JP2021174962A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

Abstract

【課題】可動子のストローク終了位置近くにおける吸引力の上昇を抑え、ストローク全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができる電磁アクチュエータを提供する。【解決手段】 可動子４０は、コイル２１の通電時に固定子３０との間に発生した磁力により所定のストロークで軸方向に吸引される。固定子３０は、ストローク開始位置側の第１固定子３１とストローク終了位置側の第２固定子３２とを含む。可動子４０のシリンダ４１の外壁にはテーパ部４１３が設けられている。テーパ部４１３は、可動子４０のストローク終了位置側への移動に伴い、第１固定子３１と可動子４０との間の空隙（ｇ１）を狭くする。第１固定子３１には、第２固定子３２側の端部３１０に凸状の曲面３１１が環状に形成される。【選択図】図１

Description

本発明は、固定子と可動子との間に発生した磁力により可動子を軸方向に吸引する電磁アクチュエータに関する。

従来、コイルと可動子との間に２つの固定子を軸方向に並べて設けた電磁アクチュエータが知られている。例えば、特許文献１の電磁アクチュエータでは、第１固定子が可動子のストローク開始位置側に設けられ、第２固定子がストローク終了位置側に設けられている。可動子は、直径が第２固定子側ほど小さくなるテーパ部を有し、可動子のストローク終了位置側への移動に伴い、可動子と第１固定子との間の空隙の広さをテーパ部によって変化させ、ストローク途中における吸引力を平準化するようになっている。

特開２０１５−０６０９５３号公報

ところが、特許文献１の電磁アクチュエータにおいて、可動子が第２固定子に接近すると、テーパ部によって第１固定子と可動子との間の空隙が狭くなる。このため、いったん平準化された吸引力がストローク終了位置付近で上昇してしまい、ストローク全長にわたってフラットな吸引特性を得ることが困難であった。

本発明の目的は、ストローク終了位置付近における吸引力の上昇を抑え、ストローク全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができる電磁アクチュエータを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の電磁アクチュエータ（１１）は、コイル（２１）の通電時に固定子（３０）と可動子（４０）との間に発生した磁力により可動子が所定のストロークで軸方向（Ａｘ）に吸引される電磁アクチュエータであって、固定子は、ストローク開始位置側に設けられた第１固定子（３１）と、ストローク終了位置側に設けられた第２固定子（３２）とを含み、可動子は、ストローク終了位置側への移動に伴って第１固定子と可動子との間の空隙（ｇ１）を狭くするテーパ部（４１３）を有し、第１固定子は、第２固定子側の端部（３１０）に可動子との間の空隙（ｇ４）を拡げる曲面（３１１，３１３，３１４）を有する。

本発明の電磁アクチュエータによれば、可動子が第２固定子に接近すると、テーパ部が第１固定子と可動子との間の空隙を狭くするが、ストローク終了位置付近では、第１固定子の曲面が第１固定子と可動子との間の空隙を拡げる。このため、ストローク終了位置付近における吸引力の上昇を抑え、ストローク全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができる。

本発明の第１実施形態による電磁アクチュエータを示す断面図である。 可動子がストローク終了位置に移動した状態を示す図１の電磁アクチュエータの断面図である。 図１のＩＩＩ部拡大断面図である。 図２のＩＶ部拡大断面図である。 図１、図２の電磁アクチュエータの吸引特性を示すグラフである。 比較例の電磁アクチュエータを示す部分断面図である。 本発明の第２実施形態による電磁アクチュエータを示す断面図である。 （ａ），（ｂ）は本発明の他の実施形態を示す第１固定子の部分断面図である。

＜第１実施形態＞
以下、本発明の第１実施形態を図面に基づいて説明する。図１、図２に示す電磁アクチュエータ１１は、リニアソレノイドとして車両用内燃機関のバルブタイミング調整機構に用いられる。

電磁アクチュエータ１１のハウジング１２は、磁性材料からなるベース１３と、同じく磁性材料からなるケース１４と、ベース１３およびケース１４を全体的に被覆する樹脂製の絶縁皮膜１５とから構成されている。ケース１４の内側にはコイル２１が配置され、絶縁皮膜１５の一部によってハウジング１２に固定されている。コイル２１は、樹脂製のボビン２１１と巻線集合体２１２とからなり、全体が円環状に形成されている。

コイル２１の径方向内側に固定子３０が設けられ、固定子３０の径方向内側に可動子４０が配置されている。そして、コイル２１が通電されたときに、固定子３０と可動子４０との間に発生した磁力によって、可動子４０が所定のストロークで電磁アクチュエータ１１の軸方向（図１に示す軸線Ａｘが延びる方向）に吸引される。

固定子３０は、可動子４０のストローク開始位置側に位置する第１固定子３１と、ストローク終了位置側に位置する第２固定子３２とからなっている。第１固定子３１および第２固定子３２は、電磁アクチュエータ１１を小型化できるように、コイル２１の径方向内側に配置されている。第１固定子３１は、磁性材料の冷鍛加工によって円筒状に形成され、基端にてベース１３に固定されている。第２固定子３２は、磁性材料からなるカバー部材１７の円筒部分によって形成され、カバー部材１７がハウジング１２の前面開口部１２１を覆うようにケース１４に固定されている。

可動子４０は、磁性材料の焼結加工により形成されたシリンダ４１と、電磁アクチュエータ１１の出力軸であるプランジャ４２と、スライダ４３とが一体移動可能に組み合わされている。シリンダ４１は、空隙を介して第１固定子３１および第２固定子３２の内側に配置されている。プランジャ４２は、基部がシリンダ４１の先端部内壁面に固定された状態で、電磁アクチュエータ１１の軸線Ａｘ上に配置されている。

スライダ４３は、低摩擦材料で円環状に形成され、シリンダ４１の基端部内壁面に固着されている。ベース１３には、プランジャ４２のストッパを兼ねたガイド部材１６が固定され、ガイド部材１６にスライダ４３が摺動可能に嵌合している。また、カバー部材１７の中央には、プランジャ４２が摺動可能に挿通されるボス部１７１が形成され、可動子４０の移動がガイド部材１６およびカバー部材１７によって案内される。

第１固定子３１および第２固定子３２は、コイル２１の径内方向に内側において可動子４０の吸引方向に並べて設けられている。コイル２１への通電時には、可動子４０が、第１固定子３１との間に発生した磁力と、第２固定子３２との間に発生した磁力とによってストローク開始位置からストローク終了位置まで吸引される。図１は可動子４０のストローク開始位置を示し、図２は可動子４０のストローク終了位置を示す。

なお、ストローク終了位置は、図２に示す位置に限定されず、電磁アクチュエータ１１の用途によっては、図２に示す位置よりもさらに前方（カバー部材１７側）に設定される場合もあり得る。また、コイル２１への通電が停止したときには、可動子４０が被動側機器（例えば、バルブタイミング調整機構）に設けられたバネ部材によってストローク終了位置からストローク開始位置に復帰するようになっている。

図３、図４に示すように、可動子４０のシリンダ４１には、ストローク開始位置側に大径円筒部４１１（図４参照）が設けられ、ストローク終了位置側に小径円筒部４１２が設けられ、大径円筒部４１１と小径円筒部４１２との間にテーパ部４１３が設けられている。テーパ部４１３は、外壁面の直径がストローク開始位置側ほど大きくストローク終了位置側ほど小さくなるように形成されている。そして、可動子４０のストローク終了位置側への移動に伴い、テーパ部４１３によって第１固定子３１と可動子４０との間の空隙（ｇ１）の広さを変化させ、ストローク途中における吸引力を平準化するようになっている（図５参照）。

小径円筒部４１２は、外壁面が軸方向の各部で同じ直径のストレート部であって、テーパ部４１３より第２固定子３２側に連続的に形成されている。小径円筒部４１２の外壁面は、テーパ部４１３の最小径端縁４１３０（図４参照）の直径と略同じ直径の円筒面である。そして、ストローク開始位置から終了位置までの軸方向範囲において、小径円筒部４１２が可動子４０と第２固定子３２との間の空隙（ｇ２）を略一定の広さに保つようになっている。小径円筒部４１２の軸方向長さ（Ｌ）は、可動子１８のストローク長以下であるのが好ましい。小径円筒部４１２の長さがストローク長を上回ると、テーパ部４１３による吸引力の調整に悪影響を及ぼす可能性がある。

可動子４０は、シリンダ４１の軸方向の前端に断面三角形の突起４１４を備えている。突起４１４は、シリンダ４１の端面４１０からストローク終了位置側に向かって突出するとともに、小径円筒部４１２の全周にわたって円環状に延びるように形成されている。図３に示すように、シリンダ４１の半径方向における突起４１４の厚さ（ｔ）は、０．０５ｍｍ〜１ｍｍ程度であるのが好ましい。また、突起４１４の突出高さ（ｈ）は、可動子１４０のストローク長の半分以下であるのが望ましい。

突起４１４よりカバー部材１７側において、そのカバー部材１７の内側隅部には、図１、図２に示すように、凹所１７２が形成されている。凹所１７２は、突起４１４が進入可能な深さで円環状に形成され、可動子４０のストローク終了位置が図２に例示した位置よりもさらにカバー部材１７側に変更された場合に、カバー部材１７と突起４１４との衝突を回避できるようになっている。

一方、第１固定子３１において、第２固定子３２側の開口端部３１０には凸状の曲面３１１が環状に設けられている。曲面３１１は、図３、図４に示すように、筒状の第１固定子３１の開口端部３１０から第１固定子３１の外壁面側へ広がるように形成されている。そして、可動子４０がストローク終了位置に接近すると、曲面３１１により第１固定子３１と可動子４０との間の空隙（ｇ４）が拡げられる。また、曲面３１１と反対側において、第１固定子３１の外壁面には、その肉厚（図３に符号Ｔで示す）を第２固定子３２側で減少させる斜面３１２が形成されている。

図３において、曲面３１１の半径（Ｒ）は、０．２ｍｍ以上であり、第１固定子３１の肉厚（Ｔ）の９０％以下であるのが好ましい。より好ましくは、曲面１７１ａの半径（Ｒ）は、０．３ｍｍ〜３ｍｍ程度であるとよい。

上記のように構成された電磁アクチュエータ１１では、図３に示すように、可動子１８がストローク開始位置にあるとき、テーパ部４１３の最小径端縁４１３０が第２固定子３２に接近する。しかし、テーパ部４１３より第２固定子３２側にストレート状の小径円筒部４１２が連続し、さらに、シリンダ４１の端面４１０より突起４１４がカバー部材１７側に突出しているので、ストローク開始位置付近で可動子１８と第２固定子３２との間の空隙（ｇ２）が大きく開いてしまうようなことがない。このため、シリンダ４１と第２固定子３２との間の空隙（ｇ２）を比較的狭く保ち、電磁アクチュエータ１１の始動初期における吸引力の低下を抑えることができる。

また、図４に示すように、可動子４０がストローク終了位置に近づくと、テーパ部４１３が可動子４０と第１固定子３１との間の空隙（ｇ１）を狭くするが、可動子４０がストローク終了位置に達する直前で、曲面３１１が可動子４０と第１固定子３１との間の空隙（ｇ３）を拡げ、可動子４０に作用する吸引力を低下させる。このため、図５に示すように、ストローク終了位置付近における吸引力の上昇を抑え、ストロークの全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができる。

図６は、比較例の電磁アクチュエータ５１を示す。比較例の電磁アクチュエータ５１は、可動子４０のシリンダ４１に小径円筒部４１２、テーパ部４１３および突起４１４が設けられているが、第１固定子３１に曲面が設けられていない。このため、ストローク途中ではテーパ部４１３によって吸引力が平準化されるが、ストローク終了位置付近で、テーパ部４１３によって空隙（ｇ４）が狭くなり、図５に破線で示すように、吸引力が上昇し、ストロークの全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができない。

＜第２実施形態＞
次に、本発明の第２実施形態を図７に基づいて説明する。第２実施形態の電磁アクチュエータ１１１は、可動子４０が小径円筒部および突起を備えていない点で第１実施形態と相違する。ただし、第２実施形態の電磁アクチュエータ１１１は、第１実施形態と同様に、可動子４０がテーパ部４１３を備え、第１固定子３１に曲面３１１が設けられている。このため、ストローク終了位置付近で第１固定子３１と可動子４０との間の空隙を拡げ、吸引力の上昇を抑え、ストローク全長にわたってフラットな吸引特性を得ることができる。

＜他の実施形態＞
（１）上記各実施形態では、第１固定子３１の曲面３１１が半径（Ｒ）の円筒面の四半分となっているが、他の実施形態において、曲面の形状を適宜に変更することができる。図８（ａ）に示す曲面３１３は、長軸が第１固定子３１の軸方向に延びる楕円面の四半分となっている。図８（ｂ）に示す曲面３１４は、長軸が第１固定子３１の径方向に延びる楕円面の四半分となっている。

（２）上記実施形態では、コイル２１の内側に固定子３０が設けられ、固定子３０の内側に可動子４０が配置されているが、他の実施形態において、コイルの外側に固定子を設け、固定子の外側に可動子を配置し、第１固定子の外壁面に曲面を形成することも可能である。

（３）上記実施形態では、バルブタイミング調整機構で用いられる電磁アクチュエータ１１を例示したが、電磁アクチュエータの用途は特に限定されない。他の実施形態において、本発明の電磁アクチュエータをバルブタイミング調整機構以外の各種装置または機器に適用することも可能である。

（４）その他、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状および構成を適宜に変更して実施することも可能である。

１１・・・電磁アクチュエータ（第１実施形態）、２１・・・コイル、
３０・・・固定子、３１・・・第１固定子、３２・・・第２固定子、
４０・・・可動子、１１１・・・電磁アクチュエータ（第２実施形態）、
３１１，３１３，３１４・・・曲面、４１３・・・テーパ部、
ｇ１・・・第１固定子と可動子との間の空隙、Ａｘ・・・軸線。

Claims (4)

1. コイル（２１）の通電時に固定子（３０）と可動子（４０）との間に発生した磁力により前記可動子が所定のストロークで軸方向（Ａｘ）に吸引される電磁アクチュエータ（１１）であって、
   前記固定子は、ストローク開始位置側に設けられた第１固定子（３１）と、ストローク終了位置側に設けられた第２固定子（３２）とを含み、
   前記可動子は、ストローク終了位置側への移動に伴って前記第１固定子と前記可動子との間の空隙（ｇ１）を狭くするテーパ部（４１３）を有し、
   前記第１固定子は、前記第２固定子側の端部（３１０）に前記可動子との間の空隙（g４）を拡げる凸状の曲面（３１１，３１３，３１４）を有する電磁アクチュエータ。
2. 前記曲面は、前記第１固定子の筒状の開口端部（３１０）に環状に形成されている請求項１に記載の電磁アクチュエータ。
3. 前記第１固定子および前記第２固定子は、前記コイルの径方向内側に配置されている請求項１または２に記載の電磁アクチュエータ。
4. 前記曲面の半径（Ｒ）は、０．２ｍｍ以上であり、前記第１固定子の径方向の厚さ（Ｔ）の９０％以下である請求項１，２または３に記載の電磁アクチュエータ。

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