にも、上記第一の実施形態に適用するケースと略同様に、図5のステップS103とS104との間に、上記図7の処理を実行することになる。この場合も、延長を行わない場合には、ステップS206の処理は実行せずに、ステップS102で得ている「開始から100ms経過時または200ms経過時のガス濃度」を用いることになる。また、この場合も、延長するか否かに関係なく、ステップS106の判定処理には、ステップS103で求めたセンサ抵抗値比を用いる。上記のように、ステップS210で求めるセンサ抵抗値比は、ステップS203の判定にのみ用いるものである。
何れにしても、図6の処理(図7の処理)を適用することで、確実に、安定した状態のセンサ出力に基づいてガス濃度を測定できるので、正確にガス濃度を測定することででき、以って的確なガス漏れ判定を行うことができる。
図8は、上記図3の例において、そのN(0)に関してだけ200ms延長が行われた例を示す。この例を、図6の処理で説明するならば、例えば下記のようになる。
まず、パルス通電開始から50ms経過後のセンサ抵抗値と100ms経過後のセンサ抵抗値を取得する(ステップS201)。さらに、取得した各センサ抵抗値の比を算出し、センサ抵抗値比が1.2以上であるか否かを判定する(ステップS202)。ここでは、図8のN(0)では、100ms経過時点でのセンサ抵抗値比(=50msセンサ抵抗値/100msセンサ抵抗値)が、1.2以上となっているものとする(ステップS203,YES)。よって、パルス通電時間を100ms延長する(ステップS204)。
これより、ステップS201において、今度は、100ms延長したときの50ms経過後のセンサ抵抗値(つまり、通電開始から150ms経過時のセンサ抵抗値)と、同100ms経過後のセンサ抵抗値(つまり、通電開始から200ms経過時のセンサ抵抗値)とを取得する。これより、ステップS202では、今度は、センサ抵抗値比=“150msセンサ抵抗値/200msセンサ抵抗値”となり、このセンサ抵抗値比は1.2未満であるものとする(ステップS203,NO)。これより、パルス通電の延長は終了する(ステップS205)。例えば、この様にして、図8の例のように、N(0)に関してはセンサ駆動時間が200msまで延長されることになる。図示のように、延長が行われることで、センサ抵抗値は安定する。これより、200ms経過時点では周囲ガス濃度に対応したセンサ抵抗値を測定することができる。
尚、上記200msまで延長したときのステップS203の判定が、YESとなった場合には、更にパルス通電時間を100ms延長することになり、開始から300msまで延長することになる。この様な100msずつの延長を、基本的にはステップS203の判定がNOとなるまで、繰り返し実施することになる。
このような処理は、ガス濃度が急激に変化した場合などには、特に有効である。上述したように、短時間でのパルス通電ではセンサ抵抗値が変化し続け安定しないためである。
尚、上記の判定値は一例であり、開発者等がセンサ特性や警報器本体の構造などにより適宜最適な値に設定するようにすればよい。
次に、図9、図10を参照しながら、本実施例で動作させたときの一例を示す。
図9および図10は、高濃度(12500ppm)のガス中に従来のガス警報器を曝したときのガスセンサ11内のガス濃度変化と警報基準濃度との関係を表している。
ガスセンサ11内のガス濃度は、警報器10本体のセンサ室構造やガスセンサ構造、雑ガスを除去するためのフィルタなどの影響により、すぐには周囲のガス濃度と同一にならず、徐々に周囲のガス濃度に近づくことになる。高濃度ガス中にガス警報器10を入れると、図示の通り、ガスセンサ11内のガス濃度が徐々に上昇して、周囲のガス濃度に近づくことになる。尚、高濃度ガス中にガス警報器10を入れた時点を、ガス漏れ発生時点と見做すことができる。尚、本例では、図示の通り、ガス漏れ発生から35秒経過時点でガスセンサ11内のガス濃度(つまり、計測されるガス濃度)が、警報基準濃度(警報レベル)を超えるものとする。
上記のような条件で急激にガス濃度が上昇する場合には、1分以内にガス漏れ警報を発する必要がある。しかし、通常の45秒周期でのセンサ駆動のみの場合では、センサ駆動タイミングによっては、ガス漏れ発生時から1分以内にガス漏れ警報を発することができないことがある。具体的には、図9のT2の区間にセンサ駆動タイミングとなった場合には、1分以内にガス漏れ警報を発することができない。以下、詳細に説明する。
まず、通常のセンサ駆動周期(=45秒)で、図9のT1の区間内(0〜15秒)にセンサ駆動タイミングとなった場合を考えると、T1区間では、警報基準濃度を超えていないためガス漏れ警報は行わない。そして、センサ駆動周期は45秒周期であるので次のセンサ駆動タイミングは45秒後となり、図9のT4区間内(45〜60秒)に次のセンサ駆動タイミングとなる。T4区間では、ガス濃度は警報基準濃度を超えているため、ガス漏れ警報を発する。従って、通常のセンサ駆動周期(45秒)の場合でもT1区間内にセンサ駆動タイミングがあれば、次の駆動タイミングはガス漏れ発生時点から60秒以内となり次の駆動タイミングで警報基準濃度を超えたガス濃度を検出することができるため、1分以内でガス漏れ警報を発することができる。
次に、通常のセンサ駆動周期(=45秒)で、図9のT3の区間内(35〜45秒)にセンサ駆動タイミングとなった場合を考えると、このタイミングでのガス検知では、ガスセンサ11内のガス濃度は既に警報基準濃度を超えており、ガス漏れ警報を即時に発することができる。
最後に、通常のセンサ駆動周期(=45秒)で、図9のT2の区間内(15〜35秒)にセンサ駆動タイミングとなった場合を考えると、そのときのガス濃度は警報基準濃度を超えておらず、従ってガス漏れ警報は行われない。そして、そのままセンサ駆動周期45秒とすると、次のセンサ駆動タイミングは、T5(60〜80秒)となり、図示の例では約6000ppmを超えており(当然、ガス濃度は既に警報基準濃度を超えており)、ガス漏れ警報を発することになるが、これはガス漏れ発生から60秒経過後にガス漏れ警報を発することになり、1分以内に警報を発するという要求を満足できない。
一方、上記条件を本例のガス警報器10を適用すると、図10に示すようにどの様な場合でも1分以内にガス漏れ警報を行えるようになる。尚、本例のガス警報器10の場合も、上記T1やT3の区間内にセンサ駆動タイミングとなった場合には、当然、従来と同様に1分以内でガス漏れ警報を発することができる。そして、本例のガス警報器10の場合には、更に、上記T2の区間内にセンサ駆動タイミングとなった場合でも、1分以内にガス漏れ警報を発することができる。
尚、図10に示す例では、計測されるガス濃度変化は図9の例と同じであり、警報レベル(警報基準濃度)も図9の例と同じである。
以下、図10に示す例に沿って上記T2の区間内にセンサ駆動タイミングとなった場合について説明する。
まず、従来と同様に通常のセンサ駆動周期(=45秒)でT2区間内にセンサ駆動タイミングとなった場合、計測ガス濃度は500ppm以上となっている。このときのパルス通電中のセンサ抵抗値は、図3(a)において黒丸(N(0))で示すような変化となる。
従って、図4のフローチャートの処理の場合、「測定ガス濃度<警報基準濃度」(ステップS4,NO)で、更に、「今回センサ抵抗値比/前回センサ抵抗値比≧2」(ステップS6,YES)となるため、ステップS10の処理が実行されて、センサ駆動周期が上記通常周期(45秒周期)から短周期(20秒周期)に変更される。
検出周期が20秒となるため、次のセンサ駆動タイミングは図10のT6区間内(35〜55秒)となる。よって、次のセンサ駆動タイミングでは、測定ガス濃度が警報基準濃度を超えているので、1分以内でのガス漏れ警報を行うことができる。
上述したように、本例のガス警報器10のセンサ駆動方法では、通常時は45秒周期であり、余分な電力を消費することなくガスセンサの駆動ができるため、電池使用量を低減することができ、ガス漏れの可能性がある場合(ガス濃度が急激に上昇した場合)のみ、通常の駆動周期より短い駆動周期に一時的に切り替えて、通常よりも早いセンサ駆動間隔でガス検知を行うようにする。これによって、消費電流の増加を最小限に抑えつつ、早期にガス漏れの警報を発することができる。特に1分以内にガス漏れ警報を発することが要求される状態において、電力消費を抑えつつ1分以内に確実にガス漏れ警報を発することができるようになり、信頼性の高い警報器の提供が可能となる。
尚、図9、図10のガス濃度と経過時間の関係は一例であり、警報器本体のセンサ室構造やガスセンサ構造、ガスセンサのフィルタ種類などによりガス濃度と経過時間との関係は異なるものであり、通常よりも短い駆動周期の時間や短周期駆動の回数は、これらの関係により設計者等が適宜に決定するものである。特に、どの様な場合に“ガス濃度が(急激に)上昇した”と見做すのかについては、上記ステップS6やS106の判定で用いる閾値の値に依ることになる。
ここで、図11に、S16,S17を実行しない変形例におけるセンサ駆動のタイムチャート図を示す。
すなわち、図4や図5に示す処理例は、一例であり、この例に限らない。例えばステップS16,S17やステップS116,S117の処理を実行しないようにしてもよい。この場合、S16,S17やS116,S117の代わりに、S9,S14,S15やS109、S114,S115と同じ処理を実行する。つまり、警報基準濃度を超えたら直ちに45秒周期に戻るのではなく、所定回数分(短周期検知カウンタ=5)、短周期(20秒)駆動するようにしてもよい。換言すれば、急激なガス濃度変化を検知した場合には、その後に警報基準濃度を超えたか否かに関係なく必ず、所定の複数回分(短周期検知カウンタ=5)、短周期(20秒)駆動するようにしてもよい。
以上、変形例として一例を示したが、他の変形例であってもよい。何れにしても、本発明は、上述した図1〜図10に示す一実施形態に限定されるものではない。
図12は、本例のガス警報器10の制御回路部12に相当する制御部40の機能ブロック図である。
本例のガス警報器10は、前提として、検知対象ガスのガス濃度に応じて電気的特性が変化するガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の出力(電圧V1等)に基づいてガス漏れ検知する、電池を電源とする電池式ガス警報器である。
本例のガス警報器10は、センサ素子31aと該センサ素子31aを加熱する為のヒータ抵抗31bとを有するガスセンサ31と、制御部40を有する。制御部40は、ヒータ抵抗31bを加熱制御してセンサ素子31aの抵抗値を測定する機能などを有する。従来より、このセンサ抵抗値(それに応じた上記電圧値V1)等に基づいてメタンガス等のガス濃度を測定し、以ってガス漏れ警報を行うか否かを判定していたが、更に図示の各機能を有する。尚、ガスセンサ31とそのセンサ素子31aとヒータ抵抗31bは、上記図1のガスセンサ11とそのセンサ抵抗11aとヒータ抵抗11bに相当するものと見做してよい。
制御部40は、ガス警報器10全体の動作を制御するマイコン(CPU等)であり、不図示の内蔵メモリに予め記憶されているプログラムを実行することにより、図12に示す各種機能部の処理機能を実現できる。
すなわち、制御部40は、センサ駆動部41、変化値取得部42、判定部43、駆動周期変更部44、前回値記憶部45、ガス濃度算出部46、警報部47等の各種機能部を有する。
センサ駆動部41は、任意の駆動周期でパルス通電することでガスセンサ31を駆動する機能部であって、通常時は第1の駆動周期(例えば45秒周期)でガスセンサ31を駆動する。
変化値取得部42は、センサ駆動中のガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の抵抗値の変化を示す変化値を求める。当該センサ抵抗値の変化値の一例が、上述した“センサ抵抗値比”であるが、この例に限らない。
判定部43は、変化値取得部42で求められたセンサ抵抗値の変化値(一例が“センサ抵抗値比”)に基づいて、ガスセンサの駆動周期を一時的に変更するか否かを判定する。
駆動周期変更部44は、判定部43によってセンサ駆動周期を一時的に変更すると判定された場合、一時的に、センサ駆動部41に上記第1の駆動周期よりも短い第2の駆動周期(例えば20秒周期)でガスセンサを駆動させる。
上記判定部43は、例えば、上記センサ抵抗値の変化値が所定値以上であるか否かによって、駆動周期を一時的に変更するか否かを判定する。
上記変化値取得部42は、例えば、センサ駆動中の複数タイミングでのガスセンサの出力(電圧V1等)に基づいて、該各タイミングにおけるガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の抵抗値を求め、該複数の抵抗値の比であるセンサ抵抗値比を、上記センサ抵抗値の変化値とする。
上記変化値取得部42は、例えば、センサ駆動中の任意のタイミングにおけるガスセンサの出力(電圧V1等)に応じたガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の抵抗値である第1抵抗値と、センサ駆動終了時のガスセンサの出力(電圧V1等)に応じたガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の抵抗値である第2抵抗値との比を、上記センサ抵抗値比とする。尚、上記第1抵抗値を取得するタイミングは、例えば一例としてはセンサ駆動開始から40msや50ms程度経過した時点であるが、勿論、この例に限らない。また、上記第2抵抗値を取得するタイミングは、上記センサ駆動終了時に限らず、センサ駆動中であっても構わない(但し、上記第1抵抗値を取得するタイミングよりは後とする)。
また、例えば一例としては、上記変化値取得部42は「第1抵抗値/第2抵抗値」を上記センサ抵抗値比とし、判定部43は該センサ抵抗値比が所定の第1閾値以上である場合にはセンサ駆動周期を一時的に変更するものと判定する。
また、前回値記憶部45を更に設けて、上記センサ抵抗値の変化値やセンサ抵抗値比の前回値も用いて、センサ駆動周期を一時的に変更するか否かを判定するようにしてもよい。
すなわち、前回値記憶部45は、例えば、前回のセンサ駆動時に上記変化値取得部42によって求められた上記センサ抵抗値の変化値を、前回値として記憶しているものであってもよい。そして、この場合、判定部43は、今回、変化値取得部42によって求められた上記センサ抵抗値の変化値である今回値と、上記前回値とに基づいて、センサ駆動周期を一時的に変更するか否かを判定する。
あるいは、前回値記憶部45は、例えば、前回のセンサ駆動時に上記変化値取得部42によって求められた上記センサ抵抗値比を、前回値として記憶しているものであってもよい。そして、この場合、判定部43は、今回、変化値取得部42によって求められた上記センサ抵抗値比である今回値と、上記前回値とに基づいて、センサ駆動周期を一時的に変更するか否かを判定する。
上記前回値も用いる例の場合、判定部43は、例えば、“上記今回値と上記前回値との比”と所定の第2閾値とに基づいて、あるいは“上記今回値と上記前回値との差”と所定の第3閾値とに基づいて、センサ駆動周期を一時的に変更するか否かを判定する。但し、これらの例に限らない。
また、例えば、判定部43は、“今回値/前回値”を上記“今回値と前回値との比”とし、該“今回値/前回値”が前記所定の第2閾値以上である場合には、センサ駆動周期を一時的に変更すると判定する。
ここで、上記センサ抵抗値の変化値または上記センサ抵抗値比あるいは上記“今回値と前回値との比”または“今回値と前回値との差”は、検知対象ガスに係るガス濃度変化を示すものであると見做してもよい。そして、判定部43は、ガス濃度がある程度以上急激に変化していると見做せる場合に、センサ駆動周期を一時的に変更すると判定するものと見做しても構わない。
また、例えば、駆動周期変更部44は、上記第2の駆動周期でのガスセンサの駆動回数または駆動時間が、予め設定される所定回数または所定時間に達した場合、センサ駆動周期を上記第1の駆動周期に戻すものであってもよい。
尚、既存の構成であるガス濃度算出部46と警報部47があってもよい。
ガス濃度算出部46は、センサ駆動時(駆動終了時等)のガスセンサの出力(電圧V1等)に基づいて、ガス濃度を算出する。
警報部47は、該算出したガス濃度が所定の第4閾値を超えたときに所定の警報動作を行う。なお、ガス濃度算出部46を設けず、センサ抵抗値が所定の第4閾値を超えたときに、判定部43の判定に基づいて、警報部47が所定の警報動作を行うこともできる。
そして、例えば、上記駆動周期変更部44は、ガス濃度算出部46で算出するガス濃度が上記第4閾値を超える前に、上記第2の駆動周期でのガスセンサの駆動回数または駆動時間が、予め設定される所定回数または所定時間に達した場合には、センサ駆動周期を第1の駆動周期に戻すものであってもよい。
また、例えば、上記駆動周期変更部44は、ガス濃度算出部46で算出するガス濃度が上記第4閾値を超えた場合には、センサ駆動周期を第1の駆動周期に戻すものであってもよい。
また、例えば、上記センサ駆動部41は、センサ駆動時に、通常時は所定の第一通電時間分のパルス通電を行うが、当該第一通電時間より長い第二通電時間分のパルス通電を行う場合があってもよい。これは、例えば、駆動周期変更部44が、センサ駆動周期を一時的に第2の駆動周期に変更させる場合に、パルス通電時間も一時的に上記第二通電時間に変更させるものであるが、この例に限らない。
また、センサ駆動部41は、任意のセンサ駆動周期毎に、センサ抵抗値比が所定の第5閾値未満となるまで、パルス通電を続けるものであってもよい。これは、一例としては、上記図7の処理例のように、センサ抵抗値比が所定の閾値(=1.2)未満となるまで、パルス通電を延長し続けるものであってもよい。
上記本発明のガス警報器では、通常時は比較的長い駆動周期(第1駆動周期)でガスセンサを駆動して周囲ガスの検知を行っており、センサ駆動中に複数回測定されるセンサ抵抗値に基づいて、一時的に短周期駆動するか否かを判定する。測定された複数のセンサ抵抗値の比や差分等に基づいて当該判定を行う。あるいは、前回駆動時のセンサ抵抗値比も用いて当該判定を行うようにしてもよい。一時的に短周期駆動すると判定した場合、センサ駆動周期を短くして(第2駆動周期)周囲ガスの検知を行うようにする。これによって、省電力化を実現して電池消耗を抑えつつ、急激なガス濃度上昇に対しても検知遅れなく早期にガス漏れ警報を発することができる。
また、センサ抵抗値比は、一例であり、この例に限らず、基本的に、センサ駆動中のガスセンサ(そのセンサ抵抗11a)の抵抗値の変化を示すもの(変化値と呼ぶものとする)であればよい。