JP6362036B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置に関する。
従来から、ドライバが誤ってアクセルペダル及びブレーキペダルの両方を同時に踏み込むことに起因する車両の暴走等を防ぐために、アクセルペダル及びブレーキペダルが同時に踏み込まれた場合にエンジン出力を強制的に低下させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、ブレーキペダルの踏み込み量又はブレーキ作動圧力が、意図的なアクセルペダル及びブレーキペダルの同時踏み込み量に対応した所定値以上である場合に、アクセルペダルの踏み込み量に基づくエンジン制御信号に関わらずエンジンを強制的にアイドル状態に制御する技術が開示されている。
特開2005−291030号公報
ところで、従来から、減速時に車輪がロック状態になった場合に(つまり車輪がスリップした場合)、この車輪のロックを解消すべく、油圧式のブレーキシステムにおけるブレーキ液圧を強制的に低下させる動作と、その後にブレーキ液圧を再度上昇させる動作とを短時間で繰り返すように動作するアンチロックブレーキシステム(以下では適宜「ABS」と表記する。)が用いられている。
上記した特許文献1に記載の技術では、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合に、ブレーキ液圧に対応するブレーキ作動圧力が所定値以上であるときにエンジン出力を低下させる制御を実行しているが、そのような技術にABSを適用した場合、以下のような問題が生じ得る。エンジン出力を低下させる制御を実行しているときにABSが作動すると、若しくはABSが作動しているときにエンジン出力を低下させる制御を実行すると、ABSによってブレーキ液圧が所定値未満にまで低下して、エンジン出力を低下させる制御が停止することがある。この後、ブレーキ液圧が所定値以上にまで上昇すると、エンジン出力を低下させる制御が再び実行されることとなる。この場合、エンジン出力を低下させる制御が停止している間にエンジン出力が増加するため、所望のエンジン出力にまで低下させるのに要する時間が長くなってしまう。そのため、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合の安全性を十分に確保することができない場合がある。
なお、以下では、アクセルペダル及びブレーキペダルが同時に踏み込まれた場合にエンジン出力を強制的に低下させる制御(出力低下制御)を、適宜「BOS制御」と呼ぶ。この「BOS」は、「ブレーキオーバーライドシステム」を指す。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、アクセルペダル及びブレーキペダルが同時に踏み込まれた場合に実行されるエンジン出力を低下させる制御を、アンチロックブレーキシステムの作動時においても適切に実行することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置において、油圧式のブレーキシステムにおいて発生した制動油圧としてのブレーキ液圧を取得するブレーキ液圧取得手段と、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合において、ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が所定値以上である場合にはエンジン出力を低下させる必要があると判定してエンジン出力を低下させる出力低下制御を実行する一方で、ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が所定値未満である場合にはエンジン出力を低下させる必要はないと判定して出力低下制御を実行しないようにするエンジン制御手段と、を有し、エンジン制御手段は、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合において、車輪のロック状態を抑制するようにブレーキ液圧を制御するアンチロックブレーキシステムが作動している場合には、ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が所定値未満であっても、エンジン出力を低下させる必要があると判定して出力低下制御を実行しアクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定して出力低下制御を実行した場合には、このアンチロックブレーキシステムが停止した後も、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれている間は、ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が所定値未満であっても、出力低下制御を継続して実行する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明では、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合において、ABS(アンチロックブレーキシステム)が作動している場合には、ブレーキ液圧が所定値未満であっても、出力低下制御を実行するので、ABS作動中に出力低下制御を適切に実行することができる。これにより、ABSによるブレーキ液圧の低下によって出力低下制御が停止(解除)してしまうことを抑制することができる、つまりABSによるブレーキ液圧の変動によらずに出力低下制御を継続して実行することができる。したがって、出力低下制御によって所望のエンジン出力にまで速やかに低下させることができ、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合の安全性を十分に確保することが可能となる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定た場合に、この判定時点から所定時間経過後に出力低下制御を開始する。
このように構成された本発明によれば、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、ABSが作動中であると判定されてから、所定時間が経過したときに出力低下制御を開始するので、出力低下制御の誤作動を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、所定時間は、ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が大きいほど、短い時間に設定される。
このように構成された本発明によれば、ブレーキ液圧に基づき待機時間を設定するので、ドライバによるブレーキペダルの操作に応じた適切な待機時間を設定することができ、ドライバによる制動意思を考慮して出力低下制御を開始させることができる。特に、ブレーキ液圧が大きいほど待機時間を短くするので、ドライバによる制動意思が強い場合に、出力低下制御を速やかに開始させることができる。また、ブレーキ液圧が小さいほど待機時間を長くするので、ドライバによる制動意思が弱い場合に、出力低下制御が即座に開始されることを抑制し、ある程度の時間をおいて出力低下制御を開始させることができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定して、出力低下制御を実行した場合に、アンチロックブレーキシステムが作動している間、この出力低下制御を継続して実行する。
このように構成された本発明によれば、ABS作動中に出力低下制御を実行する場合に、ABSが作動している間は出力低下制御を継続して実行するので、ABSによるブレーキ液圧の変動によって出力低下制御が停止(解除)と再実行とを繰り返すことを効果的に抑制し、出力低下制御を継続して実行して所望のエンジン出力にまで確実に低下させることができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、アクセルペダルの開度であるアクセル開度に基づいて目標トルクを設定し、この目標トルクが実現されるようにエンジントルクを制御し、出力低下制御を実行する場合には、目標トルクを設定するために適用するアクセル開度を低下させることで、当該目標トルクを低下させてエンジン出力を低下させる。
このように構成された本発明によれば、アクセル開度に基づきエンジントルクを制御するので、エンジントルクに対する制御性を向上させることができる。特に、出力低下制御を実行する場合に、目標トルクを設定するために適用するアクセル開度を低下させることで、出力低下制御の制御性を向上させることができる。
本発明のエンジンの制御装置によれば、アクセルペダル及びブレーキペダルが同時に踏み込まれた場合に実行されるエンジン出力を低下させる制御を、アンチロックブレーキシステムの作動時においても適切に実行することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用された車両の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用された車両におけるブレーキシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジン制御処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態によるアクセル変化ゲイン決定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において適用するアクセル変化ゲインを示すテーブルの模式図である。 本発明の実施形態によるBOS制御実行フラグ設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、マスターバック負圧及びブレーキ液圧に基づきブレーキ踏力を求める方法についての説明図である。 本発明の実施形態において、BOS制御を実行するまでの待機時間を設定する方法についての説明図である。 本発明の実施形態において、ABS作動中に行われるBOS制御実行フラグ設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、BOS制御が実行されていないときに行われるH&T判定フラグ設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態において、BOS制御が実行されているときに行われるH&T判定フラグ設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による制御を行った場合のタイムチャートの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
<システム構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたシステムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用された車両の概略構成を示す平面図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図1に示すように、車両においては、エンジンシステム100のエンジン10が、燃料と空気との混合気を燃焼させて、車両の推進力としてのエンジントルク(駆動トルク)を発生し、このエンジントルクを、クランクシャフト16を介して変速機108に伝達する。この変速機108は、複数の段階にギヤ段(例えば1速〜6速)を変化させることが可能な機構であり、エンジン10からのエンジントルクは、変速機108に設定されたギヤ段にて、一対のドライブシャフト110を介して、各ドライブシャフト110の車幅方向外側端部に取り付けられた一対の車輪112に伝達される。具体的には、変速機108は、ドライバによって任意にギヤ段が選択される手動変速機(マニュアルトランスミッション)である。
また、車両には、ブレーキペダル102、アクセルペダル104及びクラッチペダル106が設けられ、ドライバは、これらのブレーキペダル102、アクセルペダル104及びクラッチペダル106を操作することで車両を操縦する。更に、車両には、PCM(Powertrain Control Unit)50が、車両内における各種の制御を行う。本実施形態では、PCM50は、エンジンの制御装置として機能し、エンジン10に対する制御を行う。
図2に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路1と、この吸気通路1から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁13から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン10(具体的にはガソリンエンジン)と、このエンジン10内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路25と、エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ31〜38と、エンジンシステム100全体を制御するPCM50とを有する。
吸気通路1には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気の量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ5と、エンジン10に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク7と、が設けられている。
エンジン10は、主に、吸気通路1から供給された吸気を燃焼室11内に導入する吸気バルブ12と、燃焼室11に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁13と、燃焼室11内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ14と、燃焼室11内での混合気の燃焼により往復運動するピストン15と、ピストン15の往復運動により回転されるクランクシャフト16と、燃焼室11内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路25へ排出する排気バルブ17と、を有する。
また、エンジン10は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のそれぞれの動作タイミング(バルブの位相に相当する)を、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)としての可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19によって可変に構成されている。可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19としては、公知の種々の形式を適用可能であるが、例えば電磁式又は油圧式に構成された機構を用いて、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを変化させることができる。
排気通路25には、主に、NOx触媒や三元触媒や酸化触媒などを含む排気ガスの浄化機能を有する排気浄化触媒26a、26bが設けられている。
また、エンジンシステム100には、当該エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ31〜38が設けられている。これらセンサ31〜38は、具体的には以下の通りである。エアフローセンサ31は、吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。スロットル開度センサ32は、スロットルバルブ5の開度であるスロットル開度を検出する。圧力センサ33は、エンジン10に供給される吸気の圧力に相当するインマニ圧(インテークマニホールドの圧力)を検出する。クランク角センサ34は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。水温センサ35は、エンジン10を冷却する冷却水の温度である水温を検出する。温度センサ36は、エンジン10の気筒内の温度である筒内温度を検出する。カム角センサ37、38は、それぞれ、吸気バルブ12及び排気バルブ17の閉弁時期を含む動作タイミングを検出する。
次に、図3を参照して、上記した車両に適用される油圧式のブレーキシステムについて説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用された車両におけるブレーキシステムの概略構成図である。
図3に示すように、ブレーキシステム200は、ブレーキペダル102(図1も参照)の操作に応じた動作を行う。このブレーキペダル102には、入力ロッド124を介してマスターバック126が連結されている。マスターバック126は、中空円筒状のハウジング128を備え、ハウジング128の内部空間は、内部圧力が負圧に保持される安定室132と、ブレーキペダル102の操作に応じて負圧が供給され又は大気が導入されることにより内部圧力が変化する変圧室134とに、ダイアフラム130によって区画されている。また、ダイアフラム130には、入力ロッド124及び出力ロッド136が連結されている。
なお、「負圧」とは、大気圧よりも圧力が低い状態をいう。さらに、「負圧が高い」とは「圧力が低い」ことを意味し、「負圧が低い」とは「圧力が高い」ことを意味する。
マスターバック126の安定室132には、チェックバルブ138を介してバキュームポンプ140が接続されている。このバキュームポンプ140は、所定の制御装置(例えばPCM50など)によって車両の状態に応じて制御され、安定室132の負圧を上昇させる。さらに、安定室132には、当該安定室132の負圧(マスターバック負圧)を検出する負圧センサ142が接続されている。
さらに、マスターバック126には、出力ロッド136を介してマスターシリンダ144が連結される。マスターシリンダ144には、当該マスターシリンダ144内に発生したブレーキ液圧(制動油圧)を伝達するための配管146が接続されており、配管146には、ABS(アンチロックブレーキシステム)ハイドロリックユニット148が接続されている。このABSハイドロリックユニット148は、車輪112がロックした場合に(換言すると車輪112がスリップした場合)、この車輪112のロックを解消すべく、ブレーキ液圧を強制的に低下させる動作と、その後にブレーキ液圧を再度上昇させる動作とを短時間で繰り返すように動作する。そして、ABSハイドロリックユニット148には、配管150を介してホイールシリンダ152が接続され、ABSハイドロリックユニット148で調整されたブレーキ液圧がホイールシリンダ152に供給されるようになっている。また、マスターシリンダ144とABSハイドロリックユニット148の間の配管146には、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ154が接続されている。
なお、上記では、バキュームポンプ140を用いて、マスターバック126の安定室132内に負圧を作り出す構成を示したが、バキュームポンプ140を用いずに、エンジン10の吸気による負圧を用いて、マスターバック126の安定室132内に負圧を作り出してもよい。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成について説明する。図4は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置(PCM50)の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態では、エンジンの制御装置としてのPCM50は、主に、車速を検出する車速センサ61と、大気圧を検出する大気圧センサ62と、アクセルペダル104の開度であるアクセル開度(アクセルペダル104の踏み込み量に相当する)を検出するアクセル開度センサ64と、ブレーキペダル102の操作/解除に応じてオン/オフするブレーキスイッチ66と、クラッチペダル106の操作/解除に応じてオン/オフするクラッチスイッチ68と、マスターバック負圧を検出する負圧センサ142(図3参照)と、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ154(図3参照)と、クランクシャフト16におけるクランク角を検出するクランク角センサ34(図2参照)と、のそれぞれから検出信号が入力される。
そして、PCM50は、これらの検出信号に基づいてエンジン10に対する制御を行う。具体的には、PCM50は、スロットルバルブ5の開閉時期や開度を制御したり、燃料噴射弁13の燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御したり、点火プラグ14の点火時期を制御したり、可変吸気バルブ機構18及び可変排気バルブ機構19により吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを制御したりする。特に、本実施形態では、PCM50は、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれた場合に、ドライバによるアクセルペダル104の操作に応じたエンジン出力を適用せずに、エンジン出力を強制的に低下させる制御(BOS制御)を実行する。
これらのPCM50の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
なお、詳細は後述するが、PCM50は、本発明における「ブレーキ液圧取得手段」、「要否判定手段」及び「エンジン制御手段」として機能する。
<エンジン制御処理>
次に、図5を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が実行するエンジン制御処理について説明する。図5は、本発明の実施形態によるエンジン制御処理を示すフローチャートである。このフローは、車両のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置(PCM50)に電源が投入された場合に起動され、所定の周期で繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、ステップS101において、PCM50は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM50は、アクセル開度センサ64によって検出されたアクセル開度や、車速センサ61によって検出された車速や、クランク角センサ34によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数や、車両の変速機108に現在設定されているギヤ段などを取得する。また、PCM50は、BOS制御の実行要否を示すBOS制御実行フラグも読み込む。このBOS制御実行フラグは、後述する図8に示す処理(BOS制御実行フラグ設定処理)により設定されるものであり、BOS制御を実行する必要があると判断された場合に「1」に設定され、BOS制御を実行する必要はないと判断された場合に「0」に設定される。
次いで、ステップS102では、PCM50は、ステップS101で取得されたBOS制御実行フラグが「1」であるか否かを判定する。その結果、BOS制御実行フラグが「1」である場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に進み、PCM50は、BOS制御を実行しているときにエンジン制御に用いるアクセル開度を変化させるために適用するゲイン(以下では「アクセル変化ゲイン」と呼ぶ。)を決定するアクセル変化ゲイン決定処理を実行する。本実施形態では、BOS制御を実行する場合、アクセル開度センサ64によって検出された実際のアクセル開度ではなく、予め定めた所定のゲインに従った変化率により変化させたアクセル開度(以下では適宜「制御アクセル開度」と呼ぶ。)を用いてエンジン10を制御するようにしている。なお、ステップS103のアクセル変化ゲイン決定処理の詳細については、図6を参照して後述する。
次いで、ステップS104では、PCM50は、ステップS103のアクセル変化ゲイン決定処理において決定されたアクセル変化ゲインに従って制御アクセル開度を変化(低下又は上昇)させる。PCM50は、こうして設定した制御アクセル開度を後の処理において用いるようにする。そして、処理はステップS105に進む。
他方で、ステップS101で取得されたBOS制御実行フラグが「1」でない場合(ステップS102:No)、つまりBOS制御実行フラグが「0」である場合には、PCM50は、上記したステップS103及びS104の処理を行わずに、ステップS105に進む。この場合には、BOS制御を実行しないため、PCM50は、アクセル変化ゲインに応じた制御アクセル開度ではなく、アクセル開度センサ64によって検出された実際のアクセル開度をそのまま用いてエンジン10を制御するようにする。
次いで、ステップS105では、PCM50は、ステップS101において取得された車両の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、PCM50は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して、アクセル開度センサ64によって検出された実際のアクセル開度又はステップS104で設定された制御アクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次いで、ステップS106では、PCM50は、ステップS105で決定した目標加速度を実現するためのエンジン10の目標トルクを決定する。この場合、PCM50は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン10が出力可能なトルクの範囲内で目標トルクを決定する。
次いで、ステップS107では、PCM50は、ステップS101で取得した現在のエンジン回転数及びステップS106で決定した目標トルクを含むエンジン10の運転状態に応じて、点火プラグ14による目標点火時期を設定する。具体的には、PCM50は、目標トルクにフリクションロスやポンピングロスによる損失トルクを加味した目標図示トルクを算出し、種々の充填効率及び種々のエンジン回転数について点火時期と図示トルクとの関係を規定した点火進角マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在のエンジン回転数に対応し且つMBT近傍で目標図示トルクが得られる点火進角マップを選択し、選択した点火進角マップを参照して、目標図示トルクに対応する目標点火時期を設定する。なお、PCM50は、ノッキングが生じている場合には、このように設定した目標点火時期を遅角側に補正するのがよい。
次いで、ステップS108では、PCM50は、ステップS106で決定した目標トルクをエンジン10に出力させるための目標充填効率を設定する。具体的には、PCM50は、上記した目標図示トルクを出力するために必要な要求平均有効圧力を求めると共に、この要求平均有効圧力に相当する熱量(要求熱量)を求め、上記した目標点火時期に設定された条件での熱効率(基準熱効率)と、エンジン10の実際の運転条件による熱効率(実熱効率)との大小関係に応じて、基準熱効率及び実熱効率のいずれかと要求熱量とに基づき目標充填効率を求める。なお、PCM50は、要求平均有効圧力などに応じて、こうして求めた目標充填効率を適宜制限してもよい。
次いで、ステップS109では、PCM50は、ステップS108で設定した目標充填効率に相当する空気がエンジン10に導入されるように、エアフローセンサ31が検出した空気量を考慮して、スロットルバルブ5の開度と、可変吸気バルブ機構18を介した吸気バルブ12の開閉時期とを決定する。
次に、ステップS110では、PCM50は、ステップS109で決定したスロットル開度及び吸気バルブ12の開閉時期に基づき、スロットルバルブ5及び可変吸気バルブ機構18を制御するとともに、エンジン10の運転状態等に応じて決定された目標当量比と、エアフローセンサ31により検出された空気量等に基づき推定した実空気量とに基づき、燃料噴射弁13を制御する。
また、ステップS109〜S110の処理と並行して、ステップS111において、PCM50は、ステップS107で設定した目標点火時期にて点火が行われるように、点火プラグ14を制御する。
次に、図6及び図7を参照して、図5のステップS103で実行されるアクセル変化ゲイン決定処理について説明する。図6は、本発明の実施形態によるアクセル変化ゲイン決定処理を示すフローチャートであり、図7は、本発明の実施形態において適用するアクセル変化ゲインを示すテーブルの模式図である。なお、図7では、アクセル変化ゲインの大小関係を示しており、実際にはアクセル変化ゲインは所定の数値で表される。例えば、アクセル変化ゲインに対応する数値を、アクセル開度センサ64によって検出されたアクセル開度(実アクセル開度)に対して乗算することで、上述した制御アクセル開度が求められるようになっている(図5のステップS104参照)。
アクセル変化ゲイン決定処理が開始されると、ステップS201において、PCM50は、BOS制御が現在実行されているか否かを判定する。つまり、PCM50は、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれたために、エンジン出力を強制的に低下させるBOS制御が実行されているか否かを判定する。
なお、BOS制御は、BOS制御実行フラグが「1」である場合に実行されるが、基本的には、このBOS制御実行フラグはアクセル開度が所定値以下となったときに「1」から「0」に切り替えられ、このときにBOS制御が終了する。したがって、BOS制御が一旦実行されると、ブレーキペダル102が踏み込まれていなくても、アクセル開度が所定値よりも大きければ、BOS制御が継続される(BOS制御実行フラグが「1」に維持される)。
ステップS201の判定の結果、BOS制御が現在実行されていると判定された場合(ステップS201:Yes)、処理はステップS202に進み、BOS制御が現在実行されていないと判定された場合(ステップS201:No)、処理は終了する。
ステップS202では、PCM50は、ブレーキスイッチ66及びアクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、ブレーキスイッチ66がオンで且つアクセル開度が開き側に変化していないか(換言するとアクセル開度が踏み込み側に変化していないか)否かを判定する。ここでいう「アクセル開度が開き側に変化していない」場合には、アクセル開度が閉じ側に変化している場合だけでなく、アクセル開度が変化していない場合も含む。
ステップS202の判定の結果、ブレーキスイッチ66がオンで且つアクセル開度が開き側に変化していないと判定された場合(ステップS202:Yes)、ステップS203に進み、PCM50は、ドライバによるヒールアンドトゥ操作についての判定結果を示すH&T判定フラグが「1」であるか否かを判定する。このH&T判定フラグは、後述する図12及び図13に示す処理(H&T判定フラグ設定処理)により設定されるものであり、ヒールアンドトゥ操作が実行されていると判定された場合に「1」に設定され、ヒールアンドトゥ操作が実行されていないと判定された場合に「0」に設定される。
なお、ヒールアンドトゥ操作は、ブレーキペダル102、アクセルペダル104及びクラッチペダル106を同時に踏み込んで行う操作である。基本的には、ヒールアンドトゥ操作は、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106を踏み込んだ状態で、アクセルペダル104を踏み込む操作に相当する。典型的には、MT車においてシフトダウンするときに、右足でブレーキペダル102を踏み込んで減速させながら、左足でクラッチペダル106を踏み込んでクラッチを切り、これらのペダルを踏んだまま(特に右足においてはつま先でブレーキペダル102を踏み込む)、右足のかかとでアクセルペダル104を踏み込んでエンジン回転数を変速と同調させる操作である。この場合、ブレーキペダル102を踏み込んで車両を減速させている間に、(1)クラッチペダル106を踏み込んでクラッチを切り、(2)アクセルペダル104を踏み込んで、変速するギヤ段の車速に対応したエンジン回転数に合わせ、(3)シフトレバーを操作して所望のギヤ段に変速し、(4)クラッチペダル106を踏み戻してクラッチを繋ぐ、といった手順で操作が行われる。
上記したステップS203の判定の結果、H&T判定フラグが「1」であると判定された場合(ステップS203:Yes)、ステップS204に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンAに設定し、これに対して、H&T判定フラグが「1」でないと判定された場合(ステップS203:No)、つまりH&T判定フラグが「0」である場合、ステップS205に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンBに設定する(図7参照)。
パターンBは、通常のBOS制御中(具体的にはBOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われていない場合)に適用されるアクセル変化ゲインであり、制御アクセル開度を比較的小さな変化率(緩やかな傾き)にて低下させるように規定されている。このパターンBは、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれた場合の安全性を確保すべくエンジン出力を制限する場合に、急激なエンジン出力の変化によるショックを抑制する観点から、比較的緩やかな傾きにて制御アクセル開度を低下させるように規定されている。
一方で、パターンAは、BOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われた場合に適用されるアクセル変化ゲインであり、比較的大きな変化率(急な傾き)にて、具体的にはパターンBよりも大きな変化率にて、制御アクセル開度を低下させるように規定されている。このようにパターンAのアクセル変化ゲインを規定しているのは、BOS制御によるエンジン出力の制限よりも、ドライバによるヒールアンドトゥ操作の意思を優先する観点から、ドライバによる閉じ側へのアクセル操作に応じて制御アクセル開度を速やかに低下させることで、ヒールアンドトゥ操作によるエンジン回転数の調整(具体的にはエンジン回転数を低下させること)を速やかに実現するためである。
他方で、ステップS202の判定の結果、ブレーキスイッチ66がオンで且つアクセル開度が開き側に変化していないと判定されなかった場合(ステップS202:No)、つまり、ブレーキスイッチ66がオフである場合及び/又はアクセル開度が開き側に変化している場合(換言するとアクセル開度が踏み込み側に変化している場合)、ステップS206に進む。ステップS206では、PCM50は、変速機108が所定の変速段にギヤインされた状態であるか否かを判定する。
ステップS206の判定の結果、ギヤイン状態であると判定された場合(S206:Yes)、つまりエンジントルクが変速機108を介して伝達される状態である場合、ステップS207に進む。この場合には、クラッチペダル106が踏み込まれていないため、ヒールアンドトゥ操作は行われていないと言える。ステップS207では、PCM50は、アクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、アクセル変化速度が所定値以上であるか否かを判定する、つまりアクセルペダル104が踏み込まれたときのアクセル開度の変化速度が所定値以上であるか否かを判定する。
ステップS207の判定の結果、アクセル変化速度が所定値以上であると判定された場合(ステップS207:Yes)、ステップS208に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンCに設定し、これに対して、アクセル変化速度が所定値以上であると判定されなかった場合(ステップS207:No)、つまりアクセル変化速度が所定値未満である場合、ステップS209に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンDに設定する(図7参照)。パターンC、Dは両方とも、通常のBOS制御中(具体的にはBOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われていない場合)に適用されるアクセル変化ゲインであり、制御アクセル開度を上昇させるように規定されている。具体的には、パターンCは、ドライバによるアクセルペダル104の踏み込み操作を優先させる観点から、パターンDよりも大きな変化率にて制御アクセル開度を上昇させるように規定されている。
他方で、ステップS206の判定の結果、ギヤイン状態であると判定されなかった場合(S206:No)、つまり変速機108がニュートラル状態(ニュートラルポジション)に設定されている場合、ステップS210に進む。ステップS210では、PCM50は、H&T判定フラグが「1」であるか否かを判定する。
ステップS210の判定の結果、H&T判定フラグが「1」であると判定された場合(ステップS210:Yes)、ステップS211に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンEに設定し、これに対して、H&T判定フラグが「1」でないと判定された場合(ステップS210:No)、つまりH&T判定フラグが「0」である場合、ステップS212に進み、PCM50は、アクセル変化ゲインをパターンFに設定する(図7参照)。
パターンFは、通常のBOS制御中(具体的にはBOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われていない場合)に適用されるアクセル変化ゲインであり、制御アクセル開度を比較的小さな変化率(緩やかな傾き)にて上昇させるように規定されている。このパターンFは、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれた場合の安全性を確保すべくエンジン出力を制限する場合に、急激なエンジン出力の変化によるショックを抑制する観点から、比較的緩やかな傾きにて制御アクセル開度を上昇させるように規定されている。
一方で、パターンEは、BOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われた場合に適用されるアクセル変化ゲインであり、比較的大きな変化率(急な傾き)にて、具体的にはパターンF及び上記したパターンCよりも大きな変化率にて、制御アクセル開度を上昇させるように規定されている。このようにパターンEのアクセル変化ゲインを規定しているのは、BOS制御によるエンジン出力の制限よりも、ドライバによるヒールアンドトゥ操作の意思を優先する観点から、ドライバによる開き側へのアクセル操作に応じて制御アクセル開度を速やかに上昇させることで、ヒールアンドトゥ操作によるエンジン回転数の調整(具体的にはエンジン回転数を上昇させること)を速やかに実現するためである。
なお、パターンEは、上記したパターンAと同様に、BOS制御中にヒールアンドトゥ操作が行われた場合に適用されるものであるが、好ましくは、パターンEにおける制御アクセル開度の変化率の大きさ(絶対値)を、パターンAにおける制御アクセル開度の変化率の大きさ(絶対値)よりも大きくするのがよい。こうするのは、パターンEを用いてエンジン回転数を上昇させるときの変化率を、パターンAを用いてエンジン回転数を低下させるときの変化率よりも大きくするためである。
<BOS制御実行フラグ設定処理>
次に、図8を参照して、上述したBOS制御実行フラグ設定処理について説明する。図8は、本発明の実施形態によるBOS制御実行フラグ設定処理を示すフローチャートである。このBOS制御実行フラグ設定処理は、図5に示したエンジン制御処理と並行して実行される。また、BOS制御実行フラグ設定処理は、基本的には、BOS制御実行フラグが「0」である状態から実行されるものとする。
BOS制御実行フラグ設定処理が開始される、ステップS301において、PCM50は、各種の車両運転状態を取得する。特に、PCM50は、ブレーキスイッチ66のオン/オフと、車速センサ61によって検出された車速と、クランク角センサ34によって検出されたクランク角に対応するエンジン回転数と、アクセル開度センサ64によって検出されたアクセル開度と、負圧センサ142によって検出されたマスターバック負圧と、ブレーキ液圧センサ154によって検出されたブレーキ液圧と、を取得する。
次いで、ステップS302では、PCM50は、ブレーキスイッチ66がオンで且つアクセル開度が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれているか否かを判定する。加えて、ステップS302では、PCM50は、エンジン回転数が所定値(例えば1000rpm)以上で且つ車速が所定値(例えば10km/h)以上であるか否かも同時に判定する。ステップS302の判定の結果、ブレーキスイッチ66がオンであること、アクセル開度が所定値以上であること、エンジン回転数が所定値以上であること、及び、車速が所定値以上であることの全ての条件が成立した場合(ステップS302:Yes)、ステップS303に進む。一方で、これらの条件のうちの1つでも成立しない場合(ステップS302:No)、ステップS314に進み、PCM50は、BOS制御を実行する必要がないと判断して、BOS制御実行フラグを「0」に設定する。
ステップS303では、PCM50は、マスターバック負圧及びブレーキ液圧に基づき、ドライバによりブレーキペダル102に付与されたブレーキ踏力を求める。本実施形態では、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれている場合にBOS制御を実行するに当たってドライバによる制動意思を適切に考慮に入れるべく、ブレーキ液圧などではなく、ドライバによる制動意思を反映したブレーキ踏力に基づき、BOS制御の実行要否を判断するようにしている。
ここで、図9を参照して、本発明の実施形態において、マスターバック負圧及びブレーキ液圧に基づきブレーキ踏力を求める方法について具体的に説明する。図9は、マスターバック負圧とブレーキ液圧とブレーキ踏力との関係を示している。具体的には、横軸にブレーキ踏力を示し、縦軸にブレーキ液圧を示しており、種々のマスターバック負圧についてブレーキ踏力とブレーキ液圧との関係を示している。このようなマスターバック負圧とブレーキ液圧とブレーキ踏力との関係は、例えば実験やシミュレーションなどにより得られる。
図9より、マスターバック負圧が大きくなるほど、ブレーキ踏力が小さくなり、ブレーキ液圧が大きくなるほど、ブレーキ踏力が大きくなる、という傾向が見て取れる。より具体的には、同一のブレーキ液圧においてマスターバック負圧が大きいほど、ブレーキ踏力が小さくなるという傾向、換言すると、同一のブレーキ液圧においてマスターバック負圧が小さいほど、ブレーキ踏力が大きくなるという傾向が見て取れる。また、同一のマスターバック負圧においてブレーキ液圧が大きいほど、ブレーキ踏力が大きくなるという傾向が見て取れる。
図8に戻って、ステップS303の処理についての説明を再開する。本実施形態では、図9に示したようなマスターバック負圧とブレーキ液圧とブレーキ踏力との関係(例えば複数のマスターバック負圧についてブレーキ液圧とブレーキ踏力との関係を定めたマップなど)を事前に求めておき、PCM50は、ステップS303において、そのように事前に求めておいた関係を参照して、負圧センサ142によって現在検出されたマスターバック負圧とブレーキ液圧センサ154によって現在検出されたブレーキ液圧に対応するブレーキ踏力を求める。
ここで、図9に示したマスターバック負圧とブレーキ液圧とブレーキ踏力との関係によれば、マスターバック負圧が所定以下であり、かつ、ブレーキ液圧がほぼ0である場合には、当該関係に基づきブレーキ踏力を適切に求めることができなくなる。そこで、PCM50は、マスターバック負圧が所定値以下であり、かつ、ブレーキ液圧がほぼ0である場合には、ステップS303においてブレーキ踏力P11を固定値として得るようにする。このマスターバック負圧が所定値以下となる場合とは、マスターバック126に負圧を作り出す経路などにおいて異常が発生した場合に相当し、例えば図9において最も下に位置するグラフのマスターバック負圧が得られる場合である。また、1つの例では、上記したブレーキ踏力P11には、制動がかかり始めるブレーキ液圧に応じた踏力(例えば20N)が適用される。他の例では、ブレーキ踏力P11には、BOS制御実行フラグの設定に当たってブレーキ踏力に対する判定に用いる判定閾値(1つの例では50N)以上の踏力が適用される。
次いで、ステップS304では、PCM50は、アクセルペダル104が踏み込まれた後にブレーキペダル102が踏み込まれたか否か、つまりアクセル操作後にブレーキ操作が行われたか否かを判定する。その結果、アクセル操作後にブレーキ操作が行われたと判定された場合(ステップS304:Yes)、ステップS305に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグの設定に当たってブレーキ踏力に対する判定に用いる判定閾値として、比較的小さい値X1を設定する。これに対して、アクセル操作後にブレーキ操作が行われたと判定されなかった場合(ステップS304:No)、つまりブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合、ステップS306に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグの設定に当たってブレーキ踏力に対する判定に用いる判定閾値として、上記した値X1よりも大きな値X2を設定する。例えば、判定閾値X1、X2には、図9に示すブレーキ踏力P12(1つの例では50N)付近の踏力が適用される。
このようにブレーキペダル102とアクセルペダル104の操作順に応じて、設定する判定閾値を異ならせる理由は、以下の通りである。アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合には、ブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合よりも、ドライバの制動意思が弱く、ブレーキ踏力が小さくなる傾向にある。換言すると、ブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合には、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合よりも、ドライバの制動意思が強く、ブレーキ踏力が大きくなる傾向にある。そのため、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合とブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合とで同じ値の判定閾値を用いると、ブレーキ踏力に基づきBOS制御の実行要否を適切に判定することができなくなる。例えば、ブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合に適した判定閾値を設定すると(比較的大きな判定閾値が設定されることとなる)、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合には、ブレーキ踏力がこの判定閾値よりも小さくなる傾向にあり、BOS制御を実行する必要がないと判断される可能性が高くなる、つまりBOS制御の実行頻度が低くなってしまう。一方で、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合に適した判定閾値を設定すると(比較的小さな判定閾値が設定されることとなる)、ブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合には、ブレーキ踏力がこの判定閾値よりも大きくなる傾向にあり、BOS制御を実行する必要があると判断される可能性が高くなる、つまりBOS制御の実行頻度が高くなってしまう。
したがって、本実施形態では、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合とブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合の両方について、ブレーキ踏力に基づきBOS制御の実行要否を適切に判定できるように、つまりドライバによる制動意図を適切に考慮してBOS制御の実行要否を判定できるように、ブレーキペダル102とアクセルペダル104の操作順に応じて、ブレーキ踏力に対する判定に用いる判定閾値を異ならせている。具体的には、アクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合にはブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合よりも判定閾値を小さくしている、換言すると、ブレーキ操作後にアクセル操作が行われた場合にはアクセル操作後にブレーキ操作が行われた場合よりも判定閾値を大きくしている。
次いで、ステップS307では、PCM50は、ステップS303で求められたブレーキ踏力が、ステップS305又はステップS306で設定された判定閾値(X1又はX2)以上であるか否かを判定する。その結果、ブレーキ踏力が判定閾値以上であると判定された場合(ステップS307:Yes)、ステップS308に進む。一方で、ブレーキ踏力が判定閾値以上であると判定されなかった場合(ステップS307:No)、つまりブレーキ踏力が判定閾値未満である場合、ステップS314に進み、PCM50は、BOS制御を実行する必要がないと判断して、BOS制御実行フラグを「0」に設定する。
ステップS308では、PCM50は、ドライバによるヒールアンドトゥ操作についての判定結果を示すH&T判定フラグが「0」であるか否かを判定する。上述したように、H&T判定フラグは、後述する図12及び図13に示す処理(H&T判定フラグ設定処理)により設定されるものであり、ヒールアンドトゥ操作が実行されていると判定された場合に「1」に設定され、ヒールアンドトゥ操作が実行されていないと判定された場合に「0」に設定される。
ステップS308の判定の結果、H&T判定フラグが「0」であると判定された場合(ステップS308:Yes)、ステップS309に進む。一方で、H&T判定フラグが「0」であると判定されなかった場合(ステップS308:No)、つまりH&T判定フラグが「1」である場合、ステップS314に進み、PCM50は、BOS制御(つまりエンジン出力を低下させる制御)よりも、ドライバによるヒールアンドトゥ操作に応じたエンジン制御を優先して実行すべく、BOS制御実行フラグを「0」に設定する。
ステップS309では、PCM50は、BOS制御を実行するまでの待機時間を設定する。本実施形態では、上述したステップS302、S307、S308の条件(以下ではこれらの条件をまとめて適宜「BOS制御実行条件」と呼ぶ。)が成立したら直ちにBOS制御実行フラグを「1」に設定するのではなく、BOS制御実行条件が成立してから、ドライバによる制動意図に応じた待機時間が経過したときにBOS制御実行フラグを「1」に設定している。
ここで、図10を参照して、本発明の実施形態において、BOS制御を実行するまでの待機時間を設定する方法について説明する。図10は、横軸にブレーキ液圧を示し、縦軸にBOS制御を実行するまでの待機時間を示しており、ブレーキ液圧に対して設定すべき待機時間を規定したマップを示している。図10に示すマップによれば、P21からP22までのブレーキ液圧では比較的長い待機時間T1(例えば10秒)が設定され、P22からP23までのブレーキ液圧ではT1よりも短い待機時間T2(例えば3秒)が設定され、P23を超えるブレーキ液圧ではT2よりも更に短い待機時間T3(例えば1秒以下)が設定される。また、ブレーキ液圧がP21未満である場合にはBOS制御が禁止されるようになっている。例えば、ブレーキ液圧P21には、ブレーキスイッチ66がオフからオンに切り替わるときのブレーキ踏力(1つの例では10N)に応じたブレーキ液圧が適用され、ブレーキ液圧P22には、制動がかかり始めるブレーキ踏力よりも大きなブレーキ踏力(1つの例では30N)に応じたブレーキ液圧が適用され、ブレーキ液圧P23には、上記したブレーキ踏力の判定閾値(1つの例では50N)に応じたブレーキ液圧が適用される。
このように、本実施形態では、ドライバによる制動意図を示すブレーキ液圧に応じて待機時間を設定している。具体的には、ドライバによる制動意図が強い場合には、BOS制御を速やかに実行すべく、待機時間を短く設定しており、ドライバによる制動意図が弱い場合には、ある程度の時間をおいてBOS制御を実行すべく、待機時間を長く設定している。
図8に戻って、ステップS309の処理についての説明を再開する。ステップS309では、PCM50は、図10に示したようなブレーキ液圧に対して待機時間が対応付けられたマップを参照して、ブレーキ液圧センサ154によって現在検出されたブレーキ液圧に対応する待機時間を設定する。この後、PCM50は、設定した待機時間をカウントダウンする。
なお、上記では、ブレーキ液圧に基づいて待機時間を設定する例を示したが、ブレーキ液圧の代わりにブレーキ踏力に基づいて待機時間を設定してもよい。具体的には、ブレーキ踏力に対して設定すべき待機時間を規定した、図10と同様のマップを用いて、ステップS303で求めたブレーキ踏力に応じた待機時間を設定すればよい。その場合、ブレーキ液圧P21、P22、P23に対応するブレーキ踏力を割り当てたマップを作成すればよい。例えば、ブレーキ液圧P23に対応するブレーキ踏力が「第1所定値」に相当し、待機時間T3が「第1待機時間」に相当し、待機時間T2が「第2待機時間」に相当する、若しくは、ブレーキ液圧P22に対応するブレーキ踏力が「第1所定値」に相当し、待機時間T2が「第1待機時間」に相当し、待機時間T3が「第2待機時間」に相当する。更に、ブレーキ液圧P21に対応するブレーキ踏力が「第2所定値」に相当する。このような変形例によれば、ドライバによる制動意図をより考慮に入れた待機時間を設定することができる。
次いで、ステップS310では、PCM50は、ステップS309で設定した待機時間をカウントダウンしている間に、BOS制御実行条件が成立しているか否かを再度判定する。その結果、BOS制御実行条件が成立していると判定された場合(ステップS310:Yes)、ステップS311に進む。一方で、BOS制御実行条件が成立していると判定されなかった場合(ステップS310:No)、ステップS314に進み、PCM50は、BOS制御を実行する必要がないと判断して、BOS制御実行フラグを「0」に設定する。
ステップS311では、PCM50は、待機時間が経過したか否かを判定する。その結果、待機時間が経過したと判定された場合(ステップS311:Yes)、ステップS312に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグを「1」に設定する。この後、図5に示したエンジン制御処理によりBOS制御が実行されることとなる。一方で、待機時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS311:No)、ステップS310に戻る。この場合には、PCM50は、待機時間が経過するまで、BOS制御実行条件が成立しているか否かの判定を繰り返す。
次いで、ステップS313では、PCM50は、アクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、アクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、アクセルペダル104が踏み戻されたか否かを判定する。その結果、アクセル開度が所定値以下であると判定された場合(ステップS313:Yes)、ステップS314に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグを「1」から「0」に切り替える。一方で、アクセル開度が所定値以下であると判定されなかった場合(ステップS313:No)、つまりアクセル開度が所定値よりも大きい場合、ステップS312に戻る。この場合には、PCM50は、アクセル開度が所定値以下になるまで、BOS制御実行フラグを「1」に維持する。
次に、図11を参照して、本発明の実施形態において、ABS作動中におけるBOS制御実行フラグの設定方法について説明する。図11は、本発明の実施形態において、ABS作動中に行われるBOS制御実行フラグ設定処理を示すフローチャートである。このBOS制御実行フラグ設定処理も、図5に示したエンジン制御処理と並行して実行され、また、基本的にはBOS制御実行フラグが「0」である状態から実行されるものとする。
まず、ステップS401では、PCM50は、各種の車両運転状態を取得する。特に、PCM50は、ブレーキスイッチ66のオン/オフと、アクセル開度センサ64によって検出されたアクセル開度と、ブレーキ液圧センサ154によって検出されたブレーキ液圧を取得する。また、PCM50は、ABSハイドロリックユニット148の作動状態も取得する。
次いで、ステップS402では、PCM50は、ステップS401での取得結果に基づき、ABSが作動中であるか否かを判定する、具体的にはABSハイドロリックユニット148が作動中であるか否かを判定する。その結果、ABSが作動中であると判定された場合(ステップS402:Yes)、ステップS403に進む。一方で、ABSが作動中であると判定されなかった場合(ステップS402:No)、通常のBOS制御実行フラグ設定処理を実行すべく、図11に示すフローを抜けて、図8のフローを実行する(具体的には図8のステップS301に進む)。
ステップS403では、PCM50は、ブレーキスイッチ66及び/又はブレーキ液圧センサ154の検出信号、並びにアクセル開度センサ64の検出信号に基づき、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が踏み込まれているか否かを判定する。その結果、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が踏み込まれていると判定された場合(ステップS403:Yes)、ステップS404に進む。一方で、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が踏み込まれていると判定されなかった場合(ステップS403:No)、ステップS408に進み、PCM50は、BOS制御を実行する必要がないと判断して、BOS制御実行フラグを「0」に設定する。この場合には、ABSのみが作動し、BOS制御は実行されない。
ステップS404では、PCM50は、BOS制御を実行するまでの待機時間を設定する。本実施形態では、上述したステップS402、S403の条件が成立したら直ちにBOS制御実行フラグを「1」に設定するのではなく、BOS制御の誤作動を防止する観点から、これらの条件が成立してから待機時間が経過したときにBOS制御実行フラグを「1」に設定している。好適な例では、事前に定めた固定の時間(例えば1秒)に対して、上記したようなブレーキ液圧又はブレーキ踏力に応じた待機時間(図10参照)を加算した時間を、ステップS404で用いる待機時間として設定する。
次いで、ステップS405では、PCM50は、待機時間が経過したか否かを判定する。その結果、待機時間が経過したと判定された場合(ステップS405:Yes)、ステップS406に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグを「1」に設定する。この後、図5に示したエンジン制御処理によりBOS制御が実行されることとなる。具体的には、ABSが作動した状態でBOS制御が実行されることとなる。一方で、待機時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS405:No)、ステップS405に戻る。この場合には、PCM50は、待機時間が経過するまで待機する。
このように、本実施形態では、ABSが作動している場合には、ABSが作動していない場合と異なり、ブレーキ踏力の大きさによらず(図8のステップS307参照)、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が踏み込まれているという条件が成立した場合にBOS制御を実行するようにしている。つまり、本実施形態では、ABS作動中には、ブレーキ踏力が判定閾値未満であっても(ブレーキ液圧が所定値未満であることと同義である)、BOS制御を実行するようにしている。これは、ABSが作動している場合には少なくともブレーキペダル102が踏み込まれているため、ドライバの減速意思が十分にあると判断して、BOS制御を実行するものである。
次いで、ステップS407では、PCM50は、アクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、アクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、アクセルペダル104が踏み戻されたか否かを判定する。例えば、ステップS407で用いる所定値には、図8のステップS313で用いた所定値と同一の値を適用すればよい。このような判定の結果、アクセル開度が所定値以下であると判定された場合(ステップS407:Yes)、ステップS408に進み、PCM50は、BOS制御実行フラグを「1」から「0」に切り替える。一方で、アクセル開度が所定値以下であると判定されなかった場合(ステップS407:No)、つまりアクセル開度が所定値よりも大きい場合、ステップS406に戻る。この場合には、PCM50は、アクセル開度が所定値以下になるまで、BOS制御実行フラグを「1」に維持する。
なお、上記のようにABS作動中にBOS制御を実行する場合(ABS作動後にBOS制御を実行する場合だけでなく、BOS制御中にABSが作動する場合も含む)には、ABSが作動している間はBOS制御を継続して実行するのがよい。例えば、アクセル開度が所定値以下になったとしても(ステップS407参照)、ABSが作動している場合には、BOS制御実行フラグを「1」に維持してBOS制御を継続してもよい。
<H&T判定フラグ設定処理>
次に、図12及び図13を参照して、上述したH&T判定フラグ設定処理について説明する。図12は、本発明の実施形態において、BOS制御が実行されていないときに行われるH&T判定フラグ設定処理を示すフローチャートであり、図13は、本発明の実施形態において、BOS制御が実行されているときに行われるH&T判定フラグ設定処理を示すフローチャートである。これらのH&T判定フラグ設定処理は、図5に示したエンジン制御処理及び図8に示したBOS制御実行フラグ設定処理と並行して実行される。また、これらのH&T判定フラグ設定処理は、基本的には、H&T判定フラグが「0」である状態から実行されるものとする。
図12に示すように、BOS制御が実行されていない場合(つまり通常時)において、H&T判定フラグ設定処理が開始されると、ステップS501において、PCM50は、ブレーキスイッチ66及びクラッチスイッチ68からの検出信号に基づき、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれているか否かを判定する。その結果、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれていると判定された場合(ステップS501:Yes)、ステップS502に進む。一方で、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれていると判定されなかった場合(ステップS501:No)、つまりブレーキペダル102及びクラッチペダル106の一方又は両方が踏み込まれていない場合、ステップS507に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が行われていないものと判断して、H&T判定フラグを「0」に設定する。
ステップS502では、PCM50は、アクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、アクセル開度がほぼ全閉状態から所定値以上踏み込まれたか否かを判定する。その結果、アクセル開度が所定値以上踏み込まれたと判定された場合(ステップS502:Yes)、ステップS503に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が行われたものと判断して、H&T判定フラグを「1」に設定する。一方で、アクセル開度が所定値以上踏み込まれたと判定されなかった場合(ステップS502:No)、ステップS507に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が行われていないものと判断して、H&T判定フラグを「0」に設定する。なお、ステップS502においてアクセル開度を判定するのに適用する所定値には、ドライバが通常ヒールアンドトゥ操作を行う場合にアクセルペダル104を踏み込むときのアクセル開度に応じて設定される。
ステップS504では、PCM50は、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替えるまでの待機時間を設定する。具体的には、PCM50は、一般的なドライバがヒールアンドトゥ操作に要する時間に応じた待機時間を設定する。1つの例では、PCM50は、固定時間(例えば1秒)を待機時間として設定する。他の例では、PCM50は、大気圧に応じた時間を待機時間として設定する。この例では、PCM50は、大気圧が低くなるほど、待機時間を長くする。こうするのは、大気圧が低くなるとエンジン10のレスポンスが遅くなるため、ドライバがヒールアンドトゥ操作を比較的長い時間実行する傾向にあるからである。このようにしてステップS504で待機時間を設定した後、PCM50は、設定した待機時間をカウントダウンする。
次いで、ステップS505では、PCM50は、ステップS504で設定した待機時間をカウントダウンしている間に、ブレーキスイッチ66、アクセル開度センサ64及びクラッチスイッチ68からの検出信号に基づき、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が継続して行われているか否かを判定する。したがって、アクセル開度を判定するのに適用する所定値は、例えば、ドライバによるヒールアンドトゥ操作が終了することが確実なアクセル開度に応じて設定され、原則、図8のステップS313でのBOS制御の終了判定に用いるアクセル開度の所定値よりも大きな値が適用される。ステップS505の判定の結果、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であると判定された場合(ステップS505:Yes)、ステップS506に進む。一方で、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であると判定されなかった場合(ステップS505:No)、つまり、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の少なくともいずれかが踏み戻された場合、及び/又はアクセル開度が所定値未満である場合、ステップS507に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が終了したものと判断して、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替える。
ステップS506では、PCM50は、待機時間が経過したか否かを判定する。その結果、待機時間が経過したと判定された場合(ステップS506:Yes)、ステップS507に進み、PCM50は、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替える。一方で、待機時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS506:No)、ステップS505に戻る。この場合には、PCM50は、待機時間が経過するまで、ステップS505の判定を繰り返す。
次に、図13に示すように、BOS制御が実行されている場合において、H&T判定フラグ設定処理が開始されると、ステップS601において、PCM50は、ブレーキスイッチ66及びクラッチスイッチ68からの検出信号に基づき、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれているか否かを判定する。その結果、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれていると判定された場合(ステップS601:Yes)、ステップS602に進む。一方で、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれていると判定されなかった場合(ステップS601:No)、つまりブレーキペダル102及びクラッチペダル106の一方又は両方が踏み込まれていない場合、ステップS608に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が行われていないものと判断して、H&T判定フラグを「0」に設定する。
ステップS602では、PCM50は、車速センサ61及びアクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、車速が所定値以上で且つアクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する。このステップS602では、アクセルペダル104が踏み込まれる前のアクセル開度を用いて判定が行われ、このアクセル開度を判定する所定値には、足がアクセルペダル104に引っ掛かった状態であるか否かを適切に判別可能なアクセル開度が適用される。
ステップS602の判定の結果、車速が所定値以上で且つアクセル開度が所定値以下であると判定された場合(ステップS602:Yes)、ステップS603に進む。一方で、車速が所定値以上で且つアクセル開度が所定値以下であると判定されなかった場合(ステップS602:No)、つまり、車速が所定値未満である場合、及び/又はアクセル開度が所定値よりも大きい場合、ステップS608に進み、H&T判定フラグを「0」に設定する。アクセル開度が所定値よりも大きい場合には、アクセルペダル104に足が引っ掛かった状態であり、ヒールアンドトゥ操作が行われる可能性は低いものと考えられるため、PCM50は、H&T判定フラグを「0」に設定する。
ステップS603では、PCM50は、アクセル開度センサ64からの検出信号に基づき、アクセル開度の変化率が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、アクセル開度がある程度の速度にて踏み込み側に変化したか否かを判定する。この場合、PCM50は、例えばクラッチペダル106が踏み込まれたときのアクセル開度を初期値として用いて、アクセル開度の変化率を求める。このように、アクセル開度の大きさではなく、アクセル開度の変化率を用いて判定を行っているのは、本実施形態では、足がアクセルペダル104に単に引っ掛かった状態でのアクセル開度の変化と、ドライバが意図的にヒールアンドトゥ操作を行ったときのアクセル開度の変化とを適切に判別するためである。そういった観点より、アクセル開度の変化率を判定するのに適用する所定値には、足がアクセルペダル104に単に引っ掛かった状態でのアクセル開度の変化と、ドライバが意図的にヒールアンドトゥ操作を行ったときのアクセル開度の変化とを適切に判別可能な値が適用される。
ステップS603の判定の結果、アクセル開度の変化率が所定値以上であると判定された場合(ステップS603:Yes)、ステップS604に進む。この場合には、アクセル開度がある程度の速度にて踏み込み側に変化しているので、ドライバが意図的にヒールアンドトゥ操作のためのアクセル操作を行ったものと考えられる。そのため、PCM50は、ステップS604において、H&T判定フラグを「1」に設定する。一方で、アクセル開度の変化率が所定値以上であると判定されなかった場合(ステップS603:No)、つまりアクセル開度の変化率が所定値未満である場合、ステップS608に進む。この場合には、アクセル開度がゆっくり変化しているので(若しくはアクセル開度が踏み戻し側に変化している)、ドライバが意図的にヒールアンドトゥ操作のためのアクセル操作を行ったものではなく、アクセルペダル104に足が引っ掛かった状態であると考えられる。そのため、PCM50は、ステップS608において、H&T判定フラグを「0」に設定する。
ステップS605では、PCM50は、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替えるまでの待機時間を設定する。具体的には、PCM50は、一般的なドライバがヒールアンドトゥ操作に要する時間に応じた待機時間を設定する。1つの例では、PCM50は、固定時間(例えば1秒)を待機時間として設定する。他の例では、PCM50は、大気圧に応じた時間を待機時間として設定する。この例では、PCM50は、大気圧が低くなるほど、待機時間を長くする。こうするのは、大気圧が低くなるとエンジン10のレスポンスが遅くなるため、ドライバがヒールアンドトゥ操作を比較的長い時間実行する傾向にあるからである。このようにしてステップS605で待機時間を設定した後、PCM50は、設定した待機時間をカウントダウンする。
次いで、ステップS606では、PCM50は、ステップS605で設定した待機時間をカウントダウンしている間に、ブレーキスイッチ66、アクセル開度センサ64及びクラッチスイッチ68からの検出信号に基づき、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であるか否かを判定する。つまり、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が継続して行われているか否かを判定する。
ここで、ステップS606においてアクセル開度の判定に用いる所定値(つまりBOS制御の実行時に用いるアクセル開度の判定値)には、図12のステップS505においてアクセル開度の判定に用いる所定値(つまりBOS制御の非実行時に用いるアクセル開度の判定値)と同様に、原則、図8のステップS313でのBOS制御の終了判定に用いるアクセル開度の所定値よりも大きな値が適用され、好ましくは、図12のステップS505においてアクセル開度の判定に用いる所定値よりも大きな値を適用するのがよい。こうすることで、BOS制御の実行時にヒールアンドトゥ操作に応じた制御を実行した場合において、アクセル開度が低下したときに、このヒールアンドトゥ操作に応じた制御を終了してBOS制御を速やかに復帰させることができるようになる。なお、ステップS606においてステップS603のようにアクセル開度の変化率を用いて判定を行うと、ドライバによる意図的なアクセル操作によりアクセル開度が比較的速く変化するため、H&T判定フラグが「1」から「0」に直ぐ切り替わってしまうので、ステップS606では、アクセル開度の変化率ではなく、アクセル開度の大きさを用いて判定を行っている。
ステップS606の判定の結果、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であると判定された場合(ステップS606:Yes)、ステップS607に進む。一方で、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の両方が踏み込まれ、且つアクセル開度が所定値以上であると判定されなかった場合(ステップS606:No)、つまり、ブレーキペダル102及びクラッチペダル106の少なくともいずれかが踏み戻された場合、及び/又はアクセル開度が所定値未満である場合、ステップS608に進み、PCM50は、ヒールアンドトゥ操作が終了したものと判断して、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替える。
ステップS607では、PCM50は、待機時間が経過したか否かを判定する。その結果、待機時間が経過したと判定された場合(ステップS607:Yes)、ステップS608に進み、PCM50は、H&T判定フラグを「1」から「0」に切り替える。一方で、待機時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS607:No)、ステップS606に戻る。この場合には、PCM50は、待機時間が経過するまで、ステップS606の判定を繰り返す。
<タイムチャート例>
次に、図14を参照して、上述した本発明の実施形態による制御を行った場合のタイムチャートの一例について説明する。図14は、上から順に、エンジン回転数、ブレーキスイッチ66のオン/オフ、クラッチスイッチ68のオン/オフ、アクセル開度、ブレーキ液圧、H&T判定フラグ、BOS制御実行フラグを示している。また、アクセル開度については、アクセル開度センサ64によって検出されたアクセル開度(実アクセル開度)を実線で示し、BOS制御において適用する制御アクセル開度を破線で示している。
まず、ブレーキスイッチ66がオフからオンに切り替わり、且つクラッチスイッチ68がオフからオンに切り替わり、尚且つ実アクセル開度が所定値以上になることで(矢印A11、A12、A13参照)、時刻t11において、ヒールアンドトゥ操作が行われていると判定されてH&T判定フラグが「0」から「1」に切り替えられる(矢印A14参照)。この場合、ブレーキペダル102及びアクセルペダル104の両方が同時に踏み込まれているが、H&T判定フラグが「1」に設定されるため、BOS制御実行フラグは「0」に維持される(矢印A15参照)。こうしているのは、BOS制御によるエンジン出力の制限よりも、ドライバによるヒールアンドトゥ操作を優先するためである。
次いで、時刻t12において、実アクセル開度が所定値以下になることで(矢印A16参照)、ヒールアンドトゥ操作が終了したと判定されてH&T判定フラグが「1」から「0」に切り替えられる(矢印A17参照)。この後、クラッチスイッチ68がオフの状態において、ブレーキスイッチ66がオフからオンに切り替わってブレーキ液圧が上昇し、且つ実アクセル開度が所定値以上になり(矢印A18、A19参照)、ブレーキ液圧の上昇に伴ってブレーキ踏力が判定閾値以上になることで、所定の待機時間が経過した時刻t13において、BOS制御実行フラグが「0」から「1」に切り替えられる(矢印A20参照)。これにより、BOS制御が開始されて、エンジン出力を低下させるべく、制御アクセル開度が所定のアクセル変化ゲインに従って0に向かって低下される(矢印A21参照)。この後、ブレーキスイッチ66がオフに切り替わると、制御アクセル開度が上昇され(矢印A22参照)、ブレーキスイッチ66がオンに切り替わると、制御アクセル開度が低下される(矢印A23参照)。
次いで、BOS制御の実行中に、ブレーキスイッチ66がオンで、且つクラッチスイッチ68がオンの状態で(矢印A24参照)、実アクセル開度の変化率が所定値以上になることで(矢印A25参照)、時刻t14において、H&T判定フラグが「0」から「1」に切り替えられる(矢印A26参照)。この場合、BOS制御の実行中にH&T判定フラグが「1」に切り替えられるので、BOS制御実行フラグは「1」に維持される(矢印A27参照)。このようにしてH&T判定フラグが「1」に設定されると、BOS制御によるエンジン出力の制限よりも、ドライバによるヒールアンドトゥ操作の意思を優先する観点から、ドライバによるアクセル操作に対応する実アクセル開度に応じて、制御アクセル開度が所定のアクセル変化ゲインに従って上昇及び低下される(矢印A28、A29参照)。そして、時刻t15において、実アクセル開度が所定値未満になることで、H&T判定フラグが「1」から「0」に切り替えられる(矢印A30参照)。
この後も、BOS制御実行フラグが「1」に設定されている間は、H&T判定フラグが「1」に設定されない限り、実アクセル開度が変化しても、制御アクセル開度は実アクセル開度に応じて変化されない(矢印A31参照)、そして、時刻t16において、実アクセル開度が所定値以下になることで(矢印A32参照)、BOS制御実行フラグが「1」から「0」に切り替えられる(矢印A33参照)。これにより、BOS制御が終了される。
<作用効果>
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、アクセルペダル104及びブレーキペダル102の両方が同時に踏み込まれた場合において、ABSが作動している場合には、ブレーキ液圧が所定値未満であっても(ブレーキ踏力が判定閾値未満であることに相当する)、BOS制御を実行するので、ABS作動中にBOS制御を適切に実行することができる。これにより、ABSによるブレーキ液圧の低下によってBOS制御が停止(解除)してしまうことを抑制することができる、つまりABSによるブレーキ液圧の変動によらずにBOS制御を継続して実行することができる。したがって、BOS制御によって所望のエンジン出力にまで速やかに低下させることができ、アクセルペダル104及びブレーキペダル102の両方が同時に踏み込まれた場合の安全性を十分に確保することが可能となる。
また、本実施形態によれば、アクセルペダル104及びブレーキペダル102の両方が同時に踏み込まれ、且つ、ABSが作動中であると判定されてから、所定の待機時間が経過してからBOS制御を開始するので、BOS制御の誤作動を抑制することができる。また、本実施形態では、ブレーキ液圧(一義的にブレーキ踏力)に基づき待機時間を設定するので、ドライバによるブレーキペダル102の操作に応じた適切な待機時間を設定することができ、ドライバによる制動意思を考慮してBOS制御を開始させることができる。特に、本実施形態では、ブレーキ液圧が大きいほど待機時間を短くするので、ドライバによる制動意思が強い場合に、BOS制御を速やかに開始させることができる。また、ブレーキ液圧が小さいほど待機時間を長くするので、ドライバによる制動意思が弱い場合に、BOS制御が即座に開始されることを抑制し、ある程度の時間をおいてBOS制御を開始させることができる。
また、本実施形態によれば、ABS作動中にBOS制御を実行する場合に、ABSが作動している間はBOS制御を継続して実行するので、ABSによるブレーキ液圧の変動によってBOS制御が停止(解除)と再実行とを繰り返すことを効果的に抑制し、BOS制御を継続して実行して所望のエンジン出力にまで確実に低下させることができる。
また、本実施形態によれば、アクセル開度に基づきエンジントルクを制御するので、エンジントルクに対する制御性が高い。特に、本実施形態では、BOS制御を実行する場合に、目標トルクを設定するために適用する制御アクセル開度を低下させることで、当該目標トルクを低下させてエンジン出力を低下させるので、BOS制御の制御性を向上させることができる。
<変形例>
上記した実施形態では、負圧センサ142によってマスターバック負圧を検出していたが、マスターバック負圧を検出することに限定はされない。他の例では、大気圧センサ62によって検出された大気圧に基づいて、マスターバック負圧を推定してもよい。この場合、大気圧から所定圧力を減算した値を(詳しくは減算により得られた値を負値にする)、マスターバック負圧として推定すればよい。この所定圧力は、事前に実験やシミュレーションなどを行うことで求めればよい。このようなマスターバック負圧を推定する構成は、負圧センサ142を有しないブレーキシステムや、負圧センサ142の異常時(例えば故障時)に適用するのがよい。
また、上記した実施形態では、負圧センサ142によってマスターバック負圧を検出していたが、マスターバック圧力を検出する圧力センサを設け、圧力センサによって検出された圧力と、大気圧センサ62によって検出された大気圧に基づいて、マスターバックの負圧を算出してもよい。
上記した実施形態では、手動変速機としての変速機108を備えるマニュアルトランスミッション車両(MT車)に本発明を適用する構成を示したが、本発明は、自動変速機を備えるオートマチックトランスミッション車両(AT車)にも適用可能である。
上記した実施形態では、本発明をガソリンエンジンとしてのエンジン10に適用する構成を示したが、本発明は、ガソリンエンジンへの適用に限定されず、ディーゼルエンジンにも同様に適用することができる。
10 エンジン
13 燃料噴射弁
14 点火プラグ
50 PCM
64 アクセル開度センサ
66 ブレーキスイッチ
68 クラッチスイッチ
100 エンジンシステム
102 ブレーキペダル
104 アクセルペダル
106 クラッチペダル
126 マスターバック
142 負圧センサ
144 マスターシリンダ
154 ブレーキ液圧センサ
200 ブレーキシステム

Claims (5)

  1. アクセルペダル及びブレーキペダルの操作に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置において、
    油圧式のブレーキシステムにおいて発生した制動油圧としてのブレーキ液圧を取得するブレーキ液圧取得手段と、
    アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合において、上記ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が所定値以上である場合にはエンジン出力を低下させる必要があると判定してエンジン出力を低下させる出力低下制御を実行する一方で、上記ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が上記所定値未満である場合にはエンジン出力を低下させる必要はないと判定して上記出力低下制御を実行しないようにするエンジン制御手段と、
    を有し、
    上記エンジン制御手段は、
    アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれた場合において、車輪のロック状態を抑制するようにブレーキ液圧を制御するアンチロックブレーキシステムが作動している場合には、上記ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が上記所定値未満であっても、エンジン出力を低下させる必要があると判定して上記出力低下制御を実行し
    アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、上記アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定して上記出力低下制御を実行した場合には、このアンチロックブレーキシステムが停止した後も、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれている間は、上記ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が上記所定値未満であっても、上記出力低下制御を継続して実行する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記エンジン制御手段は、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、上記アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定た場合に、この判定時点から所定時間経過後に上記出力低下制御を開始する、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 上記所定時間は、上記ブレーキ液圧取得手段により取得されたブレーキ液圧が大きいほど、短い時間に設定される、請求項2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 上記エンジン制御手段は、アクセルペダル及びブレーキペダルの両方が同時に踏み込まれ、且つ、上記アンチロックブレーキシステムが作動した結果、エンジン出力を低下させる必要があると判定して、上記出力低下制御を実行した場合に、上記アンチロックブレーキシステムが作動している間、この出力低下制御を継続して実行する、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記エンジン制御手段は、
    アクセルペダルの開度であるアクセル開度に基づいて目標トルクを設定し、この目標トルクが実現されるようにエンジントルクを制御し、
    上記出力低下制御を実行する場合には、上記目標トルクを設定するために適用する上記アクセル開度を低下させることで、当該目標トルクを低下させてエンジン出力を低下させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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