JP6358822B2 - 多孔材、接合体、複合体及びそれらの製造方法 - Google Patents

多孔材、接合体、複合体及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔材、接合体、複合体及びそれらの製造方法に関する。
従来、多孔材について、種々の提案がなされている(特許文献1〜3参照)。例えば、特許文献1では、平均粒径が0.05〜5μm、粒度分布が1桁巾以内である真球状の二酸化珪素粉末及び平均粒径が0.05〜5μm、粒度分布が1桁巾以内である真球状の酸化アルミニウム粉末のうちの少なくとも一種が焼結されて形成され、空隙率90%以上で連続気孔を有する多孔質セラミックス焼結体が提案されている。また、特許文献2では、三次元連通気孔を有する多孔質基体の骨格表面に無機質被膜を形成する手法により製造される多孔体を圧力10MPa以上の等方性圧力媒体中で加熱することを特徴とする多孔体の製造方法が提案されている。また、特許文献3では、セラミック板と導電性金属板が銅微粒子から形成された多孔質状の接合相を介して接合されたセラミック接合体が提案されている。
特開平7−48185号公報 特開平5−330941号公報 特開2013−40055号公報
しかしながら、特許文献1のものでは、二酸化珪素粉末を用いる場合には1300℃、酸化アルミニウム粉末を用いる場合には1800℃といった、高温での焼成が必要であった。また、特許文献2のものでは、Si34系の多孔体を得る場合には1850℃、SiC系の多孔体を得るためには2000℃といった、高温での焼成が必要であった。また、特許文献3のものでは、多孔質状の接合相は300℃といった低温での焼成で得られるが、金属粒子の焼結体であるため、大気中での高温安定性に乏しいことがあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、新規な多孔材を提供することを主目的とする。
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、大気中で金属粉末をその金属粉末の融点よりも高い温度で焼成すると、多孔材となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の多孔材は、
三次元的に連続した気孔を形成する金属酸化物の壁部、
を備え、断面視したときに前記壁部が前記気孔を囲って円形状、楕円形状、扁平形状からなる群より選ばれる1以上の形状の領域を形成している、ものである。
本発明の接合体は、
第1部材と、
第2部材と、
上述した多孔材で構成され、前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合部と、
を備えたものである。
本発明の複合体は、
被保護部材と、
上述した多孔材で構成され、前記被保護部材の表面の全部又は一部を覆うように形成された保護部と、
を備えたものである。
本発明の多孔材の製造方法は、
金属粉末を、酸化性雰囲気下、前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成する焼成工程、
を含み、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材を製造するものである。
本発明の接合体の製造方法は、
第1部材と第2部材とを接合した接合体の製造方法であって、
前記第1部材と前記第2部材との間に金属粉末を配置した積層体を作製し、該積層体を、酸化性雰囲気下、前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合部を形成する接合工程、
を含むものである。
本発明の複合体の製造方法は、
被保護部材を保護部で保護した複合体の製造方法であって、
前記被保護部材の表面の全部又は一部に金属粉末を配置した被覆体を作製し、該被覆体を、酸化性雰囲気下、前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により前記被保護部材を保護する保護部を形成する保護部形成工程、
を含むものである。
本発明では、新規な多孔材、接合体及び複合体を得ることができる。その理由は、以下のように推察される。すなわち、金属粉末を酸化性雰囲気下、その金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成すると、酸化性雰囲気と接触する金属粉末の表面から酸化が進行し、金属酸化物の殻を形成しつつ隣接する粉末と結合する。酸化性雰囲気と接触しない内部の金属は溶融金属となり、さらに、先ほどの酸化に伴って生じる酸化熱によってより高温となり、膨張する。膨張した溶融金属は、金属酸化物の殻を破って殻の外へ放出され、酸化性雰囲気と接触して金属酸化物となる。こうして、三次元的に連続した気孔を形成する金属酸化物の壁部、を備え、断面視したときに前記壁部が前記気孔を囲って円形状、楕円形状、扁平形状からなる群より選ばれる1以上の形状の領域を形成している多孔材が得られると考えられる。
多孔材10の構成の概略の一例を示す断面図。 接合体20の構成の概略の一例を示す断面図。 複合体30の構成の概略の一例を示す断面図。 多孔材10の製造工程の概略の一例を示す説明図。 実験例1の多孔材の断面SEM写真。 実験例3の多孔材の断面SEM写真。 実験例5の多孔材の断面SEM写真。 壁部12の厚さを求める説明図。
[多孔材]
本発明の多孔材の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である多孔材10の構成の概略の一例を示す断面図である。多孔材10は、図1に示すように、金属酸化物の壁部12を有しており、この壁部12によって三次元的に連続した気孔14が形成されている。この多孔材10では、断面視したときに、壁部12が気孔14を囲って円形状、楕円形状、扁平形状からなる群より選ばれる1以上の形状の領域14aを形成している。断面視において、領域14aは、閉領域としてもよいし、連結領域14bを介して連続したものとしてもよい。なお、円形状、楕円形状、扁平形状は、いずれも、例えば、凹凸を有するものでもよいし、歪なものでもよい。なお、扁平形状とは、円形状や楕円形状ではなく、短径に対する長径の比を示すアスペクト比が1.0よりも大きいものを示すものとしてもよい。楕円形状や扁平形状のものは、例えば、アスペクト比が1.5以上5.0以下のものとしてもよい。
多孔材10は、気孔率が55%以上90%以下であることが好ましい。55%以上であれば、例えば排ガス中のすす(PM)を除去したり、NOxガス等を浄化する自動車用触媒担体として用いた場合には、圧力損失を低く抑える効果が高いうえ、さらに触媒担持量を増やすことができるため浄化性能を高める効果が高い。また、55%以上であれば、例えば、接合材として用いた場合には、被接合部材の間に生じる応力を緩和する効果が高い。90%以下であれば、各種用途の実用に耐えうる機械的強度を得られる。このうち、60%以上がより好ましい。また、80%以下がより好ましい。ここで、気孔率は、以下のように求めるものとする。まず、多孔材10に樹脂を含浸させ、多孔材10の断面を鏡面研磨し、観察試料とする。この研磨した面を電子顕微鏡(SEM)により500倍の倍率で観察し、微構造写真を撮影する。次に、撮影した微構造写真の画像を画像解析ソフトを用いて画像解析することにより、多孔材10の気孔率を求めるものとする。具体的には、まず、微構造写真から、面積0.5×10-62の部分を任意に選択し、二値化処理を行い、金属酸化物の壁部12と気孔14の像を区別する。二値化処理を行う条件は、得られた画像に応じて、適宜設定するものとし、例えば経験的に求めた値を用いるものとする。この二値化処理した画像により、金属酸化物の壁部12と気孔14とを分離し、その面積比を算出することで気孔率とする。なお、この断面の面積比は、体積比にほぼ相当するものとして気孔率(体積%)とする。
多孔材10は、平均気孔径が2μm以上50μm以下であることが好ましい。2μm以上であれば、例えば、自動車用触媒担体として用いる場合、すす(PM)を除去できる効果が高いうえ、圧力損失を低く抑える効果が高い。また、50μm以下であれば、例えば、自動車用触媒担体として用いる場合、すす(PM)漏れを抑える効果が高く、さらに自動車の振動や衝撃に耐えうる機械的強度を保持する効果が高い。このうち、10μm以上がより好ましい。また、25μm以下がより好ましい。ここで、平均気孔径は、上述のように二値化処理した画像を用い、画像に含まれる全ての気孔の直径(気孔が楕円形状又は扁平形状の場合には短径)を測定する。そして、その平均値を平均気孔径とする。この平均気孔径は、細孔を円筒と仮定し全細孔容積と比表面積から計算される平均細孔径にほぼ相当する。なお、多孔材10は、全ての気孔の気孔径が2μm以上50μm以下であることがより好ましい。多孔材10は、例えば、その厚みが10μm以上500μm以下であるものとしてもよい。
壁部12を構成する金属酸化物は、特に限定されないが、Zn、Mg、Alからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物であることが好ましい。Znの融点は420℃、Mgの融点は650℃、Alの融点は660℃と比較的低いため、例えば800℃以下などの比較的低い温度での焼成で多孔材10を製造できる。壁部12を構成する金属酸化物は、ZnOであることがより好ましい。ZnOは、高い電気伝導性を示すため、電気伝導性を要する用途に適用することができる。例えば、電気加熱触媒担体(EHC)や、導電性接合材、導電性保護材などの用途に適用することができる。このZnOは、AlやGaなどの3価の金属成分を含むものとしてもよく、3価の金属成分が固溶したものとしてもよい。こうしたものでは、電気伝導性をより高めることができる。ZnOにおける3価の金属成分の含有量は、例えば、5mol%以下であることが好ましい。壁部12を構成する金属酸化物は、酸化物セラミックスであることが好ましい。
壁部12は、厚みが1μm以上20μm以下であることが好ましい。このうち、3μm以上がより好ましい。また、15μm以下がより好ましい。ここで、壁部12の厚みは、以下のように求めるものとする。まず、上述のように作製した観察試料を用い、研磨面をSEMで1500倍の倍率で観察した画像を得る。その画像に対し垂線(測定線)を任意に3本ひき、交わった壁部の厚みを測定し、その平均値を壁部の厚みとする。
以上説明した多孔材10では、新規な多孔材を提供できる。この多孔材10は、例えば、金属粉末を酸化性雰囲気下その金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成することで得ることができる。そのメカニズムは、以下のように推察される。すなわち、金属粉末を酸化性雰囲気下、その金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成すると、酸化性雰囲気と接触する金属粉末の表面から酸化が進行し、金属酸化物の殻を形成しつつ隣接する粉末と結合する。酸化性雰囲気と接触しない内部の金属は溶融金属となり、さらに、先ほどの酸化に伴って生じる酸化熱によってより高温となり、膨張する。膨張した溶融金属は、金属酸化物の殻を破って殻の外へ放出され、酸化性雰囲気と接触して金属酸化物となる。こうして、球状などの空間が三次元的に連続した気孔を形成する金属酸化物の壁部を備えた多孔材が得られると考えられる。こうしたメカニズムから、気孔14(特に領域14a)は、原料として用いた金属粉末の形状を反映したものとなると推察される。例えば、粒子径の小さな球状の金属粉末を原料とした場合には小さな径の球状の空間を備えた気孔となるし、楕円状の金属粉末を原料とした場合には楕円状の空間を備えた気孔となるし、偏平状の金属粉末を原料とした場合には、偏平状の空間を備えた気孔となる。また、例えば、短繊維状の金属粉末を原料とした場合には短繊維状の空間を備えた気孔となる。こうした多孔材10は、例えば、各種フィルタや、断熱材などに用いることができる。
[接合体]
本発明の接合体の一実施形態を図面を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態である接合体20の構成の概略の一例を示す断面図である。接合体20は、図2に示すように、第1部材22と、第2部材24と、第1部材22と第2部材24とを接合する接合部26とを備えている。
接合対象である第1部材22及び/又は第2部材24は、多孔質材としてもよいし、緻密材としてもよい。また、接合体20は、多孔質材と多孔質材とを接合したものとしてもよいし、多孔質材と緻密材とを接合したものとしてもよいし、緻密材と緻密材とを接合したものとしてもよい。
接合対象である第1部材22及び/又は第2部材24は、多孔質セラミックスであるものとしてもよい。多孔質セラミックスは、多孔質であるセラミックスであれば特に限定されない。多孔質とは、その表面に開気孔を有するものであればよく、例えば、気孔率が10体積%以上であるものとしてもよく、20体積%以上が好ましく、40体積%以上がより好ましい。また、簡便に作製する観点からは、気孔率は、90体積%以下であることが好ましい。多孔質セラミックスの気孔率は、その用途などに応じて適宜選択すればよい。この多孔質セラミックスの平均細孔径は、例えば、1μm以上300μm以下の範囲が好ましい。この範囲では、接合部の材質が多孔質セラミックスの細孔内に侵入しやすく、より強固に接合することができる。この平均細孔径は、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。また、この平均細孔径は、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。なお、多孔質セラミックスの気孔率や平均細孔径は、水銀圧入法で測定した結果をいうものとする。
この多孔質セラミックスは、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素などの炭化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウムなどの窒化物、サイアロンなどの酸窒化物、ケイ化モリブデンなどのケイ化物、リン酸ジルコニウムなどから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。また、多孔質セラミックスは、例えば、コージェライト、ムライト、ゼオライト、チタン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムなどから選択される1以上の無機材料を含んで形成されているものとしてもよい。多孔質セラミックスの形状は、特に限定されないが、その用途に応じて選択することができ、例えば、板状、円筒状、ハニカム状などが挙げられ、流体が流通可能な構造であるものとしてもよい。具体的には、この多孔質セラミックスは、流体の流路となる複数のセルを形成する隔壁部を備えたハニカム構造体であるものとすることが好ましい。この多孔質セラミックスは、例えば、導電性を有するものとしてもよい。多孔質セラミックスは、SiCと、SiCを結合するSiとを含み、このSiCとこのSiとにより細孔が形成されている複合材料であるものとすることが好ましい。このSi結合SiCセラミックスでは、導電性を有する。なお、「導電性を有する」とは、電気抵抗率が106Ωcm未満であるものをいうものとし、「導電性を有さない」とは、電気抵抗率が106Ωcm以上であるものをいうものとする。
接合対象である第1部材22及び/又は第2部材24は、緻密材であるものとしてもよい。緻密材は、気孔率の低い緻密な部材であれば特に限定されず、例えば、金属部材としてもよいし、緻密なセラミックスとしてもよい。緻密材は、例えば、気孔率が5体積%以下であるものとしてもよく、1体積%以下が好ましく、0.5体積%以下であるものがより好ましい。金属部材は、典型金属、遷移金属など、金属からなるものであれば特に限定されないが、例えば、導電性の高いものとしてもよい。遷移金属では、Fe、Co、Ni、Cuなどの金属及び合金が好ましい。また、用途に応じては、Pt、Auなどの貴金属を用いるものとしてもよい。この金属部材は、電極であるものとしてもよく、この場合、Cr−Ni−Fe系合金(SUS304)やCr−Fe系合金(SUS430)などのステンレス鋼などが好適に用いられる。この金属部材は、少なくともFeとCrとを含む合金であることが好ましく、少なくともFeが70質量%以上90質量%未満であり、Crが10質量%以上30質量%未満の合金であることがより好ましい。材質的に安定であり、導電性が良好だからである。金属部材の形状は、板状など、用途に応じて適宜選択することができる。緻密なセラミックスとしては、例えば、上記多孔質セラミックスで挙げた材質のいずれかを緻密に焼結したものとしてもよいし、多孔質セラミックスの気孔に充填材や含浸材などを充填した部材としてもよいし、複数種の金属を含む複合酸化物部材としてもよい。充填した部材としては、具体的には、多孔質のSiCの気孔に金属Siを含浸させたSi含浸SiC焼結体などが挙げられる。この材料では、熱伝導性がよく、且つ金属Siにより導電性がよい。また、複合酸化物部材としては、例えば、LaCrO3基材料やBaTiO3基材料、LaMnO3基材料、LaCoO3基材料、NaCo24基材料、Ca3Co49基材料、LaNiO3基材料、SrTiO2基材料などの導電性セラミックス材が挙げられる。なお、「基材料」とは、例えば、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属及び価数の異なる元素により一部が置換された材料をも含む趣旨である。具体的には、LaMnO3基材料では、(La0.9Sr0.1)MnO3などである。これらの材料は、燃料電池(例えばSOFC)用材料、熱電素子材料及びセンサー材料などに用いることができる。
接合部26は、上述した多孔材10で構成され、第1部材22と第2部材24とを接合するものである。接合部26(より詳しくは、多孔材10の壁部12を構成する金属酸化物)は、その用途に応じて、導電性を有していてもよいし、導電性を有していないものとしてもよい。例えば、第1部材と第2部材とを固定するのみであれば、接合部は導電性を有していなくてもよい。また、導電性を有する第1部材と第2部材とを接合する際、両者を導通させる必要がある場合には、接合部は導電性を有するものとする。接合部は、多孔質セラミックスである第1部材と第2部材との間に介在し、多孔質セラミックスの細孔内に侵入し、この多孔質セラミックスと第2部材とを接合する酸化物セラミックスとしてもよい。この酸化物セラミックスが多孔質セラミックスの細孔に侵入する構造を有すると、接合強度をより高めることができ好ましい。
なお、接合体20は、第1部材と第2部材とを接合した構造を有するものとすれば特に限定されず、例えば、ハニカム構造体、熱電素子、セラミックスヒーター、酸素やNOxなどのガス検出センサーなどに用いることができる。
以上説明した接合体20では、新規な多孔材を接合部とする新規な接合体を提供することができる。また、例えば、この接合体は、接合部が多孔材であるため、接合部に応力緩和層としての機能を持たせることができる。また、例えば、接合部は、金属酸化物であるため、高温、酸素雰囲気下でも安定である。また、例えば、比較的反応性に富む金属原料を接合部の原料とするため、ある程度、部材と反応しやすく、部材の成分を取り込むことなどにより、この成分が拡散した状態で接合部と部材とを結合できる。その一方、酸化性雰囲気下での焼成により、金属が酸化することで反応しにくく変化することにより、取り込んだ部材成分が接合部へ拡散しすぎるのを防ぐことができる。
[複合体]
本発明の複合体の一実施形態を図面を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態である複合体30の構成の概略の一例を示す断面図である。複合体30は、図3に示すように、被保護部材32と、被保護部材32の表面の全部を覆うように形成された保護部34とを備えている。なお、複合体30では、保護部34は、被保護部材32の表面の全部を覆うものとしたが、本発明の複合体において、保護部は、非保護部材の表面の全部を覆う必要はなく、一部を覆うものとしてもよい。
被保護部材32としては、上述した接合体20の第1部材や第2部材として例示した部材が挙げられる。
保護部34は、上述した多孔材10で構成され,被保護部材32の表面の全部を覆うように形成されたものである。保護部34(より詳しくは、多孔材10の壁部12を構成する金属酸化物)は、その用途に応じて、導電性を有していてもよいし、導電性を有していなくてもよい。
なお、複合体30は、被保護部材の表面の一部又は全部を保護部で覆った構造を有するものとすれば特に限定されない。例えば、ハニカム構造体、熱電素子、セラミックスヒーター、酸素やNOxなどのガス検出センサーなどに用いることができる。すなわち、ハニカム構造体、熱電素子、セラミックスヒーター、ガス検出センサーなどの被保護部材を保護部(保護層)で覆ったものとすることができる。本発明の複合体では、保護部が多孔材で構成されていることから、ガス検出センサーなどに特に適している。
以上説明した複合体30では、新規な多孔材を保護部とする新規な複合体を提供することができる。また、例えば、保護部は、金属酸化物であるため、高温、酸素雰囲気下でも安定である。また、例えば、比較的反応性に富む金属原料を保護部の原料とするため、ある程度、部材と反応しやすく、部材の成分を取り込むことにより、この成分が拡散した状態で保護部と被保護部材とを結合できる。その一方、酸化性雰囲気下での焼成により、金属が酸化することで反応しにくく変化することにより、取り込んだ部材成分が保護部へ拡散しすぎるのを防ぐことができる。
[多孔材の製造方法]
本発明の多孔材の製造方法の一実施形態を図面を用いて説明する。図4は、多孔材10の製造方法の概略の一例を示す説明図である。本発明の多孔材の製造方法は、例えば、(A)金属粉末を含む成形体を作製する成形体作製工程と、(B)金属粉末を含む成形体を焼成する焼成工程と、を含むものとしてもよい。以下では、各工程について説明する。
(A)成形体作製工程
この工程では、金属粉末42を含む成形体40を作製する(図4(a))。成形体40は、金属粉末42の他に、成形に必要な成形材44を備えている。
成形体40に含まれる金属粉末42は、特に限定されないが、Zn、Mg、Alからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。Znの融点は420℃、Mgの融点は650℃、Alの融点は660℃と比較的低い。このため、後の焼成工程において、800℃以下などの比較的低い温度で焼成できる。この金属粉末42は、平均粒径が5μm以上100μm以下であることが好ましい。平均粒径が5μm以上であれば、焼成後の平均気孔径が2μm以上となり、例えば、自動車用触媒担体として用いる場合、すす(PM)を除去できる効果が高いうえ、圧力損失を低く抑える効果が高い多孔質材料を得ることができる。平均粒径が100μm以下であれば、焼成後の平均気孔径が50μm以下となり、例えば、自動車用触媒担体として用いる場合、すす(PM)漏れを抑える効果が高く、さらに自動車の振動や衝撃に耐えうる機械的強度を保持する効果が高い多孔質材料を得ることができる。この平均粒径は、例えば、10μm以上がより好ましい。また、65μm以下がより好ましい。ここで、金属粉末の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、エタノールを分散媒として測定したメディアン径(D50)をいうものとする。金属粉末の形状は、特に限定されず、例えば、球状のものとしてもよいし、楕円状のものとしてもよいし、扁平状のものとしてもよいし、短繊維状のものとしてもよい。なお、扁平状とは、球状や楕円状ではなく、厚さ(短径)に対する太さ(長径)の比を示すアスペクト比が1.0よりも大きいものを示すものとしてもよい。また、短繊維状とは、円形状や楕円形状ではなく、太さ(短径)に対する長さ(長径)の比を示すアスペクトが1.0よりも大きいものを示すものとしてもよい。楕円状や扁平状、短繊維状のものは、例えば、アスペクト比が1.5以上5.0以下のものとしてもよい。ここで、金属粉末のアスペクト比は、以下のように求めるものとする。まず、金属粉末に樹脂を含浸させ、鏡面研磨したサンプルを観察試料とする。この研磨した断面をSEMにより200倍で観察し、微構造写真を撮影する。次に、撮影した微構造写真の画像から、画像解析ソフトを用いて金属粉末の短径と長径を測定し、長径/短径の平均を算出する。こうして得られた値をアスペクト比とする。
成形体40は、バインダーや、溶媒、分散剤、可塑剤などの成形材44を含むものとすることができる。バインダーとしては、ポリビニルブチラール(PVB)などを好適に用いることができる。溶媒としては、テルピネオールなどを好適に用いることができる。
成形体40を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、金属粉末42を含むスラリーやペーストを用いた塗布法や、金属粉末を含む坏土様のものを用いた押出成形法などによって行うことができる。塗布法を用いる場合、基材にスラリーやペーストを塗布し、塗布したスラリーやペーストを乾燥固化して成形体とし、基材上に形成された成形体を作製してもよい。また、基材上に形成された成形体を基材から分離することにより、単独の成形体を作製してもよい。また、スラリーやペースト、坏土様のものを調製するときには、金属粉末42を適当な分散媒に分散させ、バインダーや可塑剤などを適宜加えてもよい。なお、この成形体作製工程では、例えば、10μm以上500μm以下の厚みの成形体40を作製するものとしてもよい。
(B)焼成工程
この工程では、金属粉末を含む成形体を、酸化性雰囲気下、この金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成する。
この焼成工程において、焼成温度は、接合部の材質に応じて好適な範囲が設定されるが、600℃以上800℃以下の温度範囲で焼成を行うことが好ましい。600℃以上であれば、例えば、Znなどの低融点の金属の金属粉末を用いて多孔材を作製するのに十分である。また、800℃以下であれば、例えば、焼成時のエネルギーを抑え製造コスト、環境負荷を抑えることができる。焼成時間は10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。また、24時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましい。
この焼成工程において、焼成雰囲気は、酸化性雰囲気であれば特に限定されないが、大気中で焼成を行うことがより好ましい。雰囲気制御などをすることなく、より容易に多孔材を製造することができるからである。なお、酸化性雰囲気とは、酸素を含む雰囲気としてもよく、大気、及び大気に酸素や不活性ガス、水蒸気などを添加した気体としてもよい。
この焼成工程では、金属粉末42を、酸化性雰囲気下、その金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成することにより、酸化性雰囲気と接触する金属粉末42の表面から酸化が進行し、金属酸化物の殻(壁部12)を形成しつつ隣接する粉末と結合する(図4(b))。酸化性雰囲気と接触しない内部の金属は溶融金属43となり(図4(b))、さらに、先ほどの酸化に伴って生じる酸化熱によってより高温となり、膨張する。膨張した溶融金属は、金属酸化物の殻を破って殻の外へ放出され、酸化性雰囲気と接触して金属酸化物となる(図4(c))。こうして、球状(金属粉末42が楕円状の場合には楕円状、扁平状の場合には扁平状、短繊維状の場合には短繊維状)の空間が三次元的に連続した気孔を形成する金属酸化物の壁部を備えた多孔材が得られると考えられる。
この多孔材の製造方法では、新規な多孔材、例えば、上述した多孔材10などを提供できる。また、酸化物粉末を原料とするのではなく、金属粉末を原料とするため、酸化物粉末同士を結合させる場合に比して、少ない入熱量で多孔材を製造することができる。
[接合体の製造方法]
本発明の接合体の製造方法の一実施形態について説明する。本発明の接合体の製造方法は、第1部材と第2部材との間に金属粉末を配置した積層体を作製し、その積層体を、酸化性雰囲気下、金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により第1部材と第2部材とを接合する接合部を形成する接合工程、を含む。
第1部材や第2部材としては、上述した接合体20の第1部材や第2部材として例示した部材が挙げられる。
第1部材と第2部材との間に金属粉末を配置する方法は、特に限定されないが、例えば、基材などを有さない単独の成形体を作製し、第1部材と第2部材の間に配置してもよい。また、第1部材及び第2部材の両方又は一方を基材として用い、基材(第1部材や第2部材)に形成された成形体を作製し、成形体の形成面を挟み込むように第1部材と第2部材とを積層させてもよい。成形体を作製する具体的な方法については、上述した多孔材の製造方法の(A)成形体作製工程に記載の方法を採用すればよい。なお、第1部材や第2部材と接合部との密着性を高め、接合部の剥離などを抑制する観点からは、塗布法により基材(第1部材及び/又は第2部材)上に形成された成形体を作製することが好ましい。
積層体の焼成は、上述した多孔材の製造方法の(B)焼成工程に記載の方法に準じて焼成すればよい。
この接合体の製造方法では、新規な多孔材を接合部とする新規な接合体、例えば、上述した接合体20などを提供することができる。また、例えば、比較的反応性に富む金属原料を接合部の原料とするため、ある程度、部材と反応しやすく、部材の成分を取り込むことにより、この成分が拡散した状態で接合部と被接合部材とを結合できる。その一方、大気中などの酸化性雰囲気下での焼成により、金属が酸化することで反応しにくく変化することにより、取り込んだ部材成分が接合部へ拡散しすぎるのを防ぐことができる。
[複合体の製造方法]
本発明の複合体の製造方法の一実施形態について説明する。本発明の複合体の製造方法は、被保護部材の表面の全部又は一部に金属粉末を配置した被覆体を作製し、その被覆体を、酸化性雰囲気下、金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により前記被保護部材を保護する保護部を形成する保護部形成工程、を含む。
被保護部材としては、上述した複合体30の被保護部材として例示した部材が挙げられる。
被保護部材の表面の全部又は一部に金属粉末を配置する方法は、特に限定されないが、例えば、基材などを有さない単独の成形体を作製し、被保護部材の表面の全部又は一部に配置してもよい。また、被保護部材を基材として用い、基材(被保護部材)の表面の全部又は一部に形成された成形体を作製してもよい。成形体を作製する具体的な方法については、上述した多孔材の製造方法の(A)成形体作製工程に記載の方法を採用すればよい。なお、被保護部材と保護部との密着性を高め、保護部の剥離などを抑制する観点からは、塗布法により基材(被保護部材)上に形成された成形体を作製することが好ましい。
被覆体の焼成は、上述した多孔材の製造方法の(B)焼成工程に記載の方法に準じて焼成すればよい。
この複合体の製造方法では、新規な多孔材を保護部とする新規な複合体を提供することができる。例えば、上述した複合体を提供することができる。また、例えば、比較的反応性に富む金属原料を保護部の原料とするため、ある程度、部材と反応しやすく、部材の成分を取り込むことにより、この成分が拡散した状態で保護部と被保護部材とを結合できる。その一方、大気中などの酸化性雰囲気下での焼成により、金属が酸化することで反応しにくく変化することにより、取り込んだ部材成分が保護部へ拡散しすぎるのを防ぐことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態の多孔材の製造方法では、成形体形成工程を含むものとしたが、こうした工程を含まなくてもよい。例えば、別途用意した成形体を用いてもよいし、成形体形成工程とは異なる方法で成形体を形成してもよい。また、成形体を用いることなく、焼成工程において、金属粉末の移動を制限した状態で金属粉末を焼成するものとしてもよい。例えば、所望形状の型枠内に金属粉末を充填させた状態で、焼成してもよい。こうしても、所望形状の多孔材を得ることができる。
以下には、本発明の多孔材を具体的に作製した例を、実験例として説明する。なお、実験例1〜6が本発明の実施例に相当し、実験例7が比較例に相当する。
(試料の作製)
[実験例1]
実験例1では、原料金属粉として平均粒径が35μmでアスペクト比が1.5の扁平状の金属亜鉛を用い、原料金属粉である亜鉛の融点(420℃)よりも高い焼成温度(750℃)で焼成を行った。具体的には、まず、上述した原料金属粉と、ポリビニルブチラール(PVB)などのバインダーと、テルピネオールなどの溶媒と、を混合し、ペースト化した。これを基材上へ450μmの厚さとなるように塗布し、大気中80℃で乾燥後、上述した焼成温度で1時間焼成し、基材上に形成された焼成体(多孔材)を得た。焼成体の厚さは300μmであった。基材としては、SUS製とSi結合SiCセラミックス製の基材を用いた。SUS製の基材としては、ニラコ製SUS430板を用いた。Si結合SiCセラミックス製の基材としては、以下のように作製したものを用いた。原料として、SiC粉末及び金属Si粉末を体積比で38:22となるように混合して「混合粉末」を作製した。上記「混合粉末」に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材としてデンプン、吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。成形原料を混練し円柱状の坏土を作製した。得られた円柱状の坏土を押出し成形機にて押出し成形することによりハニカム状の成形体を作製した。この成形体を、大気雰囲気下120℃にて乾燥し乾燥体を得た。この乾燥体を大気雰囲気下、450℃にて脱脂後、常圧のAr雰囲気下、1450℃で2時間焼成した。このようにして得た、ハニカム状の多孔質セラミックスから20×20×0.3mmの板状試料を切り出し、基材(多孔質セラミックス)を得た。この基材は、水銀ポロシメーター(マイクロメトリックス社製オートポアIV9520)を用いた水銀圧入法により測定した気孔率が40体積%であり、同様の方法で測定した平均細孔径が10μmであった。なお、原料金属粉のアスペクト比は、以下のように求めた。まず、原料金属粉に樹脂を含浸させ、鏡面研磨したサンプルを観察試料とし、断面をSEMで200倍で観察した。SEM観察により得た微構造写真を用いて、粒子の短径と長径を測定し、長径/短径の平均を画像解析して算出した。画像解析にはImage−Pro0.5J(Media Cybernetics社製)を使用した。
[実験例2〜4]
実験例2では、焼成温度を600℃とした以外は、実験例1と同様に焼成体を得た。実験例3では、原料金属粉として平均粒径が7μmでアスペクト比が1.2の扁平状の金属亜鉛を用いた以外は、実験例2と同様に焼成体を得た。実験例4では、原料金属粉として平均粒径が7μmの金属亜鉛を用い、焼成温度を600℃とした以外は、実験例2と同様に焼成体を得た。
[実験例5]
実験例5では、原料金属粉として平均粒径が53μmでアスペクト比が3.5の扁平状の金属マグネシウムを用い、原料金属粉であるマグネシウムの融点(650℃)よりも高い焼成温度(750℃)で焼成を行った以外は、実験例1と同様に焼成体を得た。
[実験例6]
実験例6では、原料金属粉として平均粒径が10μmでアスペクト比が1.7の扁平状の金属アルミニウムを用い、原料金属粉であるアルミニウムの融点(660℃)よりも高い焼成温度(750℃)で焼成を行った以外は、実験例1と同様に焼成体を得た。
[実験例7]
実験例7では、原料金属粉として平均粒径が3μmでアスペクト比が1.3の扁平状の金属ニッケルを用い、原料金属粉であるニッケルの融点(1450℃)よりも低い焼成温度(750℃)で焼成を行った以外は、実験例1と同様に焼成体を得た。
(組織観察、気孔率、気孔径の測定)
得られた焼成体に樹脂を含浸させ、鏡面研磨したサンプルを観察試料とし焼成体の断面をSEMで観察した。図5に、実験例1のSEM写真を示す。図5のSEM写真では、下側の領域がSi−結合SiCセラミックス製の基材であり、上側の領域が、ZnO製の多孔材である。この多孔材では、金属酸化物でできた壁部の内側に、一部、原料の金属がそのまま残存している。また、図6に、実験例3のSEM写真を示す。図6のSEM写真では、上側の領域がSUS製の基材であり、下側の領域がZnO製の多孔材である。また、図7に、実験例5のSEM写真を示す。図7のSEM写真(断面視)では、気孔を囲うMgOの壁部がそれぞれ分離して観察されたが、多孔材そのものは、多孔材として基材に結合した状態で形成されており、壁部は三次元的には結合していることが確認された。これらのSEM写真において、原料の粒径が大きいものほど気孔径が大きく、原料のアスペクト比が大きいものほど断面視した気孔のアスペクト比が大きかった。このことから、気孔は、原料金属粉の形状を反映しているものと推察された。気孔率はSEM観察により得た微構造写真を用い、画像解析し算出した。画像解析ソフトにはImage−Pro0.5Jを使用した。微構造写真から面積0.5×10-62の視野を任意に選択し、気孔と金属酸化物の壁部を区別するため二値化した。これより金属酸化物の壁部と気孔を分離し、その割合を算出することで気孔率とした。気孔径は同様にして得た、気孔部直径の平均値とした。
(壁部の厚みの測定)
上記と同様にして作製した観察試料を用い、焼成体の断面をSEMで1500倍の倍率で観察した画像を得た。その画像に対し、図8に示すように、垂線(測定線)を任意に3本ひき、交わった壁部の厚みを測定し、その平均値を壁部の厚みとした。
[実験結果]
表1に、実験例1〜7の、原料金属粉(種類、融点、平均粒径、アスペクト比)、焼成条件(焼成雰囲気、焼成温度)、焼成体の特性(結晶相、気孔率、平均気孔径、壁部の厚み)をまとめた。表1に示すように、原料金属粉の融点よりも高い温度で焼成を行った実験例1〜6では、結晶相が酸化物相で構成され、気孔率55%以上の焼成体(多孔材)が得られることがわかった。これに対して、原料金属粉の融点よりも低い温度で焼成を行った実験例7では、結晶相に金属相が残っており、また、気孔率が15.8%という、気孔率の比較的低い焼成体となることがわかった。なお、SUS製の基材を用いた場合にも、Si結合SiCセラミックス製の基材を用いた場合にも、同様の結果であった。
本発明は、多孔質セラミックやそれを用いた製品を製造する分野に利用可能である。
10 多孔材、12 壁部、14 気孔、14a 領域、14b 連結領域、20 接合体、22 第1部材、24 第2部材、26 接合部、30 複合体、32 被保護部材、34 保護部、40 成形体、42 金属粉末、43 溶融金属、44 成形材。

Claims (13)

  1. 三次元的に連続した気孔を形成する金属酸化物の壁部、
    を備え、断面視したときに前記壁部が前記気孔を囲って円形状、楕円形状、扁平形状からなる群より選ばれる1以上の形状の領域を形成しており、気孔率が60%以上90%以下であり、平均気孔径が2μm以上50μm以下であり、前記金属酸化物はZnOである、多孔材。
  2. 前記多孔材は、平均気孔径が10μm以上である、請求項1に記載の多孔材。
  3. 前記壁部は、厚みが1μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載の多孔材。
  4. 第1部材と、
    第2部材と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔材で構成され、前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合部と、
    を備えた接合体。
  5. 被保護部材と、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔材で構成され、前記被保護部材の表面の全部又は一部を覆うように形成された保護部と、
    を備えた複合体。
  6. 金属粉末を酸化性雰囲気下、600℃以上800℃以下かつ前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、800℃より高温での焼成を行わない焼成工程、
    を含み、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材を製造し、前記金属粉末はZnである、多孔材の製造方法。
  7. 前記焼成工程では、大気中で焼成を行う、請求項に記載の多孔材の製造方法。
  8. 前記金属粉末は、平均粒径が5μm以上100μm以下である、請求項6又は7に記載の多孔材の製造方法。
  9. 前記金属粉末は、平均粒径が35μm以上である、請求項のいずれか1項に記載の多孔材の製造方法。
  10. 前記金属粉末を含む成形体を作製する成形体作製工程を備え、
    前記焼成工程では前記成形体を焼成する、請求項のいずれか1項に記載の多孔
    材の製造方法。
  11. 前記成形体作製工程では、前記金属粉末を含むスラリー又はペーストを基材上に形成して前記成形体を作製する、請求項10に記載の多孔材の製造方法。
  12. 第1部材と第2部材とを接合した接合体の製造方法であって、
    前記第1部材と前記第2部材との間に金属粉末を配置した積層体を作製し、該積層体を、酸化性雰囲気下、600℃以上800℃以下かつ前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、800℃より高温での焼成を行わずに、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により前記第1部材と前記第2部材とを接合する接合部を形成する接合工程、
    を含み、前記金属粉末はZnである、接合体の製造方法。
  13. 被保護部材を保護部で保護した複合体の製造方法であって、
    前記被保護部材の表面の全部又は一部に金属粉末を配置した被覆体を作製し、該被覆体を、酸化性雰囲気下、600℃以上800℃以下かつ前記金属粉末の融点より高い温度範囲で焼成し、800℃より高温での焼成を行わずに、前記金属粉末が酸化した金属酸化物で構成された多孔材により前記被保護部材を保護する保護部を形成する保護部形成工程、
    を含み、前記金属粉末はZnである、複合体の製造方法。
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