JP6358423B2 - 半導体の実装方法及び半導体部品の製造装置 - Google Patents
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Description
例えば、金属ナノ粒子の活性な表面エネルギーを利用して、低温にて凝集、接合する低温接合工法が知られている。この接合工法を用いれば、凝集した後の接合界面はバルク金属となるため、優れた高温耐久性がもたらされる。
さらに低融点の共晶反応を利用すれば、低温で接合面Al表面の緻密で強固な酸化皮膜を除去してAlとAlのダイレクトな接合が可能となり、高温保持した場合にも脆い金属間化合物層やカーケンダルボイドを生成しないので、接合部の耐久性を向上し得る。
しかしながら、接合時間の経過とともに、この共晶融液が加圧と加熱により、接合部近傍から流出し排出されるため、特に接合時に重要となる微細形状突起の頂部が共晶融液から大気中に露出する場合があり、この結果、接合中に接合部の酸化が進行し、接合部の強度を低下させる場合がある。
また更には、余剰の共晶融液の残留物が微細形状突起の谷部に残留し、この結果、残留物の主成分であるZnが半導体の使用中に接合部近傍に拡散して、母材の特性を変化させる可能性が生じるという問題点があった。
接合中は上記共晶反応により生じた共晶融液を、上記接合部が上記共晶融液に満たされるよう保持し、所定時間経過後に、その共晶融液の保持を解除することを特徴とする。
上記半導体と箔と被接合材を含む接合部を個々に又は全部加圧する加圧手段と、この上記接合部近傍を所定の温度に加熱する加熱手段と、上記共晶反応により生じた共晶融液を上記接合部近傍に、上記接合部が上記共晶融液に満たされるよう保持する保持手段と、所定時間経過後にこの共晶融液の保持を解除する解除手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の実装方法において、共晶融液の保持と解除を半導体チップの周囲を取り囲むように形成された堰により行なうとともに、その可動を当該接合で行う加圧処理の加圧ストローク内で実施すれば、特別な専用の可動装置を付加することなく簡単な構成で安価に確実な作動を実現することができる。
更にまた、この実装方法において、共晶融液の強制的排出を、加熱した気体の噴射により実施すれば、容易に確実に残留物の量を低減することができる。
更に、この実装方法において、上記被接合材として金属電極、上記半導体として半導体チップを用い、この金属電極に複数の半導体チップを接合するに際し、上記金属電極と上記半導体チップとの接合点を任意に選択して接合することにすれば、実装の工程設計や装置設計の自由度が向上する。
また、本発明の半導体部品の製造装置において、保持手段と解除手段を半導体チップの周囲を取り囲むように形成された堰とし、この堰を上記加圧手段を用いることにより可動させれば、特別な専用の可動装置を付加することなく、簡単な構成で安価に確実な作動を実現できる半導体の製造装置とすることができる。
更にまた、この製造装置において、強制排出手段が気体噴射及び気体吸引の少なくとも一方の機能を有するようにすれば、容易に確実に残留物の量を低減することができる。
これにより、共晶接合と組み合せることで、繰り返し接合温度までの熱履歴を受けることも可能となるため、任意の接合点を選択的に同時に接合でき、工程設計や装置設計の自由度が大幅に向上するため、製造装置の構成や製造装置のスペースを簡素化できる。
まず、本発明の実装方法を説明する前に、比較として上記特許文献1に記載された従来技術の構成と問題点を説明する。
図7aにおいて、アルミニウム系金属から成る材料、例えばアルミニウム合金材51と、その接合面側の最表面がアルミニウム系材料を被覆した半導体チップ52との間には、Zn−Al−Cu合金箔からなるインサート材50が挟まれた状態で重ねられている。
この際、アルミニウム合金材51の表面には微細形状51aが形成され、さらにその表面(接合面)にはAl2O3を主成分とする酸化皮膜が生成している。同様に、半導体チップ52の接合面に被覆されたアルミニウム系材料にも、酸化皮膜が形成されている。
その結果、アルミニウムの新生面が露出し、アルミニウム同士のダイレクト接合が達成され、良好な接合継手が得られる。
これを防ぐためには、微細形状の山部51bが露出しないようにインサート材50の厚さを充分に厚くする方法があるが、大幅なコストアップとなったり、今度は共晶反応物が微細形状の谷部に残留する可能性が高くなり、高温で使用中にこの残留物の主成分であるZnがAl中に拡散し、アルミニウム材の特性(伸び低下、耐力増加)を低下させる場合があった。
本発明はこのような従来技術の問題点を、確実にしかも安価に解決できる半導体の実装方法及び半導体部品の製造装置を提供するものである。
図1に、本発明の半導体部品の製造装置の一実施形態の概略断面図を示す。図1において、冷却器4の上に絶縁基板2が接合されているが、本実施形態では、その上面に配線金属5を張り付けた絶縁基板2の上に、本発明の実装方法と製造装置を適用し、インサート材3を介して半導体チップ1を接合するものである。
ベース板13から立ち上がる複数のガイドピン17により、スライド14が複数のガイドブッシュ15を介して、上下に摺動自在に支持されている。スライド14は駆動モータ20と駆動機構21により、上下自在に移動可能で、かつ任意の位置で停止させることができる。
一方、ベース板13上には断熱板12を介してヒータプレート11が設置され、このヒータプレート11上に、上述した冷却器4に接合され、上面に配線金属5が張り付けられた絶縁基板2と、インサート材3と、半導体チップ1がセットされている。
なお、22は遮熱板であり、外部への熱の拡散を防止し、加熱効率を高めるために有効である。
本実施例では、一例として3個の半導体チップ1を同時に、配線金属5に接合できる装置の構成を示した。
まず、スライド14を上死点に上昇させた状態で、ヒータプレート11上に、冷却器4に接合され上面に配線金属5が張り付けられた絶縁基板2と、インサート材3と、半導体チップ1をセットし、ヒータプレート11を加熱する。所定の温度に達したら、スライド14を下降させ、弾性体16の反力により所定の加圧力(ここでは5MPaとなるように弾性体のバネ定数を決定した)で半導体チップを加圧する。
ここで、図2は、図1のA部を拡大して表示した断面図である。
またこの際、堰10が半導体チップ1の外周を囲むように形成されているため、共晶融液6は流れ出さず、接合に要する時間(ここでは約1分)の間、接合部近傍に保持されて留まり、接合部が共晶融液6に満たされたまま接合が進行するため、常に外気から遮断された状態で接合が完了する。
この際、円滑な排出を行なうためには、接合部近傍の温度が、共晶温度を下回らないうちに、つまり液体状態にあるうちに、加圧を解除する必要がある。
以上のように作動することにより、接合に際し接合部が酸化することのない良好な接合継手が得られる。
図3において、圧子18により半導体チップ1が加圧される。配線金属5の表面には、微細形状5aが形成されているが、堰10の形状は図2に示すものと同様である。
強制排出手段としては、微細形状溝の延在方向と平行に、その一方に、空気又は不活性ガスなどの気体26を噴射する噴射装置25を形成し、その他方には、これらを吸引する吸引装置27を設置している。
なお、強制排出手段としての噴射装置25と吸引装置27は、少なくともどちらか一方でもその目的を果たすことが可能である。
図4は、本発明に係る実装方法と装置により、その上面に配線金属5を張り付けた絶縁基板2の上に、インサート材3を介して半導体チップ1を実装接合したパワーモジュールの平面図であり、半導体チップ1が12個実装されている。
従って、本発明によれば、図4a又は図4bに示すように、多点同時に接合が可能であるとともに、図1の装置構成において、圧子18、弾性体16、スライドピン19を自由に組み替えることで、任意の接合点(接合部位)を自由に選択することが可能となり、工程設計や装置設計の自由度を飛躍的に向上させることができる。
まず、スライド14を下降させ、堰10の先端と配線金属5の距離(B)が0.05〜0.2mmとなる位置を下死点として停止させる。この時、半導体チップには、弾性体16により所定の加圧力(5MPa)が作用する。次にヒータープレート11により接合部近傍が共晶温度(約380℃)に達してから、接合時間1分保持する。1分経過後、時間t1にてスライド14の上昇指令を出し、加圧力と共晶融液の保持が解除されてから、時間t2にて加熱を止め、冷却過程に入る。更に時間t1にて、強制排出手段としての噴射装置25と吸引装置27の作動を開始させ、所定時間後これらを停止させ、接合が完了する。
従来例では、高い接合強度を得るにはインサート材である共晶箔の厚さが100μm程度必要であったが、本発明例では、約50μmと厚さを半減させても接合部の酸化が抑制され、同等以上の接合強度が得られた。
供試材料として、純アルミニウムを張り合わせたセラミック製の絶縁基板上に、半導体チップを接合し、半導体チップを引き剥がすせん断強度を比較評価した。
半導体チップはSiのダイオードを用いた。半導体チップの裏面(接合面側)は密着向上層はTi(膜厚さ:0.5μm)、バリヤー層はNi(膜厚さ:1μm)とし、更にAlで最表層を被覆した。微細形状は絶縁基板上のアルミニウムに、ピッチ100μm、高さ100μm、アスペクト比1.0の三角形溝の周期構造を加工した。共晶反応を生じるインサート材は組成がZn−Al−Cu合金を用い、厚さを、25μm、50μm、100μm、200μmと変化させて接合した。
接合条件は、大気中において加圧力5MPa、接合温度400℃、接合時間1分で、従来の接合方法と、本発明の実装方法で接合を行った。
例えば、図1に示す実施例では、一例として、堰と一体に摺動可能に駆動されるスライドの駆動手段がモータによる駆動機構であるものを示したが、これに限定される必要はなく、油圧、空圧及び液圧などによる駆動手段や、リニアモータによる摺動機構、カム機構などでも同様に適用できる。また、加熱手段として電気ヒータを用いた例を示したが、この加熱手段についてもこれに限定されるものではなく、赤外線加熱、高周波加熱及びホットプレートによる加熱等、種々の加熱手段が選択可能である。
2 絶縁基板
3 インサート材
5 配線金属
6 共晶融液
10 堰
16 弾性体
18 圧子
25 噴射装置
27 吸引装置
Claims (12)
- 常温で安定な酸化膜を持つアルミニウム系材料で被覆された半導体とアルミニウム系材料からなる被接合材を、両者の接合面間に挿入されたアルミニウムと共晶反応を生じる材料で形成された箔との共晶反応を利用して酸化被膜の除去を促進するとともに、上記接合面に存在する酸化膜を破壊する応力集中部を設けて、ダイレクト接合する半導体の実装方法において、
接合中は上記共晶反応により生じた共晶融液を、上記接合部が上記共晶融液に満たされるよう保持し、所定時間経過後に、その共晶融液の保持を解除することを特徴とする半導体の実装方法。 - 上記共晶融液の保持と解除を上記半導体の周囲を取り囲むように形成された堰により行なうとともに、その可動を当該接合で行う加圧処理の加圧ストローク内で実施することを特徴とする請求項1に記載の半導体の実装方法。
- 上記共晶融液の保持の解除とともに、この共晶融液を強制的に排出することを特徴とする請求項2に記載の半導体の実装方法。
- 上記共晶融液の強制的排出を、加熱した気体の噴射により実施することを特徴とする請求項3に記載の半導体の実装方法。
- 上記気体を噴射する方向が、上記応力集中部として形成された微細溝の延在方向と略平行であることを特徴とする請求項4に記載の半導体の実装方法。
- 上記被接合材として金属電極、上記半導体として半導体チップを用い、この金属電極に複数の半導体チップを接合するに際し、上記金属電極と上記半導体チップとの接合点を任意に選択して接合することを特徴とする請求項1に記載の半導体の接合方法。
- 常温で安定な酸化膜を持つアルミニウム系材料で被覆された半導体とアルミニウム系材料からなる被接合材との接合を、これらの接合面間に共晶反応を誘起し、酸化被膜の除去を促進させるための箔を介在させるとともに、上記酸化膜を破壊する応力集中部を設けて、これらを加熱、加圧することによりダイレクト接合する半導体部品の製造装置において、
上記半導体と箔と被接合材を含む接合部を個々に又は全部加圧する加圧手段と、この上記接合部近傍を所定の温度に加熱する加熱手段と、上記共晶反応により生じた共晶融液を上記接合部近傍に、上記接合部が上記共晶融液に満たされるよう保持する保持手段と、所定時間経過後にこの共晶融液の保持を解除する解除手段と、を備えることを特徴とする半導体部品の製造装置。 - 上記保持手段と解除手段が上記半導体の周囲を取り囲むように形成された堰であり、この堰が上記加圧手段によって可動であることを特徴とする請求項7に記載の半導体部品の製造装置。
- 上記共晶融液を強制的に排出する強制排出手段を有することを特徴とする請求項8に記載の半導体部品の製造装置。
- 上記強制排出手段が、気体噴射及び気体吸引の少なくとも一方の機能を有することを特徴とする請求項9に記載の半導体部品の製造装置。
- 上記保持手段の作動が、上記接合部近傍の温度が遅くとも共晶温度に達する前に完了し、且つ上記解除手段及び強制排出手段の作動が、上記接合部近傍の温度が共晶温度を下回る前に完了する接合シーケンスに従って作動することを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体部品の製造装置。
- 上記被接合材が金属電極であり、且つ上記半導体が半導体チップであり、
上記金属電極に複数の半導体チップを、上記共晶反応と応力集中部を用いて接合する装置であって、
上記金属電極と上記半導体チップとの接合点を任意に選択して接合を実施できることを特徴とする請求項7に記載の半導体部品の製造装置。
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