以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<1.接合システムの構成>
まず、第1の実施形態に係る接合システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る接合システムの構成を示す模式平面図である。
また、図2は、被処理基板および支持基板の模式側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示す第1の実施形態に係る接合システム1は、被処理基板Wおよび支持基板S(図2参照)を、接着剤Gおよび剥離剤Rを介して接合することによって重合基板Tを形成する。
被処理基板Wは、たとえば、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を支持基板Sとの接合面Wjとしている。かかる被処理基板Wは、支持基板Sとの接合後、接合面Wjとは反対側の面である非接合面Wnが研磨処理されることによって薄型化される。剥離剤Rは、被処理基板Wの接合面Wjに塗布される。
一方、支持基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。支持基板Sとしては、たとえばガラス基板の他、シリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板等を用いることができる。接着剤Gは、かかる支持基板Sの被処理基板Wとの接合面Sjに塗布される。
接着剤Gは、熱硬化性樹脂系の接着剤である。熱硬化性とは、常温(たとえば20℃程度)では変形しにくいが加熱によって軟化して成形し易くなり、さらに加熱することで重合が進んで硬化し、もとの状態に戻らなくなる性質をいう。接合システム1において使用される接着剤Gとしては、たとえば軟化温度が120〜140℃程度、硬化温度が180℃程度のものが用いられる。
剥離剤Rは、重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する際に、被処理基板Wと支持基板Sとの剥離を円滑に行う目的で塗布される。剥離剤Rとしては、接着剤Gよりも接着力が低く、粘性が低い材料が用いられる。また、剥離剤Rは、シンナーなどの有機溶剤に可溶な性質を有するとともに、加熱しても硬化しない性質も有する。
被処理基板Wにおける接合面Wjの外周部には、剥離剤Rが除去された領域(以下、「未塗布領域Q」と記載する)が存在する。後述する接合処理おいて被処理基板Wと支持基板Sとが接合された際、かかる未塗布領域Qには、支持基板Sに塗布された接着剤Gが付着する。これにより、被処理基板Wと支持基板Sとは、未塗布領域Qにおいて接着剤Gによって強固に接合され、たとえば接合後の重合基板Tを搬送する際の位置ずれが防止される。
なお、未塗布領域Qは、被処理基板Wの接合面Wjの全面に剥離剤Rを塗布した後、被処理基板Wのベベル部を含む周縁部から剥離剤Rを除去するエッジカット処理を行うことによって形成される。かかる点については後述する。
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、X軸正方向にこの順番で一体的に接続される。
搬入出ステーション2は、カセット載置台10と、第1搬送領域11とを備える。カセット載置台10は、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットCw,Cs,Ctが載置される場所である。かかる搬入出ステーション2には、たとえば4つの載置部12が一列に並べて載置される。各載置部12には、たとえば、被処理基板Wを収容するカセットCw、支持基板Sを収容するカセットCsおよび重合基板Tを収容するカセットCtがそれぞれ載置される。
第1搬送領域11には、Y軸方向に延在する搬送路13と、この搬送路13に沿って移動可能な第1搬送装置14とが配置される。第1搬送装置14は、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能であり、載置部12に載置されたカセットCw,Cs,Ctと、後述する処理ステーション3の第1受渡部20との間で被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬送を行う。
処理ステーション3は、第1受渡部20と、第2搬送領域30と、第1塗布装置40と、第2塗布装置50と、複数の熱処理装置60と、エッジカット装置70と、接合装置80とを備える。
第1受渡部20は、第1搬送領域11と第2搬送領域30との間に配置される。第1受渡部20では、第1搬送領域11に配置される第1搬送装置14と、第2搬送領域30に配置される第2搬送装置31との間で、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの受け渡しが行われる。
第2搬送領域30には、第2搬送装置31が配置される。第2搬送装置31は、X軸方向およびY軸方向に移動可能かつZ軸周りに旋回可能であり、第1受渡部20、第1塗布装置40、第2塗布装置50、熱処理装置60、エッジカット装置70および接合装置80間での被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬送を行う。
第1塗布装置40は、支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gを塗布する装置である。第2塗布装置50は、被処理基板Wの接合面Wjに剥離剤Rを塗布する装置である。熱処理装置60は、接着剤Gが塗布された支持基板Sまたは剥離剤Rが塗布された被処理基板Wを所定の温度に加熱する装置である。エッジカット装置70は、被処理基板Wの周縁部から剥離剤Rを除去する装置である。そして、接合装置80は、被処理基板Wと支持基板Sとを接着剤Gおよび剥離剤Rを介して接合する装置である。
これら第1塗布装置40、第2塗布装置50、複数の熱処理装置60、エッジカット装置70および接合装置80は、第2搬送領域30の周囲に並べて配置される。具体的には、第1塗布装置40は、第2搬送領域30のY軸正方向側のスペースのうち、第1受渡部20に最も近い位置に配置され、第2塗布装置50は、第2搬送領域30を挟んで第1塗布装置40と対向する位置に配置される。そして、接合装置80は、第1塗布装置40に隣接して配置され、複数の熱処理装置60は、第2塗布装置50に隣接して配置される。また、エッジカット装置70は、第2搬送領域30を挟んで第1受渡部20と対向する位置に配置される。
複数の熱処理装置60は、たとえば上下4段に積層された状態で、左右2列に並べて配置される。なお、熱処理装置60の装置数や配置は、任意に設定することができる。
また、接合システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部5と記憶部6とを備える。記憶部6には、接合処理等の各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部5は、たとえばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部6に格納されたプログラムを読み出して実行することによって接合システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部6にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。また、制御部5は、プログラムを用いずにハードウェアのみで構成されてもよい。
<2.第1塗布装置の構成>
次に、第1塗布装置40の構成について図3を参照して説明する。図3は、第1塗布装置40の構成を示す模式側面図である。
図3に示すように、第1塗布装置40は、チャンバ41と、基板保持機構42と、液供給部43と、回収カップ44とを備える。
チャンバ41は、基板保持機構42と液供給部43と回収カップ44とを収容する。なお、チャンバ41の天井部には、図示しないFFU(Fan Filter Unit)が設けられる。FFUは、チャンバ41内にダウンフローを形成する。
基板保持機構42は、チャンバ41の略中央に設けられており、保持部421と、支柱部材422と、駆動部423とを備える。
保持部421は、たとえばポーラスチャックであり、支持基板Sを吸着保持する。支柱部材422は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部423によって回転可能に支持され、先端部において保持部421を水平に支持する。駆動部423は、支柱部材422を鉛直軸まわりに回転させる。基板保持機構42は、駆動部423を用いて支柱部材422を回転させることにより、支柱部材422に支持された保持部421を回転させる。これにより、保持部421に保持された支持基板Sが回転する。なお、支持基板Sは、接合面Sjを上方に向けた状態で基板保持機構42に保持される。
液供給部43は、基板保持機構42に保持された支持基板Sに対して接着剤Gを供給する。かかる液供給部43は、接着剤吐出部431と、接着剤吐出部431を水平に支持するアーム432と、アーム432を旋回および昇降させる旋回昇降機構433とを備える。接着剤吐出部431は、バルブ434を介して接着剤供給源435に接続されており、接着剤供給源435から供給される接着剤Gを支持基板Sに吐出する。
接着剤吐出部431から吐出される接着剤Gには、接着剤Gの粘性を低下させて接着剤Gを支持基板S上に塗り広げやすくするために、たとえばシンナー等の有機溶剤が混合される。
回収カップ44は、保持部421を取り囲むように配置され、保持部421の回転によって支持基板Sから飛散する接着剤Gを捕集する。回収カップ44の底部には、排液口441が形成されており、回収カップ44によって捕集された接着剤Gは、かかる排液口441から第1塗布装置40の外部へ排出される。また、回収カップ44の底部には、図示しないFFUから供給されるダウンフローガスを第1塗布装置40の外部へ排出する排気口442が形成される。
上記のように構成された第1塗布装置40では、基板保持機構42が、支持基板Sを回転させ、液供給部43が、回転する支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gを供給する。支持基板Sの接合面Sjに供給された接着剤Gは、支持基板Sの回転に伴う遠心力によって支持基板Sの接合面Sjの全面に塗り広げられる。これにより、支持基板Sの接合面Sjに、接着剤Gの塗布膜が形成される。
<3.第2塗布装置の構成>
次に、第2塗布装置50の構成について図4を参照して説明する。図4は、第2塗布装置50の構成を示す模式側面図である。
図4に示すように、第2塗布装置50は、チャンバ51と、基板保持機構52と、液供給部53と、回収カップ54とを備える。チャンバ51、基板保持機構52および回収カップ54の構成は、第1塗布装置40と同様である。すなわち、基板保持機構52は、保持部521、支柱部材522および駆動部523を備え、回収カップ54は、排液口541および排気口542を備える。被処理基板Wは、接合面Wjを上方に向けた状態で、基板保持機構52に保持される。
液供給部53は、剥離剤吐出部531と、剥離剤吐出部531を水平に支持するアーム532と、アーム532を旋回および昇降させる旋回昇降機構533とを備える。剥離剤吐出部531は、バルブ534を介して剥離剤供給源535に接続されており、剥離剤供給源535から供給される剥離剤Rを被処理基板Wに吐出する。
剥離剤吐出部531から吐出される剥離剤Rには、剥離剤Rの粘性を低下させて剥離剤Rを被処理基板W上に塗り広げやすくするために、たとえばシンナー等の有機溶剤が混合されている。
上記のように構成された第2塗布装置50では、基板保持機構52が、被処理基板Wを回転させ、液供給部53が、回転する被処理基板Wの接合面Wjに剥離剤Rを供給する。被処理基板Wの接合面Wjに供給された剥離剤Rは、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって被処理基板Wの接合面Wjの全面に塗り広げられる。これにより、被処理基板Wの接合面Wjに、剥離剤Rの塗布膜が形成される。
また、第2塗布装置50は、ベベル洗浄部55を備える。第1の実施形態に係るベベル洗浄部55は、支持基板Sのベベル部に付着した接着剤Gを除去する目的で使用される。
ベベル洗浄部55は、基板保持機構52に保持される支持基板Sより下方、たとえば回収カップ54の底部に設けられる。ベベル洗浄部55は、バルブ551を介して薬液供給源552に接続されており、かかる薬液供給源552から供給される薬液、ここではシンナー等の有機溶剤を支持基板Sの裏面外周部に向けて吐出する。
第2塗布装置50では、基板保持機構52が、支持基板Sを保持するとともに回転させ、ベベル洗浄部55が、回転する支持基板Sの裏面外周部に有機溶剤を供給する。支持基板Sの裏面外周部に供給された有機溶剤は、支持基板Sの裏面側から表面側へ回り込み、支持基板Sのベベル部に付着した接着剤Gを溶解させてベベル部から除去する。
このように、第1の実施形態に係る第2塗布装置50では、被処理基板Wに対して剥離剤Rを塗布する処理に加え、支持基板Sのベベル洗浄処理も行われる。かかる点については、後述する。
<4.熱処理装置の構成>
次に、熱処理装置60の構成について図5を参照して説明する。図5は、熱処理装置60の構成を示す模式側面図であり、図6は同模式平面図である。
図5に示すように、熱処理装置60は、内部を閉鎖可能な処理容器610を有する。処理容器610の第2搬送領域30(図1参照)側の側面には、搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理容器610の天井面には、当該処理容器610の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口611が形成される。ガス供給口611には、ガス供給源612に連通するガス供給管613が接続される。ガス供給管613には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群614が設けられる。
処理容器610の底面には、当該処理容器610の内部の雰囲気を吸引する吸気口615が形成される。吸気口615には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置616が接続される。
処理容器610の内部には、被処理基板Wまたは支持基板Sを加熱処理する加熱部620と、被処理基板Wまたは支持基板Sを温度調節する温度調節部621が設けられる。加熱部620と温度調節部621はX軸方向に並べて配置されている。
加熱部620は、熱板630を収容して熱板630の外周部を保持する環状の保持部材631と、その保持部材631の外周を囲む略筒状のサポートリング632を備える。熱板630は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理基板Wまたは支持基板Sを載置して加熱することができる。また、熱板630には、例えばヒータ633が内蔵される。熱板630の加熱温度は例えば制御部5により制御され、熱板630上に載置された被処理基板Wまたは支持基板Sが所定の温度に加熱される。
熱板630の下方には、被処理基板Wまたは支持基板Sを下方から支持し昇降させるための昇降ピン640が例えば3本設けられる。昇降ピン640は、昇降駆動部641により上下動できる。熱板630の中央部付近には、当該熱板630を厚み方向に貫通する貫通孔642が例えば3箇所に形成される。そして、昇降ピン640は貫通孔642を挿通し、熱板630の上面から突出可能になっている。
温度調節部621は、温度調節板650を有している。温度調節板650は、図6に示すように略方形の平板形状を有し、熱板630側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板650には、Y軸方向に沿った2本のスリット651が形成される。スリット651は、温度調節板650の熱板630側の端面から温度調節板650の中央部付近まで形成される。このスリット651により、温度調節板650が、加熱部620の昇降ピン640および後述する温度調節部621の昇降ピン660と干渉するのを防止することができる。また、温度調節板650には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵される。温度調節板650の冷却温度は例えば制御部5により制御され、温度調節板650上に載置された被処理基板Wまたは支持基板Sが所定の温度に冷却される。
温度調節板650は、図5に示すように支持アーム652に支持される。支持アーム652には、駆動部653が取り付けられている。駆動部653は、X軸方向に延在するレール654に取り付けられる。レール654は、温度調節部621から加熱部620まで延在する。この駆動部653により、温度調節板650は、レール654に沿って加熱部620と温度調節部621との間を移動可能になっている。
温度調節板650の下方には、被処理基板Wを下方から支持し昇降させるための昇降ピン660が例えば3本設けられる。昇降ピン660は、昇降駆動部661により上下動できる。そして、昇降ピン660はスリット651を挿通し、温度調節板650の上面から突出可能になっている。
被処理基板Wまたは支持基板Sが処理容器610内に搬入されると、予め上昇して待機していた昇降ピン660が、被処理基板Wまたは支持基板Sを受け取る。続いて昇降ピン660が下降して、被処理基板Wまたは支持基板Sが温度調節板650に載置される。
その後、駆動部653により温度調節板650がレール654に沿って熱板630の上方まで移動し、被処理基板Wまたは支持基板Sが予め上昇して待機していた昇降ピン640に受け渡される。その後、昇降ピン640が下降して、被処理基板Wまたは支持基板Sが熱板630上に載置される。そして、被処理基板Wまたは支持基板Sは、熱板630によって所定の温度に加熱される。
その後、昇降ピン640が上昇すると共に、温度調節板650が熱板630の上方に移動する。続いて被処理基板Wまたは支持基板Sが昇降ピン640から温度調節板650に受け渡され、温度調節板650が第2搬送領域30側に移動する。この温度調節板650の移動中に、被処理基板Wまたは支持基板Sは所定の温度に温度調節される。
<5.エッジカット装置の構成>
次に、エッジカット装置70の構成について図7および図8を参照して説明する。図7は、エッジカット装置70の構成を示す模式側面図であり、図8は、同模式斜視図である。
図7に示すように、エッジカット装置70は、内部を密閉可能な処理容器710を有する。処理容器710の第2搬送領域30(図1参照)側の側面には、被処理基板Wの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理容器710の天井部には、FFU711が設けられる。FFU711は、処理容器710内にダウンフローを形成する。FFU711には、バルブや流量調節部等を含む供給機器群712を介して気体供給源713が接続される。また、処理容器710の底面には、当該処理容器710の内部の雰囲気を吸引する吸気口714が形成される。吸気口714には、たとえば真空ポンプなどの負圧発生装置715が接続される。
処理容器710内には、溶剤供給部720と、吸着移動部730とが設けられる。溶剤供給部720は、処理容器710内のX軸負方向側に設けられ、吸着移動部730は、処理容器710内のX軸正方向側に設けられる。
溶剤供給部720は、本体部721と、本体部721を所定の高さに支持するベース部材722と、本体部721のX軸正方向側の外部に設けられた上側ノズル723および下側ノズル724と、本体部721のX軸正方向側の内部に設けられた吸引部725とを備える。
上側ノズル723および下側ノズル724は、本体部721の外部に取り付けられており、所定の空間を空けて対向配置される。上側ノズル723は、シンナー等の有機溶剤を下方へ向けて吐出し、下側ノズル724は、上記有機溶剤を上方へ向けて吐出する。これら上側ノズル723および下側ノズル724には、それぞれバルブや流量調節部等を含む供給機器群741,743を介して有機溶剤供給源742,744が接続される。
吸引部725は、上側ノズル723と下側ノズル724との間に設けられており、上側ノズル723および下側ノズル724から吐出された有機溶剤を吸引する。かかる吸引部725には、たとえば真空ポンプなどの負圧発生装置745が接続される。
吸着移動部730は、X軸方向に延在するレール731と、レール731に沿って移動する移動機構732と、移動機構732の上部に設けられ、被処理基板Wを回転可能に吸着保持する吸着保持部733とを備える。
また、図8に示すように、エッジカット装置70は、検査部750をさらに備える。検査部750は、たとえば吸着保持部733のY軸正方向側に配置される。検査部750は、本体部751と、本体部751を所定の高さに支持するベース部材752とを備える。
検査部750の本体部751は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラであり、被処理基板Wまたは支持基板Sの外周部の表面およびベベル部を撮像する。具体的には、エッジカット装置70は、吸着保持部733を回転させつつ本体部751による撮像を行う。これにより、被処理基板Wおよび支持基板Sの外周部の表面およびベベル部が全周に亘って撮像される。撮像された画像の画像データは、制御部5へ送信される。
処理容器710内に被処理基板Wが搬入されると、吸着保持部733が被処理基板Wを吸着保持する。つづいて、移動機構732がレール731に沿って移動して、被処理基板Wの周縁部を検査部750内に配置させる。
その後、吸着保持部733が被処理基板Wを低速で回転させつつ、本体部751が被処理基板Wの周縁部を撮像する。そして、制御部5が、本体部751によって撮像された画像に基づいて、被処理基板Wの端面(ベベル部の先端)の検出を行う。
つづいて、移動機構732が、上記端面検出の結果に基づいてレール731上を移動して、被処理基板Wの周縁部を上側ノズル723と下側ノズル724との間に位置させる。
その後、吸着保持部733が被処理基板Wを回転させつつ、溶剤供給部720が、上側ノズル723および下側ノズル724から被処理基板Wの周縁部へ向けて有機溶剤を吐出する。これにより、被処理基板Wの周縁部に塗布された剥離剤Rが有機溶剤によって溶解されて被処理基板Wから除去される。なお、上側ノズル723および下側ノズル724から吐出された有機溶剤は、吸引部725によって吸引される。
ここで、吸着保持部733に保持された被処理基板Wは、必ずしも吸着保持部733の中心と被処理基板Wの中心が合った真円の状態で吸着保持部733上に戴置されるとは限らない。そのため、真円ではない状態で戴置された被処理基板Wの端面検出を行わずに被処理基板Wに対してエッジカット処理を行った場合、被処理基板Wの周縁部における剥離剤Rの除去幅が、被処理基板Wの回転位置によって異なってしまう。
これに対し、第1の実施形態に係るエッジカット装置70によれば、事前に被処理基板Wの端面検出を行うことにより、被処理基板Wの各回転位置における端面位置を正確に把握することができる。すなわち、エッジカット装置70は、溶剤供給部720の位置にて、吸着保持部733を水平方向に適宜移動させながら被処理基板Wを回転させることで、被処理基板Wの周縁部における剥離剤Rの除去幅を一定にすることが可能となる。
第1の実施形態に係るエッジカット装置70は、検査部750を用いて、支持基板Sまたはエッジカット処理後の被処理基板Wの表面状態を検査する処理も行う。かかる点については、後述する。
<6.接合装置の構成>
次に、接合装置80の構成について図9を参照して説明する。図9は、接合装置80の構成を示す模式平面図である。
図9に示すように、接合装置80は、内部を密閉可能な処理室81を備える。処理室81の第2搬送領域30側の側面には、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬入出口811が形成される。搬入出口811には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理室81の内部には、処理室81内の領域を前処理領域D1と接合領域D2とに区画する内壁812が設けられてもよい。内壁812を設ける場合、内壁812には、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの搬入出口813が形成され、搬入出口813には、図示しない開閉シャッタが設けられる。なお、前述の搬入出口811は、前処理領域D1における処理室81の側面に形成される。
前処理領域D1には、接合装置80の外部との間で被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの受け渡しを行う受渡部82が設けられる。受渡部82は、搬入出口811に隣接して配置される。
受渡部82は、受渡アーム821と支持ピン822とを備える。受渡アーム821は、第2搬送装置31(図1参照)と支持ピン822との間で被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tの受け渡しを行う。支持ピン822は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tを支持する。
なお、受渡部82は、鉛直方向に複数、たとえば2段に配置され、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。たとえば、一の受渡部82で接合前の被処理基板W又は支持基板Sを受け渡し、他の受渡部82で接合後の重合基板Tを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部82で接合前の被処理基板Wを受け渡し、他の受渡部82で接合前の支持基板Sを受け渡してもよい。
前処理領域D1のY軸負方向側、すなわち搬入出口813側には、たとえば被処理基板Wの表裏面を反転させる反転部83が設けられる。
反転部83は、被処理基板Wまたは支持基板Sを挟み込んで保持する保持アーム831を備える。保持アーム831は、水平方向(図9においてはX軸方向)に延在しており、水平軸周りに回動自在であり、かつ、水平方向(X軸方向およびY軸方向)および鉛直方向(Z軸方向)に移動可能である。
また、反転部83は、被処理基板Wまたは支持基板Sの水平方向の向きを調節する位置調節機構を備える。位置調節機構は、支持基板Sまたは被処理基板Wのノッチ部の位置を検出する検出部832を備える。そして、反転部83では、保持アーム831に保持された支持基板Sまたは被処理基板Wを水平方向に移動させながら、検出部832でノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して被処理基板Wまたは支持基板Sの水平方向の向きを調節する。
接合領域D2のY軸正方向側には、受渡部82、反転部83および後述する接合部85に対して、被処理基板W、支持基板Sおよび重合基板Tを搬送する搬送部84が設けられる。搬送部84は、搬入出口813に隣接して配置される。
搬送部84は、2本の搬送アーム841,842を備える。これら搬送アーム841,842は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置され、図示しない駆動部によって水平方向および鉛直方向に移動可能である。
搬送アーム841,842のうち、搬送アーム841は、たとえば支持基板S等の裏面、すなわち非接合面Snを保持して搬送する。また、搬送アーム842は、反転部83で表裏面が反転された被処理基板Wの表面、すなわち接合面Wjの外周部を保持して搬送する。
そして、接合領域D2のY軸負方向側には、被処理基板Wと支持基板Sとを接合する接合部85が設けられる。
上記のように構成された接合装置80では、第2搬送装置31(図1参照)によって被処理基板Wが受渡部82の受渡アーム821に受け渡されると、受渡アーム821が被処理基板Wを支持ピン822へ受け渡す。その後、被処理基板Wは、搬送部84の搬送アーム841によって支持ピン822から反転部83に搬送される。
反転部83に搬送された被処理基板Wは、反転部83の検出部832によってノッチ部の位置が検出されて水平方向の向きが調節される。その後、被処理基板Wは、反転部83によって表裏が反転される。すなわち、接合面Wjが下方に向けられる。
その後、被処理基板Wは、搬送部84の搬送アーム842によって反転部83から接合部85へ搬送される。このとき、搬送アーム842は、被処理基板Wの外周部を保持するため、たとえば搬送アーム842に付着したパーティクル等によって接合面Wjが汚損することを防止することができる。
一方、第2搬送装置31(図1参照)によって支持基板Sが受渡部82の受渡アーム821に受け渡されると、受渡アーム821が支持基板Sを支持ピン822へ受け渡す。その後、支持基板Sは、搬送部84の搬送アーム841によって支持ピン822から反転部83に搬送される。
反転部83に搬送された支持基板Sは、反転部83の検出部832によってノッチ部の位置が検出されて水平方向の向きが調節される。その後、支持基板Sは、搬送部84の搬送アーム841によって反転部83から接合部85へ搬送される。
被処理基板Wおよび支持基板Sの接合部85への搬入が完了すると、接合部85によって被処理基板Wと支持基板Sとが接合され、重合基板Tが形成される。形成された重合基板Tは、搬送部84の搬送アーム841によって接合部85から受渡部82に搬送された後、支持ピン822を介して受渡アーム821へ受け渡され、さらに受渡アーム821から第2搬送装置31へ受け渡される。
次に、接合部85の構成について図10を参照して説明する。図10は、接合部85の構成を示す模式側面図である。
図10に示すように、接合部85は、第1保持部110と、第1保持部110の上方において第1保持部110と対向配置される第2保持部120とを備える。
第1保持部110および第2保持部120は、たとえば静電チャックであり、支持基板Sおよび被処理基板Wを静電吸着により保持する。第1保持部110は、支持基板Sを下方から保持し、第2保持部120は、被処理基板Wを上方から保持する。支持基板Sおよび被処理基板Wは、接合面Sj,Wj同士が向かい合った状態で、第1保持部110および第2保持部120に保持される。
なお、第1保持部110および第2保持部120は、支持基板Sおよび被処理基板Wを静電吸着する静電吸着部に加え、支持基板Sおよび被処理基板Wを真空吸着する真空吸着部を備えていてもよい。
また、接合部85は、第1加熱機構130と、第2加熱機構140と、加圧機構150とを備える。
第1加熱機構130は、第1保持部110に内蔵されており、第1保持部110を加熱することにより、第1保持部110に保持された支持基板Sを所定の温度に加熱する。また、第2加熱機構140は、第2保持部120に内蔵されており、第2保持部120を加熱することにより、第2保持部120に保持された被処理基板Wを所定の温度に加熱する。
加圧機構150は、第2保持部120を鉛直下方に移動させることにより、被処理基板Wを支持基板Sに接触させて加圧する。かかる加圧機構150は、ベース部材151と、
圧力容器152と、気体供給管153と、気体供給源154とを備える。ベース部材151は、後述する第1チャンバ部161内部の天井面に取り付けられる。
圧力容器152は、たとえば鉛直方向に伸縮自在なステンレス製のベローズにより構成される。圧力容器152の下端部は、第2保持部120の上面に固定され、上端部は、ベース部材151の下面に固定される。
気体供給管153は、その一端がベース部材151および後述する第1チャンバ部161を介して圧力容器152に接続され、他端が気体供給源154に接続される。
かかる圧力容器152は、気体供給源154から気体供給管153を介して圧力容器152の内部に気体を供給することにより、圧力容器152を伸長させて第2保持部120を降下させる。これにより、被処理基板Wは、支持基板Sと接触して加圧される。被処理基板Wおよび支持基板Sの加圧力は、圧力容器152に供給する気体の圧力を調節することで調節される。
また、接合部85は、チャンバ160と、移動機構170と、減圧部180と、第1撮像部191と、第2撮像部192とを備える。
チャンバ160は、内部を密閉可能な処理容器であり、第1チャンバ部161と、第2チャンバ部162とを備える。第1チャンバ部161は、下部が開放された有底筒状の容器であり、内部には、第2保持部120、圧力容器152等が収容される。また、第2チャンバ部162は、上部が開放された有底筒状の容器であり、内部には、第1保持部110等が収容される。
第1チャンバ部161は、エアシリンダ等の図示しない昇降機構によって鉛直方向に昇降可能に構成される。かかる昇降機構によって第1チャンバ部161を降下させて第2チャンバ部162に当接させることで、チャンバ160の内部に密閉空間が形成される。なお、第1チャンバ部161の第2チャンバ部162との当接面には、チャンバ160の機密性を確保するためのシール部材163が設けられる。シール部材163としては、たとえばOリングが用いられる。
移動機構170は、第1チャンバ部161の外周部に設けられ、第1チャンバ部161を介して第2保持部120を水平方向に移動させる。かかる移動機構170は、第1チャンバ部161の外周部に対して複数(たとえば、5つ)設けられ、5つの移動機構170のうちの4つが第2保持部120の水平方向の移動に用いられ、残りの1つが第2保持部120の鉛直軸まわりの回転に用いられる。
移動機構170は、第1チャンバ部161の外周部に当接して第2保持部120を移動させるカム171と、シャフト172を介してカム171を回転させる回転駆動部173とを備える。カム171はシャフト172の中心軸に対して偏心して設けられている。そして、回転駆動部173によりカム171を回転させることで、第2保持部120に対するカム171の中心位置が移動し、第2保持部120を水平方向に移動させることができる。
減圧部180は、たとえば第2チャンバ部162の下部に設けられ、チャンバ160内を減圧する。かかる減圧部180は、チャンバ160内の雰囲気を吸気するための吸気管181と、吸気管181に接続された真空ポンプなどの吸気装置182とを備える。
第1撮像部191は、第2保持部120の下方に配置されて、第2保持部120に保持された被処理基板Wの表面を撮像する。また、第2撮像部192は、第1保持部110の上方に配置されて、第1保持部110に保持された支持基板Sの表面を撮像する。
第1撮像部191および第2撮像部192は、図示しない移動機構によって水平方向に移動可能に構成されており、第1チャンバ部161を降下させる前にチャンバ160内に侵入して、被処理基板Wおよび支持基板Sを撮像する。第1撮像部191および第2撮像部192の撮像データは、制御部5へ送信される。なお、第1撮像部191および第2撮像部192としては、たとえば広角型のCCDカメラがそれぞれ用いられる。
<7.接合システムの具体的動作>
次に、第1の実施形態に係る接合システム1が実行する接合処理の処理手順について図11〜図13を参照して説明する。図11は、第1の実施形態に係る接合システム1が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図12は、検査・再洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図13は、接合処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、接合システム1が備える各装置は、制御装置4の制御に従って、図11に示す各処理手順を実行する。
接合システム1では、まず、複数枚の被処理基板Wが収容されたカセットCw、複数枚の支持基板Sが収容されたカセットCsおよび空のカセットCtが、搬入出ステーション2の載置部12にそれぞれ載置される。その後、第1搬送装置14が、カセットCsから支持基板Sを取り出して処理ステーション3の第1受渡部20へ搬送する。このとき、支持基板Sは、非接合面Snが下方を向いた状態で搬送される。
第1受渡部20に搬送された支持基板Sは、第2搬送装置31によって第1受渡部20から取り出された後、第1塗布装置40へ搬送される。
第1塗布装置40では、接着剤吐出部431を用いて支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gを塗布する処理が行われる(ステップS101)。これにより、支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gの塗布膜が形成される。
つづいて、支持基板Sは、第2搬送装置31によって第1塗布装置40から取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、支持基板Sを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS102)。これにより、支持基板Sに塗布された接着剤Gに含まれる有機溶剤が気化する。その後、支持基板Sは、熱処理装置60内で所定の温度、たとえば常温に冷却される。なお、有機溶剤が気化した接着剤Gは、支持基板Sを傾けても垂れない程度に硬くなる。
つづいて、支持基板Sは、第2搬送装置31によって熱処理装置60から取り出された後、第2塗布装置50へ搬送される。
第2塗布装置50では、ベベル洗浄部55を用いて支持基板Sのベベル部を洗浄する処理が行われる(ステップS103)。これにより、支持基板Sのベベル部に付着した接着剤Gが除去される。
つづいて、支持基板Sは、第2搬送装置31によって第2塗布装置50から取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、支持基板Sを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS104)。かかる加熱処理により、ステップS103のベベル洗浄において支持基板Sに付着した有機溶剤が気化して支持基板Sから除去される。
つづいて、接合システム1では、検査・再洗浄処理が行われる(ステップS105)。検査・再洗浄処理は、ベベル洗浄後における支持基板Sのベベル部を検査し、ベベル部に接着剤Gが残存している場合には、ベベル部の再洗浄を行う処理である。ここで、かかる検査・再洗浄処理の内容について図12を参照して説明する。
図12に示すように、検査・再洗浄処理が開始されると、まず、第2搬送装置31が、支持基板Sを熱処理装置60から取り出してエッジカット装置70へ搬送する(ステップS201)。
つづいて、エッジカット装置70は、吸着保持部733を用いて支持基板Sを回転させつつ、検査部750を用いて支持基板Sの周縁部、具体的には、外周部の表面およびベベル部を撮像する(ステップS202)。検査部750は、撮像画像の画像データを制御部5へ送信する。
つづいて、制御部5は、検査部750から受け取った画像データに基づき、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着しているか否かを判定する(ステップS203)。たとえば、制御部5は、撮像画像中における支持基板Sのベベル部に相当する部分の凹凸度合いが所定の閾値を超える場合に、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定する。なお、制御部5は、接着剤Gを塗布する前の支持基板Sのベベル部の画像データを記憶部6に予め記憶しておき、かかる画像データと検査部750によって撮像された画像の画像データとの一致度が閾値を超える場合に、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定してもよい。
ステップS203において支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定した場合(ステップS203,Yes)、制御部5は、異常を報知する処理を行う(ステップS204)。
たとえば、制御部5は、接合システム1が備える図示しない表示灯を点灯させる。そして、制御部5は、第2塗布装置50のベベル洗浄部55に接続される薬液供給源552に異常が発生した旨の情報を上位装置に通知する。また、制御部5は、上記の情報を接合システム1が備える図示しない表示部に表示してもよい。
支持基板Sのベベル部に接着剤Gが残存している場合、第2塗布装置50のベベル洗浄部55から吐出される薬液の吐出量が規定量に達しておらず、支持基板Sの裏面に薬液が十分に届いていないことが考えられる。そこで、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定した場合には、薬液供給源552に異常が発生した旨の情報を報知することとした。これにより、作業者は、異常の発生およびその原因を迅速に特定することができる。
つづいて、エッジカット装置70は、支持基板Sのベベル部の再洗浄を行う(ステップS205)。具体的には、エッジカット装置70は、吸着保持部733を用いて支持基板Sを回転させつつ、溶剤供給部720を用いて、支持基板Sのベベル部を含む周縁部の表面側および裏面側から支持基板Sの周縁部へ向けて薬液である有機溶剤を吐出する。これにより、支持基板Sのベベル部に残存する接着剤Gが除去される。
ステップS205の処理を終えると、エッジカット装置70は、処理をステップS202へ戻し、支持基板Sの周縁部を再び検査する。エッジカット装置70は、ステップS203において支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定されなくなるまで、ステップS202〜S205の処理を繰り返す。そして、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが付着していると判定されなくなると(ステップS203,No)、検査・再洗浄処理が終了する。
検査・再洗浄処理を終えると、支持基板Sは、第2搬送装置31によってエッジカット装置70から取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、支持基板Sを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS106)。ステップS106における加熱処理は、ステップS102およびステップS104における加熱処理よりも高い温度で行われる。具体的には、熱処理装置60は、常温よりも高く接着剤Gの軟化温度(120〜140℃)よりも低い温度に支持基板Sを加熱する。
かかる加熱処理により、ステップS102およびステップS104の加熱処理において除去しきれなかった有機溶剤が気化し、接着剤Gがさらに硬化する。また、ステップS105の検査・再洗浄処理において支持基板Sに付着した有機溶剤が気化して支持基板Sから除去される。
つづいて、支持基板Sは、第2搬送装置31によって熱処理装置60から取り出された後、接合装置80へ搬送される。
接合装置80に搬送された支持基板Sは、反転部83によって水平方向の向きが調節される(ステップS107)。具体的には、反転部83は、保持アーム831に保持された支持基板Sを水平方向に移動させながら、検出部832でノッチ部の位置を検出する。そして、反転部83は、検出したノッチ部の位置を調節する。これにより、支持基板Sの水平方向の向きが調節される。
ここで、ベベル洗浄処理(ステップS103)において支持基板Sのベベル部に付着した接着剤Gが除去しきれていない場合、支持基板Sのノッチ部に接着剤Gが付着した状態でステップS107の処理が行われる可能性がある。このような場合、接合装置80は、ステップS107においてノッチ部の位置を検出できなかったり誤検出したりする可能性があり、支持基板Sの水平方向の向きの調節が適切に行えないおそれがある。
これに対し、第1の実施形態に係る接合システム1では、支持基板Sのベベル部の表面状態を検査・再洗浄処理(ステップS105)において検査し、ベベル部に接着剤Gが残存している場合には、ベベル部を再洗浄することとした。このため、ノッチ部の位置を検出できなかったり誤検出したりするおそれがなく、支持基板Sの水平方向の向きの調節を適切に行うことができる。
つづいて、支持基板Sは、第1加熱機構130によって接着剤Gの軟化温度(120〜140℃)であるX℃に予め加熱された第1保持部110に保持される(ステップS108)。これにより、支持基板Sに塗布された接着剤Gは軟化する。
なお、第1加熱機構130による加熱温度は、常温(20℃程度)および接着剤Gの硬化温度(180℃程度)よりも接着剤Gの軟化温度(120〜140℃)に近い温度であればよい。支持基板Sは、接合面Sjを上方に向けた状態で第1保持部110に保持される。
一方、上述したステップS101〜S108の処理と重複して、被処理基板Wに対する処理も行われる。
被処理基板Wは、第1搬送装置14によってカセットCwから取り出されて処理ステーション3の第1受渡部20へ搬送される。このとき、被処理基板Wは、非接合面Wnが下方を向いた状態で搬送される。
第1受渡部20に搬送された被処理基板Wは、第2搬送装置31によって第1受渡部20から取り出された後、第2塗布装置50へ搬送される。
第2塗布装置50では、剥離剤吐出部531を用いて被処理基板Wの接合面Wjに剥離剤Rを塗布する処理が行われる(ステップS109)。これにより、被処理基板Wの接合面Wjに剥離剤Rの塗布膜が形成される。
つづいて、被処理基板Wは、第2搬送装置31によって第2塗布装置50から取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、被処理基板Wを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS110)。これにより、被処理基板Wに塗布された剥離剤Rに含まれる有機溶剤が気化する。その後、被処理基板Wは、熱処理装置60内で所定の温度、たとえば常温に冷却される。なお、有機溶剤が気化した剥離剤Rは、被処理基板Wを傾けても垂れない程度に硬くなる。
つづいて、被処理基板Wは、第2搬送装置31によって熱処理装置60から取り出された後、エッジカット装置70へ搬送される。
エッジカット装置70では、溶剤供給部720を用いて被処理基板Wのベベル部を含む周縁部から剥離剤Rを除去するエッジカット処理が行われる(ステップS111)。これにより、被処理基板Wのベベル部を含む周縁部から剥離剤Rが除去されて、被処理基板Wにおける接合面Wjの外周部に未塗布領域Q(図2参照)が形成される。
つづいて、エッジカット処理後の被処理基板Wに対して検査・再洗浄処理が行われる(ステップS112)。
ステップS112における検査・再洗浄処理の内容は、ステップS105における検査・再洗浄処理の内容と同様である。すなわち、エッジカット装置70が、検査部750を用いて被処理基板Wの外周部の表面およびベベル部を撮像し、制御部5が、被処理基板Wのベベル部に剥離剤Rが付着しているか否かを判定する。そして、被処理基板Wのベベル部に剥離剤Rが付着していると判定した場合、エッジカット装置70は、溶剤供給部720を用いて被処理基板Wのベベル部を再洗浄する。
つづいて、被処理基板Wは、第2搬送装置31によってエッジカット装置70から取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、被処理基板Wを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS113)。ステップS113における加熱処理は、ステップS110における加熱処理よりも高い温度で行われる。
かかる加熱処理により、ステップS110の加熱処理において除去されずに剥離剤R中に残存する有機溶剤が気化して、剥離剤Rがさらに硬化する。また、ステップS112の検査・再洗浄処理において被処理基板Wに付着した有機溶剤が気化して被処理基板Wから除去される。
このように、エッジカット処理または検査・再洗浄処理を行った後に、加熱処理を行って被処理基板Wに付着した有機溶剤を除去することで、剥離剤R中にボイドが発生することを防止することができる。
つづいて、被処理基板Wは、第2搬送装置31によって熱処理装置60から取り出された後、接合装置80へ搬送される。
接合装置80に搬送された被処理基板Wは、反転部83によって水平方向の向きが調節される(ステップS114)。
接合システム1では、被処理基板Wのベベル部の表面状態を検査・再洗浄処理(ステップS112)において検査し、ベベル部に剥離剤Rが残存している場合には、ベベル部を再洗浄することとした。このため、ノッチ部の位置を検出できなかったり誤検出したりするおそれがなく、被処理基板Wの水平方向の向きの調節を適切に行うことができる。
つづいて、被処理基板Wは、反転部83によって表裏が反転される(ステップS115)。これにより、被処理基板Wは、接合面Wjが下方を向いた状態となる。
つづいて、被処理基板Wは、第2加熱機構140によってX℃に予め加熱された第2保持部120に保持される(ステップS116)。なお、被処理基板Wは、接合面Wjを下方に向けた状態で第2保持部120に保持される。
つづいて、被処理基板Wおよび支持基板Sの水平位置の調節が行われる(ステップS117)。被処理基板Wおよび支持基板Sの周縁部には、予め定められた複数の基準点が形成されている。接合部85は、図10に示す第1撮像部191および第2撮像部192を水平方向に移動させて、被処理基板Wおよび支持基板Sの周縁部をそれぞれ撮像する。
つづいて、接合部85は、第1撮像部191によって撮像された画像に含まれる基準点の位置と、第2撮像部192によって撮像された画像に含まれる基準点の位置とが合致するように、移動機構170を用いて被処理基板Wの水平方向の位置を調節する。すなわち、回転駆動部173によってカム171を回転させて第1チャンバ部161を介して第2保持部120を水平方向に移動させることにより、被処理基板Wの水平方向の位置が調節される。
ここで、ステップS103のベベル洗浄処理やステップS111のエッジカット処理において、支持基板Sのベベル部に付着した接着剤Gや被処理基板Wのベベル部に付着した剥離剤Rが完全に除去されずに、上記基準点に接着剤Gや剥離剤Rが付着したままの状態であったとする。このような場合、接合装置80は、ステップS117において基準点の位置を検出できなかったり誤検出したりする可能性があり、ステップS117の処理を適切に行えないおそれがある。
これに対し、第1の実施形態に係る接合システム1では、ステップS105およびステップS112の検査・再洗浄処理において、支持基板Sおよび被処理基板Wのベベル部の表面状態を検査し、ベベル部に接着剤Gや剥離剤Rが残存している場合には、ベベル部を再洗浄することとした。このため、上記基準点を検出できなかったり誤検出したりするおそれがなく、ステップS117の処理を適切に行うことができる。
つづいて、接合部85は、第1撮像部191および第2撮像部192をチャンバ160内から退出させた後、第1チャンバ部161を降下させる。これにより、第1チャンバ部161が第2チャンバ部162に当接して、チャンバ160内に密閉空間が形成される。その後、接合部85は、減圧部180を用いてチャンバ160内の雰囲気を吸気することによってチャンバ160内を減圧する。
つづいて、接合部85は、加圧機構150を用いて第2保持部120を降下させて、被処理基板Wと支持基板Sとを接触させる(ステップS118)。さらに、接合部85は、圧力容器152に気体を供給して圧力容器152内を所望の圧力にすることにより、被処理基板Wと支持基板Sとを加圧する(ステップS119)。
支持基板Sの接合面Sjに塗布された接着剤Gは、加熱によって軟化しており、支持基板Sが被処理基板Wに所望の圧力で所定時間押圧されることによって、被処理基板Wと支持基板Sとは接合されて重合基板Tが形成される(図13参照)。このとき、チャンバ160内は減圧雰囲気であるため、被処理基板Wと支持基板Sとの間にボイドが生じるおそれがない。
つづいて、仮硬化処理が行われる(ステップS120)。仮硬化処理は、接着剤Gを完全に硬化しない程度に硬化させることによって、その後の搬送処理等において被処理基板Wと支持基板Sとの位置ずれを生じさせ難くする処理である。
接合部85は、加圧機構150によって重合基板Tを加圧した状態を維持しつつ、第1加熱機構130および第2加熱機構140を用いて重合基板Tの加熱温度を上昇させる。
具体的には、第1加熱機構130および第2加熱機構140は、重合基板Tを接着剤Gの硬化温度(180℃程度)以上の温度、たとえば200℃に加熱する。これにより、接着剤Gが硬化し始める。
そして、接合部85は、接着剤Gが完全に硬化するより前に、第1加熱機構130および第2加熱機構140による加熱を停止する。たとえば、第1の実施形態に係る接合システム1において用いられる接着剤Gを完全に硬化させるために、接合システム1とは別の装置において重合基板Tを200℃で2時間程度加熱する処理が行われる場合がある。これに対し、仮硬化処理では、重合基板Tを200℃で5〜10分程度の短い時間だけ加熱する。このため、接着剤Gは、完全に硬化しない程度に硬化した状態となる。なお、剥離剤Rは、加熱しても硬化しない性質を有するため、かかる仮硬化処理によっては硬化しない。
このように、第1の実施形態に係る接合部85は、重合基板Tを接着剤Gの硬化温度以上の温度で、かつ、接着剤Gの硬化する時間よりも短い時間加熱することにより、接着剤Gを完全に硬化しない程度に硬化させる。
これにより、その後の搬送処理等において被処理基板Wと支持基板Sとの位置ずれが生じ難くなるため、重合基板Tの取り扱い容易性を向上させることができる。
また、接合部85は、重合基板Tの支持基板S側の全面および被処理基板W側の全面を両側から加熱することとしたため、重合基板Tを均一に加熱することができる。したがって、重合基板Tを支持基板S側または被処理基板W側の一方側から加熱する場合と比べ、重合基板Tの歪みの発生を抑えることができ、重合基板Tの歪みによって接着剤Gや剥離剤R中にボイドが生じることを防止することができる。
さらに、接合部85は、加圧機構150を用いて重合基板Tを加圧しながら重合基板Tの加熱を行うこととしたため、重合基板Tの歪みの発生をより確実に抑えることができる。
その後、重合基板Tは、第2搬送装置31によって接合装置80から取り出された後、第1受渡部20を介して第1搬送装置14へ受け渡され、第1搬送装置14によってカセットCtへ収容される(ステップS121)。こうして、一連の接合処理は終了する。なお、上述したように、重合基板Tの接着剤Gは、仮硬化処理によって完全に硬化しない程度に硬化した状態となっている。このため、第2搬送装置31や第1搬送装置14による搬送中において、被処理基板Wと支持基板Sとの位置ずれは生じ難い。
次に、上述した各処理とその処理を実行する装置との関係について図14〜図16を参照して説明する。図14〜図16は、各処理とその処理を実行する装置との関係を示す図である。なお、図14には、支持基板Sに対する各処理を、図15には、被処理基板Wに対する各処理を、図16には、接合処理および仮硬化処理を、それぞれ示している。
図14および図15に示すように、接合システム1では、支持基板Sに対する処理のうちステップS101の接着剤塗布処理が第1塗布装置40を用いて行われ、ステップS103のベベル洗浄処理が第2塗布装置50を用いて行われる。また、接合システム1では、被処理基板Wに対する処理のうち、ステップS109の剥離剤塗布処理が第2塗布装置50を用いて行われる。
このように、接合システム1では、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を行う第2塗布装置50が、被処理基板Wに対する剥離剤塗布処理も行う。つまり、接合システム1では、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を実行する装置と、被処理基板Wに対する剥離剤塗布処理を実行する装置とが共用化されている。したがって、接合システム1によれば、これらの処理をそれぞれ異なる装置で実行する場合と比べ、装置の台数を削減することができる。
さらに、接合システム1では、支持基板Sに対する処理である接着剤塗布処理(ステップS101)およびベベル洗浄処理(ステップS103)をそれぞれ異なる装置で行うこととしている。
接着剤塗布処理とベベル洗浄処理とは、全て第1塗布装置40で実行することも可能である。しかしながら、かかる場合、第1塗布装置40の処理時間が長くなるため、たとえば次の支持基板Sを第1塗布装置40へ搬入するタイミングが遅くなり、スループットが低下するおそれがある。これに対し、接合システム1によれば、接着剤塗布処理およびベベル洗浄処理をそれぞれ異なる装置で実行するため、接着剤塗布処理およびベベル洗浄処理を1つの装置で実行する場合と比べ、スループットの低下を抑えることができる。
このように、接合システム1は、第1塗布装置40において支持基板Sに対する接着剤塗布処理を行うとともに、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を第1塗布装置40とは異なる第2塗布装置50において行い、さらに、被処理基板Wに対する剥離剤塗布処理を第2塗布装置50において行うこととした。したがって、接合システム1によれば、スループットの低下を防止しつつ、装置の台数を削減することができる。
なお、接合システム1では、接着剤塗布処理(ステップS101)後、加熱処理(ステップS102)を行ったうえでベベル洗浄処理(ステップS103)を行うこととしている。このため、接着剤塗布処理とベベル洗浄処理とを1つの装置で実行する場合であっても、加熱処理を行うために、接着剤塗布処理後の支持基板Sを装置から搬出する処理および加熱処理後の支持基板Sを再び装置へ搬入する処理が必要となる。このため、接着剤塗布処理を第1塗布装置40で実行し、ベベル洗浄処理を第2塗布装置50で実行することとした場合であっても、これらの処理を1つの装置で実行する場合と比べてスループットが低下するおそれはない。
また、接合システム1では、支持基板Sに対する接着剤塗布処理を第1塗布装置40において実行し、被処理基板Wに対する剥離剤塗布処理を第2塗布装置50において実行する。
これにより、接合システム1は、支持基板Sに対する接着剤塗布処理の終了を待つことなく、被処理基板Wに対する剥離剤塗布処理を開始することができる。したがって、接合システム1によれば、接着剤塗布処理と剥離剤塗布処理とを1つの装置で行う場合と比べて、一連の接合処理に要する時間を短縮することができる。
また、接合システム1では、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を第2塗布装置50で実行し、検査・再洗浄処理を第2塗布装置50とは異なるエッジカット装置70で実行することとした。
ベベル洗浄処理後の支持基板Sのベベル部に接着剤Gが残存している場合、第2塗布装置50のベベル洗浄部55に異常が発生している可能性がある。このため、かかるベベル洗浄部55を用いてベベル部の再洗浄を行ったとしても、ベベル部に残存する接着剤Gを除去することができないおそれがある。
これに対し、接合システム1では、ベベル洗浄処理を行う第2塗布装置50とは異なるエッジカット装置70を用いてベベル部の再洗浄を行うこととしたため、支持基板Sのベベル部に残存する接着剤Gを確実に除去することができる。
なお、第1塗布装置40は、第2塗布装置50が備えるベベル洗浄部55と同様のベベル洗浄部を備えていてもよい。かかる場合、接合システム1は、ベベル洗浄処理後の支持基板Sのベベル部に接着剤Gが残存している場合に、エッジカット装置70に代えて、第2塗布装置50において再洗浄を行うことができる。
また、接合システム1では、支持基板Sまたは被処理基板Wの表面状態を検査する検査部750をエッジカット装置70に設けることとした。
これにより、検査部750による検査処理の後、支持基板Sまたは被処理基板Wを他の装置へ搬送することなく再洗浄処理へ移行できるため、検査・再洗浄処理に要する時間を短縮することができる。
また、接合システム1では、ベベル洗浄処理後かつ検査・再洗浄処理前に、支持基板Sに対して加熱処理を行うことによって、ベベル洗浄処理によって支持基板Sに付着した薬液(有機溶剤)を除去することとした。これにより、検査処理の際に、支持基板Sのベベル部に残存する薬液によって、ベベル部に接着剤Gが残存しているとの誤判定が生じることを防止することができる。
また、接合システム1では、被処理基板Wに対して剥離剤塗布処理(ステップS109)を行った後、エッジカット処理(ステップS111)を行う前に、加熱処理(ステップS110)を行うこととした。これにより、被処理基板Wに塗布された剥離剤Rに含まれる有機溶剤が除去されて剥離剤Rが硬くなるため、エッジカット処理の際に、被処理基板Wの周縁部から剥離剤Rをきれいに除去することができる。
また、図16に示すように、接合システム1では、接合処理(ステップS107,S108,S114〜S116,S117〜S119)を行う接合装置80を用いて、仮硬化処理(ステップS120)を行うこととした。これにより、接合処理後、重合基板Tを他の装置へ搬送することなく仮硬化処理へ移行できるため、仮硬化処理に要する時間を短縮することができる。また、仮硬化処理を接合装置80とは別の装置で行う場合と異なり、搬送中における重合基板Tの温度管理を行う必要がない。
上述してきたように、第1の実施形態に係る接合システム1は、処理ステーション3と、搬入出ステーション2とを備える。処理ステーション3は、支持基板S(「第1基板」の一例に相当)および被処理基板W(「第2基板」の一例に相当)に対して所定の処理を行う。搬入出ステーション2は、支持基板S、被処理基板Wまたは重合基板Tを処理ステーション3に対して搬入出する。また、処理ステーション3は、第1塗布装置40(「第1処理装置」の一例に相当)と、第2塗布装置50(「第2処理装置」の一例に相当)と、接合装置80とを備える。第1塗布装置40は、接着剤Gを吐出する接着剤吐出部431を備え、接着剤吐出部431を用いて支持基板Sに接着剤Gを塗布する。第2塗布装置50は、接着剤Gが塗布された支持基板Sのベベル部を洗浄するベベル洗浄部55を備える。接合装置80は、支持基板Sと被処理基板Wとを接着剤Gおよび接着剤Gよりも接着力の低い剥離剤Rを介して接合する。また、第2塗布装置50は、剥離剤Rを吐出する剥離剤吐出部531をさらに備え、剥離剤吐出部531を用いて被処理基板Wに剥離剤Rを塗布する。
したがって、第1の実施形態に係る接合システム1によれば、スループットの低下を防止しつつ、装置の台数を削減することができる。
また、第1の実施形態に係る接合システム1は、処理ステーション3と、搬入出ステーション2とを備える。処理ステーション3は、支持基板S(「第1基板」の一例に相当)および被処理基板W(「第2基板」の一例に相当)に対して所定の処理を行う。搬入出ステーション2は、支持基板S、被処理基板Wまたは重合基板Tを処理ステーション3に対して搬入出する。また、処理ステーション3は、第1塗布装置40(「塗布装置」の一例に相当)と、接合装置80とを備える。第1塗布装置40は、支持基板Sの表面に接着剤Gを塗り広げる。接合装置80は、接着剤Gを接着剤Gの硬化温度よりも低い温度で加熱しつつ、支持基板Sと被処理基板Wとを接着剤Gを介して接合する接合処理を行う。また、接合装置80は、接合処理後、重合基板Tを、重合基板Tの支持基板S側および被処理基板W側の両側から接着剤Gの硬化温度以上の温度かつ接着剤Gが硬化する時間よりも短い時間で加熱する仮硬化処理を行う。
したがって、第1の実施形態に係る接合システム1によれば、重合基板Tに対する熱処理を適切に行うことができる。
また、第1の実施形態に係る接合システム1は、処理ステーション3と、搬入出ステーション2とを備える。処理ステーション3は、支持基板S(「第1基板」の一例に相当)および被処理基板W(「第2基板」の一例に相当)に対して所定の処理を行う。搬入出ステーション2は、支持基板S、被処理基板Wまたは重合基板Tを処理ステーション3に対して搬入出する。また、処理ステーション3は、第1塗布装置40(「第1処理装置」の一例に相当)と、第2塗布装置50(「第2処理装置」の一例に相当)と、検査部750と、接合装置80とを備える。第1塗布装置40は、接着剤Gを吐出する接着剤吐出部431を備え、接着剤吐出部431を用いて支持基板Sに接着剤Gを塗布する。第2塗布装置50は、接着剤Gが塗布された支持基板Sのベベル部を洗浄するベベル洗浄部55を備える。検査部750は、接着剤Gが塗布された支持基板Sのベベル部の表面状態を検査する。接合装置80は、支持基板Sと被処理基板Wとを接着剤Gを介して接合する。
したがって、第1の実施形態に係る接合システム1によれば、接合処理の前に、ベベル洗浄後の支持基板Sのベベル部に接着剤Gが残存していることを把握することができる。これにより、たとえば接合処理において行われる水平位置調整処理(ステップS117)において、被処理基板Wと支持基板Sとの位置ずれが生じることを防止することができるため、かかる位置ずれに伴う生産性の低下を防止することができる。
(第2の実施形態)
上述した実施形態では、支持基板Sと被処理基板Wとを接着剤Gおよび剥離剤Rを介して接合する場合の例について説明した。しかしながら、これに限らず、支持基板Sと被処理基板Wとは、接着剤Gおよび剥離剤Rに加え、被処理基板Wの接合面Wjに形成される回路やバンプ等を保護する保護剤をさらに介して接合されてもよい。
第2の実施形態では、支持基板Sと被処理基板Wとを、接着剤G、剥離剤Rおよび保護剤を介して接合する場合の例について説明する。図17は、第2の実施形態に係る被処理基板Wおよび支持基板Sの模式側面図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図17に示すように、第2の実施形態では、支持基板Sと被処理基板Wとが、接着剤G、剥離剤Rおよび保護剤Pを介して接合される。保護剤P、剥離剤Rおよび接着剤Gは、被処理基板W側からこの順番で設けられる。また、被処理基板Wには、第1の実施形態と同様に、未塗布領域Qがエッジカット処理により形成される。
保護剤Pとしては、接着剤Gよりも接着力が低く、粘性が低い材料が用いられる。また、保護剤Pは、シンナーなどの有機溶剤に可溶な性質を有するとともに、加熱しても硬化しない性質も有する。また、保護剤Pとしては、剥離剤Rよりも接着力が高いものが使用される。
かかる保護剤Pは、被処理基板Wの接合面Wjに形成される回路やバンプ等を保護する目的で被処理基板Wに塗布される。かかる点について図18および図19を参照して説明する。図18は、剥離剤Rが塗布された被処理基板Wの接合面を示す模式側面図であり、図19は、保護剤Pおよび剥離剤Rが塗布された被処理基板Wの接合面を示す模式側面図である。
剥離剤Rは、接着剤Gと比べて接着力が低いため、剥離剤Rを厚く塗布すると、重合基板Tの接合力が弱くなってしまう。このため、剥離剤Rは、薄く塗布することが好ましい。
しかしながら、図18に示すように、被処理基板Wの接合面WjにはバンプB等が形成されているため、剥離剤Rを薄く塗布するとバンプBが剥離剤Rに埋まらずに、剥離剤Rが塗布された後の接合面Wjに段差が生じる可能性がある。このように、被処理基板Wの接合面Wjに段差がある状態すなわち接合面Wjの表面積が大きい状態で支持基板Sとの接合を行うと、接着剤Gによって被処理基板Wと支持基板Sとが強力に接合されてしまうため、被処理基板Wと支持基板Sとを剥離する際に大きな力が必要となる。
一方、第2の実施形態では、図19に示すように、剥離剤Rよりも接着力の強い保護剤Pを被処理基板Wの接合面Wjに塗布し、保護剤PでバンプBを埋めたうえで剥離剤Rをさらに塗布する。これにより、被処理基板Wの接合面Wjの表面積を小さく抑えつつ、剥離剤Rを薄く塗布することができる。したがって、後の剥離工程において、被処理基板Wと支持基板Sとを容易に剥離することができる。
次に、第2の実施形態に係る接合システムの構成について図20を参照して説明する。図20は、第2の実施形態に係る第1塗布装置の構成を示す模式側面図である。
第2の実施形態に係る接合システムは、第1の実施形態に係る接合システム1が備える第1塗布装置40に代えて、図20に示す第1塗布装置40Aを備える。
図20に示すように、第1塗布装置40Aは、第1塗布装置40が備える液供給部43に代えて、液供給部43Aを備える。そして、液供給部43Aは、保護剤吐出部436をさらに備える。
保護剤吐出部436は、バルブ437を介して保護剤供給源438に接続されており、保護剤供給源438から供給される保護剤Pを被処理基板Wに吐出する。
保護剤吐出部436から吐出される保護剤Pには、保護剤Pの粘性を低下させて保護剤Pを被処理基板W上に塗り広げやすくするために、たとえばシンナー等の有機溶剤が混合されている。
次に、第2の実施形態に係る接合システムの具体的動作について図21を参照して説明する。図21は、第2の実施形態に係る接合システムが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、図21におけるステップS418以降の処理は、図11に示すステップS117〜S121と同様であるため、ここでの図示を省略する。また、図21におけるステップS401〜S408の処理は、図11に示すステップS101〜S108の処理と同様であるため、ここでの説明を省略する。
図21に示すように、第2の実施形態に係る接合システムでは、被処理基板Wに対する剥離剤Rの塗布に先立って、保護剤Pの塗布処理が行われる。
被処理基板Wは、第1搬送装置14によってカセットCwから取り出されて処理ステーション3の第1受渡部20へ搬送される。このとき、被処理基板Wは、非接合面Wnが下方を向いた状態で搬送される。第1受渡部20に搬送された被処理基板Wは、第2搬送装置31によって第1受渡部20から取り出された後、上述した第1塗布装置40Aへ搬送される。
第1塗布装置40Aでは、保護剤吐出部436を用いて被処理基板Wの接合面Wjに保護剤Pを塗布する処理が行われる(ステップS409)。これにより、被処理基板Wの接合面Wjに保護剤Pの塗布膜が形成される。
つづいて、被処理基板Wは、第2搬送装置31によって第1塗布装置40Aから取り出された後、熱処理装置60へ搬送される。
熱処理装置60では、被処理基板Wを所定の温度に加熱する処理が行われる(ステップS410)。これにより、被処理基板Wに塗布された保護剤Pに含まれる有機溶剤が気化する。その後、被処理基板Wは、熱処理装置60内で所定の温度、たとえば常温に冷却される。なお、有機溶剤が気化した保護剤Pは、被処理基板Wを傾けても垂れない程度に硬くなる。
その後、被処理基板Wは、図11に示すステップS109〜S116の処理を経た後(ステップS411〜S418)、支持基板Sと接合される。
次に、上述した各処理とその処理を実行する装置との関係について図22を参照して説明する。図22は、各処理とその処理を実行する装置との関係を示す図である。なお、図22には、被処理基板Wに対する各処理を示している。
図22に示すように、第2の実施形態に係る接合システムでは、保護剤塗布処理(ステップS409)および剥離剤塗布処理(ステップS411)をそれぞれ異なる装置で行うこととしている。仮に、これらの処理を第1塗布装置40Aで実行することとすると、第1塗布装置40Aの処理時間が長くなるため、たとえば次の被処理基板Wや支持基板Sを第1塗布装置40Aへ搬入するタイミングが遅くなり、スループットが低下するおそれがある。これに対し、接合システムによれば、保護剤塗布処理および剥離剤塗布処理をそれぞれ異なる装置で実行するため、これらの処理を1つの装置で実行する場合と比べ、スループットの低下を抑えることができる。
また、第2の実施形態に係る接合システムでは、支持基板Sに対する接着剤塗布処理を実行する第1塗布装置40Aを用いて、被処理基板Wに対する保護剤塗布処理も行う。つまり、第2の実施形態に係る接合システムでは、支持基板Sに対する接着剤塗布処理を実行する装置と、被処理基板Wに対する保護剤塗布処理を実行する装置とが共用化されている。このため、第2の実施形態に係る接合システムによれば、これらの処理をそれぞれ異なる装置で実行する場合と比べ、装置の台数を削減することができる。
なお、第2の実施形態に係る接合システムでは、ステップS410の加熱処理において、被処理基板Wの加熱処理を2つの熱処理装置60を用いて2段階で行う。具体的には、2段階目の加熱処理を行う熱処理装置60は、1段階目の加熱処理を行う熱処理装置60よりも高温で被処理基板Wを加熱する。このように、被処理基板Wを段階的に加熱することで、保護剤Pの突沸等により保護剤Pの表面に凹凸が発生することを防止することができる。このような段階的な処理は、他の熱処理においても行ってよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、接合処理および仮硬化処理の変形例について図23を参照して説明する。図23は、第3の実施形態に係る接合処理および仮硬化処理の処理手順を示すフローチャートである。
図23に示すように、接合部85は、第1加熱機構130によって接着剤Gの軟化温度(120〜140℃)であるX℃に予め加熱された第1保持部110で支持基板Sを保持する(ステップS501)。これにより、支持基板Sに塗布された接着剤Gは、軟化する。
つづいて、接合部85は、第2加熱機構140によって接着剤Gの硬化温度(180℃程度)以上の温度であるY℃(たとえば、200℃)に予め加熱された第2保持部120で被処理基板Wを保持する(ステップS502)。被処理基板Wに塗布された保護剤Pおよび剥離剤Rは、加熱しても硬化しない性質を有するため、Y℃に加熱されても硬化しない。なお、ステップS501の処理とステップS502の処理とは順序が逆であってもよい。
つづいて、接合部85は、被処理基板Wおよび支持基板Sの水平位置の調節を行った後(ステップS503)、加圧機構150を用いて第2保持部120を降下させて、被処理基板Wと支持基板Sとを接触させ(ステップS504)、さらに、被処理基板Wと支持基板Sとを加圧する(ステップS505)。
これにより、まず、被処理基板Wと支持基板Sとが接着剤G、剥離剤Rおよび保護剤Pを介して接合される。また、被処理基板Wと支持基板Sとが接触することにより、被処理基板Wの熱が支持基板Sに塗布された接着剤Gに伝わって接着剤Gの温度が上昇し、接着剤Gが硬化し始める。そして、接合部85は、接着剤Gが完全に硬化するより前に、第1加熱機構130および第2加熱機構140による加熱を停止する。これにより、接着剤Gは、完全に硬化しない程度に硬化する。
このように、接合部85は、支持基板Sを保持する第1保持部110を接着剤Gの軟化温度に加熱するとともに、被処理基板Wを保持する第2保持部120を接着剤Gの硬化温度以上の温度に加熱しておき、支持基板Sと被処理基板Wとを接触させて加圧することで、接合処理と仮硬化処理とを並行して進めることが可能となる。これにより、スループットを向上させることができる。
なお、かかる場合、重合基板Tの支持基板S側と被処理基板W側とに温度差が生じるため、重合基板Tに歪みが生じるおそれがある。これに対し、接合部85は、重合基板Tを支持基板S側および被処理基板W側から加圧した状態で仮硬化処理を行うため、重合基板Tの歪みを抑えることができる。
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、接合処理を行う接合装置80を用いて仮硬化処理も行う場合の例について説明したが、仮硬化処理は、専用の装置を用いて行ってもよい。かかる点について図24〜図26を参照して説明する。図24は、第4の実施形態に係る接合システムの構成を示す模式平面図である。また、図25および図26は、第4の実施形態に係る仮硬化装置の構成を示す模式側面図である。
図24に示すように、第4の実施形態に係る接合システム1Aは、処理ステーション3Aに仮硬化装置90を備える。仮硬化装置90は、他の装置と同様、第2搬送領域30に隣接して配置される。
図25に示すように、仮硬化装置90は、内部を閉鎖可能な処理容器91を有する。処理容器91の第2搬送領域30側の側面には、搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理容器91の内部には、加熱機構92を有し、重合基板Tにおける支持基板S側の板面と対向する第1プレート93と、加熱機構94を有し、重合基板Tにおける被処理基板W側の板面と対向する第2プレート95とを備える。なお、図25では、第1プレート93が第2プレート95の下方に配置される場合の例を示しているが、第1プレート93は、第2プレート95の上方に配置されていてもよい。
また、処理容器91の内部には、加圧機構96が配置される。加圧機構96は、第1プレート93を支持する支柱部材961と、支柱部材961を鉛直方向に移動させる移動機構962とを備える。
上記のように構成された仮硬化装置90は、第2搬送装置31によって第1プレート93上に重合基板Tが載置された後、加圧機構96を用いて第1プレート93を上昇させて重合基板Tの被処理基板W側の板面を第2プレート95に接触させて重合基板Tを加圧する。
その後、仮硬化装置90は、加熱機構92および加熱機構94を用いて、第1プレート93および第2プレート95をそれぞれ接着剤Gの硬化温度(180℃程度)以上の温度、たとえば200℃に加熱する。そして、仮硬化装置90は、接着剤Gが完全に硬化するより前に、加熱機構92および加熱機構94による加熱を停止する。これにより、接着剤Gは、完全に硬化しない程度に硬化する。
このように、仮硬化処理は、接合装置80ではなく、専用の装置を用いて行われてもよい。なお、仮硬化処理は、接合処理とは異なり、減圧雰囲気下で行うことを要しないため、仮硬化装置90は、減圧装置を備えることを要しない。
(第5の実施形態)
上述してきた実施形態では、検査部750をエッジカット装置70に配置し、支持基板Sに対する検査・再洗浄をエッジカット装置70において実行する場合の例を示したが、支持基板Sに対する検査・再洗浄は、たとえば、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を実行する第2塗布装置50において行うようにしてもよい。
かかる点について図27を参照して説明する。図27は、第5の実施形態に係る第2塗布装置の構成を示す模式側面図である。
図27に示すように、第5の実施形態に係る第2塗布装置50Aは、溶剤供給部720Aと、検査部750Aとをさらに備える。
溶剤供給部720Aおよび検査部750Aは、回収カップ54の上方に配置される。また、溶剤供給部720Aは、図示しない移動機構によって水平方向に移動可能に構成される。また、溶剤供給部720Aには、図7に示す溶剤供給部720と同様、バルブや流量調節部等を含む供給機器群を介して有機溶剤供給源が接続される。
また、第2塗布装置50Aは、基板保持機構52Aを備える。基板保持機構52Aが備える駆動部523Aは、支柱部材522を鉛直軸まわりに回転させるとともに鉛直方向に移動させる。
上記のように構成された第2塗布装置50Aは、ベベル洗浄部55を用いてベベル洗浄処理を行った後、基板保持機構52Aを用いて支持基板Sを回収カップ54よりも上方に移動させる。
つづいて、第2塗布装置50Aは、基板保持機構52Aを用いて支持基板Sを回転させつつ、検査部750Aを用いて支持基板Sのベベル部の表面状態を検査する。かかる検査の結果、支持基板Sのベベル部に接着剤Gが残存していると判定された場合、第2塗布装置50Aは、溶剤供給部720Aを移動させて支持基板Sの周縁部へ配置させる。
そして、第2塗布装置50Aは、溶剤供給部720Aを用い、支持基板Sのベベル部を含む周縁部の表面および裏面に向けてシンナー等の有機溶剤を吐出することによって、支持基板Sの周縁部に付着した接着剤Gを除去する。
このように、支持基板Sに対するベベル洗浄処理を行う第2塗布装置50Aが、引き続き、支持基板Sに対する検査・再洗浄処理も行うこととしてもよい。
なお、ここでは、ベベル洗浄処理の直後に検査・再洗浄処理を行うこととしたが、第1の実施形態と同様、ベベル洗浄後に加熱処理を行い、その後、検査・再洗浄処理を行うこととしてもよい。かかる場合、ベベル洗浄後の支持基板Sを第2塗布装置50Aから一旦取り出して熱処理装置60へ搬入し、加熱処理後の支持基板Sを再び第2塗布装置50Aへ搬入すればよい。
(その他の実施形態)
上述してきた実施形態では、検査部750,750AがCCDカメラである場合の例を示したが、検査部750,750Aは、必ずしもCCDカメラであることを要しない。検査部の他の例について図28を参照して説明する。図28は、変形例に係る検査部の構成を示す模式側面図である。
図28に示すように、検査部750Bとしては、CCDカメラに代えて、たとえば透過型フォトセンサを用いることができる。
検査部750Bは、発光素子753と受光素子754とを備える。図28では、発光素子753が被処理基板Wの接合面Wj側に配置され、受光素子754が非接合面Wn側に配置される。なお、この配置は逆でもよい。
かかる検査部750Bでは、発光素子753から受光素子754へ向けて光が照射され、被処理基板Wに遮光されない光が受光素子754へ入ることで、被処理基板Wのベベル部の形状を検出することができる。制御部5は、かかる検査部750Bによる検出結果に基づいて、被処理基板Wのベベル部にたとえば剥離剤Rが残存しているか否かを判定する。
上述した実施形態では、支持基板Sまたは被処理基板Wのベベル部に接着剤G、剥離剤Rまたは保護剤Pが残存している場合に、ベベル部の再洗浄を行う場合の例について説明した。しかしながら、接合システムでは、支持基板Sまたは被処理基板Wのベベル部のうちの特定の箇所に接着剤G、剥離剤Rまたは保護剤Pが残存している場合にのみ、ベベル部の再洗浄を行うこととしてもよい。
たとえば、接合システムでは、支持基板Sのベベル部のうち、水平方向の位置調節に用いられる基準点が形成された場所に接着剤Gが有ると判定した場合に、支持基板Sのベベル部の再洗浄をおこなうこととしてもよい。また、被処理基板Wについても同様に、被処理基板Wのベベル部のうち、水平方向の位置調節に用いられる基準点が形成された場所に剥離剤Rや保護剤Pが有ると判定した場合に、被処理基板Wのベベル部の再洗浄をおこなうこととしてもよい。これにより、検査・再洗浄処理に要する時間を短縮することができる。
また、接合システムでは、支持基板Sのベベル部のうち、水平方向の向き調節に用いられるノッチ部に接着剤Gが有ると判定した場合に、支持基板Sのベベル部の再洗浄をおこなうこととしてもよい。同様に、被処理基板Wについても、被処理基板Wのベベル部のうちノッチ部に剥離剤Rや保護剤Pが有ると判定した場合に、被処理基板Wのベベル部の再洗浄をおこなうこととしてもよい。これにより、検査・再洗浄処理に要する時間を短縮することができる。
上述した実施形態では、支持基板Sが第1基板の一例であり、被処理基板Wが第2基板の一例である場合の例について説明したが、被処理基板Wが第1基板であり、支持基板Sが第2基板であってもよい。すなわち、被処理基板Wに接着剤Gが塗布され、支持基板Sに剥離剤Rが塗布されてもよい。
上述してきた実施形態では、加圧機構150が、第2保持部120を降下させることによって被処理基板Wと支持基板Sとを接触させて加圧する場合について説明したが、加圧機構150は、第1保持部110を上昇させることによって被処理基板Wと支持基板Sとを接触させて加圧してもよい。
また、上述してきた実施形態では、基板同士を接合する処理において、被処理基板に接着剤を塗布した後、被処理基板のベベル部を洗浄する場合の例について説明した。しかし、本例に限らず、半導体デバイスの製造工程においては、たとえば基板に対してレジストの塗布および現像を行う塗布・現像処理等においても、ベベル部の洗浄が行われる場合がある。これらの場合についても、上述してきた実施形態と同様の基板処理方法を適用することが可能である。
たとえば、図27に示す第2塗布装置50Aの液供給部53にレジスト供給源を接続することにより、第2塗布装置50Aをレジスト塗布装置として用いることができる。
かかる場合、第2塗布装置50Aは、基板保持機構52Aを用いて基板を回転させつつ、液供給部53から基板へレジストを供給することによって、基板の表面全体にレジストを塗布する。また、第2塗布装置50Aは、ベベル洗浄部55を用いてベベル洗浄処理を行った後、検査部750Aを用いて基板のベベル部の表面状態を検査する。そして、かかる検査の結果、基板のベベル部にレジストが残存していると判定された場合、第2塗布装置50Aは、溶剤供給部720Aを用いて基板の周縁部に付着したレジストを除去する。
また、第2塗布装置50Aをレジスト塗布装置として使用する場合、ベベル洗浄工程後かつ検査工程前に、基板を第2塗布装置50Aから取り出して熱処理装置へ搬送し、熱処理装置において、基板を加熱して基板に残存する薬液を除去するようにしてもよい。また、ベベル部にレジストが有ると判定した場合に、薬液供給源552に異常が発生した旨の情報を報知する処理を行ってもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。