JP6362813B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
このように、従来の電磁アクチュエータにおいては、可動部の推力の向上と鍔部の部品保持強度とが相反関係にある。
ただし、電磁アクチュエータの中には、コイルが巻回されたボビンやコアを鍔部で保持するものがある。このような電磁アクチュエータでは、鍔部の部品保持強度が要求されるので、特許文献1に記載される電磁アクチュエータのように、鍔部全体の厚みを薄くすることはできない。
固定部は、磁性体で構成されて、中心軸を有するケースと、ケースの内部に配置され、一端部に鍔部が設けられたコアと、コアに磁束を発生させるコイルとを有する。
可動部は、永久磁石を有して構成され、コアと永久磁石との吸着力でコアに吸着して保持され、コイルへの通電によって発生するコアと永久磁石とを反発させる反発力で鍔部から遠ざかる方向へ中心軸に沿って移動する。
鍔部は、コアの一端部から径方向外側に平坦に広がって可動部に対向する平坦部と、当該平坦部から径方向外側に平坦部よりも薄い厚みで広がって可動部に対向する薄厚部とを有する。
コアは、可動部の移動方向に並んだ複数の分割コアであり、複数の分割コアのうち、可動部に対向する分割コアは、鍔部と、鍔部における可動部に対向する面とは反対側の面から突出した筒状部とを有する。
筒状部の壁の厚みは、平坦部における可動部の移動方向の厚みよりも薄い。
実施の形態1.
図1は、この発明に係る実施の形態1である電磁アクチュエータ1の構成を示す断面図である。図2は、電磁アクチュエータ1における鍔部4aおよびその周辺構成を示す拡大断面図である。電磁アクチュエータ1は、図1に示すように、固定部に対して、矢印Aの方向(以下、移動方向Aと記載する)に可動部7を移動させるアクチュエータであって、ケース2、分割コア3,4、コイル5、ブッシュ6および可動部7を備えている。
ケース2は、磁性体のケース部材2a,2b,2cから構成されて、中心軸を有する。可動部7は、ケース2の内部で、この中心軸に沿って移動する。
分割コア3,4は、ケース2の内部で可動部7の移動方向Aに並んで配置されており、分割コア3は、コイル5の内周側に配置され、分割コア4は、可動部7側に配置される。
ブッシュ6は、分割コア3と分割コア4とが対向している部分に装着されて、分割コア3を保持するリング状の部材である。すなわち、分割コア3は、図1に示すように、分割コア4との間に隙間が空いた状態で、ブッシュ6を介して鍔部4a上に保持される。
なお、分割コア3と分割コア4との間に隙間を空けることで、分割コア3と分割コア4は磁気的に分割されている。
このように、分割コア4は、筒状部4a−3の一端部に鍔部4aを設けた構造であるので、鋼板に筒状部4a−3を絞り加工して作成することができる。すなわち、分割コア4は、鋼板から一体製品として安価に作成することが可能である。
永久磁石8は、分割コア4に近い側がN極、遠い側がS極に着磁されているディスク状の磁石である。また、永久磁石8は、プレート9とプレート10との間に挟まれており、永久磁石8における分割コア4に近い側の面にはプレート9が固定され、遠い側の面にはプレート10が固定される。
筒状部9bは、板部9aにおける分割コア4に対向する面から突出している筒状部材である。また、筒状部9bの中心孔は、板部9aも貫通している。さらに、筒状部9bは、分割コア3,4と同軸に配置されており、分割コア4における筒状部4a−3の貫通孔部4bを通って分割コア3,4の内部へ入ることができる。プレート10は、磁性体で構成された板状の部材である。
図2に示すように、鍔部4aは、平坦部4a−1および傾斜部4a−2を有している。
平坦部4a−1は、分割コア4における、可動部7に対向する一端部から径方向外側に平坦に広がった部分である。また、平坦部4a−1は、他の部品を保持することが可能な厚みで形成されている。例えば、平坦部4a−1はブッシュ6を介して分割コア3を保持している。
図5AはLh/Lall=0のコア形状に対する磁束密度の分布を示す図であり、図5BはLh/Lall=1のコア形状に対する磁束密度の分布を示す図である。ここで、分割コア4Aは鍔部4a1を有する分割コアである。分割コア4Bは鍔部4a2を有する分割コアである。図5Aおよび図5Bにおいて、磁束密度が増大するにつれて鍔部の断面の色が濃くなるように記載している。
また、Lh/Lallが小さくなると、分割コア4の鍔部の磁路断面積が低下することで磁気抵抗が増大し、コイル電流により発生する磁束は減少し、磁束密度は小さくなることが自然だが、Lh/Lallが0.75以下の場合、分割コア4の鍔部における磁束密度は高くなる。これは、分割コア4が磁気飽和していることを示し、磁束密度が高くなるほど分割コア4の磁気飽和の度合いが強くなり、分割コア4から可動部7側の空隙へ磁束が漏れやすくなり、反発力が増大する。図5Aは、Lh/Lall=0となる鍔部4a1において、磁気飽和によって磁束密度が高くなった様子を示している。
なお、傾斜部4a−4は平坦部4a−1よりも部品保持強度が劣るので、部品は、平坦部4a−1側の平坦面に保持することが望ましい。
図8Aは、平坦な薄厚部4a−5を有する分割コア4を示す断面斜視図である。図8Bは、階段状に薄厚にされた薄厚部4a−6を有する分割コア4を示す断面斜視図である。
薄厚部4a−5は、図8Aに示すように、平坦部4a−1から径方向外側に傾斜しておらず、平坦部4a−1よりも薄い一定の厚みで径方向に平坦に広がっている。
このように構成しても、鍔部4aに厚みが薄い部分が形成されるので、可動部7の推力を向上させることができる。
このように構成しても、図6に示した傾斜部4a−4と同様の効果が得られ、さらに、プレス加工により安価に作成することが可能である。
このように構成することで、平坦部4a−1で鍔部4aの部品保持強度を確保しつつ、薄厚部によって可動部7の推力を向上させることができる。
このように構成することでも、鍔部4aに厚みが薄い部分が形成されるので、可動部7の推力を向上させることができる。
さらに、ブッシュ6などの部品を載置することができる平坦面が大きくなるため、電磁アクチュエータ1の組み立て性が向上する。この際、平坦面はブッシュの肉厚よりも長くなる構造が好適である。
なお、ケース2内の固定部を樹脂モールドする場合、樹脂11が、傾斜部4a−4の傾斜面により形成される空間にも充填されるので、鍔部4aの部品保持強度も向上する。
このように構成することで、鍔部4aの部品保持強度を最大限に確保しつつ、可動部7の推力を向上させることが可能となる。
なお、薄厚部が傾斜部4a−4の場合であっても、上記寸法関係にあれば同様の効果が得られる。
このように構成することで、筒状部4a−3の内周と筒状部9bの外周との間隔Gapが広がって、筒状部4a−3と筒状部9bとの間の径方向の吸引力が小さくなる。これにより、可動部7の運動が阻害されにくくなる。
Claims (6)
- 磁性体で構成されて、中心軸を有するケースと、前記ケースの内部に配置され、一端部に鍔部が設けられたコアと、前記コアに磁束を発生させるコイルとを有する固定部と、
永久磁石を有して構成され、前記コアと前記永久磁石との吸着力で前記コアに吸着して保持され、前記コイルへの通電によって発生する前記コアと前記永久磁石とを反発させる反発力で前記鍔部から遠ざかる方向へ前記中心軸に沿って移動する可動部とを備え、
前記鍔部は、前記コアの一端部から径方向外側に平坦に広がって前記可動部に対向する平坦部と、当該平坦部から径方向外側に前記平坦部よりも薄い厚みで広がって前記可動部に対向する薄厚部とを有し、
前記コアは、前記可動部の移動方向に並んだ複数の分割コアであり、
前記複数の分割コアのうち、前記可動部に対向する分割コアは、前記鍔部と、前記鍔部における前記可動部に対向する面とは反対側の面から突出した筒状部とを有し、
前記筒状部の壁の厚みは、前記平坦部における前記可動部の移動方向の厚みよりも薄いことを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 前記薄厚部は、前記平坦部から前記可動部の移動方向に垂直な面に対して傾斜する面を有した傾斜部であることを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
- 前記平坦部の径方向の長さと前記傾斜部の径方向の長さとを加算した長さに対する前記平坦部の径方向の長さの比が0より大きく0.75以下であることを特徴とする請求項2記載の電磁アクチュエータ。
- 前記傾斜部は、前記可動部に対向する面が前記可動部の移動方向に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする請求項2記載の電磁アクチュエータ。
- 前記傾斜部は、前記可動部に対向する面とは反対側の面が前記可動部の移動方向に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする請求項2記載の電磁アクチュエータ。
- 前記薄厚部は、階段状に薄厚になっていることを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
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