JP4397135B2 - 電池駆動型ガス警報器の動作方法及びガス警報器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池を電源として動作する電池駆動型ガス警報器に関するものでああり、さらに詳細には、半導体式ガスセンサにパルス通電して、パルス通電状態にあるセンサの電気的出力に基づいて、検知対象ガスを検知する電池駆動型ガス警報器の動作方法、もしくは、このような電池駆動型のガス警報器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス警報器としては、商用電源等の外部電源を利用するもの、このような外部電源を使用せず、警報器内に備えられる電池を唯一の電源として使用するものがある。
【0003】
後者の電池駆動型のガス警報器は、例えば、マンション等に備えられるパイプスペース内に備えられる。このようなガス警報器は、その電源を電池のみに頼るため、所定期間の経過後、電池を交換する必要がある。従って、この型のガス警報器では、パルス通電方式が採用される。この方式は、ガスセンサに対する通電を常時行うこと無く、所定のインターバルで、センサにパルス形状の通電を行うと共に、この通電時に、センサの電気的特性を検出して、ガスの有無、その濃度等を検出する。通常、ガスセンサの電気的出力の取り込みはパルス通電の終了時とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなパルス通電方式のガス警報器にあっては、電池寿命をできるだけ延ばすために、通電時間をできるだけ短くしたい。しかしながら、本発明が対象とするような半導体式ガスセンサの場合は、このパルス通電時間を短くすると、検知対象ガスと妨害ガスとの間において、その識別検知ができない状況となりやすいことが判明した。
【0005】
この状況をさらに詳細に図面に基づいて説明する。図3(ロ)は、メタンセンサと呼ばれるメタンを検知対象ガスとする半導体式ガスセンサのパルス通電出力を示したものである。同図、横軸はパルス波形時間を示しており、縦軸はパルス通電を行った場合のパルス波形出力を示している。図上、パルス波形時間が0とされている時刻がパルス通電の開始点であり、パルス波形出力が急激に立ち下がっている時刻が通電終了時点である。同図に、実線でメタンガス1000ppmの波形出力を、一点鎖線で水素ガス2500ppmの波形出力を、破線で、ベースである空気に対す
る波形出力を示している。
【0006】
同図からも判明するように、半導体式ガスセンサの感応波形出力は、パルス通電の開始と同時の波形出力の瞬間的な立ち上がりを経て、一旦ピークに至り、その後、ガス種に応じた定常波形出力値に至る(時間の経過に対して出力値が変わらない状態)。この状況は、後述する図3(イ)に示すようにパルス通電時間が長く設定されると、さらに明確となる。
【0007】
図3(ロ)に戻って説明をさらに続ける、上記のように、概して、パルス通電時間をできるだけ短く設定することが、電池寿命等の点から好ましいが、上記のような半導体式ガスセンサにあっては、図3(ロ)に示すように、パルス通電時間が短い場合、その感応波形出力に関して、検知対象ガスと妨害ガスとの間で、これに差が出難い状況になる場合があり、パルス通電時間をあまりに短くすると、ガス種間の識別検知が難しいという問題があることが判明した。例えば、図3(ロ)に示す様に、パルス通電時間が比較的短い場合には、メタンガスと水素ガスとの識別が事実上できない。但し、空気との識別検知は可能であるため、何らかの意味で、ガスが存在している可能性が高いことの検知は短時間通電で可能である。
【0008】
その他、当該ガス警報器は、ガス警報器そのものを視認しにくい前記パイプスペース等に設けることが多いため、当該ガス警報器の動作状況を的確に把握し難い場合があった。
【0009】
本発明の目的は、半導体式ガスセンサを備えた電池駆動型のガス警報器にあって、同一の電源電池を従来よりも長期間使用でき、さらに、警報出力時に、ガス種に従った識別検知が可能な電池駆動型ガス警報器の動作方法及びそのような方法で働くガス警報器並びに当該ガス警報器を用いたガス漏れ監視システムを得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明による、通電状態で検知対象ガスに感応して電気的出力が変わる半導体式ガスセンサにパルス通電して、前記半導体式ガスセンサのパルス通電時間の終了時における電気的出力に基づいて、前記検知対象ガスを検知する電池駆動型ガス警報器の動作方法の特徴手段は、請求項1に記載されているように、所定のパルス通電インターバルである基本インターバルで前記パルス通電及び随伴のガス検知を予備的に行う予備検知モードと、前記予備検知モードにおいて検知対象ガスが検知された後、前記検知対象ガスが検知されなくなるまで、前記パルス通電及び随伴するガス検知を行うとともに、所定の警報を出力する警報検知モードと、を備え、前記警報検知モードにおける前記パルス通電時間である警報検知通電時間を、前記予備検知モードにおける前記パルス通電時間である予備検知通電時間より長く設定し、前記警報検知モードにおいて、最初の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで実行し、その後の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルで実行することにある。
【0011】
この動作方法を使用する電池駆動型ガス警報器では、その動作モードとして、予備検知モードと警報検知モードとが用意される。そして、例えば、ガス漏れ等の発生が確認されていない通常状態にあっては、前者のモードで、警報発令が必用な警戒状態では、後者のモードで動作することが可能となる。
【0012】
即ち、予備検知モードは、ガス検知を予備的に行うモードであり、警報検知モードは、一応のガスの検知が成された場合に、この検知状態が止むまでの間に行うモードである。さて、ここで、本発明に言う検知とは、ガスセンサの電気的出力に従って導出される検知対象ガス濃度が、予め設定されている比較レベルより高く、比較レベルの設定に対応するガス濃度より高いガス濃度が検知される状態をいう。
【0013】
さて、本発明のガス警報器は上記2モードで動作するが、パルス通電時間に関して、両モードにおける通電時間を異ならすことができる。即ち、警報検知通電時間が、予備検知通電時間に対して長く設定される。結果、予備検知モードでは比較的短い通電時間の通電を行うとともに、それに随伴したガス検知を行うことで、電力消費の低い動作で、何らかのガスの存在等の検知を行うことが可能となる。このような予備検知モードでは、この動作形態は、ガス警報器の動作時間の殆どが、ガス漏洩等の無い正常状態での空検知動作となっていることを考えると、電力消費節減の意味から、この形態が非常に有効である。一方、警報検知モードでは比較的長い通電時間の通電を行うとともに、それに随伴したガス検知を行うことで、先に説明した半導体式ガスセンサ特有の感応特性から、検知対象ガスの識別検知を良好に行うことができる。この場合、比較的長い通電時間を経過した状態で、パルス通電の終了時(パルス通電の立ち下がりの直前)の電気的出力により、ガス検知を実行することで、この時点ではガス種に応じた電気的出力を検知することができ、識別検知の上で有効に寄与することとなる。従って、ガス警報器としては、電池の寿命を充分に長く保ちながら、検知対象ガスを有効に識別検知できる、信頼性の高いものとすることが可能となった。
【0014】
また、予備検知モードから警報検知モードへの切り換えまでは、パルス通電及び随伴するガス検知は、基本インターバルをおいて行う。従って、このガス検知器におけるガス通電の間隔は、原則的には、基本インターバルをおいたものとなる。さて、予備検知モードから警報検知モードへの切り換えは、予備検知モードで動作している状態で、ガスが検知された場合であるが、このような警戒を必要とする場合にあっても、上記基本インターバルで後続の通電及び随伴のガス検知を行うと、確認が遅きに失する場合がある。
【0015】
従って、予備検知モードから前記警報検知モードへの移行に際して、基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで、警報検知モードへの移行後における、最初の通電及び随伴するガス検知を実行する。このようにしておくと、予備検知モードでガスが検知された状態で、モード切り換えに際して迅速に後続するガスの検知を行って、ガス漏れ等の発生を、再度検知して、確認することができる。
【0016】
このような動作形態を採る電池駆動型のガス警報器としては、これを、請求項4に記載されているように構成することができる。即ち、通電状態で検知対象ガスに感応して電気的出力が変わる半導体式ガスセンサと、前記半導体式ガスセンサにパルス通電するパルス通電手段と、前記半導体式ガスセンサのパルス通電時間の終了時における電気的出力に基づいて、前記検知対象ガスを検知する検知手段を備えた電池駆動型のガス警報器を構成するに、所定のパルス通電インターバルである基本インターバルで前記パルス通電手段及び前記検知手段による前記パルス通電及び随伴のガス検知を予備的に行う予備検知モードと、前記予備検知モードにおいて検知対象ガスが検知された後、前記検知対象ガスが検知されなくなるまで前記パルス通電及び随伴するガス検知を行うとともに、所定の警報を出力する警報検知モードと、で動作可能に構成され、前記警報検知モードにおける前記パルス通電時間である警報検知通電時間が、前記予備検知モードにおけるパルス通電時間である予備検知通電時間より長く設定されるとともに、前記警報検知モードにおいて、最初の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで実行し、その後の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルで実行する構成とする。
【0017】
この電池駆動型のガス警報器において、パルス通電手段は半導体式ガスセンサに対するパルス通電を、検知手段はガスセンサの検知対象ガス等に感応した状態での電気的出力の検知およびその検知結果に基づいたガス検知を司る。そして、このガス警報器にあっては、方法の項で説明した様に、予備検知モードと警報検知モードとで、異なったパルス通電時間を備え、前者の通電時間が後者のそれより短く設定され、警報検知モードにおいて、最初のパルス通電及び随伴するガス検知を基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで実行し、その後のパルス通電及び随伴するガス検知を基本インターバルで実行することにより、方法の項で説明した作用効果を奏することができる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
さらに、請求項2もしくは5に記載されているように、前記半導体式ガスセンサが半導体式メタンセンサであり、前記検知対象ガスであるメタンガスを、妨害ガスとしての水素ガスに対して識別検知することが好ましい。半導体式ガスセンサの内、メタンセンサは、検知対象ガスがメタンであり、このガスが都市ガス等の主ガスであることから、実用用途が多々ある。さらに、このガスセンサでは、メタンガスの水素ガスに対する識別検知が問題となることがある。しかしながら、本発明のように、予備検知通電時間と警報検知通電時間とに差を持たせて、適確に検知対象ガスを検知するようにすることで、実用用途の多いメタン検知を、電池式のもので、信頼性よく行うことができる。
【0022】
さて、前記警報検知通電時間としては、請求項3、または6に記載されているように、0.3〜1secであることが好ましい。この最低通電時間(0.3sec)より短い場合は、メタンと水素との差が出難い。最大通電時間(1sec)より長い場合にあっても、識別検知能の改善は認められず、長くしても消費電力を増加させるだけで、好ましくない。
【0023】
本発明のガス警報器としては、請求項7に記載したごとく、検知対象ガスの存在を確認した場合に警報信号を外部に出力する外部出力手段を備えて構成することもできる。本発明に係るガス警報器の構成としては、例えば、ガス警報器自身が警報音等を発生させ得るものが考えられる。しかし、当該ガス警報器は、前述のごとく建物のパイプスペース等、通常、当該ガス警報器を監視し難い箇所に設置することが多い。そのような場合には、ガス警報器の警報表示を認識し難い場合が生じる。そこで、本構成のごとく、外部出力手段を備えておけば、ガス警報器の設置場所とは異なる場所でガス漏れ情報等を確認することができ、ガス警報器の作動状況を確実に把握することができる。
【0024】
また、本発明のガス警報器は、単体で用いることができる他、多数同時に利用することもできる。例えば、請求項8に記載したごとく、前記電池駆動型のガス警報器を、前記外部出力手段を介してガス漏れを監視するガス漏れ監視装置に接続し、ガス漏れ監視システムを構成するのである。本構成であれば、例えば、一つのガス漏れ監視装置を利用して、多数のガス警報器の作動状況を同時に確認することができる。よって、個々のガス警報器の動作状況を個別に確認する煩雑さが解消される。また、夫々のガス警報器の位置情報を参照できるようなシステムを構成しておけば、ガス漏れがどのエリアで生じているかといったガス漏れ状況を把握する場合等にも有効なものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の電池駆動型のガス警報器1の構成を、図1に示す機能ブロック図に基づいて説明する。このガス警報器1は、メタンガスを検知対象ガスとするものであり、このガスとの接触により、その電気的特性(具体的には電気抵抗)が変化する半導体式ガスセンサ2を備えたものである。
【0026】
ガス警報器1では、半導体式ガスセンサ2の抵抗値の変化をホイートストンブリッジ等の所定の検出用電気回路3を介して、その電気的特性の変化として検出し、この検出値と予め求められている検知対象ガスの濃度等に関するデーター(比較レベル)と比較することにより、ガスの有無を検知する。
【0027】
前記ガスセンサ2は、一般にメタンセンサと呼ばれるものであり、例えば、特開平10−142183号公報に示される可燃性ガス検知素子である。この素子の製造方法を念のため説明しておくと、図4に示すように、酸化スズを水に分散、混合させて、ペースト状にし、白金線コイル2bに塗布して乾燥し、400℃で1時間焼成し、酸化スズ焼結体2aを得る。一方、硝酸ランタン、及び硝酸ジルコニルの混合溶液を用意しておく。この混合溶液の所定量を前記酸化スズ焼結体に含浸させ、前記酸化スズ焼結体に、ランタン化合物が酸化ランタン(La2O3)換算で0.9mol%、ジルコニウム化合物が酸化ジルコニウム(ZrO2)換算で1.8mol%含有させた感応層2cを備えたものとする。
この様にして、本発明で使用するガスセンサ2を得ることができる。
【0028】
ガス警報器1は電池電源4のみによって駆動されることから、パルス通電方式が採用されており、ガス検知にあたっては、その検知タイミング毎に、パルス状の通電を繰り返しながら、通電時に、ガスセンサ2の電気的特性を検出し、ガス検知を行う。ここで、パルス状の通電は、図2に示すように、具体的には、0.3若しくは0.5secの通電と、 所定間隔の通電停止(50sec若しくは5sec)とを繰り返すものである。このようなパルス状の通電はパルス通電手段5によって実行される。特に、メインCPU6側からの割り込みがない限りにおいて、このパルス通電手段5にあっては、特定された通電インターバルのパルス通電を、順次、繰り返すように構成されている。
【0029】
ガス検知側について説明すると、検知手段7では、上記の通電状態において、半導体式ガスセンサ2から電気的出力の取り込みが実行され、この出力に基づいてガスの有無の判断が行われる。このような電気的出力の取り込みは、パルス通電の終了間際のパルス波形出力を取り込み、これをガス検知の対照データー(検知信号)とするものである。この検知手段7で、電気的出力の取り込み、ガス濃度に対応するデーターへの変換、比較レベルとの比較、比較結果のメインCPU6への出力までが実行される。
【0030】
これらパルス通電手段5、検知手段7の動作制御は、動作制御手段としても働くメインCPU6により行われる。この動作制御手段の働きに関しては、後に詳述する。
【0031】
要約すると、本発明のガス警報器1は、通電状態で検知対象ガスに感応して電気的出力が変わる半導体式ガスセンサ2と、このセンサ2にパルス通電するパルス通電手段5と、センサがパルス通電状態にある状態で、その電気的出力を検出し、その結果に基づいて、検知対象ガスを検知する検知手段7とを備えている。
【0032】
さて、上記のようにして検知手段7で検知されるガスに関する検知信号は、この信号に対して予め設定された比較レベルである警報レベルと比較されて、比較結果に基づいて、検知信号が比較レベルに対して高い、もしくは低い場合に、所定の状態変化出力をメインCPU6に出すように構成されている。
【0033】
そして、メインCPU6にあっては、この状態変化出力に基づいて、検知対象ガスの状態を判断し、この判断結果に基づいて、所定の動作制御指令を各機能部に出す構成が採用されている。
【0034】
このような検知対象ガスの状態に基づく動作制御指令は、前記パルス通電手段5及び検知手段7に対するモード切り換え指令出力と、本発明のガス警報器1の点燈出力を実行するための点燈警報出力手段8に対する出力指令である。
【0035】
先に、点燈警報に関する機能部に関して説明すると、ガス警報器には、図1に示すように、点燈警報出力手段8が設けられている。この点燈警報出力手段8は、LED8aとLED駆動用の点燈警報回路8bとから構成されており、メインCPU6からの出力指令に従って、所定の間隔でLED8aを点滅させる。具体的には、ガスが検知されるまでの予備検知モードにあっては10secに一回の点燈を、ガスが検知され、モードが警報検知モードである場合は5秒に一回の点燈を、警報検知モードでガスが検知されなくなった後所定時間の予備検知モードにあっては5秒に一回の点燈を行う。その後、元の状態に復帰する。
【0036】
以上が、このガス警報器1の基本的な動作機能の説明である。このガス警報器1にあっては、上記の機能構成を採用しながら、パルス通電それに随伴するガス検知を、動作モードに応じて本発明独特の通電時間で実行する。この動作は、基本的にパルス通電手段5、検知手段7によるものであり、メインCPU6がこれらの手段のモード切り換え指令を出す。
【0037】
以下、図2を参照しながら、動作状況を説明する。図2の上段に、時間領域(横軸)における検知対象ガスのガス濃度の変化を示した。実線がガス濃度を示している。同図において、一点鎖線を示したのは警報レベルである。
【0038】
さて、この図の下側に、ガスセンサ2に対するパルス通電、ガス検知の状況を示した。さらに、これらの図の下側に、動作モード、点燈警報出力の形態を示した。
【0039】
以下、時間経過に沿って説明する。所定の動作モードの切り換えはメインCPU6からの指令でされる。
【0040】
イ 通常状態
この状態にあっては、ガス警報器は予備検知モードで動作する。この予備検知モードにあっては、所定の通電インターバル毎に、パルス通電及び随伴するガス検知が繰り返される。このモードにおける各パルスの通電時間は本発明にいう予備検知通電時間である0.3secであり、通電インターバルは、基本インターバルである50secに選択されている。このモードにあって、点燈は、先に示したように10秒に一回である。
【0041】
ロ 警報検知モード
前記予備検知モードにおいて、半導体式ガスセンサからの出力が所定の警報レベルを越えた場合は、検知手段7よりメインCPU6側への状態変化出力が出力され、メインCPUからパルス通電手段5、検知手段7、光点燈警報手段8へのモード切り換え指令が出される。即ち、予備検知モードから警報検知モードへの切り換えが行われる。この警報検知モードにあっては、初回の警報検知にあたっては、前記基本インターバルより短い初期警報検知インターバルで、それ以後の警報検知にあたっては前記基本インターバルで、通電とガス検知が繰り返される。この警報検知モードにおける各パルスの通電時間は、本発明に言う警報検知通電時間である0.5secに選択される。一方、先の初期警報検知インターバルは5secであり、基本インターバルは50secである。点燈警報出力手段8にあっては、点燈回数を5秒に3回に切り換える。
【0042】
ハ 予備検知モードへの復帰
以降、警報検知は、基本インターバルで、順次、繰り返される。そして、警報検知において、検知されるガス濃度が警報レベルより下がった状態で、この警報検知モードは解消され、予備検知モードに復帰される。この場合も、検知手段7からのガスの状態が変化したとの出力が、メインCPUに送られて、これから、パルス通電手段5、検知手段7、点燈警報出力手段8へモード切り換え指令が発令される。この復帰動作に伴って、動作モードは予備検知モードでのものとされ、原則上記したと同様な動作をする。但し、点燈警報出力手段8における出力形態は、先に示したように、所定時間だけ、5secに一回の点燈を行うものとし、この時間の経過後に、予備検知モード本来の点燈頻度に戻るものとされる。
【0043】
以上が、本発明のガス警報器1の一連の動作である。図3(イ)に基づいて、予備検知通電時間を短く、警報検知通電時間を長く選択する場合の検知状況について説明する。図3(イ)は、先に説明した図3(ロ)と同様に記載形態を採用している。図3(イ)の状況と、(ロ)の状況との差異は、パルス通電時間の差である。即ち、前者が後者より長い。さて、図からも明らかなように、比較的長いパルス通電状態を保つことで、メタンガス、水素ガスに対するパルス波形出力は、時間軸に沿った定常安定状態となっているとともに、その出力差が明確となっている。従って、通電の終了時に、ガス検知を行うことで、これらのガスの識別検知が可能であることが判る。但し、この終了時とは、厳密に通電の立ち下がり時という意味では無く、通電の立ち下がりの直前の一定時間にという意味である。メタンセンサにおいて、警報検知通電時間が、0.3〜1secに選択されている場合、通電の立ち下がり時刻に対して、0〜0.1sec前から立ち下がり直前までに、センサの電気的出力を得、これに基づいた、ガス検知をおこなえば良い。
【0044】
さて、図3にあっては、メタンガス濃度を1000ppmに、水素ガス濃度を2500ppmに設定しているが、この理由は以下の通りである。本発明のガスセンサは、メタンガスの検知を目的とするものであり、水素ガスは、このガスに対して妨害ガスとなる。従って、例えば、同一濃度の場合に、これらを識別できる必要があるとともに、例えば、水素ガス濃度が高い場合でも、メタンガスに対する出力が大きければ、これを識別検知できることとなる。従って、一応の目安として、水素ガスがメタンガス濃度に対して、倍以上ある場合にあっても、メタンガス側の出力が勝るように、2500ppmを想定する。通常の場合、水素ガス濃度は、低濃度(水素ガスの発生は低濃度である)であるため、この条件をみたせば、充分に識別検知可能である。
【0045】
結果、このような動作形態を採用することにより、電源電池で賄われる電力を有効に利用するものでありながら、検知対象ガスと妨害ガスとの間で識別検知が可能である。
【0046】
〔別実施の形態〕
本発明に係るガス警報器は、以下のごとく利用し、または、実施することができる。
(1) 上記実施形態では、本発明に係る電池駆動型のガス警報器そのものが警報音等を発生させる例を示した。しかし、当該ガス警報器1は、例えば、建物のパイプスペース等、通常、当該ガス警報器1を監視し難い箇所に設置することが多く、そのような場合には、ガス警報器1の警報表示を認識し難い場合が生じる。
【0047】
そこで、図5に示すごとく、本発明のガス警報器1には、検知対象ガスの存在を確認した場合に警報信号を外部に出力する外部出力手段11を備えておくことができる。当該外部出力手段11としては、例えば、検知対象ガスの種類の違いによって、異なる電圧の信号を出力可能な信号発生回路を備えて構成することができる。
【0048】
本構成であれば、ガス警報器1の設置場所とは異なる場所でガス漏れ情報等を確認することができるため、ガス警報器1の設置場所に拘わらずガス警報器1の作動状況を確実に把握することができる。
【0049】
(2) 上記実施形態では、本発明のガス警報器を単体で用いる例を示したが、当該ガス警報器を多数同時に使用することもできる。例えば、図5に示すごとく、前記外部出力手段11を有する多数のガス警報器1をガス漏れ監視装置12に接続してガス漏れ監視システムを構成することができる。本構成であれば、一つのガス漏れ監視装置12を利用して、多数のガス警報器1の作動状況を同時に確認することができる。よって、個々のガス警報器1の動作状況を個別に確認する煩雑さを解消できるばかりでなく、例えば、夫々のガス警報器1の位置情報を参照することで、ガス漏れがどのエリアで生じているかといったガス漏れ状況を把握する場合等にも有効である。
【0050】
(3) 上記の実施の形態にあっては、予備検知通電時間として0.3secを、警報検知通電時間として0.5secを採用するものとしたが、半導体式のメタンガスセンサの場合、この警報検知通電時間を0.3〜1secとすることが、好ましい。この場合、予備検知通電時間は、前記警報検知通電時間より短い条件で、0.1〜0.5secとすることが、好ましい。
【0051】
(4) 上記の実施の形態にあっては、検知対象ガスがメタンである場合を示したが、本発明は、イソブタン、LPガス等を検知対象ガスとするガス警報器等にも使用できる。さらに、メタンセンサとして、添加物含有率に関して、酸化ランタンの含有率が0.9〜1.2mol%、酸化ジルコニウムの含有率が1.8〜2.4mol%であるときに上述の両条件がともに適切な範囲といえる。この含有率範囲では、ガス選択性をもち、かつ、湿度依存性が少なく安定した出力を維持することができるので、長期にわたっても安定した可燃性ガス検知特性が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池駆動型ガス警報器の機能ブロック図
【図2】本発明の電池駆動型のガス警報器の検知形態の説明図
【図3】パルス通電時間を変えた場合のパルス波形出力の状態を示す図
【図4】ガスセンサの構造を示す図
【図5】別実施形態に係る電池駆動型ガス警報器の機能ブロック図
【符号の説明】
1 ガス警報器
2 半導体式ガスセンサ
3 検出用電気回路
4 電源電池
5 パルス通電手段
6 メインCPU
7 検知手段
8 点燈警報出力手段
Claims (8)
- 通電状態で検知対象ガスに感応して電気的出力が変わる半導体式ガスセンサにパルス通電して、前記半導体式ガスセンサのパルス通電時間の終了時における電気的出力に基づいて、前記検知対象ガスを検知する電池駆動型ガス警報器の動作方法であって、
所定のパルス通電インターバルである基本インターバルで前記パルス通電及び随伴のガス検知を予備的に行う予備検知モードと、
前記予備検知モードにおいて検知対象ガスが検知された後、前記検知対象ガスが検知されなくなるまで、前記パルス通電及び随伴するガス検知を行うとともに、所定の警報を出力する警報検知モードと、を備え、
前記警報検知モードにおける前記パルス通電時間である警報検知通電時間を、前記予備検知モードにおける前記パルス通電時間である予備検知通電時間より長く設定し、
前記警報検知モードにおいて、最初の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで実行し、その後の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルで実行する電池駆動型ガス警報器の動作方法。 - 前記半導体式ガスセンサが半導体式メタンセンサであり、前記検知対象ガスとしてのメタンガスを、妨害ガスとしての水素ガスに対して識別検知する請求項1記載の電池駆動型ガス警報器の動作方法。
- 前記警報検知通電時間が0.3〜1secである請求項2記載の電池駆動型ガス警報器の動作方法。
- 通電状態で検知対象ガスに感応して電気的出力が変わる半導体式ガスセンサと、前記半導体式ガスセンサにパルス通電するパルス通電手段と、前記半導体式ガスセンサのパルス通電時間の終了時における電気的出力に基づいて、前記検知対象ガスを検知する検知手段を備えた電池駆動型のガス警報器であって、
所定のパルス通電インターバルである基本インターバルで前記パルス通電手段及び前記検知手段による前記パルス通電及び随伴のガス検知を予備的に行う予備検知モードと、
前記予備検知モードにおいて検知対象ガスが検知された後、前記検知対象ガスが検知されなくなるまで前記パルス通電及び随伴するガス検知を行うとともに、所定の警報を出力する警報検知モードと、で動作可能に構成され、
前記警報検知モードにおける前記パルス通電時間である警報検知通電時間が、前記予備検知モードにおけるパルス通電時間である予備検知通電時間より長く設定されるとともに、
前記警報検知モードにおいて、最初の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルより短い時間の初期警報検知インターバルで実行し、その後の前記パルス通電及び随伴するガス検知を前記基本インターバルで実行する電池駆動型ガス警報器。 - 前記半導体式ガスセンサが半導体式メタンセンサであり、前記検知対象ガスとしてのメタンガスを、妨害ガスとしての水素ガスに対して識別検知する請求項4記載の電池駆動型ガス警報器。
- 前記警報検知通電時間が、0.3〜1secである請求項5記載の電池駆動型ガス警報器。
- 前記検知対象ガスの存在を確認した場合に、警報信号を外部に出力する外部出力手段を備えてある請求項4〜6の何れか一項に記載の電池駆動型ガス警報器。
- 請求項7に係る電池駆動型ガス警報器を、前記外部出力手段を介して、ガス漏れを監視するガス漏れ監視装置に接続してあるガス漏れ監視システム。
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